説明

画像形成装置

【課題】現像ロールと像保持体との距離を決められた範囲に保った上で、現像ロールを回転させるためのギア駆動により生じる周期的な画像欠陥(所謂バンディング)を抑制することができる画像形成装置を得る。
【解決手段】フロント側では、プレート部材を介して像保持体の位置が決まるため、像保持体の位置決め精度が低下する場合があるが、位置決めロール194を用いているため、現像ロール74と像保持体62との距離が範囲内に入る。リア側では、像保持体の筒部にシャフト部材を挿入するため、像保持体の位置決め精度が向上するため、現像器72と像保持体とを離間させた状態で現像器72の位置を決めても現像ロール74と像保持体62との距離が範囲内に入る。モータが配置されるリア側では、現像器72と像保持体とが離間しているため、モータのギア駆動により生じる周期的な画像欠陥が抑制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、現像ロールと同軸に設けられたコロを像保持体ドラムの表面に当てることで、像保持体ドラムと現像ロールとの距離を一定に保つことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−330676号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、現像ロールと像保持体との距離を決められた範囲に保った上で、現像ロールを回転させるためのギア駆動により生じる周期的な画像欠陥(所謂バンディング)を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に係る画像形成装置は、回転しながら表面に静電潜像が形成され、装置本体に対して回転軸方向に移動させて着脱可能とされる像保持体と、表面に静電潜像が形成された前記像保持体に回転しながら各色の現像剤を受け渡す現像ロールを備える複数個の現像器と、複数個の前記現像器が周方向に沿って取り付けられると共に、回転することで前記現像器に備えられる前記現像ロールを前記像保持体に順次対向させる回転装置と、前記装着方向奥側で前記装置本体に取り付けられ、前記現像ロールを回転させる駆動源と、前記像保持体の装着方向奥側で前記装置本体に設けられ、前記装置本体に対して前記像保持体の前記装着方向奥側の位置決めするために前記像保持体の回転中心に設けられた嵌合部に嵌合する被嵌合部材と、前記像保持体の装着方向手前側で前記装置本体又は前記被嵌合部材に取り付けられると共に、前記装置本体に対して前記像保持体の前記装着方向手前側の位置決めするために前記像保持体の前記装着方向手前側を支持する支持部材を位置決めする位置決め部材と、前記現像器の前記装着方向奥側に設けられ、前記像保持体と離間した状態で、前記像保持体に対する前記現像ロールの位置を、前記回転装置又は前記装置本体に対する現像器の位置を調整することで決める調整手段と、前記現像器の前記装着方向手前側に設けられ、前記現像ロールの回転軸に支持されると共に、前記像保持体の外周面に当てられる位置決めロールと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の請求項1の画像形成装置によれば、像保持体と現像ロールとの距離を保つために像保持体の表面に当てられる位置決めロールが、像保持体の装着方向奥側及び手前側に設けられている場合と比して、現像ロールと像保持体との距離を決められた範囲に保った上で、現像ロールを回転させるためのギア駆動により生じる周期的な画像欠陥(所謂バンディング)を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置に備えられた現像器のフロント側を示した斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置に備えられた現像器のフロント側を示した側面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置に備えられた現像器のフロント側を示した側面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置に備えられた現像器のリア側を示した側面図である。
【図5】(A)(B)本発明の第1実施形態に係る画像形成装置に備えられた像保持体 のフロント側を示した平面図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置に備えられた像保持体 のフロント側を示した側面図である。
【図7】(A)(B)本発明の第1実施形態に係る画像形成装置に備えられた像保持体 のリア側を示した平面図である。
【図8】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置に備えられた現像装置のリア側を示した側面図である。
【図9】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置に備えられた現像装置のリア側を示した拡大側面図である。
【図10】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置に備えられた現像装置のリア側を示した側面図である。
【図11】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置に備えられた現像器を示した斜視図である。
【図12】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置に備えられた現像装置を示した斜視図である。
【図13】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置に備えられた現像装置を示した斜視図である。
【図14】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置に備えられた現像装置等を示した側面図である。
【図15】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置を示した概略構成図である。
【図16】(A)(B)本発明の第2実施形態に係る画像形成装置に備えられた像保持体を示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の第1実施形態の画像形成装置の一例について図1〜図15に従って説明する。
【0009】
(全体構成)
図15には、画像形成装置10が示されている。画像形成装置10は、上下方向(矢印V方向)の下側から上側へ向けて、記録用紙Pが収容される用紙収容部12と、用紙収容部12の上に設けられ用紙収容部12から供給される記録用紙Pに画像形成を行う画像形成部14と、画像形成部14の上に設けられ読取原稿Gを読み取る原稿読取部16と、画像形成部14内に設けられ画像形成装置10の各部の動作を制御する制御部20と、を含んで構成されている。
【0010】
なお、以後の説明では、画像形成装置10の装置本体10Aの上下方向を矢印V方向、水平方向を矢印H方向と記載する。
【0011】
用紙収容部12は、記録媒体の一例としてのサイズの異なる記録用紙Pが収容される第一収容部22、第二収容部24、及び第三収容部26が設けられている。第一収容部22、第二収容部24、及び第三収容部26には、収容された記録用紙Pを画像形成装置10内に設けられた搬送路28に送り出す送り出しロール32が設けられており、搬送路28における送り出しロール32よりも下流側には、記録用紙Pを一枚ずつ搬送するそれぞれ一対の搬送ロール34及び搬送ロール36が設けられている。また、搬送路28における記録用紙Pの搬送方向で搬送ロール36よりも下流側には、記録用紙Pを一端停止させるとともに、決められたタイミングで後述する二次転写位置へ送り出す位置合せロール38が設けられている。
【0012】
搬送路28の上流側部分は、画像形成装置10の正面視において、矢印V方向に向けて用紙収容部12の左側から画像形成部14の左側下部まで直線状に設けられている。また、搬送路28の下流側部分は、画像形成部14の左側下部から画像形成部14の右側面に設けられた排紙部15まで設けられている。さらに、搬送路28には、記録用紙Pの両面に画像形成を行うために記録用紙Pが搬送及び反転される両面搬送路29が接続されている。
【0013】
両面搬送路29は、画像形成装置10の正面視において、搬送路28と両面搬送路29の切り替えが行われる第一切替部材31と、画像形成部14の右側下部から用紙収容部12の右側まで矢印V方向に直線状に設けられた反転部33と、反転部33に搬送された記録用紙Pの後端が進入するとともに矢印H方向に搬送される搬送部37と、反転部33と搬送部37の切り替えが行われる第二切替部材35と、を有している。そして、反転部33には一対の搬送ロール42が間隔をあけて複数箇所に設けられており、搬送部37には一対の搬送ロール44が間隔をあけて複数箇所に設けられている。
【0014】
第一切替部材31は三角柱状の部材であり、図示しない駆動手段によって先端部が搬送路28又は両面搬送路29のいずれか一方に移動されることで、記録用紙Pの搬送方向を切り替えるようになっている。同様に、第二切替部材35は正面視で三角柱状の部材であり、図示しない駆動手段によって先端部が反転部33又は搬送部37のいずれか一方に移動されることで、記録用紙Pの搬送方向を切り替えるようになっている。なお、搬送部37の下流側端部は、搬送路28の上流側部分にある搬送ロール36の手前側に図示しない案内部材により接続されている。また、画像形成部14の左側面には、折り畳み式の手差給紙部46が設けられており、手差給紙部46から搬送路28の位置合せロール38の手前までが接続されている。
【0015】
原稿読取部16は、読取原稿Gを1枚ずつ自動で搬送する原稿搬送装置52と、原稿搬送装置52の下側に配置され1枚の読取原稿Gが載せられるプラテンガラス54と、原稿搬送装置52によって搬送された読取原稿G又はプラテンガラス54に載せられた読取原稿Gを読み取る原稿読取装置56とが設けられている。原稿搬送装置52は、一対の搬送ロール53が複数配置された自動搬送路55を有しており、自動搬送路55の一部は記録用紙Pがプラテンガラス54上を通るように配置されている。また、原稿読取装置56は、プラテンガラス54の左端部に静止した状態で原稿搬送装置52によって搬送された読取原稿Gを読み取り、又は矢印H方向に移動しながらプラテンガラス54に載せられた読取原稿Gを読み取るようになっている。
【0016】
一方、画像形成部14は、装置本体10Aの中央に潜像保持体の一例としての円筒状の像保持体62が設けられている。像保持体62は、図示しない駆動手段によって矢印+R方向(図示の時計回り方向)に回転すると共に光照射によって形成される静電潜像を保持するようになっている。さらに、像保持体62は、装置本体10Aの手前側に設けられたメンテナンスドアを開放して、作業者が装置本体手前側から像保持体62の回転軸方向に移動させることで、装置本体10Aに対して着脱可能とされている。また、像保持体62の上方で且つ像保持体62の表面と対向する位置には、像保持体62の表面を帯電するコロトロン方式の帯電部材64が設けられている。なお、装置本体10Aに対する像保持体62の位置決め構造については詳細を後述する。
【0017】
像保持体62の回転方向における帯電部材64よりも下流側で且つ像保持体62の表面と対向する位置には、露光装置66が設けられている。露光装置66は、LED(Light Emitting Diode)で構成されており、帯電部材64により帯電した像保持体62の表面に各トナー色に対応した画像信号に基づき、光を照射(露光)して静電潜像を形成するようになっている。なお、露光装置66はLED方式に限らず、例えば、レーザ光をポリゴンミラーで走査するものであってもよい。
【0018】
像保持体62の回転方向で露光装置66の露光光が照射される部位よりも下流側には、像保持体62の表面に形成された静電潜像を決められた色のトナーで現像して可視化させる現像手段の一例としての回転切り替え式の現像装置70が設けられている。なお、現像装置70の詳細については後述する。
【0019】
像保持体62の回転方向で現像装置70よりも下流側であり且つ像保持体62の下側には、像保持体62の表面に形成されたトナー画像が転写される中間転写ベルト68が設けられている。中間転写ベルト68は、無端状であり、制御部20により回転駆動される駆動ロール61、中間転写ベルト68に張力を付与するための張力付与ロール63、中間転写ベルト68の裏面に接触して従動回転する複数の搬送ロール65、及び後述する二次転写位置において中間転写ベルト68の裏面に接触して従動回転する補助ロール69に巻き掛けられている。そして、中間転写ベルト68は、駆動ロール61が回転することにより、矢印−R方向(図示の反時計回り方向)に周回移動するようになっている。
【0020】
また、中間転写ベルト68を挟んで像保持体62の反対側には、像保持体62の表面に形成されたトナー画像を中間転写ベルト68に一次転写させる一次転写ロール67が設けられている。一次転写ロール67は、像保持体62と中間転写ベルト68とが接触する位置から中間転写ベルト68の移動方向下流側に離れた位置で、中間転写ベルト68の裏面に接触している。そして、一次転写ロール67は、図示しない電源から通電されることにより、接地されている像保持体62との電位差で像保持体62のトナー画像を中間転写ベルト68に一次転写するようになっている。
【0021】
さらに、中間転写ベルト68を挟んで補助ロール69の反対側には、中間転写ベルト68上に一次転写されたトナー画像を記録用紙Pに二次転写させる転写手段の一例としての二次転写ロール71が設けられており、二次転写ロール71と補助ロール69との間が記録用紙Pへトナー画像を転写する二次転写位置とされている。二次転写ロール71は、中間転写ベルト68の表面に接触している。そして、二次転写ロール71は、図示しない電源から通電されることにより、接地されている補助ロール69との電位差で中間転写ベルト68のトナー画像を記録用紙Pに二次転写するようになっている。
【0022】
また、中間転写ベルト68を挟んで駆動ロール61の反対側には、中間転写ベルト68の二次転写後の残留トナーを回収するクリーニング装置90が設けられている。そして、クリーニング装置90には、中間転写ベルト68から残留トナーを掻き取るクリーニングブレード96と、掻き取られたトナーがクリーニング装置90の外部に漏れるのを抑制するシール部材98(図14参照)とを備えている。
【0023】
さらに、中間転写ベルト68の周囲で張力付与ロール63と対向する位置には、中間転写ベルト68の表面に付されたマーク(図示省略)を検知することで中間転写ベルト68上の予め定めた基準位置を検出し、画像形成処理の開始タイミングの基準となる位置検出信号を出力する位置検出センサ83が設けられている。
【0024】
像保持体62の回転方向で一次転写ロール67よりも下流側には、中間転写ベルト68に一次転写されずに像保持体62の表面に残留した残留トナー等を清掃するクリーニング装置73が設けられている。クリーニング装置73は、像保持体62表面に接触するクリーニングブレード及びブラシロールにより残留トナー等を回収する構成となっている。また、像保持体62の回転方向でクリーニング装置73の上流側(一次転写ロール67よりも下流側)には、像保持体62の表面に光を照射して除電を行う除電装置75が設けられている。除電装置75は、クリーニング装置73による残留トナー等の回収前に像保持体62の表面に光を照射して除電することで静電気による付着力を低減し、残留トナー等の回収率を高めるためのものである。なお、クリーニング装置73の下流側で且つ帯電部材64の上流側に、残留トナー等の回収後の除電手段を設けてもよい。
【0025】
二次転写ロール71によるトナー画像の二次転写位置は、前述の搬送路28の途中に設定されており、搬送路28における記録用紙Pの搬送方向(矢印Aで図示)で二次転写ロール71よりも下流側には、二次転写ロール71によってトナー画像が転写された記録用紙Pにトナー画像を定着させる定着装置80が設けられている。定着装置80は、記録用紙Pのトナー画像面側(上側)に配置され、通電により発熱する熱源を有する加熱ロール82と、加熱ロール82の下側に配置され記録用紙Pを加熱ロール82の外周面に向けて加圧する加圧ロール84とで構成されている。なお、搬送路28における記録用紙Pの搬送方向で定着装置80よりも下流側には、排紙部15又は反転部33へ向けて記録用紙Pを搬送する搬送ロール39が設けられている。
【0026】
一方、原稿読取装置56の下側で現像装置70よりも上側には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)、第1特別色(E)、第2特別色(F)の各トナーを収容するトナーカートリッジ78Y、78M、78C、78K、78E、78Fが水平方向に並んで交換可能に設けられている。第1特別色E及び第2特別色Fは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック以外の特別色(透明を含む)から選択され、または、選択されないようになっている。そして、現像装置70では、第1特別色E及び第2特別色Fが選択された場合はY、M、C、K、E、Fの6色での画像形成を行い、第1特別色E及び第2特別色Fが選択されない場合はY、M、C、Kの4色での画像形成を行うようになっている。なお、本実施形態では、一例として、Y、M、C、Kの4色で画像形成を行い、第1特別色E及び第2特別色Fを未使用とした場合について説明するが、他の例として、Y、M、C、Kの4色と第1特別色E又は第2特別色Fを用いて5色で画像形成を行ってもよい。
【0027】
<現像装置>
次に、現像装置70について説明する。
【0028】
図13に示されるように、各色の現像器72を備えた現像装置70には、回転することで現像器72に設けられた現像ロール74を順次像保持体62に対向させる回転装置100が設けられている。そして、回転装置100には、回転装置100の回転軸方向(図中D方向、以下単に回転軸方向という)に延びて装置本体10A(図15参照)に回転自在に支持されると共に、現像装置70の回転軸を構成する回転軸部材100Aが設けられている。また、この回転軸部材100Aの回転軸方向の両端部には、回転軸部材100Aの径方向外側に鍔状に張り出すと共に6台の現像器72を支持する鍔状部材100Bが設けられている。なお、図13では、鍔状部材100Bに6台の現像器72のうちの1台のみが支持され、他の現像器72は取り外された状態が示されている。ここで、図13には、現像器72の回転軸方向が矢印Dで示されており、矢印DのFRT側がこの画像形成装置10(図15参照)のフロント側(正面側)で、矢印DのRR側が画像形成装置10のリア側(背面側)である。
【0029】
2個の鍔状部材100Bに挟まれた空間には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)、第1特別色(E)、第2特別色(F)の各トナー色にそれぞれ対応する現像器72Y、72M、72C、72K、72E、72Fが、周方向に(反時計回り方向にこの順番で)並んで配置されている(図14参照)。
【0030】
なお、現像器72Y、72M、72C、72K、72E、72Fは同様の構成となっているため、ここでは現像器72Yについて説明し、他の現像器72M、72C、72K、72E、72Fについては説明を省略する。
【0031】
図14に示されるように、現像器72Yは、本体となるケース部材76を有しており、ケース部材76内にトナーカートリッジ78Y(図15参照)からトナー供給路(図示省略)を経由して供給されるトナー及びキャリアから成る現像剤(図示省略)が充填されている。また、ケース部材76には、像保持体62の表面と対向して矩形状の開口部76Aが形成されており、開口部76Aには、表面が像保持体62の表面と対向する現像ロール74が設けられている。さらに、ケース部材76内で開口部76Aに近い部位には、現像剤の層厚を規制するための板状の規制部材79が、開口部76Aの長手方向に沿って設けられている。
【0032】
現像ロール74は、回転可能に設けられた円筒状の現像スリーブ74Aと、現像スリーブ74Aの内側に固定された複数の磁極から成る磁性部材74Bとで構成されており、現像スリーブ74Aが回転することで現像剤(キャリア)の磁気ブラシが形成されると共に、規制部材79で層厚が規制されることで、現像スリーブ74Aの外周面に現像剤層を形成するようになっている。そして、現像スリーブ74Aの外周面の現像剤層は、像保持体62に対向する位置に搬送され、像保持体62の表面に形成された潜像(静電潜像)に応じたトナーを付着させて現像を行う。
【0033】
また、ケース部材76内には、螺旋状に形成された搬送ロール77が2本回転可能に並列配置されており、この2本の搬送ロール77が回転することで、ケース部材76内に充填された現像剤が、現像ロール74の軸方向(現像器72Yの長手方向)に循環搬送されるようになっている。なお、各現像器72Y、72M、72C、72K、72E、72Fに設けられた6本の現像ロール74は、隣の現像ロール74との間隔が中心角60°となるように周方向に配置されており、現像器72の切り替えにより、次の現像ロール74が像保持体62の表面と対向するようになっている。
【0034】
図13に示されるように、リア側に配置された鍔状部材100Bのリア側には、外周にギア歯102が形成され、内周にカム面106が形成された円環部材108が設けられている。また、このカム面106は、周方向に形成されている。そして、この円環部材108は、回転軸方向に沿って延びる複数個の円柱部材116によってリア側に配置された鍔状部材100Bに固定されている。
【0035】
ギア歯102と噛み合うギア歯114Aを備えたギア114が設けられ、ギア114の回転軸には、装置本体10A(図15参照)に固定されたモータ112の出力軸が固定されている。
【0036】
そして、モータ112の回転駆動力が回転装置100に伝達されて各色の現像器72が中心角で60°ずつ回転することで、現像処理を行う現像器72Y、72M、72C、72K、72E、72Fが順次像保持体62の表面と対向するようになっている。
【0037】
図12に示されるように、現像ロール74のリア側には、現像ロール74の回転軸に固定されたギア118A及びギア118Bが設けられている。ギア118Bは、ギア118Aに対してフロント側に配置され、搬送ロール77(図14参照)の回転軸に固定されたギア120と噛み合っている。この構成により、現像ロール74の回転と搬送ロール77の回転とは同期するようになっている。
【0038】
また、図8、図12に示されるように、2本のネジ124で装置本体10A(図15参照)に固定された板状の板部材122が、円環部材108のリア側に配置されている。
【0039】
この板部材122には、円形の穴126が形成されている。この穴126には装置本体10Aに固定された駆動源の一例としてのモータ130の回転軸130Aに固定されたギア132が挿入されている。
【0040】
さらに、この板部材122のフロント側には、モータ130の回転軸130Aに固定されたギア132からの回転力を現像ロール74の回転軸に固定されたギア118Aに伝達する駆動力伝達機構136が設けられている。
【0041】
図9、図10に示されるように、駆動力伝達機構136は、板部材122の穴126から挿入されたギア132と噛み合うと共に板部材122(図8参照)に回転可能に支持されたギア138を備えている。
【0042】
さらに、円環部材108の内周に形成されたカム面106と当るカムロール146が設けられ、カムロール146の回転軸146Aとギア138の回転軸138Aとは、連結部材140で連結されて連結部材140に回転可能に支持されている。また、カムロール146の回転軸146Aには、ギア138と噛み合うギア144が回転可能に支持されている。さらに、連結部材140は、ギア138の回転軸138Aで板部材122に回転可能に支持されている。つまり、カムロール146及びギア144は、回転軸138Aを中心に円弧状に移動可能となっている。
【0043】
さらに、回転軸138A周りには、捩じりコイルバネ142(以下バネ142と言う)が設けられ、このバネ142の一端は、連結部材140に引っ掛けられ、他端は、板部材122(図8参照)に引っ掛けられている。これにより、バネ142の付勢力でカムロール146及びギア144が円環部材108(カム面106)側に付勢されるようになっている。
【0044】
この構成により、円環部材108が回転してカム面106に沿ってカムロール146が回転軸138Aを中心に円弧状に移動することで、ギア144も円弧状に移動して像保持体62の表面と対向した現像ロール74の回転軸に固定されたギア118Aとギア114とが噛み合うようになっている。
【0045】
つまり、像保持体62の表面と対向した現像ロール74には、モータ130(図12参照)の回転力が、ギア132、ギア138、ギア144、及びギア118Aを介して伝達されるようになっている。なお、像保持体62に対する現像ロール74の位置決め構造については詳細を後述する。
【0046】
次に、画像形成装置10における画像形成工程について説明する。
【0047】
図15に示されるように、画像形成装置10が作動すると、画像処理装置(図示省略)又は外部から、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)、第1特別色(E)、第2特別色(F)の各色の画像データが露光装置66に順次出力される。このとき、一例として、現像装置70は、現像器72Y(図14参照)が像保持体62の表面と対向するように配置され、モータ130(図12)から回転力が伝達されて回転している。
【0048】
また、クリーニング装置90のクリーニングブレード96及びシール部材98(29参照)は、各色のトナー画像が中間転写ベルト68に多重(一次)転写され且つ記録用紙P上に二次転写されるまで、リトラクト機構部(図示省略)の動作によって中間転写ベルト68の表面から離されている(リトラクト状態)。同様に、補助ロール69の移動により、二次転写ロール71も、中間転写ベルト68の表面から離れている。
【0049】
続いて、露光装置66から画像データに応じて出射された光は、帯電部材64により帯電された像保持体62の表面を露光し、像保持体62の表面にはイエローの画像データに対応した静電潜像が形成される。さらに、像保持体62の表面に形成された静電潜像は、現像器72Yによってイエローのトナー画像として現像される。そして、像保持体62の表面のイエローのトナー画像は、一次転写ロール67によって中間転写ベルト68に転写される。
【0050】
続いて、図14に示されるように、現像装置70が矢印+R方向に60°回転され、現像器72Mが像保持体62の表面と対向する。そして、帯電、露光、現像の各工程が行われ、像保持体62の表面のマゼンタのトナー画像は、一次転写ロール67によって中間転写ベルト68のイエローのトナー画像上に転写される。同様にして、シアン(C)、黒(K)、さらに色設定に応じて第1特別色(E)、及び第2特別色(F)のトナー画像が中間転写ベルト68上に順次多重転写される。
【0051】
そして、補助ロール69の移動により、二次転写ロール71が、中間転写ベルト68の外周面と接する。
【0052】
一方、図15に示されるように、用紙収容部12から送り出され、搬送路28を搬送されてきた記録用紙Pは、位置合せロール38により、中間転写ベルト68への各トナー画像の多重転写とタイミングを合わせて二次転写位置に搬送される。そして、中間転写ベルト68上に多重転写されたトナー画像は、二次転写位置に搬送されてきた記録用紙P上に二次転写ロール71によって二次転写される。
【0053】
また、二次転写後、クリーニング装置90のクリーニングブレード96及びシール部材98(図14参照)は、制御部20の制御により中間転写ベルト68の外周面と接触する。そして、中間転写ベルト68の外周面に付着したトナーTがクリーニングブレード96で剥離され、筐体92内に回収される。
【0054】
続いて、トナー画像が転写された記録用紙Pは、定着装置80に向けて矢印A方向(図示の右方向)に搬送される。そして、定着装置80では、トナー画像が加熱ロール82及び加圧ロール84によって加熱、加圧されることで記録用紙Pに定着される。さらに、トナー画像が定着された記録用紙Pは、一例として、排紙部15に排出される。
【0055】
なお、記録用紙Pの両面に画像を形成する場合は、定着装置80で表面に画像定着を行った後、記録用紙Pを矢印−V方向に沿って反転部33に送り込むと共に矢印+V方向に沿って送り出すことで、記録用紙Pの先端と後端を入れ替える。そして、記録用紙Pを両面搬送路29によって矢印B方向(図示の左方向)に搬送し、さらに搬送路28に送り込んで、記録用紙Pの裏面の画像形成及び定着を行う。
【0056】
なお、この二次転写後に、クリーニングブレード96及びシール部材98がリトラクト機構部の動作によって中間転写ベルト68の外周面と接触する。そして、中間転写ベルト68の外周面に付着したトナーTがクリーニングブレード96で剥離され、筐体92内に回収される。
【0057】
(要部構成)
<像保持体の装置本体に対する位置決め構造>
次に、装置本体10Aに対する像保持体62の位置決め構造について説明する。
【0058】
先ず、像保持体62の装着方向手前側(前述した回転軸方向のフロント側と同じ側であるため、以下フロント側と言う)の位置決め構造について説明する。
【0059】
図5(A)(B)、図6に示されるように、像保持体62のフロント側には、像保持体62の回転軸62Aをベアリング153を介して支持するスリーブ部材150が設けられている。そして、このスリーブ部材150には、複数個のネジ151で支持部材の一例としての板状のプレート部材152が固定されている。プレート部材152の板面は、像保持体62の回転軸方向に向けられ、プレート部材152は、正面視で像保持体62と重ならないように2個の取付部152Aを備えている。さらに、夫々の取付部152Aには、円形状とスロット形状の取付穴154が形成されている。また、取付部152Aと対応する位置には、装置本体10A(図15参照)に固定された板状のフレーム部材156に形成された取付部156Aが設けられている。
【0060】
詳細には、フレーム部材156には、像保持体62を装置本体10Aに対して着脱させる際に、像保持体62が通過すると共に上部が開放された開口部158が形成されている。さらに、フレーム部材156には、正面視で、この開口部158の開放された上部に左右から突き出すように、一対の取付部156Aが形成されている。
【0061】
また、夫々の取付部156Aには、位置決め部材の一例としてのスタッドボルト162(以下単にボルト162と言う)が回転軸方向に延びて固定されている。
【0062】
図5(A)(B)に示されるように、装置本体10Aから離脱した像保持体62を装着方向奥側(前述した回転軸方向のリア側と同じ側であるため、以下リア側と言う)に移動させると、夫々のスタッドボルト162が取付部152Aに形成された取付穴154に挿入されることで、装置本体10Aに対する像保持体62のフロント側の位置が決まるようになっている。そして、夫々のボルト162にナット164をねじこむことで、像保持体62のフロント側が、装置本体10Aに固定される。
【0063】
つまり、装置本体10Aに対する像保持体62のフロント側の位置は、ボルト162を取付穴154に挿入することで、プレート部材152及びスリーブ部材150を介して決まるようになっている。
【0064】
次に、像保持体62のリア側の装置本体10Aに対する位置決め構造について説明する。
【0065】
図7(A)(B)に示されるように、リア側における像保持体62の回転中心には、嵌合の一例としての筒部170が形成されている。さらに、像保持体62のリア側には、この先端側が筒部170に挿入される被嵌合部材の一例としてのシャフト部材172が、回転軸方向に延びて設けられている。
【0066】
シャフト部材172の基端部は、シャフト部材172をシャフト部材172の周方向に回転させるモータ174の出力軸(図示省略)に固定されている。そして、モータ174は、装置本体10A(図15参照)に固定されたフレーム部材176にボルト178を用いて固定されている。
【0067】
つまり、装置本体10Aに対する像保持体62のリア側の位置は、シャフト部材172を筒部170に挿入することでシャフト部材172と筒部170とが嵌合し、決まるようになっている。
【0068】
なお、モータ174の回転力は、シャフト部材172を介して像保持体62に伝達されるようになっている。
【0069】
<現像ロールの像保持体に対する位置決め構造>
次に、像保持体62に対する現像ロール74の位置決め構造について説明する。
【0070】
先ず、像保持体62に対する現像ロール74のフロント側の位置決め構造について説明する。
【0071】
図1、図13に示されるように、現像装置70のフロント側には、現像ロール74の回転軸を回転可能に支持する円柱状の軸受部材180と、鍔状部材100Bに取り付けられると共に各軸受部材180を支持する支持部材182とが配置されている。
【0072】
図13に示されるように、支持部材182は、鍔状部材100Bの回転軸方向外側に取り付けられ、図1に示されるように、支持部材182は、板状(扁平状)であって、図2に示されるように、支持部材182は、正面視で略おうぎ状に形成されている。
【0073】
図2に示されるように、支持部材182の外周側であって、かつ、周方向中央側には、軸受部材180が外周側から差し込まれる円弧状の凹部188が形成されている。
【0074】
さらに、支持部材182には、凹部188に挿入された軸受部材180を保持する保持部材190が設けられている。そして、保持部材190の周方向一端側には、保持部材190を支持部材182の本体にネジ止めするネジ190Bが設けられ、保持部材190の周方向他端側には、保持部材190を回転可能に支持する回転軸190Aが設けられている。
【0075】
具体的には、保持部材190は、凹部188との間で軸受部材180を挟んで軸受部材180を保持する保持位置と(図2において実線で示す位置)、凹部188の外周側を開放して軸受部材180を取り外し可能にする非保持位置(図2において二点鎖線で示す位置)と、の間を回転軸190Aの回りで回転可能とされている。これにより、保持部材190を非保持位置に回転させて、軸受部材180を凹部188から抜き取り、再び軸受部材180を凹部188に差し込み、保持部材190を保持位置に回転させることで、軸受部材180が支持部材182に対して着脱されるようになっている。
【0076】
一方、図1、図2に示されるように、支持部材182は、その外周側(図2における矢印C方向側)であって、周方向一端側(図2に示す矢印E方向側)に回転軸方向に沿って配置されたボルト184周りに揺動可能(回転可能)に支持されている。
【0077】
これにより、各支持部材182の周方向他端部(図2に示す矢印F方向端部)が、正面視でボルト184を中心に円弧状に揺動可能(回転可能)とされている。
【0078】
また、支持部材182の周方向他端部には、圧縮コイルバネ186の一端部が取り付けられ、圧縮コイルバネ186の他端部は、鍔状部材100Bに取り付けられている。そして、支持部材182の周方向他端側には、回転軸部材100Aの径方向の外側へ支持部材182を移動させるように圧縮コイルバネ186の付勢力が作用している。
【0079】
また、図1に示されるように、現像ロール74のフロント側には、現像ロール74の回転軸に回転可能に支持されると共に、像保持体62の表面に当てられる位置決めロール194(トラッキングロール)が設けられている。また、この位置決めロール194は、現像ロール74より径方向に一回り大きくされている。そして、図3に示されるように、圧縮コイルバネ186の付勢力により、位置決めロール194が像保持体62の表面に当てられることで、像保持体62に対する現像ロール74の位置が決められるようになっている。
【0080】
つまり、像保持体62に対する現像ロール74のフロント側の位置は、位置決めロール194を像保持体62の表面に当てることで決まるようになっている。
【0081】
次に、像保持体62に対する現像ロール74のリア側の位置決め構造について説明する。
【0082】
図4、図11に示されるように、現像装置70のリア側には、各現像ロール74の回転軸198を回転可能に支持する軸受部材200と、鍔状部材100Bに取り付けられると共に軸受部材200を支持する支持部材202とが設けられている。
【0083】
図4に示されるように、支持部材202は、鍔状部材100Bの軸方向外側に支持され、支持部材202は、板状(扁平状)であって、正面視で略おうぎ状に形成されている。さらに、軸受部材200は、正面視で四角形状とされている。
【0084】
支持部材202の外周側であって、かつ、周方向中央側には、軸受部材200が支持部材202に対して外周側から差し込まれる凹部212が形成されている。凹部212は、支持部材92の外周よりも内周側へ一段凹んだ位置に形成された外周側を向く底面212Aと、周方向一方側(図4における矢印E方向側)を向く側面212Bと、周方向他方側(図4における矢印F方向側)を向く側面212Cと、で囲まれている。
【0085】
さらに、支持部材202には、凹部212に差し込まれた軸受部材90を保持する保持部材214が設けられている。そして、保持部材214の周方向他端側には、保持部材214を回転可能に支持する回転軸214Aが設けられ、保持部材214の周方向一端側には、保持部材214を支持部材202の本体にネジ止めするネジ214Bが設けられている。
【0086】
具体的には、保持部材214は、底面212Aとの間に軸受部材200を挟んで軸受部材200を保持する保持位置と(図4に示す実線で示す位置)、凹部212の外周側を開放して軸受部材90を取り外し可能にする非保持位置(図4に示す二点鎖線で示す位置)と、の間を回転軸214A周りで回転可能とされている。これにより、保持部材214を非保持位置に回転させて、軸受部材200を凹部212から抜き取り、再び軸受部材200を凹部212に差し込み、保持部材214を保持位置に回転させることで、軸受部材200が支持部材202に対して着脱されようになっている。
【0087】
一方、支持部材202は、その外周側(図4に示す矢印C方向側)であって周方向一端側(図4に示す矢印E方向側)に、回転軸方向に沿って配置された揺動軸(回転軸)204によって、鍔状部材100Bに対して揺動可能(回転可能)に支持されている。
【0088】
これにより、各支持部材202の周方向他端部(図4に示す矢印F方向端部)が、正面視で揺動軸204を中心に揺動可能(回転可能)とされている。
【0089】
さらに、図4に示されるように、支持部材202の周方向他端部には、引っ張りコイルバネ206の一端部が取り付けられている。引っ張りコイルバネ206の他端部は、鍔状部材100Bに取り付けられている。そして、支持部材202の周方向他端側には、回転軸部材100Aの径方向の外側へ移動するように引っ張りコイルバネ206の付勢力が作用している。
【0090】
また、鍔状部材100Bには、回転軸部材100Aの径方向へ移動可能な調整ネジ208が設けられている。調整ネジ208の先端部が支持部材202の周方向他端側に当っており、調整ネジ208をねじ込むことにより、各支持部材202の周方向他端側が回転軸部材100Aの径方向内側へ移動して、支持部材202が揺動軸204を中心に揺動するようになっている。
【0091】
これにより、鍔状部材100B(回転装置100)に対する支持部材202の位置が変更可能とされている。つまり、軸受部材200を介して支持部材202に支持される現像ロール74の位置を、像保持体62に対して変更可能となっている。
【0092】
また、支持部材202には、鍔状部材100B(回転装置100)に対して支持部材202を固定するための2個の固定ネジ210が設けられている。これにより、支持部材202の位置を調整した後に、固定ネジ210を用いて支持部材202を鍔状部材100Bに固定するようになっている。
【0093】
具体的には、現像器72が装着された回転装置100を装置本体10Aに取り付けた状態で、像保持体62又は像保持体62に対して同形状とされた冶具を装置本体10Aに装着する。そして、像保持体62又は冶具と現像ロール74との距離を、支持部材202を揺動させながら調整し、その距離が決められた範囲内になったときに、支持部材202を固定ネジ210により鍔状部材100Bに固定する。
【0094】
つまり、像保持体62に対する現像ロール74のリア側の位置は、像保持体62と現像器72(現像ロール74)とが離間した状態で、回転装置100に対する現像器72の位置を調整しながら決めるようになっている。
【0095】
以上により、像保持体62に対する現像ロール74の位置を、回転装置100に対する現像器72の位置を調整しながら決める調整手段216は、支持部材202、揺動軸204、引っ張りコイルバネ206、調整ネジ208、及び固定ネジ210等を含んで構成されている。すなわち、像保持体62に対する現像ロール74のリア側の位置は、像保持体62と調整手段216とが離間した状態で、回転装置100に対する現像器72の位置を調整しながら決めるようになっている。
【0096】
(要部構成の作用)
次に、要部構成の作用について説明する。
【0097】
図4に示されるように、現像ロール74を回転させるモータ130が配置されるリア側については、現像器72(現像ロール74)と像保持体62を離間させ、回転装置100に対する現像器72(現像ロール74)の位置を調整することで像保持体62に対する現像ロール74の位置決めする。
【0098】
これに対し、図3に示されるように、モータ130が配置されないフロント側については、位置決めロール194を像保持体62に当てることで像保持体62に対する現像ロール74の位置決めする。
【0099】
ここで、図7に示されるように、リア側については、像保持体62の回転中心に設けられた筒部170にシャフト部材172を挿入することで像保持体62が装置本体10Aに対して位置決めされるため、何らかの部材を介して像保持体が装置本体に位置決めされている場合と比して、像保持体62の装置本体10Aに対する位置決め精度が向上されている。このように像保持体62の位置決め精度が高いため、現像器72(現像ロール74)と像保持体62とを離間させた状態で現像器72の位置を決めても現像ロール74と像保持体62との距離が決められた範囲内に入る。
【0100】
一方、図3に示されるように、フロント側については、位置決めロール194を像保持体62の表面に当てることで像保持体62に対する現像ロール74の位置を決めるため、像保持体62の装置本体10Aへの位置決め精度に関わらず、現像ロール74と像保持体62との距離が決められた範囲内に入る。
【0101】
つまり、図6に示されるように、装置本体10Aに対する像保持体62のフロント側の位置は、ボルト162を取付穴154に挿入することで、プレート部材152及びスリーブ部材150を介して決まるようになっている。つまり、プレート部材152及びスリーブ部材150を介して決まるため、像保持体62の装置本体10Aに対する位置決め精度が低下する場合がある。しかし、前述したように、フロント側では、像保持体62の装置本体10Aへの位置決め精度に関わらず、現像ロール74と像保持体62との距離が決められた範囲内に入る。
【0102】
さらに、モータ130が配置されるリア側では、前述したように、現像器72と像保持体62とが離間しているため、両側に所謂トラッキングロールが設けられる場合と比して、モータ130のギア駆動により生じる周期的な画像欠陥(所謂バンディング)が抑制される。
【0103】
つまり、現像ロール74と像保持体62との距離を決められた範囲に保った上で、現像ロール74を回転させるためのギア駆動により生じる周期的な画像欠陥(所謂バンディング)が抑制される。
【0104】
次に、本発明の第2実施形態の画像形成装置の一例について図16に従って説明する。なお、第1実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0105】
図16(A)(B)に示されるように、装置本体10Aに対する像保持体62のフロント側の位置は、被嵌合部材の一例としてのシャフト部材300がフロント側まで延ばされることで決められている。
【0106】
詳細には、像保持体62のフロント側を支持する支持部材の一例としての支持部302が、筒部170におけるフロント側の内周面から環状に突出して設けられている。そして、シャフト部材300の先端部であると共に位置決め部材の一例としてのシャフト先端部300Aと支持部302とが当ることで、装置本体10Aに対する像保持体62のフロント側の位置が決められている。このため、フロント側では、第1実施形態と同様に、像保持体62の装置本体10Aに対する位置決め精度が低下する場合がある。
【0107】
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態では、リア側における現像器72(現像ロール74)の位置決めについては、回転装置100に対する現像器72の位置を調整しながら行ったが、装置本体10Aに対する現像器の位置を調整しながら行ってもよい。
【符号の説明】
【0108】
10 画像形成装置
10A 装置本体
62 像保持体
72 現像器
74 現像ロール
100 回転装置
130 モータ(駆動源の一例)
152 プレート部材(支持部材の一例)
162 ボルト(位置決め部材の一例)
170 筒部(嵌合部の一例)
172 シャフト部材(被嵌合材の一例)
194 位置決めロール
216 調整手段
300A シャフト先端部(位置決め部材)
302 支持部(支持部材の一例)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転しながら表面に静電潜像が形成され、装置本体に対して回転軸方向に移動させて着脱可能とされる像保持体と、
表面に静電潜像が形成された前記像保持体に回転しながら各色の現像剤を受け渡す現像ロールを備える複数個の現像器と、
複数個の前記現像器が周方向に沿って取り付けられると共に、回転することで前記現像器に備えられる前記現像ロールを前記像保持体に順次対向させる回転装置と、
前記装着方向奥側で前記装置本体に取り付けられ、前記現像ロールを回転させる駆動源と、
前記像保持体の装着方向奥側で前記装置本体に設けられ、前記装置本体に対して前記像保持体の前記装着方向奥側の位置決めするために前記像保持体の回転中心に設けられた嵌合部に嵌合する被嵌合部材と、
前記像保持体の装着方向手前側で前記装置本体又は前記被嵌合部材に取り付けられると共に、前記装置本体に対して前記像保持体の前記装着方向手前側の位置決めするために前記像保持体の前記装着方向手前側を支持する支持部材を位置決めする位置決め部材と、
前記現像器の前記装着方向奥側に設けられ、前記像保持体と離間した状態で、前記像保持体に対する前記現像ロールの位置を、前記回転装置又は前記装置本体に対する現像器の位置を調整することで決める調整手段と、
前記現像器の前記装着方向手前側に設けられ、前記現像ロールの回転軸に支持されると共に、前記像保持体の外周面に当てられる位置決めロールと、
を備える画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−15634(P2013−15634A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−147454(P2011−147454)
【出願日】平成23年7月1日(2011.7.1)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】