説明

発振装置および周波数検出装置

【課題】 中心周波数と周波数可変範囲を自在に設定できる高安定、高精度な電圧制御発振器を提供すること。
【解決手段】 第1の水晶発振器の第1の周波数成分と、第2の水晶発振器の第2の周波数成分とを加算器等で加算する等して、所望の中心周波数および所望の可変周波数範囲を作る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は発振装置および周波数検出装置に関し、特に外部電圧によって発振周波数を変化できる電圧制御発振装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電圧制御発振器においては、抵抗とコンデンサ、あるいはコイルとコンデンサを用いた基本的な発振回路に対して、コンデンサ部分に可変容量ダイオード等を用いて、容量成分を外部電圧によって変化させることにより、抵抗値と容量、あるいはインダクタンスと容量によって決定される発振周波数を変化させている。また、水晶振動子あるいはセラミック振動子を用いた発振回路に関しても、可変容量ダイオード等を用いて全体の素子特性を変化させることにより、より高精度に周波数制御が可能な電圧制御発振器が開発されている。また、近年、出力信号の周波数を数値的に制御することが可能な周波数制御発振装置として直接デジタル合成型波形発生器が開発されている。これは、出力波形データをあらかじめメモリ内に用意し、入力信号に同期して累積加算器に一定数値を加算し、その累積値から決定されるメモリ内のアドレスにあるデータを出力することにより、入力信号とは異なる周波数を持つ信号を出力する装置である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
抵抗、コンデンサ、コイル等を用いた電圧制御発振器においては、それぞれの素子の定数を選ぶことにより、中心発振周波数および可変周波数範囲を自在に設定することが可能であるが、それぞれの素子の温度係数が発振周波数に影響するため、発振周波数の温度に対する安定度は良くても100ppm/℃程度であり、周波数の精度も数%程度と低い。一方、セラミック振動子あるいは水晶振動子を用いた電圧制御発振器においては、発振周波数の温度安定度は、それぞれの素子の温度係数、すなわち、30ppm/℃、10ppm/℃程度と非常に良好であり、周波数精度もそれぞれ0.5%および0.001%程度と極めて良好である。しかし、セラミック振動子および水晶振動子は個々の振動子の形状によって発振周波数が決定されているため、電圧制御発振器における中心周波数を変化させることは不可能である。
【0004】
また、特に電圧制御水晶発振器に関しては、水晶振動子の極めて高いQ値のため、可変周波数範囲がせいぜい1%程度に留まり、電圧制御セラミック発振器に関しても10%程度である。そのため、水晶振動子やセラミック振動子程度の温度安定性および周波数精度を持ち、中心周波数および可変周波数範囲を自在に設定可能な電圧制御発振器を実現するのは困難であった。直接デジタル合成型波形発生器においては、出力信号は入力信号と完全に同期しているため、入力信号として水晶振動子の発振信号を用いれば、出力信号の温度安定性および周波数制度は水晶振動子と同等となる。しかし、周波数の可変単位は入力信号の周波数と累積加算器のビット数で決定されるため、滑らかな変化を実現するためには、極めて高い入力周波数か多くのビット数を備えた累積加算器が必要となり、現実的でない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、水晶振動子あるいはセラミック振動子を用いた高安定、高精度の発振信号を複数用いて新たな周波数の信号を合成しても、周波数安定度、精度がそれほど劣化しないことに着目したものである。すなわち、水晶振動子あるいはセラミック振動子を用いた電圧制御発振器からの出力を、これと同期した周波数変化装置を介して周波数を定数倍変化させることにより可変周波数範囲を設定し、この信号に対し、別の水晶あるいはセラミック発振器からの出力の周波数を同様に定数倍させた信号を加え、周波数の和または差の絶対値をとることにより中心周波数を変化させる。それぞれの周波数変化装置の定数を適当に設定することにより、任意の中心周波数および可変周波数範囲を得ることが可能となる。またその定数が適当な範囲内であれば水晶発振器あるいはセラミック発振器程度の安定度および精度が得られる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、水晶振動子やセラミック振動子と同等の温度安定性および周波数精度を持った電圧制御発振装置の中心周波数および可変周波数範囲を自在に設定できるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
電圧制御水晶振動器や電圧制御セラミック発振器の中心周波数や可変周波数幅を自在に設定するという目的を、発振周波数の温度安定性や精度を犠牲にすることなく実現した。
【0008】
(実施例1)
本実施例では外部信号によって発振周波数を制御できる発振装置の例を説明する。図1は本発明の発振装置の実施例構成概念を示すブロック図である。本発明の発振装置の動作原理を図1を用いて説明する。電圧制御発振部1は制御信号入力部2から入力された電圧の値Vに応じた周波数で発振を行い発振信号を出力する。電圧の値VがV0を中心にΔVだけ変化する(V=V0+ΔV)場合、電圧制御発振部1からの発振信号は、周波数f1を中心として電圧の変化ΔVに関して係数cで変化し、f1+c×ΔVで表される。
【0009】
周波数変化部3は変化率設定部4から入力された信号に応じた比率aで、電圧制御発振部1からの発振信号の周波数を変化させ、周波数f3=a×f1の信号を出力する。
【0010】
一方、発振部5は一定周波数f2の発振信号を出力し、この信号に対して周波数変化部6は変化率設定部7から入力された信号に応じた比率bで、周波数を変化させ、周波数f4=b×f2の信号を出力する。
【0011】
周波数合成部8は周波数変化部3および6の出力信号を合成し、両者の周波数の和および差の絶対値の周波数成分f5=|f3±f4|を持つ信号を出力する。周波数f3およびf4の大小関係は、電圧の値Vが取り得る全ての値においてf3≧f4あるいはf3≦f4であればよい。すなわち、電圧の値Vの変化によって周波数f3が変化した場合に、f3とf4の大小関係が逆転しなければよい。
【0012】
この信号には、周波数変化部3および6からの出力信号の周波数成分f3およびf4が含まれているため、フィルタ部9によりそれらを取り除き、両周波数の和あるいは差の成分f5のみを持つ信号を取り出し、出力部10から出力する。
【0013】
最終的な出力周波数は、電圧の値Vが取り得る全ての値においてf3≧f4の場合はf5=(a×f1±b×f2)+a×c×ΔVとなり、f3≦f4の場合はf5=(b×f2±a×f1)−a×c×ΔVとなって、電圧の変化ΔVに対してf5が変化するときの係数の符号が逆になる。すなわち、電圧制御発振部1の電圧の変化ΔVに対する周波数の変化係数cが正であれば、f3≧f4の場合は、電圧の値Vが増加すると係数(a×c)に従って周波数f5が増加し、f3≦f4の場合は、電圧の値Vが増加すると係数(−a×c)に従って周波数f5が減少する。
【0014】
周波数可変範囲および中心周波数の設定は以下の手順で行う。周波数可変範囲はa×c×ΔVの項で決定されるので、まず、所望の周波数可変範囲となるように、変化率設定部4で設定する比率aの値を決定する。その後、決定されたaの値において、式a×f1±b×f2(f3≧f4の場合)あるいはb×f2±a×f1(f3≦f4の場合)で与えられる中心周波数が所望の値となるように、比率bを決定する。
【0015】
電圧制御発振部1としては、電圧制御発振器(VCO)、電圧制御水晶発振器(VCXO)、電圧制御セラミック発振器、電圧-周波数コンバータ等、入力電圧に応じて出力される電圧信号の周波数が変化するものであれば使用できる。特にVCXOを用いた場合に良好な結果が得られる。制御信号入力部2としては、マニュアル入力の場合は定電圧源の出力を可変抵抗器で分圧した電圧を出力するもの、また、デジタル制御の場合はコンピュータ等からのデジタル信号をDAコンバータを用いてアナログ電圧信号として出力するものが使用できる。発振部5としては、あらゆる発振器が使用できるが、電圧制御発振部1と同等以上の周波数安定性を持ったものが好ましく、水晶発振器を用いた時に最も良好な結果が得られる。
【0016】
周波数変化部3および6としては、主に累積加算器、直接デジタル合成型波形発生器(DDS)、分周器、位相同期ループ型(PLL)波形発生器が使用可能であるが、入力信号の周波数に対応して出力信号の周波数を変化できる装置であれば使用可能である。累積加算器およびDDSを用いた場合、出力周波数の範囲は入力周波数以下であり、周波数可変単位は入力周波数と累積加算器のビット数で決定される値となる。すなわち、累積加算器にビット数をNとすると、入力周波数を2のN乗で割ったものが周波数可変単位である。この場合、変化率設定部4および7は、1クロックで加算する数値AをNビットのデジタル信号として累積加算器に与えるものであり、このとき変化率は例えばa=A/2Nで与えられる。
【0017】
具体的な回路としては、コンピュータからのデジタル信号をラッチ回路で保持して累積加算器に出力する回路や、ディップスイッチ等のON/OFF操作でデジタル信号を与える回路が使用できる。周波数変化部3および6として分周器を用いた場合、出力周波数の範囲は入力周波数以下であり、N段の分周器であれば出力周波数は入力周波数の2のn乗分の1(nは1以上、N以下の整数)に設定できる。
【0018】
出力信号は、分周器の各段から出力されている信号のいずれかを選択するマルチプレクサを通して出力される。この場合、変化率設定部4および7は、選択する出力を指定する数値nをデジタル信号としてマルチプレクサに与えるものであり、このとき変化率は例えばa=1/2nで与えられる。具体的な回路としては、DDSを用いた場合と同様のものが使用できる。
【0019】
周波数変化部3および6としてPLL型波形発生器を用いた場合、出力周波数の範囲は入力周波数以上であり、PLL内にN段の分周器を用いたものであれば出力周波数は入力周波数の2のn乗(nは1以上、N以下の整数)に設定できる。この場合、変化率設定部4および7は、分周器を用いたものの場合と同様である。上のいずれの場合も、入力信号が正弦波の場合は必要に応じて矩形波に変換してもよい。
【0020】
周波数合成部8としては、入力信号が正弦波の場合は乗算回路が、また、矩形波の場合は排他的論理和回路、論理和回路、論理積回路等、2つの入力の演算によりそれらの入力周波数の和あるいは差の成分を含んだ信号を出力するものであれば使用可能である。入力信号が矩形波の場合、特に排他的論理和回路を用いた場合が最も良好な結果が得られた。入力信号が正弦波の場合は必要に応じて矩形波に変換してもよい。
【0021】
周波数合成部8からの出力信号には、2つの入力信号の和および差の周波数の他に、元々の2つの入力信号の周波数成分が含まれている。これらの信号成分の中から所望とする入力信号の和あるいは差の周波数成分以外の成分を取り除くため、フィルタ部9を使用する。フィルタ部9としては、所望の周波数を帯域に含むバンドパスフィルタが使用可能であるが、所望の信号が入力信号の和の場合はハイパスフィルタが、所望の信号が入力信号の差で2つの入力信号の周波数よりも小さければローパスフィルタが使用可能である。出力部10としては、出力インピーダンスを下げるための電圧フォロワが使用できるが、なくてもよい。
【0022】
本発明の実施例に係る発振装置につき、図2乃至図6を用いて説明する。
【0023】
図2は周波数変化部3および6として累積加算器を用いた場合の回路構成である。電圧制御発振部1として、中心周波数が67.108864MHzの電圧制御水晶発振器20を用いた。可変電圧源21からの出力される制御電圧信号を2.5Vを中心として±2V変化させると、67.108864MHzを中心周波数として±6710.8864Hz変化する。周波数変化部3としては、26ビットの累積加算器22を用いる。
【0024】
累積加算器22では、あらかじめ設定された値を電圧制御水晶発振器20からの信号の1周期毎に累積的に加算し、その値を26ビットの数値として出力する。累積加算器22内の数値が26ビットで表せる数値(0〜67108863)を超えると、最上位ビット(MSB)からの桁上がりが無視されるため、本来の数値から67108864を引いた値となる。MSBの値は、累積加算器22内の数値が0〜33554431の時に0、33554432〜67108863の時に1となるため、累積加算器が1周する間にMSBからは矩形波の1周期分が出力されることになる。累積加算器22で加算される数値をfとすると、累積加算器22が1周するためには67108864/f 回加算する必要があり、このときのMSBの周波数は電圧制御水晶発振器20からの信号の周波数の f/67108864 倍、すなわち、f Hzとなる。
【0025】
加算する数値として、所望の出力周波数をHzを単位として設定することにより、累積加算器22の出力のMSBからの出力周波数を設定できる。例えば、100kHzの出力を得たい場合は100000を設定すればよい。加算する数値は、26ビットデジタル信号をパーソナルコンピュータから出力し、それをラッチ回路23により保持することにより累積加算器22に与える。
【0026】
一方、発振部5としては発振周波数67.108864MHzの水晶発振器24を用いる。周波数変化部6は3と同様に26ビット累積加算器25を用い、ラッチ回路26で周波数の設定を行う。周波数変化部3および6からの出力は排他的論理和回路27に入力され、2つの入力信号の周波数の差の周波数をもつ疎密波として出力される。この信号からローパスフィルタ28により元の2つの入力信号成分を除去することにより、差の周波数をもつ正弦波が生成される。さらにこの正弦波を波形変換回路29により最終的な矩形波のデジタル信号として出力する。
【0027】
本実施例では、ローパスフィルタ28として、カットオフ周波数が150kHzの3次ローパスフィルタを用い、波形変換回路29として増幅器を用いる。この発振装置に対し、周波数変化部3の累積加算器22に1000000を設定することにより、周波数変化部3の出力信号の周波数を1M±100Hzとし、周波数変化部6の累積加算器25に900000を設定することにより、周波数変化部6の出力信号の周波数を900kHzとする。その結果、両者の差として周波数100k±100Hzを持つ信号を得る。また、累積加算器22に10000000を設定することにより、周波数変化部3の出力信号の中心周波数を10MHz、周波数可変範囲を±1000Hzとし、累積加算器25に9900000を設定することにより、周波数変化部6の出力信号の周波数を9.9MHzとした場合、両者の差として、中心周波数が100kHzで周波数可変範囲が±1000Hzの信号を得る。
【0028】
周波数変化部3および6としては、累積加算器以外にも分周器、PLLが使用できる。
【0029】
分周器を用いた場合の実施例を図3を用いて説明する。周波数変化部3あるいは6は、分周器30およびマルチプレクサ31から構成される。分周器30は8段のカウンタで構成され、電圧制御水晶発振器20あるいは水晶発振器24から入力された信号が各段で分周されたものが、入力信号の1/2、1/4、1/8、1/16、1/32、1/64、1/128、1/256の周波数を持つ8つの信号として出力される。これらの信号は8入力のマルチプレクサ31へ入力され、そのうちの1つの信号が選択され出力される。
【0030】
出力信号の選択は、マルチプレクサ31の8個の入力に対応する0から7までのアドレスを3ビットのアドレス線で指定することにより行う。本実施例では、パーソナルコンピュータから3ビットのデジタル信号を出力し、その値をラッチ回路32で保持したものをアドレス信号としてマルチプレクサ31に与えた。
【0031】
図2の周波数変化部6を図3に示したものに置き換えた場合、マルチプレクサ31で8段目の分周信号、すなわち、周波数262.144kHzの信号を選択し、周波数変化部3の累積加算器22に362144を設定することにより、周波数変化部3の出力信号の中心周波数を362.144kHz、周波数可変範囲を±36.2144Hzとして、両者の差として中心周波数が100kHzで周波数可変範囲が±36.2144Hzの信号を得る。また、6段目の分周信号、すなわち、周波数1048.576kHzの信号を選択し、周波数変化部3の累積加算器22に1098576を設定することにより、周波数変化部3の出力信号の周波数を1098.576k±109.8576Hzとして、両者の差として中心周波数は50kHzで周波数可変範囲が±109.8576Hzの信号を得た。
【0032】
次に、周波数変化部3および6としてPLLを用いた場合に関して、図4および図5を用いて説明する。
【0033】
図4はPLL内に分周器を用いた場合の実施例である。周波数変化部3あるいは6は電圧制御発振器40、分周器41、マルチプレクサ42、位相比較器43、およびローパスフィルタ44により構成される。電圧制御発振器40は外部電圧により発振周波数が制御可能で、図3の場合と同様に、その信号は8段の分周器41で分周され、ラッチ回路45により与えられる3ビットのアドレス信号に従い、マルチプレクサ42により各段からの分周信号から一つの信号が選択される。選択された信号は、位相比較器43により、電圧制御水晶発振器20あるいは水晶発振器24から入力された信号と比較され、その結果がローパスフィルタ44を介して電圧制御発振器40の制御電圧としてフィードバックされる。位相比較器43には排他的論理和回路が用いられ、2つの入力信号の周波数が一致した時にのみ定常的な出力が得られ、制御系が安定する。このとき、電圧制御発振器40の信号をN分の1に分周した信号の周波数が入力信号の周波数と一致しているため、電圧制御発振器40の出力信号の周波数は、入力信号の周波数の正確にN倍となっている。ここでNは1から8までの整数である。
【0034】
図2の周波数変化部3を図4に示したものに置き換え、電圧制御水晶発振器20を中心周波数が100kHzで周波数可変範囲が±100Hzのものに置き換えた場合、マルチプレクサ42で2段目の分周信号を選択すると、周波数変化部3の出力信号の中心周波数が400kHzで周波数可変範囲が±400Hzとなる。ここで、周波数変化部6の累積加算器25に300000を設定することにより、周波数変化部6の出力信号の周波数を300kHzとして、両者の差として中心周波数100kHzで周波数可変範囲が±100Hzの信号を得る。
【0035】
図5はPLL内に累積加算器を用いた場合の実施例である。周波数変化部3あるいは6は電圧制御発振器50、16ビットの累積加算器51、位相比較器52、およびローパスフィルタ53により構成される。これは図4の分周器41およびマルチプレクサ42を累積加算器51に置き換えたものである。電圧制御発振器50の信号は、ラッチ回路54により与えられる16ビットの加算数値Nに従い、周波数がN/65536倍されたものが累積加算器51のMSBから出力される。PLLの制御系に関する動作は図4の場合と同様であり、周波数変化部3あるいは6の最終的な出力信号の周波数は、入力信号の周波数の65536/N倍となっている。図2の周波数変化部3を図5に示したものに置き換え、電圧制御水晶発振器20を中心周波数が100kHzで可変範囲が±10Hzのものに置き換えた場合、累積加算器51に設定する加算数値を4096とすると、周波数変化部3の出力信号の中心周波数は1.6MHzで周波数可変範囲は±160Hzとなる。ここで、周波数変化部6の累積加算器25に1500000を設定することにより、周波数変化部6の出力信号の周波数を1.5MHzとして、両者の差として中心周波数が100kHzで周波数可変範囲が±160Hzの信号を得る。
【0036】
図6は周波数変化部3および6としてDDSを用いた場合の回路構成である。電圧制御発振部1として、中心周波数が67.108864MHzの電圧制御水晶発振器60を用いた。可変電圧源61からの出力される制御電圧信号を2.5Vを中心に±2V変化させると、67.108864MHzを中心として±6710.8864Hz変化した。周波数変化部3としては、26ビットの累積加算器62、8ビット256ワードの波形メモリ64、および8ビットD/A変換器65から構成されるDDSを用いた。累積加算器62では、あらかじめ設定された値を電圧制御水晶発振器60からの信号の1周期毎に累積的に加算し、その値を出力している。累積加算器62から出力される26ビットの信号のうち、上位8ビットが波形メモリ64に与えるアドレス信号として出力される。波形メモリ64には正弦波の1周期分の数値データが位相方向に256分割されて8ビットの数値として記憶されている。累積加算器62に加算する数値として、所望の出力周波数をHzを単位として設定することにより、累積加算器62からのアドレスデータはその設定された周波数で出力され、その結果、波形メモリ64からはその周波数を持つ正弦波のデジタルデータが出力される。これをD/A変換器65でアナログ電圧信号に変換して出力する。
【0037】
例えば、1MHzの出力を得たい場合は1000000を設定すればよい。加算する数値は、26ビットデジタル信号をパーソナルコンピュータから出力し、それをラッチ回路63により保持することにより累積加算器62に与えた。一方、発振部5としては発振周波数67.108864MHzの水晶発振器66を用いた。周波数変化部6は3と同様に26ビットの累積加算器67、8ビット256ワードの波形メモリ69、および8ビットD/A変換器70から構成されるDDSを用い、ラッチ回路68で周波数の設定を行う。
【0038】
周波数変化部3および6からの出力は乗算回路71に入力され、2つの入力信号が乗算され、それらの周波数の和および差の周波数成分をもつ波形として出力される。フィルタ72により、この信号から和あるいは差のいずれかの周波数成分が取り出され、正弦波として出力される。
【0039】
本実施例では、フィルタ72として、カットオフ周波数が2.5MHzの3次ハイパスフィルタを用いる。この発振装置に対し、周波数変化部3の累積加算器62に2000000を設定することにより、周波数変化部3の出力信号の中心周波数を2MHz、周波数可変範囲を±200Hzとし、周波数変化部6の累積加算器67に1000000を設定することにより、周波数変化部6の出力信号の周波数を1MHzとする。その結果、両者の和として周波数3M±200Hzを持つ信号を得る。また、累積加算器62に500000を設定することにより、周波数変化部3の出力信号の中心周波数を500kHz、周波数可変範囲を±50Hzとし、累積加算器67に2500000を設定することにより、周波数変化部6の出力信号の周波数を2.5MHzとした場合、両者の和として中心周波数が3MHzで周波数可変範囲が±50Hzの信号を得る。
【0040】
(実施例2)
本実施例では発振信号の発振周波数を検出できる周波数検出装置の例を説明する。
【0041】
図7は本発明の周波数検出装置の実施例構成概念を示すブロック図である。本発明の周波数検出装置の動作原理を図7を用いて説明する。
【0042】
電圧制御発振部1は制御信号入力部2から入力された電圧の値Vに応じた周波数で発振を行い発振信号を出力する。電圧の値VがV0を中心にΔVだけ変化する(V=V0+ΔV)場合、電圧制御発振部1からの発振信号は、周波数f1を中心として電圧の変化ΔVに関して係数cで変化し、f1+c×ΔVで表される。周波数変化部3は変化率設定部4から入力された信号に応じた比率aで、電圧制御発振部1からの発振信号の周波数を変化させ、周波数f3=a×f1の信号を出力する。
【0043】
一方、発振部5は一定周波数f2の発振信号を出力し、この信号に対して周波数変化部6は変化率設定部7から入力された信号に応じた比率bで、周波数を変化させ、周波数f4=b×f2の信号を出力する。周波数合成部8は周波数変化部3および6の出力信号を合成し、両者の周波数の和および差の絶対値の周波数成分f5=|f3±f4|を持つ信号を出力する。周波数f3およびf4の大小関係は、電圧の値Vが取り得る全ての値においてf3≧f4あるいはf3≦f4であればよい。すなわち、電圧の値Vの変化によって周波数f3が変化した場合に、f3とf4の大小関係が逆転しなければよい。この信号には、周波数変化部3および6からの出力信号の周波数成分f3およびf4が含まれているため、フィルタ部9によりそれらを取り除き、両周波数の和あるいは差の成分f5のみを持つ信号を取り出し、出力部10から出力する。最終的な出力周波数は、電圧の値Vが取り得る全ての値においてf3≧f4の場合はf5=(a×f1±b×f2)+a×c×ΔVとなり、f3≦f4の場合はf5=(b×f2±a×f1)−a×c×ΔVとなって、電圧の変化ΔVに対してf5が変化するときの係数の符号が逆になる。すなわち、電圧制御発振部1の電圧の変化ΔVに対する周波数の変化係数cが正であれば、f3≧f4の場合は、電圧の値Vが増加すると係数(a×c)に従って周波数f5が増加し、f3≦f4の場合は、電圧の値Vが増加すると係数(−a×c)に従って周波数f5が減少する。
【0044】
この信号と、信号入力部11から入力された被測定信号が位相比較部12に入力され、両者の位相が比較される。位相比較部12から出力される信号はデータ出力部13から周波数データとして出力される。また、位相比較部12から出力される信号は電圧制御発振部1に周波数制御電圧の値Vとして入力される。変化率設定部4で設定される比率aを適当な値に設定することにより、電圧の値Vに対する周波数可変範囲を設定し、変化率設定部7で設定される比率bを調整することにより、周波数変化の中心となる周波数を設定する。被測定信号の周波数付近に中心周波数を設定し、周波数測定精度および必要な測定レンジに応じて周波数可変範囲を設定することにより、周波数の検出が行える。
【0045】
電圧制御発振部1としては、電圧制御発振器(VCO)、電圧制御水晶発振器(VCXO)、電圧制御セラミック発振器、電圧-周波数コンバータ等、入力電圧に応じて出力される電圧信号の周波数が変化するものであれば使用できる。特にVCXOを用いた場合に良好な結果が得られた。発振部5としては、あらゆる発振器が使用できるが、電圧制御発振部1と同等以上の周波数安定性を持ったものが好ましく、水晶発振器を用いた時に最も良好な結果が得られる。
【0046】
周波数変化部3および6としては、主に累積加算器、直接デジタル合成型波形発生器(DDS)、分周器、位相同期ループ型(PLL)波形発生器が使用可能であるが、入力信号の周波数に対応して出力信号の周波数を変化できる装置であれば使用可能である。累積加算器およびDDSを用いた場合、出力周波数の範囲は入力周波数以下であり、周波数可変単位は入力周波数と累積加算器のビット数で決定される値となる。すなわち、累積加算器にビット数をNとすると、入力周波数を2のN乗で割ったものが周波数可変単位である。この場合、変化率設定部4および7は、1クロックで加算する数値AをNビットのデジタル信号として累積加算器に与えるものであり、このとき変化率は例えばa=A/2Nで与えられる。具体的な回路としては、コンピュータからのデジタル信号をラッチ回路で保持して累積加算器に出力する回路や、ディップスイッチ等のON/OFF操作でデジタル信号を与える回路が使用できる。
【0047】
周波数変化部3および6として分周器を用いた場合、出力周波数の範囲は入力周波数以下であり、N段の分周器であれば出力周波数は入力周波数の2のn乗分の1(nは1以上、N以下の整数)に設定できる。
【0048】
出力信号は、分周器の各段から出力されている信号のいずれかを選択するマルチプレクサを通して出力される。この場合、変化率設定部4および7は、選択する出力を指定する数値nをデジタル信号としてマルチプレクサに与えるものであり、このとき変化率は例えばa=1/2nで与えられる。具体的な回路としては、DDSを用いた場合と同様のものが使用できる。
【0049】
周波数変化部3および6としてPLL型波形発生器を用いた場合、出力周波数の範囲は入力周波数以上であり、PLL内にN段の分周器を用いたものであれば出力周波数は入力周波数の2のn乗(nは1以上、N以下の整数)に設定できる。この場合、変化率設定部4および7は、分周器を用いたものの場合と同様である。上のいずれの場合も、入力信号が正弦波の場合は必要に応じて矩形波に変換してもよい。
【0050】
周波数合成部8としては、入力信号が正弦波の場合は乗算回路が、また、矩形波の場合は排他的論理和回路、論理和回路、論理積回路等、2つの入力の演算によりそれらの入力周波数の和あるいは差の成分を含んだ信号を出力するものであれば使用可能である。入力信号が矩形波の場合、特に排他的論理和回路を用いた場合が最も良好な結果が得られる。入力信号が正弦波の場合は必要に応じて矩形波に変換してもよい。
【0051】
周波数合成部8からの出力信号には、2つの入力信号の和および差の周波数の他に、元々の2つの入力信号の周波数成分が含まれており、これらの信号成分の中から所望とする入力信号の和あるいは差の周波数成分以外の成分を取り除くため、フィルタ部9を使用する。フィルタ部9としては、所望の周波数を帯域に含むバンドパスフィルタが使用可能であるが、所望の信号が入力信号の和の場合はハイパスフィルタが、所望の信号が入力信号の差で2つの入力信号の周波数よりも小さければローパスフィルタが使用可能である。
【0052】
信号入力部11は、必要に応じて、被測定信号に対する入力インピーダンスを高くするための電圧フォロワ回路、被測定信号に含まれる直流成分の除去するためのコンデンサ、被測定信号が正弦波である場合に矩形波に変換するためコンパレータから構成される。位相比較部12としては、排他的論理和回路、論理和回路、論理積回路等、2つの入力の周波数が一致した時のみ演算結果が振動しない一定値を示すものであれば使用可能である。特に排他的論理和回路を用いた場合が最も良好な結果が得られる。
【0053】
また、この演算回路の出力に被測定信号の周波数成分が含まれているため、これを取り除くためのローパスフィルタを設ける必要がある。さらに、周波数変化部3の出力信号の周波数が周波数変化部6の出力信号の周波数よりも低い場合は、電圧制御発振部1へ出力される制御信号Vの変化方向を反転する必要がある。データ出力部13は、電圧制御発振部1に入力される電圧の値Vを被測定信号の周波数に対応した値として出力する回路であり、具体的には出力インピーダンスを下げるための電圧フォロワが使用できるが、なくてもよい。
【0054】
本実施例に係る周波数検出装置に関して説明する。電圧制御発振部1として、中心周波数が67.108864MHzの電圧制御水晶発振器を用いた。制御電圧信号を2.5Vを中心として±2V変化させると、67.108864MHzを中心周波数として±6710.8864Hz変化する。周波数変化部3として、26ビットの累積加算器を持つ直接波形合成型波形発生器を用いる。累積加算器に1クロックで加算する数値として、所望の出力周波数をHz単位で設定することにより出力周波数を設定できる。発振部5として、67.108864MHzの水晶発振器を用い、周波数変化部6として、周波数変化部3と同様のものを用いる。周波数合成部8として、デジタル素子である排他的論理和回路を用いるが、周波数変化部3および6の出力が正弦波であるため、入力部分に波形整形回路を設け、矩形波に変換する。フィルタ部9として、カットオフ周波数が150kHzの3次ローパスフィルタを用いる。
【0055】
位相比較部12として、排他的論理和回路を用いるが、フィルタ部9からの出力信号および信号入力部11から入力された被測定信号が正弦波であるため、入力部分に波形整形回路を設け、矩形波に変換する。この周波数検出装置に対し、周波数検出範囲が100kHzを中心とした±1kHzとなるように設定する。すなわち、周波数変化部3の累積加算器に10000000を設定することにより、周波数変化部3の出力信号の周波数を中心周波数10MHz、周波数可変範囲±1kHzとし、周波数変化部6の累積加算器に9900000を設定することにより、周波数変化部6の出力信号の周波数を9.9MHzとする。これらが周波数合成部8およびフィルタ部9を経て、その差として中心周波数100kHz、周波数可変範囲±1kHzを持つ信号を得た。この信号と、被測定信号の位相を位相比較部12で比較して、その結果を電圧制御発振部1に入力することにより、両信号の周波数が一致するようにフィードバックがかかる。このときの位相比較部12の出力信号が被測定信号の周波数に対応する値として得られる。
【0056】
(実施例3)
本実施例では実施例2で示した周波数検出装置を用いた非接触型原子間力顕微鏡の例を説明する。固有振動数250kHzのカンチレバーを振動させ、カンチレバー先端に設けられたプローブと試料表面を接近させた時に両者の間に働く原子間力によるカンチレバーの振動周波数の変化を周波数検出装置を用いて検出し、その周波数変化を一定値に保ちながら試料表面を走査することにより、試料表面の凹凸を測定する。
【0057】
本実施例で用いた周波数検出装置に関して図2のブロック図を用いて説明する。電圧制御発振部1として、中心周波数が67.108864MHzの電圧制御水晶発振器を用いる。制御電圧信号を2.5Vを中心に±2V変化させると、67.108864MHzを中心周波数として±6710.8864Hz変化する。周波数変化部3として、26ビットの累積加算器を持つ直接波形合成型波形発生器(DDS)を用いる。累積加算器に1クロックで加算する数値として、所望の出力周波数をHz単位で設定することにより出力周波数を設定できる。この累積加算器に1000000を設定することにより、周波数変化部3から中心周波数が1MHzで周波数可変範囲が±100Hzの出力信号を得る。発振部5として、3.0MHzの水晶発振器を用い、これに対し周波数変化部6として分周比1/4の分周器を用い、周波数750kHzの出力信号を得る。周波数合成部8として、デジタル素子である排他的論理和回路を用いるが、周波数変化部3の出力が正弦波であったため、波形整形回路により矩形波に変換した後に周波数合成をおこない、2つの入力信号の周波数の差として中心周波数250kHz、周波数可変範囲±100Hzの出力信号を得る。
【0058】
フィルタ部9として、カットオフ周波数が300kHzの3次π型ローパスフィルタを用いる。カンチレバーの変位信号は、カンチレバー上面に照射されたレーザ光の反射光を2分割されたフォトディテクタで検出することにより、電圧信号として信号入力部11から入力した。位相比較部12として、排他的論理和回路を用いたが、フィルタ部9からの出力信号および信号入力部11から入力されたカンチレバーの振動信号が正弦波であるため、入力部分に波形整形回路を設け、矩形波に変換した後に位相比較を行う。位相比較部12からの電圧信号を電圧制御発振部1に入力することにより、両信号の周波数が一致するようにフィードバックがかかり、このときの位相比較部12の出力信号がカンチレバーの振動周波数に対応する値として得られる。プローブ−試料表面間の距離を操作し、カンチレバーの振動周波数の変化を-5〜-50Hzの間の任意の値に一定に保ちながらプローブを試料表面上で走査させることにより、試料表面の凹凸形状を明瞭に観察することができる。
【0059】
さらに、累積加算器に62500を設定することにより周波数変化部3の出力を中心周波数62.5kHz、周波数可変範囲±6.25Hzとし、周波数変化部6の分周器の分周比を1/16に設定することにより出力周波数を187.5kHzとし、周波数合成部8から両者の周波数の和、すなわち、中心周波数250kHz、周波数可変範囲±6.25Hzの信号を用いることにより、カンチレバーの振動周波数の変化を−0.5〜5Hzの間の任意の値に維持できる。
【0060】
図面の符号の説明は次の通りである。
【0061】
1;電圧制御発振部、 2;制御信号入力部、 3;周波数変化部、 4;変化率設定部、 5;発振部、 6;周波数変化部、 7;変化率設定部、 8;周波数合成部、 9;フィルタ部 10;出力部、 11;信号入力部、 12;位相比較部、 13;データ出力部、 20、60;電圧制御水晶発振器、 21、61;可変電圧源、 22、25、51、62、67;累積加算器、 23、26、32、45、54、63、68;ラッチ回路、 24、66;水晶発振器、 27;排他的論理和回路、 28、44、53;ローパスフィルタ、 29;波形変換回路、 30、41;分周器、 31、42;マルチプレクサ、 40、50;電圧制御発振器 43、52;位相比較器、 31;マルチプレクサ、 64、69;波形メモリ、 65、70;D/A変換器、 71;乗算回路、 72;フィルタ
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明の実施例は、中心周波数と周波数可変範囲を自在に設定できる高安定、高精度な電圧制御発振器等に関するものを開示しており、産業上に利用可能性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の実施例に係る発振装置の構成概念を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施例に係る発振装置の構成概念を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施例に係る発振装置の構成概念を示すブロック図である。
【図4】本発明の第1の実施例に係る発振装置の構成概念を示すブロック図である。
【図5】本発明の第1の実施例に係る発振装置の構成概念を示すブロック図である。
【図6】本発明の第1の実施例に係る発振装置の構成概念を示すブロック図である。
【図7】本発明の第2の実施例に係る周波数検出装置の構成概念を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0064】
1;電圧制御発振部、 2;制御信号入力部、 3;周波数変化部、 4;変化率設定部、 5;発振部、 6;周波数変化部、 7;変化率設定部、 8;周波数合成部、 9;フィルタ部 10;出力部、 11;信号入力部、 12;位相比較部、 13;データ出力部、 20、60;電圧制御水晶発振器、 21、61;可変電圧源、 22、25、51、62、67;累積加算器、 23、26、32、45、54、63、68;ラッチ回路、 24、66;水晶発振器、 27;排他的論理和回路、 28、44、53;ローパスフィルタ、 29;波形変換回路、 30、41;分周器、 31、42;マルチプレクサ、 40、50;電圧制御発振器 43、52;位相比較器、 31;マルチプレクサ、 64、69;波形メモリ、 65、70;D/A変換器、 71;乗算回路、 72;フィルタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給される電圧値に応じて周波数が周波数f1を中心にΔfだけ変化して第1の周波数であるf1+cΔVの第1の発振信号を出力する第1の発振器と、
第2の周波数f2の第2の発振信号を出力する第2の発振器と、
前記第1の発振信号の前記第1の周波数f1+cΔVをa倍して第3の発振信号(その周波数はf3である。)を生成する第1の周波数変化部と、
前記第2の発振信号の前記第2の周波数f2をb倍して第4の発振信号(その周波数はf4である。)を生成する第2の周波数変化部と、
前記第3の発振信号と前記第4の発振信号とを合成して両者の周波数の和および差の絶対値f5=|f3±f4|の周波数成分を有する第5の発振信号を出力する周波数合成部と、
前記第5の発振信号から前記f3および前記f4の周波数成分を除去するフィルタ部とを有することを特徴とする発振装置。
【請求項2】
前記aの値を所定に設定することにより周波数可変範囲を決めるものであり、前記aおよび前記bの値を所定に設定することにより前記フィルタ部からの出力の中心周波数を所定に決めるものであることを特徴とする請求項1記載の発振装置。
【請求項3】
第1の発振器は電圧制御水晶発振器又は電圧制御セラミック発振器のいずれかを有し、第2の発振器は水晶発振器又はセラミック発振器のいずれかを有することを特徴とする請求項1記載の発振装置。
【請求項4】
前記第1および第2の周波数変化部の少なくとも一方に、累積加算器、直接デジタル合成型波形発生器または位相同期ループ型波形発生器を有することを特徴とする請求項1記載の発振装置。
【請求項5】
外部電圧の電圧値に応じて周波数が周波数f1を中心にΔfだけ変化して第1の周波数であるf1+cΔVの第1の発振信号を出力する第1の発振器と、
周波数f2を持つ第2の発振信号を出力する第2の発振器と、
前記第1の発振信号の周波数をa倍(ここでaは定数である。)した周波数f3=a×(f1+Δf)を持つ第3の発振信号を生成する第1の周波数変化部と、
前記第2の発振信号の周波数をb倍(ここでbは定数である。)した周波数f4=b×f2を持つ第4の発振信号を生成する第2の周波数変化部と、
前記第3の発振信号の周波数と前記第4の発振信号の周波数の和f3+f4の周波数を持つ信号および/または差の絶対値|f3−f4|の周波数を持つ信号を含む第5の発振信号を生成する周波数合成部と、
前記第5の発振信号から前記和f3+f4の周波数を持つ信号又は前記差の絶対値|f3−f4|の周波数を持つ信号のいずれかを選択することにより第6の発振信号を出力するフィルタ部とを有し、
前記第6の発振信号の周波数の前記外部電圧による可変範囲a×Δfを前記第1の周波数変化部における前記定数aにより指定し、
前記第6の発振信号の中心周波数|a×f1±b×f2|を前記第1の周波数変化部における前記定数aおよび前記第2の周波数変化部における前記定数bにより指定することを特徴とする発振装置。
【請求項6】
第1の発振器は電圧制御水晶発振器又は電圧制御セラミック発振器のいずれかを有し、第2の発振器は水晶発振器又はセラミック発振器のいずれかを有することを特徴とする請求項5記載の発振装置。
【請求項7】
前記第1および第2の周波数変化部の少なくとも一方に、累積加算器、直接デジタル合成型波形発生器または位相同期ループ型波形発生器を有することを特徴とする請求項5記載の発振装置。
【請求項8】
外部電圧の電圧値に応じて周波数が周波数f1を中心にΔfだけ変化して第1の周波数であるf1+cΔVの第1の発振信号を出力する第1の発振器と、
第2の周波数f2の第2の発振信号を出力する第2の発振器と、
前記第1の発振信号の前記第1の周波数f1+cΔVをa倍して第3の発振信号(その周波数はf3である。)を生成する第1の周波数変化部と、
前記第2の発振信号の前記第2の周波数f2をb倍して第4の発振信号(その周波数はf4である。)を生成する第2の周波数変化部と、
前記第3の発振信号と前記第4の発振信号とを合成して両者の周波数の和および差の絶対値f5=|f3±f4|の周波数成分を有する第5の発振信号を出力する周波数合成部と、
前記第5の発振信号から前記f3および前記f4の周波数成分を除去するフィルタ部と、
前記フィルタ部から出力される信号と被測定信号の位相を比較する位相比較部とを有し、
前記位相比較部から出力される電圧が前記第1の発振器に外部電圧として入力され、
前記被測定信号の周波数を測定するものであることを特徴とする周波数検出装置。
【請求項9】
第1の発振器は電圧制御水晶発振器又は電圧制御セラミック発振器のいずれかを有し、第2の発振器は水晶発振器又はセラミック発振器のいずれかを有することを特徴とする請求項8記載の発振装置。
【請求項10】
前記第1および第2の周波数変化部の少なくとも一方に、累積加算器、直接デジタル合成型波形発生器または位相同期ループ型波形発生器を有することを特徴とする請求項8記載の発振装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−98790(P2008−98790A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−275941(P2006−275941)
【出願日】平成18年10月10日(2006.10.10)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】