説明

皮膚、粘膜、および/または頭皮の治療および/またはケアに用いられるペプチド、ならびに、美容または医薬組成物におけるその使用

一般式(I):R−W−X−AA1−AA−AA−AA−Y−Rのペプチド、それらの立体異性体、その混合物、および/または美容的もしくは薬理学的に許容されるそれらの塩、作製の方法、それらを含有する美容もしくは医薬組成物、ならびに、皮膚、粘膜、および/または頭皮の状態、障害、および/または疾患の治療、予防、および/またはケアのためのそれらの使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚、粘膜、および/もしくは頭皮におけるエラスターゼ活性の阻害、ならびに/またはコラーゲン合成の刺激を行う能力を有するペプチド、ならびに、これらのペプチドを含有する美容または医薬組成物、ならびに、皮膚、粘膜、および/もしくは頭皮の治療ならびに/またはケアにおけるこれらの使用、好ましくは、エラスターゼ活性に起因する、および/またはコラーゲン合成の刺激が有益である皮膚、粘膜、および/または頭皮の状態、障害、および/または疾患の治療、予防、および/またはケアのためのこれらの使用、に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚は、真皮および表皮の2層から成る。表皮は、最外部層であり、ケラチノサイト、メラノサイト、およびランゲルハンス細胞から構成される。表皮における主たる細胞集団は、ケラチノサイトから成り、これは、常に再生される角質化層を形成する。その機能は、物理的、化学的、または病原性であれ、外部の剤からの保護である。真皮は、これよりも内部に位置し、基底膜を介して表皮と接着している。これは、線維芽細胞、脂肪細胞、およびマクロファージから成り、血管によって水分供給がなされ、触覚および温度の感覚を伝達する役割を担う多くの神経終末を有する。毛包は、汗腺、皮脂腺、およびアポクリン腺と同様に真皮内に存在し、その機能は、皮膚の一体性および弾性を維持することである。このような特性は、線維芽細胞によって分泌されるタンパク質から構成されるその細胞外基質によって与えられる。
【0003】
細胞外基質(ECM)のタンパク質は、グリコサミノグリカンおよび線維状タンパク質という2つのグループに分類される。グリコサミノグリカン(GAG)は、アミノ糖二糖類の重合から得られる非分岐鎖である。その化学定特性および負電荷の数が多いことにより、GAGは、大量の水を引き付ける傾向にある嵩高い構造を形成し、これにより、圧縮に対するECMの耐性が付与される。線維状タンパク質は、構造的および接着性の機能を有し、主としてエラスチンおよびコラーゲンの二種類であり、これらは、引っ張り、圧縮、伸び、およびねじれに対して抵抗する能力などの組織の機械的特性を担っている。
【0004】
ECMの弾性および反発性は、弾性線維のネットワークに起因する。構造的には、弾性線維は、直径がおよそ10nmであるミクロフィブリルの鞘に覆われたエラスチンのコアから構成される。ミクロフィブリルは、フィブリリンおよびミクロフィブリル関連糖タンパク質(MAGP)から構成される。弾性線維の構築は逐次的であり、まずミクロフィブリルが出現して骨格を形成し、その上にエラスチンが堆積する。エラスチンは、およそ750のアミノ酸残基から構成される疎水性の高いタンパク質であり、水溶性前駆体であるトロポエラスチンに由来し、これは、線維芽細胞によって細胞外空間に分泌される。エラスチン線維は、線維芽細胞の細胞膜近辺におけるトロポエラスチンモノマーの集合および架橋によってもたらされる。
【0005】
トロポエラスチン分子は、分子量が約70kDaである可溶性の形態で合成され、その配列中に、疎水性ドメインが架橋ドメインと交互に存在する(非特許文献1)。疎水性ドメインは、プロリン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、およびグリシンが多く、中でも特にバリンおよびグリシンが多い、2から9のアミノ酸によるペプチドの繰り返しである(非特許文献2)。疎水性ドメイン間の相互作用は、集合において重要であり、分子の弾性にとって不可欠である(非特許文献3)。トロポエラスチンの架橋ドメインは、プロリンリッチ領域またはポリアラニン領域内にリジン残基を有する。リジルオキシダーゼの作用によるデスモシンの共有結合架橋の形成が、重合した不溶性産物を安定化させ(非特許文献4)、LOXおよびLOXLと称される2つのオキシダーゼリジルタンパク質のみが、不溶性エラスチンを架橋させる能力を有する(非特許文献5)。加えて、トロポエラスチンの翻訳された配列は、種の間で高く保存されている負に帯電した親水性C末端ドメインを有する。この分子に影響を与える主たる翻訳後修飾は、プロリン残基のヒドロキシル化である。
【0006】
エラストジェネシス(elastogenesis)は、弾性線維中において機能性エラスチンの発生を引き起こすプロセスである。これは、細胞内において、トロポエラスチン分子の合成から開始し、これに67kDaのガラクトースレクチンが付加し、これがシャペロンとして作用してトロポエラスチン分子の分子内凝集を阻止する。この複合体は、細胞外空間へ分泌され、ここで、ガラクトースレクチンは、ミクロフィブリルのガラクト糖(galactosugar)と相互作用を起こしてそのトロポエラスチンに対する親和性を低下し、局所的に放出される。67kDaのガラクトースレクチンは、再利用され、その機能を回復することができ、一方、トロポエラスチンは、ミクロフィブリル関連糖タンパク質(MAGP)のN末端ドメインとトロポエラスチンのC末端ドメインとの相互作用を介して、ミクロフィブリル成分によって形成された骨格内に堆積する。整列されると、トロポエラスチンのリジン残基の大部分は、Cu2+依存性リジルオキシダーゼの作用によって脱アミノ化され、酸化されてアルデヒドとなる。前記の形成されたアルデヒドのそれ自体との、または未修飾リジンとの反応全体を通しての架橋が発生し、その結果、トロポエラスチン鎖は不溶性となり、エラスチンネットワークが成長する。トロポエラスチンのミクロフィブリルへの堆積を調節する可能性があると考えられるエミリン(emiline)およびフィブリンファミリーに属する分子は、細胞膜‐弾性線維およびエラスチン‐ミクロフィブリル界面に見られる。現在のところ、ミクロフィブリルの構築にフィブリリン以外の分子が不可欠であるとする証拠は存在しない(非特許文献6)。成熟エラスチンは、架橋によって共有結合で連結されたトロポエラスチンの不溶性ポリマーであり、これは、二、三、または四官能であり得る。複雑性は時間と共に増加すると考えられている。疎水性断片は、移動性が高く、系のエントロピーに大きく寄与し、インビボでポリマーを水和する水の量もまた、系のエントロピーに寄与する(非特許文献2)。
【0007】
弾性線維は、皮膚の弾性を維持するために重要であるが、肺または大血管壁などのその他の組織および器官でも重要である(非特許文献7)。弾性線維の形成における、それを構成する種々のタンパク質をコードする遺伝子の突然変異などの欠陥は、種々の病態をもたらす。従って、フィブリリン‐1遺伝子における突然変異は、マルファン症候群(骨格、眼、および心血管の症状を伴う)の原因となり;フィブリリン‐2遺伝子における突然変異は、眼および骨格の症状に加えて先天性拘縮性クモ指症を引き起こし、ならびにエラスチン遺伝子における突然変異は、ウィリアムズ症候群、大動脈弁上狭窄、および皮膚弛緩症の原因となる(非特許文献8)。
【0008】
弾性線維は、ヒトの一生を通して柔軟性を維持するという目的を有する。しかし、それを分解し得る酵素が存在して、皮膚の弾力性の喪失をもたらし、これは、結合組織の老化に大きく寄与し、日光への露出による皮膚の変性において重要な役割を担う因子である(非特許文献9)。
【0009】
エラスターゼは、セリンプロテアーゼのファミリーに属する酵素であり、表面に結合した炭水化物を有する。その生物学的機能は、エラスチンを分解して、結合組織を通しての好中球遊走を可能とすることであり、それによって、感染の場合は、病原性微生物を破壊することができる。ヒトの場合、膵エラスターゼ遺伝子および好中球エラスターゼ遺伝子というエラスターゼをコードする2つの遺伝子が存在し、エラスターゼは、好中球、マクロファージ、線維芽細胞、および膵臓細胞などの細胞によって産生、分泌される。微生物中およびいくつかのヘビの毒液中には、他の形態のエラスターゼが見られる。エラスターゼの作用は、皮膚の弾性、健康状態、および質の低下に関与し得る。老化および光老化に起因するシワおよびストレッチマーク、類天疱瘡、皮膚炎、ならびに乾癬などの付随する皮膚の症状の直接または間接的な原因がエラスターゼ活性であるいくつかの障害が報告されている。エラスターゼ活性はまた、ケロイドおよび肥厚性瘢痕などの創傷治癒障害、ならびにセルライトの場合のオレンジピールスキンなどの弾性の欠如に起因する皮膚の変質とも関連する。弾性線維は、その低いリモデリング速度のために、ある程度の時間の後に外傷部位に現れるものであり、すなわち、新しい瘢痕には存在せず、成熟瘢痕では、その配置は異常である。
【0010】
コラーゲンは、細胞外基質の線維状タンパク質の主たるファミリーであり、哺乳類における全タンパク質質量の25%を構成する。これは、20を超えるファミリーに分類されており、それらすべてが種々の組織における特定の機能を満足する個々の特徴を有する。
【0011】
コラーゲンの主たる特徴は、グリシンおよびプロリンの多い3つのポリペプチド鎖の会合によって形成されたらせん構造である。そのアミノ酸組成を変化させると、その機械的特性の機能不全および喪失が引き起こされる(非特許文献10)。これらのポリペプチド鎖は、次々に会合して、成熟組織中にて直径が10〜300nm、長さが数百マイクロメートルであるフィブリルを形成する。このようなフィブリルは、多くの場合、ケーブル束(cable bunching)などの主構造に付加され、これは、電子顕微鏡を通して、直径が数マイクロメートルのコラーゲン線維として観察することができる。このプロセスは、原線維形成として知られる(非特許文献11)。すべてのコラーゲンがフィブリルを形成する能力を有しているわけではなく;線維状コラーゲンとして知られるI、II、III、V、およびXI型コラーゲンのみである。
【0012】
成人の真皮は、基本的に、I、III、およびV型の線維状コラーゲンによって形成される。I型コラーゲンは、真皮の全コラーゲンの80〜90%を占める。一般的に、I型コラーゲン線維は、直径が大きいという特徴を有し、このことは、より大きい機械的負荷に耐えるその能力と相関している。III型コラーゲンは、組織の伸張性に介在し、そして老化と共にI型コラーゲン分子に置き換わるものであり、これは、成熟皮膚が若い皮膚よりも伸張性が低いことの一因であるプロセスである。V型コラーゲンは、IおよびIII型と会合してフィブリルの直径を制御している(非特許文献12、非特許文献10)。
【0013】
コラーゲン線維は、常に再生プロセスを受けているが、そのような再生は年齢と共に低下し、真皮の薄化を引き起こす。加えて、コラーゲン線維の組織化が耐性の強いコラーゲンネットワークを提供するものの、コラーゲン線維は、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)として知られる特定の酵素に対して感受性を有する。MMPは、タンパク質分解酵素(エンドプロテアーゼ)のファミリーに属し、その活性中心に3つのシステイン残基と1つのメチオニン残基とに配位した亜鉛原子を持ち、全体として、細胞外基質および基底層からの高分子成分を中性pHへと分解することができる(コラーゲン、エラスチンなど)。
【0014】
真皮の堅固性は、あらゆる方向へ互いに対して充填されたコラーゲン線維の重なりに主として起因する。コラーゲン線維は、皮膚および/または粘膜の弾性ならびに緊張性に寄与する。しかし、真皮の薄化は、時間的な老化だけでなく、例えばコルチコイドホルモンの過分泌、特定の疾患(マルファン症候群、エーラース‐ダンロス症候群)、またはビタミン欠乏症(壊血病)などの病理学的な原因にも起因する。また、UV放射線、喫煙、またはレチノイン酸および誘導体、グルココルチコイド、もしくはビタミンDおよび誘導体などの特定の治療、などの外的因子も、皮膚、粘膜、および/または頭皮、ならびにそのコラーゲンレベルに対して影響を与えることも認められている。コラーゲン線維の分解の結果は、皮膚の緩みおよびシワとして、特に顔、耳、首、頭皮、腕、および手など日光に曝露される皮膚の領域に現れ、これは、滑らかで張りのある外観の皮膚が好まれることから、人々が常に抑制しようと努力してきたところである。
【0015】
UVAおよび/またはUVB放射線に対する長期にわたる曝露(反復的な照射)、または高い曝露(強い照射)に付随する皮膚の損傷は、研究されてきており;特に、より高エネルギー波長のUVB放射線(290〜300nm;全UV放射線の5%)は、特に表皮細胞(ケラチノサイト)にそのDNAに作用することで影響を与えること、ならびにUVA放射線(320〜400nm;全UV放射線の95%)は、より強い透過性の性質を有し、線維芽細胞などの真皮細胞にも作用し、遊離ラジカルを間接的に発生させる作用を持つことが知られている。
【0016】
さらに、UV放射線、特にUVAおよび/またはUVB放射線への長期間にわたる曝露は、コラーゲンを破壊するMMP、特にマトリックスメタロエラスターゼI型(MMP‐1)の発現を刺激する(非特許文献13、非特許文献14、非特許文献15)。これは、光線誘発皮膚老化または光老化の構成成分の1つである(非特許文献16)。これとは別に、MMP‐1、MMP‐2、およびMMP‐9の活性が年齢と共に増加すること、ならびにこの増加は、細胞成長の鈍化と合わせて、時間的な皮膚の老化に寄与することも知られている(特許文献1)。同様に、喫煙者の皮膚もまた、MMPが過剰発現される早期老化の状態を有している(非特許文献17)。
【0017】
弾性線維は、時間と共に架橋を増加させて、全体的な弾性を低下させ、これと平行して、エラスチンの進行的な断片化が、真皮密度の低下を引き起こす。このような変化は、皮膚の弾性の喪失、および老化の特徴の出現を含む。さらに、UV光によって誘発される細胞外基質の損傷は、シワの出現、皮膚の反発性の喪失、および光線性弾力線維症を引き起こす。弾力線維症は、肉眼的には、曝露された皮膚上の多くの黄味がかった小結節として現れる。組織学的レベルでは、弾力線維症は、乳頭真皮内における、エラスチン、ミクロフィブリルタンパク質、フィブロネクチン、ならびにI型およびIII型コラーゲンから構成される好塩基性アモルファス物質の蓄積を意味する。
【0018】
老化の最も明らかな徴候はシワの出現であり、これは、皮膚の弾力性の喪失に一部起因する。分子レベルでは、若い皮膚における弾性線維は直線的な外観であり、弾性を示唆している。屈曲した、または曲がった線維は、弾性の欠如を示唆しており、老化と関連している(非特許文献18)。トランス‐レチノイン酸などの薬剤またはCOレーザーによって誘発される皮膚のシワの修復は、弾性線維の直線性の回復を含む(非特許文献19、非特許文献20)。弾性線維の直線性の喪失は、周囲の線維芽細胞によるエラスターゼの分泌に起因する場合があり、および内在性のエラスターゼインヒビターの非存在が伴っている場合がある。さらに、紫外線B(UVB)放射線により、線維芽細胞が弾性線維の張力を維持しなくなることが引き起こされる場合があり、これによって、直線性が喪失し、その結果、柔軟性が失われる。皮膚エラスターゼの特異的な阻害は、シワを阻止し、皮膚の弾性の喪失を遅延させ、弾性線維の三次元構造の分解を減速することが示されている(非特許文献21)。従って、局所投与によるエラスターゼ活性の阻害は、シワ、シミ、および表情ジワなどの老化および光老化の症状を低減、防止、または遅延させることができる。
【0019】
さらに、閉経期の間における真皮に関連する主たる変化は、コラーゲンレベルおよび真皮厚さの減少である。閉経期の女性において、このことは、皮膚および/または粘膜の薄化をもたらす。従って、女性は、「乾燥皮膚」または張ったように感じられる皮膚の感覚を経験し、表面のシワおよび小ジワのレベルの増加が見られる。このような皮膚は、荒れた肌触りに見える。最後に、このような皮膚は、柔軟性が低い。女性は、閉経期の後、コラーゲンのレベルの2.1%を毎年喪失しており、閉経期後の最初の5年間に、30%が喪失されることが示されている(非特許文献22)。
【0020】
プロテアーゼは、コラーゲンおよび/またはエラスチンが分解、破壊される種々の皮膚、粘膜、および/または頭皮の状態、ならびに障害において重要な役割を担っている(非特許文献23)。結合組織細胞におけるプロテアーゼの活性に起因してコラーゲンが分解される報告されている種々の病態の中で、発明者らが見出したのは、慢性潰瘍(非特許文献24)、乾癬(非特許文献25、非特許文献26)、歯肉炎および歯周炎などの口腔病態(非特許文献27)、皮膚癌(非特許文献28、非特許文献29)、ならびに腫瘍の浸潤および転移(非特許文献30)である。
【0021】
プロテアーゼはまた、発達の過程での組織の形態形成、組織の修復、および血管新生を含む細胞外基質のタンパク質分解性リモデリングなど、細胞外基質が分解または再構築される種々の生理学的状態においても重要な役割を担っている(非特許文献23)。特定の方法で、MMPは、結合組織リモデリングにおいて極めて重要な役割を有しており(非特許文献31)、例えば、MMPによるコラーゲン分解により、皮膚は、シワがあり、たるんだように見えてしまう。
【0022】
MMPの過剰発現または結合組織におけるMMP活性の上昇と関連する皮膚および/もしくは頭皮の別の病態または障害は、挫瘡である(非特許文献32)。挫瘡の患部皮膚は、高いレベルのMMP‐1を有することが報告されている。
【0023】
エラスターゼを分泌する細胞型は線維芽細胞だけではなく、好中球によって産生されるエラスターゼも、皮膚の障害またはさらには病態の発生に寄与している。好中球エラスターゼまたはHLE(ヒト白血球エラスターゼ)は、エラスチン、IIIおよびIV型コラーゲン、ならびにプロテオグリカンなどの細胞外基質の種々の構成成分を分解する能力を有することが知られている炎症誘発剤である。好中球エラスターゼの活性は、皮膚の白血球浸潤を特徴とする病態である乾癬、アトピー性皮膚炎、およびアレルギー性接触皮膚炎を有する患者の疾患皮膚表面において高められている(非特許文献33)。さらに、皮膚の白血球浸潤は、UV光によって高められる(非特許文献34)。さらに、エラスターゼによるエラスチン分解は、老化に付随する慢性炎症状態に寄与するサイトカインとして作用するエラスチン断片を作り出す(非特許文献35)。
【0024】
乾癬は、原因が分かっていない慢性の皮膚炎症である。その出現は、免疫系の要素によって媒介される炎症反応と関連している。この病態の最も典型的な特徴は、リンパ球浸潤を伴う過形成性の角質化した病変部の出現である。このような病変部は、増殖活動がより大きい端部から拡大する。エラスターゼがケラチノサイトの増殖を誘発することが示されている(非特許文献36)。これらのデータは、エラスターゼ酵素活性を阻害する化合物を含有する経皮製剤が、エラスターゼレベルの上昇と共に炎症および白血球浸潤を伴って発生する患部皮膚の症状を軽減するという予測が適切であることを示唆しており、例えば、これらに限定されないが、乾癬、アトピー性皮膚炎、およびアレルギー性接触皮膚炎の治療である。接触皮膚炎およびアトピー性皮膚炎を含む皮膚炎を有する患者はまた、いくつかのMMPのレベルも高い(非特許文献37、非特許文献38、非特許文献24)。「皮膚炎」は、炎症を引き起こす皮膚の状態、障害、または病態として定義され、接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎、敏感肌、および湿疹を含む。
【0025】
同様に、酒さもまた、MMPが関連する皮膚および/もしくは頭皮の病態または障害である。酒さは、血管新生および炎症の増大を特徴とする。血管新生とは、新しい血管が形成されるプロセスを意味し、これは、酒さのような良性の状態および癌のような悪性のプロセスを含む。組織の細胞外基質に存在する基質分解酵素は、新しい血管を基質へ貫通させるため、これによって血管新生が促進される。MMPは、このようなプロセスに関与する種類の酵素を代表するものである(非特許文献39)。
【0026】
別の炎症性皮膚疾患は水疱性類天疱瘡であり、これは水泡を引き起こす。水疱性類天疱瘡の皮膚病変の発症には好中球が関与し、その作用はエラスターゼによって媒介されるということが示されており(非特許文献40)、従って、エラスターゼ阻害剤の局所投与は、この不具合による皮膚の症状を軽減するための妥当であり得る治療法である。
【0027】
エラスターゼの阻害は、現行技術で述べられる皮膚へのその他の効果を有する。例えば特許文献2には、脱毛などの用途のために毛髪の成長を抑制する目的で、美容製剤の補助剤としてエラスターゼ阻害剤を用いることが記載されている。
【0028】
また、MMPは、毛胞周囲基質の分解に、従って脱毛に関与することも知られている。具体的には、サイトカインよび上皮成長因子が、毛根の下部上皮区画内(lower epithelial compartment)にてMMP‐9の産生を刺激し、このようなメカニズムによって、脱毛症で見られる毛細管毛包の退縮が制御される(非特許文献41)。従って、脱毛プロセスの過程での過剰発現されたMMPの阻害は、脱毛の遅延、およびさらには防止に効果的であり得る(特許文献3)。
【0029】
さらに、MMP活性は、コラーゲンを含有する組織における瘢痕形成にも関連する。「瘢痕形成」とは、過去の傷害に起因する、または皮膚上のコラーゲンを含有する組織の治癒プロセスに起因する、形態的に異常なコラーゲン構造の形成として定義される。
【0030】
治癒プロセスは、3つの段階:(1)炎症、(2)組織形成、および(3)組織リモデリング、から成る。治癒プロセスに必要である段階は、細胞外基質の分解であり:創傷領域の細胞を増殖させてそれを再生させるために、細胞外基質が分解されることが必要である。このような分解はMMPを通して行われる。治癒プロセスの段階は、異なるMMP間のバランスにより制御され、過剰なMMP活性は慢性潰瘍を引き起こすことが報告されている。例えば、MMP‐8の過剰発現は、脚における慢性潰瘍の病変形性を伴う場合がある。同様に、糖尿病性潰瘍は、長期間にわたる炎症、コラーゲン合成の減少、および高いMMPレベルを特徴とする。
【0031】
瘢痕には様々な原因(事故、外科手術、皮膚疾患、熱傷、挫瘡、感染、および事故全般)があるが、全ての瘢痕が同じであるわけではない。様々な種類の瘢痕は、以下のように分類することができる。
‐ 平坦で蒼白色の瘢痕:身体の自然治癒プロセスの結果として形成される。
‐ 沈み込んだ瘢痕:筋肉などのより深い構造と結合した皮膚によって形成されるか、または内部組織における脂肪の喪失によって形成される。このような瘢痕は、皮膚内へ陥凹しており、通常は損傷の結果である。
‐ 肥厚性瘢痕:治癒プロセスの過程で、身体が過剰のコラーゲンを産生する場合に見られる。このような瘢痕は皮膚表面にわたって盛り上がり、不規則に組織化されたコラーゲンを含有する。
‐ ケロイド瘢痕:治癒プロセスの過程において、不均衡なコラーゲン産生の結果として形成される。このような瘢痕は、皮膚表面にわたって盛り上がるだけではなく、元の創傷の境界を越えて拡大し、いつまでも成長し続ける場合がある。
‐ 挫瘡瘢痕:挫瘡患部の皮膚に形成される。この瘢痕は沈み込むかまたはケロイドになる場合がある。水痘に罹患したことのある人が同様の瘢痕を持つ場合がある。
‐ 伸展した瘢痕:治癒プロセスの過程において、治癒する創傷の周囲の皮膚が張力下に置かれる場合に発生する。この瘢痕は、最初は正常に見えるが、数週間または数ヶ月間の期間にわたって幅広く細くなり得る。これは創傷が関節に近く、動作の間に伸展されることによって起こり得るか、または一般的な健康不良もしくは栄養不良によって治癒が不十分であることに起因し得る。
‐ ストレッチマーク:例えば妊娠中または青年期の急成長の過程で、皮膚が急速に伸展される際に発生する。
【0032】
従って、皮膚瘢痕の低減は、線維症プロセスの過程における治癒のような病理学的観点、および、挫傷に起因する瘢痕またはストレッチマークの外観を緩和させる場合のような美容的観点の両方から望ましいものである。瘢痕形成に関して、エラスターゼの阻害による考え得る有益性についても報告されている。従って、尋常性挫傷に起因する瘢痕周囲領域では、エラスチンの分解が起こっている(非特許文献42)。従って、エラスターゼ阻害剤は、局所投与用製剤の補助剤として、挫傷の患部皮膚における瘢痕の発生を防止するのに効果的であろう。さらに、特許文献4は、エラスターゼ阻害剤の投与による、眼外傷の場合の角膜上の瘢痕形成の防止について記載している。
【0033】
脂肪細胞の増殖および分化の過程で、MMPが過剰発現されることも報告されている(非特許文献43)。従って、セルライトの患部皮膚のコラーゲンネットワークは破壊され、これが、オレンジピールスキンの外観を引き起こす原因の1つとなっている。従って、コラーゲン合成を刺激することができる化合物を皮膚に補給することは、そのようなコラーゲンの破壊の低減を補助するものであり、効果的な抗セルライト治療となる。エラスターゼの阻害はまた、コラーゲン分解の影響を軽減する補助となるものであり、例えば、老化に起因するシミの発生を防止し、およびセルライトの特徴であるオレンジピールスキンなどの皮膚の凹凸を改善する。
【0034】
MMP活性はまた、リンパ管および血管を取り囲む細胞外基質の組織破壊の原因でもある。血管周囲の基質の劣化は受動的血管拡張を起こし、これは、毛細血管の可視性もしくは毛細血管拡張症、またはクーペロシス(couperosis)を引き起こす。これに加えて、この微小毛細血管の受動的拡張は、目の下のクマまたは眼窩周囲領域のクマを引き起こし得る局所的な血管破裂の原因となり得る。さらに、MMPは静脈壁の機械的特性に影響を及ぼし、それによって静脈が脆弱となり、その結果として静脈瘤の発生が誘発され得る。
【0035】
MMPと組織基質の分解との関連とは別に、MMPは、関節炎(関節リウマチ、変形性関節症など)、骨疾患(骨粗鬆症など)、異所性血管新生、多発性硬化症、腫瘍転移、および組織潰瘍(角膜、胃、表皮など)などの、結合組織または基底膜基質の代謝異常を伴って発生する種々の病態にも関与することが示唆されている(特許文献5)。従ってMMP阻害剤は、組織基質の代謝異常によって引き起こされるこれらの病態の治療および予防に有効である可能性がある。
【0036】
皮膚、粘膜、および/または頭皮におけるコラーゲンおよびエラスチン線維の存在の重要性、ならびにその存在を維持し、またはさらには強化することの重要性は、従って、理解することができる。従って、皮膚におけるコラーゲンおよび/またはエラスチンのレベルならびに一体性を維持し、皮膚を平滑で張りのある外観に維持し、老化および/または光老化の徴候を低減、遅延、および/または予防することにその効果が指向される製品が利用可能であることは重要である。皮膚のエラスチンおよび/もしくはコラーゲン含有量を高い状態で維持すること、または皮膚のエラスチンおよび/もしくはコラーゲン含有量を増加させることは、種々の異なる方法で達成することができる。一方では、マトリックスプロテアーゼを阻害する物質を用いることができる。しかし、他方で、そのようなプロテアーゼの誘発によるコラーゲンおよび/またはエラスチン分解の有害な影響を、新たな合成によって打ち消すことを目的として、コラーゲンおよび/またはエラスチンの合成を増加させる物質を使用することも可能である。年齢の上昇に伴う新たなタンパク質合成の低下は、ここで、コラーゲンおよび/またはエラスチンの合成を増加させる活性成分を用いることで、少なくとも部分的に相殺することができる。
【0037】
本発明の文脈において、「老化」および「老化皮膚」という用語は、皮膚の外観に眼に見える変化が出現すること、ならびに手触りで知覚される変化が出現することを述べるために使われるものであり、例えば限定されない意味で、シワ、小ジワ、肌荒れ、表情ジワ、ストレッチマーク、肌ギレ(discontinuities)、肌溝、弛緩症、頬のたるみなどの皮膚のたるみ、目の下たるみ、二重アゴ、毛穴の拡大、弾性の喪失、反発性の喪失、堅固さの喪失、弾力線維症、分化異常、過剰の角質化、角化症、シミ、赤変、または目の下のクマなどの皮膚の色の変化、年齢によるシミ、肝斑、またはソバカスなどの色素過剰領域の出現、平滑性の喪失、オレンジピールスキン、コラーゲン構造の喪失、ならびに角質層、真皮、表皮、血管系(例えば、クモ状静脈または毛細血管拡張症の出現)、または皮膚に近い組織のその他の組織学的変化である。皮膚の老化は、主として2つの構成成分を有するプロセスであり:時間の経過に起因する経時的な老化、および紫外(UV)放射線への曝露のレベルに起因し、光老化として知られる光に誘発される老化である。タバコの煙への曝露、汚染への曝露、ならびに寒気および/または風のような気象条件などのいくつかの環境因子を合わせたものも、皮膚老化に寄与している。
【0038】
現行技術では、エラスターゼ阻害活性を有する植物抽出物について(特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10)、およびこの活性を持つ合成化学化合物について(特許文献11、特許文献12、特許文献13、特許文献14)報告されている。特に、特許文献15には、アラニンおよびプロリンの多いリポペプチド、特には、L‐Ala−L‐Alaジペプチドを含有するリポペプチドが、エラスターゼ阻害剤として報告されている。
【0039】
コラーゲン合成の増加と関連付けて述べられることが多く、従って先行技術である個々の物質としては、例えば、アスコルビン酸、ならびに特に、アスコルビン酸パルミテート、リン酸アスコルビルマグネシウム、リン酸アスコルビルナトリウム、およびアスコルビン酸アルファ‐およびベータ‐グルコシドなどのその誘導体、レチノール、ならびにレチノイン酸、レチナール、レチノール、酢酸レチニル、もしくはパルミチン酸レチニルなどのレチノールの誘導体、または例えばアロエ属(Aloe)およびツボクサ属(Centella)の植物種の抽出物などの植物抽出物、などの活性成分である。また、コラーゲン合成の刺激のためにさらに頻繁に用いられる活性成分としては、例えばカルニチン、カルノシン、クレアチン、マトリカインペプチド(例:リジル−スレオニル−スレオニル−リジル−セリン)、およびパルミトイル化ペンタペプチド(例:セデルマ/クロダ(Sederma/Croda)製のMatrixyl(登録商標))またはVincipeptide(ビンシエンス(Vincience),フランス)という商品名のオリゴペプチドなどのさらなるペプチド構造、などのペプチド物質およびその誘導体も挙げられる。さらに、アシアチン酸、マデカシン酸、マデカソシド(madecassoside)、アシアチコシド(asiaticoside)、センテラアシアチカ(Centella asiatica)の抽出物、ナイアシンアミド、アスタキサンチン(astaxanthine)、例えば酵母およびカラスムギからのグルカン、ゲニステインおよびダイゼインなどのダイズ抽出物およびダイズイソフラボン、ルチン、クリシン、モリン(morin)、ビンロウジアルカロイド(betel nut alkaloids)、フォルスコリン、ベツリン酸、オオバコ属(Plantago)の抽出物、TGF‐ベータ、イチョウ(Ginkgo biloba)の抽出物、グルタミン、ならびにグリコール酸などの化合物も、コラーゲン合成刺激剤として用いられる。
【0040】
本発明は、皮膚、粘膜、および/または頭皮におけるエラスターゼの阻害および/またはコラーゲン合成の刺激に効果的であるコードされないアミノ酸を含む合成ペプチドについて述べる。その配列中にコードされないアミノ酸を有するペプチドで、皮膚、粘膜、および/または頭皮においてエラスターゼ阻害活性を示し、および/またはコラーゲン合成を刺激するものは現行技術には存在しない。コードされないアミノ酸の使用により、プロテアーゼによるその認識を困難とし、それらを含むペプチドの半減期が延長される。このペプチドの半減期の延長により、エラスターゼの阻害および/またはコラーゲン合成の刺激におけるその効力が長続きするようになる。
【0041】
従って、コラーゲンもしくはエラスチンを分解する酵素に対する活性を持つか、または皮膚、粘膜、および/もしくは頭皮においてコラーゲンもしくはエラスチンの内在的合成を刺激する潜在能を持つ既存の化合物および/または抽出物は様々なものが数多く存在するにも関わらず、現行技術において公知であるものよりも効果的であり、選択的である新規なエラスターゼ阻害薬および/またはコラーゲン合成刺激薬を識別することが依然として求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0042】
【特許文献1】欧州特許第1005333B1号
【特許文献2】米国特許第7,211,278号
【特許文献3】欧州特許第1076549B1号
【特許文献4】米国特許第5,922,319号
【特許文献5】欧州特許第0927161B1号
【特許文献6】特開平11‐246386
【特許文献7】特開2000‐072649
【特許文献8】特開平11‐279041
【特許文献9】米国特許第6,395,261号
【特許文献10】米国特許第6,238,674号
【特許文献11】米国特許第4,643,991号
【特許文献12】米国特許第5,008,245号
【特許文献13】米国特許第5,162,307号
【特許文献14】米国特許第5,189,178号
【特許文献15】米国特許第4,665,053号
【非特許文献】
【0043】
【非特許文献1】Brown‐Augsburger P.,Tisdale C,Broekelmann T.,Sloan C.and Mecham R.P.(1995)“Identification of an elastin crosslinking domain that joins three peptide chains”J.Biol.Chem.270:17778‐17783
【非特許文献2】Debelle L.and Tamburro A.M.(1999)“Elastin:molecular description and function”Int.J.Biochem.Cell Biol.31:261‐272
【非特許文献3】Bellingham C.M.,Woodhouse K.A.,Robson P.,Rothstein S.J.and Keeley F.W.(2001)“Self‐aggregation of recombinantly expressed human elastin polypeptides”Biochim.Biophys.Acta.1550:6‐19
【非特許文献4】Csiszar K.(2001)“Lysyl oxidases:a novel multifunctional amine oxidase family”Prog.Nucleic Acid Res.Mol.Biol.70:1‐32
【非特許文献5】Borel A.,Eichenberger D.,Farjanel J.,Kessler E.,Gleyzal C.,Hulmes D.J.S.,Sommer P.and Font B.(2001)“Lysyl oxidase‐like protein from bovine aorta”J.Biol.Chem.276:48944‐48949
【非特許文献6】Kielty C.M.,Sherratt M.J.and Shuttleworth C.A.(2002)“Elastic fibers”J.Cell.Sci.115:2817‐2828
【非特許文献7】Faury G.(2001)“Function‐structure relationship of elastic arteries in evolution:from microfibrils to elastin and elastic fibers”Pathol.Biol.(Paris)49:310‐325
【非特許文献8】Tassabehji M.,Metcalfe K.,Hurst J.,Ashcroft G.S.,Kielty C.,Wilmot C.,Donnai D.,Read A.P.and Jones C.J.(1998)“An elastin gene mutation producing abnormal tropoelastin and abnormal elastic fibers in a patient with autosomal dominant cutis laxa”Hum.Mol.Genet.6:1021‐1028
【非特許文献9】Watson R.E.B.Griffiths C.E.M.,Craven N.M.,Shuttleworth C.A.and Kielty C.M.(1999)“Fibrillin‐rich microfibrils are reduced in photoaged skin.Distribution at the dermal‐epidermal junction”J.Invest.Dermatol.112:782‐787
【非特許文献10】Culav E.M.,Clark C.H.and Merrilees M.J.(1999)“Connective tissues:matrix composition and its relevance to physical therapy”Phys.Ther.79:308‐319
【非特許文献11】Aumailley M.and Gayraud B.(1998)“Structure and biological activity of the extracellular matrix”J.Mol.Med.76:253‐265
【非特許文献12】“The Biology of the Skin”,Freinkel R.K.and Woodley D.T.,eds.The Parthenon Publishing Group,2001
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【非特許文献14】Fisher G.J.,Wang Z.Q.,Datta S.C.,Varani J.,Kang S.and Voorhees J.J.(1997)“Pathophysiology of Prematur Skin Aging Induced by Ultraviolet Light”New Eng.J.Med.337:14191429
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【非特許文献16】Rittie L and Fisher G.J.(2002)“UV‐light‐induced signal cascades and skin aging”Ageing Res.Rev.1:705‐720
【非特許文献17】Lahmann C.,Bergemann J.,Harrison G.and Young A.R.(2001)“Matrix metalloproteinase‐1 and skin aging in smokers”Lancet 357:935−936
【非特許文献18】Imokawa G.,Takema Y.,Yorimoto Y.,Tsukahara K.,Kawai M.and Imayama S.(1995)“Degree of UV‐induced tortuosity of elastic fibers in rat skin is age dependent”J.Invest.Dermatol.105:254‐258
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【非特許文献20】Tsukahara K.,Takema Y.,Fujimura T.,Moriwaki S.,Kitahara T.,Imayama S.and Imokawa G.(1999)“All‐trans retinoic acid promotes the repair of tortuosity of elastic fibers in rat skin”Br.J.Dermatol.140:1048‐1053
【非特許文献21】Tsukahara K.,Takema Y.,Moriwaki S.,Tsuji N.,Suzuki Y.,Fujimura T.and Imokawa G.(2001)“Selective inhibition of skin fibroblast elastase elicits a concentration‐dependent prevention of ultraviolet B‐induced wrinkle formation”J.Invest.Dermatol.117:671‐677
【非特許文献22】Brincat M.,Kabalan S.,Studd J.W.,Moniz C.F.,de Trafford J.and Montgomery J.(1987)“A study of the decrease of skin collagen content, skin thickness,and bone mass in the postmenopausal woman”Obstet.Gynecol.70:840‐845
【非特許文献23】Kahari V.M.and Saarialho‐Kere U.(1997)“Matrix metalloproteinases in skin”Exp.Dermatol.6:199‐213
【非特許文献24】Miyoshi H.,Kanekura T.,Aoki T.and Kanzaki T.(2005)“Beneficial effects of tissue inhibitor of metalloproteinases‐2(TIMP‐2)on chronic dermatitis”J.Dermatol.32:346‐353
【非特許文献25】Flisiak I.,Mysliwiec H.and Chodynicka B.(2005)“Effect of psoriasis treatment on plasma concentrations of metalloproteinase‐1 and tissue inhibitor of metalloproteinase‐1”J.Eur.Acad.Dermatol.Venereol.9:418‐421
【非特許文献26】Suomela S.,Kariniemi A.L.,Impola U.,Karvonen S.L,Snellman E.,Uurasmaa T.,Peltonen J.,Saarialho‐Kere U.(2003)“Matrix metalloproteinase‐19 is expressed by keratinocytes in psoriasis”Acta Derm.Venereol.83:108‐114
【非特許文献27】Reynolds J.J.and Meikle M.C.(1997)“The functional balance of metalloproteinases and inhibitors in tissue degradation:relevance to oral pathologies”J.R.Coll.Surg.Edinb.42:154‐160
【非特許文献28】Ntayi C.,Hornebeck W.and Bernard P.(2004)“Involvement of matrix metalloproteinases(MMPs)in cutaneous melanoma progression”Pathol.Biol.(Paris)52:154‐159
【非特許文献29】Kerkela E.and Saarialho‐Kere U.(2003)“Matrix metalloproteinases in tumor progression:focus on basal and squamous cell skin cancer”Exp.Dermatol.12:109‐125
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【非特許文献32】Papakonstantinou E.,Aletras A.J.,Glass E.,Tsogas P.,Dionyssopoulos A.,Adjaye J.,Fimmel S.,Gouvousis P.,Herwig R.,Lehrach H.,Zouboulis C.C.and Karakiulakis G.(2005)“Matrix metalloproteinases of epithelial origin in facial sebum of patients with acne and their regulation by isotretinoin”J.Invest.Dermatol.125:673‐684
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【非特許文献34】Woodbury R.A.,Kligman L.H.,Woodbury M.J.and Kligman A.M.(1994)“Rapid assay of the anti‐inflammatory activity of topical corticosteroids by inhibition of a UVA‐induced neutrophil infiltration in hairless mouse skin.I.The assay and its sensitivity”Acta Derm.Venereol.74:15‐17
【非特許文献35】Antonicelli F.,Bellon G.,Debelle L and Hornebeck W.(2007)“Elastin‐elastase and inflamm‐aging”Curr.Top.Dev.Biol.79:99‐155
【非特許文献36】Rogalski C,Meyer‐Hoffert U.,Proksch E.and Wiedow O.(2002)“Human leukocyte elastase induces keratinocyte proliferation in vitro and in vivo”J.Invest.Dermatol.118:49‐54
【非特許文献37】Herouy Y.,Mellios P.,Bandemir E.,Dichmann S.,Nockowski P.,Schopf E.and Norgauer J.(2001)“Inflammation in stasis dermatitis upregulates MMP‐1,MMP‐2 and MMP‐13 expression”J.Dermatol.Sci.25:198‐205
【非特許文献38】Devillers A.C.,van Toorenenbergen A.W.,Klein Heerenbrink G.J.,Muldert P.G.and Oranje A.P.(2007)“Elevated levels of plasma matrix metalloproteinase‐9 in patients with atopic dermatitis: a pilot study”Clin.Exp.Dermatol.32:311‐313
【非特許文献39】Sapadin A.N.,Fleischmajer R.(2006)“Tetracyclines: Nonantibiotic properties and their clinical implications”J.Am.Acad.Derm.54:258‐265
【非特許文献40】Liu Z.,Shapiro S.D.,Zhou X.,Twining S.S.,Senior R.M.,Giudice G.J.,Fairley J.A.and Diaz L.A.(2000)“A critical role for neutrophil elastase in experimental bullous pemphigoid”J.Clin.Invest.105:113‐123
【非特許文献41】Jarrousse F.,Boisnic S.,Branchet M.C,Beranger J.Y.,Godeau G.,Breton L.,Bernard B.A.and Mahe Y.F.(2001)“Identification of clustered cells in human hair follicle responsible for MMP‐9 gelatinolytic activity: consequences for the regulation of hair growth”Int.J.Dermatol.40:385‐392
【非特許文献42】Dick G.F.,Ashe B.M.,Rodgers E.G.,Diercks R.C.and Goltz R.W.(1976)“Study of elastolytic activity of Propionibacterium acnes and Staphylococcus epidermis in acne vulgaris and in normal skin”Acta Derm.Venereol.56:279‐282
【非特許文献43】Traurig M.T.,Permana P.A.,Nair S.,Kobes S.,Bogardus C.and Baier L.J.(2006)“Differential expression of matrix metalloproteinase 3(MMP3)in preadipocytes/stromal vascular cells from nonobese nondiabetic versus obese nondiabetic Pima Indians”Diabetes 55:3160‐3165
【発明を実施するための形態】
【0044】
本発明は、上記で述べた問題点に対する解決策を提供するものである。驚くべきことに、本発明の出願者は、コードされないアミノ酸を持つ特定の合成ペプチドが、皮膚、粘膜、および/もしくは頭皮でのエラスターゼの阻害および/またはコラーゲン合成の刺激において著しい効力を有し、従って、エラスターゼ活性に起因するおよび/またはコラーゲン合成の刺激が有益である、皮膚、粘膜、および/または頭皮の任意の状態、障害、および/または疾患の、治療、予防、および/またはケアに有用であることを見出した。
【0045】
定義
本発明を理解しやすくするために、本発明に関して用いられるいくつかの用語および表現の意味を示す。
【0046】
本明細書にて、アミノ酸に用いられる略語は、Eur.J.Biochem.(1984)138:9‐37およびJ.Biol.Chem.(1989)264:633‐673において指定される、IUPAC‐IUBの生化学命名委員会(Commission on Biochemical Nomenclature)の規則に従う。
【0047】
従って、例えば、GlyはNH−CH−COOHを表し、Gly−はNH−CH−CO−を表し、−Glyは−NH−CH−COOHを表し、および−Gly−は−NH−CH−CO−を表す。従って、ペプチド結合を表すハイフンは、記号の右に置かれる場合、アミノ酸の1‐カルボキシル基(ここで、従来の非イオン化型で表される)からOHを除いた形であり、記号の左に置かれるとき、アミノ酸の2‐アミノ基からHを除いた形であり;両方の修飾を同じ符号に適用してよい(表1を参照)。
【0048】

【0049】
本明細書中で用いられる「Ac−」の略語は、アセチル基(CH−CO−)を示し、「Palm−」の略語は、パルミトイル基(CH−(CH14−CO−)を示すために用いられる。
【0050】
本発明で用いられる「非環式脂肪族基」という用語は、例えば、これらに限定されないが、直鎖状または分岐鎖状のアルキル、アルケニル、およびアルキニル基を包含する。
【0051】
「アルキル基」という用語は、1から24、好ましくは1から16、より好ましくは1から14、より好ましくは1から12、さらにより好ましくは1、2、3、4、5、もしくは6個の炭素原子を有し、単結合を介して分子の残りの部分と結合する、直鎖状または分岐鎖状の飽和基を意味し、例えば、これらに限定されないが、メチル、エチル、イソプロピル、イソブチル、tert‐ブチル、ヘプチル、オクチル、デシル、ドデシル、ラウリル、ヘキサデシル、オクタデシル、アミル、2‐エチルヘキシル、2‐メチルブチル、および5‐メチルヘキシルなどが挙げられる。
【0052】
「アルケニル基」という用語は、2から24、好ましくは2から16、より好ましくは2から14、より好ましくは2から12、さらにより好ましくは2、3、4、5、もしくは6個の炭素原子を、共役または非共役である1もしくは2個以上の炭素‐炭素二重結合、好ましくは1、2、もしくは3個の炭素−炭素二重結合と共に有し、単結合を介して分子の残りの部分と結合する、直鎖状または分岐鎖状の基を意味し、例えば、これらに限定されないが、ビニル、オレイル、およびリノレイル基などが挙げられる。
【0053】
「アルキニル基」という用語は、2から24、好ましくは2から16、より好ましくは2から14、より好ましくは2から12、さらにより好ましくは2、3、4、5、もしくは6個の炭素原子を、共役または非共役である1もしくは2個以上の炭素‐炭素三重結合、好ましくは1、2、もしくは3個の炭素−炭素三重結合と共に有し、単結合を介して分子の残りの部分と結合する、直鎖状または分岐鎖状の基を意味し、例えば、これらに限定されないが、エチニル、1‐プロピニル、2‐プロピニル、1‐ブチニル、2‐ブチニル、3‐ブチニル、および1‐ペンチニルなどのペンチニル基、などが挙げられる。
【0054】
本発明で用いられる「アリシクリル(alicyclyl)基」という用語は、例えば、これらに限定されないが、シクロアルキル、シクロアルケニル、およびシクロアルキニル基を包含する。
【0055】
「シクロアルキル」という用語は、3から24、好ましくは3から16、より好ましくは3から14、より好ましくは3から12、さらにより好ましくは3、4、5、もしくは6個の炭素原子を有し、単結合を介して分子の残りの部分と結合する飽和単環式または多環式の脂肪族基を意味し、例えば、これらに限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、メチルシクロヘキシル、ジメチルシクロヘキシル、オクタヒドロインデン、デカヒドロナフタレン、およびドデカヒドロフェナレンなどが挙げられる。
【0056】
「シクロアルケニル基」という用語は、5から24、好ましくは5から16、より好ましくは5から14、より好ましくは5から12、さらにより好ましくは5もしくは6個の炭素原子を、共役または非共役である1もしくは2個以上の炭素‐炭素二重結合、好ましくは1、2、もしくは3個の炭素−炭素二重結合と共に有し、単結合を介して分子の残りの部分と結合する、非芳香族単環式または多環式の脂肪族基を意味し、例えば、これらに限定されないが、シクロペンタ‐1‐エン‐1‐イル基などが挙げられる。
【0057】
「シクロアルキニル基」という用語は、5から24、好ましくは5から16、より好ましくは5から14、より好ましくは5から12、さらにより好ましくは5もしくは6個の炭素原子を、共役または非共役である1もしくは2個以上の炭素‐炭素二重結合、好ましくは1、2、もしくは3個の炭素−炭素三重結合と共に有し、単結合を介して分子の残りの部分と結合する、非芳香族単環式または多環式の脂肪族基を意味し、例えば、これらに限定されないが、シクロへキシ‐1‐イン‐1‐イル基などが挙げられる。
【0058】
「アリール基」という用語は、炭素‐炭素を介して結合した、もしくは縮合した1、2、3、もしくは4個の芳香族環を含み、6から30、好ましくは6から18、より好ましくは6から10、より好ましくは6もしくは10個の炭素原子を有する芳香族基を意味し、例えば、これらに限定されないが、中でもフェニル、ナフチル、ジフェニル、インデニル、フェナントリル、もしくはアントラニリック(anthranilic)が挙げられ;または、アラルキル基を意味する。
【0059】
「アラルキル基」という用語は、7から24個の炭素原子を有する、芳香族基により置換されたアルキル基を意味し、例えば、これらに限定されないが、−(CH1‐6−フェニル、−(CH1‐6−(1‐ナフチル)、−(CH1‐6−(2‐ナフチル)、および−(CH1‐6−CH(フェニル)などが挙げられる。
【0060】
「ヘテロシクリル基」という用語は、3から10の員数を有する炭化水素環を意味し、ここで、環の1もしくは2個以上の原子、好ましくは環の1、2、もしくは3個の原子は、窒素、酸素、または硫黄を例とする炭素以外の元素であり、飽和または不飽和であってよい。本発明の目的のために、ヘテロ環は、単環式、二環式、または三環式の環系であってよく、これらは縮合環系を含んでよく;ヘテロシクリルラジカル中の窒素、炭素、または硫黄の原子は、所望される場合は酸化されていてよく;窒素原子は、所望される場合は、四級化されていてよく;ならびに、ヘテロシクリルラジカルは、部分的もしくは完全に飽和されているか、または芳香族であってよい。より好ましくは、ヘテロシクリルの用語は、5または6員環を意味する。
【0061】
「ヘテロアリールアルキル基」という用語は、置換または無置換の芳香族へテロシクリル基により置換されたアルキル基を意味し、このアルキル基は、1から6個の炭素原子を有し、ならびに芳香族へテロシクリル基は、2から24個の炭素原子および1から3個の炭素以外の原子を有し、例えば、これらに限定されないが、−(CH1‐6−イミダゾリル、−(CH1‐6−トリアゾリル、−(CH1‐6−チエニル、−(CH1‐6−フリル、および−(CH1‐6−ピロリジニルなどが挙げられる。
【0062】
本技術分野において用いられるように、上記で定める基には、ある度合いの置換が存在してよい。従って、本発明のいずれの基にも置換が存在してよい。本発明の基における置換された基について本明細書で言及する場合、それは、指定されるラジカルが、1もしくは2つ以上の置換基により、1もしくは2つ以上の置換可能な位置、好ましくは1、2、もしくは3つの位置、より好ましくは1もしくは2つ以内の位置、さらにより好ましくは1つの位置において置換されてよいことを示す。このような置換基としては、例えば、これらに限定されないが、C‐Cアルキル;ヒドロキシル;C‐Cアルコキシル;アミノ;C‐Cアミノアルキル;C‐Cカルボニルオキシル;C‐Cオキシカルボニル;フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素などのハロゲン;シアノ;ニトロ;アジド;C‐Cアルキルスルホニル;チオール;C‐Cアルキルチオ;フェノキシルなどのアリールオキシル;−NR(C=NR)NRが挙げられ、ここでRおよびRは、独立して、H、C‐Cアルキル、C‐Cアルケニル、C‐Cアルキニル、C‐C10シクロアルキル、C‐C18アリール、C‐C17アラルキル、3〜10員環へテロシクリル、またはアミノ基の保護基から成る群より選択される。
【0063】
本発明の化合物
本発明の化合物は、一般式(I)
−W−X−AA−AA−AA−AA−Y−R (I)
これらの立体異性体、その混合物、および/またはこれらの美容的もしくは薬理学的に許容される塩、で定められ、アミノ酸AA、AA、またはAAのうちの少なくとも1つがコードされないものであることを特徴とし、および:
AAは、−Arg−、−Phg−、および−Nle−から成る群より選択されるか、または結合であり;
AAは、−Ala−、−Phg−、−Cit−、および−Nle−から成る群より選択され;
AAは、−Trp−、−Val−、および−Tyr−から成る群より選択され;
AAは、−Phg−および−Gly−から成る群より選択され;
W、X、およびYは、独立して、コードされる、またはコードされないアミノ酸から成る群より選択され;
p、n、およびmは、0から1までの範囲であり;
は、H、置換もしくは無置換の非環式脂肪族基、置換もしくは無置換のアリシクリル、置換もしくは無置換のヘテロシクリル、置換もしくは無置換のヘテロアリールアルキル、置換もしくは無置換のアリール、置換もしくは無置換のアラルキル、およびR−CO−から成る群より選択され;
は、−NR、−OR、および−SRから成る群より選択され;
ここで、RおよびRは、独立して、H、置換もしくは無置換の非環式脂肪族基、置換もしくは無置換のアリシクリル、置換もしくは無置換のヘテロシクリル、置換もしくは無置換のヘテロアリールアルキル、置換もしくは無置換のアリール、および置換もしくは無置換のアラルキルから成る群より選択され;
ここで、Rは、H、置換もしくは無置換の非環式脂肪族基、置換もしくは無置換のアリシクリル、、置換もしくは無置換のアリール、置換もしくは無置換のアラルキル、置換もしくは無置換のヘテロシクリル、および置換もしくは無置換のヘテロアリールアルキルから成る群より選択され;
ただし、AAが結合である場合、AAは−Phg−であり、AAは、−Trp−である。
【0064】
およびRの基は、それぞれ、ペプチド配列のアミノ末端(N末端)およびカルボキシ末端(C末端)と結合する。
【0065】
本発明の好ましい態様によれば、Rは、HおよびR−CO−から成る群より選択され、ここで、Rは、置換または無置換のC‐C24アルキル、置換または無置換のC‐C24アルケニル、置換または無置換のC‐C24アルキニル、置換または無置換のC‐C24シクロアルキル、置換または無置換のC‐C24シクロアルケニル、置換または無置換のC‐C24シクロアルキニル、置換または無置換のC‐C30アリール、置換または無置換のC‐C24アラルキル、3〜10の環員数である置換または無置換のヘテロシクリル、ならびに2から24個の炭素原子と1から3個の炭素以外の原子、および1から6個の炭素原子のアルキル鎖を持つ置換または無置換のヘテロアリールアルキルから成る群より選択される。より好ましくは、Rは、H、アセチル、tert‐ブタノイル、ヘキサノイル、2‐メチルヘキサノイル、シクロヘキサンカルボキシル、オクタノイル、デカノイル、ラウロイル、ミリストイル、パルミトイル、ステアロイル、オレオイル、およびリノレオイルから選択される。さらにより好ましくは、Rは、H、アセチル、ラウロイル、パルミトイル、またはミリストイルである。さらにより好ましい態様では、ラジカルRは、アセチルである。
【0066】
本発明の別の好ましい態様によれば、Rは、−NR、−OR、または−SRであり、ここで、RおよびRは、独立して、H、置換または無置換のC‐C24アルキル、置換または無置換のC‐C24アルケニル、置換または無置換のC‐C24アルキニル、置換または無置換のC‐C24シクロアルキル、置換または無置換のC‐C24シクロアルケニル、置換または無置換のC‐C24シクロアルキニル、置換または無置換のC‐C30アリール、置換または無置換のC‐C24アラルキル、3〜10の環員数である置換または無置換のヘテロシクリル、ならびに2から24個の炭素原子と1から3個の炭素以外の原子、および1から6個の炭素原子のアルキル鎖を持つ置換または無置換のヘテロアリールアルキルから成る群より選択される。所望される場合は、R y Rは、飽和または不飽和の炭素‐炭素結合を介して結合し、窒素原子と共に環を形成してもよい。より好ましくは、Rは、−NRまたは−ORであり、ここで、RおよびRは、独立して、H、置換または無置換のC‐C24アルキル、置換または無置換のC‐C24アルケニル、置換または無置換のC‐C24アルキニル、置換または無置換のC‐C10シクロアルキル、置換または無置換のC‐C15アリール、ならびに3〜10の環員数である置換または無置換のヘテロシクリル、ならびに3から10の環員数および1から6個の炭素原子のアルキル鎖を持つ置換または無置換のヘテロアリールアルキルから成る群より選択される。より好ましくは、RおよびRは、H、メチル、エチル、ヘキシル、ドデシル、またはヘキサデシルから成る群より選択される。さらにより好ましくは、RはHであり、Rは、H、メチル、エチル、ヘキシル、ドデシル、またはヘキサデシルから成る群より選択される。より好ましい態様によると、Rは、−OHおよび−NHから選択される。
【0067】
本発明の別の態様によると、AAは、−Phg−であり、AAは、−Phg−である。
【0068】
本発明の別の態様によると、Rは、H、アセチル、ラウロイル、ミリストイル、またはパルミトイルから成る群より選択され、AAは、−L‐Arg−であり、AAは、−L‐Phg−または−D‐Phg−であり、AAは、−L‐Tyr−であり、AAは、−L‐Phg−または−D‐Phg−であり、およびRは、−NRまたは−ORであり、ここで、RおよびRは、独立して、H、メチル、エチル、ヘキシル、ドデシル、およびヘキサデシルから選択され、好ましくは、Rは、−OHまたは−NHである。より好ましくは、Rは、アセチルであり、Rは、−OHである。さらにより好ましくは、p、n、およびmは、0である。
【0069】
本発明の別の態様によると、Rは、H、アセチル、ラウロイル、ミリストイル、またはパルミトイルから成る群より選択され、AAは、−L‐Nle−であり、AAは、−L‐Phg−または−D‐Phg−であり、AAは、−L‐Tyr−であり、AAは、−L‐Phg−または−D‐Phg−であり、およびRは、−NRまたは−ORであり、ここで、RおよびRは、独立して、H、メチル、エチル、ヘキシル、ドデシル、およびヘキサデシルから選択され、好ましくは、Rは、−OHまたは−NHである。より好ましくは、Rは、アセチルであり、Rは、−OHである。さらにより好ましくは、p、n、およびmは、0である。
【0070】
本発明の別の態様によると、Rは、H、アセチル、ラウロイル、ミリストイル、またはパルミトイルから成る群より選択され、AAは、−L‐Arg−であり、AAは、−L‐Phg−または−D‐Phg−であり、AAは、−L‐Trp−であり、AAは、−L‐Phg−または−D‐Phg−であり、およびRは、−NRまたは−ORであり、ここで、RおよびRは、独立して、H、メチル、エチル、ヘキシル、ドデシル、およびヘキサデシルから選択され、好ましくは、Rは、−OHまたは−NHである。より好ましくは、Rは、アセチルであり、Rは、−OHである。さらにより好ましくは、p、n、およびmは、0である。
【0071】
本発明の別の態様によると、Rは、H、アセチル、ラウロイル、ミリストイル、またはパルミトイルから成る群より選択され、AAは、−L‐Nle−であり、AAは、−L‐Phg−または−D‐Phg−であり、AAは、−L‐Trp−であり、AAは、−L‐Phg−または−D‐Phg−であり、およびRは、−NRまたは−ORであり、ここで、RおよびRは、独立して、H、メチル、エチル、ヘキシル、ドデシル、およびヘキサデシルから選択され、好ましくは、Rは、−OHまたは−NHである。より好ましくは、Rは、アセチルであり、Rは、−OHである。さらにより好ましくは、p、n、およびmは、0である。
【0072】
本発明の別の態様によると、Rは、H、アセチル、ラウロイル、ミリストイル、またはパルミトイルから成る群より選択され、AAは、−L‐Arg−であり、AAは、−L‐Phg−または−D‐Phg−であり、AAは、−L‐Val−であり、AAは、−L‐Phg−または−D‐Phg−であり、およびRは、−NRまたは−ORであり、ここで、RおよびRは、独立して、H、メチル、エチル、ヘキシル、ドデシル、およびヘキサデシルから選択され、好ましくは、Rは、−OHまたは−NHである。より好ましくは、Rは、アセチルであり、Rは、−OHである。さらにより好ましくは、p、n、およびmは、0である。
【0073】
本発明の別の態様によると、Rは、H、アセチル、ラウロイル、ミリストイル、またはパルミトイルから成る群より選択され、AAは、−L‐Arg−であり、AAは、−L‐Phg−または−D‐Phg−であり、AAは、−L‐Val−であり、AAは、−Gly−であり、およびRは、−NRまたは−ORであり、ここで、RおよびRは、独立して、H、メチル、エチル、ヘキシル、ドデシル、およびヘキサデシルから選択され、好ましくは、Rは、−OHまたは−NHである。より好ましくは、Rは、アセチルであり、Rは、−OHである。さらにより好ましくは、p、n、およびmは、0である。
【0074】
本発明の別の態様によると、Rは、H、アセチル、ラウロイル、ミリストイル、またはパルミトイルから成る群より選択され、AAは、−L‐Phg−または−D‐Phg−であり、AAは、−L‐Phg−または−D‐Phg−であり、AAは、−L‐Trp−であり、AAは、−L‐Phg−または−D‐Phg−であり、およびRは、−NRまたは−ORであり、ここで、RおよびRは、独立して、H、メチル、エチル、ヘキシル、ドデシル、およびヘキサデシルから選択され、好ましくは、Rは、−OHまたは−NHである。より好ましくは、Rは、アセチルであり、Rは、−OHである。さらにより好ましくは、p、n、およびmは、0である。
【0075】
本発明の別の態様によると、Rは、H、アセチル、ラウロイル、ミリストイル、またはパルミトイルから成る群より選択され、AAは、結合であり、AAは、−L‐Phg−または−D‐Phg−であり、AAは、−L‐Trp−であり、AAは、−L‐Phg−または−D‐Phg−であり、およびRは、−NRまたは−ORであり、ここで、RおよびRは、独立して、H、メチル、エチル、ヘキシル、ドデシル、およびヘキサデシルから選択され、好ましくは、Rは、−OHまたは−NHである。より好ましくは、Rは、アセチルであり、Rは、−OHである。さらにより好ましくは、p、n、およびmは、0である。
【0076】
本発明の別の態様によると、Rは、H、アセチル、ラウロイル、ミリストイル、およびパルミトイルから成る群より選択され、好ましくは、Rは、H、アセチル、およびパルミトイルから成る群より選択され、ならびに、好ましくは、Rは、−OHおよび−NHから成る群より選択される。
【0077】
好ましくは、式(I)の化合物は:
Ac−Arg−Phg−Val−Gly−OH;
Ac−Arg−Phg−Val−Gly−NH
Ac−Arg−Phg−Val−Phg−OH、
Ac−Arg−Phg−Val−Phg−NH
Ac−Arg−Phg−Trp−Phg−OH、
Ac−Arg−Phg−Trp−Phg−NH
Ac−Nle−Phg−Trp−Phg−OH、
Ac−Nle−Phg−Trp−Phg−NH
Ac−Phg−Phg−Trp−Phg−OH、
Ac−Phg−Phg−Trp−Phg−NH
Ac−Phg−Phg−Val−Phg−OH、
Ac−Phg−Phg−Val−Phg−NH
Ac−Phg−Phg−Val−Gly−OH、
Ac−Phg−Phg−Val−Gly−NH
Ac−Nle−Phg−Val−Phg−OH、
Ac−Nle−Phg−Val−Phg−NH
Ac−Phg−Phg−Tyr−Phg−OH、
Ac−Phg−Phg−Tyr−Phg−NH
Ac−Nle−Phg−Tyr−Phg−OH、
Ac−Nle−Phg−Tyr−Phg−NH
Ac−Arg−Phg−Tyr−Phg−OH、
Ac−Arg−Phg−Tyr−Phg−NH
Ac−Nle−Ala−Trp−Phg−OH、
Ac−Nle−Ala−Trp−Phg−NH
Ac−Nle−Ala−Tyr−Phg−OH、
Ac−Nle−Ala−Tyr−Phg−NH
Ac−Nle−Phg−Tyr−Gly−OH、
Ac−Nle−Phg−Tyr−Gly−NH
Palm−Phg−Cit−Trp−Phg−OH、
Palm−Phg−Nle−Trp−Phg−NH
H−Arg−Cit−Val−Phg−OH、
H−Arg−Nle−Val−Phg−OH、
Ac−Arg−Nle−Val−Gly−OH、
Ac−Arg−Nle−Val−Gly−NH
Ac−Phg−Trp−Phg−OH、
Ac−Phg−Trp−Phg−NH
Palm−Arg−Phg−Val−Phg−NH
Palm−Arg−Phg−Trp−Phg−NH
Ac−Arg−Phg−Trp−Phg−NH−(CH15−CH
H−Arg−Phg−Val−Gly−NH
Ac−Phg−Phg−Trp−Phg−OH、
Ac−Phg−Phg−Trp−Gly−OH、
Ac−Nle−Phg−Val−Gly−OH、
Ac−Nle−Phg−Trp−Gly−OH、
Ac−Gly−Phg−Phg−Trp−Phg−Gly−OH、
Ac−Ala−Gly−Nle−Phg−Trp−Phg−OH、
Ac−Gly−Gly−Arg−Phg−Trp−Phg−Gly−OH、
Ac−Arg−Phg−Tyr−Phg−Ile−OH、
Ac−Leu−Nle−Phg−Tyr−Phg−Gly−NH
Ac−Ser−Phe−Arg−Phg−Val−Phg−Phg−OH、および、
Ac−Phg−Phg−Arg−Phg−Val−Gly−Phg−OH;
これらの立体異性体、その混合物、ならびに/またはこれらの美容的もしくは薬理学的に許容される塩、
から成る群より選択される。
【0078】
本発明のペプチドは、立体異性体または立体異性体の混合物として存在してよく、例えば、それらを形成するアミノ酸は、L‐、D‐立体配置を有してよく、または互いに独立したラセミ体であってもよい。従って、不斉炭素の数、および異性体または異性体混合物が存在するかどうかに応じて、異性体混合物、ならびにラセミ体もしくはジアステレオマーの混合物、または純粋なジアステレオマーもしくはエナンチオマーを得ることが可能である。本発明のペプチドの好ましい構造は、純粋な異性体、すなわちエナンチオマーまたはジアステレオマーである。
【0079】
例えば、AAが−Phg−であってよいと示される場合、AAは、−L‐Phg−、−D‐Phg−、またはこれら両方のラセミもしくは非ラセミ混合物から選択されることが理解される。同様に、AAが−Arg−であってよいと記載される場合、それは、−L‐Arg−、−D‐Arg−、またはこれら両方のラセミもしくは非ラセミ混合物であってよいことが理解される。本明細書に記載される作製プロセスにより、当業者は、適切な立体配置のアミノ酸を選択することで、本発明のペプチドの各立体異性体を得ることが可能となる。
【0080】
本発明に関して、「コードされないアミノ酸」という用語は、天然のものであってもそうでないものであっても、遺伝子コードによってコードされないアミノ酸を意味し、例えば、これらに限定されないが、中でもシトルリン、オルニチン、サルコシン、デスモシン、ノルバリン、4‐アミノ酪酸、2‐アミノ酪酸、2‐アミノイソ酪酸、6‐アミノヘキサン酸、1‐ナフチルアラニン、2‐ナフチルアラニン、2‐アミノ安息香酸、4‐アミノ安息香酸、4‐クロロフェニルアラニン、2,3‐ジアミノプロピオン酸、2,4‐ジアミノ酪酸、サイクロセリン、カルニチン、シスチン、ペニシラミン、ピログルタミン酸、チエニルアラニン、ヒドロキシプロリン、アロイソロイシン、アロスレオニン、イソニペコ酸、イソセリン、フェニルグリシン、スタチン、β‐アラニン、ノルロイシン、N‐メチルアミノ酸、β‐アミノ酸、またはγ‐アミノ酸、およびこれらの誘導体である。非天然アミノ酸のリストは、“Unusual amino acids in peptide synthesis”by D.C.Roberts and F.Vellaccio,in The Peptides,Vol 5(1983),Chapter VI,Gross E.and Meienhofer J.,Academic Press,New York,USAの論文中に、または、ネオMPS(NeoMPS)、バッケム(Bachem)、ノババイオケム(Novabiochem)、シグマ‐アルドリッチ、ペプチドインターナショナル(Peptides International)、アドバンストケムテック(Advanced ChemTech)、ケム‐インペックス(Chem‐Impex)、メイブリッジケミカルテクノロジーシロテック(Maybridge Chemical Technology Chirotech)、ペニンシュララボラトリーズ(Peninsula Laboratories)、またはRSPアミノアシッドアナログズ(RSP Amino Acid Analogues)、などの専門企業の商品カタログに記載されている。
【0081】
本発明に関して、p、n、およびmが0以外である場合、W、X、およびYの性質が本発明のペプチドの活性を妨げることはなく、むしろ、エラスターゼの阻害への寄与および/またはコラーゲン合成の刺激をもたらすか、またはこれらに影響を及ぼさないものであることは明らかに理解される。
【0082】
本発明の範囲には、本発明によって提供されるペプチドの美容的または薬理学的に許容される塩も含まれる。「美容的または薬理学的に許容される塩」という用語は、動物およびより詳細にはヒトへの使用が認められた塩を意味し、これらに限定されないが、中でもリチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、マンガン、銅、亜鉛、もしくはアルミニウムなどの無機塩、またはこれらに限定されないが、中でもエチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、アルギニン、リジン、ヒスチジン、もしくはピペラジンなどの有機塩である塩基付加塩、または、これらに限定されないが、中でも酢酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、マロン酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、安息香酸塩、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩、コハク酸塩、オレイン酸塩、トリフルオロ酢酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、もしくはグルコン酸塩を例とする有機塩、またはこれらに限定されないが、中でも塩化物、硫酸塩、ホウ酸塩、もしくは炭酸塩を例とする無機塩である酸付加塩、を形成するために用いられる塩を含む。塩の性質は、それが美容的または薬理学的に許容される限りにおいて決定的なものではない。本発明のペプチドの美容的または薬理学的に許容される塩は、現行技術において公知の従来の方法により得ることができる(S.M.Berge,L.D.Bighley and Monkhouse D.C.(1977)“Pharmaceutical Salts”J.Pharm.Sci 66:1‐19)。
【0083】
本発明の別の局面は、皮膚、粘膜、および/または頭皮の治療および/またはケアのための、本発明で述べる一般式(I)のペプチド、その立体異性体、その混合物、および/またはその美容的もしくは薬理学的に許容される塩に関する。
【0084】
1つの特定の局面では、本発明は、エラスターゼ活性に起因する、皮膚、粘膜、および/または頭皮の状態、障害、および/または疾患の、治療、予防、および/またはケアのための、本発明で述べる一般式(I)のペプチド、その立体異性体、その混合物、および/またはその美容的もしくは薬理学的に許容される塩に関する。
【0085】
別の特定の局面では、本発明は、コラーゲン合成の刺激が有益である、皮膚、粘膜、および/または頭皮の状態、障害、および/または疾患の、治療、予防、および/またはケアのための、本発明で述べる一般式(I)のペプチド、その立体異性体、その混合物、および/またはその美容的もしくは薬理学的に許容される塩に関する。
【0086】
別の特定の局面では、本発明は、エラスターゼの阻害、好ましくは、皮膚、粘膜、および/または頭皮におけるエラスターゼの阻害のための、本発明で述べる一般式(I)のペプチド、その立体異性体、その混合物、および/またはその美容的もしくは薬理学的に許容される塩に関する。
【0087】
別の特定の局面では、本発明は、コラーゲン合成の刺激、好ましくは、皮膚、粘膜、および/または頭皮におけるコラーゲン合成の刺激のための、本発明で述べる一般式(I)のペプチド、その立体異性体、その混合物、および/またはその美容的もしくは薬理学的に許容される塩に関する。
【0088】
別の特定の局面では、本発明は、皮膚、粘膜、および/または頭皮の弾性を高める、本発明で述べる一般式(I)のペプチド、その立体異性体、その混合物、および/またはその美容的もしくは薬理学的に許容される塩に関する。
【0089】
別の特定の局面では、本発明は、顔のシワを減少または除去する、本発明で述べる一般式(I)のペプチド、その立体異性体、その混合物、および/またはその美容的もしくは薬理学的に許容される塩に関する。
【0090】
別の特定の局面では、本発明は、老化および/または光老化の徴候を低減、遅延、および/または予防する、皮膚および/または頭皮の治療および/またはケアのための、本発明で述べる一般式(I)のペプチド、その立体異性体、その混合物、および/またはその美容的もしくは薬理学的に許容される塩に関する。
【0091】
別の特定の局面では、本発明は、シワ、表情ジワ、ストレッチマーク、皮膚の老化、皮膚の光老化、創傷治癒障害、潰瘍、糖尿病性潰瘍、ケロイド、肥厚性瘢痕、挫瘡、セルライト、オレンジピールスキン、弾力線維症、光線性弾力線維症、角化症、炎症、皮膚炎、アトピー性皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、敏感肌、湿疹、水疱性類天疱瘡、歯肉炎、歯周炎、皮膚癌、腫瘍浸潤、腫瘍転移、毛細血管拡張症、クーペロシス、静脈瘤、眼の周りのクマ、眼の下のクマ、脱毛症および脱毛、酒さ、ならびに/または乾癬の患部である皮膚、粘膜、および/または頭皮の治療および/またはケアのための、本発明で述べる一般式(I)のペプチド、その立体異性体、その混合物、および/またはその美容的もしくは薬理学的に許容される塩に関する。
【0092】
別の特定の局面では、本発明は、毛髪の治療または毛髪の衛生のための、本発明で述べる一般式(I)のペプチド、その立体異性体、その混合物、および/またはその美容的もしくは薬理学的に許容される塩に関する。
【0093】
別の特定の局面では、本発明は、顔および/もしくは身体の皮膚の治療および/またはケア、または、顔および/もしくは身体の衛生のための、本発明で述べる一般式(I)のペプチド、その立体異性体、その混合物、および/またはその美容的もしくは薬理学的に許容される塩に関する。
【0094】
別の特定の局面では、本発明の治療、予防、および/またはケアは、局所投与または経皮投与によって実施され;好ましくは、局所投与または経皮投与は、イオン泳動、ソノフォレーシス、電気穿孔法、機械的圧力、浸透圧勾配、密封治癒(occlusive cure)、マイクロインジェクション、圧力による無針注射、微小電気パッチ(microelectric patches)による、またはこれらのいずれかの組み合わせによって実施される。
【0095】
別の特定の局面では、治療、予防、および/またはケアは、経口投与によって行われる。
【0096】
作製手順
本発明のペプチド、それらの立体異性体、その混合物、および/またはそれらの美容的もしくは薬理学的に許容される塩の合成は、例えば、固相ペプチド合成の方法(Stewart J.M.and Young J.D.(1984)“Solid Phase Peptide Synthesis,2nd edition”Pierce Chemical Company,Rockford,Illinois;Bodanzsky M.and Bodanzsky A.(1984)“The practice of Peptide Synthesis”Springer Verlag,New York,Lloyd Williams P.,Albericio F.and Giralt E.(1997)“Chemical Approaches to the Synthesis of Peptides and Proteins”CRC,Boca Raton,FL,USA)、溶液中での合成の方法、固相合成および溶液合成の方法の組み合わせ、または酵素合成の方法(Kullmann W.(1980)“Proteases as catalysts for enzymic syntheses of opioid peptides”J.Biol.Chem.255:8234‐8238)など、先行技術において公知の従来の方法に従って実施することができる。ペプチドは、所望される配列を産生させる目的で遺伝子操作されたものであっても、されていないものであっても、細菌株の発酵によって得ることもでき、または、動物もしくは植物由来、好ましくは植物由来のタンパク質の制御された加水分解により少なくとも所望される配列を含有するペプチド断片を遊離させることによって得ることもできる。
【0097】
例えば、式(I)の本発明のペプチドを得るための方法は:
‐ N末端が遊離であり、C末端が保護されているかまたは固相支持体に結合しているアミノ酸上へ、N末端が保護され、C末端が遊離であるアミノ酸をカップリングする工程;
‐ N末端の保護基を除去する工程;
‐ カップリングおよびN末端保護基の除去の一連の操作を繰り返して、所望されるペプチド配列を得る工程;
‐ C末端の保護基の除去、または固相支持体からの開裂を行う工程、
を含む。
【0098】
好ましくは、C末端は固相支持体に結合しており、プロセスは固相上で行われ、従って、このプロセスは、N末端が遊離であり、C末端がポリマー支持体に結合しているアミノ酸上への、N末端が保護され、C末端が遊離であるアミノ酸のカップリング、N末端の保護基の除去;および、テトラペプチドを得るのに必要である回数の、この一連の操作の反復、ならびに、これに続いて、最後に、合成されたペプチドの元のポリマー支持体からの開裂、を含む。
【0099】
合成全体を通して、アミノ酸の側鎖の官能基は、一時的または永久的な保護基によって適切に保護された状態が維持され、ポリマー支持体からペプチドを開裂するプロセスと同時に、またはこれに対してオルトゴナルな形で(orthogonally)脱保護してよい。
【0100】
別の選択肢として、固相合成は、ジペプチドまたはトリペプチドを、ポリマー支持体上に、またはポリマー支持体へ予め結合させたジペプチドもしくはアミノ酸上にカップリングさせるという、収束的な方法によって実施してもよい。収束的合成法は、当業者に公知であり、Lloyd‐Williams P.,Albericio F.and Giralt E.on“Convergent solid phase peptide synthesis”(1993)Tetrahedron 49:11065‐11133に記載されている。
【0101】
このプロセスは、N末端およびC末端の脱保護、ならびに/または本技術分野で公知の標準的な条件およびプロセスを用いての、ポリマー支持体からの区別されない順番によるペプチドの開裂、の追加工程を含んでよく、その後、前記末端の官能基を修飾してよい。所望される場合は行ってよいN末端およびC末端の修飾は、ポリマー支持体に結合した状態の式(I)のペプチドで実施してよく、またはペプチドをポリマー支持体から開裂させた後に実施してもよい。
【0102】
別の選択肢として、Rは、本発明のペプチドのN末端と化合物R−Zとの反応によって導入してよく、ここで、Rは、上述の意味を有し、Zは、これらに限定されないが、中でも、トシル基、メシル基、およびハロゲン基などの脱離基であり;Rは、適切な溶媒中にて、塩基の存在下、求核置換反応で導入され、ここで、N−C結合の形成に関与しない官能基を持つ断片は、一時的または永久的な保護基によって適切に保護される。
【0103】
所望される場合は、および/または追加的に、Rラジカルの導入は、適切な溶媒、およびN,N‐ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)もしくはトリエチルアミンなどを例とする塩基、または1‐ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)もしくは1‐ヒドロキシアザベンゾトリアゾール(HOAt)などの添加剤、および例えば、中でもカルボジイミド、ウロニウム塩、ホスホニウム塩、もしくはアミジニウム塩などの脱水剤の存在下にて、Rが−OR、−NR、または−SRである化合物HRと、Rが−OHである式(I)のペプチドに対応する相補的断片との反応により、または例えば塩化チオニルを用いてアシルハロゲン化物を予め形成させ、それによって、本発明に従う一般式(I)のペプチドを得ることにより行ってよく、ここで、N−C結合の形成に関与しない官能基を有する断片は、一時的または永久的な保護基によって適切に保護されるか、または、別の選択肢として、他のRラジカルは、ペプチドをポリマー支持体から開裂させるプロセスと同時に行うカップリングによって導入してもよい。
【0104】
当業者であれば、C末端およびN末端の脱保護/開裂工程、およびその後の誘導体化工程が、本技術分野で公知の手順に従い、いかなる順序で行われてもよいことを容易に理解するであろう(Smith,M.B.and March,J.(1999)“March’s Advanced Organic Chemistry Reactions,Mechanisms and Structure”,5th Edition,John Wiley & Sons,2001)。
【0105】
「保護基」という用語は、有機官能基を封止し、制御された条件下で除去することができる基を意味する。保護基、それらの相対的な反応性、およびそれらが不活性状態を維持する条件については当業者に公知である。
【0106】
アミノ基のための保護基の代表例は、中でも、酢酸アミド、安息香酸アミド、ピバル酸アミドなどのアミド;ベンジルオキシカルボニル(CbzもしくはZ)、2‐クロロベンジル(ClZ)、パラ‐ニトロベンジルオキシカルボニル(pNZ)、tert‐ブチルオキシカルボニル(Boc)、2,2,2‐トリクロロエトキシカルボニル(Troc)、2‐(トリメチルシリル)エチルオキシカルボニル(Teoc)、9‐フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)、もしくはアリルオキシカルボニル(Alloc)などのカルバメート、トリチル(Trt)、メトキシトリチル(Mtt)、2,4‐ジニトロフェニル(Dnp)、N‐[1‐(4,4‐ジメチル‐2,6‐ジオキソシクロヘキサ‐1‐イリデン)エチル(Dde)、1‐(4,4‐ジメチル‐2,6‐ジオキソ‐シクロヘキシリデン)‐3‐メチルブチル(ivDde)、1‐(1‐アダマンチル)‐1‐メチルエトキシカルボニル(Adpoc)であり、好ましくは、BocまたはFmocである。
【0107】
カルボキシルのための保護基の代表例は、中でも、tert‐ブチルエステル(tBu)、アリルエステル(All)、トリフェニルメチルエステル(トリチルエステル、Trt)、シクロヘキシルエステル(cHex)、ベンジルエステル(Bzl)、オルソ‐ニトロベンジルエステル、パラ‐ニトロベンジルエステル、パラ‐メトキシベンジルエステル、トリメチルシリルエチルエステル、2‐フェニルイソプロピルエステル、フルオレニルメチルエステル(Fm)、4‐(N‐[1‐(4,4‐ジメチル‐2,6‐ジオキソシクロヘキシリデン)‐3‐メチルブチル]アミノ)ベンジルエステル(Dmab)などのエステルであり;本発明の好ましい保護基は、All、tBu、cHex、Bzl、およびTrtのエステルである。
【0108】
三官能アミノ酸は、N末端およびC末端の保護基に対してオルトゴナル(orthogonal)である一時的または永久的な保護基により、合成プロセスの過程で保護することができる。
【0109】
アルギニン側鎖のグアニジン基は、中でもアリルオキシカルボニル(Alloc)、パラ‐トルエンスルホニル(Tosyl、Tos)、2,2,5,7,8‐ペンタメチルクロマン‐6‐スルホニル(Pmc)、2,2,4,6,7‐ペンタメチルジヒドロベンゾフラン‐5‐スルホニル(Pbf)、ニトロもしくは4‐メトキシ‐2,3,6‐トリメチルベンゼンスルホニル(Mtr)基を用いて保護することができる。トリプトファン側鎖のインドール基は、ホルミル(For)、tert‐ブチルオキシカルボニル(Boc)、メシチレン‐2‐スルホニル(Mts)基を用いて保護することができ、または保護せずに用いることもできる。チロシン側鎖のヒドロキシル基は、中でも2‐ブロモベンジルオキシカルボニル(2‐BrZ)、tert‐ブチル(tBu)、アリル(All)、ベンジル(Bzl)、または2,6‐ジクロロベンジル(2,6‐diClZ)基を用いて保護することができる。
【0110】
好ましい態様では、用いられる保護基の方法は、アミノ基がBocで保護され、カルボキシル基がBzl、cHex、またはAllで保護され、アルギニン側鎖がTosで保護され、トリプトファン側鎖がForまたはMtsで保護され、およびチロシン側鎖が2‐BrZまたはBzlで保護される方法である。
【0111】
別の好ましい態様では、用いられる保護基の方法は、アミノ基がFmocで保護され、カルボキシル基がtBu、All、またはTrtで保護され、アルギニン側鎖がPbfまたはPmcで保護され、トリプトファン側鎖がBocで保護されるかまたは保護されずに用いられ、およびチロシン側鎖がtBuで保護される方法である。
【0112】
これらのおよびその他の追加的な保護基の例、それらの導入、ならびにそれらの除去については、文献に記載されている(Greene T.W.and P.G.M.Wuts,(1999)“Protective groups in Organic Synthesis”John Wiley & Sons,New York,Atherton B.and Sheppard R.C.(1989)”Solid Phase Peptide Synthesis:A practical approach”IRL Oxford University Press)。「保護基」という用語はまた、固相合成に用いられるポリマー支持体も含む。
【0113】
合成が、完全にまたは部分的に固相で行われる場合、本発明の方法で用いられることが考えられる固体支持体としては、ポリスチレン支持体、ポリスチレンにグラフトしたポリエチレングリコールなどが挙げられ、例えば、これらに限定されないが、p‐メチルベンズヒドリルアミン樹脂(MBHA)(Matsueda G.R.and Stewart J.M.(1981)“A p‐methylbenzhydrylamine resin for improved solid‐phase synthesis of peptide amides”Peptides 2:45‐50)、2‐クロロトリチル樹脂(Barlos K.,Gatos D.,Kallitsis J.,Papaphotiu G.,Sotiriu P.,Wenqing Y.and W.Schafer(1989)“Darstellung geschutzter Peptid substituierter Fragmente unter Einsatz Triphenylmethyl Harze”Tetrahedron Lett.30:3943‐3946;Barlos K.,Gatos D.,Kapolos S.,Papaphotiu G.,Schafer W.and Wenqing Y.(1989)“Veresterung von partiell geschutzten Peptid fragment mit Harz.Einsatz von 2‐Chlorotritylchlorid zur Synthese von Leu1‐Gastrin I”Tetrahedron Lett.30:3947‐3951)、TentaGel(登録商標)樹脂(ラップポリメーレ社(Rapp Polymere GmbH))、ChemMatrix(登録商標)樹脂(マトリックスイノベーション社(Matrix Innovation,Inc))などであり、これらは、5‐(4‐アミノメチル‐3,5‐ジメトキシ‐フェノキシ)−吉草酸(PAL)(Albericio F.,Kneib Cordonier N.,Biancalana S.,Gera L.,Masada R.I.,Hudson D.and Barany G.(1990)“Preparation and application of the 5‐(4‐(9‐fluorenylmethyloxycarbonyl)aminomethyl‐3,5‐dimethoxy‐phenoxy)‐valeric acid(PAL)handle for the solid phase synthesis of C‐terminal peptide amides under mild conditions”J.Org.Chem.55:3730‐3743)、2‐[4‐アミノメチル(2,4ジメトキシフェニル)]フェノキシ酢酸(AM)(Rink H.(1987)“Solid‐phase synthesis of protected peptide fragments using a diphenyltrialkoxymethylester resin”Tetrahedron Lett.28:3787‐3790)、ワング(Wang S.S.(1973)“p‐Alkoxybenzyl Alcohol Resin and p‐Alkoxybenzyloxycarbonylhydrazide Resin for Solid Phase Synthesis of Protected Peptide Fragments”J.Am.Chem.Soc.95:1328‐1333)などの、脱保護およびポリマー支持体からのペプチドの開裂を同時に行うことを可能とする不安定性リンカーを含んでも含んでいなくてもよい。
【0114】
美容または医薬組成物
本発明のペプチドは、皮膚、粘膜、および/または頭皮におけるエラスターゼ活性の阻害および/またはコラーゲン合成の刺激のために、哺乳類、好ましくはヒトの身体の作用部位とこのペプチドとを接触させる任意の手段により、それを含有する組成物の形態で、投与することができる。
【0115】
この点において、本発明の別の局面は、少なくとも1つの一般式(I)のペプチド、その立体異性体、その混合物、および/またはその美容的もしくは薬理学的に許容される塩を、少なくとも1つの美容的もしくは薬理学的に許容される補助剤と共に含む美容または医薬組成物である。このような組成物は、当業者に公知である従来の方法によって作製することができる(“Harry’s Cosmeticology”,Eight Edition(2000)Rieger M.M.,ed.,New York Chemical Pub,NY,U.S.;“Remington: The Science and Practice of Pharmacy,Twentieth Edition(2003)Gennaro A.R.,ed.,Lippincott Williams & Wilkins,Philadelphia,U.S.)。
【0116】
本発明のペプチドは、その配列の性質、またはN末端および/もしくはC末端において考え得る任意の修飾に応じて、様々な水溶性を有する。従って、本発明のペプチドは、水溶液によって組成物中に組み込むことができ、水溶性でないものは、例えば、これらに限定されないが、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、グリセリン、ブチレングリコール、もしくはポリエチレングリコール、またはこれらのいずれかの組み合わせなど、美容的もしくは薬理学的に許容される従来の溶媒中で可溶化することができる。
【0117】
投与される本発明のペプチドの美容的もしくは薬理学的効果量、ならびにそれらの用量は、年齢、患者の状態、障害もしくは疾患の重症度、投与の経路および頻度、ならびに用いられるペプチドの特定の性質を含む多くの因子に依存する。
【0118】
「美容的もしくは薬理学的効果量」とは、無毒性であるが、所望される効果を提供するのに十分である1もしくは複数の本発明のペプチドの量を意味する。本発明のペプチドは、本発明の美容または医薬組成物中にて、所望される効果を達成するために美容的または薬理学的に効果的である濃度にて用いられ;組成物の全重量に対する好ましい形態では、0.00000001%(重量による)から20%(重量による)、好ましくは、0.000001%(重量による)から20%(重量による)、より好ましくは、0.0001%(重量による)から10%(重量による)、さらにより好ましくは0.0001%(重量による)から5%(重量による)である。
【0119】
本発明のペプチドはまた、美容もしくは医薬送達システム、および/または徐放システムに組み込むことができる。
【0120】
「送達システム」という用語は、本発明のペプチドと共に投与される希釈剤、補助剤、賦形剤、またはキャリアを意味する。このような美容用または医薬用キャリアは、水、油類、または界面活性剤などの液体であってよく、例えば、これらに限定されないが、ピーナッツ油、大豆油、鉱油、ゴマ油、ヒマシ油、ポリソルベート、ソルビタンエステル、エーテルサルフェート、サルフェート、ベタイン、グルコシド、マルトシド、脂肪アルコール、ノノキシノール、ポロキサマー、ポリオキシエチレン、ポリエチレングリコール、デキシトロース、グリセロール、ジギトニンなど、石油、動物、植物、または合成由来のものを含む。E.W.Martinによる“Remington’s Pharmaceutical Sciences”は、適切な媒体としての希釈剤、補助剤、または賦形剤について記載している。
【0121】
「徐放」という用語は、ある期間にわたる化合物の少しずつの放出を、必須ではないが好ましくは、ある期間を通しての一定の化合物放出レベルと伴なって提供する化合物の送達システムを表す従来の意味で用いられる。
【0122】
送達システムまたは徐放システムの例は、リポソーム、混合リポソーム、オレオソーム、ニオソーム、小粒子、ミリ粒子、マイクロ粒子、ナノ粒子、および固体脂質ナノ粒子、スポンジ、シクロデキストリン、小胞、ミセル、界面活性剤の混合ミセル、界面活性剤‐リン脂質混合ミセル、ミリスフェア、マイクロスフェア、およびナノスフェア、リポスフェア、ミリカプセル、マイクロカプセル、およびナノカプセルであり、さらには、活性成分のより高い浸透の達成、および/またはその薬物動態学的および薬力学的性質の改善の目的で、マイクロエマルジョンおよびナノエマルジョンである。好ましい送達システムまたは徐放システムは、リポソーム、界面活性剤‐リン脂質混合ミセル、およびマイクロエマルジョンであり、より好ましくは、逆ミセルの内部構造を有する油中水型マイクロエマルジョンである。
【0123】
徐放システムは、先行技術で公知の方法によって作製することができ、それらを含有する組成物は、例えば、粘着性パッチ、非粘着性パッチ、および微小電気パッチを含む局所投与によって、または例えば、これらに限定されないが、経口、または、経鼻、直腸、もしくは皮下の埋め込みまたは注射、または特定の身体部分への直接の埋め込みもしくは注射を含む非経口による全身投与によって投与することができ、好ましくは、本発明のペプチドを比較的一定の量で放出する必要がある。徐放システムに含有されるペプチドの量は、例えば、投与部位、本発明のペプチドの放出の動態および持続期間、ならびに治療および/または予防されるべき状態、障害、および/または疾患の性質に応じて異なる。
【0124】
本発明のペプチドはまた、例えば、これらに限定されないが、中でもタルク、ベントナイト、シリカ、デンプン、もしくはマルトデキストリンなどの、固体有機ポリマーまたは固体ミネラル基材に吸着させてもよい。
【0125】
本発明のペプチドを含有する組成物はまた、皮膚、粘膜、および/または頭皮に直接接触する布、不織布、または医療用デバイス内へ組み込むこともでき、それによって、これらは、布もしくは不織布もしくは医療用デバイスとの固定システムの生分解により、または身体との摩擦により、身体の水分により、皮膚のpHにより、もしくは体温により、本発明のペプチドを放出する。さらに、布および不織布は、身体と直接接触する衣服の作製に用いることができる。好ましくは、本発明のペプチドを含有する布、不織布、および医療用デバイスは、エラスターゼ活性に起因する、および/またはコラーゲン合成の刺激が有益である、皮膚、粘膜、および/または頭皮の状態、障害、および/または疾患の、治療および/またはケアのために用いられる。
【0126】
上述の送達システムおよび/または徐放システムを含む、布、不織布、衣服、医療用デバイス、およびそれらにペプチドを固定化するための手段の例は、文献に記載されており、現行技術において公知である(Schaab C.K.(1986)“Impregnating Fabrics With Microcapsules”,HAPPI May 1986;Nelson G.(2002)“Application of microencapsulation in textiles”Int.J.Pharm.242:55‐62;“Biofunctional Textiles and the Skin”(2006)Curr.Probl.Dermatol,v.33,Hipler U.C.and Elsner P.,eds.S.Karger A.G.,Basel,Switzerland;Malcom R.K.,McCullagh S.D.,Woolfson A.D.,Gorman S.P.,Jones D.S.and Cuddy J.(2004)“Controlled release of a model antibacterial drug from a novel self‐lubricating silicone biomaterial”J.Cont.Release 97:313‐320)。好ましい布、不織布、衣服、および医療用デバイスは、絆創膏、ガーゼ、シャツ、靴下、ストッキング、下着、腰帯、手袋、オムツ、生理用ナプキン、包帯、ベッドカバー、拭き取り布、ヒドロゲル、粘着性パッチ、非粘着性パッチ、微小電気パッチ、および/またはフェイスマスクである。
【0127】
本発明のペプチド、それらの立体異性体、その混合物、および/またはそれらの美容的もしくは薬理学的に許容される塩を含有する美容または医薬組成物は、所望の形態を製剤するために必要である美容的もしくは薬理学的に許容される賦形剤を所望される場合は含んでいてよい、様々な種類の局所または経皮投与用組成物に用いることができる(Fauli i Trillo C.(1993)Treatise of Galenic Pharmacy,Luzan 5,S.A.Ediciones,Madrid)。
【0128】
局所投与または経皮用製剤のための組成物は、いかなる固体、液体、または半固体の製剤として提供されてもよく、例えば、これらに限定されないが、クリーム、例えば、これらに限定されないが、水中の油および/もしくはシリコーンのエマルジョン、油および/もしくはシリコーン中の水のエマルジョン、水/油/水型もしくは水/シリコーン/水型のエマルジョン、ならびに油/水/油型もしくはシリコーン/水/シリカ型のエマルジョンなどの多相エマルジョン、無水組成物、水性分散液、オイル、ミルク、バルサム、フォーム、ローション、ジェル、クリームジェル、水性アルコール溶液、水性グリコール溶液(hydroglycolic solutions)、ヒドロゲル、リニメント、血清(sera)、石鹸、シャンプー、コンディショナー、血清(serums)、多糖フィルム、軟膏、ムース、ポマード、粉末、バー型(bars)、ペンシル型(pencils)、スプレーもしくはエアロゾル(スプレー)などであり、「つけたままのタイプ(leave on)」の製剤および「洗い流しタイプ(rinse off)」の製剤を含む。これらの局所または経皮投与用の製剤は、当業者に公知の技術を用いて、例えば、これらに限定されないが、拭き取り布、ヒドロゲル、粘着性パッチ、非粘着性パッチ、微小電気パッチ、もしくはフェイスマスクなどの様々なタイプの固体付帯品に組み込んでよく、または、中でも、液体ファンデーションおよびコンパクトファンデーションを例とするメークアップファンデーション、メークアップリムーバルローション、メークアップリムーバルミルク、コンシーラー、アイシャドー;口紅、リッププロテクター、リップグロス、ならびにパウダーなどの種々のメークアップ製品に組み込んでもよい。
【0129】
本発明の美容または医薬組成物は、本発明のペプチドの経皮吸収を高める剤を含んでよく、例えば、これらに限定されないが、中でもジメチルスルホキシド、ジメチルアセタミド、ジメチルホルムアミド、界面活性剤、アゾン(1‐ドデシルアザシクロヘプタン‐2‐オン)、アルコール、尿素、エトキシジグリコール、アセトン、プロピレングリコール、またはポリエチレングリコールなどである。さらに、本発明の美容または医薬組成物は、本発明のペプチドの浸透を高める目的で、イオン泳動、ソノフォレーシス、電気穿孔法、微小電気パッチ、機械的圧力、浸透圧勾配、密封治癒、マイクロインジェクション、もしくは例えば酸素圧による注射などの圧力による無針注射、またはこれらのいずれかの組み合わせによって、治療される局所領域に適用することができる。適用領域は、予防、ケア、および/または治療を行う状態、障害、および/または疾患の性質によって決定される。
【0130】
さらに、本発明のペプチド、その立体異性体、および/またはその美容的もしくは薬理学的に許容される塩を含有する美容組成物は、種々のタイプの経口投与用製剤として用いることができ、好ましくは、これらに限定されないが、ゼラチンカプセルを含むカプセル、糖衣錠を含む錠剤、粉末、顆粒、チューイングガム、溶液、懸濁液、エマルジョン、シロップ、多糖フィルム、ゼリー、もしくはゼラチン、および当業者に公知のその他のいずれかの形を例とする経口美容品(oral cosmetics)の形態である。特に、本発明のペプチドは、これらに限定されないが、食事バー、または圧縮もしくは非圧縮粉末など、機能性食品または栄養強化食品のいずれの形態にも組み込むことができる。これらの粉末は、水、ソーダ、乳製品、ダイズ由来品に可溶化可能であるか、または食事バーに組み込み可能である。本発明のペプチドは、これらに限定されないが、脂肪成分、水性成分、湿潤剤、保存料、食感付与剤(texturizing agents)、香味料、香料、酸化防止剤、および食品産業における一般的な食用色素などの一般的な賦形剤および補助剤と共に、経口組成物または食品サプリメント用に製剤することができる。
【0131】
本発明のペプチド、それらの立体異性体、その混合物、および/またはその美容的もしくは薬理学的に許容される塩を含有する美容または医薬組成物は、局所もしくは経皮経路、その他の適切ないずれの経路でも投与することができ、例えば経口または非経口経路であり、その目的のために、それらには所望される投与形態の製剤に必要な薬理学的に許容される賦形剤が含まれる。本発明に関して、「非経口」という用語は、経鼻、耳介、点眼、直腸経路、皮下注射、静脈内、筋肉内、硝子体内、脊髄内、頭蓋内、関節内、くも膜下腔内、および腹腔内注射などの皮内、血管内注射、ならびにいずれかの別の同様の注射または注入技術を含む。活性成分の様々な医薬投与形態、およびそれらを得るために必要である賦形剤についてのレビューは、“Tratado de Farmacia Galenica,”C.Fauli i Trillo,1993,Luzan 5,S.A.Ediciones,Madridに記載されている。
【0132】
本発明に記載される美容または医薬組成物に含有される美容的または薬理学的に許容される補助剤の中でも、皮膚、粘膜、および/または頭皮の治療および/またはケアのための組成物に一般的に用いられる追加成分が挙げられ、例えば、これらに限定されないが、その他のエラスターゼ阻害剤、マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤、メラニン合成の刺激または阻害剤、美白または脱色剤、着色促進剤(propigmenting agents)、セルフタンニング剤、老化防止剤、NO‐シンターゼの阻害剤、5α‐レダクターゼの阻害剤、リジル‐および/またはプロリルヒドロキシラーゼの阻害剤、酸化防止剤、遊離ラジカル捕捉剤および/または抗大気汚染剤、反応性カルボニル種捕捉剤、抗糖化剤、抗ヒスタミン剤、制吐剤、抗ウィルス剤、抗寄生虫剤、乳化剤、皮膚軟化剤、有機溶媒、液体噴霧剤、湿潤剤などの皮膚調整剤、水分を保持する物質、アルファヒドロキシ酸、ベータヒドロキシ酸、保湿剤、表皮加水分解酵素、ビタミン、顔料または着色剤、色素、ゲル化ポリマー、増粘剤、界面活性剤、軟化剤、シワ防止剤、目の下のクマを低減または治療できる剤、剥離剤、抗菌剤、抗真菌剤、静真菌剤、殺菌剤、静菌剤、真皮もしくは表皮の高分子合成を刺激する剤および/またはそれらの分解を阻害もしくは予防する能力を持つ剤、例えばコラーゲン合成を刺激する剤、エラスチン合成を刺激する剤、デコリン合成を刺激する剤、ラミニン合成を刺激する剤、デフェンシン合成を刺激する剤、シャペロン合成を刺激する剤、アクアポリン合成を刺激する剤、ヒアルロン酸合成を刺激する剤、フィブロネクチン合成を刺激する剤、サーチュイン合成を刺激する剤、脂質および角質層成分(セラミド、脂肪酸など)の合成を刺激する剤、コラーゲン分解を阻害する剤、エラスチン分解を阻害するその他の剤など、カテプシンGなどのセリンプロテアーゼを阻害する剤、線維芽細胞増殖を刺激する剤、ケラチノサイト増殖を刺激する剤、脂肪細胞増殖を刺激する剤、メラノサイト増殖を刺激する剤、ケラチノサイト分化を刺激する剤、脂肪細胞分化を刺激する剤、アセチルコリンエステラーゼを阻害する剤、皮膚弛緩剤、グリコサミノグリカン合成を刺激する剤、抗過角化症剤、面皰分解剤(comedolytic agents)、抗乾癬剤、DNA修復剤、DNA保護剤、安定化剤、抗掻痒剤、敏感肌の治療および/またはケアのための剤、固化剤(firming agents)、抗ストレッチマーク剤、結合剤、皮脂産生を制御する剤、脂肪分解剤または脂肪分解を刺激する剤、抗セルライト剤、抗発汗剤、治癒を刺激する剤、治癒共補助剤(coadjuvant healing agents)、再上皮化を刺激する剤、再上皮化共補助剤(coadjuvant reepithelialization agents)、サイトカイン成長因子、沈静剤、抗炎症剤、麻酔剤、毛細血管循環および/または微小循環に作用する剤、血管新生を刺激する剤、血管透過性を阻害する剤、静脈強壮剤(venotonic agents)、細胞代謝に作用する剤、真皮‐表皮接合を改善する剤、発毛を誘発する剤、発毛阻害もしくは抑制剤、保存料、芳香物質、キレート剤、植物抽出物、エッセンシャルオイル、海産抽出物、生物発酵プロセスから得られる剤、無機塩、細胞抽出物、ならびに日焼け止め(紫外線Aおよび/またはBに対して作用する、有機または無機の光防護剤)などが、組成物のその他の成分と、特に本発明の組成物に含有される一般式(I)のペプチドと物理的におよび化学的に適合性を有する限りにおいて、挙げられる。さらに、これらの追加成分の性質は、本発明のペプチドの利点を許容されない程度まで変化させてはならない。これらの追加成分の本質は、合成であっても、もしくは植物抽出物などの天然であってもよく、または生物発酵プロセスによって得られる。さらなる例は、“CTFA International Cosmetic Ingredient Dictionary & Handbook,12th Edition(2008)”に記載されている。
【0133】
本発明のさらなる局面は、本発明のペプチド、その立体異性体、その混合物、および/またはその美容的もしくは薬理学的に許容される塩の少なくとも1つを、美容的または薬理学的効果量で含有し、ならびに、これらに限定されないが、中でも、ペンタファーム/DSM(Pentapharm/DSM)から市販されているElhibin(登録商標)[INCI:ツルマメ(Glycine Soja)(ダイズ)タンパク質]、Preregen(登録商標)[INCI:ツルマメ(ダイズ)タンパク質、オキシドレダクターゼ]、もしくはRegu(登録商標)‐Age[INCI:加水分解コメヌカタンパク質、ツルマメ(ダイズ)タンパク質、オキシドレダクターゼ]、コレチカ/エンゲルハード/BASF(Coletica/Engelhard/BASF)から市販されているJuvenesce[INCI:エトキシジグリコールおよびカプリルトリグリセリド、レチノール、ウルソール酸、フィトナジオン、イロマスタット]、Micromerol(商標)[INCI:ピルスマルス(Pyrus Malus)抽出物]、ヒース抽出物[INCI:カルナブルガリス(Calluna Vulgaris)抽出物]、Extracellium(登録商標)[INCI:加水分解ジャガイモタンパク質]、もしくはFlavagrum(商標)PEG[INCI:PEG‐6イソステアレート、ヘスペレチンラウレート]、ラボラトリーズセロビオロジーク/コグニス(Laboratoires Serobiologiques/Cognis)から市販されているProteasyl(登録商標)TP LS8657[INCI:エンドウマメ(Pisum Sativum)抽出物]、SEPPICから市販されているSepilift DPHP[INCI:ジパルミトイルヒドロキシプロリン]、ラーン(Rahn)から市販されているVitaderm(登録商標)[INCI:アルコール、水、グリセリン、加水分解コメタンパク質、イレクスアクイフォリウム(Ilex Aquifolium)抽出物、ウルソール酸ナトリウム、オレアノール酸ナトリウム]、ガッテフォッセ(Gattefosse)から市販されているGatuline(登録商標)Age Defense 2[INCI:ジュグランスレジア(Juglans Regia)(クルミ)種子抽出物]、IEBおよびアトリウム(Atrium)から市販されているIP 2000[INCI:デキストラン、トリフルオロアセチルトリペプチド‐2]、ソラビア(Solabia)から市販されているRadicaptol[INCI:プロピレングリコール、水、パシフローラインカルナータ(Passiflora Incarnata)花抽出物、リベスニグルム(Ribes Nigrum)(ブラックカラント)葉抽出物、ビチスビニフェラ(Vitis Vinifera)(ブドウ)葉抽出物]、またはソリアンス(Soliance)から市販されているViaPure(商標)Boswellia[INCI:オリバナム(ボスウェリアセラタ(Boswellia Serrata))抽出物]を例とする、エラスターゼ阻害剤である合成化合物、天然抽出物、または生物発酵プロセスによって得られる産物の少なくとも1つも美容的または薬理学的効果量で含有する、美容または医薬組成物に関する。
【0134】
本発明のさらなる局面は、本発明のペプチド、その立体異性体、その混合物、および/またはその美容的もしくは薬理学的に許容される塩の少なくとも1つを、美容的または薬理学的効果量で含有し、ならびに、これらに限定されないが、パルミチン酸アスコルビル、リン酸アスコルビルマグネシウム、リン酸アスコルビルナトリウム、ならびにアルファ‐およびベータ‐アスコルビルグルコシドなどのアスコルビン酸とその誘導体、レチノイン酸、レチナール、酢酸レチニル、もしくはパルミチン酸レチニルなどのレチノールおよびレチノールの誘導体、アロエ属およびツボクサ属の抽出物などを例とする植物抽出物、カルニチン、カルノシン、クレアチン、アシアチン酸、マデカシン酸、マデカソシド、アシアチコシド、センテラアシアチカの抽出物、ナイアシンアミド、アスタキサンチン、グルカン、ゲニステインおよびダイゼインなどのダイズ抽出物およびダイズイソフラボン、ルチン、クリシン、モリン、ビンロウジアルカロイド、フォルスコリン、ベツリン酸、オオバコ属の抽出物、TGF‐ベータ、イチョウの抽出物、グルタミン、グリコール酸、セデルマ/クロダから市販されているMatrixyl(登録商標)[INCI:パルミトイルペンタペプチド‐4]、Matrixyl 3000(登録商標)[INCI:パルミトイルテトラペプチド‐7、パルミトイルオリゴペプチド]、もしくはDermaxyl(登録商標)[INCI:C12‐15アルキルベンゾエート、トリベヘニン、セラミド2、PEG10ナタネステロール、パルミトイルオリゴペプチド]、ペンタファーム/DSMから市販されているSyn(登録商標)‐Coll[INCI:パルミトイルトリペプチド‐5]、Phytaluronate(登録商標)[INCI:イナゴマメ(セラトニアシリクア(Ceratonia Siliqua)ガム]、もしくはBeauActive(商標)MTP[INCI:加水分解乳タンパク質]、バイオテックマリン(Biotechmarine)から市販されているThalassine(商標)[INCI:藻抽出物]、コレチカ/エンゲルハード/BASFから市販されているEquiStat(商標)[INCI:ピルスマルス果実抽出物、ツルマメ種子抽出物]もしくはJuvenesce[INCI:エトキシジグリコールおよびカプリルトリグリセリド、レチノール、ウルソール酸、フィトナジオン、イロマスタット]、シラブ(Silab)から市販されているSMS Anti‐wrinkle(登録商標)[INCI:アンノナスクアモサ(Annona Squamosa)から精製されたオリゴペプチド]もしくはPapilactyl D(登録商標)[INCI:水、シペルスエスクレンツス(Cyperus Esculentus)塊茎抽出物]、アトリウムイノベーションズ/ユニペックスグループ(Atrium Innovations/Unipex Group)から市販されているChroNOline(商標)[INCI:グリセリン、水(アクア(Aqua))、デキストラン、カプロオイルテトラペプチド‐3(Caprooyl Tetrapeptide‐3)]、Kollaren(登録商標)[INCI:トリペプチド‐1]、もしくはThymulen(登録商標)4[INCI:水、デキストラン、アセチルテトラペプチド‐2]、ソラビアから市販されているBioLyse T.A.[INCI:L‐リジンおよびL‐アルギニンから成るオリジナルオリゴペプチド]もしくはPeptiskin(登録商標)[INCI:アルギニン/リジンポリペプチド]、ガッテフォッセ(Gattefosse)から市販されているGatuline(登録商標)In‐Tense[INCI:カプリル/カプリントリグリセリド、スピランテスアクメラ(Spilanthes Acmella)花抽出物]、ミベレバイオケミストリー(Mibelle Biochemistry)から市販されているPhytoCellTec(商標)Malus Domestica[INCI:リンゴ(Malus Domestica)果実細胞培養物、キサンタンガム、グリセリン、レシチン、フェノキシエタノール、水]、エボニクゴールドシュミット(Evonik Goldschmidt)から市販されているPhytosphingosine SLC[INCI:サリチロイルフィトスフィンゴシン]、ソリアンス(Soliance)から市販されているDakaline[INCI:スィートアーモンド(Prunus Amygdalus Dulcis)、アノゲイサスレイオカルプス(Anogeissus Leiocarpus)樹皮抽出物]、ビンシエンスから市販されているCollaxyl(登録商標)[INCI:ヘキサペプチド‐9]、GP4G[INCI:アルテミア属(Artemia)抽出物]、D’Orientine(商標)[INCI:フェニックスダクチリフェラ(Phoenix Dactylifera)(ナツメヤシ)種子抽出物]、もしくはEderline(商標)[INCI:ピルスマルス リンゴ果実抽出物]、またはプロビタル(Provital)から市販されているHomeostatine[INCI:エンテロモルファコンプレッサ(Enteromorpha Compressa)、カエサルピニアスピノーサ(Caesalpinia Spinosa)]を例とする、コラーゲン合成剤を刺激する剤である合成化合物、天然抽出物、または生物発酵プロセスによって得られる産物の少なくとも1つも美容的または薬理学的効果量で含有する、美容または医薬組成物に関する。
【0135】
本発明のさらなる局面は、本発明のペプチド、その立体異性体、その混合物、および/またはその美容的もしくは薬理学的に許容される塩の少なくとも1つを、美容的または薬理学的効果量で含有し、ならびに、これらに限定されないが、中でもリポテック(Lipotec)から市販されているカルノシンおよびその誘導体、GHK[INCI:トリペプチド‐1]ならびにその塩および/もしくは誘導体、またはAldenine(登録商標)[INCI:加水分解コムギタンパク質、加水分解ダイズタンパク質、トリペプチド‐1]、またはPreventhelia(商標)[INCI:ジアミノプロピオニルトリペプチド‐33]を例とする、反応性カルボニル種の捕捉剤、遊離ラジカル捕捉剤、および/または抗糖化剤である合成化合物、天然抽出物、または生物発酵プロセスによって得られる産物の少なくとも1つも美容的または薬理学的効果量で含有する、美容または医薬組成物に関する。
【0136】
本発明のさらなる局面は、本発明のペプチド、その立体異性体、その混合物、および/またはその美容的もしくは薬理学的に許容される塩の少なくとも1つを、美容的または薬理学的効果量で含有し、ならびに、これらに限定されないが、中でもビチスビニフェラ、ロサカニナ(Rosa canina)、ウコン(Curcuma longa)、アイリスパリダ(Iris pallida)、カカオ(Theobroma cacao)、イチョウ、レオントポジウムアルピヌム(Leontopodium Alpinum)、もしくはドゥナリエラサリナ(Dunaliella salina)の抽出物を例とするシワ防止剤および/もしくは老化防止剤である抽出物の少なくとも1つ、またはこれらに限定されないが、中でもセデルマ/クロダから市販されているMatrixyl(登録商標)[INCI:パルミトイルペンタペプチド‐3]、Matrixyl 3000(登録商標)[INCI:パルミトイルテトラペプチド‐7、パルミトイルオリゴペプチド]、Essenskin(商標)[INCI:ヒドロキシメチオニンカルシウム]、Renovage[INCI:テプレノン]、もしくはDermaxyl(登録商標)[INCI:パルミトイルオリゴペプチド]、ペンタファーム/DSMから市販されているVialox(登録商標)[INCI:ペンタペプチド‐3]、Syn Ake(登録商標)[INCI:ジペプチドジアミノブチロイルベンジルアミドジアセテート]、Syn(登録商標)‐Coll[INCI:パルミトイルトリペプチド‐5]、Phytaluronate[INCI:イナゴマメ(セラトニアシリクア)ガム]、もしくはPreregen(登録商標)[INCI:ツルマメ(ダイズ)タンパク質、オキシドレダクターゼ]、ラボラトリーズセロビオロジーク/コグニスから市販されているMyoxinol(商標)[INCI:加水分解ハイビスカスエスクレンタス(Hibiscus Esculentus)抽出物]、Syniorage(商標)[INCI:アセチルテトラペプチド‐11]、Dermican(商標)[INCI:アセチルテトラペプチド‐9]、もしくはDN‐AGE(商標)LS[INCI:カシアアラタ(Cassia Alata)葉抽出物]、エクスシモール(Exsymol)から市販されているAlgisum C(登録商標)[INCI:メチルシラノールマンヌロネート]もしくはHydroxyprolisilane CN(登録商標)[INCI:メチルシラノールヒドロキシプロリンアスパルテート]、リポテックから市販されているArgireline(登録商標)[INCI:アセチルヘキサペプチド‐8]、SNAP‐7[INCI:アセチルへプタペプチド‐4]、SNAP‐8[INCI:アセチルオクタペプチド‐3]、Leuphasyl(登録商標)[INCI:ペンタペプチド 18]、Inyline(商標)[INCI:(提案)アセチルヘキサペプチド‐30]、Aldenine(登録商標)[INCI:加水分解コムギタンパク質、加水分解ダイズタンパク質、トリペプチド‐1]、Preventhelia(商標)[INCI:ジアミノプロピオニルトリペプチド‐33]、Decorinyl(商標)[INCI:トリペプチド‐10 シトルリン]、Trylagen(商標)[INCI:シュードアルテロモナスフェルメント(Pseudoalteromonas Ferment)抽出物、加水分解コムギタンパク質、加水分解ダイズタンパク質、トリペプチド‐10 シトルリン、トリペプチド‐1];Eyeseryl(登録商標)[INCI:アセチルテトラペプチド‐5]、Peptide AC29[INCI:アセチルトリペプチド‐30 シトルリン]、Lipochroman‐6[INCI:ジメチルメトキシクロマノール]、Chromabright(商標)[INCI:ジメチルメトキシクロマニルパルミテート]、Vilastene(商標)[INCI:リジンHCl、レシチン、トリペプチド‐10 シトルリン]、dGlyAGE(商標)[INCI:リジンHCl、レシチン、トリペプチド‐9 シトルリン]、もしくはAntarcticine(登録商標)[INCI:シュードアルテロモナスフェルメント抽出物]、インスティテュートユーロピーンデビオロギーセルレア(Institut Europeen de Biologie Cellulaire)から市販されているKollaren(登録商標)[INCI:トリペプチド‐1、デキストラン]、ビンシエンスから市販されているCollaxyl(登録商標)IS[INCI:ヘキサペプチド‐9]、Orsirtine(商標)GL[INCI:イネ(Oryza Sativa)(コメ)抽出物]、D’Orientine(商標)IS[INCI:フェニックスダクチリフェラ(ナツメヤシ)種子抽出物]、Phytoquintescine(商標)[INCI:ヒトツブコムギ(トリチカムモノコッカム(Triticum monococcum))抽出物]、もしくはQuintescine(商標)IS[INCI:ジペプチド‐4]、インフィニテックアクティボス(Infinitec Activos)から市販されているBONT‐L Peptide[INCI:パルミトイルヘキサペプチド‐19]、セピック(Seppic)から市販されているDeepaline(商標)PVB[INCI:パルミトイル加水分解コムギタンパク質]もしくはSepilift(登録商標)DPHP[INCI:ジパルミトイルヒドロキシプロリン]、ガッテフォッセから市販されているGatuline(登録商標)Expression[INCI:アクメラオレラセア(Acmella oleracea)抽出物]、Gatuline(登録商標)In‐Tense[INCI:スピランテスアクメラ花抽出物]、もしくはGatuline(登録商標)Age Defense 2[INCI:ジュグランスレジア(クルミ)種子抽出物]、バイオテックマリンから市販されているThalassine(商標)[INCI:藻抽出物]、アトリウムイノベーションズ/ユニペックスグループから市販されているChroNOline(商標)[INCI:カプロオイルテトラペプチド‐3(Caprooyl Tetrapeptide‐3)]もしくはThymulen‐4[INCI:アセチルテトラペプチド‐2]、コレチカ/エンゲルハード/BASFから市販されているEquiStat[INCI:ピルスマルス果実抽出物、ツルマメ種子抽出物]もしくはJuvenesce[INCI:エトキシジグリコールおよびカプリルトリグリセリド、レチノール、ウルソール酸、フィトナジオン、イロマスタット]、ミベレバイオケミストリーから市販されているAmeliox[INCI:カルノシン、トコフェロール、マリアアザミ(Silybum Marianum)果実抽出物]もしくはPhytoCellTec Malus Domestica[INCI:リンゴ果実細胞培養物]、シラブから市販されているBioxilift[INCI:ピンピネラアニスム(Pimpinella Anisum)抽出物]もしくはSMS Anti‐Wrinkle(登録商標)[INCI:アンノナスクアモサ種子抽出物、例えばこれらに限定されないが、アルベリン、マンガンもしくはマグネシウム塩、特定の二級もしくは三級アミン、レチノールおよびその誘導体、ならびにイデベノンおよびその誘導体などのCa2+チャネルアンタゴニスト、コエンザイムQ10およびその誘導体、ボスウェリア酸(boswellic acid)およびその誘導体、GHKおよびその誘導体、および/もしくはその塩、カルノシンおよびその誘導体、例えばこれらに限定されないが、フォトリアーゼもしくはT4エンドヌクレアーゼVなどのDNA修復酵素、または塩素チャネルアゴニスト、を例とする、シワ防止剤および/または老化防止剤である合成化合物または産物の少なくとも1つも美容的または薬理学的効果量で含有する、美容または医薬組成物に関する。
【0137】
本発明のさらなる局面は、本発明のペプチド、その立体異性体、その混合物、および/またはその美容的もしくは薬理学的に許容される塩の少なくとも1つを、美容的または薬理学的効果量で含有し、ならびに、これらに限定されないが、中でもブプレウルムチネンシス(Bupleurum Chinensis)、セクロピアオブツシフォリア(Cecropia Obtusifolia)、ケイトウ(Celosia Cristata)、センテラアシアチカ、キノア(Chenopodium Quinoa)、クリサンテルムインジクム(Chrysanthellum Indicum)、シトラスアウランチウムアマラ(Citrus Aurantium Amara)、コーヒーノキ(Coffea Arabica)、コリウスフォースコーリー(Coleus Forskohlii)、コンミフォラミルハ(Commiphora Myrrha)、クリスムムマリチムム(Crithmum Maritimum)、ユーゲニアカリオフィルス(Eugenia Caryophyllus)、イチョウ、ヘデラヘリクス(Hedera Helix)(アイビー抽出物)、ハイビスカスサブダリファ(Hibiscus Sabdariffa)、マテチャ(Ilex Paraguariensis)、ラミナリアディジタータ(Laminaria Digitata)、ネルムビウムスペシオスム(Nelumbium Speciosum)、パウリニアクパナ(Paullinia Cupana)、ペウムスボルズス(Peumus Boldus)、フィラカンサフィブローサ(Phyllacantha Fibrosa)、プルネラブルガリス(Prunella Vulgaris)、スィートアーモンド、ルスクスアクレアツス(Ruscus Aculeatus)(ナギイカダ抽出物)、セイヨウニワトコ(Sambucus Nigra)、スピルリナプラテンシスアルガエ(Spirulina Platensis Algae)、キャッツクロー(Uncaria Tomentosa)、もしくはベルベナオフィシナリス(Verbena Officinalis)の抽出物または抽出物の加水分解物などを例とする抗セルライト剤、脂肪分解剤、および/もしくは静脈強壮剤である合成もしくは天然抽出物の少なくとも1つを、または、加えて、これらに限定されないが、中でもジヒドロミリセチン、コエンザイムA、リパーゼ、グラウシン(glaucin)、エスクリン、ビスナジン、ペンタファーム/DSMから市販されているRegu(登録商標)‐Shape[INCI:異性化リノール酸、レシチン、グリセリン、ポリソルベート80]、ビンシエンス/ISPから市販されているUCPeptide(商標)V[INCI:ペンタペプチド]もしくはAT Peptide(商標)IS[INCI:トリペプチド‐3]、SEPPICから市販されているAdiposlim[INCI:ソルビタンラウレート、ラウロイルプロリン]、リポテックから市販されているLiporeductyl(登録商標)[INCI:レシチン、カフェイン、ナギイカダ(ルスクスアクレアツス)根抽出物、Teaハイドロヨージド、アイビー(ヘデラへリクス)抽出物、カルニチン、エスチン、トリペプチド‐1]、カフェイン、カルニチン、エスチン、および/またはトリエタノールアミンヨージドを例とする、抗セルライト剤、脂肪分解剤、および/もしくは静脈強壮剤である合成化合物、抽出物、または生物発酵プロセスで得られる産物の少なくとも1つも、美容的または薬理学的効果量で含有する、美容または医薬組成物に関する。
【0138】
適用
本発明の別の局面は、皮膚、粘膜、および/または頭皮の治療および/またはケアのための美容または医薬組成物の作製における、一般式(I)のペプチド、その立体異性体、その混合物、および/またはその美容的もしくは薬理学的に許容される塩の少なくとも1つの使用に関する。
【0139】
加えて、本発明は、好ましくは皮膚、粘膜、および/または頭皮におけるエラスターゼの阻害および/またはコラーゲン合成の刺激のための美容または医薬組成物の作製における、一般式(I)のペプチド、その立体異性体、その混合物、および/またはその美容的もしくは薬理学的に許容される塩の少なくとも1つの使用に関する。
【0140】
さらに、本発明の別の局面は、好ましくは皮膚、粘膜、および/または頭皮における、エラスターゼ活性に起因する、および/またはコラーゲン合成の刺激が有益である、皮膚、粘膜、および/または頭皮の状態、障害、および/または疾患の、治療、予防、および/またはケアのための美容または医薬組成物の作製における、一般式(I)のペプチド、その立体異性体、その混合物、および/またはその美容的もしくは薬理学的に許容される塩の少なくとも1つの使用に関する。
【0141】
好ましくは、エラスターゼ活性に起因する、および/またはコラーゲン合成の刺激が有益である、治療、予防、および/またはケアを行うべき皮膚、粘膜、および/または頭皮の状態、障害、および/または疾患としては、中でも、シワ、表情ジワ、ストレッチマーク、皮膚老化、皮膚光老化、創傷治癒障害、潰瘍、糖尿病性潰瘍、ケロイド、肥厚性瘢痕、挫瘡、セルライト、オレンジピールスキン、弾力線維症、光線性弾力線維症、角化症、炎症、皮膚炎、アトピー性皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、敏感肌、湿疹、水疱性類天疱瘡、歯肉炎、歯周炎、皮膚癌、腫瘍浸潤、腫瘍転移、毛細血管拡張症、クーペロシス、静脈瘤、眼の周りのクマ、眼の下のクマ、脱毛症および脱毛、酒さ、および/または乾癬である。
【0142】
好ましい態様によると、本発明は、老化および/または光老化の徴候を低減、遅延、および/または予防する、皮膚、粘膜、および/または頭皮の治療のための美容または医薬組成物の作製における、式(I)のペプチドの使用に関する。
【0143】
別の好ましい態様によると、本発明は、皮膚、粘膜、および/または頭皮の弾性を高める美容または医薬組成物の作製における、一般式(I)のペプチド、その立体異性体、その混合物、および/またはその美容的もしくは薬理学的に許容される塩の少なくとも1つの使用に関する。
【0144】
別の特定の局面では、本発明は、顔のシワを減少または除去する美容または医薬組成物の作製における、一般式(I)のペプチド、その立体異性体、その混合物、および/またはその美容的もしくは薬理学的に許容される塩の少なくとも1つの使用に関する。
【0145】
別の好ましい態様によると、本発明は、毛髪の治療または毛髪の衛生のための美容または医薬組成物の作製における、一般式(I)のペプチド、その立体異性体、その混合物、および/またはその美容的もしくは薬理学的に許容される塩の少なくとも1つの使用に関する。毛髪の治療または毛髪の衛生のための美容または医薬組成物の例としては、中でもシャンプー、コンディショナー、ヘアローション、ヘアトニック、または頭皮用マスクが挙げられる。
【0146】
別の好ましい態様によると、本発明は、身体の衛生、または顔および/もしくは身体の皮膚の治療ならびに/またはケアのための美容または医薬組成物の作製における、一般式(I)のペプチド、その立体異性体、その混合物、および/またはその美容的もしくは薬理学的に許容される塩の少なくとも1つの使用に関する。身体の衛生、または顔および/もしくは身体の皮膚の治療ならびに/またはケアのための美容または医薬組成物の例としては、中でも、クリーム、例えばこれらに限定されないが、水中の油および/もしくはシリコーンのエマルジョン、油および/もしくはシリコーン中の水のエマルジョン、水/油/水型もしくは水/シリコーン/水型のエマルジョン、ならびに油/水/油型もしくはシリコーン/水/シリカ型のエマルジョンなどの多相エマルジョン、無水組成物、水性分散液、オイル、ミルク、バルサム、フォーム、ローション、ジェル、クリームジェル、水性アルコール溶液、水性グリコール溶液、ヒドロゲル、リニメント、血清(sera)、石鹸、シャンプー、コンディショナー、血清(serums)、多糖フィルム、軟膏、ムース、ポマード、粉末、バー型、ペンシル型、「つけたままのタイプ」の製剤および「洗い流しタイプ」の製剤を含むスプレーもしくはエアロゾル(スプレー)、拭き取り布、ヒドロゲル、粘着性パッチ、非粘着性パッチ、微小電気パッチ、もしくはフェイスマスク、液体ファンデーションおよびコンパクトファンデーションを例とするメークアップファンデーション、メークアップリムーバルローション、メークアップリムーバルミルク、コンシーラー、アイシャドー、口紅、リッププロテクター、リップグロス、ならびにパウダーなどのメークアップ製品、が挙げられる。
【0147】
本発明のペプチド、それらの立体異性体、その混合物、および/またはその美容的もしくは薬理学的に許容される塩を含有する組成物は、状態、障害、および/または疾患の治療、予防、および/またはケアを行う必要に応じて、皮膚、粘膜、および/または頭皮に適用してよく、または、経口もしくは非経口投与してもよい。
【0148】
本発明に関する美容または医薬組成物の皮膚および/または頭皮への適用は、本発明のペプチドの浸透を高めるために、イオン泳動、ソノフォレーシス、電気穿孔法、微小電気パッチ、機械的圧力、浸透圧勾配、密封治癒、マイクロインジェクション、もしくは例えば酸素圧による注射などの圧力による無針注射、またはこれらのいずれかの組み合わせ、によって実施してよい。
【0149】
本発明のさらなる局面は、エラスターゼの阻害および/またはコラーゲン合成の刺激が有益である、哺乳類、好ましくはヒトの状態、障害、および/または疾患の、治療、予防、および/またはケアのための美容的または医薬的方法に関し、この方法は、一般式(I)のペプチド、その立体異性体、その混合物、および/またはその美容的もしくは薬理学的に許容される塩の少なくとも1つの効果量を、好ましくはそれを含有する美容もしくは医薬組成物の形態で、投与することを含む。本発明はまた、好ましくは皮膚、粘膜、および/または頭皮において、エラスターゼを阻害する、および/またはコラーゲン合成を刺激するための美容的または医薬的方法も提供する。さらに、本発明は、皮膚、粘膜、および/または頭皮の弾性を高めるための美容的または医薬的方法を提供する。本発明のさらなる局面は、顔のシワを減少または除去するための美容的または医薬的方法に関する。
【0150】
さらに、本発明は、エラスターゼ活性に起因する、および/またはコラーゲン合成の刺激が有益である、皮膚、粘膜、および/または頭皮の状態、障害、および/または疾患の、美容的もしくは医薬的治療、予防、および/またはケアのための方法を提供し、本発明のペプチド、その立体異性体、その混合物、および/またはその美容的もしくは薬理学的に許容される塩の少なくとも1つを含有する美容もしくは医薬組成物の皮膚、粘膜、および/もしくは頭皮上の局所または経皮投与、または、経口もしくは非経口投与を含む。
【0151】
適用または投与の頻度は、対象ごとの必要性に応じて広く異なり得るものであり、適用または投与の推奨される範囲は、月1回から1日に10回、好ましくは、週1回から1日に4回、より好ましくは、週3回から1日に3回、さらにより好ましくは、1日に1回または2回である。
【0152】
本明細書で提供される以下の具体的な実施例は、本発明の本質を説明するものである。これらの実施例は、説明のためだけに含まれるものであり、本明細書にて請求される本発明を制限するものとして解釈されてはならない。
【実施例】
【0153】
全般的な方法
試薬および溶媒はすべて合成グレードであり、追加の処理を行うことなく使用される。
【0154】
略語
アミノ酸に用いられる略語は、Eur.J.Biochem.(1984)138:9‐37およびJ.Biol.Chem.(1989)264:633‐673において指定される、IUPAC‐IUBの生化学命名委員会(Commission on Biochemical Nomenclature)の規則に従う。
【0155】
R、樹脂;Ac、アセチル;Adpoc、1‐(1‐アダマンチル)‐1‐メチルエトキシ‐カルボニル;Ala、アラニン;All、アリル;Alloc、アリルオキシカルボニル;AM、2‐[4‐アミノメチル‐(2,4‐ジメトキシフェニル)]フェノキシ酢酸;Arg、アルギニン;Boc、tert‐ブチルオキシカルボニル;2‐BrZ、2‐ブロモベンジルオキシカルボニル;BSA、ウシ血清アルブミン;Bzl、ベンジル;Cbz、ベンジルオキシカルボニル;cHx、シクロヘキシル;Cit、シトルリン;ClTrt−R、2‐クロロトリチル樹脂;ClZ、2‐クロロベンジル;cps、センチポイズ;C末端、カルボキシ末端;DCM、ジクロロメタン;Dde、N‐[1‐(4,4‐ジメチル‐2,6‐ジオキソシクロヘキサ‐1‐イリデン)エチル;2,6‐diClZ、2,6‐ジクロロベンジルオキシカルボニル;DIEA、N,N‐ジイソプロピルエチルアミン;DIPCDI、N,N’‐ジイソプロピルカルボジイミド;Dmab、4‐(N‐[1‐(4,4‐ジメチル‐2,6‐ジオキソシクロヘキシリデン)‐3‐メチルブチル]アミノ)ベンジル;DMF、N,N‐ジメチルホルムアミド;DMSO、ジメチルスルホキシド;DNP、2,4‐ジニトロフェニル;DPPC、ジパルミトイルホスファチジルコリン;ECM、細胞外基質;EDTA、エチレンジアミン四酢酸;ELISA、酵素結合免疫吸着検定法;equiv、当量;ES‐MS、エレクトロスプレーイオン化質量分析;Fm、フルオレニルメチル;Fmoc、9‐フルオレニルメチルオキシカルボニル;GAG、グリコサミノグリカン;Gly、グリシン;HLE、ヒト白血球エラスターゼ;HOBt、1‐ヒドロキシベンゾトリアゾール;HPLC、高速液体クロマトグラフィー;INCI:化粧品原料の国際命名法(International Nomenclature of Cosmetic Ingredients);ivDde、1‐(4,4‐ジメチル‐2,6‐ジオキソ‐シクロヘキシリデン)‐3‐メチル‐ブチル;MAGP、ミクロフィブリル関連糖タンパク質;MBHA、p‐メチルベンズヒドリルアミン;MeCN、アセトニトリル;MeOH、メタノール;MLV、多層小胞;MMP、マトリックスメタロプロテアーゼ、Mtr、4‐メトキシ‐2,3,6‐トリメチルベンゼンスルホニル;Mtt、メチルトリチルまたはメトキシトリチル;Nle、ノルロイシン;N末端、アミノ末端;PAL、5‐(4‐(アミノメチル)‐3,5‐ビス(メトキシ)フェノキシ)吉草酸;Palm、パルミトイル;Pbf、2,2,4,6,7‐ペンタメチル‐ジヒドロベンゾフラン‐5‐スルホニル;PBS、リン酸緩衝生理食塩水;Phg、フェニルグリシン;Pmc、2,2,5,7,8‐ペンタメチルクロマン‐6‐スルホニル;pNZ、パラ‐ニトロベンジルオキシカルボニル;q.s.、十分量;q.s.p.、に対する十分量(sufficient quantity for)、tBu、tert‐ブチル;Teoc、2‐(トリメチルシリル)エチルオキシカルボニル;TFA、トリフルオロ酢酸;THF、テトラヒドロフラン;TIS、トリイソプロピルシラン;Tos、パラ‐トルエンスルホニルもしくはトシル;Troc、2,2,2‐トリクロロエトキシカルボニル;Trp、トリプトファン;Trt、トリフェニルメチルもしくはトリチル;Tyr、チロシン;ULV、単層小胞;UV、紫外;Val、バリン;Z、ベンジルオキシカルボニル。
【0156】
化学合成
合成プロセスはすべて多孔性ポリエチレンのディスクを取り付けたポリプロピレンシリンジまたは多孔性プレートを取り付けたPyrex(登録商標)反応器で行う。溶媒および可溶性試薬は、吸引によって取り出す。Fmoc基の除去は、ピペリジン‐DMFで行う(2:8、v/v)(1×1分、1×5分、5mL/g 樹脂)(Lloyd Williams P.,Albericio F.and Giralt E.(1997)“Chemical Approaches to the Synthesis of Peptides and Proteins”CRC,Boca Raton,FL,USA)。脱保護、カップリング、および再度の脱保護の工程間の洗浄は、各回に10mL 溶媒/g 樹脂のDMF(3×1分間)を用いて行った。カップリング反応は、3mL 溶媒/g 樹脂で行った。カップリングの制御は、ニンヒドリン試験で行う(Kaiser E.,Colescott R.L.,Bossing C.D.and Cook P.I.(1970)Color test for detection of free terminal amino groups in the solid phase synthesis of peptides,”Anal.Biochem.34:595 598)。合成反応および洗浄はすべて室温で行った。
【0157】
HPLCクロマトグラフィー分析は、30℃に自動温度調節した逆相カラム(250×4.0mm、Kromasil C、5μm、アクゾノーベル(Akzo Nobel)、スウェーデン)を用いて、島津の機器(京都、日本)で行った。溶出は、水(+0.1% TFA)中のアセトニトリル(+0.07% TFA)の勾配を用いて、1mL/分の流速で行い、検出は、220nmで行った。
【0158】
実施例1
Fmoc−X−AA−AA−AA−AA−Y−O−2‐ClTrt−Rの合成、ここで、AAは−L‐Phg−、−D‐Phg−、または−Gly−、AAは−L‐Trp−、−L‐Tyr−、または−L‐Val−;AAは−L‐Ala−、−L‐Cit−、−L‐Nle−、−L‐Phg−、または−D‐Phg−;AAは−L‐Arg−、−L‐Phg−、−D‐Phg−、または−L‐Nle−;ならびに、nおよびmは0である。
3.29gのFmoc−L‐Phg−OH、3.29gのFmoc−D‐Phg−OH、または2.61gのFmoc−Gly−OH(8.8mmol;1当量)を55mlのDCMに溶解し、これに1.3mlのDIEA(7.6mmol;0.86当量)を添加したものを、乾燥2‐クロロトリチル樹脂(5.5g;8.8mmol)にカップリングさせた。この懸濁液を5分間攪拌し、その後、2.5mLのDIEAを添加した(14.6mmol;1.66当量)。この混合物を40分間反応させた。4.4mLのMeOHで処理することで、残留塩素基を封止した。
【0159】
N末端のFmoc基を、全般的な方法で述べたようにして脱保護し、9.38gのFmoc−L‐Trp−OH、10.11gのFmoc−L‐Tyr(tBu)−OH、または7.47gのFmoc−L‐Val−OH(22mmol、2.5当量)を、DIPCDI(3.39mL、22mmol、2.5当量)およびHOBt(3.37g、22mmol、2.5当量)の存在下、DMFを溶媒として用いて、ペプチジル樹脂上へ1時間カップリングさせた。次に、樹脂を全般的な方法で述べたようにして洗浄し、Fmoc基の脱保護処理を繰り返して、次のアミノ酸をカップリングさせた。記載したプロトコルに従い、出願者らは、順に、6.85gのFmoc−L‐Ala−OH、8.74gのFmoc−L‐Cit−OH、7.77gのFmoc−L‐Nle−OH、8.21gのFmoc−L‐Phg−OH、または8.21gのFmoc−D‐Phg−OH(22mmol、2.5当量)、続いて、14.27gのFmoc−L‐Arg−(Pbf)−OH、8.21gのFmoc−L‐Phg−OH、8.21gのFmoc−D‐Phg−OH、または7.77gのFmoc−L‐Nle−OH(22mmol、2.5当量)のカップリングを、各カップリングにおいて3.37gのHOBt(22mmol、2.5当量)および3.39mLのDIPCDI(22mmol、2.5当量)の存在下で行った。
【0160】
合成後、ペプチジル樹脂はDCMで洗浄し(5×3分間)、窒素気流下で乾燥させた。
【0161】
実施例2
Fmoc−X−AA−AA−AA−AA−Y−AM−MBHA−Rの合成、ここで、AAは−L‐Phg−、−D‐Phg−、または−Gly−;AAは−L‐Trp−、−L‐Tyr−、または−L‐Val−;AAは−L‐Ala−、−L‐Cit−、−L‐Nle−、−L‐Phg−、または−D‐Phg−;AAは−L‐Arg−、−L‐Phg−、−D‐Phg−、または−L‐Nle−;ならびに、nおよびmは0である。
0.73mmol/g(5mmol)のローディングである6.85gのFmoc−AM−MBHA樹脂を、Fmoc基を除去する目的で、記載した一般的なプロトコルに従ってピペリジン‐DMFで処理した。この脱保護した樹脂上への9.33gのFmoc−L‐Phg−OH、9.33gのFmoc−D‐Phg−OH、または7.43gのFmoc−Gly−OH(25mmol;5当量)の組み込みを、DIPCDI(3.85mL、25mmol;5当量)およびHOBt(3.85g、25mmol;5当量)、ならびに溶媒としてDMFを用いて1時間行った。
【0162】
次に、この樹脂を全般的な方法で述べたようにして洗浄し、Fmoc基の脱保護処理を繰り返して、次のアミノ酸をカップリングさせた。前述のプロトコルに従い、10.67gのFmoc−L‐Trp−OH、11.49gのFmoc−L‐Tyr−(tBu)−OH、または8.49gのFmoc−L‐Val−OH(25mmol;5当量);9.33gのFmoc−L‐Phg−OH、9.33gのFmoc−D‐Phg−OH、7.78gのFmoc−L‐Ala−OH、9.94gのFmoc−L‐Cit−OH、または8.84gのFmoc−L‐Nle−OH(25mmol;5当量)、および続いて、16.22gのFmoc−L‐Arg−(Pbf)−OH、9.33gのFmoc−L‐Phg−OH、9.33gのFmoc−D‐Phg−OH、または8.84gのFmoc−L‐Nle−OH(25mmol;5当量)のカップリングを、各カップリングにおいて3.85gのHOBt(25mmol、5当量)および3.85mLのDIPCDI(25mmol、5当量)の存在下で順に行った。
【0163】
合成後、ペプチジル樹脂はDCMで洗浄し(5×3分間)、窒素気流下で乾燥させた。
【0164】
実施例3
Fmoc N末端保護基除去のための一般手順
実施例1および2で得られたペプチジル樹脂のFmoc N末端基を、全般的な方法で述べたようにして脱保護した(20%ピペリジン、1×5分間+1×20分間)。ペプチジル樹脂をDMF(5×1分間)、DCM(4×1分間)、ジエチルエーテル(4×1分間)で洗浄し、真空乾燥させた。
【0165】
実施例4
実施例3で得られたペプチジル樹脂上へRパルミトイル基を導入するための手順
DMF(1mL)中に予め溶解させた2.56gのパルミチン酸(10mmol;10当量)を、1.53gのHOBt(10mmol;10当量)および1.54mLのDIPCDI(10mmol;10当量)の存在下にて、実施例3で得られたペプチジル樹脂の1mmolへ添加した。これを15時間反応させ、その後、樹脂をTHF(5×1分間)、DCM(5×1分間)、DMF(5×1分間)、MeOH(5×1分間)、DMF(5×1分間)、THF(5×1分間)、DMF(5×1分間)、DCM(4×1分間)、エーテル(3×1分間)で洗浄し、真空乾燥させた。
【0166】
実施例5
実施例3で得られたペプチジル樹脂上へアセチル基Rを導入するための手順
実施例3で得られたペプチジル樹脂の1mmolを、25当量のDIEAの存在下、溶媒として5mLのDMFを用い、25当量の無水酢酸で処理した。これを30分間反応させ、その後、ペプチジル樹脂をDMF(5×1分間)、DCM(4×1分間)、ジエチルエーテル(4×1分間)で洗浄し、真空乾燥させた。
【0167】
実施例6
実施例3、4、および5で得られたペプチジル樹脂の開裂手順
実施例3、4、および5で得られた乾燥ペプチジル樹脂200mgを、室温にて攪拌しながら2時間、5mLのTFA‐TIS‐HO(90:5:5)で処理した。ろ液を50mLの冷ジエチルエーテルへ取り、多孔性ポリエチレンディスクを取り付けたポリプロピレンシリンジを通してろ過し、50mLのジエチルエーテルで5回洗浄した。最終的な析出物を真空乾燥させた。
【0168】
得られたペプチドを、HO中(+0.1% TFA)のMeCN(+0.07% TFA)の勾配でHPLC分析したところ、すべての場合で80%を超える純度が示された。得られたペプチドの同定は、ES‐MSで確認した。
【0169】
実施例7
ポリマー支持体の開裂手順およびR置換アミンによる誘導体化:Ac−X−AA−AA−AA−AA−Y−NH−(CH15−CHの合成、ここで、AAは−L‐Phg−、−D‐Phg−、または−Gly−;AAは−L‐Trp−、−L‐Tyr−、または−L‐Val−;AAは−L‐Ala−、−L‐Cit−、−L‐Nle−、−L‐Phg−、または−D‐Phg−;AAは−L‐Arg−、−L‐Phg−、−D‐Phg−、または−L‐Nle−;ならびに、nおよびmは0である。
予めKOHの存在下にて真空乾燥しておいた実施例5のペプチジル樹脂、Ac−X−AA−AA−AA−AA−Y−O−2‐ClTrt−Rの150mgを、DCM中の3%TFA溶液の3mLで5分間処理することにより、側鎖が完全に保護されたペプチド、Ac−X−AA−AA−AA−AA−Y−OHが得られた。ろ液を50mLの冷ジエチルエーテルへ取り、この処理を3回繰り返した。エーテル性溶液を室温にて真空蒸発乾固させ、析出物をHO中の50%MeCNへ溶解し、凍結乾燥した。得られた粗生成物の10mgをフラスコ中に秤量し、3当量のヘキサデシルアミンおよび25mLの無水DMFを添加した。2当量のDIPCDIを添加し、マグネティックスターラーで攪拌しながら47℃で反応させた。反応は、出発物質の消滅をHPLCでモニタリングし、24〜48時間後に完了した。溶媒を蒸発乾固させ、DCMで2回共蒸発させた。得られた残渣(側鎖が完全に保護されたAc−X−AA−AA−AA−AA−Y−NH−(CH15−CH)を25mLのDCM‐TFA‐アニソール混合物(49:49:2)中に再懸濁させ、室温にて30分間反応させた。これを250mLの冷ジエチルエーテルへ添加し、溶媒を減圧下で蒸発させ、さらにエーテルによる共蒸発を追加で2回行った。残渣をHO中の50%MeCNの混合物へ溶解し、凍結乾燥させた。
【0170】
得られたペプチドを、HO中(+0.1% TFA)のMeCN(+0.07% TFA)の勾配でHPLC分析したところ、すべての場合で70%を超える純度が示された。得られたペプチドの同定は、ES‐MSで確認した。
【0171】
実施例8
エラスターゼ阻害アッセイ
ペプチドを、0.5%DMSOの存在下にて水に再懸濁させた。このアッセイは、EnzChek(登録商標)Elastase Assay Kit(モレキュラープローブズ(Molecular Probes))を用い、96ウェルブラックマイクロプレート上で実施した。この目的のために、ペプチドを0.1mMにて1時間、0.4ユニット/mLのエラスターゼと共に室温で穏やかに攪拌しながら予めインキュベートし、その後、結合基質を、最終濃度25μg/mLでフルオレセイン(DQ(商標)Elastin)へ添加し、反応物を、遮光下にて攪拌しながら、室温で2時間インキュベートした。蛍光が阻害された基質は、エラスターゼによって消化されて蛍光断片を放出し、これを、励起に対しては485nmフィルターを、発光に対しては530nmフィルターを用いたFLUOstar galaxy reader(BMGラボテクノロジーズ(BMG LabTechnologies))で、蛍光によりモニタリングする。
【0172】
表2に、45%を超える阻害値を示したペプチドを挙げる。阻害値は、平均阻害のベースライン値に対して標準化したものである。
【0173】

【0174】
実施例9
ヒトエラスターゼ阻害アッセイ
ヒト好中球エラスターゼを、50mM 酢酸ナトリウム、200mm NaCl、pH5.5のバッファー中にて5μg/mLで再構成した。0.2μg/mlのプロテアーゼを、ペプチドと共に最終濃度0.05〜2mMにて、96ウェルブラックマイクロプレート中、室温で1時間、予めインキュベートした。予備インキュベーションの後、25μg/mLの基質(MeOSuc−Ala−Ala−Pro−Valアミノメチルクマリン)をウェルへ添加し、このサンプルを遮光下、室温にて2時間インキュベートした。基質の消化によって放出された蛍光を、自動マルチプレート蛍光リーダーを用い、励起370nm、読み取り460nmで測定した。
【0175】
結果は、エラスターゼおよび生成物が存在しない場合のベースライン蛍光値で補正し、コントロールの蛍光に対して標準化したものであり、ペプチドの各々についての最小阻害濃度を決定した。表3に、これらのペプチドについて得られた最良の阻害値を挙げる。
【0176】

【0177】
実施例10
Palm−L‐Nle−Phg−L‐Tyr−Phg−NHを含有する美容組成物の作製
【0178】

【0179】
実施例11
Ac−L‐Arg−Phg−L‐Val−Phg−OHを含有するリポソームの作製
ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)を秤量し、クロロホルムに溶解した。溶媒を、リン脂質の薄層が得られるまで減圧留去し、この層を、ペプチドの水溶液での処理を55℃で行うことによって所望の濃度まで水和し(Phenonip(登録商標)含有)、MLVリポソームを得た。ULVリポソームは、MLVリポソームの超音波浴への浸漬を、55℃にて、5分間隔で2分間のサイクルを8回行うことで得た。ULVリポソームのサイズは、高圧で押出しシステムを通過させることで低下させた。
【0180】

【0181】
実施例12
Ac−Phg−Phg−L‐Trp−Phg−OHを含有するフェイシャルクリームの組成
【0182】

【0183】
実施例13
Ac−L‐Arg−Phg−L‐Val−Phg−OHを含有するリポソームゲルの形態の組成物の作製
実施例11のリポソームを保存料(EDTA、イミダゾリジニル尿素、およびPhenonip(登録商標))と共にゆるやかに攪拌しながら水に分散させた。Hispagel(登録商標)200を添加し[INCI:水、グリセリン、グリセリルポリアクリレート]、均質混合物が得られるまでゆるやかに攪拌した。
【0184】

【0185】
実施例14
Ac−L‐Arg−Phg−L‐Trp−Phg−OHを含有するマイクロエマルジョンの組成
【0186】

【0187】
実施例15
Ac−L‐Arg−Phg−L‐Trp−Phg−OHを含有するボディジェルの組成
【0188】

【0189】
実施例16
Ac−L‐Arg−Phg−L‐Trp−Phg−NH−(CH15−CHを含有するヘアローションの組成
【0190】

【0191】
実施例17
Ac−L‐Arg−Phg−L‐Trp−Phg−OHを含有する混合ミセルの組成物の作製
サンプル全体に適する容器中にフェーズAの成分を秤量し、約30℃まで僅かに加温して保存料のいくつかの溶解を補助した。次に、フェーズBの成分を添加し、穏やかに攪拌しながら均質化した。
【0192】
次に、攪拌を続けながらフェーズCを添加し、その後、発泡を避けるためにゆっくり攪拌しながらフェーズDを添加した。
【0193】
pHは5.5〜6.5に調節した。
【0194】

【0195】
実施例18
実施例15の組成物による皮膚弾性の上昇への効果
本発明の実施例15の組成物の効果を評価するために、ボランティアの被験者20人の大腿部に、1日2回のローションの適用を2ヶ月間行った。
【0196】
皮膚弾性はキュートメーターを用いて測定し、得られた結果を表4に示す。
【0197】

【0198】
平均して14%の弾性の上昇が得られた。
【0199】
実施例19
実施例15の組成物に対応するプラセボ組成物による皮膚弾性の上昇への効果
本発明の実施例15の組成物に対応するプラセボ組成物の効果を評価するために、ボランティアの被験者20人の一群に対して、大腿部への1日2回のローションの適用を2ヶ月間行った。
【0200】
皮膚弾性はキュートメーターを用いて測定し、得られた結果を表5に示す。
【0201】

【0202】
2ヶ月間の処理の後、皮膚弾性の上昇は見られなかった。
【0203】
実施例20
コラーゲン合成刺激アッセイ
ヒト皮膚線維芽細胞を、線維芽細胞のための特定の成長因子を添加したM106培地中にてコンフルーエントまで成長させた。次に、これをストリプシン処理し(strypsinized)、24ウェルプレートに、5×10細胞/ウェルで播種した。37℃、5%CO雰囲気中での24時間のインキュベーションの後、15μg/mlのペプチドの段階希釈と共に、またはネガティブコントロールとしての媒体と共に、新しい培地を添加した。細胞をさらに48時間インキュベートし、その後、培地を回収した。
【0204】
分泌されたI型コラーゲンの量の分析を、ELISAアッセイによって行った。簡潔に述べると、96ウェルプレートを、ウェルあたり50μLの回収しておいた培地でコーティングし、加湿雰囲気下、4℃にて一晩吸着させた。次に、プレートをPBS(+0.05% Tween‐20)で3回洗浄し、3% BSAで1時間ブロッキングした。ブロッキング後、プレートを抗I型コラーゲン抗体(1:1000、PBS、0.05% Tween‐20、1% BSA中)で2時間処理した。このインキュベーションの後、二次抗体(ヤギ抗マウスIgG‐HRP抗体、モレキュラープローブズ、1:1000、PBS、0.05% Tween‐20、1% BSA中)を添加した。プレートをホスファターゼ基質と共に30分間インキュベートし、3M HSOを添加することで反応を停止した。490nmでの吸収をマイクロプレートリーダーを用いて読み取り、I型コラーゲンについて、直線回帰標準曲線を用いてコラーゲン濃度を決定した。値は、ネガティブコントロール実験のコラーゲン値に対して標準化したものであり、I型コラーゲンの増加を、すべての処理について算出した。表6に、I型コラーゲン含有量の増加についての算出値を挙げる。
【0205】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)
−W−X−AA1−AA−AA−AA−Y−R (I)
のペプチドであって、アミノ酸AA、AA、およびAAのうちの少なくとも1つがコードされないものであることを特徴とし、ここで:
AAは、−Arg−、−Phg−、および−Nle−から成る群より選択されるか、または結合であり;
AAは、−Ala−、−Phg−、−Cit−、および−Nle−から成る群より選択され;
AAは、−Trp−、−Val−、および−Tyr−から成る群より選択され;
AAは、−Phg−および−Gly−から成る群より選択され;
W、X、およびYは、独立して、コードされるアミノ酸、またはコードされないアミノ酸から成る群より選択され;
p、n、およびmは、0から1までの範囲であり;
は、H、置換もしくは無置換の非環式脂肪族基、置換もしくは無置換のアリシクリル(alicyclyl)、置換もしくは無置換のヘテロシクリル、置換もしくは無置換のヘテロアリールアルキル、置換もしくは無置換のアリール、置換もしくは無置換のアラルキル、およびR−COから成る群より選択され;
は、−NR、−OR、および−SRから成る群より選択され;
ここで、RおよびRは、独立して、H、置換もしくは無置換の非環式脂肪族基、置換もしくは無置換のアリシクリル、置換もしくは無置換のヘテロシクリル、置換もしくは無置換のヘテロアリールアルキル、置換もしくは無置換のアリール、および置換もしくは無置換のアラルキルから成る群より選択され;
ここで、Rは、H、置換もしくは無置換の非環式脂肪族基、置換もしくは無置換のアリシクリル、、置換もしくは無置換のアリール、置換もしくは無置換のアラルキル、置換もしくは無置換のヘテロシクリル、および置換もしくは無置換のヘテロアリールアルキルから成る群より選択され;
ただし、AAが結合である場合、AAは−Phg−であり、AAは−Trp−である、
ペプチド、その立体異性体、その混合物、および/またはその美容的もしくは薬理学的に許容される塩。
【請求項2】
は、HおよびR−CO−から成る群より選択され、ここで、Rは、置換または無置換のC‐C24アルキル、置換または無置換のC‐C24アルケニル、置換または無置換のC‐C24アルキニル、置換または無置換のC‐C24シクロアルキル、置換または無置換のC‐C24シクロアルケニル、置換または無置換のC‐C24シクロアルキニル、置換または無置換のC‐C30アリール、置換または無置換のC‐C24アラルキル、3〜10の環員数である置換または無置換のヘテロシクリル、ならびに2から24個の炭素原子と1から3個の炭素以外の原子、および1から6個の炭素原子のアルキル鎖を持つ置換または無置換のヘテロアリールアルキルから成る群より選択されることを特徴とする、請求項1に記載のペプチド。
【請求項3】
は、H、アセチル、tert‐ブタノイル、ヘキサノイル、2‐メチルヘキサノイル、シクロヘキサンカルボキシル、オクタノイル、デカノイル、ラウロイル、ミリストイル、パルミトイル、ステアロイル、オレオイル、およびリノレオイルから成る群より選択されることを特徴とする、請求項2に記載のペプチド。
【請求項4】
は、−NRまたは−ORであり、ここで、RおよびRは、独立して、H、置換または無置換のC‐C24アルキル、置換または無置換のC‐C24アルケニル、置換または無置換のC‐C24アルキニル、置換または無置換のC‐C24シクロアルキル、置換または無置換のC‐C24シクロアルケニル、置換または無置換のC‐C24シクロアルキニル、置換または無置換のC‐C30アリール、置換または無置換のC‐C24アラルキル、3〜10の環員数である置換または無置換のヘテロシクリル、ならびに2から24個の炭素原子と1から3個の炭素以外の原子、および1から6個の炭素原子のアルキル鎖を持つ置換または無置換のヘテロアリールアルキルから成る群より選択されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項5】
およびRは、独立して、H、メチル、エチル、ヘキシル、ドデシル、およびヘキサデシルから成る群より選択されることを特徴とする、請求項4に記載のペプチド。
【請求項6】
AAおよびAAは、Phgであることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項7】
は、H、アセチル、ラウロイル、ミリストイル、およびパルミトイルから成る群より選択され、AAは、−L‐Arg−であり、AAは、−L‐Phg−または−D‐Phg−であり、AAは、−L‐Tyr−であり、AAは、−L‐Phg−または−D‐Phg−であり、およびRは、−NRまたは−ORであり、ここで、RおよびRは、独立して、H、メチル、エチル、ヘキシル、ドデシル、およびヘキサデシルから選択されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項8】
が、H、アセチル、ラウロイル、ミリストイル、またはパルミトイルから成る群より選択され、AAは、−L‐Nle−であり、AAは、−L‐Phg−または−D‐Phg−であり、AAは、−L‐Tyr−であり、AAは、−L‐Phg−または−D‐Phg−であり、およびRは、−NRまたは−ORであり、ここで、RおよびRは、独立して、H、メチル、エチル、ヘキシル、ドデシル、およびヘキサデシルから選択されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項9】
は、H、アセチル、ラウロイル、ミリストイル、またはパルミトイルから成る群より選択され、AAは、−L‐Arg−であり、AAは、−L‐Phg−または−D‐Phg−であり、AAは、−L‐Trp−であり、AAは、−L‐Phg−または−D‐Phg−であり、およびRは、−NRまたは−ORであり、ここで、RおよびRは、独立して、H、メチル、エチル、ヘキシル、ドデシル、およびヘキサデシルから選択されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項10】
は、H、アセチル、ラウロイル、ミリストイル、またはパルミトイルから成る群より選択され、AAは、−L‐Nle−であり、AAは、−L‐Phg−または−D‐Phg−であり、AAは、−L‐Trp−であり、AAは、−L‐Phg−または−D‐Phg−であり、およびRは、−NRまたは−ORであり、ここで、RおよびRは、独立して、H、メチル、エチル、ヘキシル、ドデシル、およびヘキサデシルから選択されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項11】
は、H、アセチル、ラウロイル、ミリストイル、またはパルミトイルから成る群より選択され、AAは、−L‐Arg−であり、AAは、−L‐Phg−または−D‐Phg−であり、AAは、−L‐Val−であり、AAは、−L‐Phg−または−D‐Phg−であり、およびRは、−NRまたは−ORであり、ここで、RおよびRは、独立して、H、メチル、エチル、ヘキシル、ドデシル、およびヘキサデシルから選択されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項12】
は、H、アセチル、ラウロイル、ミリストイル、またはパルミトイルから成る群より選択され、AAは、−L‐Phg−または−D‐Phg−であり、AAは、−L‐Phg−または−D‐Phg−であり、AAは、−L‐Trp−であり、AAは、−L‐Phg−または−D‐Phg−であり、およびRは、−NRまたは−ORであり、ここで、RおよびRは、独立して、H、メチル、エチル、ヘキシル、ドデシル、およびヘキサデシルから選択されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項13】
は、H、アセチル、ラウロイル、ミリストイル、またはパルミトイルから成る群より選択され、AAは、結合であり、AAは、−L‐Phg−または−D‐Phg−であり、AAは、−L‐Trp−であり、AAは、−L‐Phg−または−D‐Phg−であり、およびRは、−NRまたは−ORであり、ここで、RおよびRは、独立して、H、メチル、エチル、ヘキシル、ドデシル、およびヘキサデシルから選択されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項14】
は、H、アセチル、ラウロイル、ミリストイル、またはパルミトイルから成る群より選択され、AAは、−L‐Arg−であり、AAは、−L‐Phg−または−D‐Phg−であり、AAは、−L‐Val−であり、AAは、−L‐Gly−であり、およびRは、−NRまたは−ORであり、ここで、RおよびRは、独立して、H、メチル、エチル、ヘキシル、ドデシル、およびヘキサデシルから選択されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項15】
は、H、アセチル、およびパルミトイルから成る群より選択され、およびRは、−OHおよび−NHから成る群より選択されることを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項16】
p、n、およびmは、0であることを特徴とする、請求項1から15のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項17】
皮膚、粘膜、および/または頭皮の治療および/またはケアのための、請求項1から16のいずれか一項に記載の一般式(I)のペプチド、その立体異性体、その混合物、および/またはその美容的もしくは薬理学的に許容される塩。
【請求項18】
エラスターゼ活性に起因する、皮膚、粘膜、および/または頭皮の状態、障害、および/または疾患の、治療、予防、および/またはケアのための、請求項17に記載のペプチド。
【請求項19】
コラーゲン合成の刺激が有益である、皮膚、粘膜、および/または頭皮の状態、障害、および/または疾患の、治療、予防、および/またはケアのための、請求項17に記載のペプチド。
【請求項20】
エラスターゼ活性は、皮膚、粘膜、および/または頭皮で発生するものである、請求項18に記載のペプチド。
【請求項21】
前記治療、予防、および/またはケアは、前記ペプチドの局所もしくは経皮投与によるものである、請求項17から20のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項22】
前記局所もしくは経皮投与は、イオン泳動、ソノフォレーシス、電気穿孔法、機械的圧力、浸透圧勾配、密封治癒(occlusive cure)、マイクロインジェクション、圧力による無針注射、微小電気パッチ(microelectric patches)、またはこれらのいずれかの組み合わせによって実施される、請求項21に記載のペプチド。
【請求項23】
前記治療、予防、および/またはケアは、前記ペプチドの経口投与によるものである、請求項17から20のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項24】
前記治療、予防、および/またはケアは、皮膚弾性を高めるものである、請求項17から18のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項25】
前記治療、予防、および/またはケアは、顔のシワを低減または除去するものである、請求項17から19のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項26】
前記状態、障害、および/または疾患は、シワ、表情ジワ、ストレッチマーク、皮膚の老化、皮膚の光老化、創傷治癒障害、潰瘍、糖尿病性潰瘍、ケロイド、肥厚性瘢痕、挫瘡、セルライト、オレンジピールスキン、弾力線維症、光線性弾力線維症、角化症、炎症、皮膚炎、アトピー性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎、敏感肌、湿疹、水疱性類天疱瘡、歯肉炎、歯周炎、皮膚癌、腫瘍浸潤、腫瘍転移、毛細血管拡張症、クーペロシス、静脈瘤、眼の周りのクマ、眼の下のクマ、脱毛症および脱毛、酒さ、ならびに/または乾癬から成る群より選択される、請求項17から23のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項27】
前記治療、予防、および/またはケアは、老化および/または光老化の徴候を低減、遅延、および/または予防するものである、請求項17に記載のペプチド。
【請求項28】
毛髪の治療または毛髪の衛生のためのものである、請求項17に記載のペプチド。
【請求項29】
身体の皮膚の治療および/もしくはケア、または身体の衛生のためのものである、請求項17に記載のペプチド。
【請求項30】
請求項1から16のいずれか一項に記載の一般式(I)のペプチド、その立体異性体、その混合物、および/またはその美容的もしくは薬理学的に許容される塩を作製するためのプロセスであって、前記プロセスが、固相上または液相中で行われることを特徴とする、プロセス。
【請求項31】
遊離アミノ基の保護基は、Boc、Fmoc、Trt、Troc、Teoc、Alloc、Mtt、Z、ClZ、Dnp、Dde、ivDde、およびAdpocから成る群より選択され、遊離カルボキシル基の保護基は、tBu、Bzl、Chx、All、Dmab、2‐フェニルイソプロピル、Fm、およびTrtのエステルから成る群より選択され、アルギニン側鎖は、Alloc、Tos、Pmc、Pbf、ニトロ、およびMtrから成る群より選択される保護基で保護され、トリプトファン側鎖は、For、Boc、およびMtsから成る群より選択される保護基で保護されるか、または保護されずに用いられ、ならびにチロシン側鎖は、2‐BrZ、tBu、All、Bzl、および2,6‐diClZから成る群より選択される保護基で保護されることを特徴とする、請求項30に記載のプロセス。
【請求項32】
美容的または薬理学的効果量の、請求項1から16のいずれか一項に記載の一般式(I)のペプチド、その立体異性体、その混合物、および/またはその美容的もしくは薬理学的に許容される塩の少なくとも1つ、ならびに賦形剤または美容的もしくは薬理学的に許容される補助剤の少なくとも1つを含有する、美容または医薬組成物。
【請求項33】
前記一般式(I)のペプチドの濃度が、前記組成物の総重量に対して0.000001重量%から20重量%の間であることを特徴とする、請求項32に記載の組成物。
【請求項34】
前記一般式(I)のペプチドの濃度が、前記組成物の総重量に対して0.0001重量%から5重量%の間であることを特徴とする、請求項33に記載の組成物。
【請求項35】
前記一般式(I)のペプチド、その立体異性体、その混合物、および/またはその美容的もしくは薬理学的に許容される塩は、リポソーム、混合リポソーム、オレオソーム、ニオソーム、ミリカプセル、マイクロカプセル、ナノカプセル、スポンジ、シクロデキストリン、小胞、ミセル、界面活性剤の混合ミセル、界面活性剤‐リン脂質混合ミセル、ミリスフェア、マイクロスフェア、ナノスフェア、リポスフェア、マイクロエマルジョン、ナノエマルジョン、小粒子、ミリ粒子、マイクロ粒子、ナノ粒子、および固体脂質ナノ粒子から成る群より選択される、美容的もしくは薬理学的に許容される送達システムまたは徐放システムに組み込まれることを特徴とする、請求項32から34のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項36】
前記マイクロエマルジョンが、逆ミセルの内部構造を有する油中水型マイクロエマルジョンであることを特徴とする、請求項35に記載の組成物。
【請求項37】
前記一般式(I)のペプチド、その立体異性体、その混合物、および/またはその美容的もしくは薬理学的に許容される塩は、タルク、ベントナイト、シリカ、デンプン、もしくはマルトデキストリンから成る群より選択される美容的もしくは薬理学的に許容される固体有機ポリマーまたは固体無機基材に吸着されることを特徴とする、請求項32から36のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項38】
前記組成物は、クリーム、多相エマルジョン、無水組成物、水性分散液、オイル、ミルク、バルサム、フォーム、ローション、ジェル、クリームジェル、水性アルコール溶液、水性グリコール溶液(hydroglycolic solutions)、ヒドロゲル、リニメント、血清(sera)、石鹸、シャンプー、コンディショナー、血清(serums)、軟膏、ムース、ポマード、粉末、バー型(bars)、ペンシル型(pencils)、スプレー、エアロゾル、カプセル、ゼラチンカプセル、錠剤、糖衣錠、顆粒、チューイングガム、溶液、懸濁液、エマルジョン、シロップ、多糖フィルム、ゼリー、およびゼラチンから成る群より選択される製剤であることを特徴とする、請求項32から37のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項39】
前記組成物は、コンシーラー、メークアップファンデーション、メークアップリムーバルローション、メークアップリムーバルミルク、アイシャドー、口紅、リップグロス、リッププロテクター、およびパウダーから成る群より選択される製品であることを特徴とする、請求項32から38のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項40】
前記一般式(I)のペプチド、その立体異性体、その混合物、および/またはその美容的もしくは薬理学的に許容される塩は、布、不織布、または医療用デバイスに組み込まれることを特徴とする、請求項32から38のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項41】
前記布、不織布、または医療用デバイスは、絆創膏、ガーゼ、シャツ、ストッキング、靴下、下着、腰帯、手袋、オムツ、生理用ナプキン、包帯、ベッドカバー、拭き取り布、ヒドロゲル、粘着性パッチ、非粘着性パッチ、パッチ、微小電気パッチ、およびフェイスマスクから成る群より選択されることを特徴とする、請求項40に記載の組成物。
【請求項42】
前記組成物は、エラスターゼ阻害剤、マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤、メラニン合成の刺激または阻害剤、美白または脱色剤、着色促進剤(propigmenting agents)、セルフタンニング剤、老化防止剤、NO‐シンターゼの阻害剤、5α‐レダクターゼの阻害剤、リジル‐および/またはプロリルヒドロキシラーゼの阻害剤、酸化防止剤、遊離ラジカル捕捉剤および/または抗大気汚染剤、反応性カルボニル種捕捉剤、抗糖化剤、抗ヒスタミン剤、制吐剤、抗ウィルス剤、抗寄生虫剤、乳化剤、皮膚軟化剤、有機溶媒、液体噴霧剤、皮膚調整剤、湿潤剤、水分を保持する物質、アルファヒドロキシ酸、ベータヒドロキシ酸、保湿剤、表皮加水分解酵素、ビタミン、顔料または着色剤、色素、ゲル化ポリマー、増粘剤、界面活性剤、軟化剤、シワ防止剤、目の下のクマを低減または治療できる剤、剥離剤、抗菌剤、抗真菌剤、静真菌剤、殺菌剤、静菌剤、真皮もしくは表皮の高分子合成を刺激する剤および/またはそれらの分解を阻害もしくは予防する能力を持つ剤、例えばコラーゲン合成を刺激する剤、エラスチン合成を刺激する剤、デコリン合成を刺激する剤、ラミニン合成を刺激する剤、デフェンシン合成を刺激する剤、シャペロン合成を刺激する剤、アクアポリン合成を刺激する剤、ヒアルロン酸合成を刺激する剤、フィブロネクチン合成を刺激する剤、サーチュイン合成を刺激する剤、脂質および角質層成分の合成を刺激する剤、セラミドの合成を刺激する剤、コラーゲン分解を阻害する剤、エラスチン分解を阻害する剤、カテプシンGなどのセリンプロテアーゼを阻害する剤、線維芽細胞増殖を刺激する剤、ケラチノサイト増殖を刺激する剤、脂肪細胞増殖を刺激する剤、メラノサイト増殖を刺激する剤、ケラチノサイト分化を刺激する剤、脂肪細胞分化を刺激する剤、アセチルコリンエステラーゼを阻害する剤、皮膚弛緩剤、グリコサミノグリカン合成を刺激する剤、抗過角化症剤、面皰分解剤(comedolytic agents)、抗乾癬剤、DNA修復剤、DNA保護剤、安定化剤、抗掻痒剤、敏感肌の治療および/またはケアのための剤、固化剤(firming agents)、抗ストレッチマーク剤、結合剤、皮脂産生を制御する剤、脂肪分解剤または脂肪分解を刺激する剤、抗セルライト剤、抗発汗剤、治癒を刺激する剤、治癒共補助剤(coadjuvant healing agents)、再上皮化を刺激する剤、再上皮化共補助剤(coadjuvant reepithelialization agents)、サイトカイン成長因子、沈静剤、抗炎症剤、麻酔剤、毛細血管循環および/または微小循環に作用する剤、血管新生を刺激する剤、血管透過性を阻害する剤、静脈強壮剤(venotonic agents)、細胞代謝に作用する剤、真皮‐表皮接合を改善する剤、発毛を誘発する剤、発毛阻害もしくは抑制剤、保存料、芳香物質、キレート剤、植物抽出物、エッセンシャルオイル、海産抽出物、生物発酵プロセスから得られる剤、無機塩、細胞抽出物、ならびに日焼け止め、紫外線Aおよび/もしくはBに対して作用する有機または無機の光防護剤、またはこれらの混合物から成る群より選択される、美容的もしくは薬理学的効果量の少なくとも1つの補助剤をさらに含むことを特徴とする、請求項32から41のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項43】
前記活性剤は、合成由来であるか、または植物抽出物であるか、または生物発酵プロセスで得られるものであることを特徴とする、請求項42に記載の組成物。
【請求項44】
前記補助剤は、反応性カルボニル種クエンチ剤、遊離ラジカル捕捉剤、および/または抗糖化剤から成る群より選択されることを特徴とする、請求項42または43に記載の組成物。
【請求項45】
前記反応性カルボニル種クエンチ剤、遊離ラジカル捕捉剤、および/または抗糖化剤は、トリペプチド‐1およびジアミノプロピオニルトリペプチド‐33から成る群より選択されることを特徴とする、請求項44に記載の組成物。
【請求項46】
前記補助剤は、シワ防止剤および/または老化防止剤から成る群より選択されることを特徴とする、請求項42または43に記載の組成物。
【請求項47】
前記シワ防止剤および/または老化防止剤は、ペンタペプチド‐18、アセチルヘキサペプチド‐8、アセチルへプタペプチド‐4、アセチルオクタペプチド‐3、アセチルテトラペプチド‐5、アセチルトリペプチド‐30シトルリン、ジメチルメトキシクロマノール、ジメチルメトキシクロマニルパルミテート、ジアミノプロピオニルトリペプチド‐33、シュードアルテロモナスフェルメント(Pseudoalteromonas Ferment)抽出物、シュードアルテロモナスフェルメント抽出物と加水分解コムギタンパク質と加水分解ダイズタンパク質とトリペプチド‐10 シトルリンとトリペプチド‐1との混合物、ならびに加水分解コムギタンパク質と加水分解ダイズタンパク質とトリペプチド‐1との混合物から成る群より選択されることを特徴とする、請求項46に記載の組成物。
【請求項48】
前記シワ防止剤および/または老化防止剤は、トリペプチド‐10 シトルリン、アセチルヘキサペプチド‐30、リジンHClとレシチンとトリペプチド‐10 シトルリンとの混合物、ならびにリジンHClとレシチンとトリペプチド‐9 シトルリンとの混合物から成る群より選択されることを特徴とする、請求項46に記載の組成物。
【請求項49】
前記補助剤は、抗セルライト剤、脂肪分解剤、および/または静脈強壮剤から成る群より選択されることを特徴とする、請求項42または43に記載の組成物。
【請求項50】
前記抗セルライト剤、脂肪分解剤、および/または静脈強壮剤は、カフェイン、エスチン、およびカルニチンから成る群より選択されることを特徴とする、請求項49に記載の組成物。

【公表番号】特表2012−519656(P2012−519656A)
【公表日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−549493(P2011−549493)
【出願日】平成22年2月16日(2010.2.16)
【国際出願番号】PCT/EP2010/000937
【国際公開番号】WO2010/091893
【国際公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(510230218)
【氏名又は名称原語表記】LIPOTEC,S.A.
【Fターム(参考)】