説明

目視検査システム

【課題】目視観察用のモニター装置を用いて、大型基板上の欠陥部位を観察するに当たり、当該部位が該モニター画面上のどこにあるのか容易に認識できる手段及びこの手段を備える目視検査システムを提供する。
【解決手段】自動欠陥検査装置で取得したパターンの欠陥に関する情報を欠陥情報データベースに蓄積する手段と、目視検査装置で取得したパターンの欠陥に関する情報を欠陥情報データベースに蓄積する手段と、蓄積された前記パターンの欠陥に関する情報を目視検査支援システムに備わるモニター装置で閲覧する手段と、被検査基板上に形成されたパターンの撮像映像を目視検査装置に備わるモニター装置に表示する手段と、被検査基板上に形成されたパターンの欠陥部位を、前記欠陥情報データベースに蓄積された情報に基づいて、レーザポインタにより照射する手段と、を備えることを特徴とする目視検査システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,カラーフィルタ基板などパターンが形成された大型基板上の欠陥を観察するために使用する目視検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ等の大型ディスプレイに使用するカラーフィルタ基板や配線基板は、絶縁層、透明電極、ブラックマトリックス、配向制御用リブ、カラフィルター、フォトスペーサ等が必要に応じて順次フォトリ法、インクジェット法等により形成される。そして、通常は、それぞれの部材が形成されるたびに、形成されたパターンに欠陥の発生がないか人手を介さずに自動欠陥検査装置を使用して調べられる。
【0003】
欠陥が検出され、修復ができないと判断された場合には、その時点で加工が中断され改めて再生するプロセスに回されるが、修復可能と判断された場合には、機械的研磨、レーザアブレーション、インク滴下等、検出された欠陥の特性に応じたリペアー装置を備える欠陥修正装置を使用して当該欠陥部位の修正回復がなされ、資源の有効利用と製造歩留まりの向上が図られている。修復するか否かの判断は、目視検査装置を用いた人力による場合が殆どである。
【0004】
そして、基板上の全ての部材形成と修復処理が終わると出荷検査としてマクロ検査と称される最終的な目視検査を行い出荷の可否を判断するのが普通である。これらの目視検査は通常、製品基板上に反射光あるいは透過光を照射して、物理的に修復された欠陥が正常に回復したかどうか再度確認するとともに、ムラ等外観上の異常に見落としがなかったどうかを人間の目を使って改めて確認する検査である。
【0005】
自動欠陥検査装置及び目視検査装置は併用して使用され、これらの装置で検出された欠陥については、当該基板上での基準点から相対位置、外観上の特徴、例えば形状、濃度、大きさなどが取得され類型化されてデータベース上に蓄積される。これらのデータは統計処理がなされて工程改善に利用されるとともに、LAN(ローカルエリアネットワーク)を通じてオンラインアクセスが可能で、欠陥修正装置では、所望の情報を入手して修正すべき欠陥部位の探索や修正方法の選択に活用するようにシステム化がなされている。
【特許文献1】特開2002−257734号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般に、目視検査においては、目視検査が行いやすいように対象となっている被検査基板に係わる欠陥に関する情報(位置、欠陥の形状等)を、被検査基板を目視検査するためのモニターとは別のモニターを用意して、該モニター上に文字データとして表示しつつ、目視検査がなされるのが普通である。
表示された文字情報から欠陥あるいは元欠陥であった部位の基板上の位置を座標として知ることができるが、その実際の位置が目視検査装置に備わる観察用モニターに映された基板のどこなのかは正確には分からない場合が多い。特に、基板サイズが大きい場合に見つけにくいという問題がある。これは作業効率の低下、欠陥部分の見落としを引き起こす可能性がある。
そこで、本発明は、目視検査用のモニター装置を用いて、大型基板上の欠陥部位を観察するに当たり、当該部位が該モニター画面上のどこにあるのか容易に認識できる手段及びこの手段を備える目視検査システムを提供することを目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明はかかる課題を達成するものであり、基板上に形成されたパターンの欠陥を検査するための、少なくとも、自動欠陥検査装置、欠陥情報データベース、目視検査装置、目視検査支援システム、レーザポインタ及びこれらと接続するLANからなる目視検査システムであって、自動欠陥検査装置で取得したパターンの欠陥に関する情報を欠陥情報データベースに蓄積する手段と、目視検査装置で取得したパターンの欠陥に関する情報を欠陥情報データベースに蓄積する手段と、蓄積された前記パターンの欠陥に関する情報を目視検査支援システムに備わるモニター装置で閲覧する手段と、被検査基板上に形成されたパターンの撮像映像を目視検査装置に備わるモニター装置に表示する手段と、被検査基板上に形成されたパターンの欠陥部位を、前記欠陥情報データベースに蓄積された情報に基づいて、レーザポインタにより照射する手段と、を備えることを特徴とする目視検査システムとしたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、基板上の欠陥部位をレーザ照射されるようにしたので、モニター装置でパターン画像を映した場合、欠陥部位が周囲より明るく見えるので容易に識別できる。その結果、大型基板であっても欠陥部位の見落としがなくなり、目視検査の作業効率が向上し目視検査に要する時間を大幅に節約できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明になる目視検査システムは、図1に示すように、複数の自動欠陥検査装置1,2,3及び自動欠陥検査装置と後述の目視検査装置5,6で検出された欠陥に係わる情報を一括管理する欠陥情報データベース4、顕微鏡撮像装置を主体とする目視検査装置5,6、欠陥位置を照射するレーザポインタ7、7’と該レーザポインタ7、7’を制御する目視検査支援システム8から構成されている。目視検査装置は被検査基板を載置して該基板をX,Y,Z方向に移動可能なステージ(図示せず)を備え、被検査基板全体を観察できる。目視検査装置5,6は取得している画像を表示するためのモニター装置(図示せず)、目視検査支援システムは文字情報表示用のモニター装置10を備えている。
【0010】
また、上記の全ての装置はLAN11で接続されており、欠陥情報データベース4に欠陥情報を格納したり、データベースに蓄積された情報を参照することがができる。
【0011】
自動欠陥検査装置1,2,3は、様々なパターンが形成された被検査基板をCCDカメラ又はラインセンサ等の撮像装置で撮像することで得られた画像情報を、パターン認識技術を駆使して解析することで、欠陥部位を自動的に検出する装置である。検出される欠陥の種類、例えば断線、欠け、ブリッジ、白抜け、黒抜け、ムラ、マーク欠陥等により画像解析手法が異なるので、多数の欠陥に対応するように複数の自動欠陥検査装置1,2,3を備えている。
【0012】
各自動欠陥検査装置1,2,3は、自装置に回流してきた被検査基板から検出した欠陥に関する情報を、検出された欠陥の数だけ、例えば通常欠陥情報とムラ欠陥情報に分けて、欠陥情報データベース4に格納して保存している。表1及び表2に通常欠陥情報テーブルとムラ欠陥情報テーブルの内容の一例をそれぞれ示す。
【0013】
【表1】

【0014】
【表2】

【0015】
目視検査装置5,6は、観察対象の被検査基板を搭載するステージと該基板(又は顕微鏡を備えるCCDカメラ)を撮像装置(又は基板)の焦点に移動させるための移動機構(
図示せず)からなっている。欠陥情報に基づいて、対象欠陥近傍に位置合わせをして目視検査装置付属のモニター上に表示することができる。画像取得は反射でも透過でも可能である。
【0016】
目視検査のタイミングは適宜設定されるが、目視検査支援システム8は、目視検査装置5,6を用いて被検査基板を撮像して観察をする際に援用する特別なシステムである。目視検査支援システム8は、目視検査装置5,6に投入された被検査基板の識別コードを使用して、欠陥情報データベース4から当該基板に関して蓄積されている欠陥情報をLANを通じて目視検査支援システム8付属のモニター10上へ文字情報として展開する。表示形式は、リスト形式、縮小マップ表示から適宜選択できる。
【0017】
目視検査支援システム8は、欠陥情報を文字情報としてモニター10に表示して、観察者が目視検査装置のモニター画面上の対応する実欠陥の検出を助けるだけでなく、対象とする欠陥が当該基板上のどこにあるかの位置情報を参照して、被検査基板を搭載するステージの位置又はレーザポインタ7の位置を制御して、欠陥部位をレーザポインタ7で正確に照射する機能を有する。これにより、目視検査装置5,6は、欠陥部位がレーザ照射された画像を付属のモニター上に表示するから、観察者は欠陥部位がどこにあるか容易に検知確認できる。レーザの光路上に電気的なシャッターを設置して点滅させれば、より検知しやすくなる。
【0018】
また、目視検査で始めて検出された欠陥についても、欠陥に係わる情報として欠陥情報データベース4に格納できる。このことは自動欠陥検査装置1、2,3と変わるところがない。これらの情報を後で参照できるし、この情報に基づいて欠陥の修正を行うこともできる。表3に目視検査装置が欠陥情報データベースに保存する情報の一例を示す。
【0019】
【表3】

【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】目視検査システムの概略構成を説明する図である。
【符号の説明】
【0021】
1,2,3・・・自動検査装置
4・・・欠陥情報データベース
5、6・・・目視検査装置
7、7’・・・レーザポインタ
8・・・目視検査支援システム
10・・・第二のモニター装置
11・・・LAN

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に形成されたパターンの欠陥を検査するための、少なくとも、自動欠陥検査装置、欠陥情報データベース、目視検査装置、目視検査支援システム、レーザポインタ及びこれらと接続するLANからなる目視検査システムであって、
自動欠陥検査装置で取得したパターンの欠陥に関する情報を欠陥情報データベースに蓄積する手段と、
目視検査装置で取得したパターンの欠陥に関する情報を欠陥情報データベースに蓄積する手段と、
蓄積された前記パターンの欠陥に関する情報を目視検査支援システムに備わるモニター装置で閲覧する手段と、
被検査基板上に形成されたパターンの撮像映像を目視検査装置に備わるモニター装置に表示する手段と、
被検査基板上に形成されたパターンの欠陥部位を、前記欠陥情報データベースに蓄積された情報に基づいて、レーザポインタにより照射する手段と、を備えることを特徴とする目視検査システム。

【図1】
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【公開番号】特開2010−139461(P2010−139461A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−318022(P2008−318022)
【出願日】平成20年12月15日(2008.12.15)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】