説明

移動先予測装置、移動先予測方法及びナビゲーション装置

【課題】従来よりも高い精度で移動先を予測することができる移動先予測装置を提供する。
【解決手段】複数の移動先候補を順序づけて選出する移動先候補選出部112と、選出された移動先候補を順序づけに従って表示する描画処理部117と、一定の単位期間当たりに一定の移動頻度で移動体が当該移動先候補に移動するという規則を決定する規則決定部130と、単位期間において移動体が移動先候補に移動した実績頻度を特定する単位期間頻度積算部115と、複数の移動先候補のそれぞれについて、実績頻度が規則に含まれる移動頻度に達しているか否かを判断する実績頻度判断部116とを備え、描画処理部117は、実績頻度が規則を満たしていると判断された場合に、当該判断の結果が反映されるように、移動先候補を表示し、規則決定部130は、単位期間を設定する期間設定部113と、単位期間における頻度を規則として決定する規則抽出部114とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されたりユーザに携行されたりする移動体端末における移動履歴データに基づいてユーザが今後移動する経路や目的地などの移動先を予測する移動先予測装置、移動先予測装置を適用したカーナビゲーションシステムや携帯電話などのナビゲーション装置、及び移動先予測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載されるカーナビゲーション装置などを対象として、車両の過去の走行履歴、すなわち、運転の開始地点や終了地点、及びその日時に関する履歴に基づいて、車両が今後向かおうとしている目的地を予測する技術をナビゲーション装置に適用した例が開示されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、例えば、ある木曜日の20時30分に運転者が車両で移動中であった場合、過去の走行履歴の中から、「木曜日の20時30分」に移動中であった履歴を検索する。検索の結果、該当する曜日・時刻において過去にAというランドマークに3回、Bというランドマークに1回走行していた場合、Aというランドマークに行く可能性が高くその確率が75%であると予測される。一方で、過去に「木曜日の20時30分」に移動中であった履歴が存在しない場合には、これを「平日の20時30分」というように履歴の検索条件を拡大解釈して、該当する履歴を抽出し、同様に移動頻度に基づいた目的地となるランドマークが予測されることになる。これは、木曜日という「曜日」を「平日」というより大きな括り(以下、クラスと呼ぶ)へと拡大する例であるが、同様に20時30分という「時刻」についても「夜(18時〜24時)」などのクラスを定義して、多くの履歴を対象として頻度に基づいた予測確率を算出することもできる。確率を算出するには、一般には多くのデータを参照する方が信頼性は向上するため、条件に適合する履歴が存在しない場合だけでなく、予測確率の信頼度を向上するという観点でも、このようなクラスを利用した予測は効果がある。
【特許文献1】特開2005−156350号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来技術のように、予測対象となる走行と同一のクラス内の頻度のみに基づいて移動先予測を行う手法には次のような問題がある。例えば、「月曜の午前中」の走行履歴において、ランドマークAには20回、ランドマークBには10回走行した履歴が存在する場合、予測される目的地はランドマークAが最も高く67%となる。一方、ユーザはランドマークAについて、1日という期間では1回しか走行しないという特性が存在したとする。この場合、ある月曜日の8時にエンジンをかけた場合、ナビゲーション装置はランドマークAに走行する可能性が最も高いと予測する。この走行で実際にユーザがランドマークAへと走行した後、11時に再びエンジンをかけたとする。このとき、ユーザはランドマークAには1日に1回しか走行しないという特性があるにも関わらず、「月曜の午前中」というクラスではランドマークAへの走行が最も多いために、再びランドマークAが予測されてしまう。このように単に予測しようとする走行の条件と類似の履歴を検索して頻度の多寡のみに基づいて予測する手法では、精度の高い予測を行うことはできないという課題を有している。
【0004】
そこで、本発明は、上述したような従来の課題を解決するものであり、従来よりも高い精度で移動先を予測することができる移動先予測装置及びナビゲーション装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明者らは、移動履歴に基づく移動先(目的地や走行交差点など)の予測技術を開発するため、30名程度の被験者に対して車両による3ヶ月の移動履歴を収集し、予測精度を検証する実験を行った。その実験について、図1から図6を用いて説明する。
【0006】
図1は、その中の被験者Iについて、「休日(土曜、日曜など)の12時から18時」というクラスの間に「自宅」を出発した後に移動した目的地の頻度を3ヶ月間で累計したもののうち、頻度が多いものから抜粋した順位表である。本図に示されるように、頻度が最も多いのは、「カルチャー教室A」へと向かった走行であり6回存在する。その次に「自宅」を出発して走行しエンジンを切らないまま「自宅」に戻ってきた走行、及び「自宅」から「駐車場A」へと向かった走行が4回で同数を占める。最後に「スーパーA」へと向かった走行で2回存在したことが表わされている。
【0007】
図2は、同じく被験者Iに関して、目的地となったランドマーク毎に、「1日」という単位で区切ったときの移動頻度を、1ヶ月毎に示したものである。具体的には、被験者Iは、「カルチャー教室A」に対して、最初の1ヶ月目には、「1日」に1回だけ走行した日数が8日あり、「1日」に2回走行した日数、及び3回以上走行した日数は1日も存在しない。また、2ヶ月目も同様に、1日に1回だけ走行した日は存在するが、1日に2回以上走行した日は存在しない。このように、被験者Iは「カルチャー教室A」に対しては、「1日」に多くても1回しか走行しないことが分かる。一方、「病院A」については、2ヶ月目に、「1日」に1回だけ走行した日もあれば、2回走行した日もあり、「1日」における「病院A」については定まっていないと考えることができる。
【0008】
図3は、同じく被験者Iの2005年11月5日(土曜日)、12時から18時における実際の走行を順に示したものである。走行ID1に示されるように、被験者Iは、12時23分に自宅を出発してカルチャー教室Aに向かっている。この走行において、自宅を出発したときに特許文献1による予測手法を用いて目的地を予測した場合には、図1の頻度情報に基づき、カルチャー教室Aに向かう可能性が最も高く、自宅、駐車場Aに向かう可能性がそれに継ぐと判定される。このような予測結果を利用したアプリケーションとして、予測される目的地の名称(可能性の高いものから上位3つ)とそこへの到着予想時刻をカーナビゲーション装置の画面に表示するというものを想定すると、被験者Iへは、図4に示される画面が提示される。被験者Iは走行ID1で実際にカルチャー教室Aを目的地としたので、この予測は成功したことになる。
【0009】
その後、被験者Iは走行ID2で、カルチャー教室Aを15時3分に出発し、自宅へ戻った後、図3に示されるように、再び走行ID3で17時8分に自宅を出発地とする走行を開始している。この走行においても、従来の予測手法では、走行ID1のときと同様に、カルチャー教室Aに向かう可能性が高いと判定する。このとき、被験者Iに提示される画面は、図5のようになる。
【0010】
ところが、被験者Iはこの走行で実際にはスーパーAに向かっているので予測は成功しないことになる。この理由の一つとして、図2に示されるように、被験者Iには、ランドマーク毎に「1日」という期間でみたときに、移動する頻度に関する特性が存在しているにも拘わらず、それを考慮した予測がなされていないことが挙げられる。すなわち、図2に示される特性を考慮すれば、走行ID3において、カルチャー教室Aは予測対象から外れ、図1において、4番目に移動頻度が多いスーパーAを繰り上げることで、図6のような画面を被験者Iに提示することが可能となり、予測は成功していたことになる。
【0011】
本発明は、ユーザがランドマークや交差点、道路に対して、所定の期間において目的地として移動する移動頻度に関する特性を規則として利用することで、予測精度を向上させるものである。
【0012】
前記従来の課題を解決するために、本発明の移動先予測装置は、移動体の移動先を予測する移動先予測装置であって、移動体の移動履歴を示す移動履歴データを取得する取得手段と、移動体の現在位置を検出する位置検出手段と、前記取得手段で取得された移動履歴データに対して、前記位置検出手段で検出された移動体の現在位置を含む移動履歴を検索し、検索できた移動履歴の頻度に基づいて、複数の移動先候補を順序づけて選出する移動先候補選出手段と、前記移動先候補選出手段によって選出された前記移動先候補を前記順序づけに従って表示する表示手段と、少なくとも前記複数の移動先候補のそれぞれについて、一定の単位期間当たりに一定の移動頻度で前記移動体が当該移動先候補に移動するという規則が存在するか否かを判断し、存在する場合には、当該単位期間と当該移動頻度とを含む規則を決定する規則決定手段と、前記複数の移動先候補のうち、前記規則決定手段によって規則が存在すると判断された移動先候補について、前記移動履歴データを参照することで、前記単位期間において前記移動体が当該移動先候補に移動した実績頻度を特定する単位期間頻度積算手段と、前記複数の移動先候補のそれぞれについて、前記単位期間頻度積算手段で特定された実績頻度が前記規則に含まれる移動頻度に達しているか否かを判断することによって前記規則を満たしているか否かを判断する実績頻度判断手段とを備え、前記表示手段は、前記実績頻度判断手段によって前記実績頻度が前記規則を満たしていると判断された場合に、当該判断の結果が反映されるように、前記表示をし、前記規則決定手段は、前記単位期間を設定する単位期間設定部と、前記移動履歴データを解析することによって、前記単位期間設定部で設定された単位期間において前記移動体が前記移動先候補に移動している頻度を特定し、特定した前記単位期間における頻度を前記規則として決定する規則抽出部とを有し、前記単位期間設定部は、複数記憶された単位期間の中で、期間の短い単位期間を優先的に設定し、前記規則抽出部は、前記優先的に設定された期間の短い単位期間に対して規則を抽出することを特徴とする。なお、「表示手段」は、後述する実施の形態における描画処理部117と表示部106とを組み合わせた機能手段である。
【0013】
このような構成によって、ユーザがランドマークや交差点、道路などの移動先に対して、所定の単位期間での目的地への移動頻度に関するユーザの規則性を利用して移動先が予測され、精度の高い移動先予測が可能となる。
【0014】
ここで、前記移動先予測装置はさらに、前記実績頻度判断手段によって順序づけが変更された複数の移動先候補を当該順序づけに従って表示する表示手段を備える構成とするのが好ましい。
【0015】
このような構成によって、ユーザに対して不要な情報を表示したり音声出力したりするのを回避し、限られた表示領域を効果的に活用できるとともに、ユーザに必要のない情報を閲覧、視聴する負荷を取り除くことができる。
【0016】
なお、本発明は、移動先予測装置として実現できるだけでなく、移動先予測装置を利用したナビゲーション装置、移動先予測方法、コンピュータで実行されるプログラム、そのようなプログラムが格納されたCD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体としても実現することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の移動先予測装置によれば、移動履歴データに基づいて、予測対象となる移動と類似した条件における過去の移動頻度に基づいた移動可能性と、所定の単位期間における移動先(ランドマークや交差点、道路など)への移動頻度に関する規則に基づいた移動可能性の双方が加味されたうえで、移動先が予測され、精度の高い移動先予測が実現される。
【0018】
よって、確率の高い移動先だけがユーザに通知され、これによって、ユーザに対して不要な情報が提示されることが回避されるので、特に、カーナビゲーション装置として適用した場合に、ユーザの利便性だけでなく、運転の安全性も確保され、本発明の実用的価値は極めて高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0020】
(実施の形態1)
まず、本発明の実施の形態1について説明する。
【0021】
図7は、本発明に係る移動先予測装置の一実施例であるナビゲーション装置101の外観図である。このナビゲーション装置101は、自動車に搭載されるナビゲーション装置であり、本発明に係る移動先予測装置としての機能や、予測された移動先を表示する機能を備える。
【0022】
図8は、本発明の実施の形態1におけるナビゲーション装置101の構成を示す図である。このナビゲーション装置101は、一定の単位期間当たりに一定の移動頻度で移動先に移動するというユーザ(つまり、移動体)の規則性を利用して移動先を高い精度で予測することができるカーナビゲーション装置であり、日時検出部102と、位置検出部103と、記憶部104と、制御部105と、表示部106とを備える。
【0023】
日時検出部102は、現在の日時を検出する手段であり、カレンダー機能つきの時計などである。
【0024】
位置検出部103は、ナビゲーション装置101が搭載される車両に取り付けられ、現在位置や速度、方位、現在時刻を検出するための手段であり、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機、車速センサ、ジャイロ(角速度)センサ、加速度センサなどである。GNSS受信機は、例えば、GPS受信機であり、複数の衛星からの電波を受信し、それを復調することで受信機の絶対位置を計測することで検出するものである。なお、現在位置や速度、方位の測位には、GNSS受信機や各種センサを単独又は複合で利用して行う。
【0025】
表示部106は、制御部105により作成される表示画像データに従って画像を表示する、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどである。
【0026】
記憶部104は、道路や交差点、ランドマークなどのデータ等の地図情報や、ナビゲーション装置101を搭載した車両が走行した履歴などが記憶される、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やDVD(Digital Versatile Disk)などの光記憶メディア、その他フラッシュメモリ等の記憶媒体である。これらの記憶媒体は着脱可能な構成であってもよく、また、これに限らず、図示しない通信手段(例えば、携帯電話、PHS等)によって格納する情報をサーバ設備(非図示)から都度ダウンロードする構成であってもよい。
【0027】
記憶部104に記憶されるデータとしては、地図データ108、ランドマークデータ107、移動履歴データ109、期間規則データ120が存在する。
【0028】
図9に、地図データ108に記憶されている地図情報の中で、本実施の形態に関連する情報を抜粋したデータを示す。地図データ108には、(A)ノードデータ、(B)補完ノードデータ、(C)リンクデータが含まれる。(A)ノードデータは、交差点や合流地点など、幾方向かに道路が分岐する地点であり、ノードごとに緯度・経度などの位置情報、該ノードに接続する、後述するリンクの数及びリンクのIDにより構成されている。(B)補完ノードデータは、後述するリンク上に存在し、リンクが直線状でない場合など、その形状を表現するための曲折点を表すものであり、緯度・経度などの位置情報、自身が存在するリンクIDにより構成されている。(C)リンクデータは、ノードとノードを結ぶ道路を表すものであり、リンクの端点である始点ノード、終点ノード、リンクの長さ(単位はメートルやキロメートルなど)、リンクの幅(単位はメートルなど)、一般道路、高速道路などの道路種別、前述した補完ノードの数、及びそのIDにより構成されている。
【0029】
図10は、ランドマークデータ107に記憶されている情報を示す。(A)施設データは、ナビゲーション装置101のメーカや、その他情報サービスを行う事業者等により登録されているランドマークについて、そのジャンル、名称、一意に付与された識別ID、及び緯度・経度などの位置情報などにより構成されている。一方、(B)ユーザ設定データは、ユーザ自身が登録したランドマークについて、その名称、一意に付与される識別ID、及び緯度・経度などの位置情報などにより構成されている。(A)施設データのランドマーク名称と異なり、(B)ユーザ設定データのランドマーク名称は、ユーザ自身が自分に分かり易い名称、例えば「自宅」や「会社」などを登録することが可能である。
【0030】
図11は、移動履歴データ109に記憶されているデータの一例を示す。移動履歴データ109は、日時検出部102で検出された現在日時に対応づけて、位置検出部で検出された現在位置の履歴を記録したデータであり、ユーザが車両で走行するに伴って、日時検出部102及び位置検出部103により検出される走行日時及び車両の位置に関する情報が車両走行の開始から走行終了までをセグメントとして出発地、目的地、及びその途中経路が時系列的に記憶されている。位置検出部103により検出される位置情報は、後述する制御部105のマッチング部111により、車両が存在しているランドマークやリンクなどのIDに変換され、移動履歴データ109には、そのID情報が記憶される。例えば、図11の最初の走行履歴は、車両が2007年1月19日の8時43分にIDがLM201のランドマークを出発し、その後リンクIDL3の道路を8時45分、リンクIDL9の道路を8時50分、リンクIDL12の道路を8時56分に走行し、その後図示しないリンクを走行して目的地であるランドマークIDLM202の地点に9時25分に到着したことを表している。
【0031】
なお、車両走行の開始はエンジンの始動により、また、走行の終了はエンジンの停止により判定することができる。また、途中経路は、車両が走行した道路のリンクIDを記憶する例が示されているが、通過した交差点を表すノードIDを記憶するような構成であってもよい。
【0032】
図12は、期間規則データ120に記憶されているデータの一例である。期間規則データ120は、後述するように、規則決定部130がランドマークごとの移動頻度に関する規則を抽出する際に、移動頻度規則を抽出する期間に関する規則が記憶されている。図12に示されるように、規則には適用される優先順位が決められており、優先順位が最も高いのは、期間「1日」における移動頻度の規則抽出を試みるというものである。後述する規則決定部130による処理に従った結果、期間「1日」において規則抽出がなされないときには、次の優先順位である期間「平日」又は「休日」における移動頻度に関する規則抽出が試みられる。以下、同様にして、優先順位に従って適用する期間規則が定められている。期間規則データ120の規則の優先順位は、「1日」という期間の短いものから「1週間」等の期間が長いものへと定められているが、この理由については後に詳述する。
【0033】
制御部105は、ナビゲーション装置101全体の動作を制御するCPUやMPUとROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等で実現され、機能的には、データ管理部110と、マッチング部111と、移動先候補選出部112と、規則決定部130、単位期間頻度積算部115と、実績頻度判断部116と、描画処理部117とを有する。以下、各構成要素について詳述する。
【0034】
データ管理部110は、制御部105の他の構成要素と記憶部104に記憶されているデータの受け渡しを管理する機能を有し、例えば、記憶部104に移動履歴データ109を蓄積していったり、記憶部104から各種データ107〜120を読み出して取得したりする処理部である。ここでの処理としては、詳細は後述するが、マッチング部111のマップマッチング処理に際して、ランドマークデータ107や地図データ108をマッチング部111へ渡したり、マップマッチングされた位置情報のIDを、日時検出部102により検出される日時情報と共に移動履歴データ109に蓄積したり、移動先の予測の際に必要となる諸々の処理に際して、移動履歴データ109や期間規則データ120を検索したり、描画処理部117により表示部106に表示される地図データ等を記憶部104から描画処理部117へ渡したりという処理が一例として挙げられる。
【0035】
マッチング部111は、データ管理部110を介して取得されるランドマークデータ107や地図データ108を参照して、位置検出部103により検出された位置情報をIDへと変換するマップマッチング処理を行う。マップマッチング処理は既存のナビゲーション装置において実用化されている機能のためここでの詳細な説明は省略する。
【0036】
移動先候補選出部112は、マッチング部111と連携して動作することにより、データ管理部110を介して、記憶部104に記憶されている移動履歴データ109に対して、位置検出部103で検出された移動体の現在位置を含む移動履歴を検索し、検索できた移動履歴の頻度に基づいて、複数の移動先候補を順序づけて選出する処理部である。具体的には、移動先候補選出部112は、日時検出部102により検出された日時に関する情報、及びマッチング部111によりマップマッチングされた位置情報を参照して、ユーザがその日時、位置において過去に移動した移動先を移動履歴データ109から検索し、候補を選出する。
【0037】
規則決定部130は、少なくとも、移動先候補選出部112によって選出された複数の移動先候補のそれぞれについて、一定の単位期間当たりに一定の移動頻度で移動体が当該移動先候補に移動するという規則が存在するか否かを判断し、存在する場合には、当該単位期間と当該移動頻度とを含む規則を決定する処理部であり、期間設定部113と、規則抽出部114とを有する。
【0038】
期間設定部113は、規則を特定する単位期間を設定する処理部であり、移動履歴データ109からランドマークや道路、交差点などの移動先に対する移動頻度に関する規則を抽出するのに際し、期間規則データ120に記憶されている期間規則を参照して、規則として捉える期間、例えば「1日に1回ランドマークAに向かう」という規則における「1日」や、「1週間に4回国道1号線を走行する」という規則における「1週間」という単位を設定する。
【0039】
規則抽出部114は、移動履歴データ109を解析することによって、期間設定部113で設定された単位期間において移動体が移動先候補選出部112によって選出された複数の移動先候補それぞれに移動している頻度を特定し、特定した頻度を規則として決定(抽出)する、つまり、期間設定部113により設定された単位期間に対して、移動先毎に移動頻度を規則化する処理部である。
【0040】
期間設定部113及び規則抽出部114の詳細な処理の流れについて、図13に示されるフローチャートを用いて説明する。最初に、期間設定部113は、移動履歴データ109を参照して、移動先のIDを1つ抽出する(S101)。移動先としては移動履歴データ109中の目的地や経路が該当するが、ここでは目的地のIDを抽出した場合について述べる。抽出した移動先IDが「Shop A」であったとすると、次に、期間設定部113は、移動履歴データ109の所定の範囲(例えば4週間)の移動履歴データにおいて、ユーザが「Shop A」に移動した頻度を、日ごとに算出してテーブルを作成する(S102)。図14(A)に、作成されたテーブルの例を示す。テーブルには、図14(A)に示されるように、月曜から日曜日まで4週間分28日のそれぞれに日ごとに訪問した頻度、月曜から金曜までを平日というクラスで捉えたときの週単位での移動頻度、同様に、土曜と日曜を休日というクラスで捉えたときの週単位での移動頻度、そして、月曜から日曜まで、すなわち、平日と休日を合算したときの週単位での移動頻度に関する情報が格納される。
【0041】
次に、期間設定部113は、そのテーブルを参照して、期間規則データ120において、優先順位が1位である「1日」という単位で移動頻度が一定であるかどうかの判定を行う(S103)。図14(A)では「Shop A」に1日1回行く日もあれば、行かない日もあり、移動頻度が一定でないことが分かる。一定でないと判定されると(S103でNo)、期間設定部113は、期間規則データ120において、優先順位が2位である「平日」あるいは「休日」という単位で一定であるかどうかの判定を行う(S104)。「休日」では、週に1回行く週や、1回も行かない週が存在し頻度が一定していないが、「平日」では、毎週4回移動しており頻度が一定している。一定であると判定すると(S104でYes)、期間設定部113は、「Shop A」に対する移動頻度の規則抽出の期間を「平日」と設定する(S107)。期間設定部113で期間が設定されると、規則抽出部114は、「Shop A」に対する移動頻度の規則として、「平日に4回」として抽出する(S108)。
【0042】
次に、期間設定部113は、移動履歴データ109の中で未だ期間を設定していない移動先があるかどうかの判定を行い(S109)、存在する場合には(S109でYes)、新たな移動先を選択する(S101)。新たな移動先として「Rest A」が選択されたとすると、期間設定部113は、「Rest A」に対して頻度テーブルを作成する(S102)。「Rest A」の頻度テーブルを図14(B)に示す。
【0043】
期間設定部113は、新しい移動先に対して、再び期間規則データ120において優先順位が1位である「1日」という単位で移動頻度が一定であるかどうかの判定を行う(S103)。図14(B)のテーブルでは、「Rest A」に1日1回行く日もあれば、行かない日もあり、移動頻度が一定でないことが分かる。一定でないと判定されると(S103でNo)、期間設定部113は、期間規則データ120において優先順位が2位である「平日」あるいは「休日」という単位で一定であるかどうかの判定を行う(S104)。すると「平日」、「休日」のいずれの単位でも頻度が一定していない。そのため一定でないと判定されると(S104でNo)、期間設定部113は、期間規則データ120において優先順位が3位である「1週間」という単位で移動頻度が一定であるかどうかの判定を行う。「Rest A」へは、「1週間」という単位では毎週2回移動しており頻度が一定である。一定であると判定されると(S104でYes)、期間設定部113は、「Rest A」に対する移動頻度の規則抽出の期間を「1週間」と設定する(S107)。期間設定部113で期間が設定されると、規則抽出部114は、「Rest A」に対する移動頻度の規則として、「1週間に2回」として抽出する(S108)。
【0044】
次に、期間設定部113は、移動履歴データ109の中で未だ期間を設定していない移動先があるかどうかの判定を行い(S109)、存在する場合には(S109でYes)、再び同様の処理を繰り返し、存在しなければ(S109でNo)、処理を終了する。
【0045】
なお、「1日」、「平日又は休日」、「1週間」のいずれの期間でも移動頻度が一定でなければ(S105でNo)、規則抽出部114は、その移動先に対しては頻度に関する規則が存在しないと判定され、期間設定部113は、未判定の移動先が存在するかどうかの処理を行う(S109)。
【0046】
このようにして、期間設定部113は、データ管理部110を介して、記憶部104に記憶されている移動履歴データ109を参照することで、移動体が移動先候補に移動する頻度が一定している期間を特定し、特定した期間を単位期間として設定する。
【0047】
なお、本実施の形態では、期間設定部113により設定される単位期間、「1日」、「平日又は休日」、「1週間」を決定するに際し4週間の移動履歴データを対象としたが、参照する履歴はこれに限らず任意の履歴日数を対象とすることができる。また、期間規則データ120に記憶される期間に関する規則としては、これら以外に、「10日」、「1ヶ月」、「3ヶ月」、「半年」、「1年」などをも考慮してもよい。もっとも、「1ヶ月」以上の単位期間の規則を抽出するには、参照する履歴数は1ヶ月よりも多くする必要がある。
【0048】
また、本実施の形態では、「Shop A」や「Rest A」など、特定のランドマークに対して移動頻度規則を抽出する例について述べたが、このような単体施設ではなくジャンルに対する規則を抽出することも可能である。図10のランドマークデータ107を参照すれば、施設が属する「レストラン」や「スーパー」といったジャンルを特定することが可能であるので、単体施設に対する移動頻度を合算すればジャンル毎の移動頻度を算出することができる。そのため「レストラン」というジャンルに対して「休日に1回」などの規則を抽出することも可能である。
【0049】
このように、ジャンルに対する規則を抽出することは、次のような場合に特に有効となる。例えば、主婦の買物のための移動を考えた場合に、買物を行う店舗は一般に「Shop A」、「Shop B」、「Shop C」等複数存在することがある。そして、それらの店舗への移動頻度を1週間という期間で見ると、ある週では「Shop A」に2回、「Shop B」に2回、「Shop C」に1回、別の週では「Shop A」に1回、「Shop B」に2回、「Shop C」に2回、さらに別の週では「Shop A」に1回、「Shop B」に1回、「Shop C」に3回、などのように、特定のランドマークに対しては移動頻度が変動し、必ずしも移動頻度規則が抽出できない事例
も存在する。それに対して、個別のランドマークではなく、それらが属するジャンルである「スーパー」への移動頻度としてみた場合には、1週間での移動頻度が5回というような規則が抽出できる。このように特定のランドマークに対しては移動規則が抽出できないような場合に、そのランドマークが属するジャンルという観点で移動規則が抽出できるか否かを判定するような処理を行うことが可能である。
【0050】
また、期間設定部113が、例えば、平日の移動頻度が一定であるかどうかを判定する際に、4週間の履歴中、4つの週の頻度がすべて同一となったとき初めて一定であると判定する例について述べたが、「一定」の定義は、次のように拡張してもよい。たとえば、10週分の履歴を対象とするときに、ある移動先に4回移動した平日が8週、3回移動した平日が1週、5回移動した平日が1週であったとする。このとき、上述の定義では、「一定でない」と判定されるが、対象となる履歴のうち、同一頻度の週が所定の閾値(例えば80%)以上存在する場合にも「一定である」と判定するようにしてもよい。この場合、全10週中、平日に4回移動した週は8週であり、閾値である80%を超えているため、頻度が「一定である」と判定し、その移動先に対して「平日に4回」という規則を抽出するようにしてもよい。このようにすることで、移動頻度が完全には一致しない場合でも、そのような傾向(規則性)があると認められるときには規則として抽出することが可能となる。
【0051】
また、「平日に5回」として規則が抽出された際に、さらに「1日」という単位で見たときに月曜から金曜まで毎日1回移動しているような場合には、「平日」と「1日」を複合的に利用した規則として「平日の1日に1回」というようなものを作成することも可能である。このような複合的な規則を用いることで、より正確な移動頻度に関する規則を表現することが可能となる。
【0052】
単位期間頻度積算部115は、移動先候補選出部112によって選出された複数の移動先候補のうち、少なくとも規則決定部130によって規則が存在すると判断された移動先候補について、データ管理部110を介して、記憶部104に記憶されている移動履歴データ109を参照することで、単位期間において移動体が当該移動先候補に移動した実績頻度を特定する処理部であり、具体的には、移動先ごとに、期間設定部113で設定された単位期間において移動済みの回数を積算する。例えば、「Rest A」に対して期間設定部113により「1週間」という単位期間が設定されたとすると、単位期間頻度積算部115は、「週」を月曜から始まると仮定すると、月曜から、「Rest A」への移動が検出されるたびに頻度を1加算する。なお、積算された頻度は、単位期間終了後、すなわち日曜が終わるとリセットされて頻度が0となり、次の月曜から再び移動が確認されるたびに頻度が1加算される。
【0053】
なお、移動先候補選出部112の詳細な処理は、図15のフローチャートに示される通りである。ここでは、選出する候補数を5つとしている。
【0054】
まず、エンジンの起動時、又は、マッチング部111の出力から車両の位置情報に変化が生じたとき(例えば、リンクID5からリンクID3へ移動したなど)、移動先候補選出部112は、データ管理部110を介して、記憶部104に記憶されている移動履歴データ109を参照し、現在の走行と位置が一致する履歴を検索する(S201)。このとき、エンジンが起動したタイミングであれば、車両の現在の位置情報と一致する履歴を、位置情報が変化したタイミングであれば、車両の出発地及び出発してから現在の走行までの経路がともに一致する履歴を、それぞれ検索することになる。
【0055】
検索の結果、走行が一致する履歴の数が所定の値(例えば、10)以下であれば(S202でNo)、移動先候補選出部112は、移動履歴データ109全体を参照して、全履歴の中で移動頻度の多いものを移動先候補として上位5つを選出し(S203)、処理を終了する。
【0056】
一方、走行が一致する履歴の数が所定の値以上存在すれば(S202でYes)、ステップS201で検索した履歴の中で、さらに曜日クラスと時刻クラスが共に一致する履歴を検索する(S204)。ここで、曜日クラス、時刻クラスについて図16を参照して説明する。クラスとは、ある事例が与えられたとき、それをより広い概念で捉えるためのものである。曜日クラスには「平日」クラスと「休日」クラスが存在し、「平日」クラスに属する個々のインスタンスとして、月曜、火曜、水曜、木曜、金曜があり、「休日」クラスに属する個々のインスタンスとしては、土曜、日曜がある。一方、時刻クラスには、「深夜」クラス、「朝」クラス、「昼」クラス、「夜」クラスの4つが存在し、「深夜」クラスの範囲は0時から6時まで、「朝」クラスの範囲は6時から12時まで、「昼」クラスの範囲は12時から18時まで、「夜」クラスの範囲は18時から24時までというように定められている。そのため、「月曜日の11時58分」という事例が与えられたときには、曜日クラスは「平日」クラス、時刻クラスは「朝」クラスとなり、「月曜日の12時30分」という事例が与えられたときには、曜日クラスは「平日」クラス、時刻クラスは「昼」クラスとなる。移動先候補選出部112は、図16のようなクラス定義を参照して、曜日クラスと時刻クラスが共に一致する履歴を検索することになる。
【0057】
ステップS204において検索された履歴の数が所定の値以上存在すれば(S205でYes)、移動先候補選出部112は、現在の走行の位置と、曜日クラス及び時刻クラスが共に一致する履歴の中で移動頻度の多いものを移動先候補として上位5つを選出し(S206)、処理を終了する。
【0058】
一方、履歴の数が所定の値以下であれば(S205でNo)、移動先候補選出部112は、ステップS201で検索された、現在の走行と位置が一致する履歴の中で、曜日クラスのみが一致する履歴、そして、時刻クラスのみが一致する履歴を検索する(S207)。このとき、少なくともいずれかの履歴数が所定の値以上であれば(S208でYes)、それらのうち、より履歴数の多いクラスの履歴の中で、移動頻度の多いものを移動先候補として上位5つを選出し(S209)、処理を終了する。また、いずれのクラスにおいても履歴数が所定の値以下であれば(S208でNo)、ステップS201で検索された、現在の走行と位置が一致する履歴の中で、移動頻度の多いものを移動先候補として上位5つを選出し(S210)、処理を終了する。
【0059】
実績頻度判断部116は、移動先候補選出部112による移動先の候補に関する情報、及び規則抽出部114により抽出された、移動先ごとの単位期間における移動頻度の規則、及び単位期間頻度積算部115によりカウントされる、移動先ごとの単位期間における移動済み頻度を用いて、移動先候補選出部112によって選出された複数の移動先候補のそれぞれについて、単位期間頻度積算部115で特定された実績頻度が規則に含まれる移動頻度に達しているか否かを判断することによって、規則を満たしているか否かを判断する。具体的には、以下のいずれかの方法により移動先を予測する。第一の方法は、複数の移動先候補の中で、規則を満たしている場合には、規則を満たしていない場合よりも移動体が当該移動先候補に移動する予測確率を低くしたうえで、移動先候補選出部112による順序づけを変更し、順序づけが変更された後の複数の移動先を移動先として予測する。第二の方法は、移動先候補選出部112による複数の移動先候補に対する順序づけの中で、規則を満たしている移動先候補については、規則を満たしていない場合よりも順序づけを下位に変更する、あるいは、規則を満たしていない移動先候補については、規則を満たしている場合よりも順序づけを上位に変更する。第三の方法は、移動先候補選出部112により選出された複数の移動先候補の中から、規則を満たしている移動先候補を除外することによって、順序づけを変更する。なお、これら複数の方法は、いずれかだけがナビゲーション装置に実装されてもよいし、ユーザ選択可能な状態でナビゲーション装置に実装されてもよい。
【0060】
描画処理部117は、実績頻度判断部116により予測された(つまり、最終的に順序づけされた)移動先に対して関連する情報を地図データ108などとともに表示部106に対して描画する処理を行う。つまり、描画処理部117は、原則として、移動先候補選出部112によって選出された移動先候補を移動先候補選出部112による順序づけに従って表示部106に表示させるが、実績頻度判断部116によって順序づけが変更された場合には、それら複数の移動先候補を変更後の順序づけに従って表示部106に表示するための表示制御をする。
【0061】
実績頻度判断部116の動作例について、図17、図18に示されるような表示部106の表示内容を参照して説明する。ここで、以下の条件を想定する。まず、現在の日時は木曜日の9時20分であり、移動先候補選出部112により選出された移動先の候補は「School D」が20回、「Shop A」が15回、「Park B」が8回、「Hospital F」が4回、「Shop B」が2回の上位5位であったとする。また、規則抽出部114により抽出された規則として「Shop A」に対して「平日に4回」というものがあり、単位期間頻度積算部115により積算されている「Shop A」へのその週の移動頻度は「3回」であるとする。また、「Shop A」以外の移動先候補に対しては、規則抽出部114により抽出された規則が存在しないとする。なお、表示部106に関連情報と共に表示される移動先の候補数は上位3つであるとする。
【0062】
このような条件のとき、実績頻度判断部116は、まず移動先候補選出部112により選出された5つの移動先をその頻度の順に表示する候補と定める。その次に、各移動先候補に関して規則抽出部114により抽出されている規則が存在するかどうかを確認する。今回の場合では、「Shop A」に対して「平日に4回」という規則が存在する。最後に、単位期間頻度積算部115を参照して「Shop A」に対して既に移動済みの頻度である「3回」を確認する。その結果、移動先の候補として選出された5つの移動先はいずれも規則抽出部114の規則を満たしていないため、実績頻度判断部116は、移動先候補選出部112により選出された移動先の中で、頻度の大きいものから上位3つ、すなわち「School D」、「Shop A」、「Park B」を選び、移動先(最終的に順序づけした移動先)として予測する。
【0063】
描画処理部117は、これらの移動先について、関連情報と共に表示部106に表示する。表示例を図17に示す。図17の例では、関連情報として到着予想時刻と注目情報という名称で表示されている。移動履歴データ109には、各移動先に対する過去の移動経路もあわせて記憶されているため、ユーザがその移動経路を走行すると仮定した場合の経路の長さや平均車速(例えば、高速道路なら80km/h、それ以外の道路なら30km/h)、及び、図8に図示しないナビゲーション装置のVICS受信装置やネットワークからの情報受信部などを介して取得される交通情報や商用情報などを加味して到着予想時刻の算出や、注目情報の選別が行われる。
【0064】
さらなる追加条件として、この走行において、ユーザは「Shop A」へと移動し、翌金曜の9時10分に、車両走行を開始したとする。このとき、移動先候補選出部112により選出される移動先の候補は「School D」が20回、「Shop A」が1回加算されて16回、「Park B」が8回、「Hospital F」が4回、「Shop B」が2回の上位5位であったとする。規則抽出部114により抽出される規則は変わらず「Shop A」に対して「平日に4回」という規則を保持しており、また単位期間頻度積算部115は「Shop A」について4回と更新する。なお、「Shop A」以外の移動先候補に対しては、規則抽出部114により抽出された規則が存在しないとする。
【0065】
このような条件のとき、実績頻度判断部116は、まず移動先候補選出部112により選出された5つの移動先をその頻度の順に表示する候補と定める。その次に、各移動先候補に関して規則抽出部114により抽出されている規則が存在するかどうかを確認する。今回の場合では、「Shop A」に対して「平日に4回」という規則が存在する。最後に、単位期間頻度積算部115を参照して「Shop A」に対して既に移動済みの頻度である「4回」を確認する。その結果、移動先の候補として選出された5つの移動先のうち「Shop A」は既に移動頻度の規則を満たしていることが分かる。そのため、実績頻度判断部116は、移動先候補選出部112により選出された移動先の中で「Shop A」を除外した候補の中で頻度の大きいものから上位3つ、すなわち「School D」、「Park B」、「Hospital F」を選び移動先として予測する。描画処理部117では、これらの移動先について、関連情報と共に表示部106に表示する。
【0066】
このときの表示例を図18に、また、比較として従来技術のように移動頻度の多寡にのみ基づいて表示される予測結果を図19に示す。図19のように、従来技術による表示では、移動先の単位期間での移動頻度に関する規則を考慮しないため、その週の平日には目的地とする可能性の低い「Shop A」に関する情報が表示されているのに対し、本発明による表示例である図18では、移動頻度の多寡に基づいて移動先候補として選出される移動先は同一であっても、その移動先の単位期間での移動頻度に関する規則、すなわち、ユーザは「Shop A」に対して「平日に4回」しか移動しないという規則が加味されるため、表示される移動先名称及び関連情報は異なり、「Shop A」に関する情報は表示されない。
【0067】
このように、実績頻度判断部116は、規則を満たしている移動先候補を複数の移動先候補から除外することによって、移動先候補選出部112によって選出された複数の移動先候補の順序づけを変更する。そして、描画処理部117は、実績頻度判断部116によって移動先候補が除外された後の複数の移動先候補を表示する。
【0068】
なお、移動頻度に関する規則を満たしている移動先に対しては、本実施の形態のように表示内容から除外するのではなく、表示順位を下げるようにしてもよい。例えば、本実施の形態では、予測結果2位の「Shop A」は規則を満たしているため、表示部106へ表示される3つの候補の中で順位を3番目として、画面上の最上位に「School D」、その次に「Park B」、最後に「Shop A」を表示するようにしてもよい。つまり、この例では、実績頻度判断部116は、規則を満たしている移動先候補が規則を満たしていない移動先候補よりも下位の順序で表示されるように、移動先候補選出部112によって選出された複数の移動先候補の順序づけを変更する。
【0069】
そのような表示例を図20に示す。図20のように表示することで、移動頻度に関する規則は満たしているが、その時の条件におけるその移動先への移動頻度自体は多いため、順位を下げつつも表示は残ることになり、移動先への移動頻度に関する傾向が変化したが、未だ規則として抽出できていない場合であっても、ユーザに対して利便性を向上することができる。
【0070】
また、移動頻度に関する規則を満たしていない移動先よりも上位に、移動頻度に関する規則を満たしている移動先が存在する場合には、規則を満たしていない移動先の表示順位を上げるようにしてもよい。これにより、まだ規則を満たしていない移動先が存在することをユーザに対して強調することが可能となる。
【0071】
次に、以上のように構成されたナビゲーション装置101による、走行開始から走行終了の間の処理の流れを図21のフローチャートを用いて説明する。
【0072】
位置検出部103により位置情報が検出されると、マッチング部111によりマップマッチング処理が行われる(S301)。このとき、車両がエンジンを起動したタイミングである、又は、車両が存在する位置に変化がある(車両の存在するリンクIDが変化した等)と判定されると(S302でYes)、移動先候補選出部112は、日時検出部102により検出される日時情報、マッチング部111によりマップマッチングされた現在の位置(あるいは現在位置までの走行経路)、及び、移動履歴データ109を参照して、現在の走行における移動先の候補を選出する(S303)。移動先候補が選出されると、実績頻度判断部116は、移動先候補群に対して、規則抽出部114から移動先に対する移動頻度の規則を参照する(S304)。また、あわせて、単位期間頻度積算部115から移動先候補に対する単位期間に移動済み頻度を参照する(S305)。
【0073】
実績頻度判断部116は、これら移動先候補選出部112、規則抽出部114、単位期間頻度積算部115の出力に基づいて移動先を予測する(S306)。描画処理部117は、その結果を受けて表示部106に対する描画処理を行う(S307)。そして、エンジンが停止したかどうかの判定が行われ、まだ停止していない場合は(S308でNo)、ステップS301以降の処理が繰り返される。エンジンが停止すると(S308でYes)、データ管理部110は、その時の走行を移動履歴データ109へと蓄積し(S309)、その時の移動先が単位期間頻度積算部115に記憶されている場所であればその値を1つ加算し(S310)、期間設定部113及び規則抽出部114では、規則の更新処理を行う(S311)。
【0074】
なお、エンジン停止後もナビゲーション装置が通電状態であれば、ステップS309からステップS311の処理を行うことが可能であるが、通電状態にないとき、あるいは、通電されていてもナビゲーション装置が動作可能な状態にないときは、これらの処理は次回の走行においてエンジンが起動された後に行われるようにしてもよい。
【0075】
また、本実施の形態では、期間設定部113で単位期間を設定する際に利用する期間規則データ120において、「1日」、「平日又は休日」、「1週間」に対して、「1日」の移動頻度一定の判定から、「平日又は休日」、「1週間」へ、期間の短いものから長いものへと判定処理を進めているが、これには次のような利点がある。まず、それぞれの単位期間における移動頻度の規則は排他的ではない。すなわち、あるランドマークAへ、「1日に1回」行き、かつ「1週間に7回」行くという規則を共に満たすことはあり得る。「週」を月曜日から始まり日曜日で終わるとしたとき、「1日に1回」という規則に基づけば、月曜の夕方にユーザが走行を開始した場合、その日に未だランドマークAへ走行していなければ、その走行ではランドマークAへ移動する確率は高くなると予測され、ランドマークAに関する情報を提示することはユーザに利便性を提供することができる。そして、同様の提示を火曜、水曜等毎日のように推論して行うことが可能となる。一方、「1週間に7回」という規則を採用するのであれば、金曜日の夕方に走行を開始した場合、その時点で週に4回走行していたとしても、土曜や日曜に残り3回を走行する可能性が存在するため、なんら有益な情報を提示できないことになってしまう。そのため、規則抽出に際しては、単位期間ができるだけ短いものを優先して規則として抽出するほうが、より効用が存在する。
【0076】
また、移動先候補選出部112による移動先候補の選出手法については本実施例の内容に限らず、特許文献1に示された予測手法であってもよいし、精度の高い予測が行える手法として開示されている特許第3722229号公報(特許文献2)のような手法であってもよい。
【0077】
また、本実施の形態においては、予測される移動先としてユーザ走行の目的地となるランドマークを対象として述べたが、移動先はこれに限らず、リンク(すなわち道路のある区間)であっても、ノード(交差点などの分岐点)であってもよい。また、ランドマークやリンク、ノードが位置する市町村などの情報を参照することができれば、「大阪市」や「京都市付近」などの名称を移動先として予測することも可能となる。
【0078】
また、実績頻度判断部116は、移動先候補選出部112により選出される移動先候補の中で、単位期間頻度積算部115により算出される頻度が規則抽出部114の頻度規則を満たしているものについては、その旨を表すメッセージを表示部106に表示するように描画処理部117に指示をしてもよい。例えば、「Shop A」の規則が「1週間に4回」であり、移動先候補選出部112により選出された上位5つの候補の中に「Shop A」が含まれているような場合には、実績頻度判断部116は「Shop A」を移動先候補から除外すると共に、描画処理部117が、表示部106に対して、図22に示されるようなメッセージを出力するようにしてもよい。このようにすることで、ユーザが規則を既に満たしていることを念頭におかずに移動している場合であっても、その旨を思い出させることができ、無駄な移動を省略することができる。
【0079】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2について説明する。
【0080】
実施の形態1では規則抽出部114により抽出される規則として、期間設定部113により設定される、ある移動先に対して移動頻度が一定となる単位期間を利用した頻度を用いた規則を抽出する例について説明した。実施の形態2では、規則抽出部114による別の規則の抽出の方法について説明する。
【0081】
図23は、本実施の形態におけるナビゲーション装置101aの構成を示す図である。このナビゲーション装置101aは、実施の形態1と同様に、一定の単位期間当たりに一定の移動頻度で移動先に移動するというユーザ(つまり、移動体)の規則性を利用して移動先を高い精度で予測することができるカーナビゲーション装置であり、日時検出部102と、位置検出部103と、記憶部104と、制御部105と、表示部106とを備える。
【0082】
本実施の形態においても、本発明に係る移動先予測装置をナビゲーション装置101aに適用した例について述べる。図中、実施の形態1のナビゲーション装置101と同様の機能を有する構成については、同一番号を付与し詳細な説明を省略する。
【0083】
図23のように、本実施の形態においては、実施の形態1のナビゲーション装置101の規則決定部130(期間設定部113及び規則抽出部114)の替わりに、規則決定部130a(期間設定部113a、上限頻度特定部131及び規則抽出部114)が設けられている。
【0084】
期間設定部113aは、規則を特定する単位期間を設定する処理部であり、本実施の形態では、予め定められた期間を設定する。なお、実施の形態1においては、移動先ごとの移動頻度が一定となる期間を期間設定部113が抽出したが、実施の形態2においては、期間設定部113aにより、利用する期間が事前に定められている。定められた期間は、「1日」、「平日」、「休日」、「1週間」の4つとする。つまり、本実施の形態では、期間設定部113aは、移動履歴データ109を解析することで移動頻度が一定となる単位期間を探索するのではなく、固定的に、「1日」、「平日」、「休日」、「1週間」の4つの期間を設定する。
【0085】
上限頻度特定部131は、移動履歴データ109を解析することによって、期間設定部113aで設定された単位期間において移動体が移動先候補に移動している頻度の上限値を特定する処理部である。本実施の形態では、上限頻度特定部131は、移動履歴データ109に蓄積されている移動先ごとの移動履歴データを参照して、規則抽出部114で抽出する規則に用いる移動頻度の上限値を算出する。
【0086】
上限頻度特定部131による算出例を、図24に示される「Shop A」への移動頻度情報を対象として2通り説明する。
【0087】
(1)期間中の最大頻度を算出
上限頻度特定部131は、移動履歴データ109において、期間設定部113aで設定された単位期間に移動体が移動先候補に移動している頻度の最大値を算出し、算出した最大値を上限値として特定する。具体的には、上限頻度特定部131は、図24に示される移動頻度情報を参照して、予め定められている期間(期間設定部113aで設定された単位期間)における移動先へ移動する頻度が最も大きい値を抽出する。「1日」という期間での移動頻度は0回、1回、2回の3通りが存在し、そのうち最大のものは2回であるので期間「1日」における最大頻度は2回と算出する。同様に、「平日」という期間では5回、「休日」という期間では1回、「1週間」という期間では5回が算出される。
【0088】
(2)期間中の最多出現頻度を算出
上限頻度特定部131は、移動履歴データ109において、期間設定部113aで設定された単位期間に移動体が移動先候補に移動している頻度についての出現回数を特定し、特定した出現回数が最も多い頻度を上限値として特定する。具体的には、上限頻度特定部131は、図24に示される移動頻度情報を参照して、予め定められている期間(期間設定部113aで設定された単位期間)における移動先へ移動する頻度のうち、最も多く出現する数値を抽出する。「1日」という期間では、0回移動する日数は12日、1回移動する日数は14日、2回移動する日数は2日であるので、期間「1日」において最も移動日数の多い1回が最多出現頻度として算出される。同様に期間「平日」では4回と算出される。「休日」では、0回移動する週数は2回、1回移動する週数も2回と同数であるため、このような場合は頻度の大きい値を選択する。すなわち期間「休日」における最多出現頻度は1回となる。同様に「1週間」という期間では5回と算出される。
【0089】
規則抽出部114は、上限頻度特定部131により算出される上限頻度に基づき、移動先及び期間設定部113aで定められた期間ごとに、移動頻度に関する規則を生成する。
【0090】
(1)の手法による規則の生成例は、「Shop A」に対して「1日に上限2回」、「平日に上限5回」、「休日に上限1回」、「1週間に上限5回」となる。
【0091】
単位期間頻度積算部115は、実施の形態1と同様に、移動先及び定められた期間ごとに、移動済みの頻度を積算する。
【0092】
図25は、実施の形態2におけるナビゲーション装置101aの規則決定部130aの処理を示すフローチャートである。
【0093】
期間設定部113aは、予め定められた期間として、「1日」、「平日」、「休日」、「1週間」の4つから1つを選択する(S120)。
【0094】
続いて、上限頻度特定部131は、移動履歴データ109を解析することによって、期間設定部113aで設定された単位期間において移動体が移動先候補に移動している頻度の上限値を特定する(S121)。
【0095】
そして、規則抽出部114は、期間設定部113aで選択された期間と上限頻度特定部131で特定された上限値とを規則として決定する(S122)。
【0096】
最後に、規則決定部130aは、予め定められた全ての期間(「1日」、「平日」、「休日」、「1週間」)について規則を抽出したか否かを判断し(S123)、全ての期間について規則を抽出したと判断した場合には(S123でYes)、処理を終了し、そうでない場合には(S123でNo)、残る期間についての規則を抽出する処理(期間設定部113aが4つの期間から他の1つを選択し、以下、同様の処理)を繰り返す。
【0097】
このようにして、移動先及び定められた期間ごとに、移動頻度に関する規則、たとえば、「Shop A」について、「1日に上限2回」、「平日に上限5回」、「休日に上限1回」、「1週間に上限5回」という規則が抽出される。以下、抽出された規則の利用形態については、実施の形態1での利用形態と同様である。
【0098】
なお、実施の形態1で抽出される規則と、実施の形態2で抽出される規則は排他的である必要はなく、両方を採用するようにしてもよい。例えば、ある移動先に対して「1週間に4回」かつ「1日に上限1回」という規則も可能である。
【0099】
また、実施の形態1及び2では、予測された移動先に関連する情報を画面に表示して視覚的にユーザに提示する例について述べたが、これに限らず、図8や図23には図示しないスピーカなどから音声案内を行うというように、聴覚による提示を行ってもよい。
【0100】
また、実施の形態1及び2においては、記憶部104が移動先予測装置(つまり、ナビゲーション装置)内部に保持されている構成について説明したが、記憶部104はネットワーク上のサーバ等に設置されていてもよく、データ管理部110はネットワーク経由で記憶部104に記憶されているデータを取得するような構成にしてもよい。このような構成の移動先予測装置では、装置本体のサイズを小さくできるとともに、ランドマークデータ107や地図データ108を常に最新の情報に保つことができる。合わせて、通信に必要なモジュールが記憶部104のコストより低い場合は、移動先予測装置全体のコストを低減することができる。ただし、移動先予測装置の日時検出部102や位置検出部103で取得されたデータをサーバにアップロードする構成が必要となる。
【0101】
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3について説明する。
【0102】
実施の形態1及び2では、ユーザ個人ごと(あるいは、装置が搭載されている個々の移動体ごと)の移動履歴に基づいて、所定の期間における移動頻度に関する規則をユーザごとに導き出し、それを利用して移動先を予測する手法について述べた。本実施の形態では、個人ごとの履歴に基づいた履歴ではなく、所定の期間における、移動先ごとの汎用的な移動頻度に関する規則を利用して移動先を予測する手法について述べる。図8、図23、図26は、本実施の形態におけるナビゲーション装置101bの構成を示す図である。このナビゲーション装置101bは、実施の形態1と同様に、一定の単位期間当たりに一定の移動頻度で移動先に移動するというユーザ(つまり、移動体)の規則性を利用して移動先を高い精度で予測することができるカーナビゲーション装置であり、日時検出部102と、位置検出部103と、記憶部104と、制御部105と、表示部106とを備える。
【0103】
本実施の形態においても、本発明に係る移動先予測装置をナビゲーション装置101bに適用した例について述べる。図中、実施の形態1のナビゲーション装置101と同様の機能を有する構成については、同一番号を付与し詳細な説明を省略する。
【0104】
本実施の形態は、実施の形態1と比べ、記憶部104の汎用頻度規則データ1801及び規則決定部130bが設けられている点が相違する。
【0105】
記憶部104は、予め定められた移動先の種類ごとに、いかなる単位期間当たりに、いかなる移動頻度で、移動体が当該移動先に移動するかという汎用的な規則を示す汎用頻度規則データ1801を保持している。
【0106】
規則決定部130bは、その汎用頻度規則データ1801を参照することで、移動先候補選出部112で選出された移動先候補について、規則が存在するか否かを判断し、存在するときには、その単位期間及び移動頻度を特定することで、規則を抽出する。
【0107】
図27は、記憶部104に記憶されている汎用頻度規則データ1801の一例を示す図である。汎用頻度規則データは、人手により常識に鑑みて事前に与えられている移動先ごとの所定の期間における移動頻度規則、又は、実際の人の行動から統計的に算出された移動先ごとの所定の期間における移動頻度規則を示すデータである。図27では、移動先である「ガソリンスタンド」というジャンルに対しては、「1日」という期間で見ると1回しか移動しない、また「1週間」という期間で見ても1回しか移動しないことを表す。それに対して「1ヶ月」の欄には「−」が記載されており、これは規則が存在しないことを表す。規則が存在しないというのは、「ガソリンスタンド」に対して「1ヶ月」に行く回数は、ユーザの車両利用の多寡に応じて、1回しか行かないユーザ、2回行くユーザ、あるいはそれ以上行くユーザなど、頻度が一般的に定まっていないことを表す。
【0108】
また、図27からは「ファーストフード」というジャンルに対しても「ガソリンスタンド」と同一の規則が存在することが分かる。一方で、「カルチャースクール」における「1ヶ月」の欄には「>3」と記載されているが、これは「1ヶ月」という期間では、一般的に3回以上行くユーザが多いことを示している。なお、ここで述べるジャンルとは、図10(A)の施設データに記憶されているようなジャンルに相当する。
【0109】
このような汎用頻度規則を、常識に鑑みて、人手により設計するのではなく、統計的に作成する手法について説明する。まず、この手法で利用する人の行動は、一例として、本発明における移動履歴データ109に蓄積されているような実際に移動した位置情報の履歴を用いることで参照することができる。具体的な処理の流れについて、例えば、コンピュータを用いて自動的に汎用頻度規則データ1801を作成する方法について、図28のフローチャートを用いて説明する。図28では、図27における各ジャンルの「1日」という期間を単位とする移動頻度の規則を抽出する例について述べるが、「1週間」や「1ヶ月」という単位の期間であっても、同様に求めることができる。
【0110】
まず、統計を算出する対象ユーザ、及び、ジャンル毎に、図29に示されるような4週間における各日ごとの移動回数テーブルを作成し、対象ユーザ毎、ジャンル毎に移動頻度に関する規則を抽出する(S401)。図の見方は、図14や図24で説明したものと同様であり、また、規則抽出の方法は、実施の形態2の上限頻度特定部131及び規則抽出部114の2種類の処理方法を考えることができるが、ここでは「(1)期間中の最大頻度を算出」する手法を適用した場合について説明する。
【0111】
この処理により、ジャンル「ガソリンスタンド」に対してユーザ1は1日に1回移動する、ユーザ2も1日に1回移動する、また、ジャンル「ファーストフード」に対してユーザ1は1日に1回移動する、ユーザ2は1日に2回移動する、などの規則群が抽出される。このように抽出された規則に対して、まず、ジャンルを1つ(例えば、図29の例で、ガソリンスタンド)抽出する(S402)。そして、抽出したジャンルに対して、1日に1回だけ移動するユーザ、2回移動するユーザ、3回以上移動するユーザの数をそれぞれカウントする(S403)。カウントされた結果を図30に示す。図30を見るとガソリンスタンドに対して、1日に1回移動するユーザが29人、2回、3回以上移動するユーザはいないことが分かる。なお、図30は、発明者らが行っている移動履歴収集実験により29名の実際の行動から導き出された値である。
【0112】
ユーザ数がカウントされると、1回、2回、3回以上のいずれかの頻度において、全ユーザの所定の数を満たす(例えば80%以上)頻度が存在するかどうかの判定を行う(S404)。ガソリンスタンドの場合、1回、2回、3回以上のユーザ数の合計は29名で、そのうち全員が「1回」に該当するため、条件を満たすことになる。条件を満たす場合(S404でYes)、該当するジャンル、期間において汎用頻度規則として抽出される(S405)。このように抽出された規則が、図27に示されている。ガソリンスタンドに対して規則が抽出されると、それ以外に未判定ジャンルが存在するかどうかの判定が行われ、存在する場合(S406でYes)、図29の例で述べるとファーストフードが未判定であるため、再びステップS402に戻り、同様の処理がなされる。
【0113】
なお、ステップS404においてNoと判定される場合、例えば、図30のファーストフードの「1ヶ月」のように、1回が11人、2回が11人となり、ユーザ合計22名に対していずれも80%を満たしてないような場合には、S406の処理へと続いていく。そして、すべてのジャンルについて判定が終了すると、すべての規則抽出処理が終了する。
【0114】
以上の手順に従って、「1週間」、「1ヶ月」という期間に対しても、同様な処理を行うことが可能であり、29名の被験者データから統計処理したものの抜粋が図30、それに基づいて抽出された規則の抜粋が図27となる。
【0115】
汎用頻度規則データ1801には、このように人手、あるいは統計的に抽出された移動先ごとの所定の期間における移動頻度規則が事前に格納されていることになる。なお、ナビゲーション装置101bが、図26に図示しない通信手段を有する場合には、ネットワークを経由して汎用頻度規則データ1801を新規に格納、あるいは、更新することも可能である。
【0116】
次に、本実施の形態におけるナビゲーション装置101bによる、走行開始から走行終了の間の処理の流れを図31のフローチャートに示す。処理の流れは、実施の形態1におけるフローチャートである図21とほぼ同一であり、唯一異なるのは、ステップS311における規則抽出処理が存在しない点である。この理由は上述した通りであり、ステップS311の処理はユーザごとの移動頻度規則を抽出するためのものであり、本実施の形態では、この処理は存在しない。つまり、本実施の形態では、ユーザ(あるいは、移動体)ごとの規則ではなく、ユーザに依存しない予め準備された汎用的な規則が採用される(規則決定部130bによって参照される)だけとなる。
【0117】
本実施の形態のように、汎用頻度規則データ1801を利用する利点は、規則の利用において、ユーザ自身の移動履歴を必ずしも必要としないため、ユーザが本発明の移動先予測装置を利用し始めた当初、すなわち、ユーザ自身の移動履歴が未だ蓄積されていないときから、精度の高い予測を行うことが可能となることである。また、ユーザの移動特性は日、週、月により変動することもあり、ユーザ個々人の移動履歴のみを用いて規則を抽出しようとすると、この変動に追随してしまい、必ずしも有効な規則となり得ない場合もある。このようなときに、複数のユーザの移動実績に基づくと、統計的に確からしい規則を利用することが可能となり、予測精度の向上に貢献することができる。
【0118】
なお、本実施の形態では、移動先としてジャンルを対象に汎用頻度規則の例について述べたが、移動先は個々のランドマークや交差点などであっても、同様の処理により、同様の効果を得ることができる。
【0119】
また、実施の形態1や2で示したユーザ個々人の履歴に基づく規則と、実施の形態3で示した汎用規則は排他的ではなく、共に利用することも可能である。すなわちユーザが移動先予測装置を使い始めた当初は汎用規則を利用した予測を行い、履歴が蓄積されるに従ってユーザ毎の移動頻度特性、すなわち統計的にはガソリンスタンドには週に1回しか行かないが、対象ユーザにおいてはガソリンスタンドに車で勤務しているため週に6回行く、などの規則が顕在化した場合には、これに置き換えることで、移動先予測装置の利用開始から精度の高い予測を維持できることになる。
【0120】
以上の説明から明らかなように、本発明の移動先予測装置によれば、移動履歴データに基づいて、予測対象となる移動と類似した条件における過去の移動頻度に基づいた移動可能性と、所定の期間における移動先(ランドマークや交差点、道路など)への移動頻度に関する規則に基づいた移動可能性の双方を加味することで精度の高い予測を実現することができる。それにより、ユーザに対して不要な情報を表示したり音声出力したりするのを回避し、限られた表示領域を効果的に活用できるとともに、ユーザに必要のない情報を閲覧、視聴する負荷を取り除くことができ、非常に有効である。
【0121】
以上、本発明に係る移動先予測装置について、実施の形態1〜3に基づいて説明したが、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、上記実施の形態を変形したものや、上記実施の形態1〜3の各構成要素を任意に組み合わせて実現される別の形態も、本発明に含まれる。
【0122】
たとえば、実施の形態1では、実績頻度判断部116は、移動先候補が規則を満たしているか否かによって、予測の順序づけを変更したが、移動先候補が規則を満たしていない場合であっても、規則が示す移動頻度から実績頻度を差し引いた残数に依存して予測の順序づけを変更してもよい。つまり、規則が示す移動頻度から実績頻度を差し引いた残数が小さいほど、移動体が当該移動先候補に移動する予測確率が低くなるように、予測の順序づけを変更してもよい。具体的には、実績頻度判断部116は、単位期間のうち、日時検出部102で検出される現在日時以降の残り期間を算出し、算出した残り期間で上記残数を除することで、残り期間で正規化された残数を算出し、算出した正規化後の残数が小さいほど、移動体が当該移動先候補に移動する予測確率が低くなるように、移動先候補選出部112による順序づけを変更してもよい。
【0123】
以下、その具体例を示す。いま、図32に示されるように、移動先候補であるランドマークAについては、「1週間に3回」走行するという規則が存在し、現在、ある週の5日目において、既に2回走行しているとする。つまり、このランドマークAについては、残る2日間に、あと1回走行することが予測される。一方、別の移動先候補であるランドマークBについては、「1ヶ月に8回」走行するという規則が存在し、現在、ある月の12日目において、既に4回走行しているとする。つまり、このランドマークBについては、残る16日間に、あと4回走行することが予測される。
【0124】
このようなケースにおいて、実績頻度判断部116は、以下のように、規則を有する移動先候補ごとに、残り移動回数を残り日数で除した値を算出する。
【0125】
ランドマークA:1回/2日=0.5
ランドマークB:4回/16日=0.25
【0126】
そして、実績頻度判断部116は、上記商が大きいランドマークほど、移動する確率が高いと判定し、その値に応じた順序づけで、移動先を予測する。
【0127】
なお、同一期間単位のランドマーク同士であれば、残り移動回数のみに依存して決定することができる。また、上記商が同値であれば、残り日数が短いものを優先するのが好ましい。たとえば、ランドマークCについて、残り回数(8回)/残る期間(16日)=0.5である場合、上記商は、ランドマークAと同値であるが、残り日数が短いランドマークAの予測確率が高いと判定するのが好ましい。その理由は、図12の「優先順位」と同じ理由である。
【0128】
このような残り回数と残り期間を用いた別の具体例を示す。いま、移動先候補である「Shop C」について、「1ヶ月に6回」走行するという規則が存在し、別の移動先候補である「Shop D」について、「1週間に3回」という規則が存在するとする。そして、ある平日の午前における移動履歴として、「Shop A」が30回、「Shop B」が25回、「Shop C」が20回、「Shop D」が15回、「Shop E」が13回とする。
【0129】
そして、「Shop C」についての実績頻度として、今月に、既に3回走行し、今月の残り日数が16日とする。また、「Shop D」についての実績頻度として、今週に、既に2回走行し、今週の残り日数が2日とする。
【0130】
すると、「Shop C」については、残数が3であり、残り期間が16日であることから、実績頻度判断部116は、3/16=0.1875と算出し、一方、「Shop D」については、残数が1であり、残り期間が2日であることから、実績頻度判断部116は、1/2=0.5と算出する。よって、この例では、実績頻度判断部116は、「Shop C」よりも「Shop D」の予測確率が高いと判定し、その判断に基づいて、描画処理部117が表示部106に、「Shop C」よりも「Shop D」を上位に表示する。
【0131】
つまり、単に過去の走行履歴における頻度、あるいは、実施の形態1のように規則を満たしたか否かだけの判断であれば、図33に示される表示例のように、移動頻度の多い順に(つまり、「Shop A」、「Shop B」、「Shop C」の順に)移動先が予測されて表示されるが、この例によれば、図34に示されるように、規則の残り期間で正規化された残数を算出し、算出した正規化後の残数が大きいほど、移動体が当該移動先候補に移動する予測確率が高いとして、「Shop A」、「Shop B」、「Shop D」の順に移動先が予測されて表示される。これにより、単に規則を満たしているか否かだけでなく、規則の移動頻度から実績頻度を差し引いた残数や、単位期間における残り期間が考慮して移動先が予測され、よりきめ細かく、高い精度の移動先予測が実現され得る。
【0132】
なお、このような規則の残り期間と残り回数を考慮した表示においては、図35に示されるように、上記商が予め定めたしきい値よりも高い場合に、実績頻度判断部116は、表示部106に、残り日数が少なくなっている旨のメッセージを表示するように、描画処理部117に対して指示をしてもよい。同様に、上記商が所定のしきい値(例えば、0.5)以上のランドマークについても、同様のメッセージを表示するようにしてもよい。
【0133】
また、表示部106へのメッセージとして、第1の単位期間において実績頻度判断部116によって規則を満たしていないと判定された移動先候補について、第1の単位期間よりも後の第2の単位期間において、当該移動先候補が第1の単位期間において規則を満たしていなかった旨のメッセージを表示してもよい。たとえば、いま、「Shop Xに1週間に2回」、「Shop Yに1週間に3回」、「Shop Zに1週間に1回」という規則が抽出されている場合に、ある単位期間中に、Shop Xに1回、Shop Yに2回、Shop Zに1回走行したとする。このようなケースにおいて、実績頻度判断部116は、表示部106に対して、図36に示されるようなメッセージ、つまり、直前の単位期間における実績が規則抽出部114で抽出された規則を満たしていない旨のメッセージや、それに関連するメッセージ(ここでは、ルート探索をするか否かのメッセージ)を出力するように描画処理部117に指示をしてもよい。そして、そのメッセージに対して、ユーザがルート探索をする旨の指示をナビゲーション装置に与えた場合には、ナビゲーション装置は、訪問回数を満たしていないランドマークを効率的にまわれるようなルーティング(ルート探索)をしてもよい。これにより、ユーザが直前の単位期間において予定していた訪問を怠っていた場合に、次の単位期間の開始時点で、そのことに気付き、その訪問先を優先した走行をすることができる。
【0134】
また、期間設定部113が設定する単位期間の開始日、及び、単位期間頻度積算部115が実績頻度を特定する際に使用する単位期間の開始日については、様々な方式を採用してもよい。たとえば、図37に示される単位期間の定義例のように、1ヶ月の定義としては、ナビゲーション装置を使い始めた日を基点に、4週間を1ヶ月という単位期間としてもよいし、ナビゲーション装置を使いはじめた日を基点に、翌月の同日までの期間を1ヶ月という単位期間としてもよいし、翌月の月初めまで待って、そこから暦の1ヶ月(又は、4週間)を1ヶ月という単位期間としてもよい。
【0135】
このような単位期間の定義に依存して、規則決定部130及び単位期間頻度積算部115の動作は異なってくる。たとえば、いま、ランドマークAに1週間に2回行くという規則が抽出され、図38(a)及び図38(b)に示されるような実績(黒色三角印;イベント)でランドマークAに移動したとする。なお、図における期間Aは、ランドマークAの名称が予測結果として表示されなかったり、図22に示されるようなメッセージが表示されたりする期間である。
【0136】
このような状況下で、「1週間」という単位期間が暦に従って固定されている場合には(図38(a))、単位期間頻度積算部115は、毎月曜日に実績頻度のカウントを開始し、毎日曜日にカウントを終了する。つまり、単位期間頻度積算部115でのカウント値は、月曜日が始まる度にリセットされる。このケースでは、図38(a)の第2週に示されるように、第2週における開始日から2回目のイベントが発生するまでの期間Bでは、直前のリセットによってランドマークAが予測候補から除外されることがなくなり、図22に示されるようなメッセージも表示されない。
【0137】
一方、「1週間」という単位期間がイベント発生を基点に開始する場合には(図38(b))、単位期間頻度積算部115は、ランドマークAに移動したというイベントを基点として実績頻度のカウントを開始し、そこから1週間後にカウントを終了する。つまり、単位期間頻度積算部115でカウント値は、最初にイベントが検出されてから1週間後にリセットされる。このケースでは、図38(b)に示されるように、単位期間がイベント発生から開始するので、イベントが発生した曜日が1週間ごとに異なっていても、上記期間Aの長さが一定となり、暦上の期間よりも、実績頻度を優先した移動先予測及びメッセージ表示が行われる。
【0138】
このように、単位期間として、暦に従った期間、又は、移動体が移動先候補に移動したときから始まる期間とすることで、各方式のメリットを生かすことができ、いずれかの方式、あるいは、両方の方式を選択可能な状態で、ナビゲーション装置に実装すればよい。
【産業上の利用可能性】
【0139】
本発明は、移動体の移動先を予測する移動先予測装置として、特に、車両に搭載されるカーナビゲーションシステムやユーザに携行される携帯電話などの情報端末として利用することができる。また、本発明に係る移動先予測方法は、ネットワークを介してカーナビゲーションシステムや携帯電話と通信するサーバシステム上のプログラムとして利用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0140】
【図1】あるクラスにおける移動先目的地とその移動頻度に関する実データを示す図である。
【図2】ランドマーク毎に所定の期間における移動頻度の特性に関する実データを示す図である。
【図3】ある日における走行を順に示す実データを示す図である。
【図4】従来技術における予測手法を用いたアプリケーション画面の一例を示す図である。
【図5】従来技術における予測手法を用いたアプリケーションにおいて、予測が成功しない画面の一例を示す図である。
【図6】所定の期間における移動頻度に関する規則を用いた予測手法によるアプリケーションにおいて、予測が成功する画面の一例を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態1におけるナビゲーション装置の外観図である。
【図8】本発明の実施の形態1におけるナビゲーション装置の構成を示す図である。
【図9】記憶部に記憶されている地図データを示す図である。(A)はノードデータを示す図、(B)は補完ノードデータを示す図、(C)はリンクデータを示す図である。
【図10】記憶部に記憶されているランドマークデータを示す図である。(A)は施設データを示す図、(B)はユーザ設定データを示す図である。
【図11】記憶部に記憶されている移動履歴データを示す図である。
【図12】記憶部に記憶されている期間規則データを示す図である。
【図13】本発明の実施の形態1における、期間設定部及び規則抽出部の処理の流れを示すフローチャートである。
【図14】(A)、(B)は、所定の期間における移動先ごとの移動実績の一例を示す図である。
【図15】移動先候補選出部が移動先の候補を選出する処理の流れを示すフローチャートである。
【図16】移動先候補の選出処理において利用される、曜日と時刻のクラスを説明する図である。
【図17】本発明による移動先の予測結果に基づき、表示部に表示される関連情報の一例を示す図である。
【図18】本発明による移動先の予測結果に基づき、表示部に表示される関連情報の一例を示す図である。
【図19】従来技術による移動先の予測結果に基づき、表示部に表示される関連情報の一例を示す図である。
【図20】本発明による移動先の予測結果に基づき、表示部に表示される関連情報の一例を示す図である。
【図21】本発明の実施の形態1における、走行の開始から終了にいたるまでのナビゲーション装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【図22】移動先の予測結果に基づき、表示部に表示される関連情報の一例を示す図である。
【図23】本発明の実施の形態2におけるナビゲーション装置の構成を示す図である。
【図24】所定の期間における移動先ごとの移動実績の一例を示す図である。
【図25】本発明の実施の形態2における規則の決定処理の流れを示すフローチャートである。
【図26】本発明の実施の形態3におけるナビゲーション装置の構成を示す図である。
【図27】記憶部に記憶されている汎用頻度規則データを示す図である。
【図28】本発明の実施の形態3において、汎用頻度規則データを統計的に求めるための処理の流れを示すフローチャートである。
【図29】ユーザ及び移動先毎の、所定の期間における移動実績の一例を示す図である。
【図30】移動先毎の、所定の期間及び回数における移動人数実績の一例を示す図である。
【図31】本発明の実施の形態3における、走行の開始から終了にいたるまでのナビゲーション装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【図32】別の移動先予測方法を説明する図である。
【図33】従来技術又は実施の形態1による移動先の予測結果に基づき、表示部に表示される関連情報の一例を示す図である。
【図34】別の移動先予測方法による移動先の予測結果に基づき、表示部に表示される関連情報の一例を示す図である。
【図35】表示部に表示される関連情報の他の一例を示す図である。
【図36】表示部に表示される関連情報の他の一例を示す図である。
【図37】単位期間の定義例を示す図である。
【図38】(a)及び(b)は、単位期間の定義の相違に依存した処理を示す図である。
【符号の説明】
【0141】
101、101a、101b ナビゲーション装置
102 日時検出部
103 位置検出部
104 記憶部
105 制御部
106 表示部
107 ランドマークデータ
108 地図データ
109 移動履歴データ
110 データ管理部
111 マッチング部
112 移動先候補選出部
113、113a 期間設定部
114 規則抽出部
115 単位期間頻度積算部
116 実績頻度判断部
117 描画処理部
120 期間規則データ
130、130a、130b 規則決定部
131 上限頻度特定部
1801 汎用頻度規則データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の移動先を予測する移動先予測装置であって、
移動体の移動履歴を示す移動履歴データを取得する取得手段と、
移動体の現在位置を検出する位置検出手段と、
前記取得手段で取得された移動履歴データに対して、前記位置検出手段で検出された移動体の現在位置を含む移動履歴を検索し、検索できた移動履歴の頻度に基づいて、複数の移動先候補を順序づけて選出する移動先候補選出手段と、
前記移動先候補選出手段によって選出された前記移動先候補を前記順序づけに従って表示する表示手段と、
少なくとも前記複数の移動先候補のそれぞれについて、一定の単位期間当たりに一定の移動頻度で前記移動体が当該移動先候補に移動するという規則が存在するか否かを判断し、存在する場合には、当該単位期間と当該移動頻度とを含む規則を決定する規則決定手段と、
前記複数の移動先候補のうち、前記規則決定手段によって規則が存在すると判断された移動先候補について、前記移動履歴データを参照することで、前記単位期間において前記移動体が当該移動先候補に移動した実績頻度を特定する単位期間頻度積算手段と、
前記複数の移動先候補のそれぞれについて、前記単位期間頻度積算手段で特定された実績頻度が前記規則に含まれる移動頻度に達しているか否かを判断することによって前記規則を満たしているか否かを判断する実績頻度判断手段とを備え、
前記表示手段は、前記実績頻度判断手段によって前記実績頻度が前記規則を満たしていると判断された場合に、当該判断の結果が反映されるように、前記表示をし、
前記規則決定手段は、前記単位期間を設定する単位期間設定部と、前記移動履歴データを解析することによって、前記単位期間設定部で設定された単位期間において前記移動体が前記移動先候補に移動している頻度を特定し、特定した前記単位期間における頻度を前記規則として決定する規則抽出部とを有し、
前記単位期間設定部は、複数記憶された単位期間の中で、期間の短い単位期間を優先的に設定し、
前記規則抽出部は、前記優先的に設定された期間の短い単位期間に対して規則を抽出する
ことを特徴とする移動先予測装置。
【請求項2】
移動体の移動を支援するナビゲーション装置であって
請求項1記載の移動先予測装置を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
移動体の移動先を予測する移動先予測装置による移動先予測方法であって、
移動体の移動履歴を示す移動履歴データを取得する取得ステップと、
移動体の現在位置を検出する位置検出ステップと、
前記取得ステップで取得された移動履歴データに対して、前記位置検出ステップで検出された移動体の現在位置を含む移動履歴を検索し、検索できた移動履歴の頻度に基づいて、複数の移動先候補を順序づけて選出する移動先候補選出ステップと、
前記移動先候補選出ステップによって選出された前記移動先候補を前記順序づけに従って表示する表示ステップと、
少なくとも前記複数の移動先候補のそれぞれについて、一定の単位期間当たりに一定の移動頻度で前記移動体が当該移動先候補に移動するという規則が存在するか否かを判断し、存在する場合には、当該単位期間と当該移動頻度とを含む規則を決定する規則決定ステップと、
前記複数の移動先候補のうち、前記規則決定ステップによって規則が存在すると判断された移動先候補について、前記移動履歴データを参照することで、前記単位期間において前記移動体が当該移動先候補に移動した実績頻度を特定する単位期間頻度積算ステップと、
前記複数の移動先候補のそれぞれについて、前記単位期間頻度積算ステップで特定された実績頻度が前記規則に含まれる移動頻度に達しているか否かを判断することによって前記規則を満たしているか否かを判断する実績頻度判断ステップとを含み、
前記表示ステップでは、前記実績頻度判断ステップによって前記実績頻度が前記規則を満たしていると判断された場合に、当該判断の結果が反映されるように、前記表示をし、
前記規則決定ステップは、前記単位期間を設定する単位期間設定サブステップと、前記移動履歴データを解析することによって、前記単位期間設定部で設定された単位期間において前記移動体が前記移動先候補に移動している頻度を特定し、特定した前記単位期間における頻度を前記規則として決定する規則抽出サブステップとを有し、
前記単位期間設定ステップでは、複数記憶された単位期間の中で、期間の短い単位期間を優先的に設定し、
前記規則抽出ステップでは、前記優先的に設定された期間の短い単位期間に対して規則を抽出する
ことを特徴とする移動先予測方法。
【請求項4】
移動体の移動先を予測する移動先装置のためのプログラムであって、
請求項3記載の移動先予測方法に含まれるステップをコンピュータに実行させる
ことを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【公開番号】特開2009−53202(P2009−53202A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−255399(P2008−255399)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【分割の表示】特願2008−541534(P2008−541534)の分割
【原出願日】平成20年4月28日(2008.4.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】