説明

積層体及びその製造方法

【課題】プリント配線基板に好適であり、低吸水、吸湿後はんだ耐熱、はんだ耐熱、電気特性、線膨張係数、気泡レス、銅箔とのピール強度、外観に優れた、積層体を提供することである。
【解決手段】(A)ポリフェニレンエーテルを80質量%以上含有する熱可塑性樹脂組成物と(B)ガラス繊維織物からなる積層体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低吸水性、電気特性、低線膨張係数、銅箔ピール強度、外観に優れた、熱可塑性樹脂組成物とガラス繊維織物との積層体に関する。特に、電気特性と低線膨張係数と銅箔ピール強度に優れた、熱可塑性ポリフェニレンエーテルを含有する樹脂組成物とガラス繊維織物との積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の小型化、薄型化、軽量化、高機能化が進展する中で電子機器を構成す
る各種電子部品の小型化や薄型化等と共に、これら電子部品が実装されるプリント配線基
板に関しても高密度実装を可能とする様々な技術開発が盛んである。従ってプリント配線基板等の電子材料用フイルムに求められる特性は従来より高度なものとなり、従来のエポキシ樹脂積層板では、電気特性、耐熱性、寸法安定性(低線膨張係数)、低吸水性に関する要求特性を満足させるのは困難になってきている。
この問題を解決する新しいプリント配線基板材料の候補として電気特性、耐熱性や低吸水性、難燃性に優れたポリフェニレンエーテルが挙げられる。
【0003】
これまで、ポリフェニレンエーテルを硬化樹脂の一成分として、積層板に適用する検討が多くなされてきた。たとえば、ポリフェニレンエーテルとトリアリルイソシアヌレートとエポキシ樹脂とアリルグリシジルエーテルからなる組成物を溶剤に溶解し、ガラス繊維織物に含浸させ、加熱により、熱硬化型の組成物をえる技術(特許文献1)や、ポリフェニレンエーテルとトリアリルイソシアヌレートとアリルアルコールからなる組成物を溶剤に溶解し、ガラス繊維織物に含浸させ、加熱により、熱硬化型の組成物をえる技術(特許文献2)が提案されてきた。しかし、これらはいずれも熱硬化樹脂となり、製品をリサイクルする、という観点において、不適であった。また、多くの付加的成分を含有するため、電気特性や吸水性など、十分にポリフェニレンエーテル本来の特性を生かしたプリント配線板用の積層板とは言えない。
【0004】
また、ガラス繊維織物と積層する材料として、熱硬化性樹脂の使用とともに、熱可塑性樹脂の使用も併せて提案されていたが、ポリフェニレンエーテルの比率についての示唆も、具体的開示もなく、やはりポリフェニレンエーテル本来の特性を十分に生かしたプリント配線板用の積層板とは言えない。(特許文献3)
また、ガラス繊維織物と積層する材料として、熱可塑性樹脂として、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド(PEI)、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、シンジオタクチック構造を有するスチレン系樹脂が提案されているが、やはり、ポリフェニレンエーテルについての、具体的な含有比率の示唆もなく、具体的な開示もない。吸水率についても十分とはいえない。(特許文献4)
液晶ポリマー(LCP)も、耐熱、難燃性、電気特性に優れる樹脂であるが、高価で、異方性が大きい欠点があった。また異方性を緩和するために、フィルムを成形する際、種々の工夫がなされるが、いずれも、樹脂製フィルムを得るためにコストアップにつながるものであった。
【0005】
一般的に、ポリフェニレンエーテル自体は、銅箔との密着力が十分とはいえない。したがって、接着剤を用いたり、銅箔表面を粗くするなどの検討がなされているが、接着剤を用いれば、電気特性(低誘電率、低誘電正接)の低下を招く。一方、銅箔の表面が粗くなると、高周波になるとともに、電気信号が導体を通過する際、損失や誤作動の原因を招くもととなる。したがって、接着剤を用いず、また銅箔表面粗度が小さい状態での、ポリフェニレンエーテルと銅箔との高い密着力を付与する技術が待望されていた。
【特許文献1】特開平6−32875号公報
【特許文献2】特開平6−206955号公報
【特許文献3】特開平11−158771号公報
【特許文献4】特開2008−141008号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、プリント配線基板に好適であり、上述した技術では達成し得なかった、低吸水、吸湿後はんだ耐熱、はんだ耐熱、電気特性、線膨張係数、気泡レス、銅箔とのピール強度、外観に優れた、積層体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、特定のポリフェニレンエーテルを特定量樹脂組成物に含有することにより、低吸水、吸湿後はんだ耐熱、はんだ耐熱、電気特性、線膨張係数、気泡レス、銅箔とのピール強度、外観に優れた積層体が得られることを見いだし、本発明に到達した。
次に、本発明の理解を容易にするために、本発明の基本的特徴及び好ましい諸態様を列挙する。
(1)(A)ポリフェニレンエーテルを80質量%以上含有する熱可塑性樹脂組成物と(B)ガラス繊維織物からなる積層体。
(2)積層体中のポリフェニレンエーテルが、フェノール性水酸基をフェニレンエーテルユニットの100個に対して0.9個以上含有する上記1に記載の積層体。
【0008】
(3)(C)(A)以外の熱可塑性樹脂が、芳香族ビニル化合物重合体、芳香族ビニル化合物共重合体、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド66/6、芳香族環含有ポリアミド、脂肪族環含有ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、液晶ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリレート、ポリエーテルサルフォン、ポリサルフォンから選ばれる1種以上であり、樹脂組成物が(A)と(C)の合計100質量部に対し、(C)を20質量部以下含有する、上記1または2のいずれかに記載の積層体。
(4)(C)成分が液晶ポリマー及び/または芳香族ビニル−マレイミド系共重合体である、上記3に記載の積層体。
(5)樹脂組成物が、(A)と(C)の合計100質量部に対し、(D)Zn元素及び/またはMg元素を含有する化合物を3質量部以下含有する、上記1〜4のいずれかに記載の積層体。
【0009】
(6)樹脂組成物が、(A)と(C)の合計100質量部に対し、(E)ホスフィン酸塩1〜10質量部含有する、上記1〜5のいずれかに記載の積層体。
(7)銅がさらに張り合わされた、上記1〜6のいずれかに記載の積層体。
(8)ガラス繊維織物が2層以上からなる上記1〜7のいずれかに記載の多層積層体。
(9)熱可塑性樹脂組成物製フィルムとガラス繊維織物を、240℃以上340℃以下の温度にて、かつ1MPa〜40MPaの圧力にて、熱プレス成形する、上記1〜8に記載の積層体の製造方法。
(10)30kPa以下の真空状態にて熱プレス成形する、上記9に記載の製造方法。
(11)熱可塑性樹脂組成物を予め、良溶媒に溶解し、溶液をガラス繊維織物に含浸させた後、加熱及び/または減圧により、溶媒を留去する、上記1〜6に記載の積層体の製造方法。
【0010】
(12)上記11で得られた積層体と、さらに銅箔と張り合わせるために、240℃以上340℃以下の温度にて、かつ1MPa〜40MPaの圧力にて、熱プレス成形する積層体の製造方法。
(13)ロールトウロールにより連続成形する、上記9〜12に記載の製造方法。
(14)上記1〜8のいずれかに記載の積層体を用いる、電気回路基板。
(15)上記1〜8のいずれかに記載の積層体を用いる、層間絶縁膜。
(16)上記1〜8のいずれかに記載の積層体を用いる、フレキシブル回路基板。
(17)上記1〜8のいずれかに記載の積層体を用いる、リジッド回路基板。
(18)上記1〜8のいずれかに記載の積層体を用いる、ビルドアップ用多層回路基板。
【発明の効果】
【0011】
プリント配線基板に好適で、低吸水、吸湿後はんだ耐熱、はんだ耐熱、電気特性、線膨張係数、気泡レス、銅箔とのピール強度、外観に優れた、積層体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に本発明で使用することのできる各成分について詳しく述べる。
(A)成分のポリフェニレンエーテルとは、式(1)の構造単位からなる、ホモ重合体及び/または共重合体である。
【0013】
【化1】

【0014】
〔式中、Oは酸素原子、Rは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、第一級もしくは第二級の低級アルキル、フェニル、ハロアルキル、アミノアルキル、炭化水素オキシ、又はハロ炭化水素オキシ(但し、少なくとも2個の炭素原子がハロゲン原子と酸素原子を隔てている)を表わす。〕
【0015】
本発明のポリフェニレンエーテルの具体的な例としては、例えば、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−フェニル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジクロロ−1,4−フェニレンエーテル)等が挙げられ、さらに2,6−ジメチルフェノールと他のフェノール類との共重合体(例えば、特公昭52−17880号公報に記載されてあるような2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体や2−メチル−6−ブチルフェノールとの共重合体)のごときポリフェニレンエーテル共重合体も挙げられる。ポリフェニレンエーテルとして2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体を使用する場合の各単量体ユニットの比率は、ポリフェニレンエーテル共重合体全量を100質量%としたときに、60〜90質量%の2,6−ジメチルフェノールと、10〜40質量%の2,3,6−トリメチルフェノールからなる共重合体が好ましい。2,3,6−トリメチルフェノールの割合が耐熱性の観点から10質量%以上であり、重合度の観点から40質量%以下である。より好ましくは、60〜85質量%の2,6−ジメチルフェノールと、15〜40質量%の2,3,6−トリメチルフェノールからなる共重合体がより好ましく、70〜85質量%の2,6−ジメチルフェノールと、15〜30質量%の2,3,6−トリメチルフェノールからなる共重合体がさらに好ましい。
【0016】
これらの中でも特に好ましいポリフェニレンエーテルとしては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体、またはこれらの混合物である。
本発明で使用することのできるポリフェニレンエーテルの還元粘度(ηsp/c:0.5g/dl、クロロホルム溶液、30℃測定)は、0.15〜0.70dl/gの範囲であることが好ましく、さらに好ましくは0.20〜0.60dl/gの範囲、より好ましくは0.40〜0.55dl/gの範囲である。
本発明においては、2種以上の還元粘度の異なるポリフェニレンエーテルをブレンドしたものであっても構わない。例えば、還元粘度0.45dl/g以下のポリフェニレンエーテルと還元粘度0.50dl/g以上のポリフェニレンエーテルの混合物、還元粘度0.40dl/g以下の低分子量ポリフェニレンエーテルと還元粘度0.50dl/g以上のポリフェニレンエーテルの混合物等が挙げられるが、もちろん、これらに限定されることはない。
【0017】
熱可塑性樹脂組成物中のポリフェニレンエーテルが、フェノール性水酸基をフェニレンエーテルユニットの100個に対して0.9個以上含有することが好ましい。この値が、大きければ大きいほど、銅箔とのピール強度が優れる。この観点から、この値は、0.90個以上が好ましく、さらに1.10個以上が好ましく、とくにより好ましくは、1.70個以上が好ましい。
このフェノール性水酸基は、EHUD SH CHORI等の方法(ジャーナル・オブ・アプライド・ポリマーズ・サイエンス;アプライド・ポリマー・シンポジウム、34、103〜117頁、(1978)に記載)に従って定量される。すなわち、測定試料として、1)組成物の原料である生のポリフェニレンエーテルの場合は、パウダーの状態のまま、2)熱可塑性樹脂組成物が、押出時に得られたストランドあるいはペレット、3)溶融成形されたフィルム、4)ガラス繊維との積層体、5)銅箔と積層して得られた積層体の場合は、銅箔をエッチング液にてエッチング後、1)はそのまま、以下の秤量(W(mg))に供し、2)〜5)の場合は、試料をまず30℃のクロロホルムに溶解し、不溶分を取り除き、溶液を大量のメタノールに注入する(再沈殿)ことにより、粉末を得、乾燥させる。ついで、塩化メチレンに加温しながら溶解させ、冷凍庫内(−5℃)に一晩静置することにより、析出物を得、これをろ過し、析出物を冷塩化メチレンにて洗浄した後、メタノールで洗浄し、140℃にて1時間真空乾燥することによりポリフェニレンエーテルを得る。このポリフェニレンエーテルを正確に秤量し(W(mg))、25mlの塩化メチレンに溶解し、10重量%濃度のテトラエチルアンモニウムヒドロキサイドのエタノール溶液を20μlを加え、UV分光光度計(日立(株)社製、U−3210)を用いて、318nmの吸光度(Abs)を測定し、次の式に基づいて算出できる。
【0018】
n(OH)=63.9×(Abs)/(W)
(ただし、n(OH):フェニレンエーテルユニットの100個に対してのフェノール性水酸基の個数)
【0019】
ポリフェニレンエーテルの製造方法は公知の方法で得られるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、フェノール性化合物を直接酸化重合する方法、フェノール性化合物を超臨界での炭酸ガスを溶媒として用い酸化重合する方法、フェノール性化合物を良溶媒、及び/または貧溶媒からなる混合溶媒中で酸化重合する方法等により得られる。混合溶媒中で酸化重合する方法においては、良溶媒と貧溶媒の比率を選ぶことによって、重合終結時も反応溶媒中にポリフェニレンエーテルが溶解した状態の溶液重合にもなるし、貧溶媒の比率を大きくすることで反応の進行とともに重合体が反応溶媒中に溶解しきれなくなり粒子として析出する沈殿析出重合にもなる。ここでいう良溶媒とは、従来既知の方法で得られるポリ(2,6−ジメチルフェニレン)エーテルを溶解できる溶媒であり、貧溶媒とは従来既知の方法で得られるポリ(2,6−ジメチルフェニレン)エーテルを全く溶解しないか、ほとんど溶解しない溶媒である。
【0020】
また、本発明で使用できるポリフェニレンエーテルは、全部又は一部が官能化されたポリフェニレンエーテルであっても構わない。
ここでいう官能化されたポリフェニレンエーテルとは、分子構造内に少なくとも1個の炭素−炭素二重結合または、三重結合及び少なくとも1個のカルボン酸基、酸無水物基、アミノ基、水酸基、又はグリシジル基を有する、少なくとも1種の官能化化合物、又はエポキシ樹脂で官能化されたポリフェニレンエーテルを指す。
該官能化されたポリフェニレンエーテルの製法としては、(1)ラジカル開始剤の存在下、非存在下で100℃以上、ポリフェニレンエーテルのガラス転移温度未満の範囲の温度でポリフェニレンエーテルを溶融させることなく官能化化合物と反応させる方法、(2)ラジカル開始剤の存在下、非存在下でポリフェニレンエーテルのガラス転移温度以上360℃以下の範囲の温度で官能化化合物と溶融混練し反応させる方法、(3)ラジカル開始剤の存在下、非存在下でポリフェニレンエーテルのガラス転移温度未満の温度で、ポリフェニレンエーテルと官能化化合物を溶液中で反応させる方法等が挙げられ、これらいずれの方法でも構わない。
【0021】
次に分子構造内に少なくとも1個の炭素−炭素二重結合または、三重結合及び少なくとも1個のカルボン酸基、酸無水物基、アミノ基、水酸基、又はグリシジル基を有する少なくとも1種の官能化化合物について具体的に説明する。
分子内に炭素−炭素二重結合とカルボン酸基、酸無水物基を同時に有する官能化化合物としては、マレイン酸、フマル酸、クロロマレイン酸、シス−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸及びこれらの酸無水物などが挙げられる。特にフマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸が良好で、フマル酸、無水マレイン酸が特に好ましい。
また、これら不飽和ジカルボン酸のカルボキシル基の、1個または2個のカルボキシル基がエステルになっているものも使用可能である。
【0022】
分子内に炭素−炭素二重結合とグリシジル基を同時に有する官能化化合物としては、アリルグリシジルエーテル、グリシジルアクリレート、グリシジルメタアクリレート、エポキシ化天然油脂等が挙げられる。
これらの中でグリシジルアクリレート、グリシジルメタアクリレートが特に好ましい。
分子内に炭素−炭素二重結合と水酸基を同時に有する官能化化合物としては、アリルアルコール、4−ペンテン−1−オール、1,4−ペンタジエン−3−オールなどの一般式C2n−3OH(nは正の整数)の不飽和アルコール、一般式C2n−5OH、C2n−7OH(nは正の整数)等の不飽和アルコール等が挙げられる。
【0023】
エポキシ樹脂としては、ブタンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレート、1,3−ジグリシジルヒダントレイン、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン等が挙げられ、中でも、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂が好ましい。
上述した官能化化合物は、それぞれ単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0024】
官能化されたポリフェニレンエーテルを製造する際の官能化化合物の添加量は、ポリフェニレンエーテル100質量部に対して0.1〜30質量部が好ましい。
ラジカル開始剤を用いて官能化されたポリフェニレンエーテルを製造する際の好ましいラジカル開始剤の量は、ポリフェニレンエーテル100質量部に対して0.001〜1質量部である。
また、官能化されたポリフェニレンエーテル中の官能化化合物の付加率は、0.01〜30質量%が好ましい。より好ましくは0.1〜20質量%である。さらにより好ましくは、0.1〜10質量%である。
該官能化されたポリフェニレンエーテル中には、未反応の官能化化合物及び/または、官能化化合物の重合体が残存していても構わない。
更に、ポリフェニレンエーテルに添加することが可能な公知の添加剤等もポリフェニレンエーテル100質量部に対して10質量部未満の量で添加しても構わない。
電気特性と吸水率の観点から、樹脂組成物中の(A)の含有量は、80質量%以上、好ましくは85質量%以上、より好ましくは90質量%以上である。
【0025】
(B)ガラス繊維織物とは、Eガラス、Cガラス、Dガラス、Sガラス等のいずれのガラス繊維織物でも良い。また、ガラス繊維織物としては、織り密度は10〜200本/25mm、好ましくは15〜100本/25mmであり、質量は5〜400g/m、好ましくは8〜300g/mであり、織り方は平織り、朱子織り、綾織り、ななこ織り等が使用できる。また、たて糸とよこ糸の双方または一方がテクスチャード加工を施されたガラス糸で製織されたガラス繊維織物であっても良い。また、製織に必要な集束剤が付着している段階のガラス繊維織物や集束剤を除去した段階のガラス繊維織物、あるいは公知の表面処理法でシランカップリング剤などが既に処理されている段階のガラス繊維織物のいずれでも良い。また、柱状流、高周波振動法による水流で開繊、扁平化等の物理加工を施したガラス繊維織物であっても良い。
【0026】
ガラス繊維織物の厚みは特に制限はないが、好ましい厚みとしては、0.005mm〜0.5mmであり、より好ましくは0.007mm〜0.3mmであり、更に好ましくは0.008mm〜0.2mmであり、特に好ましくは0.008mm〜0.15mmである。
このガラス繊維織物は、熱可塑性樹脂の本来の大きな線膨張係数を小さくするのに、効果的である。さらには、強度とこしが付与できる。特に、樹脂製フィルムが薄い場合、ガラス繊維織物による補強効果は、強度と線膨張係数の観点から必須である。
【0027】
(C)成分は、(A)成分以外の熱可塑性樹脂であり、芳香族ビニル化合物重合体、芳香族ビニル化合物共重合体、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド66/6、芳香環含有ポリアミド、脂肪族環含有ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、液晶ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリレート、ポリエーテルサルフォン、ポリサルフォンから選ばれる少なくとも1種以上である。より好ましくは、芳香族ビニル化合物共重合体、芳香環含有ポリアミド、脂肪族環含有ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、液晶ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリレート、ポリエーテルサルフォン、ポリサルフォンから選ばれる少なくとも1種以上である。さらに好ましくは、芳香族ビニル化合物共重合体、芳香環含有ポリアミド、脂肪族環含有ポリアミド、液晶ポリマーから選ばれる少なくとも1種以上である。
【0028】
ここで、芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−tert−ブチルスチレン、ジフェニルエチレン等のうちから1種又は2種以上を選択でき、中でもスチレンが好ましい。また、芳香族ビニル化合物重合体の具体例としては、アタクティックポリスチレン、シンジオタクティックポリスチレン、ハイインパクトポリスチレンなどが挙げられる。
芳香族ビニル化合物共重合体としては、例えば、上述したような芳香族ビニル化合物と共重合可能な化合物を共重合して得られる共重合体である。共重合可能な化合物としては、不飽和ジカルボン酸イミド誘導体、不飽和ジカルボン酸無水物、その他ビニル化合物等が挙げられる。
【0029】
不飽和ジカルボン酸イミド誘導体の具体例としては、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のN−アルキルマレイミド、及びN−アリールマレイミド(アリール基としては、例えばフェニル、クロルフェニル、メチルフェニル、メトキシフェニル、トリブロモフェニル等が挙げられる)等のマレイミド誘導体が挙げられ、これらの中で特にN−フェニルマレイミドが好ましい。また、これらの誘導体は2種以上混合して用いることもできる。
不飽和ジカルボン酸無水物の具体例としては、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、アコニット酸等の無水物が挙げられ、これらの中では特に無水マレイン酸が好ましい。
【0030】
その他ビニル化合物の具体例としては、ブタジエン、アクリロニトリル、メタクリロニリル等のシアン化ビニル化合物、メチルアクリル酸エステル、エチルアクリル酸エステル等のアクリル酸エステル化合物、メチルメタクリル酸、エチルメタクリル酸エステル等のメタクリル酸エステル化合物、アクリル酸、メタクリル酸等のビニルカルボン酸化合物、アクリル酸アミド、メタクリル酸アミド等の化合物が挙げられ、これらの中では特にアクリロニトリルが好ましい。
芳香族ビニル化合物共重合体の好ましい例としては、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、芳香族ビニル−マレイミド系共重合体等が挙げられ、耐熱性の観点から芳香族ビニル−マレイミド系共重合体であり、(1)芳香族ビニル化合物、不飽和ジカルボン酸イミド誘導体および必要に応じてその他共重合可能なビニル化合物からなる混合物を共重合させる方法、(2)芳香族ビニル化合物、不飽和ジカルボン酸無水物及び必要に応じてその他共重合可能なビニル化合物からなる混合物を共重合させた後、アンモニア及び/又は第一級アミンを反応させて酸無水物基をイミド基に変換させる方法によって得ることができる。尚、(1)の製法においては、その他共重合可能なビニル化合物の例として不飽和ジカルボン酸無水物も含まれ、(2)の製法においては、イミド基へ変換されずに酸無水物基が残ることも問題はなく、結果、酸無水物基を共重合体中へ導入することも可能である。
【0031】
(2)の製法で用いるアンモニアや第一級アミンは無水または水溶液のいずれの状態であってもよく、第一級アミンの例としては、メチルアミン、エチルアミン、ブチルアミン、シクロヘキシルアミン等のアルキルアミン、アニリン、トルイジン、クロルアニリン、メトキシアニリン、トリブロモアニリン等の芳香族アミンが挙げられ、これらの中で特にアニリンが好ましい。
これら芳香族ビニル化合物共重合体の重合方法としては、公知の重合方法を用いることができ、(1)の製法の場合は、懸濁重合、乳化重合、溶液重合、塊状重合が好ましく、(2)の製法の場合は、塊状−懸濁重合、溶液重合、塊状重合が好ましい。
【0032】
これら芳香族ビニル−マレイミド系共重合体としては、スチレン/N−フェニルマレイミド共重合体、スチレン/N−フェニルマレイミド/無水マレイン酸共重合体、スチレン/N−フェニルマレイミド/アクリロニトリル共重合体が好適に使用できる。
芳香族ビニル−マレイミド系共重合体は、芳香族ビニル化合物30〜70質量%、不飽和ジカルボン酸イミド誘導体30〜70質量%及びその他共重合可能なビニル化合物0〜20質量%からなる共重合体であることが好ましく、より好ましくは芳香族ビニル化合物40〜69.99質量%、不飽和ジカルボン酸イミド誘導体30〜59.99質量%及びその他共重合可能なビニル化合物0.01〜15質量%であり、更に好ましくは、芳香族ビニル化合物40〜69.9質量%、不飽和ジカルボン酸イミド誘導体30〜59.9質量%及びその他共重合可能なビニル化合物0.1〜15質量%である。芳香族ビニル化合物の割合が30質量%未満であると、ポリフェニレンエーテルとの相溶性が悪くなり、引張伸度の低下を招き、不飽和ジカルボン酸イミド誘導体の割合が30質量%未満であると、耐熱性が低下する。また、その他共重合可能なビニル化合物の割合が20質量%を超えると、耐熱性が低下したり、熱安定性が悪くなる。
【0033】
芳香族ビニル化合物共重合体は、重量平均分子量70,000〜250,000であることが好ましい。ここでいう重量平均分子量は、ポリスチレンを標準試料として換算した分子量であり、テトラヒドロフランを溶媒として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定により算出できる。重量平均分子量は、引張伸度の観点から70,000以上であり、流動性の観点から250,000以下である。より好ましくは、100,000〜250,000、さらに好ましくは100,000〜200,000である。また、これら共重合体は、1種の芳香族ビニル化合物共重合体でもよく、重量平均分子量が異なる2種以上の芳香族ビニル化合物共重合体を組み合わせた混合物で、その混合物の重量平均分子量が70,000〜250,000にあるものであってもよい。
【0034】
液晶ポリマーとは、液晶ポリエステルのことで、サーモトロピック液晶ポリマーと呼ばれるポリエステルで、公知のものが使用できる。例えば、p−ヒドロキシ安息香酸およびポリエチレンテレフタレートを主構成単位とするサーモトロピック液晶ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸および2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸を主構成単位とするサーモトロピック液晶ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸および4,4′−ジヒドロキシビフェニルならびにテレフタル酸を主構成単位とするサーモトロピック液晶ポリエステルなどが挙げられ、特に制限はない。本発明で使用される液晶ポリエステルとしては、下記構造単位(イ)および/または(ロ)、並びに必要に応じて下記構造単位(ハ)および/または(ニ)からなるものが好ましい。
【0035】
【化2】

【0036】
【化3】

【0037】
【化4】

【0038】
【化5】

【0039】
ここで、構造単位(イ)および(ロ)はそれぞれ、p−ヒドロキシ安息香酸から生成したポリエステルの構造単位と、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸から生成した構造単位である。構造単位(イ)および(ロ)を使用することで、優れた耐熱性、流動性や剛性などの機械的特性のバランスに優れた本発明の熱可塑性樹脂組成物を得ることができる。上記構造単位(ハ)および(ニ)中のXは、下記(式2)よりそれぞれ独立に1種あるいは2種以上選択することができる。
【0040】
【化6】

【0041】
構造式(ハ)において好ましいのは、エチレングリコール、ハイドロキノン、4,4′−ジヒドロキシビフェニル、2,6−ジヒドロキシナフタレンおよびビスフェノールAのそれぞれから生成した構造単位であり、さらに好ましいのは、エチレングリコール、4,4′−ジヒドロキシビフェニルおよびハイドロキノンのそれぞれから生成した構造単位であり、特に好ましいのは、エチレングリコール、4,4′−ジヒドロキシビフェニルのそれぞれから生成した構造単位である。
【0042】
構造式(ニ)において好ましいのは、テレフタル酸、イソフタル酸および2,6−ジカルボキシナフタレンのそれぞれから生成した構造単位であり、さらに好ましいのは、テレフタル酸およびイソフタル酸のそれぞれから生成した構造単位である。
構造式(ハ)および構造式(ニ)は、それぞれ上記に挙げた構造単位を少なくとも1種あるいは2種以上を併用することができる。具体的には、2種以上併用する場合、構造式(ハ)においては、1)エチレングリコールから生成した構造単位/ハイドロキノンから生成した構造単位、2)エチレングリコールから生成した構造単位/4,4′−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位、3)ハイドロキノンから生成した構造単位/4,4′−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位、などを挙げることができる。
また、構造式(ニ)においては、1)テレフタル酸から生成した構造単位/イソフタル酸から生成した構造単位、2)テレフタル酸から生成した構造単位/2,6−ジカルボキシナフタレンから生成した構造単位、などを挙げることができる。液晶ポリエステル成分中の構造単位(イ)、(ロ)、(ハ)および(ニ)の使用割合は特に限定されない。ただし、構造単位(ハ)と(ニ)は基本的にほぼ等モル量となる。
【0043】
また、構造単位(ハ)および(ニ)からなる下記構造単位(ホ)を、液晶ポリエステル成分中の構造単位として使用することもできる。具体的には、1)エチレングリコールとテレフタル酸から生成した構造単位、2)ハイドロキノンとテレフタル酸から生成した構造単位、3)4,4′−ジヒドロキシビフェニルとテレフタル酸から生成した構造単位、4)4,4′−ジヒドロキシビフェニルとイソフタル酸から生成した構造単位、5)ビスフェノールAとテレフタル酸から生成した構造単位、などを挙げることができる。
【0044】
【化7】

【0045】
本発明の液晶ポリエステル成分には、必要に応じて本発明の特徴と効果を損なわない程度の少量の範囲で、他の芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシカルボン酸から生成する構造単位を導入することができる。
本発明の樹脂組成物としては、(A)ポリフェニレンエーテル単独であってもよいし、(A)と(C)との組成物であってもよい。
(A)ポリフェニレンエーテル単独の場合には、溶融加工性が不十分なことから、良溶媒に溶解し、溶液をガラス繊維織物に含浸させた後、加熱及び/または減圧により、溶媒を留去、乾燥により、積層体を得ることが好ましい。
【0046】
(A)と(C)成分との組成物の場合は、上述したような、良溶媒を用いた含浸方法も選択できるが、必ずしも全ての樹脂成分が溶剤への溶解度が高いわけではなく、むしろ(C)成分により、ポリフェニレンエーテルの溶融加工性が改良されることから、押出し成形機により、フィルムを製膜し、得られたフィルムと(B)ガラス繊維織物を熱プレスにより、積層することが好ましい。この際、(F)銅箔も同時に、熱プレスにより、積層することができる。
本発明の樹脂組成物製フィルムの溶融製膜性の観点と得られるフィルムの膜厚均一性の観点から、(C)は、液晶ポリマー及び/または芳香族ビニル−マレイミド系共重合体が好ましい。
【0047】
(A)と(C)成分の好ましい含有比率は、(A)と(C)の合計100質量部に対して、(A)ポリフェニレンエーテル80質量部以上であり、(C)成分は、20質量部以下である。
ピール強度の観点から、(C)成分の含有量は、20質量部以下、好ましくは15質量部以下であり、より好ましくは10質量部以下である。
【0048】
(D)Zn元素及び/またはMg元素を含有する化合物は、金属を含有する無機化合物または有機化合物である。本発明の(D)成分は、本質的にZn元素及び/またはMg元素を主たる構成成分とする化合物である。(D)成分として、上記金属元素の酸化物、水酸化物、脂肪族カルボン酸塩、酢酸塩が好ましい。好ましい酸化物の例としては、ZnO、MgOが挙げられる。好ましい水酸化物の例としては、Zn(OH)2、Mg(OH)2などが挙げられる。好ましい脂肪族カルボン酸塩の例としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムがあげられる。好ましい酢酸塩の例としては、酢酸亜鉛、酢酸マグネシウムが挙げられる。
これらの(D)成分は、本来混和性の低い(A)ポリフェニレンエーテル系樹脂と(C)成分である液晶ポリエステルを部分相容化させる効果があり、得られたフィルムの強度が高くなる傾向にある。特にこの部分相容化の観点から、ZnO、Mg(OH)2があげられる。
【0049】
この(D)成分は、混和性の観点から、0.01質量部以上、好ましくは、0.1部以上、より好ましくは、0.5部以上である。また、電気特性の観点から、3質量部以下が好ましく、より好ましくは、2質量部以下である。
(E)ホスフィン酸塩としては、下記式(3)で表されるホスフィン酸塩及び/又は下記式(4)で表されるジホスフィン酸塩、またはこれらの縮合物の中から選ばれる少なくとも1種のホスフィン酸塩類が好ましい。
【0050】
【化8】

【0051】
【化9】

【0052】
(式中、R及びRは、同一か又は異なり、直鎖状もしくは分岐状のC〜C−アルキル及び/又はアリールもしくはフェニルであり、Rは、直鎖状もしくは分岐状のC〜C10−アルキレン、C〜C10−アリーレン、C〜C10−アルキルアリーレン又はC〜C10−アリールアルキレンであり、Mはカルシウム(イオン)、マグネシウム(イオン)、アルミニウム(イオン)、亜鉛(イオン)、ビスマス(イオン)、マンガン(イオン)、ナトリウム(イオン)、カリウム(イオン)及びプロトン化された窒素塩基から選ばれる1種以上であり、mは2又は3であり、nは1〜3であり、xは1又は2である。)
【0053】
ホスフィン酸塩は、本発明の効果を損ねない範囲であれば、如何なる組成で混合されていても構わないが、難燃性の観点から、上記(3)で表されるホスフィン酸塩を90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上、最も好ましくは98質量%以上含んでいる事が好ましい。
本発明において、好ましく使用可能なホスフィン酸の具体例としては、ジメチルホスフィン酸、エチルメチルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、メチル−n−プロピルホスフィン酸、メタンジ(メチルホスフィン酸)、ベンゼン−1,4−(ジメチルホスフィン酸)、メチルフェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸およびこれらの混合物等が挙げられる。
また好ましく使用可能な金属成分としてはカルシウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン、亜鉛イオン、ビスマスイオン、マンガンイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン)及び/又はプロトン化された窒素塩基から選ばれる1種以上であり、より好ましくは、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン、亜鉛イオンから選ばれる1種以上である。
【0054】
ホスフィン酸塩類の好ましく使用可能な具体例としては、ジメチルホスフィン酸カルシウム、ジメチルホスフィン酸マグネシウム、ジメチルホスフィン酸アルミニウム、ジメチルホスフィン酸亜鉛、エチルメチルホスフィン酸カルシウム、エチルメチルホスフィン酸マグネシウム、エチルメチルホスフィン酸アルミニウム、エチルメチルホスフィン酸亜鉛、ジエチルホスフィン酸カルシウム、ジエチルホスフィン酸マグネシウム、ジエチルホスフィン酸アルミニウム、ジエチルホスフィン酸亜鉛、メチル−n−プロピルホスフィン酸カルシウム、メチル−n−プロピルホスフィン酸マグネシウム、メチル−n−プロピルホスフィン酸アルミニウム、メチル−n−プロピルホスフィン酸亜鉛、メタンジ(メチルホスフィン酸)カルシウム、メタンジ(メチルホスフィン酸)マグネシウム、メタンジ(メチルホスフィン酸)アルミニウム、メタンジ(メチルホスフィン酸)亜鉛、ベンゼン−1,4−(ジメチルホスフィン酸)カルシウム、ベンゼン−1,4−(ジメチルホスフィン酸)マグネシウム、ベンゼン−1,4−(ジメチルホスフィン酸)アルミニウム、ベンゼン−1,4−(ジメチルホスフィン酸)亜鉛、メチルフェニルホスフィン酸カルシウム、メチルフェニルホスフィン酸マグネシウム、メチルフェニルホスフィン酸アルミニウム、メチルフェニルホスフィン酸亜鉛、ジフェニルホスフィン酸カルシウム、ジフェニルホスフィン酸マグネシウム、ジフェニルホスフィン酸アルミニウム、ジフェニルホスフィン酸亜鉛が挙げられる。
【0055】
特に難燃性の観点からジメチルホスフィン酸カルシウム、ジメチルホスフィン酸アルミニウム、ジメチルホスフィン酸亜鉛、エチルメチルホスフィン酸カルシウム、エチルメチルホスフィン酸アルミニウム、エチルメチルホスフィン酸亜鉛、ジエチルホスフィン酸カルシウム、ジエチルホスフィン酸アルミニウム、ジエチルホスフィン酸亜鉛が好ましい。中でもジエチルホスフィン酸アルミニウムが特に好ましい。
(E)ホスフィン酸塩の含有量は、難燃性の観点から、1質量部以上、好ましくは2質量部以上、より好ましくは3質量部以上である。吸水率の観点から、10質量部以下、好ましくは8質量部以下、より好ましくは6質量部以下である。
【0056】
本発明の積層体は、導体として、銅が貼り合わされていてもよい。銅箔を積層してもよいし、公知の手法により、樹脂表面を表面処理した後、銅メッキしてもよい。
銅箔としては、圧延銅箔、電解銅箔等が挙げられる。銅箔の厚みは5〜35μmが好ましい。また、銅箔のラミネート面及びその反対面は必要に応じて、粗化処理、防錆処理、コブ付け処理、易接着処理等が施されていても構わない。
本発明の積層体は、ポリフェニレンエーテルの含有率が高いため、低誘電率、低誘電正接などの電気特性に優れる。また吸湿しにくいことから、吸湿による物性の変化が小さい。加えて、樹脂のガラス転移温度(210〜240℃)が高いため、広範囲の温度領域における電気特性に代表される物性が安定している。さらにポリフェニレンエーテルの誘電率および誘電正接は、周波数依存性が小さいため、高周波の基板用途にも、安定した電気特性を有する。
【0057】
積層体は、樹脂/ガラス繊維織物/樹脂の単層構造でもよいが、樹脂/ガラス繊維織物/樹脂/ガラス繊維織物/……/ガラス繊維織物/樹脂のように、多層構造でもよい。また導体パターンを有する回路用積層体としては、銅/樹脂/ガラス繊維織物/樹脂/銅の単層構造や、銅/樹脂/ガラス繊維織物/樹脂/ガラス繊維織物/……/ガラス繊維織物/樹脂/銅の多層構造、さらに高密度実装用積層体として、銅/樹脂/銅/樹脂/ガラス繊維織物/樹脂/銅/樹脂/ガラス繊維織物/……/ガラス繊維織物/樹脂/銅の構造をとっていてもよい。
本発明では、上記の成分の他に、本発明の特徴および効果を損なわない範囲で必要に応じて無機充填剤を添加することができる。強度付与剤として、金属繊維、チタン酸カリウム、炭素繊維、炭化ケイ素、セラミック、窒化ケイ素、マイカ、ネフェリンシナイト、タルク、ウオラストナイト、スラグ繊維、フェライト、ガラスビーズ、ガラスパウダー、ガラスバルーン、石英、石英ガラス、溶融シリカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、などの無機化合物があげられる。これら無機系の充填剤の形状は限定されるものではなく、繊維状、板状、球状などが任意に選択できる。
【0058】
また、これらの無機系の充填剤は、2種類以上併用することも可能である。また、必要に応じて、シラン系、チタン系などのカップリング剤で予備処理して使用することができる。
さらに上記の成分の他に、本発明の特徴および効果を損なわない範囲で必要に応じて他の附加的成分、例えば、酸化防止剤、難燃剤(有機リン酸エステル系化合物、フォスファゼン系化合物、環状窒素化合物、シリコーン、籠状シルセスキオキサンまたはその部分開裂構造体、シリカ)、エラストマー(エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/1−ブテン共重合体、エチレン/プロピレン/非共役ジエン共重合体、エチレン/アクリル酸エチル共重合体、エチレン/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/酢酸ビニル/メタクリル酸グリシジル共重合体およびエチレン/プロピレン−g−無水マレイン酸共重合体、ABSなどのオレフィン系共重合体、ポリエステルポリエーテルエラストマー、ポリエステルポリエステルエラストマー、ビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体、ビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体の水素添加物)、可塑剤(パラフィンオイル、低分子量ポリエチレン、エポキシ化大豆油、ポリエチレングリコール、脂肪酸エステル類等)、難燃助剤、耐候(光)性改良剤、各種着色剤を添加してもかまわない。
【0059】
本発明の積層体の製造方法としては、熱可塑性樹脂製フィルムとガラス繊維織物を、層状になるように、セットし、熱プレスにより成形できる。バッチのプレスでもよいし、ロールトウロールの連続プレス成形でもよい。連続成形の場合は、ダブルのスチールベルトなど、プレス圧力を制御できる装置で成形することが好ましい。バッチでの熱プレスは、公知の積層板を製造する装置を選ぶことができる。単段式、多段式であってもよいし、常圧熱プレス機、真空熱プレス機であってもかまわない。
熱プレス成形する際の温度は、240℃以上340℃以下が好ましい。プレス温度が低いと、樹脂の流動性が不十分になり、ガラス繊維織物への樹脂の流れ込みが不足し、気泡が発生してしまう。気泡の観点から、好ましくは240℃以上、より好ましくは245℃以上であり、さらにより好ましくは、250℃以上である。プレス温度が高すぎると、樹脂の劣化が始まり、強度不足の原因になる。従って樹脂の劣化の観点から、好ましくは340℃以下、より好ましくは320℃以下、さらにより好ましくは、300℃以下である。
【0060】
プレス圧力は、1MPa〜40MPaが好ましい。気泡をなくす観点から、好ましくは1MPa以上であり、より好ましくは2MPaであり、さらにより好ましくは4MPaである。ガラス繊維織物の開繊を抑制する観点から、好ましくは40MPa以下であり、より好ましくは30MPaであり、さらにより好ましくは15MPaである。
熱プレス成形する際の雰囲気は、常圧でも、減圧でもかまわない。空気下、不活性ガス下でもかまわない。樹脂の劣化の観点から、不活性ガス雰囲気にて熱プレスすることが好ましい。気泡を効率よくなくす観点から、減圧雰囲気にて熱プレス成形することが好ましく、30kPa以下が好ましく、より好ましくは、15kPaであり、さらにより好ましくは、5kPa以下である。
【0061】
本発明の熱可塑性樹脂製フィルムは、従来より公知の種々の方法、例えば、射出成形、押出成形、中空成形により成形することができる。特に生産性の観点から押出成形が好ましい。
そして、樹脂組成物ペレットを押出シート成形機に投入して、成形して得ることもできるし、本発明の原料各成分を押出シート成形機に直接投入し、溶融混練とシート成形を同時に実施して得ることもできる。スクリューは、単軸でも2軸タイプであってもかまわない。溶融混練とシート成形を同時に実施する場合は、混練効果の観点から、2軸のスクリューが好ましい。
【0062】
本発明の熱可塑性樹脂製シートは、押出しチューブラー法、場合によってはインフレーション法とも呼ばれる方法にて製造することができる。円筒から出てきたパリソンがすぐに冷却してしまわないように、50〜290℃の温度範囲の中から適宜選択して、パリソンの温度制御することがシート厚みを均一にする上で極めて重要である。
一方、本発明のポリフェニレンエ−テル系樹脂製シートは、Tダイ押出成形によって製造することができる。この場合、無延伸のまま用いてもよいし、1軸延伸してもよいし、2軸延伸することによっても得られる。シートの強度を高めたい場合は、延伸することにより達成することができる。ギアポンプやスクリーンチェンジャーは適宜目的に応じて使用してもよい。
【0063】
ポリフェニレンエーテルを主成分とする樹脂組成物の場合、フィルム成形時のメヤニが発生しやく、メヤニ抑制のためには、真空ベントを設けることが効果的である。さらに原料フィード口やベント口周辺に窒素などに代表される不活性ガスを吹き込むことも効果がある。
本発明で使用される熱可塑性樹脂製フィルムの厚みは、特に制限はないが、0.005〜1.0mmが好ましい。より好ましくは0.010〜0.5mmが好ましく、0.010〜0.3mmが好ましく、特により好ましくは、0.01〜0.1mmである。
電気特性と線膨張係数のバランスの観点から、使用されるフィルムの厚みとガラス繊維織物の厚みを適宜選択できる。
【0064】
ガラス繊維織物と本発明の熱可塑性樹脂製フィルムからなる積層体は、単層構造でも多層構造でもよい。それらの厚みについては特に制限はないが、単層構造の積層体の好ましい厚みは、0.005〜2.5mmであり、より好ましくは0.010〜1.5mmであり、更に好ましくは0.020〜0.8mmであり、特に好ましくは0.020〜0.5mmである。多層構造の積層体の好ましい厚みは、0.010〜10mmであり、より好ましくは0.030〜5.0mmであり、更に好ましくは0.050〜2.0mmであり、特に好ましくは0.080〜1.0mmである。
(A)ポリフェニレンエーテル単独の場合には、溶融加工性が不十分なことから、良溶媒に溶解し、溶液をガラス繊維織物に含浸させた後、加熱及び/または減圧により、溶媒を留去、乾燥により、積層体を得ることが好ましい。
【0065】
これらの方法により得られた積層体に銅に代表される導体層をさらに積層する場合、メッキ法でもよいし、銅箔をプレス成形したり、接着剤を介してラミネートすることができる。ただし、電気特性を悪化させないためには、接着剤層の量を抑制することが好ましく、さらには使用しないことが好ましい。また銅箔とのピール強度の観点から、熱プレスによる方法が好ましい。
この熱プレス成形する場合においても、前述した条件と同様、240℃以上340℃以下が好ましい。気泡の観点から、好ましくは240℃以上、より好ましくは245℃以上であり、さらにより好ましくは、250℃以上である。樹脂の劣化の観点から、好ましくは340℃以下、より好ましくは320℃以下、さらにより好ましくは、300℃以下である。
【0066】
プレス圧力は、1MPa〜40MPaが好ましい。気泡をなくす観点から、好ましくは1MPa以上であり、より好ましくは2MPaであり、さらにより好ましくは4MPaである。ガラス繊維織物の開繊を抑制する観点から、好ましくは40MPa以下であり、より好ましくは30MPaであり、さらにより好ましくは15MPaである。
銅箔と樹脂間のピール強度を向上させる観点では、前述したように、熱可塑性樹脂組成物中のポリフェニレンエーテルが、フェノール性水酸基をフェニレンエーテルユニットの100個に対して0.9個以上含有することが好ましい。この水酸基の数は重合時に制御することもできる。ポリフェニレンエーテルの場合、よく知られているキノンカップリングと呼ばれる再分配反応により、増加させることもできる。また、重合後のパウダーを溶融混練などの加熱により、増加させることもできる。これは、ポリフェニレンエーテル主鎖中で、フリース転移反応により、主鎖にフェノール性水酸基が増加することによるものと考えられる。
【0067】
こうして得られた積層体は、低吸水性に優れ、誘電率、誘電正接に代表される電気特性に優れ、さらに低線膨張係数化でき、耐熱性、銅箔ピール強度、外観、屈曲性に優れ、またノンハロゲン材料にできる。従って、焼却時、有毒ガスを発生させないため、環境に優しい。さらに、樹脂成分は熱可塑性樹脂であるため、金属部と分離しやすく、リサイクル可能であるため、環境適合性の高い積層体である。さらに電気特性としては、広い温度範囲、広い周波数範囲、高湿環境下において安定した特性を示す特徴がある。
従って以上の特性が要求される用途に、本発明の積層体が好適に用いられる。
例えば、電気回路基板、プリント基板材料、フレキシブル回路基板、リジッド回路基板、ビルドアップ用多層回路基板、層間絶縁膜などがあげられる。また低誘電材料であることから、衛星放送、自動車レーダー、無線LAN、光モジュール高周波部品、アンテナ、基地局用アンプ、各種高速伝送装置、テスター衛星通信用装置、高周波ケーブルなどの用途に好適である。
【実施例】
【0068】
以下、本発明を実施例及び比較例により、更に詳細に説明するが、本発明はこの実施例に示されたものに限定されるものではない。
(使用した原料)
(A)ポリフェニレンエーテル(以下、PPEと略記)
各PPEを、後述する製造例に従って、調整した。
(PPE−1):(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)パウダー
還元粘度:0.52dl/g、(0.5g/dl、クロロホルム溶液、30℃測定)
n(OH)=0.78
(ただし、n(OH):フェニレンエーテルユニットの100個に対してのフェノール性水酸基の個数。以下同様)
ガラス転移温度:215℃(DSC法、昇温速度20℃/分)
(PPE−2):(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)パウダー
還元粘度:0.54dl/g、(0.5g/dl、クロロホルム溶液、30℃測定)
n(OH)=0.32
(PPE−3):(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)パウダー
還元粘度:0.41dl/g、(0.5g/dl、クロロホルム溶液、30℃測定)n(OH)=1.12
(PPE−4):(2,6−ジメチルフェノール/2,3,6−トリメチルフェノール共重合体)パウダー
共重合比:2,6−ジメチルフェノール/2,3,6−トリメチルフェノール=76/24(質量比)
還元粘度:0.50dl/g、(0.5g/dl、クロロホルム溶液、30℃測定)
n(OH)=0.49
ガラス転位温度:230℃(DSC法、昇温速度20℃/分)
【0069】
[製造例1](PPE−1の合成)
(1)重合体調整
反応器底部に酸素ガス導入管、攪拌タービン翼及びバッフル、反応器上部のベントガスラインに凝縮のための還流冷却器を備えた10Lのジャケット付き反応器に、トルエンを2052g、メタノールを178g、触媒成分として酸化第一銅を0.6g、酸として臭化水素水(47%水溶液)を2.8g、ジ−t−ブチルエチレンジアミンを2.3g、ブチルジメチルアミンを26.5g、ジ−n−ブチルアミンを4.2g充填した。次いで、反応容器気相部に窒素を10NL/minの流量で導入したのち、酸素をガス導入管より1NL/minの流量で導入する一方、1330gのトルエンに溶解された2,6−ジメチルフェノール400gを40分間(モノマー追添所要時間)にわたって反応器内へ送り込んだ。反応温度は、40℃を保つように、ジャケットに熱媒を通して調整した。
【0070】
(2)触媒不活性化
モノマー添加開始時から66分後(重合停止時間)に、酸素を窒素に切り換え、かつ38%EDTA・3Na水溶液20gと水380gを添加することによって重合を停止させた。
(3)キノンカップリング反応
こうして得られたテトラメチルジフェノキノン(TMDQ)含有反応混合物を窒素下において70℃で180分間加熱した。(キノンカップリング反応)この時点において、反応混合物はもはやTMDQに特有の色を示さなかった。この溶液を50℃に冷却し、液−液遠心分離機によって銅塩および一部のアミンを含む水層を除去した。遠心分離後の反応混合物に約10倍容量のメタノールを添加して重合体を沈殿させた。かかる重合体を炉別し、メタノールで洗い、それから80℃の熱風乾燥機で乾燥した。
【0071】
[製造例2](PPE−2の合成)
(1)重合体調整は、製造例1と同様に実施した。
(2)触媒不活性化プロセスにおいて、モノマー添加開始時から61分後(重合停止時間)に、酸素を窒素に切り換え、かつ38%EDTA・3Na水溶液20gと水380gを添加することによって重合を停止させた。次にキノンカップリングを実施せずに、ヒドロキノンを9g反応混合物に加え、系内に存在するテトラメチルジフェノキノン(TMDQ)を還元処理した。この溶液を50℃に加熱し、液−液遠心分離機によって銅塩および一部のアミンを含む水層を除去した。遠心分離後の反応混合物に約10倍容量のメタノールを添加して重合体を沈殿させた。かかる重合体を炉別し、メタノールで洗い、それから80℃の熱風乾燥機で乾燥した。
【0072】
[製造例3](PPE−3の合成)
(2)触媒不活性化プロセスにおいて、モノマー添加開始時から、52分後(重合停止時間)酸素を窒素に切り換えたこと以外は、製造例1と同様に実施して、PPE−3を得た。
【0073】
[製造例4](PPE−4の合成)
反応器底部に酸素ガス導入管、撹拌タービン翼及びバッフル、反応器上部のベントガスラインに凝縮のための還流冷却器を備えた10Lのジャケット付き重合槽に500ml/分の流量で窒素ガスを吹き込みながら、1.099gの塩化第二銅2水和物、4.705gの35%塩酸、41.971gのN,N,N’,N’−テトラメチルプロパンジアミン、31.658gのジ−n−ブチルアミン、1264gのn−ブタノール、544gのメタノール、3792gのキシレン、121.6gの2,6−ジメチルフェノール、38.4gの2,3,6−トリメチルフェノールを入れ、均一溶液となり、かつ反応器の内温が40℃になるまで撹拌した。
また、貯蔵槽に窒素ガス導入管、撹拌タービン翼及びバッフル、貯蔵槽上部のベントガスラインに還流冷却器を備えた5Lの貯蔵槽に、200ml/分の流量で窒素ガスを吹き込みながら、720gのメタノール、1094.4gの2,6−ジメチルフェノール、345.6gの2,3,6−トリメチルフェノールを入れ、均一溶液となるまで撹拌し、混合溶液を調合した。
【0074】
次いで、激しく撹拌した重合槽へ、重合槽へ1000ml/分の速度で酸素ガスをガス導入管より導入を始めると同時に、貯蔵槽から送液ポンプを用い、上記貯蔵槽内の混合溶液を21.6g/分の速度で逐次添加した。310分通気し、反応器の内温が40℃になるようコントロールした。なお、酸素ガスを供給開始140分後ポリフェニレンエーテルが析出しスラリー状の形態を示し、スラリー形態を示しはじめる前に混合溶液の添加は終了した。重合終結時の重合液の形態は沈殿析出重合である。
酸素含有ガスの通気をやめ、重合混合物にエチレンジアミン四酢酸3カリウム塩(同仁化学研究所製試薬)の50%水溶液を11.5g添加し60分間重合混合物を撹拌し、次いでハイドロキノン(和光純薬社製試薬)を少量ずつ添加し、スラリー状のポリフェニレンエーテルが白色となるまで撹拌を続けた。
反応器の内温は40℃になるようコントロールした。
【0075】
その後、濾過して濾残の湿潤ポリフェニレンエーテルをメタノール6400gともに10L洗浄槽に入れ分散させ、30分間撹拌した後再度ろ過し、湿潤ポリフェニレンエーテルを得た。洗浄槽の内温は40℃になるようコントロールした。これを3回繰り返し、次いで140℃で150分真空乾燥し乾燥ポリフェニレンエーテル(PPE−4)を得た。
(B)(GC−1)ガラス繊維織物(旭化成エレクトロニクス社製 1000/AS750、厚み10μm)
(C)液晶ポリエステル(LCP)
【0076】
[製造例5](LCPの合成)
窒素雰囲気下において、p−ヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸、無水酢酸を仕込み、加熱溶融し、重縮合することにより、以下の理論構造式を有する液晶ポリエステル(LCP)を得た。なお、組成の成分比はモル比を表す。
【0077】
【化10】

【0078】
(C)(PMI)スチレン−Nフェニルマレイミド共重合体(MS−NA、電気化学工業社製)
(D)(ZnO)酸化亜鉛(銀嶺A(登録商標)、東邦亜鉛社製)
(E)(P−1)ホスフィン酸塩(Exolit OP930(登録商標)、クラリアントジャパン社製)
(付加的成分)(N−1)ポリエチレンイミン(エポミンSP−018(登録商標)、日本触媒社製)
【0079】
(評価方法)
以下に、評価方法について述べる。
<ポリフェニレンエーテルのフェノール性水酸基数測定>
(1) 試料がPPE−1〜4についてのパウダーあるいは押出による溶融混練後のペレットの場合
試料をそのまま、下記の秤量(W(mg))に供した。
(2) 試料が積層体の場合
試料をエッチング処理し、銅箔を除去し、水洗、乾燥した後、試料をまず30℃のクロロホルムに溶解し、不溶分を取り除き、溶液を大量のメタノールに注入する(再沈殿)ことにより、粉末を得、乾燥させる。ついで、塩化メチレンに加温しながら溶解させ、冷凍庫内(−5℃)に一晩静置することにより、析出物を得、これをろ過し、析出物を冷塩化メチレンにて洗浄した後、メタノールで洗浄し、140℃にて1時間真空乾燥することによりポリフェニレンエーテルを得る。このポリフェニレンエーテルを正確に秤量し(W(mg))、25mlの塩化メチレンに溶解し、10重量%濃度のテトラエチルアンモニウムヒドロキサイドのエタノール溶液を20μlを加え、UV分光光度計(日立(株)社製、U−3210)を用いて、318nmの吸光度(Abs)を測定し、次の式に基づいて算出できる。
n(OH)=63.9×(Abs)/(W)
(ただし、n(OH):フェニレンエーテルユニットの100個に対してのフェノール性水酸基の個数)
【0080】
<吸水率>
実施例、比較例で得られた積層体の両面の銅箔をエッチング液でエッチングし、水洗、風乾し、40mm×40mmに切断し、飽和蒸気121℃、2気圧条件下で吸湿させた後、吸水率を測定した。
<吸湿後はんだ耐熱>
上記吸水率測定で実施した、吸湿後のサンプルを260℃の溶融はんだに1分間浮かべて、生じる欠点により、判断した。
○:全く外観の変化が認められなかった。
△:表面にふくれが認められた。
<吸湿後はんだ耐熱>
実施例、比較例で得られた銅箔付きの積層体を260℃の溶融はんだに1時間浮かべて、生じる欠点により、判断した。
○:全く外観の変化が認められなかった。
×:表面のふくれや銅箔のはがれが認められた。
【0081】
<電気特性(誘電率、誘電正接)>
(1MHzの場合)自動平衡ブリッジ法
実施例、比較例で得られた積層体の両面の銅箔をエッチング液でエッチングし、水洗、風乾し、40mm×40mmに切断し、JIS−K6911に準拠して、precision LCR meter HP−4285A(アジレント・テクノロジー(株)製)の装置を用いて、室温にて測定した。結果を表1と表2に示した。
なお、比較例3については、銅箔との積層をしないため、フィルムそのまま、測定に供した。
(1GHzの場合)円筒空胴共振器法
実施例、比較例で得られた積層体の両面の銅箔をエッチング液でエッチングし、水洗、風乾し、80mm×130mmに切断し、vector network analyzer HP8510C(アジレント・テクノロジー(株)製)、synthesized sweeper HP83651A(アジレント・テクノロジー(株)製)、test set HP8517B(アジレント・テクノロジー(株)製)装置を用い、共振器として、内径φ229mm、高さ40mmの円筒を用いて、室温にて測定した。結果を表2に示した。
(10GHzの場合)円筒空胴共振器法
サンプルサイズを65mm×80mmにしたことと、共振器として、内径φ42mm、高さ30mmの円筒を用いたこと以外は、上記1GHzの場合と同様に、測定した。結果を表2に示した。
【0082】
<線膨張係数>
実施例、比較例で得られた積層体の両面の銅箔をエッチング液でエッチングし、水洗、風乾し、積層体のMDとTDについて、各々長手方向に、10mm×5mmに切断し、JIS−K7197に準拠して、熱機械分析装置(TMA、エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製TMA/SS6100型)を用い、30−190℃の温度範囲にて、5℃/分の昇温速度にて、引張荷重29.4[mN]、空気中にて測定した。
<気泡>
実施例、比較例で得られた積層体の両面の銅箔をエッチング液でエッチングし、水洗、風乾し、基板サイズ約10mm×10mmに切断した後、樹脂包埋し断面を研磨した後、SEM(走査型電子顕微鏡)にて観察した。ガラス繊維織物のタテ糸、ヨコ糸、それぞれ10個の糸東を観察し、空隙の発見できた糸束数の割合を算出し、以下にて気泡の有無を判定した。
○:0%
△:0%を超え、30%以下
×:30%を超えたもの。
空隙(気泡)のないものが好ましい。
【0083】
<ピール強度>
実施例、比較例で得られた積層体を用い、幅10mmにサンプルを切り出しTPC−TM−650規格2.4.9に従って、90度ピール剥離試験を実施し、銅箔との密着力を評価した。値が高いほど、密着力に優れる。
<外観>
実施例、比較例で得られた積層体の両面の銅箔をエッチング液でエッチングし、水洗、風乾し、基板の外観を目視にて、以下の判定基準にて判断した。
○:着色がなく、表面外観が均一で、気泡やゲルや毛羽立ちなどがない。
△:着色はないが、若干ゲルが観察される。
×:劣化由来の着色があるか、ゲルが多く観察される。
【0084】
[実施例1、実施例2]
ポリフェニレンエーテルパウダー(PPE−1もしくはPPE−2)を50℃のトルエンに8重量%の濃度にて溶解させたポリマー溶液を容器に準備し、(B)ガラス織物繊維(GC−1)をロールからフィードしながら、ポリマー溶液を含浸させ、ロールトウロールにて、防爆タイプの加熱炉の中を通過させ、溶媒を留去し、乾燥する、という操作を2回繰り返し、ガラス繊維織物が芯層となるポリフェニレンエーテルの積層体(ア)を得た。厚みは30μmであった。
【0085】
これを290mm×200mm(MD×TD)サイズに切り出し、以下の構成にて真空熱プレスを実施した。すなわち、<1>ステンレス板、<2>クッション材(ステンレス製メッシュ材、ナスロン(登録商標)日本精線社製、1mm厚み)、<3>銅箔(電解銅箔SF F2−WS、古河サーキットフォイル社製、12μm厚み)(保護用)、<4>ポリイミドフィルム(50μm厚み、アピカル(登録商標、カネカ社製)×6枚(クッション用)、<5>銅箔(電解銅箔SF F2−WS、古河サーキットフォイル社製、12μm厚み)(光沢面を<4>側、粗面を<6>側)(積層体張り合わせ用)、<6>上記ポリフェニレンエーテル積層体(ア)、<7><5>と同一、<8><4>と同一、<9><3>と同一、<10><2>と同一、<11><1>と同一、の構成にして真空プレス機(北川精機 KVHCII−PRESS)を用いて、真空度4kPa、10MPaの圧力条件にて、昇温速度4℃/分、260℃設定到達後、30分間保持、熱プレス成形を行った。冷却時間は、約30分であった。得られた積層体を上記の評価項目に従って評価を実施し、結果を表1に示した。
【0086】
[実施例3]
押出機上流側から1番目のバレルに上流側供給口を有し、L/D(押出機のシリンダーの長さ/押出機のシリンダー径)=48(バレル数:12)の二軸押出機[ZSK−26MC:コペリオン社製]を用いて、上流側供給口からダイまでを290℃に設定し、スクリュー回転数300rpm、吐出量8kg/hで、ポリフェニレンエーテル(PPE−2)を、上流側供給口より原料を供給し、溶融混練して熱可塑性樹脂組成物ペレットを作製した。尚、このとき10番目のバレルに設置した真空ベントより、揮発分を除去した。
なお、得られたペレットのポリフェニレンエーテルのフェノール性水酸基濃度は、0.98(個/100ユニット)
得られたペレットを実施例2のポリフェニレンエーテル(PPE−2)パウダーの代わりに用いたこと以外は、実施例2と同様に、トルエン溶液に溶解して、ガラス繊維織物に含浸することにより、積層体を得、その後同様に銅箔との積層体を真空熱プレスにて得た。評価結果を表1に示した。
実施例2と実施例3の比較から、原料が同じPPE−2を用いても、熱履歴を制御することにより、ポリフェニレンエーテルのフェノール性水酸基濃度が異なり、銅箔ピール強度に違いがあることがわかる。
【0087】
[実施例4〜7、実施例11、比較例1]
押出機による溶融混練時、原料を表1に示した割合にしたことと、吐出量を12kg/hにしたこと以外は、実施例3と同様に、熱可塑性樹脂組成物のペレットを得た。
(1)Tダイ押出成形
得られたペレットを、ホッパー口に窒素を吹き込みながら、シリンダー温度300℃、ギアポンプを備え、スクリーンメッシュ200を備え、Tダイ幅300mm、Tダイ温度300℃に設定したスクリュー径26mmのベント付き2軸押出機(TEM26SS、東芝機械社製)を用い、第一金属ロール150℃、吐出量4kg/hr、回転数120rpm、引き取り速度25m/分にて、フィルム成形を実施した。得られたフィルム厚みは、13μmであった。
こうして得られたフィルム(イ)を、実施例1の<6>(積層体(ア))の代わりに、(イ)/(GC−1)/(イ)と3枚重ねたこと以外は、実施例1と同様に真空熱プレスを実施して、銅貼りの積層体を得た。
得られた積層体を実施例1と同様に、評価して、結果を表1に示した。
なお、実施例4については、1MHzに加え、1GHz、10GHzにおける電気特性の測定結果を表2に示した。広い周波数領域において、誘電率、誘電正接が安定していることがわかる。
【0088】
[実施例8]
実施例4の<6>((イ)/(GC−1)/(イ))の代わりに、(イ)/(GC−1)/(イ)/(イ)/(GC−1)/(イ)/(イ)/(GC−1)/(イ)/(イ)/(GC−1)/(イ)とガラス繊維織物を4層にして、重ねたこと以外は、実施例1と同様に真空熱プレスを実施して、銅貼りの積層体を得た。
得られた積層体を実施例1と同様に、評価して、結果を表1に示した。
【0089】
[実施例9]
実施例4の熱プレスの温度(260℃)を230℃としたこと以外は、実施例4と同様に、評価し、その結果を表1に示した。
プレス温度が低いと、空隙(気泡)が発生してしまい、吸湿後はんだ耐熱にも劣ることがわかる。
【0090】
[実施例10]
実施例4の熱プレスの温度(260℃)を350℃としたこと以外は、実施例4と同様に、評価し、その結果を表1に示した。
プレス温度が高すぎると、空隙(気泡)はなくなるが、外観や吸湿後はんだ耐熱にも劣ることがわかる。
【0091】
[比較例2]
下記組成のワニスにガラスクロス(GC−1)を浸漬し、125℃のオーブン内で10分間乾燥、樹脂をBステ−ジ化させた。
(ワニス組成)
エピコートE157S70B75 30.0重量%
(高耐熱ノボラックエポキシ樹脂 油化シェルエポキシ社製)
エピコートE5050T60 30.0重量%
(高臭素難燃エポキシ樹脂 油化シェルエポキシ社製)
エピコート828 4.0重量%
(ビスフェノールA型エポキシ樹脂 油化シェルエポキシ社製)
エピキュアYLH129B70 29.0重量
(高耐熱フェノールノボラック樹脂 油化シェルエポキシ社製)
2E4MZ 0.1重量%
メチルセロゾルブ 6.9重量%
────────────────────────────────────
計 100重量%

【0092】
こうして得られた積層板(ウ)のRDA法によるガラス転移温度は、200℃であった。
この積層体(ウ)を、実施例1の<6>(積層体(ア))の代わりに用いたことと、熱プレス温度を220℃にして、加圧時間を60分間、プレス圧力を5MPaとしたこと以外は、実施例1と同様に実施し、その評価結果を表1に示した。
以上のことから、本発明の実施例は、これら比較例2の吸水率、電気特性、線膨張係数、ピール強度、と比較して、積層板として優れていることがわかる。
【0093】
[比較例3]
実施例4で得られたフィルム(イ)を、<6>(積層体(イ)/(GC−1)/(イ))の代わりに、ガラス繊維織物を用いないで、そのまま<6>((イ)×2枚)としたこと以外は、実施例4と同様に真空熱プレスを実施して、銅貼りの積層体を得た。評価結果を表1に示した。電気特性には優れるが、線膨張係数が非常に大きく、配線基板材には不適であることがわかる。
吸水後はんだ耐熱の結果は、ふくれなどはなかったが、取り出し冷却後、大きな反りが認められた。
ピール強度は、銅箔との密着力は良好であるため、フィルムの方が、破断してしまった。
【0094】
【表1】

【0095】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明の積層体は、低吸水性、電気特性、低線膨張係数、銅箔ピール強度、外観に優れた、熱可塑性樹脂組成物とガラス繊維織物との積層体であり、加えてPPEは、耐熱性、難燃性にも優れる素材であるため、プリント配線板材料、特に高周波向けの配線材用途、ノンハロゲン向け配線材料要求など、広く電子・電子部品などの幅広い分野に使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ポリフェニレンエーテルを80質量%以上含有する熱可塑性樹脂組成物と(B)ガラス繊維織物からなる積層体。
【請求項2】
積層体中のポリフェニレンエーテルが、フェノール性水酸基をフェニレンエーテルユニットの100個に対して0.90個以上含有する請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
(C)(A)以外の熱可塑性樹脂が、芳香族ビニル化合物重合体、芳香族ビニル化合物共重合体、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド66/6、芳香族環含有ポリアミド、脂肪族環含有ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、液晶ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリレート、ポリエーテルサルフォン、ポリサルフォンから選ばれる1種以上であり、樹脂組成物が(A)と(C)の合計100質量部に対し、(C)を20質量部以下含有する、請求項1または2のいずれかに記載の積層体。
【請求項4】
(C)成分が液晶ポリマー及び/または芳香族ビニル−マレイミド系共重合体である、請求項3に記載の積層体。
【請求項5】
樹脂組成物が、(A)と(C)の合計100質量部に対し、(D)Zn元素及び/またはMg元素を含有する化合物を3質量部以下含有する、請求項1〜4のいずれかに記載の積層体。
【請求項6】
樹脂組成物が、(A)と(C)の合計100質量部に対し、(E)ホスフィン酸塩1〜10質量部含有する、請求項1〜5のいずれかに記載の積層体。
【請求項7】
銅箔がさらに張り合わされた、請求項1〜6のいずれかに記載の積層体。
【請求項8】
ガラス繊維織物が2層以上からなる請求項1〜7のいずれかに記載の多層積層体。
【請求項9】
熱可塑性樹脂組成物製フィルムとガラス繊維織物を、240℃以上340℃以下の温度にて、かつ1MPa〜40MPaの圧力にて、熱プレス成形する、請求項1〜8に記載の積層体の製造方法。
【請求項10】
30kPa以下の真空状態にて熱プレス成形する、請求項9に記載の製造方法。
【請求項11】
熱可塑性樹脂組成物を予め、良溶媒に溶解し、溶液をガラス繊維織物に含浸させた後、加熱及び/または減圧により、溶媒を留去する、請求項1〜6に記載の積層体の製造方法。
【請求項12】
請求項11で得られた積層体と、さらに銅箔と張り合わせるために、240℃以上340℃以下の温度にて、かつ1MPa〜40MPaの圧力にて、熱プレス成形する積層体の製造方法。
【請求項13】
ロールトウロールにより連続成形する、請求項9〜12に記載の製造方法。
【請求項14】
請求項1〜8のいずれかに記載の積層体を用いる、電気回路基板。
【請求項15】
請求項1〜8のいずれかに記載の積層体を用いる、層間絶縁膜。
【請求項16】
請求項1〜8のいずれかに記載の積層体を用いる、フレキシブル回路基板。
【請求項17】
請求項1〜8のいずれかに記載の積層体を用いる、リジッド回路基板。
【請求項18】
請求項1〜8のいずれかに記載の積層体を用いる、ビルドアップ用多層回路基板。

【公開番号】特開2010−46914(P2010−46914A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−213184(P2008−213184)
【出願日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】