説明

粗化処理銅箔、その製造方法、銅張積層板及びプリント配線板

【課題】ファインパターンの回路形成性や高周波域における伝送特性に優れ、かつ樹脂基材との密着性や耐薬品性に優れる粗化処理銅箔を提供する。
【解決手段】母材銅箔(未処理銅箔)の少なくとも片面に、前記母材銅箔の表面粗さRzに対してRzが0.05〜0.3μm増加する粗化処理が施されて、粗化処理後の表面粗さRzが1.1μm以下である粗化処理面を有する粗化処理銅箔であって、前記粗化処理面は幅が0.3〜0.8μm、高さが0.4〜1.8μmで、アスペクト比[高さ/幅]が1.2〜3.5で、先端が尖った凸部形状の粗化粒子で形成されている表面粗化処理銅箔である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に多層プリント配線板やフレキシブルプリント配線板等に用いる粗化処理銅箔に関し、ファインパターンでの回路形成性や高周波域における伝送特性に優れ、かつ樹脂基材との密着性に優れる粗化処理銅箔とその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年では電子機器の小型化・薄型化が進行しており、特に携帯電話に代表される携帯機器に用いられる各種電子部品は高度に集積化され、小型でかつ高密度のプリント配線板を内蔵するICやLSIなどを使用している。これに対応して、これらに使用される高密度実装用の多層プリント配線板やフレキシブルプリント配線板等(以下、単にプリント配線板ということがある)における回路配線パターンにも高密度化が要求され、回路配線の幅と間隔が微細な回路配線パターン、いわゆるファインパターンのプリント配線板が要求されている。例えば、フレキシブルプリント配線板においては回路配線の幅と間隔とがそれぞれ50μm前後のものが要求されており、小型ICに使用されるプリント配線板においては回路配線の幅と間隔とがそれぞれ30μm前後という微細な回路配線を有するプリント配線板が要求されている。
【0003】
プリント配線板は次のようにして製造されている。まず、エポキシ樹脂やポリイミドなどから成る電気絶縁性の基板(以下、樹脂基材ということがある)の表面に、回路形成用の薄い銅箔を置いたのち、加熱・加圧して銅張積層板を製造する。
ついで、その銅張積層板に、スルーホールの穿設、スルーホールめっきを順次行った後に、該銅張積層板の表面にある銅箔にマスクパターンを形成してエッチング処理を行い、所望する回路配線の幅と間隔を備えた配線パターンを形成し、最後に、ソルダーレジストの形成やその他の仕上げ処理を行う。
【0004】
上記のプリント配線板の製造工程について、樹脂基材の両面に銅箔が設けられた銅張積層基板(以下、単に積層基板ともいう)にサブトラクティブ法により配線パターンを形成する工程を例示する。
【0005】
まず、積層基板の一方の銅箔表面(表面側)に、感光性フィルム(レジスト)を貼り付け、該感光性フィルム面に露光マスクを装着した露光装置を用い、露光光の照射によって露光マスクのパターンを感光性フィルム上に転写(投影)し、感光性フィルムのうち露光されていない部分を現像プロセスにて除去しフィルムレジストパターン(エッチングレジスト)を形成する。
次いで、フィルムレジストパターンで覆われていない(露出している)部分の銅箔をエッチング工程にて除去して、表面側の配線を形成する。エッチング工程で使用する薬品としては、例えば塩化第二鉄または塩化第二銅の水溶液に塩酸を加えたものが用いられる。その後、エッチング工程で使用済みのフィルムレジストパターンを、例えばアルカリ水溶液を用いて回路配線上から除去する。
上記と同様の工程でもう一方の面(裏面側)の銅箔にも所定のプリント配線を施す。
なお、他の電子部品やプリント配線板とのはんだ接続を容易とするために、回路配線の端部には必要に応じて無電解Snめっきが施される。無電解Snめっき工程で使用する薬品としては、Snイオンの水溶液に塩酸を加えたものが用いられる。
【0006】
上述した工程により表裏面に回路配線を形成した後、表面側回路配線と裏面側回路配線とを導通するためのブラインドビアホールを穿設する。
ブラインドビアホールの穿設は、表面側に露出した樹脂基材にCOレーザーで穴を加工する。このレーザーでの穴あけ工程では穴の底部(裏面側回路配線の粗化処理面)に樹脂基材(絶縁樹脂)の滓(スミア)が残る。この滓を除去するために過マンガン酸カリウム溶液等の酸化性の薬剤を用いて滓を除去するデスミア処理を行う。
【0007】
次に、樹脂基材に加工された穴の側面の絶縁部に導電性を付与するために、無電解銅めっきにより銅皮膜(導通層)を形成する。このための前処理として、穴の底部(裏面側回路配線)を硫酸−過酸化水素系のソフトエッチング液にて処理するソフトエッチング処理を施し、銅箔の金属めっきや防錆めっきを除去する。
【0008】
最後に、無電解銅めっきにより形成された導通層の上に電気銅めっきを施して、穴の側面および底部(裏面側回路配線)と表面側回路配線とを導通させ、両面プリント配線基板を完成させる。
なお、裏面側の銅箔に配線を形成する工程はブラインドビアホールを穿設した後に行うことも可能である。
【0009】
従来、プリント配線板に用いる銅箔は、樹脂基材に熱圧着する側の表面を粗化面とし、この粗化面で該樹脂基材に対するアンカー効果を発揮させ、該樹脂基材と銅箔との接合強度を高めてプリント配線板としての信頼性を確保している。(特許文献1)
【0010】
しかしながら、上記のような高密度の微細配線を有するプリント配線板用の銅箔として従来通りの粗化処理を施した銅箔を用いると、樹脂基材との密着強度を確保するために施した粗化処理の突起部が樹脂基材に深く喰い込むため、この喰い込んだ突起部を完全にエッチング除去するには長時間のエッチング処理を必要とする。この喰い込んだ突起部を完全に除去しないと、その部分が回路配線端部(銅箔と樹脂基材との境界部)において回路配線とつながったままの状態(残銅)となり、回路配線間での絶縁不良や回路配線端部の直線性低下による導通のバラツキを引き起こすこととなり、ファインパターンでの回路形成の信頼性に影響を及ぼす危険性があった。
【0011】
また、電子機器の情報処理速度アップや無線通信への対応のため、電子部品には電気信号の高速伝送が求められており、高周波対応基板の適用も進行している。高周波対応基板では電気信号の高速伝送のために伝送損失の低減を図る必要があり、樹脂基材の低誘電率化に加えて導体である回路配線の伝送損失を低減することが要求されている。
数GHzを超える高周波帯域においては、表皮効果により回路配線を流れる電流が銅箔表面に集中するため、高周波対応基板用の銅箔として従来の粗化処理を施した銅箔を用いた場合には、粗化処理部における伝送損失が大きくなり伝送特性が悪化する不具合があった。
【0012】
更にまた、前記ブラインドビアホールの穿設工程において、従来の粗化処理を施した銅箔を用いた場合にはブラインドビアホール内に樹脂基材(絶縁樹脂)が残留しやすく、ブラインドビアホールの穴底部に残存する絶縁樹脂(スミア)の除去が不十分となるために、無電解銅めっきの導通層の形成が不十分となり、ブラインドビアホールにおける上下回路の導通不良の原因となることがある。
【0013】
これらの問題を解消するため、ファインパターン対応や高周波対応のプリント配線板等に用いる銅箔として、粗化処理を施さずに平滑な銅箔を樹脂基材に張り付けて使用する方法がこれまで検討されてきた。(特許文献2、3、4)
しかしながら、これらの平滑な銅箔はファインパターンの回路形成性や高周波域における伝送特性には優れるものの、銅箔と樹脂基材との密着性を十分に高めることが困難であり、回路配線のエッチング工程あるいは回路配線の端部へのSnめっき工程において、銅箔と樹脂基材との界面で薬品の染み込みが発生することや、プリント配線板の製造工程および製品使用中の熱負荷により密着性が低下する等の課題を有している。特に、ファインパターン対応のプリント配線板では回路配線(銅箔)と樹脂基材との接合面積が極めて小さく構成されるため、薬品の染み込みや熱負荷後の密着性低下が発生すると樹脂基材から回路配線が剥離する危険性があり、樹脂基材との密着性が良好な銅箔が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開平05−029740号公報
【特許文献2】特再2004−005588号公報
【特許文献3】特開2005−344174号公報
【特許文献4】特開2006−175634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
この問題につき発明者等は鋭意検討した結果、銅箔の表面に施す粗化処理の量と形状を適切な範囲とすることによりファインパターンの回路形成性や高周波域における伝送特性に優れ、かつ樹脂基材との密着性に優れる粗化処理が可能であるとの認識に到達し、本発明に到った。
【0016】
本発明の目的は、ファインパターンの回路形成性や高周波域における伝送特性に優れ、かつ樹脂基材との密着性に優れる粗化処理銅箔を提供することにある。
また本発明の目的は、前記粗化処理銅箔を樹脂基材に張り付けた銅張積層板および前記銅張積層板を用いたプリント配線板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の粗化処理銅箔は、母材銅箔(未処理銅箔)の少なくとも片面に、前記母材銅箔の表面粗さRzに対してRzが0.05〜0.3μm増加する粗化処理が施されて、粗化処理後の表面粗さRzが1.1μm以下である粗化処理面を有する粗化処理銅箔であって、前記粗化処理面は幅が0.3〜0.8μm、高さが0.4〜1.8μmで、アスペクト比[高さ/幅]が1.2〜3.5で、先端が尖った凸部形状の粗化粒子で形成されている銅箔である。
【0018】
本発明粗化処理銅箔は、粗化処理を施した粗化処理表面が、二次元表面積に対するレーザーマイクロスコープによる三次元表面積の比で、3倍以上であることが好ましい。
【0019】
本発明の粗化処理銅箔は、前記粗化処理面に、Niめっき、Ni合金めっき、Znめっき、Zn合金めっきのいずれかの金属めっきを施すことが好ましい。また、その上にCrめっき、Cr合金めっき、クロメート処理のいずれかの防錆処理を施すことが好ましい。また、更にその上にシランカップリング処理を施すことが好ましい。
【0020】
本発明の粗化処理銅箔の製造方法は、母材銅箔(未処理銅箔)の少なくとも片面に、前記母材銅箔の表面粗さRzに対してRzが0.05〜0.3μm増加する粗化処理を施し、粗化処理後の表面粗さRzが1.1μm以下の粗化処理面にする粗化処理銅箔の製造方法であって、前記粗化処理により、粗化処理面に幅が0.3〜0.8μm、高さが0.4〜1.8μmで、アスペクト比[高さ/幅]が1.2〜3.5で、先端が尖った凸部形状の粗化粒子を形成する製造方法である。
また、前記粗化処理の粗化量(粗化処理で付着する粗化粒子の重量)を1m2あたり3.56〜8.91g(厚さ換算:0.4〜1.0μm)とすることが好ましい。
【0021】
本発明は、前記粗化処理銅箔を樹脂基材に積層してなる銅張積層板である。
また、前記銅張積層板を用いたプリント配線板である。
【発明の効果】
【0022】
本発明の粗化処理銅箔はファインパターンの回路形成性や高周波域における伝送特性に優れ、かつ樹脂基材との密着性や耐薬品性(銅箔と樹脂基材との界面での薬品の染み込みを阻止)に優れる粗化処理銅箔である。
更に、本発明の粗化処理銅箔を用いた銅張積層板によれば、ファインパターンや高周波基板に適するだけでなく、樹脂基材と銅箔との密着性が良好で信頼性の高いプリント配線板を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
銅箔表面には樹脂基材との密着性を改善するための粗化処理と、必要によりその上に粗化処理粒子の脱落や防錆を目的とした表面処理がなされる。本発明では表面処理として、主として銅又は銅合金からなる粗化処理を施し、その上に必要によりNi、Znおよびこれらの合金等やCrによる表面処理を施し、さらに必要に応じて樹脂基材との密着性向上のためのシランカップリング処理が施される。
【0024】
銅箔と樹脂基材との密着性を向上させる粗化処理は、粗化粒子を粗くするほど、すなわち表面の凹凸を粗くするほど密着性は向上するが、ファインパターンでの回路形成性や高周波帯域における伝送特性、ブラインドビアホール穿設時のデスミア性は悪くなる傾向にある。
【0025】
本発明では、母材銅箔(未処理銅箔)の表面に先ず母材銅箔の表面粗さRzが0.05〜0.30μm増加する粗化処理を銅又は銅合金で施す。このとき、粗化処理後の表面粗さRzは1.1μm以下とする。
なお、上記銅又は銅合金で施す粗化処理では、表面粗さRaを0.02〜0.05μm増加する範囲で行い、粗化処理後のRaを0.35μm以下とすることが好ましい。
粗化処理後の表面粗さRzが上記下限値に満たない処理であると、樹脂基材との密着性がやや低くなり、Rzが上記上限値を超えると表面が粗くなり、後述する回路形成性や伝送特性が低下する。
また、粗化処理後の表面粗さRzを1.1μmよりも粗くしないことで、樹脂基材との密着性を損なうことなく、ファインパターンでの回路形成性や高周波帯域での伝送特性に優れた粗化処理銅箔とすることができる。
なお、表面粗さRa、RzはJIS−B−0601の規定に準じて測定される値である。
【0026】
本発明では銅箔の粗化面は、粗化を形成する凸状の大きさが、幅0.3〜0.8μm、高さ0.4〜1.8μmの先端が尖っている形状とする。このような形状とすることで絶縁樹脂と張付ける際に樹脂基材に粗化処理した凹凸が食い込み易く(アンカー効果)、良好な密着性を得ることができる。なお、凸状の大きさにおける幅は箔表面の付け根部分の長さであり、高さは箔表面から頂きまでの長さである。
また、本発明では、粗化処理面における凸部形状のアスペクト比[高さ/幅]を1.2〜3.5とする。アスペクト比[高さ/幅]を1.2〜3.5とする理由は1.2未満では絶縁樹脂との密着性が十分でなく、アスペクト比が3.5より大きいと、粗化した凸部分が銅箔より欠落する可能性が高くなり好ましくないからである。
【0027】
また本発明では、二次元表面積に対してレーザーマイクロスコープによる三次元表面積が3倍以上となる粗化処理を施すことが好ましい。二次元表面積に対してレーザーマイクロスコープによる三次元表面積が3倍以上となる粗化処理を施す理由は、3倍未満では樹脂基材との接触面積が少なくなることにより密着力低下が起こるためであり、回路配線形成工程のエッチング処理や、回路配線の端部への無電解Snめっき工程のめっき処理や、ブラインドビアホール穿設工程のソフトエッチング処理等において、各処理に使用する薬品が銅箔と樹脂基材との界面に染み込むのを阻止できない(耐薬品性を損う)ためである。また、ソフトエッチング液が粗化粒子や母材銅箔表面と接触する面積が少なく、ソフトエッチング処理におけるエッチング速度が遅くなってしまうためである。
【0028】
本発明では、粗化粒子の形状およびその表面粗さ、表面積を制御することにより、表面積の増加やアンカー効果による密着性の増加、耐熱密着性の改善につながり、またレーザー加工によりブラインドビアホールを形成後、ビア底部へのデスミア処理時の粗化部への樹脂残りを低減させ、かつ表面積増加により良好なソフトエッチング性をもたらす効果が発現する。
【0029】
本発明において、銅箔に粗化処理を施す粗化量(粗化処理で付着する粗化粒子の重量)は、1mあたり3.56〜8.91g(厚さ換算:0.4〜1.0μm)であることが好ましい。粗化量を1mあたり3.56〜8.91gとするのは、母材銅箔(未処理銅箔)に、Rzが0.05〜0.30μm、又はRaが0.02〜0.05μm増加する粗化粒子を付着させるのに最適な範囲となるからである。ここで、母材銅箔(未処理銅箔)は、表面粗さがRa:0.30μm以下、Rz:0.8μm以下のものを用いることが好ましい。
【0030】
本発明において、母材銅箔表面に設ける粗化処理面は、CuまたはCuとMoの合金やCuとNi、Co、Fe、Cr、V及びWの群から選ばれる少なくとも1種の元素を含む銅合金で形成する。
Cu粒子又はCuとMoの合金粒子で所望形態の粗化処理面(突起物)は得られるが、Cu粒子又はCuとMoの合金粒子にNi、Co、Fe、Cr、V及びWの群から選ばれる少なくとも1種の元素を含む2種類以上の合金粗化粒子で形成することで突起物は更に均一性のある突起物となる。
【0031】
前記粗化粒子に含まれるMo、Ni、Co、Fe、Cr、V及びWの群から選ばれる少なくとも1種の元素は、Cuの存在量に対し0.01ppm〜20%を占めることが好ましい。存在量が0.01ppm以下では望ましい効果が期待できず、20%を越える合金組成では、回路パターンをエッチングする際に、溶解しにくくなるためである。更に、均一な突起物を得るためには各種処理液の組成、電流密度、液温、処理時間を最適にすることが望ましい。
【0032】
また、粗化粒子の表面に、樹脂基材との密着性・耐熱性・耐薬品性・粉落ち性等を向上させることを目的にNi、Ni合金、Zn、Zn合金の群から選ばれる少なくとも1種の金属めっき層を設けると良い。
これらの目的を果たすためには、Ni、Ni合金、Zn、Zn合金の付着金属量は0.05mg/dm〜10mg/dmであることが望ましい。
上記金属めっき層の上に、Crめっきやクロメート被膜からなる防錆層を形成することが望ましい。
更に、防錆層の上にシランカップリング処理を施すと良い。
【0033】
本発明において、金属めっき層としてNi−Zn合金めっき処理を施す場合に、下記の式1で示すZn含有率(wt%)が6%〜30%で、かつ、Znを0.08mg/dm以上付着させることが望ましい。
式1 Zn含有率(wt%)=Zn付着量/(Ni付着量+Zn付着量)×100 Znの付着量を規定するのは銅箔と樹脂基材との耐熱性と耐薬品性を改善するためであり、Ni−Zn合金中のZn含有率(wt%)が6%未満では耐熱性が改善されず、30%より多いと耐薬品性が悪くなり好ましくないためである。
また、Znについては0.08mg/dm以上付着させることが望ましい。Znを0.08mg/dm以上付着させる理由は耐熱性を改善するためで、0.08mg/dm未満では耐熱性の効果が期待できないためである。
また、Niについては0.45〜3mg/dm付着させることが好ましい。Niの付着量を規定するのは耐熱性の改善とソフトエッチング性に影響があるためであり、Ni付着量が0.45mg/dm未満では耐熱性の改善がそれほど期待できず、3mg/dmより多いとソフトエッチング性に悪影響を及ぼすことが懸念されるためである。
【0034】
前記防錆層の上に、必要に応じて前記粗化処理銅箔と樹脂基材との密着性を向上させるためにシランカップリング処理を施してもよい。
シランカップリング剤は対象となる樹脂基材によりエポキシ系、アミノ系、メタクリル系、ビニル系、メルカプト系等から適宜選択することができる。
高周波対応基板に用いられる樹脂基材には、特に相性の優れるエポキシ系、アミノ系、ビニル系のカップリング剤を選択することが好ましく、フレキシブルプリント配線板に用いられるポリイミドには、特に相性の優れるアミノ系のカップリング剤を選択することが好ましい。
【0035】
樹脂基材としては、種々の成分の高分子樹脂を用いることができる。リジッド配線板やIC用のプリント配線板には主にフェノール樹脂やエポキシ樹脂を用いる。フレキシブル基板にはポリイミドやポリアミドイミドを主に用いる。ファインパターン(高密度)配線板や高周波基板用においては寸法安定性のよい材料、反りねじれの少ない材料、熱収縮の少ない材料などとしてガラス転移点(Tg)の高い耐熱樹脂を用いる。耐熱樹脂としては、例えば耐熱エポキシ樹脂、BT(ビスマレイミド トリアジン)レジン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンオキサイド、シアネートエステル系樹脂などがあげられる。
【0036】
これらの樹脂基材と粗化処理銅箔を張り合わせる方法としては、熱プレス方式、連続ロールラミネート方式、連続ベルトプレス方式などを用いることができ、接着剤等を介さずに熱圧着することができる。
また、別の方法としては、溶融状態や溶剤に溶解して流動性を有する状態とした樹脂含有物を粗化処理銅箔の表面に塗布した後に、熱処理により樹脂を硬化させる方法もある。
【0037】
最近では、銅箔の粗化面を予めエポキシ樹脂やポリイミドのような接着用樹脂で被覆し、該接着用樹脂を半硬化状態(Bステージ)とした樹脂付き銅箔を回路形成用の銅箔として用い、その接着用樹脂側を樹脂基材に熱圧着して多層プリント配線板やフレキシブルプリント配線板を製造することも行われている。この方法では微細な粗化処理でも銅箔と樹脂基材との密着力を高めることができるため、本発明と組み合わせることにより密着性の良好な銅張積層板を製造することができ、より効果的である。
【0038】
電気信号の伝送速度が速くなると、樹脂基材の材質が特性インピーダンスや信号伝搬速度等に重要に関与してくるため、高周波回路用プリント配線板に適した樹脂基材として誘電率や誘電体損失等の特性に優れた基材が要求される。これらを満足させるために種々な材料が提案されており、例えば電気信号の高速伝送のためには、誘電率が小さく、誘電体損失も小さい樹脂基材として、液晶ポリマー、ポリフッ化エチレン、イソシアネート化合物、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンエーテル等を挙げることができる。
【0039】
本発明の粗化処理銅箔を用いた銅張積層板は、銅箔と樹脂基材との密着性が優れ、またCOガスレーザー等のレーザーで容易にブラインドビアホールの形成加工ができることから、ブラインドビアホールの穿設工程においてエッチング、穴空け、デスミア、ソフトエッチング、銅めっき等の加工をおこなった後でも、銅箔と樹脂基材との剥がれ等に問題はなく使用することが可能である。(ブラインドビアホールとは、プリント配線板の片側のみが開口しているビアであり、社団法人日本プリント回路工業会編「プリント回路用語」等に記載されている。)
上述したように本発明の銅張積層板によれば、COガスレーザー等のレーザーによるブラインドビアホールの穿設工程、穴空け、デスミア、ソフトエッチング、銅めっき等の加工を容易に行える。従って、レーザーの照射エネルギー等の加工条件については樹脂基材の厚みや樹脂の種類により適宜、最適化した条件を選択でき、また銅張積層板への穴形成方法および穴の内部および底部のデスミア処理方法、デスミア後の穴の側面や底部への無電解銅めっきの前処理であるソフトエッチング処理方法についても最適化した条件を選択でき、所望する箇所に最適なホールを形成することが可能となる。
【実施例】
【0040】
以下に、本発明を実施例に基づいて更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0041】
本発明銅箔の表面処理工程を製箔工程から順に説明する。
(1)製箔工程
下記のめっき浴及びめっき条件で母材銅箔(未処理銅箔)を製造した。
(めっき浴及びめっき条件)
硫酸銅:銅濃度として50〜80g/L
硫酸濃度:30〜70g/L
塩素濃度:0.01〜30ppm
液温:35〜45℃
電流密度:20〜50A/dm2
【0042】
(2)粗化処理工程
母材銅箔表面への粗化処理は粗化めっき処理1→ 粗化めっき処理2の手順で行った。
【0043】
(粗化めっき処理1)
硫酸銅:銅濃度として5〜10g/L
硫酸濃度:30〜120g/L
モリブデン酸アンモニウム:Mo金属として0.1〜5.0g/L
液温:20〜60℃
電流密度:10〜60A/dm
【0044】
(粗化めっき処理2)
硫酸銅:銅濃度として20〜70g/L
硫酸濃度:30〜120g/L
液温:20〜65℃
電流密度:5〜65A/dm
【0045】
(3)金属めっき層形成処理
下記のめっき浴及びめっき条件で金属めっき層を施した。なお、Niめっきを施した場合にはその上にZnめっきを施し、Ni−Znめっきを施した場合にはZnめっきは施さなかった。
(Niめっき)
硫酸ニッケル6水和物:240g/L
塩化ニッケル6水和物:45g/L
ホウ酸:30g/L
次亜リン酸ナトリウム:5g/L
液温:50℃
電流密度:0.5A/dm
【0046】
(Znめっき)
硫酸亜鉛7水和物:24g/L
水酸化ナトリウム:85g/L
液温:25℃
電流密度:0.4A/dm
【0047】
(Ni−Zn合金めっき)
硫酸ニッケル:ニッケル濃度として0.1g/L〜200g/L、好ましくは20g/L〜60g/L、
硫酸亜鉛:亜鉛濃度として0.01g/L〜100g/L、好ましくは0.05g/L〜50g/L、
硫酸アンモニウム:0.1g/L〜100g/L、好ましくは0.5g/L〜40g/L
液温:20〜60℃
pH:2〜7
電流密度:0.3〜10A/dm
【0048】
(4)防錆処理
金属めっき層処理後に、下記のめっき浴及びめっき条件でCrめっきを施した。
(Crめっき)
無水クロム酸:0.1g/L〜100g/L
液温:20〜50℃
電流密度:0.1〜20A/dm
【0049】
(5)シラン処理
防錆めっき処理後に、下記の処理液および処理条件でシランカップリング処理を施した。
シラン種:γ−アミノプロピルトリメトキシシラン
シラン濃度:0.1g/L〜10g/L
液温:20〜50℃
【0050】
試験片の作成
上記表面処理条件により製箔した未処理銅箔に表面処理を施した表面粗化処理銅箔を試験片とし、表1に示す各種評価に適するサイズや形態に加工し試験片とした。各試験片の特性値については、表1に示す。
【0051】
試験片の特性評価
(1)金属付着量の測定
蛍光X線分析装置((株)リガク製ZSXPrimus、分析径:35φ)にて分析した。
(2)表面粗さの測定
接触式表面粗さ測定機((株)小坂研究所製SE1700)にて測定した。
(3)アスペクト比の算出
FIBにより断面出し加工した粗化粒子の断面をSEM観察して幅および高さを測定し、「高さ÷幅」の数値をアスペクト比とした。なお、幅は箔表面の付け根部分の長さを、高さは箔表面の付け根部分から頂きまでの長さの測定値である。
(4)表面積の算出
レーザーマイクロスコープ((株)キーエンス製VK8500)にて三次元表面積を測定し、測定視野の面積を二次元表面積として「表面積比=三次元表面積÷二次元表面積」の数値を表面積比とした。
【0052】
(5)初期密着性(初期の密着強度の測定)
試験片を樹脂基材と接着後に密着強度を測定した。樹脂基材としては市販のポリイミド系樹脂(宇部興産(株)製ユーピレックス25VT)を使用した。
密着強度は、テンシロンテスター(東洋精機製作所社製)を使用して、樹脂基材と接着後の試験片を1mm幅の回路配線にエッチング加工した後に、樹脂側を両面テープによりステンレス板に固定し、回路配線を90度方向に50mm/分の速度で剥離して求めた。初期密着性は0.8kN/m以上を合格とし、その判定基準は表1に示す。
(6)耐熱性(熱処理後の密着強度の測定)
樹脂基材と接着後の試験片について、150℃で168時間加熱処理した後の密着強度を測定した。
耐熱性は初期ピール強度の90%以上を合格とし、その判定基準は表1に示す。
(7)耐薬品性(酸処理後の密着強度の測定)
樹脂基材と接着後の試験片について、水:塩酸=1:1の塩酸溶液に常温で1時間浸漬した後の密着強度を測定した。
耐薬品性は0.8kN/m以上を合格とし、その判定基準は表1に示す。
【0053】
(8)回路形成性(回路配線端部の残銅の測定)
樹脂基材と接着後の試験片を、1mm幅の回路配線にエッチング加工し、配線回路の端部(銅箔と樹脂基材の界面)における残銅の幅を測定した。
回路形成性は3.0μm未満を合格とし、その判定基準は表1に示す。
(9)伝送特性(高周波での伝送損失の測定)
表面処理した試験片を樹脂基材と接着後に、伝送特性測定用のサンプルを作成し高周波帯域における伝送損失を測定した。樹脂基材としては市販のポリフェニレンエーテル系樹脂(パナソニック電工(株)製メグトロン6)を使用した。伝送測定の評価には、1〜25GHz域の測定に適する公知のストリップライン共振器法(マイクロストリップ構造:誘電体厚さ50μm、導体長さ1.0mm、導体厚さ12μm、導体回路幅120μm、特性インピーダンス50Ωでカバーレイフィルムなしの状態でS21パラメーターを測定する方法)を用いて、周波数5GHzにおける伝送損失(dB/100mm)を測定した。
伝送特性は伝送損失25dB/100mm未満を合格とし、その判定基準は表1に示す。
【0054】
(10)ソフトエッチング性(粗化処理面のエッチング量の測定)
試験片に対して、粗化処理を施していない面にマスキング処理を施してから重量を測定した後に、ソフトエッチング液(三菱瓦斯化学(株)製CPE−920)に25℃で120秒浸漬した後に再度試験片の重量を測定した。ソフトエッチング前後の重量変化からエッチングされた重量を算出し、エッチングにより溶解除去された厚さに換算した。
ソフトエッチング性は1.0μm以上エッチングされた場合を合格とし、その判定基準は表1に示す。
【0055】
[実施例1]
母材銅箔(未処理銅箔)の表面に表1に示す増加粗化量になるように粗化処理を施し、先端が尖った凸状の粒子からなる粗化表面とした。このときのアスペクト比、表面積比を表1に示す。
この粗化処理銅箔を用いて、初期密着性、耐熱性、耐薬品性、回路形成性、伝送特性、ソフトエッチング性の評価を行った結果を表1に示す。
[実施例2〜6、11]
母材銅箔(未処理銅箔)の表面に表1に示す増加粗化量になるように粗化処理を施し、先端が尖った凸状の粒子からなる粗化表面とした。このときのアスペクト比、表面積比を表1に示す。この表面に表1に示す付着量のNiの金属めっき層、Znの金属めっき層、Crの防錆めっき層を順次形成し、最後にシラン処理層を形成した。
この粗化処理銅箔を用いて、初期密着性、耐熱性、耐薬品性、回路形成性、伝送特性、ソフトエッチング性の評価を行った結果を表1に示す。
【0056】
[実施例7〜10]
母材銅箔(未処理銅箔)の表面に表1に示す増加粗化量になるように粗化処理を施した。このときのアスペクト比、表面積比を表1に示す。この表面に表1に示す付着量のNi−Znからなる金属めっき層、Crの防錆めっき層を順次形成し、最後にシラン処理層を形成した。
この粗化処理銅箔を用いて、実施例1と同様の評価を行った結果を表1に示す。
【0057】
[比較例1]
母材銅箔(未処理銅箔)の表面に、粗化処理と金属めっき層を施さずにCrの防錆めっき層、シラン処理層を順次形成した。
この表面処理銅箔を用いて、実施例1と同様の評価を行った結果を表1に示す。
【0058】
[比較例2]
母材銅箔(未処理銅箔)の表面に、粗化処理を施さずに表1に示す付着量のNiの金属めっき層、Znの金属めっき層、Crの防錆めっき層を順次形成し、最後シラン処理層を形成した。
この粗化処理銅箔を用いて、実施例1と同様の評価を行った結果を表1に示す。
【0059】
[比較例3〜5]
母材銅箔(未処理銅箔)の表面に表1に示す増加粗化量になるように粗化処理を施した。このときのアスペクト比、表面積比を表1に示す。この表面に表1に示す付着量のNiの金属めっき層、Znの金属めっき層、Crの防錆めっき層を順次形成し、最後にシラン処理層を形成した。
この粗化処理銅箔を用いて、実施例1と同様の評価を行った結果を表1に示す。
【0060】
[比較例6]
母材銅箔(未処理銅箔)の表面に、粗化処理を施さずに表1に示す付着量のNi−Znからなる金属めっき層、Crの防錆めっき層を順次形成し、最後シラン処理層を形成した。
この粗化処理銅箔を用いて、実施例1と同様の評価を行った結果を表1に示す。
【0061】
【表1】

表1に示す判断基準は各評価において、◎:良好、○:基準内、×:基準外である。
各評価項目における判断基準は以下のとおりである。
初期密着性(kN/m)
◎:1.0以上、○:0.8以上、1.0未満、×:0.8未満
耐熱性[耐熱性試験後密着性(kN/m)]
◎:0.9以上、○:0.72以上0.9未満、×:0.72未満
耐薬品性[耐薬品試験後密着性(kN/m)]
◎:1.0以上、○:0.8以上1.0未満、×:0.8未満
回路形成性[回路配線端部の残銅の測定(μm)]
◎:1.0未満、○:1.0以上3.0未満、×:3.0以上
伝送特性[周波数5GHzでの伝送損失(dB/100mm)]
◎:15未満、○:15以上25未満、×:25以上
ソフトエッチング性[ソフトエッチング液への溶解量(μm)]
◎:1.4以上、○:1.0以上1.4未満、×:1.0未満
【0062】
表1に示すように実施例1は粗化箔粗さ、増加粗化量、アスペクト比、表面積比が範囲内であり、回路形性、伝送特性、ソフトエッチング性に優れるが、金属めっき層、防錆めっき層、シラン処理層を施した実施例2〜4等と比較すると初期密着性、耐熱性、耐薬品性がやや劣った。(総合評価○)
【0063】
実施例2〜実施例4は粗化箔粗さ、増加粗化量、アスペクト比、表面積比が範囲内であり、金属めっき層、防錆めっき層、シラン処理層を施したため、各評価項目が良好な範囲であった。(総合評価◎)
【0064】
実施例5は増加粗化量、アスペクト比が範囲内であるが大きめのため、回路形成性、伝送特性、ソフトエッチング性がやや劣った。(総合評価○)
【0065】
実施例6はアスペクト比、表面積比が基準内であるが小さめのため、ソフトエッチング性がやや劣った。(総合評価○)
【0066】
実施例7〜実施例9は粗化箔粗さ、増加粗化量、アスペクト比、表面積比が範囲内であり、合金組成が適正範囲内に施されているため、各評価項目が良好な範囲であった。(総合評価◎)
【0067】
実施例10はNi付着量がやや多めのため、ソフトエッチング性がやや劣った。(総合評価○)
【0068】
実施例11は粗化増加量、粗化幅、粗化高さが基準内であるが小さめのため、初期密着性、耐熱性、耐薬品性、ソフトエッチング性がやや劣った。(総合評価○)
【0069】
比較例1は粗化処理及び金属めっきを行っていないため、ソフトエッチング性は良好であるが、初期密着性、耐熱性、耐薬品性は基準外であった。(総合評価×)
【0070】
比較例2は表面処理は行っているが粗化処理を行っていないため、ソフトエッチング性が基準外であった。(総合評価×)
【0071】
比較例3は粗化箔粗さ、増加粗化量、粗化高さ、アスペクト比が基準以上であるため、回路形成性、伝送特性、ソフトエッチング性が基準外であった。(総合評価×)
【0072】
比較例4は増加粗化量、粗化幅、粗化高さが基準以上であり、伝送特性、ソフトエッチング性が基準外であった。(総合評価×)
【0073】
比較例5は増加粗化量が少なく、粗化幅、粗化高さ、アスペクト比も小さいため、初期密着性、耐熱性、耐薬品性、ソフトエッチング性が基準外であった。(総合評価×)
【0074】
比較例6は粗化処理を行っていないため、ソフトエッチング性が基準外であった。(総合評価×)
【0075】
上述したように、本発明の粗化処理銅箔は樹脂基材との初期密着性、耐熱性、耐薬品性、回路形成性、伝送特性、ソフトエッチング性を満足し、工業的に優れた粗化処理銅箔である。
また、本発明の銅箔の粗化処理方法によれば、樹脂基材との密着性に優れ、耐薬品性、ソフトエッチング性を工業的に満足する優れた粗化処理銅箔を製造することができる。
更に本発明の銅張積層板、プリント配線板によれば、樹脂基材と銅箔との接着強度が強く、回路形成にあたっては耐薬品性を有し、ソフトエッチング性を満足するといった優れた効果を有するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
母材銅箔(未処理銅箔)の少なくとも片面に、前記母材銅箔の表面粗さRzに対してRzが0.05〜0.3μm増加する粗化処理が施されて、粗化処理後の表面粗さRzが1.1μm以下である粗化処理面を有する粗化処理銅箔であって、前記粗化処理面は幅が0.3〜0.8μm、高さが0.4〜1.8μmで、アスペクト比[高さ/幅]が1.2〜3.5で、先端が尖った凸部形状の粗化粒子で形成されている粗化処理銅箔。
【請求項2】
前記粗化処理面の二次元表面積に対するレーザーマイクロスコープによる三次元表面積の比が、3倍以上である請求項1に記載の粗化処理銅箔。
【請求項3】
前記粗化処理面に、Ni、Ni合金、Zn、Zn合金のいずれかの金属めっきにより金属めっき層が施されている請求項1又は2に記載の粗化処理銅箔。
【請求項4】
前記金属めっき層の表面に、Crめっき、Cr合金めっき、クロメート処理のいずれかの防錆処理が施された請求項3に記載の粗化処理銅箔。
【請求項5】
前記防錆処理が施された表面に、シランカップリング処理が施された請求項4に記載の粗化処理銅箔。
【請求項6】
母材銅箔(未処理銅箔)の少なくとも片面に、前記母材銅箔の表面粗さRzに対してRzが0.05〜0.3μm増加する粗化処理を施し、粗化処理後の表面粗さRzが1.1μm以下の粗化処理面にする粗化処理銅箔の製造方法であって、前記粗化処理により、粗化処理面に幅が0.3〜0.8μm、高さが0.4〜1.8μmで、アスペクト比[高さ/幅]が1.2〜3.5で、先端が尖った凸部形状の粗化粒子を形成する粗化処理銅箔の製造方法。
【請求項7】
粗化処理の粗化量(粗化処理で付着する重量)が、1mあたり3.56〜8.91g(厚さ換算:0.4〜1.0μm)である請求項6に記載の粗化処理銅箔の製造方法。
【請求項8】
樹脂基材の片面又は両面に請求項1〜5のいずれかに記載の粗化処理銅箔、又は請求項6又は7に記載の製造方法で製造した粗化処理銅箔を張り合わせてなる銅張積層板。
【請求項9】
請求項8に記載の銅張積層板を用いたプリント配線板。

【公開番号】特開2011−168887(P2011−168887A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−8664(P2011−8664)
【出願日】平成23年1月19日(2011.1.19)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】