説明

粘弾性樹脂組成物、プリプレグ、導体張積層板、樹脂付き金属箔及び樹脂フィルム

【課題】 耐熱性、密着力、曲げ加工性及び寸法安定性のすべてを十分に満たす配線板材料を容易に作製できる粘弾性樹脂組成物、並びに、かかる粘弾性樹脂組成物を用いて得られるプリプレグ、導体張積層板、樹脂付き金属箔及び樹脂フィルムを提供すること。
【解決手段】 粘弾性樹脂組成物は、1〜15質量%のグリシジルメタアクリレートをモノマー単位として含み、重量平均分子量(Mw)が30万〜100万であり且つガラス転移温度が−20℃〜0℃の範囲にあるアクリルゴム重合体と、このアクリルゴム重合体以外の硬化性成分とを含有し、硬化後のガラス転移温度が20℃〜60℃及び120℃〜160℃の範囲にあるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘弾性樹脂組成物、プリプレグ、導体張積層板、樹脂付き金属箔及び樹脂フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス布にエポキシ樹脂を含浸させた配線板材料が知られている。このような配線板材料は、材料が安価であり比較的低温での接着が可能であるが、曲げ加工を施すと絶縁層部分にクラック等が発生し、配線板としての特性が著しく低下してしまうため、使用用途が限定されている。
【0003】
そのため、曲げ加工が可能な配線板材料としては、ポリエステル樹脂やポリイミド樹脂が従来使用されていた。近年では、耐熱特性が良好で加熱収縮の小さいポリイミド樹脂を用いた銅張積層板が主流となっている。しかしながら、ポリイミド樹脂を用いた銅張積層板は、高温域での耐熱特性に優れる一方で、吸湿前後の寸法変化率が大きく、また銅箔と絶縁層との密着力が乏しいことより、曲げ応力や熱履歴を受けたときに配線の剥がれなどが生じやすかった。
【0004】
ところで、ポリイミド樹脂を用いた銅張積層板には主として、ポリイミド前駆体を銅箔に直接塗布し、高温下で縮合させた2層CCLタイプ、ポリイミド系接着剤やその他接着剤を介して銅箔とポリイミドフィルムを貼り合わせた3層CCLタイプ、及び、ポリイミド樹脂フィルム上にスパッタやめっきにより銅層を析出させたメタライジングタイプがある。2層CCLタイプは、耐熱性には優れるものの高温長時間での加熱工程を必要とするため、一般には高価格であり、生産性も悪い。3層CCLタイプは、ポリイミド系接着剤を用いると貼り合わせ時に高温高圧長時間の接着工程が必要となり生産性が悪くなり、その他接着剤を用いた場合は耐熱性が低下してしまう。また、メタライジングタイプは、銅層の形成にコストがかかり銅箔の厚膜化が難しく、銅と絶縁層との密着力を十分に得ることが困難であり密着力信頼性も劣るなどの欠点がある。このように、ポリイミド樹脂を用いた銅張積層板は製造しにくいという問題点も有している。
【0005】
最近では、低温での熱圧着を可能にしつつ耐熱性及び寸法安定性を両立させる目的で、特定のポリイミド樹脂及びエポキシ樹脂からなる樹脂組成物を繊維基材に含浸させたプリント配線板用プリプレグが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開平8−193139号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献1に記載のプリプレグであっても、金属箔に対する密着力が十分とはいえず、配線板材料として高水準の信頼性を得るには更なる改善の余地がある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、耐熱性、密着力、曲げ加工性及び寸法安定性のすべてを十分に満たす配線板材料を容易に作製できる粘弾性樹脂組成物、並びに、かかる粘弾性樹脂組成物を用いて得られるプリプレグ、導体張積層板、樹脂付き金属箔及び樹脂フィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明者らは鋭意検討した結果、グリシジルメタアクリレートをモノマー単位として特定量含み、特定の分子量及び特定のガラス転移温度を有するアクリルゴム重合体と、このアクリルゴム重合体以外の硬化性成分とを含有させてなる樹脂組成物において、硬化後のガラス転移温度が特定の範囲となるようにアクリルゴム重合体及び他の硬化性成分を設定することにより、塗工性や基材への含浸性に優れた粘弾性樹脂組成物が得られるとともに、かかる粘弾性樹脂組成物から作製された配線板材料が耐熱性、密着力、曲げ加工性及び寸法安定性のすべてを十分に満たすことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、1〜15質量%のグリシジルメタアクリレートをモノマー単位として含み、重量平均分子量(Mw)が30万〜100万であり且つガラス転移温度が−20℃〜0℃の範囲にあるアクリルゴム重合体と、このアクリルゴム重合体以外の硬化性成分とを含有し、硬化後のガラス転移温度が20℃〜60℃及び120℃〜160℃の範囲にある粘弾性樹脂組成物を提供する。
【0010】
ここで、グリシジルメタアクリレートの含有量はアクリルゴム重合体の総量基準である。また、重量平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定を行い、標準ポリスチレンを用いて作成した検量線により換算して得られた値を意味する。
【0011】
また、本発明でいう「硬化後」とは、DSC(示差走査熱量計)を用いて測定される硬化前の粘弾性樹脂組成物の発熱量をQ0(J/g)、DSC(示差走査熱量計)を用いて測定される硬化後の粘弾性樹脂組成物の発熱量をQ1(J/g)としたときに、下記式(1)で定義される硬化率Cが98%以上となる状態を意味する。
C(%)=(Q0−Q1)/Q0×100 …(1)
【0012】
また、本発明においてガラス転移温度Tgは、TMA(Thermo Mechanical Analysis)(例えば、リガク(株)製「サーモプラス TG8120型」)を用いて測定したものをいう。なお、「TMA」とは、物質の温度を調節されたプログラムに従って変化させながら、非振動的な荷重を加えてその物質の変形を温度の関数として測定する方法であり、TMAで得られた曲線の傾きは、熱膨張率の大小に対応するため、その傾きの変化からTgを求めることができる。
【0013】
本発明の粘弾性樹脂組成物によれば、上記のアクリルゴム重合体を含み、且つ、硬化後におけるTgが上記の温度範囲内にあることにより、耐熱性、密着力、曲げ加工性及び寸法安定性のすべてを十分に満たす配線板材料を容易に作製することができる。
【0014】
アクリルゴム重合体におけるグリシジルメタアクリレートの含有量が上記範囲外であると、例えば、本発明の粘弾性樹脂組成物を繊維基材に含浸させて得られる配線板材料や、本発明の粘弾性樹脂組成物をフィルム状に成形して得られる配線板材料などにおいて、耐熱性、密着性及び曲げ加工性をすべて満足させることが困難となる傾向にある。また、アクリルゴム重合体の重量平均分子量(Mw)が30万未満では、粘弾性樹脂組成物の粘度が低下しすぎて配線板材料としての用途に適しなくなる傾向にある。例えば、粘弾性樹脂組成物を繊維基材へ含浸した場合、樹脂流れが生じやすくなることでスジなどの外観不良が発生しやすくなる。このようなスジが発生すると、プレスやラミネート等の方法で作製した配線板において、樹脂の流れ性が不均一になることに起因した信頼性の低下を招くおそれがある。一方、重量平均分子量が100万を超えると、粘弾性樹脂組成物の粘度が高くなりすぎて、配線板材料としての用途に適しなくなる傾向にある。例えば、粘弾性樹脂組成物を繊維基材へ含浸した場合、繊維基材への含浸性が低下することで繊維基材内に空隙が残りやすくなり、金属箔との密着性が低下するおそれがある。
【0015】
ところで、ガラス布にエポキシ樹脂を含浸させて得られる従来の配線板材料は、切断や外形切削加工などを施すと多量の粉塵が発生しやすく、クリーンな環境での作業に支障をきたす場合があった。これに対して、本発明の粘弾性樹脂組成物によれば、切断や外形切削加工などを施しても粉塵の発生が十分に少ない配線板材料を形成することができる。なお、このような効果は、本発明の粘弾性樹脂組成物が上記特定のアクリルゴム重合体とその他の硬化性成分との混合組成物であり、硬化後におけるTgが上記2つの温度範囲となるものであることにより、加工性及び防塵性の両立が可能となり、奏されたと本発明者らは推察する。
【0016】
本発明の粘弾性樹脂組成物においては、上記アクリルゴム重合体が、イオン交換水中で重合されたものであり、且つ、イオン交換水によって洗浄されたものであることが好ましい。
【0017】
従来のエポキシ樹脂を含む樹脂組成物は、配線板材料に要求される接着性を十分に確保しようとすると、常温で保管したときに樹脂フロー量が大きく低下する傾向にあったため、冷蔵保管が必要になるなど保管上の問題を有していた。これに対して、上記の粘弾性樹脂組成物は、イオン交換水中で重合されたものであり且つイオン交換水によって洗浄されたアクリルゴム重合体を含むことにより、常温での保存安定性が向上し、常温で保管したときに樹脂フロー量の変動が十分小さいものとなる。よって、この粘弾性樹脂組成物を用いて得られた、Bステージ状態にしたプリプレグ、樹脂付き銅箔、接着フィルムなどは、樹脂のフロー量が低下して成形性が悪化するという問題をより有効に回避することが可能となる。なお、このような効果が得られる理由としては、アクリルゴム重合体中のイオン性不純物が低減されることにより、グリシジルアクリレートと、アクリルゴム重合体中のイオン性不純物、特にはプラスイオンとの反応によって樹脂フロー量が低下することをより有効に防止できるためと考えられる。
【0018】
更に、本発明の粘弾性樹脂組成物においては、上記アクリルゴム重合体中のイオン性不純物が3ppm以下であることが好ましい。この場合、常温での樹脂フロー維持性をより高水準なレベルへと高めることが可能となる。なお、イオン性不純物の含有量は、原子吸光分析及び/又は誘導結合プラズマ発光分光分析によって測定される。
【0019】
また、本発明の粘弾性樹脂組成物においては、上記アクリルゴム重合体以外の硬化性成分がエポキシ樹脂であることが好ましい。
【0020】
更に、本発明の粘弾性樹脂組成物は、上記硬化性成分を、上記アクリルゴム重合体100質量部に対して60〜120質量部含有することが好ましい。アクリルゴム重合体100質量部に対して上記硬化性成分が120質量部を超えると、粘弾性樹脂組成物の硬化物の貯蔵弾性率が過剰に高くなり、曲げ加工性が低下する傾向にある。アクリルゴム重合体100質量部に対して硬化性成分が60質量部未満では、貯蔵弾性率が過剰に低くなり、十分な硬化強度が得られず銅箔などに対する密着性の低下や寸法安定性の低下、さらには耐熱性の低下が生じる傾向にある。
【0021】
本発明の粘弾性樹脂組成物においては、上記アクリルゴム重合体のエポキシ価が2〜18であることが好ましい。この場合の粘弾性樹脂組成物は、耐熱性及び寸法安定性がより高いものとなる。
【0022】
また、本発明の粘弾性樹脂組成物は、より良好な曲げ加工性を得る点から、20℃における貯蔵弾性率が300〜1700MPaであることが好ましい。
【0023】
本発明は、上記粘弾性樹脂組成物を繊維基材に含浸させてなるプリプレグを提供する。本発明のプリプレグは、本発明の粘弾性樹脂組成物を含んでなることから、耐熱性、密着力、曲げ加工性及び寸法安定性のすべてを十分に満たすことが可能である。また、本発明のプリプレグは、本発明の粘弾性樹脂組成物を含んでなることから、切断や外形切削加工などを施しても粉塵の発生が十分に少ないものとなる。
【0024】
本発明のプリプレグにおいては、取扱い性及び加工性の点から、繊維基材がガラス布であり、このガラス布の厚さが10〜80μmであることが好ましい。
【0025】
また、本発明のプリプレグは、金属箔との密着性及び寸法安定性をより良好なものにする点から、上記粘弾性樹脂組成物を40〜85質量%含むことが好ましい。
【0026】
本発明は、上記プリプレグを加熱及び加圧して得られる基板を提供する。本発明の基板は、本発明のプリプレグから形成されたものであることから、耐熱性、密着力、曲げ加工性及び寸法安定性のすべてを十分に満たすことが可能である。また、本発明の基板は本発明のプリプレグから形成されたものであることから、切断や外形切削加工などを施しても粉塵の発生が十分に少ないものとなる。
【0027】
また、本発明は、上記基板と、この基板の少なくとも一方面上に設けられた導体層とを備える導体張積層板を提供する。本発明の導体張積層板は、本発明の基板から形成されたものであることから、耐熱性、密着力、曲げ加工性及び寸法安定性に優れる。また、本発明の導体張積層板は、本発明の基板から形成されたものであることから、切断や外形切削加工などを施しても粉塵の発生が十分に少ないものとなる。
【0028】
本発明の導体張積層板は、曲げ加工性及び取扱い性の点で、上記基板の厚さが20〜100μmであることが好ましい。
【0029】
また、本発明の導体張積層板は、曲げ加工性の点から、上記導体層が厚み3〜35μmの銅箔であることが好ましい。
【0030】
また、本発明の導体張積層板は、曲げ加工性の点から、厚さが200μm以下であることが好ましい。
【0031】
本発明は、上記粘弾性樹脂組成物からなる樹脂層と、この樹脂層の少なくとも一方面上に設けられた金属箔とを備える樹脂付き金属箔を提供する。本発明の樹脂付き金属箔は、本発明の粘弾性樹脂組成物からなる樹脂層を備えることから、耐熱性、密着力、曲げ加工性及び寸法安定性のすべてを十分に満たす配線板材料を形成することが可能である。また、本発明の樹脂付き金属箔は、本発明の粘弾性樹脂組成物からなる樹脂層を備えることから、切断や外形切削加工などを施しても粉塵の発生が十分に少ない配線板材料を形成することができる。
【0032】
本発明の樹脂付き金属箔は、曲げ加工性の点から、上記金属箔が厚み3〜35μmの銅箔であることが好ましい。
【0033】
また、本発明の樹脂付き金属箔は、曲げ加工性の点から、上記樹脂層の厚みが5〜90μmであることが好ましい。
【0034】
本発明は、上記粘弾性樹脂組成物からなる樹脂層と、この樹脂層の少なくとも一方面上に設けられた支持フィルムとを備える樹脂フィルムを提供する。本発明の樹脂フィルムは、本発明の粘弾性樹脂組成物からなる樹脂層を備えることから、耐熱性、密着力、曲げ加工性及び寸法安定性のすべてを十分に満たす配線板材料を形成することが可能である。また、本発明の樹脂フィルムは、本発明の粘弾性樹脂組成物からなる樹脂層を備えることから、切断や外形切削加工などを施しても粉塵の発生が十分に少ない配線板材料を形成することができる。
【0035】
本発明の樹脂フィルムは、支持フィルムが、厚み5〜200μmのポリエチレンテレフタレートフィルムであることが好ましい。
【0036】
また、本発明の樹脂フィルムは、曲げ加工性の点から、上記樹脂層の厚みが5〜90μmであることが好ましい。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、耐熱性、密着力、曲げ加工性及び寸法安定性のすべてを十分に満たす配線板材料を容易に作製できる粘弾性樹脂組成物、並びに、かかる粘弾性樹脂組成物を用いて得られるプリプレグ、導体張積層板、樹脂付き金属箔及び樹脂フィルムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお。図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率に限られるものではない。
【0039】
図1は、本発明に係るプリプレグの一実施形態を示す斜視図である。図1に示すプリプレグ100は、繊維基材と、これに含浸している本発明の粘弾性樹脂組成物とで構成されるシート状のプリプレグである。この厚さは、20〜100μmであることが好ましく、プリプレグの厚さがこの範囲にあることで、良好な曲げ加工性を有することとなる。
【0040】
プリプレグ100中の繊維基材は、任意に折り曲げ可能な、可とう性を有する繊維基材であり、その厚さは、10〜80μmであることが好ましい。これにより、後述する本発明の粘弾性樹脂組成物と組み合わせたときに、このプリプレグを加熱及び加圧して得られる基板の可とう性が相乗的に大きくなり、任意に折り曲げることが極めて容易となる。また、プリプレグの曲げ加工性をさらに向上させるため、その厚みは20〜100μmであることがより好ましい。ここで、繊維基材を用いていることにより、プリプレグの製造プロセスにおける加熱、吸湿等に伴う寸法変化は更に小さくなる。
【0041】
繊維基材の形態としては、金属箔張積層板や多層プリント配線板を製造する際に一般的に用いられるもの等から適宜選択できるが、通常、織布や不織布等の繊維基材が用いられる。繊維基材を構成する繊維としては、ガラス、アルミナ、アスベスト、ボロン、シリカアルミナガラス、シリカガラス、チラノ、炭化ケイ素、窒化ケイ素、ジルコニア等の無機繊維や、アラミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルサルフォン、カーボン、セルロース等の有機繊維、あるいはこれらの混抄系が挙げられる。これらの中でも、ガラス繊維が好ましい。特に、繊維基材としては、ガラス繊維の織布であるガラス布(「ガラスクロス」ともいう。)が好ましい。また、本発明に使用されるガラス布は、表面処理として必要に応じてアミノシラン、エポキシシラン等の各種カップリング処理を選択することができる。
【0042】
プリプレグ100中の本発明の粘弾性樹脂組成物は、1〜15質量%のグリシジルメタアクリレートをモノマー単位として含み、重量平均分子量(Mw)が30万〜100万であり且つガラス転移温度が−20℃〜0℃の範囲にあるアクリルゴム重合体と、このアクリルゴム重合体以外の硬化性成分とを含有し、硬化後のガラス転移温度が20℃〜60℃及び120℃〜160℃の範囲にあるものである。
【0043】
本発明でいう「硬化後」とは、DSC(示差走査熱量計)を用いて測定される硬化前の粘弾性樹脂組成物の発熱量をQ0(J/g)、DSC(示差走査熱量計)を用いて測定される硬化後の粘弾性樹脂組成物の発熱量をQ1(J/g)としたときに、下記式(1)で定義される硬化率Cが98%以上となる状態を意味する。
C(%)=(Q0−Q1)/Q0×100 …(1)
【0044】
また、本発明においてガラス転移温度Tgは、TMA(Thermo Mechanical Analysis)(例えば、リガク(株)製「サーモプラス TG8120型」)を用いて測定したものをいう。なお、「TMA」とは、物質の温度を調節されたプログラムに従って変化させながら、非振動的な荷重を加えてその物質の変形を温度の関数として測定する方法であり、TMAで得られた曲線の傾きは、熱膨張率の大小に対応するため、その傾きの変化からTgを求めることができる。
【0045】
本明細書において、ガラス転移温度Tgは以下の方法によって測定した値を採用することができる。先ず、粘弾性樹脂組成物を銅箔に塗工し、180℃で1時間加熱し硬化する。次に、銅箔をエッチングにより除去し、得られた粘弾性樹脂組成物の硬化物を12.5mm×4mmの矩形に切り出し、これをTg測定用試験片とする。次に、熱機械分析計「TMA2940」(TAインスツルメント社製、商品名)に上記試験片をセットする。液体窒素を用いてジャケットを冷却し、25℃から500℃に昇温(昇温速度:10℃/分)、次に500℃から25℃へ降温(冷却速度:40℃/分)し、荷重40g、引張モードにより測定することでTMA曲線を得る。得られるTMA曲線の変曲点をTgとして求める。
【0046】
また、上記アクリルゴム重合体のガラス転移温度Tgは、重合体を構成する各モノマーの混合比率から算出することができる。
【0047】
上記アクリルゴム重合体は、好適には、主として(メタ)アクリル酸アルキルエステルをモノマー単位とする重合体からなるゴムである。なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」の語は、メタクリレート又はアクリレートを意味し、「(メタ)アクリル」の語は、メタクリル又はアクリルを意味する。
【0048】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルの具体例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸エチレングリコールメチルエーテル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸アミド、アクリル酸イソデシル、アクリル酸オクタデシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸アリル、アクリル酸N−ビニルピロリドン、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸エチレングリコールメチルエーテル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸アミド、メタクリル酸イソデシル、メタクリル酸オクタデシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸アリル、メタクリル酸N−ビニルピロリドン、メタクリル酸ジメチルアミノエチルが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
【0049】
本発明で用いられるアクリルゴム重合体は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルのアルキル基をグリシジル基に置換したグリシジル(メタ)アクリレートを、これと共重合可能な他のモノマーと共重合することによって得られる。
【0050】
更に、上記アクリルゴム重合体は、イオン交換水中で重合されたものであり、且つ、イオン交換水によって洗浄されたものであることが好ましい。アクリルゴム重合体を製造する際の重合反応水、及び、重合体から不純物除去を目的とした水洗時に用いる水をイオン交換水とすることで、重合体中のイオン性不純物を大幅に減少させることができる。このようにして得られたアクリルゴム重合体を含む粘弾性樹脂組成物を繊維基材に含浸させることにより、プリプレグの常温保存性が向上し、常温で保管したときの樹脂フロー量の変動を十分小さくすることができる。これにより、例えば、Bステージ状態にしたプリプレグを常温で保存した場合、樹脂のフロー量が低下して成形性が悪化するという問題をより有効に回避することが可能となる。また、樹脂付き金属箔や樹脂フィルムを作製する際においても上記の粘弾性樹脂組成物を用いることにより、常温での保存安定性を大幅に向上させることができる。
【0051】
上記の効果をより確実に得る観点から、上記イオン交換水は、25℃における電気伝導度が5μS/cm以下であるものが好ましく、2μS/cm以下であるものがより好ましい。
【0052】
常温での樹脂フロー維持性をより高水準なレベルへと高める観点から、上記アクリルゴム重合体中のイオン性不純物を3ppm以下にすることが好ましく、1ppm以下にすることがより好ましい。イオン性不純物が1ppm以下のアクリルゴム重合体は、例えば、イオン交換水による洗浄回数を増やすことにより得ることができる。なお、アクリルゴム重合体中のイオン性不純物は、原子吸光分析及び/又は誘導結合プラズマ発光分光分析により測定できる。
【0053】
アクリルゴム重合体は、その総量に対しグリシジル(メタ)アクリレートをモノマー単位として1〜15質量%含んでいる。グリシジル(メタ)アクリレートの含有量が1質量%未満であると、得られる粘弾性樹脂組成物の硬化物のTgが低下して耐熱性が不十分となる傾向にある。グリシジル(メタ)アクリレートの含有量が15質量%を超えると、得られる粘弾性樹脂組成物の硬化物の貯蔵弾性率が上昇し、十分な密着力が得られにくくなり、また曲げ加工を施し難くなる傾向にある。
【0054】
また、上記アクリルゴム重合体は、重量平均分子量(Mw)が30万〜100万である。重量平均分子量が30万未満では、粘弾性樹脂組成物の粘度が低下してしまい繊維基材へ含浸した際の樹脂流れが生じやすくなるため、寸法安定性が悪くなる傾向にある。重量平均分子量が100万を超えると、粘弾性樹脂組成物の粘度が高く繊維基材への含浸性が不十分となるため、繊維基材内に空隙が残ってしまい金属箔との密着性が低下し、寸法安定性が悪くなる傾向にある。
【0055】
ここで、上述の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析により下記条件で測定し、標準ポリスチレンの検量線を使用して換算することにより求められる。
(GPC条件)
検出器:HLC−8120GPC(東ソー株式会社製)
カラム:GMHXL相当品(3本)(東ソー株式会社製、商品名「TSKgel G5000H」)
カラムサイズ:7.5mmφ×300mm
溶離液:THF
試料濃度:5mg/1mL
注入量:50μL
圧力:50kgf/cm
流量:1.0mL/分
【0056】
また、本発明で用いられるアクリルゴム重合体は、2〜18のエポキシ価を有していることが好ましく、2〜10のエポキシ価を有していることがより好ましい。エポキシ価が2未満であると、エポキシ価が上述の範囲にある場合と比較して、得られる粘弾性樹脂組成物のTgが低下するため、耐熱性が低下する傾向にある。エポキシ価が18を超えると、エポキシ価が上述の範囲にある場合と比較して、粘弾性樹脂組成物の硬化物の貯蔵弾性率が上昇し、曲げ加工性が低下する傾向にある。
【0057】
グリシジルアクリレートをモノマー単位として含むアクリルゴム重合体のエポキシ価とは、以下の手順で求められた値を意味する。
1)共栓付き100mlの三角フラスコに試料(アクリル重合体)2.5gを精秤する。
2)メチルエチルケトン(MEK)約20mlを加え試料を5分程度攪拌溶解する。
3)N/10HClジオキサン溶液10mlをホールピペットで加え、栓をして軽く振り混ぜ、透明均一であることを確認し、10分間静置する。
4)エタノールを約4ml加えフェノールフタレイン指示薬5滴添加後、1/10KOHエタノール溶液で滴定する。うすくピンク色に着色した時点を終点とする。
5)別途、試料を含まないブランクも同様に滴定を行う(ブランクテスト)。
6)下記計算式により、エポキシ価を算出する。
エポキシ価(eq/100g)=(f×(B−T))/(W×c)
上記計算式中、fは1/10KOHエタノール溶液のファクターを示し、Bはブランクテストの滴定量(ml)を示し、Tは試料の滴定量(ml)を示し、Wは試料の質量(g)を示し、cは試料の濃度(質量%)を示す。なお、上記のN/10HClジオキサン溶液は、共栓付き200mlの三角フラスコに、メスピペットで濃塩酸1ml及びメスシリンダーでジオキサン100mlをそれぞれ取り、栓をしてよく振り混ぜ均一にすることにより調製されたものを使用する。
【0058】
本発明に係る粘弾性樹脂組成物は、その硬化物の20℃における貯蔵弾性率が300〜1700MPaであることが好ましい。貯蔵弾性率が1700MPaを上回ると、曲げ加工性が低下し、クラックが生じやすくなる傾向にある。また、貯蔵弾性率が300MPaを下回ると、粘着性が増大し作業性が低下する傾向にある。
【0059】
なお、上記「硬化物の20℃における貯蔵弾性率」とは、以下の手順により求めた値を意味する。先ず、粘弾性樹脂組成物を含むワニスを厚さ12μmの電解銅箔(古河電工株式会社製、商品名「F2−WS−12」)に塗膜厚みが約50〜100μmになるように塗工し、180℃で60分加熱する。次いで、銅箔をエッチングにより除去して得られた樹脂硬化物を約30mm×5mmに切り出し、これを貯蔵弾性率測定用試料とする。この測定用試料について、動的粘弾性測定装置「Reogel−E−4000」(UBM社製)を用い、測定長20mm、測定周波数10Hzの条件で測定することにより動的粘弾性曲線を得る。そして、得られた動的粘弾性曲線の20℃における弾性率を「硬化物の20℃における貯蔵弾性率」とする。
【0060】
本発明の粘弾性樹脂組成物は、硬化後に特定の物性を得るために複数成分が配合された弾性を有する混合物であり、上記アクリルゴム重合体以外の樹脂成分を含有していてもよい。樹脂成分としては、例えば、エポキシ樹脂、ゴム変性エポキシ樹脂、SBR、NBR、CTBN、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリアミドイミド、シリコン変性ポリアミドイミドなどが挙げられる。
【0061】
また、本発明の粘弾性樹脂組成物に含有される上記アクリルゴム重合体以外の硬化性成分としては、例えば、エポキシ樹脂、エポキシ基を含有する高分子化合物、ポリイミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ビスマレイミド樹脂、トリアジン−ビスマレイミド樹脂、フェノール樹脂が挙げられる。
【0062】
これらの中でも、硬化性成分は、加熱により架橋する架橋性官能基を複数有する熱硬化性樹脂であることが好ましく、特に、架橋性官能基としてエポキシ基を複数有するポリエポキシ化合物又はエポキシ樹脂であることがより好ましい。エポキシ樹脂の具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格含有エポキシ樹脂、アラルキレン骨格含有エポキシ樹脂、フェノールビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、フェノールサリチルアルデヒドノボラック型エポキシ樹脂、リン含有エポキシ樹脂、低級アルキル基置換フェノールサリチルアルデヒドノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン骨格含有エポキシ樹脂、多官能グリシジルアミン型エポキシ樹脂及び多官能脂環式エポキシ樹脂が挙げられる。
【0063】
上記の樹脂成分或いは硬化性成分は、粘弾性樹脂組成物の硬化後のTgが上述した条件を満たす範囲で、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて配合することができる。
【0064】
エポキシ樹脂を用いる場合、その硬化剤又は硬化促進剤を併用することもできる。硬化剤としては、一分子内に複数のフェノール性水酸基を有する化合物を用いることが好ましい。そのような化合物としては、ヒドロキノン等の1つのフェニル基に2つ以上の水酸基を有する化合物や、フェノール樹脂、クレゾール樹脂等の1つの分子にフェノール環又はクレゾール環を複数含んだ化合物等が挙げられる。これらは、単独で又は複数種を組み合わせて用いることができる。
【0065】
硬化促進剤としては、アミン化合物やイミダゾール化合物が好適に用いられる。アミン化合物としては、ジシアンジアミド、ジアミノジフェニルエタン、ジアミノジフェニルエタン、グアニル尿素等が挙げられる。イミダゾール化合物としては、2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト等のイミダゾール化合物、ベンゾイミダゾール等が挙げられる。硬化促進剤の含有率は、粘弾性樹脂組成物中のエポキシ基の量等に応じて適宜決定することができるが、一般的に粘弾性樹脂組成物中の固形分全量を基準として、0.01〜10質量%とすることが好ましい。
【0066】
本発明の粘弾性樹脂組成物は、アクリルゴム重合体100質量部に対し、硬化性成分を60〜120質量部含有していることが好ましい。アクリルゴム重合体100質量部に対して硬化性成分が120質量部を超えると、粘弾性樹脂組成物の硬化物の貯蔵弾性率が過剰に高くなり、可とう性が低下する傾向にある。アクリルゴム重合体100質量部に対して硬化性成分が60質量部未満では、貯蔵弾性率が過剰に低くなり、十分な硬化強度が得られず寸法安定性の低下や、耐熱性の低下が生じる傾向にある。
【0067】
本実施形態においては、硬化後のガラス転移温度が20℃〜60℃及び120℃〜160℃の範囲となるように、粘弾性樹脂組成物に含まれるアクリルゴム重合体の組成、分子量、グリシジルメタアクリレートの含有量を調整したり、その他の硬化性成分を適宜選定し配合したりすることが好ましい。アクリルゴム重合体のTgは、例えば、アクリルゴム重合体を得るためのモノマーとして、グリシジルメタアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート及びアクリロニトリルを用い、これらの配合量を適宜変更することにより調節することができる。また、アクリルゴム重合体の分子量は、例えば、重合開始剤濃度及び重合温度を適宜変更することにより調節することができる。
【0068】
プリプレグ100は、上述の粘弾性樹脂組成物が溶剤に溶解又は分散しているワニスを繊維基材に含浸させ、80℃〜180℃の加熱によりワニスから溶剤を除去して、作製することができる。なお、加熱時間はゲル化の状態に応じて適宜定めることができる。また、このプリプレグ100において、ワニスに使用した溶剤が残存していてもよいが、ワニスに含まれていた溶剤のうち80質量%以上が除去されていることが好ましい。
【0069】
プリプレグ100においてワニスを繊維基材に含浸させた場合、ワニス中の粘弾性樹脂組成物の含有割合は、その粘弾性樹脂組成物及び繊維基材の合計量、すなわちプリプレグ100の質量に対して、40〜85質量%であることが好ましい。この含有割合が40質量%未満では樹脂分が少ないため金属箔等と接着の際の密着力が低下する傾向にある。含有割合が85質量%を超えると、金属箔等との接着時に樹脂がプリプレグから流れでやすくなり、プリプレグを所定膜厚に設定できない等の問題が生じる傾向がある。
【0070】
また、プリプレグ100において、粘弾性樹脂組成物の硬化率は、10〜80%の範囲が好ましい。硬化率が10%未満であると、金属箔と一体化した場合、一体化した金属箔層表面に繊維基材の凹凸が反映されて表面平滑性が低下する傾向にあると共に、厚みの制御が困難になる傾向がある。硬化率が80%を超えると、金属箔層と一体化するための樹脂分が不足し、金属箔との密着力が著しく低下すると共に、金属箔との一体化時に折れや割れ等が発生し作業性が悪くなる傾向がある。
【0071】
ここで、粘弾性樹脂組成物の硬化率は次の方法により求められる。まず、粘弾性樹脂組成物のワニスを繊維基材に含浸させる。次いで、繊維基材に含浸させた粘弾性樹脂組成物の硬化処理を行う。この際、硬化処理前後の粘弾性樹脂組成物の赤外線吸収スペクトルを測定する。そして、エポキシ基由来のピークの減少を追跡して、硬化処理後の粘弾性樹脂組成物の硬化率を求める。
【0072】
図2は、本発明に係る導体張積層板の一実施形態を示す部分断面図である。図2に示す導体張積層板200は、プリプレグ100を加熱及び加圧して得られる基板30と、基板30の両面に設けられた導体層10とで構成されている。
【0073】
導体層10は、導電性を有する膜であればよく、その材質については特に限定されない。例えば、目的に応じて、金属、有機物、又は両者の複合物などから形成されてもよい。導体層10の厚みは3μm〜75μmであることが好ましい。
【0074】
本実施形態においては、導体層が金属箔であることが好ましい。このような金属箔張積層板は、例えば、プリプレグ100の両面に金属箔を重ね、これを加熱及び加圧して、プリプレグ100中の粘弾性樹脂組成物を硬化することによって得られる。このときの加熱は130℃〜250℃、好ましくは150℃〜210℃で行う。また、加圧は、0.5MPa〜20MPa、好ましくは1MPa〜8MPaの圧力で行う。
【0075】
金属箔としては、例えば、銅箔、アルミニウム箔、ニッケル箔が一般的に用いられるが、銅箔が好ましい。その厚さは、金属箔張積層板の可とう性を高めるために、3〜35μmであることが好ましい。また、9μm以上の厚みの金属箔としては、電解銅箔や圧延銅箔が選択できる。
【0076】
基板と金属箔とを重ね合わせる方法としては、プレス積層方法及び熱ロール連続積層方法が挙げられ、特に制限はされない。本実施形態においては、効率よく金属箔張積層板を形成する観点から、真空中での熱プレス積層方法を用いることが好ましい。
【0077】
一方、熱ロールの間隔を通してプリプレグと金属箔との連続ラミネートを行い、連続熱硬化炉に横搬送し硬化後に巻き取り作業を行う熱ロール連続積層方法が、硬化時の粘弾性樹脂組成物の硬化収縮による、しわ、折れ等の対策上好ましい方法である。粘弾性樹脂組成物の硬化は、熱硬化、紫外線硬化、電子線硬化等の方法により実施できるが、上記のように熱硬化による連続硬化法が好ましい。なお、場合によっては硬化、巻き取り後に品質安定化のため所定時間の後加熱処理を施すことも可能である。
【0078】
導体張積層板200の厚さは、200μm以下であることが好ましく、20〜180μmであることがより好ましい。この厚さが200μmを超えると、可とう性が低下し、曲げ加工時にクラックが発生しやすくなる可能性がある。また、厚さが20μmを下回る導体張積層板は、極めて製造し難い。
【0079】
本発明の導体張積層板の実施形態は上記のものに限定されず、例えば、複数枚のプリプレグ100を用いて、基板を多層の繊維強化樹脂層からなるものとしてもよいし、基板の片側のみに金属箔などの導体層を設けてもよい。
【0080】
図3は、上述の導体張積層板200に配線パターンを形成して得られる、本発明に係るプリント配線板の一実施形態を示す部分断面図である。図3に示されるプリント配線板300は、上記の基板30と、基板30の両面に設けられるパターン化された導体層で形成される配線パターン11とで主として構成されている。また、基板30をその主面に略直行する方向に貫通する複数の貫通孔70が形成されており、この貫通孔70の孔壁には所定の厚さの金属めっき層60が形成されている。プリント配線板300は、上記導体張積層板200に配線パターンを形成して得られる。配線パターンの形成は、サブトラクティブ法等の従来公知の方法によって行うことができる。プリント配線板300は、いわゆるフレキシブルプリント配線板として好適に用いられる。
【0081】
また、本実施形態の樹脂付き金属箔は、上述の粘弾性樹脂組成物からなる樹脂膜と、当該樹脂膜の少なくとも一方面上に設けられた金属箔とを備えるものである。金属箔としては、例えば、銅箔、アルミニウム箔、ニッケル箔が一般的に用いられるが、本実施形態の樹脂付き金属箔においては、銅箔が好ましい。その厚さは、樹脂付き金属箔の可とう性を高めるために、3〜35μmであることが好ましい。また、9μm以上の厚みの金属箔としては、電解銅箔や圧延銅箔が選択できる。樹脂膜の厚さは、5〜90μmであることが好ましい。樹脂膜の厚さが5〜90μmにあることで、良好な可とう性を保つことができる。
【0082】
更に、本実施形態の樹脂フィルムは、上述の粘弾性樹脂組成物からなる樹脂膜と、当該樹脂膜の少なくとも一方面上に設けられた支持フィルムとを備えるものである。樹脂膜の厚さは、5〜90μmであることが好ましい。樹脂膜の厚さが5〜90μmにあることで、良好な可とう性を保つことができる。また、支持フィルムの材質としては、通常の樹脂フィルムに用いられるものであれば特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等の耐熱性及び耐溶剤性を有する重合体フィルムが好適に用いられる。本実施形態においては、厚み5〜200μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを支持フィルムとして用いることが好ましい。なお、このような重合体フィルムは、単層構造であってもよく、複数の組成からなるフィルムを積層した積層構造であってもよい。
【実施例】
【0083】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明についてより具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0084】
本実施例において、粘弾性樹脂組成物の硬化前のガラス転移温度、硬化後のガラス転移温度及び硬化後の貯蔵弾性率はそれぞれ以下の方法により測定した。
【0085】
[アクリル重合体のガラス転移温度]
アクリル重合体のガラス転移温度は、重合体を構成する各モノマーの混合比率から算出した。
【0086】
[硬化後のガラス転移温度]
先ず、粘弾性樹脂組成物を含むワニスを銅箔に塗膜厚みが約50μmになるように塗工し、180℃で1時間加熱し硬化した。次に、銅箔をエッチングにより除去し、得られた粘弾性樹脂組成物の硬化物を12.5mm×4mmの矩形に切り出し、これをTg測定用試験片とした。次に、熱機械分析計「TMA2940」(TAインスツルメント社製、商品名)に上記試験片をセットした。液体窒素を用いてジャケットを冷却し、25℃から500℃に昇温(昇温速度:10℃/分)、次に500℃から25℃へ降温(冷却速度:40℃/分)し、荷重40g、引張モードにより測定することでTMA曲線を得、得られたTMA曲線の変曲点をTgとして求めた。
【0087】
[硬化後の貯蔵弾性率]
先ず、粘弾性樹脂組成物を含むワニスを厚さ12μmの電解銅箔(古河電工株式会社製、商品名「F2−WS−12」)に塗膜厚みが約50〜100μmになるように塗工し、180℃で60分加熱した。次いで、銅箔をエッチングにより除去して得られた樹脂硬化物を約30mm×5mmに切り出し、これを貯蔵弾性率測定用試料とした。この測定用試料について、動的粘弾性測定装置「Reogel−E−4000」(UBM社製)を用い、測定長20mm、測定周波数10Hzの条件で測定することにより動的粘弾性曲線を得、得られた動的粘弾性曲線の20℃における弾性率を硬化後の貯蔵弾性率とした。
【0088】
また、本実施例で用いられたアクリルゴム重合体におけるイオン性不純物の含有量は、以下の方法により求めた。先ず、前処理としてアクリルゴム重合体をマイクロウェーブ法による酸分解を行い放冷後、超純水で定容した。これに対して、分析する不純物イオンに応じて、原子吸光法(原子吸光分析装置:日立製作所製Z5010)及びICP−AES法(誘電結合プラズマ発光分光分析装置:セイコーインスツルメンツ製SPS3000)により、不純物イオンを定量した。
【0089】
(実施例1)
粘弾性樹脂組成物の硬化後のTgが30℃及び150℃になるよう、下記のようにして粘弾性樹脂組成物を調整した。すなわち、アクリルゴム重合体を含有する組成物である「HM10−M50S」(根上工業株式会社製、商品名、重量平均分子量:50万、グリシジルメタクリレート(GMA)含有量:10質量%、イオン交換水中での重合及びイオン交換水洗浄によりイオン性不純物の含有量を3ppm以下にしたもの、Tg:−10℃)100質量部、硬化性成分である「EP−828」(油化シェル(株)製、商品名、エポキシ樹脂)60質量部、硬化剤であるテトラブロモビスフェノールA「FG2000」(帝人化成株式会社製、商品名)40質量部、及び、硬化促進剤であるイミダゾール「2PZ−CN」(四国化成(株)製、商品名)0.3質量部を混合した。次いで、溶媒としてメチルイソブチルケトン(MIBK)を加え、粘度が850Pa・sになるように粘弾性樹脂組成物のワニスを調整した。
【0090】
(比較例1)
アクリルゴム重合体中のグリシジルメタクリレート含有量を0質量%とした以外は実施例1と同様にして、粘弾性樹脂組成物のワニスを調製した。
【0091】
(比較例2)
アクリルゴム重合体のTgが−22℃になるよう、アクリルゴム重合体中のアクリロニトリル含有量を4質量%とした以外は実施例1と同様にして、粘弾性樹脂組成物のワニスを調整した。
【0092】
(比較例3)
アクリルゴム重合体のTgが2℃になるよう、アクリルゴム重合体中のアクリロニトリル含有量を42質量%とした以外は実施例1と同様にして、粘弾性樹脂組成物のワニスを調整した。
【0093】
(比較例4)
アクリルゴム重合体の重量平均分子量を110万に変更した以外は実施例1と同様にして、粘弾性樹脂組成物のワニスを調製した。
【0094】
(比較例5)
アクリルゴム重合体の重量平均分子量を25万に変更した以外は実施例1と同様にして、粘弾性樹脂組成物のワニスを調製した。
【0095】
(比較例6)
アクリルゴム重合体中のグリシジルメタクリレート含有量を17質量%とした以外は実施例1と同様にして、粘弾性樹脂組成物のワニスを調製した。
【0096】
<プリプレグ及び銅張積層板の作製>
上記実施例及び比較例で調製したワニスを、それぞれ、厚さ約20μmのガラス布「#1027」(ユニチカ(株)製、商品名)に縦型塗工機により含浸塗工し、乾燥炉温度を150℃に設定し、ライン速度1.5m/分で加熱乾燥することにより溶媒除去して、プリプレグを得た。なお、得られたプリプレグの樹脂分及び基材厚みは表1に示す。
【0097】
上記で得られたプリプレグの両面に、厚さ18μmの高伸び電解銅箔「F2S18」(古河サーキットフォイル社製、商品名)をその粗化面がプリプレグと合わさるように重ねた積層体を、100t真空プレス機を用いて180℃で40分間、圧力4MPaの真空プレス条件で加熱及び加圧して、両面銅張積層板を作製した。
【0098】
<プリプレグ及び両面銅張積層板の特性評価>
[銅箔ピール強度]
得られた両面銅張積層板について90°方向の引き剥がし試験を行い、そのときの最大荷重を銅箔ピール強度とした。結果を表1に示す。
【0099】
【表1】



【0100】
[耐熱性の評価]
両面銅張積層板を50mm×50mmの正方形に切断し、評価用試料とした。評価用試料を288℃の溶融はんだにフロートした。その際の評価用試料の状態を目視により観察し、ふくれや剥がれ等の異常が認められるまでの時間を測定した。この時間が長いほど、はんだ耐熱性等の耐熱性に優れていることを意味する。結果を表1に示す。なお、表中「5分以上」とは、5分以上経過しても、ふくれや剥がれが認められなかったことを意味する。
【0101】
[基材タック]
プローブタック試験法により行った。具体的には、40℃に加熱したステージ上に置いたプリプレグに、40℃の加熱プローブを押し付けた後、引き剥がしたときの最大荷重を求め、これをタックとした。このとき、プローブ径を5mm、プローブ速度を30mm/分、プローブを押し付ける荷重を100gf、プローブ接触時間を2秒とした。同様の試験を5枚の試験片について行い、その平均値を求めた。測定装置は、JISZ0237−1991に準じたプローブタックテスタ(株式会社レスカ製タックテスタ)を用いた。タックの評価は以下の基準で行った。結果を表1に示す。
OK:プローブが離れるとき、試験片が変化しない。
NG:プローブが離れるとき、試験片が変化する。
【0102】
[寸法安定性の評価]
250mm角の実施例及び比較例の両面銅張積層板の銅箔をエッチングした後に、80℃で30分間乾燥し試験用基板を得た。続いて、試験用基板のTD方向における2つの定点間及びMD方向における2つの定点間の距離を測定した。次に、80℃、90%RH雰囲気中に30分間、あるいは、260℃、90%RH雰囲気中に30秒間、試験用基板を放置した。その後、試験用基板のTD方向における定点間及びMD方向における定点間の距離を測定し、それらの距離の変化分を寸法変化率として算出した。この寸法変化率の数値が小さいほど、寸法安定性が高いことを意味する。結果を表1に示す。
【0103】
[曲げ加工性の評価]
銅張積層板の銅箔を全面エッチングした配線板から、幅10mm×長さ100mmのサイズの試験片を切り出した。この試験片を、直径(R)がそれぞれ0.1mm、0.25mm又は0.50mmのピンを挟んで台上に置いた。そして、ピンが挟まれている部分の試験片上でローラーを往復させることによって、試験片を局所的に折り曲げたときのクラックの発生の有無を観察した。評価は下記の基準で行った。クラック(白化)の発生が少ないほど、曲げ加工性が高いことを意味する。結果を表1に示す。
○:異常なし
△:一部クラックにより白化
×:全面クラックにより白化
【0104】
[常温保存安定性の評価]
得られたプリプレグを常温(20±2℃)で90日間保管した。そして、保管前及び保管後のプリプレグにおける樹脂フロー量をミルフロー測定方法により測定した。得られた値を用いて下記式により樹脂フロー保持率を求めた。この樹脂フロー保持率の数値が大きいほど、常温保存安定性が高いことを意味する。結果を表1に示す。
樹脂フロー保持率(%)
=[保管後の樹脂フロー量]/[保管前の樹脂フロー量]×100
【0105】
[粉塵発生の評価]
得られたプリプレグを黒色紙上に高さ50cmの位置から落下させた。そして、その直後に発生するダスト数を、パーティクルカウンター「Model227」(トランステック社製、商品名、測定方式:半導体レーザ光源側法光散乱)を用いて30秒間測定した。なお、測定では、5μm以上の粒子をダストとして検出した。結果を表1に示す。
【0106】
表1に示すように、実施例1の粘弾性樹脂組成物を用いて作製した銅張積層板は、288℃でのはんだ耐熱性試験で5分以上ふくれや剥がれは観察されず、耐熱性に優れていた。この積層板は、ピンゲージ曲げ試験においても、折り曲げ時にクラックの発生は認められず、任意に折り曲げ可能であり十分な曲げ加工性を有していた。また、寸法安定性の評価では、寸法変化率が0.03%未満であり、良好な寸法安定性を示した。また、実施例1の粘弾性樹脂組成物を用いて作製したプリプレグは、常温保存安定性の評価において十分な樹脂フロー保持率を示し、常温保存安定性に優れることが分かった。更に、実施例1の粘弾性樹脂組成物を用いて作製したプリプレグは、粉塵発生の評価で粉塵の発生量が一般の配線板用プリプレグと比較して非常に少なく、粉塵発生しにくいものであることが確認された。
【0107】
これに対し、比較例1の粘弾性樹脂組成物を用いて作製した銅張積層板は、曲げ加工性の評価において、クラックの発生は認められなかった。しかし、はんだ耐熱性試験では5秒でふくれが観察され、耐熱性が不十分なものであった。比較例2の粘弾性樹脂組成物を用いて作製した銅張積層板は耐熱性が不十分であり、288℃のはんだ耐熱では10秒以下で剥がれが観察された。また、プリプレグの粘着性が大きく、作業性が著しく悪かった。比較例3の粘弾性樹脂組成物を用いて作製した銅張積層板は、ピンゲージ曲げ試験で折り曲げ時にクラックが発生し、曲げ加工性が不十分なものであった。比較例4の粘弾性樹脂組成物を含浸したプリプレグは、樹脂の含浸性が十分でなく空隙が生じてしまい、配線板材料としては使用できないことが判明した。また、比較例4の粘弾性樹脂組成物を用いて作製した銅張積層板は、耐熱性及び曲げ加工性が不十分なものであった。比較例5の粘弾性樹脂組成物を含浸したプリプレグは、粘弾性樹脂組成物からなるワニスの粘度が低いため、プリプレグの外観が悪く、配線板材料としては使用できないことが明らかになった。比較例6の粘弾性樹脂組成物を用いて作製した銅張積層板は銅箔ピール強度が低く、曲げ加工性も不十分なものであった。
【0108】
(実施例2)
アクリルゴム重合体「HM10−M50S」の調製におけるイオン交換水洗浄の回数を増やし、イオン性不純物の含有量を1ppm未満にしたものを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、粘弾性樹脂組成物のワニスを調製した。
【0109】
(参考例1)
アクリルゴム重合体「HM10−M50S」と同様の組成を有し、通常の工業用水中で重合し、通常の工業用水で洗浄して得られたアクリルゴム重合体(イオン性不純物の含有量:6ppm)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、粘弾性樹脂組成物のワニスを調製した。
【0110】
上記実施例及び参考例で調製したワニスを用い、上記実施例1及び比較例1〜6の場合と同様にしてプリプレグ及び銅張積層板の作製を行った。得られたプリプレグ及び両面銅張積層板について上記と同様に特性評価を行った。結果を実施例1の結果と合わせて表2に示す。
【0111】
【表2】



【0112】
表2に示すように、実施例2の粘弾性樹脂組成物を用いて作製した銅張積層板は、樹脂フロー保持率が実施例1及び参考例1に比べて高く、常温保存安定性に極めて優れたものであることが分かった。

【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】本発明に係るプリプレグの一実施形態を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る導体張積層板の一実施形態を示す部分断面図である。
【図3】本発明に係るプリント配線板の一実施形態を示す部分断面図である。
【符号の説明】
【0114】
10…導体層、11…配線パターン、30…基板、60…金属めっき層、70…貫通孔、100…プリプレグ、200…導体張積層板、300…プリント配線板。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
1〜15質量%のグリシジルメタアクリレートをモノマー単位として含み、重量平均分子量(Mw)が30万〜100万であり且つガラス転移温度が−20℃〜0℃の範囲にあるアクリルゴム重合体と、該アクリルゴム重合体以外の硬化性成分と、を含有し、
硬化後のガラス転移温度が20℃〜60℃及び120℃〜160℃の範囲にある、粘弾性樹脂組成物。
【請求項2】
前記アクリルゴム重合体が、イオン交換水中で重合されたものであり、且つ、イオン交換水によって洗浄されたものである、請求項1に記載の粘弾性樹脂組成物。
【請求項3】
前記アクリルゴム重合体中のイオン性不純物が3ppm以下である、請求項1又は2に記載の粘弾性樹脂組成物。
【請求項4】
前記アクリルゴム重合体以外の硬化性成分がエポキシ樹脂である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の粘弾性樹脂組成物。
【請求項5】
前記アクリルゴム重合体のエポキシ価が2〜18である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の粘弾性樹脂組成物。
【請求項6】
20℃における貯蔵弾性率が300〜1700MPaである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の粘弾性樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の粘弾性樹脂組成物を繊維基材に含浸させてなるプリプレグ。
【請求項8】
前記繊維基材がガラス布であり、該ガラス布の厚さが10〜80μmである、請求項7に記載のプリプレグ。
【請求項9】
前記粘弾性樹脂組成物を40〜85質量%含む、請求項7又は8に記載のプリプレグ。
【請求項10】
請求項7〜9のいずれか一項に記載のプリプレグを加熱及び加圧して得られる、基板。
【請求項11】
請求項10に記載の基板と、該基板の少なくとも一方面上に設けられた導体層と、を備える導体張積層板。
【請求項12】
前記基板の厚さが20〜100μmである、請求項11に記載の導体張積層板。
【請求項13】
前記導体層が、厚み3〜35μmの銅箔である、請求項11又は12に記載の導体張積層板。
【請求項14】
厚さが200μm以下である、請求項11〜13のいずれか一項に記載の導体張積層板。
【請求項15】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の粘弾性樹脂組成物からなる樹脂層と、該樹脂層の少なくとも一方面上に設けられた金属箔と、を備える樹脂付き金属箔。
【請求項16】
前記金属箔が、厚み3〜35μmの銅箔である、請求項15に記載の樹脂付き金属箔。
【請求項17】
前記樹脂層の厚みが5〜90μmである、請求項15又は16に記載の樹脂付き金属箔。
【請求項18】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の粘弾性樹脂組成物からなる樹脂層と、該樹脂層の少なくとも一方面上に設けられた支持フィルムと、を備える樹脂フィルム。
【請求項19】
前記支持フィルムが、厚み5〜200μmのポリエチレンテレフタレートフィルムである、請求項18に記載の樹脂フィルム。
【請求項20】
前記樹脂層の厚みが5〜90μmである、請求項18又は19に記載の樹脂フィルム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−7756(P2008−7756A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−140837(P2007−140837)
【出願日】平成19年5月28日(2007.5.28)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】