説明

組み込まれた光又は温度センサ及び時間多重を用いる半導体パッケージ

少なくとも2つのピン11、12を持つパッケージ10が提案される。該パッケージは、第1の機能を持つ半導体構造20と、第2の機能を持つ少なくとも1つの回路素子を有する電気回路30と、を有する。構造20及び回路30は、ピン11、12に電気的に接続される。更に、該パッケージは、ピン11、12を通る第1の動作信号60及び第2の動作信号70を時間多重化することにより、該第1及び第2の機能を実行するように動作可能である。最後に、該第1の機能は照明機能であり、該第2の機能は感知機能である。本発明は、LED又はレーザダイオードを有する、コスト効率が良く汎用性の高い小型化された発光パッケージを提供するため、特に有利である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも2つのピンを持つパッケージであって、半導体構造を有するパッケージに関する。更に本発明は、斯かるパッケージを有するモジュール、並びに斯かるパッケージ及びモジュールを動作させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LED)を有する上述の種類のパッケージ及びモジュールは、良く知られている。これらパッケージ及びモジュールは、(一般)照明、LCD用のバックライト、又は標識等のような、多くの用途に利用され得る。一般に、斯かるパッケージは電気回路を含む。該回路は、例えば、静電気又は逆電圧に対する保護のため、LEDに対して逆並列に配置された静電放電保護ダイオードから成る。代替としては、該回路は、同様に第1のLEDと逆並列に配置された第2のLEDから成り、該パッケージが例えばAC電流で駆動されることを可能とする。ことによると、該2つのLEDは異なる波長で光を発し、混色を可能とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
先行技術のパッケージは、典型的な動作条件下での色安定性に欠ける。数あるなかでも、LED中で動作する物理プロセスが、発せられる光を接合部温度に敏感にする。発せられる光の色安定性を確実にするため、温度又は光センサに依存する、多くの能動的及び受動的なフィードバック/フィードフォワード制御方式が提案されてきた。伝統的には、斯かるセンサは、パッケージを光源として有する発光モジュール又は発光体の中に配置されてきた。しかしながら、このことは高い組み立てコストに対して、生産可能な複雑な装置に帰着する。更に、センサがパッケージの外のモジュールにおいて組み立てられるため、個々のパッケージのアイデンティティ及び寄与に対する低い選択度しか持たない。加えて、既知のパッケージは、2個より多いアクセスピンを適用する場合、LEDの両端の電圧効果の測定のような、電気的手段を介してしか、障害のあるLEDを検出することができない。例えば、2つのアクセスピンのみを持つ単一のパッケージに直列で4個のLEDからなる列を適用すると、斯かる電圧効果測定により、該列においてもたらされる単一の障害を決定することは不可能である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の目的は、コスト効率が良く汎用性のあるパッケージを提供することにある。本発明の更なる目的は、付加的なアクセスピンの必要なく、障害のあるLEDの決定を可能とするパッケージを提供することにある。更に、本発明は、小型化されたパッケージ及び/又はモジュールを提供することを目的とする。更に、本発明は、(光及び熱)の源のアイデンティティ及び該源からの寄与に対する高い選択度を持つ(光及び温度)センサアセンブリを提供することを目的とする。これらの目的の少なくとも1つは、請求項1による本発明の第1の態様によるパッケージ、即ち少なくとも2つのピンを持つパッケージであって、前記パッケージは、第1の機能を持つ半導体構造と、第2の機能を持つ少なくとも1つの回路素子を有する電気回路と、を有し、前記構造及び前記回路は、前記ピンに電気的に接続され、前記パッケージは、前記ピンを通る第1及び第2の動作信号を時間多重化することにより、前記第1及び第2の機能を実行するように動作可能であり、前記第1の機能は照明機能であり、前記第2の機能は感知機能である、パッケージによって達成される。
【0005】
本発明は、発光ダイオード(LED)、共振器型発光ダイオード(RCLED)、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)、及び端面発光レーザのような半導体発光構造が、一方向にしか電流を通さないため、時間多重化によりピン共有のための優れた機会を提供するという洞察に基づく。加えて、これら構造のパルス動作又は変調動作が一般的であり、即ち通常は連続的には駆動されない。従って、一部の時間の間、該半導体構造に駆動電流を供給しないことが、他の機能のためのピンの再利用を可能とする。更に、最小の数のアクセスピンを持つパッケージを設計することは、コストの理由による利点を持つ。更に、設計規則が、一度に複数のピンによりピン計数を増大させるようにパッケージに指示する。斯くして、本発明は、パッケージに対するアクセスピンの数を最小化し、コスト効率の良い、汎用的で小型化されたパッケージを実現する。最後に、センサをパッケージ内に組み込みことが、該パッケージ内の(光又は熱の)源に対する選択度を、他のパッケージ内の源に比べて改善する。
【0006】
本発明の一実施例においては、前記回路は、少なくとも1つの直流(DC)で動作させられる装置を有する。一実施例においては、前記DCで動作させられる装置は、温度センサ又は光センサの少なくとも一方を有する。このことは有利にも、光出力(光束、色点等)を制御及び安定化させるためのフィードバック信号を供給することを可能とする。
【0007】
一実施例においては、前記回路は更に、半導体発光構造に対して逆並列に配置されたダイオードを有する。このことは有利にも、互いとは独立して実行される2つの機能を構成する。
【0008】
一実施例においては、前記感知機能は、光束測定又は色点測定の一方を有する。ここでもまた、このことは発せられた光の光束及び/又は色点を制御及び安定化することを可能とする。
【0009】
一実施例においては、前記回路の少なくとも一部が、前記半導体発光構造に一体化される。一実施例においては、前記半導体発光構造はサブマウントを有し、前記回路は前記サブマウント上に一体化される。このことは、更に大きな一体化の度合いを可能とする。
【0010】
一実施例においては、前記半導体発光構造は、発光ダイオード(LED)又はレーザダイオード(LD)の少なくとも一方を有する。
【0011】
本発明の第2の態様によれば、本発明は、少なくとも1つの本発明によるパッケージを有する発光モジュールを提供する。有利にも、該発光モジュールは、(光及び熱)の源のアイデンティティ及び該源からの寄与に対する高い選択度を持つ、感知及びフィードバック機能を持つ発光アセンブリ(発光体等のような)を提供することを可能とする。
【0012】
一実施例においては、前記モジュールは更に、第1及び第2の動作信号を時間多重化するように構成された処理手段を有する。好適には、これら処理手段は、LED又はLDを駆動し、且つセンサからフィードバック/フィードフォワード信号を収集して、駆動信号の調節を可能とし、発光モジュールの所定の出力(光束、色点等)を安定化させる、(集積又はディスクリート)回路を有する。
【0013】
第3の態様によれば、本発明は、発光モジュールを動作させる方法であって、前記モジュールを、少なくとも2つのピンを持つパッケージを有するように構成するステップと、前記パッケージを、第1の機能を持つ半導体構造と第2の機能を持つ電気回路とを有するように構成するステップと、前記構造及び前記回路を、ピンに電気的に接続するステップと、前記パッケージを、前記ピンを通る第1及び第2の動作信号を時間多重化することにより、前記第1及び第2の機能を実行するように動作させるステップと、を有し、前記第1の機能は照明機能であり、前記第2の機能は感知機能である、方法を提供する。
【0014】
本発明のこれらの及び他の態様は、以下に説明される実施例を参照しながら説明され明らかとなるであろう。
【0015】
本発明の更なる詳細、特徴及び利点は、図面と共に、以下の例の説明及び好適な実施例において開示される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明による実施例を模式的に示す。
【図2】本発明によるパッケージを動作させる時間多重化方式を示す。
【図3】集積回路素子を持つサブマウントを有する半導体構造を模式的に示す。
【図4】本発明によるパッケージの実施例の分解図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明の実施例を模式的に示す。即ち、パッケージであって、該パッケージが例えば電源(図示されていない)に接続されることを可能とする少なくとも2つのピン11、12を持つパッケージ10である。パッケージ10は、発光ダイオード(LED)、共振器型発光ダイオード(RCLED)、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)、及び端面発光レーザのような半導体構造20を有する。更に、パッケージ10は、電気回路30を有する。該回路30は、ダイオード50と、DCで動作する素子40とを有する。ダイオード50は、半導体構造20に逆並列に配置される。従って、半導体構造20が光を発するよう動作させられると、ダイオード50はDC素子をシャットダウンする。更に、ダイオード50は、DCで動作する素子40を逆極性から保護する。幾つかのDCで動作する素子は、それ自体にダイオード特性を持つ(例えば光及び温度に感応するダイオード)ことに留意されたい。斯かる場合には、ダイオード50及びDCで動作する素子40は、1つの回路素子に組み合わせられ得る。この構成は、2つの異なる機能のために、ピン11、12を順次的に利用することを可能とする。
【0018】
図2は、本発明によるパッケージ10を動作させる時間多重化方式を示す。本図は、ピン11における電気信号の極性を、時間の関数として示す。該時間多重化方式は、所定の長さT1及びT2(等しい長さであっても良いし等しくなくても良い)を持つ間隔に時間を分割する。T1間隔の間、ピン11において正の極性を持つ第1の動作信号60が、半導体構造20を駆動する。T2間隔の間は、ピン12において正の極性(ピン11における負の極性と等価)を持つ第2の動作信号70が、DCで動作する素子40を駆動する。例えば、半導体構造20がLEDとして構成される場合、第1の機能は照明機能であっても良い。第1の動作信号60は、一定の高さと、発せられる光束を定義する可変の幅とを持つ、PWMベースの駆動信号であっても良い。代替としては、第1の動作信号は、一定の幅と、発せられる光束を定義する可変の高さ(即ち振幅)とを持つ、PAMベースの信号であっても良い。本分野において他の多くの駆動信号(DC又は変調)方式が存在し、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく利用され得る。更に、DCで動作する素子40をセンサとして構成することは、第2の機能が感知機能となることを可能とする。有益にも、斯かるセンサは、温度センサを有する。代替としては、該センサは光センサを有しても良い。斯くして、第2の動作信号70は、測定される温度又は検出される光を調べても良い。有益にも、このことは、発せられる光の光束及び/又は色点を制御及び安定化させるためのフィードバック信号を提供することを可能とする。本発明の精神及び範囲から逸脱することなくパッケージ10を動作させる、他の多くの多重化方式が考えられ得る。
【0019】
以上の実施例においては、パッケージ10が半導体構造20及び電気回路30を有するが、これら2つは離散的な構成要素として存在しても良いし、又は一体化されていても良い。斯くして、一実施例においては、回路30の少なくとも一部が、半導体構造20に一体化される。一実施例においては、半導体構造20はサブマウント29を有し、回路30は該サブマウントに一体化される(図3)。このことは、更に大きな一体化の度合いを実現する。本実施例においては、サブマウント29は、DCで動作する素子40、ダイオード50及び半導体光源21を相互接続する電気回路(図示されていない)を、該サブマントの上端面に有する。更に、該回路は、パッケージ10のピン11、12の相互接続を実現する。半導体光源21は、光源21に適切な駆動信号が与えられたときに所定の波長で光を発するように構成された、接合層24を挟持する、第1の導電型(例えばn型)の層22と、第2の導電型(例えばp型)の層23とを有する。第1の導電型の層22及び第2の導電型の層23は、それぞれ接触層25及び26に接続される。はんだバンプ27、28が、サブマウント29における電気回路の接続を実現する。
【0020】
図4は、パッケージ10の分解図を示す。一実施例においては、該パッケージは、挿入成形されたリードフレームに配置されたヒートシンクスラグ100を有する。該挿入成形されたリードフレームは例えば、ピン106a、106bを介して電気的な経路を提供する金属フレーム106の周囲に成形された充填プラスチック材料105である。スラグ100は、光反射器102を含んでも良い。半導体発光構造104は、スラグ100に直接に、又は熱導伝性のサブマウント103を介して間接的に、装着される。回路30(図示されていない)は、半導体発光構造104に一体化されても良い。代替としては、回路30は、サブマウント103上に一体化されても良い。代替としては、回路30は、成形されたプラスチック材料105内に一体化されても良い。光レンズであっても良いカバー108が付加されても良い。
【0021】
複数のパッケージ10をモジュールに組み立てることは、発光体(等)を製造することを可能とする。有利にも、このことは、(光及び熱)の源のアイデンティティ及び該源からの寄与に対する高い選択度を持つ、感知及びフィードバック機能を備えた発光アセンブリを提供する。センサをパッケージ10内に一体化させることにより、これらセンサは、同じパッケージ10内の光源の適切な特性(温度、光)のみを効果的に測定する。一実施例においては、該モジュールは更に、第1の動作信号60及び第2の動作信号70を時間多重化するように構成された処理手段を有する。好適には、これら処理手段は、LED又はLDを駆動するとともに、発光モジュールの所定の出力(光束、色点等)を安定化させるために、駆動信号の調節を可能とするセンサからのフィードバック/フィードフォワード信号を収集する、(集積又はディスクリート)回路を有する。
【0022】
本発明は以上に記載された実施例を参照しながら説明されたが、同じ目的を達成するために代替の実施例が利用され得ることは明らかであろう。例えば、該パッケージは、適切な数のピンと組み合わせた関連回路30を備えた1つよりも多い半導体構造20を有しても良い。それ故本発明の範囲は、以上に説明された実施例に限定されるものではない。従って、本発明の精神及び範囲は、請求項及びそれと同等の記載によってのみ限定されるべきものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つのピンを持つパッケージであって、前記パッケージは、
第1の機能を持つ半導体構造と、
第2の機能を持つ少なくとも1つの回路素子を有する電気回路と、
を有し、
前記構造及び前記回路は、前記ピンに電気的に接続され、
前記パッケージは、前記ピンを通る第1及び第2の動作信号を時間多重化することにより、前記第1及び第2の機能を実行するように動作可能であり、
前記第1の機能は照明機能であり、前記第2の機能は感知機能である、パッケージ。
【請求項2】
前記回路は、前記感知機能を実行するように構成された少なくとも1つの直流で動作させられる装置を有する、請求項1に記載のパッケージ。
【請求項3】
前記直流で動作させられる装置は、温度センサ又は光センサの少なくとも一方を有する、請求項2に記載のパッケージ。
【請求項4】
前記回路は更に、前記半導体構造に対して逆並列に配置されたダイオードを有する、請求項2に記載のパッケージ。
【請求項5】
前記感知機能は、光束測定又は色点測定の一方を有する、請求項2に記載のパッケージ。
【請求項6】
前記回路の少なくとも一部が、前記半導体構造に一体化された、請求項1に記載のパッケージ。
【請求項7】
前記半導体構造はサブマウントを有し、前記回路は前記サブマウント上に一体化された、請求項6に記載のパッケージ。
【請求項8】
前記半導体構造は、発光ダイオード及びレーザダイオードの少なくとも一方を有する、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のパッケージ。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載のパッケージを有する発光モジュール。
【請求項10】
前記モジュールは更に、前記第1及び第2の動作信号を時間多重化するように構成された処理手段を有する、請求項9に記載の発光モジュール。
【請求項11】
発光モジュールを動作させる方法であって、
前記モジュールを、少なくとも2つのピンを持つパッケージを有するように構成するステップと、
前記パッケージを、第1の機能を持つ半導体構造と第2の機能を持つ電気回路とを有するように構成するステップと、
前記構造及び前記回路を、ピンに電気的に接続するステップと、
前記パッケージを、前記ピンを通る第1及び第2の動作信号を時間多重化することにより、前記第1及び第2の機能を実行するように動作させるステップと、
を有し、前記第1の機能は照明機能であり、前記第2の機能は感知機能である、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−511451(P2011−511451A)
【公表日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−544824(P2010−544824)
【出願日】平成21年1月23日(2009.1.23)
【国際出願番号】PCT/IB2009/050273
【国際公開番号】WO2009/095829
【国際公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【出願人】(500507009)フィリップス ルミレッズ ライティング カンパニー リミテッド ライアビリティ カンパニー (197)
【Fターム(参考)】