説明

組織の均一性が改善された高融点金属プレート

高融点金属プレートが提供される。前記プレートは、中心、板厚、端部、上面および裏面を有し、前記プレートにわたって実質的に均一な結晶組織(100//ND組織成分および111//ND組織成分のそれぞれについて、板厚方向勾配、帯形成度およびプレート内変動によって特徴付けられる)を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な特性を有する純タンタルまたはその他の高融点金属のプレート、ならびにスパッタリングターゲットとしてのこれらの利用に関する。
【背景技術】
【0002】
スパッタリングターゲットとして使用されるプレートの結晶組織は、スパッタリング性能、特に基板に成膜する薄膜の膜厚の均一性にとって非常に重要である。体積全体で組織が均一であるプレートのみが最適な性能を与えるため、使用者は、組織の似たプレートの安定供給を頼みにしている。しかし、既存の最新の方法によるプレートの製造では、均一な組織を作ることができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の加工(1980年代の技術)、すなわちサイド鍛造(side-forging)、圧延、および焼鈍により、電子ビーム融解インゴットから作製されるタンタルプレートは、凝固中に形成される大きな粒子の残りである帯状組織を有する。また、圧延中に発生する剪断歪み(板厚方向)の変動によって生じる板厚方向の組織勾配も有する。また、不完全な再結晶と、結晶粒径の帯形成(banding)も示しうる"http://www.patentjp.com/08/F/F100004/DA10228.html"。
【0004】
タンタルインゴットの加工におけるさまざまな進展および改善に関して、以下の文献が刊行されている。
【0005】
Pokrossは、'Controlling the Texture of Tantalum Plate', JOM, Oct. 1989において、Clarkらは、1991年、1992年のMetallurgical Transactions Aの3件の連続する論文において、二方向圧延(「クロス圧延」とも呼ぶ)の値と複数回の焼鈍について記載している。
【0006】
Michalukらは、米国特許第6,348,113号および第6,893,513号明細書において、高いレベルの均一性が得られないタンタルプレートの作製方法を開示している。
【0007】
Jepsonらは、米国特許出願第10/079286号明細書において、アプセット/鍛造戻し(forge-back)/焼鈍のシーケンスを導入することによって得られる、組織の帯形成度(banding severity)の低い高融点金属プレートを開示している。
【0008】
Turnerは、米国特許第6,331,233号明細書において、帯形成度の低いタンタルプレートを作製するためのプロセスを開示しているが、このプロセスでは、板厚方向の組織勾配がかなり大きくなる。
【0009】
ShahとSegalは、米国特許第6,348,139号明細書において、歪みをより均一化するために、アプセット鍛造における低摩擦界面層の使用を開示している。他の材料のアプセット鍛造における低摩擦界面層の使用は、以前より公知であった(例えば、MorraおよびJepson、Superalloys 718, 625, 706 Conference、1997年)。
【0010】
Field et al., "Microstructural Development in Asymmetric Processing of Tantalum Plate" in Journal of Electronic Materials, Vol 34, No 12, 2005は、プレートの板厚方向に剪断歪みを発生させるために、非対称加工の概念を導入した。
【0011】
Kumarらは、米国特許第6,521,173号明細書において、スパッタリング用のプレートへの圧密に適した金属粉末の製造を開示している。熱間等方圧加圧加工によって圧密化される粉末は、ランダムかつ完全に均一な組織を有するが、圧密化された粉末のブロックがプレート状に圧延され焼鈍されると、組織の一部が、板厚方向に組織勾配を有して成長する。
【0012】
KoenigsmannとGilmanは、米国特許第6,770,154号および第7,081,148号明細書において、さまざまな粒子配向を特定の比率で有し、目視可能な帯形成のない粉末冶金法によって作製したタンタルスパッタリングターゲットを開示している。これらの特許に従って作製され、圧延工程を使用するターゲットは、板厚方向の組織勾配を有する。
【0013】
組織の測定が進歩を遂げており、組織の均一性を定量的に表わすことができるように測定を使用することができる。EBSD(電子後方散乱回折)法は、粒子単位で組織を測定し(これに対し、2000年代初頭まで唯一利用可能な技術であったX線回折は、多くの粒子を含む照射領域の粒子の集合を測定するのみであった)、適切な時間でプレートの板厚全体を測定することができるEBSD装置が、現在利用可能である。組織の均一性を定量化する方法は、Michalukの米国特許第6,348,113号とJepsonの米国特許出願第10/079286号明細書の両方に記載されているが、これらの方法のいずれも不十分であり、満足できるものではなかった。2002年3月に、若干改善された別の方法がMichalukらによってJOMに報告された。現在、組織の定量化のためのASTM規格が、SutliffとJepsonの主導の元で草稿の段階(未公開)にあり、本願では、提案されているASTM規格の方法を、組織の均一性を記述するのに使用する。
【0014】
プレート内の組織の不均一性を総合的に評価するには、
a)板厚方向の勾配
b)帯形成度
c)プレート内変動、の3つの因子を計算および使用しなければならない。
【0015】
また、同じプロセスで製作した多数のプレートに同じ組織測定を行えば、プレート間のプロセスの安定性を推定することもできる。
【0016】
ターゲット内の粒子からのスパッタリング速度は、表面に対するその粒子の結晶面の配向によって決まる(Zhang et al, "Effect of Grain Orientation on Tantalum Magnetron Sputtering Yield", J. Vac. Sci. Technol. A 24(4), Jul/Aug 2006参照)。また、特定の結晶方向が、スパッタされた原子が飛行するのに好適な方向である(Wickersham et al, "Measurement of Angular Emission Trajectories for Magnetron-Sputtered Tantalum", Journal of Electronic Materials, Vol 34, No 12, 2005参照)スパッタリングターゲットの粒子は非常に小さい(一般に直径50〜100μm)ため、個々の粒子の配向が大きく影響することはない。しかし、スパッタ表面の領域(直径約5cm〜10cmの領域)の組織は、大きく影響しうる。このため、ターゲットの表面のある領域の組織が他のいずれかの領域の組織と異なる場合、成膜される膜の膜厚が基板全体で不均一となる可能性がある。また、表面領域の組織が、ターゲットプレートからある程度の深さの同じ領域の組織と異なる場合、後の基板(ターゲットがその深さまで使用または侵食されたあと)に成膜される膜の膜厚が、最初の基板に作製した膜の膜厚とは変わってしまう可能性がある。
【0017】
ある領域の組織が他のどの領域とも同じであれば、その組織の性質は重要でない。換言すれば、全ての粒子がプレートの法線方向(ND)に平行な111の配向を有するターゲットプレートは、全ての粒子が、NDに平行な100の配向を有するターゲットプレート、あるいは、混合の比率が領域間で一定である限り、100、111および他の粒子の混合物のターゲットプレートよりも良くも悪くもない。
【0018】
膜厚の均一性は重要である。集積回路では、数百の膜がシリコンウェハに同時に作製され、例えば、ある点で膜が薄すぎれば適切な拡散バリアが得られず、別の点で膜が厚すぎるとビアまたはトレンチをブロックしたり、後の工程で除去しなければならない領域を除去したりすることができなくなる。成膜される膜の板厚が、設計者が指定した範囲にない場合には、デバイスが用途あるいはサービスを満たすことができず、修復または再加工が一般に不可能であるため、試験時点までの製造原価全体が損失となる。
【0019】
ターゲットの組織が均一ではなく、このため、予測可能な均一なスパッタリング速度が得られない場合には、最新技術のスパッタ装置において、基板上の点間における膜厚の変動を制御することは不可能である。基板間およびターゲット間の膜厚の変動の、全体的ではなく部分的な制御は、試験片を使用することで行うことができる。しかし、試験片の使用は、時間とコストがかかる。
【0020】
先行技術に従って作製したターゲットでは、ターゲットプレートにおける組織の不均一性により、スパッタリング速度(衝突するアルゴンイオン当たりの、ターゲットからスパッタされるタンタル原子の平均個数として定義される)またはターゲットの使用に伴うスパッタリング速度の変化が予測不能となる。スパッタリング速度の変動により、基板上に成膜される膜の点間において膜厚の変動が生じ、基板間およびターゲット間でも、基板上に成膜される膜の平均膜厚の変動が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0021】
したがって、本発明は、成膜する膜の膜厚の予測可能性および均一性をかなり改善し、このため、ターゲットの使い勝手を向上させる。
【0022】
本発明は、プレートの体積にわたって組織が実質的に均一であるプレートの生産を可能にする。また、本発明に従って製造した1枚のプレートの組織は、同じ方法で作成した他のどのプレートとも実質的に等しくなる。
【0023】
本発明のプロセスは、インゴットの組織をなくし、制御された組織を導入するために、材料に十分に冗長な加工を導入するために、従来のEB溶解インゴットを開始点として、本願と同日出願の米国特許出願「Methods of Controlling Texture of Plates and Sheets by Tilt Rolling(傾斜圧延法によってプレートおよびシートの組織を制御する方法)」に記載されているような改良された鍛造法と改良された圧延法を使用する。同出願を参照によりここに援用する。鍛造、圧延および熱処理の特定のシーケンスにより、従来技術では得られなかった組織の均一性を有する最終的な微細構造が形成される。
【0024】
別の実施形態では、本発明のプロセスは、金属粉末を出発点として、粉末を圧密化する従来の方法を使用し、組織の均一性が改良されたプレートを作製するために、同じ改良された圧延法を使用する。
【0025】
したがって、一態様において、本発明は、中央、板厚、端部、上面および裏面を有する高融点金属プレートであって、前記高融点金属プレートは、前記プレートにわたって実質的に均一な結晶組織(100//ND組織成分および111//ND組織成分のそれぞれについて、板厚方向勾配、帯形成度およびプレート内変動によって特徴付けられる)を有する高融点金属プレートを提供する。
【0026】
別の態様では、本発明は、中央、板厚、端部、上面および裏面を有するインゴット冶金法によって製造した高融点金属プレートであって、前記高融点金属プレートは、100//ND組織成分および111//ND組織成分について、板厚方向勾配、帯形成度およびプレート内変動によって特徴付けられる結晶組織を有し、平均板厚方向勾配が1mm当たり6%以下であり、平均帯形成度が6%以下であり、平均プレート内変動が6%以下である高融点金属プレートを提供する。
【0027】
また、本発明は、中央、板厚、端部、上面および裏面を有するインゴット冶金法によって製造した高融点金属プレートであって、前記高融点金属プレートは、100//ND組織成分および111//ND組織成分について、板厚方向勾配、帯形成度およびプレート内変動によって特徴付けられる結晶組織を有し、最大板厚方向勾配が1mm当たり13%以下であり、最大帯形成度が8%以下であり、最大プレート内変動が11%以下である高融点金属プレートを提供する。
【0028】
更に別の態様では、本発明は、中央、板厚、端部、上面および裏面を有するインゴット冶金法によって製造した高融点金属プレートであって、前記高融点金属プレートは、100//ND組織成分および111//ND組織成分について、板厚方向勾配によって特徴付けられる組織を有し、平均板厚方向勾配が1mm当たり4%以下である高融点金属プレートを提供する。
【0029】
また、中央、板厚、端部、上面および裏面を有するインゴット冶金法によって製造した高融点金属プレートであって、前記高融点金属プレートは、板厚方向勾配によって特徴付けられる組織を有し、111//ND組織成分について、平均板厚方向勾配が1mm当たり2%以下である高融点金属プレートも提供される。
【0030】
追加の態様では、本発明は、中央、板厚、端部、上面および裏面を有するインゴット冶金法によって製造した高融点金属プレートであって、前記高融点金属プレートは、板厚方向勾配によって特徴付けられる組織を有し、100//ND組織成分および111//ND組織成分について、最大板厚方向勾配が1mm当たり9%以下である高融点金属プレートを提供する。
【0031】
別の態様では、本発明は、中央、板厚、端部、上面および裏面を有する粉末冶金法によって製造された高融点金属プレートであって、前記高融点金属プレートは、100//ND組織成分および111//ND組織成分について、板厚方向勾配、帯形成度およびプレート内変動によって特徴付けられる結晶組織を有し、平均板厚方向勾配が1mm当たり5%以下であり、平均帯形成度が4%以下であり、平均プレート内変動が4%以下である高融点金属プレートを提供する。
【0032】
また、本発明は、中央、板厚、端部、上面および裏面を有する粉末冶金法によって製造された高融点金属プレートであって、前記高融点金属プレートは、板厚方向勾配によって特徴付けられる組織を有し、100//ND組織成分および111//ND組織成分について、最大板厚方向勾配が1mm当たり3%以下である高融点金属プレートを提供する。
【0033】
本発明は、更に高融点金属プレートの作製などの方法に関し、前記方法は、
i)EB融解インゴットを提供するステップと、
ii)前記インゴットの表面を洗浄するステップと、
iii)ワークピースを提供するために前記インゴットを所定の長さに切断するステップと、
iv)アプセット鍛造および鍛造戻しを含むサイクルを少なくとも3回行って各ワークピースを加工するステップと、
v)各サイクルにおいて少なくとも部分的に再結晶させるための適切な歪みを与えるために、アプセット鍛造/鍛造戻しサイクルの前または後に、各ワークピースを少なくとも3回焼鈍するステップと、
vi)各ワークピースをターゲットプレートに適したサイズに切断するステップと、
vii)各プレートを所望の板厚に非対称圧延するステップと、
viii)実質的に完全に再結晶させるために、圧延後に焼鈍するステップと、を有する。
【0034】
追加の態様では、本発明は、ロールへの傾斜導入により、金属プレートの板厚中央に剪断を付与するステップを有する、金属プレートの圧延方法を有する。
【0035】
本発明の更に別の態様は、高融点金属プレートの作製方法であって、
i)粉末冶金法によって作製したビレットを提供するステップと、
ii)前記ビレットを焼鈍するステップと、
iii)各ビレットをターゲットプレートに適したサイズに切断するステップと、
iv)各プレートを所望の板厚に非対称圧延するステップと、
v)実質的に完全に再結晶させるために、圧延後に焼鈍するステップと、を有する。
【0036】
また、本発明は、中央、板厚、端部、上面および裏面を有するインゴット冶金法によって製造した高融点金属プレートであって、前記高融点金属プレートは、100//ND組織成分および111//ND組織成分について、板厚方向勾配によって特徴付けられる組織を有し、平均板厚方向勾配が1mm当たり4%以下であり、前記組織が同じ方法で作成された他のプレートと実質的に同じである高融点金属プレートを提供する。
【0037】
また、本発明は、中央、板厚、端部、上面および裏面を有する粉末冶金法によって製造された高融点金属プレートであって、前記高融点金属プレートは、100//ND組織成分および111//ND組織成分について、板厚方向勾配によって特徴付けられる組織を有し、平均板厚方向勾配が1mm当たり2%以下であり、前記組織が同じ方法で作成された他のプレートと実質的に同じである高融点金属プレートを提供する。
【0038】
本発明の上記の態様および他の態様は、添付の図面、詳細な説明および添付の特許請求の範囲からより容易に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1A】実施例1に係るタンタルプレートの粒子マップである。
【図1B】実施例1に係るタンタルプレートの粒子マップである。
【図1C】実施例1に係るタンタルプレートの粒子マップである。
【図1D】実施例1のプレートの測定結果のグラフである。
【図2A】実施例2に係るタンタルプレートの粒子マップである。
【図2B】実施例2に係るタンタルプレートの粒子マップである。
【図2C】実施例2に係るタンタルプレートの粒子マップである。
【図2D】実施例2のプレートの測定結果のグラフである。
【図3A】実施例3に係るタンタルプレートの粒子マップである。
【図3B】実施例3に係るタンタルプレートの粒子マップである。
【図3C】実施例3に係るタンタルプレートの粒子マップである。
【図3D】実施例3に係るタンタルプレートの粒子マップである。
【図3E】実施例3のプレートの測定結果のグラフである。
【図4A】実施例4に係るタンタルプレートの粒子マップである。
【図4B】実施例4に係るタンタルプレートの粒子マップである。
【図4C】実施例4のプレートの測定結果のグラフである。
【図5A】実施例5に係るタンタルプレートの粒子マップである。
【図5B】実施例5に係るタンタルプレートの粒子マップである。
【図5C】実施例5に係るタンタルプレートの粒子マップである。
【図5D】実施例5のプレートの測定結果のグラフである。
【図6A】実施例6に係るタンタルプレートの粒子マップである。
【図6B】実施例6に係るタンタルプレートの粒子マップである。
【図6C】実施例6に係るタンタルプレートの粒子マップである。
【図6D】実施例6のプレートの測定結果のグラフである。
【図7A】実施例7に係るタンタルプレートの粒子マップである。
【図7B】実施例7に係るタンタルプレートの粒子マップである。
【図7C】実施例7に係るタンタルプレートの粒子マップである。
【図7D】実施例7のプレートの測定結果のグラフである。
【図8A】実施例3に係るタンタルプレートの粒子マップである。
【図8B】実施例3に係るタンタルプレートの粒子マップである。
【図8C】実施例3に係るタンタルプレートの粒子マップである。
【図8D】実施例3に係るタンタルプレートの粒子マップである。
【図8E】実施例8のプレートの測定結果のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本特許のファイルには、少なくとも1枚のカラー写真が含まれる。カラー写真を含む本特許のコピーは、請求を行い、必要な料金を支払うことにより、米国特許商標局から入手できる。
【0041】
本発明は、上記に挙げた図面に更に図示される。
【0042】
特段の断りのない限り、本明細書と特許請求の範囲で使用される全ての数字は、実施例に使用するものも含め、「約」が明示的に付されていない場合であっても、数字の前に「約」が付されているものとする。また、本明細書に記載する任意の数値範囲は、その範囲内に包含される全ての部分範囲を含むことを意図する。全ての範囲は、記載した終点を含む。
【0043】
A−インゴット冶金法
従来のEB(電子ビーム)融解インゴットを出発点として使用する。インゴットは、スパッタリングターゲットに一般に使用される任意の純度(一般に、「3ナイン5」〜「5ナイン5」)などである。好ましくは、インゴットの純度、少なくとも99.95%、より好ましくは少なくとも99.995%である。ここで使用する「純度」とは、格子間不純物でなく、金属不純物がないことを指す。従来のEB融解インゴットは、表面に核形成した粒子を含む表面近傍の領域(約1cmのサイズの略等軸結晶)と、長軸がインゴットの軸に平行な長い粒子を含む中心領域とからなる。粒子の結晶配向は、どのような形であれ制御されない。
【0044】
一実施形態では、本発明は、中央、板厚、端部、上面および裏面を有する高融点金属プレートの作製方法であって、以下を有する方法を提供する。
i)EB融解インゴットを提供するステップと、
ii)前記インゴットの表面を洗浄するステップと、
iii)ワークピースを提供するために前記インゴットを所定の長さに切断するステップと、
iv)アプセット鍛造および鍛造戻しを含むサイクルを少なくとも3回行って各ワークピースを加工するステップと、
v)各サイクルにおいて少なくとも部分的に再結晶させるための適切な歪みを与えるために、アプセット鍛造/鍛造戻しサイクルの前または後に、各ワークピースを少なくとも3回焼鈍するステップと、
vi)各ワークピースをターゲットプレートに適したサイズに切断するステップと、
vii)各プレートを所望の板厚に非対称圧延するステップと、
viii)実質的に完全に再結晶させるために、圧延後に焼鈍するステップと、を有する。
【0045】
ここに使用する実質的に完全な「再結晶」との文言は、冶金法の当業者に公知の技術用語であり、少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはこれ以上の再結晶を含むプレートを指す。一般に、再結晶の量は、最終焼鈍ステップの後、プレートの端部からサンプルを採取し、顕微鏡で検査して求められる。
【0046】
一実施形態では、高融点金属プレートは、各焼鈍の前の表面の洗浄、チーズへのアプセット鍛造(upset forge to cheese)、平滑矯正、圧延後の所定サイズへの切断からなる群から選択される1つ以上の加工ステップによって更に加工される。
【0047】
例えば、インゴットは、米国特許出願第10/079286号明細書(段落29)に記載されているインゴット加工方法の一実施形態によって処理することができ、同願を参照によりここに援用する。詳細には、この動作は以下の通りである。
1)マシニングによってインゴットの表面を洗浄。
2)インゴットを所定長に切断。
3)アプセット鍛造(U1)。
4)焼鈍(A1)。
5)ほぼ元の寸法まで鍛造戻し(FB1)。
6)アプセット鍛造(U2)。
7)ほぼ元の寸法まで鍛造戻し(FB2)。
8)焼鈍(A2)。
【0048】
その後の操作は、米国特許出願第10/079286号明細書の実施形態とは異なる。本発明の実施形態の操作のシーケンスの例は以下のとおりである。
9)アプセット鍛造(U3)。
10)元の直径よりも短い直径に鍛造戻し(FB3)。
11)焼鈍(A3)。
12)更に鍛造戻し(FB4)。
13)マシニングにより表面を洗浄。
14)1ピースがそれぞれ1枚のターゲットプレートを製作するのに必要な重量を有する長さにビレットを切断。
15)チーズにアプセット鍛造(UC)。
16)所望の板厚に圧延。
17)焼鈍(A4)。
18)平滑矯正。
19)所定サイズに切断。
【0049】
一般に、焼鈍は、所望の位置に入れることができ、各アプセット/鍛造戻しシーケンス後に焼鈍を入れる必要はない。焼鈍の位置は、(a)焼鈍中に実質的に完全に再結晶させるように、体積全体に十分な歪みが加えられるが、(b)材料が強くなり過ぎ、鍛造プレスの強度が不足したり、ワークピースに亀裂が生じ始めない大きさの歪みとなるように設定される。好ましくは、焼鈍は、体積の最も歪みの少ない部分の真歪みが1の値に達した後、できるだけ迅速に実施する。しかし、ワークピースがこの段階では亀裂を受けやすいため、最初の焼鈍は、好ましくは低い歪みで実施される。
【0050】
操作9,10,11,12,13は、米国特許出願第10/079286号明細書に記載されている操作と同様に実施される。
【0051】
操作2〜11は、3つの「歪み−焼鈍」サイクルを構成している。各操作の前後の個々のワークピースの寸法は、各サイクルにおけるワークピースの体積の全ての要素の歪みが、経験法則上、少なくとも約1となり、その歪みが、3つの直交する「主歪み」方向の相当する歪み成分から構成されるように設定される。
【0052】
操作12は任意選択である。この操作は、小型のスパッタリングターゲットプレート(例えば、200mmのシリコンウェハのスパッタに使用するものなど)に使用され、大型のプレート(例えば、300mmのシリコンウェハのスパッタに使用するものなど)では使用されない。
【0053】
操作14は、バンドソーまたは任意の同様の適した切断装置によって実施される。
【0054】
操作15は、上ダイとワークピース間、および下ダイとワークピース間の低摩擦層によって実施される。1/4インチ厚のアルミニウム(軟質のAl合金1100などの)プレートが適していることがわかっているが、他の金属および金属合金も使用することができる。操作15は任意選択である。この操作は、厚いスパッタリングターゲットプレート(板厚約0.300インチ超)で使用され、薄いターゲットでは使用されない。
【0055】
操作16は、従来の圧延機(例えば、ロールの直径が16インチである水平可逆4高シングルスタンド圧延機など)で実施されるが、本願と同日出願の米国特許出願「Methods of Controlling Texture of Plates and Sheets by Tilt Rolling(傾斜圧延法によってプレートおよびシートの組織を制御する方法)」に記載されているような特別な条件で実施される。同出願を参照によりここに援用し、以下に詳細に記載する。
【0056】
操作17,18,19は、どのような順序で実施してもよい。これらの操作は、全て従来の方法で実施される。
【0057】
操作19の後、プレートが、バッキングプレートに接合され、仕上げマシニングされ、洗浄されて、完成した平坦なスパッタリングターゲットに成形される。これらの操作には、一般に認められている方法であれば、どのような方法を使用してもよい。スパッタリングターゲットは、その後、シリコンウェハなどの基板上にタンタルの薄い膜を形成するために、例えばDCマグネトロンスパッタリングプロセスによりスパッタされる。本発明の利点は、古い世代のスパッタ装置においては、ターゲットの変動による不均一性がほかの原因による不均一性よりも小さいため、さほど顕著ではないが、特に、65nmまたはこれ以下の設計ルールの集積回路を作製するために設計された最新のスパッタ装置は、特に本発明の恩恵を受けるであろう。
【0058】
B−粉末冶金法
粉末は、米国特許第6,521,173号明細書に記載されている円筒状のビレットの形成方法に従って製造および加工される。
【0059】
詳細には、この操作は以下の通りである。
1)粉末を60〜90%の密度に冷間等方圧加圧加工(CIP)。
2)プレスしたプリフォームをスチール缶に封入し、缶を排気および封止。
3)プリフォームを密度100%のビレットに熱間等方圧加圧加工(HIP)。
4)スチール缶を除去。
5)ビレットを焼鈍。
6)バンドソーまたは任意の類似の適切な切断装置を使用して、プレートに圧延するために適した、ホッケーパックの形状を有するスライスに切断。
【0060】
パックが、インゴット冶金法について上で記載したとおりに圧延される(操作16)。
【0061】
圧延後、プレートが、インゴット冶金について上で説明したように加工および処理される(操作17,18,19、バッキングプレートへのボンディングなど)。
【0062】
上記の方法によって製作した、インゴットからの高融点金属プレートは、100//ND組織成分および111//ND組織成分について、1mm当たり6%以下、より好ましくは4%未満、最も好ましくは3%未満の平均板厚方向勾配を有する。
【0063】
インゴットからのプレートの最大板厚方向勾配は、100//ND組織成分および111//ND組織成分について、1mm当たり13%以下、より好ましくは9%未満、最も好ましくは8%未満である。
【0064】
インゴットからのプレートは、100//ND組織成分および111//ND組織成分について、平均帯形成度が6%以下であり、最大帯形成度が8%以下である。
【0065】
インゴットからのプレートは、100//ND組織成分および111//ND組織成分について、平均プレート内変動が6%以下、より好ましくは5%以下である。
【0066】
インゴットからのプレートの最大プレート内変動は、100//ND組織成分および111//ND組織成分について、11%以下、より好ましくは7%未満である。
【0067】
一実施形態では、本発明のインゴットからの高融点金属プレートは、組織成分111//NDについて、平均板厚方向勾配が1mm当たり2%以下である。
【0068】
粉末冶金法(粉末金属)によって作製した、上記の方法によって作製した高融点金属プレートの平均板厚方向勾配は、100//ND組織成分および111//ND組織成分について、1mm当たり5%以下、より好ましくは2%未満である。
【0069】
粉末金属プレートの最大板厚方向勾配は、100//ND組織成分および111//ND組織成分について、1mm当たり8%以下、より好ましくは3%未満である。
【0070】
粉末金属プレートは、100//ND組織成分および111//ND組織成分について、平均帯形成度が5%以下、より好ましくは4%未満である。
【0071】
粉末金属プレートの最大帯形成度は、100//ND組織成分および111//ND組織成分について、7%以下、より好ましくは5%未満である。
【0072】
粉末金属プレートは、100//ND組織成分および111//ND組織成分について、平均プレート内変動が4%以下であり、最大プレート内変動が7%以下である。
【0073】
平均勾配および最大勾配などの板厚方向勾配、プレート内変動またはプレート間の変動の測定では、下限が0%となりうる、すなわち、変動または勾配がゼロとなりうる。帯形成の測定では、下限が約2%である。つまり、これより低いレベルは、達成困難であるか、あるいは、この特性の測定のノイズのため検出困難である。
【0074】
本発明の方法の利点の一部は、1)インゴットの粒状組織を破壊し、テクスチャを均質化するアプセット−鍛造戻しの少なくとも3サイクルの使用、2)チーズアプセット内の歪み分布を改善する(より均質性にする)ためのアルミニウムまたは他の金属プレートの使用、3)ワークピースを圧延機に供給するための斜面の使用、4)反りが制御され、パス間およびワークピース間で均一になるような、圧延の制御、によって得られうる。後の作業を容易にするための反りの制御は、日常的に実施されているが、ワークピース間の組織の変動を最小化するための反りの制御は新規である。
【0075】
傾斜面の使用は、ここで「傾斜圧延」、あるいは「傾斜導入」と呼ぶ。これは、標準的な圧延プロセス(ワークピースの板厚中間面に相当する対称面が存在するという点で対称的である)と比べ、非対称の圧延プロセスとなる。例えば、非対称圧延は、後続の深絞り操作の結果を改善するために、アルミニウムシートの圧延に時として使用される(例えば、"Development of Grain Structure and Texture during Annealing in Asymmetrically-Rolled AA5754", H. Jin and D.J. Lloyd, Materials Science Forum Vols 467-470 (2004), p.381を参照のこと)。
【0076】
タンタルプレートのスパッタリング性能を高める非対称圧延法は、2005年にFieldら(「背景技術」に前述)によって導入されているが、非対称性は、以下の方法の1つによって導入される。
1)回転速度の異なるロール(上ワークロールと下ワークロール)の使用
2)直径の異なるロール(上ワークロールと下ワークロール)の使用
3)摩擦係数の異なるロール(上ワークロールと下ワークロール)の使用
【0077】
このため、本発明の方法では、「非対称圧延」という文言は、傾斜導入または傾斜圧延を指す。圧延は、本発明によれば、2%〜20%の傾斜角、より好ましくは、3〜7%の傾斜角を使用して実施される。当業者が理解するように、通常、この角度は、水平上方、すなわちロールにシートまたはプレートが下向きで供給される。しかし、場合によっては、マルチスタンド圧延などのように、角度が水平下方であってもよく、ロールにプレートまたはシートが上向きで供給される。ここで使用する「傾斜角」という文言は、ロールにプレート/シートを供給する、この2つの態様の両方を指す。
【0078】
本発明のプロセスで製作した製品は、現在利用可能な他のどのタンタルプレートと比べても、また論文または特許文献に記載されているインゴットからのタンタルプレートの組織の一様性に関するどの報告と比べても、より均一な組織を有し、実質的に完全に均一である。組織は、「Through-Thickness Gradient, Banding Severity, Variation Across a Plate, and Variation from Plate to Plate(膜厚方向勾配、帯形成度、プレート内変動およびプレート間変動)」として報告されている草案のASTM規格の方法で測定した。ここでは、「実質的に均一な組織」とは、利用可能な最良の方法を使用した検出限界において、組織が僅かな変動のみを有することを指し、例えば、測定の精度が不完全なため、板厚方向勾配が1mm当たり3%以下、帯形成度が5%以下、プレート内変動6%以下などである。
【0079】
より詳細には、板厚方向勾配が従来技術よりも低下し、帯形成度とプレート内変動およびプレート間変動とが、少なくとも従来技術と同程度である。
【0080】
プレート間変動に関して、「実質的に同じ」とは、多数のプレートのそれぞれの組織を、表10(後述)に示す6つのパラメータによって定量化して、各パラメータの母集団の標準偏差が4未満である場合、その母集団の全てのプレートが、実質的に同じ組織を有するといえる。
【0081】
プレートの結晶粒径が、均一な組織を得るために必要な特別な加工によって悪化することはない。一般に、80μm未満の平均結晶粒径(線形切片)が得られ、一部の実施形態では、60μm未満である。
【0082】
一部の実施形態では、圧延中に、ワークピースがパス間で、垂直軸に対して所定の角度回転される。ここでは、「所定の」とは、角度が回転ごとに選択され、使用されることを指す。
【0083】
一部の実施形態では、パス当たりの板厚減少量が、事前に決定される。別の実施形態では、ワークピースが、一定間隔で反転される。更に別の実施形態では、潤滑剤がワークピースの上面と下面に塗布され、ロールが一定の粗さに維持される。
【0084】
回転、板厚減少、反転、潤滑剤の使用および粗さの同じパラメータを使用することにより、プレート間変動を最小化することができる。
【0085】
粉末冶金加工は、一般に、インゴット冶金加工に比べて、より均一な組織を作製するうえで有利である。しかし、粉末冶金法には、不純物の含有量が高いなどの特有の不利な点がある。本発明に従って作製した粉末冶金プレートは、従来のどの粉末冶金プレートよりも板厚方向の組織勾配が小さい。
【0086】
このプレートから作製したターゲットのスパッタリング性能は、従来技術に従って作製したターゲットと比べて、予測可能であり、ターゲットの使用中(すなわち、寿命初期から寿命末期まで)安定しており、いわゆるコンシステンシーが高く、ターゲット間の安定性が高い。
【実施例】
【0087】
本発明を以下の実施例を用いて説明するが、これらの実施例は限定することを意図するものではない。
【0088】
実施例1(比較例)
米国特許出願第10/079286号明細書の段落26,28,29に従ってプレートを作製した。合計3回の焼鈍(中間2回、最終1回)を実施した。
【0089】
プレートの中央、プレート径の中間点およびプレートの端部からサンプルを採取し、水平方向と垂直方向の両方において15μmのステップを使用して、EBSDによって組織を求めた。プレートの板厚は6mmであった。平均結晶粒径は、約ASTM 6(40ミクロンの平均線形切片(ALI)距離)であった。結果を、さまざまな形でここに示す。
【0090】
まず、3つの位置から採取したサンプルの板厚全体の粒子マップを、図1A,図1B,図1Cに示す。マップの上端は一方の圧延面であり、下端はもう一方の圧延面である。プレートは圧延されると、端部よりも中央が僅かに厚くなる点に注意されたい。試験幅(各マップの水平長さ)は、1.5mmである。マップは、プレートの放線方向(マップの垂直方向)の15°内に特定の結晶配向を有する粒子を示している。NDの15°内の100(100//ND成分として知られる)の粒子は赤、NDの15°内の111(111//ND成分として知られる)の粒子は青、NDの15°内の110の粒子は黄色で示されている。これらのいずれも満たさない粒子は灰色で示されている。これらの色ブロックが占める面積の割合が、以下に示す数値因子の計算の基礎となる。
【0091】
第2に、マップを、以下のように数学的に分析する。
1)マップを、上半分(H1)と下半分(H2)の2つの部分に分ける。
2)高さ135μm、全幅(この例では1.5mm)の切り欠孔を有するマスクを、切り欠孔の上端が、マップの下端に一致するように、マップの上に置く。ウィンドウの高さ(この場合135μm)にほぼ3つの粒子が入り、EBSDのステップが整数(この場合9ステップ)となるように選択されている点に注意されたい。
3)切り欠孔の赤色が占める面積の割合と青色が占める割合とを計算する。
4)マスクを1ステップ(この場合15μm)下に移動させ、計算を繰り返す。
5)切り欠孔の下端がマップの下端に一致するまで、操作4を繰り返す。
6)結果を示すグラフ(図1D)を作成する。例えば、このグラフは、中央のサンプルの上半分のグラフである。Y軸は、0%〜70%の面積の割合を示し、X軸は、マップの上(左側)から板厚中央(右側)までのマスク切り欠の位置を示す。赤い点は100を指し、青いドットは111を指す。
7)板厚の半分のそれぞれについて、このデータを分析して、以下を決定する。
a)100のデータを通る最良適合直線の勾配(1mm当たりの%)(100勾配)。
b)111のデータを通る最良適合直線の勾配(1mm当たりの%)(111勾配)。
c)最良適合直線からの100の各データ点の(y方向の)平均距離(%)(マイナスの場合、ゼロとしてカウントされる)(100BF)。
d)最良適合直線からの111の各データ点の(y方向の)平均距離(%)(マイナスの場合、ゼロとしてカウントされる)(111BF)。
3つの標本の上半分と下半分の両方の、この分析の結果を以下に示す。
【0092】
【表1A】

【0093】
8)最後に、プレート内変動を計算する。この計算は、草案のASTM規格の方法には含まれない。この計算は、各サンプルの上半分と下半分のそれぞれについて、NDの15°内の100と111の面積の割合を示す以下の表から最も良好に評価される。「範囲」とは、行内の最大値と最小値の間の差である。切り欠を設けたマスクがこの計算では使用されない点に注意されたい。
【0094】
【表1B】


−「100勾配」と「111勾配」は、板厚方向勾配の値である。
−「100BF」と「111BF」は、帯形成度の値である。
−「A/P範囲」は、プレート内組織変動の値である。
【0095】
実施例2(比較例)
米国特許第6,331,233号明細書の「詳細な説明」および図3に従ってプレートを作製した。平均結晶粒径は、約ASTM 5(60ミクロンALI)であった。
【0096】
プレートの中央、プレート径の中間点およびプレートの端部からサンプルを採取し、水平方向と垂直方向の両方において15μmのステップを使用して、EBSDによって組織を求めた。プレートの板厚は9mmで、試験幅は3.6mmであった。180μmのウィンドウ高さを使用した。(グラフの面積の割合が0%〜70%ではなく、0%〜90%である点を除き)実施例1と同様に、結果を、図2A,図2B,図2C,図2Dと、表2A,表2Bとに示す。
【0097】
【表2A】

【0098】
【表2B】

【0099】
実施例3(比較例)
米国特許第6,521,173号明細書と上で説明したプロセス(ステップ1〜6)に従って、板厚7〜8mmの3枚のプレートを、粉末冶金プロセスによって作製し、直径165mmおよび厚さ81mmのパックを得た。パックは、従来法(厚さ33mmでの焼鈍ステップを含む)で圧延し、従来法で仕上げ加工を行った。
【0100】
各プレートの中央、各プレート径の中間点および各プレートの端部からサンプルを採取し(2サンプル、十分に離間)、水平方向と垂直方向の両方において10μmのステップを使用して、EBSDによって組織を求めた。試験幅が1.5mmではなく1.64mmである点と、グラフの面積割合が、0%〜70%ではなく0%〜60%を示す点を除き、結果を、実施例1と同様に表3A,表3Bに示す。プレート1の粒子マップを、図3A,図3B,図3C,図3Dに示し、中央−H1の結果を図3Eに示す。平均結晶粒径は、約ASTM 7(28ミクロンALI)であった。
【0101】
【表3A】

【0102】
【表3B】

【0103】
実施例4(比較例)
米国特許出願第10/079286号明細書の段落26,28,29に従って19枚のプレートを作製したが、合計4回の焼鈍(中間3枚、最終1回)を実施した点が、実施例1とは異なる。プレートの板厚は、約10mmであった。
【0104】
各プレートの端部から1サンプルを採取した。水平方向と垂直方向の両方において15μmのステップを使用して、EBSDによって組織を求めた。端部のサンプルのみを採取したため、A/P範囲を計算できなかった点を除き、実施例1と同じように、結果を、図4A,図4B,図4Cと、表4Aとに示す。平均結晶粒径は、約ASTM 5(53ミクロンALI)であった。
【0105】
【表4A】

【0106】
実施例5(本発明)
上で簡単に説明したインゴット冶金プロセスを使用して、板厚6mmのプレートを作製した。このプロセスには、以下が含まれる。
1)マシニングによってインゴットの表面を洗浄。インゴット(直径195mm)を所定の長さ(374mm)に切断し、質量474ポンドとした。
2)ビレットを初期ビレット長の65%にアプセット鍛造(U1)。
3)ビレットを1370℃で焼鈍(A1)。
4)ビレットを直径197mmに鍛造戻し(FB1)。
5)ビレットを初期ビレット長の65%にアプセット鍛造(U2)。
6)ビレットを直径197mmに鍛造戻し(FB2)。
7)ビレットを初期ビレット長の65%にアプセット鍛造(U3)。
8)ビレットを1065℃で焼鈍(A2)。
9)ビレットを直径133mmに鍛造戻し(FB3)。マシニングによってインゴットの表面を洗浄し、このため、ビレットの直径が127mmに減少。
10)ビレットを38.1mmの長さに切断。
11)ビレットを1065℃で焼鈍(A3)。
12)所定の板厚に圧延。10°の傾斜角を使用した。各パスで、ピースの板厚を5%ずつ低下させた。各パスの後、垂直軸を中心に各ピースを90°回転させた。ピースは、4パスごとに反転させた。圧延後のピースの最終的な板厚は、6mmであった。
13)ビレットを1065℃で焼鈍(A4)。
14)平滑矯正。
15)プレートの中央、プレート径の中間点およびプレートの端部からサンプルを採取し、水平方向と垂直方向の両方において15μmのステップを使用して、EBSDによって組織を求めた。試験幅が1.5mmではなく1.64mmである点と、グラフの面積割合が、0%〜70%ではなく0%〜60%を示す点を除き、実施例1と同様に、結果をここに示す。粒子マップとグラフ化した結果を、図5A,図5B,図5C,図5Dにそれぞれ示す。平均結晶粒径は、約ASTM 6(約40μmALI)であった。
【0107】
【表5A】

【0108】
【表5B】

【0109】
その他の測定手順の使用
実施例5で製作したプレート(本発明の実施例として)の中央のサンプルを、従来使用し、上で説明した方法で分析する。
【0110】
米国特許第6,348,113号明細書に記載の方法を使用する。すなわち、以下のとおりである。
【0111】
板厚を、20の区分(increments)に分けた。各区分について、10°の半値幅を使用してピーク強度を計算した(この方法は、113号明細書には記載されていないが、業界で標準的である)。
【0112】
【表5C】

【0113】
111のピーク強度の変化は1.55〜5.07であったのに対し、113号明細書で最良の実施例の1つであるプレート125Bのピーク強度の変化は、0.85〜6.06であった。100のピーク強度の変化は2.35〜7.43であったのに対し、プレート125Bのピーク強度の変化は、0.37〜10.65であった。In(111/100)の変化は−1.09〜0.12であったのに対し、プレート125BのIn(111/100)の変化は−2.53〜3.11であった。
【0114】
このため、113号明細書に記載した組織の定量化方法により、発明の実施例は、113号明細書における最良の実施例よりも板厚が極めて均一である。しかし、この方法は、上で使用したASTMの草案の方法と比べると、良好な比較方法でない。
【0115】
米国特許出願第10/079286号明細書に記載の方法を使用する。すなわち、以下のとおりである。
【0116】
板厚を、8の区分に分けた。区分の数は286号明細書には記載されていないが、8が代表的であり、区分の数は重要ではない。区分ごとに、100の15°内の面積と、111の15°内の面積割合%を計算し、その差(分布)を更に計算する。
【0117】
【表5D】

【0118】
最小の差は1%、最大の差は10%であるため、分布は9%となる。米国特許出願第10/079286号明細書には30%未満の分布が報告され、そのプロセスに従って作製したプレートは、一般に25%の分布となるため、本発明の実施例(9%)の組織の分布は、従来得られた分布よりも非常に小さいことが分かる。しかし、この比較方法は、上で使用したASTMの草案の方法と比べると、良好な方法でない。
【0119】
実施例6(本発明)
上で簡単に説明したインゴット冶金プロセスを使用して、板厚7.5mmのプレートを作製した。このプロセスには、以下が含まれる。
1)マシニングによってインゴットの表面を洗浄。インゴット(直径195mm)を所定の長さ(374mm)に切断し、質量474ポンドとした。
2)ビレットを初期ビレット長の65%にアプセット鍛造(U1)。
3)ビレットを1370℃で焼鈍(A1)。
4)ビレットを直径197mmに鍛造戻し(FB1)。
5)ビレットを初期ビレット長の65%にアプセット鍛造(U2)。
6)ビレットを直径197mmに鍛造戻し(FB2)。
7)ビレットを初期ビレット長の65%にアプセット鍛造(U3)。
8)ビレットを1065℃で焼鈍(A2)。
9)ビレットを直径133mmに鍛造戻し(FB3)。マシニングによってインゴットの表面を洗浄し、このため、ビレットの直径が127mmに減少。
10)ビレットを63.5mmの長さに切断。
11)ビレットを1065℃で焼鈍(A3)。
12)所定の板厚に圧延。5°の傾斜角を使用した。各パスで、ピースの板厚を5〜10%ずつ減少させた。各パスの後、各ピースを垂直軸に対して45°回転させた。ピースは、4パスごとに反転させた。圧延後のピースの最終的な板厚は、7.5mmであった。
13)ビレットを1010℃で焼鈍(A4)。
14)平滑矯正。
15)プレートの中央、プレート径の中間点およびプレートの端部からサンプルを採取し、水平方向と垂直方向の両方において15μmのステップを使用して、EBSDによって組織を求めた。試験幅が1.5mmではなく1.80mmである点を除き、結果を、実施例1と同様に、図6A,図6B,図6C,図6Dと、表6A,表6Bとに示す。平均結晶粒径は、約ASTM 6(約40μmALI)であった。
【0120】
【表6A】

【0121】
【表6B】

【0122】
実施例7(本発明)
上で説明したのと同じ粉末冶金プロセス(ステップ1〜6)を使用して、板厚7.5mmのプレートを作製し、直径165mmおよび厚さ42mmのパックを得た。
【0123】
次に、これを所定の板厚に圧延した。5°の傾斜角を使用した。各パスで、ピースの板厚を5〜10%ずつ減少させた。各パスの後、各ピースを垂直軸に対して45°回転させた。ピースは、4パスごとに反転させた。圧延後のピースの最終的な板厚は、7.5mmであった。仕上げ加工(焼鈍など)は、従来の方法で実施した。
【0124】
プレートの中央、プレート径の中間点およびプレートの端部からサンプルを採取し、水平方向と垂直方向の両方において15μmのステップを使用して、EBSDによって組織を求めた。試験幅が1.5mmではなく1.64mmである点と、グラフの面積割合が、0%〜70%ではなく0%〜60%を示す点を除き、結果を、実施例1と同様に、ここに(図7A,7B,7C,7D)に示す。平均結晶粒径は、約ASTM 6 1/2(32ミクロンALI)であった。
【0125】
【表7A】

【0126】
【表7B】

【0127】
実施例8(本発明)
上で説明したインゴット冶金プロセスを使用して、板厚8mmのプレートを3枚作製した。このプロセスには、以下が含まれる。
1)マシニングによってインゴットの表面を洗浄。インゴット(直径195mm)を所定の長さ(374mm)に切断し、質量474ポンドとした。
2)ビレットを初期ビレット長の65%にアプセット鍛造(U1)。
3)ビレットを1370℃で焼鈍(A1)。
4)ビレットを直径197mmに鍛造戻し(FB1)。
5)ビレットを初期ビレット長の65%にアプセット鍛造(U2)。
6)ビレットを直径197mmに鍛造戻し(FB2)。
7)ビレットを1065℃で焼鈍(A2)。
8)ビレットを初期ビレット長の65%にアプセット鍛造(U3)。
9)ビレットを直径133mmに鍛造戻し(FB3)。マシニングによってインゴットの表面を洗浄し、このため、ビレットの直径が127mmに減少。
10)ビレットを68.6mmの長さに切断。
11)ビレットを50.0mmにアプセット鍛造。
11)ビレットを1065℃で焼鈍(A3)。
12)従来の(直線)圧延を使用して、25.4mmの板厚に圧延。各パスで、ピースの板厚を20%ずつ低下させた。各パスの後、垂直軸を中心に各ピースを90°回転させた。
13)所定の最終板厚に圧延。5°の傾斜角を使用した。各パスで、ピースの板厚を10%ずつ低下させた。各パスの後、各ピースを垂直軸に対して45°回転させた。ピースは、パスごとに反転させた。圧延後のピースの最終的な板厚は、8mmであった。
14)ビレットを955℃で焼鈍(A4)。
15)平滑矯正。
【0128】
1プレートの場合、プレートの中央、プレート径の中間点およびプレートの端部からサンプルを採取し(2サンプル、十分に離間)、水平方向と垂直方向の両方において15μmのステップを使用して、EBSDによって組織を求めた。実施例1と同様に、結果を、図8A,8B,8C,8D,8Eと、表8A,8Bとに示す。ほかの2枚のプレートの場合、端部のサンプル(2サンプル、十分に離間)のみを採取した。平均結晶粒径は、約ASTM 7 1/2(24ミクロンALI)であった。
【0129】
【表8A】

【0130】
【表8B】

【0131】
まとめ
以下の概要表では、本発明の実施例を、4つの従来技術の実施例と、便利に比較することができる。平均勾配の計算では、各勾配値の絶対値を使用する。下に示す最大勾配は、採取したサンプルのいずれかの最大値であり、本発明の全実施例の場合には、端部、径方向の中央および中心の位置を含む。各値が低いほど、プレートの組織の均一性が高い。
【0132】
【表9】


「N/A」は「なし」である。
【0133】
表9(実施例3,7は粉末冶金を使用し、ほかはインゴット冶金法を使用した)から、以下のことがわかる。
1)比較例は、全て平均勾配が1mm当たり5%を超えている。
2)比較例のうち、実施例3(粉末冶金法)は、実施例1,2,3(インゴット冶金法)よりも均一な組織を有する。
3)本発明の実施例は、全て平均勾配が1mm当たり5%未満であり、実施例の一部では、粉末冶金法およびインゴット冶金法の両方について、平均勾配が、関連する比較例の半分未満である。
4)本発明の実施例のうち、実施例7(粉末冶金法)は、実施例5,6,8(インゴット冶金法)よりも均一な組織を有する。
6)本発明の実施例の一部では、帯形成係数とA/P範囲が、関連する比較例と同等であるのみならず、これらよりも実際に低い。
【0134】
また、実施例3,4,8はそれぞれ、プレートを複数枚作製したため、これらの実施例間の比較により、プレート間の組織の変動の統計解析とこのため比較が可能となるため、有益である。端部のサンプル(実施例4から19サンプル、その他の実施例のそれぞれから6サンプル)を、表10に比較する。
【0135】
【表10】

【0136】
12のデータ点からの標準偏差は、あまり正確でないが、(表10の標準偏差に示すように)実施例8の変動が実施例3,4の変動と似ていることがわかる。表において、実施例8の平均勾配が実施例3,4と比べて低いことが強調されている。
【0137】
本発明の特定の実施形態を、説明のために上で説明したが、添付の特許請求の範囲に記載の本発明を逸脱しない範囲で、本発明の詳細をさまざまに変更することができることは、当業者に明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央、板厚、端部、上面および裏面を有する高融点金属プレートであって、前記高融点金属プレートは、前記プレートにわたって実質的に均一な結晶組織(100//ND組織成分および111//ND組織成分のそれぞれについて、板厚方向勾配、帯形成度およびプレート内変動によって特徴付けられる)を有する高融点金属プレート。
【請求項2】
中央、板厚、端部、上面および裏面を有するインゴット冶金法によって製造した高融点金属プレートであって、前記高融点金属プレートは、100//ND組織成分および111//ND組織成分について、板厚方向勾配、帯形成度およびプレート内変動によって特徴付けられる結晶組織を有し、平均板厚方向勾配が1mm当たり6%以下であり、平均帯形成度が6%以下であり、平均プレート内変動が6%以下である高融点金属プレート。
【請求項3】
前記平均板厚方向勾配が1mm当たり4%以下である請求項2に記載の高融点金属プレート。
【請求項4】
前記平均板厚方向勾配が1mm当たり3%以下である請求項2に記載の高融点金属プレート。
【請求項5】
中央、板厚、端部、上面および裏面を有するインゴット冶金法によって製造した高融点金属プレートであって、前記高融点金属プレートは、100//ND組織成分および111//ND組織成分について、板厚方向勾配、帯形成度およびプレート内変動によって特徴付けられる結晶組織を有し、最大板厚方向勾配が1mm当たり13%以下であり、最大帯形成度が8%以下であり、最大プレート内変動が11%以下である高融点金属プレート。
【請求項6】
前記最大板厚方向勾配が1mm当たり9%以下である請求項5に記載の高融点金属プレート。
【請求項7】
前記最大板厚方向勾配が1mm当たり8%以下である請求項5に記載の高融点金属プレート。
【請求項8】
中央、板厚、端部、上面および裏面を有するインゴット冶金法によって製造した高融点金属プレートであって、前記高融点金属プレートは、100//ND組織成分および111//ND組織成分について、板厚方向勾配によって特徴付けられる組織を有し、平均板厚方向勾配が1mm当たり4%以下である高融点金属プレート。
【請求項9】
中央、板厚、端部、上面および裏面を有するインゴット冶金法によって製造した高融点金属プレートであって、前記高融点金属プレートは、板厚方向勾配によって特徴付けられる組織を有し、111//ND組織成分について、平均板厚方向勾配が1mm当たり2%以下である高融点金属プレート。
【請求項10】
中央、板厚、端部、上面および裏面を有するインゴット冶金法によって製造した高融点金属プレートであって、前記高融点金属プレートは、板厚方向勾配によって特徴付けられる組織を有し、100//ND組織成分および111//ND組織成分について、最大板厚方向勾配が1mm当たり9%以下である高融点金属プレート。
【請求項11】
中央、板厚、端部、上面および裏面を有する粉末冶金法によって製造された高融点金属プレートであって、前記高融点金属プレートは、100//ND組織成分および111//ND組織成分について、板厚方向勾配、帯形成度およびプレート内変動によって特徴付けられる結晶組織を有し、平均板厚方向勾配が1mm当たり5%以下であり、平均帯形成度が4%以下であり、平均プレート内変動が4%以下である高融点金属プレート。
【請求項12】
前記平均板厚方向勾配が1mm当たり2%以下である請求項11に記載の高融点金属プレート。
【請求項13】
中央、板厚、端部、上面および裏面を有する粉末冶金法によって製造された高融点金属プレートであって、前記高融点金属プレートは、板厚方向勾配によって特徴付けられる組織を有し、100//ND組織成分および111//ND組織成分について、平均板厚方向勾配が1mm当たり2%以下である高融点金属プレート。
【請求項14】
中央、板厚、端部、上面および裏面を有する粉末冶金法によって製造された高融点金属プレートであって、前記高融点金属プレートは、板厚方向勾配によって特徴付けられる組織を有し、100//ND組織成分および111//ND組織成分について、最大板厚方向勾配が1mm当たり3%以下である高融点金属プレート。
【請求項15】
前記高融点金属はタンタルである請求項1に記載の高融点金属プレート。
【請求項16】
前記高融点金属はニオブである請求項1に記載の高融点金属プレート。
【請求項17】
材料が少なくとも99.95%の純度の高融点金属である請求項1に記載の高融点金属プレート。
【請求項18】
結晶粒径(平均切片)が80μm未満である請求項1に記載の高融点金属プレート。
【請求項19】
結晶粒径(平均切片)が60μm未満である請求項1に記載の高融点金属プレート。
【請求項20】
高融点金属プレートの作製方法であって、
i)EB融解インゴットを提供するステップと、
ii)前記インゴットの表面を洗浄するステップと、
iii)ワークピースを提供するために前記インゴットを所定の長さに切断するステップと、
iv)アプセット鍛造および鍛造戻しを含むサイクルを少なくとも3回行って各ワークピースを加工するステップと、
v)各サイクルにおいて少なくとも部分的に再結晶させるための適切な歪みを与えるために、アプセット鍛造/鍛造戻しサイクルの前または後に、各ワークピースを少なくとも3回焼鈍するステップと、
vi)各ワークピースをターゲットプレートに適したサイズに切断するステップと、
vii)各プレートを所望の板厚に非対称圧延するステップと、
viii)実質的に完全に再結晶させるために、圧延後に焼鈍するステップと、を有する方法。
【請求項21】
前記高融点金属プレートは、各焼鈍の前の表面の洗浄、チーズへのアプセット鍛造、平滑矯正、圧延後の所定サイズへの切断からなる群から選択される1つ以上の加工ステップによって更に加工される請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記非対称圧延は、傾斜の角度が2°〜20°の斜面で実施される請求項20に記載の方法。
【請求項23】
傾斜の角度は、3°〜7°である請求項20に記載の方法。
【請求項24】
圧延中に、前記ワークピースがパス間で、垂直軸に対して所定の角度回転される請求項20に記載の方法。
【請求項25】
パス当たりの板厚減少量が事前に決定される請求項20に記載の方法。
【請求項26】
前記ワークピースが一定間隔で反転される請求項20に記載の方法。
【請求項27】
潤滑剤が前記ワークピースの上面と下面に塗布され、ロールが一定の粗さに維持される請求項20に記載の方法。
【請求項28】
ロールへの傾斜導入により、金属プレートの板厚中央に剪断を付与するステップを有する、前記金属プレートの圧延方法。
【請求項29】
高融点金属プレートの作製方法であって、
i)粉末冶金法によって作製したビレットを提供するステップと、
ii)前記ビレットを焼鈍するステップと、
iii)各ビレットをターゲットプレートに適したサイズに切断するステップと、
iv)各プレートを所望の板厚に非対称圧延するステップと、
v)実質的に完全に再結晶させるために、圧延後に焼鈍するステップと、を有する方法。
【請求項30】
前記高融点金属プレートは、各焼鈍の前の表面の洗浄、チーズへのアプセット鍛造、平滑矯正、圧延後の所定サイズへの切断からなる群から選択される1つ以上の加工ステップによって更に加工される請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記非対称圧延は、傾斜の角度が2°〜20°の斜面で実施される請求項29に記載の方法。
【請求項32】
傾斜の角度は、3°〜7°である請求項29に記載の方法。
【請求項33】
圧延中に、前記ワークピースがパス間で、垂直軸に対して所定の角度回転される請求項29に記載の方法。
【請求項34】
パス当たりの板厚減少量が事前に決定される請求項29に記載の方法。
【請求項35】
前記ワークピースが一定間隔で反転される請求項29に記載の方法。
【請求項36】
潤滑剤が前記ワークピースの上面と下面に塗布され、ロールが一定の粗さに維持される請求項29に記載の方法。
【請求項37】
中央、板厚、端部、上面および裏面を有するインゴット冶金法によって製造した高融点金属プレートであって、前記高融点金属プレートは、100//ND組織成分および111//ND組織成分について、板厚方向勾配によって特徴付けられる組織を有し、平均板厚方向勾配が1mm当たり4%以下であり、前記組織が同じ方法で作成された他のプレートと実質的に同じである高融点金属プレート。
【請求項38】
中央、板厚、端部、上面および裏面を有する粉末冶金法によって製造された高融点金属プレートであって、前記高融点金属プレートは、100//ND組織成分および111//ND組織成分について、板厚方向勾配によって特徴付けられる組織を有し、平均板厚方向勾配が1mm当たり2%以下であり、前記組織が同じ方法で作成された他のプレートと実質的に同じである高融点金属プレート。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図8E】
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【公表番号】特表2010−535943(P2010−535943A)
【公表日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−519963(P2010−519963)
【出願日】平成20年8月5日(2008.8.5)
【国際出願番号】PCT/US2008/009388
【国際公開番号】WO2009/020587
【国際公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(509303512)エイチ.シー. スターク インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】