説明

経路案内装置

【課題】本発明は、ユーザが走行目的を具体的に決めていなくても、ユーザを満足させる走行目的を達成可能な経路を案内することができる経路案内装置の提供を目的とする。
【解決手段】ユーザの走行目的に関する階層化された目的情報を記憶する地図データベース1と、ユーザによって選択された目的情報に基づいて、その目的情報に対応した下位の目的情報を地図データベース1から抽出する目的抽出部4と、目的抽出部4によって抽出された下位の目的情報を達成する経路を探索する経路探索部5と、経路探索部5によって探索された経路上に存在する分岐点を検索する分岐判断部6と、分岐点判断部6によって検索された分岐点に車両が到達する手前において目的抽出部4によって抽出された下位の目的情報を選択肢としてユーザに提示する表示装置11等の入出力装置20とを備える、経路案内装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の走行経路をユーザに案内する経路案内装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ユーザの走行目的に応じて、ユーザの嗜好に合った情報を提供するための情報提供装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この情報提供装置は、走行するごとに作成された走行履歴に基づいて車両を走行させるユーザの走行目的を推測し、走行目的と走行目的に適合する情報の属性とを対応させた対応関係を参照して、推測された走行目的に対応する属性を備えた情報をユーザに提供するものである。すなわち、現在の走行パターンが走行履歴と近似する場合には、現在の走行目的はその近似する走行履歴の場合と同じ走行目的であると推測されている。
【特許文献1】特開2004−108865号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、ユーザが車両を運転する状況においては、ユーザは、必ずしも目的地等の走行目的を予め決めた上で運転しているとは限らず、走行目的をはっきりと決めないまま運転し始める場合がある。走行目的をはっきりと決めないまま運転しているときの走行パターンは、走行目的を予め決めた上で運転しているときの走行パターンの場合と違って、過去の走行パターンとは全く異なる走行パターンになることが多い。
【0004】
したがって、現在の走行パターンと走行履歴を比較することによって現在の走行目的を推定するような上述の従来技術では、通勤等の走行パターンに規則性をもった走行目的を予め有して運転する場合に比較して走行目的をはっきりと決めないまま運転する場合には、適切な推定結果が得られ難く、ユーザが満足できる情報を提供することが難しいと考えられる。
【0005】
そこで、本発明は、ユーザが走行目的を具体的に決めていなくても、ユーザを満足させる走行目的を達成可能な経路を案内することができる経路案内装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明として、
ユーザの走行目的に関する階層化された目的情報を記憶する記憶手段と、
ユーザによって選択された目的情報に基づいて、その目的情報に対応した下位の目的情報を前記記憶手段から抽出する目的抽出手段と、
前記目的抽出手段によって抽出された下位の目的情報を達成する経路を探索する経路探索手段と、
前記経路探索手段によって探索された経路上に存在する分岐点を検索する分岐点検索手段と、
前記分岐点検索手段によって検索された分岐点に車両が到達する手前において前記目的抽出手段によって抽出された下位の目的情報を選択肢としてユーザに提示する提示手段とを備える、経路案内装置を提供する。
【0007】
ここで、前記目的情報の到達度合を示す目的到達度を判定する判定手段を備え、
前記目的抽出手段は、前記判定手段によって判定された目的到達度に応じて、前記提示手段によって提示すべき下位の目的情報を抽出すると好適である。
【0008】
また、前記目的抽出手段は、前記提示手段によって提示された目的情報が選択されるか否かに応じて、前記提示手段によって提示すべき下位の目的情報を抽出すると好適である。
【0009】
さらに、前記判定手段は、前記提示手段によって提示された目的情報が選択された場合、選択された目的情報に関する目的到達度を上げて、選択されなかった目的情報に関する目的到達度を下げることが好適である。
【0010】
また、前記判定手段は、前記提示手段によって提示された目的情報が選択されなかった場合、前記提示手段によって提示された目的情報に関する目的到達度を上げて、前記提示手段によって提示されなかった目的情報に関する目的到達度を下げることが好適である。
【0011】
なお、前記提示手段によって提示された目的情報が選択されるか否かは、該提示された目的情報が達成される方向への車両の進行有無により判断されると好適である。
【0012】
また、前記提示手段は、前記目的抽出手段によって抽出された下位の目的情報が達成される方向を提示することが好適である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ユーザが走行目的を具体的に決めていなくても、ユーザを満足させる走行目的を達成可能な経路を案内することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。図1は、本発明の経路案内装置の一実施形態を示した図である。本実施形態の経路案内装置は、ナビゲーション装置10と入出力案内装置20とを有している。本実施形態の経路案内装置は、ナビゲーション装置10が入出力装置20を介してユーザと対話を進めながら、ユーザの目的を段階的に把握していき、ユーザが最終的に希望する走行目的を達成可能な経路を案内するものである。以下、ナビゲーション装置10及び入出力装置20の構成について説明する。
【0015】
地図データベース1は、地図データとPOI(Point of Interest)データを格納する記憶手段である。地図データは、直線道路やカーブや分岐点などの道路形状や地形に関するデータである。また、地図データには、カーブの半径や曲率やカント、路面勾配、車線数や車線幅や右左折レーンなどの車線構成、制限速度などの交通法規情報、標高などの道路属性を合わせて備えていてもよい。POIデータは、ユーザの走行目的となるような情報であって、実際に存在する施設等の特定地点(ランドマーク)に関するものである。POIデータと地図データとの対比によって、各ランドマークの地図上の位置を特定することが可能である。なお、地図データベース1の地図データやPOIデータは、車車間通信や路車間通信や管理センターなどの外部との通信を介して、更新可能にしてもよい。
【0016】
図4は、POIデータの一例を示した図である。図4に示したPOIデータには、ユーザの走行に関する目的情報として、ランドマークという目的地に関する情報が含まれ、ホテルや駅などのランドマークの代表点(そのランドマークの位置を代表する座標データ)やランドマークの特徴などの付属情報が含まれる。例えば、「山下公園」のPOIデータは、その代表点の座標データ(x5,y5)を含むと共に、「氷川丸」や「眺望がよい」といった付属情報を含んでいる。
【0017】
図4に示されるPOIデータは、「方面」毎やその下位概念である「エリア」毎に分類され、「方面」は横浜方面や東京方面などのように細分化され、「エリア」は横浜駅エリアや山下公園・港エリアなどのように細分化されている。POIデータに含まれる各ランドマークはそれらの属するエリア毎に分類され、各エリアはそれらの属する方面毎に分類されている。例えば、ランドマークの一つである「山下公園」はその上位階層である「山下公園・港エリア」に分類され、「山下公園・港エリア」はその上位階層である「横浜方面」に分類されている。
【0018】
GPS装置2は、GPS受信機によるGPS衛星からの受信情報に基づいて、自車の位置を2次元若しくは3次元の座標データによって特定する装置である。地図データベース1の地図データやPOIデータとGPS装置2による座標データとに基づき、自車が地図上のどのような地点に位置しているのかが把握可能となる。
【0019】
制御部3は、地図データベース1及びGPS装置2と連携して、ナビゲーション装置10全体としての動作を制御する。制御部3は、目的抽出部4、経路探索部5、分岐判断部6及び目的到達度判定部7を有する。
【0020】
目的抽出部4は、後述の所定の目的達成度を満たす目的情報を地図データベース1のPOIデータから抽出する。
【0021】
経路探索部5は、目的抽出部4によって抽出された目的情報を達成可能な地点に通ずる経路を探索する。経路の探索方法の一例として、ダイクストラ法が挙げられる。
【0022】
分岐判断部6は、経路探索部5によって探索された経路上に存在する交差点等の分岐点を検索する。分岐判断部6は、地図データベース1内の地図データに基づいて分岐点を検索することができる。なお、経路探索部5によって探索される経路は、GPS装置2によって検出された現在位置情報等に基づき、「マップマッチング」や「リルート機能」によって補正可能であって、それに伴い、分岐点判断部6によって検索される分岐点も補正され得る。
【0023】
目的到達度判定部7は、詳細は後述するが、現在地における目的情報の到達度合を示す目的到達度を判定する。目的到達度が高いほど、車両が目的情報に到達しやすい地点を走行していることを示している。
【0024】
制御部3は、ユーザとの対話を行うために、上述の目的抽出部4等の制御結果に基づいて、後述する入出力装置20との間で所定の情報や制御指令の入出力を実行する。例えば、制御部3は、分岐判断部6によって検索された分岐点に車両が到達する手前において目的抽出部4によって抽出された目的情報をユーザに提示するよう後述の入出力装置20に対して指令をしたり、入出力装置20を介してユーザからの情報を取得したりする。
【0025】
なお、図1に示されるナビゲーション装置10は、制御プログラムや制御データを記憶するROM、制御プログラムの処理データを一時的に記憶するRAM、制御プログラムを処理するCPU、外部と情報をやり取りするための入出力インターフェースなどの複数の回路要素によって構成されたものである。また、ナビゲーション装置10は一つの制御ユニットとは限らず、制御が分担されるように複数の制御ユニットであってよい。
【0026】
一方、図1に示される入出力装置20は、ユーザの操作を入力情報として取得する入力情報取得手段や、ユーザに対して情報を提示する情報提示手段を備え、それらの手段として、表示装置11及び音声装置12が存在する。入力情報取得手段は、スイッチ操作や表示装置11によるタッチパネル操作やマイク13による音声入力等によって、ユーザからのナビゲーション装置10に対する指示情報を取得する。情報提示手段は、表示装置11による表示やスピーカー14による音声出力等のユーザが認識可能な態様によって、ナビゲーション装置10から提供される情報をユーザに提示する。
【0027】
例えば、入力情報取得手段を介してこれから向かう目的地が設定されると、GPS装置2により特定された現在地点と地図データベース1内の地図データとに基づいて目的地までの走行経路が経路探索部5によって探索され、情報提示手段を介して走行経路の探索結果がユーザに提供される。
【0028】
また、分岐判断部6によって検索された分岐点に車両が到達する手前において目的抽出部4によって抽出された目的情報をユーザに提示される。図6は、表示装置11の表示画面の一例を示した図である。現在地点P0を走行する車両の進行方向にR1とR2の経路に分岐する交差点が存在する場合、その交差点に到達する所定距離手前の地点において、経路R1を進んだ場合に到達可能な目的地の選択肢W1が表示され、経路R2を進んだ場合に到達可能な目的地の選択肢W2が表示される。このような選択肢が表示されることによって、ユーザは、走行目的がはっきりと決まっていなくても、この先の交差点でどのように曲がればどのような目的地にたどり着けるのかを把握することが可能となる。
【0029】
次に、このような構成を有する本実施形態の経路案内装置の動作について説明する。図2は、本実施形態の経路案内装置の動作に関するメインフローである。本メインフローは、ユーザやシステムからの経路案内の起動指令に基づき開始する。
【0030】
ナビゲーション装置10は、入出力装置20を介して、ユーザが目的とする情報の抽出と抽出された情報のユーザに対する提示を行う(ステップ100)。抽出された情報のユーザに対する提示は、車両が交差点等の分岐点に到達する手前において行われる。次に、ナビゲーション装置10は、ユーザが選択した目的情報を達成する経路の探索を行う(ステップ200)。そして、探索された経路上に存在する分岐点が検索される(ステップ300)。なお、経路探索は、GPS装置2を用いた現在位置検索やマップマッチングやリルート機能によって適宜補正されるとともに、分岐点の検索結果も適宜補正される。
【0031】
ナビゲーション装置10は、ステップ300で検索された分岐点の手前に車両が到達しているか否かを判断する(ステップ400)。分岐点の手前に車両が到達している場合には、ステップ100に戻って目的情報の抽出と提示が行われる。分岐点の手前に車両が到達していない場合には、ステップ500に移行する。目的地に到達している場合には本メインフローは終了し、目的地に到達していない場合にはステップ300に戻って、分岐点の検索が継続される。
【0032】
図3は、図2のステップ100における目的情報の抽出と提示に関する詳細フローである。ナビゲーション装置10は、目的情報(目的地)が設定されているか否かを判断する(ステップ5)。
【0033】
目的地が未設定の場合には(ステップ5;Yes)、図4に示されるPOIデータのうち「方面」の目的情報に関する目的到達度の判定が行われ(ステップ10)、閾値Th1以上の目的到達度となる「方面」の目的情報の抽出と提示が行われる(ステップ15)。すなわち、図4のPOIデータに含まれる「方面」のうち目的到達度の高い「方面」が目的抽出部4によって抽出され、その抽出された「方面」の提示が表示装置11等を介して行われる。例えば、現在地点が東京都の場合にはその隣接県である神奈川方面や埼玉方面などが目的情報として抽出されるとともにユーザに対して提示される。また、例えば、現在地点が東京駅の場合には所定距離内や所定到達可能時間内にある都市である横浜方面や千葉方面などが目的情報として抽出されるとともにユーザに対して提示される。
【0034】
ナビゲーション装置10は、入出力装置20を介して、ステップ15において提示された「方面」の目的情報をユーザが選択したか否かを判断する(ステップ20)。ユーザが選択したか否かは、ユーザが入出力装置20を介して目的情報を選択したか否かによって判断してもよいし、車両がその分岐点を通過したか否かによって判断してもよい。つまり、複数の分岐路のうち一の分岐路に車両が進入した場合に、その分岐路の方向に属する目的情報が選択されたとみなせばよい。
【0035】
提示された「方面」の目的情報が選択された場合には(ステップ20;Yes)、選択された「方面」の目的情報に関する目的到達度が所定値アップし(ステップ25)、非選択の「方面」の目的情報に関する目的到達度が所定値ダウンする(ステップ30)。例えば、現在地点に対して同一の方面に相当する「横浜方面」及び「川崎方面」がユーザに提示されている状態において、「横浜方面」が選択された場合には横浜方面の目的到達度がアップし、選択されなかった「川崎方面」の目的到達度はダウンする。
【0036】
すなわち、ユーザが選択した方面はユーザが目的地として希望する方面とみなすことができ、ユーザが選択しなかった方面はユーザが目的地として希望しない方面とみなすことができる。したがって、各「方面」の目的情報に関する目的到達度を上述のステップ25及び30のようにアップ・ダウンさせることによって、ステップ15において抽出及び提示される「方面」の目的情報が自動的に変化し、ユーザが希望する「方面」の目的情報が自ずと絞り込まれユーザに提示されることになる。
【0037】
そして、ステップ20において選択された目的情報の代表地点を経路探索用目的地として設定する(ステップ35)。例えば、「横浜方面」が選択された場合には、目的地が「横浜方面」で設定され、その横浜方面の代表地点として予め登録された「横浜市役所」が経路探索用目的地として設定される。この場合、図2のステップ200において、横浜市役所を目的地として経路の探索が行われることになる。
【0038】
一方、提示された「方面」の目的情報が選択されなかった場合には(ステップ20;Yes)、提示された「方面」の目的情報に関する目的到達度が所定値ダウンし(ステップ40)、提示されなかった「方面」の目的情報に関する目的到達度が所定値アップする(ステップ45)。例えば、「千葉方面」がユーザに提示されている状態において、提示されていない「横浜方面」が目的とする方面としてユーザによって選択(設定)された場合には「千葉方面」の目的到達度がダウンし、提示されていなかった「横浜方面」の目的到達度がアップする。
【0039】
すなわち、ユーザが選択した方面はユーザが目的地として希望する方面とみなすことができ、ユーザが選択しなかった方面はユーザが目的地として希望しない方面とみなすことができる。したがって、各「方面」の目的情報に関する目的到達度を上述のステップ40及び45のようにアップ・ダウンさせることによって、ステップ15において抽出及び提示される「方面」の目的情報が自動的に変化し、ユーザが希望する「方面」の目的情報が自ずと絞り込まれユーザに提示されることになる。
【0040】
一方、目的地が設定されている場合には(ステップ5;No)、目的地が「方面」で設定されているか否かを判断する(ステップ50)。上述のステップ35の例示において目的地が「横浜方面」で設定されたように、目的地が「方面」で設定されている場合には(ステップ50;Yes)、図4に示されるPOIデータのうちステップ20においてユーザによって選択された「方面」の目的情報に対応した下位階層の「エリア」の目的情報に関する目的到達度の判定が行われ(ステップ55)、閾値Th2以上の目的到達度となる「エリア」の目的情報の抽出と提示が行われる(ステップ60)。
【0041】
すなわち、上述の「方面」の目的情報の抽出と提示と同様に、図4のPOIデータに含まれる「エリア」のうち目的到達度の高い「エリア」が目的抽出部4によって抽出され、その抽出された「エリア」の提示が表示装置11等を介して行われる。
【0042】
ナビゲーション装置10は、入出力装置20を介して、ステップ60において提示された「エリア」の目的情報をユーザが選択したか否かを判断する(ステップ20)。
【0043】
上述の「方面」の目的情報の場合と同様に、提示された「エリア」の目的情報が選択された場合には(ステップ20;Yes)、選択された「エリア」の目的情報に関する目的到達度が所定値アップし(ステップ25)、非選択の「エリア」の目的情報に関する目的到達度が所定値ダウンする(ステップ30)。そして、ステップ20において選択された目的情報の代表地点を経路探索用目的地として設定する(ステップ35)。例えば、「山下公園・港エリア」が選択された場合には、目的地が「山下公園・港エリア」で設定され、その山下公園・港エリアの代表地点として予め登録された「山下公園」が経路探索用目的地として設定される。この場合、図2のステップ200において、山下公園を目的地として経路の探索が行われることになる。
【0044】
一方、提示された「エリア」の目的情報が選択されなかった場合には(ステップ20;No)、提示された「エリア」の目的情報に関する目的到達度が所定値ダウンし(ステップ40)、提示されなかった「エリア」の目的情報に関する目的到達度が所定値アップする(ステップ45)。
【0045】
したがって、各「エリア」の目的情報に関する目的到達度を上述のステップ25,30,40及び45のようにアップ・ダウンさせることによって、ステップ60において抽出及び提示される「エリア」の目的情報が自動的に変化し、ユーザが希望する「エリア」の目的情報が自ずと絞り込まれユーザに提示されることになる。
【0046】
一方、目的地が「方面」で設定されているか否かを判断し、目的地が「方面」で設定されていない場合には(ステップ50;No)、目的地が「エリア」で設定されているか否かを判断する(ステップ70)。上述のステップ35の例示において目的地が「山下公園・港エリア」で設定されたように、目的地が「エリア」で設定されている場合には(ステップ70;Yes)、図4に示されるPOIデータのうちステップ20においてユーザによって選択された「エリア」の目的情報に対応した下位階層の「ランドマーク」の目的情報に関する目的到達度の判定が行われ(ステップ75)、閾値Th3以上の目的到達度となる「ランドマーク」の目的情報の抽出と提示が行われる(ステップ80)。
【0047】
すなわち、上述の「方面」や「エリア」の目的情報の抽出と提示と同様に、図4のPOIデータに含まれる「ランドマーク」のうち目的到達度の高い「ランドマーク」が目的抽出部4によって抽出され、その抽出された「ランドマーク」の提示が表示装置11等を介して行われる。
【0048】
図7は、表示装置11の表示画面の推移の一例を示した図である。現在地点P0を走行する車両の進行方向にR3とR4の経路に分岐する分岐点が存在する場合、その分岐点に到達する所定距離手前の地点において、経路R3を進んだ場合に達成可能な目的情報の選択肢W1が表示され、経路R4を進んだ場合に達成可能な目的情報の選択肢W2が表示される(図7(a))。例えば、図7(a)において、ユーザが選択肢W1のうち「駐車場」を選択した場合には、経路R3方向の駐車場の下位階層に属する「○○駐車場や○△駐車場など」がPOIデータから抽出され選択肢W4として表示される(図7(b))。また、例えば、図7(a)において、ユーザが「左」と音声等による入力をした場合には、経路R3方向の下位階層に属する「○×タワーや○△センターなど」がPOIデータから抽出され選択肢W5として表示される(図7(c))。また、例えば、図7(a)において、ユーザが「右」と音声等による入力をした場合には、経路R4方向の下位階層に属する「山下公園や中華街など」がPOIデータから抽出され選択肢W6として表示される(図7(d))。なお、図7の各図の左上のW3に示されるように、ユーザの意図を一つずつ理解していることを視覚化するために、設定された情報を段階的に明示すると望ましい。また、図7の各図のW*a等のように、表示されていない目的情報がある旨を視覚化することが望ましい。また、図7(d)のW6cのように、下位階層を更に有する目的情報であることを視覚化することが望ましい。
【0049】
ナビゲーション装置10は、入出力装置20を介して、ステップ80において提示された「ランドマーク」の目的情報をユーザが選択したか否かを判断する(ステップ20)。
【0050】
上述の「方面」や「エリア」の目的情報の場合と同様に、提示された「ランドマーク」の目的情報が選択された場合には(ステップ20;Yes)、選択された「ランドマーク」の目的情報に関する目的到達度が所定値アップし(ステップ25)、非選択の「ランドマーク」の目的情報に関する目的到達度が所定値ダウンする(ステップ30)。そして、ステップ20において選択された目的情報の代表地点を経路探索用目的地として設定する(ステップ35)。
【0051】
一方、提示された「ランドマーク」の目的情報が選択されなかった場合には(ステップ20;No)、提示された「ランドマーク」の目的情報に関する目的到達度が所定値ダウンし(ステップ40)、提示されなかった「ランドマーク」の目的情報に関する目的到達度が所定値アップする(ステップ45)。
【0052】
したがって、各「ランドマーク」の目的情報に関する目的到達度を上述のステップ25,30,40及び45のようにアップ・ダウンさせることによって、ステップ80において抽出及び提示される「ランドマーク」の目的情報が自動的に変化し、ユーザが希望する「ランドマーク」の目的情報が自ずと絞り込まれユーザに提示されることになる。
【0053】
一方、目的地が「エリア」で設定されているか否かを判断し、目的地が「エリア」で設定されていない場合には(ステップ70;No)、目的地が既に「ランドマーク」で設定されているとして、本ステップ100のフローは終了する。
【0054】
したがって、本実施形態の経路案内装置によれば、ユーザが目的地を予め絞り込むことなく、目的に応じた方面やエリアを分岐点の手前にて提示することによって、ユーザを満足させる走行目的を達成可能な経路を案内することができる。
【0055】
図5は、ユーザが目的地を予め絞り込まずに、ユーザを満足させる走行目的を達成可能な経路を案内するまでの流れを説明するための図である。本実施形態の経路案内装置は、目的地が設定されていない場合、目的地の問い合わせ或いは提案をユーザに対して行う。図5(a)に示されるように、ユーザによって「横浜方面」が目的地として設定(選択)されると(図2のステップ100)、横浜方面に向けた経路探索が行われる(図2のステップ200)。
【0056】
そして、図5(b)に示されるように、横浜方面に向けた経路上に存在する分岐点の所定距離手前に車両が到達すると(ステップ300,400)、目的地が「横浜方面」で設定されているので、「横浜方面」に対応した下位階層の「エリア」の目的情報に関する目的到達度の判定が行われ、目的到達度が所定値以上ある「エリア」の目的情報が抽出される(図2のステップ100)。そして、目的到達度が所定値以上あるエリアの選択肢とその経路が提示される。すなわち、「横浜駅、桜木町、みなとみらいエリア」に向かう経路R1と「本牧、元町エリア」に向かう経路R2が提示される。ユーザによって「横浜駅エリア」が目的地として選択されると(図2のステップ100)、横浜駅エリアに向けた経路探索が行われる(図2のステップ200)。ユーザによって「横浜駅エリア」が目的地として選択されなければ、「本牧、元町エリア」やそれ以外のエリア等の別エリアの提案が行われる。
【0057】
そして、図5(c)に示されるように、横浜駅エリアに向けた経路上に存在する分岐点の所定距離手前に車両が到達すると(ステップ300,400)、目的地が「横浜駅エリア」で設定されているので、「横浜駅エリア」に対応した下位階層の「ランドマーク」の目的情報に関する目的到達度の判定が行われ、目的到達度が所定値以上ある「ランドマーク」の目的情報が抽出される(図2のステップ100)。そして、目的到達度が所定値以上あるランドマークの選択肢とその経路が提示される。すなわち、「山下公園、県庁」に向かう経路R3と「マリンタワー」に向かう経路R4が提示される。ユーザによって「山下公園」が目的地として選択されると(図2のステップ100)、山下公園に向けた経路探索が行われる(図2のステップ200)。その結果、ユーザが最終的に希望する目的地である山下公園に到達可能な経路が案内されることになる。
【0058】
つまり、ユーザが目的地を具体的に決めている状況であれば、最初からその目的地の経路を案内するように設定操作すればよいのであるが、ユーザの走行目的が漠然とした状況では、そのような設定操作を行うことはできない。しかしながら、本実施形態の経路案内装置によれば、ユーザとの対話の中で走行目的を絞り込みユーザを満足させる走行目的を達成可能な経路を案内することができ、ユーザの設定操作の負担を軽減することが可能である。
【0059】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0060】
例えば、ユーザに提示される目的情報は具体的な目的地でなくてもよく、「ショッピング」「映画」「スポーツ」などを走行目的としてもよい。「ショッピング」等の付属情報を、図4に示されるように、POIデータに含めておけば、その付属情報が選択された場合に、上述のような抽出及び提示をすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の経路案内装置の一実施形態を示した図である。
【図2】本実施形態の経路案内装置の動作に関するメインフローである。
【図3】図2のステップ100における目的情報の抽出と提示に関する詳細フローである。
【図4】POIデータの一例を示した図である。
【図5】ユーザが目的地を予め絞り込まずに、ユーザを満足させる走行目的を達成可能な経路を案内するまでの流れを説明するための図である。
【図6】表示装置11の表示画面の一例を示した図である。
【図7】表示装置11の表示画面の遷移の一例を示した図である。
【符号の説明】
【0062】
1 地図データベース
2 GPS装置
3 制御部
4 目的抽出部
5 経路探索部
6 分岐判断部
7 目的到達度判定部
10 ナビゲーション装置
11 表示装置
12 音声装置
20 入出力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの走行目的に関する階層化された目的情報を記憶する記憶手段と、
ユーザによって選択された目的情報に基づいて、その目的情報に対応した下位の目的情報を前記記憶手段から抽出する目的抽出手段と、
前記目的抽出手段によって抽出された下位の目的情報を達成する経路を探索する経路探索手段と、
前記経路探索手段によって探索された経路上に存在する分岐点を検索する分岐点検索手段と、
前記分岐点検索手段によって検索された分岐点に車両が到達する手前において前記目的抽出手段によって抽出された下位の目的情報を選択肢としてユーザに提示する提示手段とを備える、経路案内装置。
【請求項2】
前記目的情報の到達度合を示す目的到達度を判定する判定手段を備え、
前記目的抽出手段は、前記判定手段によって判定された目的到達度に応じて、前記提示手段によって提示すべき下位の目的情報を抽出する、請求項1記載の経路案内装置。
【請求項3】
前記目的抽出手段は、前記提示手段によって提示された目的情報が選択されるか否かに応じて、前記提示手段によって提示すべき下位の目的情報を抽出する、請求項1または2記載の経路案内装置。
【請求項4】
前記判定手段は、前記提示手段によって提示された目的情報が選択された場合、選択された目的情報に関する目的到達度を上げて、選択されなかった目的情報に関する目的到達度を下げる、請求項2または3に記載の経路案内装置。
【請求項5】
前記判定手段は、前記提示手段によって提示された目的情報が選択されなかった場合、前記提示手段によって提示された目的情報に関する目的到達度を上げて、前記提示手段によって提示されなかった目的情報に関する目的到達度を下げる、請求項2または3に記載の経路案内装置。
【請求項6】
前記提示手段によって提示された目的情報が選択されるか否かは、該提示された目的情報が達成される方向への車両の進行有無により判断される、請求項3から5のいずれかに記載の経路案内装置。
【請求項7】
前記提示手段は、前記目的抽出手段によって抽出された下位の目的情報が達成される方向を提示する、請求項1から6のいずれかに記載の経路案内装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−285870(P2007−285870A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−113344(P2006−113344)
【出願日】平成18年4月17日(2006.4.17)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】