説明

経路選択装置および経路選択用プログラム

【課題】信号機付き交差点を通る経路を効率よく回避するように推奨経路の選択を行う技術を提供する。
【解決手段】車両用ナビゲーション装置は、現在位置から目的位置までの暫定経路を選択し(110)、暫定経路中のすべての交差点のそれぞれについて(120、190)、その交差点が信号機を有し(130)、その交差点を回避する回避経路が交差点近傍にあり(140)、その回避経路中に信号機が設けられず(150)、その回避路が一方通行であり(160)、かつその回避路が途中に曲折交差点を含まない(170)と判定したとき、暫定経路中の一部を、当該交差点についての回避経路に置き換えた経路を推奨経路とする(180)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経路を選択するための経路選択装置および経路選択用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
信号機付き交差点の周辺に、その交差点を通って右折または左折(以下、曲折という)することを回避するための道路(以下、信号交差点回避道路という)が設けられている場合がある。そのような信号交差点回避道路の一例として、図3に、交差点30手前にある右折専用道路31、32を示す。このような右折用の道路を通ることで、車両は交差点30で信号待ちをすることなく右折することができるようになる。ある地点から別の地点までの複数の経路のうちから1つ以上の推奨経路を算出し、算出した推奨経路をユーザに提示する経路選択装置が、このような信号機付き交差点そのものを通る経路よりも、その信号機を回避して信号交差点回避道路を通る回避経路をより優先的に選択するようになることが望まれる。
【0003】
経路選択装置の一例であるナビゲーション装置の多くは、目的地までの複数の経路のそれぞれについてコストを計算し、そのコストが低いものを推奨経路として選択する。コスト計算は、各経路の車線数、長さ、曲折交差点数、信号機数等に基づいて行なわれる。上記のような信号交差点回避道路は、信号機を備えてはいないものの、交差点に進入する道路に比べて狭い場合が多く、また、信号交差点回避道路入口と信号交差点回避道路出口という計2つの曲折交差点を有している。したがって、従来のナビゲーション装置は、信号交差点回避道路よりも交差点経由経路を推奨経路として優先的に選択してしまう場合がある。
【0004】
また、特許文献1に記載のナビゲーション装置においては、地図データ中に、どの道路が上記のような信号交差点回避道路であるかを示す識別情報を記憶している。そして、この識別情報に基づいて、信号交差点回避道路を優先的に推奨経路として算出するようになっている。
【特許文献1】特開平11−72340号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、このような識別情報を有する地図データを作成するため、すべての信号機付き交差点について、信号交差点回避道路があるか否かの調査を行うことは困難であり、可能であったとしても多大なコストを要する。
【0006】
本発明は、従来にない新規な方法で、信号機付き交差点を通る経路を効率よく回避するように推奨経路の選択を行う技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための請求項1に記載の発明において、道路地図のデータに基づいて推奨経路を選択する経路選択装置が、道路地図上の交差点について、その交差点に信号機が設けられているという第1の条件、当該交差点を終点とする進入経路上における当該交差点の近傍の点から分岐し、かつ前記交差点を通らず、かつ当該交差点を始点とする退出経路に合流する回避経路があるという第2の条件、および、当該回避経路に信号機が設けられていないという第3の条件が満たされているか否かを、当該道路地図のデータに基づいて判定する。さらにこの経路選択装置は、第1ないし第3の条件のすべてが満たされていると判定したことに基づいて、前記進入経路から前記回避経路への分岐点を始点とし、前記進入経路、前記交差点、および前記退出経路を通り、かつ前記退出経路と前記回避経路の合流点を終点とする交差点経由経路に比較して、当該回避経路が、当該推奨経路としてより選択され易くなるような処理を行う。
【0008】
このように、経路選択装置は、当該交差点に信号機が設けられており、当該交差点についての回避経路があり、かつ、当該回避経路に信号機が設けられていないことに基づいて、その回避経路が、推奨経路としてより選択され易くなるような処理を行う。したがって、経路選択装置は、信号機付き交差点を通る経路を効率よく回避するような経路選択を行うことができる。
【0009】
また、請求項2に記載の経路選択装置のように、さらに回避経路が進入経路から退出経路に向けて一方通行であるという第4の条件を満たされているか否かを判定し、第1ないし第4の条件のすべてが満たされていると判定したことに基づいて、交差点経由経路に比較して、回避経路が、推奨経路としてより選択され易くなるような処理を行うようになっていてもよい。このような条件を追加することで、回避経路を推奨経路としてより選択され易くなるようにするか否かの判定がより詳細になり、ひいては、信号機付き交差点を通る経路をより効率よく回避するような経路選択を行うことができる。
【0010】
また、請求項3に記載の経路選択装置のように、この第4の条件は、回避経路が、進入経路から分岐する点および退出経路から退出する点以外に、曲折する交差点を有していないという条件であってもよい。このような条件を追加する場合も、回避経路を推奨経路としてより選択され易くなるようにするか否かの判定がより詳細になり、ひいては、信号機付き交差点を通る経路をより効率よく回避するような経路選択を行うことができる。
【0011】
また、請求項4に記載の経路選択装置のように、前記道路地図のデータに基づいて、暫定経路を選択し、その暫定経路上の交差点について、上述の各条件のそれぞれが満たされているか否かを判定し、さらに、交差点経由経路に比較して回避経路が推奨経路としてより選択され易くなるような処理として、暫定経路中の交差点経由経路を回避経路に置き換えた経路を推奨経路として選択するようになっていてもよい。このようにすることで、推奨経路の選択の際、暫定経路上にない交差点について上述の各判定を行う必要がなくなる。
【0012】
また、請求項5に記載の経路選択装置のように、道路地図のデータに基づいて前記複数の経路のコストを算出し、算出されたコストが低い経路を優先的に前記推奨経路として選択する場合、交差点経由経路に比較して回避経路が推奨経路としてより選択され易くなるような処理として、回避経路のコストを低下させるようになっていてもよい。このようにすることで、信号機付き交差点を通る経路を効率よく回避するような経路選択を行う処理を、経路のコスト計算に組み込むことができる。
【0013】
また、請求項6に記載の発明は、道路地図上の交差点について、その交差点に信号機が設けられているという第1の条件、当該交差点を終点とする進入経路上における当該交差点の近傍の点から分岐し、かつ当該交差点を始点とする退出経路に合流する回避経路があるという第2の条件、および、当該回避経路に信号機が設けられていないという第3の条件が満たされているか否かを、当該道路地図のデータに基づいて判定する判定機能、および、道路地図上の複数の経路から、当該道路地図のデータに基づいて、推奨経路を選択し、さらに、当該判定手段が当該第1ないし第3の条件のすべてが満たされていると判定したことに基づいて、当該進入経路から当該回避経路への分岐点を始点とし、当該進入経路、当該交差点、および当該退出経路を通り、かつ当該退出経路と当該回避経路の合流点を終点とする交差点経由経路に比較して、当該回避経路が、当該推奨経路としてより選択され易くなるような処理を行う経路選択機能を、コンピュータに実現させる経路選択用プログラムである。このようなプログラムとしても、本発明を捉えることができる。
【0014】
また、請求項7に記載のように、道路地図を示す地図データ上の交差点について、その交差点に信号機が設けられているという第1の条件、当該交差点を終点とする進入経路上における当該交差点の近傍の点から分岐し、かつ当該交差点を始点とする退出経路に合流する回避経路があるという第2の条件、および、当該回避経路に信号機が設けられていないという第3の条件が満たされているか否かを、当該道路地図のデータに基づいて判定する判定手順と、当該判定手順によって第1〜第3の条件のすべてが満たされていると判定された回避経路に関連づけて、所定の識別情報を当該地図データに追加する追加手順をもって、地図データを製造するようになっていてもよい。
【0015】
このようにして製造された地図データを用いて、出発地から目的地までの推奨経路を選択する場合、経路選択装置は、当該識別情報が関連付けられた回避経路を、その回避経路が回避する交差点を通る経路よりも優先的に選択すれば、経路選択装置は、信号機付き交差点を通る経路を効率よく回避するような経路選択を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について説明する。図1に、本実施形態に係る車両用ナビゲーション装置1のハードウェア構成を示す。この車両用ナビゲーション装置1は、位置検出器11、画像表示装置12、操作スイッチ群13、スピーカ14、VICS受信機15、RAM16、ROM17、外部記憶部18、および制御回路19を有している。
【0017】
位置検出器11は、いずれも周知の図示しない地磁気センサ、ジャイロスコープ、車速センサ、およびGPS受信機等のセンサを有しており、これらセンサの各々の性質に基づいた、車両の現在位置や向きを特定するための情報を制御回路19に出力する。
【0018】
画像表示装置12は、制御回路19から出力された映像信号に基づいた映像をユーザに表示する。表示映像としては、例えば現在地を中心とする地図等がある。
【0019】
操作スイッチ群13は、車両用ナビゲーション装置1に設けられた複数のメカニカルスイッチ、画像表示装置12の表示面に重ねて設けられたタッチパネル等の入力装置から成り、ユーザによるメカニカルスイッチの押下、タッチパネルのタッチに基づいた信号を制御回路19に出力する。
【0020】
VICS受信機15は、道路沿いに設置された路上機から無線送信された道路の渋滞情報、交通規制情報等を受信して制御回路19に出力する無線受信機である。
【0021】
外部記憶部18は、DVD、CD、HDD等の不揮発性の記憶媒体およびそれら記憶媒体に対してデータの読み出し(および可能ならば書き込み)を行う装置から成り、制御回路19が実行するプログラム、経路案内用の地図データ等を記憶している。
【0022】
地図データは、道路データおよび施設データを有している。施設データは、施設毎のレコードを複数有しており、各レコードは、対象とする施設の名称情報、所在位置情報、施設種類情報等を示すデータを有している。道路データは、複数のノードのそれぞれに対応する複数のノードレコード、および複数のリンクのそれぞれに対応する複数のリンクレコードを有している。ノードとは、道路上の交差点、分岐点、合流点、または屈曲点を示す概念である。リンクとは、ノードとノードとを繋ぐ道路を示す概念である。
【0023】
各ノードレコードは、対応するノードの識別データ、当該ノードの位置座標、当該ノードに接続するリンクの識別データ、当該ノードの付加属性データを含む。ノードの付加属性データは、当該ノードが信号機を有するか否か、当該ノードが立体交差点であるか否か等の情報を有している。
【0024】
各リンクレコードは、対応するリンクの識別データ、当該リンクの始点および終点の位置座標データ、当該リンクの向きデータ、当該リンクの道路幅データ、当該リンクのレーン数データ、当該リンクに接続するノードの識別データ、当該リンクの道路種別(高速道路、国道、県道の区別等)、ならびに当該リンクの付加属性情報を有している。リンクの付加属性データは、当該リンクが一方通行道路であるか否か、一方通行であれば始点または終点のどちらの方向への一方通行であるか、当該リンクが信号機を有しているか否か等の情報を有する。
【0025】
制御回路(コンピュータの一例に相当する)19は、ROM17および外部記憶部18から読み出した車両用ナビゲーション装置1の動作のためのプログラムを実行し、その実行の際にはRAM16、ROM17、および外部記憶部18から情報を読み出し、RAM16および外部記憶部18に対して情報の書き込みを行い、位置検出器11、画像表示装置12、操作スイッチ群13、およびスピーカ14と信号の授受を行う。
【0026】
制御回路19がプログラムを実行することによって行う具体的な処理としては、現在位置特定処理、推奨経路算出処理、経路案内処理等がある。
【0027】
現在位置特定処理は、位置検出器11からの信号に基づいて、周知のマップマッチング等の技術を用いて車両の現在位置や向きを特定する処理である。以下、自車両の現在位置は、この現在位置特定処理によって特定されるものとする。
【0028】
推奨経路選択処理は、道路データ中における出発地点から目的地点までの可能な経路のうちから、推奨経路を1つまたは複数算出する処理である。出発地点は、特定された現在位置としてもよいし、ユーザが操作部13を用いて指定した位置であってもよい。目的地点は、ユーザが操作部13を用いて指定した位置であってもよいし、他の方法によって制御回路19が特定した位置であってもよい。
【0029】
経路案内処理は、外部記憶部18から地図データを読み出し、算出された推奨経路、目的地、経由地および現在位置等がこの地図データの示す地図上に重ねられた画像を画像表示装置12に出力し、案内交差点の手前に自車両が到達したとき等の必要時に、右折、左折等を指示する案内音声信号をスピーカ14に出力する処理である。なお、案内交差点とは、推奨経路に沿って走行するには右折または左折しなければならない交差点をいう。
【0030】
制御回路19は、推奨経路選択処理を実現するために、図2に示す推奨経路選択プログラム100を実行する。
【0031】
制御回路19は、出発地点および目的地点を上述のように特定した後、推奨経路選択プログラム100の実行を開始し、まずステップ110で、出発地点から目的地点までの暫定経路を選択する。その選択方法は、出発地点から目的地までの複数の経路のそれぞれについて総コストを算出し、総コストが最も小さい経路を暫定経路とする。より具体的には、周知のダイクストラ法や遺伝的アルゴリズムを用いる。ここで、各経路の総コストは、その経路に含まれるリンクおよびノードに関するリンクレコードおよびノードレコードに基づいて算出する。
【0032】
具体的には、経路中のノード毎に、そのノードが信号機を有しているか、その経路がそのノードを直進するか曲折するかを、対応するノードレコードに基づいて判定し、その判定結果に基づいて当該ノードのコストを算出する。より具体的には、当該ノードが信号機を有している場合の方が有していない場合に比べて、そのノードのコストをより高くする。また、当該ノードを曲折する場合の方が直進する場合に比べて、そのノードのコストをより高くする。
【0033】
また、経路中のリンク毎に、そのリンクの長さ、そのリンクの幅、そのリンクのレーン数、そのリンクの道路種別、およびそのリンクの有する信号機数を、対応するリンクレコードに基づいて判定し、その判定結果に基づいて当該リンクのコストを算出する。より具体的には、当該リンクの長さが長いほどそのリンクのコストを高くし、そのリンクの幅が広いほどそのリンクのコストを低くし、そのリンクのレーン数が多いほどそのリンクのコストを低くし、そのリンクの道路種別の規模が大きいほどそのリンクのコストを低くし、そのリンクの有する信号機数が多いほどそのリンクのコストを高くする。なお、道路種別の規模は、高速道路が最も大きく、以下都市高速、有料道、国道、県道の順に規模が小さくなっていく。
【0034】
そして、このように算出した各ノード、リンクのコストの総和が、当該経路の総コストとなる。したがって、経路の総コストは、その経路に含まれるノードの数およびリンクの数が大きくなるほど大きくなり、また、各ノードおよびリンク個々のコストが大きくなるほど大きくなる。
【0035】
このような方法で選択された暫定経路は、例えば図3に示すような信号機付き交差点30に図中右下側の進入経路28から進入して図中右上の退出経路29に退出するような経路となっている場合がある。これは、右折用道路31は信号機を有さないものの、進入経路28および退出経路29に比べて道幅も狭く車線数も少ないからである。さらに、道路データ上では、進入経路28と右折用道路31の分岐点、および右折用道路31と退出経路29の合流点はノードとなっている。図4に、この交差点30周辺の道路構造をリンクとノードとで表す。図4においては、交差点30がノード54に相当し、右折用道路31がリンク67に相当する。また、ノード51からノード54までの太線で示した直線経路が進入経路28に相当し、ノード54からノード57までの太線で示した直線経路が退出経路29に相当する。したがって、図4に示す通り、ノード53→リンク63→ノード54→リンク64→ノード55という経路よりも、ノード53→リンク67→ノード55という信号交差点回避経路の方が、通過するノード数が多くなる。これらのことから、交差点のない道路といえども暫定経路として選択されない場合があることがわかる。以下、ステップ110において、図4中の太線で示す経路(ノード51→リンク61→ノード52→リンク62→ノード53→リンク63→ノード54→リンク64→ノード55→リンク65→ノード56→リンク66→ノード57の経路)が暫定経路として選択されたものとする。
【0036】
ステップ110に続いてステップ120では、選択された暫定経路上のすべての曲折交差点のうち、まだこのステップ120で選択されていないものを1つ選択する。曲折交差点とは、対象となる経路(ここでは暫定経路)に沿って走行するためには右折または左折しなければならない交差点をいう。図4におけるノード54は、曲折交差点に該当する。以下、ステップ120で最も新しく選択された交差点を選択交差点という。
【0037】
続いてステップ130では、選択交差点に信号機が設けられているか否かを、当該選択交差点のノードレコードに基づいて判定する。すなわち、選択交差点に信号機が設けられているという第1の条件が満たされているか否かを判定する。第1の条件が満たされている場合続いてステップ140を実行し、満たされていない場合続いてステップ190を実行する。
【0038】
ステップ140では、選択交差点の手前近傍に回避経路があるか否かを、道路データに基づいて判定する。すなわち、選択交差点の手前近傍に回避経路があるという第2の条件が満たされているか否かを判定する。回避経路とは、選択交差点を終点として暫定経路沿いに直進する進入経路(図4の例においてはノード51からノード54までの太線に対応する)から分岐し、選択交差点を通過せず、かつ選択交差点を始点として暫定経路沿いに直進する退出経路(図4の例においてはノード54からノード57に続く太線に対応する)に合流する経路をいう。図4の例においては、ノード53→リンク67→ノード55の経路が回避経路に相当する。また、手前近傍とは、選択交差点に進入する前の暫定経路上にあり、かつ、選択交差点から基準距離内にある位置をいう。基準距離は、あらかじめ記憶された一定値(例えば50メートル、100メートル、150メートル)であってもよいし、各種条件(例えば位置検出器11から取得した自車両の走行速度の上昇、下降)に基づいて上昇、下降する値であってもよいし、ある範囲内でランダムに決まる値であってもよい。第2の条件が満たされている場合続いてステップ150を実行し、満たされていない場合続いてステップ190を実行する。
【0039】
ステップ150では、当該回避経路に信号機が設けられているか否かを、当該回避経路のリンクに対応するリンクレコードに基づいて判定する。すなわち、当該回避経路上に信号機がないという第3の条件が満たされているか否かを判定する。第3の条件が満たされている場合続いてステップ160を実行し、満たされていない場合続いてステップ190を実行する。
【0040】
ステップ160では、当該回避経路が、進入経路との分岐点(図4の例においてはノード53)から退出経路への合流点(図4の例においてはノード55)に向けて一方通行の道路であるか否かを、当該回避経路のリンクに対応するリンクレコードに基づいて判定する。すなわち、回避経路が一方通行であるという第4の条件が満たされているか否かを判定する。第4の条件が満たされている場合続いてステップ170を実行し、満たされていない場合続いてステップ190を実行する。
【0041】
ステップ170では、回避経路がその両端以外に曲折交差点を含むか否かを、道路データに基づいて判定する。言い換えれば、回避経路が途中に曲折交差点を含まないという第5の条件(特許請求の範囲の第4の条件の一例に相当する)が満たされているか否かを判定する。第5の条件が満たされている場合続いてステップ180を実行し、満たされていない場合続いてステップ190を実行する。
【0042】
ステップ180では、暫定経路中の交差点経由経路を回避経路に置き換え、その置き換えられた後の経路を新たな暫定経路とする。交差点経由経路とは、進入経路と回避経路の分岐点を始点とし、選択交差点を通過し、退出経路と回避経路の合流点を終点とする経路をいう。図4の例においてはノード53→リンク63→ノード54→リンク64→ノード55の経路が、交差点経由経路に相当する。ステップ180の後、ステップ190を実行する。
【0043】
ステップ190では、暫定経路上のすべての曲折交差点が選択済みであるか否かを判定し、選択済みであれば、置き換えられた後の暫定経路を推奨経路として特定し、その後推奨経路選択プログラム100の実行を終了し、選択済みでなければ続いてステップ120で新たな曲折交差点を選択する。
【0044】
以上のような推奨経路選択プログラム100を制御回路19が実行することで、車両用ナビゲーション装置1は、現在位置から目的位置までの暫定経路を選択し(ステップ110参照)、暫定経路中のすべての曲折交差点のそれぞれについて(ステップ120、190参照)、第1の条件から第5の条件のそれぞれが満たされているか否かを判定し(ステップ130〜170参照)、それら条件のすべてが満たされていると判定した交差点について、暫定経路中の当該交差点を通過する交差点経由経路を、当該交差点についての回避経路(図4の例においてはノード53→リンク67→ノード55)に置き換えた経路を推奨経路とする(ステップ180参照)。すなわち、暫定経路中の交差点経由経路に比較して、回避経路が、推奨経路としてより選択され易くなるような処理を行う。
【0045】
なお、第1の条件は、交差点に信号機が設けられていなければ、その交差点を回避して曲折用道路を通る必要性が薄れるという考えを車両用ナビゲーション装置1の作動に反映させるための条件である。また、第2の条件は、ある交差点の回避経路がなければそもそもその交差点を回避することができないという事実を車両用ナビゲーション装置1の作動に反映させるための条件である。また、第3の条件は、回避経路に信号機があれば、交差点の信号機を回避して回避経路を通る必要性が薄れるという考えを車両用ナビゲーション装置1の作動に反映させるための条件である。また、第4の条件は、交差点を回避するための右左折専用道路の多くが一方通行道路であるという考え、および、一方通行道路なら対向車に邪魔されずに走行できる可能性が高くなるという考えを、車両用ナビゲーション装置1の作動に反映させるための条件である。また、第5の条件は、交差点を走行することによる遅延を低減するための回避経路を通るときに右左折があるのでは、交差点を回避して回避経路を通る必要性が薄れるという考えを、車両用ナビゲーション装置1の作動に反映させるための条件である。
【0046】
このようになっているので、車両用ナビゲーション装置1は、信号機付き交差点を通る経路を効率よく回避するような経路選択を行うことができる。また、このようにすることで、推奨経路の選択の際、暫定経路上の曲折交差点のみについて上述の各条件が満たされるか否かを判定すればよいので、制御回路19の処理負荷が軽減される。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態の車両用ナビゲーション装置1のハードウェア構成は、第1実施形態の車両用ナビゲーション装置1と同等である。本実施形態の車両用ナビゲーション装置1の作動と第1実施形態の車両用ナビゲーション装置1の作動との間で異なるのは、交差点経由経路に比較して回避経路が推奨経路としてより選択され易くなるような処理に関する部分である。具体的には、本実施形態の車両用ナビゲーション装置1の制御回路19は、出発地点および目的地点を特定した後の処理において、推奨経路選択プログラム100に代えて図5に示す推奨経路選択プログラム200を実行する。この推奨経路選択プログラム200の実行において、制御回路19は、まずステップ210で、出発地点および目的地点の位置座標に基づいて、この出発地点および目的地点を含む1まとまりの領域を特定する。この領域は、例えば出発地点と目的地点を2つの焦点とする楕円の内部であってもよい。またこの領域は、出発地点と目的地点から等距離にある地点を中心とし、その中心から出発地点までの距離(またはそれより長い距離)を半径とする円の内部であってもよい。またこの領域は、出発地点および目的地が属する市全体(または県全体)でもよい。
【0047】
続いてステップ220では、特定された領域中の交差点、当該交差点を終点として直進する進入経路、および当該交差を始点として直進する退出経路についての、可能なすべての組み合わせ(以下、単に全組み合わせという)のうちから、まだ選択されていない1つの組み合わせを選択する。以下、この選択された組み合わせ中の交差点、進入経路、および退出経路を、それぞれ選択交差点、選択進入経路、および選択退出経路という。
【0048】
ステップ230、240、250、260、270の処理は、第1実施形態の推奨経路選択プログラム100におけるステップ130、140、150、160、170の処理と同等である。ただし、第1実施形態の記載における進入経路を選択進入経路に、退出経路を選択退出経路に、それぞれ読み替える。さらに、第1実施形態の記載における暫定経路を、選択進入経路および選択退出経路を含む経路に読み替える。また、ステップ230〜270で第1〜第5の条件のいずれかが満たされない場合は、続いてステップ290を実行する。
【0049】
また、ステップ230〜270において第1〜第5の条件がすべて満たされたと判定された場合、続いてステップ280で、当該組み合わせについてステップ240で「ある」と判定された回避経路のコストを、それまでの値よりも低下させるための処理を実行する。例えば、当該回避経路のコストを低減させる旨を示すフラグをRAM16に記憶させる。ステップ280に続いてはステップ290を実行する。
【0050】
ステップ290では、全組み合わせが既にステップ220で選択済みであるか否かを判定し、選択済みであれば続いてステップ295を実行し、選択済みでなければ続いてステップ220で、全組み合わせのうちから新たな組み合わせを選択する。
【0051】
ステップ295では、推奨経路選択プログラム100のステップ110で暫定経路を選択したのと同等の方法で、推奨経路を選択する。ただし、各経路の総コストの計算の際には、ステップ280でコストが低減される旨の処理を行った対象の回避経路については、それ以外の経路に比べ、そのコストの値を低下させる。例えば、当該回避経路のコストをゼロにしてもよい。
【0052】
また、当該回避経路のコスト計算の際、当該回避経路の道路幅、車線数等の道路属性が、その回避経路によって回避される信号機付き交差点への選択進入経路および選択退出経路の道路幅、車線数と同じであるとみなすようになっていてもよい。多くの場合、回避経路の道路幅および車線数は、その回避経路についての選択進入経路および選択退出経路の道路幅および車線数よりも小さい。したがって、このような処理によっても、回避経路を通る経路のコストが、その回避経路についての選択交差点を通る経路に比べて、より選択されやすくなるように変化する。
【0053】
以上のような推奨経路選択プログラム200を制御回路19が実行することで、車両用ナビゲーション装置1は、出発地点および目的地点に基づいて決まる領域(ステップ210参照)中の交差点、進入リンク、および退出リンクのすべての組み合わせのそれぞれについて(ステップ220、290参照)、第1〜第5の条件のそれぞれが満たされているか否かを判定し(ステップ230〜270参照)、それら条件のすべてが満たされていれば、その組み合わせに対応する回避経路のコストを低下させる(ステップ280参照)。そしてその低下されたコストを用いて、出発地点から目的地点までの各経路について総コストを算出し、最も総コストの低い1つまたは複数の経路を推奨経路として選択する(ステップ295参照)。すなわち、経路中の交差点経由経路に比較して、回避経路が、推奨経路としてより選択され易くなるような処理を行う。
【0054】
このようになっているので、車両用ナビゲーション装置1は、信号機付き交差点を通る経路を効率よく回避するような経路選択を行うことができる。また、このようにすることで、信号機付き交差点を通る経路を効率よく回避するような経路選択を行う処理を、経路のコスト計算に組み込むことができる。
【0055】
なお、上記の各実施形態において、車両用ナビゲーション装置1が経路選択装置の一例に相当し、推奨経路選択プログラム100、200が経路選択用プログラムに相当する。また、第1実施形態においては、制御回路19が、推奨経路選択プログラム100のステップ110および180を実行することで経路選択手段の一例として機能し、ステップ130〜170を実行することで判定手段の一例として機能する。また、第2実施形態においては、推奨経路選択プログラム200のステップ280および295を実行することで経路選択手段の一例として機能し、ステップ230〜270を実行することで判定手段の一例に相当する。
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の各発明特定事項の機能を実現し得る種々の形態を包含するものである。
【0056】
例えば、第2の条件における近傍か否かの判定は、選択交差点に対して近いか否かを、何らかの基準に判定していれば足り、近いか否かの判定基準はどのようなものであってもよい。
【0057】
また、選択される暫定経路や推奨経路は2つ以上であってもよい。また、地図データは外部から通信で取得するようになっていてもよい。
【0058】
また、制御回路19は、推奨経路に沿って自車両が曲折交差点に近づく度に、その交差点について、上記の第1〜第5の条件が満たされているか否かを判定し、すべてが満たされていれば、当該交差点についての回避経路が、新たな推奨経路としてより選択され易くなるような処理を行い、さらにその新たな推奨経路を選択し、その選択した新たな推奨経路を現在の推奨経路に置き換えるようになっていてもよい。また、制御回路19は、推奨経路に沿って自車両が曲折交差点に近づく度に、ユーザからの選択操作を受け付け、その選択操作に基づいて、上記の第1〜第5の条件についての判定およびその判定に基づく上記の処理を実行するか否かを決定するようになっていてもよい。
【0059】
また、本発明の経路選択装置は、車両用ナビゲーション装置でなくともよく、例えば、複数の車両についてそれぞれ経路を選択し、その選択した経路を各車両に通信ネットワークを介して送信する交通制御管理センタでもよいし、上記のようなプログラム100、200を実行するパーソナルコンピュータでもよい。
【0060】
また、制御回路19は、一度、上記の第1〜第5の条件を満たす回避経路と判定した道路については、そのように判定された旨の経路学習データを、HDD、フラッシュメモリ、バックアップRAM等の長期記憶可能な記憶媒体に保存し、次回以降に経路選択を行う際は、この学習データに基づいて、第1〜第5の条件を満たす回避道路と判定されたことのある道路を通る経路を、当該回避経路が回避する交差点を通る経路よりも優先的に選択するようになっていてもよい。このように学習データを利用することで、経路選択のための計算の速度を向上させることができる。
【0061】
また、地図データ上のすべてまたは一部の交差点について、その交差点に信号機が設けられているという第1の条件、当該交差点を終点とする進入経路上における当該交差点の近傍の点から分岐し、かつ当該交差点を始点とする退出経路に合流する回避経路があるという第2の条件、当該回避経路に信号機が設けられていないという第3の条件、当該回避経路が当該進入経路から当該退出経路に向けて一方通行であるという第4の条件、および、当該回避経路が、当該進入経路から分岐する点および当該退出経路から退出する点以外に、曲折する交差点を有していないという第5の条件が満たされているか否かを、当該道路地図のデータに基づいて判定し、その判定結果に基づいて、第1〜第5の条件のすべてが満たされた回避経路に関連づけて、その旨の識別情報を当該地図データに追加する地図データの製造方法としても、本発明を捉えることができる。
【0062】
このようにして製造された地図データを用いて、出発地から目的地までの推奨経路を選択する場合、経路選択装置は、当該識別情報が関連付けられた回避経路を、その回避経路が回避する交差点を通る経路よりも優先的に選択すれば、経路選択装置は、信号機付き交差点を通る経路を効率よく回避するような経路選択を行うことができる。
【0063】
また、回避経路が一方通行であるという第4の条件が満たされていなくとも、交差点経由経路に比較して、回避経路が、推奨経路としてより選択され易くなるような処理または識別情報の追加を行うようになっていてもよい。また、回避経路が曲折交差点を含まないという第5の条件が満たされていなくとも、交差点経由経路に比較して、回避経路が、推奨経路としてより選択され易くなるような処理または識別情報の追加を行うようになっていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施形態に係る車両用ナビゲーション装置1のハードウェア構成図である。
【図2】第1実施形態において制御回路19が実行する推奨経路選択プログラム100のフローチャートである。
【図3】交差点30、右折用道路31、右折用道路31を示す概念図である。
【図4】ノードおよびリンクの接続構造の一例を示す図である。
【図5】第2実施形態において制御回路19が実行する推奨経路選択プログラム200のフローチャートである。
【符号の説明】
【0065】
1…車両用ナビゲーション装置、11…位置検出器、12…画像表示装置、
13…操作部、14…スピーカ、15…VICS受信機、16…RAM、
17…ROM、18…外部記憶部、19…制御回路、28…進入経路、
29…退出経路、30…信号機付き交差点、31、32…右折用道路、
51〜57…ノード、61〜67…リンク、
100、200…推奨経路選択プログラム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路地図上の複数の経路から、前記道路地図のデータに基づいて、推奨経路を選択する経路選択手段を備えた経路選択装置であって、
前記道路地図上の交差点について、その交差点に信号機が設けられているという第1の条件、前記交差点を終点とする進入経路上における前記交差点の近傍の点から分岐し、かつ前記交差点を通らず、かつ前記交差点を始点とする退出経路に合流する回避経路があるという第2の条件、および、前記回避経路に信号機が設けられていないという第3の条件が満たされているか否かを、前記道路地図のデータに基づいて判定する判定手段を備え、
前記経路選択手段は、前記判定手段が前記第1ないし第3の条件のすべてが満たされていると判定したことに基づいて、前記進入経路から前記回避経路への分岐点を始点とし、前記進入経路、前記交差点、および前記退出経路を通り、かつ前記退出経路と前記回避経路の合流点を終点とする交差点経由経路に比較して、前記回避経路が、前記推奨経路としてより選択され易くなるような処理を行うことを特徴とする経路選択装置。
【請求項2】
前記判定手段は、前記回避経路が前記進入経路から前記退出経路に向けて一方通行であるという第4の条件が満たされているか否かを判定し、
前記経路選択手段は、前記判定手段が前記第1ないし第4の条件のすべてが満たされていると判定したことに基づいて、前記交差点経由経路に比較して、前記回避経路が、前記推奨経路としてより選択され易くなるような処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の経路選択装置。
【請求項3】
前記判定手段は、前記回避経路が、前記進入経路から分岐する点および前記退出経路から退出する点以外に、曲折する交差点を有していないという第4の条件が満たされているか否かを判定し、
前記経路選択手段は、前記判定手段が前記第1ないし第4の条件のすべてが満たされると判定したことに基づいて、前記交差点経由経路に比較して、前記回避経路が、前記推奨経路としてより選択され易くなるような処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の経路選択装置。
【請求項4】
前記経路選択手段は、前記道路地図上の前記複数の経路から、前記道路地図のデータに基づいて、暫定経路を選択し、
前記判定手段は、前記暫定経路上の交差点について、前記各条件のそれぞれが満たされているか否かを判定し、
さらに前記経路選択手段は、前記交差点経由経路に比較して前記回避経路が前記推奨経路としてより選択され易くなるような処理として、前記暫定経路中の前記交差点経由経路を前記回避経路に置き換えた経路を前記推奨経路として選択することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の経路選択装置。
【請求項5】
前記経路選択手段は、前記道路地図のデータに基づいて前記複数の経路のコストを算出し、算出されたコストが低い経路を優先的に前記推奨経路として選択し、さらに、前記交差点経由経路に比較して前記回避経路が前記推奨経路としてより選択され易くなるような処理として、前記回避経路のコストを低下させることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の経路選択装置。
【請求項6】
道路地図上の交差点について、その交差点に信号機が設けられているという第1の条件、前記交差点を終点とする進入経路上における前記交差点の近傍の点から分岐し、かつ前記交差点を始点とする退出経路に合流する回避経路があるという第2の条件、および、前記回避経路に信号機が設けられていないという第3の条件が満たされているか否かを、前記道路地図のデータに基づいて判定する判定手段、および
前記道路地図上の複数の経路から、前記道路地図のデータに基づいて、推奨経路を選択し、さらに、前記判定手段が前記第1ないし第3の条件のすべてが満たされていると判定したことに基づいて、前記進入経路から前記回避経路への分岐点を始点とし、前記進入経路、前記交差点、および前記退出経路を通り、かつ前記退出経路と前記回避経路の合流点を終点とする交差点経由経路に比較して、前記回避経路が、前記推奨経路としてより選択され易くなるような処理を行う経路選択手段として、コンピュータを機能させる経路選択用プログラム。
【請求項7】
道路地図を示す地図データ上の交差点について、その交差点に信号機が設けられているという第1の条件、当該交差点を終点とする進入経路上における当該交差点の近傍の点から分岐し、かつ当該交差点を始点とする退出経路に合流する回避経路があるという第2の条件、および、当該回避経路に信号機が設けられていないという第3の条件が満たされているか否かを、当該道路地図のデータに基づいて判定する判定手順と、
前記判定手順によって第1〜第3の条件のすべてが満たされていると判定された回避経路に関連づけて、所定の識別情報を前記地図データに追加する追加手順と、を備えた地図データの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−255913(P2007−255913A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−77047(P2006−77047)
【出願日】平成18年3月20日(2006.3.20)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】