説明

緩衝器の制御装置

【課題】非線形な減衰特性を持つ緩衝器の制御に最適となる緩衝器の制御装置を提供することである。
【解決手段】車両Aにおけるバネ上部材Bとバネ下部材Wとの間に介装される緩衝器Dが発生可能な最低減衰力に可変減衰力を付加する減衰力可変機構3を制御する緩衝器の制御装置1において、減衰力目標値Fsと緩衝器Dが発生している減衰力Fとの偏差εを求め、この偏差εに基づいて可変減衰力を制御することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、非線形な減衰特性を持つ緩衝器に最適となる緩衝器の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種、緩衝器の減衰力を制御するものとしては、たとえば、バネ上速度Vと緩衝器のストローク速度Vsとの積の符号を得て、この符号が正である場合には、緩衝器の減衰係数Cを、C=Cs・V/Vsで演算される値とし、負である場合には、緩衝器の減衰係数Cを、C=Cs・Vで演算される値に制御するものがある(たとえば、特許文献1参照)。なお、Csはスカイフック減衰係数を示している。
【0003】
上記した制御は、広く一般的にスカイフック制御と呼ばれ、このスカイフック制御にあたっては、バネ上速度Vと緩衝器のストローク速度Vsの符号が同符号である場合には、スカイフック制御力をバネ上速度Vとスカイフック減衰係数Csを乗算した値とし、逆に、両者が異符号である場合には、スカイフック制御力を0とするように制御することが必要になる。
【0004】
そこで、上述した緩衝器の制御装置にあっては、バネ上速度Vと緩衝器のストローク速度Vsの符号が同符号である場合に要求されるスカイフック制御力Cs・Vと、緩衝器の発生減衰力であるストローク速度Vsに減衰係数Cとを乗算した値Vs・Cとが等しくなるように、緩衝器の減衰係数Cの値を調節するようにしているのである。
【特許文献1】特開平6−247117号公報(実施例欄)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した従来の緩衝器の制御装置では、緩衝器の減衰係数Cを狙い通りに制御することができない場合がある。
【0006】
すなわち、緩衝器の減衰特性(ストローク速度に対する発生減衰力の特性)が図9に示すように、線形な関係を保つ場合には、減衰係数Cの調節によって理想的に制御されるが、図10に示すように、減衰バルブのクラッキング圧を調節するものや、電気粘性流体や磁気粘性流体を用いて減衰特性が平行的に変化する非線形な減衰特性を持つ緩衝器を制御する場合には、減衰係数Cを求めても、この減衰係数Cから直接的には減衰力を調節することが困難である。つまり、減衰特性線がストローク速度軸と減衰力軸の原点を通過するような線形特性を呈する緩衝器を制御する場合には、減衰係数Cを求めれば、狙った通りの減衰力を緩衝器に発生させることができるが、非線形な減衰特性を持つ緩衝器にあっては、減衰特性線が途中で傾きが変化するので、減衰係数Cを求めても単純には狙った減衰力を緩衝器に発生させることができない。
【0007】
また、緩衝器の発生減衰力が完全にストローク速度に依存して比例的に変化する場合にはよいが、現実にはこのような減衰特性を実現することは難しく、スカイフック制御力と発生減衰力との間に偏差が生じて、車両における乗心地の悪化に繋がってしまう危惧がある。
【0008】
さらに、減衰係数Cを求めるのに、スカイフック制御力Cs・Vをストローク速度Vsで除す演算を行っているので、ストローク速度Vsが0近傍では、減衰係数Cが非常に大きな値となって、演算誤差も大きくなり、適切な制御を行うことができない危惧があるとともに、ハンチングを引き起こして安定的な減衰力を発生することができない危惧がある。
【0009】
そこで、本発明は、上記不具合を改善するために創案されたものであって、その目的とするところは、非線形な減衰特性を持つ緩衝器の制御に最適となる緩衝器の制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記した目的を達成するため、本発明の緩衝器の制御装置は、車両におけるバネ上部材とバネ下部材との間に介装される緩衝器が発生可能な最低減衰力に可変減衰力を付加する減衰力可変機構を制御する制御装置であって、減衰力目標値と緩衝器が発生している減衰力との偏差を求め、この偏差に基づいて可変減衰力を制御するようにした。
【発明の効果】
【0011】
本発明の緩衝器の制御装置によれば、非線形な減衰特性を持つ緩衝器の制御にあたり、減衰係数を調節するのではなく、緩衝器に発生させるべき減衰力目標値と緩衝器が発生している減衰力との偏差を求めて、この偏差に基づいて、減衰力可変機構が付加する可変減衰力を制御するので、複雑な制御を行うことなく、フィードバック制御が行われ、応答性よく緩衝器に上記目標減衰力通りに減衰力を発生させることが可能であり、非線形な減衰特性を持つ緩衝器の制御に最適となる。
【0012】
さらに、緩衝器のストローク速度が変化しても、緩衝器の発生する減衰力を目標減衰力に応答性良く追随させることができ、常に緩衝器に目標減衰力通りの減衰力を発生させることが可能であるので、車両走行中に路面から入力される振動を車体側へ伝達せず、緩衝器に優れた振動絶縁効果を発揮させ、車両における乗り心地を飛躍的に向上させることができる。
【0013】
また目標減衰力に緩衝器の発生減衰力が一致するように調整されるので、緩衝器の減衰特性にばらつきがあったり、温度変化によって減衰特性に変化があったとしても、常に緩衝器に狙い通りに減衰力を発生させることが可能であり、安定した制御効果を得ることができるともに、車両における乗心地に変化を生じさせない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図に示した実施の形態に基づき、本発明を説明する。図1は、本発明の一実施の形態における緩衝器の制御装置を概念的に示した図である。図2は、バネ上加速度センサが設けられる位置を示した図である。図3は、一実施の形態における緩衝器の減衰特性を示す図である。図4は、一実施の形態における緩衝器における減衰力可変機構部分の縦断面図である。図5は、一実施の形態における緩衝器の概略断面図である。図6は、他の緩衝器の概略断面図である。図7は、一実施の形態における緩衝器の制御装置の制御ブロック図である。図8は、一実施の形態における緩衝器の制御装置の制御処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0015】
図1に示すように、一実施の形態における緩衝器の制御装置1は、車両Aのバネ上部材たる車体10の任意の個所に設置される制御部2と、車体10の上下方向の加速度を検出する3つのバネ上加速度センサG1,G2,G3と、緩衝器D1,D2,D3,D4が発生している減衰力を検出する荷重センサL1,L2,L3,L4と、緩衝器D1,D2,D3,D4の発生可能な最低減衰力に可変減衰力を付加する減衰力可変機構3とを備えて構成されている。
【0016】
また、緩衝器D1は、車両Aの車体10の一部であるバネ上部材B1とバネ下部材W1との間に懸架バネS1と並列に介装され、他の緩衝器D2,D3,D4も、それぞれ同様にバネ上部材B2,B3,B4とバネ下部材W2,W3,W4との間に懸架バネS2,S3,S4と並列に介装されている。
【0017】
なお、本明細書では、便宜上、懸架バネS1で分担支持する車体10の一部をバネ上部材B1とし、他の懸架バネS2,S3,S4に対応してバネ上部材B2,B3,B4としてあり、また、バネ下部材W1,W2,W3,W4は、対応するバネ上部材B1,B2,B3,B4に対して変位する部材を指し、具体的には車両Aの四つの車輪とされる。
【0018】
さらに、バネ上加速度センサG1,G2,G3は、車体10の上下方向の加速度を検出するものであって、図2に示すように、車体10の前後または左右方向の同一直線上にない任意の3箇所に設置されている。
【0019】
そして、このバネ上加速度センサG1,G2,G3は、検出した加速度α,α,αに応じた電圧信号を緩衝器の制御装置1の制御部2に出力し、制御部2は、上記バネ上加速度センサG1,G2,G3の信号を処理して、バネ上部材B1,B2,B3,B4の上下方向の加速度(バネ上加速度)を演算できるようになっている。なお、加速度α,α,αの符号の取り方は、上向きを正とし、後述するバネ下加速も緩衝器D1,D2,D3,D4が発生する減衰力も同様としてある。
【0020】
具体的には、バネ上部材Bnのバネ上加速度Xは、X=βn1・α+βn2・α+βn3・αで計算される。ここで、n=1,2,3,4であり、nの値はどのバネ上部材についてのものであるかを特定するものであり、この場合、nが1のときはバネ上部材B1についてのバネ上加速度Xが計算されることを示している(以下、特にnについての指定がない場合、nは1,2,3,4のいずれかの値をとる)。そして、βn1,βn2,βn3は、各バネ上加速度センサG1,G2,G3の設置位置、車体10の重心位置、車体10の重心位置と各バネ上部材B1,B2,B3,B4との各距離、車両Aのホールベース、車両Aのトレッド等から決定される定数である。
【0021】
すなわち、車体10を剛体と見なして、車体10の前後または左右方向の同一直線上にない任意の3箇所の上下方向の加速度α,α,αを得れば、各バネ上部材B1,B2,B3,B4のバネ上加速度X,X,X,Xは一義的に決まるのであり、バネ上加速度X,X,X,Xを演算することができるのである。
【0022】
また、荷重センサL1,L2,L3,L4は、それぞれ、対応する緩衝器D1,D2,D3,D4とバネ上部材B1,B2,B3,B4あるいはバネ下部材W1,W2,W3,W4との間に介装され、対応する緩衝器D1,D2,D3,D4が発生している減衰力F,F,F,Fを検出し、その値に応じた電圧信号を緩衝器の制御装置1の制御部2に出力するようになっている。
【0023】
転じて、緩衝器D1,D2,D3,D4は、発生可能な最低減衰力に可変減衰力を付加する減衰力可変機構3を備えており、この緩衝器D1,D2,D3,D4の場合、減衰力可変機構3は減衰バルブのクラッキング圧(開弁圧)を変更することができるようになっている。
【0024】
したがって、この緩衝器D1,D2,D3,D4が発生する減衰力の特性、すなわち、減衰特性は、図3に示すように、最低減衰力発生時の減衰特性Lowから最高減衰力発生時の減衰特性Highまでの可変幅で平行的に減衰特性を変化させることができる。
【0025】
つまり、この緩衝器D1,D2,D3,D4にあっては、上記減衰力可変機構3によって最低減衰力に上記可変幅の範囲内で可変減衰力を付加することができる。
【0026】
そして、この各緩衝器D1,D2,D3,D4は、いずれも同様の構成とされ、具体的にはたとえば、図4に示すように、シリンダ100と、シリンダ100内に摺動自在に挿入されてシリンダ内をロッド側室R1とピストン側室R2とに区画する中空筒状のピストン101と、シリンダ100内にピストン101を介して移動自在に挿入された中空なピストンロッド102と、ピストン101とピストンロッド102内に形成されて上記ロッド側室R1とピストン側室R2とを連通するメイン通路104と、メイン通路104の途中に設けたリーフバルブ105と、同じく上記メイン通路104の途中に上記リーフバルブ105と直列に設けた減衰力調整機構3とを備えて構成されている。
【0027】
なお、図5に示すように、この緩衝器D1,D2,D3,D4では、シリンダ100内をピストン101でロッド側室R1とピストン側室R2とに区画しており、シリンダ100内は作動油等の液体が封入され、また、この緩衝器D1,D2,D3,D4にあっては、図中下方に設けたフリーピストン120でシリンダ100内にガス室121が区画され、このガス室121内には高圧ガス等が封入され、このフリーピストン120が緩衝器の伸縮時にシリンダ100に対して移動することでピストンロッド102のシリンダ100内への侵入およびシリンダ100外へ退出する体積分の容積変化を補償する。つまり、この緩衝器D1,D2,D3,D4は、いわゆる単筒型に形成されるが、複筒型に形成されるとしてもよい。
【0028】
そして、上記減衰力調整機構3は、ピストンロッド102内に収容されるスリーブ106と、ピストンロッド102の下端に螺合されるピストン101とで挟持され、かつ、内外の2つのシート部を有する環状弁座107aを備えた環状の弁座部材107と、スリーブ106内に摺動自在に挿入されると共に弁座部材107に設けた環状弁座107aに離着座してメイン通路104を開閉するスプール108と、スプール108の背面側となる図4中上方側に配置されて当該スプール106を弁座部材107側へ向けて附勢するスプリング109と、電流供給量に応じてスプリング109の附勢力を減じる方向に推力を発揮するソレノイド110と、スプール108の背面に形成される伸側パイロット室111と、スプール108の外周側に形成される段部とスリーブ106の内周とで形成される圧側パイロット室112と、伸側パイロット室111にロッド側室R1内の圧力を導く伸側パイロット通路113と、スプール108の内部を通り圧側パイロット室112にピストン側室R2内の圧力を導く圧側パイロット通路114と、上記スプリング109で閉じ方向に附勢されスプール108の背面に形成の環状弁座108bに着座してスプール108の背面と圧側パイロット通路114とを連通する孔108aを閉塞する有底筒状の第1サブバルブ115と、さらに、同じくスプリング109によって附勢されて第1サブバルブ115の底部に設けた孔115aを閉塞する筒状の第2サブバルブ116とを備えて構成され、上記ソレノイド110に印加する電流に応じて上記スプリング109で附勢されている第1サブバルブ115および第2サブバルブ116のクラッキング圧(開弁圧)を調節してメイン通路104を開閉するスプール108が上記環状弁座107aから離座するクラッキング圧(開弁圧)を変化させて、可変減衰力を制御するようになっている。
【0029】
すなわち、この緩衝器D1,D2,D3,D4は、ソレノイド110の推力を変化させることによって環状弁座107aとスプール108で構成される減衰バルブのクラッキング圧を変化させることができ、これにより図3に示したように減衰力を変化させることができる。なお、この場合、ソレノイド110に電流供給しないときに、緩衝器D1,D2,D3,D4は最大減衰力を発生する。
【0030】
以下、さらに詳しく、この緩衝器D1,D2,D3,D4について説明すると、図4に示すように、各部の寸法は、φ−φ>φ−φと、φ−φ>φ−φを満たすように設定されており、緩衝器D1,D2,D3,D4が伸長する、すなわち、図4中ピストン101が上方に移動する場合に、第2サブバルブ116のクラッキング圧をPc2(伸側)とし、ロッド側室R1内の圧力をPaとすると、Pc2・(φ−φ)>Pa・(φ−φ)の関係が保たれている状態では、スプール108は環状弁座107aから離座せず、メイン通路104は開放されず、Pc2・(φ−φ)<Pa・(φ−φ)の条件が満たされるとスプール108は環状弁座107aから離座して、メイン通路104が開放される。そして、Pc2は、第2サブバルブ116が第1サブバルブ115の孔115aを開いて伸側パイロット室111と圧側パイロット通路114を連通させるときのクラッキング圧であり、このクラッキング圧はソレノイド110の推力でスプリング109の附勢力を減じることで制御することができ、このようにソレノイド110の推力を調節することで緩衝器D1,D2,D3,D4の伸行程におけるスプール108がメイン通路104を開放するクラッキング圧を制御することができるのである。
【0031】
反対に、緩衝器D1,D2,D3,D4が圧縮する、すなわち、図4中ピストン101が下方に移動する場合に、第1サブバルブ115のクラッキング圧をPc1(圧側)とし、ピストン側室R2内の圧力をPbとすると、Pc1・(φ−φ)>Pb・(φ−φ)の関係が保たれている状態では、スプール108は環状弁座107aから離座せず、メイン通路104は開放されず、Pc1・(φ−φ)<Pb・(φ−φ)の条件が満たされるとスプール108は環状弁座107aから離座して、メイン通路104が開放される。そして、Pc1は、第1サブバルブ115がスプール108の孔108aを開いて伸側パイロット室111と圧側パイロット通路114を連通させるときのクラッキング圧であり、このクラッキング圧はソレノイド110の推力でスプリング109の附勢力を減じることで制御することができ、このようにソレノイド110の推力を調節することで緩衝器D1,D2,D3,D4の圧行程におけるスプール108がメイン通路104を開放するクラッキング圧を制御することができるのである。
【0032】
すなわち、緩衝器D1,D2,D3,D4の伸圧の両行程で、一つのソレノイド110を用いて、スプール108がメイン通路104を開放するクラッキング圧を制御することができ、この緩衝器D1,D2,D3,D4は、上記した減衰力可変機構3によって図3に示す減衰特性を実現できるのである。
【0033】
そして、上述のように、ソレノイド110への供給電流が大きければ大きいほど、クラッキング圧が低くなるようになっているので、ソレノイド110への通電が何らかの理由で断たれてしまう場合には、緩衝器は、最大の減衰力を発生することになり、確実にフェールセーフが行われる。
【0034】
なお、上記した緩衝器D1,D2,D3,D4の具体的構成は、一例であって、減衰力可変機構3を他の構成として、減衰バルブのクラッキング圧を変化させるようにしてもよく、たとえば、より簡単な構成としては、減衰バルブを流路中に設けた弁座と、該弁座に着座するポペット弁の弁体とで構成し、減衰力可変機構を、弁体に弁座から離座する方向に推進力を与えるソレノイドと、弁体に弁座に着座させる方向に推進力を与えるバネとで構成し、ソレノイドによる推進力で弁体に作用するバネ力を増減させて弁体が弁座から離座するクラッキング圧を変更可能としておくとしてもよい。
【0035】
また、この緩衝器D1,D2,D3,D4では、減衰力可変機構3を上記したように減衰バルブのクラッキング圧を変更するものとしているが、図6に示すような作動液体に電気粘性流体や磁気粘性流体を使用するタイプの緩衝器の場合には、ロッド側室R3とピストン側室R4とを連通する通路200に電気粘性流体の場合には電界を、磁気粘性流体の場合には磁界を発生させる粘度変更手段となる装置201を設けておき、この装置201を減衰力可変機構としてもよい。なお、通路200は、この場合ピストン202とシリンダ203との間の隙間とされているが、通路220設置箇所は、これに限られない。また、装置201は、具体的にたとえば、電気粘性流体を使用する緩衝器の場合には、ピストン202の外周に設けた電極と電極に通電する通電手段で構成され、磁気粘性流体の場合には、ピストン202に設けられるコイルとコイルに通電する通電手段とで構成される。なお、この場合にも、図3に示すような減衰特性を得られる。
【0036】
つづいて、制御部2について説明すると、制御部2は、上記したバネ上加速度センサG1,G2,G3および荷重センサL1,L2,L3,L4が出力する信号を処理して、各緩衝器D1,D2,D3,D4に発生すべき可変部分の減衰力を演算し、さらに、その演算結果に基づいて各緩衝器D1,D2,D3,D4における減衰力可変機構3のソレノイド112に与える指令を電流あるいは電圧として出力することができるようになっており、スカイフック制御則に基づいてバネ上部材B1,B2,B3,B4のバネ上速度V,V,V,Vから4輪毎に緩衝器D1,D2,D3,D4の減衰力目標値Fs,Fs,Fs,Fsを求め、この各減衰力目標値Fs,Fs,Fs,Fsと各緩衝器D1,D2,D3,D4が発生している減衰力F,F,F,Fとの偏差ε,ε,ε,εを算出し、この偏差ε,ε,ε,εに基づいて可変減衰力を制御するようになっている。
【0037】
そして、具体的には、制御部2は、図7に示すように、バネ上加速度センサG1,G2,G3が検出した加速度α,α,αからバネ上加速度Xを演算するバネ上加速度演算部21と、バネ上加速度Xを積分して各バネ上部材Bnの上下方向のバネ上速度Vを演算する積分器22と、バネ上速度Vにスカイフック減衰係数Csを乗算して減衰力目標値Fsを演算する乗算器23と、減衰力目標値Fsから荷重センサLが検出した各緩衝器Dの減衰力Fを減算して偏差εを演算する加算器24と、偏差ε、偏差εの積分値および微分値にそれぞれ比例・積分・微分ゲインを乗じ、これらを総和して、補正電流指令値Icを演算する補償器25と、前回制御時の電流指令値Iと今回制御時の補正電流指令値Icとの差Iを演算する加算器26と、上記差Iから今回制御時の電流指令値Iを求めるとともに、今回制御時の電流指令値I**の絶対値の上限をソレノイド112に過剰な電流が供給されないように制限するリミッタ27と、リミッタ27が出力する今回制御時の電流指令値I**を絶対値処理し、ソレノイド112を駆動する図示しない駆動回路に出力する処理部28とを備えて構成されている。なお、上述のように符号に添えられるnは、1から4のいずれかの整数を示している。
【0038】
以下、制御部2の各部の動作について詳細に説明すると、バネ上加速度演算部21は、バネ上加速度センサG1,G2,G3が検出した加速度α,α,αが入力されると、上述の如くの演算を行ってバネ上加速度Xを演算する。そして、このバネ上加速度Xは、積分器22に入力されて、各バネ上部材Bの上下方向のバネ上速度Vが演算される。
【0039】
つづき、積分器22が出力するバネ上速度Vは乗算器23に入力され、スカイフック減衰係数Csが乗算されてスカイフック制御力に相当する減衰力目標値Fsが演算される。
【0040】
そして、加算器24で減衰力目標値Fsから各緩衝器Dが現在発生している減衰力Fを減算して偏差εが演算される。この偏差εは、補償器25に入力され、補償器25は、補正電流指令値Icを以下の式(1)によって演算する。
【数1】

なお、式(1)中、Kpは、比例ゲインを示し、Kiは積分ゲインを示し、Kdは微分ゲインを示している。
【0041】
すなわち、補正電流指令値Icは、偏差εに比例ゲインKpを乗じた値と、偏差εの積分値に積分ゲインKiを乗じた値と、偏差εの微分値に微分ゲインKdを乗じた値の総和であって、上記比例ゲインKp、積分ゲインKiおよび微分ゲインKdは、制御応答性や安定性の観点から適宜に決定される定数である。
【0042】
つづき、補正電流指令値Icは、前回制御時の電流指令値Iとともに加算器26に入力され、補正電流指令値Icと前回制御時の電流指令値Iとの差Iが演算され、さらに、この差Iがリミッタ27に入力されて、リミッタ27は差Iをパラメータとして予め作成される電流指令値I**のマップを参照して今回の制御に必要な電流指令値I**を演算する。なお、上記マップは、図7に示すように、電流指令値I**の絶対値がソレノイド112に過剰な電流を供給するような値とならないように、差Iの絶対値がそれ以上大きくなっても、電流指令値I**の絶対値が増加しないように作成されているため、このリミッタ27によって、電流指令値I**の絶対値の上限が制限される。
【0043】
さらに、上記の電流指令値I**は、処理部28によって絶対値処理されて、正の値の場合には符号は正のままとされてソレノイド112の駆動回路に出力され、他方、負の値の場合には符号が正に変換されてソレノイド112の駆動回路に出力される。
【0044】
そして、今回の制御ルーチンが終了し、次に可変減衰力を制御するときには、上記リミッタ27が出力した電流指令値I**を前回制御時の電流指令値Iとして、加算器26に入力することになる。
【0045】
したがって、たとえば、今回の制御において、緩衝器Dが発生している減衰力Fより減衰力目標値Fsのほうが大きい場合、偏差εが正の値となり、補正電流指令値Icも正の値となる。そして、この補正電流指令値Icが加算器26に入力されると、前回制御時の電流指令値Iより補正電流指令値Icだけ小さい値の差Iが演算され、さらに、この差Iがリミッタ27に入力されると、今回制御のために出力される電流指令値I**は前回制御時の電流指令値Iよりも小さい値となり、本実施の形態における緩衝器Dの場合、ソレノイド112へ供給される電流量が増加すると可変減衰力が小さくなり、全く電流供給を行わないときに最大減衰力を発揮するので、今回の制御において、緩衝器Dは、前回制御時よりも大きな減衰力を発揮することになる。
【0046】
他方、今回の制御において、緩衝器Dが発生している減衰力Fより減衰力目標値Fsのほうが小さい場合、偏差εが負の値となり、補正電流指令値Icも負の値となる。そして、この補正電流指令値Icが加算器26に入力されると、前回制御時の電流指令値Iより補正電流指令値Icだけ大きい値の差Iが演算され、さらに、この差Iがリミッタ27に入力されると、今回制御のために出力される電流指令値I**は前回制御時の電流指令値Iよりも大きい値となり、緩衝器Dは、前回制御時よりも小さな減衰力を発揮することになる。
【0047】
そして、上記の制御が繰り返し行われ、減衰力目標値Fsと緩衝器Dが発生している減衰力Fとが一致するように制御される。また、減衰力目標値Fsと緩衝器Dが発生している減衰力Fとが一致すると、偏差εは0となるので、前回制御時の電流指令値Iと今回制御時の電流指令値I**とは同じ値となり、ソレノイド112は、減衰バルブのクラッキング圧を前回制御時と同様の値に保ち、緩衝器Dが発生している減衰力Fを前回制御時と同じ値に維持することになる。
【0048】
また、減衰力目標値Fsが緩衝器Dの発生可能な最低減衰力より低い場合、すなわち、図3中の減衰特性Lowよりストローク速度軸側にある状況か、図3中で減衰力目標値Fsが第二象現あるいは第四象現に位置するような場合には、電流指令値I**は必ずリミッタ27によってその値が制限される状況となり、また、減衰力目標値Fsが緩衝器Dの発生可能な最低減衰力より低い状況が続く限り電流指令値I**は必ず制限値を取り続けることになるので、緩衝器Dは減衰特性Low上のストローク速度に応じた最低減衰力を発生し続けることになる。
【0049】
ここで、スカイフック制御では、バネ上速度Vの方向とストローク速度の方向とが一致しない場合、すなわち、バネ上速度Vとストローク速度の積の符号が負となる場合には、スカイフック制御力を0とするのが理想であるが、緩衝器Dは、図3中の減衰特性Lowのラインとストローク速度軸で囲まれる範囲の減衰力を発生することができないため、バネ上速度Vとストローク速度の積の符号が正の値をとる状況であっても減衰力目標値Fsが緩衝器Dの発生可能な最低減衰力より低い場合やバネ上速度Vとストローク速度の積の符号が負となる場合には、緩衝器Dが発生する減衰力をなるべく小さくしてやる必要があるが、上述のように、このような場合には、電流指令値I**は必ずリミッタ27によってその値が制限される状況となり、緩衝器Dは減衰特性Low上のストローク速度に応じた最低減衰力を発生するので、車両における乗心地を損なうことが無い。
【0050】
したがって、この緩衝器の制御装置1でスカイフック制御を実行するに当たり、スカイフック制御で一般的には必要なバネ上速度Vとストローク速度の積の符号の判定を行うことなく、スカイフック制御を実施することができ、スカイフック制御力Cs・Vをストローク速度Vsで除す演算を行う必要がないので、ストローク速度Vsが0近傍で、演算誤差が大きくなってしまうことがないとともに、ハンチングを引き起こす危惧もなく、緩衝器Dに安定的な減衰力を発生させることが可能となる。
【0051】
そして、本実施の形態における緩衝器の制御装置1にあっては、非線形な減衰特性を持つ緩衝器Dの制御にあたり、減衰係数を調節するのではなく、緩衝器Dに発生させるべき減衰力目標値Fsと緩衝器Dが発生している減衰力Fとの偏差εを求めて、この偏差εに基づいて、減衰力可変機構3が付加する可変減衰力を制御するので、複雑な制御を行うことなく、フィードバック制御が行われ、応答性よく緩衝器Dに上記目標減衰力Fs通りに減衰力を発生させることが可能であり、非線形な減衰特性を持つ緩衝器Dの制御に最適となる。
【0052】
さらに、緩衝器Dのストローク速度が変化しても、緩衝器Dの発生する減衰力を目標減衰力Fsに応答性良く追随させることができ、常に緩衝器Dに目標減衰力Fs通りの減衰力を発生させることが可能であるので、車両走行中に路面から入力される振動を車体10側へ伝達せず、緩衝器Dに優れた振動絶縁効果を発揮させ、車両における乗り心地を飛躍的に向上させることができる。
【0053】
またさらに、目標減衰力Fsに荷重センサLの出力である緩衝器Dの発生減衰力Fが一致するように調整されるので、各緩衝器Dの減衰特性にばらつきがあったり、温度変化によって減衰特性に変化があったとしても、常に緩衝器Dに狙い通りに減衰力を発生させることが可能であり、安定した制御効果を得ることができるともに、車両における乗心地に変化を生じさせない。
【0054】
なお、上記したところでは、主としてスカイフック制御を例に説明したが、本発明の緩衝器の制御装置1は、緩衝器Dに発生させるべき減衰力目標値Fsと緩衝器Dが発生している減衰力Fとの偏差εを求めて、この偏差εに基づいて、減衰力可変機構3が付加する可変減衰力を制御することを基本原理とするものであるから、上記の緩衝器Dに発生させるべき減衰力目標値Fsはスカイフック制御則に則って得られるものに限られず、減衰力目標値Fsを得るための制御則はあらゆるものが採用可能である。具体的には、たとえば、車両のロール抑制制御や制駆動時のピッチングやスクォートを抑制する制御に最適な減衰力目標値Fsを演算する制御則の採用も可能であるし、適宜に選択される制御則を用いて上記減衰力目標値Fsを得ればよい。
【0055】
また、上記した制御部2の各部におけるハードウェア資源としては、具体的にはたとえば、図示はしないが、バネ上加速度センサG1,G2,G3および荷重センサL1,L2,L3,L4が出力する信号を増幅するためのアンプと、アナログ信号をデジタル信号に変換する変換器と、CPU(Central Prossesing Unit)、ROM(Read Only Memory)等の記憶装置、RAM(Random Access Memory)、水晶発振子及びこれらを連絡するバスラインからなるコンピュータシステムとを備えた周知なシステムとして構成されればよく、各信号を処理し可変減衰力を演算し、この演算結果に基づいて各減衰力可変機構3におけるソレノイド112を制御するための制御処理手順は、プログラムとしてROMや他の記憶装置に予め格納されている。
【0056】
なお、上記制御部2は、ハードウェアとしては、周知のコンピュータシステムであるので、この緩衝器の制御装置1が搭載される車両VがECU(Electronic Control Unit)を備えている場合には、わざわざ制御部2を別途設けずにECUに制御部2を統合するようにしてもよい。
【0057】
ここで、上記した緩衝器の制御装置1の制御部2における処理手順について、図8に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0058】
まず、ステップ201では、制御部2は、バネ上加速度センサG1,G2,G3が検出した加速度α,α,αと各荷重センサLが検出した各減衰力Dの発生減衰力Fを読み込む。
【0059】
つづき、ステップ202では、制御部2は、加速度α,α,αからバネ上加速度Xを演算し、つづき、ステップ203では、制御部2は、バネ上加速度Xから各バネ上部材Bnの上下方向のバネ上速度Vを演算する。
【0060】
さらに、ステップ204では、制御部2は、バネ上速度Vとスカイフック減衰係数Csとからスカイフック制御力である減衰力目標値Fsを演算し、さらに、ステップ205では、制御部2は、減衰力目標値Fsと緩衝器Dが発生している減衰力Fとの偏差εを演算する。
【0061】
そして、ステップ206へ移行し、制御部2は、偏差ε、偏差εの積分値および微分値にそれぞれ比例・積分・微分ゲインを乗じ、これらを総和して、補正電流指令値Icを演算する。
【0062】
さらに、ステップ207へ移行して、補正電流指令値Icと前回制御時の電流指令値Iとの差Iを演算して、ステップ208へ移行して、差Iから今回の制御に必要な電流指令値I**を演算する。
【0063】
つづき、ステップ209へ移行して、制御部2は、今回制御に用いる電流指令値I**を絶対値処理して、電流指令値I**をソレノイド112の駆動回路へ出力する。
【0064】
そして、制御部2は、以上のステップ201からステップ209までを繰り返し処理し、緩衝器Dの可変減衰力を制御する。
【0065】
以上によって、制御部2が上記した一連の処理を実行することで、上述したバネ上加速度演算部21、積分器22、乗算器23、加算器24,26、補償器25、リミッタ27および処理部28の各部の処理が実現され、上記これら各部は、CPUが上記プログラムを読み込んで、上記した各演算処理を実行することによって実現される。
【0066】
なお、緩衝器Dが図6に示すような液体に磁気粘性流体を使用するものとされる場合にも、電流指令値を演算する際に、緩衝器Dが発生するのに必要となる電流量を電流指令値として、電流指令値を可変減衰力との関係を示すマップから演算するようにしておけばよく、電気粘性流体を使用するものとされる場合には、電流制御ではなく電圧制御となるため、上述の各ステップにおいて電流を電圧に読み替えて電圧指令値を演算するようにし、緩衝器Dが発生するのに必要となる電圧量を電圧指令値として、電圧指令値を可変減衰力との関係を示すマップから演算するようにしておけばよい。
【0067】
また、上記したところでは、緩衝器Dの減衰力可変機構3が電流供給量の増加に対して可変減衰力が減少するようになっているが、これを減衰力可変機構3が電流供給量の増加に対して可変減衰力が増加するようになっている場合、加算器26で前回制御時の電流指令値Iと今回制御時の補正電流指令値Icとの差Iを演算するのではなくて、前回制御時の電流指令値Iと今回制御時の補正電流指令値Icとの和を演算するように設定しておけば、上述と同様の制御を実現することができる。
【0068】
さらに、本実施の形態における緩衝器の制御装置1の場合、スカイフック制御を行うために、加速度センサを用いているが、どのような物理量、状態量を得るかは採択される制御則により適宜決定されることになり、採択される制御則に適したセンサを用いればよいことになる。
【0069】
なお、本実施の形態において、減衰力可変機構3を減衰バルブのクラッキング圧を変更するもの、あるいは、電気粘性流体や磁気粘性流体の粘度を変更するものとしているが、緩衝器Dの減衰バルブを可変絞りとして該減衰バルブの開口面積を変更するものとしても、上記制御は成立するのは言うまでもない。
【0070】
以上で、本発明の実施の形態についての説明を終えるが、本発明の範囲は図示されまたは説明された詳細そのものには限定されないことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の一実施の形態における緩衝器の制御装置を概念的に示した図である。
【図2】バネ上加速度センサが設けられる位置を示した図である。
【図3】一実施の形態における緩衝器の減衰特性を示す図である。
【図4】一実施の形態における緩衝器における減衰力可変機構部分の縦断面図である。
【図5】一実施の形態における緩衝器の概略断面図である。
【図6】他の緩衝器の概略断面図である。
【図7】一実施の形態における緩衝器の制御装置の制御ブロック図である。
【図8】一実施の形態における緩衝器の制御装置の制御処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図9】ストローク速度に対して線形な減衰力を発生する緩衝器の減衰特性を示す図である。
【図10】ストローク速度に対して非線形な減衰力を発生する緩衝器の減衰特性を示す図である。
【符号の説明】
【0072】
1 制御装置
2 制御部
3 減衰力可変機構
10 車体
21 バネ上加速度演算部
22 積分器
23 乗算器
24,26 加算器
25 補償器
27 リミッタ
28 処理部
A 車両
B1,B2,B3,B4 バネ上部材
D1,D2,D3,D4 緩衝器
E1,E2,E3,E4 懸架バネ
G1,G2,G3 バネ上加速度センサ
L1,L2,L3,L4 荷重センサ
S1,S2,S3,S4 懸架バネ
W1,W2,W3,W4 バネ下部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両におけるバネ上部材とバネ下部材との間に介装される緩衝器が発生可能な最低減衰力に可変減衰力を付加する減衰力可変機構を制御する緩衝器の制御装置において、減衰力目標値と緩衝器が発生している減衰力との偏差を求め、この偏差に基づいて可変減衰力を制御することを特徴とする緩衝器の制御装置。
【請求項2】
減衰力可変機構は、電流供給によって可変減衰力を変化させることができるように設定されるとともに、上記偏差に基づき電流指令値を求めて、電流指令値に基づいて電流を減衰力可変機構に供給して、可変減衰力を制御することを特徴とする請求項1に記載の緩衝器の制御装置。
【請求項3】
減衰力可変機構は、供給電流量の増加に伴って可変減衰力を小さくするように設定されるとともに、偏差から補正電流指令値を求め、前回制御時の電流指令値と補正電流指令値との差に基づいて今回制御時の電流指令値を求めることを特徴とする請求項2に記載の緩衝器の制御装置。
【請求項4】
減衰力可変機構は、供給電流量の増加に伴って可変減衰力を大きくするように設定されるとともに、偏差から補正電流指令値を求め、前回制御時の電流指令値と補正電流指令値の和に基づいて今回制御時の電流指令値を求めることを特徴とする請求項2に記載の緩衝器の制御装置。
【請求項5】
バネ上部材の上下方向の速度にスカイフック減衰係数を乗算して緩衝器が発生すべき減衰力目標値を求めることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の緩衝器の制御装置。
【請求項6】
緩衝器が発生している減衰力を検知する荷重センサを備えていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の緩衝器の制御装置。
【請求項7】
減衰力可変機構は、減衰バルブのクラッキング圧を調節するソレノイドを備えてなり、ソレノイドに供給する電流量を偏差に基づいて調節することによって、最低減衰力に付加する減衰力を変更することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の緩衝器の制御装置。
【請求項8】
減衰力可変機構は、緩衝器内の磁気粘性流体の粘度を変更する粘度変更手段を備え、粘度変更手段に供給する電流量を偏差に基づいて調節することによって、最低減衰力に付加する減衰力を変更することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の緩衝器の制御装置。
【請求項9】
減衰力可変機構は、緩衝器内の電気粘性流体の粘度を変更する粘度変更手段を備え、粘度変更手段に供給する電圧量を偏差に基づいて調節することによって、最低減衰力に付加する減衰力を変更することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の緩衝器の制御装置。
【請求項10】
減衰力可変機構は、最低減衰力に付加する減衰力を無段階に変更可能であることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の緩衝器の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−12960(P2008−12960A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−183494(P2006−183494)
【出願日】平成18年7月3日(2006.7.3)
【出願人】(000000929)カヤバ工業株式会社 (2,151)
【Fターム(参考)】