説明

脂肪乳剤の安定化方法及び輸液バック

【課題】 脂肪乳剤を糖、アミノ酸、電解質及びビタミン類等の注射剤と混合するに際し、脂肪乳剤の平均粒子径を特段に微細化する必要もなく、生体に不要な成分を敢えて添加することもなく、乳化粒子径の粗大化を回避することができる脂肪乳剤の安定化方法と、該方法に好適な輸液バックとを提供する。
【解決手段】 脂肪乳剤の安定化方法は、平均粒子径が0.18〜0.35μmの脂肪乳剤と注射剤とを混合するに際し、ビタミンB群から選ばれる少なくとも1種のビタミンの存在下に混合する。輸液バックは、少なくとも一部が易開封性隔壁2で仕切られた2室のうち一方の室3aに還元糖液が、他方の室3bにアミノ酸液が収容され、還元糖液とアミノ酸液の少なくとも一方には電解質が配合され、2室のうち一方の室3aに備えられた易開封性小容器4に脂肪乳剤が収容され、ビタミンB群から選ばれる少なくとも1種のビタミンがいずれかの薬液に配合されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脂肪乳剤を糖、アミノ酸、電解質及びビタミン類等の注射剤と混合するに際し、乳化粒子径を粗大化させない脂肪乳剤の安定化方法と、該方法に用いることのできる輸液バックとに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、術後の栄養補給等において、経静脈栄養法が広く用いられている。特に、末梢静脈から、糖、アミノ酸、電解質からなる総合輸液を投与する方法は、比較的管理がし易いので、近年適用が広がっている。ところが、末梢静脈輸液は、静脈炎発症等により、投与できるカロリー量が制限されるので、場合によっては摂取カロリーが不足し、充分な治癒効果が得られないおそれがある。そこで、末梢静脈輸液において、栄養源として単位あたりの熱量が大きい脂肪を付加することが検討されている。また、脂肪の投与は、必須脂肪酸補給という観点でも極めて重要と考えられている。
【0003】
脂肪を経静脈投与する場合、一般に脂肪乳剤が用いられるが、脂肪乳剤は、他の栄養輸液(注射剤)、例えば、2価金属イオンを含む電解質輸液、ブドウ糖輸液、アミノ酸輸液等の比重が大きい輸液と混合すると、経時的に脂肪の乳化粒子径が大きくなり、油滴が発生する。脂肪の乳化粒子径が大きくなると、輸液セットに付着して投与に支障をきたすおそれがあったり、脂肪の体内動態が変化したり、さらには患者の呼吸器や肝臓に悪影響を及ぼすおそれもある。ちなみに、米国では、脂肪乳剤に含まれる粒子径5μm以上の粒子の割合は0.05%以下であることが推奨されている(非特許文献1参照)。従って、これまで、脂肪乳剤を投与する際には、他の栄養輸液とは混合せず別々に投与するか、あるいは使用直前に他の栄養輸液と混合し短時間で投与し終えるようにしなければならず、作業が煩雑になったり、患者に負担を強いることになっていた。
【0004】
そこで、脂肪乳剤を他の栄養輸液と混合した際の乳化粒子径の安定性を向上させる方法として、グリセリンおよび/またはブドウ糖の存在下で脂肪乳剤の平均粒子径を0.17μm以下にする方法(特許文献1)、二価金属イオンを含む溶液との混合に際して、クエン酸等の有機酸の存在下で混合する方法(特許文献2)、非イオン性界面活性剤の存在下に脂肪乳剤と注射液とを混合する方法(特許文献3)、隔離手段により形成された2つの個室のうち、一方の室に、脂肪乳剤、糖、ビタミンC、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンEを収容し、他方の室に、アミノ酸、電解質、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸を収容し、使用時に隔壁を取り除いて混合する方法(特許文献4)が提案されている。
【0005】
【特許文献1】特開平5−9111号公報
【特許文献2】特開平5−32541号公報
【特許文献3】特開平8−127529号公報
【特許文献4】特開平6−209979号公報
【非特許文献1】Pharmacopeial Forum,Vol.30(6)[Nov.−Dec.2004]、“GLOBULE SIZE DISTRIBUTION IN LIPID INJECTABLE EMULSIONS”,p1−9
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の方法においては、脂肪乳剤の平均粒子径を0.17μm以下にするために複雑な乳化工程が必要となり、製造上厳密な管理が要求されるので、工業的製造には適しているとは言えず、また、乳化工程数の増加に伴いコストが高騰するという欠点もあった。特許文献2に記載の方法は、二価金属イオンを含む溶液との混合に際しては効果を発揮するものの、アミノ酸輸液や糖輸液との混合に際しては、充分な効果を得られるものではなかった。特許文献3に記載の方法では、生体にとって不要な成分である非イオン性界面活性剤を添加するので、生理的とは言えないし、副作用をきたす可能性も懸念される。
【0007】
また、特許文献4に記載の方法を精査すると、安定化には脂肪乳剤の平均粒子径を0.17μm以下にすることが必要であり、特許文献1に記載の方法と同様、乳化工程が複雑になるため、製造上厳密な管理が要求され、コストも高騰するという欠点があった。実際に、特許文献4に記載のように2つの個室に各成分を収容して使用時に混合する方法において、0.17μmを超える平均粒子径の脂肪乳剤を用いた場合、経時的に乳化粒子径が大きくなり、充分な効果を得ることは困難であった。なお、特許文献4に記載の方法では各種ビタミン類が用いられているが、該文献には、特定のビタミンが乳化粒子径の安定化に寄与する旨の記載はなく、それを示唆する記載もなかった。
【0008】
そこで、本発明の課題は、脂肪乳剤を糖、アミノ酸、電解質及びビタミン類等の注射剤と混合するに際し、脂肪乳剤の平均粒子径を特段に微細化(例えば0.17μm以下)する必要もなく、生体に不要な成分を敢えて添加することもなく、乳化粒子径の粗大化を回避することができる脂肪乳剤の安定化方法と、該方法に用いることのできる輸液バックとを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、脂肪乳剤を他の輸液と混合するにあたり、ビタミンB群から選ばれる少なくとも1種のビタミンを添加しておくと、乳化粒子径の粗大化が防止できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は以下の構成からなる。
(1)平均粒子径が0.18〜0.35μmの脂肪乳剤と注射剤とを混合するに際し、ビタミンB群から選ばれる少なくとも1種のビタミンの存在下に混合する、ことを特徴とする脂肪乳剤の安定化方法。
(2)脂肪乳剤が、植物油、魚油、中鎖脂肪酸トリグリセリド及び化学合成トリグリセリドからなる群より選ばれた少なくとも1種の脂肪を、卵黄リン脂質、水素添加卵黄リン脂質、大豆リン脂質及び水素添加大豆リン脂質からなる群より選ばれた少なくとも1種の乳化剤を用いて乳化させてなる水中油型脂肪乳剤であり、その脂肪濃度が5〜30W/V%である、前記(1)記載の脂肪乳剤の安定化方法。
(3)注射剤が、1〜30mEq/Lの2価金属イオン、1〜30W/V%の還元糖及び1〜30W/V%のアミノ酸からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む輸液である、前記(1)または(2)記載の脂肪乳剤の安定化方法。
(4)脂肪乳剤100mLに対して50〜2000mLの注射剤を混合する、前記(1)〜(3)のいずれかに記載の脂肪乳剤の安定化方法。
(5)ビタミンB2、ビタミンB6及びビタミンB12からなる群より選ばれる少なくとも1種のビタミンの存在下に、脂肪乳剤と注射剤とを混合する、前記(1)〜(4)のいずれかに記載の脂肪乳剤の安定化方法。
(6)少なくともビタミンB6の存在下に、脂肪乳剤と注射剤とを混合する、前記(1)〜(4)のいずれかに記載の脂肪乳剤の安定化方法。
(7)ビタミンB6とビタミンB12の存在下に、脂肪乳剤と注射剤とを混合する、前記(5)または(6)記載の脂肪乳剤の安定化方法。
(8)ビタミンB6は、脂肪乳剤と注射剤との混合液中ピリドキシンとして1〜10mg/Lの濃度となるように存在させる、前記(5)〜(7)のいずれかに記載の脂肪乳剤の安定化方法。
(9)少なくとも一部が易開封性隔壁で仕切られた2室を有するとともに、該2室のいずれか一方の室の内部に易開封性小容器を備えた軟質プラスチック製輸液バッグを用い、前記2室および前記小容器のいずれか一つに脂肪乳剤を、残りに注射剤を収容し、かつ、ビタミンB群から選ばれる少なくとも1種のビタミンを、前記2室および前記小容器に各々収容された薬液のうちの少なくとも1つに配合し、前記隔壁および前記小容器を開封することにより前記2室および前記小容器に各々収容された薬液の全てを混合する、前記(1)〜(8)のいずれかに記載の脂肪乳剤の安定化方法。
(10)前記易開封性小容器に脂肪乳剤を収容し、前記2室のうち一方の室には還元糖液を、他方の室にはアミノ酸液を収容し、さらに前記還元糖液と前記アミノ酸液の少なくとも一方には電解質を配合するとともに、ビタミンB群から選ばれる少なくとも1種のビタミンを前記2室のいずれか一方に収容する、前記(9)記載の脂肪乳剤の安定化方法。
(11)前記還元糖液に、ビタミンB6及びビタミンB12の少なくとも一方が配合されている、前記(10)記載の脂肪乳剤の安定化方法。
(12)前記還元糖液に、少なくともビタミンB6が配合されている、前記(10)記載の脂肪乳剤の安定化方法。
(13)前記還元糖液に、ビタミンB6及びビタミンB12が配合されている、前記(11)または(12)記載の脂肪乳剤の安定化方法。
(14)前記アミノ酸液に、ビタミンB2が配合されている、前記(10)〜(13)のいずれかに記載の脂肪乳剤の安定化方法。
(15)少なくとも一部が易開封性隔壁で仕切られた2室を有するとともに、該2室のいずれか一方の室の内部に易開封性小容器を備え、前記2室および前記小容器に各々収容された薬液の全てが前記隔壁および前記小容器を開封することにより混合可能となる軟質プラスチック製輸液バッグであって、前記2室のうち一方の室には還元糖液が、他方の室にはアミノ酸液が収容され、さらに前記還元糖液と前記アミノ酸液の少なくとも一方には電解質が配合されており、前記小容器には平均粒子径が0.18〜0.35μmの脂肪乳剤が収容され、かつ、ビタミンB群から選ばれる少なくとも1種のビタミンが、前記2室および前記小容器に各々収容された薬液のうちの少なくとも1つに配合されている、ことを特徴とする輸液バック。
(16)還元糖液に、ビタミンB6及びビタミンB12の少なくとも一方が配合されている、前記(15)記載の輸液バック。
(17)還元糖液に、少なくともビタミンB6が配合されている、前記(15)記載の輸液バック。
(18)還元糖液に、ビタミンB6及びビタミンB12が配合されている、前記(16)または(17)記載の輸液バック。
(19)ビタミンB6は、前記2室および前記小容器に各々収容された薬液全ての混合液中ピリドキシンとして1〜10mg/Lの濃度となるように配合されている、前記(16)〜(18)のいずれかに記載の輸液バック。
(20)アミノ酸液に、ビタミンB2が配合されている、前記(15)〜(19)のいずれかに記載の輸液バック。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、脂肪乳剤を糖、アミノ酸および電解質等の注射剤と混合するに際し、脂肪乳剤の平均粒子径を特段に微細化(例えば0.17μm以下)する必要もなく、生体に不要な成分を敢えて添加することもなく、乳化粒子径の粗大化を回避することができる。これにより、糖、アミノ酸および電解質等の栄養輸液とともに脂肪乳剤を簡便にかつ安全に投与することが可能になり、しかも同時にビタミンを投与することもできる、という効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の脂肪乳剤の安定化方法は、平均粒子径が0.18〜0.35μmの脂肪乳剤と注射剤とを混合するに際し、ビタミンB群から選ばれる少なくとも1種のビタミンの存在下に混合するものである。このように、本発明においては、特段に微細化された脂肪乳剤ではなく、平均粒子径が0.18〜0.35μmという一般的に汎用されている脂肪乳剤を用いながら、栄養学的効果が得られ生体にとって有用なビタミンの寄与によって、乳化粒子径の粗大化を回避する。
【0013】
本発明における脂肪乳剤としては、植物油(例えば、大豆油、綿実油、サフラワー油、トウモロコシ油、ヤシ油、シソ油、エゴマ油等)、魚油(例えば、タラ肝油等)、中鎖脂肪酸トリグリセリド(例えば、日本油脂(株)製「パナセート」等)及び化学合成トリグリセリド(例えば、2−リノレオイル−1,3−ジオクタノイルグリセロール(8L8)、2−リノレオイル−1,3−ジデカノイルグリセロール(10L10)等)からなる群より選ばれた少なくとも1種の脂肪を、卵黄リン脂質、水素添加卵黄リン脂質、大豆リン脂質及び水素添加大豆リン脂質からなる群より選ばれた少なくとも1種の乳化剤を用いて乳化させてなる水中油型脂肪乳剤が好ましく挙げられる。なお、乳化剤の使用量は、脂肪の種類やその量にもよるが、通常0.01〜5.0W/V%程度であるのがよい。また、脂肪乳剤の脂肪濃度は、低すぎると、必要量を投与するための輸液量が多くなって患者の負担が増えるなどの不利益が生じる傾向があり、一方、高すぎると、製造が困難となる傾向があるため、5〜30W/V%であるのが好ましい。
【0014】
本発明における注射剤としては、特に制限はなく、例えば、電解質(2価金属イオン)を含有するもの、比重が水より高いもの等のように、乳化粒子を増大させる傾向がある薬液であっても好適に用いることができる。注射剤としては、例えば、還元糖液、電解質、アミノ酸液等の栄養輸液が好ましく挙げられる。還元糖としては、例えば、ブドウ糖(グルコース)等が挙げられる。電解質としては、例えば、塩化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、ヨウ化カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、乳酸カリウム、酢酸カリウム、乳酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム等が挙げられる。アミノ酸は、遊離アミノ酸のみならず、ナトリウム塩、酢酸塩、塩酸塩であってもよく、さらにはアミノ酸をペプチド化したものであってもよい。また、本発明における注射剤としては、上記のほかに、亜鉛、鉄、銅、ヨウ素、マンガン等の微量元素、ビタミンB群以外のビタミン類、抗生物質、抗ガン剤等を含む薬液を用いることもできる。なお、注射剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0015】
特に、前記注射剤は、1〜30mEq/Lの2価金属イオン、1〜30W/V%の還元糖及び1〜30W/V%のアミノ酸からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む輸液であることが、末梢静脈投与用輸液製剤とするうえで、好ましい。2価金属イオン、還元糖およびアミノ酸が、前記範囲よりも少ないと、必要量を投与するための輸液量が多くなって患者の負担が増えるなどの不利益が生じる傾向があり、一方、多いと、浸透圧が高くなり血管痛や静脈炎を引き起こすおそれがある。
【0016】
なお、本発明で安定化された混合液を末梢静脈投与用輸液製剤とする際の注射剤として、好ましい組成を以下に示す。
ブドウ糖 :3〜10W/V%
Na+ :25〜70mEq/L
+ :15〜50mEq/L
Ca2+ :3〜15mEq/L
Mg2+ :3〜10mEq/L
Cl- :25〜70mEq/L
P :5〜20mmol/L
Zn2+ :0〜30μmol/L
L−イソロイシン :1.0〜4.0g/L
L−ロイシン :2.0〜7.0g/L
L−リジン :1.5〜7.5g/L
L−メチオニン :0.5〜2.5g/L
L−フェニルアラニン:1.0〜4.0g/L
L−スレオニン :0.8〜3.0g/L
L−トリプトファン :0.2〜1.2g/L
L−バリン :0.7〜4.2g/L
L−アラニン :1.0〜4.2g/L
L−アルギニン :1.4〜5.5g/L
L−アスパラギン酸 :0.1〜1.7g/L
L−システイン :0.1〜0.7g/L
L−グルタミン酸 :0.1〜3.0g/L
L−ヒスチジン :0.8〜2.7g/L
L−プロリン :0.6〜2.6g/L
L−セリン :0.3〜1.7g/L
L−チロシン :0〜0.5g/L
グリシン :1.0〜4.5g/L
【0017】
脂肪乳剤と注射剤とを混合する際の配合比率は、特に制限されないが、脂肪乳剤100mLに対して、注射剤の合計量が50〜2000mLとなるようにすることが好ましい。注射剤が前記範囲よりも少ないと、必要な成分量を投与するためには高浸透圧となり、血管痛や静脈炎を引き起こすおそれがあり、一方、多いと、必要な成分量を投与するためには輸液量が多くなり、患者の負担が増えるなどの不利益が生じる傾向がある。
【0018】
本発明において、脂肪乳剤と注射剤との混合時に存在させるビタミンは、ビタミンB群から選ばれる少なくとも1種(以下、「特定ビタミン」と称することもある)であればよいのであるが、特に好ましいのは、ビタミンB2、ビタミンB6及びビタミンB12からなる群より選ばれる少なくとも1種であること、または、少なくともビタミンB6を含むことである。また、2種以上を組み合わせて用いると、脂肪乳剤の安定化において相乗効果が得られるのでより好ましい。好適な組み合わせとしては、B2とB6、B2とB12、B6とB12が挙げられ、特にB6とB12の組み合わせがよい。他方、例えばビタミンB1はB1欠乏症に有用であるなど、上記以外のB群のビタミンも栄養学的効果が期待されるので、最も好ましいのは、脂肪乳剤の安定化効果と栄養学的効果と併せて考慮すると、B群の全てのビタミンを用いることである。
【0019】
なお、ビタミンB1(チアミン)としては、塩酸チアミン、硝酸チアミン、プロスルチアミン、オクトチアミン等を使用することができる。ビタミンB2(リボフラビン)としては、リン酸エステルやそのナトリウム塩、フラビンモノヌクレオチド等を使用することができる。ビタミンB6(ピリドキシン)としては、塩酸ピリドキシン等の塩の形態で使用することが好ましい。ビタミンB12は、通常、シアノコバラミンの形態で使用することができる。
【0020】
特定ビタミンは、脂肪乳剤と注射剤とを混合する際に存在すればよく、例えば、脂肪乳剤にあらかじめ配合しておいてもよいし、注射剤にあらかじめ配合しておいてもよし、脂肪乳剤と注射剤の混合時に別途添加(配合)するようにしても良い。また、例えば後述する本発明の輸液バックのように注射剤として還元糖液およびアミノ酸液を分別しておいて混合する場合には、用いる特定ビタミンの種類に応じて、どの薬液に配合するかを選択すればよい。例えば、ビタミンB1であれば還元糖液中に配合するのがよく、ビタミンB2であればアミノ酸液中に配合するのがよく、ビタミンB6であれば還元糖液中に配合するのがよく、ビタミンB12であれば還元糖液中に配合するのがよい。
【0021】
特定ビタミンの配合量は、注射剤の種類や濃度、脂肪乳剤の粒子径等に応じて適宜設定すればよく、特に制限されない。通常、ビタミンB群として栄養的に必要な量で、乳化粒子の粗大化は充分に回避でき、脂肪乳剤の安定化を図ることができる。例えば、ビタミンB1は、脂肪乳剤と注射剤との混合液中チアミンとして1〜10mg/L、好ましくは1〜5mg/Lの濃度となるように配合すればよく、ビタミンB2は、脂肪乳剤と注射剤との混合液中リボフラビンとして1〜15mg/L、好ましくは1〜10mg/Lの濃度となるように配合すればよく、ビタミンB6は、脂肪乳剤と注射剤との混合液中ピリドキシンとして1〜10mg/L、好ましくは1〜5mg/Lの濃度となるように配合すればよく、ビタミンB12は、脂肪乳剤と注射剤との混合液中シアノコバラミンとして1〜10μg/L、好ましくは2〜6μg/Lの濃度となるように配合すればよい。
【0022】
脂肪乳剤と注射剤とを混合した後の混合液のpHは、特に限定されないが、生体に対する安全性の点から、6.5〜7.2程度となるように調整することが好ましい。なお、この際、必要に応じて、通常用いられているpH調整剤を使用することができる。
【0023】
本発明の脂肪乳剤の安定化方法を実施するに際しては、例えば、特表2005−523772号公報に開示されているような、軟質プラスチック製容器の中に易開封性小容器を収容した、いわゆる3室型容器を用いることが好ましい。このような3室型容器は、2室型容器に比べ、脂肪乳剤の平均粒径が前述のようにある程度大きい場合にも問題なく良好に投与することができるという利点を有している。
【0024】
具体的には、後述する本発明の輸液バックのように、少なくとも一部が易開封性隔壁で仕切られた2室を有するとともに、該2室のいずれか一方の室の内部に易開封性小容器を備えた軟質プラスチック製輸液バッグを用いることが好ましい。この場合、前記2室および前記小容器のいずれか一つに脂肪乳剤を、残りに注射剤を収容し、かつ、ビタミンB群から選ばれる少なくとも1種のビタミンを、前記2室および前記小容器に各々収容された薬液のうちの少なくとも1つに配合し、前記隔壁および前記小容器を開封することにより前記2室および前記小容器に各々収容された薬液の全てを混合する。前記2室および前記小容器に、それぞれどの薬液を収容するかについては、特に限定されないが、末梢静脈投与用輸液製剤とするうえでは、易開封性小容器に脂肪乳剤を収容し、前記2室のうち一方の室には還元糖液を、他方の室にはアミノ酸液を収容し、さらに前記還元糖液と前記アミノ酸液の少なくとも一方には電解質を配合するとともに、ビタミンB群から選ばれる少なくとも1種のビタミンを前記2室のいずれか一方に収容する態様が好適である。
【0025】
さらに、還元糖液と前記アミノ酸液とを配合する上記態様においては、還元糖液にビタミンB6及びビタミンB12の少なくとも一方が配合されていること、または、還元糖液に少なくともビタミンB6が配合されていることが、当該ビタミンの安定性の点で、好ましい。特に好ましくは、還元糖液に、ビタミンB6及びビタミンB12が配合されていることである。他方、アミノ酸液にはビタミンB2が配合されていることが、当該ビタミンの安定性の点で好ましい。なお、2種以上のビタミンB類を併用することは、脂肪乳剤の安定化の点で好ましい。
【0026】
本発明の輸液バックは、上述した本発明の脂肪乳剤の安定化方法に好ましく用いることができるものである。以下、図面を参照しながら本発明の輸液バックについて説明するが、収容する薬液等に関しては脂肪乳剤の安定化方法の説明として上述した通りである。
図1は、本発明の輸液バックの一実施形態を示す模式平面図である。
図1において、輸液バッグ1は、少なくとも一部が易開封性隔壁2で仕切られた2室3a、3bを有するとともに、該2室のいずれか一方の室3aの内部に易開封性小容器4を備えている。
【0027】
前記2室3a、3bは、2枚のフィルムの周縁部5’を熱融着して略矩形状に形成された容器本体5を、長手方向に直交する易開封性隔壁2で仕切ることにより形成される。易開封性隔壁2は、容器本体5の2枚のフィルムを熱融着したものであり、常時は2つの室3a、3bを隔離し、使用に際していずれかの室3aまたは3b内の圧力を高めることにより開封する程度の強度で融着されている。
また、前記2室3a、3bには、それぞれ内部にゴム栓を有する薬液投入排出部6が設けられており、さらに、一方の室3a上側に位置する熱融着された周縁部5’には、輸液バック1を吊り掛けるための吊掛孔7が形成されている。
【0028】
輸液バッグ1は、軟質プラスチック製であり、容器本体5を構成するフィルムの材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等の熱可塑性樹脂など、種々の樹脂材料を採用することができる。また、容器本体5を構成するフィルムは、単層のフィルムに限られず、多層構造のフィルムであってもよく、例えば、内層及び外層がポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンで、中間層が環状オレフィンコポリマーである3層構造のフィルムなどを採用することができる。
【0029】
前記易開封性小容器4は、前記2室の一方の室3aの内部に収容されている。小容器4は、2枚のフィルム(シート)の周縁を融着して袋状に形成されたものであり、使用に際して小容器4内の圧力を高めることにより開封可能となるように形成されている。具体的には、層間剥離が生じやすい3層構造の多層フィルム、例えばポリ環状オレフィンをポリエチレンで挟んだ構造の多層フィルムで形成される。但し、易開封性小容器4は、これに限定されるものではなく、例えば、ポリプロピレンをポリエチレンで挟んだ構造のように、他のフィルムと相溶性の低い樹脂フィルムを中間層に配置した構造の多層フィルムでも、層間剥離を起こしやすく、易開封性が得られる。このとき、最も内側の層の厚さは5〜50μmとするのが好ましい。また、小容器4を容器本体5形成用のフィルムと同様のフィルムで形成し、前記易開封性隔壁2と同様に、常時は小容器4の内部と室3aとを隔離し、使用に際して開封する程度の強度で熱融着するようにしてもよい。
【0030】
前記2室3a、3bのうち一方の室3aには還元糖液が、他方の室3bにはアミノ酸液が収容され、さらに前記還元糖液と前記アミノ酸液の少なくとも一方には電解質が配合されており、前記小容器4には平均粒子径が0.18〜0.35μmの脂肪乳剤が収容され、かつ、ビタミンB群から選ばれる少なくとも1種のビタミンが、前記2室3a、3bおよび前記小容器4に各々収容された薬液のうちの少なくとも1つに配合されている。さらに詳しくは、還元糖液にビタミンB6及びビタミンB12の少なくとも一方が配合されていること、または、還元糖液に少なくともビタミンB6が配合されていることが、当該ビタミンの安定性の点で好ましい。特に好ましくは、還元糖液に、ビタミンB6及びビタミンB12が配合されていることである。他方、アミノ酸液にはビタミンB2が配合されていることが、当該ビタミンの安定性の点で好ましい。また、ビタミンB6は、前記2室および前記小容器に各々収容された薬液全ての混合液中ピリドキシンとして1〜10mg/Lの濃度となるように配合されていることが好ましい。なお、2種以上のビタミンB類を併用することは、脂肪乳剤の安定化の点で好ましい。
【0031】
なお、以上のような本発明の輸液バックは、各薬液を収容して密封した後、必要に応じて、高圧蒸気滅菌等の処理を施し、例えば脱酸素剤と一緒に遮光ガスバリアフィルム製の外装袋内に封入しておくことが好ましい。そして、使用に際しては、外装袋から取り出し、例えば手でバックを押さえるようにして室3aおよび小容器4内の圧力を高めることにより、前記隔壁2および前記小容器4が開封され、前記2室3a、3bおよび前記小容器4に各々収容された薬液の全てが混合される。
【実施例】
【0032】
以下、実施例を挙げて本発明について詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。なお、以下の表中においては、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12を各々「B1」、「B2」、「B6」、「B12」と表記する。
<実施例1>
図1に示すような易開封性隔壁2で仕切られた2室3a、3bと易開封性小容器4とを備えた輸液バック1に、脂肪乳剤と注射剤として表1に示す組成のアミノ酸液およびブドウ糖液とを収容した。すなわち、まず、20W/V%脂肪乳剤(商品名「イントラリポス」(株)大塚製薬工場製:平均粒子径0.25μm)50mLを、ポリエチレン製薄膜小袋からなる小容器4に収容し、密封した。次に、ポリエチレン製の2室輸液容器の大きい方の室3aに、上記小容器4を収容固定したのち、該室3aに表1に示す組成のブドウ糖液350mLを充填し、密封した。続いて、表1に示す組成のアミノ酸液150mLを前記輸液容器の小さい方の室3bに充填し、密封した。その後、各薬液を収容した輸液バックを高圧蒸気滅菌し、脱酸素剤と一緒に遮光ガスバリアフィルム製外装袋内に封入し、輸液製剤とした。
【0033】
【表1】

【0034】
<実施例2>
ブドウ糖液およびアミノ酸液の組成を表2に示す組成に変更した以外は、実施例1と同様にして、輸液製剤を得た。
【0035】
【表2】

【0036】
<実施例3>
ブドウ糖液およびアミノ酸液の組成を表3に示す組成に変更した以外は、実施例1と同様にして、輸液製剤を得た。
【0037】
【表3】

【0038】
<実施例4>
ブドウ糖液およびアミノ酸液の組成を表4に示す組成に変更した以外は、実施例1と同様にして、輸液製剤を得た。
【0039】

【表4】

【0040】
<実施例5>
ブドウ糖液およびアミノ酸液の組成を表5に示す組成に変更した以外は、実施例1と同様にして、輸液製剤を得た。
【0041】
【表5】

【0042】
<実施例6>
ブドウ糖液およびアミノ酸液の組成を表6に示す組成に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、輸液製剤を得た。
【0043】

【表6】

【0044】
<比較例1>
ブドウ糖液の組成を表6に示す組成から塩酸ピリドキシン(B6)を除いた組成としたこと以外は、実施例6と同様にして、比較用の輸液製剤を得た。
【0045】
上記実施例1〜6および比較例1で得られた輸液製剤の混合時の乳化粒子径の安定性について、以下のように評価した。すなわち、輸液バックを外装袋から取り出し、圧を加えることで全室(易開封性隔壁2で仕切られた2室3a、3bおよび易開封性小容器4)を開通させて混合して、室温で放置し、24時間後に、混合液中の乳化粒子のうち粒子径が5μm以上の粒子の割合(%)を粒度分布測定装置(「アキュサイザー780」PSS社製)を用いて測定した。結果を表7に示す。
【0046】
【表7】

【0047】
<実施例7>
ブドウ糖液およびアミノ酸液の組成を表8に示す組成に変更した以外は、実施例1と同様にして、輸液製剤を得た。
【0048】
【表8】

【0049】
<実施例8>
ブドウ糖液およびアミノ酸液の組成を表9に示す組成に変更した以外は、実施例1と同様にして、輸液製剤を得た。
【0050】
【表9】

【0051】
上記実施例7〜8で得られた輸液製剤の混合時の乳化粒子径の安定性についても、上述した実施例1〜6の輸液製剤と同様にして評価した。その結果、混合後室温で24時間放置したときの乳化粒子径5μm以上の粒子の割合は、いずれも0.05%をはるかに下回っていた。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の脂肪乳剤の安定化方法に好適な輸液バックの一実施形態を示す模式平面図である。
【符号の説明】
【0053】
1 輸液バッグ
2 易開封性隔壁
3 室
4 易開封性小容器
5 容器本体
5’ 周縁部
6 薬液投入排出部
7 吊掛孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均粒子径が0.18〜0.35μmの脂肪乳剤と注射剤とを混合するに際し、ビタミンB群から選ばれる少なくとも1種のビタミンの存在下に混合する、ことを特徴とする脂肪乳剤の安定化方法。
【請求項2】
脂肪乳剤が、植物油、魚油、中鎖脂肪酸トリグリセリド及び化学合成トリグリセリドからなる群より選ばれた少なくとも1種の脂肪を、卵黄リン脂質、水素添加卵黄リン脂質、大豆リン脂質及び水素添加大豆リン脂質からなる群より選ばれた少なくとも1種の乳化剤を用いて乳化させてなる水中油型脂肪乳剤であり、その脂肪濃度が5〜30W/V%である、請求項1記載の脂肪乳剤の安定化方法。
【請求項3】
注射剤が、1〜30mEq/Lの2価金属イオン、1〜30W/V%の還元糖及び1〜30W/V%のアミノ酸からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む輸液である、請求項1または2記載の脂肪乳剤の安定化方法。
【請求項4】
脂肪乳剤100mLに対して50〜2000mLの注射剤を混合する、請求項1〜3のいずれかに記載の脂肪乳剤の安定化方法。
【請求項5】
ビタミンB2、ビタミンB6及びビタミンB12からなる群より選ばれる少なくとも1種のビタミンの存在下に、脂肪乳剤と注射剤とを混合する、請求項1〜4のいずれかに記載の脂肪乳剤の安定化方法。
【請求項6】
少なくともビタミンB6の存在下に、脂肪乳剤と注射剤とを混合する、請求項1〜4のいずれかに記載の脂肪乳剤の安定化方法。
【請求項7】
ビタミンB6とビタミンB12の存在下に、脂肪乳剤と注射剤とを混合する、請求項5または6記載の脂肪乳剤の安定化方法。
【請求項8】
ビタミンB6は、脂肪乳剤と注射剤との混合液中ピリドキシンとして1〜10mg/Lの濃度となるように存在させる、請求項5〜7のいずれかに記載の脂肪乳剤の安定化方法。
【請求項9】
少なくとも一部が易開封性隔壁で仕切られた2室を有するとともに、該2室のいずれか一方の室の内部に易開封性小容器を備えた軟質プラスチック製輸液バッグを用い、前記2室および前記小容器のいずれか一つに脂肪乳剤を、残りに注射剤を収容し、かつ、ビタミンB群から選ばれる少なくとも1種のビタミンを、前記2室および前記小容器に各々収容された薬液のうちの少なくとも1つに配合し、前記隔壁および前記小容器を開封することにより前記2室および前記小容器に各々収容された薬液の全てを混合する、請求項1〜8のいずれかに記載の脂肪乳剤の安定化方法。
【請求項10】
前記易開封性小容器に脂肪乳剤を収容し、前記2室のうち一方の室には還元糖液を、他方の室にはアミノ酸液を収容し、さらに前記還元糖液と前記アミノ酸液の少なくとも一方には電解質を配合するとともに、ビタミンB群から選ばれる少なくとも1種のビタミンを前記2室のいずれか一方に収容する、請求項9記載の脂肪乳剤の安定化方法。
【請求項11】
前記還元糖液に、ビタミンB6及びビタミンB12の少なくとも一方が配合されている、請求項10記載の脂肪乳剤の安定化方法。
【請求項12】
前記還元糖液に、少なくともビタミンB6が配合されている、請求項10記載の脂肪乳剤の安定化方法。
【請求項13】
前記還元糖液に、ビタミンB6及びビタミンB12が配合されている、請求項11または12記載の脂肪乳剤の安定化方法。
【請求項14】
前記アミノ酸液に、ビタミンB2が配合されている、請求項10〜13のいずれかに記載の脂肪乳剤の安定化方法。
【請求項15】
少なくとも一部が易開封性隔壁で仕切られた2室を有するとともに、該2室のいずれか一方の室の内部に易開封性小容器を備え、前記2室および前記小容器に各々収容された薬液の全てが前記隔壁および前記小容器を開封することにより混合可能となる軟質プラスチック製輸液バッグであって、
前記2室のうち一方の室には還元糖液が、他方の室にはアミノ酸液が収容され、さらに前記還元糖液と前記アミノ酸液の少なくとも一方には電解質が配合されており、前記小容器には平均粒子径が0.18〜0.35μmの脂肪乳剤が収容され、かつ、ビタミンB群から選ばれる少なくとも1種のビタミンが、前記2室および前記小容器に各々収容された薬液のうちの少なくとも1つに配合されている、ことを特徴とする輸液バック。
【請求項16】
還元糖液に、ビタミンB6及びビタミンB12の少なくとも一方が配合されている、請求項15記載の輸液バック。
【請求項17】
還元糖液に、少なくともビタミンB6が配合されている、請求項15記載の輸液バック。
【請求項18】
還元糖液に、ビタミンB6及びビタミンB12が配合されている、請求項16または17記載の輸液バック。
【請求項19】
ビタミンB6は、前記2室および前記小容器に各々収容された薬液全ての混合液中ピリドキシンとして1〜10mg/Lの濃度となるように配合されている、請求項16〜18のいずれかに記載の輸液バック。
【請求項20】
アミノ酸液に、ビタミンB2が配合されている、請求項15〜19のいずれかに記載の輸液バック。

【図1】
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【公開番号】特開2008−290968(P2008−290968A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−138001(P2007−138001)
【出願日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【出願人】(000149435)株式会社大塚製薬工場 (154)
【Fターム(参考)】