説明

自車位置検出装置

【課題】 座標誤差により方位が違っていると使用者に感じさせること(方位のアンマッチ感)を軽減することができる自車位置検出装置を提供すること。
【解決手段】 自車の方向を自車からの通信による座標位置から演算し、表示部18で自車方向を表示し使用者を自車へ誘導する携帯機1において、表示部18は、自車の方向を示す指向性表現と自車位置までの距離感の表現を一体化したA方向〜H方向の第1表示401〜第7表示407を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載された車載機と通信する携帯機を持った人が、自車の位置を検出する携帯機自車位置検出装置の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来では、GPSを使って自車の駐車位置を検出し、携帯した検出装置の表示部に現在位置と駐車位置の位置関係を矢印で表示している(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平6−84092号公報(第2−4頁、全図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来にあっては、GPSの電波状況が良くない場所では、座標測定値の誤差が大きく、自車と自分の距離が短くなるにつれて方位の精度が悪くなり、近距離においては、全く違った方位を示すこともあった。
【0004】
本発明は、上記問題点に着目してなされたもので、その目的とするところは、座標誤差により方位が違っていると使用者に感じさせること(方位のアンマッチ感)を軽減することができる自車位置検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明では、自車の方向を検出し、表示手段で自車方向を表示する自車位置検出装置において、前記表示手段は、自車の方向を示す指向性表現と自車位置までの距離感の表現を一体化した表示を備えた、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
よって、本発明にあっては、GPS誤差により方位が違っていると使用者に感じさせること(方位のアンマッチ感)を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の自車位置検出装置を実現する実施の形態を、請求項1〜9に係る発明に対応する実施例1に基づいて説明する。
【実施例1】
【0008】
まず、構成を説明する。
図1は実施例1の自車位置検出装置である携帯機と車両側装置のブロック構成を示す図である。
実施例1の自車位置検出装置は、キーレスシステムに用いられる携帯機1であり、車両側装置との通信を行うものである。
携帯機1は、CPU11、メモリ12、地磁気センサ13、GPS通信部14、GPSアンテナ15、無線通信部16、アンテナ17、表示部18を備えた構成としている。
【0009】
CPU11は、メモリ12への記憶、読み出し、地磁気センサ13からの検出値の入力処理、GPS通信部14への通信指令及びGPSデータの入力処理、表示部18への表示データの出力、無線通信部16への送信出力及び受信処理を行う。
また、CPU11は、携帯機1の現在位置をGPS座標で取得して、メモリ12から読み出した自車位置のGPS座標との相対位置を演算し、自車位置との距離と、両者の相対位置から演算する自車の方向の表示を行う処理を実行する。また、キーレスシステムの携帯機1の処理として、IDの送信等の処理を行う。
【0010】
メモリ12は、自車位置のデータを記憶し、必要に応じて出力する。また、キーレスシステムにおけるID等の記憶が必要なデータを記憶し、必要に応じて出力する。
地磁気センサ13は、地磁気による方位検出を行い、検出結果をCPU11へ出力する。
【0011】
GPS通信部14は、GPSアンテナ15を用いて、複数のGPS衛星からの電波を受信し、GPSデータを取得し、CPU11へ出力する。
GPSアンテナ15は、GPS電波を受信するアンテナである。
無線通信部16は、自車位置と携帯機1の現在位置の相対位置を表示するために、車載機2からの自車位置情報を受信する通信を行い、受信情報をCPU11へ出力する。
また、無線通信部16は、キーレスシステムの処理として、ID情報等の送受信を車載機2と通信する。
【0012】
アンテナ17は、無線通信部16が車載機2との送受信を行うためのアンテナである。
表示部18は、自車位置と携帯機1の現在位置の相対位置の方位、距離を示す表示を行う。詳細は後述する。
【0013】
車両側装置は、車載機2、GPS通信部3を備えている。
車載機2は、CPU21、無線通信部22、アンテナ23を備えた構成としている。
CPU21は、車載機2の外部、例えばナビ装置のGPS通信部3へGPS情報を取得する指令を出力し、GPS情報を入力する。また、携帯機1と送受信するためのデータの入出力を無線通信部22と行う。
無線通信部22は、アンテナ23を用いて携帯機1との送受信を行う。送信データはCPU21から入力され、受信データがCPU21へ出力する。
アンテナ23は、無線通信部22が車載機2と送受信を行うためのアンテナである。
【0014】
GPS通信部3は、例えばナビゲーション装置(ナビ装置)に備えられたものであり、GPSアンテナ31を用いて、複数のGPS衛星からの電波を受信し、GPSデータを取得し、CPU21へ出力する。
【0015】
図2は実施例1の自車位置検出装置である携帯機の表示部の説明図である。
携帯機1の表示部18には、図2に示す表示を行う構成が備えられている。
表示部18の表示面100には、まず中央に円形のセンタ部200が設けられる。そして、円形のセンタ部200から外周方向へ同心円状の4つの環状体を設けるようにし、さらにそれを、センタ部200を中心とする8方向、つまりA方向からH方向に分割する。
なお、説明上、図2では発光表示部分をハッチングにより示す。
【0016】
これにより、センタ部200からA方向には外周方向に向かって、第1円弧部101a、第2円弧部102a、第3円弧部103a、第4円弧部104aが配置される構成となる。
次に、センタ部200からB方向には外周方向に向かって、第1円弧部101b、第2円弧部102b、第3円弧部103b、第4円弧部104bが配置される。
次に、センタ部200からC方向には外周方向に向かって、第1円弧部101c、第2円弧部102c、第3円弧部103c、第4円弧部104cが配置される。
次に、センタ部200からD方向には外周方向に向かって、第1円弧部101d、第2円弧部102d、第3円弧部103d、第4円弧部104dが配置される。
【0017】
次に、センタ部200からE方向には外周方向に向かって、第1円弧部101e、第2円弧部102e、第3円弧部103e、第4円弧部104eが配置される。
次に、センタ部200からF方向には外周方向に向かって、第1円弧部101f、第2円弧部102f、第3円弧部103f、第4円弧部104fが配置される。
次に、センタ部200からG方向には外周方向に向かって、第1円弧部101g、第2円弧部102g、第3円弧部103g、第4円弧部104gが配置される。
次に、センタ部200からH方向には外周方向に向かって、第1円弧部101h、第2円弧部102h、第3円弧部103h、第4円弧部104hが配置される。
【0018】
このようにして、表示部18の表示面100には、センタ部200と第1円弧部〜第4円弧部がそれぞれ8方向に配置され、33個の点灯、非点灯による表示部分が形成される。
さらに具体的には、表示面100の内部に、LED等の光源とフィルタやフィルムなどによりこの表示面100が構成されるものとする。
また、機構により第1円弧部から順に第4円弧部が点灯、消灯するものであってもよい。
【0019】
図5に示すのは、実施例1の自車位置検出装置である携帯機の表示部の表示パターンと距離、方角の説明図である。なお、図5では説明上、発光表示部分つまり点灯部分をハッチングにより示し、非発光表示部分つまり非点灯部分を白抜きにより示す。そして、具体的には、背景及び非点灯部分は黒色等の暗い色の背景部分となり、その背景に対して、この発光部分を表示する。
図5に示す表示パターンでは、図5の右段に示す携帯機1の現在位置から自車位置への方向について、A方向(0度方向)〜H方向(315度方向)までの8方向を設定し、これをデータとして、携帯機1のCPU11内部メモリ、又はメモリ12、あるいは図示しないROMに備えている。
そして、8方向それぞれについて、図5の下段に示す携帯機1の現在位置と自車位置の距離に応じて、7段階の表示を設定し、これをデータとして、携帯機1のCPU11内部メモリ、又はメモリ12、あるいは図示しないROMに備えている。
【0020】
さらに、図5の右段の方角の設定、及び図5の下段の距離の設定には、増加時と減少時で異なる値を設定している。
【0021】
次に作用を説明する。
[車載機における自車位置の処理]
図3に示すのは、実施例1の車載機2のCPU21で実行する自車位置の処理の流れを示すフローチャートで、以下各ステップについて説明する。
【0022】
ステップS1では、車載機2のCPU21が、IGN電源のオフやリモコンによるロックなどから車両の使用者が降車しようとしているかどうかを判断し、降車しようとしているならばステップS2へ進み、降車しようとしていないならば処理を終了する。
【0023】
ステップS2では、車載機2のCPU21が、無線通信部22を制御して、携帯機1へ自車位置の通知を行う。この際に、GPS通信部3から得るGPS座標データを携帯機1へ送信し、処理を終了する。
【0024】
[携帯機における自車位置の処理]
図4に示すのは、実施例1の携帯機1のCPU11で実行する自車位置の処理の流れを示すフローチャートで、以下各ステップについて説明する。
【0025】
ステップS3では、携帯機1のCPU11が、車載機2から送信されるGPS座標データを自車位置として、メモリ12へ記憶させ、処理を終了する。
【0026】
[GPS誤差による方位アンマッチ感を軽減する作用]
図6は実施例1の携帯機1における自車位置を検出し表示した状態の説明図である。
実施例1の携帯機1では、車載機2が降車時に取得し通信した(ステップS1〜S3)自車位置のGPS座標と、携帯機1のGPS通信部14で取得した携帯機1の現在位置のGPS座標を比較する。この比較により、携帯機1の現在位置からどの方角のどの距離に自車があるのかを演算する。
【0027】
そして、携帯機1は、地磁気センサ13から得る方位情報により、自車位置の方角が、表示部18のA方向(0度方向)〜H方向(315度方向)までの8方向のいずれに該当するかを判断する。言い換えると、地磁気センサ13から得る携帯機1の絶対的な方角に対する向きに自車方角を当てはめる。さらにこの判断に基づいて、表示部18への表示を行う。なお、携帯機1の向きが表示した8方向の方角範囲を超えた場合には、表示部18の表示を変更する。また、携帯機1と自車位置との距離が設定した段階範囲を超えた場合にも、表示部18の表示を変更する。
【0028】
次に、この自車位置の表示について、さらに具体的に表示部18の表示面100への表示として説明する。
実施例1の携帯機1では、自車位置と携帯機1の現在位置との距離を7段階に分けて、7段階の表示を行う。なお、この表示をA方向(0度方向)〜H方向(315度方向)までの8方向のそれぞれについて行う。
【0029】
以下、A方向(0度方向)について、説明する。まず、最も自車位置と携帯機1の現在位置との距離が遠い範囲を第1距離範囲301とする。
第1距離範囲301では、センタ部200を弱く発光する状態にし、センタ部200からA方向には外周方向に向かって、第1円弧部101a、第2円弧部102a、第3円弧部103a、第4円弧部104aが点灯する表示を行う。これを第1表示401とする。
【0030】
次に、自車位置と携帯機1の現在位置との距離が、第1距離範囲301より近い範囲を第2距離範囲302とする。
第2距離範囲302では、センタ部200を弱く発光する状態にし、センタ部200からA方向には外周方向に向かって、第1円弧部101a〜第4円弧部104a、B方向には第1円弧部101b、H方向には第1円弧部101hが点灯する表示を行う。これを第2表示402とする。
【0031】
次に、自車位置と携帯機1の現在位置との距離が、第2距離範囲302より近い範囲を第3距離範囲303とする。
第3距離範囲303では、センタ部200を弱く発光する状態にし、センタ部200からA方向には外周方向に向かって、第1円弧部101a〜第4円弧部104a、B方向には第1円弧部101b、第2円弧部102b、C方向には第1円弧部101c、H方向には第1円弧部101h、第2円弧部102h、G方向には第1円弧部101gが点灯する表示を行う。これを第3表示403とする。
【0032】
次に、自車位置と携帯機1の現在位置との距離が、第3距離範囲303より近い範囲を第4距離範囲304とする。
第4距離範囲304では、センタ部200を強く発光する状態にし、センタ部200からA方向には外周方向に向かって、第1円弧部101a〜第4円弧部104a、B方向には第1円弧部101b〜第3円弧部103b、C方向には第1円弧部101c、第2円弧部102c、D方向には第1円弧部101d、E方向には第1円弧部101e、F方向には第1円弧部101f、G方向には第1円弧部101g、第2円弧部102g、H方向には第1円弧部101h〜第3円弧部103hが点灯する表示を行う。これを第4表示404とする。
【0033】
次に、自車位置と携帯機1の現在位置との距離が、第4距離範囲304より近い範囲を第5距離範囲305とする。
第5距離範囲305では、センタ部200を強く発光する状態にし、センタ部200からA方向には外周方向に向かって、第1円弧部101a〜第4円弧部104a、B方向には第1円弧部101b〜第4円弧部104b、C方向には第1円弧部101c〜第3円弧部103c、D方向には第1円弧部101d、第2円弧部102d、E方向には第1円弧部101e、第2円弧部102e、F方向には第1円弧部101f、第2円弧部102f、G方向には第1円弧部101g〜第3円弧部103g、H方向には第1円弧部101h〜第4円弧部104hが点灯する表示を行う。これを第5表示405とする。
【0034】
次に、自車位置と携帯機1の現在位置との距離が、第5距離範囲305より近い範囲を第6距離範囲306とする。
第6距離範囲306では、センタ部200を強く発光する状態にし、センタ部200からA方向には外周方向に向かって、第1円弧部101a〜第4円弧部104a、B方向には第1円弧部101b〜第4円弧部104b、C方向には第1円弧部101c〜第4円弧部104c、D方向には第1円弧部101d〜第3円弧部103d、E方向には第1円弧部101e〜第3円弧部103e、F方向には第1円弧部101f〜第3円弧部103f、G方向には第1円弧部101g〜第4円弧部104g、H方向には第1円弧部101h〜第4円弧部104hが点灯する表示を行う。これを第6表示406とする。
【0035】
次に、自車位置と携帯機1の現在位置との距離が、第6距離範囲306より近い範囲で、最も近い距離範囲を第7距離範囲307とする。
第7距離範囲307では、センタ部200を強く発光する状態にし、センタ部200からA方向には外周方向に向かって、第1円弧部101a〜第4円弧部104a、B方向には第1円弧部101b〜第4円弧部104b、C方向には第1円弧部101c〜第4円弧部104c、D方向には第1円弧部101d〜第4円弧部104d、E方向には第1円弧部101e〜第4円弧部104e、F方向には第1円弧部101f〜第4円弧部104f、G方向には第1円弧部101g〜第4円弧部104g、H方向には第1円弧部101h〜第4円弧部104hが点灯する表示を行う。つまり、全てが点灯する状態で、これを第7表示407とする。
【0036】
B方向〜H方向についても、第1距離範囲301〜第7距離範囲307に対して、上記説明した表示をそれぞれの方向に向けて回転させたものを第1表示401〜第7表示407として表示する(図5参照)。
【0037】
実施例1の携帯機1の表示部18の第1表示401〜第7表示407は、指向性(方向性)の表現と距離感の表現を一体として行うものである。
さらに、自車位置と携帯機1の現在位置の距離が離れるほど、つまり第1距離範囲301側であるほど、指向性の表現を強調し、距離感の表現を弱くしたものにし、且つ自車位置と携帯機1の現在位置の距離が近づくほど、つまり第7距離範囲307側であるほど、距離感の表現を強調し、指向性の表現を弱くしたものにする。
【0038】
携帯機1を持つ車両の使用者は、携帯機1の表示部18の表示を見て、それが第1表示401を示していたならば、自車の方向がA方向であることを認識し、移動することになる。ここで、表示は、第1表示401、第2表示402、第3表示403〜第5表示405と変化して行き、センタ部200周囲の点灯部分が増えることにより距離が近づいていることがわかる。また、自車の方向がおおむねA方向であることも、第1表示401、第2表示402を踏まえて認識される。
さらに携帯機1を持つ車両の使用者が自車に近づくと、距離が近づいていることが表示の主となる。そして、第6表示406、第7表示407では、ほとんど距離のみを示す表示となる。ここで、携帯機1を持つ使用者が自車に近づく場合には、第6表示406で5m〜14m、第7表示407で0m〜4mであるので、距離が近いことのみを示せれば、自車を目視できるはずである。
このように、本実施例1の携帯機1では、車両の位置を忘れるなどして、自車位置へ誘導されたい場合に、指向性と距離感を一体にした表示で充分に使用者を導く。
【0039】
さらに、この実施例1の携帯機1の表示部18における指向性と距離感を一体にした表示では、GPS位置の誤差の影響が考慮される。
図7は実施例1の自車位置検出装置である携帯機1の現在位置の自車位置の誤差位置、角度の説明図である。
GPS通信部3,14で取得するGPS座標は、誤差範囲を持つ。これを図示すると、図7の誤差範囲500のようになる。つまり、取得したGPS座標は、誤差範囲500のいずれかの座標値となる。
【0040】
第1距離範囲301や第2距離範囲302のように、自車位置と携帯機1の現在位置の距離が遠い場合には、自車位置の誤差範囲500と携帯機1の誤差範囲501が構成する方角の角度範囲600は小さい角度範囲となる(図7(a)参照)。
実施例1では、自車位置と携帯機1の現在位置の距離が遠い場合には、指向性を表現の主とするため、自車位置の方向を明確に認識できる。
【0041】
次に、第3距離範囲303〜第5距離範囲のように、自車位置と携帯機1の現在位置の距離がやや近くなると、自車位置の誤差範囲500と携帯機1の誤差範囲501が構成する方角の角度範囲600は距離が近づくに従って大きい角度範囲となる(図7(b)参照)。
実施例1では、自車位置と携帯機1の現在位置の距離が近くなるにつれて、指向性の表現を弱くし、距離感の表現を強調するため、第3距離範囲303〜第5距離範囲の表示の指向性が、第1距離範囲301や第2距離範囲302における指向性を受け継ぐように認識されつつ、広い角度を表現するようにし、距離の表現を主とすることで、異なる方向へ携帯機1を持つ使用者を誘導しないようにしつつ、距離を示すことで、使用者を自車へ導くようにする。
【0042】
次に、第6距離範囲306、第7距離範囲307のように、自車位置と携帯機1の現在位置の距離が非常に近くなると、自車位置の誤差範囲500と携帯機1の誤差範囲501が構成する方角の角度範囲600は非常に大きい角度範囲となる(図7(c)参照)。
もし自車位置に近づいた使用者が、目視で自車位置を確認する前に、この誤差の影響を受けて大きく自車位置の方向と異なる方向を指した表示を認識すれば、誤った自車への誘導となる。さらに、目視で自車位置を確認できるのに、この誤差の影響を受けて大きく自車位置の方向と異なる方向を指した表示を見れば、表示が誤っていると感じることになる。つまり方向表示のアンマッチ感を生じることになる。これは、車両の品質評価につながりかねないものである。
【0043】
実施例1では、自車位置と携帯機1の現在位置の距離が非常に近い場合、距離感の表現がほとんどを占めるよう強調して表示するため、自車位置と携帯機1の現在位置が非常に近いことを表現し、方向の表現をほとんど行わない。これにより、表示が誤っていると感じることがない、つまり方向表示のアンマッチ感を生じないようにする。
【0044】
また、図5の下段の距離の設定では、増加時と減少時で異なる値を設定している。これにより、例えば、携帯機1を持つ使用者が自車へ離れる状態から近づく状態へ変わった際に、その表示がわずかな距離範囲で変化を繰り返さないようにする。
さらに具体的には、自車へ近づく場合と離れる場合を同じ距離設定にすると、その境のわずかな距離範囲で自車へ近づくことと離れることを繰り返すと頻繁に表示が変化し、違和感を生じることになる。そのため、増加時と減少時で異なる値を設定することにより、わずかな距離範囲で自車へ近づくことと離れることを繰り返す動きを使用者が行った場合でも頻繁に表示が変わらないようにする。
【0045】
また、実施例1では、自車位置検出装置は、キーレスシステムの携帯機1を用いるようにしている。そのため、この携帯機1は無線通信部16により、車載機2の無線通信部22との無線通信、例えばLF波やRF波を用いた通信により、識別情報となるID情報をやりとりすることにより、認証を行なって、開錠、施錠をキー操作なく行う。この処理には、当然に携帯機1、車載機2にCPUが備えられることになる。そのため、既存のキーレスシステムに実施例1の自車位置検出装置を一体に設けることは、非常にコストが抑制でき、現実の車両への採用が容易である。
【0046】
次に、効果を説明する。
実施例1の自車位置検出装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
【0047】
(1)自車の方向を検出し、表示部18で自車方向を表示する携帯機1において、表示部18は、自車の方向を示す指向性表現と自車位置までの距離感の表現を一体化したA方向〜H方向の第1表示401〜第7表示407を備えたため、座標誤差により方位の表示範囲が広くなる場合は距離感の表示を強くして、座標誤差により方位が違っていると使用者に感じさせること(方位のアンマッチ感)を軽減することができる。
【0048】
(2)上記(1)において、表示部18は、自車位置までの距離が遠くなるのに応じて指向性表現を強調し、自車位置までの距離が近くなるのに応じて距離感の表現を強調させるよう表示をCPU11の制御により変更するA方向〜H方向の第1表示401〜第7表示407を備えたため、自車位置までの距離が遠く、座標誤差による方位の表示範囲が狭い場合には、指向性表現を強調して自車の方向を充分に示し、自車位置までの距離が近くなり、座標誤差により方位の表示範囲が広くなる場合は距離感の表示を強くして、座標誤差により方位が違っていると使用者に感じさせること(方位のアンマッチ感)を軽減することができる。
【0049】
(3)上記(2)において、自車の座標位置を自車の車載機との通信で取得する無線通信部16と、携帯機1の座標位置を検出するGPS通信部14及びGPSアンテナ15と、自車の座標位置と携帯機1の座標位置から自車までの距離を演算するCPU11の処理と、自車の座標位置と携帯機1の座標位置から自車の方向を演算するCPU11の処理を備えたため、自車から送信される自車座標と携帯機1の座標位置を通信により確実に得て、その情報を基に、自車までの距離、自車の方向を携帯機1のCPU11で演算処理することにより、正確な演算に基づいて表示を行うことができる。
【0050】
(4)上記(3)において、無線通信部16は、車載機2が乗員の降車を検出した際に、自車の座標位置を通信で取得するため、その後に自車位置の移動がないタイミングで、自車の座標位置を通信で得るようにして、確実な情報を基に、自車までの距離、自車の方向を携帯機1のCPU11で演算処理することにより、正確な演算に基づいて表示を行うことができる。
【0051】
(5)上記(3)又は(4)において、自車の座標位置は、GPS座標であり、GPS通信部14及びGPSアンテナ15は、GPS座標を検出するため、特段の制限なくGPS信号の受信により座標を取得することができ、正確な情報により、自車までの距離、自車の方向を表示することができ、GPS座標の誤差範囲500,501により方位が違っていると使用者に感じさせること(方位のアンマッチ感)を軽減することができる。
【0052】
(6)上記(1)〜(5)のいずれかにおいて、表示部18におけるCPU11の制御により変更するA方向〜H方向の第1表示401〜第7表示407は、表示のセンタ部200からいずれかの方向へ伸長させた表示範囲を設けることにより、指向性表現を行い、自車位置までの距離が近くなるのに応じて、表示のセンタ部200から外側へ表示範囲を拡大させることにより、距離感の表現を行うため、センタ部200からの表示範囲の方向とその拡大度合により、指向性表現と距離感の表現を一体的に表示し、指向性表現と距離感の表現がともに適度に行われる場合でも違和感なく表示できる。また、形状による表示によりわかりやすい表示にすることができる。
【0053】
(7)上記(6)において、表示部18におけるCPU11の制御により変更するA方向〜H方向の第1表示401〜第7表示407は、指向性表現を複数方向に区切った表示範囲、つまりA方向〜H方向で表現し、距離感の表現をセンタ部200から外側へ複数段階に区切った表示範囲、つまり第1円弧部〜第4円弧部で表現したため、指向性表現と距離感の表現を段階的にして、表示にかかるコスト、及び表示に関する処理負荷を抑制し、また、段階的な形状表示により瞬読性を向上させることができる。
【0054】
(8)上記(7)において、表示部18におけるCPU11の制御により変更するA方向〜H方向の第1表示401〜第7表示407は、自車との距離が最も離れた状態では、区切った一つの方向におけるセンタ部200から外側へ複数段階に区切った表示範囲、つまり第1円弧部〜第4円弧部の全てを表示するようにし、自車との距離が近づくにしたがって、表示した方向の両側へ表示方向を徐々に増やすとともに、表示した方向に近い方向ほどセンタ部200から外側へ複数段階に区切った表示範囲が大きくなるように、且つ徐々に表示範囲が増えるようにしたため、指向性表現を最も強調する表示から距離感の表現を最も強調する表示への切り替わりを、違和感を生じることなく変更することができ、途中の指向性表現と距離感の表現の両方を行う場合も一体化表示により認識性高く行うことができる。
【0055】
(9)上記(6)〜(8)のいずれかにおいて、表示部18におけるCPU11の制御により変更するA方向〜H方向の第1表示401〜第7表示407は、自車と携帯機1との距離が減少する場合の表示を変更する閾値と、自車と携帯機1との距離が増加する場合の表示を変更する閾値を異なるもの(図5の下表)にしたため、使用者が携帯機1を持って、短い距離範囲で自車への接近、離間を繰り返しても頻繁に表示が切り変わらないようにして、違和感を生じないようにし、見やすくなるよう安定した表示を行うことができる。
【0056】
以上、本発明の携帯機1を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0057】
例えば、実施例1では、キーレスシステムの携帯機と一体のものとしたが、キーレスシステムの携帯機と別に携帯機を設けるようにしてもよい。
また、自車の方向検出は、実施例1では、自車から得た座標位置を演算することにより検出したが、別の手段により自車位置を検出するものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】実施例1の自車位置検出装置である携帯機と車両側装置のブロック構成を示す図である。
【図2】実施例1の自車位置検出装置である携帯機の表示部の説明図である。
【図3】実施例1の車載機2のCPU21で実行する自車位置の処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】実施例1の携帯機1のCPU11で実行する自車位置の処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】実施例1の自車位置検出装置である携帯機の表示部の表示パターンと距離、方角の説明図である。
【図6】実施例1の携帯機1における自車位置を検出し表示した状態の説明図である。
【図7】実施例1の自車位置検出装置である携帯機1の現在位置の自車位置の誤差位置、角度の説明図である。
【符号の説明】
【0059】
1 携帯機
11 CPU
12 メモリ
13 地磁気センサ
14 GPS通信部
15 GPSアンテナ
16 無線通信部
17 アンテナ
18 表示部
100 表示面
2 車載機
21 CPU
22 無線通信部
23 アンテナ
3 GPS通信部
31 GPSアンテナ
101a〜101h 第1円弧部
102a〜102h 第2円弧部
103a〜103h 第3円弧部
104a〜104h 第4円弧部
200 センタ部
301 第1距離範囲
302 第2距離範囲
303 第3距離範囲
304 第4距離範囲
305 第5距離範囲
306 第6距離範囲
307 第7距離範囲
401 第1表示
402 第2表示
403 第3表示
404 第4表示
405 第5表示
406 第6表示
407 第7表示
500 (自車のGPS座標の)誤差範囲
501 (携帯機のGPS座標の)誤差範囲
600 角度範囲
C 車両

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車の方向を検出し、表示手段で自車方向を表示する自車位置検出装置において、
前記表示手段は、自車の方向を示す指向性表現と自車位置までの距離感の表現を一体化した表示を備えた、
ことを特徴とする自車位置検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の自車位置検出装置において、
前記表示手段は、
自車位置までの距離が遠くなるのに応じて前記指向性表現を強調し、自車位置までの距離が近くなるのに応じて前記距離感の表現を強調させるよう表示を変更する表示変更手段を備えた、
ことを特徴とする自車位置検出装置。
【請求項3】
請求項2に記載の自車位置検出装置において、
自車の座標位置を自車の車載機との通信で取得する自車座標検出手段と、
前記自車位置検出装置の座標位置を検出する装置座標検出手段と、
自車の座標位置と前記自車位置検出装置の座標位置から自車までの距離を演算する距離演算手段と、
自車の座標位置と前記自車位置検出装置の座標位置から自車の方向を演算する方向演算手段と、
を備えたことを特徴とする自車位置検出装置。
【請求項4】
請求項3に記載の自車位置検出装置において、
前記自車座標検出手段は、
前記車載機が乗員の降車を検出した際に、自車の座標位置を通信で取得する、
ことを特徴とする自車位置検出装置。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載の自車位置検出装置において、
自車の座標位置は、GPS座標であり、
前記装置座標検出手段は、GPS座標を検出する、
ことを特徴とする自車位置検出装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の自車位置検出装置において、
前記表示変更手段は、
表示の中央部からいずれかの方向へ伸長させた表示範囲を設けることにより、前記指向性表現を行い、
自車位置までの距離が近くなるのに応じて、表示の中央部から外側へ表示範囲を拡大させることにより、前記距離感の表現を行う、
ことを特徴とする自車位置検出装置。
【請求項7】
請求項6に記載の自車位置検出装置において、
前記表示変更手段は、
前記指向性表現を複数方向に区切った表示範囲で表現し、
前記距離感の表現を前記中央部から外側へ複数段階に区切った表示範囲で表現した、
ことを特徴とする自車位置検出装置。
【請求項8】
請求項7に記載の自車位置検出装置において、
前記表示変更手段は、
自車との距離が最も離れた状態では、区切った一つの方向における前記中央部から外側へ複数段階に区切った表示範囲の全てを表示するようにし、
自車との距離が近づくにしたがって、表示した方向の両側へ表示方向を徐々に増やすとともに、表示した方向に近い方向ほど前記中央部から外側へ複数段階に区切った表示範囲が大きくなるように、且つ徐々に表示範囲が増えるようにした、
ことを特徴とする自車位置検出装置。
【請求項9】
請求項6〜請求項8のいずれか1項に記載の自車位置検出装置において、
前記表示変更手段は、
自車と前記自車位置検出装置との距離が減少する場合の表示を変更する閾値と、自車と前記自車位置検出装置との距離が増加する場合の表示を変更する閾値を異なるものとにした、
ことを特徴とする自車位置検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−129035(P2009−129035A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−301116(P2007−301116)
【出願日】平成19年11月21日(2007.11.21)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】