説明

航空機エンジンスタータ/発電機およびコントローラ

【課題】始動モードと発電モードの両方において、高い電力密度、高い効率、および高い動的性能を有する、スタータ/発電機、およびインバータ/コンバータ/コントローラを含む航空機エンジンスタータ/発電機システムを提供する。
【解決手段】航空機用始動および発電システムは、主機械、励磁器、および永久磁石発電機を含むスタータ/発電機を含む。システムは、また、スタータ/発電機に接続され、航空機の原動機を始動するための始動モードにおいてスタータ/発電機を駆動するAC電力を発生し、原動機が始動した後にスタータ/発電機から取得されるAC電力をスタータ/発電機の発電モードのDC電力に変換するインバータ/コンバータ/コントローラを含む。励磁器は固定子および回転子を含み、励磁器回転子は3相AC巻線を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、始動モードにおいて電気エネルギーを機械エネルギーに、発電モードにおいて機械エネルギーを電気エネルギーに変換する双方向エネルギー変換ブラシレス電気回転デバイスの組合せに関する。特に、本発明は、3つの電気機械セット、スタータ/発電機(S/G)、およびインバータ/コンバータ/コントローラ(ICC)と本明細書で呼ばれるIGBTベースでかつデジタル制御式のデバイスを含む高電力密度航空機エンジン始動および発電システムに関する。さらに、本発明は、巻線形界磁同期機械ベースS/Gの回転子位置センサをなくすことに関し、センサレス制御式のS/GおよびICCシステムをもたらす。
【背景技術】
【0002】
航空機用のスタータ発電機システムが現在存在しており、このシステムを使用して、航空機エンジンを始動すると共に、始動された後に航空機エンジンを発電モードで利用し、それにより、電気エネルギーが航空機上の電力システムに供給される。たとえば、William Shilling他に発行された米国特許第4,743,777号は、2つの固定子励磁器巻線を有し、始動電動機としてダイナモ電気機械を駆動する、または発電動作中に機械から電力を受け取るように交互に接続される。可変電圧で可変周波数の電力コンバータを含むスタータ発電機システムを説明する。Madan Bansal他に発行された米国特許第5,587,647号は、2重出力同期誘導始動/発電システムを説明する。Bansalシステムは、航空機エンジンなどの外部原動機に対して駆動される軸に相互結合した同期発電機および誘導電動機/発電機を含む。Bansalシステムは、また、航空機エンジンの発電ならびに電気的始動を共に達成するために、双方向の電力の流れを可能にする整流器/インバータを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第4,743,777号明細書
【特許文献2】米国特許第5,587,647号明細書
【発明の概要】
【0004】
上述した従来技術のシステムは、航空機エンジンを使用するとき、およびエンジンが始動してから、航空機エンジンから電力を発生するときに有用であるが、始動モードと発電モードのいずれかまたは両方において、高い電力密度、高い効率、および高い動的性能の少なくとも1つを有するシステムを考え出すことが望ましい。
【0005】
本発明の少なくとも1つの態様によれば、当分野の従来のシステムと比較して、始動モードと発電モードの両方において、高い電力密度、高い効率、および高い動的性能を有する、スタータ/発電機(S/G)、およびインバータ/コンバータ/コントローラ(ICC)を含む航空機エンジンスタータ/発電機システムが存在する。
【0006】
S/Gは、3つの電気機械、すなわち、主機械、励磁器、および永久磁石発電機(PMG)を含む。IGBTベースのインバータ/コンバータ/コントローラであることができ、デジタル制御式の双方向電子デバイスであるICCは、S/Gの主機械の固定子巻線の入力/出力に接続される。電子デバイスは、始動モードにおいて、S/Gを駆動するAC電力を発生し、発電モードにおいて、AC電力を航空機に関して要求されるDC電力に変換する。
【0007】
第1の実施形態は、全体システムの軽い重量と優れた性能をもたらすS/Gシステムの少なくとも2つの態様を含む。第1の態様は、ICC内に位置する接触器と連携して働く巻線を含む2重機能励磁器固定子である。始動モード中、巻線は、接触器によってAC3相巻線に構成され、発電モード中、巻線は、同じ接触器によって単一DC巻線に構成される。機械上に目立ったサイズおよび重量を付加することなく、ADおよびDC2重機能巻線は、それぞれ始動モードと発電モードについての必要性を満たす。第2の態様は、始動モードと発電モードの両方において、電力電子スイッチの転流用の従来の機械式位置センサをなくすことである。これは、S/Gのかなりのサイズと重量の低減を達成する。
【0008】
第2の実施形態は、S/Gシステムの始動モードを対象とし、当分野の従来の手法と比較して、始動モードにおいてS/Gのよりよいトルク密度を達成するように働く5つの態様を含む。第1の態様は、誘導機械の制動モードにおいて構成され制御される励磁器固定子の3相AC巻線である。ゼロ速度センサレス手法の実現は、この実施形態に関連する第2の態様に相当する。第3の態様は、インバータをパルス幅変調(PWM)領域内に適切に維持し、始動モードにおいて全速度範囲にわたって有効電流調節を維持するために開発された自動界磁低減化メカニズムである。第4の態様は、インバータ電圧が飽和している間に、高速でより高い電力密度を達成するために、自動界磁低減化を1付近の力率制御スキームと組み合せることである。第5の態様は、磁気飽和によって生じるトルク制限を克服するための最大リラクタンストルクを生成するために、主機械の界磁電流に逆向きに整列する負のd軸電流プロファイルに関連するベクトル制御スキームである。その手法は、従来のシステムと比較して、S/Gのトルク密度を増加させる。
【0009】
第3の実施形態は、S/Gシステムの発電モードを対象とし、4つの態様を含む。第1の態様は、イナクティブおよびアクティブ整流構成可能性に関する。励磁器コンバータデジタル制御アセンブリ240および主コンバータデジタル制御アセンブリ230によって制御されて、主IGBT/ダイオードブリッジは、用途に応じて、非アクティブ整流器またはアクティブ整流器になることができる。第2の態様は、IGBT発電モード動作の最適効率を達成するために、自動界磁修正と過変調を組み合せるIGBTコンバータの制御を対象とする。第3の態様は、発電モード中のIGBT転流手法を提供することである。IGBTの転流は、始動モードで使用される同様のセンサレス手法である電圧モードセンサレスに基づく。第4の態様は、バス電圧を同時に調節しながら、DCバス上の過剰なエネルギーを機械内に吸収して回生を達成することを対象とする。
【0010】
本発明の先述の利点および特徴は、以下の詳細な説明および添付図面を参照して明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の全体のS/GおよびICCエンジン始動および発電システムの例証的な図である。
【図2】本発明の全体のS/GおよびICCエンジン始動および発電システムのブロック図である。
【図3】始動モードにおける本発明のS/GおよびICCのブロック図である。
【図4】発電モードにおける本発明のS/GおよびICCのブロック図である。
【図5】本発明のS/Gの断面図である。
【図6A】本発明のICC用のハウジングの等角図である。
【図6B】本発明のICC用のハウジングの等角図である。
【図7】高周波注入センサレス法によって推定される主回転子角度のプロットである。
【図8】発電モードと回生モードの両方で、励磁器デジタル制御アセンブリおよび主デジタル制御アセンブリによって制御される、主機械のベクトルの関係を示すベクトル図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明が、添付図面を参照して、以下で詳細に述べられる。本発明は、始動モードにおいて電気エネルギーを機械エネルギーに、発電モードにおいて機械エネルギーを電気エネルギーに変換する双方向エネルギー変換ブラシレス電気回転デバイスに関する。
【0013】
本発明の第1の実施形態が、S/GおよびICCエンジン始動および発電システムの全体構成に関して次に述べられる。第1の実施形態は、以下で詳細に述べられる少なくとも2つの態様を含む。
【0014】
第1の実施形態のS/GおよびICCエンジン始動および発電システム50は、S/G100およびICC200を含む。図1、図2、および図5に示すように、S/G100は、主機械110、励磁器120、およびPMG130である3つの電気機械の組合せである。この構成は、3機械セットと呼ばれる。主機械110は、第1の実施形態の1つの考えられる実施態様において突極型同期機械であってよい。主機械110の固定子112は、ICC200の主IGBT/ダイオードブリッジ210に接続する。主機械110の回転子114は、主回転子114の軸118の内側に位置する全波または半波回転整流器116の出力に接続する。励磁器回転子122は、回転整流器116の入力に接続する3相巻線を有し、励磁器固定子124は、DC巻線と、図2に示す接触器220を介してICC200の励磁器IGBT/ダイオードブリッジ212に接続する3相AC巻線とを含み、それにより図2は、主IGBT/ダイオードブリッジ210および励磁器IGBT/ダイオードブリッジ212を構成するコンポーネントを強調したS/GおよびICCシステム50のブロック図を提供する。
【0015】
図2に示すICC200は、2つのIGBT/ダイオードブリッジ、すなわち主ブリッジ210および励磁器ブリッジ212を含む。主ブリッジ210および励磁器ブリッジ212はそれぞれ、主インバータ/コンバータおよび励磁器インバータ/コンバータとも呼ばれる。それぞれは、デジタル制御アセンブリによって制御される。主IGBT/ダイオードブリッジ210を制御するアセンブリは、主デジタル制御アセンブリ230と呼ばれる。あるいは、アセンブリは、始動モードにおいて、スタータインバータデジタル制御アセンブリとも呼ばれ、発電モードにおいて、発電機コンバータ制御アセンブリとも呼ばれる。励磁器IGBT/ダイオードブリッジ212を制御するアセンブリは、励磁器デジタル制御アセンブリ240と呼ばれる。あるいは、アセンブリは、始動モードにおいて、励磁器インバータデジタル制御アセンブリと、発電モードにおいて、励磁器コンバータデジタル制御アセンブリとも呼ばれる。主デジタル制御アセンブリ230は、その組み込みソフトウェアと共に、主ブリッジ210を制御し、主ブリッジ210は、始動モードにおいてS/Gを駆動するAC電力を発生し、発電モードにおいてAC電力を航空機に関して要求されるDC電力に変換する。この著しく統合化された手法によって、従来のS/Gシステムと比較して、軽量で、簡単で、信頼性のあるシステムがもたらされる。
【0016】
図6Aおよび6Bは、第1の実施形態のICC200の詳細等角図であり、ICC200は、航空機内の客室上に嵌合することができるハウジング600内にパッケージングされてもよい。ハウジング600内には、コールドプレート610(熱の消散および/または除去用)、主IGBT/ダイオードブリッジ210、励磁器IGBT/ダイオードブリッジ212、主および励磁器デジタル制御アセンブリ230、240、フィルタキャップアセンブリ620、センスアセンブリ630、および270VDC出力端子ブロック640(航空機内の他のコンポーネントに270VDC電力を供給するために、ハウジング600の外側表面上に設けられる)がある。
【0017】
S/GおよびICCエンジン始動および発電システム50は、2つの動作モード、すなわち始動モードおよび発電モードを有する。始動モードでは、S/GおよびICCシステム50は、別個の電力源VDC60から電力供給され、それにより別個の電力源VDC60への接続が、図1および図2に示される。主機械110は、始動モードにおいて3相巻線形界磁突極型同期電動機として働く。同期電動機の軸においてトルクを生成するために、2つのことが起こらなければならない。第1は、3相交流電流を主固定子112の3相巻線に入力することであり、第2は、励磁電流を主回転子114に供給することである。主固定子112に対する電流の周波数は、主機械の速度に比例するように供給される。3相交流電流は、主IGBT/ダイオードブリッジ210によって供給される。3相電流によって供給される回転磁界は、主回転子114によって発生された磁界と相互作用し、そのため主回転子114の軸において機械的トルクが生成される。
【0018】
主回転子114に励磁電流を供給することは、以下の理由により、従来の発電システムでは難題である。始動の開始時に、どの同期機械ベースの励磁器も電力を発生しない。低速時に、同期機械ベースの励磁器は、主回転子に電力供給するのに十分な電力を発生することができない。これは、いずれの同期ベース励磁器の場合も、そのDC励磁巻線が、電力を回転子巻線に伝えないからである。実際に、従来の発電システムの場合、電力は、軸上の機械的エネルギーから伝えられることができるだけである。したがって、エンジンを始動するために、主回転子励磁電流を発生する電力は、励磁器固定子124からもたらされなければならない。換言すれば、始動モード中の励磁用のエネルギーは、励磁器120の空隙を交差する。明らかに、回転変圧器が望ましい。逆に、発電モードでは、主機械110は、3相巻線形界磁突極型同期発電機として働く。電気を生成するために、1つのこと、すなわち励磁電流を主回転子114に供給することが起こる。従来の同期励磁器は、この目的で利用されることができる。異なるモードは、励磁用の異なる電力源を要求する。1つのモードは、励磁器固定子124内にAC3相電流を必要とし、他のモードは、励磁器固定子124内にDC電流を必要とする。
【0019】
第1の実施形態の第1の態様は、上述した問題に対する解決策である。解決策は、ICC内に位置する接触器220と連携して働く2重機能励磁器固定子である。接触器をその適切な位置に切換えることによって、励磁器固定子の巻線は、始動モード中にAC3相巻線に構成される。このモードでは、AC3相巻線を有する励磁器固定子124および別のAC3相を有する励磁器回転子122は、誘導励磁器を形成する。ICC内の励磁器デジタル制御アセンブリ240によって制御されて、AC3相巻線の位相シーケンスの方向が、機械軸の方向と逆になる。そのため、誘導励磁器は、その制動モードで動作する。発電モードでは、励磁器固定子124内の巻線は、DC巻線に構成される。DC巻線を有する励磁器固定子124およびAC3相巻線を有する励磁器回転子122は同期励磁器を形成する。励磁器に対していかなるサイズおよび/または重量も付加することなく、構成されたACおよびDC巻線は、それぞれ始動モード中と発電モード中に励磁器回転子122と励磁器固定子124との間の空隙に必要な回転磁界を発生する。さらに、AC巻線は、始動モード中に励磁器固定子124から励磁器回転子122に電力を伝える。
【0020】
始動モードと発電モードの両方において、主IGBT/ダイオードブリッジ210のIGBT215が転流するときはいつでも、主回転子114の機械的位置情報が、電力スイッチ転流に必要とされるようになる。従来から、機械式位置センサが、位置情報を提供する。このセンサは、航空機上の厳しい環境に対処するのに十分な位置精度、機械的完全性、および熱能力を有する。光学エンコーダとホールセンサは共に、航空機用の環境要件を満たすことができない。レゾルバは、実際に、これらの要件を満たす。しかし、レゾルバセンサは、その機械的な支持およびパッケージング構造と共に、システムに対してかなりの重量とサイズを付加する。
【0021】
本発明の第1の実施形態の第2の態様は、機械式位置センサをなくすことを対象とする。図2に示され、また、図3および4で詳細に示されるように、センサレス回転子位置信号θ、ωc(回転子位置、回転子速度)は、主デジタル制御アセンブリ230によって生成される。回転子位置信号は、主デジタル制御アセンブリ230内の組み込みソフトウェアによって、S/Gの電圧および電流で構築される。発電モード用のセンサレス手法は始動モードの部分集合であるため、詳細な説明は、本出願の後半部分の始動モードに関連する第1の実施形態において提供される。
【0022】
始動モードにおいて動作するS/GおよびICCシステム50に相当する本発明の第2の実施形態が、次に述べられる。第2の実施形態には5つの態様が存在し、以下で詳細に述べられる。
【0023】
図3は、始動モードにおけるS/GおよびICCシステム50のブロック図を示す。3つの電気機械、すなわち、主同期電動機110、誘導励磁器120、およびPMG130が存在する。主同期電動機110および誘導励磁器120は、始動モードにおいて重要な役割を果たす。主IGBT/ダイオードブリッジ210は、DC入力電力(たとえば270Vdc)をDCバスから受け取り、DC電力をAC電力に反転させる。インバータによって発生した3相AC電流は、主同期電動機110に送られる。AC電流を発生するためのゲート信号は、スタータインバータデジタル制御アセンブリ230によって制御される。スタータインバータデジタル制御アセンブリ230は、位相a電流、位相b電流、およびDCバス電圧を測定する。位相a電流および位相b電流は、主デジタル制御アセンブリ230内の組み込みソフトウェアによって実現されるクラーク変換を使用することによって同期静止フレーム内のα電流およびβ電流に変換される。α軸は、主固定子の位相a巻線の中央に位置するa軸に一致し、一方β軸は、所定空間内でα軸より電気的に90°進む。α電流およびβ電流は、さらに、同じ組み込みソフトウェアによって実現されるパーク変換を使用することによって同期回転フレーム内のd電流およびq電流に変換される。d軸は、主回転子114の励磁巻線の軸に整列し、一方q軸は、所定空間内でd軸より電気的に90°進む。
【0024】
図3に示すように、2つの電流調節ループ、すなわちdループおよびqループが存在する。dループおよびqループの出力は、空間ベクトルパルス幅変調(SVPWM)に送られる前に、逆パーク変換を使用することによって元のα電圧およびβ電圧に変換されるd電圧およびq電圧である。パーク変換および逆パーク変換を実施するために、主回転子位置角度が決定される。αおよびβ電圧は、IGBTスイッチ用のゲート信号を発生するSVPWMへの入力である。スイッチング周波数は、14kHzまたはある他の適切な周波数に設定されることができる。
【0025】
図3に示すように、スタータインバータデジタル制御アセンブリ230と同様に、励磁器インバータデジタル制御アセンブリ240もまた、クラーク変換、パーク変換、および逆パーク変換を有する。同様に、励磁器インバータデジタル制御アセンブリ240は、dおよびq電流調節ループを有する。ゲート信号は、その対応するSVPWMによって生成される。先に述べたように、励磁器IGBT/ダイオードブリッジ212または励磁器インバータの基本周波数は、1250Hzまたはある他の適切な周波数に固定され、また励磁器120は、その回転子122および固定子124上に突極性を有さないため、回転子位置情報は、式2πft(f=1250Hzであり、tは時間である)を使用することによって、模擬的に構築されることができる。これは、主インバータと異なる、すなわちリアルタイムの回転子位置情報は、この場合必要とされない。励磁器インバータのSVPWMスイッチング周波数は、1つの考えられる実施態様では10kHzであり、それにより本発明の精神および範囲内に留まったままで、他の適切に選択されたスイッチング周波数が利用され得る。
【0026】
第2の実施形態の第1の態様は、誘導励磁器である。始動モードにおいて、励磁器120は、その制動モードで動作する誘導機械として構成される、または別法として述べられるように、励磁器120は、3相回転変圧器のように働く。励磁器固定子124の3相巻線は、励磁器回転子122において3相電圧を誘導する回転磁界を発生する。回転磁界の方向は、主機械110の回転方向と反対になるように制御される。こうして、励磁器回転子122内の電圧の周波数は、始動モード中に回転子速度と共に増加する。外部電力源からのDC電力は、励磁器IGBT/ダイオードブリッジ212によって、3相1250Hz電力(または、ある他の適切な周波数)に変換される。その電力は、空隙を交差し、励磁器回転子122の巻線に伝えられる。3相電圧は、その後、主発電機の回転子軸の内部の回転整流器116によって整流される。整流された電圧は、励磁電力を主機械110の回転子114に供給する。回転子速度がエンジンアイドル速度に達すると、始動モードは終了し、発電モードが始まる。励磁器回転子122は、励磁器固定子124と回転子軸118の両方からエネルギーを受け取る。ゼロ速度において、全てのエネルギーは、励磁器固定子124からもたらされる。軸118からのエネルギーは、回転子速度の増加と共に増加する。
【0027】
第2の実施形態の第2の態様は、その組み込みソフトウェアと共にデジタル制御アセンブリ230によって、主回転子位置情報を構築することについてのセンサレス実施態様である。このセンサレス実施態様は、2つの部分、すなわちa)高周波注入センサレス推定、およびb)電圧モードセンサレス推定を含む。高周波注入センサレス推定は、0rpmから、たとえば80rpmなどの予め決めた低速度までカバーする。電圧モードセンサレス推定は、80rpmなどの速度から、エンジンがそのカットオフ速度に引き込まれる14,400rpmなどの高い回転速度までカバーする。上述した電圧モードセンサレスを含むほとんどの他のセンサレス方法は、基本的に逆起電力(back−EMF)に依存するため、ゼロおよび低速度においてうまくいかない。高周波注入法は、逆起電力に依存しない。したがって、その方法は、0から、80rpmなどの予め決めた低速度までの速度について使用することが可能である。したがって、主同期機械の0rpmおよび低速度における回転子位置推定が達成される。センサレスの実際の実現が以下で述べられる。
【0028】
図3に示すように、主機械110の速度が、80rpmまたは主機械110の周波数f0<=8Hz未満である間に、一対の500Hz正弦波形電圧Vαi、Vβiが、SVPWMの入力に重ね合わされる。この500Hz周波数は、搬送波周波数と呼ばれる。本発明の精神および範囲内に留まりながら、他の適した搬送波周波数が利用されてもよい。図3では、この搬送波周波数は、シンボルωcで表される。これら2つの重ね合わされた電圧に対するそれぞれの相の電流の応答は、回転子位置情報を含む。
【0029】
主固定子の各位相電流は、いくつかの成分を有する。図3に示すように、位相a電流および位相b電流は、クラーク変換によってα軸およびβ軸に変換される。α電流およびβ電流は、ωτの周波数を有する基本成分、ωcの周波数を有する正のシーケンス成分、および2ωτ−ωcの周波数を有する負のシーケンス成分を含む。正のシーケンス成分ωcは、回転子位置情報を全く含まないため、役に立たない。したがって、この成分は完全に除去される。図3に示すように、α電流およびβ電流は、−ωct°だけ回転する。そのため、正のシーケンス成分は、DC信号になり、DC信号は、その後2次ハイパスフィルタまたは何らかの他のタイプの(たとえば、1次または3次以上の)ハイパスフィルタによってなくされる。残りの成分、すなわち基本周波数成分および負のシーケンス成分は、回転子情報を含む。しかし、回転子位置は、ゼロ速度また同様に基本成分がそこでは非常に弱いゼロおよび低速度で基本電流を機械に適用する前に決定される。回転子位置情報を確実に抽出することができる唯一の成分は、負のシーケンス成分である。先の回転後に、成分の周波数は、2ωτ−2ωcに変化する。別の回転、2ωctが、その後、デジタル制御アセンブリ230によって実施される。回転の出力は、6次ローパスフィルタまたは何らかの他の適したローパスフィルタ(たとえば、1次、2次、…、または5次ローパスフィルタ)を通過する。β電流の残りの信号を表すのにiβ2θ、α電流の残りの信号を表すのにiα2θを使用して、角度
【0030】
【数1】

が得られる。残念ながら、上記角度の周波数は、基本周波数の2倍の周波数を有し、そのためパーク変換および逆パーク変換に対して直接使用されることができない。上記角度を回転子位置角度に変換するために、θ’が、南極領域に対して北極下にあるか、北極領域に対して南極下にあるかが検出される。θ’が、南極領域に対して北極下にある場合、角度は、
θ=θ’
であり、θ’が、北極領域に対して南極下にある場合、角度は、
θ=θ’+π
である。この角度は、図7に示すように、その後dおよびq電流調節ループ内のパーク変換および逆パーク変換において利用される。図3に示すように、バンドストップフィルタ(図3に示す500Hzフィルタ、それにより本発明の精神および範囲内に留まったままで他のストップバンド周波数が利用されてもよい)が、クラーク変換とパーク変換との間に設置されて、dおよびq電流調節ループに関する搬送波周波数の擾乱がなくなる。
【0031】
この高周波注入センサレス法は、ゼロまたは低速度でうまく働く。しかし、方法は、周波数が搬送波周波数に近いまたはそれより高い速度に関してうまく働かない。したがって、速度が80rpmなどの一定の閾回転速度を越える場合には、別のセンサレス法が利用される。この方法は、電圧モードセンサレス法であり、以下で説明される。
【0032】
電圧モードセンサレス法の実現は、以下によって達成される。方法は、誘導電動機とPM電動機において使用されてきたが、固定子自己インダクタンスが一定でなく、代わりにインダクタンスが回転子の位置の関数であるため、突極型同期機械に適用されなかった。β磁束鎖交数/α磁束鎖交数のアークタンジェントによって回転子角度を生成するのに使用される、同期静止フレームにおける従来のαおよびβ磁束鎖交数の式は、インダクタンスが常に変化するために、突極巻線形界磁同期機械に使用するのに実用的ではない。この問題を解決するために、第2の実施形態では、一対の模擬磁束鎖交数λ’αおよびλ’βならびにそれらの式が、導出される。
【0033】
【数2】

式中、RsおよびLqは、それぞれ主固定子抵抗およびq軸同期インダクタンスである。機械パラメータは共に一定である。幸いにも、λ’αおよびλ’βは、それぞれαおよびβ磁束鎖交数に整列し、角度
【0034】
【数3】

は、実際には、機械速度が80rpmなどの閾回転速度を越えるとパーク変換および逆パーク変換のために使用されることができる回転子角度である。式は、デジタル制御アセンブリ230の組み込むソフトウェアで実施されることができる。この手法は、機械速度が一定の回転速度、たとえば80rpmを越える間、確実な回転子位置角度推定を可能にする。
【0035】
第2の実施形態の第2の態様によれば、2つの別個の方法、すなわち高周波注入センサレス法と電圧モードセンサレス法の組合せは、同期機械ベースのスタータの全速度範囲にわたって十分な精度で回転子位置情報を提供する。
【0036】
第2の実施形態の第3の態様は、適切に処理される主インバータの電圧飽和問題を対象とする。始動中、主機械110上の主インバータによって印加される電圧は、速度に比例し、逆起電力と主機械110の内部インピーダンスに関する電圧降下のベクトル和に一致する。インバータによる最大印加可能電圧は、DCバス電圧である。ベクトル和がDCバス電圧に等しくなると、インバータ電圧が飽和する。飽和が起こると、主機械110の速度は、それ以上高くなることができず、dおよびq電流調節ループは制御を失う。しばしば、インバータは、過電流になり、遮断される。第2の実施形態で提供される解決策は、自動界磁低減化手法を使用することである。主デジタル制御アセンブリ230は、励磁器デジタル制御アセンブリ240に送出される線路間電圧VabおよびVbcを測定する。クラーク変換が、これらの2つの線路間電圧に適用される。変換の2つの出力のベクトル和は、図3に示すように、自動界磁低減化ループのフィードバックとして使用される。DCバス電圧は、分解され、制御ループ用の参照として使用される。自動界磁低減化制御ループは、インバータ電圧が飽和することを防止し、したがって主インバータ電流調節ループが制御を失い、遮断することを防止する。
【0037】
第2の実施形態の第4の態様は、インバータ電圧が飽和している間に、高速で高い電力密度を達成するために、自動界磁低減化を力率が1付近の力率制御方式と組み合せることである。限定としてではなく例として、1付近は、0.9以上で1.0未満の力率に相当する。自動界磁低減化は、空隙界磁を維持しながら、1付近の力率領域で動作するように主機械110を押しやる所定のd軸電流プロファイルが印加される。以下の式において理解されるように、自動界磁低減化のために、さらに項ωLmd(if+id)は、一貫して有意であり、項ωLmqdqも有意になる。これは、S/Gの電力密度
P=ωLmd(if+id)iq−ωLmqdq
を著しく増加させる。式中、Pおよびωは、それぞれ電気機械的電力および回転子速度であり、LmdおよびLmqは、それぞれdおよびq励磁インダクタンスである。
【0038】
第2の実施形態の第5の態様は、ベース速度未満の速度におけるトルク密度の増加を対象とする。先に述べたように、第2の実施形態では、主インバータデジタル制御アセブリ230内に2つの電流調節ループが存在する。一方はd軸ループであり、他方はq軸ループである。一般に、qループはトルク発生を制御し、dループは空隙内の界磁を制御する。この手法は、ベクトル制御手法とも呼ばれる。高いトルク密度を達成するために、十分な回転子励磁電流ifおよびトルク発生電流iqを印加することによって、機械が磁気飽和領域に追いやられる。しかし、電流が一定レベルに達した後、電流iq、id、およびifの大きさがどれだけ増加しようとも、機械が磁気飽和しているため、トルクは同じままである。救済策は、機械のリラクタンストルクを最大にするために、本発明のベクトル制御機構を利用することである。機械によって発生する電気機械的トルクは、
T=Lmd(if+id)iq−Lmqdq
である。式中、LmdおよびLmqは、それぞれdおよびq励磁インダクタンスである。機械が磁気飽和すると、項Lmd(if+id)は一定になる。したがって、リラクタンストルクを発生する方法は、負のidを機械に印加することである。id=IsinδとIq=Icosδを知り、上記式に対して最適化を実施すると、id電流の最適プロファイル
【0039】
【数4】

に到達する。式中、λiは、機械の内部磁束鎖交数である。本発明者等によって実施されたシミュレーションに基づいて、ベクトル制御の入力にidプロファイルを適用することによって、約38%のトルク増加が達成されることができる。要約すると、ベクトル制御が設定され、適切なid電流プロファイルが得られることによって、機械のトルク密度は劇的に増加する。
【0040】
本発明の第3の実施形態が以下で説明される。第3の実施形態は、最大効率の発電を達成するためのICCの構成および制御に関し、したがってS/GおよびICCシステム50の発電モードに適用可能である。
【0041】
図2に示す発電モードでは、主機械110は同期発電機になり、励磁器120は同期発電機になる。PMG130は、図示する整流器ブリッジを通して励磁器コンバータに電力を供給する。励磁器コンバータは、図4に示すように、励磁器IGBT/ダイオードブリッジ212内に2つのアクティブIGBT/ダイオードスイッチを含む。そのゲートに実線を有するIGBT/ダイオードスイッチは、励磁器コンバータに使用されるスイッチである。これらは、IGBTスイッチ番号1およびIGBTスイッチ番号4である。発電モード中に、IGBT1はPWMモードにあり、IGBT4は常にオンである。残りの他のIGBTはオフである。番号2のダイオードは、フリーホイーリングに使用される。IGBT1、IGBT4、およびダイオード2と励磁器固定子巻線を足したものは、DCバス電圧、たとえば270Vdcを同期励磁器の所望の励磁電流を発生する電圧にステップダウンする降圧コンバータを形成する。
【0042】
第1の態様は、イナクティブおよびアクティブ整流構成可能性に関する。励磁器コンバータデジタル制御アセンブリ240および主コンバータデジタル制御アセンブリ230によって制御され、主IGBT/ダイオードブリッジは、用途に応じてイナクティブ整流器またはアクティブ整流器になることができる。電力の流れが単一方向を有するだけである用途の場合、IGBT/ダイオードブリッジは、主コンバータデジタル制御アセンブリ230によってダイオード作動ブリッジに構成される。電力の流れが双方向を有する用途の場合、IGBT/ダイオードブリッジは、同じデジタル制御アセンブリによってIGBTおよびダイオード作動ブリッジに構成される。電力の流れ方向がICCから負荷へ向かうとき、S/GおよびICCシステムは、発電モードにある。電力の流れ方向が負荷からICCへ向かうとき、システムは、いわゆる回生モードにあり、回生モードは、実際には運転モードである。イナクティブ整流では、主IGBT/ダイオードブリッジとも呼ばれる、主インバータのIGBTスイッチ内の固有ダイオードだけが利用される。電圧調節は、励磁器コンバータデジタル制御アセンブリ240内の組み込みソフトウェアによって達成され、発電機コンバータデジタル制御アセンブリ230は、図4に示すように、主インバータ内のIGBTをオフに維持する。PORの電圧を制御する3つの制御ループが存在する。最も内側のループは電流調節器である。測定された励磁電流はフィードバックであり、AC電圧調節器の出力は参照である。電流調節器は、励磁電流を指令されたレベルに制御する。次のループは、AC電圧ループである。図4に示すように、フィードバック信号は、max{|Vab|,|Vbc|,|Vca|}である。参照は、DC電圧調節器の出力である。AC電圧ループは、負荷無し過渡状態中に調節点(point−of−regulation、POR)のDC電圧を所望の範囲内に維持するのに重要な役割を果たす。最後の制御ループは、DC電圧ループである。PORにおける測定電圧は、参照電圧270Vdcと比較される。誤差は、対応するデジタルコントローラ内の補償調節器に入る。こうして、PORのDC電圧が調節される。
【0043】
先に述べたように、回生が要求される発電用途の場合、主IGBT/ダイオードブリッジは、アクティブ整流器に構成されるであろう。こうした構成では、電圧調節は、以下のように実現される。図4に示すように、励磁器デジタル制御アセンブリ内の組み込みコードと主デジタル制御アセンブリ内の組み込みコードは共に、イナクティブ整流のものと異なって構築される。励磁器側に関する制御に関して、励磁電流ループは、PI制御ループだけになる。制御ループの参照は、DC負荷電流の関数であるルックアップテーブルによって生成される。テーブルは、考えられる最小値に主固定子の電流が近づくように生成される。主側外部制御ループに関する制御は、DC制御ループである。参照は270VDCであり、フィードバック信号はPOR電圧である。図4に示すように、制御ループは、DC出力電力のフィードフォワードがPIコントローラの出力に付加された状態のPIコントローラである。DC出力電力は、DC出力電流とPOR電圧の積に等しい。フィードフォワード信号とPIコントローラの出力の和は、内部制御ループ(同様に、PIコントローラである)用の参照として利用される電力コマンドである。フィードバック信号は、図4に示すように、発電機の電圧と電流を使用することによって計算される電力である。内部制御ループの出力は、図8で定義され、SVPWMベクトルVd*およびVq*を生成するのに利用される電圧角度θvである。2つのベクトルは、パーク逆変換の入力である。変換の出力は、図4に示すように、SVPWMの入力である。
【0044】
第3の実施形態の第2の態様は、IGBT発電モード動作の最適効率を達成するために、自動界磁修正と過変調を組み合せるIGBTコンバータの制御に関する。
【0045】
図4に提示したように、Vd*およびVq*は、式
*d=|V*|sinθv
*q=|V*|cosθv
によって計算される。式中、|V*|=Vmagである。効率を最適化するために、まずVmagが、1puになるように選択され、そのためコンバータが、完全に過変調領域内に押しやられ、SVPWMによってもたらされるIGBTスイッチングが完全に低下する。これは、IGBTスイッチング損失を最小にする。IGBTは、位相シフトスイッチングのように働く。Vmagが一定であるため、電力ループは、角度θvを調整することによって電力を調節する。負荷がゼロになると、θvはゼロに近づき、負荷が増加すると、θvは、図8に示すように増加する。
【0046】
最適化された効率を達成する第2の因子は、励磁器界磁電流を最適化することであるため、id電流が最小になる。こうして、IGBTの伝導損および発電機の銅損が最小になる。励磁器界磁電流は、DC負荷電流に直接関係していることが分かる。DC負荷電流が高ければ高いほど、高い励磁器界磁電流が必要とされる。最小の励磁器界磁電流を達成するために、ルックアップテーブルが、測定によって生成される。ルックアップテーブルの入力はDC負荷電流であり、ルックアップテーブルの出力は励磁器固定子の励磁器界磁電流のコマンドである。テーブルは、それぞれのDC負荷電流点について、id電流がその最小値にあるときに最適励磁器界磁電流が見出されるように生成される。こうした制御方法は、S/GおよびICCシステムの最適効率を達成するだけでなく、発電モードから回生モード、すなわち運転モードへ作動点が容易に揺動することができるような効果的な手法を提供する。こうして、DCバス上の過剰なエネルギーを発電機に最速の方法で送り返すことが達成される。第3の実施形態の第3の態様は、発電モード中のIGBT転流手法を提供することを対象とする。IGBTの転流は、始動モードで使用される同様のセンサレス手法であるセンサレス電圧モードに基づく。しかし、動作モードが、ダイオードだけのモードとIGBTモードとの間で変わるため、回転子位置角度は、IGBTモードに入る前に決定される。VαおよびVβは、SVPWMコマンドからではなく、線路間電圧測定から直接得られる。
【0047】
第3の実施形態の第4の態様は、バス電圧を同時に調節しながら、DCバス上の過剰なエネルギーを機械内に吸収して回生を達成することを対象とする。発電モード中に、負荷によって生成された過剰なエネルギーが存在する可能性がある。こうした過剰なエネルギーは、DCバス電圧を上昇させる。このエネルギーは、本発明の過変調SVPWMによって提供される回生手法によって機械によって吸収されることができる。この状況の間、図8に示すように、主インバータデジタル制御は、電圧角度θvの方向を反転させ、主IGBT/ダイオードブリッジを運転モードに押しやる。こうして、電力の流れの方向が反転される。電力は、負荷から機械へ流れる。過変調は、IGBTがスイッチングしないようにさせ、したがってスイッチング損失を最小にする。本発明のこの態様は、主IGBT/ダイオードブリッジが発電モードから回生モードへ、またその逆へ揺動する高速法を提供する。
【0048】
こうして、本発明の実施形態が詳細に述べられた。本発明の他の実施形態は、本明細書に開示された本発明の仕様および実践法を考慮することによって、当業者に明らかになるであろう。仕様および例は、例としてだけ考えられることが意図される。
【符号の説明】
【0049】
50 S/GおよびICCエンジン始動および発電システム
60 電力源VDC
100 S/G
110 主機械
112 主固定子
114 主回転子
116 全波または半波回転整流器
118 回転子軸
120 励磁器
122 励磁器回転子
124 励磁器固定子
130 PMG
200 ICC
210 主IGBT/ダイオードブリッジ
212 励磁器IGBT/ダイオードブリッジ
220 接触器
230 主デジタル制御アセンブリ
240 励磁器デジタル制御アセンブリ
600 ハウジング
610 コールドプレート
620 フィルタキャップアセンブリ
630 センスアセンブリ
640 270VDC出力端子ブロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機用始動および発電システムであって、
回転子と固定子を有する主機械、回転子と固定子を有する励磁器、および回転子と固定子を有する永久磁石発電機を含むスタータ/発電機と、
前記スタータ/発電機に接続され、始動モードにおいて前記スタータ/発電機を駆動するAC電力を発生し、前記スタータ/発電機から取得されるAC電力を発電モードのDC電力に変換するインバータ/コンバータ/コントローラとを備え、
前記インバータ/コンバータ/コントローラは、前記スタータ/発電機の各回転子の角度位置を、前記スタータ/発電機から取得される電流および電圧信号に基づいて測定する回転子位置測定手段を含む航空機用始動および発電システム。
【請求項2】
前記回転子位置測定手段は、前記各回転子が所定の回転速度未満で回転するときに回転子位置推定を実施する高周波注入推定手段と、前記各回転子が前記所定の回転速度以上で回転するときに回転子位置推定を実施する電圧モード推定手段とを含む請求項1記載の航空機用始動および発電システム。
【請求項3】
航空機用始動および発電システムであって、
主機械、励磁器、および永久磁石発電機を含むスタータ/発電機と、
前記スタータ/発電機を制御するコントローラとを備え、
前記スタータ/発電機は、前記航空機の原動機を始動する始動モードで動作し、また、前記原動機が始動した後に前記航空機の他のコンポーネントに電力を供給するために、前記原動機から電力を発生させる発電モードで動作するように構成され、
前記励磁器は、前記始動モード中に制動モードの誘導機械として動作するように構成される航空機用始動および発電システム。
【請求項4】
航空機用始動および発電システムであって、
主機械、励磁器、および永久磁石発電機を含むスタータ/発電機と、
前記スタータ/発電機を制御するコントローラとを備え、
前記スタータ/発電機は、前記航空機の原動機を始動する始動モードにおいてスタータとして動作し、また、前記原動機が始動した後に前記航空機の他のコンポーネントに電力を供給するために、前記原動機から電力を発生させる発電モードにおいて発電機として動作するように構成され、
前記始動モードにおいて、前記コントローラは、前記スタータの動作状態のセンサレス推定を実施し、前記コントローラは、a)前記スタータが所定の速度未満で回転するときに、前記スタータの前記動作状態のセンサレス推定を実施する高周波注入推定ユニット、および、b)前記スタータが前記所定の速度以上で回転するときに、前記スタータ/発電機の前記動作状態のセンサレス推定を実施する電圧モードセンサレス推定ユニットを含む航空機用始動および発電システム。
【請求項5】
前記コントローラは、前記スタータの位相a電流および位相b電流を決定する手段を備え、前記決定する手段は、空間ベクトルパルス幅変調(Space Vector Pulse Width Modulation、SVPWM)ユニットを含み、
前記高周波注入推定ユニットは、空間ベクトルパルス幅変調(SVPWM)ユニットへの入力上に一対の正弦波形を重ね合わせる手段と、
前記SVPWMユニットの入力上に重ね合わされた前記一対の正弦波形に対する前記位相a電流および前記位相b電流の応答を決定する手段とを備え、
前記スタータの回転子位置情報は、前記応答を決定する手段の結果として取得される請求項4記載の航空機用始動および発電システム。
【請求項6】
前記一対の正弦波形は、互いに直交し、かつ、同じ搬送波周波数である請求項5記載の航空機用始動および発電システム。
【請求項7】
前記電圧モードセンサレス推定ユニットは、
αおよびβ模擬磁束鎖交数であって、α軸が、前記スタータ/発電機の主固定子の位相a巻線に相当し、β軸が、前記α軸より90°進んだ軸に相当するように定義される、αおよびβ模擬磁束鎖交数を導出する手段と、
前記αおよびβ模擬磁束鎖交数から、前記スタータの回転角度を決定する手段とを備える請求項4記載の航空機用始動および発電システム。
【請求項8】
前記αおよびβ模擬磁束鎖交数は、λα’およびλβ’として定義され、
前記スタータの回転角度θは、式
θ=tan-1(λβ’/λα’)
によって決定される請求項7記載の航空機用始動および発電システム。
【請求項9】
航空機用始動および発電システムであって、
主機械、励磁器、および永久磁石発電機を含むスタータ/発電機と、
前記スタータ/発電機を制御するコントローラとを備え、
前記スタータ/発電機は、前記航空機の原動機を始動する始動モードで動作し、また、前記原動機が始動した後に、前記航空機の他のコンポーネントに電力を供給するために、前記原動機から電力を発生させる発電モードで動作するように構成され、
前記コントローラは、
前記スタータ/発電機のVabおよびVbc線路間電圧を測定する手段と、
前記VabおよびVbc線路間電圧を、取得される第1および第2の被変換線路電圧に変換する手段と、
前記第1および第2の被変換線路電圧のベクトル和を取得する手段と、
自動界磁低減化制御ループによって、前記スタータ/発電機について自動界磁低減化制御を実施する手段とを含む航空機用始動および発電システム。
【請求項10】
DCバス電圧は、前記コントローラに入力され、前記自動界磁低減化制御ループ用の参照電圧として使用される請求項9記載の航空機用始動および発電システム。
【請求項11】
前記主機械はインバータを含み、システムは、
自動界磁低減化制御ループを含む自動界磁低減化ユニットであって、前記インバータから取得された線路間電圧を測定し、前記線路間電圧にある変換を適用し、前記変換の出力のベクトル和を実施し、前記ベクトル和をフィードバック信号として前記自動界磁低減化制御ループにフィードバックするように構成される、自動界磁低減化ユニットをさらに備え、
前記自動界磁低減化制御ループは、前記インバータに対して設けられて、前記インバータを前記始動モード中に飽和させないようにする請求項4記載の航空機用始動および発電システム。
【請求項12】
前記主機械を、1付近の力率領域で動作させるために、前記主機械について所定の電流プロファイルを適用するように構成された1付近の力率制御ユニットをさらに備える請求項11記載の航空機用始動および発電システム。
【請求項13】
前記所定の電流プロファイルは、前記機械の回転子と前記主機械の固定子との間の空隙内の磁界を制御するd軸電流プロファイルである請求項12記載の航空機用始動および発電システム。
【請求項14】
航空機用始動および発電システムであって、
主機械、励磁器、および永久磁石発電機を含むスタータ/発電機と、
前記スタータ/発電機を制御するコントローラと、
主IGBT/ダイオードブリッジとを備え、
前記スタータ/発電機は、前記航空機の原動機を始動する始動モード、および前記原動機が始動した後に前記航空機の他のコポーネントに電力を供給するために、前記原動機から電力を発生する発電モードで動作可能であり、
前記主IGBT/ダイオードブリッジは、前記スタータ/発電機が、発電/回生モードで動作する、または発電モードで動作するかに応じて、アクティブ整流器かイナクティブ整流器のいずれかとして動作するように設定されるように構成される航空機用始動および発電システム。
【請求項15】
前記電圧を制御する第1、第2、および第3の制御ループをさらに備え、前記第1制御ループは、最も内側の制御ループであり、電流調節を実施し、前記第2制御ループは、AC電圧調節を実施し、第3制御ループは、最も外側の制御ループであり、DC電圧調節を実施する請求項14記載の航空機用始動および発電システム。
【請求項16】
前記主IGBT/ダイオードブリッジは、少なくとも1つのIGBTスイッチを含み、前記励磁器固定子の巻線は、前記IGBTスイッチと共に、前記スタータ/発電機に供給されるDCバス電圧をステップダウンする降圧コンバータを形成する請求項14記載の航空機用始動および発電システム。
【請求項17】
前記回生モードにおいて、前記主IGBT/ダイオードブリッジは、アクティブ整流器として動作し、励磁器側で、励磁電流ループは、制御ループ参照値がDC負荷電流ルックアップテーブルによって生成されるPID制御ループとして機能する請求項14記載の航空機用始動および発電システム。
【請求項18】
前記主機械側で、外部制御ループに相当するDC電圧ループによって制御が実施され、前記外部制御ループは、PIコントローラの出力へのDC出力電力のフィードフォワードを有する前記PIコントローラとして動作し、SVPWMベクトルを生成するのに使用される電圧角度を出力する内部制御ループによって制御がさらに実施される請求項17記載の航空機用始動および発電システム。
【請求項19】
前記コントローラは、前記発電モード中に、前記IGBT/ダイオードブリッジの自動界磁修正および過変調を実施する請求項14記載の航空機用始動および発電システム。
【請求項20】
発電モード中にIGBT転流を実施する手段をさらに備え、前記IGBT転流は、センサレス電圧モードに基づいて実施される請求項16記載の航空機用始動および発電システム。
【請求項21】
第1電圧Vαおよび第2電圧Vβは、前記主機械の線路間電圧測定から直接に取得される請求項20記載の航空機用始動および発電システム。
【請求項22】
IGBT転流を実施する前記手段は、前記主機械の少なくとも2つの線路電圧を取得し、所得された前記少なくとも2つの線路電圧に基づいて前記IGBT/ダイオードスイッチについて適切な制御を決定する線路電圧取得手段を含む請求項20記載の航空機用始動および発電システム。
【請求項23】
航空機用始動および発電システムであって、
主機械、励磁器、および永久磁石発電機を含むスタータ/発電機と、
前記主機械に接続されたDCバスと、
前記スタータ/発電機を制御するコントローラと、
前記DCバス上の過剰なエネルギーを前記主機械内に吸収することによって、回生を達成する手段と、
回生が達成されつつある間に前記DCバス上の電圧を調節する手段とを備える航空機用始動および発電システム。
【請求項24】
回生を達成する前記手段は、前記始動モード中ではなく、前記発電モード中に実施される請求項23記載の航空機用始動および発電システム。
【請求項25】
主IGBT/ダイオードブリッジをさらに備え、回生を達成する前記手段は、前記DCバス上での電圧角度の方向を逆にし、前記主IGBT/ダイオードブリッジは、結果として強制的に運転モードにされる請求項23記載の航空機用始動および発電システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−235691(P2012−235691A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−170826(P2012−170826)
【出願日】平成24年8月1日(2012.8.1)
【分割の表示】特願2009−501571(P2009−501571)の分割
【原出願日】平成19年3月23日(2007.3.23)
【出願人】(506388923)ジーイー・アビエイション・システムズ・エルエルシー (46)
【Fターム(参考)】