説明

荷物搬入出用ポートおよび保管装置

【課題】
従来技術による保管装置の荷物搬入出用ポートは、保管棚部に隣接した専用スペースを設けて設置されるため、保管棚部から突出し、ポートの上方および下方には無駄空間が形成される。
【解決手段】
ストッカ1の側面にポート2を設け、ストッカ1へのFOUP4の搬入出はこのポート2を介して実行する。ポート2の上方および下方にはFOUP収納用棚セグメント33が設けられおり、ポート2は見掛け上、棚セグメント33の1つがポートに置換されただけの様相をなし、ポートとしての突出部が無い。
ポート2は内側面シャッタ機構80、外側面シャッタ機構81とFOUPを載置するステージ30より構成される。内側面シャッタ機構80はシート部材11で構成される内側シャッタの開閉動作を司り、外側面シャッタ機構81はシート部材21で構成される外側シャッタの開閉動作を司る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
半導体集積回路、液晶表示装置などを生産する製造プロセスでは、ある製造プロセスから次製造プロセスに工程を進める段階で、時間調整のため製造途中の基板をカセットなどに収納し、一時的に保管装置に保管する。保管装置は通常クリーンルーム内に設置され、しかも大きなスペースを占めるため、小スペースかつ高効率な保管装置が望まれている。本発明はクリーンルームに設置される保管装置の省スペース化に関する。
【背景技術】
【0002】
図6は従来技術によるストッカ(保管装置)の断面図である。(特許文献1)
ストッカ本体62はクリーンルーム61内に設置され、内部にウエハキャリア63を載置する収納棚64と、収納棚64にウエハキャリア63を搬入出する搬送装置(スタッカクレーン)65を有する。
ストッカ本体62の上方には気体供給機74があり、ダクト76を介してストッカ本体62の上部に気体が導入される。供給される気体量はボリュームダンパ77で調整され、ストッカ本体62の上部に導入された気体はファン73により、フィルタ72で塵埃をろ過してストッカ内部に吹き込まれ、ストッカ内部は塵埃のない清浄な空間に保持されている。
【0003】
【特許文献1】特開2000−3955
【0004】
ストッカ床面には走行レール68が敷設され、このレール68上をスタッカクレーン65が水平方向にレール走行する。またスタッカクレーン65は昇降機構を有し、垂直方向走行も行う。これら水平方向のレール走行と、昇降機構による垂直方向走行の組合せで、スタッカクレーン65はストッカ内の任意の棚位置にアクセスできる。
ストッカ本体62にはストッカ本体62へのウエハキャリア63を搬入出するためのポート66が設けられている。ポート66はステージ71、内側シャッタ69、外側シャッタ70から構成される。
ストッカ本体62へのウエハキャリア63の搬入出手順について、まず、入庫動作の説明を行う。
【0005】
ウエハキャリア63を搭載した図示しない搬送台車がストッカ本体62のポート66に停止する。ポート66の外側シャッタ70が開かれ、搬送台車は搬送台車に装備されている移載ロボットを作動させ搭載しているウエハキャリア63をステージ71に載置する。載置後外側シャッタ70は閉じられ、内側シャッタ69が開かれる。続いてスタッカクレーン65の移載ロボット73がステージ71上に載置されたウエハキャリア63を把持しポート66から取出す。取出し後ポート66は空の状態で内側シャッタ69が閉じられる。ウエハキャリア63を移載ロボットハンドに把持したスタッカクレーン65は、所定の収納棚位置までウエハキャリア63を運び棚上に載置する。
以上によりストッカ内への入庫作業は終了する。
【0006】
次にストッカ内からの出庫作業について説明する。
スタッカクレーン65の移載ロボット73は所定の収納棚64に載置されているウエハキャリア63をロボットハンドに把持し、ポート66まで運ぶ。続いてポート66の内側シャッタ69が開かれ、移載ロボット73はポート66内にアームを伸張させ移載ロボットハンドに把持しているウエハキャリア63をステージ71上に載置する。移載ロボット73のアームがポート66外に退避した後内側シャッタ69が閉じられる。
次いで外側シャッタ70が開かれ、ポート66に待機している搬送台車が搬送台車に装備されている移載ロボットでステージ71上に載置されているウエハキャリア63を把持し、ポート66外に取出す。ウエハキャリア取出し後、外側シャッタ70は閉じられる。
以上により出庫動作は完了する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図6に明らかなように従来技術のポート(「搬入出用ポート」に同じ、以下「ポート」は「搬入出用ポート」を意味する)は棚部より突出し、ストッカ側面に設けられている。通常ストッカ外壁部材はポート部を含む全体を包含して取付けられるので、外観上ポートがストッカ側面に突出しない場合もあるが、少なくとも棚部からはポートが突出し、ポートの上方および下方に有効活用されない無駄空間67,67が存在する。
【0008】
一方クリーンルームは建設費が高いだけでなく、クリーン度維持のためのランニングコストも高い。当然、クリーンルーム内設置設備には小型化が強く求められ、とりわけ大型装置であるストッカには小型化の要請が強い。ストッカを機能面から分析し、ムダを顕在化させ、ムダを極限まで排除した小型ストッカの実現が課題となっている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の保管装置(ストッカ)は半導体デバイス、液晶表示装置製造工場の製造プロセスに於いて、製造過程にある基板を一時的に保管するための保管装置である。保管装置はスタッカクレーンおよびスタッカクレーンを搭載した移動支柱体を有し、移動支柱体の走行する空間の両側には碁盤目状に保管棚が設けられる。
荷物の搬入出用ポートは碁盤目状に設けられた棚空間の一部に設けられるため、搬入出用ポートの直上と直下及び左右空間には前記搬入出用ポートにそれぞれ隣接して、碁盤目状棚が密に設けられており、無駄な空き空間は無い。
従って、外観上もポートは保管装置に内包され、外部への突出部は無く、その分装置の小型化が図れている。
【0010】
請求項2の保管装置は請求項1に記載のポートを有する保管装置であって、ポートには荷物を載置するステージ、該ステージの外側面に外側面シャッタが、内側面に内側面シャッタが設けられている。内外両側面のそれぞれのシャッタは、保管装置碁盤目状棚のなす内外壁面とそれぞれ略面一に配置されるので、ポートの内外両側面に突出部がなく最小限の奥行き寸法になっている。
【0011】
請求項3は請求項1、2に記載の保管装置のポートである。外部から保管装置内部へ作業者または、移載ロボットハンドなどの搬入手段で荷物を搬入する場合、まず、外側面側シャッタを開き荷物をポートに載置する。荷物載置後外側面シャッタを閉じ、次いで内側面シャッタを開きスタッカクレーンで該ポートに載置された荷物を把持し、ポートエリアから荷物を取出す。最後に内側面シャッタを閉じ、スタッカクレーンで所定の棚位置まで荷物を搬送し、棚上に荷物を載置する。
【0012】
逆に保管装置の棚に保管された荷物を外部へ取出す場合、まず、内側面シャッタを開き、スタッカクレーンに把持した荷物を該ポートに載置する。荷物のポートに載置後、内側面シャッタを閉じ、外側面シャッタを開く。作業者または、移載ロボットハンドなどの搬入手段で荷物をポートエリアから搬出し、外側面シャッタを閉じ出庫動作を完了させる。
【0013】
上記入手庫動作により、ポートへの荷物の搬入出を作業者が実施する場合であっても、ポートの内外シャッタが同時に開くタイミングは皆無であり、スタッカクレーンのロボットアームと作業者が干渉することは起こり得ず、作業者の安全は確保される。また、ストッカ内部の空気圧はクリーンルーム内圧に対し、通常正圧に設定されるが、ポートの内外シャッタが同時に開くタイミングは皆無であるため、ストッカ内の空気がクリーンルーム室内に流出する恐れは無い。
【0014】
また、請求項4に記載のポート両側面のシャッタは、可撓性あるシート部材で構成されており棒状部材で巻取ることが可能である。シャッタ開の場合はシート部材を棒状部材で巻取り、シャッタ閉の場合は、棒状部材を巻取り時と逆方向に回転させ、巻き取ったシート部材を巻き戻す。これら両動作により、シャッタの開閉を可能ならしめる。また、シャッタに巻取り可能な可撓性シート部材を採用することにより、シャッタの占める空間スペースを最小限に抑えることが出来る。
【0015】
請求項5に記載のシャッタ開閉動作機構のシャッタ巻き戻し動作では、シャッタを構成するシート部材の先端部は、所定負荷トルクで滑りを発生するトルク伝達手段で回転駆動されるベルトに連結され案内される。この巻き戻し動作に於いて、シート先端部の案内速度が、棒状部材の回転でシートが巻き戻される速度より速いため、トルク伝達手段の回転速度は規制され、トルク伝達手段に滑りが発生する。即ちシート部材面には前記トルク伝達手段に発生する所定負荷トルクと釣合う張力が、シャッタ巻き戻し動作中継続して発生する。これにより、シャッタ閉動作に於いて、シート部材表面には堅牢なシャッタ面が形成される。
【0016】
請求項6に記載のシャッタはラックを取付けた板部材と、回転軸にピニオンを軸止した駆動モータだけの簡単な構成であるが、ラックとピニオンを噛合わせ、駆動モータを正、逆転させることでシャッタの開閉動作が可能であり、ポート装置のコスト低減効果がある。
【発明の効果】
【0017】
本発明によるストッカ外部からストッカ内部への荷物の搬入用、あるいはストッカ内部からストッカ外部への荷物の出庫用ポートは、水平方向と垂直方向に移動自在なスタッカクレーンの両側の空間に設けられた碁盤目状棚の一部に設けられているため、スタッカクレーンは棚にアクセスすると同一動作で荷物の搬入出ができ、従来型のポートの搬入出に比べ搬入出動作は簡略化され、動作時間も短縮化される。
【0018】
また、碁盤目状棚の一部がポートになるため、上下空間に無駄がなく、ポート専用の設置面積を必要とする従来技術によるポートに比べポート設置面積分縮小化できる。
【0019】
ストッカ内部のクリーン度維持と、作業者の安全確保のためストッカにシャッタを設けるが、シャッタに板部材を用いることでシャッタ機構は単純化され、構造簡単で信頼性の高いシャッタ機構が得られる。
また、シャッタを可撓性シート部材とすることで、シート部材の棒部材への巻取り、巻き戻しによりシャッタが開閉され、シャッタ機構の占める体積は極限まで小形化できる。
【0020】
一方ポートを介する荷物の搬入出では、まず内外側いずれか一方のシャッタを開き、荷物をポートに載置する。入庫の場合は作業者、又は無人搬送台車の移載ロボットハンドが載置動作を実施し、出庫の場合はスタッカロボットが載置動作を実施する。この時、シャッタはいずれか一方のみ開かれ、他方のシャッタは閉じられたままで、ストッカ内部の正圧の空気が負圧のクリーンルーム内に直接流出することはなく、ストッカ内部のクリーン度が維持され、同時にクリーンルーム内気流に乱れを起さないことが保証される。
【0021】
また、ポートを介する荷物の受渡しでは、荷物をポートに載置後、開いたシャッタは必ず閉じる工程を設けており、作業者とスタッカロボット、或いは無人搬送台車ロボットとスタッカロボットがポート内空間で干渉することはあり得ず、作業の安全性は確実に保証される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明による実施例を図1ないし図4を用い説明する。
図1は本発明によるストッカの外観図、図3は本発明によるストッカの断面図である。
ストッカは直方体形状で全ての面が外壁部財で囲まれ一般のクリーンルーム環境と仕切られ、内部は一般のクリーンルーム環境より更にクリーンな状態に維持される。ストッカ1の奥行き方向中央部には移動支柱体60が床面に敷設されたレール34上をストッカ1の一方の端部から他方端部まで往復自在に移動走行する。レール34の両側高さ方向には碁盤目状の棚が設けられ、棚はFOUP(Front Opening Unified Pod)載置可能なサイズのセグメントに区切られている。移動支柱体60にはスタッカロボット3が搭載され、スタッカロボット3はロボット台36、伸縮自在なアーム31、FOUP4を把持するハンド32などから構成され、ケーブルベア35により垂直方向任意の高さに移動可能である。
【0023】
ストッカ1の側面にはポート2が設けられ、ストッカ1へのFOUP4の搬入出はこのポート2を介して実行される。ポート2の上下、左右両方向にはポート2に隣接してFOUP収納用の棚セグメント33が設けられている。ポート2は見掛け上、棚セグメント33の1つがポートに置換されただけの様相をなし、ポートとしての突出部は無い。
ポート2の具体的実施構成には図2、4,5に示す3つの実施例がある。以下にこれら3実施例について順次説明を行う。
【0024】
まず第1の実施例について、図2,3を用い説明する。
ポート2は内側面シャッタ機構80、外側面シャッタ機構81とFOUPを載置するステージ30より構成される。内側面シャッタ機構80はシート部材11の内側シャッタの開閉動作を司り、外側面シャッタ機構81はシート部材21の外側シャッタの開閉動作を司る。また、内側面シャッタ機構80と外側面シャッタ機構81は構成、機能共に同一である。ここでは代表として内側面シャッタ機構80について説明する。
【0025】
内側面シャッタ機構80はシート部材11、重り37、ローラ12(棒部材)、プーリ17、ベルト15、減速モータ13、プーリ14および上部フォトセンサ54、下部フォトセンサ55により構成される。
シート部材11は内側面45側に配置されたシャッタで、可撓性に富む透明シート部材で構成されることが望ましい。シート部材11の一方の先端部には略シート部材幅の重り37が接着剤、ピン、ネジなどの固定手段で取付けられる。シート部材は軽量であるが、この重りの重力効果でシート部材面に強い張力が発生し、堅牢なシャッタ面が形成される。シート部材11の他端部は接着剤、ピン、ネジなどの固定手段により棒部材であるローラ12に固定される。シート部材11はローラ12の回転によりローラ12に巻取られ、逆回転で巻き戻される。ローラ12の両端部は軸受けを介し、それぞれ側壁板47、48に軸止され、また、ローラ12の一方の端部にはプーリ17が挿入され、ローラ12に軸止される。プーリ17は対をなす減速モータ13と、ベルト15で連結される。減速モータ13は側壁板47に図示しない支持部材により支持される。
【0026】
減速モータ13のD方向の回転でシート部材11は巻き戻され、シャッタが閉じられ、Dと逆方向回転でシート部材11は巻き上げられシャッタは開く。プーリ14とプーリ17の外形寸法は、シート部材11の巻上げ又は、巻き下ろし速度が最適化されるよう設定する。シート部材巻き戻しの終点と、シート部材巻上げの終点は側壁板47に取付けられた上部フォトセンサ54および、下部フォトセンサ55により検出される。即ち、発光素子と受光素子を内蔵するフォトセンサにおいて、フォトセンサ前面に重りが位置すると、フォトセンサ発光部から発した光が重り表面で反射し、フォトセンサ内部の受光部で検出される。しかし、フォトセンサの前面に重りが位置しないと、フォトセンサ発光部から発した光は反射光にならず、フォトセンサ受光部に検出されることはない。これにより、シャッタの先端部が下端にあるか、または上端にあるかを重りの存在の有無で検出できる。
【0027】
外側面シャッタ機構81のシャッタの開閉動作ならびに、シャッタ先端部の位置検出も内側面シャッタ機構80と同様に実行される。
【0028】
次ぎに図2のシャッタ機構を有するポートに於ける、FOUPの搬入出動作について図3を用い説明する。
まず、入庫動作である。図3は入庫動作における1つの状態を示している。(無人搬送台車7が図示しない半導体製造装置からFOUP4を受取りストッカ1に入庫する状況を表している。)
半導体製造装置からFOUP4を受取った無人搬送台車7は、ストッカ1のポート2まで走行し、位置決めし停止する。無人搬送台車7はポート2に到着したことをシステムコントローラ5に無線通信59で送信する。システムコントローラ5はこの情報を受信して、ストッカコントローラ20に搬入処理するよう通信57を介して指令する。
【0029】
この指令を受けてストッカコントローラ20はポート2に対してシャッタを開くこと(第1の指令)、移動支柱体60に対してポート2まで移動すること(第2の指令)を命ずる。2つの指令のうち、まず第1の指令であるポート2のシャッタを開く動作について説明する。
【0030】
ストッカコントローラ20は、外側面シャッタ機構81を構成する減速モータ23をD方向に始動回転させる。減速モータ23の始動に伴い減速モータ23の回転軸に軸止されたプーリ24と、ベルト25を介しこれに連結するプーリ27が回転する。プーリ27はローラ22に軸止され、プーリ27の回転に連動してローラ22もD方向に回転する。ローラ22の回転によりローラ22に固定されたシート部材21はローラ22に巻き取られシート部材21の先端部は上方に巻き上げられる。この時シート部材21の先端には重り38が取付けられており、シート部材21自体は軽量材料であるが、シート部材21面には重り38の重力効果で重力方向の張力が発生し、堅牢なシャッタ面が構成される。シート部材21が上方に巻き取られ、巻取り終点に達すると、シート部材21の先端部の重り38は上部フォトセンサ54の検出エリアに侵入し、フォトセンサ54に検知される。このフォトセンサ54の重り検知信号はストッカコントローラ20に確認され減速モータ23を停止させ、同時ストッカコントローラ20はシステムコントローラ5にシャッタが開であること送信する。この動作によりポート2のシャッタは開状態に保持される。
【0031】
上記ポート2のシャッタ開動作を待って実施される無人搬送台車7のポート2へのFOUP4の載置動作について次ぎに説明する。
無人搬送台車7はシステムコントローラ5の指令を受けて、FOUP4を搭載しポート2の停止位置まで走行し、ポート2の停止位置に停止する。停止位置に停止後、無人搬送台車7は移載ロボット10のアーム9を屈曲させ、積載しているFOUPのフランジ部をハンド8で把持し持上げる。次いでアーム9の間接部を構成するアクチュエータを駆動させ、FOUPの水平位置を維持したまま、ハンド8をストッカ1のポート2に進入可能な位置まで移動させる。また、この移動制御動作と同時に、システムコントローラ5にポート2が開状態にあるかどうかの確認を行う。通常移載ロボット10がアーム9を伸張させハンド8がストッカ1のポート2に進入できる位置に到達する以前にポート2のシャッタは開となっている。しかし何らかのトラブルでポート2のシャッタを開く動作が遅延した場合、移載ロボット10はハンド8をポート2に進入できる直前位置に待機させ、ポート2のシャッタが開くのを待つ。
【0032】
移載ロボット10はポート2のシャッタが開であることを確認し、ハンド8をポート2内に進入させ、アーム9を伸張または屈曲させ、あらかじめティーチングされたステージ30のFOUP載置位置にFOUPを位置決めする。位置決め後、FOUPのフランジ部を把持しているハンド8のグリップを開放し、ステージ30上へFOUPを載置する。
次いで、移載ロボット10はアーム9を屈曲させハンド8をポート2の外に移動させ、ハンド8のポート2外部への移動を確認した後、無人搬送車コントローラ6からシステムコントローラ5にポート2へのFOUP載置動作を完了させたことを送信する。
【0033】
一方、この情報はシステムコントローラ5から通信57を介しストッカコントローラ20に送信される。
しかる後、ストッカコントローラ20は外側面シャッタ機構81の閉動作を行う。
即ち、ストッカコントローラ20は、外側面シャッタ機構81を構成する減速モータ23をDと逆方向に始動回転させる。減速モータ23の始動に伴い減速モータ23の回転軸に軸止されたプーリ24と、ベルト25を介し、これらに結合されているプーリ27が回転する。プーリ27はローラ22に軸止されており、プーリ27の回転によりローラ22もDと逆方向に回転する。ローラ22の回転によりローラ22に巻き取られたシート部材21は、シート部材21の先端部の重り38により下方に巻き戻される。この時シート部材21の先端には重り38があり、シート部材21に重力方向の張力が作用しており、シート部材21は軽量材料ではあるが堅牢なシート部材面を構成できる。シート部材21が下方に巻き戻され、巻戻し終点に達すると、シート部材21の先端部の重り38は下部フォトセンサ55の検出エリアに侵入し、フォトセンサ55に検知される。このフォトセンサ55の重り検知信号はストッカコントローラ20に確認され、減速モータ23を停止させる。
以上一連の動作によりポート2の外側面シャッタは閉じられる。
【0034】
次に移動支柱体60に対して命ぜられた第2指令である移動支柱体60の移動動作について説明する。
システムコントローラ5から、入庫指令を受けたストッカコントローラ20は、移動支柱体60が指令受信時点で処理の終了していない業務を終了させ、スタッカロボット3をポート2まで移動させる。まず、水平方向には、移動支柱体60の走行輪44を駆動させ、レール34上をあらかじめストッカコントローラ20に記憶されているポート2の位置まで移動支柱体60を移動させる。また、垂直方向にはケーブルベア35に連結したロボット台36をあらかじめストッカコントローラ20に記憶させたポート2の高さ位置まで移動させる。これにより、スタッカロボット3はポート2に位置合せされる。この状態でスタッカロボット3は、ポート2の内側面シャッタが開になるのを待つ。
【0035】
内側面シャッタ機構80は、前述したステージ30にFOUPが載置され、外側面シャッタが閉になった後に開かれる。
内側面シャッタ開動作は前述の外側面シャッタ機構81と同一であり、動作説明の詳細は割愛する。
【0036】
次の工程はスタッカロボット3によるポート2からのFOUP取り込みと、棚への収納となる。
まず、内側面シャッタの開動作でシート部材11は巻き上げられ、スタッカロボット3はアーム31をポート2に挿入し、アーム先端のハンド32でステージ30上に載置されているFOUP4の頂部フランジ部を把持し、ステージ30面より僅かに持上げる。次いで、アーム31を収縮させFOUPを移動支柱体走行空間82に取込む。移動支柱体60および、スタッカロボット3は把持したFOUPの収納位置まで移動する。ポート2のシャッタはFOUP4の取出し後閉じられる。
【0037】
この時の内側面シャッタ機構80の閉動作は、前記外側面シャッタ機構81と同一であり、動作説明の詳細は割愛する。
以上により図2のシャッタ機構を用いたポートの入庫作業の全工程が終了する。
次は出庫作業の説明になるが、出庫作業は入庫動作の逆動作であり、入庫動作から容易に類推できるので詳細説明は割愛する。
以上で第1の実施例の説明を終了する。
【0038】
次ぎに第2の実施例について、図4を用い説明する。
なお、図4において図2と同一部材或いは、同一機能の部材については図2と同一符号を付している。
図4のシャッタ機構は機能的には図2と同じである。図2ではシート部材11、21に張力を発生させる手段として重り37、38を用いていたが、図4では重りに替えクラッチ16,26の滑りトルクを利用する。詳細を以下に説明する。
【0039】
ポート2は内側面シャッタ機構80、外側面シャッタ機構81、FOUP載置用ステージ30により構成される。内側面シャッタ機構80はシート部材11の内側シャッタの開閉動作を司り、外側面シャッタ機構81はシート部材21の外側シャッタの開閉動作を司る。また、内側面シャッタ機構80と外側面シャッタ機構81は構成、機能共に同一である。ここでは代表として内側面シャッタ機構80について説明する。
【0040】
内側面シャッタ機構80はシート部材11、ローラ12、プーリ17、ベルト15、減速モータ13、プーリ14、クラッチ16、プーリ19、ベルト18、プーリ78、ベルト18、シート部材固着部83および上部フォトセンサ54、下部フォトセンサ55により構成される。
シート部材11は内側面45側に配置されたシャッタで、可撓性に富む透明シート部材で構成されることが望ましい。
シート11の一方の端部は接着剤、ピン、ネジなどの固定手段により棒部材であるローラ12、22に固定される。シート部材11はローラ12の回転によりローラ12に巻取られ、または巻き戻される。
ローラ12の両端部はそれぞれ軸受けを介し、側壁板47、48に軸止される。また、これら軸受に隣接して内側にプーリ19,19がローラ12に軸止される。さらに前記プーリ19,19に隣接して内側に滑りクラッチ16、16が配置される。また、ローラ12の一方の端部はA部拡大図に示すようにプーリ17が挿入され軸止される。プーリ17はそれぞれ対をなす減速モータ13、ベルト15で連結される。
【0041】
また、側壁板47、48の下方にプーリ78,78が回転自由に軸止され、プーリ19,19との間にベルト18、18が懸架される。シート部材11の他方の先端はシート部材固着部83、83に於いて、ベルト18、18に固着される。この時、シート部材11の先端部はシート部材面に皺、たるみが生じないようローラ12と平行に固着支持する。
【0042】
内側面シャッタ機構80によるシート部材巻上げと巻き戻し動作について次に説明する。
シート部材11は減速モータ13を方向Dに回転させることで巻き上げられる。すなわち、減速モータ13の回転は、これに軸止されたプーリ14、ベルト15、プーリ17と伝えられ、プーリ17が軸止されるローラ12を回転させる。ローラ12にはシート部材11が固着されており、シート部材11はローラ12の回転に伴い巻き上げられる。なおこの時、クラッチ16,16は連結状態になく開放されている。従ってローラ12はプーリ19、19を駆動しない。しかし、シート部材11の先端部はベルト18、18に固着されており、シート部材11に引かれて無負荷回転する。ベルト18、18、プーリ19、19の回転は無負荷回転ではあるが、ベルト張力などに起因した周動摩擦抵抗がありシート部材巻上げ時、シート部材に張力負荷として作用する。シート部材表面にはこの張力負荷により堅牢なシャッタ面が形成される。
【0043】
次にシート部材巻き戻し時、クラッチ16,16は励磁され連結状態となり、Dと逆方向に回転する減速モータ13に駆動されるローラ12がプーリ19、19を駆動する。プーリ19、19の直径はローラ12に巻き取られるシート部材11の最大外形より大きく設定されるので、ベルト18の回転速度はシート部材11の巻き戻し速度より大きくなる。従って、シート部材11先端部の案内速度は、シート部材11を巻き戻すローラ12に拘束され、クラッチ16,16は滑りながら回転を続ける、即ち、シート部材11の先端部はベルト18に引かれ案内されながら、略一定のクラッチ滑り摩擦トルクで巻き戻される。この巻き戻し動作では、シート部材面にはトルク伝達手段のクラッチに発生する所定負荷トルクと釣合う張力が発生する。従って、シート部材巻き戻しに於いても、シート部材面に張力が発生し、堅牢なシャッタ面が形成される。
【0044】
プーリ14とプーリ17の直径寸法は、シート部材11の巻上げ又は、巻き下ろし速度が最適化できるよう決める。シート部材巻き戻しの終点と、シート部材巻上げの終点は側壁板47に取付けられた上部フォトセンサ54および、下部フォトセンサ55により検出される。即ち、発光素子と受光素子を1つのセンサー内に内蔵するフォトセンサにおいて、フォトセンサの前面にシート部材先端部が位置するとフォトセンサ発光部から発した光がシート部材固着部83の表面で反射し、フォトセンサ内部の受光部で検出される。しかし、フォトセンサの前面にシート部材固着部83が位置しないとフォトセンサ発光部から発した光は反射光にならないため、フォトセンサ受光素子に検出されることはない。これにより、シャッタの先端部が下端にあるか、または上端にあるかをシート部材固着部の有無で検出できる。
なお、減速モータ23と、シート部材21で構成される外側面シャッタ機構81の開閉動作ならびに、シャッタ先端部の位置検出動作は前記減速モータ13と、シート部材11で構成された内側面シャッタ機構80と同様に実行される。
【0045】
次ぎに、第3の実施例について図5を用いて説明する。
第3の実施例は第1,2の実施例とはシャッタに用いる部材が異なる。即ち、実施例1,2はシャッタに可撓性のあるシート部材を採用しているが、実施例3では板材を使用する。板材は透明アクリル樹脂板など所定硬度を有する透明合成樹脂板の使用が好ましいが、機能的には板材であれば材質は問わない。
ポート2はステージ30、内側シャッタ板40、外側シャッタ板50から構成される。
長方形の内側シャッタ板40の垂直辺端部には、シャッタ板40の垂直辺と略同一長さのラック43がシャッタ板40の垂直辺と平行に取付けられる。ラック43のシャッタ板40への固定方法は、接着剤による接着、ボルトナット止め、木目ネジ止めなどの方法がある。
【0046】
ポート上板39には減速モータ41が図示されない取付け部材で支持固定される。減速モータ41の回転軸にはピニオン42が挿入されセットビスなどで固定される。ピニオン42はラック43と噛合わせて組立てられ、減速モータ41に駆動されるピニオン42の正逆回転により、ラック43とシャッタ板40は一体に上下方向にスライドし、シャッタとしての開閉動作を行う
また、外側シャッタ50及び駆動減速モータ51も、内側シャッタ40及び駆動減速モータ41と同一構成をなし、同一動作を行う。
【産業上の利用可能性】
【0047】
製造工場に於ける製造工程で、工程の時間調整のため、一時的に加工途中の半製品を保管する保管装置で、保管装置への加工途中の半製品の搬入出を作業者や、移載ロボットを搭載した搬送台車で行わせる用途。特に保管装置の小型化が必要とされる用途。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】ポートがストッカ内部に設けられた、本発明によるストッカの上方からの斜視図
【図2】シャッタにシート部材を用いた第1の実施例
【図3】第一の実施例におけるポートを含むストッカ断面
【図4】シャッタにシート部材を用いた第2の実施例
【図5】シャッタに板材を用いた第3の実施例
【図6】従来技術のストッカ断面図
【符号の説明】
【0049】
1.ストッカ
2.ポート
3.スタッカロボット
4.FOUP4
5.システムコントローラ
6.無人搬送車コントローラ
7.無人搬送台車
11.シート部材
13.減速モータ
33.棚セグメント
37.重り
40.シャッタ板
60.移動支柱体
80.内側面シャッタ機構
81.外側面シャッタ機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体デバイス、液晶表示装置などの製造工場に於ける製造プロセスで、製造過程にある基板を一時的に保管するための保管装置に付設される荷物の搬入出用ポートであって、
保管装置内部に碁盤目状に設けられた棚空間の一部に設けられ、前記搬入出用ポートの直上と直下空間に前記搬入出用ポートにそれぞれ隣接して、碁盤目状棚が設けられた保管装置。
【請求項2】
請求項1に記載の保管装置のポートであって、荷物を載置するステージ、外側面シャッタ、内側面シャッタを有し、外側面シャッタ、内側面シャッタのそれぞれがなす平面が、保管装置碁盤目状棚のなす外壁面と内壁面に、それぞれ略面一に配置された構成を有する搬入出用ポートである保管装置。
【請求項3】
請求項1、2に記載の保管装置の搬入出用ポートであって、搬入手段により搬入出用ポートに荷物を搬入する行程に於いて、まず、外側面シャッタを開き、荷物を搬入出用ポートに載置して外側面シャッタを閉じ、次いで内側面シャッタを開き、スタッカクレーンで該搬入出用ポートに載置された荷物を把持、取出し、内側面シャッタを閉じることで搬入動作を終え、逆に保管装置内棚から荷物を外部に搬出する行程に於いて、まず、内側面シャッタを開き、スタッカクレーンに把持した荷物を搬入出用ポートに載置して内側面シャッタを閉じ、次いで外側面シャッタを開き搬出手段により搬入出用ポートより荷物を搬出した後、外側面シャッタを閉じる搬入出用ポートを有する保管装置。
【請求項4】
前記シャッタが、可撓性を有するシート部材と、該シート部材の巻取りおよび巻き戻しを可能とする棒部材と、該棒部材が前記シート部材を巻取り巻戻しするための駆動機構とから構成された搬入出用ポート。
【請求項5】
前記可撓性を有するシート部材を棒部材に巻取ることでシャッタを開き、棒部材に巻取ったシート部材を巻き戻すことでシャッタを閉じるシャッタ機構のシャッタ閉動作において、所定負荷トルクで滑りを発生するトルク伝達手段を介し、回転駆動されるベルトに前記シート部材の先端部を案内させ、シート部材面に前記トルク伝達手段に発生する所定負荷トルクと釣合う張力を発生させながら、シート部材を巻き戻すシート部材巻き戻し機構を有する搬入出用ポート。
【請求項6】
前記シャッタが、ラックの取付けられた板部材と、回転軸にピニオンが軸止された駆動モータから構成され、駆動モータおよびラックとピニオンの噛合いにより前記板部材を上下方向にスライド可能な搬入出用ポート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2005−277326(P2005−277326A)
【公開日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−92186(P2004−92186)
【出願日】平成16年3月26日(2004.3.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ケーブルベア
【出願人】(302059274)アシスト シンコー株式会社 (146)
【Fターム(参考)】