説明

薄膜ダイオード素子の製造方法

【課題】TFD素子の第1電極15に含有される水素の量及び分布は、当該金属を用いたTFD素子の動作特性に影響を与える。例えば第1電極15中の水素量を増加させるとTFD素子の絶縁抵抗値を高くでき好適である。反面水素が過剰量入るとTFD素子外に水素が時間と共に飛散し、TFD素子の電気特性が不安定になる。当該水素はTa膜成膜後Ta膜を大気中に晒すことで大気中の水素を吸収させることで導入しているため、水素量の制御が困難であるという問題があった。
【解決手段】第1電極15を覆う第1散逸阻止膜5を減圧雰囲気中で除去する。この工程により、第1電極15中に蓄えられていた水素は第1電極15外に放出される。放出後、大気に晒すことなく新たに水素を吸着させ、更に第2散逸阻止膜6を形成することで内蔵水素量が制御されたTFD素子の提供が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜ダイオード素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
TFD(薄膜ダイオード)素子の金属部に含有される水素の量及び分布は、当該金属を用いたデバイスの動作特性に強い影響を与える。TFDの電極にTa(タンタル)を用いたデバイスの動作特性を例に取ると、当該水素量の変動によりTFDの電気特性が変動することが知られている。より具合的には、当該水素を増加させるとTFDの絶縁抵抗値を高くすることができ好適である。
【0003】
他方、当該水素の量が過剰となると水素がTFD外に逃げ易くなり、TFDの電気特性が時間と共に変動する問題が発生する。そのため金属内水素量及び分布を再現性高く制御する技術が検討されている。水素分布を制御する技術は、例えば特許文献1や特許文献2に示されている。
【0004】
【特許文献1】特開平10−247754号公報
【特許文献2】特開2001−244522号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した技術では、Ta膜の形成後、Ta膜に対してフォトリソグラフ工程等を行うために基板を大気中に露出すると同時に大気中の水素がTa膜に侵入する性質を用いて水素を導入している。続いて水素の導入後、Ta膜の露出面と大気中の酸素や水等の酸化種とが反応し水素バリアとなるTaOx(酸化タンタル)膜を形成する現象により、取り込まれた水素はTa膜中に閉じ込められる。
【0006】
また、Ta膜をエッチングしてTFDの電極を形成する場合、TFDの電極の電極側面ではTa膜が露出する。そのため、エッチング後大気中に取り出す場合に上記した機構と同様Ta膜中に大気中の水素が侵入する。続けてTa膜を覆うようにTaOx膜が形成され、水素がTFDの電極中に閉じ込められる。
【0007】
上記した現象を用いた水素の導入方法では、Ta膜中への水素量の制御は困難であり、Ta膜に取り込まれる水素の量にはばらつきが発生する。そのため水素濃度の影響を強く受けるTFDの電気特性にもばらつきが発生するという課題があった。
【0008】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、TFD素子に用いられる金属中での金属内気相物質の制御を可能とするTFD(薄膜ダイオード)素子の製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の薄膜ダイオード素子の製造方法は、基板の一方の面に第1電極、中間絶縁膜、及び第2電極を積層してなる薄膜ダイオード素子の製造方法であって、(1)前記基板の一方の面に第1電極前駆体を堆積する工程と、(2)前記基板を大気雰囲気に取り出し前記大気雰囲気中の酸化種による自然酸化により前記第1電極前駆体を覆うように第1散逸阻止膜を形成する工程と、(3)前記第1電極前駆体をパターニング後エッチングすることで前記第1電極を形成し、エッチングにより生じた前記第1電極の側面を覆うように前記大気雰囲気中の酸化種による自然酸化により再び前記第1散逸阻止膜を形成する工程と、(4)前記大気雰囲気中に存在する水素を選択的に吸収することで含まれている前記第1電極中の水素が放出されるよう前記第1電極表面に位置する前記第1散逸阻止膜を減圧雰囲気で除去する工程と、(5)酸化性ガス又は不活性ガスにより希釈された酸化性ガス雰囲気中に前記基板を配置して前記第1電極表面に第2散逸阻止膜を形成する工程と、(6)前記第2散逸阻止膜と重ねるように中間絶縁膜を形成する工程と、(7)前記中間絶縁膜を介して前記第1電極と交差するように第2電極を形成する工程と、を当該順に行うことを特徴とする。
【0010】
この製造方法によれば、大気中から第1電極中に取りこまれた水素は、第1散逸阻止膜を減圧雰囲気で取り除くことで外方拡散する。水素を外方拡散させることで第1電極中の水素の残留量は削減される。水素の残留量が削減されるため、水素残留量のばらつきの絶対量を低減することができ、電気特性のばらつきが抑えられた薄膜ダイオード素子の製造方法を提供することができる。
【0011】
また、大気中に基板を晒す前に酸化性ガス雰囲気下に基板を配置して第2電極を覆うように第2散逸阻止膜を形成するため大気中に晒しても大気中に含まれる水素の侵入は第2散逸阻止膜により阻止され、副次的な水素の侵入を阻むことができる。
【0012】
また、上記課題を解決するために、本発明の薄膜ダイオード素子の製造方法は、前記(1)の工程よりも前に酸化タンタル、酸化珪素又は金属配線前駆体に含まれる金属の少なくとも一部を含む酸化物からなる下地絶縁膜を形成する工程を更に有することを特徴とする。
【0013】
この製造方法によれば、密着性及び不純物のバリア性に優れた下地絶縁膜を介することで基板と第1電極との密着性が向上する。また、下地絶縁膜を介することで基板からの金属配線前駆体への不純物拡散を抑制することができる。また、金属配線前駆体を含む酸化物を下地絶縁膜として用いることで前記金属配線前駆体と基板との密着性を向上させることができる。
【0014】
また、上記課題を解決するために、本発明の薄膜ダイオード素子の製造方法は、前記(4)の工程と前記(5)の工程の間に、水素ガス、又は不活性ガスで希釈された水素ガス雰囲気に置き、室温又は水素が前記第1電極中に捉えられる範囲の温度で水素を前記第1電極中に浸透させる工程を挿入することを特徴とする。
【0015】
この製造方法によれば、一旦第1電極から濃度制御性の低い水素を排出した後改めて濃度制御に優れた形式で水素を導入するため、第1電極中の水素量を高い濃度制御性を持って調整することができる。
【0016】
また、上記課題を解決するために、本発明の薄膜ダイオード素子の製造方法は、前記(5)の工程以降で且つ前記基板及び前記基板に形成された構成要素が耐え得る温度で、前記第2散逸阻止膜及び/又は前記中間絶縁膜の改質のためのアニール工程を更に挿入することを特徴とする。
【0017】
この製造方法によれば、第2散逸阻止膜を形成した後第2散逸阻止膜及び/又は中間絶縁膜の改質のための熱処理工程を挿入するため、第1電極中の水素濃度を保った状態で第2散逸阻止膜及び/又は中間絶縁膜の膜質を向上させることができる。
【0018】
また、上記課題を解決するために、本発明の薄膜ダイオード素子の製造方法は、前記中間絶縁膜は前記第1電極を陽極酸化して得られた陽極酸化膜、前記第1電極の能動面側にスパッタ法又はCVD法を用いて得られた酸化膜であることを特徴とする。
【0019】
この製造方法によれば、低温で薄膜ダイオード素子の中間絶縁膜を形成することができるため、耐熱性が低い基板を用いることができ、低軟化点のガラスやプラスチックを基板として用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した実施形態について図面を用いて説明する。
【0021】
(第1の実施形態:薄膜ダイオード素子の構造)
図1(a)は本実施形態に係る、バック・ツー・バック構造を有するTFD(薄膜ダイオード)素子の模式平面図、(b)はA−A線に沿う模式断面図である。以下、図1(a)を参照してTFD素子の平面構造について説明を行う。
【0022】
信号線18には信号線18から分岐して形成された第2電極17aが配置されている。第2電極17aは中間絶縁膜16を介して例えば水素を含んだ金属Ta(タンタル)からなる第1電極15(図1(b)参照)と対向して配置されている。そして、第1のTFD素子11と第2のTFD素子12とは第1電極15を配線用に兼務させることで直列に接続されている。第2のTFD素子12は、第1電極15の延在部と第2電極17bとの間に中間絶縁膜16を介して配置された構造を有している。そして、第2電極17bは例えばITO(インジウム・スズ・酸化物)等からなる画素電極19に電気信号が伝達されるよう画素電極19の領域にまで延在するよう形成されている。
【0023】
続けて、図1(b)を参照してTFD素子の断面構造について説明を行う。SiO2(酸化珪素)、TaOx(酸化タンタル)、又は第1電極15の酸化物等からなる下地絶縁膜3はガラスやプラスチック等、透明な材質を用いた基板2を覆うように形成されている。ここで、光反射を用いて光を制御する素子を用いる場合には基板2に透光性が低い材質からなるものを用いても良い。
【0024】
下地絶縁膜3は第1電極15への基板2からの不純物拡散の阻止や第1電極15と基板2との密着性を向上させるために形成されており、下地絶縁膜3は基板2からの不純物拡散の新たな阻止が必須ではない場合や、第1電極15と基板2との密着性が十分高い場合には省略可能である。そして、第1電極15を覆うように、第1電極15を陽極酸化して得られた中間絶縁膜16が配置され、中間絶縁膜16を介して第1電極15を覆うように第2電極17aが形成されている。
【0025】
なお、第1のTFD素子11及び第2のTFD素子12の第1電極15に水素を添加することで絶縁抵抗値を高く取れるようになる。そのため非線形性が大きい優れた電気特性を与えることができる。反面、多量の水素を添加すると水素が第1電極15から徐々に抜ける。そのため電気的特性の不安定性が生じる場合があり、第1電極15が有する水素量を制御することが重要となる(水素量の制御方法については第2の実施形態に記述する)。
【0026】
ここでは第1電極15としてTaを用いた例について示したが、これはTa以外の金属を用いても良く、例えば水素吸蔵性のあるMg(マグネシウム)、Ti(チタン)、V(バナジウム)、La(ランタン)等や、これらを混在、反応させた物質を用いても良い。
【0027】
また、Taに周期律表で6,7及び8族に属する元素を含ませた合金膜を用いても良く、例えばW(タングステン)、Cr(クロム)、Mo(モリブデン)、Re(レニウム)、Y(イットリウム)、La(ランタン)、Dy(ディスプロリウム)との合金を用いても良い。特にWを加えることが好ましく、1〜6原子%程度の範囲でTaに混入することが好ましい。
【0028】
バック・ツー・バック構造では図1(a)に示すように第1のTFD素子11と第2のTFD素子12とは極性を反対にして直列に接続される。この場合第1のTFD素子11と第2のTFD素子12とは液晶を交流駆動する場合に正負の印加電圧に対し対称に駆動されるようになる。そのため、交流駆動される液晶表示装置でのちらつきは抑制され、優れた画質を提供することができる。
【0029】
(第2の実施形態:薄膜ダイオード素子の製造方法)
図2〜図4は、第1のTFD素子11(図1(a)参照)を製造するための模式工程断面図である。以下、図2〜図4の模式工程断面図を用いてTFD素子の製造工程について説明する。
【0030】
まず、図2(a)で示すようにガラスやプラスチック等、透明な材質を用いた基板2を覆うように下地絶縁膜3を形成する。ここで、光反射を用いて光を制御する素子を用いる場合には基板2に透光性が低い材質からなるものを用いても良い。下地絶縁膜3には例えばTaOx等が用いられる。
【0031】
下地絶縁膜3は後述する第1電極前駆体4への基板2からの不純物拡散の阻止や後述する第1電極前駆体4と基板2との密着性を向上させるために形成されており、下地絶縁膜3の形成工程は基板2からの不純物拡散が抑えられる場合や、第1電極15と基板2との密着性が十分高い場合には省略可能である。下地絶縁膜3の膜厚には特に制限はないが、例えば100nm程度が不純物拡散の阻止と成膜時間との兼ね合いから用いることができる。
【0032】
次に、図2(b)に示すように例えばTaからなる第1電極前駆体4を形成する。第1電極前駆体4は例えばスパッタ法により形成され、例えば200nm程度の厚さに成膜する。ここでは第1電極前駆体4としてTaを用いた例について示したが、これはTa以外の金属を用いても良く、例えば水素吸蔵性のあるMg(マグネシウム)、Ti(チタン)、V(バナジウム)、La(ランタン)等や、これらを融合させた物質を用いても良い。
【0033】
また、Taに周期律表で6,7及び8族に属する元素を含ませた合金膜を用いても良く、例えばW(タングステン)、Cr(クロム)、Mo(モリブデン)、Re(レニウム)、Y(イットリウム)、La(ランタン)、Dy(ディスプロリウム)との合金を用いても良い。特にWを加えることがTFD素子の電気的特性の対称性の向上や経時変化の抑制という観点から好ましく、1〜6原子%程度の範囲でTaに混入することが好ましい。
【0034】
次に、図2(c)に示すように第1電極前駆体4を形成した後、第1電極前駆体4をパターニング後エッチングするために成膜装置から大気中に取り出す。大気中に取り出すと第1電極前駆体4は、短時間の内に大気中に存在する水素を吸着する。その後、大気中の酸素と第1電極前駆体4とが反応して水素の通過を阻止する第1散逸阻止膜5が形成される。
【0035】
次に、図3(a)に示すように公知の技術を用いたフォトリソグラフ工程及びエッチング工程により第1電極前駆体4をエッチングした後、フォトレジスト(図示せず)を取り除き、再び大気中に取り出す。大気中に存在する水素はエッチングにより開口された第1電極15の側面部から短時間の内に大気中に存在する水素を吸着する。その後、大気中の酸素と第1電極15の側面とが反応して水素の通過を阻止する第1散逸阻止膜5が、第1電極15の露出面を全て包むよう形成される。
【0036】
次に、図3(b)に示すように、真空のチャンバー内に基板2を配置し、チャンバー内で例えばアルゴンイオンを用いたエッチングを行い、第1散逸阻止膜5を除去する。第1散逸阻止膜5を真空中で除去することで第1電極15中に含まれていた水素は真空のチャンバー内に放出され、第1電極15内の残留水素は殆ど除去される。真空度は例えば10-2Pa程度を用いることができる。また、水素放出を行う場合に、10-2Pa程度の圧力に減圧した状態で、基板2及び基板2に配置された構成要素に耐熱性の高い材質を用いている場合には基板2を加熱することで第1電極15内の残留水素を更に減少させることが可能である。加熱温度は基板2及び基板2に配置された構成要素の耐熱性に依存するが、例えば400℃程度を用いることができる。
【0037】
次に、図3(c)に示すように改めて第1電極15に水素を導入する。第1電極15が露出した状態で一旦水素を除去してからチャンバー内に水素を導入することで第1電極15中に高い制御性を持って水素を含ませることができる。水素を含ませるための雰囲気としては、純水素を用いる他に、窒素やアルゴン等反応性の低いガスで水素を希釈し、例えば5%程度の水素濃度を有するよう調整した雰囲気を用いることができる。なお、水素の吸着は例えば大気圧程度の圧力に保持して行うことで効率良く第1電極15中に導入することができる。ここで、第1電極15の水素を極力除きたい場合にはこの工程を外しても良い。
【0038】
次に、図4(a)に示すように基板2を大気圧程度の酸素雰囲気に晒すことで第1電極15の酸化物からなる第2散逸阻止膜6を形成する。第2散逸阻止膜6は第1電極15としてTaを用いた場合には、約1nm程度の酸化膜を得ることができる。形成温度は室温程度、雰囲気の圧力は大気圧程度が好ましい。
また、酸素を窒素やアルゴンなどで希釈した雰囲気を用いて第2散逸阻止膜6を形成しても良い。この場合、酸化速度を落とすことができるため第2散逸阻止膜6の膜厚をより精密に制御することができる。また、酸素に代えて水蒸気を混入した酸化性雰囲気を用いても良い。
また、第2散逸阻止膜6を形成した後、第2散逸阻止膜6の品質を高めるため、アニール処理を行っても良い。第2散逸阻止膜6が形成されているため、第1電極15からの水素の外方拡散は抑制されるため、水素濃度を保持した状態でアニール処理を行うことができる。
【0039】
次に、図4(b)に示すように陽極酸化膜を形成し、中間絶縁膜16を作成する。陽極酸化工程で第2散逸阻止膜6は陽極酸化膜と一体化するので単一の膜として扱うことができる。ここで、陽極酸化に代えてTaOx等、絶縁性の物質をスパッタ法やCVD法等を用いて中間絶縁膜16を形成しても良い。また、酸化方法として陽極酸化に代えて大気圧プラズマやオゾン酸化を用いても良い。中間絶縁膜16の製造方法として基板2の加熱を必要としない上記した製法を用いることで、基板2に耐熱性が低い材質を用いることができ、例えば低軟化点のガラスやプラスチックを基板として用いることができる。
【0040】
また、基板2及び基板2に配置された構成要素に耐熱性の高い材質を用いた場合には中間絶縁膜16の品質を高めるため、アニール処理を行っても良い。また、このアニール処理によって第2散逸阻止膜6のアニール処理を兼ねても良い。また、このアニール処理は中間絶縁膜16を形成した後で基板2及び基板2に配置された構成要素がアニール温度に耐え得る状態にあれば行うことができる。
【0041】
次に、図4(c)に示すように、中間絶縁膜16を覆うように第2電極前駆体となる例えばCr(クロム)をスパッタした後、既知のフォトリソグラフ工程及びエッチング工程により第2電極17aを形成することで第1のTFD素子11が完成する。
【0042】
この薄膜ダイオード素子の製造方法を用いることで図1(a)に示される第1のTFD素子11及び第2のTFD素子12に用いられている第1電極15(図1(b)参照)に含まれる水素の量は経時変化も含め最適となるよう制御可能となり、初期特性、信頼性共に優れたTFD素子の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】(a)は本実施形態に係る、バック・ツー・バック構造を有するTFD素子の模式平面図、(b)は(a)のA−A線に沿う模式断面図。
【図2】(a)〜(c)は第1のTFD素子を製造するための模式工程断面図。
【図3】(a)〜(c)は第1のTFD素子を製造するための模式工程断面図。
【図4】(a)〜(c)は第1のTFD素子を製造するための模式工程断面図。
【符号の説明】
【0044】
2…基板、3…下地絶縁膜、4…第1電極前駆体、5…第1散逸阻止膜、6…第2散逸阻止膜、11…第1のTFD素子、12…第2のTFD素子、15…第1電極、16…中間絶縁膜、17a…第2電極、17b…第2電極、18…信号線、19…画素電極。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の一方の面に第1電極、中間絶縁膜、及び第2電極を積層してなる薄膜ダイオード素子の製造方法であって、
(1)前記基板の一方の面に第1電極前駆体を堆積する工程と、
(2)前記基板を大気雰囲気に取り出し前記大気雰囲気中の酸化種による自然酸化により前記第1電極前駆体を覆うように第1散逸阻止膜を形成する工程と、
(3)前記第1電極前駆体をパターニング後エッチングすることで前記第1電極を形成し、エッチングにより生じた前記第1電極の側面を覆うように前記大気雰囲気中の酸化種による自然酸化により再び前記第1散逸阻止膜を形成する工程と、
(4)前記大気雰囲気中に存在する水素を選択的に吸収することで含まれている前記第1電極中の水素が放出されるよう前記第1電極表面に位置する前記第1散逸阻止膜を減圧雰囲気で除去する工程と、
(5)酸化性ガス又は不活性ガスにより希釈された酸化性ガス雰囲気中に前記基板を配置して前記第1電極表面に第2散逸阻止膜を形成する工程と、
(6)前記第2散逸阻止膜と重ねるように中間絶縁膜を形成する工程と、
(7)前記中間絶縁膜を介して前記第1電極と交差するように第2電極を形成する工程と、
を当該順に行うことを特徴とする薄膜ダイオード素子の製造方法。
【請求項2】
前記(1)の工程よりも前に酸化タンタル、酸化珪素又は金属配線前駆体に含まれる金属の少なくとも一部を含む酸化物からなる下地絶縁膜を形成する工程を更に有することを特徴とする請求項1に記載の薄膜ダイオード素子の製造方法。
【請求項3】
前記(4)の工程と前記(5)の工程の間に、水素ガス、又は不活性ガスで希釈された水素ガス雰囲気に置き、室温又は水素が前記第1電極中に捉えられる範囲の温度で水素を前記第1電極中に浸透させる工程を挿入することを特徴とする請求項1又は2に記載の薄膜ダイオード素子の製造方法。
【請求項4】
前記(5)の工程以降で且つ前記基板及び前記基板に形成された構成要素が耐え得る温度で、前記第2散逸阻止膜及び/又は前記中間絶縁膜の改質のためのアニール工程を更に挿入することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の薄膜ダイオード素子の製造方法。
【請求項5】
前記中間絶縁膜は前記第1電極を陽極酸化して得られた陽極酸化膜、前記第1電極の能動面側にスパッタ法又はCVD法を用いて得られた酸化膜であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の薄膜ダイオード素子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−335436(P2007−335436A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−161989(P2006−161989)
【出願日】平成18年6月12日(2006.6.12)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】