説明

薄膜形成のための方法とシステム

【課題】第III−V族含有薄膜を形成する方法を提供する。
【解決手段】実施態様において、二成分化合物のエピタキシャル薄膜を形成するためのシステムと方法を含むエピタキシャル薄膜形成ためのシステムと方法が提供されている。本発明の実施形態の方法とシステムは、例えば、GaN、InNおよびAlN、ならびにこれらの化合物の混合合金、例えば、(In, Ga)N、(Al, Ga)N、(In, Ga, Al)Nのような直接の禁止帯半導体二元素化合物エピタキシャル薄膜形成のために用いられる。前記方法および装置は、準単分子層薄膜蒸着の急速反復を可能にする多段階蒸着プロセスおよびシステムを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
高品質の結晶性半導体薄膜の成長は産業的にとても重要な科学技術であり、発光ダイオードおよびレーザを含む様々なマイクロエレクトロニクス並びに光電子工学的応用を伴う。窒化ガリウム(GaN)、窒化インジウム(InN)および窒化アルミニウム(AlN)薄膜、これらの合金およびそれらのヘテロ構造(本願明細書において「InGaAlN」とも記す)用の現在の最高水準の蒸着技術は、金属−有機化学蒸着法(「MOCVD」)であり、基板が高温に保たれ、薄膜から成る要素を含む気体がウェファの表面を流れ、薄膜成長に組み込まれる。GaNの場合、最高水準の技術はほぼ1050℃の成長温度と、アンモニア(NH)および第III属アルキル先駆体ガス(例えばトリメチルガリウム、トリエチルガリウム)の同時使用とを含み得る。
【0002】
InGaAlN膜を形成するための方法は存在するものの、現用の方法に関連する限界がある。第1に、MOCVDに伴う高処理温度は複雑な反応炉の設計、および耐火材や処理容積の工程ける高温でのみ不活性な材料の使用を必要とすることがある。第2に、InGaAlN成長に伴う高温は、成長温度および化学的な環境にて化学的ならびに機械的に安定している基板、代表的にはサファイヤおよびシリコンカーバイド基板の可能性を限定し得る。特に、廉価で、経済的な製造用で大サイズにおいて利用できるシリコン基板は互換性が無い。第3に、乏しい消費量比と同様に伴うプロセスガスの費用は、特にアンモニアの場合、InGaAlN系デバイスの低費用製造用には経済的に好ましくない。第4に、炭素含有先駆体(例えばトリメチルガリウム)の使用はInGaAlN膜の炭素汚染に帰結し得て、InGaAlN系デバイスの電子的ならびに光電子的特性を損ない得る。第5に、MOCVD反応炉は、第III族および第V族含有プロセスガス間の大量の気相反応を有し得る。気相反応は、反応容積内の全ての表面上の薄膜材料の望ましくない析出に帰結し、粒子の望ましくない生成に帰結し得る。後者は、製造されたデバイスの低い歩留まりに帰結し得る。前者は多数の実用的な問題に帰結し得て、内部光プローブおよびレンズ系のコーティングによる成長薄膜の直接の光学測定の有効性低減と、析出が反応炉の壁に積み重なるにつれて、反応炉の壁の放射率が変化し、多くの析出周期上の定常的な熱環境を維持することの困難とを含む。これらの問題はMOCVDの全ての変形に共通で、プラズマ強化MOCVDおよび代表的な原子層析出(ALD)または原子層エピタキシ(ALE)と称する工程を含み得る。
【0003】
InGaAlN薄膜を形成するための他の方法は、プラズマ補助分子線エピタキシ(「PAMBE」)を含み、蒸発したGa、InまたはAlの流束は、加熱した基板へ向けて同時に窒素ラジカル(活性分子状窒素、原子状窒素または単独でイオン化した窒素原子か分子)の流束を伴って窒素プラズマ源から高真空で導かれる。前記方法は、高品質InGaAlN薄膜およびデバイスを生産可能であるが、前記方法は金属集合、例えば、成長する膜の表面上にナノから顕微鏡学的寸法のガリウム液滴を形成する傾向の害を被り得る。例えば、E. J. Tarsa他著、「Homoepitaxial growth of GaN under Ga−stable and N−stable conditions by plasma−assisted molecular beam epitaxy」J. Appl. Phys 82, 11(1997)参照、 本書は、完全に本願明細書に引用したものとする。このように、プロセスは慎重に監視されることを必要とするかもしれず、それは製造されたデバイスの低歩留まりに本質的に帰結し得る。
【0004】
GaN膜を作るために使用される他の方法は水素化物気相エピタキシを含み、加熱したガリウム上のHClガス流れが基板に対する塩化ガリウムの移送に帰結し、ここでアンモニアに対する同時露出がGaN薄膜の成長を齎す。前記方法は腐食性化学物質を高温で使うことを必要とし、反応炉設計のための互換材料を制限する。その上、反応の副産物は腐食性ガスおよび固形物であり、排除および反応炉維持の必要性を増加する。前記方法は高成長速度(毎時何十何百ミクロンが呈示され、MOCVDによって共通に達成される数を上回る)で高品質GaN膜を生産することができるものの、炉設計および腐食性工程投与・産出は欠点である。
【発明の概要】
【0005】
本発明の一態様において、第III−V族含有薄膜を形成する方法を提供する。第III−V族薄膜を形成する方法は、薄膜汚染を消去せずとも最小に低減し得るので、高品質第III−V族薄膜を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態において、第III−V族薄膜を形成するための方法は、第1反応空間内の基板を第III族先駆体と接触して準単分子層適用範囲にて第III族金属薄膜を形成し; 第2反応空間内の基板を第V族先駆体と接触させて第III−V族薄膜を形成することを含む。
【0007】
他の実施形態において、基板上に第III−V族薄膜を形成するための方法は、基板を第III族金属先駆体および第V族先駆体と交互に、および逐次に接触させること含み、基板は、分離した反応空間内の第III族金属先駆体および第V族先駆体と接触し、そして、基板を第III族金属先駆体と接触することにより、準単分子層適用範囲にて第III族金属薄膜を形成する。
【0008】
他の実施形態において、基板上に第III−V族薄膜を形成する方法は、基板上に第III族金属層を提供し、第III族金属層は予湿法適用範囲にて1つ以上の第III族金属を有し;第III族金属層を第III族先駆体と接触させることを含む。
【0009】
他の実施形態において、基板上に第III−V族薄膜を形成する方法は、(a)基板を第1反応空間に配置すること;(b)第1反応空間に第1の第III族先駆体および第1の第V族先駆体のうちの1つを導くこと;(c)基板を第2反応空間に配置すること;(d)第2反応空間に第1の第III族先駆体および第1の第V族先駆体のうちの他の1つを導くこと;および、(e)ステップ(a)〜(d)を繰り返すことにより予め定められた厚さの第III族窒化金属薄膜を形成することを含み、第1の第III族先駆体を第1反応空間または第2反応空間へ導くことにより準単分子層適用範囲にて第III族金属薄膜を形成する。幾つかの実施形態において、基板を反応空間へ移動することによって基板は反応空間に配置してもよい(例えば、反応空間へ基板を有するサセプタを回転させることによって)。
他の実施形態において、反応空間を基板へ持って来ることによって基板を反応空間に配置してもよい(例えば、反応空間を有する反応チャンバを回転させることによって)。
【0010】
他の実施形態において、基板上に第III−V族薄膜を形成する方法は、(a)基板を第1反応空間へ移動すること;(b)基板を第1反応空間内の第1の第III族先駆体および第1の第V族先駆体のうちの1つと接触させること;(c)基板を第2反応空間へ移動すること;(d)基板を第2反応空間内の第1の第III族先駆体および第1の第V族先駆体のうちの他の1つと接触させること;そして、(e)ステップ(a)〜(d)を繰り返すことにより予め定められた厚さの第III族窒化金属薄膜を形成することを含み、基板を第1の第III族先駆体と接触させて準単分子層適用範囲にて第III族金属薄膜を形成する。
【0011】
一実施形態において、第III‐V族薄膜は窒化ガリウムおよび/またはインジウム・ガリウム窒化物のエピタキシャル層を含み得る。他の実施形態において、第III−V族薄膜は窒化アルミニウム、アルミニウ・ガリウム窒化物、窒化ガリウム、インジウム・ガリウム窒化物またはアルミニウム・インジウム・ガリウム窒化物のエピタキシャル層を含み得る。
【0012】
本発明の別の態様において、第III−V族薄膜を形成するシステムおよび装置を提供する。一実施形態において、第III−V族薄膜をターゲット(例えば基板)に析出する装置は第1反応空間および第2反応空間を含み、第1反応空間は第2反応空間から流体的に分離され;ターゲットを第1および第2反応空間のそれぞれと接触させるためのサセプタと;および、第1露出にて第1反応空間に第III族先駆体を導き、第2露出にて第2反応空間に第V族先駆体導く制御器とを含む。
【0013】
本発明の別の態様において、第III‐V族薄膜が提供される。一実施形態において、第III‐V族薄膜は原子間力顕微鏡(AFM)測定で、約10ナノメータ(nm)以下の高低差実効値を有して提供される。幾つかの実施形態において、高低差実効値は、約5nm以下でもよく、約2nm以下でもよい。第III‐V族薄膜は、約1010転位/cmに及ぶ欠陥密度を有し得る。第III−V族薄膜は、約600秒角以下の(0002)または(1012)X線反射のオメガ走査半最大値における全値幅を有する。
【0014】
実施形態において、本願明細書で提供される方法は、第III−V族薄膜を形成するために用いてもよい。一実施形態において、第III−V族薄膜を有する発光ダイオード(LED)は、本願明細書において提供される方法を使用して形成され得る。他の実施形態において、第III−V族薄膜を有する光起電力太陽電池は、本願明細書で提供される方法を使用して形成され得る。他の実施形態において、第III−V族薄膜を有する量子井戸型ヘテロ構造デバイスは、本願明細書で提供される方法を使用して形成され得る。他の実施形態において、第III−V族薄膜を有する多重量子井戸型ヘテロ構造は、本願明細書で提供される方法を使用して形成され得る。
参照文献による取込み
【0015】
本願明細書で引用される、すべての刊行物、特許および特許出願は、個々の刊行物、特許および特許出願が十分に開示されているかの如く具体的かつ個別的に出典明示により本明細書の一部とする。
【0016】
本発明の新規な特徴は、特に添付した特許請求の範囲で明らかに示されている。本発明の特徴および利点のより良い理解は、例示の実施形態で明示されている以下の詳細な説明を参照することによって得られるが、詳細な説明では本発明の原理が利用され、添付の図面については以下に記載する:
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に従った第III−V族薄膜を形成する方法を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に従い、分離された処理環境を経た1つ以上の基板の環式操作のための回転式システムを図式的に示す平断面図である。処理環境A、B、CおよびDは、明細書に記載されている環境のいずれででもあってもよく、様々な組み合わせにおいて第III族環境、第V族環境、計測環境または水素含有種(例えばH、水素の励起種)環境を含む。複数の場所が与えられた型の環境であり得る。図2に例示の実施形態において、環境は定常性であり、基板は担体構造(または「サセプタ」)上の多発性の環境を経て、本発明の実施形態に従って、中心軸の周りを回転する。
【図3】図3A〜3Eは、本発明の様々な実施形態に従い、分離された反応空間による1つ以上の基板の操作(例えば環式操作)のための回転式システムの様々な配置を有する薄膜析出システムを図式的に示す平断面図である。図3Aは、2つの反応空間を含むシステムを図式的に示す平面図である。図3Bは、3つの反応空間を含むシステムを図式的に示す平面図である。図3Cは4つの反応空間を含むシステムを図式的に示す平面図であり、図3Dは5つの反応空間を含むシステムを図式的に示す平面図である。そして、図3Eは、本発明の実施例に従い、6つの反応空間を含むシステムを図式的に示す平面図である。
【図4】Nガスの無線周波誘導結合プラズマ励起の光発光スペクトルであり、本発明の実施形態に従い、光遷移の大多数が励起したN分子の最低エネルギー帯(第1正系列と称し、ほぼ600〜800nmの発光帯)を示す。ほぼ300〜400nmの範囲における強い放射の欠如は、第2正系列と称し、高エネルギー励起したN分子の欠如を表し得る。
【図5】本発明の実施形態に従い、基板上に形成された第III−V族薄膜を有する構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の様々な実施形態が本願明細書において示され、記載されているものの、この種の実施形態が一例のみとして提供されていることは当業者にとって明らかである。多数の変形、変更および置換は、本発明から逸脱することなく、当業者に生じ得る。本願明細書において記載されている本発明の実施形態に対する様々な代用が本発明を実践する際に使用し得ることが理解されるべきである。
【0019】
本願明細書において提供される方法とシステムは現行のシステムおよび方法と関連する問題を、消去せずとも、減少すると共に第III−V族薄膜の形成を可能にする。幾つかの実施形態において、第III−V族薄膜形成方法が提供され、第III−V族薄膜の汚染は、消去せずとも、減少する。本願明細書において提供される方法とシステムによって形成される薄膜は、光起電力太陽電池、発光ダイオード(LED)デバイスおよびシステムのような様々な応用において使用され得る。
【0020】
実施形態において、第III−V族薄膜形成のシステム及び方法が提供される。幾つかの実施形態において、時空間等分のシステム及び方法が記載され、第1の先駆体を第1反応空間内の基板と接触させ、第2の先駆体を、第1反応空間から分離している第2反応空間内の基板と接触させる。一実施形態において、第1の先駆体は第III族金属先駆体であり、第III族金属先駆体に対する前記基板の露出は、準単分子層適用範囲にて第III族金属薄膜を形成する。他の実施形態において、前記基板は同一反応空間または異なる反応空間内の1つ以上の第III族金属先駆体と接触し、前記基板の第III族金属先駆体の1つ以上に対する露出は、前記基板の第V族先駆体、水素含有種、または例えば薄膜の品質や組成を判定する分光学処理のような処理に対する露出によって分離される。
【0021】
本願明細書において使われる用語「反応空間」は、基板上のもしくは基板を覆う材料膜または薄膜の析出、もしくは材料膜または薄膜の物理学的特性の測定に適しているいずれの環境をも意味する。一実施形態において、反応空間はチャンバを含み得る。他の実施形態において、反応空間は複数のチャンバを有するシステムにおけるチャンバを含み得る。他の実施形態において、反応空間は複数の流体的に分離されたチャンバを有するシステムにおけるチャンバを含み得る。他の実施形態において、システムは多重反応空間を含み、そこにおいて、各反応空間は他の反応空間から流体的に分離される。他の実施形態において、反応空間は基板における、または基板(またはターゲット)上に形成される薄膜における測定の実施に好適で有り得る。
【0022】
本願明細書において使われる用語「窒化金属」は1つ以上の金属または1つ以上の半導体および窒素を含む材料を意味する。ある実施形態において、窒化金属(例えば窒化金属薄膜)は化学式Mを有し、「M」は金属または半導体を表わし、「N」は窒素を表わし、そして、「x」および「y」は零より大きな数である。幾つかの実施形態において、「M」は1つ以上の金属および/または半導体を含み得る。実施形態において、Mは第III族窒化金属(例えば窒化ガリウム、窒化インジウム、アルミニウム・ガリウム窒化物、インジウム・ガリウム・アルミニウム窒化物)のような窒化金属を意味する。幾つかの実施形態において、窒化金属皮膜または薄膜は、例えば化学的ドーパントのような他の材料を含み得る。化学的ドーパントは、p型ドーパント(例えばマグネシウム、亜鉛)およびn型ドーパント(例えばケイ素、酸素)を含み得る。
【0023】
本願明細書において使われる用語「励起種」および「活性種」は、反応剤ガスまたは蒸気に対するエネルギーの適用(または結合)を経て生成されるラジカル、イオンおよび他の励起(または活性)種を意味する。一実施形態において、エネルギーは、例えば、紫外線、マイクロ波照射、誘導結合およびプラズマ発生器を用いた静電結合、のような様々な方法を経て適用され得る。プラズマ発生器は、直接プラズマ発生器(つまり直接プラズマ発生)または遠隔プラズマ発生器(つまり遠隔プラズマ発生)であり得る。結合エネルギーが無くなると、プラズマ発生は終了する。遠隔プラズマ発生では、特定の気相化学のプラズマ励起種(例えば窒素含有プラズマ種)は、処理される基板を有する反応空間との流体伝搬(または流体的な結合)におけるプラズマ発生器にて形成され得る。他の実施形態において、エネルギーは熱い(または加熱した)表面または金網に対するガス種の露出によって適用され、加熱した表面または金網とのガスの相互作用がガスの励起(または活性)種を生成する。
【0024】
本願明細書において使われる用語「窒素含有種」は窒素ラジカル、窒素イオンおよび窒素の励起(または活性)中性種を含むが、これらに限定されない。一実施形態において、窒素含有種のガス状ソースとしては、N、NHおよび/またはヒドラジンを含むが、これらに限定されない。他の実施形態において、窒素含有種のガス状ソースは、NとHガスとの混合物を含み得る。他の実施形態において、励起窒素含有種は、遠隔プラズマ発生または直接プラズマ発生を経て提供され得る。他の実施形態において、励起窒素含有種は、高温面または金網への露出による窒素含有種の熱分離によって提供され得る。NとHガスとの混合物に対する結合エネルギーは励起NH分子を生成し、「x」は1以上の数である。
【0025】
本願明細書において使われる用語「水素含有種」は水素ラジカル、水素イオンおよび水素(H)の励起(または活性)中性種を含むが、これらに限定されない。一実施形態において、水素含有種はHを含む。他の実施形態において、水素含有種のガス状ソースは、H、NHおよび/またはヒドラジンを含むが、これらに限定されない。他の実施形態において、水素含有種のガス状ソースは、HとNガスとの混合物を含み得る。他の実施形態において、励起水素含有種は、遠隔プラズマ発生または直接プラズマ発生を経て提供され得る。他の実施形態において、励起水素含有種は、高温面または金網への露出による水素含有種の熱分離によって提供され得る。励起水素含有種がHのような中性水素含有種を含み得ることは言うまでもない。
【0026】
本願明細書において使われる用語「吸着」は、基板表面または基板を覆う膜または薄膜の表面のような表面上への原子或いは分子の化学的または物理的付着を意味する。
【0027】
本願明細書において使われる用語「基板」は、膜または薄膜形成が要望されるどの部材をも意味する。基板には、ケイ素、シリカ、サファイヤ、酸化亜鉛、SiC、AlN、GaN、尖晶石、被覆ケイ素、酸化物上のケイ素、酸化物上の炭化ケイ素、ガラス、窒化ガリウム、窒化インジウムおよび窒化アルミニウムおよびこれらの組み合わせ(または合金)が含まれるが、これらに限定されない。
【0028】
本願明細書において使われる用語「表面」は、反応空間(または環境)と基板の特徴との間の境界を意味する。
【0029】
本願明細書において使われる用語「単層」は、原子または分子の単一層を意味する。一実施形態において、単層は一原子層の厚さを有する単原子単層(ML)を含む。他の実施形態において、単層は表面上の特定種の最大適用範囲を含む。このような場合、表面吸着種の全ての個々のメンバーには、下部の基板、薄膜または膜の表面との直接の物理的接触があり得る。本願明細書において使われる用語「準単分子層適用範囲」は1つの単原子単層未満の適用範囲での特定種の層を意味する。一実施形態において、準単分子層適用範囲での特定種の層は、前記種または他の種の付加吸着を受容し得る。他の実施形態において、準単分子層適用範囲は、「予湿法」適用範囲と称してもよい。たとえば、ガリウム(Ga)、インジウム(In)またはアルミニウム(Al)のような第III族金属の層は、表面上に約0.5MLの適用範囲を集合的に有するGa、InまたはAl原子を含み得るが、表面へのGa、InまたはAl原子の最大集合適用範囲に関して提供され得る。一実施形態において、表面上の種の最大適用範囲は表面上の吸着種間の吸引的ならびに反発的な相互作用によって決定される。他の実施形態において、1つの単層の適用範囲での種の層は、前記層における前記種の付加吸着を受容できない。他の実施形態において、1つの単層の適用範囲での特定種の層は、前記層の他の種の吸着を受容できる。
【0030】
本願明細書において使われる用語「露出」は圧力(P)と時間(t)との積(すなわちP×t)を意味し、「P」および「t」はそれぞれパスカルおよび秒を単位にして提供される。たとえば、60秒の期間に1×10−6トルの圧力で、第III族金属先駆体に露出される基板は1×10−6トル×60秒、または60×10−6トル秒、 または60ラングミュア(L)の露出(または投与)で第III族金属先駆体と接触する。
【0031】
本願明細書において使われる用語「先駆体」は基板表面上への析出用の注目種を有する液体又は気相化学物質を意味する。第III族金属先駆体は、第III族金属原子の1つ以上の(例えば1つ以上のGa、InおよびAl)を含む化学物質を含み得る。第V族先駆体は、第V族原子の1つ以上(例えば1つ以上の窒素、ヒ素および亜リン酸)を含む化学物質を含み得る。基板表面と第III族先駆体または第V族先駆体との間の相互作用が起こると、第III族先駆体または第V族先駆体は解離して第III族化学物質(または第III族原子の吸着原子)または第V族化学物質(または第V族原子の吸着原子)を基板表面上に生ぜしめる。
第III‐V族薄膜生成のための方法
【0032】
本発明の一態様において、第III‐V族薄膜を形成する方法は、第1反応空間内に基板を提供することと、第1反応空間内の基板を第III族金属先駆体(本願明細書において「第III族先駆体」とも記す)と接触させて第III族金属薄膜を形成することと、基板を第2反応空間へ移動することと、第2反応空間内の基板を第V族先駆体と接触させて第III‐V族薄膜を形成することとを含む。一実施形態において、第1反応空間内の基板を第III族先駆体と接触させることにより、準単分子層適用範囲にて第III族金属薄膜を形成する。
【0033】
幾つかの実施形態において、基板を第V族先駆体と接触させるに先立ち、基板上の第III族金属薄膜を含む基板は、水素含有種と接触させられる。一実施形態において、水素含有種はHを含む。他の実施形態において、水素含有種は水素カチオン、水素アニオンおよび水素ラジカルの1つ以上を含む水素の励起種を含む。一実施形態において、水素の励起種は、遠隔プラズマ発生または直接プラズマ発生を経て提供される。他の実施形態において、水素の励起種は、高温面または金網へのHガスの露出による水素分子の熱分離によって提供される。
【0034】
一実施形態において、基板は第1反応空間内の水素含有種と接触できる。このような場合に、第1反応空間は基板を水素含有種と接触させるに先立ち、一掃および/またはポンプ送出の補助により、減圧され得る。
【0035】
一実施形態において、第2反応空間内の基板を第V族先駆体と接触させるに先立ち、基板を第3反応空間へ移動して、第3反応空間内の水素含有種と接触させる。第3反応空間は、第1および第2反応空間の間に配置されてもよい。他の実施形態において、第III族金属薄膜を水素の励起種と接触させることにより、多層第III族島を単原子高さ(または厚さ)の島に低減できる。
【0036】
実施形態において、第2反応空間に続いて、基板は第1反応空間へ移動する。他の実施形態において、第2反応空間に続いて、基板は第3反応空間へ移動する。一実施形態において、第3反応空間内で基板は第III族金属先駆体と接触する。他の実施形態において、第3反応空間内の基板は第1反応空間内の基板に露出された第III族金属先駆体とは異なる別の第III族金属先駆体と接触する。他の実施形態において、第3反応空間に続いて、基板は1つ以上の付加反応空間へ移動し、第III族金属先駆体および第V族先駆体への別の分離露出を受ける。他の実施形態において、第III族または第V族先駆体に対する中間露出にて、基板は水素含有種のような他の種に露出でき、膜化学量論の維持および薄膜汚染の低減を補助できる。
【0037】
幾つかの実施形態において、第III−V族薄膜を基板上に形成した後に、基板上の第III−V族薄膜を含む基板は水素含有種と接触する。他の実施形態において、基板は第2反応空間内の水素含有種と接触する。このような場合に、第2反応空間は基板を水素含有種と接触させるに先立ち、一掃および/またはポンプ送出の補助により、減圧され得る。他の実施形態において、基板は第3反応空間へ移動して、第3反応空間内の水素含有種と接触する。第3反応空間は、第1および第2反応空間の間に配置されてもよい。一実施形態において、第3反応空間は第1および第2反応空間から異なっている。
【0038】
本発明の実施形態の方法は、窒素およびアルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)およびインジウム(In)の1つ以上を含む薄膜のような第III‐V族薄膜を形成するために用いてもよい。一実施形態において、GaN薄膜を形成する方法が提供される。他の実施形態において、AlN薄膜を形成する方法が提供される。他の実施形態において、InN薄膜を形成する方法が提供される。他の実施形態において、AlGaN薄膜を形成する方法が提供される。他の実施形態において、AlInN薄膜を形成する方法が提供される。
他の実施形態において、GaInN薄膜を形成する方法が提供される。他の実施形態において、InGaAlN薄膜を形成する方法が提供される。
【0039】
一実施形態において、第1反応空間内で基板は単一の第III族金属先駆体と接触する。
他の実施形態において、第1反応空間内で基板は、1つ以上のAl、GaおよびIn含有先駆体のような多発性第III族金属先駆体と接触する。他の実施形態において、基板は分離した反応空間内の異なる第III族金属先駆体と接触する。一実施形態において、基板は第III族金属先駆体への露出間に第V族先駆体と接触する。
【0040】
一実施形態において、第1反応空間は第2反応空間から異なっている。他の実施形態において、第1反応空間は第2反応空間から流体的に分離している。他の実施形態において、第1反応空間および第2反応空間は、分離した圧力制御環境である。他の実施形態において、第1反応空間からのガスは第2反応空間へ入ることを防止され、第2反応空間からのガスは第1反応空間へ入ることを防止される。
【0041】
一実施形態において、第III‐V族薄膜は約1ナノメータ(「nm」)〜100マイクロメータ、または1nm〜10マイクロメータ、または10nm〜1000nmまたは20nm〜500nmの厚さを有し得る。他の実施形態において、第III−V族薄膜は約100マイクロメータ未満、または約10マイクロメータ未満、または約1000nm未満、または約500nm未満または約100nm未満の厚さを有し得る。他の実施形態において、第III‐V族薄膜は少なくとも約10nm/時間、または少なくとも約100nm/時間、または少なくとも約1000nm/時間または少なくとも約5000nm/時間の成長速度で形成され得る。他の実施形態において、第III‐V族薄膜は約5000nm/時間未満、または約1000nm/時間未満、または約500nm/時間未満、または約400nm/時間未満、または約300nm/時間未満、または約200nm/時間未満、または約100nm/時間未満の成長速度で形成され得る。
【0042】
図1に関して、本発明の実施形態に従って、第III‐V族薄膜を形成する方法が例示されている。第一ステップ105において、第1反応空間に配置されている基板については、前記基板は第III族金属先駆体(例えばトリメチルガリウム)と接触し、基板上に第III族金属薄膜を形成する。基板は、基板を第1反応空間へ移動する(例えば、基板を有するサセプタを移動するかまたは回転させて)かまたは第1反応空間を基板へ移動する(例えば、第1反応空間を回転させて)ことによって第1反応空間に配置してもよい。
一実施形態において、前記基板は準単分子層適用範囲にて第III族金属薄膜を形成するために必要な時間内で接触する。他の実施形態において、第1反応空間の基板を第III族金属先駆体と接触させることにより、約1単層(ML)未満、または0.95ML未満、または0.9ML未満、または0.85ML未満、または0.8ML未満、または0.75ML未満、または0.7ML未満、または0.65ML未満、または0.6ML未満、0.55ML未満、または0.5ML未満、または0.45ML未満、または0.40ML未満、または0.35ML未満、または0.30ML未満、または0.25ML未満、または0.15ML未満、または0.10ML未満、または0.05ML未満の厚さを有する第III族金属層を形成する。他の実施形態において、第1反応空間内の基板を第III族先駆体と接触させることにより、約0.05ML、または0.1ML、または0.15ML、または0.2ML、または0.25ML、または0.3ML、または0.35ML、または0.4ML、または0.45ML、または0.5ML、または0.55ML、または0.6ML、または0.65ML、または0.7ML、または0.75ML、または0.8ML、または0.85ML、または0.90ML、または0.95ML、または1MLに及ぶ厚さを有する第III族金属層を形成する。他の実施形態において、第1反応空間の基板を第III族金属先駆体と接触させることにより、準単分子層適用範囲にて第III族金属層を形成する。
【0043】
一実施形態において、第III族金属先駆体の露出は、予め定められた適用範囲にて第III族金属薄膜の提供のために選択され得る。適用範囲はX線光電子分光(XPS)のような様々な分光学用具(下記参照)によって評定できる。第III族金属薄膜の予め定められた適用範囲を達成する際に、試行錯誤アプローチが予め定められた適用範囲に相当する第III族金属先駆体の露出を見出すために用い得ることが理解される。たとえば、1つのシステムにおいて、0.3ML適用範囲にて第III族金属薄膜適用範囲を達成することは基板(本願明細書においてターゲットとも記す)の約1Lでの第III族金属先駆体に対する露出を必要とする。
【0044】
次に、ステップ110において、前記基板は第2反応空間に配置される。幾つかの実施形態において、基板は第2反応空間へ移動し得る。他の実施形態において、第2反応空間は基板へ移動(例えば、回転)し得る。一実施形態において、第2反応空間に対する基板の移動は、第1反応空間から第2反応空間へサセプタを回転させることを含む。
【0045】
次に、ステップ115において、第2反応空間内の基板については、基板は基板上の第III族金属薄膜を含み、第V族先駆体と接触して第III−V族含有薄膜を形成する。一実施形態において、第III−V族含有薄膜は第III−V族種を含む。他の実施形態において、基板を第V族先駆体と接触させるに先立ち、基板は水素含有種(例えばH、水素の励起種)と接触できる。基板は、第1反応空間、第2反応空間または第3反応空間内の水素含有種と接触できる。一実施形態において、基板を水素含有種と接触させるに先立ち、基板を有する反応空間は、一掃および/またはポンプ送出の補助により、減圧され得る。
【0046】
一実施形態において、第V族先駆体は窒素含有種を含む。他の実施形態において、第V族先駆体は窒素のプラズマ励起種を含む。他の実施形態において、第V族先駆体は窒素の活性中性種を含む。他の実施形態において、第V族先駆体は窒素の活性中性種を含み、分子状窒素(AΣ)の最低励起状態を有する窒素種を含む。一実施形態において、前記基板は準単分子層適用範囲にて第III−V族金属薄膜を形成するために必要な時間内で接触する。他の実施形態において、第2反応空間の基板を第V族先駆体と接触させることにより、約1ML未満、または0.95ML未満、または0.9ML未満、または0.85ML未満、または0.8ML未満、または0.75ML未満、または0.7ML未満、または0.65ML未満、または0.6ML未満、または0.55ML未満、または0.5ML未満、または0.45ML未満、または0.40ML未満、または0.35ML未満、または0.30ML未満、または0.25ML未満、または0.15ML未満、または0.10ML未満、または0.05ML未満の厚さを有する第III−V族薄膜を形成する。他の実施形態において、第2反応空間内の基板を第V族先駆体と接触させることにより、約0.05ML、または0.1ML、または0.15ML、または0.2ML、または0.25ML、または0.3ML、または0.35ML、または0.4ML、または0.45ML、または0.5ML、または0.55ML、または0.6ML、または0.65ML、または0.7ML、または0.75ML、または0.8ML、または0.85ML、または0.90ML、または0.95ML、または1MLに及ぶ厚さを有する第III−V族薄膜を形成する。他の実施形態において、第2反応空間内の基板を第V族先駆体と接触させることにより、準単分子層適用範囲にて第III−V族薄膜を形成する。
【0047】
幾つかの実施形態において、窒素のプラズマ励起種は、エネルギーをNとHガスとの混合物、NH、NとNHとの混合物、ヒドラジン(N)および/またはNとNとの混合物に提供することによって形成される窒素および水素含有種を含み得る。一実施形態において、窒素のプラズマ励起種はNHを含み、「x」は1以上の数である。たとえば、窒素のプラズマ励起種は、NH、NHおよびNH、例えばNH、NH、NHの如きこのような種のイオンおよびラジカルの1つ以上を含み得る。他の実施形態において、窒素のプラズマ励起種は、約0.5:1、または1:1、または2:1、または3:1、または4:1、または5:1のNとHとの流量比を有するNとHガスとの混合物に、エネルギーを誘導的に結合することによって形成される。他の実施形態において、窒素のプラズマ励起種は、NおよびHの全体流量の約1/3(または0.333)であるH流量を有するNとHガスとの混合物にエネルギーを誘導的に結合することによって形成される。
【0048】
実施形態において、前記基板は、予め定められた厚さの第III−V族含有薄膜が基板上に形成されるまで、第III族および第V族先駆体と接触される。
【0049】
引き続き図1を参照して、ステップ120において、基板は第1反応空間または第3反応空間へ移動される。一実施形態において、基板は第1反応空間へ移動して、第III族金属先駆体と接触する。他の実施形態において、基板は、第1および第2反応空間から異なった第3反応空間へ移動する。第3反応空間において、基板は第III族金属先駆体、第V族先駆体または他の種と接触し得る。たとえば、基板は気相化学物質と接触し得て、基板上に形成される第III‐V族薄膜から、汚染物(例えば炭素)の除去を補助する。
【0050】
一実施形態において、予め定められた厚さおよび組成の薄膜が形成されるまで、基板は逐次的反応空間(下記参照)へ移動する。
【0051】
一実施形態において、上述の通りに、基板は第1反応空間へ移動してステップ105〜120を繰り返し得る。
【0052】
一実施形態において、第2反応空間の後、基板は基板上に形成される薄膜の物理学的特性(例えば伝導率、厚さ、長期の周期性、組成)および/または品質を評定する際の手助けとなる1つ以上の薄膜分光学手段のような1つ以上の薄膜診断手段を含む1つ以上の環境へ移動し得る。分光学手段は、反射−吸収赤外分光(RAIRS)、低エネルギー電子線回折法(LEED)分光、X線光電子分光(XPS)、オージェ電子分光(AES)走査プローブ顕微鏡(STM、AFM)、X線吸収微細構造(NEXAFS)、分光反射率および伝達、単一波長反射率および伝達、光学高温計(単一波長、二重波長またはスペクトル放射線分析使用)、エミッソメトリ、エリプソメトリ、表面光散乱および光学旋光分析を含み得る。
第III‐V族薄膜形成のシステム
【0053】
本発明の別の態様において、第III‐V族薄膜をターゲットに配置するための装置が提供されている。前記装置は第1反応空間および第2反応空間を含み、第1反応空間は流体的に第2反応空間から分離されている。装置は、ターゲット(または基板)を各第1および第2反応空間のそれぞれと接触させるためのサセプタまたは基板保持器を更に含む。一実施形態において、前記装置は第1露出にて第III族先駆体を第1反応空間へ導き、第2露出にて第V族先駆体を第2反応空間へ導くための制御器(例えば、図2参照)を含む。他の実施形態において、第1露出は準単分子層(または予湿法)適用範囲にて第III族金属層を提供する。
【0054】
実施形態において、二成分半導体薄膜の析出のための最高水準技術を伴う多くの実用的課題は環境(または反応空間)を分離することによって緩和でき、第III族金属原子は環境から基板上へ析出し、これらの吸着した金属原子は第V族含有先駆体ガスに露出されて第III‐V族薄膜または化合物を形成する。一実施形態において、基板は析出反応空間(または環境)の間で移動し、予め定められた厚さの膜を周期的に析出させる。図2は連結した逐次処理環境システムの一例であり、この目的のために建造し得る。
【0055】
一実施形態において、個々の反応空間の流量および圧力制御の理由で第III族および第V族先駆体ガスは同一反応容積内に有意量は存在しないので、この技術は第III族および第V族含有先駆体ガス間の気相反応を緩和できる。更に分離した環境を維持することにより、表面に第III族吸着原子を送達する環境、および第V族先駆体の送達が所望のIII−V化合物を形成する表面反応のために最適化される分離した環境(または反応空間)を最適化する。InGaAlN薄膜の場合、第III族金属送達は、他の方法においてトリメチルガリウムトリエチルガリウム、塩化ジエチルガリウムおよび有機的水素化ガリウム化合物等、水素化ジメチルガリウム等; 第III族材料の熱蒸発;または、ガス上第III族塩化物または第III族水素化物のような金属有機先駆体(ここではガリウムの場合、同様に他の第III族金属の場合が記載されている)の使用のために最適化され得る。一実施形態において、InGaAlN薄膜の場合、窒化硬化法環境は活性窒素をウェファ表面に送達するための窒素含有種のプラズマ励起または熱分離を含む様々な方法のために最適化され得る。
【0056】
第III族および第V族要素のための分離した析出環境は、各独立環境の両立し難い工程を可能にできる。たとえば、異なるガス流およびポンプの排気速度は、第III族および第V族環境において使用し得る。その上、反応性の第V族種の生成に役立つが、第III族先駆体の送達に有害なメカニズムたとえば、プラズマ励起を経たイオン化および分離は、第V族反応環境における第III族先駆体の欠如のために、強制なしで使われ得る。
【0057】
ガスの様々な分子励起状態は、光学発光分光法の使用によって特徴づけられる。例えば、R. W. B. PearseおよびA. G. Gaydon著、分子スペクトルの識別、Chapman and Hall、1976を参照のこと、本書は完全に本願明細書に引用したものとする。光発光は、より高いエネルギー励起状態から低いエネルギー状態への移行の結果である。N分子にとって、ほぼ600ナノメータ(nm)〜800nmの領域の移行の群は(N輝線の「第1正系列」と称する)ほぼ6電子ボルト(eV)の最小限の励起エネルギーを有する状態の帯域において、ここで終端する移行から生じる。これは、中性N分子励起状態の最低内部エネルギーである。Nガスの誘導結合プラズマ励起からの光発光スペクトルは、図4に示されている。これらの放出特性は、この個体群の励起N分子の大多数がほぼ6eVの内部エネルギーを有することを示す。一実施形態において、Nガスのこの励起は、InGaAlN薄膜析出のために使われる。
【0058】
分離した第III族および第V族析出環境のため、第III族金属吸着原子は即座には第V族原子と反応されない。技術は吸着金属原子の表面移動度の増加に帰結し、高度に有機化された低エネルギー部位で生成される成長表面への添加を行うことによる結晶品質の改良を促進する。一般技術は、成長が原子ステップ縁で起こる二次元成長を促進する。たとえば、D. Sugihara他著「2.6 μm/hr High−Speed Growth of GaN by RF−Molecular Beam Epitaxy and Improvement of Crystal Quality by Migration Enhanced Epitaxy,」Phys. Stat. Sol. (a) 176, 323 (1999)参照、本書は完全に本願明細書に引用したものとする。一実施形態において、この技術は、二次元の島(すなわち一原子層の厚さを有する島)の成長を促進できる。他の実施形態において、この技術は、3次元の島(すなわち複数の原子層の厚さを有する島)の成長を促進できる。
【0059】
本発明の実施形態の方法は、最高水準の技術であり、金属吸着原子の増加する表面移動から生じる改良された結晶品質によるMOCVDにおいて代表的な温度より低い基板温度の使用を可能にすることができる。例えば、D. Sugihara他は代表的MOCVDでのほぼ1050℃と比較して、GaN成長での750℃を報告している。最高水準の技術と関連する低減処理温度は、より廉価な基板および簡略化反応炉設計の使用を可能にする。
【0060】
第III族および第V族析出環境の分離は、基板表面が一部の析出サイクルで第III族原子の過剰を有する状況を必然的に創る。第III族金属、特にGaおよびInは、第III族要素が所望のIII−V族化合物を形成するために必要な第V族要素の化学量論的量を超えるときに、液滴を基板表面上に形成できる。たとえば、D. Sugihara他、および、S. H. Cho 他著、「Epitaxial Growth of GaN on Sapphire (0001)Substrates by Electron Cyclotron Resonance Molecular Beam Epitaxy」Jpn. J. Appl. Phys. 34, L236 (1995)を参照、本書は完全に本願明細書に引用したものとする。処理の間に溶解せず、膜のままである第III族金属液滴は、光電子工学的材料特性を損ない、デバイス製造と両立し難い。
【0061】
各周期の間に第III族金属の準単分子層適用範囲を析出させることによって、本発明の実施形態の方法は第III族金属液滴形成を、消去せずとも、緩和することを可能にできる。この適用範囲にて、第III族金属厚さは湿潤層の厚さ未満でもよく、金属液滴形成は抑制される。その上、金属吸着原子の準単分子層適用範囲は吸着原子間の相互作用の数を減らし、それらの自己散乱を減らして、吸着原子表面移動度を増やす。
【0062】
実施形態において、水素含有種は、基板上の第III‐V族薄膜形成の間に使用できる。水素含有種は、第III族および第V族反応環境から分離した環境において維持されることができて、第III族環境の後、第V族環境の後、あるいは両方共に使用できる。一実施形態において、水素含有種は、基板、反応空間内の基板上の第III族金属膜、または第III族もしくは第V族先駆体を有する反応空間と分離した第III−V族膜と接触させられる。一実施形態において、水素含有種を含む環境は第V族反応空間の後、順次に使用でき、そこで過剰な第III族原子または液滴は第III族水素化物(例えばGaH)に変換される。第III族水素化物は揮発性であってもよく、液滴は各周期毎に前記表面から除去される。これによって、成長表面は各析出周期の開始時に正規組成とされる。他の実施形態において、水素含有種を含む環境は第III族反応空間の後、順次に使用でき、水素の励起種は多層第III族島を単原子高さ(または厚さ)の島に低減できる。
【0063】
一実施形態において、膜を水素含有種に露出する付加的な利点は、水素の活性種が金属有機先駆体に存在するアルキル基からの残差汚染による炭素原子および/または炭化水素基を除去(またはゲッタ)することである。例えば、Bornscheuer他著、「Production of Atomic Hydrogen and its Use for the Growth of GaN with Low Carbon Level」Phys. Stat. Sol. (a) 159, 133 (1997),およびKim他著「Effect of Hydrogen on GaN Growth by Remote Plasma−Enhanced Metal−Organic Chemical Vapor Deposition」 Phys. Stat. Sol. (a) 176, 337 (1999)を参照, これらは完全に本願明細書に引用したものとする。他の実施形態において、プラズマ励起水素含有種は、炭素、イオウおよび酸素から選択される1つ以上の不純物種を除去するために用いてもよい。これは、基板または基板上の薄膜の更なる汚染を、除去せずとも都合よく縮減し得る。
【0064】
実施形態において、薄膜特性がその位置で測定されることができる所では、付加的環境は維持できる。この環境において、析出は起こらず、光学的表示域、レンズシステム、分光法および他のポートは安定している必要があり、正確な測定は維持できる。この環境において実行されてもよい測定は、反射−吸収赤外分光(RAIRS)、低エネルギー電子線回折法(LEED)分光、X線光電子分光(XPS)、オージェ電子分光(AES)走査プローブ顕微鏡(STM、AFM)、X線吸収微細構造(NEXAFS)、分光反射率および伝達、単一波長反射率および伝達、光学高温計(単一波長、二重波長またはスペクトル放射線分析使用)、エミッソメトリ、エリプソメトリ、表面光散乱および光学旋光分析を含み得る。本願明細書において提供される手段(例えば分光計)を用いた測定により集められる膜データは、厚さ、誘電率、伝導率(または比抵抗)、光減衰定数、温度および放射率を含み得る。このようなデータはリアルタイム閉ループ制御システムにおいて使われ、析出環境の態様は指定された許容度の範囲内で測定されたパラメータを維持する。この配置は、薄膜特性最適化、デバイス特性最適化、薄膜蒸着パラメータ最適化(例えば反応空間圧力、析出温度、流量の最適化)、ラン・ツー・ラン反復率、システム・ツー・システム反復率および整合を提供することができて、製造された商品の歩留まりを改善した。
【0065】
図3は分離された処理環境を経た1つ以上の基板の環式操作のための回転式システムで可能な様々な配置の簡便化表現の幾つかの例を表し、環境は記載されているもののいずれでもよい。
【0066】
要約すると、第III−V族化合物を形成する第III族および第V族析出環境の分離、および、これらの分離された環境による基板の環式操作は、金属液滴の形成が1周期毎の金属吸着原子の準単分子層適用範囲を使用して抑制されるところ、第III族および第V族先駆体間の有害な気相反応のない比較的低温度工程を経て形成される高品質な結晶性の第III−V族化合物に帰結される。必要に応じて、励起水素含有種に対する露出は、金属液滴形成および/または炭素汚染低減を管理する際の助成に対する分離した環境においてなされる。必要に応じて、その場での薄膜測定は、最適の安定性のために維持される分離した環境および測定の反復率においてなされ、そして、これらの測定からのデータは、析出および水素環境のリアルタイム閉ループ制御のために使われる。
【0067】
本発明の実施形態において、制御器およびシステムは第III−V族薄膜形成を制御し、規制するために提供される。一実施形態において、制御システムは、例えば、基板および/または基板ホルダ(またはサセプタ)温度、反応炉圧力、反応空間圧力、反応チャンバ圧力、プラズマ発生器圧力、プラズマ発生器へのガス(例えば、N)の流量、反応空間へのガス(例えば、金属有機種)流量、基板を1つの反応空間から他の反応空間へ移動する速度、基板が薄膜形成の間に回転する割合、プラズマ発生器への電力(例えば、直流または高周波電力)、反応チャンバとの流体伝搬の真空システムのような様々な工程パラメータを制御するために提供される。真空システムは、機械的ポンプのような裏付けポンプに加えて、例えばターボ分子(「ターボ」)ポンプ、クライオポンプ、イオンポンプおよび拡散ポンプの1つ以上のような、反応チャンバに減圧を提供するために構成される様々なポンプを含み得る。
第III‐V族薄膜
【0068】
本発明の別の態様において、第III‐V族薄膜が提供される。第III‐V族薄膜は、本願明細書において提供される方法によって形成される。第III‐V族薄膜は、窒化ガリウム、インジウム・ガリウム窒化物、窒化アルミニウム、窒化インジウム、アルミニウム・ガリウム窒化物、インジウム・ガリウム・アルミニウム窒化物またはこれらの組み合わせから選択される1つ以上の材料を含み得る。
【0069】
図5を参照して、構造(またはデバイス)は、本発明の実施形態に従って、基板510上に形成される第III−V族薄膜505を有して図示されている。薄膜505は本願明細書において提供され、図1文脈において議論されるどの方法によっても形成され得る。加えて、薄膜505は図2の装置または図3のシステムのような、本願明細書において提供されるどのデバイス、装置またはシステムをも使用して形成される。基板510は、ケイ素、シリカ、サファイヤ、酸化亜鉛、SiC、AlN、GaN、尖晶石、被覆ケイ素、酸化物上のケイ素、酸化物上の炭化ケイ素、ガラス、窒化ガリウム、窒化インジウムおよびアルミニウム窒化物およびこれらの組み合わせ(または合金)から選択され得る。基板510は、化学的に不純物を添加した基板(例えば、不純物を添加したn型またはp型)または固有の基板であってもよい。
【0070】
図5のデバイスは、様々な応用に適していてもよい。たとえば、図5の薄膜505は、光起電力太陽電池のような電子デバイスにおいて採用できる。第III‐V族薄膜505は、発光ダイオード(LED)(例えば、GaN系バイオレット・レーザダイオード);金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)および金属半導体電界効果トランジスタ(MESFET)デバイスを含む電界効果トランジスタ(FET)を含む光電子工学応用;および高電子移動度トランジスタ(HEMT)を含むトランジスタのような様々な半導体応用またはデバイスにおいて使われる。第III‐V族薄膜505および基板510の組成および厚さは、デバイス応用に従って選択される。
【0071】
幾つかの実施形態において、本願明細書において提供される方法によって形成される第III‐V族薄膜は、約10転位/cmに及び、または約10転位/cmに及び、または約10転位/cmに及び、または約1010転位/cmに及ぶ欠陥(例えば、不整合転位(例えばスレッディング および/または刃状転位))密度を有し得る。幾つかの実施形態において、第III‐V族薄膜の欠陥密度は、約10転位/cm〜1010転位/cmの間にあってもよい。
【0072】
幾つかの実施形態において、本願明細書において提供される方法によって形成される第III‐V族薄膜(例えばGaN薄膜)は、約0.5ナノメータ(「nm」)以下、または約1.0nm以下、または約1.5nm以下、または約2nm以下、または約2.5nm以下、または約3nm以下、または約3.5nm以下、または約4nm以下、または約4.5nm以下、または約5nm以下、または約5.5nm以下、または約6nm以下、または約7nm以下、または約8nm以下、または約9nm以下、または約10nm以下の原子間力顕微鏡(AFM)で測定される高低差の実効値を有し得る。
【0073】
本願明細書において提供される方法によって形成される第III‐V族薄膜の結晶特性は(0002)または(1012)X線反射のオメガ走査半最大値における全値幅のようなX線回折計測によって探査される。幾つかの実施形態において、本願明細書において提供される方法によって形成される第III‐V族薄膜の(0002)または(1012)結晶学的反射の半最大値における全値幅は、約100秒角以下、または約200秒角以下、または約300秒角以下、または約400秒角以下、または約500秒角以下、または約600秒角以下であり得る。
【0074】
幾つかの実施形態において、インジウム含有第III‐V族薄膜は部分的インジウム濃度In(1−x)N(「InZN))を有し、「x」は零より大で1未満の数であり、「N」は窒素であり、そして、「Z」は第III族種である。幾つかの実施形態において、「x」は、約0.99に及び、または約0.9に及び、または約0.8に及び、または約0.7に及び、または約0.6に及び、または約0.5に及び、または約0.4に及び、または約0.3に及び、または約0.2に及び、または約0.1に及ぶ。幾つかの実施形態において、InZN薄膜は、発光ダイオード(LED)ヘテロ構造デバイスの1つ以上の層を含み得る。幾つかの実施形態において、InZN薄膜は、量子井戸ヘテロ構造デバイスの1つ以上の層を含み得る。幾つかの実施形態において、InZN薄膜は、多重量子井戸ヘテロ構造デバイスの1つ以上の層を含み得る。
【0075】
幾つかの実施形態において、本願明細書において提供される方法によって形成されるInGaN薄膜は部分的インジウム濃度InxGa(1−x)Nを有し、「x」は零より大で1未満の数である。幾つかの実施形態において、「x」は、約0.99に及び、または約0.9に及び、または約0.8に及び、または約0.7に及び、または約0.6に及び、または約0.5に及び、または約0.4に及び、または約0.3に及び、または約0.2に及び、または約0.1に及ぶ。幾つかの実施形態において、InGaN薄膜は、発光ダイオード(LED)ヘテロ構造デバイスの1つ以上の層を含み得る。幾つかの実施形態において、InGaN薄膜は、量子井戸ヘテロ構造デバイスの1つ以上の層を含み得る。幾つかの実施形態において、InGaN薄膜は、多重量子井戸ヘテロ構造デバイスの1つ以上の層を含み得る。
実施例
【0076】
図2のシステムのようなシステムは、円周に沿ってお互いに隣接して配置されている4つの反応空間を含む。約700℃の温度に加熱された基板は第1反応空間において提供され、約0.5トルの圧力にてトリメチルガリウムと接触した。トリメチルガリウムの第1露出は、約0.5MLの適用範囲で、ガリウム薄膜を形成するのに十分である。次に、約700℃の温度に加熱された基板は第2反応空間へ回転させられ、水素ラジカルおよびイオンを含む励起水素含有種と約0.5トルの圧力で接触した。Hに約500ワットのプラズマ電力を提供することによって励起水素含有種が形成される。次に、約700℃の温度に加熱された基板は第3反応空間に回転させられて、約0.5トルの圧力で、NおよびHの混合物と接触した。前記混合物に約500ワットのプラズマ電力を提供することによってNおよびHの励起種が生成される。プラズマ電力は、分子状窒素(AΣ)の最低励起状態を有する窒素の活性中性種を生成するのに十分である。次に、約700℃の温度に加熱された基板は第4反応空間に回転させられ、水素ラジカルおよびイオンを含む励起水素含有種と約0.5トルの圧力で接触した。次に、基板は第1反応空間に回転させられ、上記のステップは、全体で、約4000ナノメータ(「nm」)の厚さを有する第III‐V族薄膜を提供するために繰り返される。
【0077】
本発明の実施形態の方法およびシステムは、他のシステム及び方法と組み合わされ、または他のシステム及び方法により設計変更できる。たとえば、本発明の実施形態の方法とシステムは、米国特許第6,305,314号、米国特許第6,451,695号、米国特許第6,015,590号、米国特許第5,366,555号、米国特許第5,916,365号、米国特許第6,342,277号、米国特許第6,197,683号、米国特許第7,192,849号、米国特許第7,537,950号、米国特許第7,326,963号、米国特許第7,491,626号、米国特許第6,756,318号、米国特許第6,001,173号、米国特許第6,856,005号、米国特許第6,869,641号、米国特許第7,348,606号、米国特許第6,878,593号、米国特許第6,764,888号、米国特許第6,690,042号、米国特許第4,616,248号、米国特許第4,614,961号、米国特許公開番号2006/0021574号、米国特許公開番号2007/0141258号、米国特許公開番号2007/0186853号、米国特許公開番号2007/0215036号、米国特許公開番号2007/0218701号、米国特許公開番号2008/0173735号、米国特許公開番号2009/0090984号、米国特許公開番号2010/0210067号、特許協力条約(「PCT」)公開番号WO/2003/041141号、PCT公開番号WO/2006/034540号およびPCT公開番号WO/2010/091470号、および、PCT公開番号WO/2010/092482号に記載された方法およびシステムと組み合わされ、またはこれらのシステム及び方法により設計変更でき、これらは完全に本願明細書に引用したものとする。
【0078】
特定の実施が例示され、記載されているものの、様々な設計変更が可能であり、本願明細書において熟慮されることが上述の記載から理解されるべきである。本発明が明細書内で提供される具体例によって限定されることも意図されていない。本発明は上述した仕様に関して記載されるものの、本発明の実施形態の記述および図解は本願明細書において限定的に解釈されるものではない。さらに、本発明の全ての態様が、様々な条件および変数に依存し、本願明細書において記載される特異的な描写、構成または相対的比率に限定されないことが理解されるものとする。本発明の実施形態の形式および細目の様々な設計変更は、当業者にとって明白である。したがって、本発明がどの種類の設計変更、変形および均等物を保護することもまた熟慮されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第III−V族薄膜を形成する方法であって、
第1反応空間内の基板を準単分子層適用範囲にて第III族先駆体と接触させて第III族金属薄膜を形成し;そして、
第2反応空間内の基板を第V族先駆体と接触させて第III−V族薄膜を形成することを含む、方法。
【請求項2】
前記第1反応空間が前記第2反応空間から流体的に分離されている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記基板を第III族先駆体と接触させることにより、基板上に第III族金属の非自己限定層を形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第V族先駆体が窒素含有種を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記窒素含有種が窒素の活性中性種を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記窒素の活性中性種が、分子状窒素(AΣ)の最低励起状態を有する窒素種である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記窒素含有種がNとHとの混合物を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記窒素含有種がN, NHおよび Nから選択される1つ以上の種を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記第V族先駆体が第V族含有分子のプラズマ活性化種を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第V族先駆体がプラズマ活性化窒素含有種を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第2反応空間の前記基板を第V族先駆体と接触させることが第V族先駆体および水素含有種を提供することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記第V族先駆体がN、NHおよび Nから選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第III族先駆体がガリウム含有種を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記第III族先駆体がホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)およびインジウム(In)から選択される1つ以上の種を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記第III族先駆体が金属有機種を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記第1反応空間内の前記基板を第III族先駆体と接触させることにより約1単層(ML)に及ぶ厚さを有する第III族半導体層を形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記第2反応空間内の前記基板を第V族先駆体と接触させることにより約1単層(ML)未満の厚さを有する第III−V 族薄膜を形成する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第1反応空間内の前記基板を第III族先駆体と接触させることにより約1単層(ML)未満の厚さを有する第III族金属層を形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記第2反応空間内の前記基板を第V族先駆体と接触させることにより1単層(ML)未満の厚さを有する第III−V族薄膜を形成する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第III−V族薄膜が第III族金属窒化物薄膜である、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記第III−V族薄膜が窒化ガリウム薄膜である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記第III−V族膜を形成する間に前記基板を加熱することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記第2反応空間の前記基板を第V族先駆体と接触させるに先立ち、第III族金属薄膜を第3反応空間内の水素含有種と接触させることを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記水素含有種が水素(H)および水素の励起種から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
第III−V族薄膜を第3反応空間内の水素含有種と接触させることを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記水素含有種が水素(H)および水素の励起種から選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記第III−V族薄膜が、原子間力顕微鏡(AFM)による測定で10ナノメータ(nm)以下の高低差実効値を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
前記高低差実効値が5nm以下である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記高低差実効値が2nm以下である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記第III−V族薄膜が約1010転位/cmに及ぶ欠陥密度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
前記第III−V族薄膜が約600秒角以下の(0002)または(1012)X線反射のオメガ走査半最大値における全値幅を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項32】
前記III−V族薄膜が、InGa(1−x)Nを含み、「x」は0より大きく、1未満の数である、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
「x」が約0.99に及ぶ、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
請求項1の方法によって形成される、第III−V族薄膜デバイス。
【請求項35】
請求項1の方法によって形成される第III−V族薄膜を有する発光ダイオード(LED)。
【請求項36】
請求項1の方法によって形成される第III−V族薄膜を有する光起電力太陽電池。
【請求項37】
請求項1の方法によって形成される第III−V族薄膜を有する量子井戸型ヘテロ構造デバイス。
【請求項38】
請求項1の方法によって形成される第III−V族薄膜を有する多重量子井戸型ヘテロ構造デバイス。
【請求項39】
前記第III−V族薄膜が、原子間力顕微鏡(AFM)による測定で10ナノメータ(nm)以下の高低差実効値を有する、請求項34、35、36、37または38に記載のデバイス。
【請求項40】
前記高低差実効値が5nm以下である、請求項39に記載のデバイス。
【請求項41】
前記高低差実効値が2nm以下である、請求項40に記載のデバイス。
【請求項42】
前記第III−V族薄膜が約1010転位/cmに及ぶ欠陥密度を有する、請求項34、35、36、37または38に記載のデバイス。
【請求項43】
前記第III−V族薄膜が約600秒角以下の(0002)または(1012)X線反射のオメガ走査半最大値における全値幅を有する、請求項34、35、36、37または38に記載のデバイス。
【請求項44】
基板上に第III−V族薄膜を形成する方法であって、
(a) 第1反応空間内に基板を配置すること;
(b) 第1反応空間内で基板を第1の第III族先駆体および第1の第V族先駆体のうちの1つと接触させること;
(c) 第2反応空間内に前記基板を配置すること;
(d) 第2反応空間内で基板を第1の第III族先駆体および第1の第V族先駆体のうちの他の1つと接触させること;および、
(e)予め定められた厚さの第III−V族薄膜が形成されるまでステップ(a)〜(d)を繰り返すこと、を含み、
準単分子層適用範囲にて前記基板を他の第III族先駆体と接触させ、第III族金属薄膜を形成する、方法。
【請求項45】
前記第V族先駆体が窒素含有種を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記1つ以上の第III族金属がホウ素、アルミニウム、ガリウムおよびインジウムから選択される、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
前記第III−V族薄膜が窒化ガリウム薄膜である、請求項44に記載の方法。
【請求項48】
前記第III−V族薄膜がインジウム・ガリウム窒化物薄膜である、請求項44に記載の方法。
【請求項49】
前記第III−V族薄膜が窒化アルミニウム薄膜、窒化インジウム薄膜、アルミニウム・ガリウム窒化物薄膜またはインジウム・ガリウム・アルミニウム窒化物薄膜である、請求項44に記載の方法。
【請求項50】
前記第III−V族薄膜が窒化ガリウムおよびインジウム・ガリウム窒化物のエピタキシャル層を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項51】
前記第III−V族薄膜が窒化アルミニウム、アルミニウム・ガリウム窒化物、窒化ガリウム、インジウム・ガリウム窒化物またはアルミニウム・インジウム・ガリウム窒化物のエピタキシャル層を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項52】
第3反応空間に前記基板を配置し、前記基板を第V族先駆体と接触させるに先立ち、前記第III族金属薄膜を水素含有種と接触させることを更に含む、請求項44に記載の方法。
【請求項53】
前記水素含有種が、水素(H)および水素の励起種から選択される、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
第3反応空間に前記基板を配置して前記第III−V族薄膜を水素含有種と接触させることを更に含む、請求項44に記載の方法。
【請求項55】
前記水素含有種が水素(H)および水素の励起種から選択される、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
基板上に第III−V族薄膜を形成する方法であって、
基板を第III族金属先駆体および第V族先駆体と交互におよび逐次に接触させることを含み、
前記基板は、分離した反応空間内で第III族金属先駆体および第V族先駆体と接触し、そして、
前記基板を第III族金属先駆体と接触させて準単分子層適用範囲にて第III族金属薄膜を形成する、方法。
【請求項57】
基板上に第III−V族薄膜を形成する方法であって、
基板上に第III族金属層を提供すること、前記第III族金属層は予湿法適用範囲にて1つ以上の第III族金属を有する;そして、
前記第III族金属層を第V族先駆体と接触させること、を含む方法。
【請求項58】
ターゲット上に第III−V族薄膜を配置する装置であって、
第1反応空間および第2反応空間、第1反応空間は、流体的に第2反応空間と分離し;
ターゲットを各第1および第2の反応空間と接触させているサセプタ;および、
第1露出において第III族先駆体を第1反応空間へ導き、第2露出において第V族先駆体を第2反応空間へ導くための制御器、第1露出は、準単分子層適用範囲にて前記ターゲット上へ第III族金属層を提供する、を含む、装置。
【請求項59】
前記第2露出が、準単分子層適用範囲にて第III−V族薄膜を提供する、請求項58に記載の装置。
【請求項60】
流体的に前記第1および第2反応空間から分離している第3反応空間を更に含み、前記第3反応空間は前記基板を水素含有種と接触させる、請求項58に記載の装置。
【請求項61】
流体的に前記第1、第2および第3反応空間から分離している第4反応空間を更に含み、前記第4反応空間では前記ターゲット上に形成した第III−V族薄膜の膜特性の1つ以上を測定する、請求項60に記載の装置。
【請求項62】
流体的に前記第1、第2反応空間から分離している第3反応空間を更に含み、前記第3反応空間では前記ターゲット上に形成した第III−V族薄膜の膜特性の1つ以上を測定する、請求項58に記載の装置。
【請求項63】
前記サセプタが、前記サセプタを有する平面に垂直な軸の周りを回転可能である、請求項58に記載の装置。
【請求項64】
前記サセプタが、前記サセプタを有する平面に垂直な軸に沿って上方位置および下方位置の間で移動可能である、請求項63に記載の装置。
【請求項65】
前記第1反応空間および前記第2反応空間が隔壁によって分離されている、請求項58に記載の装置。
【請求項66】
前記隔壁が前記サセプタの中心軸から放射状に延びている、請求項65に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−169622(P2012−169622A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−25794(P2012−25794)
【出願日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【出願人】(512033268)インターモレキュラー,インコーポレーテッド (1)
【Fターム(参考)】