蛇腹ゴムホースの製造方法
【課題】ゴム内管と外周側の補強層と外面ゴム層との積層構造を成す蛇腹ゴムホースを連続的に生産可能で生産性が高く、製造コストも安価でしかも補強層がその形成時点から正しく蛇腹形状を成して補強効果をホース全長に亘って均等に発揮することのできる蛇腹ゴムホースの製造方法を提供する。
【解決手段】ゴム内管18と補強層20と外面ゴム層22とが蛇腹形状をなす蛇腹ゴムホースを製造するに際して、ゴム内管18を予めインジェクション成形により加硫成形して整列機36で直列に連続的に整列させその整列状態のゴム内管18を連続的に送りながら、外周面に補強糸58を連続的に且つ蛇腹形状に沿って編組して行く。そしてその後に補強層20の外周面に未加硫の外面ゴム層22の成形と加硫、各ホース1本ごとの切断を行う。
【解決手段】ゴム内管18と補強層20と外面ゴム層22とが蛇腹形状をなす蛇腹ゴムホースを製造するに際して、ゴム内管18を予めインジェクション成形により加硫成形して整列機36で直列に連続的に整列させその整列状態のゴム内管18を連続的に送りながら、外周面に補強糸58を連続的に且つ蛇腹形状に沿って編組して行く。そしてその後に補強層20の外周面に未加硫の外面ゴム層22の成形と加硫、各ホース1本ごとの切断を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は自動車の配管用等として好適な蛇腹ゴムホースの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ゴム層を主体として構成されたホースが自動車の配管用ホース等として広く使用されている。
このようなホースを用いる主たる目的は振動を吸収することにある。
例えば自動車のエンジンルーム内に配設される配管用ホースの場合、エンジン振動やエアコンのコンプレッサ振動(冷媒輸送用ホース、即ちエアコンホースの場合),車両の走行に伴って発生する各種の振動をホース部分で吸収し、ホースを介して接続されている一方の部材から他方の部材へと振動が伝達されるのを抑制する役割を担っている。
【0003】
この目的のためには、即ち良好な振動吸収性を確保するためにはこれら配管用ホースは一定の長さを必要とする。
特に燃料系や水系等の低圧用のホースに比べてオイル系(例えばパワーステアリング用ホース)や冷媒系(冷媒輸送用ホース)等の高圧用のホースではホース剛性が高い分、振動吸収,車室内への音,振動の伝播低減のための必要長さが長くなる。
例えば冷媒輸送用ホースの場合、その長さは接続しなければならない直線距離が200mmであったとしても、一般的に300〜600mmの長さのホースを用いて振動吸収や音,振動の伝播低減を行っている。
【0004】
しかしながらエンジンルーム内には各種の装置や部品がところ狭しと組み込まれており、特に近年にあってはエンジンルームが益々コンパクト化されてきており、そのような中でそこに配設されるホース長が長いと、他との干渉を避けるためにホースの形状を複雑な曲り形状としておかなければならない。
【0005】
このような曲り形状のホース(曲りホース)の製造方法として、従来図13及び図14に示すような曲げ型を用いた製造方法が行われている。
図示の製造方法では、未加硫のゴム材を押出機から長尺に連続押出しして、その後先ずこれを一旦外観に傷がつかない程度に半加硫しておき、そしてその半加硫状態の長尺のゴムホース200Aを、図13(I)に示しているように所定寸法で切断して1本ごとのゴムホース200aとする。
【0006】
その後、図13(II)に示しているように各半加硫状態の1本ごとのゴムホース200aの内部に扁平を抑制するため、挿入代のある可撓性のマンドレル(芯体)202を挿入し、その後図13(III)に示しているようにマンドレル202を挿入した状態で半加硫状態の1本ごとのゴムホース200aを、外枠型204の曲り形状且つ溝形状の凹所206にマンドレル202ごと曲げながら嵌め込む(図14(IV)参照)。
そして図14(V)に示しているように外枠型204ごとゴムホース200aを2次加硫炉208に入れて、そこでこれを所定時間かけて加熱し加硫処理を行う。
【0007】
そして加硫後のゴムホース200を外枠型204とともに2次加硫炉208から取り出した上で、図14(VI)に示しているようにゴムホース200をマンドレル202ごと外枠型204から取り外し、更にそのゴムホース200からマンドレル202を抜き出す。
ここにおいて目的とする曲り形状のゴムホース200が得られる。
【0008】
しかしながらこの製造方法にあっては、半加硫状態のゴムホース200aへのマンドレル202の挿入作業,外枠型204への嵌込作業,加硫後のゴムホース200を外枠型204から取り出す作業,更にマンドレル202を抜き出す作業その他の作業を作業者が手作業で行わなければならず、連続生産のできないものであって生産性が悪く、必然的に製造コストが非常に高いものとなってしまう。
【0009】
図15(イ)は下記特許文献1に開示された曲り形状のゴムホース200の製造方法を示したもので、ここでは管状の曲げ型210を用い、押出機212から押し出した未加硫の直管状のゴムホース200aを、曲げ型210の内部に且つその先端がリミットスイッチ214に当るまで挿入し、その後カッタ216でこれを切断した上で、ゴムホース200aを曲げ型210ごと加硫炉に入れて所定時間かけて加熱を行い、加硫処理を行う。
しかしながらこの製造方法もまた、手作業にて加硫後のゴムホース200を曲げ型210から抜き出すなど各種の作業が手作業とならざるを得ず、上記の製造方法と同様に連続生産が困難で生産性が悪く、製造コストも高いものとなってしまう。
【0010】
このようなことから、ホース形状が直線形状でしかも短尺であっても良好に振動吸収することのできるホースの開発が求められている。
ホースにおける振動吸収性を確保しながらこれを短尺化する手段として、ホースを蛇腹形状化することが考えられる。
ホースをこのような蛇腹形状としておけば、これを直線形状に成形した場合であっても、その可撓性を利用して自由に曲げた状態で配管することができ、しかも可撓性に優れていることから良好な振動吸収性も確保することができる。
【0011】
従来、この種蛇腹形状のゴムホースの製造方法の例が下記特許文献2,特許文献3等に開示されている。
図15(ロ)は、特許文献2に開示された製造方法を示したもので、ここでは外周形状が蛇腹形状を有するマンドレル型218を用い、未加硫状態のゴムホース200aをこのマンドレル型218に外装して、中空のマンドレル型218の吸引孔220を通じてゴムホース200aとマンドレル型218との間の空間を真空吸引し、その真空吸引力でゴムホース200aをマンドレル型218の外周面に密着させてその状態で加硫処理を行い、加硫後の形状を蛇腹形状となすものである。
【0012】
また図16(イ)は特許文献3に開示の製造方法を示したもので、断面円形且つ内周面が蛇腹形状に形成された外枠型222を成形型として用い、そしてその内部に直管状の未加硫状態のゴムホース200aを挿入して、両端部に密栓224,226を嵌めた上で、密栓226の吹込孔228からエアーをブローし、そのエアーの圧力でゴムホース200aを外枠型222の蛇腹形状部に密着させ、その状態でこれを加硫処理することによって、蛇腹形状の加硫後のゴムホース200を得るといったものである。
【0013】
ところで、例えば冷媒輸送用ホース等にあっては振動吸収性,内部流体の不透過性のほかに耐圧性が求められ、このような耐圧性の求められるホースにあっては、通例、補強線材を編組して成る補強層を設けることが行われるが、蛇腹ゴムホースにあってこのような補強層を設ける場合、かかる補強層をも蛇腹形状に形成することが求められる。
補強層が蛇腹形状に正確に追従した断面波状をなしておらず、蛇腹形状の谷部において補強層が浮いた状態にあると、補強層による補強効果がホース全長に亘って各部均一に及ぼされず、部分的に強度の弱い部分が生じて、そこから破断を生じてしまうといった問題を生ずる。
また、補強層が張力の低い状態で編組されると糸乱れの発生が起こりやすくなり耐圧性能悪化に繋がるため、通常は大きなテンション即ち、糸乱れが発生しないようなレベルまで張力をかけて編組することが必要となるが、ホースの内層部が未加硫の状態では、硬度がないため、ホースが潰れてしまうといった恐れがある。
【0014】
更にこのような補強層を有する蛇腹ゴムホースを製造するに際しては、各蛇腹ゴムホースを連続的に生産でき、生産性高く且つ低コストで製造できることが求められるが、これら課題に対して上記特許文献は何れもその解決手段を示してはいない。
【0015】
補強層を有する蛇腹ゴムホースの製造方法については、下記特許文献4にも開示がなされている。
図16(ロ)はこれを示したものである。
この製造方法は、内面ゴム層230と補強層232と外面ゴム層234とを有するゴムホース200を製造するに際して、先ずこれを未加硫状態で直管状に成形しておき、そしてその直管状の未加硫状態のゴムホース200aの内部に、外周形状が蛇腹形状をなすマンドレル型236を挿入した後、ゴムホース200aを外周面から紐状体238で締め付けてこれをマンドレル型236の外周の蛇腹形状に沿わせ、その状態で加硫処理して、蛇腹形状をなす加硫後のゴムホース200を得るものである。
【0016】
しかしながらこの製造方法では、蛇腹形状の谷部ごとに紐状体238の締付けを行って、各谷部ごとに未加硫状態の直管状のゴムホース200aを変形させる作業が必要であるとともに、ゴムホース200a1本ごとに対応したマンドレル型236を用いて蛇腹形状のゴムホース200を製造するものであり、人手作業に因らざるを得ないものであって連続生産が困難であり、従って生産性が悪く、製造コストも高いものとなってしまう。
【0017】
またもしこの製造方法で補強層232を有する蛇腹形状のゴムホース200を連続した長尺管に製造しておいて、1本ごとのゴムホース200に切断しようとしても、その際の脱型を良好に行うことができず、実際上この特許文献4に開示の方法では、こうした補強層232を有する蛇腹形状のゴムホース200を連続生産するといったことは難しい。
【0018】
更にこの特許文献4に開示の製造方法では、先ずゴムホース200aを直管状に成形しておいて、後から紐状態238で締め付けて未加硫状態の直管状のゴムホース200aを補強層232ごと蛇腹形状にするため、その際に補強層232における補強線材の配列が乱れてしまって、十分な補強効果を発揮できなくなるといった問題も内在している。
【0019】
【特許文献1】特開昭53−126083号公報
【特許文献2】特開昭59−199235号公報
【特許文献3】特開平7−9542号公報
【特許文献4】特開昭57−204386号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明は以上のような事情を背景とし、ゴム内管と外周側の補強層と外面ゴム層との積層構造を成す蛇腹ゴムホースを連続的に生産可能で生産性が高く、製造コストも安価でしかも補強層がその形成時点から正しく蛇腹形状をなし、補強層の補強効果をホース全長に亘って均等に発揮することのできる蛇腹ゴムホースの製造方法を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
而して請求項1のものは、蛇腹管を成すゴム内管と、該ゴム内管の外周側の補強線材を編組して成る補強層と、更に外周側の外面ゴム層とを有し且つ該補強層及び外面ゴム層が前記ゴム内管の蛇腹形状に追従した断面波状の蛇腹形状をなしている蛇腹ゴムホースの製造方法であって、(イ)前記ゴム内管を予め単独で型成形により加硫成形するゴム内管の加硫成形工程と、(ロ)その後において該ゴム内管を整列機で直列に連続的に整列させる整列工程と、(ハ)該整列状態のゴム内管を長手方向に連続的に送りながら、該ゴム内管内部へのマンドレルの非装着状態で該加硫後のゴム内管を芯体としてその外周面に補強線材を連続的に且つ該ゴム内管の蛇腹形状の山部と谷部とに沿って編組して行き、各ゴム内管の蛇腹形状の追従した蛇腹形状の補強層を各ゴム内管にまたがって長尺に連続的に形成して行く補強層の形成工程と、(ニ)その後の該補強層の外周側に未加硫の外面ゴム層を成形する工程と、(ホ)その後の該未加硫の外面ゴム層の加硫工程と、(ヘ)前記補強層にて繋がった状態の各ホースを1本ごとに切断して行く切断工程と、を含んでいることを特徴とする。
【0022】
請求項2のものは、請求項1において、前記型成形がインジェクション成形であることを特徴とする。
【0023】
請求項3のものは、請求項1,2の何れかにおいて、前記外面ゴム層の成形工程が、前記連続した長尺の補強層の外周面に沿って且つ前記ゴム内管の蛇腹形状に沿ってゴム材を押出機から連続的に押し出し、各ゴム内管にまたがって外面ゴム層を長尺に連続して成形して行くものであり、前記切断工程が、前記補強層とともに外面ゴム層を1本のホースごとに切断して行くものであることを特徴とする。
【0024】
請求項4のものは、請求項3において、前記押出機から筒状に押し出されるゴム材とその内周側の前記ゴム内管との間を真空吸引することで、該押し出されたゴム材を前記補強層を介して該ゴム内管の蛇腹形状の山部と谷部とに沿って密着させ、該ゴム内管の蛇腹形状に追従した断面波状をなす蛇腹形状に前記外面ゴム層を成形することを特徴とする。
【0025】
請求項5のものは、請求項4において、前記加硫工程が、前記外面ゴム層が未加硫状態の長尺管を加硫炉に連続的に通して該長尺管を連続加硫するものであることを特徴とする。
【0026】
請求項6のものは、請求項3〜5の何れかにおいて、前記切断工程が、連続的に送られて来る加硫後の長尺管の特定部位の通過をセンサにて検出するとともに、該特定部位の通過の検出から該長尺管が設定距離送られた位置でカッタにより前記1本ごとのホースに次々と連続的に自動切断して行くものであることを特徴とする。
【0027】
請求項7のものは、請求項1〜6の何れかにおいて、前記補強線材として熱収縮性の補強線材を用いることを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【0028】
以上のように本発明は、先ずゴム内管を単独で型成形により加硫成形しておき、その後に整列機で直列に連続的に整列させる。このとき特に整列手段を用いなくても自重により整列される。この後これを長手方向に連続的に送りながら、その外周面に補強線材を連続的に且つ加硫後のゴム内管を芯体として用いながらその蛇腹形状の山部と谷部とに沿って波状に連続的に編組して行き、ゴム内管の蛇腹形状に追従した蛇腹形状の補強層を各ゴム内管にまたがって長尺に連続形成した上で、その後に外面ゴム層の成形及び加硫工程を実施した上、各ホースごとに切断して行くもので、本発明では補強層の形成を各ゴム内管にまたがった、即ち各ホースにまたがった1つの連続した補強層として形成して行くものであるため、編組機を用いて自動的に補強層の形成を行っていくことができる。
即ち図15(ロ),図16(イ)に示す製造方法では補強層を形成すること自体が困難であるのに対し、本発明の製造方法では、各ホース1本ごとに補強線材を編組して補強層を形成するといったものではなく、整列状態のゴム内管に対して補強線材を連続して編組して行くものであるため、補強層の形成を容易に且つ連続的に行うことができる。
【0029】
しかも本発明の製造方法では、予め加硫成形してあるゴム内管を芯体として、即ち一定以上の強度を持ったゴム内管を芯体としてその外周面に補強糸を編組して行くものであるため、かかる補強糸をゴム内管の蛇腹形状部の山部と谷部とに沿って円滑且つ良好に編組して行くことができ、補強層をゴム内管の蛇腹形状に正しく追従した波状の蛇腹形状に形成することができる。
【0030】
例えば、単に蛇腹形状の未加硫のゴム層の外周面に補強線材を所定のテンションをかけて編組して行くと、補強線材のテンションによって蛇腹形状のゴム層が形状を崩してしまう。
一方でこれを防ぐべくテンションを著しく小さくして補強線材を編組して行くと、補強線材を蛇腹形状の山部と谷部とに沿って波状に編組して行くといったことができない。
【0031】
しかるにこの製造方法では、予め蛇腹管に加硫成形してあるゴム内管を芯体として、即ちマンドレル代わりに用いて補強線材を編組して行くため、補強線材を十分に大きなテンションをかけた状態で編組して行くことが可能であり、これにより補強線材を蛇腹形状の山部と谷部とに沿って波状に編組して行くことが可能となり、補強層をゴム内管の蛇腹形状に良好に追従した蛇腹形状に形成することができる。
これにより補強層の補強効果を蛇腹形状部の山部,谷部の如何を問わず均等に発揮することができ、蛇腹ゴムホースの耐圧性能を良好となすことができる。
【0032】
また少なくとも補強層の形成工程を連続した生産ラインで行うことができるため、ホース製造の生産性を高め、製造コストを低減することができる。
この場合において上記ゴム内管の型成形による加硫成形としてインジェクション成形を好適に用いることができる(請求項2)。
【0033】
請求項3は更に加えて外面ゴム層を長尺の補強層の外周面に沿って且つゴム内管の蛇腹形状に沿って波状に押出機からゴム材を連続的に押し出すことで、各ゴム内管即ち各ホースにまたがって外面ゴム層を長尺に連続して成形して行くもので、この製造方法によれば、補強層の形成の外、外面ゴム層の成形工程をも連続して行うことができ、蛇腹ゴムホースの生産性を更に高め、またその製造コストをより低減することができる。
【0034】
この場合において外面ゴム層を成形するに際し、押出機から筒状に押し出されるゴム材と内周側のゴム内管との間を真空吸引し、その真空吸引力に基づいてゴム材を補強層を介してゴム内管の蛇腹形状の山部と谷部とに沿って密着させ、ゴム内管の蛇腹形状に追従した断面波状をなす蛇腹形状に外面ゴム層を成形するようになすことができる(請求項4)。
このようにすることで、外面ゴム層を容易にゴム内管の蛇腹形状に追従した断面波状をなす蛇腹形状に成形することができ、且つその成形を人手作業に因らないで自動化することが可能となる。
【0035】
本発明ではまた、上記加硫工程において外面ゴム層が未加硫状態の長尺管を加硫炉に連続的に通し、長尺管を連続加硫するようになすことができる(請求項5)。
このようにすれば加硫工程自体も連続的に且つ自動的に行うことが可能となって好都合である。
【0036】
請求項6は、上記の切断工程において加硫後の長尺管を連続的に送りながらこれを所定長さのホース1本ごとに連続的に切断するようになしたものである。
詳しくは、連続的に送られて来る加硫後の長尺管の特定部位の通過をセンサにて検出し、そして特定部位の通過の検出から長尺管が設定距離送られた位置でカッタにより1本ごとのホースに次々と連続的に自動切断して行くようになしたものである。
この請求項6によれば、かかる切断工程を含む蛇腹ゴムホースの製造を連続化,自動化することができる。
【0037】
この場合、蛇腹ゴムホースのストレート形状部から蛇腹形状部の最初の山部又は谷部を特定部位としてこれを検出するようになすことができる。
このようにすることで、ホースの特定部位の検出を容易且つ精度高く行うことができる。
更にこの場合において、最初の山部又は谷部を蛇腹形状部の他の山部又は谷部とは別の特殊形状となしておくことができる。
そのようにすれば特定部位の検出を更に容易且つ高い精度で行うことが可能となる。
【0038】
請求項7は上記補強線材として熱収縮性のものを用いるものである。
補強線材としてこのような熱収縮性のものを用いた場合、特に蛇腹形状の谷部において加硫時の加熱により補強線材を収縮させることで、補強層の谷部形状をゴム内管の蛇腹形状の谷部形状に良好に追従させ、より密着させることができる。即ち、編組により補強層を形成した時点で、谷部において、補強層が若干浮き上がりを生じていたとしても加硫時に補強層が熱収縮して補強線材を蛇腹谷部に、より沈み込ませることができ、より密着させ、密着力をも向上することができる。
ここで熱収縮性の補強線材として、例えば加熱時の熱収縮率が5%以上のものを好適に用いることができる。
そのようなものとして、例えばポリエステル,PA(ポリアミド)66等を例示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1及び図2において、10は例えば冷媒輸送用ホース(エアコンホース)等として用いられる蛇腹ゴムホースで、そのほぼ全体をなす蛇腹部10-1と、両端部の直管状のストレート形状部10-2とを有している。
この蛇腹ゴムホース10は最内層としてのゴム内管18を有し、その外周側に補強線材としての補強糸58(図6参照)を編組して成る補強層20,カバーゴム層としての外面ゴム層22を順次積層した構造をなしている。
【0040】
ここでゴム内管18,補強層20,外面ゴム層22は、図2に示しているように何れも蛇腹部10-1に対応する部分が蛇腹形状をなしており、また両端部のストレート形状部10-2に対応する部分が何れも直管状をなしている。
即ち図2に示しているようにゴム内管18,補強層20,外面ゴム層22の何れもが、それぞれのほぼ全体をなす蛇腹形状部18-1,20-1,22-1及び両端部のストレート形状部18-2,20-2,22-2をそれぞれ有している。
ここで補強層20,外面ゴム層22の蛇腹形状部20-1,22-1は、何れもゴム内管18の蛇腹形状部18-1に追従した断面波状をなす蛇腹形状をなしている。
【0041】
本実施形態において蛇腹ゴムホース10は、図1に示しているように蛇腹ゴムホース10を長手方向に連続して形成した長尺管10B(加硫後のもの)を1本の蛇腹ゴムホース10ごとに切断して得たものである。
【0042】
本実施形態において、蛇腹ゴムホース10は内径が5〜50mm程度のもので、このうちゴム内管18,外面ゴム層22はそれぞれ厚みが2mm,1mm程度のものである。
【0043】
また材質については、ゴム内管18はIIR,ハロゲン化−IIR(Cl−IIR,Br−IIR),NBR,CR,EPDM,EPM,FKM,ECO,シリコーンゴム,ウレタンゴム,アクリルゴム等を用いることができる。
また補強層20を構成する補強糸としては熱収縮性を有するポリエステル,ポリアミド系のものが望ましい。
【0044】
更に外面ゴム層22としては上記ゴム内管18で列挙した各種ゴム材を用いることができるが、それ以外にも熱収縮チューブやエラストマーゴムと称される熱可塑性エラストマー(TPE)を使用することも可能で、材質としてはアクリル系,スチレン系,オレフィン系,ジオレフィン系,塩化ビニル系,ウレタン系,エステル系,アミド系,フッ素系等を用いることができる。
【0045】
尚ゴム内管18は内部を流通する流体に応じて適宜の材料を選択して用いることができる。
但しHFC系冷媒輸送用ホースの場合には、特にIIR,ハロゲン化−IIRの単独材又はブレンド材が好ましい。
この点は外面ゴム層22についても同様である。
【0046】
次に本実施形態の蛇腹ゴムホース10の製造方法を図3〜図11に基づいて以下に詳しく説明する。
先ず図3において、24はインジェクション成形機で26は成形型である。成形型26は外型28と中型30とを有していて、それらの間にキャビティ32を有している。
インジェクション成形機24では、このキャビティ32にゴム内管18用のゴム材を注入して所定時間加熱し、ゴム内管18を加硫成形する。
【0047】
加硫成形されたゴム内管18はロボットハンド34によりキャビティ32から取り出され(先ず中型30を外型28から分離した上、エアーブローにてゴム内管18を中型30から脱型)、次々と後工程の整列機36へと送られ、その整列機36の容器38内に投入される。
容器38内に投入されたゴム内管18は、容器38から縦向き且つ下向きに延び出したガイド管40内を1本ずつ自由落下し、上下方向に直列に整列される。
【0048】
各ゴム内管18はそのような上下の整列状態で次々と編組機52に通されて、それらの外周面に補強糸58が連続的に編組されて行く。即ち各ゴム内管18にまたがって補強層20が長尺に連続的に形成されて行く。
図3中10A及び図5(II)の10Aは、かかる補強層20を介して各ゴム内管18が長手方向に連結された状態の長尺管を表している。
【0049】
図6〜図9は編組機52の要部と編組の方法を示している。
この編組機52は、図6に示しているように円盤状のデッキ板54を有し、更に互いに対をなすキャリヤ56A,56Bを円周に沿って複数対有していて、互いに対をなすキャリヤ56A,56Bが8の字状に交叉運動しつつ、デッキ板54の中心周りを周回運動することで、補強糸58をゴム内管18の外周面にブレード編組して行く。
【0050】
図6において、60は各対をなすキャリヤ56A,56Bを互いに8の字状に交叉運動させながらデッキ板54の中心周りに周回運動させるための円盤で、図8に示しているようにデッキ板54の中心周りの円周上にかかる円盤60が多数連設されている。
これら円盤60には、外周部にU字状の切欠62が設けられており、円盤60の同方向の回転に伴ってキャリヤ56A,56Bが、一の円盤60から隣接する他の円盤60へとそれら切欠62において受け渡される。
【0051】
ここでキャリヤ56Aと56Bとは、一の円盤から互いに逆の側に連設した円盤60へと受け渡され、それぞれがデッキ板54の中心周りに互いに逆方向に周回運動して行く。
その結果として、キャリヤ56Aと56Bとが8の字状に交叉運動しながら、デッキ板54の中心周りに逆向きに周回運動して行く。
【0052】
図7(A),(B)に示しているように、各円盤60には被動ギヤ66が対応する各円盤60と一体回転する状態で設けられている。
また各被動ギヤ66は、同図に示しているように隣接するもの同士が互いに噛み合わされている。
そして何れかの被動ギヤ66に対し駆動ギヤ68が噛み合っており、その駆動ギヤ68が駆動モータ70にて回転駆動される。
即ちこの駆動ギヤ68が駆動モータ70にて回転駆動されることで各被動ギヤ66、従って各円盤60が一斉に回転運動させられる。
【0053】
本実施形態では、既に加硫された後の硬いゴム内管18に対してその外周面に補強糸58を編組して行き、補強層20を連続的に形成して行く。
この補強層20の形成工程において、ゴム内管18が未加硫状態の軟らかいものである場合、補強糸58を大きなテンションをかけて編組して行くと、補強糸58の編組によってゴム内管18の形状が崩れてしまい、良好に編組を行うことができない。
【0054】
しかるに本実施形態ではゴム内管18が予め既に加硫成形された後の硬いものであるため、このゴム内管18を芯体としてその外周面に補強糸58を大きなテンションでブレード編組して行くことができる。
そのためゴム内管18のストレート形状部18-2はもとより、蛇腹形状部18-1においても補強糸58をゴム内管18の蛇腹形状部18-1の山部と谷部とに沿って良好に波状に編組して行くことができ、補強層20をゴム内管18における蛇腹形状部18-1に追従した蛇腹形状に良好に形成して行くことができる。
【0055】
本実施形態ではまた、より密着性を高めるためゴム内管18における蛇腹形状部18-1に対して編組を行う際、ストレート形状部18-2に対する編組のときよりもキャリヤ56A,56Bの回転速度を高くする(送り速度は一定)。
これによって蛇腹形状部18-1に対し、補強糸58を蛇腹の谷部により落ち込ませることができるため、密着性が向上し、良好に補強層20を形成できる。
【0056】
そのため本実施形態では、図7(A)に示しているように長尺管10Aの引取機50の駆動と編組機52におけるキャリヤ56A,56Bの駆動とを別駆動とし、それらを制御部72にて自動制御する。
具体的には、ゴム内管18の蛇腹形状部18-1が図9の編組点Pにさしかかったところでキャリヤ56A,56Bの回転速度を速くし、そして蛇腹形状部18-1に続くストレート形状部18-2が編組点Pに到ったところで、キャリヤ56A,56Bの回転速度を通常の回転速度に戻すようにしている。
【0057】
その具体的な制御は次のようにして行う。
即ち、図9(A)に示しているようにゴム内管18の進行路に沿って定位置に設けたセンサ74が蛇腹形状部18-1の最初の山部の通過を検知してから、編組点Pからの距離L分だけゴム内管18が前進送りされたところで、駆動モータ70(図7参照)の回転速度を上げてキャリヤ56A,56Bの回転速度を高め、補強糸58の編組密度,編組のピッチを高める。
ここで距離Lの送りの検出は、引取機50に設けたエンコーダ76による送り量の検出に基づいて行うことができる。
【0058】
一方図9(B)に示すようにセンサ74がストレート形状部18-2を検出したら、その後ゴム内管18をL−L2分だけ前進送りしたところでキャリヤ56A,56Bの回転速度を通常の速度に戻す。
この結果、ストレート形状部18-2が編組点Pに到ったところから編組密度,編組ピッチが通常の密度,ピッチに変更される。
ここでL2を設定しているのは、センサ74によるストレート形状部18-2の検出を精度高く行うためには一定距離(図中L2)に亘ってセンサ74が山部を検出しないことをもって、初めてストレート形状部18-2が到達したことを認識できるからである。
【0059】
本実施形態では、以上のようにしてゴム内管18の蛇腹形状部18-1の山部及び谷部に沿って補強糸58を断面波状に即ち蛇腹形状に編組することができるが、但しこの編組工程のみで補強層20がゴム内管18における蛇腹形状部18-1の谷部の底まで密着する状態に編組されない場合も生じ得る。
即ち図12(A)(I)に示しているように、補強層20の谷部がゴム内管18の蛇腹形状部18-1の谷部から若干浮いた状態となることがある。
但し本実施形態では補強糸58として熱収縮性のものを用いているため、その後後述の加硫処理することで熱収縮性の補強糸58が熱収縮し、これにより補強層20がゴム内管18における蛇腹形状部18-1の谷部に密着するまで十分に落ち込んで、補強層20の蛇腹形状部20-1が、ゴム内管18の蛇腹形状部18-1に良好に追従した蛇腹形状となる。
【0060】
尚、図12(B)は比較例として熱収縮性の補強糸を用いず且つ補強糸58に十分なテンションをかけないで編組を行ったときに、補強層20がゴム内管18の蛇腹形状に正確に追従せず、蛇腹形状部20-1の谷部がゴム内管18の谷部から浮いた状態となることを表している。
【0061】
以上のようにしてゴム内管18に対し補強糸58を連続編組し、各ゴム内管18にまたがって補強層20を長尺に連続形成して行った後、このようにして形成した長尺管10Aを、次に図10に示しているように押出機42に連続的に通して、その外周面に外面ゴム層22を長尺に連続成形して行く。
【0062】
押出機42は、図10に示しているように長尺管10Aの図中右方への進行に伴って、その外周面を被覆するようにしてダイス44からゴム材を連続的に筒状に押し出して行く。
この場合単にゴム材を筒状に押し出すだけであると、押し出されたゴム材は直管状の円筒形状となってしまい、押出成形したゴム筒体と長尺管10Aにおける蛇腹形状部20-1の谷部との間に隙間が生じてしまう。
【0063】
そこでこの実施形態ではラッパ状の筒体46を設けて、その内側空間を真空吸引するようにしている。
これによりダイス44から筒状に押し出された外面ゴム層22のゴム材は、その真空吸引力により長尺管10Aにおける蛇腹形状部20-1の山部と谷部とに沿って密着し、長尺管10Aの蛇腹形状部20-1に追従した断面波状をなす蛇腹形状に成形される。
勿論長尺管10Aのストレート形状部20-2においては、その外周面に沿って密着し、対応する形状の直管状に成形される。
【0064】
この実施形態では、長尺管10Aを芯体としてその外周面に外面ゴム層22を成形するものであることから、その外面ゴム層22を良好に蛇腹形状に成形することができる。
図3,図5(III),図10において10Bは、そのようにして長尺管10Aの外周面に外面ゴム層22を被覆形成した後の長尺管を表わし、22-1は外面ゴム層22における蛇腹形状部を、22-2はストレート形状部をそれぞれ表している。
尚図10において50は引取機である。
【0065】
この長尺管10Bは続いて図4のトンネル炉形式の連続加硫炉80に連続的に通されて、そこで例えば熱風や高圧蒸気等により長尺管10Bが連続的に加硫されて行く。
尚加硫については、長尺管10Bを所定長さごとにバッチ式の加硫炉に所定時間装入して、そこでバッチ式に加硫処理を行うようにしても良い。
加硫後において、長尺管10Bは続いて自動切断機82で1本ごとの蛇腹ゴムホース10に切断されて行く。
【0066】
この自動切断機82では、図11に示しているように連続的に送られて来る長尺管10Bの蛇腹部の山部の通過をレーザセンサ84にて検出するとともに、その特定の山部の通過の検出から長尺管10Bが一定距離送られた位置で、カッタ86により1本ごとのホース10に次々と連続的に自動切断して行く。
詳しくは、ここではレーザセンサ84で先に通過した蛇腹形状部10-1の最後の山部と、次の蛇腹形状部10-1の最初の山部とをそれぞれ位置検出し、カッタ86にてそれらの丁度中間の2箇所の位置で長尺管10Bを次々と切断して行く。
【0067】
以上のような本実施形態の製造方法では、予めゴム内管18を単独で加硫成形しておいてそのゴム内管18を芯体として外周面に補強糸58を編組して行くものであるため、かかる補強糸58をゴム内管18の蛇腹形状部18-1の山部と谷部とに沿って円滑且つ良好に編組して行くことができ、補強層20をゴム内管18の蛇腹形状に正しく追従した波状の蛇腹形状に形成することができる。
これにより補強層20の補強効果を蛇腹形状部20-1の山部,谷部の如何を問わず均等に発揮することができ、蛇腹ゴムホースの耐圧性能を良好となすことができる。
【0068】
またこの製造方法では、各ホース1本ごとに補強糸58を編組して補強層20を形成するといったものではなく、連続的に送られて来る長尺管10Aに対して補強糸58を編組して行くものであるため、補強層20の形成を容易に且つ連続的に行うことができる。
【0069】
更に加えて外面ゴム層22を長尺管10Aの補強層20の外周面に沿って且つ長尺管10Aの蛇腹形状に沿って断面波状に且つ各ホースにまたがって長尺に連続して押出成形するため、外面ゴム層22の成形工程も連続して行うことができ、蛇腹ゴムホース10の生産性を高め、またその製造コストを低減することができる。
【0070】
加えて外面ゴム層22を成形するに際し、真空吸引力に基づいてこれを長尺管10Aの蛇腹形状の山部と谷部とに沿って密着させるようにしていることから、外面ゴム層22を長尺管10Aの蛇腹形状に追従した波状をなす蛇腹形状に良好に成形でき、且つその成形を人手作業に因らないで自動化することができる。
【0071】
更に本実施形態では長尺管10Bを加硫炉に連続的に通して連続加硫するようにしており、加硫工程自体もホースの連続生産ラインにインラインで組み込むことができる。
そしてその組の切断工程も含めて蛇腹ゴムホース10の製造を連続化,自動化することができる。
【0072】
以上本発明の実施形態を詳述したがこれはあくまで一例示であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた態様で実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の適用対象の蛇腹ゴムホースの一例を示した図である。
【図2】図1に示す蛇腹ゴムホースの断面図である。
【図3】本発明の一実施形態の蛇腹ゴムホースの製造方法の一部工程を示した工程説明図である。
【図4】図3に続く工程説明図である。
【図5】図3及び図4に示す各工程を経た蛇腹ゴムホースをそれぞれ示す図である。
【図6】図1の蛇腹ゴムホースの補強層を形成する編組機を示す図である。
【図7】補強層を編組する際の編組機におけるキャリヤの回転速度の制御方法を示す説明図である。
【図8】図7のキャリヤの回転状態を説明するための図である。
【図9】図6及び図7の要部を示した図である。
【図10】同実施形態における外面ゴム層の成形工程を示した図である。
【図11】同実施形態における切断工程を示した図である。
【図12】補強糸の編組の状態を比較例とともに示した図である。
【図13】従来の曲り形状のホースの製造方法の工程を示した図である。
【図14】図13に続く工程を示した図である。
【図15】図13,図14とは異なる曲り形状のホースの従来の製造方法及び蛇腹ゴムホースの従来の製造方法を示した図である。
【図16】図15とは異なる蛇腹ゴムホースの従来の製造方法を示した図である。
【符号の説明】
【0074】
10 蛇腹ゴムホース
10A,10B 長尺管
10-1 蛇腹形状部
10-2 ストレート形状部
18 ゴム内管
20 補強層
22 外面ゴム層
36 整列機
42 押出機
58 補強糸
80 連続加硫炉
82 自動切断機
84 レーザセンサ
86 カッタ
【技術分野】
【0001】
この発明は自動車の配管用等として好適な蛇腹ゴムホースの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ゴム層を主体として構成されたホースが自動車の配管用ホース等として広く使用されている。
このようなホースを用いる主たる目的は振動を吸収することにある。
例えば自動車のエンジンルーム内に配設される配管用ホースの場合、エンジン振動やエアコンのコンプレッサ振動(冷媒輸送用ホース、即ちエアコンホースの場合),車両の走行に伴って発生する各種の振動をホース部分で吸収し、ホースを介して接続されている一方の部材から他方の部材へと振動が伝達されるのを抑制する役割を担っている。
【0003】
この目的のためには、即ち良好な振動吸収性を確保するためにはこれら配管用ホースは一定の長さを必要とする。
特に燃料系や水系等の低圧用のホースに比べてオイル系(例えばパワーステアリング用ホース)や冷媒系(冷媒輸送用ホース)等の高圧用のホースではホース剛性が高い分、振動吸収,車室内への音,振動の伝播低減のための必要長さが長くなる。
例えば冷媒輸送用ホースの場合、その長さは接続しなければならない直線距離が200mmであったとしても、一般的に300〜600mmの長さのホースを用いて振動吸収や音,振動の伝播低減を行っている。
【0004】
しかしながらエンジンルーム内には各種の装置や部品がところ狭しと組み込まれており、特に近年にあってはエンジンルームが益々コンパクト化されてきており、そのような中でそこに配設されるホース長が長いと、他との干渉を避けるためにホースの形状を複雑な曲り形状としておかなければならない。
【0005】
このような曲り形状のホース(曲りホース)の製造方法として、従来図13及び図14に示すような曲げ型を用いた製造方法が行われている。
図示の製造方法では、未加硫のゴム材を押出機から長尺に連続押出しして、その後先ずこれを一旦外観に傷がつかない程度に半加硫しておき、そしてその半加硫状態の長尺のゴムホース200Aを、図13(I)に示しているように所定寸法で切断して1本ごとのゴムホース200aとする。
【0006】
その後、図13(II)に示しているように各半加硫状態の1本ごとのゴムホース200aの内部に扁平を抑制するため、挿入代のある可撓性のマンドレル(芯体)202を挿入し、その後図13(III)に示しているようにマンドレル202を挿入した状態で半加硫状態の1本ごとのゴムホース200aを、外枠型204の曲り形状且つ溝形状の凹所206にマンドレル202ごと曲げながら嵌め込む(図14(IV)参照)。
そして図14(V)に示しているように外枠型204ごとゴムホース200aを2次加硫炉208に入れて、そこでこれを所定時間かけて加熱し加硫処理を行う。
【0007】
そして加硫後のゴムホース200を外枠型204とともに2次加硫炉208から取り出した上で、図14(VI)に示しているようにゴムホース200をマンドレル202ごと外枠型204から取り外し、更にそのゴムホース200からマンドレル202を抜き出す。
ここにおいて目的とする曲り形状のゴムホース200が得られる。
【0008】
しかしながらこの製造方法にあっては、半加硫状態のゴムホース200aへのマンドレル202の挿入作業,外枠型204への嵌込作業,加硫後のゴムホース200を外枠型204から取り出す作業,更にマンドレル202を抜き出す作業その他の作業を作業者が手作業で行わなければならず、連続生産のできないものであって生産性が悪く、必然的に製造コストが非常に高いものとなってしまう。
【0009】
図15(イ)は下記特許文献1に開示された曲り形状のゴムホース200の製造方法を示したもので、ここでは管状の曲げ型210を用い、押出機212から押し出した未加硫の直管状のゴムホース200aを、曲げ型210の内部に且つその先端がリミットスイッチ214に当るまで挿入し、その後カッタ216でこれを切断した上で、ゴムホース200aを曲げ型210ごと加硫炉に入れて所定時間かけて加熱を行い、加硫処理を行う。
しかしながらこの製造方法もまた、手作業にて加硫後のゴムホース200を曲げ型210から抜き出すなど各種の作業が手作業とならざるを得ず、上記の製造方法と同様に連続生産が困難で生産性が悪く、製造コストも高いものとなってしまう。
【0010】
このようなことから、ホース形状が直線形状でしかも短尺であっても良好に振動吸収することのできるホースの開発が求められている。
ホースにおける振動吸収性を確保しながらこれを短尺化する手段として、ホースを蛇腹形状化することが考えられる。
ホースをこのような蛇腹形状としておけば、これを直線形状に成形した場合であっても、その可撓性を利用して自由に曲げた状態で配管することができ、しかも可撓性に優れていることから良好な振動吸収性も確保することができる。
【0011】
従来、この種蛇腹形状のゴムホースの製造方法の例が下記特許文献2,特許文献3等に開示されている。
図15(ロ)は、特許文献2に開示された製造方法を示したもので、ここでは外周形状が蛇腹形状を有するマンドレル型218を用い、未加硫状態のゴムホース200aをこのマンドレル型218に外装して、中空のマンドレル型218の吸引孔220を通じてゴムホース200aとマンドレル型218との間の空間を真空吸引し、その真空吸引力でゴムホース200aをマンドレル型218の外周面に密着させてその状態で加硫処理を行い、加硫後の形状を蛇腹形状となすものである。
【0012】
また図16(イ)は特許文献3に開示の製造方法を示したもので、断面円形且つ内周面が蛇腹形状に形成された外枠型222を成形型として用い、そしてその内部に直管状の未加硫状態のゴムホース200aを挿入して、両端部に密栓224,226を嵌めた上で、密栓226の吹込孔228からエアーをブローし、そのエアーの圧力でゴムホース200aを外枠型222の蛇腹形状部に密着させ、その状態でこれを加硫処理することによって、蛇腹形状の加硫後のゴムホース200を得るといったものである。
【0013】
ところで、例えば冷媒輸送用ホース等にあっては振動吸収性,内部流体の不透過性のほかに耐圧性が求められ、このような耐圧性の求められるホースにあっては、通例、補強線材を編組して成る補強層を設けることが行われるが、蛇腹ゴムホースにあってこのような補強層を設ける場合、かかる補強層をも蛇腹形状に形成することが求められる。
補強層が蛇腹形状に正確に追従した断面波状をなしておらず、蛇腹形状の谷部において補強層が浮いた状態にあると、補強層による補強効果がホース全長に亘って各部均一に及ぼされず、部分的に強度の弱い部分が生じて、そこから破断を生じてしまうといった問題を生ずる。
また、補強層が張力の低い状態で編組されると糸乱れの発生が起こりやすくなり耐圧性能悪化に繋がるため、通常は大きなテンション即ち、糸乱れが発生しないようなレベルまで張力をかけて編組することが必要となるが、ホースの内層部が未加硫の状態では、硬度がないため、ホースが潰れてしまうといった恐れがある。
【0014】
更にこのような補強層を有する蛇腹ゴムホースを製造するに際しては、各蛇腹ゴムホースを連続的に生産でき、生産性高く且つ低コストで製造できることが求められるが、これら課題に対して上記特許文献は何れもその解決手段を示してはいない。
【0015】
補強層を有する蛇腹ゴムホースの製造方法については、下記特許文献4にも開示がなされている。
図16(ロ)はこれを示したものである。
この製造方法は、内面ゴム層230と補強層232と外面ゴム層234とを有するゴムホース200を製造するに際して、先ずこれを未加硫状態で直管状に成形しておき、そしてその直管状の未加硫状態のゴムホース200aの内部に、外周形状が蛇腹形状をなすマンドレル型236を挿入した後、ゴムホース200aを外周面から紐状体238で締め付けてこれをマンドレル型236の外周の蛇腹形状に沿わせ、その状態で加硫処理して、蛇腹形状をなす加硫後のゴムホース200を得るものである。
【0016】
しかしながらこの製造方法では、蛇腹形状の谷部ごとに紐状体238の締付けを行って、各谷部ごとに未加硫状態の直管状のゴムホース200aを変形させる作業が必要であるとともに、ゴムホース200a1本ごとに対応したマンドレル型236を用いて蛇腹形状のゴムホース200を製造するものであり、人手作業に因らざるを得ないものであって連続生産が困難であり、従って生産性が悪く、製造コストも高いものとなってしまう。
【0017】
またもしこの製造方法で補強層232を有する蛇腹形状のゴムホース200を連続した長尺管に製造しておいて、1本ごとのゴムホース200に切断しようとしても、その際の脱型を良好に行うことができず、実際上この特許文献4に開示の方法では、こうした補強層232を有する蛇腹形状のゴムホース200を連続生産するといったことは難しい。
【0018】
更にこの特許文献4に開示の製造方法では、先ずゴムホース200aを直管状に成形しておいて、後から紐状態238で締め付けて未加硫状態の直管状のゴムホース200aを補強層232ごと蛇腹形状にするため、その際に補強層232における補強線材の配列が乱れてしまって、十分な補強効果を発揮できなくなるといった問題も内在している。
【0019】
【特許文献1】特開昭53−126083号公報
【特許文献2】特開昭59−199235号公報
【特許文献3】特開平7−9542号公報
【特許文献4】特開昭57−204386号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明は以上のような事情を背景とし、ゴム内管と外周側の補強層と外面ゴム層との積層構造を成す蛇腹ゴムホースを連続的に生産可能で生産性が高く、製造コストも安価でしかも補強層がその形成時点から正しく蛇腹形状をなし、補強層の補強効果をホース全長に亘って均等に発揮することのできる蛇腹ゴムホースの製造方法を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
而して請求項1のものは、蛇腹管を成すゴム内管と、該ゴム内管の外周側の補強線材を編組して成る補強層と、更に外周側の外面ゴム層とを有し且つ該補強層及び外面ゴム層が前記ゴム内管の蛇腹形状に追従した断面波状の蛇腹形状をなしている蛇腹ゴムホースの製造方法であって、(イ)前記ゴム内管を予め単独で型成形により加硫成形するゴム内管の加硫成形工程と、(ロ)その後において該ゴム内管を整列機で直列に連続的に整列させる整列工程と、(ハ)該整列状態のゴム内管を長手方向に連続的に送りながら、該ゴム内管内部へのマンドレルの非装着状態で該加硫後のゴム内管を芯体としてその外周面に補強線材を連続的に且つ該ゴム内管の蛇腹形状の山部と谷部とに沿って編組して行き、各ゴム内管の蛇腹形状の追従した蛇腹形状の補強層を各ゴム内管にまたがって長尺に連続的に形成して行く補強層の形成工程と、(ニ)その後の該補強層の外周側に未加硫の外面ゴム層を成形する工程と、(ホ)その後の該未加硫の外面ゴム層の加硫工程と、(ヘ)前記補強層にて繋がった状態の各ホースを1本ごとに切断して行く切断工程と、を含んでいることを特徴とする。
【0022】
請求項2のものは、請求項1において、前記型成形がインジェクション成形であることを特徴とする。
【0023】
請求項3のものは、請求項1,2の何れかにおいて、前記外面ゴム層の成形工程が、前記連続した長尺の補強層の外周面に沿って且つ前記ゴム内管の蛇腹形状に沿ってゴム材を押出機から連続的に押し出し、各ゴム内管にまたがって外面ゴム層を長尺に連続して成形して行くものであり、前記切断工程が、前記補強層とともに外面ゴム層を1本のホースごとに切断して行くものであることを特徴とする。
【0024】
請求項4のものは、請求項3において、前記押出機から筒状に押し出されるゴム材とその内周側の前記ゴム内管との間を真空吸引することで、該押し出されたゴム材を前記補強層を介して該ゴム内管の蛇腹形状の山部と谷部とに沿って密着させ、該ゴム内管の蛇腹形状に追従した断面波状をなす蛇腹形状に前記外面ゴム層を成形することを特徴とする。
【0025】
請求項5のものは、請求項4において、前記加硫工程が、前記外面ゴム層が未加硫状態の長尺管を加硫炉に連続的に通して該長尺管を連続加硫するものであることを特徴とする。
【0026】
請求項6のものは、請求項3〜5の何れかにおいて、前記切断工程が、連続的に送られて来る加硫後の長尺管の特定部位の通過をセンサにて検出するとともに、該特定部位の通過の検出から該長尺管が設定距離送られた位置でカッタにより前記1本ごとのホースに次々と連続的に自動切断して行くものであることを特徴とする。
【0027】
請求項7のものは、請求項1〜6の何れかにおいて、前記補強線材として熱収縮性の補強線材を用いることを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【0028】
以上のように本発明は、先ずゴム内管を単独で型成形により加硫成形しておき、その後に整列機で直列に連続的に整列させる。このとき特に整列手段を用いなくても自重により整列される。この後これを長手方向に連続的に送りながら、その外周面に補強線材を連続的に且つ加硫後のゴム内管を芯体として用いながらその蛇腹形状の山部と谷部とに沿って波状に連続的に編組して行き、ゴム内管の蛇腹形状に追従した蛇腹形状の補強層を各ゴム内管にまたがって長尺に連続形成した上で、その後に外面ゴム層の成形及び加硫工程を実施した上、各ホースごとに切断して行くもので、本発明では補強層の形成を各ゴム内管にまたがった、即ち各ホースにまたがった1つの連続した補強層として形成して行くものであるため、編組機を用いて自動的に補強層の形成を行っていくことができる。
即ち図15(ロ),図16(イ)に示す製造方法では補強層を形成すること自体が困難であるのに対し、本発明の製造方法では、各ホース1本ごとに補強線材を編組して補強層を形成するといったものではなく、整列状態のゴム内管に対して補強線材を連続して編組して行くものであるため、補強層の形成を容易に且つ連続的に行うことができる。
【0029】
しかも本発明の製造方法では、予め加硫成形してあるゴム内管を芯体として、即ち一定以上の強度を持ったゴム内管を芯体としてその外周面に補強糸を編組して行くものであるため、かかる補強糸をゴム内管の蛇腹形状部の山部と谷部とに沿って円滑且つ良好に編組して行くことができ、補強層をゴム内管の蛇腹形状に正しく追従した波状の蛇腹形状に形成することができる。
【0030】
例えば、単に蛇腹形状の未加硫のゴム層の外周面に補強線材を所定のテンションをかけて編組して行くと、補強線材のテンションによって蛇腹形状のゴム層が形状を崩してしまう。
一方でこれを防ぐべくテンションを著しく小さくして補強線材を編組して行くと、補強線材を蛇腹形状の山部と谷部とに沿って波状に編組して行くといったことができない。
【0031】
しかるにこの製造方法では、予め蛇腹管に加硫成形してあるゴム内管を芯体として、即ちマンドレル代わりに用いて補強線材を編組して行くため、補強線材を十分に大きなテンションをかけた状態で編組して行くことが可能であり、これにより補強線材を蛇腹形状の山部と谷部とに沿って波状に編組して行くことが可能となり、補強層をゴム内管の蛇腹形状に良好に追従した蛇腹形状に形成することができる。
これにより補強層の補強効果を蛇腹形状部の山部,谷部の如何を問わず均等に発揮することができ、蛇腹ゴムホースの耐圧性能を良好となすことができる。
【0032】
また少なくとも補強層の形成工程を連続した生産ラインで行うことができるため、ホース製造の生産性を高め、製造コストを低減することができる。
この場合において上記ゴム内管の型成形による加硫成形としてインジェクション成形を好適に用いることができる(請求項2)。
【0033】
請求項3は更に加えて外面ゴム層を長尺の補強層の外周面に沿って且つゴム内管の蛇腹形状に沿って波状に押出機からゴム材を連続的に押し出すことで、各ゴム内管即ち各ホースにまたがって外面ゴム層を長尺に連続して成形して行くもので、この製造方法によれば、補強層の形成の外、外面ゴム層の成形工程をも連続して行うことができ、蛇腹ゴムホースの生産性を更に高め、またその製造コストをより低減することができる。
【0034】
この場合において外面ゴム層を成形するに際し、押出機から筒状に押し出されるゴム材と内周側のゴム内管との間を真空吸引し、その真空吸引力に基づいてゴム材を補強層を介してゴム内管の蛇腹形状の山部と谷部とに沿って密着させ、ゴム内管の蛇腹形状に追従した断面波状をなす蛇腹形状に外面ゴム層を成形するようになすことができる(請求項4)。
このようにすることで、外面ゴム層を容易にゴム内管の蛇腹形状に追従した断面波状をなす蛇腹形状に成形することができ、且つその成形を人手作業に因らないで自動化することが可能となる。
【0035】
本発明ではまた、上記加硫工程において外面ゴム層が未加硫状態の長尺管を加硫炉に連続的に通し、長尺管を連続加硫するようになすことができる(請求項5)。
このようにすれば加硫工程自体も連続的に且つ自動的に行うことが可能となって好都合である。
【0036】
請求項6は、上記の切断工程において加硫後の長尺管を連続的に送りながらこれを所定長さのホース1本ごとに連続的に切断するようになしたものである。
詳しくは、連続的に送られて来る加硫後の長尺管の特定部位の通過をセンサにて検出し、そして特定部位の通過の検出から長尺管が設定距離送られた位置でカッタにより1本ごとのホースに次々と連続的に自動切断して行くようになしたものである。
この請求項6によれば、かかる切断工程を含む蛇腹ゴムホースの製造を連続化,自動化することができる。
【0037】
この場合、蛇腹ゴムホースのストレート形状部から蛇腹形状部の最初の山部又は谷部を特定部位としてこれを検出するようになすことができる。
このようにすることで、ホースの特定部位の検出を容易且つ精度高く行うことができる。
更にこの場合において、最初の山部又は谷部を蛇腹形状部の他の山部又は谷部とは別の特殊形状となしておくことができる。
そのようにすれば特定部位の検出を更に容易且つ高い精度で行うことが可能となる。
【0038】
請求項7は上記補強線材として熱収縮性のものを用いるものである。
補強線材としてこのような熱収縮性のものを用いた場合、特に蛇腹形状の谷部において加硫時の加熱により補強線材を収縮させることで、補強層の谷部形状をゴム内管の蛇腹形状の谷部形状に良好に追従させ、より密着させることができる。即ち、編組により補強層を形成した時点で、谷部において、補強層が若干浮き上がりを生じていたとしても加硫時に補強層が熱収縮して補強線材を蛇腹谷部に、より沈み込ませることができ、より密着させ、密着力をも向上することができる。
ここで熱収縮性の補強線材として、例えば加熱時の熱収縮率が5%以上のものを好適に用いることができる。
そのようなものとして、例えばポリエステル,PA(ポリアミド)66等を例示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1及び図2において、10は例えば冷媒輸送用ホース(エアコンホース)等として用いられる蛇腹ゴムホースで、そのほぼ全体をなす蛇腹部10-1と、両端部の直管状のストレート形状部10-2とを有している。
この蛇腹ゴムホース10は最内層としてのゴム内管18を有し、その外周側に補強線材としての補強糸58(図6参照)を編組して成る補強層20,カバーゴム層としての外面ゴム層22を順次積層した構造をなしている。
【0040】
ここでゴム内管18,補強層20,外面ゴム層22は、図2に示しているように何れも蛇腹部10-1に対応する部分が蛇腹形状をなしており、また両端部のストレート形状部10-2に対応する部分が何れも直管状をなしている。
即ち図2に示しているようにゴム内管18,補強層20,外面ゴム層22の何れもが、それぞれのほぼ全体をなす蛇腹形状部18-1,20-1,22-1及び両端部のストレート形状部18-2,20-2,22-2をそれぞれ有している。
ここで補強層20,外面ゴム層22の蛇腹形状部20-1,22-1は、何れもゴム内管18の蛇腹形状部18-1に追従した断面波状をなす蛇腹形状をなしている。
【0041】
本実施形態において蛇腹ゴムホース10は、図1に示しているように蛇腹ゴムホース10を長手方向に連続して形成した長尺管10B(加硫後のもの)を1本の蛇腹ゴムホース10ごとに切断して得たものである。
【0042】
本実施形態において、蛇腹ゴムホース10は内径が5〜50mm程度のもので、このうちゴム内管18,外面ゴム層22はそれぞれ厚みが2mm,1mm程度のものである。
【0043】
また材質については、ゴム内管18はIIR,ハロゲン化−IIR(Cl−IIR,Br−IIR),NBR,CR,EPDM,EPM,FKM,ECO,シリコーンゴム,ウレタンゴム,アクリルゴム等を用いることができる。
また補強層20を構成する補強糸としては熱収縮性を有するポリエステル,ポリアミド系のものが望ましい。
【0044】
更に外面ゴム層22としては上記ゴム内管18で列挙した各種ゴム材を用いることができるが、それ以外にも熱収縮チューブやエラストマーゴムと称される熱可塑性エラストマー(TPE)を使用することも可能で、材質としてはアクリル系,スチレン系,オレフィン系,ジオレフィン系,塩化ビニル系,ウレタン系,エステル系,アミド系,フッ素系等を用いることができる。
【0045】
尚ゴム内管18は内部を流通する流体に応じて適宜の材料を選択して用いることができる。
但しHFC系冷媒輸送用ホースの場合には、特にIIR,ハロゲン化−IIRの単独材又はブレンド材が好ましい。
この点は外面ゴム層22についても同様である。
【0046】
次に本実施形態の蛇腹ゴムホース10の製造方法を図3〜図11に基づいて以下に詳しく説明する。
先ず図3において、24はインジェクション成形機で26は成形型である。成形型26は外型28と中型30とを有していて、それらの間にキャビティ32を有している。
インジェクション成形機24では、このキャビティ32にゴム内管18用のゴム材を注入して所定時間加熱し、ゴム内管18を加硫成形する。
【0047】
加硫成形されたゴム内管18はロボットハンド34によりキャビティ32から取り出され(先ず中型30を外型28から分離した上、エアーブローにてゴム内管18を中型30から脱型)、次々と後工程の整列機36へと送られ、その整列機36の容器38内に投入される。
容器38内に投入されたゴム内管18は、容器38から縦向き且つ下向きに延び出したガイド管40内を1本ずつ自由落下し、上下方向に直列に整列される。
【0048】
各ゴム内管18はそのような上下の整列状態で次々と編組機52に通されて、それらの外周面に補強糸58が連続的に編組されて行く。即ち各ゴム内管18にまたがって補強層20が長尺に連続的に形成されて行く。
図3中10A及び図5(II)の10Aは、かかる補強層20を介して各ゴム内管18が長手方向に連結された状態の長尺管を表している。
【0049】
図6〜図9は編組機52の要部と編組の方法を示している。
この編組機52は、図6に示しているように円盤状のデッキ板54を有し、更に互いに対をなすキャリヤ56A,56Bを円周に沿って複数対有していて、互いに対をなすキャリヤ56A,56Bが8の字状に交叉運動しつつ、デッキ板54の中心周りを周回運動することで、補強糸58をゴム内管18の外周面にブレード編組して行く。
【0050】
図6において、60は各対をなすキャリヤ56A,56Bを互いに8の字状に交叉運動させながらデッキ板54の中心周りに周回運動させるための円盤で、図8に示しているようにデッキ板54の中心周りの円周上にかかる円盤60が多数連設されている。
これら円盤60には、外周部にU字状の切欠62が設けられており、円盤60の同方向の回転に伴ってキャリヤ56A,56Bが、一の円盤60から隣接する他の円盤60へとそれら切欠62において受け渡される。
【0051】
ここでキャリヤ56Aと56Bとは、一の円盤から互いに逆の側に連設した円盤60へと受け渡され、それぞれがデッキ板54の中心周りに互いに逆方向に周回運動して行く。
その結果として、キャリヤ56Aと56Bとが8の字状に交叉運動しながら、デッキ板54の中心周りに逆向きに周回運動して行く。
【0052】
図7(A),(B)に示しているように、各円盤60には被動ギヤ66が対応する各円盤60と一体回転する状態で設けられている。
また各被動ギヤ66は、同図に示しているように隣接するもの同士が互いに噛み合わされている。
そして何れかの被動ギヤ66に対し駆動ギヤ68が噛み合っており、その駆動ギヤ68が駆動モータ70にて回転駆動される。
即ちこの駆動ギヤ68が駆動モータ70にて回転駆動されることで各被動ギヤ66、従って各円盤60が一斉に回転運動させられる。
【0053】
本実施形態では、既に加硫された後の硬いゴム内管18に対してその外周面に補強糸58を編組して行き、補強層20を連続的に形成して行く。
この補強層20の形成工程において、ゴム内管18が未加硫状態の軟らかいものである場合、補強糸58を大きなテンションをかけて編組して行くと、補強糸58の編組によってゴム内管18の形状が崩れてしまい、良好に編組を行うことができない。
【0054】
しかるに本実施形態ではゴム内管18が予め既に加硫成形された後の硬いものであるため、このゴム内管18を芯体としてその外周面に補強糸58を大きなテンションでブレード編組して行くことができる。
そのためゴム内管18のストレート形状部18-2はもとより、蛇腹形状部18-1においても補強糸58をゴム内管18の蛇腹形状部18-1の山部と谷部とに沿って良好に波状に編組して行くことができ、補強層20をゴム内管18における蛇腹形状部18-1に追従した蛇腹形状に良好に形成して行くことができる。
【0055】
本実施形態ではまた、より密着性を高めるためゴム内管18における蛇腹形状部18-1に対して編組を行う際、ストレート形状部18-2に対する編組のときよりもキャリヤ56A,56Bの回転速度を高くする(送り速度は一定)。
これによって蛇腹形状部18-1に対し、補強糸58を蛇腹の谷部により落ち込ませることができるため、密着性が向上し、良好に補強層20を形成できる。
【0056】
そのため本実施形態では、図7(A)に示しているように長尺管10Aの引取機50の駆動と編組機52におけるキャリヤ56A,56Bの駆動とを別駆動とし、それらを制御部72にて自動制御する。
具体的には、ゴム内管18の蛇腹形状部18-1が図9の編組点Pにさしかかったところでキャリヤ56A,56Bの回転速度を速くし、そして蛇腹形状部18-1に続くストレート形状部18-2が編組点Pに到ったところで、キャリヤ56A,56Bの回転速度を通常の回転速度に戻すようにしている。
【0057】
その具体的な制御は次のようにして行う。
即ち、図9(A)に示しているようにゴム内管18の進行路に沿って定位置に設けたセンサ74が蛇腹形状部18-1の最初の山部の通過を検知してから、編組点Pからの距離L分だけゴム内管18が前進送りされたところで、駆動モータ70(図7参照)の回転速度を上げてキャリヤ56A,56Bの回転速度を高め、補強糸58の編組密度,編組のピッチを高める。
ここで距離Lの送りの検出は、引取機50に設けたエンコーダ76による送り量の検出に基づいて行うことができる。
【0058】
一方図9(B)に示すようにセンサ74がストレート形状部18-2を検出したら、その後ゴム内管18をL−L2分だけ前進送りしたところでキャリヤ56A,56Bの回転速度を通常の速度に戻す。
この結果、ストレート形状部18-2が編組点Pに到ったところから編組密度,編組ピッチが通常の密度,ピッチに変更される。
ここでL2を設定しているのは、センサ74によるストレート形状部18-2の検出を精度高く行うためには一定距離(図中L2)に亘ってセンサ74が山部を検出しないことをもって、初めてストレート形状部18-2が到達したことを認識できるからである。
【0059】
本実施形態では、以上のようにしてゴム内管18の蛇腹形状部18-1の山部及び谷部に沿って補強糸58を断面波状に即ち蛇腹形状に編組することができるが、但しこの編組工程のみで補強層20がゴム内管18における蛇腹形状部18-1の谷部の底まで密着する状態に編組されない場合も生じ得る。
即ち図12(A)(I)に示しているように、補強層20の谷部がゴム内管18の蛇腹形状部18-1の谷部から若干浮いた状態となることがある。
但し本実施形態では補強糸58として熱収縮性のものを用いているため、その後後述の加硫処理することで熱収縮性の補強糸58が熱収縮し、これにより補強層20がゴム内管18における蛇腹形状部18-1の谷部に密着するまで十分に落ち込んで、補強層20の蛇腹形状部20-1が、ゴム内管18の蛇腹形状部18-1に良好に追従した蛇腹形状となる。
【0060】
尚、図12(B)は比較例として熱収縮性の補強糸を用いず且つ補強糸58に十分なテンションをかけないで編組を行ったときに、補強層20がゴム内管18の蛇腹形状に正確に追従せず、蛇腹形状部20-1の谷部がゴム内管18の谷部から浮いた状態となることを表している。
【0061】
以上のようにしてゴム内管18に対し補強糸58を連続編組し、各ゴム内管18にまたがって補強層20を長尺に連続形成して行った後、このようにして形成した長尺管10Aを、次に図10に示しているように押出機42に連続的に通して、その外周面に外面ゴム層22を長尺に連続成形して行く。
【0062】
押出機42は、図10に示しているように長尺管10Aの図中右方への進行に伴って、その外周面を被覆するようにしてダイス44からゴム材を連続的に筒状に押し出して行く。
この場合単にゴム材を筒状に押し出すだけであると、押し出されたゴム材は直管状の円筒形状となってしまい、押出成形したゴム筒体と長尺管10Aにおける蛇腹形状部20-1の谷部との間に隙間が生じてしまう。
【0063】
そこでこの実施形態ではラッパ状の筒体46を設けて、その内側空間を真空吸引するようにしている。
これによりダイス44から筒状に押し出された外面ゴム層22のゴム材は、その真空吸引力により長尺管10Aにおける蛇腹形状部20-1の山部と谷部とに沿って密着し、長尺管10Aの蛇腹形状部20-1に追従した断面波状をなす蛇腹形状に成形される。
勿論長尺管10Aのストレート形状部20-2においては、その外周面に沿って密着し、対応する形状の直管状に成形される。
【0064】
この実施形態では、長尺管10Aを芯体としてその外周面に外面ゴム層22を成形するものであることから、その外面ゴム層22を良好に蛇腹形状に成形することができる。
図3,図5(III),図10において10Bは、そのようにして長尺管10Aの外周面に外面ゴム層22を被覆形成した後の長尺管を表わし、22-1は外面ゴム層22における蛇腹形状部を、22-2はストレート形状部をそれぞれ表している。
尚図10において50は引取機である。
【0065】
この長尺管10Bは続いて図4のトンネル炉形式の連続加硫炉80に連続的に通されて、そこで例えば熱風や高圧蒸気等により長尺管10Bが連続的に加硫されて行く。
尚加硫については、長尺管10Bを所定長さごとにバッチ式の加硫炉に所定時間装入して、そこでバッチ式に加硫処理を行うようにしても良い。
加硫後において、長尺管10Bは続いて自動切断機82で1本ごとの蛇腹ゴムホース10に切断されて行く。
【0066】
この自動切断機82では、図11に示しているように連続的に送られて来る長尺管10Bの蛇腹部の山部の通過をレーザセンサ84にて検出するとともに、その特定の山部の通過の検出から長尺管10Bが一定距離送られた位置で、カッタ86により1本ごとのホース10に次々と連続的に自動切断して行く。
詳しくは、ここではレーザセンサ84で先に通過した蛇腹形状部10-1の最後の山部と、次の蛇腹形状部10-1の最初の山部とをそれぞれ位置検出し、カッタ86にてそれらの丁度中間の2箇所の位置で長尺管10Bを次々と切断して行く。
【0067】
以上のような本実施形態の製造方法では、予めゴム内管18を単独で加硫成形しておいてそのゴム内管18を芯体として外周面に補強糸58を編組して行くものであるため、かかる補強糸58をゴム内管18の蛇腹形状部18-1の山部と谷部とに沿って円滑且つ良好に編組して行くことができ、補強層20をゴム内管18の蛇腹形状に正しく追従した波状の蛇腹形状に形成することができる。
これにより補強層20の補強効果を蛇腹形状部20-1の山部,谷部の如何を問わず均等に発揮することができ、蛇腹ゴムホースの耐圧性能を良好となすことができる。
【0068】
またこの製造方法では、各ホース1本ごとに補強糸58を編組して補強層20を形成するといったものではなく、連続的に送られて来る長尺管10Aに対して補強糸58を編組して行くものであるため、補強層20の形成を容易に且つ連続的に行うことができる。
【0069】
更に加えて外面ゴム層22を長尺管10Aの補強層20の外周面に沿って且つ長尺管10Aの蛇腹形状に沿って断面波状に且つ各ホースにまたがって長尺に連続して押出成形するため、外面ゴム層22の成形工程も連続して行うことができ、蛇腹ゴムホース10の生産性を高め、またその製造コストを低減することができる。
【0070】
加えて外面ゴム層22を成形するに際し、真空吸引力に基づいてこれを長尺管10Aの蛇腹形状の山部と谷部とに沿って密着させるようにしていることから、外面ゴム層22を長尺管10Aの蛇腹形状に追従した波状をなす蛇腹形状に良好に成形でき、且つその成形を人手作業に因らないで自動化することができる。
【0071】
更に本実施形態では長尺管10Bを加硫炉に連続的に通して連続加硫するようにしており、加硫工程自体もホースの連続生産ラインにインラインで組み込むことができる。
そしてその組の切断工程も含めて蛇腹ゴムホース10の製造を連続化,自動化することができる。
【0072】
以上本発明の実施形態を詳述したがこれはあくまで一例示であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた態様で実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の適用対象の蛇腹ゴムホースの一例を示した図である。
【図2】図1に示す蛇腹ゴムホースの断面図である。
【図3】本発明の一実施形態の蛇腹ゴムホースの製造方法の一部工程を示した工程説明図である。
【図4】図3に続く工程説明図である。
【図5】図3及び図4に示す各工程を経た蛇腹ゴムホースをそれぞれ示す図である。
【図6】図1の蛇腹ゴムホースの補強層を形成する編組機を示す図である。
【図7】補強層を編組する際の編組機におけるキャリヤの回転速度の制御方法を示す説明図である。
【図8】図7のキャリヤの回転状態を説明するための図である。
【図9】図6及び図7の要部を示した図である。
【図10】同実施形態における外面ゴム層の成形工程を示した図である。
【図11】同実施形態における切断工程を示した図である。
【図12】補強糸の編組の状態を比較例とともに示した図である。
【図13】従来の曲り形状のホースの製造方法の工程を示した図である。
【図14】図13に続く工程を示した図である。
【図15】図13,図14とは異なる曲り形状のホースの従来の製造方法及び蛇腹ゴムホースの従来の製造方法を示した図である。
【図16】図15とは異なる蛇腹ゴムホースの従来の製造方法を示した図である。
【符号の説明】
【0074】
10 蛇腹ゴムホース
10A,10B 長尺管
10-1 蛇腹形状部
10-2 ストレート形状部
18 ゴム内管
20 補強層
22 外面ゴム層
36 整列機
42 押出機
58 補強糸
80 連続加硫炉
82 自動切断機
84 レーザセンサ
86 カッタ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛇腹管を成すゴム内管と、該ゴム内管の外周側の補強線材を編組して成る補強層と、更に外周側の外面ゴム層とを有し且つ該補強層及び外面ゴム層が前記ゴム内管の蛇腹形状に追従した断面波状の蛇腹形状をなしている蛇腹ゴムホースの製造方法であって、
(イ)前記ゴム内管を予め単独で型成形により加硫成形するゴム内管の加硫成形工程と、
(ロ)その後において該ゴム内管を整列機で直列に連続的に整列させる整列工程と、
(ハ)該整列状態のゴム内管を長手方向に連続的に送りながら、該ゴム内管内部へのマンドレルの非装着状態で該加硫後のゴム内管を芯体としてその外周面に補強線材を連続的に且つ該ゴム内管の蛇腹形状の山部と谷部とに沿って編組して行き、各ゴム内管の蛇腹形状の追従した蛇腹形状の補強層を各ゴム内管にまたがって長尺に連続的に形成して行く補強層の形成工程と、
(ニ)その後の該補強層の外周側に未加硫の外面ゴム層を成形する工程と、
(ホ)その後の該未加硫の外面ゴム層の加硫工程と、
(ヘ)前記補強層にて繋がった状態の各ホースを1本ごとに切断して行く切断工程と、
を含んでいることを特徴とする蛇腹ゴムホースの製造方法。
【請求項2】
請求項1において、前記型成形がインジェクション成形であることを特徴とする蛇腹ゴムホースの製造方法。
【請求項3】
請求項1,2の何れかにおいて、前記外面ゴム層の成形工程が、前記連続した長尺の補強層の外周面に沿って且つ前記ゴム内管の蛇腹形状に沿ってゴム材を押出機から連続的に押し出し、各ゴム内管にまたがって外面ゴム層を長尺に連続して成形して行くものであり、
前記切断工程が、前記補強層とともに外面ゴム層を1本のホースごとに切断して行くものであることを特徴とする蛇腹ゴムホースの製造方法。
【請求項4】
請求項3において、前記押出機から筒状に押し出されるゴム材とその内周側の前記ゴム内管との間を真空吸引することで、該押し出されたゴム材を前記補強層を介して該ゴム内管の蛇腹形状の山部と谷部とに沿って密着させ、該ゴム内管の蛇腹形状に追従した断面波状をなす蛇腹形状に前記外面ゴム層を成形することを特徴とする蛇腹ゴムホースの製造方法。
【請求項5】
請求項4において、前記加硫工程が、前記外面ゴム層が未加硫状態の長尺管を加硫炉に連続的に通して該長尺管を連続加硫するものであることを特徴とする蛇腹ゴムホースの製造方法。
【請求項6】
請求項3〜5の何れかにおいて、前記切断工程が、連続的に送られて来る加硫後の長尺管の特定部位の通過をセンサにて検出するとともに、該特定部位の通過の検出から該長尺管が設定距離送られた位置でカッタにより前記1本ごとのホースに次々と連続的に自動切断して行くものであることを特徴とする蛇腹ゴムホースの製造方法。
【請求項7】
請求項1〜6の何れかにおいて、前記補強線材として熱収縮性の補強線材を用いることを特徴とする蛇腹ゴムホースの製造方法。
【請求項1】
蛇腹管を成すゴム内管と、該ゴム内管の外周側の補強線材を編組して成る補強層と、更に外周側の外面ゴム層とを有し且つ該補強層及び外面ゴム層が前記ゴム内管の蛇腹形状に追従した断面波状の蛇腹形状をなしている蛇腹ゴムホースの製造方法であって、
(イ)前記ゴム内管を予め単独で型成形により加硫成形するゴム内管の加硫成形工程と、
(ロ)その後において該ゴム内管を整列機で直列に連続的に整列させる整列工程と、
(ハ)該整列状態のゴム内管を長手方向に連続的に送りながら、該ゴム内管内部へのマンドレルの非装着状態で該加硫後のゴム内管を芯体としてその外周面に補強線材を連続的に且つ該ゴム内管の蛇腹形状の山部と谷部とに沿って編組して行き、各ゴム内管の蛇腹形状の追従した蛇腹形状の補強層を各ゴム内管にまたがって長尺に連続的に形成して行く補強層の形成工程と、
(ニ)その後の該補強層の外周側に未加硫の外面ゴム層を成形する工程と、
(ホ)その後の該未加硫の外面ゴム層の加硫工程と、
(ヘ)前記補強層にて繋がった状態の各ホースを1本ごとに切断して行く切断工程と、
を含んでいることを特徴とする蛇腹ゴムホースの製造方法。
【請求項2】
請求項1において、前記型成形がインジェクション成形であることを特徴とする蛇腹ゴムホースの製造方法。
【請求項3】
請求項1,2の何れかにおいて、前記外面ゴム層の成形工程が、前記連続した長尺の補強層の外周面に沿って且つ前記ゴム内管の蛇腹形状に沿ってゴム材を押出機から連続的に押し出し、各ゴム内管にまたがって外面ゴム層を長尺に連続して成形して行くものであり、
前記切断工程が、前記補強層とともに外面ゴム層を1本のホースごとに切断して行くものであることを特徴とする蛇腹ゴムホースの製造方法。
【請求項4】
請求項3において、前記押出機から筒状に押し出されるゴム材とその内周側の前記ゴム内管との間を真空吸引することで、該押し出されたゴム材を前記補強層を介して該ゴム内管の蛇腹形状の山部と谷部とに沿って密着させ、該ゴム内管の蛇腹形状に追従した断面波状をなす蛇腹形状に前記外面ゴム層を成形することを特徴とする蛇腹ゴムホースの製造方法。
【請求項5】
請求項4において、前記加硫工程が、前記外面ゴム層が未加硫状態の長尺管を加硫炉に連続的に通して該長尺管を連続加硫するものであることを特徴とする蛇腹ゴムホースの製造方法。
【請求項6】
請求項3〜5の何れかにおいて、前記切断工程が、連続的に送られて来る加硫後の長尺管の特定部位の通過をセンサにて検出するとともに、該特定部位の通過の検出から該長尺管が設定距離送られた位置でカッタにより前記1本ごとのホースに次々と連続的に自動切断して行くものであることを特徴とする蛇腹ゴムホースの製造方法。
【請求項7】
請求項1〜6の何れかにおいて、前記補強線材として熱収縮性の補強線材を用いることを特徴とする蛇腹ゴムホースの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2006−35750(P2006−35750A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−221811(P2004−221811)
【出願日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(000219602)東海ゴム工業株式会社 (1,983)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(000219602)東海ゴム工業株式会社 (1,983)
【Fターム(参考)】
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