説明

衛星位置決め受信機および代理定位システム

ユーザ端末、特に移動体装置における電力消費を低減するため、衛星位置決め信号が使用不能な場合に地上波ビーコンを代替所在地として使用するシステムおよび方法を紹介する。衛星位置決め信号の導き出す所在地の代替としてビーコンを使用するのに際し、地上波ビーコンの地理的所在地は未知であってよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2009年12月18日出願の米国特許出願番号12/641,807の利益を主張し、その開示内容を参照としてここに組み込む。
【0002】
技術分野
本発明は、一般的には衛星位置決めシステムのための方法および装置に係り、特に、建造物内または衛星位置決め信号が十分に利用できないあらゆる時間もしくは場所における定位を可能にする多数受信機アプローチに係るが、これに限定されるものではない。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
全地球的航法衛星システム(GNSS)(現在運用の例として、米国NavStarのGPSシステムが挙げられる)受信機のような位置決めシステムが、ますます電池式端末(すなわち、ネットブックのパーソナルコンピュータ、移動体無線装置)へ搭載されるようになってきている。周回軌道衛星群により、受信機がユーザ端末の所在地を推定する際に使用する低出力広域電磁波信号を提供する。このような所在地推定は、通常、共同配置された処理ユニットで作動する搭載アプリケーションに設けられる。電池充電、燃料電池充填、または電源交換を行う間の持続期間を最長化するため、定位受信機サブシステムによる電力消費を限定する必要がある。現在、定位受信機サブシステムは、定位基盤アプリケーションにより積極的に要求された場合にのみ作動され、周期的にその出力を下げるようにするため、結果として周期的かつ間欠的な定位測定セットを実施する。
【0004】
既知の信号特性(送信周波数、周波数帯域、復調、フレーミング、フレームレート、ビットパターン)およびブロードキャスト識別子を備えた地上波デジタル無線ビーコンは、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)の形式で使用可能であり、広域セルラーコミュニケーションネットワーク(無線通信ネットワーク(WCNs))が展開されて、ユーザによる同ネットワークへのアクセスを可能にしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発明の概要
本発明は、衛星位置決め信号が利用できない場合に地上波ビーコンを代替所在地として使用することにより、ユーザ端末、特に移動体装置における電力消費を低減する方法および装置に関する。衛星位置決め信号により導き出された所在地の代替としてビーコンを使用するのに、地上波ビーコンの地理的所在地が公知である必要はない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
例えば、実例としての実施形態によると、移動体装置は、GNSS信号を受信するよう構成されたGNSS受信機と、地上波ビーコン信号を受信するよう構成された第2受信機と、コントローラとを備える。同実例としての実施形態において、コントローラは、信号妨害によりGNSS信号が利用できない場合を検知し、それに応じて、受信した地上波ビーコン信号を使用することで以前のGNSS所在地更新が有効であるか否かを判定するよう構成される。本開示の主題の他の実施様態につき、以下に詳細に説明する。
【0007】
図面の簡単な説明
以下の詳細な説明と同様、以上の概要は、添付の図面とともに読むことで一層理解されるものである。本発明を説明する目的で、図面には本発明の一例としての構成を示したが、本発明は、図面に開示の特定の方法および手段に限定されるものではない。図中、
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、 衛星信号送信の代替としてのローカル地上波ビーコンの使用を示すものである。
【図2a】図2aは、衛生信号送信の代替として地上波ビーコンを使用した場合のイベントを描くものである。
【図2b】図2bは、衛星信号送信の代替としての地上波ビーコンの使用を中断した場合のイベントを描くものである。
【図2c】図2cは、衛生信号送信の代替としての地上波ビーコンの使用中断において失敗したケースにおけるイベントを描くものである。
【図3】図3は、移動体または携帯型装置のための、多数受信機による定位可能型サブシステムを描くものである。
【図4】図4は、衛星信号送信の代替としての地上波無線通信システムからのタイミングの使用を示すものである。
【図5】図5は、衛星信号送信の代替としての地上波無線通信システムから受信した出力の使用を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実例としての実施形態の詳細な説明
さて、本発明の実例としての実施形態について説明する。まず、問題の概略につき、詳細に説明を行い、解決策をより詳細に説明する。
【0010】
自己位置決め受信機(定位装置プラットフォーム(LDP)としても周知である)は、定位アプリケーションに対して周期的またはアドホック的に位置推定を作成および送達する際に使用される多数受信機装置である。LDPは、電池動力式であり、従って使用可能な寿命が限定されるものと想定され、電力消費を制限する技術がサービス提供の持続に不可欠である。LDP電気回路は、携帯電話、パーソナルナビゲーションシステムまたは自動車のナビゲーションシステム、または位置認識タグのようなより大きい装置の一部として設計される。代替技術は無線ネットワークとの二重通信を要求しないため、同装置は送信装備を必要としない。
【0011】
信号妨害によりGNSS信号が利用できない場合に、それがGNSS位置更新の失敗に基づき判定され、LDPは、その二次受信機によって受信したビーコン出力、ビーコン識別子、および/または信号タイミングアドバンスまたは往復時間等のネットワークパラメータを使用し、既知のGNSS導出最終位置が依然として有効であるか否かを判定することができる。一定間隔または特定イベントの発生までGNSS検索を中断することにより、GNSS関連の電気回路および処理につき、完全にその出力を下げることができ、電池寿命を延長することができる。
【0012】
A.LDP
多数受信機装置
LDPは多数受信機装置である。GNSS受信機は通常、位置推定に使用される。代替受信機(送受信機の一部であってもよい)は、地上波ビーコンからの信号情報収集に使用される。ソフトウェア無線(SDR)を使用し、多数受信機のエミュレートを行い、GNSSおよび地上波ネットワークのサンプリングを行うことが可能である。性能を向上させるためには、GNSSおよび多数地上波ビーコンの同時サンプリングを可能にするため、2つ以上の受信機を並行して使用することができる。
【0013】
ビーコン
ビーコンとは、事前に確立された方式に応じて、識別情報を含むデータを送信するために確立された周波数または周波数帯域を使用する無線送信機である。ビーコンによるデジタルデータブロードキャストの使用により、同ビーコンとそのネットワークとの識別が可能になる。ネットワークタイミングは、ビーコンから送信されたフレーム(誘導チャンネルまたは同期チャンネル)より展開される。ビーコン送信の例としては、セルラーネットワークのブロードキャスト制御チャンネルおよびIEEE802.11ネットワークのビーコンフレームが挙げられ、またビーコン識別子の例としては、CDMAおよびUMTSセルラーネットワークにおけるセルID、GSM(登録商標)セルラーネットワークにおけるセルグローバル識別子(CGI)、IEEE802.11無線ローカルエリアネットワークにおける基地局識別子(BSSID)が挙げられる。
【0014】
受動的ビーコン出力レベルと近接
LDPは、周期的サンプリングイベント中に、近隣ビーコンの信号強度を測定することによって高精度GNSS位置推定の代替としてビーコンを受動的に使用することができる。GNSS受信機および地上波ビーコン受信機は双方とも同時に情報収集を行うため、代替ビーコンの送信出力を測定し、GNSSの最終測位に記録されたビーコン送信出力と比較することができる。記録されたビーコン出力を使用する閾値セットがLDPによって確立され、代替ビーコンへの動きおよび代替ビーコンからの動きを、続くサンプリング期間中に検知可能である。
【0015】
図1は、衛星信号送信の代替としての、局所的地上波ビーコン(本例では、WiFi(IEEE802.11)ノードのような短距離無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)のアクセスポイント)の使用を示している。図1において、移動体装置101は、無線ブロードキャスト111の損なわれないGNSS衛星群108とともに建造物107の外側に示され、位置判定が可能である。本例では、群108のうち1つの衛星109が、建造物107により妨害されたナビゲーション無線ブロードキャスト信号110とともに示されている。建造物107の外側の移動体装置101受信機によって検知可能なブロードキャスト信号106を伴うWLANノード105が建造物内にある。
【0016】
同移動体装置101を、建造物107内の位置104に103のように移動後の様子を示している。GNSS衛星108のブロードキャスト信号111および109が建造物によって今や妨害されているが、移動体装置101は、WLANノード108から同ブロードキャスト109を依然として検知することができる。ブロードキャスト信号111または110を伴うGNSS衛星群108の個々の構成員は依然として検知されるが、4つ未満の衛星ブロードキャストでは、GNSS基盤位置推定の計算に不十分である。しかしながら、識別可能な局所的ブロードキャスト信号106が依然として検知可能であるため、代替ビーコン送信106が検知可能である限り、最終のGNSS展開位置推定が有効であると見做すことができる。
【0017】
図2aは、以前のGNSS取得位置に対する現在位置の有効性を判定するための代替として地上波ビーコンを使用する際の動作ステップを詳述するものである。
【0018】
GNSS受信機サブシステムは、第1有効GNSS位置を展開しなければならない201。この位置には、緯度、経度、高度、タイミング、および選択的に速度が含まれる。略並行して略同時に、ビーコン受信機サブシステムは、事前に規定された送信帯域における無線ビーコンを検知および識別する202。ビーコンに係る情報としては、送信機識別情報が含まれ、また受信した出力、受信機タイミング、またはその他の信号性質測定を含むこともできる。第1GNSS位置およびビーコンの第1リストが、プロセッササブシステムに送達され、局所的に記憶される203。展開された第1GNSS位置が有効であったため、GNSS展開情報は、定位消費型アプリケーション(図示せず)に引き渡される。一旦GNSS受信機サブシステムが第1GNSS位置を送達すると、GNSS受信機システムは、次の更新が要求されるまで、省電力スリープモードへの切り替えがなされる204。位置更新の要求頻度は、プロセッササブシステムを介して定位消費型アプリケーションにより設定される。ビーコン受信機サブシステムもまた、次の更新が要求されるまで、省電力スリープモードへの切り替えがなされる205。GNSS受信機サブシステムが有効なGNSS測位の間、ビーコン受信機サブシステムがGNSS受信機サブシステムと並行して起動される。
【0019】
GNSS受信機サブシステムが有効なGNSS測位に失敗した場合206、それに応じて、ビーコン受信機サブシステムは検知および識別可能なビーコンの現在のリストを同時作成する207。この場合、コントローラが、現在のビーコンリストを、最終的に有効なGNSSの決定に対して時間的に関連付けられた先行ビーコンリストと比較する。
【0020】
この一例としてのケースにおいて、現在のビーコンリストと先行のビーコンリストとの双方に範囲の制限されたビーコン(例えば、IEEE802.11のWiFiノード)が存在する場合、コントローラは、誤差半径の増大した最終的に有効なGNSS位置を再度使用することができる。誤差半径は、ビーコン種別(例えば、802.11において、バージョン「n」のアクセスポイントが200メートル拡張範囲を有する一方で、バージョン「b」および「g」のアクセスポイントは通常100メートルの最大範囲を有する。またブルートゥース、RFID、および超広域帯(UWB)を使用するもの等、その他のWLANもしくはビーコン技術は数十メートルのより狭い範囲を有する。)または周波数帯域(信号周波数が増すと同範囲は狭まる)に応じて変化する。
【0021】
コントローラは、ビーコンリストの検討に基づき、最終的に有効なGNSSの決定が依然として有効である旨の判定を行うと、GNSS受信機サブシステムをオフに切り替え210、トリガ条件を設定することにより、後にトリガ条件が満たされると、GNSS定位の再起動および再試行を行う。ビーコン受信機サブシステムは、コントローラにより、省電力状態への遷移が命じられる211。
【0022】
図2bは、トリガイベント後のGNSS定位再開に成功した例を示すものである。この状況において、GNSS受信機サブシステムは、電源がオフされると始動する210。コントローラはGNSS再試行のトリガイベントを検知する。このようなGNSS再試行のトリガイベントは、本文書の後半に詳述する。GNSS再試行イベントの主要例としては、図2bに示すように、ビーコン受信機サブシステムがコントローラに送信する新たなビーコンリストを作成する211。コントローラは、新たなビーコンリストにおいて事前に選択された代替ビーコンが欠落している旨を検知する。代替ビーコンまたは選択されたビーコンが、もはや継続的に所在地の有効性を保証するものでないために、GNSS再起動および再試行が許可される212。
【0023】
GNSSの再起動および再試行213は名目上、コントローラが、GNSS受信機サブシステムに記憶されたアルマナックおよびエフェメリスデータに加えて現在時刻および最終的に有効な所在地をアップロードするホットスタートである。本例においては、ホットスタート後、GNS受信機は位置決めの実施に成功すると201、GNSSの生成情報を記憶してアプリケーションに引き渡すコントローラに対して引き渡す214。コントローラは、ビーコン受信機サブシステムに対して命令を行い、ビーコンを再スキャンさせる213。ビーコン受信機サブシステムは、検知および識別可能なビーコンをスキャンし、省電力スリープモードに切り替わる前に、コントローラに対してその判定リストの報告を行う211。コントローラは、新たなビーコンリストとタイムスタンプとを記憶する216。
【0024】
図2cは、トリガイベント後のGNSS定位再開に失敗した例を描くものである。この状況において、GNSS受信機サブシステムは、電源がオフになると始動する210。コントローラはGNSS再試行のトリガイベントを検知する。本例の場合、図2cに示すように、ビーコン受信機サブシステムは、コントローラに送信される新たなビーコンリストを作成する211。新たなビーコンリスト中、事前判定された代替ビーコンが欠落しているとこれがトリガとなって、コントローラはGNSSサブシステムの再試行を行う212。
【0025】
GNSS再起動および再試行213は名目上、コントローラがGNSS受信機サブシステムに記憶されたアルマナックおよびエフェメリスデータに加えて、現在時刻および最終的に有効な所在地をアップロードするホットスタートである。本例においては、ホットスタート後、GNS受信機がGNSS測位に失敗する215。この新たなGNSS位置作成の失敗は、コントローラに伝えられ、コントローラはアプリケーションに対して現在の所在地が未知または不確実である旨を信号通知する216。
【0026】
図3は、定位装置プラットフォーム(LDP)の機能要素を描いたものである。GNSS受信機サブシステム(GRS)301は、データバス308を介してマイクロプロセッサ基盤のコントローラ302に接続された市販の省電力GPSチップセットである。
【0027】
ビーコン受信機サブシステム(BRS)304は、シリアル周辺インタフェース(SPI)等のデータバス308を介してマイクロプロセッサ基盤のコントローラ302に接続された市販の省電力WLANもしくは無線受信機である。GRS301およびBRS304は、機能的には個別の受信機であるが、アンテナおよび電気回路を共有してもよい。
【0028】
クロック305は、市販で入手可能なクロックモジュールである。トリガイベント、単位コスト、および電力消費に関する設計者の選択に応じて、クロックは温度補償水晶発振器のような非常に安定的なクロックから、安定性には欠けるものの安価な水晶ベースのリアルタイムクロックまで使用できる。クロック305は、GRS301からのGNSS導出タイミング信号が可能な場合にそれを使用して、コントローラによって設定されて遵守される。クロック305を使用して、GRS301、BRS304、およびコントローラ302の省電力スリープ期間を判定するようにしてもよい。クロックモジュール305がこのように選択されると、GRS301に参照GNSSシステム時間を提供し、決定時間を早めることができる。
【0029】
コントローラ302は、LDPの決定ロジックに対して演算プラットフォームを提供するのに加え、サブシステム間のデータ転送を扱う市販の省電力マイクロプロセッサである。あるいは、コントローラ302は、補助サブシステム306の一部として設けられたプロセッサにおいて作動するソフトウェアプログラムとして実現されてもよい。
【0030】
ローカルメモリ303を使用して、BRS304により判定されたビーコン情報に加え、GRS301からのアルマナックおよびエフェメリスデータを記憶してもよい。
【0031】
補助サブシステム306が備えられ、LDPがその一部を成すより大きな装置を表す。補助サブシステム306は、マイクロプロセッサ、揮発性および不揮発性メモリ、ソフトウェアアプリケーション、バッテリモニタ、ディスプレイ、および提供された所在地情報を使用もしくは操作する入力を備えることができる。
【0032】
携帯電話システムのような広域通信ネットワークからのブロードキャストは、代替ビーコンとして機能するのに適している。非常に小さな基地局(フェムトセル)は、その範囲および出力においてWLANノードと類似している。より大きく、より広域の基地局は、高出力で送信を行い、建造物内でのサービスを可能にする。セルラーブロードキャストは、特定の帯域において、特定の帯域幅および変調を用いて標準化される。セルラーブロードキャストは、セルまたはセルのセクターからの送信の区別を可能にする識別子(セルグローバルアイデンティティ(GSM)、セルアイデンティティ(UMTS)、およびベースID(CDMA2000)を含む。相対到達出力差および相対到達時間差に係る技術により、セルラー送信機の所在地もしくは出力が未知であっても、その動きもしくは位置変化の検知が可能となる。
【0033】
図4は、GNSS展開位置推定の代替としての広域セルラーネットワークにより提供されたビーコン信号の使用を描いたものである。移動体装置401はまず、建造物403の外側のポイント402に配置されている。GNSS群413からのブロードキャスト無線信号414は、第1ポイント402において使用可能であり、有効な所在地、速度、高度、および時刻推定が可能である。セルラーシステム405、406、407、408からのブロードキャスト信号も第1ポイント402において使用可能である。しばらくして、移動体装置401は、建造物403内の第2ポイント404へと415のように移動される。GNSS群413からのブロードキャスト信号414は、今や周辺構造403によって妨害されることとなる。セルラーネットワーク405、406、407、408からの高出力ブロードキャスト信号409、410、411、412は建造物を貫通することができ、移動体装置401は代替としてブロードキャスト信号409、410、411、412を使用することができる。
【0034】
本例における代替は、ブロードキャスト信号409、410、411、412間の相対時間差に基づくものである。セルラーネットワーク送信機の所在地が未知であるため、相対タイミング差から所在地を算出することはできないが、第1位置402および第2位置404で受信したこれらの間の相対タイミング差を使用して、大体の位置変化を判定することができ、それ故、有効であったGNSS測位が依然として有効であると見做すことができるか否かを判定することができるのである。
【0035】
図5は、GNSS展開所在地推定の代替として広域セルラーネットワークにより提供されたビーコン信号の使用を描いたものである。移動体装置501はまず、建造物505の外側のポイント502に配置される。GNSS群519からのブロードキャスト無線信号520が第1ポイント502において使用可能であり、有効な所在地、速度、高度、および時刻推定が可能である。セルラーシステム506、507、508、509からのブロードキャスト信号も、第1ポイント502にて使用可能である。しばらくして、移動体装置501は、建造物505内の第2ポイント504へと503のように移動する。GNSS群514からのブロードキャスト信号515が、今や周辺構造物505によって妨害されている。セルラーネットワーク506、507、508、509からの高出力ブロードキャスト信号510、511、512、513は建造物を貫通することができ、移動体装置501は代替としてブロードキャスト信号510、511、512、513を使用することができる。
【0036】
本例における代替は、ブロードキャスト信号510、511、512、513間の相対出力差に基づくものである。セルラーネットワーク送信機の所在地および送信出力が未知であるため、出力差から所在地を算出することはできないが、第1位置502と第2位置504において受信したこれらの間の相対出力差を使用して、大体の位置変化を判定することができ、それ故、第1位置502から有効であったGNSS測位が依然として有効であると見做すことができるか否かを判定することができるのである。これらの相対出力差は、一連の双曲線515、516、517、518として示されている。
【0037】
B.GNSS再試行のトリガイベント
代替ビーコントリガの喪失
最終的に有効な既知のGNSS位置の代替としてブロードキャスト信号を使用する場合、その代替がもはや検知不能であると、GNSSの再試行が開始される。
【0038】
ホットスタートトリガの喪失が差し迫った場合
GNSS受信機(本例ではGPS受信機)は、衛星ブロードキャストよりアルマナックおよびエフェメリスデータを収集する。GPSアルマナックは、アクティブ状態のすべてのGPS衛星についての軌道パラメータを含み、すべての衛星によりブロードキャストされる。精密なGPSアルマナックデータが急遽必要となる訳ではないため、GPSアルマナックデータは数ヶ月の間、有効であると見做すことができる。
【0039】
エフェメリスデータは、各GPS衛星による30秒ごとの非常に精密な軌道およびクロックの補正ブロードキャストであり、通常、各個別の衛星ブロードキャストより収集される。エフェメリスデータは、時間的制約があるものであり、高頻度で(例えば、30分未満で)更新されなければならず、さもなければ正確な所在地推定ができなくなってしまう。
【0040】
GNSS受信機が新たなアルマナックおよびエフェメリスを収集しなければならない「コールドスタート」状況、もしくは所在地推定算出前に、GNSS受信機が新たなエフェメリスデータを収集しなければならない「ウォームスタート」を避けるため、LDPは、GNSS受信機サブシステムを周期的に起動して、新しいGNSS所在地推定を試みるようにする。
【0041】
衛星更新トリガ
有効な各衛星からエフェメリスデータが収集されると、タイムスタンプが付与される。LDP内では、時間、衛星ID、およびエフェメリスデータのデータベースへの入力が行われる。エフェメリスデータが制限時間(名目上、30分)を超えた場合、その衛星についてのデータが古い旨のマークが付される。新しいGNSS定位のトリガが設定され、データベースの入力が古い旨のマークが付される前に、衛星信号収集および所在地推定を行うようにする。このトリガに基づく方法は、最初のコールドスタート後、新しく有効となった衛星に対してのみ、あるいは各データベース入力に対するガード時間(名目上、15分)が超過した場合に、GNSS受信機により衛星エフェメリスデータが収集されるといった方式に基づく。
【0042】
アルマナックデータに基づく、経時的な衛星の有効性に関する予測モデルを使用して、衛星が水平線上を移動する際、データベースへのエフェメリス入力を無効にするようにしてもよい。この予測された挙動は、衛星が使用不能であるとの予測前における定位の引き金となり得る。
【0043】
単発タイマ超過トリガ
GNSS代替定位有効技術は、任意の有効性タイマのサポートが可能である。代替の喪失がなかったとしても、GNSS位置決めの再試行が試みられる。これは再設定可能なタイマである。
【0044】
進行性GPS再試行の(時限)トリガ
GNSS代替定位有効技術は、任意またはホットスタートの有効性タイマのサポートが可能である。代替の喪失がなかったとしても、GNSS位置決めの再試行が試みられる。また失敗のたびに、再試行間の間隔が短縮される。
【0045】
ドリフトトリガ
代替ビーコン出力が閾値を超えて変化(増減)した場合、または受信した相対ビーコン出力または信号タイミングにおける変化により、GNSS再試行を要求することができる。
【0046】
近隣トリガ
代替ビーコンリストが変化した場合、GNSS再試行を要求することができる。この技術は特に、WLANノードを代替ビーコンとして使用する際に有用である。
【0047】
最後のトリガ
装置の電池モニタが、電源が少なくなっている旨を信号報知した場合、GNSS再試行を要求することができる。このトリガは特に、永続的な不揮発性メモリを備えた所在地認識タグにおいて有用である。
【0048】
C.その他の実施形態−通信送受信機を備えたLDP装置
登録再試行
LDPが、ビーコン受信機サブシステムの替わりに無線通信送受信機を備えている場合、ビーコン識別情報、タイミングおよび受信した出力以外の無線通信ネットワーク(WCN)情報を使用して、GNSSの有効性拡張判定に係る代替技術を実施することができる。具体的には、受信信号強度(RSS)、タイミングアドバンス(TA)、往復時間(RTT)、または往復遅延(RTD)等のデータが、WCNに登録したLDPに対して有効となる。LDPは適合のセルラー装置でないため、多数のビーコンからタイミングおよび信号データを集めるべく、 LDPはセルラーネットワークへの接続を再試行することができる。
【0049】
ビーコンタイミングのアクティブ状態判定
無線通信送受信機を備えたLDPは、無線通信ネットワーク(WCN)とのアクティブなセッションを成立させる能力を有している。アクティブなセッションはWCNを介したデータパスを成立させる必要がなく、LDPに対して、WCNの提供するサービスおよび対応のホームサーバへの加入を要求するものである。より正確に言えば、LDPはセッション開始の失敗を利用して、ブロードキャストビーコン上で使用不能なWCNからの情報を受信することができる。
【0050】
この付加的情報は、往復時間から推定されたタイミングアドバンス(TA)または往復時間(RTT)そのもの、受信信号強度インジケータ(RSSI)、周波数に係る詳細、または近隣ビーコンの識別子を含み得る。タイミングおよび信号出力情報を使用して、直接動作判定を行うことができ、また近隣ビーコン情報を使用して、LDP代替受信機の再調整、および各ビーコンに対するタイミングおよび/または出力測定の展開を行うことができる。追加されたタイミングおよび出力に係る情報はまた、GNSSにつき最終的に得られた位置を無効化する動作の検知に使用されることもある。
【0051】
D.結論
本発明の実際の範囲は、本明細書に開示の現在好ましいと判断される実施形態に限定されるものでない。多くの場合、本明細書に記述の実現(機能要素)様態は、単に設計者の選択によるものであり、必ずしも要求されるものでない。さらに、本明細書を読んだ当業者にとって、前述の実施形態に対する修正および変更が加えられることは明らかである。従って、明示のない限り、以下の請求項の保護範囲は、前述の特定の実施形態に限定されるものでない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体装置であって、
GNSS信号を受信するよう構成された全地球的航法衛星システム(GNSS)受信機と、
地上波ビーコン信号を受信するよう構成された第2受信機と、
前記GNSS受信機および前記第2受信機に対して動作可能に連結されたコントローラとを備え、
前記コントローラは、GNSS信号が信号妨害により使用不能になる時を検知し、それに応じて、受信した地上波ビーコン信号を使用して前回のGNSS所在地更新が有効であるか否かを判定するよう構成されることを特徴とする移動体装置。
【請求項2】
前記コントローラはさらに、前記第2受信機を採用することにより、前記地上波ビーコンからネットワークパラメータを取得し、既知の最終GNSS導出位置が依然として有効であるか否かを判定するよう構成されることを特徴とする請求項1に記載の移動体装置。
【請求項3】
前記ネットワークパラメータは、ビーコン出力、ビーコン識別子、タイミングアドバンス、および往復時間の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項2に記載の移動体装置。
【請求項4】
前記コントローラはさらに、GNSS信号が使用不能である旨の検知に応じて、GNSS検索を中断し、前記GNSS受信機の出力を下げるよう構成されることを特徴とする請求項1に記載の移動体装置。
【請求項5】
前記移動体装置は、携帯電話に搭載されることを特徴とする請求項1に記載の移動体装置。
【請求項6】
前記移動体装置は、パーソナルナビゲーションシステムまたは自動車のナビゲーションシステムに搭載されることを特徴とする請求項1に記載の移動体装置。
【請求項7】
前記移動体装置は、タグ装置に搭載されることを特徴とする請求項1に記載の移動体装置。
【請求項8】
前記移動体装置は、電池動力式であることを特徴とする請求項1に記載の移動体装置。
【請求項9】
前記GNSS受信機および前記第2受信機は、ソフトウェア無線(SDR)において実現されることを特徴とする請求項1に記載の移動体装置。
【請求項10】
前記移動体装置は、受信したビーコン信号を介してデータを受信するよう構成され、
前記受信したデータは、ビーコンおよびそのネットワークを識別する情報を含むことを特徴とする請求項1に記載の移動体装置。
【請求項11】
前記移動体装置はさらに、前記ビーコンから送信されたフレームより、ネットワークタイミングを判定するよう構成されることを特徴とする請求項10に記載の移動体装置。
【請求項12】
前記移動体装置はさらに、前記ビーコンより、誘導チャンネル信号と同期チャンネル信号のうちの少なくとも1つを受信するよう構成されることを特徴とする請求項11に記載の移動体装置。
【請求項13】
前記移動体装置はさらに、セルラーネットワークのブロードキャスト制御チャンネルおよびIEEE802.11ネットワークのビーコンフレームのうちの少なくとも1つを含むビーコン送信を受信するよう構成されることを特徴とする請求項11に記載の移動体装置。
【請求項14】
前記移動体装置はさらに、CDMAまたはUMTSセルラーネットワークにおけるセルID、GSMセルラーネットワークにおけるセルグローバル識別子(CGI)、およびIEEE802.11無線ローカルエリアネットワークにおける基地局識別子のうちの少なくとも1つを含むビーコン識別子を受信するよう構成されることを特徴とする請求項11に記載の移動体装置。
【請求項15】
前記移動体装置はさらに、周期的サンプリングイベント中に近隣ビーコンから受信した信号の強度を測定および比較することにより、多数のビーコンから受信したビーコン信号を高精度GNSS所在地推定の代替として受動的に使用するよう構成されることを特徴とする請求項1に記載の移動体装置。
【請求項16】
前記移動体装置はさらに、以下のステップを含むプロセスを実施することにより、前回のGNSS所在地更新が有効であるか否かを判定するよう構成され、
前記以下のステップとは、
前記GNSS受信機を用いて、緯度、経度、高度、およびタイミングを含む第1の有効GNSS位置を展開するステップと、
並行して、前記第2受信機を用いて、事前に規定された送信帯域における1つ以上の無線ビーコンを検知および識別するステップと、
前記第1の有効GNSS位置および第1ビーコンリストを、前記移動体装置内に局所的に記憶するステップと、
前記GNSS位置情報を、定位消費型アプリケーションに引き渡すステップと、
前記GNSS受信機を、前記定位消費型アプリケーションによって判定された次の更新要求時まで、省電力スリープモードに切り替えるステップと、
前記第2受信機を、次の更新要求時まで、省電力スリープモードに切り替えるステップと、
前記GNSS受信機が有効なGNSS測位に失敗したと判定すると、前記第2受信機が検知および識別可能な現在のビーコンリストを作成するステップと、
前記現在のビーコンリストを、前記最終的に有効なGNSS決定と時間的に関連付けられた前回のビーコンリストと比較するステップと、
前記現在および前回の双方のビーコンリストにおいて限定範囲のビーコンの存在を判定すると、前記移動体装置が、前記最終的に有効なGNSS位置を再使用し、前記GNSS受信機をオフに切り替え、トリガ条件を設定して、後にこのトリガ条件が満たされたときにGNSS定位を再起動および再試行するステップとであることを特徴とする請求項1に記載の移動体装置。
【請求項17】
前記移動体装置はさらに、以下のステップを含むプロセスを実施することにより、トリガイベント後のGNSS定位を再始動するよう構成され、
前記以下のステップとは、
GNSS再試行のトリガイベントを検知するステップと、
前記コントローラが、前記GNSS受信機に対して、現在時刻、最終的に有効な所在地、および記憶されたアルマナックおよびエフェメリスデータをアップロードするステップと、
前記GNS受信機が位置決めに成功すると、GNSSの生成した情報が記憶され、かつ前記定位消費型アプリケーションに引き渡されるステップと、
前記第2受信機が検知および識別可能なビーコンをスキャンし、前記コントローラに対してリスト報告を行い、その後、前記省電力スリープモードへと切り替わるステップと、
新たなビーコンリストおよびタイムスタンプを記憶するステップとであることを特徴とする請求項16に記載の移動体装置。
【請求項18】
前記移動体装置はさらに、前記GNSS受信機および前記第2受信機の双方を使用して各受信機から同時に情報を収集し、ビーコン送信出力を測定して該測定値を前回のGNSS測位において記録されたビーコン送信出力と比較し、該比較に基づいてビーコンへ向かう動作あるいはビーコンから離間する動作を検知するよう構成されることを特徴とする請求項1に記載の移動体装置。
【請求項19】
前記移動体装置はさらに、 下のステップを含むプロセスを実施することにより、前回のGNSS所在地更新が有効であるか否かを判定するよう構成され、
前記以下のステップとは、
前記GNSS受信機を用いて、緯度、経度、高度、およびタイミングを含む第1の有効GNSS位置を展開するステップと、
並行して、前記第2受信機を用いて、事前に規定された送信帯域においてセルラーネットワーク送信機からのブロードキャスト信号を含んだ1つ以上の無線ビーコンを検知および識別するステップと、
前記GNSS位置情報を、定位消費型アプリケーションに引き渡すステップと、
前記GNSS受信機を、前記定位消費型アプリケーションによって判定された次の更新要求時まで、省電力スリープモードに切り替えるステップと、
前記第2受信機を、次の更新要求時まで、省電力スリープモードに切り替えるステップと、
前記GNSS受信機が有効なGNSS測位に失敗したと判定すると、前記第2受信機が検知および識別可能な現在のビーコンリストを作成するステップと、
前記現在のビーコンリストを、前記最終的に有効なGNSS決定と時間的に関連付けられた前回のビーコンリストと比較し、ビーコン信号間の相対時間差および相対出力差のうちのいずれかを使用して凡その位置変化を判定するステップと、
前記凡その位置変化に基づき、前記移動体装置が最終的に有効であったGNSS位置の有効性を判定するステップとであることを特徴とする請求項1に記載の移動体装置。
【請求項20】
前記第2受信機は、通信送受信機において実現されることを特徴とする請求項1に記載の移動体装置。
【請求項21】
前記移動体装置は、前記通信送受信機を用いて、多数のビーコンからタイミングおよび信号データを回収するためにセルラーネットワークへの接続を再試行するよう構成されることを特徴とする請求項20に記載の移動体装置。
【請求項22】
前記移動体装置は、前記通信送受信機を用いて、セルラーネットワークとのアクティブなセッションを成立させ、セッション開始の失敗を使用してブロードキャストビーコン上で使用不能なネットワークからの追加情報を受信するよう構成されることを特徴とする請求項20に記載の移動体装置。
【請求項23】
前記追加情報は、タイミングアドバンス(TA)、受信信号強度インジケータ(RSSI)、および近隣ビーコンの周波数または識別子に係る詳細のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項22に記載の移動体装置。
【請求項24】
移動体装置の所在地判定に使用する方法であって、
前記移動体装置と関連付けられた全地球的航法衛星システム(GNSS)受信機を採用することにより、全地球的航法衛星システム(GNSS)の信号を受信するステップと、
前記移動体装置と関連付けられた第2受信機を採用することにより、地上波ビーコン信号を受信するステップと、
前記移動体装置と関連付けられたコントローラを採用することにより、GNSS信号が信号妨害により使用不能になる時を検知し、それに応じて、受信した地上波ビーコン信号を使用して前回のGNSS所在地更新が有効であるか否かを判定するステップとを備えることを特徴とする方法。
【請求項25】
前記第2受信機を採用することにより、前記地上波ビーコンからネットワークパラメータを取得し、既知の最終GNSS導出位置が依然として有効であるか否かを判定するステップをさらに備えることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記ネットワークパラメータは、ビーコン出力、ビーコン識別子、タイミングアドバンス、および往復時間の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項27】
GNSS信号が使用不能である旨の検知に応じて、GNSS検索を中断し、前記GNSS受信機の出力を下げるステップをさらに備えることを請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記移動体装置は、携帯電話に搭載されることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項29】
前記移動体装置は、パーソナルナビゲーションシステムまたは自動車のナビゲーションシステムに搭載されることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項30】
前記移動体装置は、タグ装置に搭載されることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項31】
前記移動体装置は、電池動力式であることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項32】
前記GNSS受信機および前記第2受信機は、ソフトウェア無線(SDR)において実現されることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項33】
受信したビーコン信号を介してデータを受信するステップをさらに備え、
前記受信したデータは、ビーコンおよびそのネットワークを識別する情報を含むことを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項34】
前記ビーコンから送信されたフレームより、ネットワークタイミングを判定するステップをさらに備えることを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記ビーコンより、誘導チャンネル信号と同期チャンネル信号のうちの少なくとも1つを受信するステップをさらに備えることを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項36】
セルラーネットワークのブロードキャスト制御チャンネルおよびIEEE802.11ネットワークのビーコンフレームのうちの少なくとも1つを含むビーコン送信を受信するステップをさらに備えることを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項37】
CDMAまたはUMTSセルラーネットワークにおけるセルID、GSMセルラーネットワークにおけるセルグローバル識別子(CGI)、およびIEEE802.11無線ローカルエリアネットワークにおける基地局識別子のうちの少なくとも1つを含むビーコン識別子を受信するステップをさらに備えることを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項38】
周期的サンプリングイベント中に近隣ビーコンから受信した信号の強度を測定および比較することにより、多数のビーコンから受信したビーコン信号を高精度GNSS所在地推定の代替として受動的に使用するステップをさらに備えることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項39】
以下のステップを含むプロセスを実施することにより、前回のGNSS所在地更新が有効であるか否かを判定するステップをさらに備え、
前記以下のステップとは、
前記GNSS受信機を用いて、緯度、経度、高度、およびタイミングを含む第1の有効GNSS位置を展開するステップと、
並行して、前記第2受信機を用いて、事前に規定された送信帯域における1つ以上の無線ビーコンを検知および識別するステップと、
前記第1の有効GNSS位置および第1ビーコンリストを、前記移動体装置内に局所的に記憶するステップと、
前記GNSS位置情報を、定位消費型アプリケーションに引き渡すステップと、
前記GNSS受信機を、前記定位消費型アプリケーションによって判定された次の更新要求時まで、省電力スリープモードに切り替えるステップと、
前記第2受信機を、次の更新要求時まで、省電力スリープモードに切り替えるステップと、
前記GNSS受信機が有効なGNSS測位に失敗したと判定すると、前記第2受信機が検知および識別可能な現在のビーコンリストを作成するステップと、
前記現在のビーコンリストを、前記最終的に有効なGNSS決定と時間的に関連付けられた前回のビーコンリストと比較するステップと、
前記現在および前回の双方のビーコンリストにおいて限定範囲のビーコンの存在を判定すると、前記移動体装置が、前記最終的に有効なGNSS位置を再使用し、前記GNSS受信機をオフに切り替え、トリガ条件を設定して、後にこのトリガ条件が満たされたときにGNSS定位を再起動および再試行するステップとであることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項40】
以下のステップを含むプロセスを実施することにより、前記装置がトリガイベント後のGNSS定位を再始動するステップをさらに備え、
前記以下のステップとは、
GNSS再試行のトリガイベントを検知するステップと、
前記コントローラが、前記GNSS受信機に対して、現在時刻、最終的に有効な所在地、および記憶されたアルマナックおよびエフェメリスデータをアップロードするステップと、
前記GNS受信機が位置決めに成功すると、GNSSの生成した情報が記憶され、かつ前記定位消費型アプリケーションに引き渡されるステップと、
前記第2受信機が検知および識別可能なビーコンをスキャンし、前記コントローラに対してリスト報告を行い、その後、省電力スリープモードへと切り替わるステップと、
新たなビーコンリストおよびタイムスタンプを記憶するステップとであることを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記GNSS受信機および前記第2受信機の双方を使用して各受信機から同時に情報を収集し、ビーコン送信出力を測定して該測定値を前回のGNSS測位において記録されたビーコン送信出力と比較し、該比較に基づいて前記ビーコンへ向かう動作あるいはビーコンから離間する動作を検知するステップをさらに備えることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項42】
以下のステップを含むプロセスを実施することにより、前記装置により前回のGNSS所在地更新が有効であるか否かを判定するステップをさらに備えることを特徴とする請求項24に記載の方法、
【請求項43】
前記第2受信機は、通信送受信機において実現されることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項44】
前記通信送受信機を用いて、多数のビーコンからタイミングおよび信号データを回収するためにセルラーネットワークへの接続を再試行するステップをさらに備えることを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記通信送受信機を用いて、セルラーネットワークとのアクティブなセッションを成立させ、セッション開始の失敗を使用してブロードキャストビーコン上で使用不能なネットワークからの追加情報を受信するステップをさらに備えることを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項46】
前記追加情報は、タイミングアドバンス(TA)、受信信号強度インジケータ(RSSI)、および近隣ビーコンの周波数または識別子に係る詳細のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項45に記載の方法。
【請求項47】
移動体装置の所在地判定に使用するシステムであって、
前記移動体装置と関連付けられた全地球的航法衛星システム(GNSS)受信機を採用することにより、全地球的航法衛星システム(GNSS)の信号を受信する手段と、
前記移動体装置と関連付けられた第2受信機を採用することにより、地上波ビーコン信号を受信する手段と、
前記移動体装置と関連付けられたコントローラを採用することにより、GNSS信号が信号妨害により使用不能になる時を検知し、それに応じて、受信した地上波ビーコン信号を使用して前回のGNSS所在地更新が有効であるか否かを判定する手段とを備えることを特徴とするシステム。
【請求項48】
前記第2受信機を採用することにより、前記地上波ビーコンからネットワークパラメータを取得し、既知の最終GNSS導出位置が依然として有効であるか否かを判定する手段をさらに備えることを特徴とする請求項47に記載のシステム。
【請求項49】
前記ネットワークパラメータは、ビーコン出力、ビーコン識別子、タイミングアドバンス、および往復時間の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項48に記載のシステム。
【請求項50】
GNSS信号が使用不能である旨の検知に応じて、GNSS検索を中断し、前記GNSS受信機の出力を下げる手段をさらに備えることを請求項47に記載のシステム。
【請求項51】
前記移動体装置は、携帯電話、パーソナルナビゲーションシステムまたは自動車のナビゲーションシステム、およびタグ装置のうちの一つに搭載され、
前記移動体装置は、電池動力式であることを特徴とする請求項47に記載のシステム。
【請求項52】
前記GNSS受信機および前記第2受信機は、ソフトウェア無線(SDR)において実現されることを特徴とする請求項47に記載のシステム。
【請求項53】
受信したビーコン信号を介してデータを受信する手段をさらに備え、
前記受信したデータは、ビーコンおよびそのネットワークを識別する情報を含むことを特徴とする請求項47に記載のシステム。
【請求項54】
前記ビーコンから送信されたフレームより、ネットワークタイミングを判定する手段をさらに備えることを特徴とする請求項53に記載のシステム。
【請求項55】
前記ビーコンより、誘導チャンネル信号と同期チャンネル信号のうちの少なくとも1つを受信する手段をさらに備えることを特徴とする請求項54に記載のシステム。
【請求項56】
セルラーネットワークのブロードキャスト制御チャンネルおよびIEEE802.11ネットワークのビーコンフレームのうちの少なくとも1つを含むビーコン送信を受信する手段をさらに備えることを特徴とする請求項54に記載のシステム。
【請求項57】
CDMAまたはUMTSセルラーネットワークにおけるセルID、GSMセルラーネットワークにおけるセルグローバル識別子(CGI)、およびIEEE802.11無線ローカルエリアネットワークにおける基地局識別子のうちの少なくとも1つを含むビーコン識別子を受信する手段をさらに備えることを特徴とする請求項54に記載のシステム。
【請求項58】
周期的サンプリングイベント中に近隣ビーコンから受信した信号の強度を測定および比較することにより、多数のビーコンから受信したビーコン信号を高精度GNSS所在地推定の代替として受動的に使用する手段をさらに備えることを特徴とする請求項47に記載のシステム。
【請求項59】
以下のステップを含むプロセスを実施することにより、前記システムにより前回のGNSS所在地更新が有効であるか否かを判定する手段をさらに備え、
前記以下のステップとは、
前記GNSS受信機を用いて、緯度、経度、高度、およびタイミングを含む第1の有効GNSS位置を展開するステップと、
並行して、前記第2受信機を用いて、事前に規定された送信帯域における1つ以上の無線ビーコンを検知および識別するステップと、
前記第1の有効GNSS位置および第1ビーコンリストを、前記移動体装置内に局所的に記憶するステップと、
前記GNSS位置情報を、定位消費型アプリケーションに引き渡すステップと、
前記GNSS受信機を、前記定位消費型アプリケーションによって判定された次の更新要求時まで、省電力スリープモードに切り替えるステップと、
前記第2受信機を、次の更新要求時まで、省電力スリープモードに切り替えるステップと、
前記GNSS受信機が有効なGNSS測位に失敗したと判定すると、前記第2受信機が検知および識別可能な現在のビーコンリストを作成するステップと、
前記現在のビーコンリストを、前記最終的に有効なGNSS決定と時間的に関連付けられた前回のビーコンリストと比較するステップと、
前記現在および前回の双方のビーコンリストにおいて限定範囲のビーコンの存在を判定すると、前記移動体装置が、前記最終的に有効なGNSS位置を再使用し、前記GNSS受信機をオフに切り替え、トリガ条件を設定して、後にこのトリガ条件が満たされたときにGNSS定位を再起動および再試行するステップとであることを特徴とする請求項47に記載のシステム。
【請求項60】
以下のステップを含むプロセスを実施することにより、前記装置によりトリガイベント後のGNSS定位を再始動する手段をさらに備え、
前記以下のステップとは、
GNSS再試行のトリガイベントを検知するステップと、
前記コントローラが、前記GNSS受信機に対して、現在時刻、最終的に有効な所在地、および記憶されたアルマナックおよびエフェメリスデータをアップロードするステップと、
前記GNS受信機が位置決めに成功すると、GNSSの生成した情報が記憶され、かつ前記定位消費型アプリケーションに引き渡されるステップと、
前記第2受信機が検知および識別可能なビーコンをスキャンし、前記コントローラに対してリスト報告を行い、その後、前記省電力スリープモードへと切り替わるステップと、
新たなビーコンリストおよびタイムスタンプを記憶するステップとであることを特徴とする請求項59に記載のシステム。
【請求項61】
前記GNSS受信機および前記第2受信機の双方を使用して各受信機から同時に情報を収集し、ビーコン送信出力を測定して該測定値を前回のGNSS測位において記録されたビーコン送信出力と比較し、該比較に基づいて前記ビーコンへ向かう動作あるいはビーコンから離間する動作を検知する手段をさらに備えることを特徴とする請求項47に記載のシステム。
【請求項62】
以下のステップを含むプロセスを実施することにより、前記装置により前回のGNSS所在地更新が有効であるか否かを判定する手段をさらに備え、
前記以下のステップとは、
前記GNSS受信機を用いて、緯度、経度、高度、およびタイミングを含む第1の有効GNSS位置を展開するステップと、
並行して、前記第2受信機を用いて、事前に規定された送信帯域においてセルラーネットワーク送信機からのブロードキャスト信号を含んだ1つ以上の無線ビーコンを検知および識別するステップと、
前記GNSS位置情報を、定位消費型アプリケーションに引き渡すステップと、
前記GNSS受信機を、前記定位消費型アプリケーションによって判定された次の更新要求時まで、省電力スリープモードに切り替えるステップと、
前記第2受信機を、次の更新要求時まで、省電力スリープモードに切り替えるステップと、
前記GNSS受信機が有効なGNSS測位に失敗したと判定すると、前記第2受信機が検知および識別可能な現在のビーコンリストを作成するステップと、
前記現在のビーコンリストを、前記最終的に有効なGNSS決定と時間的に関連付けられた前回のビーコンリストと比較し、ビーコン信号間の相対時間差および相対出力差のうちのいずれかを使用して凡その位置変化を判定するステップと、
前記凡その位置変化に基づき、前記移動体装置が最終的に有効であったGNSS位置の有効性を判定するステップとであることを特徴とする請求項47に記載のシステム。
【請求項63】
前記第2受信機は、通信送受信機において実現されることを特徴とする請求項47に記載のシステム。
【請求項64】
前記通信送受信機を用いて、多数のビーコンからタイミングおよび信号データを回収するためにセルラーネットワークへの接続を再試行する手段をさらに備えることを特徴とする請求項63に記載のシステム。
【請求項65】
前記通信送受信機を用いて、セルラーネットワークとのアクティブなセッションを成立させ、セッション開始の失敗を使用してブロードキャストビーコン上で使用不能なネットワークからの追加情報を受信する手段をさらに備えることを特徴とする請求項63に記載のシステム。
【請求項66】
前記追加情報は、タイミングアドバンス(TA)、受信信号強度インジケータ(RSSI)、および近隣ビーコンの周波数または識別子に係る詳細のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項65に記載のシステム。

【図1】
image rotate

【図2a】
image rotate

【図2b】
image rotate

【図2c】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2013−514533(P2013−514533A)
【公表日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−544575(P2012−544575)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【国際出願番号】PCT/US2010/058417
【国際公開番号】WO2011/075308
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(500532540)トゥルーポジション・インコーポレーテッド (48)
【Fターム(参考)】