説明

表示装置

【課題】インタラクティブ操作が可能な大画面表示装置を実現するため、画面裏側に設けたカメラで広い範囲の観察者を検出できるようにする。また、画面を介して風や香りを提示できるようにする。被写体反射光又は気体が画面を様々な方向に効率よく通過できる画面構成とする。
【解決手段】自発光体、又は、遮光体を用いた細い管状又は薄い帯状の表示機能部品71を所定間隔で並べ、表示機能部品間を被写体反射光、又は、気体が通過するように構成した画面と、当該画面の裏側に被写体反射光を画面を介して捉えるカメラ、又は、被写体に向け画面を介して気体を放出する気体放出装置6が設けられる。複数の表示機能部品は、所定間隔で並ぶようにシート10に固定される。表示素子駆動回路64は、被写体反射光又は気体の通過部を広げるように集積配線される。表示機能部品として、管状プラズマ発光体、エレクトロルミネッセンス素子、LEDなどが利用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄型大画面であって、画面前の人物を検出し、画面を介して人物に風や香りを提示できるインタラクティブな表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
バーチャルリアリティ(VR)システムでは、等身大の3次元空間モデルを2次元画面にリアルタイムで透視投影変換して運動視表示、両眼立体視表示を実現するが、この際、利用者の視点位置検出が必要である。インテリジェントなヒューマンインタフェースを実現するためには、利用者の視線の動き、顔の表情などをリアルタイムで検出できると便利である。テレビ会議などで、画面上の注視点、又は、注視対象を通信相手に送ることができれば、コラボレーション機能を高めることができる。
【0003】
前記映像表示において、臨場感を高めるには、香り提示、気流や風を用いた触覚提示が有効である。映像の変化に追随するように香りや気流を提示するには、人物の位置検出に基づいて気体を放出する制御が望ましい。
【0004】
このように人の動きに伴って表示内容を変化させたり、気体を提示できる表示装置では、人物を非装着な手段で検出する機能と、画面の中から気体を放出する機能が重要である。
【0005】
この課題に対して、本発明者は、画面の裏側にカメラを設け、画面を介して人物を撮影し、人物各部位の位置、視線などを検出する機能、及び、画面の裏側に気体発生装置を設け、画面を介して人物に香りや風を提示する機能を有する表示装置を発明した。当該表示装置では、画面の画素間を透明にする、又は、画素間に穴を空けることによって、被写体反射光、又は、気体の通過を可能にしている(特WO2008-093721)。
【0006】
しかし、当該文献では、画面を薄く大型に構成する技術、及び、当該画面を被写体反射光、又は、気体が様々な方向に効率よく通過することを可能にする技術、つまり、映像品質に悪影響を与えることが少ない細長いスリット状の通過部を画面内に設ける画面構成技術に関する開示がなかった。
【0007】
薄型、大画面を構成する技術として、特WO2006-100775には、細いガラスのプラズマ管を多数並べ、その面に電極を施した樹脂フィルムを設けたプラズマチューブアレイ方式が開示されている。しかし、当該文献には、画面裏側にカメラを設けて人物を撮影する技術、画面裏側に気体放出装置を設け画面を介して気体を放出する技術は開示されていない。
【0008】
以上のように、薄型大画面であって、画面を介してカメラで人物の動きや視線が検出でき、様々な方向から気流や風、香りを提示でき、製造性に優れた表示装置は存在しない。
【0009】
特に、EL素子を用いた表示装置については、前記インタラクティブ性のない場合であっても、大画面を構成する技術は実現していない。
【0010】
【特許文献1】特WO2008-093721
【特許文献2】特WO2006-100775
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、インタラクティブ操作が可能な大画面表示装置を実現するため、画面裏側に設けたカメラで広い範囲の観察者を検出できるようにする。また、画面を介して風や香りを提示できるようにする。具体的な課題は以下の通りである。
(1)薄型の大画面表示部を持ち、良好な映像表示を行いつつ、被写体反射光又は気体が画面を様々な方向に効率よく通過できる画面構成を実現する。
(2)信頼性が高く、製造しやすい大画面構成を実現する。
(3)メンテナンスが容易な構成とする。
(4)EL素子を用いた表示装置については、薄型大画面で製造性に優れ、湾曲画面も可能な柔軟性のある構成を実現する。照明装置としての利用も可能とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
<手段1>
本発明の表示装置は、図1〜図10に対応づけて説明すると、
自発光体(PLM、EL、LED)、又は、遮光体(Liq)を用いた細い管状又は薄い帯状などの表示機能部品(図1の71、図2の72、図3〜図8の73、図10(B)の73、図10(D)の79)を所定間隔で並べ、当該表示機能部品間を被写体反射光(28)又は気体(7)が通過するように構成した画面(10)と、当該画面の裏側に被写体反射光を画面を介して捉えるカメラ(Cam)、又は、被写体に向け画面を介して気体を放出する気体放出装置(6)が設けられることを特徴とする。
【0013】
前記カメラ(Cam)は、非可視光照明(LgIn)による被写体反射光(24〜28)を捉え、当該画像を処理して被写体(人物)の位置、眼の位置、鼻の位置、視線などを検出できる。眼の位置の検出を利用して運動視、両眼立体視表示が可能である。また、当該検出位置に前記気体を放出するように制御できる。
【0014】
前記表示機能部品は、画面(10)を分割するように表示を行う部品を意味する。当該表示機能部品間(62)には、細長い間隙(スリット状間隙)を設けることができ、当該複数の間隙を利用して、香りを含む気体、暖かい気体、冷たい気体、湿度のある気体、強い風、弱い風などを前記カメラで検出した観察者に向けて放出できる。ここで、間隙とは、光の通過に関しては、光学的な歪のない間隙を意味する。従って、間隙が透明素材で充填されている場合を含む。また、気体の通過に関しては、空間を意味する。
【0015】
前記被写体反射光(24、28)は、少なくとも表示機能部品間(62)を通過するが、これに加えて表示機能部品内部(71〜73、79)を通過するように構成してもよい。
【0016】
複数の前記表示機能部品を列状に並べる手段としては、当該表示機能部品(71〜73、79)を光学歪みの少ない透明シート(BS、BS1、BS2)に貼る、挟む、又は、表示機能部品間(62)を光学歪みの少ない透明材で充填するなどが可能である。当該透明シートに穴(HL)を空けて、光や気体が通過するようにしてもよい。
【0017】
前記表示機能部品(71〜73、79)はこの中に発光体が密封されるため信頼性が高い特徴がある。当該表示機能部品を並べて用いることにより、画面を薄型、大型、かつ低価格で構成できる。また、画面が薄いため、当該表示機能部品間(62)にスリット状隙間を多く設けることができる。被写体反射光(24、28)、又は、気体(7)は画面を様々な方向に通過できる。従って、前記カメラに入射する光は、カメラレンズ光軸付近とその周辺において変化が少ないく、広い範囲を明るく撮影できる。また、前記気体放出装置は、気体を広い範囲に放出、又は、指向性を持って放出できる。
【0018】
図1(D)、図3(D)に示すように、前記表示機能部品(71〜73)の断面を扁平円、楕円などの丸みを持たせた構造にする、又は、三角形、又は、台形にすることにより、表示機能部品間は、画面表側から裏側に向けて一部が狭く裏側を広くできる。当該構造により、被写体反射光又は気体は、画面を更に様々な方向に通過できる。
【0019】
<手段2>
本発明の表示装置は、図1(E)、図2、図3、図6、図7、図10(B)に対応づけて説明すると、
手段1において、前記表示機能部品(71〜73)には、カラー画素を形成する自発光体が組をなして列状に設けられ、当該表示機能部品を所定間隔で並べることによって、当該表示表示機能部品間に細長い間隙(62)を設け、当該間隙を被写体反射光(28)、又は、気体(7)が水平方向に広がりをもって通過できるようにしたことを特徴とする。
【0020】
前記細長い間隙は、短径が画面の厚みの1/3より大きく、長径が画面の厚み以上又は画素の長さ以上になるように構成できる。当該間隙は、標準視距離から見て目立たないように構成するには、前記短径は、視角にして0.25度以下が望ましい。
【0021】
<手段3>
本発明の表示装置は、図2に対応づけて説明すると、
手段1、又は、手段2において、前記複数の表示機能部品(72)は、所定間隔で並ぶようにシート(BS1、BS2)に固定され、自発光体(PLM)、又は、遮光体を駆動するための回路(64、69)は、被写体反射光又は気体の通過部(62)を広げるように集積配線されることを特徴とする。
【0022】
手段3において、前記駆動回路(64、69)は、前記シート内(BS1又はBS2)、又は、前記表示機能部品内(PLM)に設けることができる。
【0023】
<手段4>
本発明の表示装置は、図6〜図8、図10に対応づけて説明すると、
自発光体(EL、LED)、又は、遮光体(Liq)を用いた細い管状又は薄い帯状などの表示機能部品(73、79)を所定間隔で列状にシート(BS、BS1、BS2)に固定して大画面(10)とし、当該自発光体、又は、遮光体を駆動する回路の信号入力部は、当該表示機能部品の端(78)に集積化され、表示機能部品間(62)に細長い隙間が設けられ、被写体反射光、又は、気体は当該隙間を通過することを特徴とする。
【0024】
手段4において、前記自発光体として管状プラズマ発光体(PLM)を用いてもよい。前記遮光体として、液晶(Liq)を用いてもよい。
【0025】
図6において、前記自発光体、又は、遮光体の駆動回路(64、69)は、各画素(PX)毎に前記表示機能部品の端(78)から端(78)に電流が流れるように構成できる。画素数が増えると回路数が増えるが、これには多層配線技術などを利用して対応できる。
【0026】
また、図7において、各画素の近くに時系列で信号を受け付ける画素駆動回路(70)を設け、当該画素駆動回路を共通線(75、76、69)で結び、各画素に電流を供給して動作させることもできる。当該共通線は、各画素に時系列で発光信号を供給する制御線(76)と各画素に電力を供給する電力線(75、69)から構成できる。共通線を用いることにより、画素駆動の配線数を大幅に減らすことができる。
【0027】
前記画素駆動回路(70)は、MOSトランジスタなどで構成されたスイッチング素子とタイミング回路で構成できる。
【0028】
手段4では、信号電流は、細い管状又は薄い帯状の表示機能部品の端(78)から入り端(78)から出る、即ち、画面の構成画素を走査するための配線は、表示機能部品内に平行に設けられ、表示機能部品と直交する方向に設ける必要がない。従って、表示機能部品を並べた際、当該部品間に極めて細長い隙間(62)を設けることができ、被写体反射光、又は、気体は様々な方向に通過できる。
【0029】
<手段5>
本発明の表示装置は、図1、図2に対応づけて説明すると、
手段1から手段4の何れかにおいて、表示機能部品(71、72)は、細い管状のプラズマ発光体(PLM)を用いて構成され、当該表示機能部品を所定間隔で並べることによって、当該表示機能部品間に被写体反射光、又は、気体を通過せしめる間隙(62)を設けることを特徴とする。
【0030】
図1に示すように、前記管状プラズマ発光体1本を表示機能部品(71)としてもよく、又は、図2に示すように、複数本まとめたものを表示機能部品としてもよい。例えば、光の3原色に対応する3本の管状プラズマ発光体をまとめてカラー用表示機能部品(72)としてもよい。当該カラー用表示機能部品を用いた場合、色むらが少なく、被写体反射光、又は、気体の通過特性も良好である。
【0031】
当該表示機能部品を所定間隔で透明シート(BS1、BS2)に並べて固定し画面を構成できる。当該透明シートには、プラズマ発光体を発光させるための透明駆動回路を設けることができる。表示機能部品間には、被写体反射光を通過せしめるための透明間隙(62)、又は、気体を通過せしめるための空間(HL)を設けることができる。
【0032】
図1(D)に示すように、前記被写体反射光(24、28)は、表示機能部品間(62)のみならず表示機能部品内又は発光体内を通過するように構成してもよい。プラズマ発光体の容器(PLM)に扁平円管を用い、近赤外光に対して透明なプラズマ発光体を用いることで可能である。
【0033】
図1(D)に示すように、前記表示機能部品(71)の断面の縁を丸みのある形状にすると、表示機能部品を並べた際の隙間(62)は、画面表側から裏側に向けて一部が狭く裏側が広くなるように構成できるため、被写体反射光(28)、又は、気体は様々な方向に通過できる。つまり、通過方向の自由度が大きい。当該画面の裏側にカメラを設けると被写体を広い範囲で精度よく撮影できる。また、気体放出装置を設けると気体を所定の方向に放出できる。
【0034】
<手段6>
本発明の表示装置は、図3〜図8、図10(B)に対応づけて説明すると、
手段1から手段4の何れかにおいて、表示機能部品(73)は、エレクトロルミネッセンス(EL)素子、又は、LED素子を列状に並べて薄い帯状に構成され、当該帯状表示機能部品を所定間隔で並べることによって、当該表示機能部品間に被写体反射光、又は、気体を通過せしめる間隙(62)を設けることを特徴とする。
【0035】
前記帯状表示機能部品(73)は、図4に示すように、透明で薄く細長い帯状ガラス基板(b1、b2)にEL発光体を列状に設け、当該発光体に電圧を印加するための透明電極(A、K)を設け、当該電極からのリード線を表示機能部品から外側に取り出すようにして構成できる。当該表示機能部品を所定間隔で透明シート(BS1、BS2)に並べて貼り画面(10)を構成できる。図6に示すように、当該透明シート(BS1、BS2)には、当該発光体の駆動回路(64)を設けることができる。縦方向、横方向の発光体を駆動することで、映像を表示できる。表示機能部品間(62)には、被写体反射光、又は、気体の通過部を設けることができる。
【0036】
また、図6に示すように、前記リード線(64、69)を帯状表示機能部品の端(78)から取り出すように構成してもよい。当該帯状表示機能部品を並べた場合、被写体反射光、又は、気体の通過部は、細長いスリット状の間隙(62)となる。画面の裏に設けたカメラは広い範囲を撮影でき、気体放出装置は様々な方向に気体を放出できる。
【0037】
前記帯状表示機能部品内に設けられるEL発光体は、カラー画素を構成する3色の発光体を組(図6(A)のEL(PXC))にして列状に並べてもよい。当該構成では、3色がまとまっているので、色むらが少ない。なお、被写体反射光が表示機能部品間(62)のみならずEL素子内部を通過するように構成してもよい。
【0038】
<手段7>
本発明の表示装置は、図1、図3、図9、図10に対応づけて説明すると、
手段1から手段6の何れかにおいて、前記カメラ(Cam)で検出した被写体(P)に向け、画面内から気体(7)を放出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0039】
<手段1の効果>
本発明では、細い管状又は薄い帯状などの表示機能部品を所定間隔で並べて画面とするため、薄い大画面が製造でき、かつ、当該表示機能部品間にスリット状の間隙を設けることができるため、被写体反射光、又は、気体を様々な方向に通過せしめる効果がある。
【0040】
カメラで捉えた画像から人物の動きを検出し当該情報を表示にフィードバックできるため、非装着な手段による運動視、両眼立体視などが実現できる。また、当該人物に風による触覚刺激提示や香り提示が可能である。このように、インタラクティブ表示装置として優れている。更に、前記間隙が汚れた場合でも、間隔はスリット状で洗浄液が通過するため、清掃は容易でメンテナンス性が良い。
【0041】
<手段2の効果>
本発明では、画素の隙間を大きくしないと、被写体反射光や気体は、当該間隔を通過しにくい。しかし、手段1では、間隔を大きくすると、色むらが生じることがある。これに対し、手段2では、カラー画素列を有する帯状の表示機能部品を並べて画面を構成することによって、色むらは少なく画像品質が向上する効果がある。更に、自発光体としてELを用いる場合には、3色を一体で製造する方が歩留まりが高くなる。
【0042】
<手段3の効果>
本発明では、画素列を駆動する回路が、表示機能部品間の被写体反射光又は気体通過部を細長く広げるように集積配線されるため、カメラは広範囲を撮影できる、気体放出装置は香りや風を様々な方向に遠くまで放出できる効果がある。
【0043】
<手段4の効果>
本発明では、画素列を駆動する回路が表示機能部品内に設けられ、当該部品の端が信号入力部となるため、複数の表示機能部品の間隔の殆どを、被写体反射光、又は、気体の通過部として利用できる。従って、カメラは広い範囲を明るく精細に撮影できる。気体放出装置は、様々な方向に気流を放出できる。
【0044】
<手段5の効果>
本発明では、表示機能部品に管状プラズマ発光体を用いるため、薄型、大画面を構成でき、管状プラズマ発光体間にスリット状の間隙を設けることができるため、被写体反射光、又は、気体は様々な方向に通過できる。従って、大画面のインタラクティブ表示装置として優れた効果がある。
【0045】
<手段6の効果>
本発明では、表示機能部品にEL素子、又は、LED素子を列状に並べた帯状体を用いるため、薄型の大画面を構成できる。また、当該表示機能部品間に細長いスリット状の間隙を設けることができるため、被写体反射光、又は、気体は様々な方向に通過できる。従って、大画面のインタラクティブ表示装置として優れた効果がある。
【0046】
<手段7の効果>
本発明では、画面裏側のカメラで広い範囲を精細に撮影でき精度よく人物を検出できる。気体放出装置は当該人物に向けて精度よく香りや風を提示できる。従って、大画面のインタラクティブ表示装置として優れた効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
本発明の実施態様ついて具体的に説明する。
【実施例1】
【0048】
図1は、管状プラズマ発光体PLMを用いた表示機能部品71を所定の間隔で並べて画面10を構成した本発明の実施例である。図1(A)は、表示装置の断面図、(B)は、正面図である。Camは、10の裏側に設けられたカメラ、CCDは撮像素子、LgIn1は、図1(C)に示すように、同心円状(ドーナッツ状)の近赤外照明装置で、有機EL素子EL−IR、又は、LEDなどで作ることができる。当該カメラは、画面10を介して前方を撮影できる。1はカメラ駆動制御装置、2は照明駆動制御装置、3は情報処理装置、4は映像制御装置である。6は香り発生装置、又は、気流発生装置で、5は6を制御する気体制御装置である。
【0049】
画面10の構成を説明する。図1(A)(B)では、PLM1本で表示機能部品71を構成している。PLMは、細い管内にプラズマ発光材を設け、管外に当該発光体に電圧を印加するための透明電極(ITO)が設けられている。複数のPLMは透明シートBS1、BS2に挟まれるようにして所定間隔で固定される。前記透明電極に電圧を印加するための駆動回路64、69がシートBS1、BS2に設けられる。
【0050】
同図のPLM1本は、縦方向において電圧が印加された部分が所定の色で発光し、画素PXとなる。PLM−B、PLM−G、PLM−Rは、それぞれ青、緑、赤に発光する管状プラズマ発光体である。これら3本を組にすると、カラー画素PXCを構成できる。
【0051】
PLMは、太さ1mm程度、長さ数mで製造できるため、これを並べることで大画面を構成できる。ここで、前記透明シートには、前記透明電極を印刷技術で設けることができる。また、画面裏側のシートBS2には、可視光を反射、又は、遮断し、近赤外光を通過させる部材Ref−BGRが設けられる。
【0052】
62は、PLMの間隔である。近赤外光照明装置LgIn1の光21は、画面を介して被写体Pに照射され、被写体反射光24、28は、画面を介してカメラCamに捉えられる。図1(D)は、表示機能部品(PLM)71の拡大図である。71の断面を同図のように扁平円にし丸みを持たせると、表示機能部品間は、画面表側から裏側に向けて一部が狭く裏側を広くできる。当該構造により、被写体反射光28又は気体は、画面を更に様々な方向に通過できる。従って、カメラは広い範囲を撮影できる。
【0053】
また、PLMを近赤外波長において透明にすることによって、PLM内、即ち、表示機能部品71を通過する被写体反射光24もカメラCamに捉えられる。また、PLMの断面を扁平円にすることにより、可視発光面は大きくなり明るい映像を表示できる。
【0054】
カメラレンズ(Lens)を画面10に接近して設ける。カメラレンズLensの最短焦点距離Fc−Limより十分近くに画面10があると、画面構造物であるPLMは、画像に写り込むことはなく、被写体Pを撮影できる。また、前記のように、PLMを近赤外で透明に構成することも可能であり、この場合は、更に明るい被写体画像が得られる。ここで、Fcは被写体までの焦点距離で、Fc−Limに比べてFcは十分遠いとする。
【0055】
表示機能部品71を所定間隔で保持する他の方法として、当該間隔62に透明樹脂を充填してもよい。また、図1(E)に示すように、カラー画素PXCを構成する3本のPLMをまとめて表示機能部品72とし、72を単位として所定の間隔で並べ、当該間隔62を被写体反射光通過部にしてもよい。
【0056】
また、PLMを所定間隔で保持する前記シートBS1、BS2に穴HLを設け、被写体反射光や気体が通過できるようにしてもよい。図1(B)の68で示す領域には、気体を通過させるための小さな穴HLが多数設けられている。この領域の画面裏側には、香り発生装置、又は、気流発生装置6を設けることができる。画面前の人物を検出して、当該人物に向けて香りや気流7などを提示できる。
【0057】
前記管状プラズマ素子は、図3、図10(B)で後述するように、他の発光素子、例えばEL素子、LEDなどに置き換えてもよい。本発明の画面10は、大型であるが薄型で、1mm〜10mm程度の厚さで構成できる。
【0058】
本発明の画面10は、近赤外波長以上の非可視照明光が画素内、画素間を効率よく通過するため、様々な幾何学的パターン光を放出できる。照明装置LgIn1は、波長800nm以上の近赤外光、又は、赤外光を発する。当該パターン光を投影し、被写体反射光、及び、当該パターンの角膜反射光をカメラで捉えると、瞳孔像と角膜反射像を検出できる。当該検出結果を用いて、人物の視点、視線を検出できる。
【実施例2】
【0059】
図2は、本発明の実施例2で、表示機能部品72としてカラー画素を構成する細い管状のプラズマ発光体3本を用いている。(A)は正面図である。図1と比較し、異なる点のみを説明する。PLM−B、PLM−G、PLM−Rは、近接して一体的に構成される。透明シートBS1、BS2に挟むように接着される。PLMが部分的に発光することによって画素PXとなるが、3色が接近しているので、カラー画素PXCは色のにじみが少ない。
【0060】
実線64は、表側の透明シートBS1に設けられた横方向の駆動回路、破線69は、裏側の透明シートBS2に設けられた縦方向の駆動回路である。横線と縦線が交差する部分に電圧が係りプラズマが発光する。各線に順次電圧を掛けることにより、画面全体を走査することにより映像を表示できる。なお、69はPLMの管壁に直接設けてもよい。
【0061】
図2(B)は、透明シートBS1である。A(ITO)はPLMに電圧を印加する透明な陽極電極である。A、64、69は、ITO膜(Indium Tin Oxside)などを用いて構成できる。64は、被写体反射光又は気体の通過部となる表示機能部品72の間62を広げるように集積配線される。62の領域の3本の64が接近することにより、細長い穴HLを設けることができる。
【0062】
図2(C)は、BS1の他の例である。64を62の領域において更に集積化させ穴HLを更に細長くしている。スリット状の細長い穴が多数設けられることにより、被写体反射光、気体は効率よく通過する。また、画面を洗浄する際、穴を洗浄液が通過しやすいため洗浄が容易である。
【実施例3】
【0063】
図3は、本発明の実施例3で、表示機能部品73としてEL素子を列状に並べた帯を用いている。図(A)は、表示装置の断面図、(B)は、正面図である。図1と比較して画面10の構成以外は同様である。
【0064】
画面10の構成を説明する。図3(E)は、表示機能部品73の構成例である。帯状の薄い透明体b1、b2、例えばガラス板の中にカラー画素PXCを構成する3色のEL発光体(EL−B、EL−G、EL−R)を一組にして縦方向に並べるように設け、当該各発光体に電圧を印加するための透明電極と駆動回路を設け、信号入力のためのリード線を外部に設けている。69は縦方向の駆動回路、及び、リード線を示す。この構造には、後述の図4、図5などの技術が適用できる。73は、幅1mm〜数mm、厚さ1mm以下、長さ数mで製造できるため、これを並べることで大画面を構成できる。73一つずつの面積は小さいため、製造の歩留まりは高い。
【0065】
なお、同図では、カラー画素PXCが縦方向に一列並んでいるが、製造が可能な範囲で複数列設けてもよい。つまり、73は部分映像を表示するように構成してもよい。
【0066】
図3(A)において、複数の73は、薄い透明シートBS1、BS2で両側から挟まれ接着され、所定間隔62で保持される。64は、各画素を横方向に駆動する回路、又は、そのための電極である。64、69で各画素PXCの発光を制御することで、10は表示画面になる。画面裏側の透明シートBS2には、可視光を反射、又は、遮断し、近赤外光を通過させる部材Ref−BGRが設けられる。LgIn1の照明光21による被写体反射光24、28は、62を通過してカメラCamに捉えられる。また、画面10の裏側に設置された気体放出装置6によって、香りや気流7は人物に提示される。
【0067】
図3(D)に示すように、73の断面を扁平円にすると、73同士の間隔62は、画面表側から裏側に向けて中央部が狭く裏側が広くなるため、被写体反射光28は、広い角度で62を通過できる。従って、カメラCamは、広範囲を明るく撮影できる。更に、近赤外で透明な表示機能部品73を用いる場合、被写体反射光24は73の平たい面63を直進できるため、明るいカメラ画像が得られる。
【0068】
図3(B)に示すように、BS1、BS2に穴HLを設け、被写体反射光や気体を通過させることもできる。
【0069】
図4は、図3の表示装置において、表示機能部品73に白色有機EL素子と色フィルタを用いた構成である。図(A)は、装置の断面図である。薄い透明ガラス基板b1の上には、TFT(Thin Film Transistor)をスイッチング素子に用いた駆動回路DVが形成される。ISは絶縁膜である。その上には、色フィルタFil−B、Fil−G、Fil−Rが形成され、その上に透明陽極A(ITO)が形成され、Aの上に白色発光層EL−Wが形成され、その上に透明陰極K(ITO)が形成される。
【0070】
白色に限らず本発明の発光層には、低分子積層型、単層の高分子分散型などが適用できる。発光現象としては、1重項励起状態からの蛍光、3重項励起状態からのりん光を用いることができる。低分子系発光層としては、アルミニウム錯体、アントラセン類、インジウム錯体などが適用できる。また、希土類金属錯体を用いてもよい。高分子系発光層としては、パイ共役系、ポリフェニレンビニレン類、ポリフルオレイン類、色素含有ポリマー系などが適用できる。
【0071】
また、図4(A)には示していないが、発光層(EL−W)に低分子系を用いる場合、Aと発光層との間に正孔注入層、正孔輸送層を設け、発光層とKの間に電子輸送層、電子注入層を設けることができる。発光素子は、A、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子注入層、Kの順序で積み上げることが望ましい。
【0072】
K(ITO)の上には、可視波長光を反射、又は、遮断し、近赤外光を通過させる膜Ref−BGRが設けられ、その上に薄い透明体b2が設けられる。b2は外部から湿気などが入らないようにする透明な封止膜、又は、保護膜である。高分子膜と酸化物膜のペアを数層繰り返して成膜することで封止効果を高めることができる。酸化物膜としては、二酸化ケイ素(SiO2)などが利用できる。
【0073】
PXは1色の画素(サブピクセル)を示す。PAは画素を分離する隔壁で透明にできる。表示機能部品73の厚さは、全体で1mm以下から厚くても数mmで製造できる。複数の73は透明シートBS1とBS2の間に挟まれるようにして保持され、画面10を構成する。73の間には、スリット状の隙間62が設けられる。
【0074】
同図では、Ref−BGRはKの直ぐ上に設けているが、発光層の裏側であれば、場所を問わない。つまり、BS2の一部としてもよい。また、カメラレンズ系の中、又は、CCDの前に設けてもよい。
【0075】
PWは電源である。AとKの間に電圧を加えると、EL−Wは白色に発光する。駆動回路DVによって、PXに加える電圧を個別に制御できる。前記白色光は前記色フィルタによって3色の光になる。11、12、13は、各々青色、緑色、赤色の光である。3色でカラー画素を構成する。また、同図には示していないが、青緑色のフィルタを追加し、4色(4つのPX)でカラー画素を構成してもよい。
【0076】
図4の駆動回路はアクティブマトリックス方式であるが、陽極と陰極を縦、横に交差させ、その交点を順次選択して光らせるパッシブマトリックス方式の駆動回路を用いてもよい。特に、大画面を構成する場合には、画面領域を分割して各々をパッシブ駆動する方式が望ましい。
【0077】
LgInは、画面10の裏側に設けた照明装置で、近赤外光(非可視光)21を、画面を介して表側に向けて放出し人物を照明する。EL素子、又は、LED素子で構成できる。LgOutは、画面10の外側に設けられた照明装置で、可視から近赤外までの光20を放出し人物を照明する。部屋の天井、壁等に設けた白熱灯(電球)等で、必要に応じて用いる。
【0078】
24〜28は、画面10を通過する被写体反射光である。28は、表示機能部品間62を通過する。25、26、27は、各々、青色、緑色、赤色の素子内を通過する。24は、隔壁PAを通過する。これらの光は、Ref−BGRによって可視波長域が遮断され、近赤外光のみが、カメラレンズCam1(Lens)を通過し、CCDに結像する。従って、被写体像に寄与する光は、LgIn、又は、LgOutから出る光のうち、近赤外光である。
【0079】
画面10は、全面において近赤外光を通過させることができるが、画素構成物によって部分的に光が通過しない領域があってもよい。同図のように、カメラレンズCam1(Lens)を画面に接近させることにより、当該構成物は、撮像素子CCDには結像しない。被写体反射光のみが結像する。
【0080】
図4(A)のEL素子構造は、駆動回路DVが設けられた側、つまり、陽極側から光が放出されるボトムエミッション型であるが、駆動回路が形成された部分は発光しないため、実際に光るスペース(発光面積率)が20%〜40%程度に少ない場合がある。この問題を解決するためには、陰極側から光を放出させるトップエミッション型のEL素子を用いてもよい。
【0081】
図4(B)において、EL−W1、EL−W2は、白色りん光有機EL素子の発光スペクトル例である。横軸は波長、縦軸は光強度の相対値を示す。材料によって差はあるが、波長400nm〜700nm程度の発光体を使用できる。Ref−BGRは、可視光を反射、又は、遮断し、人の可視限界波長(HV−Lim)を超える光を通過させる膜の特性例である。縦軸は光通過率の相対値を示す。HV−Limは個人差があるが、例えば、830nm以上にできる。900nmを超える波長では、殆どの人が光を知覚しない。余裕を見て、900nm以上としてもよい。LgInは、近赤外発光ダイオード(LED−IR)を用いた照明装置の発光波長特性、LgOutは、外部照明装置の発光波長特性である。縦軸は光強度の相対値を示す。
【0082】
図4(C)において、Fil−B、Fil−G、Fil−Rは、各々、色フィルタの波長通過特性を示している。縦軸は光通過率の相対値を示す。同図において、Fil−Bは、450nm程度を中心にして、370nmから520nm程度の波長光と、800nm以上の波長光を通過させ、それ以外を遮断する。Fil−Gは、550nm程度を中心にして、470nmから650nm程度の波長光と、800nm以上の波長光を通過させ、それ以外を遮断する。Fil−Rは、590nm程度以上の波長光を通過させ、それ以下を遮断する。
【0083】
白色光は当該フィルタによって、青色、緑色、赤色の光になる。図4(A)のEL素子からの光11、12、13の波長域は、図4(B)(C)において、各々のフィルタを通過する光(AK−B、AK−G、AK−R)に対応する。カメラCamは、Ref−BGRによって、840nm以上の波長光を捉える。
【0084】
図4(D)は、図4(B)の波長HV−Limの前後を拡大したものである。白色EL素子は、可視域のみに発光することが望ましいが、素子によっては、EL−W2のように、近赤外波長域にある程度スペクトルを持つものもある。また、白色りん光有機EL素子では、発光色が電流密度により変化し、800nm前後の近赤外波長域の強度が相対的に高くなる場合がある。
【0085】
このような場合であっても、本発明では、Ref−BGRを設けているため、当該波長域の光の多くは遮断され、カメラの感度領域に漏れる光Leakは極めて少ない。従って、被写体像に影響しない。以上のように、本発明では、EL材料を選択することにより、映像を表示する可視光を前方のみに放出し、被写体検出のための近赤外光をカメラで捉えることができる。
【0086】
図5は、図3の表示装置において、表示機能部品73に青色、緑色、赤色を発光する有機EL素子を用いた構成である。図(A)は、装置の断面図である。図4と異なる点を説明する。EL−B、EL−G、EL−Rは、各々、図5(B)の発光波長特性を持つEL素子である。例えば、EL−Bは、465nm程度にピークを持ち、EL−Gは、525nm程度にピークを持ち、EL−Rは635nm程度にピークを持つ。縦軸は、発光強度の相対値を示す。EL素子自体が3原色の光を発するので、色フィルタは必要ない。
【0087】
LgInは、画面10の裏側に重ねるようにして設けられた照明装置で、近赤外発光層EL−IRを持つ有機EL素子で構成される。EL−IRは、図5(B)のように、発光波長範囲が広い材料もあるが、可視光を反射、又は、遮断し、840nm以上の非可視光を通過させる部材(フィルタ)ReF−BGRをLgInの前に用いているため、人に知覚されない。
【0088】
青色(B)、緑色(G)、赤色(R)、近赤外(IR)の発光層には、低分子系、高分子系、希土類系などのEL素材が適用できる。発光層に希土類を用いると、必要な波長スペクトルだけの光を出せるためカラー特性が良い。
【実施例4】
【0089】
図6は、本発明の実施例4で、表示機能部品73としてカラーを構成するEL素子を列状に並べてた帯を用いている。図(A)は、表示装置の正面図である。図3と比較して異なる部分を主に説明する。
【0090】
画面10の中には、帯状の表示機能部品73が3列設けられている。73には、カラー画素PXCが縦方向に列状設けられている。64(ITO)は横方向の透明駆動回路であるが、全てのリード線が表示機能部品の端78に集積化されている。69(ITO)は縦方向の透明駆動回路である。全てのリード線が73の長手方向に集積化されているため、73を並べると、73の間には細長い隙間62を形成できる。被写体反射光は62を通過できる。
【0091】
図6(B)は、表示機能部品73を所定の間隔に保持するための透明シートBS1の構成である。74は73が設けられる領域を示す。74の間には被写体反射光や気体が通過するための穴HLが設けられている。本発明では、開口率を上げることができるため、気体は効率よく通過する。また、画面が薄いため、気体は横方向、縦方向の様々な方向に通過できる。人物を検出してその方向に香りや気流を提示できる。
【実施例5】
【0092】
図7は、本発明の実施例5で、表示機能部品73としてカラーを構成するEL素子を列状に並べてた帯を用い、駆動回路に共通線を用いている。図7(A)は、表示装置の正面図である。図6と比較して異なる点を主に説明する。
【0093】
75(ITO)は、電力を供給する透明な共通線である。画素駆動回路70を介してEL素子に接続され、69に接続される。70は信号により時系列で回路を開閉できるスイッチ機能を有する。回路が開いているとき、電流は、75から69に流れる。このように駆動回路の信号入力部は、表示機能部品73の端78に集積化されるため、表示機能部品間62に細長い隙間を設けることができる。
【0094】
図7(B)は、発光体駆動部の拡大図である。発光体として青色EL素子3個(EL−B1、EL−B2、EL−B3)が縦方向に並んでいる。EL素子の代わりにLEDを用いてもよい。76(ITO)は、画素駆動回路70−1、70−2、70−3の開閉を制御する透明な信号線である。70は、MOSトランジスタなどで構成され、タイミング調整とスイッチングを行う。
【0095】
図7(C)(D)は、70の動作を説明する図である。横軸tは時間である。(C)は76を流れる信号例、(D)は70の開閉状態を示す。76より70にトリガ信号77が送られる。70−1はT1の時間を経て所定時間だけスイッチを開く。同図では網掛けで示す。このスイッチが開いている時間に、76よりEL素子を動作するための信号EL−B1が送られる。この信号により、マル数字1で示すように前記網掛けの時間、EL素子(EL−B1)に電流が供給される。
【0096】
70−2、70−3も同様で、トリガ信号77を受けてから、各々、T2、T3の時間を経て網掛けで示す所定時間だけスイッチを開く。マル数字2、3に示すように、この所定時間にEL素子(EL−B2、EL−B3)に電流が供給される。本発明では、共通線を用いることにより、画素駆動の配線数を大幅に減らすことができる。
【実施例6】
【0097】
図8は、本発明の実施例6で、表示機能部品73としてカラーを構成するEL素子を複数列状に並べてた帯を用い、駆動回路に共通線を用いている。図8(A)は、表示装置の正面図である。図7と比較して異なる点を主に説明する。
【0098】
EL素子を用いた表示機能部品73−1、73−2は、透明シートBS1、BS2の間に
横方向に並べられている。共通線75と69で各画素の駆動回路を構成する。各表示機能部品には、カラー画素列が2列設けられ、その間に穴HLが設けられている。このように、表示機能部品は複数のカラー画素列を有していてもよい。73−1と73−2の間62には、細長い穴HLが設けられている。横方向に広い穴が多く設けられるので、横方向への気体の通過特性がよい。73を並べることで大画面を構成できる。
【0099】
図8(B)(C)は、画素駆動回路70の動作を説明する図である。共通線より70にトリガ信号77が送られる。70−1は時間T1を経て所定時間だけスイッチを開く。同図では網掛けで示す。このスイッチが開いている時間に、76よりEL素子を動作するための信号EL−B1が送られる。この信号により、マル数字1で示すように前記網掛けの時間、EL素子(EL−B1)に電流が供給される。図7(D)と異なるのは、スイッチに動作保持特性を持たせることによって、網掛けの時間を長くしている点である。このように、発光体を長く動作させることで画面は明るくなる。
【0100】
図8(D)は、表示機能部品73の製造方法である。極めて薄く細長い帯状のガラス板b1を用いるため、ガラス基板b1はロールRに巻くことができる。ロールの間のガラス板が延びた部分にEL素子を形成し、保護膜b2を貼りながら巻き取る。画面を形成する際には、この帯を所定の長さに切り取って表示機能部品として使用できる。
【実施例7】
【0101】
図9は、本発明の実施例7で、湾曲大画面の表示装置とその応用である。図9(A)では、人物を囲むように画面を設け、複数のカメラは輻輳するように人物がいる所定領域に向けられている。湾曲型画面10を用いた例、図9(B)は当該例の上面図である。
【0102】
画面10は、EL素子、発光ダイオードなどを用いた表示機能部品を並べて構成する。56は、10の曲率中心付近の所定観察領域で、利用者Pは当該領域に居るものとする。10の裏側には、図1に示したものと同様な照明付きカメラCam−x(x=1〜4)が設けられている。カメラの前には、可視光を反射、又は、遮断し、近赤外を通過させる部材Ref−BGRが設けられている。画面の左右の端には、近赤外照明装置LgIn3−x(x=1、2)が設けられている。また、空気砲式香り発生装置6−x(x=1〜2)が設けられている。Cam−xと6−xは、56に向けられている。
【0103】
利用者Pは、両眼立体視用眼鏡48を装着することによって、表示対象Obj−Px(x=1〜3)を立体的に知覚できる。同図は、コンサートを視聴している様子である。100度以上の視野範囲を実現できる。また、前記カメラで利用者が領域56に居ることを検出し、6−xから出る複数の香りの渦輪7を56内で衝突させることによって、香り空間を作ることができる。視覚、聴覚、嗅覚表示によって高臨場感が得られる。
【0104】
次に、前記のような画面とカメラを用いることで、大きな眼球回転を許容して精度の高い視線検出が可能な理由を述べる。図9(B)において、21は近赤外照明光、24、28は被写体反射光である。当該反射光は各カメラCam1−xで撮影される。ここで、利用者Pが画面正面を向き、横目(視線Gaze)でObj−P3を見ている場合を考える。
【0105】
Pの正面にあるCam−2、又は、Cam−3の画像では、眼球は大きく回転しているため、瞳孔像は楕円にひずみ、瞳孔中心と角膜反射像の中心のズレdelは大きく。この画像を用いる場合、楕円の中心を求める処理は複雑であり、また、眼球回転角θが大きすぎると、θとdelの関係は線形ではなくなる。従って、高い視線検出精度を得ることは難しい。
【0106】
しかし、Cam−4は、眼球を正面から捉えるため、瞳孔像は円に近く、delも小さいため、比較的安価なカメラを用い、簡単なアルゴリズムで視線Gazeを精度よく検出できる。このように、本実施例では、眼球を正面付近で捉えたカメラ画像を選択的に処理することで、高い視線検出精度を実現できる。具体的には、400万画素程度の撮像素子を備えたカメラを用いれば、56は標準的な観察点から1m四方の範囲、眼球回転角が左右40度程度で、1〜2度程度の視線検出精度が得られる。
【0107】
複数のカメラ画像の中から、Cam−4の画像を選択的に処理する方法としては、各カメラ画像においてdelを計算し、delが最も小さい画像を選択する。又は、次系列の視線検出において、直前の視線検出方向にあるカメラ画像を優先的に処理してもよい。
【0108】
以上の効果をカメラが平行に設置された図9(F)と比較する。同図でも、眼球を正面で捉えるカメラはCam−4であるが、視野範囲を広角にしないと眼球を捉えることはできない。しかし、カメラを広角視野にすると高解像度のレンズ系と撮像素子が必要になり、安価に実現することが難しい。
【0109】
図9(C)は、3つの平面画面をつなぎ合わせて所定領域56を囲むように画面10を構成し、3台のカメラCam−x(x=1〜3)の視野を56に向けた実施例である。
【0110】
図9(D)は、平面画面10を用いるが、3台のカメラCam−xの視野を56に向けた実施例である。
【0111】
図9(E)は、横方向、縦方向に湾曲した画面10に近赤外照明装置付きカメラCam−xを5台設け、画面の淵に大きな円形の照明装置LgIn3を設けた実施例である。影をなくして被写体を明るく精細に撮影できる。
【実施例8】
【0112】
図10(A)は、本発明の実施例8で、部屋の壁を表示画面にし、メディアルームとして利用する例である。同図において、10−1から10−5は表示画面である。当該画面の裏側には、カメラCamが多数設けられており、画面を介して人物を検出する。6は、各画面の裏側に設置された気体放出装置で、画面を介して壁から壁への香り(Frg)や空気(Air)の流れを作ることができる。
【0113】
図10(B)は、表示画面10−4の正面図である。表示機能部品73として、発光ダイオード(LED)を用いる例を示している。帯状の基板に、可視光3色と近赤外光を放出するLEDを一体にして画素にした部品を並べ、駆動回路64、69は、73の端78からリード線を取り出すように構成している。図10(C)は当該部品の拡大図である。LED−B、LED−G、LED−R、LED−IRは、各々、青、緑、赤、近赤外の光を放出する発光ダイオードである。複数の73は透明シートBSに所定の間隔で固定され、画面10を構成する。73の間には、被写体反射光又は気体を通過せしめる領域が設けられる。HLはスリット状の細長い穴で気体が通過する。
【0114】
図10(C)は、表示機能部品79として、液晶素子Liqを用いる例を示している。液晶は遮光体として利用する。当該79を多数列状に並べて画面を構成し、当該画面を部屋の壁に用いれば、多機能の電子カーテンになる。外光を利用して当該カーテンにパターンを表示をしたり、外光を遮断することができる。画面に穴を設けるため、完全に暗くすることはできないが、外光の量を制御できる。空気は通過するため風を取り入れることもできる。
【0115】
本発明は、上記各実施形態に限定されるものではなく、実施段階において、その要旨を逸脱しない範囲で種々に変更することが可能である。また、上記実施形態は、種々の段階の発明が含まれており、適宜な組み合わせにより実施してもよい。更に、上記各実施例の構成要素は、その目的を踏まえて適宜省略する、又は、周知慣用技術で補うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0116】
(1)バーチャルリアリティ、シミュレータ分野;本発明は、没入型VR表示装置に利用できる。3次元空間モデルを2次元大画面にリアルタイムで透視投影変換して運動視表示を実現する際に、当該画面内側に設けたカメラで視点位置を高精度に検出できる。非装着な手段で検出できるため、自然な運動視を実現できる(図1、図3、図9)。また、視線も検出できる。航空管制や車の操縦シミュレータに利用すると、注視点の動きから、訓練効果が評価できる。香り提示や気流提示によって臨場感を高めることができる。
【0117】
(2)電子広告分野(デジタルサイネージ);通行人に情報を表示する電子広告装置に利用できる。画面内に設けたカメラで視線を検出することにより、表示対象(コンテンツ)への関心レベルを計測し、当該レベルに応じてコンテンツの内容を変化させることができる。インテリジェントで便利な表示装置、利用者の注意を誘導する表示装置となる。また、広告効果を計測し、より適切な販売促進戦略に利用できる。通行人が居ない場合、表示を休止するなど省エネモードで運用できる。香りや気流を提示してコンテンツに注目させることもできる。
【0118】
(3)五感情報表示装置、五感表示メディアルームの分野;部屋の壁に本発明の大画面表示装置を設ければ没入型表示環境になる。画面裏側の様々な場所にカメラ、気体放出装置を設置できるため、カメラで利用者の位置、動き、注視点を検出し、当該注視対象付近から人物に向けて香りや気流を放出できる。また、温風や冷風を人物に向けて放出できる。インテリジェントエアコンとしても利用できる。人物を検出して映像制御、気流制御ができるためエネルギー効率がよい。
【0119】
(4)住宅用インテリア分野;本表示装置は薄型で気流が効率良く通過するため、電子的カーテンとして利用できる。表示面を黒くして外光を遮断したり、映像を表示したり、外気を取り入れることができる。また、空気が通過する壁照明としても利用できる。特に、白色EL素子を用いた場合、スペクトルが広いので自然な明るさになる。表示装置の裏側のカメラで人物の在を検出して照明を制御できる。
【0120】
(5)視線入力分野;表示装置に設けたカメラで視線を検出し注視点にカーソルを表示できる。また、視線によるメニュー選択インタフェースが実現できる。
【0121】
(6)監視用映像表示システム分野;監視用表示装置、又は、計器類表示装置として利用できる。監視対象(計器類)が予定した動きと異なる場合、当該計器類を監視者に注視させる必要があるが、本発明では、監視者がどこを見ているか検出できるため、実際に計器類を注視したか否によって、表示モードを変えることができる。また、注意を促すために香りを提示できる。製造プラント、原子炉などの運行監視、航空機の管制、飛行機の操縦、医師の手術支援などに利用できる。
【0122】
(7)通信を利用した協調作業分野;通信装置の表示装置に適用すると、カメラ画像を処理して得られる利用者Aの注視点情報を相手側Bに送信することによって、BはAの操作意図を推定できる。そこで、当該意図に合致したメニューに切り替えるなどにより、円滑な協調作業を支援できる。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】本発明の実施例で、表示機能部品71として細い管状のプラズマ発光体を用いている。
【図2】本発明の他の実施例で、表示機能部品72としてカラー画素を構成する細い管状のプラズマ発光体3本を用いている。
【図3】本発明の他の実施例で、表示機能部品73としてEL素子を列状に並べた帯を用いている。
【図4】図3に用いる表示機能部品73を説明する図である。
【図5】図3に用いる他の表示機能部品73を説明する図である。
【図6】本発明の他の実施例で、表示機能部品73としてカラーを構成するEL素子を列状に並べてた帯を用いている。
【図7】本発明の他の実施例で、表示機能部品73としてカラーを構成するEL素子を列状に並べてた帯を用い、駆動回路に共通線を用いている。ている。
【図8】本発明の他の実施例で、表示機能部品73としてカラーを構成するEL素子を複数列状に並べてた帯を用い、駆動回路に共通線を用いている。
【図9】本発明の他の実施例で、湾曲大画面の表示装置とその応用である。
【図10】本発明の他の実施例で、部屋の壁を表示画面にし、メディアルームとして利用する。
【符号の説明】
【0124】
1・・・・・・カメラ駆動制御装置
2・・・・・・照明駆動制御装置
3・・・・・・情報処理装置
4・・・・・・映像制御装置
5・・・・・・気体制御装置
6・・・・・・香り発生装置、又は、気流発生装置(気体放出装置)
7・・・・・・香り、又は、気体
10・・・・・映像表示画面
11・・・・・青色の光
12・・・・・緑色の光
13・・・・・赤色の光
20・・・・・外部照明光(可視光、又は、非可視光)
21・・・・・画面内部、又は、裏側からの照明光(非可視光)
24・・・・・表示機能部品内を通過する非可視の被写体反射光
25・・・・・青色発光素子内を通過する非可視被写体反射光
26・・・・・緑色発光素子内を通過する非可視被写体反射光
27・・・・・赤色発光素子内を通過する非可視被写体反射光
28・・・・・表示機能部品間を通過する非可視の被写体反射光
48・・・・・眼鏡フレーム(両眼立体視用偏光眼鏡、又は、液晶シャッタ時分割眼鏡)
56・・・・・所定観察領域
62・・・・・表示機能部品間の光通過部
63・・・・・光通過部
64・・・・・駆動電極、駆動回路、リード線
68・・・・・画面に小さな穴を設けた領域
69・・・・・駆動電極、駆動回路、リード線
70・・・・・画素駆動回路、当該動作
71・・・・・PLM1本からなる表示機能部品
72・・・・・PLM複数本からなる表示機能部品
73・・・・・EL素子列、又は、LED素子列からなる表示機能部品
74・・・・・表示機能部品領域
75・・・・・共通線1(電力供給線)
76・・・・・共通線2(信号線)
77・・・・・トリガ信号
78・・・・・表示機能部品の端
79・・・・・液晶素子列からなる表示機能部品
82・・・・・両眼立体視用眼鏡
83・・・・・再帰性反射材を用いたマーク
A・・・・・・陽極
AK−B・・・Fil−Bを通過する青色の光
AK−G・・・Fil−Gを通過する緑色の光
AK−R・・・Fil−Rを通過する赤色の光
b1・・・・・帯状透明体、薄いガラス基板
b2・・・・・薄い保護シート
BS、BS1、BS2・・画面を構成するシート、又は、薄い板
Cam・・・・カメラ
CCD・・・・撮像素子
DV・・・・・駆動回路(TFT)
EL・・・・・エレクトロリミネッセンス、又は、EL発光体
EL−IR・・近赤外EL発光体、又は、当該光学特性
EL−B・・・青色EL発光体、又は、当該光学特性
EL−G・・・緑色EL発光体、又は、当該光学特性
EL−R・・・赤色EL発光体、又は、当該光学特性
EL−W・・・白色EL発光体、又は、当該光学特性
Fil−B・・青色光、及び、近赤外光を通過させるフィルタ
Fil−G・・緑色光、及び、近赤外光を通過させるフィルタ
Fil−R・・赤色光、及び、近赤外光を通過させるフィルタ
Fc・・・・・被写体焦点撮影
Fc−Lim・カメラレンズの最短焦点距離
Gaze・・・視線
HL・・・・・画面に設けた穴
HV−Lim・可視限界波長
IS・・・・・絶縁体
K・・・・・・陰極
LED・・・・発光ダイオード
Liq・・・・液晶素子
Lens・・・カメラレンズ
LgIn・・・画面の内側(裏側)に設けられた照明装置、又は、その光学特性
LgOut・・画面の外側に設けられた照明装置、又は、その光学特性
P・・・・・・人物
PA・・・・・隔壁
PLM・・・・プラズマ発光体
PW・・・・・電源
PX・・・・・可視光発光素子、又は、B、G、Rの各画素(サブピクセル)
PXC・・・・カラーを構成する可視光発光素子(カラーピクセル)
R・・・・・・帯状表示機能部品巻取りローラ
Ref−BGR・・可視光を反射、又は、遮断する部材(膜)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
自発光体、又は、遮光体を用いた細い管状又は薄い帯状などの表示機能部品を所定間隔で並べ、当該表示機能部品間を被写体反射光又は気体が通過するように構成した画面(10)と、当該画面の裏側に被写体反射光を画面を介して捉えるカメラ(Cam)、又は、被写体に向け画面を介して気体を放出する気体放出装置(6)が設けられることを特徴とする表示装置。

【請求項2】
請求項1において、前記表示機能部品には、カラー画素を形成する自発光体が組をなして列状に設けられ、当該表示機能部品を所定間隔で並べることによって、当該表示表示機能部品間に細長い間隙(62)を設け、当該間隙を被写体反射光、又は、気体が広がりをもって通過できるようにしたことを特徴とする表示装置。

【請求項3】
請求項1、又は、請求項2において、前記複数の表示機能部品は、所定間隔で並ぶようにシートに固定され、自発光体、又は、遮光体を駆動するための回路は、被写体反射光又は気体の通過部(62)を広げるように集積配線されることを特徴とする表示装置。

【請求項4】
自発光体、又は、遮光体を用いた細い管状又は薄い帯状などの表示機能部品を所定間隔でシートに固定して大画面(10)とし、当該自発光体、又は、遮光体を駆動する回路の信号入力部は、当該表示機能部品の端に集積化され、表示機能部品間(62)に細長い隙間が設けられ、被写体反射光、又は、気体は当該隙間を通過することを特徴とする表示装置。

【請求項5】
請求項1から請求項4の何れかにおいて、表示機能部品は、細い管状のプラズマ発光体を用いて構成され、当該表示機能部品を所定間隔で並べることによって、当該表示機能部品間に被写体反射光、又は、気体を通過せしめる間隙(62)を設けることを特徴とする表示装置。

【請求項6】
請求項1から請求項4の何れかにおいて、表示機能部品は、エレクトロルミネッセンス(EL)素子、又は、LED素子を列状に並べて薄い帯状に構成され、当該帯状表示機能部品を所定間隔で並べることによって、当該表示機能部品間に被写体反射光、又は、気体を通過せしめる間隙(62)を設けることを特徴とする表示装置。

【請求項7】
請求項1から請求項6の何れかにおいて、前記カメラで検出した被写体に向け、画面内から気体(7)を放出することを特徴とする表示装置。


【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図2】
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【図8】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−250250(P2010−250250A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−152001(P2009−152001)
【出願日】平成21年6月26日(2009.6.26)
【出願人】(301006231)
【Fターム(参考)】