説明

被案内搬送区分および自由搬送区分を用いて転写および定着を行う装置および方法

本発明は、静電的に帯電されたトナー像を、エレクトログラフィ式の印刷機または複写機の中間担体(10)から記録担体(24)に転写して、転写されたトナー像を記録担体(24)に定着させる装置および方法に関する。記録担体(24)は、静電的に帯電可能な搬送ベルト(54)に載設して、静電力によって該搬送ベルト(54)に付着するように、転写領域(28)を通って、該転写領域(28)に続く被案内搬送区分に沿って搬送される。記録担体(24)は、次いで定着装置(36)に搬送される。被案内搬送区分は、搬送構成ユニット(78)に配置されており、定着装置(36)は、定着構成ユニット(80)に配置されており、これらの搬送構成ユニット(78)と定着構成ユニット(80)とは、互いに独立して、印刷機または複写機に組み込み、かつ印刷機または複写機から取り出すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電的に帯電されたトナー像を、エレクトログラフィ式の印刷機または複写機の中間担体から記録担体に転写して、転写されたトナー像を記録担体に定着させる装置および方法に関する。
【0002】
エレクトログラフィ式の印刷機または複写機では、中間担体、たとえば感光ドラムまたは感光ベルトから記録担体へのトナー像の伝達は転写と呼ばれる。印刷機または複写機の、中間担体と記録担体とが互いにコンタクトされる区分は、転写領域と呼ばれる。転写領域では、中間担体、たとえば感光ドラムの外周面と、記録担体とは、同一方向で等速に運動され、これに対してトナーは中間担体から記録担体に伝達される。転写領域で記録担体と中間担体との間の均等なコンタクトが形成され、かつ記録担体と中間担体とが転写領域で実際に精確な等速で運動される場合にしか、記録担体に高品質の印像を得ることはできない。
【0003】
公知の印刷機および複写機では、記録担体は、搬送ローラによって転写領域に搬送されて、中間担体とは反対側で帯電され、その電荷の符号と、トナー像および中間担体の電荷の符号とは反対になっている。これによって記録担体は中間担体によって引き付けられて、かつ中間担体に付着して転写領域を通って搬送され、同時に記録担体の帯電は、中間担体から記録担体への帯電されたトナー粒子の伝達を及ぼす。転写領域を通過する際に、記録担体は、除電装置によって除電され、これによって記録担体は中間担体から分離され、定着装置に向かって搬送される。
【0004】
このような形式の転写装置は、国際公開第98/58297号パンフレットから公知である。この転写装置は、記録担体を中間担体に押し付けるための圧着エレメントを備えている。
【0005】
国際公開第98/18052号パンフレットから、同じ構造の2つの印刷装置を備えた印刷機が公知であり、搬入区分を介して印刷装置に記録担体が供給される。印刷済の記録担体は、共通の搬出区分を介して搬出される。一方の印刷装置には導出通路が割り当てられており、導出通路を介して、一方の印刷装置によって片面で印刷された記録担体は、裏面を印刷するために新たにこの一方の印刷装置に供給可能である。導出通路を介して、他方の印刷装置によって印刷された記録担体は、一方の印刷装置の転写−搬送経路を迂回して搬出区分に導出可能である。
【0006】
別の従来技術は、ドイツ連邦共和国特許出願公開第19956505号明細書、ドイツ連邦共和国特許第4324148号明細書、米国特許第5666622号明細書、米国特許第2002/057933号明細書、ドイツ連邦共和国特許出願公開第4039158号明細書、特開2002−268301号公報、ドイツ連邦共和国実用新案登録第7736767号明細書およびドイツ連邦共和国特許第3406290号明細書に記載されている。
【0007】
転写領域から定着装置に記録担体を搬送する間、印刷済の面は接触してはならない。なぜならば接触するとまだ定着されていないトナー像が擦過して汚される恐れがあるという理由による。したがって従来慣用の、印刷済の記録担体を搬送するための装置では、一般的に吸込台が使用されており、ここでは記録担体は吸込力によって搬送ベルトに把持される。定着装置では、記録担体は2つのローラの間を通って案内され、ローラの外周面は母線に沿って互いに狭幅に接していて、かつローラ接触領域または搬送ギャップを形成する。ローラ接触領域もしくは搬送ギャップは、ドイツ語の文献にも多くの場合英語の定義「ニップ;Nip」と記載されている。両方のローラのうち少なくとも一方が加熱され、トナー像は圧力および熱によって記録担体に定着される。
【0008】
ローラ接触領域に記録担体が進入する際に、定着ローラは追加的な摩擦作用(こね作用)を及ぼし、これによって記録担体は短時間制動され、つまり搬送方向とは逆向きの急激な衝撃を受ける。コンパクトに形成された印刷機または複写機、特に2つの印刷装置を備えた機械では、定着ローラと転写領域との間の距離は、多くの場合印刷しようとする最長の記録担体の長さよりも小さくなっている。記録担体の「長さ」とは、以下に搬送方向の記録担体の延伸度を意味していて、つまり記録担体の、搬送経路に対して平行に配置された縁部(辺)の長さを意味している。長さは、矩形の記録担体では必ずしも「縦縁(長辺)」でなくてよく、記録担体が横サイズで印刷される場合には横縁(短辺)であってよい。
【0009】
転写領域と定着ローラとの間の距離が記録担体の長さよりも小さくなっている場合、記録担体は、後方区分でまだ印刷されている間に、前縁でローラ接触領域に衝突する恐れがある。前縁の衝突が後方区分に伝達されると、印像の擦過汚れが生じ、これは許容できるものではない。
【0010】
したがって本発明の課題は、冒頭で述べたような形式の、転写および定着を行う装置および方法を改良して、コンパクトな構造形式で高品質の印像が形成されるようなものを提供することである。
【0011】
この課題は、請求項1および請求項21の特徴部に記載した構成手段を有する装置によって解決される。本発明の有利な改良形態は従属請求項に記載した。
【0012】
本発明のコンパクトな構造形式によって、必然的に搬送ベルトと定着装置との間の距離が縮小される。空間的な接近によって、搬送ベルトは、定着に必要な熱によって同様に加熱され、これによって搬送ベルトは変形し、したがって搬送ベルトの機能が損なわれる恐れがある。さらに搬送ベルトが加熱されると、搬送ベルト上に存在するトナーが溶融して、搬送ベルトに付着する恐れがある。
【0013】
本発明によれば、被案内搬送区分は搬送構成ユニットに配置されていて、また定着装置は定着構成ユニットに配置されており、被案内搬送区分と定着装置とは、互いに独立して印刷機または複写機に組み込み、かつ印刷機または複写機から取り出すことができる。両方の構成ユニットの構造的な分離によって、熱が共通の構成部材、たとえば基板を介して伝達されることはない。
【0014】
有利には、定着構成ユニットは、中空チャンバプロフィールとして形成された壁を備えており、壁は良好な熱絶縁を提供する。特に有利な実施例では、中空チャンバプロフィールは開口を備えており、開口を通って搬送構成ユニットを冷却するために空気が吸い込まれる。
【0015】
本発明の有利な装置および方法によれば、記録担体は、静電的に帯電可能な搬送ベルトに載設されて、静電力によって搬送ベルトに付着されて、転写領域を通って、転写領域に続く被案内搬送区分に沿って搬送され、被案内搬送区分に続く、記録担体の自由に湾曲できる自由搬送区分を介して、記録担体の再び把持して案内される定着装置に搬送される。
【0016】
「自由搬送区分」とは、本明細書では、記録担体の自由に湾曲される、つまり波形部または起伏部の形成できる搬送区分を示しており、これによって記録担体の前縁と後縁との間の距離は縮小される。湾曲部または波形部の形成によって、定着ローラのローラ接触領域に記録担体が進入する際に、記録担体の前縁に及ぼされる衝撃を吸収することができる。
【0017】
本発明の別の装置もしくは方法では、印像の擦過汚れが効果的に防止される。一方では静電的に帯電可能な搬送ベルトによって、吸込台よりも比較的強い付着が得られるので、記録担体の、被案内搬送区分に存在する区分は、衝突によって簡単には制動されることがない。また他方では、衝突は、波形部形成が得られることによって、自由搬送区分で吸収することができる。
【0018】
被案内搬送区分における記録担体の確実なガイドは、搬送ベルトの満足できる程度の静電的な帯電を前提としており、この帯電は、被案内搬送区分の全長にわたって維持される。したがって搬送ベルトは、有利には1011〜1015Ωcmの固有の体積抵抗を有している。特に有利な実施形態では、搬送ベルトは、主にポリフッ化ビニリデン(PVDF)から成っている。
【0019】
被案内搬送区分は、コンパクトな構造形式にもかかわらず、転写領域における印像の擦過汚れを排除する、満足できる程度に安全なガイドを保証するのに十分な長さである。有利には、被案内搬送区分の長さLは100〜210mmである。
【0020】
自由搬送区分の長さLは、衝突を干渉するために小さすぎない曲率を有する波形部を形成するのに十分な大きさにする必要がある。有利には、Lは、印刷しようとする最短の記録担体の長さの少なくとも1/3である。良好な波形部形成は、80〜130mmのLの長さで得られる。
【0021】
本発明を良好に理解するために、以下に図面に示した有利な実施例について、特殊な用語を用いて説明する。しかしながらここで述べておくと、本発明の権利保護範囲はこれによって限定されるものではない。というのも本発明の図示の装置および方法の変化および変更、ならびに本発明の別の適用は、当業者の現時点または将来的な一般的な専門知識と見なされるからである。
【0022】
次に従来技術の構成と本発明の実施例とを図示し、詳しく説明する。
【0023】
図1には、エレクトログラフィ式の印刷機の、画像形成に関与する構成要素を概略的に示した。以下にエレクトログラフィ式の印刷機または複写機の基本構造について簡単に説明する。
【0024】
図1には、感光ドラム(光導電体ドラム)10を横断面図で示した。感光ドラム10の周面は光半導体(Fotohalbheiter)、たとえばアリセントリセレニド(AsSe)で被覆されている。そのような光半導体は高い暗抵抗を有しており、暗抵抗は露光が十分な場合に低下する。感光ドラム10は、矢印12で示した方向で回動する。ここでは光半導体層は、先ずいわゆる帯電コロトロン14(Aufladekorotron)によって静電的に帯電される。感光ドラム10の回動によって、帯電された区分は、光源18(図1では櫛形LED)を備えたキャラクタジェネレータ(Zeichengenerator)16に到達し、光源18によって感光ドラム10は露光される。露光された箇所で、光半導体層の電気抵抗は低下して、電荷は除去される。したがって電荷潜像の画素が感光ドラムに形成される。
【0025】
感光ドラム10が更に回動すると、電荷潜像は現像ステーション20に到達し、現像ステーションから、摩擦電気的に帯電されたトナーが、適当な電場によって、現像ローラ22から、光半導体の、露光された箇所(いわゆる暗記録;Dunkelschreiben)または露光されない箇所(いわゆる明記録;Hellschreiben)に伝達される。そうして光半導体10上に位置する電荷像はトナーで着色され、つまり現像される。次いでトナー像は、記録担体、たとえば一枚の紙24に転写される。したがって感光ドラム10は一般的に中間担体と呼ばれる。
【0026】
シート24は、搬送ローラ26によって転写(印刷)領域28に搬送される。転写領域とは、感光ドラム10とシート24とが互いにコンタクトして、トナー像がシート24に伝達される区分を表している。図1に示した従来慣用の、感光ドラム10からシート24にトナー像を転写するための装置では、シート24はいわゆる転写コロトロン(Transferkorotron)30によって下面で帯電され、この電荷はトナーの電荷とは反対のものである。これによってシート24は感光ドラム10に付着し、トナーは静電引力によってシート24に伝達される。
【0027】
シート24を感光ドラム10から分離するために、次いでシート24は交流コロトロン(Wechselstromkorotron)32によって再び除電されるので、静電的な保持力は解消されて、シート24は、剛性に基づいて、感光ドラム10から分離(剥離)される。印刷済のシート24は、吸込台34を介して定着装置36に搬送される。転写のあとで感光ドラム10に残留するトナーは、クリーニングユニット50によって除去される。
【0028】
定着装置36は、2つのローラ、つまり加熱される定着ローラ38と圧着ローラ40とを備えており、圧着ローラ40は定着ローラ38に押し付けられ、圧着ローラ40と定着ローラ38とはローラ接触領域44を形成する。ローラ38,40は、周速度Vで、矢印42で示した方向で回動する。シート24は、定着のために、搬送路46に沿ってローラ接触領域44を通って案内される。転写および定着に関与する全ての構成要素は、共通の構成ユニット48に内設されている。
【0029】
図1の転写兼定着装置はコンパクトに維持されており、転写領域28と定着装置36との間の距離は、印刷しようとする最長の記録担体の長さよりも小さくなっている。つまりこのような記録担体の前縁は、後方区分が依然として転写領域28で印刷される間に、既にローラ接触領域44に進入するようになっている。
【0030】
図2には、定着装置36を示した。ここでは記録担体24の前縁は、定着ローラ38と圧着ローラ40との間に形成されたローラ接触領域44に進入している。図2から判るように、この場合ローラ38,40は変形される。シート24の前縁は、ローラ接触領域44に進入する際に短時間制動されて、衝撃力Fを受ける。衝撃力Fは、シート24の運動方向とは逆向きであり、図2に力矢印で示した。
【0031】
図3には、図面を判りやすくするために、図1に示した従来慣用の配置構造のうち、転写および定着に関与する構成要素だけを示した。さらに図3には、シート24´を示した。シート24´は前縁でローラ38,40のローラ接触領域に進入して、したがって前述の衝撃力Fを受けていて、これに対して後方区分で依然として転写領域28に存在している。
【0032】
図3に示した時点では、衝撃力Fによってシート24´に波形部52が形成される。ここで述べた「波形部」とは、実際の搬送経路から変位した、シート24´の湾曲した区分を意味している。図3に示したシート24´は、比較的小さな剛性を有しているので、シートを屈曲して波形部52を形成するのに小さな力しか必要としない。さらに波形部52の形成に際してシート24´が吸込台34から分離される度合いは、シート24´の剛性が小さいので僅かである。吸込台34の吸込力(図3に鉛直方向下向きの矢印で示した)は、吸込台からシート24´が分離するのを防止するのに十分である。したがってシート24´の後方区分は吸込台上で案内されて、衝撃力Fは転写領域まで伝達されない。
【0033】
図4には、図3に示したものと同じ構成要素を示した。ここでは比較的高い剛性を有するシート24´´が搬送される。シート24´´の比較的高い剛性に基づいて、図4に示した実施例では、波形部が形成されず、その代わりにシート24´´は吸込台34から分離される。シート24´´はほぼ真っ直ぐに延びているので、衝撃力Fは転写領域28まで伝達され、これによって印像は擦過される。
【0034】
記載の印像擦過の問題は、図1、図3および図4に示した従来慣用の転写兼定着装置では、付加的な大きな手間をかけずには解消されない。たとえば衝撃は、ローラ配置構造にシート前縁が進入することによってトリガされる、定着ローラ38,40の適当な速度制御によって十分に減衰することができる。もちろんこのような制御では、紙の厚さを考慮する必要があり、紙の厚さに衝撃力Fは依存している。このことは適当な調整装置を備えたコストのかかるセンサを必要としている。比較的高い固有剛性と比較的大きな厚さとを有するシートでは、このような制御だけでは印像擦過は完全には回避できない。この場合シート前縁がローラ接触領域44に進入する際にローラの押圧力を短時間的に減少させる必要があり、このことによっても機械的な大きな手間が必要であり、さらに前縁の領域における定着品質が不良になる。
【0035】
図5には、画像形成に関与する構成要素の、図1と大部分において同じ配置構造を概略的に示した。ここでは本発明による実施例に基づく転写および定着のための装置を示した。転写兼定着装置は搬送ベルト54を備えており、搬送ベルト54は、第1のローラ56と第2のローラ58と第3のローラ60と持上ローラ62との周りを案内されている。搬送ベルト54は、第1のローラ56によって、図5に示した実施例では反時計回り方向で、循環走行速度Vで駆動され、循環走行速度Vは、感光ドラム10の外周面の接線速度と一致する。第3のローラ60は、ばね64によってプレロード(予荷重)をかけられていて、張力を搬送ベルト54に及ぼすようになっている。持上ローラ62は、第1のローラ56と転写領域28との間に配置されていて、かつ搬送ベルト54を、第1のローラ56と第2のローラ58とを整合させるような共通の接線66に対して外向きに持ち上げる。持ち上げローラ62は、感光ドラム10に搬送ベルト54を接触させ、この場合搬送ベルトは転写領域で感光ドラムに巻き付き、つまりある程度の角度範囲にわたって感光ドラムの外周面に接触する。
【0036】
搬送ベルト54の下方にクリーニング装置68が配置されている。クリーニング装置68はブレード70とトナー捕集容器72とを備えており、ブレード70は搬送ベルト54の走行方向に対して垂直に、かつ搬送ベルト54に接触して配置されており、トナー捕集容器72に、ブレード70によって搬送ベルト54から分離されたトナーが落下する。
【0037】
搬送ベルト54の、感光ドラム10とは反対側の面に、ブレード状のコンタクトエレメント74が接触しており、コンタクトエレメント74は、概略的に示した電圧源76と接続されていて、かつ搬送ベルト54の帯電に役立つ。所属のローラ56,58,60,62を備えた搬送ベルト54、クリーニング装置68およびコンタクトブレード74は、構造的に1搬送ユニット78にまとめられ、搬送ユニット78は、図5において波線の枠で概略的に示した。
【0038】
図5に示した固定装置36は、図1、図3および図4に示した固定装置とほとんど同一であるが、構造的に独立した固定構成ユニット80に取り付けられており、固定構成ユニット80も同様に波線の枠で概略的に示した。さらに固定構造ユニット80に案内板82が属している。第1のローラ56の上方に除電装置84が配置されている。
【0039】
以下に図5に関して転写兼定着装置の機能を詳しく説明する。搬送ベルト54は、コンタクトブレード74を介して、アース電位に対して数キロボルトの静電的な電位に帯電され、ここでは搬送ベルト54の電荷の符号は、感光ドラム10に形成されるトナー像の電荷の符号とは異なっている。記録担体24は、搬送ローラ26によって、第2のローラ58の領域で搬送ベルト54に搬送され、搬送ベルトに静電式に付着される。転写領域で搬送ベルト54は、ある程度の角度範囲で感光ドラム10に巻き掛けられ、この場合搬送ベルト54に載設し、かつ搬送ベルト54に付着するシート24と感光ドラム10との間で均等なコンタクトが形成される。
【0040】
搬送ベルト54は、1011〜1015Ωcmの固有の体積抵抗を有しているので、搬送ベルト54は、第1のローラ56と転写領域28との間の区分で十分な静電電荷を維持し、これによってシート24を静電力によって搬送ベルト54に保持することができる。したがって転写領域28と第1のローラ56との間の搬送距離は、以下に「被案内搬送区分」と記載する。特に良好なガイドは、主にポリフッ化ビニリデン(PVDF)から成り、8×1012Ωcmの固有の体積抵抗を有し、かつ150μmの厚さを有する搬送ベルトで得られる。
【0041】
ローラ56は、10Ωcmの固有の体積抵抗を有する、シリコンから成る帯電防止ローラであって、かつ被案内搬送区分の端部で、搬送ベルト54の電荷の大部分を搬送ベルト54から導出するのに適している。第1のローラ56は、28mmを下回る直径を有しているので、搬送ベルト54は第1のローラ56で比較的強く湾曲されて、シート24は第1のローラ56の周りを案内された搬送ベルト54から容易に分離される。
【0042】
電荷の強さと搬送ベルト54の性質とに応じて、既に持上ローラ62である程度の電荷量を搬送ベルト54から導出すると有利である。持上ローラで導出される電荷の量は、持上ローラの材料、たとえば金属とプラスチックとの選択に関して影響させることができる。
【0043】
被案内搬送区分の間で、転写されたが定着されていないトナーは、搬送ベルト54の静電的な引き付けによってシート24に保持される。第1のローラ56の領域で搬送ベルト54からシート24が分離されたあとで、トナーの引き付けは解消され、均一に帯電されたトナー粒子は、互い反発して、周囲に存在するガイド部分に堆積して、これを汚すようになる。このことを回避するために、シート24上に存在するトナー24は、搬送ベルト54からシート24が分離される際に除電装置84によって除電される。
【0044】
搬送ベルト54から分離されたシートは、案内板82を介して定着構成ユニット80に案内されて、そこで定着される。第1のローラ56とローラ接触領域44との間では、シート24に、重力の他に力が作用しない。したがってこの区分は以下に自由搬送区分と記載する。自由搬送区分では、シート24は、波形部を形成することができ、これによって記載の衝撃力Fを吸収することができる。
【0045】
図6には、シート24´´の前縁がローラ接触領域44に進入し、これに対してシート24´´の後方区分は依然として転写領域28で印刷される時点を示した。シート24´´は図4と同様のシートではあるが、ここでは衝撃は転写領域28に伝達されず、シート24´´は被案内搬送区分で搬送ベルト54に付着したままで、これに対して自由搬送区分で波形部が形成される。
【0046】
図4の転写兼定着装置に対する、図6の転写兼定着装置の良好な特性について、2つの理由が挙げられる。先ず第1の理由では、図6の実施例で設けられた搬送ベルト54によって、吸込台を用いた場合よりも、搬送ベルト54に対するシート24´´の著しく高い保持力が得られる。シート24´´と搬送ベルト54との間の保持力は、図6において鉛直方向下向きの力矢印で示した。保持力は第1のローラ56に向かって搬送ベルト54における電荷密度と共に減少するが、保持力自体は第1のローラ56の傍で、シート24´´の分離を防止するのに十分な大きさである。波形部自体が被案内搬送区分に幾分か進入する場合でも、転写領域における確実なガイドは損なわれない。なぜならば一方では波形部の拡張と共に衝撃力が弱まり、また他方では搬送ベルト54上のシート24´´の保持力は転写領域28に向かって増加しているからである。
【0047】
第2の理由では、波形部を形成することのできる自由搬送区分は、図3および図4の転写兼定着装置における自由搬送区分よりも極めて大きくなっているので、比較的大きく湾曲された波形部よりも、搬送ベルト54から分離しにくいフラットな波形部を形成することができる。
【0048】
図6には、被案内搬送区分の長さはLで、また自由搬送区分の長さはLで示した。コンパクトな構造形式では、転写領域と定着装置との間の距離ができるだけ小さく所望され、つまりLとLとの和に関する所定の値が所望される。Lに関する比較的大きな値、つまり比較的長い被案内搬送区分の利点によれば、シート24´´の受ける全保持力が比較的大きくなっている。Lに関する比較的大きな値の利点によれば、フラットな波形部を形成することができ、その結果分離力は比較的小さくなっている。L+Lに関する所望の値では、LとLとのできるだけ理想的な妥協点を見出す必要がある。
【0049】
もちろん図3および図4との比較によって明らかな点によれば、従来慣用の転写兼定着装置では、同様にコンパクトな構造形式の場合、つまり転写領域28と定着装置36との間の距離が同じ場合、図5および図6の転写兼定着装置で得られるような良好な特性は得られない。図3および図4に示した転写兼定着装置では、被案内領域は転写領域28で始まるのではない。なぜならばシート24´もしくはシート24´´は転写の直後に除電する必要があり、これによってシート24´もしくはシート24´´は感光ドラム10から分離されるからである。除電は時間を必要とするが、同時に高いプロセス速度が所望されるので、ベルト除電領域は、図3および図4に示した転写兼定着装置よりも大幅に短く選択することはできない。ベルト除電領域は、シート24´もしくはシート24´´の固定に関しても、波形成に関しても失われている。
【0050】
転写領域28の傍でシート24´´を確実にガイドすることが、印像擦過汚れを回避するのに寄与する。図5および図6の転写兼定着装置では、搬送ベルト54上のシート24´´の保持力は、転写領域28の傍で最大であり、これに対して図3および図4の転写兼定着装置では、シート24´もしくは24´´は、転写領域28の傍では全く案内されない。なぜならば除電する必要がある、という理由による。
【0051】
シートの確実なガイドを達成するために、図6では、長さLは、印刷しようとする最短のシートの長さの少なくとも1/3であるのが望ましい。ここでは長さとは、搬送方向のシートの延伸部を意味しており、延伸部は、矩形のシートで短辺に相当するものであってもよく、つまりシートが横サイズで印刷される場合にそうである。図5および図6に示した転写兼定着装置では、印像擦過のない確実なガイドは、100〜210mmの長さLで得られる。長さLは、印刷しようとする最短のシートの長さよりも大きくてはならない。なぜならばこの長さLは延伸部で全く案内されないからである。また長さLは、印刷しようとする最短のシートの長さの少なくとも1/3であり、これによって満足できるフラットな波形部を形成することができる。
【0052】
有利な波形部形成は、定着装置36のローラ38,40を通ってシート24´´を案内する速度Vの適当な選択によって助成することができる。有利にはVは、搬送ベルト54の循環走行速度Vの97%〜100%である。
【0053】
図7には、搬送構成ユニット78および定着構成ユニット80を断面図で示した。個別的な2つの構成ユニットの使用によって、大きな2つの利点が得られる。第1の利点は、個別的な構成ユニットでは極めて小さな手間しかかからない組付である。というのもつまり、搬送構成ユニット78は、良好な転写を保証するために、露光ドラム10に対して極めて精確に調整する必要があり、これに対して定着構成ユニット80はそのような精度で組み付けなくてもよいからである。図1の構成ユニット48のように、搬送のための装置と固着のための装置とが共通の構成ユニットにまとめられる場合、共通の構成ユニットは、高品質な転写を保証するために、高精度で組み付ける必要がある。しかしながら定着装置は重い構成部材を備えているので、共通の構成ユニット48は、搬送ユニット78よりも極めて重くて取り扱いにくく、したがって精確に組み付けるのが極めて困難である。
【0054】
第2の利点によれば、定着装置38から放出される熱によって搬送ベルトは加熱されるが、搬送ベルト54および定着装置36が共通のユニットに配置された場合と同程度には加熱されない。このことは極めて有意義である。なぜならば搬送ベルト54は、過熱によって変形され、機能性を失うからである。
【0055】
定着ユニット80は、ケーシング86を備えており、ケーシング86は、定着ローラ38から放出される熱を収容する。搬送構成ユニット78に向いた側で、ケーシング86は壁88,90を備えており、壁88,90は中空チャンバプロフィールとして形成されていて、したがって熱的に良好な絶縁性を有している。中空チャンバプロフィール88は、ファン(図示せず)によって通気され、かつ開口92を備えており、開口92を通って空気が搬送構成ユニットを冷却するために吸い込まれる。吸い込まれる空気の空気流は、矢印94で概略的に示した。搬送ユニットの冷却の他に、吸気は、堆積したトナー粒子から搬送構成ユニットをクリーニングするためにも役立つ。
【0056】
搬送ユニット78および定着ユニット80は、有利には挿入体(Einschub)として形成することができる。
【0057】
中空チャンバプロフィールに吸い込まれた空気は、周囲に導出されるまえに、オゾンフィルタ(図示せず)によって濾過される。ファン(図示せず)は、図示の実施例では、印刷機が停止したあとで約半時間継続運転される。
【0058】
図面および前述の説明には、有利な実施例を示して、詳しく説明したが、これは単に例示したものであり、本発明を限定するものとは見なされない。さらに追記しておくと、ここでは有利な実施例を図示して説明しただけであり、現時点での、かつ将来的な本発明の保護範囲にある全ての変化および変更は保護されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】従来慣用の、トナー像を中間担体から記録担体に転写して、転写されたトナー像を記録担体に定着させるための装置を備えた、エレクトログラフィ式の印刷機または複写機の、画像形成に関与する構成要素を概略的に示す図である。
【図2】2つの定着ローラのローラ接触領域に進入する時点の記録担体を概略的に示す図である。
【図3】比較的小さな剛性を有する記録担体を使用する場合の、図1による転写兼定着装置を示す図である。
【図4】比較的大きな剛性を有する記録担体を使用する場合の、図1による転写兼定着装置を示す図である。
【図5】本発明による、トナー像を中間担体から記録担体に転写して、転写されたトナー像を記録担体に定着させるための装置を備えた、エレクトログラフィ式の印刷機または複写機の、画像形成に関与する構成要素を概略的に示す図である。
【図6】比較的大きな剛性を有する記録担体を使用する場合の、図5による転写兼定着装置を示す図である。
【図7】搬送構成ユニットおよび定着構成ユニットの断面図である。
【符号の説明】
【0060】
10 感光ドラム、 12 感光ドラムの回動方向、 14 帯電コロトロン、 16 キャラクタジェネレータ、 18 櫛形LED、 20 現像ステーション、 22 現像ローラ、 24 シート、 26 搬送ローラ、 28 転写領域、 30 搬送コロトロン、 32 交流コロトロン、 34 吸込台、 36 定着装置、 38 定着ローラ、 40 圧着ローラ、 42 方向矢印、 44 ローラ接触領域、 46 搬送路、 48 共通の構成ユニット、 50 クリーニングユニット、 52 波形部、 54 搬送ベルト、 56 第1のローラ、 58 第2のローラ、 60 第3のローラ、 62 持上ローラ、 64 ばね、 66 接線、 68 クリーニング装置、 70 ブレード、 72 トナー捕集容器、 74 コンタクトブレード、 76 電圧源、 78 搬送構成ユニット、 80 定着構成ユニット、 82 案内板、 84 除電装置、 86 ケーシング、 88 中空チャンバプロフィール、 90 中空チャンバプロフィール、 92 開口、 94 空気流

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電的に帯電されたトナー像を、エレクトログラフィ式の印刷機または複写機の中間担体(10)から記録担体(24,24´´)に転写して、転写されたトナー像を記録担体(24,24´´)に定着させるための装置において、
記録担体(24,24´´)が、静電的に帯電可能な搬送ベルト(54)に載設して、静電力によって該搬送ベルト(54)に付着するように、転写領域(28)を通って、該転写領域(28)に続く被案内搬送区分に沿って搬送されるようになっており、
記録担体(24,24´´)が、定着装置(36)に向かって搬送されるようになっており、
被案内搬送区分が、搬送構成ユニット(78)に配置されており、定着装置(36)が、定着構成ユニット(80)に配置されており、これらの搬送構成ユニット(78)と定着構成ユニット(80)とが、互いに独立して、印刷機または複写機に組み込み、かつ印刷機または複写機から取り出すことのできるようになっていることを特徴とする、静電的に帯電されたトナー像を、エレクトログラフィ式の印刷機または複写機の中間担体から記録担体に転写して、転写されたトナー像を記録担体に定着させるための装置。
【請求項2】
搬送構成ユニット(78)と定着ユニット(80)とが、挿入体として形成されている、請求項1記載の装置。
【請求項3】
定着ユニット(80)が、少なくとも1つの壁(88,90)を備えており、該壁(88,90)が、定着ユニット(80)から搬送ユニット(78)への熱伝達を防止するようになっている、請求項1または2記載の装置。
【請求項4】
少なくとも1つの壁が、中空チャンバプロフィール(88,90)として形成されている、請求項3記載の装置。
【請求項5】
中空チャンバプロフィール(88,90)が、開口(92)を備えており、開口(92)を通って、搬送構成ユニット(78)を冷却するために空気が吸い込まれるようになっている、請求項4記載の装置。
【請求項6】
空気が搬送ベルト(54)の周囲から中空チャンバプロフィール(88)に吸い込まれるように、開口(92)が、中空チャンバプロフィール(88)に配置されている、請求項5記載の装置。
【請求項7】
中空チャンバプロフィール(88)に吸い込まれた空気を濾過するためのオゾンフィルタが設けられている、請求項5または6記載の装置。
【請求項8】
中空チャンバプロフィール(88)に空気を吸い込むためのファンが設けられており、該ファンが、印刷機または複写機の停止後に特定の時間継続運転されるようになっている、請求項5から7までのいずれか1項記載の装置。
【請求項9】
搬送ベルト(54)が、1011Ωcmから1015Ωcmまでの間の固有の体積抵抗を有するプラスチックベルトとして形成されている、請求項1から8までのいずれか1項記載の装置。
【請求項10】
搬送ベルト(54)が、実質的にポリフッ化ビニリデン(PVDF)から成っている、請求項9記載の装置。
【請求項11】
記録担体(24,24´´)が、被案内搬送区分に続く、記録担体(24,24´´)の自由に湾曲できる自由搬送区分に沿って、定着装置(36)に向かって搬送されるようになっており、該定着装置(36)では、記録担体(24,24´´)が、固定して案内されるようになっている、請求項1から10までのいずれか1項記載の装置。
【請求項12】
被案内搬送区分の長さ(L)が、印刷しようとする最短の記録担体の長さの少なくとも1/3の長さを有している、請求項1から11までのいずれか1項記載の装置。
【請求項13】
被案内搬送区分の長さ(L)が、100mmから210mmまでの間の長さを有している、請求項1から12までのいずれか1項記載の装置。
【請求項14】
自由搬送区分の長さ(L)が、印刷しようとする最短の記録担体の長さの少なくとも1/3の長さを有していて、かつ印刷しようとする最短の記録担体の長さよりも小さくなっている、請求項11から13までのいずれか1項記載の装置。
【請求項15】
自由搬送区分の長さ(L)が、80mmから130mmまでの間の長さを有している、請求項11から14までのいずれか1項記載の装置。
【請求項16】
定着装置(36)を通って記録担体の搬送される速度(V)が、被案内搬送区分で記録担体の搬送される速度(V)の97%から100%までの値を有している、請求項1から15までのいずれか1項記載の装置。
【請求項17】
搬送ベルト(54)が、被案内搬送区分の端部で、ローラ(56)の周りを案内されるようになっており、該ローラ(56)が、10Ωcmから10Ωcmまでの間の固有の体積抵抗を有している、請求項1から16までのいずれか1項記載の装置。
【請求項18】
ローラ(56)が、シリコーンから成っている、請求項17記載の装置。
【請求項19】
ローラ(56)が、駆動ローラとして形成されている、請求項17または18記載の装置。
【請求項20】
記録担体(24,24´´)に存在するトナーを除電するための除電装置(84)が設けられている、請求項1から19までのいずれか1項記載の装置。
【請求項21】
静電的に帯電されたトナー像を、エレクトログラフィ式の印刷機または複写機の中間担体(10)から記録担体(24,24´´)に転写して、転写されたトナー像を記録担体(24,24´´)に定着させる方法において、
記録担体(24,24´´)を、静電的に帯電可能な搬送ベルト(54)に載設して、静電力によって該搬送ベルト(54)に付着するように、転写領域(28)を通って、該転写領域(28)に続く被案内搬送区分に沿って搬送し、
記録担体(24,24´´)を、定着装置(36)に搬送し、
被案内搬送区分を、搬送構成ユニット(78)に配置し、定着装置(36)を、定着構成ユニット(80)に配置し、これらの搬送ユニット(78)と定着ユニット(80)とを、互いに独立して、印刷機または複写機に組み込むか、または印刷機または複写機から取り出すことのできるようにすることを特徴とする、静電的に帯電されたトナー像を、エレクトログラフィ式の印刷機または複写機の中間担体から記録担体に転写して、転写されたトナー像を記録担体に定着させる方法。
【請求項22】
少なくとも1つの壁(88,90)を備えた定着装置(80)を使用し、該壁(88,90)が、定着ユニット(80)から搬送構成ユニット(78)への熱伝達を防止するようにする、請求項21記載の方法。
【請求項23】
少なくとも1つの壁を、開口(92)を備えた中空チャンバプロフィール(88)として形成し、開口(92)を通って、搬送ユニット(78)を冷却するために空気を吸い込む、請求項22記載の方法。
【請求項24】
空気を、搬送ベルト(54)の周囲から中空チャンバプロフィールに吸い込む、請求項23記載の方法。
【請求項25】
中空チャンバプロフィール(88)に吸い込んだ空気を、オゾンフィルタで濾過する、請求項23または24記載の方法。
【請求項26】
実質的にポリフッ化ビニリデン(PVDF)から成る搬送ベルト(54)を使用する、請求項21から25までのいずれか1項記載の方法。
【請求項27】
記録担体(24,24´)を、被案内搬送区分に続く、記録担体(24,24´´)の自由に湾曲できる自由搬送区分に沿って、定着装置(36)に向かって搬送し、定着装置(36)では、記録担体(24,24´)を固定して案内する、請求項21から26までのいずれか1項記載の方法。
【請求項28】
被案内搬送区分の長さ(L)を、印刷しようとする最短の記録担体の長さの少なくとも1/3にする、請求項21から27までのいずれか1項記載の方法。
【請求項29】
被案内搬送区分の長さ(L)を、100mmから210mmまでの間にする、請求項21から28までのいずれか1項記載の方法。
【請求項30】
自由搬送区分の長さ(L)を、印刷しようとする最短の記録担体の長さの少なくとも1/3にし、かつ印刷しようとする最短の記録担体の長さよりも小さくする、請求項27から29までのいずれか1項記載の方法。
【請求項31】
自由搬送区分の長さ(L)を、80mmから130mmまでの間にする、請求項27から30までのいずれか1項記載の方法。
【請求項32】
定着装置(36)を通って記録担体の搬送される速度(V)を、被案内搬送区分で記録担体の搬送される速度(V)の97%から100%までの間にする、請求項21から31までのいずれか1項記載の方法。
【請求項33】
記録担体(24,24´´)上に存在するトナーを、除電装置(84)を用いて除電する、請求項21から32までのいずれか1項記載の方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電的に帯電されたトナー像を、エレクトログラフィ式の印刷機または複写機の中間担体(10)から記録担体(24,24´´)に転写して、転写されたトナー像を記録担体(24,24´´)に定着させるための装置において、
記録担体(24,24´´)が、静電的に帯電可能な搬送ベルト(54)に載設して、静電力によって該搬送ベルト(54)に付着するように、転写領域(28)を通って、該転写領域(28)に続く被案内搬送区分に沿って搬送されるようになっており、
記録担体(24,24´´)が、定着装置(36)に向かって搬送されるようになっており、
被案内搬送区分が、搬送構成ユニット(78)に配置されており、定着装置(36)が、定着構成ユニット(80)に配置されており、これらの搬送構成ユニット(78)と定着構成ユニット(80)とが、互いに独立して、印刷機または複写機に組み込み、かつ印刷機または複写機から取り出すことのできるようになっており、
定着ユニット(80)が、少なくとも1つの壁(88,90)を備えており、該壁(88,90)が、中空チャンバプロフィール(88,90)として形成されており、該壁(88,90)が、定着ユニット(80)から搬送ユニット(78)への熱伝達を防止するようになっていることを特徴とする、静電的に帯電されたトナー像を、エレクトログラフィ式の印刷機または複写機の中間担体から記録担体に転写して、転写されたトナー像を記録担体に定着させるための装置。
【請求項2】
搬送構成ユニット(78)と定着ユニット(80)とが、挿入体として形成されている、請求項1記載の装置。
【請求項3】
中空チャンバプロフィール(88,90)が、開口(92)を備えており、開口(92)を通って、搬送構成ユニット(78)を冷却するために空気が吸い込まれるようになっている、請求項1または2記載の装置。
【請求項4】
空気が搬送ベルト(54)の周囲から中空チャンバプロフィール(88)に吸い込まれるように、開口(92)が、中空チャンバプロフィール(88)に配置されている、請求項3記載の装置。
【請求項5】
中空チャンバプロフィール(88)に吸い込まれた空気を濾過するためのオゾンフィルタが設けられている、請求項3または4記載の装置。
【請求項6】
中空チャンバプロフィール(88)に空気を吸い込むためのファンが設けられており、該ファンが、印刷機または複写機の停止後に特定の時間継続運転されるようになっている、請求項3から5までのいずれか1項記載の装置。
【請求項7】
搬送ベルト(54)が、1011Ωcmから1015Ωcmまでの間の固有の体積抵抗を有するプラスチックベルトとして形成されている、請求項1から8までのいずれか1項記載の装置。
【請求項8】
搬送ベルト(54)が、実質的にポリフッ化ビニリデン(PVDF)から成っている、請求項7記載の装置。
【請求項9】
記録担体(24,24´´)が、被案内搬送区分に続く、記録担体(24,24´´)の自由に湾曲できる自由搬送区分に沿って、定着装置(36)に向かって搬送されるようになっており、該定着装置(36)では、記録担体(24,24´´)が、固定して案内されるようになっている、請求項1から8までのいずれか1項記載の装置。
【請求項10】
被案内搬送区分の長さ(L)が、印刷しようとする最短の記録担体の長さの少なくとも1/3の長さを有している、請求項1から9までのいずれか1項記載の装置。
【請求項11】
被案内搬送区分の長さ(L)が、100mmから210mmまでの間の長さを有している、請求項1から10までのいずれか1項記載の装置。
【請求項12】
自由搬送区分の長さ(L)が、印刷しようとする最短の記録担体の長さの少なくとも1/3の長さを有していて、かつ印刷しようとする最短の記録担体の長さよりも小さくなっている、請求項9から11までのいずれか1項記載の装置。
【請求項13】
自由搬送区分の長さ(L)が、80mmから130mmまでの間の長さを有している、請求項9から12までのいずれか1項記載の装置。
【請求項14】
定着装置(36)を通って記録担体の搬送される速度(V)が、被案内搬送区分で記録担体の搬送される速度(V)の97%から100%までの値を有している、請求項1から13までのいずれか1項記載の装置。
【請求項15】
搬送ベルト(54)が、被案内搬送区分の端部で、ローラ(56)の周りを案内されるようになっており、該ローラ(56)が、10Ωcmから10Ωcmまでの間の固有の体積抵抗を有している、請求項1から14までのいずれか1項記載の装置。
【請求項16】
ローラ(56)が、シリコーンから成っている、請求項15記載の装置。
【請求項17】
ローラ(56)が、駆動ローラとして形成されている、請求項15または16記載の装置。
【請求項18】
記録担体(24,24´´)に存在するトナーを除電するための除電装置(84)が設けられている、請求項1から17までのいずれか1項記載の装置。
【請求項19】
静電的に帯電されたトナー像を、エレクトログラフィ式の印刷機または複写機の中間担体(10)から記録担体(24,24´´)に転写して、転写されたトナー像を記録担体(24,24´´)に定着させる方法において、
記録担体(24,24´´)を、静電的に帯電可能な搬送ベルト(54)に載設して、静電力によって該搬送ベルト(54)に付着するように、転写領域(28)を通って、該転写領域(28)に続く被案内搬送区分に沿って搬送し、
記録担体(24,24´´)を、定着装置(36)に搬送し、
被案内搬送区分を、搬送構成ユニット(78)に配置し、定着装置(36)を、定着構成ユニット(80)に配置し、これらの搬送ユニット(78)と定着ユニット(80)とを、互いに独立して、印刷機または複写機に組み込むか、または印刷機または複写機から取り出すことのできるようにし、
少なくとも1つの壁(88,90)を備えた定着装置(80)を使用し、該壁(80,90)を、中空チャンバプロフィールとして形成し、該壁(88,90)が、定着ユニット(80)から搬送構成ユニット(78)への熱伝達を防止するようにすることを特徴とする、静電的に帯電されたトナー像を、エレクトログラフィ式の印刷機または複写機の中間担体から記録担体に転写して、転写されたトナー像を記録担体に定着させる方法。
【請求項20】
開口(92)を備えた中空チャンバプロフィール(88)を使用し、開口(92)を通って、搬送ユニット(78)を冷却するために空気を吸い込む、請求項19記載の方法。
【請求項21】
空気を、搬送ベルト(54)の周囲から中空チャンバプロフィールに吸い込む、請求項20記載の方法。
【請求項22】
中空チャンバプロフィール(88)に吸い込んだ空気を、オゾンフィルタで濾過する、請求項20または21記載の方法。
【請求項23】
実質的にポリフッ化ビニリデン(PVDF)から成る搬送ベルト(54)を使用する、請求項19から22までのいずれか1項記載の方法。
【請求項24】
記録担体(24,24´)を、被案内搬送区分に続く、記録担体(24,24´´)の自由に湾曲できる自由搬送区分に沿って、定着装置(36)に向かって搬送し、定着装置(36)では、記録担体(24,24´)を固定して案内する、請求項19から23までのいずれか1項記載の方法。
【請求項25】
被案内搬送区分の長さ(L)を、印刷しようとする最短の記録担体の長さの少なくとも1/3にする、請求項19から24までのいずれか1項記載の方法。
【請求項26】
被案内搬送区分の長さ(L)を、100mmから210mmまでの間にする、請求項19から25までのいずれか1項記載の方法。
【請求項27】
自由搬送区分の長さ(L)を、印刷しようとする最短の記録担体の長さの少なくとも1/3にし、かつ印刷しようとする最短の記録担体の長さよりも小さくする、請求項24から26までのいずれか1項記載の方法。
【請求項28】
自由搬送区分の長さ(L)を、80mmから130mmまでの間にする、請求項24から27までのいずれか1項記載の方法。
【請求項29】
定着装置(36)を通って記録担体の搬送される速度(V)を、被案内搬送区分で記録担体の搬送される速度(V)の97%から100%までの間にする、請求項19から28までのいずれか1項記載の方法。
【請求項30】
記録担体(24,24´´)上に存在するトナーを、除電装置(84)を用いて除電する、請求項19から29までのいずれか1項記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公表番号】特表2006−503316(P2006−503316A)
【公表日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−544147(P2004−544147)
【出願日】平成15年10月10日(2003.10.10)
【国際出願番号】PCT/EP2003/011262
【国際公開番号】WO2004/036318
【国際公開日】平成16年4月29日(2004.4.29)
【出願人】(397018925)オーセ プリンティング システムズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (68)
【Fターム(参考)】