説明

複数車両の追従状態提示装置

【課題】 お互いの追従状態や追従可能性を把握しながらグループ走行することを可能にする追従状態提示装置を提供する。
【解決手段】 自車両情報取得部100で取得した自車両の走行情報と、送受信機20で受信した他車両の走行情報とに基づき、追従判定部50は、これらの車両が追従状態にあるか否かを判定する。追従判定部50による判定結果はモニタ30に表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は追従状態提示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数車両のグループ走行を支援する装置として、例えば特開2000−331284号公報に記載のものが提案されている。上記公報で提案されている装置は、同じグループ内の各車両が、GPSシステムで取得した自車両の位置を携帯電話等によりサーバに送信し、各車両のナビゲーションシステムに、当該グループ内の車両の位置を表示するものである。
【特許文献1】特開2000−331284号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら上記公報で提案されているものは、同じグループに属する車両群の位置関係を表示するだけである。そのため、後続車両が追従しているかいないかなどの詳細な走行状態を表示することができなかった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の追従状態提示装置は、自車両の走行情報を取得する自車両情報取得手段と、自車両の走行情報を送信し、他車両の走行情報を受信する送受信手段と、自車両情報取得手段で取得した自車両の走行情報と、送受信手段で受信した他車両の走行情報とに基づき、これらの車両が追従状態にあるか否か、又はこれらの車両の追従可能性を判定する追従判定手段と、追従判定手段による判定結果を乗員に提示する判定結果提示手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、先行車両と後続車両の少なくとも何れかにおいて、他車両との追従状態又は追従可能性を把握できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
<1−1.第1実施形態の構成(図1)>
図1は、本発明の第1の実施形態による追従状態提示装置の構成例を示すブロック図である。この追従状態提示装置は、処理部110に、GPS受信機81、方向指示器センサ71、送受信器20、モニタ30が接続されて構成されている。このうち処理部110は、自車両情報取得部100、追従判定部50、表示制御部40を備えている。
【0007】
GPS受信機81、方向指示器センサ71、送受信器20、自車両情報取得部100は、グループ走行する複数の車両のいずれにも備えられていることが望ましいものである。これに対し、モニタ30、追従判定部50、表示制御部40は、グループ走行する複数の車両のうち、特に他車両の走行情報を受信し追従判定を行う受信側の車両に備えられていることが望ましいものである。但し、双方の車両にこれらの構成を備えることにより、互いに走行情報を送受信して各々が相手との追従判定を行えることが最も望ましい。
【0008】
<1−2.自車両の走行情報を取得及び送信する構成の詳細>
処理部110は、自車両の走行情報を取得したり追従判定を行ったりするプログラムを格納したROMと、このプログラムを実行することで、自車両情報取得部100、追従判定部50等として機能するCPUと、一時記憶装置として機能するRAMとを備えている。
【0009】
自車両情報取得部100は、自車位置測位部80、ウィンカー情報取得部70、車両方位算出部90を備え、自車両の走行情報を取得する機能を有している。自車両情報取得部100で取得した自車両の走行情報は、追従判定部50における追従判定に利用される。
【0010】
GPS受信機81は、複数のGPS衛星からの同期電波を受信し、各GPS衛星からの電波を受信するまでの時間差情報を自車位置測位部80に送る。自車位置測位部80は、GPS受信機81が受信した電波の時間差情報に基づいて自車の現在位置を計測する。また、車両方位算出部90は、自車位置測位部80が計測した自車位置の履歴に基づいて、車両の向き(進行方向)を算出する。
【0011】
方向指示器センサ71は、所定のタイミングでウィンカー情報を取得し、ウィンカー情報取得部70に送る。ウィンカー情報は、左右何れのウィンカーが作動しているかの情報を含んでいる。
【0012】
送受信器20は、自車両情報取得部100で取得された走行情報を他車両との間で送受信するもので、少なくともデータの送受信を行うことが可能な通信機能を有する無線通信装置で構成される。送受信器20の伝送方式は特に限定されず、電波方式、赤外線方式、或いはそれ以外の方式であっても良い。
【0013】
<1−3.進路変更を判定及び出力する構成の詳細>
追従判定部50は、自車両情報取得部100で取得された自車両の走行情報と、送受信器20で受信した他車両の走行情報とに基づき、これらの車両が追従状態にあるか否かを判定する。具体的には車両位置比較部18と、ウィンカー情報比較部17と、車両方位比較部19とを含む車両情報比較部10を有し、自車両と他車両の走行情報を比較して追従状態を判定する。
【0014】
モニタ30は、追従判定部50による判定結果を、表示制御部40による制御に基づき表示することによって出力する装置である。但し、判定結果の出力はモニタによる表示に限らず、図示しないランプの点灯や、図示しないスピーカによる音声出力などによっても良い。
【0015】
<1−4.第1実施形態による走行情報の取得(図2)>
図2は、第1の実施形態による追従状態提示装置における走行情報の取得のための処理手順を示すフローチャートである。このフローチャートの処理は、グループ走行しているそれぞれの車両において、一定間隔、例えば1秒に1回実行する。
【0016】
まずステップS101において、グループ走行しているそれぞれの車両は、自車位置測位部80により、自車の現在位置を取得する。
【0017】
次のステップS102において、車両方位算出部90により、これまで取得した自車位置の情報から現在の自車両の向き(進行方向)を算出する。
【0018】
次のステップS103において、ウィンカー情報取得部70により、方向指示器が作動しているか否かを判定し、方向指示器が作動している場合には(ステップS103:YES)、ステップS104において、ウィンカー情報を取得する。そして、次のステップS105において、自車両情報取得部100により、同一時点における自車両の位置情報、自車両の向きの情報及びウィンカー情報を、図示しないメモリに走行履歴として一時格納する。
【0019】
一方、方向指示器が作動していない場合には(ステップS103:NO)、ステップS106において、自車両情報取得部100により、同一時点における自車両の位置情報、自車両の向きの情報を、図示しないメモリに走行履歴として一時格納する。
【0020】
グループ走行している他の車両が追従判定部50を備えている場合は、ステップS107において、格納された走行履歴情報のうち最新の1点における情報を、当該他車両に対して送信する。
【0021】
<1−5.第1実施形態による追従判定(図3、図4)>
図3は、第1の実施形態による追従状態提示装置における追従判定のための処理手順を示すフローチャートである。
【0022】
このフローチャートの処理は、グループ走行している車両のうち先行車両において実行されるものとする。但し、後述のように追従判定の処理は後続車両において実行しても良い。実行タイミングは図2の処理と同期し、例えば1秒に1回とする。
【0023】
まずステップS111において、他車両から走行履歴情報(ここでは上記の最新の1点のみの情報である)が送られてきたか否かを判定する。送られてこない場合はステップS120で後述するカウンタをリセットしてステップS111へ戻る。他車両から走行履歴情報が送られてきた場合は、ステップS112において、他車両の走行履歴情報を取得する。
【0024】
次にステップS113において、追従判定部50の車両情報比較部10は、先行車両である自車両のメモリに保存された走行履歴情報の中に、後続車両である他車両の走行履歴情報のうち受信した最新の1点における情報と一致するものが含まれているか否か(走行履歴情報の一致性)を判定する。具体的には、車両位置比較部18、車両方位比較部19、ウィンカー情報比較部17の比較結果を利用して、以下の(1)〜(4)のいずれかにより、走行履歴情報が一致性を有するか否かの判定を行う。
(1)車両位置の一致性
(2)車両位置と当該位置における車両の向きの一致性
(3)車両位置と当該位置におけるウィンカー情報の一致性
(4)車両位置と当該位置における車両の向き及びウィンカー情報の一致性
【0025】
一致性の判定は厳密な同一性を求めるものではなく、車両位置であれば例えば5mまでの相違については一致と判定し、車両の向きであれば例えば30度までの相違については一致と判定する。
【0026】
なお、ここでは先行車両において追従判定を行う場合を説明したが、後続車両において追従判定を行う場合は、先行車両である他車両の走行履歴情報としては最新の1点における情報のみ逐次受信するため、他車両の走行履歴情報を受信したら図示しないメモリに保存しておく必要がある。こうして保存された他車両の走行履歴情報と、後続車両である自車両の走行履歴情報のうち最新の1点における情報とを比較することにより、追従状態の判定が可能である。
【0027】
ステップS113において走行履歴情報の一致性がある場合、ステップS118において、一致性検出カウンタをカウントアップしてステップS114に進む。ステップS114において、追従判定部50は、その一致状態が所定の回数以上連続しているかどうかを判定する。これは、ステップS118でカウントアップされる一致性検出カウンタの計数値により判定することができる。ステップS114が否定されると、ステップS116Aで追従状態でないと判定し、ステップS117Aで判定結果をモニタ表示してステップS111へ戻る。
【0028】
他車両からの走行履歴情報が途絶えてステップS111が否定された場合、上述したように、ステップS120で一致性検出カウンタを0にリセットする。また、ステップS113の判定が否定された場合、ステップS119で一致性検出カウンタを0にリセットする。こうして他車両の走行履歴情報の受信と一致判定を繰り返し、カウンタの計数が連続して所定の数、例えば5回に達したら、一致状態が所定の回数以上連続していると判定する。
【0029】
走行履歴情報の一致状態が所定の回数以上連続している場合は(ステップS114:YES)、ステップS115において、追従判定部50は後続車両が先行車両に追従している状態であると判定する。そして、ステップS117において、判定結果を表示制御部40の制御によりモニタ30に出力する。
【0030】
ステップS113において、走行履歴情報の一致性がない場合(ステップS113:NO)、ステップS119を経由してステップS116に進み、追従判定部50は後続車両が先行車両に追従していない状態であると判定する。そして、ステップS117において、判定結果を表示制御部40の制御によりモニタ30に出力する。
【0031】
図4は、モニタ30に出力される表示の例を示す図である。この例では、モニタ30に表示した地図上に「追従OK」の文字31を表示するとともに、グループ走行している先行車両C1と後続車両C2を表示している。なお、図4は、後続車両が追従している状態の表示例であり、後続車両C2のアイコン形状を取り囲む星形の強調表示32を付している。後続車両が追従している状態を示す他の例としては、強調表示32に代えて、後続車両C2のアイコン形状、色彩、ぼかし具合などが異なるようにしたりしても良い。後続車両が追従していない場合は、「追従OK」の文字31に代えて、「追従NG」などの文字を表示する。
【0032】
グループ走行をしている車両が自車両を含めて3台以上の場合には、追従状態を判定する方法として、以下の(1)〜(3)が考えられる。
(1)先頭の車両のすぐ後を走る車両が追従しているかどうかを判断する方法である。この車両が追従していれば、さらにその後の車両も同じように追従している可能性が高くなる。
(2)最後尾の車両が先頭の車両に追従しているかどうかを判断する方法である。最後尾の車両が追従していれば、途中の車両も追従している可能性が高い。
(3)すべての後続車両が先頭の車両に追従しているか否かを判断する方法である。3つの方法の中ではこれが最も正確に追従状態を判断することができる。
【0033】
<1−6.第1実施形態の効果>
以上説明した第1の実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
(1)先行車両と後続車両の少なくとも何れかにおいて、他車両との追従状態を把握しながら、容易にグループ走行することができる。
【0034】
(2)後続車両の現在の走行位置と、先行車両の走行位置の履歴(走行軌跡)とを比較することにより、これらの車両が追従状態にあるか否かを確実に判定することができる。
【0035】
(3)走行位置の比較だけでなく、後続車両の現在の走行位置におけるウィンカー情報と、先行車両の当該位置におけるウィンカー情報とを比較することにより、後続車両がこれから進もうとしている進路が正しいか否かを判定し、先行車両と後続車両が追従状態にあるか否かをより確実に判定することができる。
(4)走行位置の比較だけでなく、後続車両の現在の走行位置における車両の向きの情報と、先行車両の当該位置における車両の向きの情報とを比較することにより、後続車両がこれから進もうとしている方角が正しいか否かを判定し、先行車両と後続車両が追従状態にあるか否かをより確実に判定することができる。
【0036】
<2−1.第2実施形態の構成(図5)>
図5は、本発明の第2の実施形態による追従状態提示装置の構成例を示すブロック図である。上記第1実施形態についての図1と同様の部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0037】
図5に示す第2の実施形態の追従状態提示装置は、第1の実施形態の各構成に加え、処理部110に道路地図メモリ61が接続され、追従判定部50内に追従可能性予測部60を有している。第1実施形態の各構成のうち方向指示器センサ71、ウィンカー情報取得部70、車両情報比較部10は、必ずしも備える必要はない。
【0038】
道路地図メモリ61には、道路形状情報、交差点接続情報、道路種別情報、および車線情報などが記憶されている。道路形状情報は道路リンクとノードで表現した情報であり、ノードの位置座標を含む。交差点接続情報は交差点に接続される道路の情報であり、接続される道路のリンクやノードの情報を含む。道路種別情報は、各道路が幹線道路か細街路かなどを識別する情報を含み、たとえば、国道や県道を幹線道路とし、市町村道を細街路と定義することができる。
【0039】
追従可能性予測部60は、進行方向情報判断部65と特徴点判断部66とを含み、今後の追従可能性を判定する。
【0040】
進行方向情報判断部65は、図示しないメモリに格納された先行車両の走行位置の履歴(走行軌跡)と、後続車両の自車位置測位部80及び車両方位算出部90で算出された後続車両の自車位置と、自車位置での後続車両の進行方向とに基づき、後続車両の進行方向に先行車両の走行軌跡が含まれているか否かを判定する。この判定のために、進行方向情報判断部65は、道路地図メモリ61にアクセスし、後続車両の進行方向を道なりに辿って先行車両の走行軌跡の有無を探索する。
【0041】
特徴点判断部66は、後続車両の進行方向に存在する交差点の有無、当該交差点で交差する道路の種別を判定する。この判定のために、特徴点判断部66も道路地図メモリ61にアクセスする。
【0042】
<2−2.第2実施形態による追従判定(図6)>
図6は、第2の実施形態による追従状態提示装置における追従判定のための処理手順を示すフローチャートである。走行情報の取得のための処理手順は上記第1の実施形態についての図2と同様なので図示及び説明を省略する。
【0043】
図6のフローチャートの処理は、図3と同様、グループ走行している車両のうち先行車両において実行する。但し、後述のように追従判定の処理は後続車両において実行しても良い。図6の処理は、他車両(後続車両)から走行履歴情報を受信して今後の追従可能性を判定するものである。情報受信中でも実行可能である他、情報の受信が中断している場合でも、過去に受信した情報に基づいて追従可能性を判定することができる。
【0044】
まずステップS212において、後続車両の車両方位算出部90で算出された後続車両の向きを取得する。ここで、他車両が後続車両であり、後続車両からの情報の受信が中断している場合は、過去に受信した走行履歴情報のうち最新の後続車両の向きを取得する。
【0045】
次にステップS213において、進行方向情報判断部65が、後続車両の進行方向に先行車両の過去の走行位置(走行軌跡)が存在するか否かを判定する。
【0046】
後続車両の向きは、後続車両の2つ以上の軌跡を結ぶ線分を方向ベクトルとして算出することができる。そして、その進行方向ベクトルの方向に、先行車両の走行軌跡が存在するか判定し、存在する場合は、その先行車両の走行軌跡が道路上にあるかマップマッチングする。ここで、マップマッチング対象となる道路とは、後続車両の2つ以上の走行軌跡が含まれるリンクと共通の識別番号を有するリンクで表される道路である。あるいは、目標地点まで経路誘導中であれば、経路誘導するリンクで表される道路である。
【0047】
なお、ここで他車両が先行車両である場合は、過去に受信した先行車両の走行軌跡を後続車両の図示しないメモリに格納しておき、先行車両からの情報の受信が中断している場合は、当該メモリに格納された先行車両の走行軌跡が存在するか否かを判定する。
【0048】
後続車両の進行方向に先行車両の走行軌跡が存在する場合(ステップS213:YES)、ステップS214において、特徴点判断部66が、後続車両の進行方向に特徴点が存在するか否かを判定する。ここで特徴点とは、「後続車両が幹線道路や細街路を走行している際、その前方に位置する幹線道路との交差点」である。
【0049】
特徴点を以上のように定義するのは以下の理由による。
後続車両の進行方向に交差点が存在する場合は、後続車両がいずれの進路をとるかにより先行車両に追従できるか否かが異なる。交差点であっても、現在、幹線道路を走行していて細街路に進入することは稀であるし、逆に現在、細街路を走行している場合には幹線道路に交わるまで右左折せず直進し続けることが多いから、そのようなものは特徴点から除かれている。すなわち、次のような交差点は除外する。
(1)後続車両が走行する幹線道路の前方に位置する細街路との交差点
(2)後続車両が走行する細街路が幹線道路と交差する交差点の手前で細街路と交差する交差点
【0050】
なお、ここでの交差点には、T字路、Y字路などの三叉路、十字路などの四叉路、或いは五叉路以上のいずれも含まれる。
【0051】
後続車両の進行方向に特徴点が存在しない場合(ステップS214:NO)、追従可能性予測部60は、ステップS215において追従可能性が高いと判定する。一方、後続車両の進行方向に先行車両の走行軌跡が存在しない場合(ステップS213:NO)、或いは、後続車両の進行方向に特徴点が存在する場合(ステップS214:YES)、追従可能性予測部60は、ステップS216において追従可能性が低いと判定する。
【0052】
最後に、ステップS117において、追従可能性が高い又は追従可能性が低いとの判定結果を表示制御部40の制御によりモニタ30に出力する。出力方法は第1の実施形態において説明したと同様であり、例えば文字により、「追従OK」「追従NG」などの表示をしても良いし、追従可能性が高い後続車のアイコンの周囲には強調表示34を表示しても良い。
【0053】
なお、後続車両の進行方向に先行車両の走行軌跡が存在しない場合とは、たとえば、幹線道路を走行していた先行車両が幹線道路と斜めに交差する細街路へ進入し、後続車両の進行方向が幹線道路に沿った方向である場合などである。
【0054】
<2−3.第2実施形態の効果>
以上説明した第2の実施形態によれば次の作用効果を得ることができる。
(1)第1実施形態と同様に、先行車両と後続車両の少なくとも何れかにおいて、他車両との追従可能性を把握しながら、容易にグループ走行することができる。
(2)後続車両の進行方向に先行車両の走行軌跡が含まれるか否かにより、追従可能性を判定することができるので、より確実な追従可能性の判定ができる。しかも、通信状態が悪くなった場合でも、追従可能性を判定によってユーザに指針を与えることができる。
【0055】
(3)後続車両の進行方向に存在する交差点の情報に基づいて追従可能性を判定することにより、過去において追従できていたとしても将来追従できなくなる可能性を判定することができ、ユーザに注意を促すができる。
【0056】
<3−1.第3実施形態の構成(図7)>
図7は、本発明の第3の実施形態による追従状態提示装置の構成例を示すブロック図である。上記第1実施形態についての図1又は上記第2実施形態についての図5において既に説明した各構成については、同一の符号で示して詳細な説明を省略する。
【0057】
図7に示す第3の実施形態の追従状態提示装置は、第1の実施形態の各構成をすべて備え、かつ第2の実施形態の各構成をすべて備えている。いわば第1の実施形態と第2の実施形態とを組み合わせたものである。
【0058】
更に第3の実施形態は、表示制御部40に、追従可能性表示制御部41を備えている。追従可能性表示制御部41は、追従判定部50での判定結果に基づいて、追従可能性の程度の高低を区別して出力するためモニタ30の制御を行うものである。
【0059】
<3−2.第3実施形態による追従判定(図8、図9)>
図8は、第3の実施形態による追従状態提示装置における追従判定のための処理手順を示すフローチャートである。走行情報の取得のための処理手順は上記第1の実施形態についての図2と同様なので図示及び説明を省略する。
【0060】
図8の処理では、他車両からの情報受信中は上記第1実施形態の図3と同様に現在追従状態にあるか否かを判定し、他車両からの情報が中断した場合は、過去の走行履歴に基づいて、上記第2実施形態の図6と同様に追従可能性の予測を行う。更に、図8の処理では、追従可能性の程度の高低を区別して出力する。上記第1実施形態についての図3、又は上記第2実施形態についての図6において既に説明した処理については、同一の符号で示して詳細な説明を省略する。
【0061】
まずステップS111において、第1実施形態と同様に、他車両から走行履歴情報が送られてきたか否かを判定する。他車両から走行履歴情報が送られてきた場合(ステップS111:YES)、ステップS112乃至S114において、先行車両の走行履歴情報の中に、後続車両の走行履歴情報のうち最新の1点における情報と一致するものが含まれているか否か、一致するものがあればその状態が所定回数以上連続しているかを判定する。これらの判定処理の詳細は第1実施形態において説明した通りである。
【0062】
他車両からの走行履歴情報が中断している場合(ステップS111:NO)、ステップS120で一致検出カウンタをリセットした後、ステップS311において、以前に他車両から走行履歴情報が送られてきたことがあるか否かを判定する。送られてきたことがない場合(ステップS311:NO)、ステップS111へ戻る。送られてきたことがある場合(ステップS311:YES)、ステップS212乃至S214において、後続車両の進行方向に先行車両の過去の走行位置が存在するか否か、存在するならば後続車両の進行方向に特徴点が存在するか否かを判定する。これらの判定処理の詳細は第2実施形態において説明した通りである。
【0063】
次に、上記の判定結果に基づいて、追従可能性の程度の高低を以下の基準で判定する。ステップS113及びS114において、先行車両の走行履歴情報の中に、後続車両の走行履歴情報のうち最新の1点における情報と一致するものが含まれており(ステップS113:YES)、且つその状態が所定回数以上連続している場合(ステップS114:YES)、後続車両が先行車両に追従している状態であると判断できる。よってこの場合、ステップS315において、追従可能性が例えば最も高レベルの「3」と判定される。
【0064】
ステップS213及びS214において、後続車両の進行方向に先行車両の過去の走行位置が存在しており(ステップS213:YES)、且つ後続車両の進行方向に特徴点が存在しない場合(ステップS214:NO)、追従可能性が高いと判断できるが、通信中断前の情報に基づいた判定しかできていない。よってこの場合、ステップS316において、追従可能性が例えば中レベルの「2」と判定される。
【0065】
ステップS113又はS114において、先行車両の走行履歴情報の中に、後続車両の走行履歴情報のうち最新の1点における情報と一致するものが含まれていない場合(ステップS113:NO)、或いは、一致するものがあってもその状態が所定回数以上連続していない場合(ステップS114:NO)、後続車両が先行車両に追従していない状態であると判断できる。また、ステップS213及びS214において、後続車両の進行方向に先行車両の過去の走行位置が存在しない場合(ステップS213:NO)、或いは、存在していても後続車両の進行方向に特徴点が存在する場合(ステップS214:YES)、追従可能性が低いと判断できる。よってこれらの場合、ステップS317あるいはステップS317Aにおいて、追従可能性が例えば最も低レベルの「1」と判定される。
【0066】
次にステップS318あるいはステップS318Aにおいて、追従可能性表示制御部41は、上記で判定された追従可能性の程度の高低に従い、これを区別してモニタ30に出力させる。
【0067】
図9は、第3の実施形態においてモニタ30に出力される表示の例を示す図である。例えば、追従可能性の程度を上記の「3」「2」「1」等の数値を用いた表示33で示す。また図9の表示例では、モニタ30に表示した地図上にグループ走行している先行車両C1と後続車両C2を表示し、追従可能性の程度の高低に応じて後続車両の強調表示34を異ならせて表示する。そして、追従可能性レベルが高い場合、中の場合、低い場合の強調表示34の表示ガイダンスを図9の左下に示す。追従可能性レベルの高、中、低を、図10に示すバーコード表示としてもよい。
【0068】
なお、グループ走行をしている車両が自車両を含めて3台以上であって、自車両とグループ走行するすべての他車両との間で追従可能性を判定する場合には、判定された追従可能性の平均値を出力しても良いし、判定された追従可能性のうち最低レベルのものを出力しても良い。
【0069】
<3−3.第3実施形態の効果>
以上説明した第3の実施形態によれば次のような作用効果を得ることができる。
(1)第1及び第2実施形態と同様に、先行車両と後続車両の少なくとも何れかにおいて、他車両との追従状態又は追従可能性を把握しながら、容易にグループ走行することができる。
【0070】
(2)通信可能な状態であればリアルタイムの情報に基づき他車両との追従状態を把握することができるし、電波状態が悪くなった場合など通信不可能な状態であれば過去に受信した情報に基づき追従可能性を判定することができる。従って通信状況に応じて追従判定を行うことができ、グループ走行を容易にすることができる。
【0071】
(3)追従可能性の程度の高低を区別して出力するので、追従可能性の提示をきめ細かなものにすることができる。
【0072】
<4.用語の説明等>
なお、以上説明した各実施形態における自車両情報取得部100は本発明の「自車両情報取得手段」に、送受信器20は「送受信手段」に、追従判定部50は「追従判定手段」に、表示制御部40とモニタ30は「判定結果提示手段」に、それぞれ相当する。以上の説明はあくまで一例であり、発明を解釈する際、上記の実施形態の記載事項と特許請求の範囲の記載事項の対応関係に何ら限定も拘束もされない。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】第1の実施形態による追従状態提示装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】第1乃至第3の実施形態による追従状態提示装置における走行情報の取得のための処理手順を示すフローチャートである。
【図3】第1の実施形態による追従状態提示装置における追従判定のための処理手順を示すフローチャートである。
【図4】第1及び第2の実施形態においてモニタ30に出力される表示の例を示す図である。
【図5】第2の実施形態による追従状態提示装置の構成例を示すブロック図である。
【図6】第2の実施形態による追従状態提示装置における追従判定のための処理手順を示すフローチャートである。
【図7】第3の実施形態による追従状態提示装置の構成例を示すブロック図である。
【図8】第3の実施形態による追従状態提示装置における追従判定のための処理手順を示すフローチャートである。
【図9】第3の実施形態においてモニタ30に出力される表示の例を示す図である。
【図10】第3の実施形態においてモニタ30に出力される表示の他の例を示す図である。
【符号の説明】
【0074】
20…送受信器 30…モニタ
50…追従判定部 40…表示制御部
100…自車両情報取得部
C1…先行車両 C2…後続車両

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の走行情報を取得する自車両情報取得手段と、
前記自車両の走行情報を送信し、他車両の走行情報を受信する送受信手段と、
前記自車両情報取得手段で取得した前記自車両の走行情報と、前記送受信手段で受信した前記他車両の走行情報とに基づき、これらの車両が追従状態にあるか否か、又はこれらの車両の追従可能性を判定する追従判定手段と、
前記追従判定手段による判定結果を乗員に提示する判定結果提示手段と、
を備えたことを特徴とする追従状態提示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の追従状態提示装置において、
前記追従判定手段は、
他車両の走行情報を受信可能な状態においては、自車両と他車両とが追従状態にあるか否かを判定し、
他車両の走行情報を受信できない状態においては、自車両と他車両との追従可能性を判定することを特徴とする追従状態提示装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の追従状態提示装置において、
前記追従判定手段は、前記自車両又は他車両のうち後続車両の走行位置と、前記自車両又は他車両のうち先行車両の走行軌跡との比較により、これらの車両が追従状態にあるか否かを判定することを特徴とする追従状態提示装置。
【請求項4】
請求項3に記載の追従状態提示装置において、
前記追従判定手段は、更に前記後続車両の方向指示器作動情報と、前記先行車両の方向指示器作動情報との比較により、これらの車両が追従状態にあるか否かを判定することを特徴とする追従状態提示装置。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載の追従状態提示装置において、
前記追従判定手段は、更に前記後続車両の車両方位情報と、前記先行車両の車両方位情報との比較により、これらの車両が追従状態にあるか否かを判定することを特徴とする追従状態提示装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載の追従状態提示装置において、
前記追従判定手段は、前記自車両又は他車両のうち後続車両の進行方向を算出し、その進行方向に、前記自車両又は他車両のうち先行車両の走行軌跡が含まれるか否かを判定し、肯定判定される場合は、さらに、先行車両の走行軌跡が道路上に位置するか否かを判定することにより、これらの車両の追従可能性を判定することを特徴とする追従状態提示装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6の何れか一項に記載の追従状態提示装置において、
前記追従判定手段は、前記自車両又は他車両のうち後続車両の進行方向に存在する交差点の情報に基づき、これらの車両の追従可能性を判定することを特徴とする追従状態提示装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7の何れか一項に記載の追従状態提示装置において、
前記追従判定手段は、前記追従可能性の程度を判定し、
前記判定結果出力手段は、前記追従可能性の程度の高低を区別して出力することを特徴とする追従状態提示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2006−200928(P2006−200928A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−10405(P2005−10405)
【出願日】平成17年1月18日(2005.1.18)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】