説明

記録装置及び記録装置の制御方法

【課題】ディスクの回転に安定して同期した記録クロックを生成できるようにする。
【解決手段】ディスク状記録媒体に形成されているウォブルを読み取ってウォブル信号を検出し、前記ウォブル信号に基いて記録用のクロック信号を生成する記録装置であって、前記ディスク状記録媒体のウォブル周期に関連した周波数を有するクロックを生成する第1のクロック生成手段と、前記ディスク状記録媒体にデータを記録するためのチャネル周期に関連した周波数を有するクロックを生成する第2のクロック生成手段とを備え、前記第1のクロック生成手段に組み込まれているDVCO部と同一のDVCO部を組み込んで前記第2のクロック生成手段を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は記録装置及び記録装置の制御方法に関し、特に、ディスク状記録媒体にデータを記録するために用いて好適な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、DVDなどの光ディスクに対してデジタルデータを記録再生する装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。DVDでは、ディスクの中心から外周に向かってスパイラル状のレーザービームの案内溝(グルーブ)が形成され、ここにデジタルデータが記録される。前記案内溝は、半径方向に所定の(予め設定された)振幅と単一の周期でわずかに蛇行(ウォブル)している。
【0003】
ここで、記録クロックを生成する回路の構成例を図2のブロック図に示す。
図2において、光ディスク201上に形成されているウォブルを光ピックアップ202により読み取り、ウォブル検出部203によりウォブル信号を検出する。次に、コンパレータ部204において検出されたウォブル信号を所定の(予め設定された)スライスレベルと比較し、ウォブル信号のゼロクロス点を検出する。
【0004】
位相検出部205は、ゼロクロスのタイミングと分周器208から出力される出力信号の位相差を比較し、位相差に応じた位相誤差信号を出力する。位相誤差信号は、ループフィルタ部206を介してVCO部207に供給され、位相ロックしたクロックを生成するように、VCO部207を制御する。VCO部207の出力は、分周器208を経由して位相検出部205へ入力される。データ記録には、VCO部207において生成されたクロック信号を用いている。
【0005】
【特許文献1】特開2002−32962号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記特許文献1に記載の「クロック信号発生装置」においては、アナログ回路でPLL回路が構成されていた。このため、温度変化や経時変化等の周囲の環境変化により回路の特性が変動しやすい問題点があった。また、調整や選別が必要といった問題があった。
【0007】
本発明は前述の問題点に鑑み、ディスクの回転に安定して同期した記録クロックを生成できるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の記録装置は、ディスク状記録媒体に形成されているウォブルを読み取ってウォブル信号を検出し、前記ウォブル信号に基いて記録用のクロック信号を生成する記録装置であって、前記ディスク状記録媒体のウォブル周期に関連した周波数を有するクロックを生成する第1のクロック生成手段と、前記ディスク状記録媒体にデータを記録するためのチャネル周期に関連した周波数を有するクロックを生成する第2のクロック生成手段とを備え、前記第1のクロック生成手段に組み込まれているデジタルVCO部と同一のデジタルVCO部を組み込んで前記第2のクロック生成手段を構成するようにしたことを特徴とする。
また、本発明の記録装置の他の特徴とするところは、ディスク状記録媒体上に形成されたウォブル信号を読み取るウォブル信号検出手段と、前記ディスク状記録媒体上に形成された基準位相信号を読み取る基準位相信号検出手段と、前記ウォブル信号検出手段により検出されたウォブル信号を用いて、ウォブル周期に関連した周波数を有するクロックを生成する第1のクロック生成手段と、前記第1のクロック生成手段により生成されたクロックに基づいて、アドレス情報を検出するアドレス検出手段と、前記第1のクロック生成手段の制御信号にゲイン処理を施し、ノイズ成分を除去するためのフィルタ手段と、前記ゲイン処理及び前記フィルタ手段によりノイズ成分が除去された周波数成分を制御信号とし、チャネル周期に関連した周波数を有するクロックを生成する第2のクロック生成手段と、前記第1のクロック生成手段及び第2のクロック生成手段は、前記第1のクロックとウォブルクロック、前記第2のクロックとチャネルクロックとの位相差を検出する位相差検出手段と、前記位相差検出手段から出力される位相差検出結果に基づき、正弦波信号を生成する正弦波信号生成手段と、前記正弦波信号生成手段から出力される正弦波信号の周波数値に基づいて、前記第1及び第2のクロック生成手段を制御する制御手段と、前記位相差検出手段により検出された前記基準位相信号とチャネルクロックとの時間差を検出する時間差検出手段と、前記時間差検出手段により検出された時間差から前記基準位相信号とチャネルクロックとの周波数ずれをオフセット値として算出するオフセット算出手段と、前記オフセット算出手段により算出されたオフセット値を前記第2のクロック生成手段の制御信号に付加するオフセット値付加手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の記録装置の制御方法は、ディスク状記録媒体に形成されているウォブルを読み取ってウォブル信号を検出し、前記ウォブル信号に基いて記録用のクロック信号を生成する記録装置の制御方法であって、前記ディスク状記録媒体のウォブル周期に関連した周波数を有するクロックを生成する第1のクロック生成工程と、前記ディスク状記録媒体にデータを記録するためのチャネル周期に関連した周波数を有するクロックを生成する第2のクロック生成工程とを備え、前記第1のクロック生成工程において用いられるデジタルVCO部と同一のデジタルVCO部を前記第2のクロック生成工程においても用いて、前記チャネル周期に関連した周波数を有するクロックを生成するようにしたことを特徴とする。
また、本発明の記録装置の制御方法の他の特徴とするところは、ディスク状記録媒体上に形成されたウォブル信号を読み取るウォブル信号検出工程と、前記ディスク状記録媒体上に形成された基準位相信号を読み取る基準位相信号検出工程と、前記ウォブル信号検出工程において検出されたウォブル信号を用いて、ウォブル周期に関連した周波数を有するクロックを生成する第1のクロック生成工程と、前記第1のクロック生成工程において生成されたクロックに基づいて、アドレス情報を検出するアドレス検出工程と、前記第1のクロック生成工程における制御信号にゲイン処理を施し、ノイズ成分を除去するためのフィルタ工程と、前記ゲイン処理及び前記フィルタ工程においてノイズ成分が除去された周波数成分を制御信号とし、チャネル周期に関連した周波数を有するクロックを生成する第2のクロック生成工程と、前記第1のクロック生成工程及び第2のクロック生成工程においては、前記第1のクロックとウォブルクロック、前記第2のクロックとチャネルクロックとの位相差を検出する位相差検出工程と、前記位相差検出工程から出力される位相差検出結果に基づき、正弦波信号を生成する正弦波信号生成工程と、前記正弦波信号生成工程から出力される正弦波信号の周波数値に基づいて、前記第1及び第2のクロック生成工程を制御する制御工程と、前記位相差検出工程において検出された前記基準位相信号とチャネルクロックとの時間差を検出する時間差検出工程と、前記時間差検出工程において検出された時間差から前記基準位相信号とチャネルクロックとの周波数ずれをオフセット値として算出するオフセット算出工程と、前記オフセット算出工程において算出されたオフセット値を前記第2のクロック生成工程における制御信号に付加するオフセット値付加工程とを備えることを特徴とする。
【0010】
本発明のプログラムは、ディスク状記録媒体に形成されているウォブルを読み取ってウォブル信号を検出し、前記ウォブル信号に基いて記録用のクロック信号を生成する工程をコンピュータに実行させるプログラムであって、前記ディスク状記録媒体のウォブル周期に関連した周波数を有するクロックを生成する第1のクロック生成工程と、前記ディスク状記録媒体にデータを記録するためのチャネル周期に関連した周波数を有するクロックを生成する第2のクロック生成工程とを備え、前記第1のクロック生成工程において用いられるデジタルVCO部と同一のデジタルVCO部を前記第2のクロック生成工程においても用いて、前記チャネル周期に関連した周波数を有するクロックを生成する工程をコンピュータに実行させることを特徴とする。
また、本発明のプログラムの他の特徴とするところは、ディスク状記録媒体上に形成されたウォブル信号を読み取るウォブル信号検出工程と、前記ディスク状記録媒体上に形成された基準位相信号を読み取る基準位相信号検出工程と、前記ウォブル信号検出工程において検出されたウォブル信号を用いて、ウォブル周期に関連した周波数を有するクロックを生成する第1のクロック生成工程と、前記第1のクロック生成工程において生成されたクロックに基づいて、アドレス情報を検出するアドレス検出工程と、前記第1のクロック生成工程における制御信号にゲイン処理を施し、ノイズ成分を除去するためのフィルタ工程と、前記ゲイン処理及び前記フィルタ工程においてノイズ成分が除去された周波数成分を制御信号とし、チャネル周期に関連した周波数を有するクロックを生成する第2のクロック生成工程と、前記第1のクロック生成工程及び第2のクロック生成工程においては、前記第1のクロックとウォブルクロック、前記第2のクロックとチャネルクロックとの位相差を検出する位相差検出工程と、前記位相差検出工程から出力される位相差検出結果に基づき、正弦波信号を生成する正弦波信号生成工程と、前記正弦波信号生成工程から出力される正弦波信号の周波数値に基づいて、前記第1及び第2のクロック生成工程を制御する制御工程と、前記位相差検出工程において検出された前記基準位相信号とチャネルクロックとの時間差を検出する時間差検出工程と、前記時間差検出工程において検出された時間差から前記基準位相信号とチャネルクロックとの周波数ずれをオフセット値として算出するオフセット算出工程と、前記オフセット算出工程において算出されたオフセット値を前記第2のクロック生成工程における制御信号に付加するオフセット値付加工程とをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の再生装置によれば、高精度であり、且つディスクの回転に安定して同期した記録クロックを生成することが可能となる。これにより、温度変化や経時変化等の周囲の環境変化による回路特性の変動を減少できるとともに、調整や選別が簡単な記録装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(第1の実施形態)
本発明の実施形態について図1を参照しながら説明する。
図1において、図示しない光ピックアップにより出力されたトラッキング制御用のウォブル信号が端子101に供給される。ここでは、ディスク状記録媒体としてDVD−Rディスクを用い、前記DVD−Rディスクを2倍速で回転させるようにしたことを例とする。そして、ディスク状記録媒体に形成された案内溝の蛇行(ウォブル)をウォブル信号として検出する。前記ウォブル信号のクロック周波数を281.29KHz、記録データ周波数を52.32MHzとする。
【0013】
ここで、記録クロック生成について説明する。位相比較部103において、デジタル信号に変換されたウォブル信号とウォブルDVCO部(デジタルVCO部)105の出力信号とを乗算して低域を抜き出すことにより位相比較する。そして、位相比較の結果を、ウォブル周期に関連した周波数を有するクロックとして、ループフィルタ部104を介してウォブルDVCO部105に供給することにより、位相ロックしたウォブルククロックを生成するようにウォブルDVCO部105を制御する。アドレス検出部122では、規定の位相タイミングでアドレス情報を検出する。
【0014】
また、ウォブルPLL部107が備えているループフィルタ部104の積分器出力を増幅器108に通して所定の(予め設定された)ゲインを掛ける。次に、ノイズ成分を除去するローパスフィルタ部(LPF部)109を通し、チャネルDVCO部112に周波数誤差値として加算器110において加算することで、アナログPLL部114から記録クロック(チャネルクロック)を出力する。ここでは、ノイズ成分を抑えた更なる安定化を目的としてループフィルタ部104の積分器出力を用いたが、ループフィルタ部104の出力値そのものを接続しても動作上問題はない。
【0015】
次に、記録クロックタイミングの補正について説明する。
AD変換部102から出力されたデジタル信号から基準位相信号を、位相差検出手段として機能している基準位相信号検出部115において検出し、検出タイミングに合わせてカウンタ部116を動作させる。基準位相信号は、あらかじめディスク状記録媒体にプリフォーマットとして記録されているものである。例えばDVD−R、DVD−RWディスクの場合なら基準位相信号のランドプリピットを検出するランドプリピット検出部、DVD+R、DVD+RWディスクの場合なら基準位相信号のADIPを検出するADIP検出部を用いて基準位相信号を検出する。
【0016】
アナログPLL部114から出力されるチャネルクロックで動作するカウンタ部116のカウント値に基づいて、変調部117はチャネルデータを変調し、記録データを出力端子118を介してレーザー制御部(図示せず)へ出力する。
【0017】
次に、図5を用いて時間差検出部119の動作について説明する。
時間差検出部119には、基準位相信号検出部115から基準信号検出フラグとアナログPLL部114からチャネルクロックタイミングが入力される。基準信号検出フラグは、基準信号が検出された場合に「1」、検出されなかった場合に「0」となる。基準信号検出フラグは、「信号s」としてオフセット算出部120に出力される。
【0018】
チャネルクロックと基準位相信号の同期が取れている場合は、図5(a)に示すように、「カウンタ値0」と基準位相信号検出フラグのタイミングが一致している。図5(b)は、基準位相信号検出フラグが、3チャネルクロック分だけ早い場合、図5(c)は、基準位相信号検出フラグが3チャネルクロック分遅い場合を示している。
【0019】
チャネルクロックと基準位相信号のクロック数のずれが何クロック分であったかを「信号t」としてオフセット算出部120に出力する。例えば、図5(c)のように基準位相信号検出フラグが3チャネルクロック分遅い場合には、「3」を「信号t」としてオフセット算出部120に出力する。
【0020】
オフセット算出部120は、時間差検出部119から「基準位相信号検出フラグ信号s」と、基準位相信号とチャネルクロックの時間ずれ量を「信号t」として供給される。例えば、信号s=「1」、t=「3」が入力された場合には、チャネルクロックを3チャネルクロック分遅くしなければならない。
【0021】
つまり、正常に同期している場合には、1フレームに1488クロック分のところを、1フレームに1491クロック分カウントされたことになるので、チャネルDVCO部112の制御信号に対して、3チャネルクロック分のオフセットを付加する。そして、基準位相信号との同期を取るように動作させる。例えば、チャネルDVCO部112の制御信号(=中心周波数設定値+周波数誤差値)が、84630だとすれば、「84630×(3/1488)=170」となる。
【0022】
よって、「−170のオフセット」をチャネルDVCO部112の制御信号に付加することで、基準位相信号とチャネルクロックの同期が取れることとなる。また、時間差検出部119から基準位相信号検出フラグs=「0」が入力された場合には、オフセット算出部120は値をホールドする構成とする。
【0023】
入力端子121を介して、オフセット算出部120に入力されているモード切り替え信号は、オフセットの付加量を変更できるようゲイン値が切り替え可能な構成となっている。
【0024】
次に、図3及び図4を用いて、ウォブルDVCO部105、チャネルDVCO部112の動作について説明する。
ウォブルDVCO部105及びチャネルDVCO部112と、それに続くΔΣDA変換部113は、水晶発振器により供給される81MHzのクロックで動作している。
【0025】
図3(a)は、ウォブルDVCO部105の具体的な構成例を示す図である。図3(a)において、端子301には、クロックの目標周波数に対応した設定値が供給される。ここでは、光ディスクとしてDVD−Rディスク2倍速を例とし、目標とするクロックの周波数を281.290KHzとし、3640を設定する。この場合、「3640×81e6÷2^20=281181Hz」となる。
【0026】
端子301から入力される中心周波数の値と、端子302から入力される周波数誤差値が加算器303で加算される。加算器303の加算結果は、更に加算器304に加えられる。加算器304のもう一方の端子には加算用配線が接続されていて、この加算用配線を介して、レジスタ305に保持されている20ビットの値が加えられている。そして、加算結果がレジスタ305に再び加えられる積分器構成になっている。すなわち、加算器304、レジスタ305及び加算用配線からなる回路が、加算値を所定周期で積算動作を行う積算手段として機能している。
【0027】
レジスタ305の加算結果はオーバーフローする場合があるが、ここでは桁上げせずに無視する。レジスタ305の上位7ビットが、サインテーブル306に入力される。サインテーブル306は、例えば7ビットの値、「0〜127の値」で、「0°〜360°の位相」を表現している。すなわち、「入力値1」が、「360°÷128=2.8°」を表している。サインテーブル306は、入力の位相に応じた8ビットのサイン波の値(正弦波信号の周波数値)を端子307に出力する。すなわち、これらの回路構成は正弦波信号生成手段として機能している。
【0028】
ビット割り振りの様子を図3(b)に示す。図3(b)のA〜Dが図3(a)の各信号に対応している。例えば、端子302に与えられている周波数誤差が「0」、端子301に与えられている中心周波数が「3640」だとすると、図中のAは「3640」となっている。
【0029】
レジスタ305は20ビット、クロックは水晶発振器から発振される周波数81MHzなので、レジスタ305は、「81e6×3640÷2^20=281181Hz」周期でオーバーフローする。しかしながら、本実施形態においては、桁上げせずにこのレジスタ305の上位7ビットを取り出して、その結果をサインテーブル306に出力する。
【0030】
また、端子302に「1」を与えれば、図3のAが「3641」となるので、クロック周波数は、「81e6×3641÷2^20=281258Hz」となり、入力が「1」変化するごとにクロック周波数は、「77Hz」ずつ変化する。
【0031】
図4(a)は、チャネルDVCO部112の具体的な構成例を示す図である。
図4(a)において、端子401には、クロックの目標周波数に対応した設定値が供給される。ここでは、光ディスクとしてDVD−Rディスク2倍速を例とし、目標とするクロックの周波数を、8逓倍して52.32MHzとなる「6.54MHz」とし、「84630」を設定する。すなわち、「84630×81e6÷2^20=6537466Hz」となる。
【0032】
端子401から入力される中心周波数の値と、端子402から入力される周波数誤差値が加算器403で加算される。加算器403の加算結果は、更に加算器404に加えられる。加算器404のもう一方の端子には加算用配線が接続されていて、この加算用配線を介して、レジスタ405に保持されている20ビットの値が加えられている。そして、加算結果がレジスタ405に再び加えられる積分器構成になっている。すなわち、加算器404、レジスタ405及び加算用配線からなる回路が、加算値を所定周期で積算動作を行う積算手段として機能している。
【0033】
レジスタ405の加算結果はオーバーフローする場合があるが、ここでは桁上げせずに無視する。レジスタ405の上位7ビットがサインテーブル406に加えられる。サインテーブル406は、例えば7ビットの値、「0〜127の値」で「0°〜360°」の位相を表現している。すなわち、「入力値1」が、「360°÷128=2.8°」を表している。サインテーブル406は、入力の位相に応じた8ビットのサイン波の値(正弦波信号の周波数値)を端子407に出力する。すなわち、これらの回路構成は正弦波信号生成手段として機能している。
【0034】
図4(b)に、ビット割り振りの様子を示す。図4(b)のA〜Dが図4(a)の各信号に対応している。例えば、端子402に与えられている周波数誤差が「0」、端子401に与えられている中心周波数が「84630」だとすると、図4中のAは「84630」となっている。
【0035】
レジスタ405は20ビット、クロックは水晶発振器から発振される周波数81MHzなので、レジスタ405は、「81e6×84630÷2^20=6537466Hz」周期でオーバーフローする。しかしながら、本実施形態において、桁上げせずに、このレジスタ405の上位7ビットを取り出して、その結果をサインテーブル406に入力してサイン波を生成する。
【0036】
ΔΣDA変換部113は、サイン波出力結果をアナログ電圧に変換し、アナログPLL部114へ出力する。アナログPLL部114は、位相比較器、ループフィルタ部、VCO部、分周器(何れも図示せず)で構成されており、公知のクロック逓倍用のPLL部である。
【0037】
ΔΣDA変換部113が出力する、例えば6.54MHzの正弦波を8逓倍することで、「52.32MHz」のクロックを生成し、記録用のクロック信号として用いる。なお、本実施形態では、分周器の分周比を1/8としたが、これ以外の値をとることも可能である。例えば、DVD−Rディスク4倍速の場合には、分周比を1/16にするとよい。また、水晶発振器の発振周波数を「81MHz」としたが、これ以外の値をとることも可能である。
【0038】
ここで、ウォブルDVCO部105、チャネルDVCO部112の中心周波数設定値と増幅器108の設定値について説明する。
例えば、DVD−Rディスク2倍速を例とすると、入力端子106に入力される、ウォブルDVCO部105の中心周波数設定値には「3640」、入力端子111から入力される、チャネルDVCO部112の中心周波数設定値には「84630」を設定した。
【0039】
よって、ウォブルDVCO部105の中心周波数設定値とチャネルDVCO部112の中心周波数設定値とは、「23.25倍」の関係にある。よって、増幅器108には、「23.25」を設定する。この場合、「3640×23.25=84630」となる。
【0040】
本実施形態においては、ウォブルDVCO部105とチャネルDVCO部112の構成を同一のものとした。このため、ウォブルDVCO部105の図3の周波数誤差値302と、チャネルDVCO部112の図4の周波数誤差値402にも、「23.25倍」の関係があてはまる。例えば、ウォブルPLL部107のループフィルタ部104の積分器出力値が「12」であったとすると、チャネルDVCO部112の制御信号は、「12×23.25+84630=84909」となる。したがって、記録クロック周波数は、「81e6×84909÷2^20×8=52472145Hz」となり、「23.25倍」の関係が成り立つ。
【0041】
以上説明したように、本実施形態の記録装置によれば、ウォブルPLL部107とチャネルPLLに同一の構成のDVCO部を組み込むようにした。これにより、2つのアナログVCO部を設けずに、アナログVCO部一つの回路構成で回路規模や消費電力の増大を防止することができるとともに、コストを低く押さえることができる。
【0042】
また、基準位相信号とチャネルクロックの時間ずれを算出し、チャネルDVCO部112の制御信号にオフセット量として付加するようにしたので、ディスクの回転に正確に同期した高精度な記録クロック信号を生成することを可能とした。
【0043】
(本発明に係る他の実施形態)
前述した本発明の実施形態における記録装置を構成する各手段、並びに記録装置の制御方法の各ステップは、コンピュータのRAMやROMなどに記憶されたプログラムが動作することによって実現できる。このプログラム及び前記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は本発明に含まれる。
【0044】
また、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラムもしくは記憶媒体等としての実施形態も可能である。具体的には、複数の機器から構成されるシステムに適用してもよいし、また、一つの機器からなる装置に適用してもよい。
【0045】
なお、本発明は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムを、システムあるいは装置に直接されてもよい。あるいは遠隔から供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータが前記供給されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成される場合を含む。
【0046】
したがって、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、前記コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明は、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も含まれる。
【0047】
その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等の形態であってもよい。
【0048】
プログラムを供給するための記憶媒体としては、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RWなどである。また、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD−ROM,DVD−R)なども含む。
【0049】
その他、プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続し、前記ホームページから本発明のコンピュータプログラムそのものをダウンロードすることによっても供給できる。もしくは、圧縮され自動インストール機能を含むファイルをハードディスク等の記憶媒体にダウンロードすることによっても供給できる。
【0050】
また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明に含まれるものである。
【0051】
また、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布し、所定の(予め設定された)条件をクリアしたユーザに対し、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせる。そして、その鍵情報を使用することにより暗号化されたプログラムを実行してコンピュータにインストールさせて実現することも可能である。
【0052】
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現される。その他、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが、実際の処理の一部または全部を行い、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現され得る。
【0053】
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれる。そして、その後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施形態を示し、記録装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】従来の記録装置の構成例を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態を示し、ウォブルDVCO部及びその動作を示す図である。
【図4】本発明の実施形態を示し、チャネルDVCO部及びその動作を示す図である。
【図5】本発明の実施形態を示し、時間差検出部の動作を示す図である。
【符号の説明】
【0055】
101 端子
102 AD変換部
103 位相比較部
104 ループフィルタ部
105 ウォブルDVCO部
106 入力端子
107 ウォブルPLL部
108 増幅器
109 ローパスフィルタ部
110 加算器
111 入力端子
112 チャネルDVCO部
113 ΔΣDA変換部
114 アナログPLL部
115 基準位相信号検出部
116 カウンタ部
117 変調部
118 出力端子
119 時間差検出部
120 オフセット算出部
121 入力端子
122 アドレス検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスク状記録媒体に形成されているウォブルを読み取ってウォブル信号を検出し、前記ウォブル信号に基いて記録用のクロック信号を生成する記録装置であって、
前記ディスク状記録媒体のウォブル周期に関連した周波数を有するクロックを生成する第1のクロック生成手段と、
前記ディスク状記録媒体にデータを記録するためのチャネル周期に関連した周波数を有するクロックを生成する第2のクロック生成手段とを備え、
前記第1のクロック生成手段に組み込まれているデジタルVCO部と同一のデジタルVCO部を組み込んで前記第2のクロック生成手段を構成するようにしたことを特徴とする記録装置。
【請求項2】
ディスク状記録媒体上に形成されたウォブル信号を読み取るウォブル信号検出手段と、
前記ディスク状記録媒体上に形成された基準位相信号を読み取る基準位相信号検出手段と、
前記ウォブル信号検出手段により検出されたウォブル信号を用いて、ウォブル周期に関連した周波数を有するクロックを生成する第1のクロック生成手段と、
前記第1のクロック生成手段により生成されたクロックに基づいて、アドレス情報を検出するアドレス検出手段と、
前記第1のクロック生成手段の制御信号にゲイン処理を施し、ノイズ成分を除去するためのフィルタ手段と、
前記ゲイン処理及び前記フィルタ手段によりノイズ成分が除去された周波数成分を制御信号とし、チャネル周期に関連した周波数を有するクロックを生成する第2のクロック生成手段と、
前記第1のクロック生成手段及び第2のクロック生成手段は、前記第1のクロックとウォブルクロック、前記第2のクロックとチャネルクロックとの位相差を検出する位相差検出手段と、前記位相差検出手段から出力される位相差検出結果に基づき、正弦波信号を生成する正弦波信号生成手段と、前記正弦波信号生成手段から出力される正弦波信号の周波数値に基づいて、前記第1及び第2のクロック生成手段を制御する制御手段と、前記位相差検出手段により検出された前記基準位相信号とチャネルクロックとの時間差を検出する時間差検出手段と、前記時間差検出手段により検出された時間差から前記基準位相信号とチャネルクロックとの周波数ずれをオフセット値として算出するオフセット算出手段と、前記オフセット算出手段により算出されたオフセット値を前記第2のクロック生成手段の制御信号に付加するオフセット値付加手段とを備えることを特徴とする記録装置。
【請求項3】
前記位相差検出手段は、ウォブルクロックと前記第1のクロックとの位相差、及びチャネルクロックと第2のクロックとの位相差を各々周波数誤差に変換する変換手段を有し、
前記正弦波信号生成手段は、前記正弦波信号の目標周波数に関連した設定値と前記変換手段とを加算する加算手段と、前記加算手段の加算値を所定周期で積算動作を行う積算手段とを備えることを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記第2のクロック生成手段は、位相比較器と前記位相比較器から出力される位相誤差結果を入力するループフィルタ手段と、前記ループフィルタ手段の出力に応じた周波数の信号をクロックとして出力する発振手段と、前記発振手段から出力されたクロックを分周する分周器とからなるPLL回路とを備え、
前記正弦波信号生成手段から出力された正弦波信号と、前記分周器の出力信号とを前記位相比較器に入力することを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
【請求項5】
前記第1のクロック生成手段及び前記第2のクロック生成手段は、予め設定された動作クロック周波数を生成する水晶発振手段を備え、
前記積算手段は、前記水晶発振手段から出力される動作クロックに応じて、前記積算動作を行うことを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
【請求項6】
ディスク状記録媒体に形成されているウォブルを読み取ってウォブル信号を検出し、前記ウォブル信号に基いて記録用のクロック信号を生成する記録装置の制御方法であって、
前記ディスク状記録媒体のウォブル周期に関連した周波数を有するクロックを生成する第1のクロック生成工程と、
前記ディスク状記録媒体にデータを記録するためのチャネル周期に関連した周波数を有するクロックを生成する第2のクロック生成工程とを備え、
前記第1のクロック生成工程において用いられるデジタルVCO部と同一のデジタルVCO部を前記第2のクロック生成工程においても用いて、前記チャネル周期に関連した周波数を有するクロックを生成するようにしたことを特徴とする記録装置の制御方法。
【請求項7】
ディスク状記録媒体上に形成されたウォブル信号を読み取るウォブル信号検出工程と、
前記ディスク状記録媒体上に形成された基準位相信号を読み取る基準位相信号検出工程と、
前記ウォブル信号検出工程において検出されたウォブル信号を用いて、ウォブル周期に関連した周波数を有するクロックを生成する第1のクロック生成工程と、
前記第1のクロック生成工程において生成されたクロックに基づいて、アドレス情報を検出するアドレス検出工程と、
前記第1のクロック生成工程における制御信号にゲイン処理を施し、ノイズ成分を除去するためのフィルタ工程と、
前記ゲイン処理及び前記フィルタ工程においてノイズ成分が除去された周波数成分を制御信号とし、チャネル周期に関連した周波数を有するクロックを生成する第2のクロック生成工程と、
前記第1のクロック生成工程及び第2のクロック生成工程においては、前記第1のクロックとウォブルクロック、前記第2のクロックとチャネルクロックとの位相差を検出する位相差検出工程と、前記位相差検出工程から出力される位相差検出結果に基づき、正弦波信号を生成する正弦波信号生成工程と、前記正弦波信号生成工程から出力される正弦波信号の周波数値に基づいて、前記第1及び第2のクロック生成工程を制御する制御工程と、前記位相差検出工程において検出された前記基準位相信号とチャネルクロックとの時間差を検出する時間差検出工程と、前記時間差検出工程において検出された時間差から前記基準位相信号とチャネルクロックとの周波数ずれをオフセット値として算出するオフセット算出工程と、前記オフセット算出工程において算出されたオフセット値を前記第2のクロック生成工程における制御信号に付加するオフセット値付加工程とを備えることを特徴とする記録装置の制御方法。
【請求項8】
ディスク状記録媒体に形成されているウォブルを読み取ってウォブル信号を検出し、前記ウォブル信号に基いて記録用のクロック信号を生成する工程をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記ディスク状記録媒体のウォブル周期に関連した周波数を有するクロックを生成する第1のクロック生成工程と、
前記ディスク状記録媒体にデータを記録するためのチャネル周期に関連した周波数を有するクロックを生成する第2のクロック生成工程とを備え、
前記第1のクロック生成工程において用いられるデジタルVCO部と同一のデジタルVCO部を前記第2のクロック生成工程においても用いて、前記チャネル周期に関連した周波数を有するクロックを生成する工程をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項9】
ディスク状記録媒体上に形成されたウォブル信号を読み取るウォブル信号検出工程と、
前記ディスク状記録媒体上に形成された基準位相信号を読み取る基準位相信号検出工程と、
前記ウォブル信号検出工程において検出されたウォブル信号を用いて、ウォブル周期に関連した周波数を有するクロックを生成する第1のクロック生成工程と、
前記第1のクロック生成工程において生成されたクロックに基づいて、アドレス情報を検出するアドレス検出工程と、
前記第1のクロック生成工程における制御信号にゲイン処理を施し、ノイズ成分を除去するためのフィルタ工程と、
前記ゲイン処理及び前記フィルタ工程においてノイズ成分が除去された周波数成分を制御信号とし、チャネル周期に関連した周波数を有するクロックを生成する第2のクロック生成工程と、
前記第1のクロック生成工程及び第2のクロック生成工程においては、前記第1のクロックとウォブルクロック、前記第2のクロックとチャネルクロックとの位相差を検出する位相差検出工程と、前記位相差検出工程から出力される位相差検出結果に基づき、正弦波信号を生成する正弦波信号生成工程と、前記正弦波信号生成工程から出力される正弦波信号の周波数値に基づいて、前記第1及び第2のクロック生成工程を制御する制御工程と、前記位相差検出工程において検出された前記基準位相信号とチャネルクロックとの時間差を検出する時間差検出工程と、前記時間差検出工程において検出された時間差から前記基準位相信号とチャネルクロックとの周波数ずれをオフセット値として算出するオフセット算出工程と、前記オフセット算出工程において算出されたオフセット値を前記第2のクロック生成工程における制御信号に付加するオフセット値付加工程とをコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項10】
請求項8または9に記載のプログラムを記憶したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−176832(P2008−176832A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−7278(P2007−7278)
【出願日】平成19年1月16日(2007.1.16)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】