説明

誘電体磁器組成物及びそれを含む積層セラミックキャパシタ

【課題】本発明は、誘電体磁器組成物及びそれを含む積層セラミックキャパシタに関する。
【解決手段】本発明による誘電体磁器組成物は、Ba(Ti1−xZr)O(0.995≦m≦1.010,0<x≦0.10)で表される母材粉末と第1副成分〜第5副成分を含む。本発明による誘電体磁器組成物を含む積層セラミックキャパシタは、高誘電率及び優れた高温信頼性を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘電体磁器組成物及びそれを含む積層セラミックキャパシタに関し、より詳しくは、高誘電率及び優れた高温信頼性を有する誘電体磁器組成物及びそれを含む積層セラミックキャパシタに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的にキャパシタ、インダクタ、圧電素子、バリスタ、またはサーミスタ等のセラミック材料を使用する電子部品は、セラミック材料から成るセラミック素体と、素体内部に形成された内部電極と、上記内部電極と接続されるようにセラミック素体表面に設置された外部電極とを具備する。
【0003】
セラミック電子部品のうち積層セラミックキャパシタは、積層された複数の誘電体層と、一誘電体層を介し対向配置される内部電極と、上記内部電極に電気的に接続された外部電極とを含む。
【0004】
積層セラミックキャパシタは、小型でありながら高容量が保障され実装が容易であるという長所から、コンピュータ、PDA、携帯電話等の移動通信装置の部品として広く使用されている。
【0005】
積層セラミックキャパシタは、通常、内部電極層用ペーストと誘電体層用ペーストとをシート法や印刷法等によって積層し、同時焼成して製造される。
【0006】
ところが、従来の積層セラミックキャパシタ等に用いられる誘電体材料は還元性雰囲気下で焼成すると、還元されて半導体化する性質を有する。このため、内部電極の材料として、誘電体材料が焼結する温度で溶融されず、誘電体材料を半導体化しない高い酸素分圧下で焼成しても酸化されないPd等の貴金属が利用されている。
【0007】
しかし、Pd等の貴金属は高価であるため、積層セラミックキャパシタの低価格化に大きな支障を及ぼす。そのため、内部電極材として比較的安価なNiやNi合金等の非金属が主に使用されている。ところが、内部電極層の導電材として非金属を利用する場合、大気中で焼成を行うと内部電極層が酸化される。従って、誘電体層と内部電極層の同時焼成を還元性雰囲気で行う必要がある。
【0008】
しかしながら、還元性雰囲気下で焼成すると、誘電体層が還元されて絶縁抵抗(IR)が低くなる。このため、非還元性の誘電体材料が提案されている。また、静電容量の温度変化が小さく、−150〜+150ppm/℃の範囲で任意に制御可能な温度補償用誘電体磁器組成物に対する要求が高まっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたもので、本発明の目的は、高誘電率及び優れた高温信頼性を有する誘電体磁器組成物及びそれを含む積層セラミックキャパシタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するための手段として、本発明の一実施形態は、Ba(Ti1−xZr)O(0.995≦m≦1.010,0<x≦0.10)で表される母材粉末と、上記母材粉末100モルに対して、Mg、Sr、Ba、及びZrのうち少なくとも1つを含む酸化物または炭化物である0.05〜6.00モルの第1副成分と、Sc、Y、La、Ac、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、及びLuのうち少なくとも1つを含む酸化物である0.2〜3.0モルの第2副成分と、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、及びNiのうち少なくとも1つを含む酸化物である0.05〜0.50モルの第3副成分と、V、Nb及びTaのうち少なくとも1つを含む酸化物である0.05〜0.35モルの第4副成分と、Si及びAlのうち少なくとも1つを含む酸化物である0.5〜4.00モルの第5副成分と、を含む誘電体磁器組成物を提供する。
【0011】
上記第1副成分に対する上記第5副成分の含量比は、0.75〜1.50であることができる。
【0012】
上記第3副成分及び第4副成分の含量の合計は、上記母材粉末100モルに対して0.1〜0.8モルであることができる。
【0013】
上記第1から第5副成分のうち少なくとも1つ以上は、比表面積が2.0m/g以上であることができる。
【0014】
上記第1副成分及び第5副成分は、1つの化合物の形態で添加されることができる。
【0015】
本発明の他の実施形態は、誘電体層と第1及び第2の内部電極が交互に積層されたセラミック素体と、上記セラミック素体の両端部に形成され、上記第1及び第2の内部電極と電気的に連結される第1及び第2の外部電極と、を含み、上記誘電体層は、Ba(Ti1−xZr)O(0.995≦m≦1.010,0<x≦0.10)で表される母材粉末と、上記母材粉末100モルに対して、Mg、Sr、Ba、及びZrのうち少なくとも1つを含む酸化物または炭化物である0.05〜6.00モルの第1副成分と、Sc、Y、La、Ac、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、及びLuのうち少なくとも1つを含む酸化物である0.2〜3.0モルの第2副成分と、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、及びNiのうち少なくとも1つを含む酸化物である0.05〜0.50モルの第3副成分と、V、Nb及びTaのうち少なくとも1つを含む酸化物である0.05〜0.35モルの第4副成分と、Si及びAlのうち少なくとも1つを含む酸化物である0.5〜4.00モルの第5副成分と、を含む積層セラミックキャパシタを提供する。
【0016】
上記第1及び第2の内部電極は、NiまたはNi合金を含むことができる。
【0017】
上記第1副成分に対する上記第5副成分の含量比は、0.75〜1.50であることができる。
【0018】
上記第3副成分及び第4副成分の含量の合計は、上記母材粉末100モルに対して0.1〜0.8モルであることができる。
【0019】
上記第1から第5副成分のうち少なくとも1つ以上は、比表面積が2.0m/g以上であることができる。
【0020】
上記第1副成分及び第5副成分は、1つの化合物の形態で添加されることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明による誘電体磁器組成物は、高誘電率及び高温信頼性が確保され、低温の還元雰囲気で焼成可能であるため、Ni内部電極を使用することができる。
【0022】
本発明による誘電体組成物は、キャパシタ、インダクタ、圧電体素子、バリスタ、またはサーミスタ等の電子部品に適用されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタを示す概略的な斜視図である。
【図2】図1のA−A'に沿って切断した積層セラミックキャパシタを示す概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付された図面を参照し本発明の好ましい実施形態を説明する。
【0025】
しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲が以下で説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は当該技術分野において平均的な知識を有する者に本発明をさらに完全に説明するために提供されるものである。従って、図面における要素の形状及びサイズ等は明確な説明のために誇張されることがあり、図面上の同一の符号で表示される要素は同一の要素である。
【0026】
本発明は誘電体磁器組成物に関し、誘電体磁器組成物を含む電子部品にはキャパシタ、インダクタ、圧電体素子、バリスタ、またはサーミスタ等があり、以下では、電子部品の一例として積層セラミックキャパシタについて説明する。
【0027】
図1は、本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタ100を示す概略的な斜視図であり、図2は、図1のA−A'に沿って切断した積層セラミックキャパシタ100を示す概略的な断面図である。
【0028】
図1及び図2を参照すると、本発明の一実施例による積層セラミックキャパシタ100は、誘電体層111と第1及び第2の内部電極130a、130bが交互に積層されたセラミック素体110を有する。セラミック素体110の両端部には、セラミック素体110の内部に交互に配置された第1及び第2の内部電極130a、130bとそれぞれ導通する第1及び第2の外部電極120a、120bが形成されている。
【0029】
セラミック素体110の形状は特に制限されないが、通常、直方体形状であることができる。また、そのサイズも特に制限されないが、用途によって適切なサイズにすることができ、例えば、(0.6〜5.6mm)×(0.3〜5.0mm)×(0.3〜1.9mm)であることができる。
【0030】
誘電体層111の厚さはキャパシタの容量設計に合わせて任意に変更できるが、本発明の一実施例において、焼成後、誘電体層の1層当たりの厚さは、好ましくは0.2μm以上であることができる。非常に薄いアクティブ層は、一層内に存在する結晶粒数が小さく、信頼性に悪影響を及ぼすため、誘電体層の厚さは0.2μm以上であることができる。
【0031】
第1及び第2の内部電極130a、130bは、各端面がセラミック素体110の対向する両端部の表面に交互に露出されるように積層されている。第1及び第2の外部電極120a、120bはセラミック素体110の両端部に形成され、交互に配置された第1及び第2の内部電極130a、130bの露出端面に電気的に連結されてキャパシタ回路を構成する。
【0032】
第1及び第2の内部電極130a、130bに含有される導電材は特に限定されないが、誘電体層の構成材料が耐還元性を有するため、非金属を利用することができる。
【0033】
導電材として利用する非金属には、NiまたはNi合金であることができる。Ni合金には、Mn、Cr、Co及びAlから選択される1種以上の元素とNiの合金であることができ、合金中のNi含有量は95重量%以上であることができる。
【0034】
第1及び第2の内部電極130a、130bの厚さは、用途等によって適切に決定されることができるが、例えば、0.1〜5μm、または、0.1〜2.5μmであることができる。
【0035】
第1及び第2の外部電極120a、120bに含有される導電材は特に限定されないが、Ni、Cu、またはこれらの合金を利用することができる。第1及び第2の外部電極120a、120bの厚さは、用途等によって適切に決定されることができるが、例えば、約10〜50μmであることができる。
【0036】
上記セラミック素体110を構成する誘電体層111は、本発明の誘電体磁器組成物を含有する。
【0037】
本発明の一実施例による誘電体磁器組成物は、Ba(Ti1−xZr)O(0.995≦m≦1.010,x≦0.10)で表される母材粉末と第1副成分〜第5副成分を含む。
【0038】
本発明の一実施例による誘電体磁器組成物は、高誘電率及び高温信頼性が確保され、低温の還元雰囲気で焼成可能であるため、Ni内部電極を使用することができる。
【0039】
以下、本発明の一実施例による誘電体磁器組成物の各成分について、さらに具体的に説明する。
【0040】
a)Ba(Ti1−xZr)O
本発明の一実施例は、Ba(Ti1−xZr)O(0.995≦m≦1.010,0<x≦0.10)で表される母材粉末を含む。上記式において、mが0.995未満であると、還元性雰囲気での焼成により容易に還元され、誘電体磁器組成物が半導性物質に変わることがあり、mが1.010を超過すると、焼成温度が高くなることがある。上記式において、xが0.1を超過すると、所望の温度特性から外れることがある。
【0041】
b)第1副成分
本発明の一実施例は、第1副成分として、Mg、Sr、Ba及びZrのうち少なくとも1つ以上を含む酸化物または炭化物を含む。上記第1副成分は、誘電体磁器組成物の耐還元性、粒成長制御及び焼結安定性を付与する役割をする。
【0042】
上記第1副成分の含量は、母材粉末100モルに対して0.05〜6.00モルで含まれる。上記第1副成分の含量が0.05モル未満であると、還元性雰囲気での焼成により容易に還元され、粒成長制御が困難なことがあり、6.00モルを超過すると、焼結温度が上昇して、所望の誘電定数値を得ることが困難なことがある。
【0043】
c)第2副成分
本発明の一実施例は、第2副成分として、Sc、Y、La、Ac、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、及びLuのうち少なくとも1つを含む酸化物を含む。上記第2副成分は、高温加速寿命を向上させ、キュリー温度(Tc)以上での容量変化を安定化させる役割をし、所望の温度特性を満足するようにする。
【0044】
上記第2副成分の含量は、母材粉末100モルに対して0.2〜3.0モルで含まれる。上記第2副成分の含量が0.2モル未満であると、高温加速寿命が低下することがあり、静電容量変化率(temperature coefficient of capacitance、TCC)が不安定なことがあり、3.0モルを超過すると、焼結温度が上昇して、所望の誘電定数値を得ることが困難なことがあり、2次相の発生により、信頼性が低下するという問題が発生することがある。
【0045】
d)第3副成分
本発明の一実施例は、第3副成分として、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、及びNiのうち少なくとも1つを含む酸化物を含む。上記第3副成分は、絶縁抵抗(IR)を増加させ、高温加速寿命を向上させる役割をする。
【0046】
上記第3副成分の含量は、母材粉末100モルに対して0.05〜0.50モルで含まれる。上記第3副成分の合計が0.05モル未満であると、高温加速寿命が低下することがあり、静電容量変化率が不安定なことがあり、0.50モルを超過すると、C*R値(capacitance*Resistance)が低下することがあり、時間による容量変化が大きくなることがある。
【0047】
e)第4副成分
本発明の一実施例は、第4副成分として、V、Nb及びTaのうち少なくとも1つを含む酸化物を含む。上記第4副成分は、高温加速寿命を向上させ、キュリー温度(Tc)以上での容量変化を安定化させる役割をする。
【0048】
上記第4副成分の含量は、母材粉末100モルに対して0.05〜0.35モルで含まれる。上記第4副成分の含量が0.05モル未満であると、高温加速寿命が低下することがあり、0.35モルを超過すると、C*R値が低下することがある。
【0049】
また、上記第3副成分及び第4副成分の含量の合計は、母材粉末100モルに対して0.1モル〜0.8モルであることができる。上記第3副成分及び第4副成分の含量の合計が0.10モル未満であると、粒成長制御が困難なことがあり、且つ高温加速寿命が低下することがあり、0.8モルを超過すると、時間による容量変化が大きくなることがあり、C*R値が低下することがある。
【0050】
f)第5副成分
本発明の一実施例は、第5副成分として、Si及びAlのうち少なくとも1つを含む酸化物を含む。上記第5副成分は、他の成分、特に、第1副成分または母材粉末と反応して焼結性を付与する。
【0051】
上記第5副成分の含量は、母材粉末100モルに対して0.5モル〜4.0モルで含まれる。上記第5副成分の含量が0.5モル未満であると、焼成温度が高くなる虞があり、4.0モルを超過すると、粒成長を制御することが困難なことがあり、所望の誘電定数値を得ることが困難なことがある。
【0052】
また、上記第1副成分に対する上記第5副成分の含量比は、0.75〜1.50であることができる。上記第1副成分に対する第5副成分の含量比が0.75未満であると、焼結温度は低くなるが、高温加速寿命が低下することがあり、焼結温度が不安定になることがある。また、1.50を超過すると、焼結温度が高くなることがある。
【0053】
また、上記第1副成分及び第5副成分は、1つの化合物の形態で添加されることができる。第1副成分をMOまたはMCO(Mは、Mg、Sr、Ba、及びZrのうち少なくとも1つ)で表し、第5副成分をNO(Nは、Si及びAlのうち少なくとも1つ)で表する場合、M−NOまたはMO−NOで表されるガラス状で添加されることができる。この際、上記1つの化合物において第1副成分に対する第5副成分の含量比は、0.75〜1.50であることができる。
【0054】
また、第1から第5副成分は、母材粉末と混合される時点で、それぞれの比表面積が2.0m/g以上であることができる。
【0055】
以下、実施例及び比較例を通じて、本発明をさらに詳しく説明するが、これは発明を具体的に理解するためであり、本発明の範囲が実施例によって限定されるわけではない。
【実施例】
【0056】
下記表1に記載の造成及び含量による原料粉末をジルコニアボールを混合/分散メディアとして用い、エタノール/トルエンと分散剤及びバインダーを混合した後、20時間ボールミリングしてスラリーを製造した。製造されたスラリーを小型ドクターブレード(doctor blade)方式のコーター(coater)を用いて約2.0μm、及び10〜13μmの厚さを有するシートに成形した。
【0057】
上記約2.0μmの厚さを有するシートにNi内部電極を印刷した。上下カバー層としては、10〜13μmの厚さを有する成形シートで25層に積層し、約2.0μmの厚さを有する内部電極が印刷されたシートを積層してアクティブ層を製作し、バーを製造した。圧着バーは、カッターを用いて3216サイズのチップとして切断した。製作が完了したチップを仮焼した後、還元雰囲気の下、1100〜1250℃の温度で2時間焼成後、1000℃で再酸化のために3時間熱処理した。焼成されたチップはターミネーション工程を行い、24時間放置した後、測定した。
【0058】
【表1】

【0059】
[評価]
チップの常温静電容量(C)及び誘電損失は、LCR meterを用いて1kHz、1Vで測定し、10個ずつサンプルを取って常温絶縁(R)をDC 50V印加した状態で60秒経過した後、測定した。静電容量変化率は、−55℃〜125℃の温度範囲で測定された。高温IR昇圧実験は、125℃で1Vr=7.5V/μmの条件で行い、高温信頼性を評価した。この結果を下記の表2に示した。
【0060】
【表2】

【0061】
実施例1から4を参照すると、母材粉末100モル当たりに添加される第1副成分の合計が0.05モル未満の場合は、還元性雰囲気での焼成により容易に還元され、粒成長の制御が困難であったことに対し、6.00モル超過の場合は、焼結温度が上昇し、所望の誘電定数値を得ることができなかった。添加される第2副成分の合計が0.2モル未満の場合は、高温加速寿命が低下するという問題が生じ、TCC特性が不安定であったことに対し、3.00モル超過の場合は、焼結温度が上昇し、所望の誘電定数値を得ることができなかった。添加される第3副成分の合計が0.05モル未満の場合は、高温加速寿命が低下し、且つTCC特性が不安定であったことに対し、0.5モル超過の場合は、C*R値が低下した。添加される第4副成分の合計が0.05モル未満の場合は、高温加速寿命が低下したことに対し、0.35モル超過の場合は、C*R値が低下した。添加される第5副成分の合計が0.5モル未満の場合は、所望の温度よりも高い温度で焼成されるという問題が生じたことに対し、4.0モル超過の場合は、粒成長を制御することが困難であった。
【0062】
本発明は上述した実施形態及び添付された図面により限定されるものではなく、添付された請求範囲により限定される。従って、請求範囲に記載された本発明の技術的思想を外れない範囲内において多様な形態の置換、変形及び変更が可能であることは当技術分野の通常の知識を有する者には自明であり、これも添付された請求範囲に記載された技術的思想に属する。
【符号の説明】
【0063】
100 積層セラミックキャパシタ
110 セラミック素体
111 誘電体層
120a、120b 第1及び第2の外部電極
130a、130b 第1及び第2の内部電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Ba(Ti1−xZr)O(0.995≦m≦1.010,0<x≦0.10)で表される母材粉末と、
前記母材粉末100モルに対して、Mg、Sr、Ba、及びZrのうち少なくとも1つを含む酸化物または炭化物である0.05〜6.00モルの第1副成分と、
Sc、Y、La、Ac、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、及びLuのうち少なくとも1つを含む酸化物である0.2〜3.0モルの第2副成分と、
Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、及びNiのうち少なくとも1つを含む酸化物である0.05〜0.50モルの第3副成分と、
V、Nb及びTaのうち少なくとも1つを含む酸化物である0.05〜0.35モルの第4副成分と、
Si及びAlのうち少なくとも1つを含む酸化物である0.5〜4.00モルの第5副成分と、
を含む誘電体磁器組成物。
【請求項2】
前記第1副成分に対する前記第5副成分の含量比は、0.75〜1.50であることを特徴とする請求項1に記載の誘電体磁器組成物。
【請求項3】
前記第3副成分及び第4副成分の含量の合計は、前記母材粉末100モルに対して0.1〜0.8モルであることを特徴とする請求項1または2に記載の誘電体磁器組成物。
【請求項4】
前記第1から第5副成分のうち少なくとも1つ以上は、比表面積が2.0m/g以上であることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の誘電体磁器組成物。
【請求項5】
前記第1副成分及び第5副成分は、1つの化合物の形態で添加されることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の誘電体磁器組成物。
【請求項6】
請求項1から5の何れか1項に記載の誘電体磁器組成物を含む誘電体層と第1及び第2の内部電極が交互に積層されたセラミック素体と、
前記セラミック素体の両端部に形成され、前記第1及び第2の内部電極と電気的に連結される第1及び第2の外部電極と、を含む積層セラミックキャパシタ。
【請求項7】
前記第1及び第2の内部電極は、NiまたはNi合金を含むことを特徴とする請求項6に記載の積層セラミックキャパシタ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2011−136896(P2011−136896A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−186182(P2010−186182)
【出願日】平成22年8月23日(2010.8.23)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】