説明

走行モード制御装置、ハイブリッド自動車、および走行モード制御方法、並びにプログラム

【課題】ハイブリッド自動車の運転感覚を運転者の好みに応じて適切に変更すること。
【解決手段】第1のシフトスケジュールが選択されたときは、電動機による走行時間がエンジンによる走行時間を上回るように制御して第1のシフトスケジュールを実行し、第2のシフトスケジュールが選択されたときには、エンジンによる走行時間が電動機による走行時間を下回らないように制御して第2のシフトスケジュールを実行する走行モード制御部を有するハイブリッド自動車を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行モード制御装置、ハイブリッド自動車、および走行モード制御方法、並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
運転者の運転感覚の好みに対応するために、複数の走行モードの中から運転者が好みの走行モードを選択できる走行モード制御装置を有する車両がある。このような走行モード制御装置では、走行モードを選択することにより、たとえば自動変速の際のシフトスケジュールが変更できるようになっている。
【0003】
たとえばシフトスケジュールには、車両のポテンシャルにより適した通常のシフトスケジュール(以下、第1のシフトスケジュールと称する)と、アクセル操作により迅速に対応するためのパワー走行用のシフトスケジュール(以下、第2のシフトスケジュール)がある。第1のシフトスケジュールでは、ギア比が大きいギア段からギア比が小さいギア段への遷移(いわゆるシフトアップ)が、第2のシフトスケジュールに比べ、小さい回転速度で行われる。第2のシフトスケジュールでは、シフトアップが、第1のシフトスケジュールに比べ、大きい回転速度で行われる。前者の場合、加速感は小さいが後者に比べると燃費は良いのに対し、後者の場合、加速感は大きいが前者に比べると燃費は良くない(たとえば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−128192号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した走行モード制御装置をハイブリッド自動車に適用した場合について以下に説明する。
【0006】
エンジンと電動機とを有するハイブリッド自動車では、エンジンによる走行、電動機による走行、エンジンと電動機とが協働する走行の3とおりの走行形態が有り、所定の条件に応じてこの3とおりの走行形態のいずれかが選択される。
【0007】
このようなハイブリッド自動車が電動機により走行している場合、電動機は、一般的に、ある程度回転速度が上昇したときに最大トルクを発生するものであるので、低速域でのトルクが不足気味になる。このような状況下で、従来の走行モード制御装置によりギア比が大きいギア段(発進段)からギア比が小さいギア段への遷移を比較的大きいアクセル開度または車速で行うシフトスケジュールを選択してもエンジン走行の場合と比べて十分な加速感が得られない場合がある。
【0008】
このように従来の走行モード制御装置をそのままハイブリッド自動車に適用した場合、運転者が要求する運転感覚を得ることが難しい場合がある。
【0009】
本発明は、このような背景の下に行われたものであって、ハイブリッド自動車の運転感覚を運転者の好みに応じて適切に変更することができる走行モード制御装置、ハイブリッド自動車、および走行モード制御方法、並びにプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の1つの観点は、走行モード制御装置としての観点である。本発明の走行モード制御装置は、エンジンと電動機とを有し、エンジンもしくは電動機、またはエンジンと電動機とが協働して走行可能であり、予め設定される走行モードの種別に応じて自動変速を行うトランスミッションにおけるシフトスケジュールを選択するシフトスケジュール選択手段を有し、シフトスケジュールは、ギア比が大きいギア段からギア比が小さいギア段への遷移をそれぞれ異なるアクセル開度または車速で行う第1のシフトスケジュールと第2のシフトスケジュールとを有し、第1のシフトスケジュールにおけるアクセル開度または車速は、第2のシフトスケジュールにおけるアクセル開度または車速よりも小さい、ハイブリッド自動車の走行モード制御装置において、第1のシフトスケジュールが選択されたときは、電動機による走行時間がエンジンによる走行時間を上回るように制御して第1のシフトスケジュールを実行し、第2のシフトスケジュールが選択されたときには、エンジンによる走行時間が電動機による走行時間を下回らないように制御して第2のシフトスケジュールを実行する走行モード制御部を有するものである。
【0011】
たとえば走行モード制御部は、第2のシフトスケジュールが選択されたときには、電動機のみによる走行を禁止することができる。
【0012】
さらに走行モード制御部は、車両の運行終了に先立って、今回の運行終了時に第1のシフトスケジュールが選択されていたときには、このシフトスケジュールを記憶し、次回の運行開始に当たっては、第1のシフトスケジュールを予め選択することができる。
【0013】
さらに第1または第2のシフトスケジュールを選択する選択スイッチを有し、選択スイッチは、1回の押圧毎に走行モードが遷移する押し釦を有し、走行モード制御部は、押し釦が所定時間以上押圧されたときには第2のシフトスケジュールを選択することができる。
【0014】
本発明のさらに他の観点は、ハイブリッド自動車としての観点である。本発明のハイブリッド自動車は、本発明の走行モード制御装置を有するものである。
【0015】
本発明のさらに他の観点は、走行モード制御方法としての観点である。本発明の走行モード制御方法は、エンジンと電動機とを有し、エンジンもしくは電動機、またはエンジンと電動機とが協働して走行可能であり、予め設定される走行モードの種別に応じて自動変速を行うトランスミッションにおけるシフトスケジュールを選択するシフトスケジュール選択手段を有し、シフトスケジュールは、ギア比が大きいギア段からギア比が小さいギア段への遷移をそれぞれ異なるアクセル開度または車速で行う第1のシフトスケジュールと第2のシフトスケジュールとを有し、第1のシフトスケジュールにおけるアクセル開度または車速は、第2のシフトスケジュールにおけるアクセル開度または車速よりも小さい、ハイブリッド自動車の走行モード制御方法において、第1のシフトスケジュールが選択されたときは、電動機による走行時間がエンジンによる走行時間を上回るように制御して第1のシフトスケジュールを実行し、第2のシフトスケジュールが選択されたときには、エンジンによる走行時間が電動機による走行時間を下回らないように制御して第2のシフトスケジュールを実行する走行モード制御ステップを有するものである。
【0016】
本発明のさらに他の観点は、プログラムとしての観点である。本発明のプログラムは、情報処理装置に、本発明の走行モード制御装置の機能を実現させるものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ハイブリッド自動車の運転感覚を運転者の好みに応じて適切に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第一の実施の形態のハイブリッド自動車の構成の例を示すブロック図である。
【図2】図1のハイブリッドECUにおいて実現される機能の構成の例を示すブロック図である。
【図3】図2の走行モード制御部の走行モード選択処理を示すフローチャートである。
【図4】図2の走行モード制御部のシフトスケジュールマップを示す図である。
【図5】第二の実施の形態のハイブリッド自動車の構成の例を示すブロック図である。
【図6】図5のハイブリッドECUにおいて実現される機能の構成の例を示すブロック図である。
【図7】図6の走行モード制御部の走行モード設定処理を示すフローチャートである。
【図8】第三の実施の形態の走行モード制御部のPWRモード選択処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第一の実施の形態)
以下、本発明の第一の実施の形態のハイブリッド自動車について、図1〜図4を参照しながら説明する。
【0020】
図1は、ハイブリッド自動車1の構成の例を示すブロック図である。ハイブリッド自動車1は、車両の一例である。ハイブリッド自動車1は、半自動トランスミッションの変速機を介したエンジン(内燃機関)10および/または電動機13によって駆動され、複数の走行モードの中からいずれかの走行モードを選択可能である。ここで走行モードとは、1つのドライバビリティを実現するために、ハイブリッド自動車1を制御する制御形態であり、複数の走行モードが用意され、運転者の好みに応じて適宜選択されるものである。なお、半自動トランスミッションとは、マニュアルトランスミッションと同じ構成を有しながら変速操作を自動的に行う(請求項でいう自動変速)ことができるトランスミッションである。
【0021】
ハイブリッド自動車1は、エンジン10、エンジンECU(Electronic Control Unit)11、クラッチ12、電動機13、インバータ14、バッテリ15、トランスミッション16、モータECU17、ハイブリッドECU18、車輪19、キースイッチ20を有して構成される。なお、トランスミッション16は、上述した半自動トランスミッション、およびシフト部21を有し、ドライブレンジ(以下では、D(Drive)レンジと記す)を有するシフト部21により操作される。
【0022】
エンジン10は、内燃機関の一例であり、エンジンECU11によって制御され、ガソリン、軽油、CNG(Compressed Natural Gas)、LPG(Liquefied Petroleum Gas)、または代替燃料等を内部で燃焼させて、軸を回転させる動力を発生させ、発生した動力をクラッチ12に伝達する。
【0023】
エンジンECU11は、ハイブリッドECU18からの指示に従うことにより、モータECU17と連携動作するコンピュータであり、燃料噴射量やバルブタイミングなど、エンジン10を制御する。たとえば、エンジンECU11は、CPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、マイクロプロセッサ(マイクロコンピュータ)、DSP(Digital Signal Processor)などにより構成され、内部に、演算部、メモリ、およびI/O(Input/Output)ポートなどを有する。
【0024】
クラッチ12は、ハイブリッドECU18によって制御され、エンジン10からの軸出力を、電動機13およびトランスミッション16を介して車輪19に伝達する。すなわち、クラッチ12は、ハイブリッドECU18の制御によって、エンジン10の回転軸と電動機13の回転軸とを機械的に接続することにより、エンジン10の軸出力を電動機13に伝達させたり、または、エンジン10の回転軸と電動機13の回転軸との機械的な接続を切断することにより、エンジン10の軸と、電動機13の回転軸とが互いに異なる回転速度で回転できるようにする。
【0025】
たとえば、クラッチ12は、エンジン10の動力によってハイブリッド自動車1が走行し、これにより電動機13に発電させる場合、電動機13の駆動力によってエンジン10がアシストされる場合、および電動機13によってエンジン10を始動させる場合などに、エンジン10の回転軸と電動機13の回転軸とを機械的に接続する。
【0026】
また、たとえば、クラッチ12は、エンジン10が停止またはアイドリング状態にあり、電動機13の駆動力によってハイブリッド自動車1が走行している場合、およびエンジン10が停止またはアイドリング状態にあり、ハイブリッド自動車1が減速中または下り坂を走行中であり、電動機13が発電している(電力回生している)場合、エンジン10の回転軸と電動機13の回転軸との機械的な接続を切断する。
【0027】
なお、クラッチ12は、運転者がクラッチペダルを操作して動作しているクラッチとは異なるものであり、ハイブリッドECU18の制御によって動作する。
【0028】
電動機13は、いわゆる、モータジェネレータであり、インバータ14から供給された電力により、軸を回転させる動力を発生させて、その軸出力をトランスミッション16に供給するか、またはトランスミッション16から供給された軸を回転させる動力によって発電し、その電力をインバータ14に供給する。たとえば、ハイブリッド自動車1が加速しているときまたは定速で走行しているときにおいて、電動機13は、軸を回転させる動力を発生させて、その軸出力をトランスミッション16に供給し、エンジン10と協働してハイブリッド自動車1を走行させる。また、たとえば、電動機13がエンジン10によって駆動されているとき、またはハイブリッド自動車1が減速しているとき、もしくは下り坂を走行しているときなど、無動力で走行しているときにおいて、電動機13は、発電機として動作し、この場合、トランスミッション16から供給された軸を回転させる動力によって発電して、電力をインバータ14に供給し、バッテリ15が充電される。
【0029】
インバータ14は、モータECU17によって制御され、バッテリ15からの直流電圧を交流電圧に変換するか、または電動機13からの交流電圧を直流電圧に変換する。電動機13が動力を発生させる場合、インバータ14は、バッテリ15の直流電圧を交流電圧に変換して、電動機13に電力を供給する。電動機13が発電する場合、インバータ14は、電動機13からの交流電圧を直流電圧に変換する。すなわち、この場合、インバータ14は、バッテリ15に直流電圧を供給するための整流器および電圧調整装置としての役割を果たす。
【0030】
バッテリ15は、充放電可能な二次電池であり、電動機13が動力を発生させるとき、電動機13にインバータ14を介して電力を供給するか、または電動機13が発電しているとき、電動機13が発電する電力によって充電される。
【0031】
トランスミッション16は、ハイブリッドECU18からの変速指示信号に従って、複数のギア比(変速比)のいずれかを選択する半自動トランスミッション(図示せず)を有し、変速比を切り換えて、変速されたエンジン10の動力および/または電動機13の動力を車輪19に伝達する。また、減速しているとき、もしくは下り坂を走行しているときなど、トランスミッション16は、車輪19からの動力を電動機13に伝達する。なお、半自動トランスミッションは、シフト部21を操作して運転者が手動で任意のギア段にギア位置を変更することもできる。
【0032】
モータECU17は、ハイブリッドECU18からの指示に従うことにより、エンジンECU11と連携動作するコンピュータであり、インバータ14を制御することによって電動機13を制御する。たとえば、モータECU17は、CPU、ASIC、マイクロプロセッサ(マイクロコンピュータ)、DSPなどにより構成され、内部に、演算部、メモリ、およびI/Oポートなどを有する。
【0033】
ハイブリッドECU18は、コンピュータの一例であり、ハイブリッド走行のために、アクセル開度情報、ブレーキ操作情報、車速情報、およびトランスミッション16から取得したギア位置情報、エンジンECU11から取得したエンジン回転速度情報を取得して、これを参照して、クラッチ12を制御すると共に、変速指示信号を供給することでトランスミッション16を制御する。また、ハイブリッドECU18は、ハイブリッド走行のために、取得したバッテリ15のSOC情報その他の情報に基づきモータECU17に対して電動機13およびインバータ14の制御指示を与え、エンジンECU11に対してエンジン10の制御指示を与える。たとえば、ハイブリッドECU18は、CPU、ASIC、マイクロプロセッサ(マイクロコンピュータ)、DSPなどにより構成され、内部に、演算部、メモリ、およびI/Oポートなどを有する。
【0034】
なお、ハイブリッドECU18によって実行されるプログラムは、ハイブリッドECU18の内部の不揮発性のメモリにあらかじめ記憶しておくことで、コンピュータであるハイブリッドECU18にあらかじめインストールしておくことができる。
【0035】
エンジンECU11、モータECU17、およびハイブリッドECU18は、CAN(Control Area Network)などの規格に準拠したバスなどにより相互に接続されている。
【0036】
車輪19は、路面に駆動力を伝達する駆動輪である。なお、図1において、1つの車輪19のみが図示されているが、実際には、ハイブリッド自動車1は、複数の車輪19を有する。
【0037】
キースイッチ20は、運転を開始するときにユーザにより、たとえばキーが差し込まれてON/OFFされるスイッチであり、ON状態になることによってハイブリッド自動車1の各部は起動し、OFF状態になることによってハイブリッド自動車1の各部は停止する。
【0038】
図2は、プログラムを実行するハイブリッドECU18において実現される機能の構成の例を示すブロック図である。すなわち、ハイブリッドECU18がプログラムを実行すると、走行モード制御部30が実現される。走行モード制御部30は、トランスミッション16に変速指示信号を送出することによってギア位置を制御する機能である。
【0039】
次に、図3のフローチャートおよび図4のシフトスケジュールマップを参照して、プログラムを実行するハイブリッドECU18において行われる、走行モード選択制御の処理を説明する。なお、図3のフローチャートにおける処理は1周期分であり、ハイブリッド自動車1のキースイッチ20がオン状態である場合、繰り返し実行される。
【0040】
ここで、各走行モードについて説明する。「ECOモード」は、ハイブリッド自動車1の排気ガスの低減および燃費の向上を優先することを目的とする走行モードであり、電動機13による走行を優先しつつギア比が大きいギア段からギア比が小さいギア段への遷移を他の走行モードと比較して最も小さいアクセル開度または車速で行うシフトスケジュールを実行する。「PWRモード」は、ハイブリッド自動車1の加速性を優先する走行モードであり、エンジン10による走行を優先しつつギア比が大きいギア段からギア比が小さいギア段への遷移を他の走行モードと比較して最も大きいアクセル開度または車速で行うシフトスケジュールを実行する。「NOMALモード」は、走行モードの切替え機能を有しない車両と同じ走行を行うための一般的な走行モードである。したがって、シフトスケジュールは、「ECOモード」と「PWRモード」の中間的なものになる。
【0041】
図3の「START」において、キースイッチ20がON状態になりハイブリッド自動車1が走行可能な状態になると手続きはステップS1に進む。このときハイブリッドECU18がプログラムを実行し、ハイブリッドECU18には、走行モード制御部30が実現されている。
【0042】
ステップS1において、走行モード制御部30は、運転者により設定されているモード種別を判定する。ステップS1で、設定されているモード種別が「NOMAL(ノーマル)モード」であると判定された場合、手続きはステップS2に進む。ステップS1において、設定されているモード種別が「ECO(エコ)モード」であると判定された場合、手続きはステップS11に進む。ステップS1において、設定されているモード種別が「PWR(パワー)モード」であると判定された場合、手続きはステップS20に進む。
【0043】
ステップS2において、走行モード制御部30は、「NOMALシフトスケジュール」を選択する。
【0044】
ここで、シフトスケジュールの詳細について図4を参照して説明する。図4は、横軸に回転速度をとり、縦軸に車速をとる。図4の実線は、ECOモードにおけるシフトスケジュールであり、破線は、NOMALモードにおけるシフトスケジュールであり、一点鎖線は、PWRモードにおけるシフトスケジュールである。各シフトスケジュールの左側の領域と右側の領域とでギア段が1段異なり、左側の領域のギア段のギア比は右側の領域のギア段のギア比よりも大きい。
【0045】
図4に示すように、同じアクセル開度で比較した場合、ECOモードと比較してNOMALモードは、より大きな車速でギア段の遷移が行われる。同様に、同じアクセル開度で比較した場合、NOMALモードと比較してPWRモードは、より大きな車速でギア段の遷移が行われる。これにより、同じアクセル開度で比較した場合、運転者が感じる加速感は、ECOモード→NOMALモード→PWRモードの順で大きくなることがわかる。一方、同じアクセル開度で比較した場合、消費燃料は、ECOモード→NOMALモード→PWRモードの順で増えることがわかる。
【0046】
ステップS3において、走行モード制御部30は、ハイブリッド自動車1が加速中であるか否かを判定し、ハイブリッド自動車1が加速中であると判定された場合(たとえば、アクセルが踏み続けられている場合)、手続きはステップS4に進む。一方、ステップS3において、ハイブリッド自動車1が加速中でないと判定された場合(たとえば、アクセルから足が離れると)、手続きはステップS9に進む。
【0047】
ステップS4において、走行モード制御部30は、ハイブリッド自動車1が電動機走行可能であるか否かを判定する。具体的には、アクセル開度に応じた要求トルクに対して、電動機13による出力でカバーできるか否かが判定される。ステップS4で、ハイブリッド自動車1が電動機走行可能であると判定された場合、手続きはステップS5に進む。一方、ステップS4において、ハイブリッド自動車1が電動機走行可能でないと判定された場合、手続きはステップS7に進む。
【0048】
ステップS5において、走行モード制御部30は、クラッチ12を断状態とする。これにより、エンジン10の出力軸と電動機13の出力軸とは切り離される。
【0049】
ステップS6において、走行モード制御部30は、電動機走行を実施する。すなわちクラッチ12は断状態であり、電動機13は、エンジン10とは切り離された状態でハイブリッド自動車1を走行させる。
【0050】
ステップS7において、走行モード制御部30は、クラッチ12を接状態とする。これにより、エンジン10の出力軸と電動機13の出力軸とは接続される。
【0051】
ステップS8において、走行モード制御部30は、アシスト走行を実施してステップS3の手続きに戻る。すなわちエンジン10を電動機13とが協働してハイブリッド自動車1を走行させる。
【0052】
ステップS9において、走行モード制御部30は、クラッチ12を断状態としてステップS10の手続きに進む。これにより、エンジン10の出力軸と電動機13の出力軸とは切り離される。
【0053】
ステップS10において、走行モード制御部30は、電動機13による回生を実施して1周期分の処理を終了する。すなわち電動機13は、減速中のハイブリッド自動車1の車輪19の回転によって発電機として駆動されて回生を実施する。
【0054】
ステップS11において、走行モード制御部30は、「ECOシフトスケジュール」を選択してステップS12の手続きに進む。
【0055】
ステップS12において、走行モード制御部30は、ハイブリッド自動車1が加速中であるか否かを判定する。ステップS12において、ハイブリッド自動車1が加速中であると判定されると手続きはステップS13に進む。一方、ステップS12において、ハイブリッド自動車1が加速中でないと判定されると手続きはステップS18に進む。
【0056】
ステップS13において、走行モード制御部30は、ハイブリッド自動車1が電動機走行可能であるか否かを判定する。ステップS13において、ハイブリッド自動車1が電動機走行可能であると判定されると手続きはステップS14に進む。一方、ステップS13において、ハイブリッド自動車1が電動機走行可能でないと判定されると手続きはステップS16に進む。具体的には、アクセル開度に応じた要求トルクに対して、電動機13による出力でカバーできるか否かが判定される。
【0057】
ステップS14において、走行モード制御部30は、クラッチ12を断状態としてステップS15の手続きに進む。これにより、エンジン10の出力軸と電動機13の出力軸とは切り離される。
【0058】
ステップS15において、走行モード制御部30は、電動機走行を実施してステップS13の手続きに戻る。すなわち電動機13は、エンジン10とは切り離された状態で単独にトランスミッション16に動力を伝達する。
【0059】
ステップS16において、走行モード制御部30は、クラッチ12を接状態としてステップS17の手続きに進む。これにより、エンジン10の出力軸と電動機13の出力軸とは接続される。
【0060】
ステップS17において、走行モード制御部30は、「ECO用アシスト走行」を実施してステップS12の手続きに戻る。なお、「ECO用アシスト走行」とは、アクセル開度に対する燃料噴射量をNOMALモード選択時よりも少なくして行われるアシスト走行である。
【0061】
ステップS18において、走行モード制御部30は、クラッチ12を断状態としてステップS19の手続きに進む。これにより、エンジン10の出力軸と電動機13の出力軸とは切り離される。
【0062】
ステップS19において、走行モード制御部30は、電動機13による回生を実施して1周期分の処理を終了する。すなわち電動機13は、減速中のハイブリッド自動車1の車輪19の回転によって発電機として駆動されて回生を実施する。
【0063】
ステップS20において、走行モード制御部30は、「PWRシフトスケジュール」を選択してステップS21の手続きに進む。
【0064】
ステップS21において、走行モード制御部30は、ハイブリッド自動車1が加速中であるか否かを判定する。ステップS21において、ハイブリッド自動車1が加速中であると判定されると手続きはステップS22に進む。一方、ステップS21において、ハイブリッド自動車1が加速中でないと判定されると手続きはステップS24に進む。
【0065】
ステップS22において、走行モード制御部30は、クラッチ12を接状態としてステップS23の手続きに進む。これにより、エンジン10の出力軸と電動機13の出力軸とは接続される。
【0066】
ステップS23において、走行モード制御部30は、アシスト走行を実施してステップS21の手続きに戻る。すなわちエンジン10を電動機13とが協働してハイブリッド自動車1を走行させる。
【0067】
ステップS24において、走行モード制御部30は、クラッチ12を接状態としてステップS25の手続きに進む。これにより、エンジン10の出力軸と電動機13の出力軸とは接続される。
【0068】
ステップS25において、走行モード制御部30は、電動機13による「PWR用回生」を実施して1周期分の処理を終了する。なお、「PWR用回生」とは、クラッチ12によって、エンジン10と電動機13とが接続された状態で行われる回生であり、エンジン10のエンジンブレーキの効果を補助する程度の比較的小さい回生トルクで行われる回生である。
【0069】
(効果について)
ハイブリッド自動車1は、ECOモードが選択されたときは、電動機13による走行時間がエンジン10による走行時間を上回るように走行しながら「ECOシフトスケジュール」を実行し、PWRモードが選択されたときには、エンジン10による走行時間が電動機13による走行時間を下回らないように走行しながら「PWRシフトスケジュール」を実行するので運転感覚を運転者の好みに応じて適切に変更することができる。
【0070】
たとえばPWRモードでは、図3のステップS21およびS22のように、ハイブリッド自動車1が加速中であれば即座にクラッチ12を接続してアシスト走行を実施する。これによりハイブリッド自動車1は、PWRモード時には、エンジン10および電動機13が発生する高いトルクによって走行可能であり、運転者が要求する加速感を満足させることができる(ステップS21、S22によれば、エンジン10による走行時間が電動機13による走行時間を下回らないように走行できる。)。
【0071】
さらにPWRモードでは、図3のステップS24およびS25のように、PWR用回生を行い、回生中であってもクラッチ12を接続したまま比較的小さい回生トルクで回生を行う。これにより、ハイブリッド自動車1の走行状態が減速から加速に転じたときに、クラッチ12が接続されたままなので、速やかにエンジン10による加速に移行できるようにして運転者が要求する加速感を満足させることができる(ステップS24、S25によれば、エンジン10による走行時間が電動機13による走行時間を上回るように走行できる。)。
【0072】
一方、ECOモードでは、図3のステップS13〜S15のように、いったん電動機13による走行を実施したときには、電動機13による走行が可能な限り、電動機13による走行を継続するように制御する。さらに、図3のステップS17のように、電動機13による走行が困難であってもアクセル開度に対する燃料噴射量をNOMALモードよりも少なくした「ECO用アシスト走行」を実施する。これによりハイブリッド自動車1は、ECOモード時には、運転者が要求する高い燃費を満足させることができる。
【0073】
(第二の実施の形態)
本発明の第二の実施の形態のハイブリッド自動車1Aを図5〜図7を参照して説明する。図5は、ハイブリッド自動車1Aの全体構成を示す図である。ハイブリッド自動車1Aは、ハイブリッド自動車1に、走行モード選択スイッチ22が追加された構成である。走行モード選択スイッチ22は、いわゆるモーメンタリースイッチであり、運転者などの操作者が走行モード選択スイッチ22の釦部分を押圧している間だけ接点間が導通するように構成されたスイッチである。
【0074】
図6は、ハイブリッド自動車1AのハイブリッドECU18Aがプログラムの実行中に実現される機能の構成を示すブロック図である。図7は、ハイブリッドECU18Aの走行モード制御部30Aが実行する走行モードの制御の処理を示すフローチャートである。ハイブリッドECU18Aがプログラムを実行すると、走行モード制御部30Aおよび走行モード記憶部31が実現される。
【0075】
走行モード制御部30Aは、トランスミッション16に変速指示信号を送出することによってギア位置を制御する機能であり、走行モード制御部30と同じである。走行モード記憶部31は、走行モード制御部30Aが走行モードを記憶しておくためのメモリである。ハイブリッドECU18Aが有するメモリの一部の領域を走行モード記憶部31として割り当てることができる。ただし、走行モード記憶部31は、キースイッチ20がOFF状態であっても記憶内容を保持できる不揮発性のメモリである。ハイブリッドECU18Aに不揮発性のメモリが無い場合などには、ハイブリッドECU18Aにフラッシュメモリなどの不揮発性メモリを外付けして走行モード記憶部31としてもよい。
【0076】
ハイブリッド自動車1Aの走行モード制御部30Aは、ハイブリッド自動車1Aの運行終了直前の走行モードがECOモードである場合、ハイブリッド自動車1Aの運行終了に先立って走行モード記憶部31に、運行終了直前の走行モードがECOモードであったことを記憶する。そして、ハイブリッド自動車1Aが次回運行開始する際には、予め走行モードをECOモードに設定する。
【0077】
ハイブリッド自動車1Aの走行モード制御部30Aの動作を図7のフローチャートを参照して説明する。図7のSTARTにおいて、ハイブリッド自動車1Aのキースイッチ20はON状態であり運行状態である。このときハイブリッドECU18Aには、走行モード制御部30Aおよび走行モード記憶部31が実現されている。
【0078】
ステップS30において、ハイブリッド自動車1Aは運行終了直前であり、キースイッチ20はON状態からOFF状態に操作され、手続きはステップS31に進む。なお、ハイブリッド自動車1Aでは、キースイッチ20がON状態からOFF状態に操作されても図7のフローの少なくともステップS30〜S33の処理が終了するまでの時間、ハイブリッドECU18Aへの電源の供給は確保されるものとする。たとえばキースイッチ20に不図示のタイマ(遅延回路)を備え、キースイッチ20がOFFの位置に操作されてから実際にキースイッチ20がOFF状態となるまでのタイミングを遅らせるようにする。
【0079】
ステップS31において、走行モード制御部30Aは、運行終了直前の走行モードがECOモードであるか否かを判定する。ステップS31において、運行終了直前の走行モードがECOモードであると判定されるとステップS32の手続きに進む。一方、ステップS31において、運行終了直前の走行モードがECOモードでないと判定されるとステップS35の手続きに進む。
【0080】
ステップS32において、走行モード制御部30Aは、運行終了直前の走行モードがECOモードであったことを走行モード記憶部31に記憶してステップS33の手続きに進む。
【0081】
ステップS33において、ハイブリッド自動車1Aは、運行を終了させるためのOFFルーチンを実施してステップS34の手続きに進む。
【0082】
ステップS34において、キースイッチ20がON状態になると、ハイブリッド自動車1Aは、運行を開始してステップS36の手続きに進む。
【0083】
ステップS36において、走行モード制御部30Aは、走行モード記憶部31に記憶があるか否かを判定する。ステップS36において、走行モード記憶部31に記憶があると判定されると手続きはステップS37に進む。一方、ステップS36において、走行モード記憶部31に記憶がないと判定されると手続きはステップS43に進む。
【0084】
ステップS37において、走行モード制御部30Aは、ECOモードにて制御を実施してステップS38の手続きに進む。
【0085】
ステップS38において、走行モード制御部30Aは、走行モード選択スイッチ22の操作があるか否かを判定する。ステップS38において、走行モード選択スイッチ22の操作があると判定されると手続きはステップS39に進む。一方、ステップS38において、走行モード選択スイッチ22の操作がないと判定されると手続きはステップS37に戻る。
【0086】
ステップS39において、走行モード制御部30Aは、NOMALモードにて制御を実施してステップS40の手続きに進む。
【0087】
ステップS40において、走行モード制御部30Aは、走行モード選択スイッチ22の操作があるか否かを判定する。ステップS40において、走行モード選択スイッチ22の操作があると判定されると手続きはステップS41に進む。一方、ステップS40において、走行モード選択スイッチ22の操作がないと判定されると手続きはステップS39に戻る。
【0088】
ステップS41において、走行モード制御部30Aは、PWRモードにて制御を実施してステップS42の手続きに進む。
【0089】
ステップS42において、走行モード制御部30Aは、走行モード選択スイッチ22の操作があるか否かを判定する。ステップS42において、走行モード選択スイッチ22の操作があると判定すると手続きはステップS37に戻る。一方、ステップS42において、走行モード選択スイッチ22の操作がないと判定されると手続きはステップS41に戻る。
【0090】
ステップS43において、走行モード制御部30Aは、NOMALモードにて制御を実施してステップS44の手続きに進む。
【0091】
ステップS44において、走行モード制御部30Aは、走行モード選択スイッチ22の操作があるか否かを判定する。ステップS44において、走行モード選択スイッチ22の操作があると判定されると手続きはステップS45に進む。一方、ステップS44において、走行モード選択スイッチ22の操作がないと判定されると手続きはステップS43に戻る。
【0092】
ステップS45において、走行モード制御部30Aは、PWRモードにて制御を実施してステップS46の手続きに進む。
【0093】
ステップS46において、走行モード制御部30Aは、走行モード選択スイッチ22の操作があるか否かを判定する。ステップS46において、走行モード選択スイッチ22の操作があると判定されると手続きはステップS47に進む。一方、ステップS46において、走行モード選択スイッチ22の操作がないと判定されると手続きはステップS45に戻る。
【0094】
ステップS47において、走行モード制御部30Aは、ECOモードにて制御を実施してステップS48の手続きに進む。
【0095】
ステップS48において、走行モード制御部30Aは、走行モード選択スイッチ22の操作があるか否かを判定する。ステップS48において、走行モード選択スイッチ22の操作があると判定されると手続きはステップS43に戻る。一方、ステップS48において、走行モード選択スイッチ22の操作がないと判定されると手続きはステップS47に戻る。
【0096】
なお、ステップS37〜S42またはステップS43〜S48の手続きを実行中にキースイッチ20がOFFに操作されるとステップS30の手続きに戻る。
【0097】
(効果について)
ハイブリッド自動車1Aは、車両の運行終了に先立って、今回の運行終了時に設定されていた走行モードがECOモードであるときには、この走行モードを記憶し、次回の運行開始に当たっては、ECOモードを予め選択することができる。これによれば運転者がECOモードを選択した場合、次回の運行開始時にもECOモードで運行を開始することができる。これにより排気ガスの低減および燃費の向上を促進することができる。
【0098】
さらに運転者がPWRモードを選択した場合には、次回の運行開始時には、NOMALモードで運行を開始するので、これによっても排気ガスの低減および燃費の向上を促進することができる。
【0099】
第二の実施の形態の変形例として、運転者がどのような走行モードを選択していても次回の運行開始時にはECOモードが選択されるようにしてもよい。さらに次回の運行開始時に、ECOモードが選択されるかNOMALモードが選択されるかを運転者が設定可能であるようにしてもよい。
【0100】
(第三の実施の形態)
本発明の第三の実施の形態のハイブリッド自動車1Bを図8のフローチャートを参照して説明する。ハイブリッド自動車1Bの構成はハイブリッド自動車1Aと共通であり、同じ系統の符号(たとえばハイブリッドECU18B,走行モード制御部30Bなど)を用いて説明する。
【0101】
ハイブリッド自動車1Bの走行モード制御部30Bは、走行モード選択スイッチ22が押される度に、走行モードを切替える。たとえばNOMALモードが選択されているときに、走行モード選択スイッチ22が押されると、ECOモードが選択される。同様に、ECOモードが選択されているときに、走行モード選択スイッチ22が押されると、PWRモードが選択される。同様に、PWRモードが選択されているときに、走行モード選択スイッチ22が押されると、NOMALモードが選択される。
【0102】
ここでハイブリッド自動車1Bでは、走行モード選択スイッチ22が長押し(請求項でいう所定時間以上押圧)されるとPWRモードが選択される。
【0103】
以上の処理を図8のフローチャートで説明する。STARTにおいて、ハイブリッド自動車1Bのキースイッチ20がONになると手続きはステップS50に進む。このときハイブリッドECU18Bには、走行モード制御部30Bが実現されている。
【0104】
ステップS50において、走行モード制御部30Bが起動し、走行モード制御部30Bは、走行モード選択スイッチ22の操作の有無を判定する。ステップS50において、走行モード選択スイッチ22の操作が有ると判定されると手続きはステップS51に進む。一方、ステップS50において、走行モード選択スイッチ22の操作が無いと手続きはステップS50を繰り返す。
【0105】
ステップS51において、走行モード制御部30Bは、走行モード選択スイッチ22の長押し操作の有無を判定する。ステップS51において、走行モード選択スイッチ22の長押し操作が有ると判定されると手続きはステップS52に進む。一方、ステップS51において、走行モード選択スイッチ20の長押し操作が無いと判定されると手続きはステップS53に進む。
【0106】
ステップS52において、走行モード制御部30Bは、PWRモードにて制御を実施して1周期分の処理を終了する。
【0107】
ステップS53において、走行モード制御部30Bは、次の走行モードにて制御を実施して1周期分の処理を終了する。
【0108】
(効果について)
ハイブリッド自動車1Bによれば、走行モード選択スイッチ22が所定時間以上押圧(すなわら長押し)されたときにはPWRモードを選択するので、運転者は、現在の走行モードがいずれの走行モードであるかを考慮する必要が無く、必要に応じて即座にPWRモードを選択することができる。これによれば高速道路などで追い越しを実施する際に、加速が必要であれば運転者は、走行モード選択スイッチ22を長押しするという簡単な操作によりPWRモードを選択することができる。これにより運転者は、必要なときにいつでも加速が可能であるという安心感を得ることができる。
【0109】
(その他の実施の形態)
【0110】
また、上述したフローチャートの説明では「以上」を「超える」とし、「未満」を「以下」とするなど、判定領域の境界については様々に変更してよい。
【0111】
エンジン10は、内燃機関であると説明したが、外燃機関を含む熱機関であってもよい。
【0112】
また、ハイブリッドECU18,18A,18Bによって実行されるプログラムは、ハイブリッドECU18,18A,18Bにあらかじめインストールされると説明したが、プログラムが記録されている(プログラムを記憶している)リムーバブルメディアを図示せぬドライブなどに装着し、リムーバブルメディアから読み出したプログラムをハイブリッドECU18,18A,18Bの内部の不揮発性のメモリに記憶することにより、または、有線または無線の伝送媒体を介して送信されてきたプログラムを、図示せぬ通信部で受信し、ハイブリッドECU18,18A,18Bの内部の不揮発性のメモリに記憶することで、コンピュータであるハイブリッドECU18,18A,18Bにインストールすることができる。
【0113】
また、各ECUは、これらの機能の一部または全部を1つにまとめたECUにより実現してもよいし、あるいは、各ECUの機能をさらに細分化したECUを新たに設けてもよい。
【0114】
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであってもよいし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであってもよい。
【0115】
また、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0116】
1…ハイブリッド自動車、10…エンジン、11…エンジンECU、12…クラッチ、13…電動機、14…インバータ、15…バッテリ、16…トランスミッション、17…モータECU、18,18A,18B…ハイブリッドECU(走行モード制御装置)、19…車輪、20…キースイッチ、22…走行モード選択スイッチ、30,30A,30B…走行モード制御部、31…走行モード記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと電動機とを有し、前記エンジンもしくは前記電動機、または前記エンジンと前記電動機とが協働して走行可能であり、予め設定される走行モードの種別に応じて自動変速を行うトランスミッションにおけるシフトスケジュールを選択するシフトスケジュール選択手段を有し、
前記シフトスケジュールは、ギア比が大きいギア段からギア比が小さいギア段への遷移をそれぞれ異なるアクセル開度または車速で行う第1のシフトスケジュールと第2のシフトスケジュールとを有し、
前記第1のシフトスケジュールにおける前記アクセル開度または車速は、前記第2のシフトスケジュールにおける前記アクセル開度または車速よりも小さい、
ハイブリッド自動車の走行モード制御装置において、
前記第1のシフトスケジュールが選択されたときは、前記電動機による走行時間が前記エンジンによる走行時間を上回るように制御して前記第1のシフトスケジュールを実行し、前記第2のシフトスケジュールが選択されたときには、前記エンジンによる走行時間が前記電動機による走行時間を下回らないように制御して前記第2のシフトスケジュールを実行する走行モード制御部を有する、
ことを特徴とする走行モード制御装置。
【請求項2】
請求項1記載の走行モード制御装置であって、
前記走行モード制御部は、前記第2のシフトスケジュールが選択されたときには、前記電動機のみによる走行を禁止する、
ことを特徴とする走行モード制御装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の走行モード制御装置であって、
前記走行モード制御部は、車両の運行終了に先立って、今回の運行終了時に前記第1のシフトスケジュールが選択されていたときには、このシフトスケジュールを記憶し、次回の運行開始に当たっては、前記第1のシフトスケジュールを予め選択する、
ことを特徴とする走行モード制御装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項記載の走行モード制御装置であって、
前記第1または第2のシフトスケジュールを選択する選択スイッチを有し、
前記選択スイッチは、1回の押圧毎に走行モードが遷移する押し釦を有し、
前記走行モード制御部は、前記押し釦が所定時間以上押圧されたときには前記第2のシフトスケジュールを選択する、
ことを特徴とする走行モード制御装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項記載の走行モード制御装置を有することを特徴とするハイブリッド自動車。
【請求項6】
エンジンと電動機とを有し、前記エンジンもしくは前記電動機、または前記エンジンと前記電動機とが協働して走行可能であり、予め設定される走行モードの種別に応じて自動変速を行うトランスミッションにおけるシフトスケジュールを選択するシフトスケジュール選択手段を有し、
前記シフトスケジュールは、ギア比が大きいギア段からギア比が小さいギア段への遷移をそれぞれ異なるアクセル開度または車速で行う第1のシフトスケジュールと第2のシフトスケジュールとを有し、
前記第1のシフトスケジュールにおける前記アクセル開度または車速は、前記第2のシフトスケジュールにおける前記アクセル開度または車速よりも小さい、
ハイブリッド自動車の走行モード制御方法において、
前記第1のシフトスケジュールが選択されたときは、前記電動機による走行時間が前記エンジンによる走行時間を上回るように制御して前記第1のシフトスケジュールを実行し、前記第2のシフトスケジュールが選択されたときには、前記エンジンによる走行時間が前記電動機による走行時間を下回らないように制御して前記第2のシフトスケジュールを実行する走行モード制御ステップを有する、
ことを特徴とする走行モード制御方法。
【請求項7】
情報処理装置に、請求項1から4のいずれか1項記載の走行モード制御装置の機能を実現させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−86742(P2012−86742A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−236605(P2010−236605)
【出願日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(000005463)日野自動車株式会社 (1,484)
【Fターム(参考)】