説明

走行軌跡記憶装置

【課題】車両の絶対軌跡をより正確に生成する。
【解決手段】カーナビゲーション装置10は、修正測位軌跡生成処理部26によって、測位軌跡生成処理部22が生成した測位軌跡を修正した修正測位軌跡を生成し、修正推測航法軌跡生成処理部27によって、推測航法軌跡生成処理部25が生成した推測航法軌跡を修正した修正推測航法軌跡を生成し、絶対軌跡生成処理部28によって、修正測位軌跡生成処理部26が生成した修正測位軌跡と修正推測航法軌跡生成処理部27が生成した修正推測航法軌跡とを合成した絶対軌跡を生成し、この絶対軌跡を記憶する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の走行軌跡を記憶する走行軌跡記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両の走行軌跡を記憶し、その走行軌跡に基づいて道路形状を学習する技術が考えられている。そして、その走行軌跡として、推測航法軌跡と絶対軌跡とが知られている。推測航法軌跡は、速度センサやジャイロセンサなどの検出値によって定まる車両の走行ベクトルを時系列で配列した軌跡である。絶対軌跡は、推測航法軌跡に、例えばGPS衛星などの測位用衛星からの受信電波に基づいて生成した測位軌跡を合成した軌跡である。
ここで、推測航法軌跡では、距離やカーブ曲率などについて車両の走行制御を十分に実施できるほどの正確なデータを得ることができない場合があり、また、絶対座標も持たない。そのため、車両の走行制御用としては、推測航法軌跡よりも絶対軌跡が採用される傾向にある。
【0003】
ところが、絶対軌跡では、測位用衛星からの受信電波に基づく測位軌跡を使用することから、次のような課題がある。
即ち、例えばビル街などでは、測位用衛星からの電波が建物などに反射してしまい、カーナビゲーション装置が複数の経路から電波を受信してしまう現象、いわゆるマルチパス現象が発生する場合がある。このようなマルチパス現象が発生する箇所においては、車両の位置を正確に検出することができず、従って、正確な測位軌跡を生成することもできない。そのため、車両の走行制御用の軌跡として絶対軌跡を採用する場合には、このようなマルチパス現象による影響を除去することが課題となる。
このようなマルチパス現象による影響を除去する技術として、例えば特許文献1には、マルチパス現象が発生し易い地域内ではGPS信号の受信感度を低下させ測位演算を行わないようにした技術が開示されている。しかしながら、この特許文献1に記載の技術では、マルチパス現象が発生し易い地域内を車両が走行しているときにリアルタイムで軌跡の演算処理が行われることから、マルチパス現象による影響の除去が不十分となる懸念がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−242911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両の走行軌跡として絶対軌跡を採用する場合に、その絶対軌跡をより正確に生成することができる走行軌跡記憶装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載した発明によれば、測位軌跡生成手段は、位置検出手段が測位した車両の各位置を時系列で配列した測位軌跡を生成し、推測航法軌跡生成手段は、移動距離検出手段が検出した車両の各移動距離および走行方向検出手段が検出した車両の各走行方向によって定まる各ベクトル、即ち、車両の各走行ベクトルを時系列で配列した推測航法軌跡を生成する。そして、修正測位軌跡生成手段は、測位軌跡生成手段が生成した測位軌跡と推測航法軌跡生成手段が生成した推測航法軌跡とを重ね合わせた状態で、測位軌跡に含まれる各位置のうち推測航法軌跡から所定距離以上離れた位置を除外した修正測位軌跡を生成し、修正推測航法軌跡生成手段は、推測航法軌跡生成手段が生成した推測航法軌跡を修正測位軌跡生成手段が生成した修正測位軌跡に基づいて修正した修正推測航法軌跡を生成する。そして、絶対軌跡生成手段は、修正測位軌跡生成手段が生成した修正測位軌跡と修正推測航法軌跡生成手段が生成した修正推測航法軌跡とを合成した絶対軌跡を生成し、この絶対軌跡が、絶対軌跡記憶手段によって記憶されるようになる。
【0007】
この走行軌跡記憶装置によれば、絶対軌跡は、リアルタイムで修正されながら生成されるのではなく、測位軌跡および推測航法軌跡を一旦生成し、それら測位軌跡および推測航法軌跡を修正した修正測位軌跡および修正推測航法軌跡を生成し、それら修正測位軌跡と修正推測航法軌跡とを合成することで生成される。つまり、測位軌跡や推測航法軌跡を生成しながらリアルタイムで絶対軌跡を生成するのではなく、測位軌跡および推測航法軌跡を生成し、それら測位軌跡および推測航法軌跡を修正した上で、その修正後の測位軌跡および推測航法軌跡を用いて事後的に絶対軌跡を生成するようにした。これにより、絶対軌跡を生成する際にマルチパス現象による影響を精度良く除去することができ、絶対軌跡をより正確に生成することができる。
【0008】
また、請求項2に記載した発明によれば、修正測位軌跡生成手段は、推測航法軌跡を測位軌跡に重ね合わせるための第1変換行列を算出し、その第1変換行列により推測航法軌跡を測位軌跡に重なる変換推測航法軌跡に変換し、測位軌跡と変換推測航法軌跡とを重ね合わせた状態で、測位軌跡に含まれる各位置のうち変換推測航法軌跡から所定距離以上離れた位置を除外することで修正測位軌跡を生成する。修正推測航法軌跡生成手段は、推測航法軌跡を修正測位軌跡に重ね合わせるための第2変換行列を算出し、その第2変換行列により推測航法軌跡を修正測位軌跡に重なるように変換することで修正推測航法軌跡を生成する。絶対軌跡生成手段は、修正推測航法軌跡生成手段が生成した修正推測航法軌跡を絶対軌跡として生成する。このように変換行列よって変換された測位軌跡および推測航法軌跡に基づいて絶対軌跡を生成することにより、より高精度な絶対軌跡を得て記憶することができる。
【0009】
この場合、請求項3に記載した発明のように、第1変換行列は、推測航法軌跡をスキュー変化(軌跡の歪みを伴う変化)が不能な変換行列で設定し、第2変換行列は、推測航法軌跡をスキュー変化(軌跡の歪みを伴う変化)が可能な変換行列で設定するように構成するとよい。また、請求項4に記載した発明のように、第1変換行列は、測位軌跡を推測航法軌跡に重ね合わせることも可能な変換行列で設定することができる。
【0010】
請求項5に記載した発明によれば、絶対軌跡生成手段は、位置検出手段が電波を受信可能な衛星の数が所定数以上であるときに対応して生成された修正測位軌跡と修正推測航法軌跡とを合成することにより絶対軌跡を生成する。
この走行軌跡記憶装置によれば、測位軌跡生成手段が生成する測位軌跡が極力正確なものとなるので、この測位軌跡を修正することで得られる修正測位軌跡も極力正確なものとなり、ひいては、この修正測位軌跡を用いて生成される絶対軌跡も極力正確なものとすることができる。
【0011】
さらに、請求項6に記載した発明のように、絶対軌跡生成手段は、位置検出手段が電波を受信可能な衛星の数が所定数以上であり、かつ、移動距離検出手段が検出した車両の各移動距離が所定値以上のときに対応して生成された修正測位軌跡と修正推測航法軌跡とを合成することにより絶対軌跡を生成するように構成するとよい。あるいは、請求項7に記載した発明のように、絶対軌跡生成手段は、位置検出手段が電波を受信可能な衛星の数が所定数以上であり、かつ、移動距離検出手段が検出した車両の各移動距離が所定値以上であり、かつ、走行方向検出手段が検出した車両の各走行方向が所定範囲内のときに対応して生成された修正測位軌跡と修正推測航法軌跡とを合成することにより絶対軌跡を生成するように構成するとよい。これにより、より正確な絶対軌跡を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態に係るものであり、カーナビゲーション装置の構成を概略的に示す機能ブロック図
【図2】車両の真の走行軌跡を示す図
【図3】修正前の測位軌跡を示す図
【図4】修正前の推測航法軌跡を示す図
【図5】従来の絶対軌跡を示す図
【図6】修正測位軌跡を示す図
【図7】修正前の測位軌跡と推測航法軌跡とを重ね合わせた状態を示す図
【図8】修正推測航法軌跡を示す図
【図9】本実施形態の絶対軌跡を示す図
【図10】本発明の第2実施形態に係るものであり、推測航法軌跡を測位軌跡に重ね合わせるための第1変換行列を算出する式を示す図
【図11】第1変換行列を示す図
【図12】推測航法軌跡を測位軌跡に重なる変換推測航法軌跡に変換する式を示す図
【図13】(a)は第1変換行列により推測航法軌跡を測位軌跡に重ねて変換推測航法軌跡に変換する前の状態を示す図、(b)は変換推測航法軌跡に変換した後の状態を示す図
【図14】修正測位軌跡を示す図
【図15】推測航法軌跡を修正測位軌跡に重ね合わせるための第2変換行列を算出する式を示す図
【図16】第2変換行列を示す図
【図17】推測航法軌跡を修正測位軌跡に重なる修正推測航法軌跡に変換する式を示す図
【図18】(a)は第2変換行列により推測航法軌跡を修正測位軌跡に重ねて修正推測航法軌跡に変換する前の状態を示す図、(b)は修正推測航法軌跡に変換した後の状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る走行軌跡記憶装置をカーナビゲーション装置に適用した第1実施形態について図1から図9を参照して説明する。
図1に示すように、カーナビゲーション装置10は、制御部11、検出部12、記憶部13、表示出力部14、操作入力部15などを備える。
制御部11は、図示しないCPU、RAM、ROMおよびI/Oバスなどを有する周知のマイクロコンピュータを主体として構成されている。この制御部11は、ROMあるいは記憶部13などの記憶媒体に記憶されているコンピュータプログラムに従って、カーナビゲーション装置10の動作全般を制御する。
【0014】
また、この制御部11は、コンピュータプログラムを実行することにより、位置検出処理部21、測位軌跡生成処理部22、移動距離検出処理部23、走行方向検出処理部24、推測航法軌跡生成処理部25、修正測位軌跡生成処理部26、修正推測航法軌跡生成処理部27、絶対軌跡生成処理部28、絶対軌跡記憶処理部29をソフトウェアによって仮想的に実現する。位置検出処理部21は、本発明でいう位置検出手段に相当し、測位軌跡生成処理部22は、本発明でいう測位軌跡生成手段に相当し、移動距離検出処理部23は、本発明でいう移動距離検出手段に相当し、走行方向検出処理部24は、本発明でいう走行方向検出手段に相当し、推測航法軌跡生成処理部25は、本発明でいう推測航法軌跡生成手段に相当し、修正測位軌跡生成処理部26は、本発明でいう修正測位軌跡生成手段に相当し、修正推測航法軌跡生成処理部27は、本発明でいう修正推測航法軌跡生成手段に相当し、絶対軌跡生成処理部28は、本発明でいう絶対軌跡生成手段に相当し、絶対軌跡記憶処理部29は、本発明でいう絶対軌跡記憶手段に相当する。
【0015】
検出部12は、GPS受信機12a(GPS:Global Positioning System)、速度センサ12b、ジャイロセンサ12cなどを備える。GPS受信機12aは、測位用の人工衛星であるGPS衛星から送信される電波、つまり衛星電波を図示しないGPSアンテナを介して受信する。また、このGPS受信機12aは、例えば受信した電波の数に応じて、電波を受信可能なGPS衛星の数を検出可能に構成されている。速度センサ12bは、車両の走行速度に応じた間隔でパルス信号を出力する。ジャイロセンサ12cは、車両に加わる回転運動の角速度に応じた検出信号を出力する。検出部12は、これらGPS受信機12a、速度センサ12b、ジャイロセンサ12cなどによる検出データを制御部11に入力する。制御部11は、検出部12から入力された検出データを記憶部13に記憶するようになっている。
【0016】
記憶部13は、例えばハードディスクドライブやメモリカードなどの記憶媒体で構成されており、軌跡演算に必要な各種データやカーナビゲーション装置10の動作制御に必要な各種データなど各種の情報を記憶する。また、この記憶部13には、詳しくは後述する測位軌跡A、推測航法軌跡B、修正測位軌跡C、修正推測航法軌跡D、絶対軌跡Eなどの軌跡情報や、これら軌跡を生成するために必要な各種のデータが記憶される。なお、これら測位軌跡A、推測航法軌跡B、修正測位軌跡C、修正推測航法軌跡D、絶対軌跡Eなどの軌跡情報は、車両の走行軌跡全体、例えば出発地から目的地までの軌跡全体に対応するものでなくてもよく、車両の走行軌跡の一部の区間における軌跡であってもよい。
【0017】
図2は、車両の真の走行軌跡Fを示しており、この走行軌跡Fの周辺には、例えばビル街Mなどいわゆるマルチパス現象が発生し易い箇所が存在している。この真の走行軌跡Fに対応して上記の測位軌跡A、推測航法軌跡B、修正測位軌跡C、修正推測航法軌跡D、絶対軌跡Eなどの軌跡情報を生成する区間としては、後述するように、位置検出処理部21が電波を受信可能なGPS衛星の数が所定数以上であるときに対応する区間を設定するとよい。
【0018】
表示出力部14は、例えば液晶や有機ELなどのディスプレイ装置を有して構成されている。この表示出力部14には、例えば、車両の経路案内用の画面、各種の操作説明用の画面、各種の設定操作用の画面などが表示される。
操作入力部15は、表示出力部14の画面の近傍に設けられているメカニカルスイッチや、表示出力部14の画面に設けられているタッチパネルスイッチなど各種のスイッチ群から構成されている。ユーザは、操作入力部15の各スイッチを用いて各種の設定操作をカーナビゲーション装置10に入力可能である。
【0019】
位置検出処理部21は、GPS受信機12aがGPS衛星から受信した電波に基づいて車両の位置を時系列で検出する。
測位軌跡生成処理部22は、図3に示すように、位置検出処理部21が測位した車両の各位置a1〜aNを時系列で配列した測位軌跡Aを生成する。この測位軌跡Aには、上記したビル街Mが存在する位置に対応して、いわゆるマルチパス現象の影響を受けた位置aMが含まれている。
【0020】
本実施形態では、測位軌跡生成処理部22は、位置検出処理部21が電波を受信可能なGPS衛星の数が所定数以上、例えば5個以上であるときに測位した車両の各位置a1〜aNを時系列で配列することで測位軌跡Aを生成する。即ち、測位軌跡生成処理部22は、電波を受信可能なGPS衛星の数が所定数以上であるときに対応する測位軌跡Aを生成する。なお、電波を受信可能なGPS衛星の数は、測位軌跡Aの全体にわたって所定数以上である必要はなく、少なくとも測位軌跡Aの始点および終点においてGPS衛星の数が所定数以上であれば、測位軌跡Aの途中においてはGPS衛星の数が所定数未満であってもよい。
【0021】
移動距離検出処理部23は、速度センサ12bが出力するパルス信号、つまり、車両の速度に応じた信号を所定時間、例えば1msごとにサンプリングすることにより、車両の移動距離を時系列で検出する。
走行方向検出処理部24は、ジャイロセンサ12cが出力する検出信号に基づいて、車両の走行方向を時系列で検出する。
推測航法軌跡生成処理部25は、図4に示すように、移動距離検出処理部23が検出した車両の各移動距離および走行方向検出処理部24が検出した車両の各走行方向によって定まる各ベクトル、つまり、各走行ベクトルb1〜bNを時系列で配列した推測航法軌跡Bを生成する。この推測航法軌跡Bは、速度センサ12bの検出値の誤差や、ジャイロセンサ12cの電圧値やジャイロゲインの誤差などの影響により、真の走行軌跡Fに一致しない傾向がある。
【0022】
本実施形態では、推測航法軌跡生成処理部25は、位置検出処理部21が電波を受信可能なGPS衛星の数が所定数以上、例えば、5個以上であるときに測位した車両の各位置a1〜aNと時刻同期をとりながら走行ベクトルb1〜bNを時系列で生成し、その走行ベクトルb1〜bNを時系列で配列することで推測航法軌跡Bを生成する。即ち、推測航法軌跡生成処理部25は、電波を受信可能な衛星の数が所定数以上であるときに対応する推測航法軌跡Bを測位軌跡Aと時刻同期をとりながら生成する。なお、電波を受信可能なGPS衛星の数は、推測航法軌跡Bの全体にわたって所定数以上である必要はなく、少なくとも推測航法軌跡Bの始点および終点においてGPS衛星の数が所定数以上であれば、推測航法軌跡Bの途中においてはGPS衛星の数が所定数未満であってもよい。
【0023】
ここで、従来では、上記のようにして測位軌跡Aと推測航法軌跡Bとを生成しながら、これら測位軌跡Aと推測航法軌跡Bとを周知のカルマンフィルタによる演算処理によって合成し、これにより、図5に示す絶対軌跡Hを生成している。なお、測位軌跡Aと推測航法軌跡Bとを「合成」するとは、推測航法軌跡Bに含まれる各走行ベクトルb1〜bNの大きさおよび向きを、測位軌跡Aに含まれる各位置a1〜aNの位置情報、つまり、緯度情報および経度情報に基づいて補正することをいう。
【0024】
この場合、従来の絶対軌跡Hは、測位軌跡Aの全体および推測航法軌跡Bの全体が得られてから、これら測位軌跡Aの全体および推測航法軌跡Bの全体を合成するのではなく、測位軌跡Aの各位置a1〜aNおよびこれに時刻同期する推測航法軌跡Bの各走行ベクトルb1〜bNがそれぞれ得られることに伴い、これら位置a1〜aNおよび走行ベクトルb1〜bNを随時合成することで絶対軌跡Hを生成していく。つまり、例えば、位置a1,a2が得られ、且つ、これに時刻同期する走行ベクトルb1が得られたら、これら位置a1,a2と走行ベクトルb1とを合成し、次いで、位置a3,a4が得られ、且つ、これに時刻同期する走行ベクトルb2が得られたら、これら位置a3,a4と走行ベクトルb2とを合成していくという処理を随時進めていくことで、絶対軌跡Hを部分的に随時生成していくのである。
【0025】
このような従来の方法では、測位軌跡Aの生成および推測航法軌跡Bの生成と絶対軌跡Hの生成とが並列的にリアルタイムで進行していくことから、マルチパス現象の影響を受けた位置aMを除外しながら絶対軌跡Hを生成することが困難であり、結果として、マルチパス現象の影響を受けた部分hMを有する絶対軌跡Hが生成されてしまう。
【0026】
そこで、本実施形態では、マルチパス現象の影響を除外した絶対軌跡を得るべく、以下に示す構成を採用している。
即ち、修正測位軌跡生成処理部26は、測位軌跡に含まれる各位置のうちいわゆるマルチパス現象の影響を受けた位置を判定するマルチパス判定処理部26aとしての機能、および、マルチパス現象の影響を受けた位置であると判定した位置を測位軌跡から除外するマルチパス除去処理部26bとしての機能、いわゆるクレンジング機能を有している。そして、この修正測位軌跡生成処理部26は、次に示す処理により、図6に示す修正測位軌跡Cを生成する。
【0027】
即ち、修正測位軌跡生成処理部26は、まず、図7に示すように、測位軌跡生成処理部22が生成した測位軌跡Aと推測航法軌跡生成処理部25が生成した推測航法軌跡Bとを重ね合わせる。この重ね合わせの態様としては、種々の態様を採用することができる。この場合、測位軌跡Aに含まれる各位置a1〜aNと推測航法軌跡Bに含まれる各走行ベクトルb1〜bNとは時刻同期がとられている。即ち、例えば、測位軌跡Aの第1位置a1が検出された時刻から第2位置a2が検出された時刻までの間に対応して、推測航法軌跡Bの第1走行ベクトルb1が生成される。そのため、修正測位軌跡生成処理部26は、このように測位軌跡Aの各位置a1〜aNと推測航法軌跡Bの各走行ベクトルb1〜bNとで時刻同期がとられていることを利用して、この場合、測位軌跡Aの始点側の2位置a1,a2と推測航法軌跡Bの始点側の走行ベクトルb1とを重ね合わせるように設定されている。なお、測位軌跡Aの終点側の2位置と推測航法軌跡Bの終点側の走行ベクトルとを重ね合わせる態様としてもよいし、測位軌跡Aの途中の2位置と推測航法軌跡Bのうちその2位置に時刻同期する走行ベクトルとを重ね合わせる態様としてもよい。
【0028】
次に、修正測位軌跡生成処理部26は、測位軌跡生成処理部22が生成した測位軌跡Aと推測航法軌跡生成処理部25が生成した推測航法軌跡Bとを重ね合わせた状態で、測位軌跡Aに含まれる各位置a1〜aNのうち推測航法軌跡Bから所定距離以上、例えば、地図データ上で例えば15m以上離れた位置aMをマルチパス現象の影響を受けた位置として判定する。なお、距離の判定は、この場合、測位軌跡Aに含まれる各位置a1〜aNから推測航法軌跡Bに下ろした垂線の長さに基づき判定する。つまり、各位置a1〜aNから推測航法軌跡Bに下ろした垂線の長さが所定距離以上である位置を、マルチパス現象の影響を受けた位置aMとして特定するのである。そして、修正測位軌跡生成処理部26は、このようにマルチパス現象の影響を受けた位置として特定された位置aMを測位軌跡Aから除外し、これにより、図6に示す修正測位軌跡Cを生成する。
【0029】
修正推測航法軌跡生成処理部27は、推測航法軌跡生成処理部25が推測航法軌跡Bを生成する際に使用したデータ、つまり、移動距離検出処理部23が検出した車両の各移動距離および走行方向検出処理部24が検出した車両の各走行方向を記憶部13から読み出し、そのデータによって定まる各走行ベクトルb1〜bNを修正測位軌跡生成処理部26が生成した修正測位軌跡Cに含まれる各位置の位置情報、つまり、緯度情報および経度情報に基づいて、周知のカルマンスムーザによる補正処理によって補正しながら時系列で配列することにより、推測航法軌跡Bを修正した修正推測航法軌跡Gを生成する。図8は、この修正推測航法軌跡Gを示しており、上記のようにして修正された修正推測航法軌跡Gは、推測航法軌跡Bよりも真の走行軌跡Fに近付くようになる。なお、この修正推測航法軌跡生成処理部27による修正処理では、ジャイロセンサ12cの電圧補正やジャイロゲインの補正、一旦得られた各走行ベクトルb1〜bNの大きさや向きの補正などが行われ、これにより、修正推測航法軌跡Gが生成される。即ち、修正推測航法軌跡Gは、推測航法軌跡Bを形成する各走行ベクトルb1〜bNを修正した上で、これら修正後の各走行ベクトルb1〜bNを時系列で配列し直すことによって生成された推測航法軌跡である。
【0030】
絶対軌跡生成処理部28は、修正測位軌跡生成処理部26が生成した修正測位軌跡Cと修正推測航法軌跡生成処理部27が生成した修正推測航法軌跡Gとを、周知のカルマンスムーザによる演算処理によって合成し、これにより、図9に示す絶対軌跡Eを生成する。なお、修正測位軌跡Cと修正推測航法軌跡Gとを「合成」するとは、修正推測航法軌跡Gに含まれる各走行ベクトルb1〜bNの大きさおよび向きを、マルチパス現象の影響を受けた位置aMを除外した修正測位軌跡Cに含まれる各位置a1〜aNの位置情報、つまり、緯度・経度情報に基づいて補正することをいう。
【0031】
この場合、絶対軌跡Eは、測位軌跡Aの生成および推測航法軌跡Bの生成と絶対軌跡Eの生成とが並列的にリアルタイムで進行する上記したカルマンフィルタによる演算処理ではなく、観測値を事後的に補正するカルマンスムーザによる演算処理によって、測位軌跡Aの全体および推測航法軌跡Bの全体が得られてから、その測位軌跡Aの全体を修正した修正測位軌跡C、および、その推測航法軌跡Bの全体を修正した修正推測航法軌跡Gを生成し、その修正測位軌跡Cの全体を修正推測航法軌跡Gの全体に合成することで生成される。
絶対軌跡記憶処理部29は、絶対軌跡生成処理部28が生成した絶対軌跡Eを記憶部13に記憶する。このようにして記憶部13に記憶された絶対軌跡Eは、例えば、カーナビゲーション装置10が道路形状を学習するための走行軌跡として利用される。
【0032】
以上に説明したように本実施形態のカーナビゲーション装置10によれば、絶対軌跡Eは、測位軌跡Aや推測航法軌跡Bの生成と並列的にリアルタイムで生成されるのではなく、測位軌跡Aおよび推測航法軌跡Bを一旦生成し、それら測位軌跡Aおよび推測航法軌跡Bを修正した修正測位軌跡Cおよび修正推測航法軌跡Gを生成し、それら修正測位軌跡Cと修正推測航法軌跡Gとを合成することで生成される。つまり、測位軌跡Aや推測航法軌跡Bを生成しながらリアルタイムで絶対軌跡を生成するのではなく、測位軌跡Aおよび推測航法軌跡Bを生成し、それら測位軌跡Aおよび推測航法軌跡Bを修正した上で、その修正後の測位軌跡Cおよび推測航法軌跡Gを用いて事後的に絶対軌跡Eを生成するようにした。これにより、絶対軌跡Eを生成する際にマルチパス現象による影響を精度良く除去することができ、絶対軌跡Eをより正確に生成することができる。
【0033】
また、カーナビゲーション装置10は、位置検出処理部21が電波を受信可能なGPS衛星の数が所定数以上であるときに対応して生成された修正測位軌跡Cと修正推測航法軌跡Gとを合成することにより絶対軌跡Eを生成する。これにより、測位軌跡生成処理部22が生成する測位軌跡Aが極力正確なものとなるので、この測位軌跡Aを修正することで得られる修正測位軌跡Cも極力正確なものとなり、ひいては、この修正測位軌跡Cを用いて生成される絶対軌跡Eも極力正確なものとすることができる。
【0034】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図10から図18を参照して説明する。本実施形態は、絶対軌跡を生成する手法が上述した第1実施形態と異なる。即ち、本実施形態は、修正測位軌跡と修正推測航法軌跡とを合成した絶対軌跡を生成することに代えて、変換行列を用いて変換(補正)した測位軌跡および推測航法軌跡に基づいて得られる修正推測航法軌跡を絶対軌跡として生成するようにしたものである。以下、第1の実施形態と異なる点を説明する。
【0035】
修正測位軌跡生成処理部26は、第1次フィッティング処理を実行する。具体的には、修正測位軌跡生成処理部26は、図10に示す式(1)に基づいて、推測航法軌跡Bを測位軌跡Aに重ね合わせるための第1変換行列C1を算出する。なお、式(1)に示す座標(Ui,Vi)は測位軌跡Aに含まれる各座標データであり、座標(Xi,Yi)は推測航法軌跡Bに含まれる各座標データである。推測航法軌跡Bに含まれる各走行ベクトルは、これら座標データ(Xi,Yi)に基づいて生成される。また、図11に示すように、第1変換行列C1は、回転要素R1,R2および並進要素T1,T2を有しており、軌跡を回転および並進させることが可能であるがスキュー変化(歪みを伴う変化)させることが不能な変換行列で設定される。
【0036】
次に、修正測位軌跡生成処理部26は、図12に示す式(2)に基づいて、算出した第1変換行列C1により推測航法軌跡Bを測位軌跡Aに重なる変換推測航法軌跡B´に変換する。図13は、第1変換行列C1により推測航法軌跡Bを測位軌跡Aに重ねて変換推測航法軌跡B´に変換する例を視覚的に示している。即ち、図13(a)に示すように、推測航法軌跡Bを第1変換行列C1により変換して測位軌跡Aに重ねる(第1次フィッティング処理)。このとき、第1変換行列C1は、スキュー変化不能な変換行列であることから、図13(b)に示すように、変換により得られる変換推測航法軌跡B´は、測位軌跡Aに重なる度合い(測位軌跡Aに一致する度合い)が低い。
【0037】
そして、修正測位軌跡生成処理部26は、図13(b)に示す状態、つまり、測位軌跡Aと変換推測航法軌跡B´とを重ね合わせた状態で、測位軌跡Aに含まれる各位置のうち変換推測航法軌跡B´から所定距離以上離れた位置を除外する。これにより、修正測位軌跡生成処理部26は、図14に示す修正測位軌跡Cを生成する。なお、所定距離は適宜の値を設定することができる。
以上のようにして、修正測位軌跡生成処理部26は、第1次フィッティング処理および、それに続く修正測位軌跡Cの生成処理を実行する。
【0038】
修正推測航法軌跡生成処理部27は、第2次フィッティング処理を担う。具体的には、修正推測航法軌跡生成処理部27は、図15に示す式(3)に基づいて、推測航法軌跡Bを修正測位軌跡Cに重ね合わせるための第2変換行列C2を算出する。なお、式(3)に示す座標(Ui,Vi)は修正測位軌跡Cに含まれる各座標データであり、座標(Xi,Yi)は推測航法軌跡Bに含まれる各座標データである。ただし、推測航法軌跡Bは、そのうち、測位軌跡Cに対応する座標データのみ使用する。そのため、推測航法軌跡Bの各座標データの数はデータ総数nより少なくなっている。また、図16に示すように、第2変換行列C2は、相互に異なる複数の要素(この場合、c1,c2,c3,c4,c5,c6)を有しており、軌跡を回転および並進させながらスキュー変化(歪みを伴う変化)させることが可能な変換行列で設定される。
【0039】
次に、修正推測航法軌跡生成処理部27は、図17に示す式(4)に基づいて、算出した第2変換行列C2により推測航法軌跡Bを修正測位軌跡Cに重なる修正推測航法軌跡Gに変換する。図18は、第2変換行列C2により推測航法軌跡Bを修正測位軌跡Cに重ねて修正推測航法軌跡Gに変換する例を視覚的に示している。即ち、図18(a)に示すように、推測航法軌跡Bを第2変換行列C2により変換して修正測位軌跡Cに重ねる(第2次フィッティング処理)。このとき、第2変換行列C2は、スキュー変化可能な変換行列であることから、図18(b)に示すように、変換により得られる修正推測航法軌跡Gは、修正測位軌跡Cに重なる度合い(修正測位軌跡Cに一致する度合い)が高い。
【0040】
以上のようにして、修正推測航法軌跡生成処理部27は、第2次フィッティング処理および、それに続く修正推測航法軌跡Gの生成処理を実行する。
絶対軌跡生成処理部28は、修正推測航法軌跡生成処理部27が生成した修正推測航法軌跡Gを絶対軌跡Eとして生成する。そして、絶対軌跡記憶処理部29は、絶対軌跡生成処理部28が生成した絶対軌跡Eを記憶部13に記憶する。
【0041】
以上に説明したように本実施形態によっても、絶対軌跡Eを生成する際にマルチパス現象による影響を精度良く除去することができ、絶対軌跡Eをより正確に生成することができる。
また、測位軌跡Aはランダムノイズを多く含むがたついた軌跡であり、従って、当該測位軌跡Aを修正して修正測位軌跡Cを生成したとしても、当該修正測位軌跡Cにもある程度のランダムノイズが残り、がたついた軌跡となる傾向がある。本実施形態によれば、スキュー変化可能な第2変換行列C2を用いて推測航法軌跡Bを修正推測航法軌跡Gに変換するので、修正測位軌跡Cに含まれるランダムノイズを、推測航法軌跡Bを変形させながら重ねることによって平均的に吸収することができ、極めて滑らかな曲線をなす精度良い絶対軌跡Eを得ることができる。
【0042】
(その他の実施形態)
なお、本発明は、上述した各実施形態のみに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適用可能であり、例えば、以下のように変形または拡張することができる。
第1変換行列C1は、測位軌跡Aを推測航法軌跡Bに重ね合わせることも可能な変換行列で設定してもよい。この場合、修正測位軌跡生成処理部26は、変換後の測位軌跡A(図示しない変換測位軌跡A´)と推測航法軌跡Bとを重ね合わせた状態で、測位軌跡A(変換測位軌跡A´)に含まれる各位置のうち推測航法軌跡Bから所定距離以上離れた位置を除外し、これにより、修正測位軌跡Cを生成する。
絶対軌跡Eを生成する区間は、当該区間に含まれる道路の屈曲が1つとなるように選択するとよい。これにより、絶対軌跡Eをより精度良く生成することができる。絶対軌跡Eを生成しようとする区間に道路の屈曲が複数含まれている場合には、当該区間を屈曲の数が1つとなるように複数の区間に分割し、それら分割した区間についてそれぞれ絶対軌跡Eを生成し、生成した複数の絶対軌跡Eを連結(合成)するように構成するとよい。
第1変換行列C1および第2変換行列C2は、同次座標系の線形変換行列で設定することが好ましく、例えば、線形回帰法、RANSAC法(RANSAC:RANdom SAmple Consensus)、M推定法などにより求めることができる。
【0043】
絶対軌跡生成処理部28は、位置検出処理部21が電波を受信可能なGPS衛星の数が所定数以上であり、かつ、移動距離検出処理部23が検出した車両の各移動距離が所定値以上のときに対応して生成された修正測位軌跡Cと修正推測航法軌跡Gとを合成することにより絶対軌跡Eを生成するように構成するとよい。あるいは、絶対軌跡生成処理部28は、位置検出処理部21が電波を受信可能なGPS衛星の数が所定数以上であり、かつ、移動距離検出処理部23が検出した車両の各移動距離が所定値以上であり、かつ、走行方向検出処理部24が検出した車両の各走行方向が所定範囲内のときに対応して生成された修正測位軌跡Cと修正推測航法軌跡Gとを合成することにより絶対軌跡Eを生成するように構成するとよい。これにより、より正確な絶対軌跡Eを得ることができる。
【0044】
測位用の人工衛星としてはGPS衛星に限られるものではなく、例えば、GLONASS衛星(GLONASS:Global Navigation Satellite System)などであってもよい。この場合、カーナビゲーション装置10は、GPS受信機12aに代えて、GLONASS受信機を備える。
本発明に係る走行軌跡記憶装置は、カーナビゲーション装置に一体化された構成に限られるものではなく、カーナビゲーション装置とは別体の構成とすることもでき、また、カーナビゲーション装置以外の装置に一体化することもできる。
【符号の説明】
【0045】
図面中、10はカーナビゲーション装置(走行軌跡記憶装置)、21は位置検出処理部(位置検出手段)、22は測位軌跡生成処理部(測位軌跡生成手段)、23は移動距離検出処理部(移動距離検出手段)、24は走行方向検出処理部(走行方向検出手段)、25は推測航法軌跡生成処理部(推測航法軌跡生成手段)、26は修正測位軌跡生成処理部(修正測位軌跡生成手段)、27は修正推測航法軌跡生成処理部(修正推測航法軌跡生成手段)、28は絶対軌跡生成処理部(絶対軌跡生成手段)、29は絶対軌跡記憶処理部(絶対軌跡記憶手段)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛星から受信した電波に基づいて車両の位置を時系列で検出する位置検出手段(21)と、
前記位置検出手段が測位した前記車両の各位置を時系列で配列した測位軌跡を生成する測位軌跡生成手段(22)と、
前記車両の移動距離を時系列で検出する移動距離検出手段(23)と、
前記車両の走行方向を時系列で検出する走行方向検出手段(24)と、
前記移動距離検出手段が検出した前記車両の各移動距離および前記走行方向検出手段が検出した前記車両の各走行方向によって定まる各ベクトルを時系列で配列した推測航法軌跡を生成する推測航法軌跡生成手段(25)と、
前記測位軌跡生成手段が生成した前記測位軌跡と前記推測航法軌跡生成手段が生成した前記推測航法軌跡とを重ね合わせた状態で、前記測位軌跡に含まれる各位置のうち前記推測航法軌跡から所定距離以上離れた位置を除外した修正測位軌跡を生成する修正測位軌跡生成手段(26)と、
前記推測航法軌跡生成手段が生成した前記推測航法軌跡を前記修正測位軌跡生成手段が生成した前記修正測位軌跡に基づいて修正した修正推測航法軌跡を生成する修正推測航法軌跡生成手段(27)と、
前記修正測位軌跡生成手段が生成した前記修正測位軌跡と前記修正推測航法軌跡生成手段が生成した前記修正推測航法軌跡とを合成した絶対軌跡を生成する絶対軌跡生成手段(28)と、
前記絶対軌跡生成手段が生成した前記絶対軌跡を記憶する絶対軌跡記憶手段(29)と、
を備えることを特徴とする走行軌跡記憶装置。
【請求項2】
前記修正測位軌跡生成手段は、
前記推測航法軌跡を前記測位軌跡に重ね合わせるための第1変換行列を算出し、
その第1変換行列により前記推測航法軌跡を前記測位軌跡に重なる変換推測航法軌跡に変換し、
前記測位軌跡と前記変換推測航法軌跡とを重ね合わせた状態で、前記測位軌跡に含まれる各位置のうち前記変換推測航法軌跡から所定距離以上離れた位置を除外することで前記修正測位軌跡を生成し、
前記修正推測航法軌跡生成手段は、
前記推測航法軌跡を前記修正測位軌跡に重ね合わせるための第2変換行列を算出し、
その第2変換行列により前記推測航法軌跡を前記修正測位軌跡に重なるように変換することで前記修正推測航法軌跡を生成し、
前記絶対軌跡生成手段は、
前記修正推測航法軌跡生成手段が生成した前記修正推測航法軌跡を絶対軌跡として生成することを特徴とする請求項1に記載の走行軌跡記憶装置。
【請求項3】
前記第1変換行列は、前記推測航法軌跡をスキュー変化不能な変換行列であり、
前記第2変換行列は、前記推測航法軌跡をスキュー変化可能な変換行列であることを特徴とする請求項2に記載の走行軌跡記憶装置。
【請求項4】
前記第1変換行列は、前記測位軌跡を前記推測航法軌跡に重ね合わせることも可能な変換行列であることを特徴とする請求項2または3に記載の走行軌跡記憶装置。
【請求項5】
前記絶対軌跡生成手段は、前記位置検出手段が電波を受信可能な前記衛星の数が所定数以上であるときに対応して生成された前記修正測位軌跡と前記修正推測航法軌跡とを合成することにより前記絶対軌跡を生成することを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の走行軌跡記憶装置。
【請求項6】
前記絶対軌跡生成手段は、前記位置検出手段が電波を受信可能な前記衛星の数が所定数以上であり、かつ、前記移動距離検出手段が検出した前記車両の各移動距離が所定値以上のときに対応して生成された前記修正測位軌跡と前記修正推測航法軌跡とを合成することにより前記絶対軌跡を生成することを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の走行軌跡記憶装置。
【請求項7】
前記絶対軌跡生成手段は、前記位置検出手段が電波を受信可能な前記衛星の数が所定数以上であり、かつ、前記移動距離検出手段が検出した前記車両の各移動距離が所定値以上であり、かつ、前記走行方向検出手段が検出した前記車両の各走行方向が所定範囲内のときに対応して生成された前記修正測位軌跡と前記修正推測航法軌跡とを合成することにより前記絶対軌跡を生成することを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の走行軌跡記憶装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−61320(P2013−61320A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−146982(P2012−146982)
【出願日】平成24年6月29日(2012.6.29)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(502324066)株式会社デンソーアイティーラボラトリ (332)
【Fターム(参考)】