超音波洗浄装置及び超音波洗浄方法
【課題】簡単な装置構成で被処理体を容易に且つ確実にすることができる超音波洗浄装置を提供する。
【解決手段】超音波洗浄装置1は、上部が開口された略直方体の箱状容器であって、その内部に洗浄液を貯留する洗浄槽10と、内部に水を貯留すると共に洗浄槽10を収容する外槽15と、洗浄槽10の内部に配設され、洗浄すべき被処理体としての半導体ウエハAを支持する支持部材20と、外槽15の外部に配設され、洗浄槽10内部に超音波を発振する超音波発振装置60を備える。洗浄槽10は、超音波発振装置60からの超音波を透過する側面部12bと、側面部12bに対向して配され、超音波発振装置60からの超音波を反射する側面部12aとを有している。そして、超音波発振装置60は、外槽15に貯留された水を介して洗浄槽10に超音波を発振し、且つ洗浄槽10の側面部12bから側面部12aに向かって超音波を伝播させる。
【解決手段】超音波洗浄装置1は、上部が開口された略直方体の箱状容器であって、その内部に洗浄液を貯留する洗浄槽10と、内部に水を貯留すると共に洗浄槽10を収容する外槽15と、洗浄槽10の内部に配設され、洗浄すべき被処理体としての半導体ウエハAを支持する支持部材20と、外槽15の外部に配設され、洗浄槽10内部に超音波を発振する超音波発振装置60を備える。洗浄槽10は、超音波発振装置60からの超音波を透過する側面部12bと、側面部12bに対向して配され、超音波発振装置60からの超音波を反射する側面部12aとを有している。そして、超音波発振装置60は、外槽15に貯留された水を介して洗浄槽10に超音波を発振し、且つ洗浄槽10の側面部12bから側面部12aに向かって超音波を伝播させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波洗浄装置及び超音波洗浄方法に関し、特に半導体ウエハ等の被処理体を超音波を利用して洗浄する超音波洗浄装置及び超音波洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体製造装置の製造工程において、薬剤やリンス液等の洗浄液が貯留された洗浄槽に半導体ウエハを浸漬し、超音波を発生させて半導体ウエハの洗浄を行う洗浄装置が広く用いられている。
【0003】
図11は、従来の超音波洗浄装置の構成を概略的に示す断面図である。
【0004】
図11において、従来の超音波洗浄装置は、複数の被処理体を浸漬する洗浄液例えば薬液Lが貯留される洗浄槽301と、複数の半導体ウエハWを垂直状に保持して洗浄槽301内に配置する保持手段であるウエハボート310と、洗浄槽301の下方に中間槽309を介して設けられ、洗浄槽301内の薬液(洗浄液)に超音波を照射する超音波発振手段330とで主に構成されている。この超音波洗浄装置では、超音波発振手段330の振動子331が振動すると、超音波振動が発生し、この超音波振動が中間槽309内に貯留された純水に伝搬され、洗浄槽301の底部302を透過して洗浄槽301内に貯留された薬液まで伝わり、この超音波の照射によってウエハWが超音波洗浄される。
【0005】
図12は、従来の他の超音波洗浄装置の構成を概略的に示す断面図である。
【0006】
図12において、従来の超音波洗浄装置は、箱状で上面を開口して凹状に形成して内部に洗浄液を貯留する超音波洗浄槽420と、超音波洗浄槽420の内側の両側面に夫々平行に対向する一対の振動子422と、超音波洗浄槽420内に延在して一対の振動子422間を遮断するとともに、内部に密閉した中空部を備え且つ両側面が薄板状の隔壁により形成される反射板424とを備えている。この超音波洗浄装置は、超音波洗浄槽420の両側面に設けた一対の振動子422から槽内に照射する超音波が干渉して減衰しないように、振動子422の間を反射板424により遮断し、且つ反射板424の両外側液中に定在波を発生させて被処理体を均一に洗浄可能に構成されている。また、この超音波洗浄装置では、支柱428に各々接続された振動子22及び反射板424の一方又は両方が超音波洗浄槽420内で摺動可能に設けられており、振動子422の周波数(波長λ)を変えた際に反射板424から振動子422までの距離を、λ/4+1/2×nの距離Lに調節可能となっている。
【0007】
この超音波洗浄装置では、超音波洗浄槽420の両側に対向する一対の振動子422の間を反射板424により遮断するため、被処理体が薄板状又はシート状であっても、両側から照射する超音波を反射板424が反射して干渉を防止できるとともに、この反射板424によって各々外側に反射した反射波と照射した照射波との位相を合わせて共振させて定在波(定常波)を発生させる調節が容易になり、これによる洗浄液の励起も生じることで薄板状またはシート状の被処理体でも均一に洗浄することが可能となっている。また、振動子422及び反射板424が摺動可能に設けられるので、反射板424の両側で振動子422の周波数を各々異なるように設定した場合でも、反射板424から振動子422までの距離を距離Lになるように調節することが可能となっている。
【特許文献1】特開平2004−221343号公報
【特許文献2】特開平2006−7104号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1の技術では、ウエハボートに保持された半導体ウエハ(被処理体)に対して洗浄槽の下方から超音波を照射するため、ウエハボートの配置に起因して半導体ウエハWに超音波を照射できない領域(影の部分)が生じる。これにより、半導体ウエハにパーティクルが残留してしまい、半導体ウエハを確実に洗浄できないという問題がある。
【0009】
また、特許文献2の技術では、振動子及び反射板を洗浄槽内に設けるため、洗浄槽の寸法や洗浄槽内に浸漬される被処理体の配置によっては該振動子及び反射板の移動距離が制限される結果、定在波を発生させることが困難となり、被処理体の洗浄作業を容易に実行することができないという問題がある。また、振動子や反射板に付着した汚染物質が洗浄液を介して被処理体に付着する可能性があり、被処理体を確実に洗浄できないという問題もある。加えて、振動子や反射板を移動させるための装置が必要となり、装置構成が複雑になるという問題もある。
【0010】
本発明の目的は、簡単な装置構成で被処理体を容易に且つ確実に洗浄することができる超音波洗浄装置及び超音波洗浄方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、請求項1記載の超音波洗浄装置は、洗浄液を貯留する洗浄槽と、液体を貯留すると共に前記洗浄槽を収容する外槽と、前記洗浄槽の内部に配設され、洗浄すべき被処理体を支持する支持部材と、前記外槽の外部に配設され、前記外槽の内部に所定周波数の超音波を発振する超音波発振部とを備え、前記洗浄槽は、前記超音波発振部からの超音波を透過する厚みを有する第1面部と、前記第1面部に対向して配され、前記超音波発振部からの超音波を反射する厚みを有する第2面部とを有し、前記超音波発振部は、前記外槽に貯留された水を介して前記洗浄槽に超音波を発振し、且つ前記洗浄槽の前記第1面部から前記第2面部に向かって超音波を伝播させることを特徴とする。
【0012】
請求項2記載の超音波洗浄装置は、請求項1記載の超音波洗浄装置において、前記洗浄槽は、上部が開口された箱状容器であって、前記第1面部は側面部であり、前記第2面部は前記側面部と対向する他の側面部であることを特徴とする。
【0013】
請求項3記載の超音波洗浄装置は、請求項1記載の超音波洗浄装置において、前記洗浄槽は、上部が開口された箱状容器であって、底面部と、前記洗浄槽の上部に配設された蓋部とを有し、前記第1面部は底面部であり、第2面部は前記蓋部であることを特徴とする。
【0014】
請求項4記載の超音波洗浄装置は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の超音波洗浄装置において、前記第1面部の厚みは、前記外槽内に貯留される液体を媒質1、前記洗浄槽の材質を媒質2、前記洗浄液を媒質3としたとき、
透過率(T)=(ρ1c1/ρ3c3)(4/X)
但し、X=(1+ ρ1c1/ρ3c3)^2×cos2k1L+(ρ2c2/ρ3c3+ ρ1c1/ρ2c2)^2×sin2k2L
ρ1,ρ2,ρ3:物質(媒質)の密度
c1,c2,c3:物質(媒質)の音速
L:物質(媒質)の厚み
k=ω/c, ω=2πf
の数式で求められる透過率の75%以上を有する厚みであり、前記第2面部の厚みは、上記式で求められる透過率50%以下を有する厚みであることを特徴とする。
【0015】
請求項5記載の超音波洗浄装置は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の超音波洗浄装置において、前記洗浄槽内に配設され、前記洗浄液を循環させる循環装置を更に備え、前記被処理体の近傍における前記洗浄液の液流れの方向は、前記超音波の進行方向と略直交していることを特徴とする。
【0016】
請求項6記載の超音波洗浄装置は、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の超音波洗浄装置において、前記洗浄薬液槽は、二酸化珪素(SiO2)を主成分とする材料から成り、前記外槽は、樹脂及びステンレス鋼のいずれかを主成分とする材料から成ることを特徴とする。このとき、外槽に使用されるステンレス鋼の規格は問わない。
【0017】
請求項7記載の超音波洗浄装置は、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の超音波洗浄装置において、前記超音波発振部は、周波数が450kHz〜3.0MHzの超音波を発振することを特徴とする。
【0018】
請求項8記載の超音波洗浄方法は、洗浄槽内の被処理体を超音波で洗浄する超音波洗浄方法であって、前記洗浄槽を収容する外槽の外部から所定周波数の超音波を発振する発振行程と、前記外槽に貯留された液体を介して、前記超音波に前記洗浄槽の第1面部を透過させる透過行程と、前記第1面部に対向して配された前記洗浄増の第2面部で超音波を反射する反射行程とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
請求項1記載の超音波洗浄装置及び請求項8の超音波洗浄方法によれば、外槽に貯留された液体を介して洗浄槽に到達した超音波が、洗浄槽の第1面部を透過し、さらに、第1面部に対向して配された第2面部で超音波が反射される。すなわち、被処理体を支持する支持部材が洗浄槽内に配設される場合であっても、外槽に貯留された液体を介して第1面部から第2面部に向かって進行する超音波と、第2面部で反射された超音波とによって、洗浄ムラを生じることなく、被処理体に付着したパーティクルを除去することができる。また、超音波発振装置が洗浄槽の外部に配設されるので、超音波発振装置に付着した汚染物質が被処理体に付着することがない。さらに、特許文献1のように洗浄槽の下部に超音波発振部の振動板を設置した場合には、洗浄槽の底板に気泡が溜まり、超音波の照射が不均一になるのに対し、横に振動板を設置することで気泡の溜りがなくなるため、超音波を均一に照射できる。したがって、簡単な装置構成で被処理体を容易に且つ確実に洗浄することができる。
【0020】
請求項2記載の超音波洗浄装置によれば、洗浄槽は、超音波を透過する側面部と、該側面部と対向する他の側面部とを有するので、側面部を透過した横方向の超音波と、他の側面部で反射された超音波とによって、被処理体に付着したパーティクルが除去される。これにより、被処理体を容易に且つ確実に洗浄することができる。
【0021】
請求項3記載の超音波洗浄装置によれば、洗浄槽は、超音波を透過する底面部と、洗浄槽の上部に配設された蓋部とを有するので、底面部を透過した縦方向の超音波と、蓋部で反射された超音波とによって、被処理体に付着したパーティクルが除去される。これにより、被処理体を容易に且つ確実に洗浄することができる。
【0022】
請求項4記載の超音波洗浄装置によれば、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の超音波洗浄装置において、第1面部の厚みは、透過率(T)=(ρ1c1/ρ3c3)(4/X)(但し、X=(1+ ρ1c1/ρ3c3)^2×cos2k1L+(ρ2c2/ρ3c3+ ρ1c1/ρ2c2)^2×sin2k2L、ρ1,ρ2,ρ3:物質(媒質)の密度、c1,c2,c3:物質(媒質)の音速、L:物質(媒質)の厚み、k=ω/c, ω=2πf)で求められる透過率の75%以上を有する厚みであり、第2面部の厚みは、上記式で求められる透過率50%以下を有する厚みであるので、各媒質の密度及び音速、並びに超音波の周波数から第1面部及び第2面部の厚みを決定することができる。
【0023】
請求項5記載の超音波洗浄装置によれば、被処理体の近傍における洗浄液の液流れの方向は、超音波振動による直進流の進行方向と略直交しているので、超音波振動による直進流に加えて、該直進流と直交する液流れを発生させることができ、これにより液のよどみを解消でき、被処理体に付着した汚れを確実に且つ効率的に除去することができる。
【0024】
請求項6記載の超音波洗浄装置によれば、洗浄槽は二酸化珪素(SiO2)を主成分とする材料から成り、洗浄槽を収容する外槽は樹脂及びステンレス鋼のいずれかを主成分とする材料から成るので、洗浄槽の耐食性が向上すると共に、被処理体の汚染を防止することができ、また、外槽を安価に構成することができる。
【0025】
請求項7記載の超音波洗浄装置によれば、超音波発振部は、周波数が450Hz〜3.0MHzの超音波を発振するので、発信周波数を幅広く設定することができ、もって被処理体をより確実に洗浄することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0027】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る超音波洗浄装置の構成を概略的に示す断面図である。
【0028】
図1において、超音波洗浄装置1は、上部が開口された略直方体の箱状容器であって、その内部に洗浄液を貯留する洗浄槽10と、内部に水を貯留すると共に洗浄槽10を収容する外槽15と、洗浄槽10の内部に配設され、洗浄すべき被処理体としての半導体ウエハAを支持する支持部材20と、支持部材20を洗浄槽10内に固定する固定部材30と、洗浄槽10の下部に配設され、水又は洗浄液を洗浄槽10に供給する液供給部40と、洗浄槽10の下部において該洗浄槽の底面部と略平行に配され、洗浄槽10内に貯留された洗浄液に熱エネルギーを供給するヒーター50とを備える。また、超音波洗浄装置1は、外槽15の外部に配設され、洗浄槽10内部に超音波を発振する超音波発振装置(超音波発振部)60と、外槽15の下部において該外槽の底面部と略平行に配され、外槽15内に貯留された水の温度を一定に保持し、且つ洗浄槽10に付着した気泡を取り除くための散水管70を備える。
【0029】
洗浄槽10は、底面部11と、底面部11に対して略垂直に設けられた側面部12とを備える。側面部12は、図2に示すように、互いに対向する一対の側面部12a,12b、及び互いに対向する一対の側面部12c,12dとで構成される。この洗浄槽10は耐食性を有する材料から成り、例えば二酸化珪素(SiO2)を主成分とする材料、好ましくは石英で一体成形される。これにより、洗浄槽10の耐食性が向上すると共に、半導体ウエハAの汚染を防止することができる。洗浄液は、例えばAr、H2、N2、O2、CO2、Heなどを溶解させたガス溶解水であり、あるいはアンモニア、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)、コリンなどの有機アルカリ、キレート剤、界面活性剤、塩酸、硫酸などの酸、及び過酸化水素水(H2O2)などの洗浄液から成る。
【0030】
外槽15は、上部が開口された略直方体の箱状容器であって、底面部16と、底面部16に対して略垂直に設けられ、互いに対向して配される側面部15a,15bとを備える。この外槽15は、金属又は樹脂から成り、例えば塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、及びステンレス鋼のいずれかを主成分とする材料から成る。
【0031】
一対の側面部12a,12bにおいて、側面部12aの厚みは側面部12bの厚みと異なる。具体的には、側面部12a(第2面部)の厚みは、例えば4.0mmであり、側面部12b(第1面部)の厚みは、例えば3.0mmである。また、一対の側面部12c,12dは同じ厚みであり、例えば4.0mmである。尚、一対の側面部12c,12dは異なる厚みを有していてもよい。
【0032】
支持部材20は、洗浄槽10の底面部11に略平行に配された4本の延出部材で構成される。この4本の延出部材は、例えばテフロン(登録商標)から成る。支持部材20に半導体ウエハAを載置すると、各延出部材が半導体ウエハAの外周面と当接し、半導体ウエハAが底面部11に対して略垂直に保持される。尚、支持部材20は、複数枚の半導体ウエハAを同時に載置することが可能であるように構成されている。
【0033】
固定部材30は、支持部材20としての各延出部材を洗浄液中の所定位置に固定する。
【0034】
液供給部40は、洗浄槽10の底面部11と略平行に配設された一対の管状部材で構成されており、該管状部材の上部の円周面にはその軸方向に沿って複数の孔(不図示)が並んで設けられている。装置外部から管状部材の内部に所定圧力で供給された水又は所定の洗浄液が、複数の孔を介して洗浄槽10内に供給される。
【0035】
ヒーター50は、洗浄槽10の底面部11と略平行に配設され、不図示のヒーター制御部に接続された一対の管状ヒーターで構成される。ヒーター制御部は、一対の管状ヒーターが発熱する熱量を制御して、洗浄槽10内に貯留された洗浄液の温度を調節する。
【0036】
超音波発振装置60は、外槽15の側面部15aの内側に取り付けられた振動素子61と、振動素子61に接合され、外槽15内の水に超音波振動を伝達する振動板62とを有する。振動板62及び振動素子61は接着剤により互いに接着されている。超音波発振装置60は、所定の範囲の周波数で超音波を発振する。
【0037】
ここで、被処理体、特に半導体ウエハを洗浄するための超音波洗浄装置では、洗浄液中への金属イオンや不純物の溶出を防止するために、材質を石英とする洗浄槽が用いられる。石英製の洗浄槽の外部から所定周波数の超音波を発振すると、洗浄槽の側面部の厚みに応じて、超音波は側面部を透過し、又は側面部で反射(乱反射)される。
【0038】
一般に、媒質1→媒質2→媒質3の順で透過する超音波の透過率は、以下の数式(1)で表される。
透過率(T)=(ρ1c1/ ρ3c3)(4/X) ・・・(1)
但し、X=(1+ ρ1c1/ρ3c3)^2×cos2k1L+(ρ2c2/ρ3c3+ ρ1c1/ρ2c2)^ 2×sin2k2L
ρ:物質(媒質)の密度
c:物質(媒質)の音速
L:物質(媒質)の厚み
k=ω/c, ω=2πf
この数式(1)を用いて、透過率、媒質1の密度ρ1及び音速c1、媒質2の密度ρ2及び速度c2、媒質3の密度ρ3及び音速c3、並びに超音波の周波数から、媒質2の厚みLを決定することができる。
【0039】
本実施の形態では、水層→石英層→水層の順で超音波が透過するものとし、上記数式(1)を用いて、超音波の透過率が75%以上である側面部を透過面とし、且つ超音波の透過率が50%以下である側面部を反射面として利用する。具体的には、側面部12bは、上記数式(1)で求められる透過率が75%以上となるような厚みを有するように設計され、側面部12aは透過率が50%以下となるような厚みを有するように設計される。
【0040】
本実施の形態で用いられる超音波の振動数は、200kHz〜5MHz、好ましくは200kHz〜3MHz、より好ましくは450kHz〜3MHzである。
【0041】
図3〜図6は、超音波の所定周波数における石英製板材の厚みと透過率(理論値)との関係を示す図であり、図3(a)は3MHz、図3(b)は2MHz、図4(a)は1.5MHz、図4(b)は1MHz、図5(a)は975kHz、図5(b)は750kHz、図6は450kHzである場合を夫々示す。
【0042】
図3〜図6において、超音波の透過率が75%以上となるのは、超音波の周波数が3MHzである場合は、石英製板材の厚みが1,2,3,4,5mmであるときであり(図3(a))、超音波の周波数が2MHzである場合は、石英製板材の厚みが1.5,3.0,4.5mmであるときである(図3(b))。同様にして、1.5MHzの場合は2.0,3.9〜4.0mm(図4(a))、1MHzの場合は0.1,2.9〜3.1mm(図4(b))、975kHzの場合は0.1,3.0〜3.1mm(図5(a))、750kHzの場合は0.1,3.9〜4.1mm(図5(b))、450kHzの場合は0.1〜0.2,6.3〜6.9mmであるときに(図6)、超音波の透過率が75%以上となる。
【0043】
一方、超音波の透過率が50%以下となるのは、超音波の周波数が3MHzである場合は0.1〜0.9,1.1〜1.9,2.1〜2.9,3.1〜3.9,4.1〜4.9,5.1〜5.1mm(図3(a))、2MHzである場合は0.1〜1.4,1.6〜2.9,3.1〜4.4,4.6〜5.5mm(図3(b))、1.5MHzである場合は0.2〜1.8,2.2〜3.8,4.2〜5.5mm(図4(a))、1MHzである場合は0.3〜2.7,3.3〜5.5mm(図4(b))、975kHzである場合は0.3〜2.8,3.3〜5.5mm(図5(a))、750kHzである場合は0.3〜3.6,4.3〜5.5mm(図5(b))、450kHzである場合は0.5〜6.1mm,7.2〜7.6mm(図6)である。
【0044】
したがって、互いに対向する一対の側面部の厚みを、洗浄に用いられる超音波の周波数に応じて設定することにより、超音波が発振側の側面部を透過し、且つ該側面部に対向する側面部で反射される。
【0045】
ここで、実際の石英製板材の厚みに対する透過率の値(実験値)は、上記数式(1)で求められる透過率の値(理論値)から若干のずれが生じる。以下、一例として、超音波の周波数を1MHzに設定し、各厚みを有する石英製板材に超音波を照射したときの透過率を測定した結果を示す。
【0046】
図7は、超音波の周波数を1MHzに設定した場合における石英製板材の厚みと透過率(理論値及び実験値)との関係を示す図である。
【0047】
図7において、透過率の実験値は75%以上となるのは、石英製板材の厚みが2.7〜3.3mmであるときであり、特に、透過率の実験値は約90%となるのは石英製板材の厚みが3.0mmであるときである。また、同周波数において、透過率の実験値が50%以下となるのは、石英製板材の厚みが2.45mm以下又は3.45mm以上である。
【0048】
一方、上述したように、透過率の理論値が75%以上となるのは、石英製板材の厚みが2.9〜3.1mmであるときであり、透過率の理論値が50%以下となるのは、石英製板材の厚みが2.7mm以下又は3.3mm以上である。
【0049】
本実施の形態では、洗浄槽10の側面部12bの厚みを3.0mm、側面部12aの厚みを4.0mmとする。すなわち、洗浄槽10は、超音波発振装置60からの超音波を透過する側面部12bと、側面部12bに対向して配され、超音波発振装置60からの超音波を反射する側面部12aとを有している。そして、超音波発振装置60は、側面部12bから側面部12aに向かって超音波を発振する。これにより、超音波発振装置60から発振された超音波は、外槽15に貯留された水を介して側面部12bに到達し、側面部12bを透過して側面部12aまで伝播し、さらに、側面部12aで反射され、側面部12aから側面部12bまで伝播する。
【0050】
上記のように構成される超音波洗浄装置では、半導体ウエハの洗浄を以下のように実行する。
【0051】
先ず、液供給部40により洗浄槽10に水及び所定の洗浄液を供給し、半導体ウエハAが完全に浸水するレベルまで洗浄液を貯留する。尚、外槽15には洗浄槽10の洗浄液量とは関係なく散水管70から常時水を供給し、貯留する。その後、ヒーター50に電力を供給し、洗浄液を所定の温度、例えば60度まで昇温する。
【0052】
次に、半導体ウエハAを支持部材20に載置して、半導体ウエハAを洗浄槽10内に固定する。発振部63で所定周波数の超音波を発振し、振動素子61を介して振動板62を振動させる。振動板62を介して伝播された超音波は、外槽15内の水を介して側面部12bまで伝播し、さらに洗浄槽10の側面部12bを透過して、洗浄液内を横方向に進行する。このとき、半導体ウエハAはその主面が側面部12bと略直交するように配置されているため、超音波は半導体ウエハAの主面に平行に進行していく。これにより、半導体ウエハAに付着したパーティクル等の汚れが、超音波振動のエネルギーによる物理的な洗浄力と、洗浄液による化学的な洗浄力の作用とで除去される。物理的な洗浄力は、例えば槽内で発生する洗浄液の励起(キャビテーション)、超音波の直進流、加速度によるものである。
【0053】
側面部12aに到達した超音波は、側面部12aにより反射され、洗浄液内を側面部12bに向かって略横方向に進行する。このとき、側面部12aの内表面又はその近傍で乱反射が起きる。これにより、反射前の超音波によって除去しきれなかったパーティクルが半導体ウエハAに付着している場合であっても、反射後の超音波によってキャビテーションが発生し、該パーティクルが除去される。
【0054】
ここで、超音波を反射させない従来の構成において、超音波が洗浄槽の下部から上部に向かって縦方向(一方向)に進行すると、支持部材が障害物となり、支持部材の上方(支持部材の後方)には超音波が進行しないため、超音波の進行方向に沿って帯状の洗浄ムラ(パーティクル残留部分)が残る(図8(a))。これに対し、本実施の形態では、側面部12aで超音波を反射させ、超音波を側面部12bから側面部12aに向かって進行させることにより、支持部材20の後方の部分にも超音波が進行する(図8(b))。これにより、半導体ウエハA上の洗浄ムラをなくすことができ、半導体ウエハAに付着したパーティクルを確実に除去することができる。
【0055】
また、本実施の形態では、液供給部40を構成する一対の管状部材から水又は洗浄液が供給され、特に半導体ウエハAの主面近傍では、洗浄槽10の下部から上部に向かって液流れ(強制対流)が生じる。したがって、半導体ウエハAの主面近傍では、振動素子61からの超音波振動による直進流が横方向に進行し、加えて、液供給部40から供給される水又は洗浄液の液流れが超音波振動による直進流と略直交して進行する。これにより、支持部材20の配置に起因して半導体ウエハに超音波を照射できない領域(影の部分)が生じた場合であっても、該領域に縦方向の液流れを発生させることができるため、半導体ウエハAからパーティクル等の汚れを確実に且つ効率的に除去することができる。
【0056】
以上説明したように、本実施の形態によれば、外槽15に貯留された水中を伝播して側面部12bに到達した超音波が、側面部12bを透過して側面部12aにまで到達し、さらに、側面部12aで乱反射される。すなわち、半導体ウエハAを支持する支持部材20が洗浄槽10内に配設される場合であっても、側面部12bから側面部12aに向かって進行する超音波と側面部12aで乱反射された超音波とによって、洗浄ムラを生じることなく、半導体ウエハAに付着したパーティクルなどの汚染物質を除去することができる。また、振動板62が側面部12bの外部に配設されるので、振動板62に付着している汚染物質が半導体ウエハAに付着することがない。したがって、簡単な装置構成で半導体ウエハAを容易に且つ確実に洗浄することができる。
【0057】
尚、本実施の形態では、超音波の周波数が1.0MHzである場合に側面部12aの厚みを4.0mmとしているが、4.0mm以上であってもよい。これにより、超音波の反射率を高くすることができ、且つ側面部の強度を向上させることができる。また、側面部12aの厚みは2.45mm以下であってもよい。これにより、超音波の反射率を高くすることができ、且つ洗浄槽を軽量に、また安価にすることができる。
【0058】
また、本実施の形態では、超音波の周波数が1MHzである場合に側面部12bの厚みを3.0mmとしているが、これに限るものではなく、2.7〜3.3mmであってもよい。これにより、側面部12bの設計の自由度を高くすることができる。
【0059】
図9は、本発明の第2実施の形態に係る超音波洗浄装置の構成を概略的に示す断面図である。尚、図9の超音波洗浄装置は、その構成が図1の超音波洗浄装置と基本的に同じであるので、重複する要素には同一の番号を付し、以下に異なる部分を説明する。
【0060】
図9において、超音波洗浄装置100は、洗浄槽10の外部に配設され、洗浄槽10内部に超音波を発振する超音波発振装置(超音波発振部)60を備える。本実施の形態では外槽を使用せず、超音波発振装置60から発振される超音波を直接洗浄槽10に伝播させる。
【0061】
本実施の形態では、洗浄槽10の側面部12bの外表面に振動素子161及び振動板162を固定し、振動板162から超音波を発振する。これにより、超音波は側面部12bを透過すると共に側面部12bから側面部12aまで伝播する。尚、振動素子161を直接側面部12に貼り付けることができるので、振動板162を設けなくてもよい。また、この超音波は側面部12aの表面又はその近傍で乱反射され、該乱反射された超音波が側面部12bまで伝播する。これにより、半導体ウエハAに付着したパーティクル等の汚れが、超音波振動のエネルギーによる物理的な洗浄力と、洗浄液による化学的な洗浄力の作用とで除去される。
【0062】
本実施の形態によれば、振動板162から発振された超音波が側面部12bを透過して側面部12aに到達し、さらに側面部12aで乱反射される。また、振動素子161及び振動板162が洗浄槽10の側面部12bの外表面に取り付けられるので、振動素子161や振動板162に付着した汚染物質が半導体ウエハAに付着することがない。これにより、簡単な装置構成で半導体ウエハAを容易に且つ確実に洗浄することができる。
【0063】
図10は、本発明の第3実施の形態に係る超音波洗浄装置の構成を概略的に示す断面図である。尚、図10の超音波洗浄装置は、その構成が図1の超音波洗浄装置と基本的に同じであるので、重複する要素には同一の番号を付し、以下に異なる部分を説明する。
【0064】
図10において、超音波洗浄装置200は、上部が開口した箱状に形成され、その内部に洗浄液が貯留される洗浄槽210と、外槽15の外部に配設され、洗浄槽210内部に超音波を発振する超音波発振装置260とを備える。
【0065】
洗浄槽210は、底面部211と、底面部211に対して略垂直に設けられた側面部212と、洗浄槽210の上部に回動可能に配設され、該洗浄槽の開口を覆うように設けられた蓋部214とを備える。底面部211の厚みは、発振周波数が1MHzの場合、例えば3.0mmであり、側面部212の厚みは、例えば4.0mmである。また、蓋部214の厚みは、例えば4.0mmである。
【0066】
超音波発振装置260は、外槽15の底面部16の内側に取り付けられた振動素子261と、振動素子261に接合され、外槽15内の水に超音波振動を伝達する振動板262とを有する。
【0067】
本実施の形態では、外槽15の底面部211の内側に振動素子261及び振動板262を固定し、振動板262から超音波を発振する。これにより、超音波は外槽15内の水を介して底面部211まで伝播し、さらに洗浄槽10の底面部211を透過して、洗浄槽内を縦方向に進行し、蓋部214まで伝播する。その後、この超音波は蓋部214の表面又はその近傍で乱反射され、該乱反射された超音波が底面部211まで伝播する。これにより、半導体ウエハAに付着したパーティクル等の汚れが、超音波振動のエネルギーによる物理的な洗浄力と、洗浄液による化学的な洗浄力の作用とで除去される。
【0068】
本実施の形態によれば、外槽15に貯留された水中を伝播して底面部211に到達した超音波が、底面部211を透過して蓋部214に到達し、さらに、蓋部214で乱反射される。また、振動素子261及び振動板262が外槽15の底面部16に取り付けられるので、振動素子261や振動板262に付着した汚染物質が半導体ウエハAに付着することがない。これにより、簡単な装置構成で半導体ウエハAを容易に且つ確実に洗浄することができる。
【0069】
上記実施の形態では、側面部12a又は蓋部214は超音波を反射する厚み(4.0mm)を有しているが、これに限るものではない。反射側の側面部又は蓋部を所定の厚みとし、該側面部又は蓋部の内側面に反射板が取り付けられてもよい。この場合、反射板は、その表面又はその近傍で超音波が乱反射するような表面粗さを有するのが好ましい。これにより、超音波を確実に乱反射させることができる。
【0070】
上記実施の形態では、側面部12b又は底面部211は二酸化珪素(SiO2)を主成分とする材料から成るが、これに限るものではなく、所定の厚みで超音波を透過する特性を有していれば如何なる材料から成るものであってもよい。また、この場合、洗浄槽は1つの材料で一体成形されてもよいし、超音波を透過する側面部又は底面部のみが他の材料で形成されてもよい。
【0071】
上記実施の形態では、液供給部40を構成する一対の管状部材から水又は洗浄液が供給され、半導体ウエハAの主面近傍では、洗浄槽10の下部から上部に向かって液流れ(強制対流)が生じるが、これに限るものではなく、超音波洗浄装置にポンプ等の循環装置(不図示)を接続し、該循環装置により洗浄液を対流させてもよい。この場合、半導体ウエハAの主面近傍において、強制対流する液流れの方向が超音波の進行方向と略直交するように構成される。これにより、半導体ウエハAに付着したパーティクルを確実に剥離・除去することができる。
【0072】
上記実施の形態では、超音波洗浄装置は1つの振動板を備えているが、これに限るものではなく、複数の振動板を備えていてもよい。その場合、複数の振動板が同一周波数の超音波を発振できるように構成されてもよいし、個別の超音波を発振できるように構成されてもよい。
【0073】
また、上記実施の形態では、超音波洗浄装置は半導体ウエハを洗浄するが、これに限るものではなく、パーティクルや他の汚染物質が付着する被処理体を洗浄するものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る超音波洗浄装置の構成を概略的に示す断面図である。
【図2】図1における洗浄槽の構成を示す斜視図である。
【図3】超音波の所定周波数における石英製板材の厚みと透過率(理論値)との関係を示す図であり、図3(a)は3MHz、図3(b)は2MHzである場合を示す。
【図4】超音波の所定周波数における石英製板材の厚みと透過率(理論値)との関係を示す図であり、図4(a)は1.5MHz、図4(b)は1MHzである場合を示す。
【図5】超音波の所定周波数における石英製板材の厚みと透過率(理論値)との関係を示す図であり、図5(a)は975kHz、図5(b)は750kHzである場合を示す。
【図6】超音波の所定周波数における石英製板材の厚みと透過率(理論値)との関係を示す図であり、所定周波数が450kHである場合を示す。
【図7】超音波の周波数を1MHzに設定した場合における石英製板材の厚みと透過率(理論値及び実験値)との関係を示す図である。
【図8】半導体ウエハが超音波によって洗浄される様子を説明する模式図であり、(a)は超音波を反射させない場合を示し、(b)は超音波を反射させた場合を示す。
【図9】本発明の第2実施の形態に係る超音波洗浄装置の構成を概略的に示す断面図である。
【図10】本発明の第3実施の形態に係る超音波洗浄装置の構成を概略的に示す断面図である。
【図11】従来の超音波洗浄装置の構成を概略的に示す断面図である。
【図12】従来の他の超音波洗浄装置の構成を概略的に示す断面図である。
【符号の説明】
【0075】
1 超音波洗浄装置
10 洗浄槽
15 外槽
20 支持部材
30 固定部材
40 液供給部
50 ヒーター
60 超音波発振装置
11 底面部
12 側面部
12a,12b 一対の側面部
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波洗浄装置及び超音波洗浄方法に関し、特に半導体ウエハ等の被処理体を超音波を利用して洗浄する超音波洗浄装置及び超音波洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体製造装置の製造工程において、薬剤やリンス液等の洗浄液が貯留された洗浄槽に半導体ウエハを浸漬し、超音波を発生させて半導体ウエハの洗浄を行う洗浄装置が広く用いられている。
【0003】
図11は、従来の超音波洗浄装置の構成を概略的に示す断面図である。
【0004】
図11において、従来の超音波洗浄装置は、複数の被処理体を浸漬する洗浄液例えば薬液Lが貯留される洗浄槽301と、複数の半導体ウエハWを垂直状に保持して洗浄槽301内に配置する保持手段であるウエハボート310と、洗浄槽301の下方に中間槽309を介して設けられ、洗浄槽301内の薬液(洗浄液)に超音波を照射する超音波発振手段330とで主に構成されている。この超音波洗浄装置では、超音波発振手段330の振動子331が振動すると、超音波振動が発生し、この超音波振動が中間槽309内に貯留された純水に伝搬され、洗浄槽301の底部302を透過して洗浄槽301内に貯留された薬液まで伝わり、この超音波の照射によってウエハWが超音波洗浄される。
【0005】
図12は、従来の他の超音波洗浄装置の構成を概略的に示す断面図である。
【0006】
図12において、従来の超音波洗浄装置は、箱状で上面を開口して凹状に形成して内部に洗浄液を貯留する超音波洗浄槽420と、超音波洗浄槽420の内側の両側面に夫々平行に対向する一対の振動子422と、超音波洗浄槽420内に延在して一対の振動子422間を遮断するとともに、内部に密閉した中空部を備え且つ両側面が薄板状の隔壁により形成される反射板424とを備えている。この超音波洗浄装置は、超音波洗浄槽420の両側面に設けた一対の振動子422から槽内に照射する超音波が干渉して減衰しないように、振動子422の間を反射板424により遮断し、且つ反射板424の両外側液中に定在波を発生させて被処理体を均一に洗浄可能に構成されている。また、この超音波洗浄装置では、支柱428に各々接続された振動子22及び反射板424の一方又は両方が超音波洗浄槽420内で摺動可能に設けられており、振動子422の周波数(波長λ)を変えた際に反射板424から振動子422までの距離を、λ/4+1/2×nの距離Lに調節可能となっている。
【0007】
この超音波洗浄装置では、超音波洗浄槽420の両側に対向する一対の振動子422の間を反射板424により遮断するため、被処理体が薄板状又はシート状であっても、両側から照射する超音波を反射板424が反射して干渉を防止できるとともに、この反射板424によって各々外側に反射した反射波と照射した照射波との位相を合わせて共振させて定在波(定常波)を発生させる調節が容易になり、これによる洗浄液の励起も生じることで薄板状またはシート状の被処理体でも均一に洗浄することが可能となっている。また、振動子422及び反射板424が摺動可能に設けられるので、反射板424の両側で振動子422の周波数を各々異なるように設定した場合でも、反射板424から振動子422までの距離を距離Lになるように調節することが可能となっている。
【特許文献1】特開平2004−221343号公報
【特許文献2】特開平2006−7104号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1の技術では、ウエハボートに保持された半導体ウエハ(被処理体)に対して洗浄槽の下方から超音波を照射するため、ウエハボートの配置に起因して半導体ウエハWに超音波を照射できない領域(影の部分)が生じる。これにより、半導体ウエハにパーティクルが残留してしまい、半導体ウエハを確実に洗浄できないという問題がある。
【0009】
また、特許文献2の技術では、振動子及び反射板を洗浄槽内に設けるため、洗浄槽の寸法や洗浄槽内に浸漬される被処理体の配置によっては該振動子及び反射板の移動距離が制限される結果、定在波を発生させることが困難となり、被処理体の洗浄作業を容易に実行することができないという問題がある。また、振動子や反射板に付着した汚染物質が洗浄液を介して被処理体に付着する可能性があり、被処理体を確実に洗浄できないという問題もある。加えて、振動子や反射板を移動させるための装置が必要となり、装置構成が複雑になるという問題もある。
【0010】
本発明の目的は、簡単な装置構成で被処理体を容易に且つ確実に洗浄することができる超音波洗浄装置及び超音波洗浄方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、請求項1記載の超音波洗浄装置は、洗浄液を貯留する洗浄槽と、液体を貯留すると共に前記洗浄槽を収容する外槽と、前記洗浄槽の内部に配設され、洗浄すべき被処理体を支持する支持部材と、前記外槽の外部に配設され、前記外槽の内部に所定周波数の超音波を発振する超音波発振部とを備え、前記洗浄槽は、前記超音波発振部からの超音波を透過する厚みを有する第1面部と、前記第1面部に対向して配され、前記超音波発振部からの超音波を反射する厚みを有する第2面部とを有し、前記超音波発振部は、前記外槽に貯留された水を介して前記洗浄槽に超音波を発振し、且つ前記洗浄槽の前記第1面部から前記第2面部に向かって超音波を伝播させることを特徴とする。
【0012】
請求項2記載の超音波洗浄装置は、請求項1記載の超音波洗浄装置において、前記洗浄槽は、上部が開口された箱状容器であって、前記第1面部は側面部であり、前記第2面部は前記側面部と対向する他の側面部であることを特徴とする。
【0013】
請求項3記載の超音波洗浄装置は、請求項1記載の超音波洗浄装置において、前記洗浄槽は、上部が開口された箱状容器であって、底面部と、前記洗浄槽の上部に配設された蓋部とを有し、前記第1面部は底面部であり、第2面部は前記蓋部であることを特徴とする。
【0014】
請求項4記載の超音波洗浄装置は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の超音波洗浄装置において、前記第1面部の厚みは、前記外槽内に貯留される液体を媒質1、前記洗浄槽の材質を媒質2、前記洗浄液を媒質3としたとき、
透過率(T)=(ρ1c1/ρ3c3)(4/X)
但し、X=(1+ ρ1c1/ρ3c3)^2×cos2k1L+(ρ2c2/ρ3c3+ ρ1c1/ρ2c2)^2×sin2k2L
ρ1,ρ2,ρ3:物質(媒質)の密度
c1,c2,c3:物質(媒質)の音速
L:物質(媒質)の厚み
k=ω/c, ω=2πf
の数式で求められる透過率の75%以上を有する厚みであり、前記第2面部の厚みは、上記式で求められる透過率50%以下を有する厚みであることを特徴とする。
【0015】
請求項5記載の超音波洗浄装置は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の超音波洗浄装置において、前記洗浄槽内に配設され、前記洗浄液を循環させる循環装置を更に備え、前記被処理体の近傍における前記洗浄液の液流れの方向は、前記超音波の進行方向と略直交していることを特徴とする。
【0016】
請求項6記載の超音波洗浄装置は、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の超音波洗浄装置において、前記洗浄薬液槽は、二酸化珪素(SiO2)を主成分とする材料から成り、前記外槽は、樹脂及びステンレス鋼のいずれかを主成分とする材料から成ることを特徴とする。このとき、外槽に使用されるステンレス鋼の規格は問わない。
【0017】
請求項7記載の超音波洗浄装置は、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の超音波洗浄装置において、前記超音波発振部は、周波数が450kHz〜3.0MHzの超音波を発振することを特徴とする。
【0018】
請求項8記載の超音波洗浄方法は、洗浄槽内の被処理体を超音波で洗浄する超音波洗浄方法であって、前記洗浄槽を収容する外槽の外部から所定周波数の超音波を発振する発振行程と、前記外槽に貯留された液体を介して、前記超音波に前記洗浄槽の第1面部を透過させる透過行程と、前記第1面部に対向して配された前記洗浄増の第2面部で超音波を反射する反射行程とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
請求項1記載の超音波洗浄装置及び請求項8の超音波洗浄方法によれば、外槽に貯留された液体を介して洗浄槽に到達した超音波が、洗浄槽の第1面部を透過し、さらに、第1面部に対向して配された第2面部で超音波が反射される。すなわち、被処理体を支持する支持部材が洗浄槽内に配設される場合であっても、外槽に貯留された液体を介して第1面部から第2面部に向かって進行する超音波と、第2面部で反射された超音波とによって、洗浄ムラを生じることなく、被処理体に付着したパーティクルを除去することができる。また、超音波発振装置が洗浄槽の外部に配設されるので、超音波発振装置に付着した汚染物質が被処理体に付着することがない。さらに、特許文献1のように洗浄槽の下部に超音波発振部の振動板を設置した場合には、洗浄槽の底板に気泡が溜まり、超音波の照射が不均一になるのに対し、横に振動板を設置することで気泡の溜りがなくなるため、超音波を均一に照射できる。したがって、簡単な装置構成で被処理体を容易に且つ確実に洗浄することができる。
【0020】
請求項2記載の超音波洗浄装置によれば、洗浄槽は、超音波を透過する側面部と、該側面部と対向する他の側面部とを有するので、側面部を透過した横方向の超音波と、他の側面部で反射された超音波とによって、被処理体に付着したパーティクルが除去される。これにより、被処理体を容易に且つ確実に洗浄することができる。
【0021】
請求項3記載の超音波洗浄装置によれば、洗浄槽は、超音波を透過する底面部と、洗浄槽の上部に配設された蓋部とを有するので、底面部を透過した縦方向の超音波と、蓋部で反射された超音波とによって、被処理体に付着したパーティクルが除去される。これにより、被処理体を容易に且つ確実に洗浄することができる。
【0022】
請求項4記載の超音波洗浄装置によれば、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の超音波洗浄装置において、第1面部の厚みは、透過率(T)=(ρ1c1/ρ3c3)(4/X)(但し、X=(1+ ρ1c1/ρ3c3)^2×cos2k1L+(ρ2c2/ρ3c3+ ρ1c1/ρ2c2)^2×sin2k2L、ρ1,ρ2,ρ3:物質(媒質)の密度、c1,c2,c3:物質(媒質)の音速、L:物質(媒質)の厚み、k=ω/c, ω=2πf)で求められる透過率の75%以上を有する厚みであり、第2面部の厚みは、上記式で求められる透過率50%以下を有する厚みであるので、各媒質の密度及び音速、並びに超音波の周波数から第1面部及び第2面部の厚みを決定することができる。
【0023】
請求項5記載の超音波洗浄装置によれば、被処理体の近傍における洗浄液の液流れの方向は、超音波振動による直進流の進行方向と略直交しているので、超音波振動による直進流に加えて、該直進流と直交する液流れを発生させることができ、これにより液のよどみを解消でき、被処理体に付着した汚れを確実に且つ効率的に除去することができる。
【0024】
請求項6記載の超音波洗浄装置によれば、洗浄槽は二酸化珪素(SiO2)を主成分とする材料から成り、洗浄槽を収容する外槽は樹脂及びステンレス鋼のいずれかを主成分とする材料から成るので、洗浄槽の耐食性が向上すると共に、被処理体の汚染を防止することができ、また、外槽を安価に構成することができる。
【0025】
請求項7記載の超音波洗浄装置によれば、超音波発振部は、周波数が450Hz〜3.0MHzの超音波を発振するので、発信周波数を幅広く設定することができ、もって被処理体をより確実に洗浄することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0027】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る超音波洗浄装置の構成を概略的に示す断面図である。
【0028】
図1において、超音波洗浄装置1は、上部が開口された略直方体の箱状容器であって、その内部に洗浄液を貯留する洗浄槽10と、内部に水を貯留すると共に洗浄槽10を収容する外槽15と、洗浄槽10の内部に配設され、洗浄すべき被処理体としての半導体ウエハAを支持する支持部材20と、支持部材20を洗浄槽10内に固定する固定部材30と、洗浄槽10の下部に配設され、水又は洗浄液を洗浄槽10に供給する液供給部40と、洗浄槽10の下部において該洗浄槽の底面部と略平行に配され、洗浄槽10内に貯留された洗浄液に熱エネルギーを供給するヒーター50とを備える。また、超音波洗浄装置1は、外槽15の外部に配設され、洗浄槽10内部に超音波を発振する超音波発振装置(超音波発振部)60と、外槽15の下部において該外槽の底面部と略平行に配され、外槽15内に貯留された水の温度を一定に保持し、且つ洗浄槽10に付着した気泡を取り除くための散水管70を備える。
【0029】
洗浄槽10は、底面部11と、底面部11に対して略垂直に設けられた側面部12とを備える。側面部12は、図2に示すように、互いに対向する一対の側面部12a,12b、及び互いに対向する一対の側面部12c,12dとで構成される。この洗浄槽10は耐食性を有する材料から成り、例えば二酸化珪素(SiO2)を主成分とする材料、好ましくは石英で一体成形される。これにより、洗浄槽10の耐食性が向上すると共に、半導体ウエハAの汚染を防止することができる。洗浄液は、例えばAr、H2、N2、O2、CO2、Heなどを溶解させたガス溶解水であり、あるいはアンモニア、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)、コリンなどの有機アルカリ、キレート剤、界面活性剤、塩酸、硫酸などの酸、及び過酸化水素水(H2O2)などの洗浄液から成る。
【0030】
外槽15は、上部が開口された略直方体の箱状容器であって、底面部16と、底面部16に対して略垂直に設けられ、互いに対向して配される側面部15a,15bとを備える。この外槽15は、金属又は樹脂から成り、例えば塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、及びステンレス鋼のいずれかを主成分とする材料から成る。
【0031】
一対の側面部12a,12bにおいて、側面部12aの厚みは側面部12bの厚みと異なる。具体的には、側面部12a(第2面部)の厚みは、例えば4.0mmであり、側面部12b(第1面部)の厚みは、例えば3.0mmである。また、一対の側面部12c,12dは同じ厚みであり、例えば4.0mmである。尚、一対の側面部12c,12dは異なる厚みを有していてもよい。
【0032】
支持部材20は、洗浄槽10の底面部11に略平行に配された4本の延出部材で構成される。この4本の延出部材は、例えばテフロン(登録商標)から成る。支持部材20に半導体ウエハAを載置すると、各延出部材が半導体ウエハAの外周面と当接し、半導体ウエハAが底面部11に対して略垂直に保持される。尚、支持部材20は、複数枚の半導体ウエハAを同時に載置することが可能であるように構成されている。
【0033】
固定部材30は、支持部材20としての各延出部材を洗浄液中の所定位置に固定する。
【0034】
液供給部40は、洗浄槽10の底面部11と略平行に配設された一対の管状部材で構成されており、該管状部材の上部の円周面にはその軸方向に沿って複数の孔(不図示)が並んで設けられている。装置外部から管状部材の内部に所定圧力で供給された水又は所定の洗浄液が、複数の孔を介して洗浄槽10内に供給される。
【0035】
ヒーター50は、洗浄槽10の底面部11と略平行に配設され、不図示のヒーター制御部に接続された一対の管状ヒーターで構成される。ヒーター制御部は、一対の管状ヒーターが発熱する熱量を制御して、洗浄槽10内に貯留された洗浄液の温度を調節する。
【0036】
超音波発振装置60は、外槽15の側面部15aの内側に取り付けられた振動素子61と、振動素子61に接合され、外槽15内の水に超音波振動を伝達する振動板62とを有する。振動板62及び振動素子61は接着剤により互いに接着されている。超音波発振装置60は、所定の範囲の周波数で超音波を発振する。
【0037】
ここで、被処理体、特に半導体ウエハを洗浄するための超音波洗浄装置では、洗浄液中への金属イオンや不純物の溶出を防止するために、材質を石英とする洗浄槽が用いられる。石英製の洗浄槽の外部から所定周波数の超音波を発振すると、洗浄槽の側面部の厚みに応じて、超音波は側面部を透過し、又は側面部で反射(乱反射)される。
【0038】
一般に、媒質1→媒質2→媒質3の順で透過する超音波の透過率は、以下の数式(1)で表される。
透過率(T)=(ρ1c1/ ρ3c3)(4/X) ・・・(1)
但し、X=(1+ ρ1c1/ρ3c3)^2×cos2k1L+(ρ2c2/ρ3c3+ ρ1c1/ρ2c2)^ 2×sin2k2L
ρ:物質(媒質)の密度
c:物質(媒質)の音速
L:物質(媒質)の厚み
k=ω/c, ω=2πf
この数式(1)を用いて、透過率、媒質1の密度ρ1及び音速c1、媒質2の密度ρ2及び速度c2、媒質3の密度ρ3及び音速c3、並びに超音波の周波数から、媒質2の厚みLを決定することができる。
【0039】
本実施の形態では、水層→石英層→水層の順で超音波が透過するものとし、上記数式(1)を用いて、超音波の透過率が75%以上である側面部を透過面とし、且つ超音波の透過率が50%以下である側面部を反射面として利用する。具体的には、側面部12bは、上記数式(1)で求められる透過率が75%以上となるような厚みを有するように設計され、側面部12aは透過率が50%以下となるような厚みを有するように設計される。
【0040】
本実施の形態で用いられる超音波の振動数は、200kHz〜5MHz、好ましくは200kHz〜3MHz、より好ましくは450kHz〜3MHzである。
【0041】
図3〜図6は、超音波の所定周波数における石英製板材の厚みと透過率(理論値)との関係を示す図であり、図3(a)は3MHz、図3(b)は2MHz、図4(a)は1.5MHz、図4(b)は1MHz、図5(a)は975kHz、図5(b)は750kHz、図6は450kHzである場合を夫々示す。
【0042】
図3〜図6において、超音波の透過率が75%以上となるのは、超音波の周波数が3MHzである場合は、石英製板材の厚みが1,2,3,4,5mmであるときであり(図3(a))、超音波の周波数が2MHzである場合は、石英製板材の厚みが1.5,3.0,4.5mmであるときである(図3(b))。同様にして、1.5MHzの場合は2.0,3.9〜4.0mm(図4(a))、1MHzの場合は0.1,2.9〜3.1mm(図4(b))、975kHzの場合は0.1,3.0〜3.1mm(図5(a))、750kHzの場合は0.1,3.9〜4.1mm(図5(b))、450kHzの場合は0.1〜0.2,6.3〜6.9mmであるときに(図6)、超音波の透過率が75%以上となる。
【0043】
一方、超音波の透過率が50%以下となるのは、超音波の周波数が3MHzである場合は0.1〜0.9,1.1〜1.9,2.1〜2.9,3.1〜3.9,4.1〜4.9,5.1〜5.1mm(図3(a))、2MHzである場合は0.1〜1.4,1.6〜2.9,3.1〜4.4,4.6〜5.5mm(図3(b))、1.5MHzである場合は0.2〜1.8,2.2〜3.8,4.2〜5.5mm(図4(a))、1MHzである場合は0.3〜2.7,3.3〜5.5mm(図4(b))、975kHzである場合は0.3〜2.8,3.3〜5.5mm(図5(a))、750kHzである場合は0.3〜3.6,4.3〜5.5mm(図5(b))、450kHzである場合は0.5〜6.1mm,7.2〜7.6mm(図6)である。
【0044】
したがって、互いに対向する一対の側面部の厚みを、洗浄に用いられる超音波の周波数に応じて設定することにより、超音波が発振側の側面部を透過し、且つ該側面部に対向する側面部で反射される。
【0045】
ここで、実際の石英製板材の厚みに対する透過率の値(実験値)は、上記数式(1)で求められる透過率の値(理論値)から若干のずれが生じる。以下、一例として、超音波の周波数を1MHzに設定し、各厚みを有する石英製板材に超音波を照射したときの透過率を測定した結果を示す。
【0046】
図7は、超音波の周波数を1MHzに設定した場合における石英製板材の厚みと透過率(理論値及び実験値)との関係を示す図である。
【0047】
図7において、透過率の実験値は75%以上となるのは、石英製板材の厚みが2.7〜3.3mmであるときであり、特に、透過率の実験値は約90%となるのは石英製板材の厚みが3.0mmであるときである。また、同周波数において、透過率の実験値が50%以下となるのは、石英製板材の厚みが2.45mm以下又は3.45mm以上である。
【0048】
一方、上述したように、透過率の理論値が75%以上となるのは、石英製板材の厚みが2.9〜3.1mmであるときであり、透過率の理論値が50%以下となるのは、石英製板材の厚みが2.7mm以下又は3.3mm以上である。
【0049】
本実施の形態では、洗浄槽10の側面部12bの厚みを3.0mm、側面部12aの厚みを4.0mmとする。すなわち、洗浄槽10は、超音波発振装置60からの超音波を透過する側面部12bと、側面部12bに対向して配され、超音波発振装置60からの超音波を反射する側面部12aとを有している。そして、超音波発振装置60は、側面部12bから側面部12aに向かって超音波を発振する。これにより、超音波発振装置60から発振された超音波は、外槽15に貯留された水を介して側面部12bに到達し、側面部12bを透過して側面部12aまで伝播し、さらに、側面部12aで反射され、側面部12aから側面部12bまで伝播する。
【0050】
上記のように構成される超音波洗浄装置では、半導体ウエハの洗浄を以下のように実行する。
【0051】
先ず、液供給部40により洗浄槽10に水及び所定の洗浄液を供給し、半導体ウエハAが完全に浸水するレベルまで洗浄液を貯留する。尚、外槽15には洗浄槽10の洗浄液量とは関係なく散水管70から常時水を供給し、貯留する。その後、ヒーター50に電力を供給し、洗浄液を所定の温度、例えば60度まで昇温する。
【0052】
次に、半導体ウエハAを支持部材20に載置して、半導体ウエハAを洗浄槽10内に固定する。発振部63で所定周波数の超音波を発振し、振動素子61を介して振動板62を振動させる。振動板62を介して伝播された超音波は、外槽15内の水を介して側面部12bまで伝播し、さらに洗浄槽10の側面部12bを透過して、洗浄液内を横方向に進行する。このとき、半導体ウエハAはその主面が側面部12bと略直交するように配置されているため、超音波は半導体ウエハAの主面に平行に進行していく。これにより、半導体ウエハAに付着したパーティクル等の汚れが、超音波振動のエネルギーによる物理的な洗浄力と、洗浄液による化学的な洗浄力の作用とで除去される。物理的な洗浄力は、例えば槽内で発生する洗浄液の励起(キャビテーション)、超音波の直進流、加速度によるものである。
【0053】
側面部12aに到達した超音波は、側面部12aにより反射され、洗浄液内を側面部12bに向かって略横方向に進行する。このとき、側面部12aの内表面又はその近傍で乱反射が起きる。これにより、反射前の超音波によって除去しきれなかったパーティクルが半導体ウエハAに付着している場合であっても、反射後の超音波によってキャビテーションが発生し、該パーティクルが除去される。
【0054】
ここで、超音波を反射させない従来の構成において、超音波が洗浄槽の下部から上部に向かって縦方向(一方向)に進行すると、支持部材が障害物となり、支持部材の上方(支持部材の後方)には超音波が進行しないため、超音波の進行方向に沿って帯状の洗浄ムラ(パーティクル残留部分)が残る(図8(a))。これに対し、本実施の形態では、側面部12aで超音波を反射させ、超音波を側面部12bから側面部12aに向かって進行させることにより、支持部材20の後方の部分にも超音波が進行する(図8(b))。これにより、半導体ウエハA上の洗浄ムラをなくすことができ、半導体ウエハAに付着したパーティクルを確実に除去することができる。
【0055】
また、本実施の形態では、液供給部40を構成する一対の管状部材から水又は洗浄液が供給され、特に半導体ウエハAの主面近傍では、洗浄槽10の下部から上部に向かって液流れ(強制対流)が生じる。したがって、半導体ウエハAの主面近傍では、振動素子61からの超音波振動による直進流が横方向に進行し、加えて、液供給部40から供給される水又は洗浄液の液流れが超音波振動による直進流と略直交して進行する。これにより、支持部材20の配置に起因して半導体ウエハに超音波を照射できない領域(影の部分)が生じた場合であっても、該領域に縦方向の液流れを発生させることができるため、半導体ウエハAからパーティクル等の汚れを確実に且つ効率的に除去することができる。
【0056】
以上説明したように、本実施の形態によれば、外槽15に貯留された水中を伝播して側面部12bに到達した超音波が、側面部12bを透過して側面部12aにまで到達し、さらに、側面部12aで乱反射される。すなわち、半導体ウエハAを支持する支持部材20が洗浄槽10内に配設される場合であっても、側面部12bから側面部12aに向かって進行する超音波と側面部12aで乱反射された超音波とによって、洗浄ムラを生じることなく、半導体ウエハAに付着したパーティクルなどの汚染物質を除去することができる。また、振動板62が側面部12bの外部に配設されるので、振動板62に付着している汚染物質が半導体ウエハAに付着することがない。したがって、簡単な装置構成で半導体ウエハAを容易に且つ確実に洗浄することができる。
【0057】
尚、本実施の形態では、超音波の周波数が1.0MHzである場合に側面部12aの厚みを4.0mmとしているが、4.0mm以上であってもよい。これにより、超音波の反射率を高くすることができ、且つ側面部の強度を向上させることができる。また、側面部12aの厚みは2.45mm以下であってもよい。これにより、超音波の反射率を高くすることができ、且つ洗浄槽を軽量に、また安価にすることができる。
【0058】
また、本実施の形態では、超音波の周波数が1MHzである場合に側面部12bの厚みを3.0mmとしているが、これに限るものではなく、2.7〜3.3mmであってもよい。これにより、側面部12bの設計の自由度を高くすることができる。
【0059】
図9は、本発明の第2実施の形態に係る超音波洗浄装置の構成を概略的に示す断面図である。尚、図9の超音波洗浄装置は、その構成が図1の超音波洗浄装置と基本的に同じであるので、重複する要素には同一の番号を付し、以下に異なる部分を説明する。
【0060】
図9において、超音波洗浄装置100は、洗浄槽10の外部に配設され、洗浄槽10内部に超音波を発振する超音波発振装置(超音波発振部)60を備える。本実施の形態では外槽を使用せず、超音波発振装置60から発振される超音波を直接洗浄槽10に伝播させる。
【0061】
本実施の形態では、洗浄槽10の側面部12bの外表面に振動素子161及び振動板162を固定し、振動板162から超音波を発振する。これにより、超音波は側面部12bを透過すると共に側面部12bから側面部12aまで伝播する。尚、振動素子161を直接側面部12に貼り付けることができるので、振動板162を設けなくてもよい。また、この超音波は側面部12aの表面又はその近傍で乱反射され、該乱反射された超音波が側面部12bまで伝播する。これにより、半導体ウエハAに付着したパーティクル等の汚れが、超音波振動のエネルギーによる物理的な洗浄力と、洗浄液による化学的な洗浄力の作用とで除去される。
【0062】
本実施の形態によれば、振動板162から発振された超音波が側面部12bを透過して側面部12aに到達し、さらに側面部12aで乱反射される。また、振動素子161及び振動板162が洗浄槽10の側面部12bの外表面に取り付けられるので、振動素子161や振動板162に付着した汚染物質が半導体ウエハAに付着することがない。これにより、簡単な装置構成で半導体ウエハAを容易に且つ確実に洗浄することができる。
【0063】
図10は、本発明の第3実施の形態に係る超音波洗浄装置の構成を概略的に示す断面図である。尚、図10の超音波洗浄装置は、その構成が図1の超音波洗浄装置と基本的に同じであるので、重複する要素には同一の番号を付し、以下に異なる部分を説明する。
【0064】
図10において、超音波洗浄装置200は、上部が開口した箱状に形成され、その内部に洗浄液が貯留される洗浄槽210と、外槽15の外部に配設され、洗浄槽210内部に超音波を発振する超音波発振装置260とを備える。
【0065】
洗浄槽210は、底面部211と、底面部211に対して略垂直に設けられた側面部212と、洗浄槽210の上部に回動可能に配設され、該洗浄槽の開口を覆うように設けられた蓋部214とを備える。底面部211の厚みは、発振周波数が1MHzの場合、例えば3.0mmであり、側面部212の厚みは、例えば4.0mmである。また、蓋部214の厚みは、例えば4.0mmである。
【0066】
超音波発振装置260は、外槽15の底面部16の内側に取り付けられた振動素子261と、振動素子261に接合され、外槽15内の水に超音波振動を伝達する振動板262とを有する。
【0067】
本実施の形態では、外槽15の底面部211の内側に振動素子261及び振動板262を固定し、振動板262から超音波を発振する。これにより、超音波は外槽15内の水を介して底面部211まで伝播し、さらに洗浄槽10の底面部211を透過して、洗浄槽内を縦方向に進行し、蓋部214まで伝播する。その後、この超音波は蓋部214の表面又はその近傍で乱反射され、該乱反射された超音波が底面部211まで伝播する。これにより、半導体ウエハAに付着したパーティクル等の汚れが、超音波振動のエネルギーによる物理的な洗浄力と、洗浄液による化学的な洗浄力の作用とで除去される。
【0068】
本実施の形態によれば、外槽15に貯留された水中を伝播して底面部211に到達した超音波が、底面部211を透過して蓋部214に到達し、さらに、蓋部214で乱反射される。また、振動素子261及び振動板262が外槽15の底面部16に取り付けられるので、振動素子261や振動板262に付着した汚染物質が半導体ウエハAに付着することがない。これにより、簡単な装置構成で半導体ウエハAを容易に且つ確実に洗浄することができる。
【0069】
上記実施の形態では、側面部12a又は蓋部214は超音波を反射する厚み(4.0mm)を有しているが、これに限るものではない。反射側の側面部又は蓋部を所定の厚みとし、該側面部又は蓋部の内側面に反射板が取り付けられてもよい。この場合、反射板は、その表面又はその近傍で超音波が乱反射するような表面粗さを有するのが好ましい。これにより、超音波を確実に乱反射させることができる。
【0070】
上記実施の形態では、側面部12b又は底面部211は二酸化珪素(SiO2)を主成分とする材料から成るが、これに限るものではなく、所定の厚みで超音波を透過する特性を有していれば如何なる材料から成るものであってもよい。また、この場合、洗浄槽は1つの材料で一体成形されてもよいし、超音波を透過する側面部又は底面部のみが他の材料で形成されてもよい。
【0071】
上記実施の形態では、液供給部40を構成する一対の管状部材から水又は洗浄液が供給され、半導体ウエハAの主面近傍では、洗浄槽10の下部から上部に向かって液流れ(強制対流)が生じるが、これに限るものではなく、超音波洗浄装置にポンプ等の循環装置(不図示)を接続し、該循環装置により洗浄液を対流させてもよい。この場合、半導体ウエハAの主面近傍において、強制対流する液流れの方向が超音波の進行方向と略直交するように構成される。これにより、半導体ウエハAに付着したパーティクルを確実に剥離・除去することができる。
【0072】
上記実施の形態では、超音波洗浄装置は1つの振動板を備えているが、これに限るものではなく、複数の振動板を備えていてもよい。その場合、複数の振動板が同一周波数の超音波を発振できるように構成されてもよいし、個別の超音波を発振できるように構成されてもよい。
【0073】
また、上記実施の形態では、超音波洗浄装置は半導体ウエハを洗浄するが、これに限るものではなく、パーティクルや他の汚染物質が付着する被処理体を洗浄するものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る超音波洗浄装置の構成を概略的に示す断面図である。
【図2】図1における洗浄槽の構成を示す斜視図である。
【図3】超音波の所定周波数における石英製板材の厚みと透過率(理論値)との関係を示す図であり、図3(a)は3MHz、図3(b)は2MHzである場合を示す。
【図4】超音波の所定周波数における石英製板材の厚みと透過率(理論値)との関係を示す図であり、図4(a)は1.5MHz、図4(b)は1MHzである場合を示す。
【図5】超音波の所定周波数における石英製板材の厚みと透過率(理論値)との関係を示す図であり、図5(a)は975kHz、図5(b)は750kHzである場合を示す。
【図6】超音波の所定周波数における石英製板材の厚みと透過率(理論値)との関係を示す図であり、所定周波数が450kHである場合を示す。
【図7】超音波の周波数を1MHzに設定した場合における石英製板材の厚みと透過率(理論値及び実験値)との関係を示す図である。
【図8】半導体ウエハが超音波によって洗浄される様子を説明する模式図であり、(a)は超音波を反射させない場合を示し、(b)は超音波を反射させた場合を示す。
【図9】本発明の第2実施の形態に係る超音波洗浄装置の構成を概略的に示す断面図である。
【図10】本発明の第3実施の形態に係る超音波洗浄装置の構成を概略的に示す断面図である。
【図11】従来の超音波洗浄装置の構成を概略的に示す断面図である。
【図12】従来の他の超音波洗浄装置の構成を概略的に示す断面図である。
【符号の説明】
【0075】
1 超音波洗浄装置
10 洗浄槽
15 外槽
20 支持部材
30 固定部材
40 液供給部
50 ヒーター
60 超音波発振装置
11 底面部
12 側面部
12a,12b 一対の側面部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄液を貯留する洗浄槽と、
液体を貯留すると共に前記洗浄槽を収容する外槽と、
前記洗浄槽の内部に配設され、洗浄すべき被処理体を支持する支持部材と、
前記外槽の外部に配設され、前記外槽の内部に所定周波数の超音波を発振する超音波発振部とを備え、
前記洗浄槽は、前記超音波発振部からの超音波を透過する厚みを有する第1面部と、前記第1面部に対向して配され、前記超音波発振部からの超音波を反射する厚みを有する第2面部とを有し、
前記超音波発振部は、前記外槽に貯留された水を介して前記洗浄槽に超音波を発振し、且つ前記洗浄槽の前記第1面部から前記第2面部に向かって超音波を伝播させることを特徴とする超音波洗浄装置。
【請求項2】
前記洗浄槽は、上部が開口された箱状容器であって、前記第1面部は側面部であり、前記第2面部は前記側面部と対向する他の側面部であることを特徴とする請求項1記載の超音波洗浄装置。
【請求項3】
前記洗浄槽は、上部が開口された箱状容器であって、底面部と、前記洗浄槽の上部に配設された蓋部とを有し、
前記第1面部は底面部であり、第2面部は前記蓋部であることを特徴とする請求項1記載の超音波洗浄装置。
【請求項4】
前記第1面部の厚みは、前記外槽内に貯留される液体を媒質1、前記洗浄槽の材質を媒質2、前記洗浄液を媒質3としたとき、
透過率(T)=(ρ1c1/ρ3c3)(4/X)
但し、X=(1+ ρ1c1/ρ3c3)^2×cos2k1L+(ρ2c2/ρ3c3+ ρ1c1/ρ2c2)^2×sin2k2L
ρ1,ρ2,ρ3:物質(媒質)の密度
c1,c2,c3:物質(媒質)の音速
L:物質(媒質)の厚み
k=ω/c, ω=2πf
で求められる透過率の75%以上を有する厚みであり、前記第2面部の厚みは、上記式で求められる透過率50%以下を有する厚みであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の超音波洗浄装置。
【請求項5】
前記洗浄槽内に配設され、前記洗浄液を循環させる循環装置を更に備え、
前記被処理体の近傍における前記洗浄液の液流れの方向は、前記超音波の進行方向と略直交していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の超音波洗浄装置。
【請求項6】
前記洗浄槽は、二酸化珪素(SiO2)を主成分とする材料から成り、前記洗浄槽を収容する外槽は、樹脂及びステンレス鋼のいずれかを主成分とする材料から成ることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の超音波洗浄装置。
【請求項7】
前記超音波発振部は、周波数が450kHz〜3MHzの超音波を発振することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の超音波洗浄装置。
【請求項8】
洗浄槽内の被処理体を超音波で洗浄する超音波洗浄方法であって、
前記洗浄槽を収容する外槽の外部から所定周波数の超音波を発振する発振行程と、
前記外槽に貯留された液体を介して、前記超音波に前記洗浄槽の第1面部を透過させる透過行程と、
前記第1面部に対向して配された前記洗浄槽の第2面部で超音波を反射する反射行程とを有することを特徴とする超音波洗浄方法。
【請求項1】
洗浄液を貯留する洗浄槽と、
液体を貯留すると共に前記洗浄槽を収容する外槽と、
前記洗浄槽の内部に配設され、洗浄すべき被処理体を支持する支持部材と、
前記外槽の外部に配設され、前記外槽の内部に所定周波数の超音波を発振する超音波発振部とを備え、
前記洗浄槽は、前記超音波発振部からの超音波を透過する厚みを有する第1面部と、前記第1面部に対向して配され、前記超音波発振部からの超音波を反射する厚みを有する第2面部とを有し、
前記超音波発振部は、前記外槽に貯留された水を介して前記洗浄槽に超音波を発振し、且つ前記洗浄槽の前記第1面部から前記第2面部に向かって超音波を伝播させることを特徴とする超音波洗浄装置。
【請求項2】
前記洗浄槽は、上部が開口された箱状容器であって、前記第1面部は側面部であり、前記第2面部は前記側面部と対向する他の側面部であることを特徴とする請求項1記載の超音波洗浄装置。
【請求項3】
前記洗浄槽は、上部が開口された箱状容器であって、底面部と、前記洗浄槽の上部に配設された蓋部とを有し、
前記第1面部は底面部であり、第2面部は前記蓋部であることを特徴とする請求項1記載の超音波洗浄装置。
【請求項4】
前記第1面部の厚みは、前記外槽内に貯留される液体を媒質1、前記洗浄槽の材質を媒質2、前記洗浄液を媒質3としたとき、
透過率(T)=(ρ1c1/ρ3c3)(4/X)
但し、X=(1+ ρ1c1/ρ3c3)^2×cos2k1L+(ρ2c2/ρ3c3+ ρ1c1/ρ2c2)^2×sin2k2L
ρ1,ρ2,ρ3:物質(媒質)の密度
c1,c2,c3:物質(媒質)の音速
L:物質(媒質)の厚み
k=ω/c, ω=2πf
で求められる透過率の75%以上を有する厚みであり、前記第2面部の厚みは、上記式で求められる透過率50%以下を有する厚みであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の超音波洗浄装置。
【請求項5】
前記洗浄槽内に配設され、前記洗浄液を循環させる循環装置を更に備え、
前記被処理体の近傍における前記洗浄液の液流れの方向は、前記超音波の進行方向と略直交していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の超音波洗浄装置。
【請求項6】
前記洗浄槽は、二酸化珪素(SiO2)を主成分とする材料から成り、前記洗浄槽を収容する外槽は、樹脂及びステンレス鋼のいずれかを主成分とする材料から成ることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の超音波洗浄装置。
【請求項7】
前記超音波発振部は、周波数が450kHz〜3MHzの超音波を発振することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の超音波洗浄装置。
【請求項8】
洗浄槽内の被処理体を超音波で洗浄する超音波洗浄方法であって、
前記洗浄槽を収容する外槽の外部から所定周波数の超音波を発振する発振行程と、
前記外槽に貯留された液体を介して、前記超音波に前記洗浄槽の第1面部を透過させる透過行程と、
前記第1面部に対向して配された前記洗浄槽の第2面部で超音波を反射する反射行程とを有することを特徴とする超音波洗浄方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−153541(P2010−153541A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−329235(P2008−329235)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(599119503)ジルトロニック アクチエンゲゼルシャフト (223)
【氏名又は名称原語表記】Siltronic AG
【住所又は居所原語表記】Hanns−Seidel−Platz 4, D−81737 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(599119503)ジルトロニック アクチエンゲゼルシャフト (223)
【氏名又は名称原語表記】Siltronic AG
【住所又は居所原語表記】Hanns−Seidel−Platz 4, D−81737 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】
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