説明

路上障害通報システム及び無線通信端末装置

【課題】無線通信端末装置により路上障害などの情報を通報し、通報された路上障害などの情報を複数の無線通信端末装置に提供することができる路上障害通報システム及び無線通信端末装置を提供することを目的とする。
【解決手段】位置検出部12、画像撮影部13、方位検出部14、通報情報処理部15とを備えた無線通信端末装置10と、通報情報収集装置31、通報情報データベース32、通報情報処理装置34、路上障害情報データベース35、対策要請情報データベース36、対策機関登録データベース37、道路情報データベース38とを備えた路上障害情報収集配信サーバ30を有し、無線通信端末装置10にて現在位置の路上障害情報を取得して通報情報として送信し、路上障害情報収集配信サーバ30にて受信した前記通報情報を加工して路上障害情報と対策要請情報とを複数の無線通信端末装置に出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信端末装置により路上の状況を通報し、通報された情報を複数の無線通信端末装置に提供する無線通信端末装置を用いた路上障害通報システム及び無線通信端末装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のカーナビゲーション装置は、カーナビゲーション装置の内部に、予め道路地図、及び付加的な情報を格納しておき、カーナビゲーション装置を搭載した自動車の位置情報を、GPS(Global Positioning System)等の位置検出手段を用いて取得し、これらを用いて、自動車運転手が希望する目的地への経路案内を自動的に行う形式が一般的であった。一方、道路上で事故等の理由により、一時的に道路が通行不能となった場合にも、無線通信機能を用いて、通行不能となった道路の情報を取得し、通行不能となった道路を回避し、目的地に到達できるように経路案内を行うカーナビゲーション装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、無線通信端末装置の所有者が、緊急を要する特定の事態が発生した場合に、その対応機関への出動を求める通報を、その無線通信端末装置によって簡易に実現するシステムが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特許第3304210号公報
【特許文献2】特開2002−8163号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の技術では、道路情報の提供システムと緊急事態発生時の通報システムは別のシステムが独立して動作を行うため、通報からカーナビゲーション装置への情報提供及び対策機関への出動要請を行うまでに必要以上に時間がかかる可能性もあり、よって道路上に問題が発生したことを道路の利用者である自動車運転手が確認し、通報が実施されてから無線通信機能付カーナビゲーションシステムに反映されるまでの間に、道路上の問題に起因する渋滞が発生し、そのため問題の処理を行う対策機関の問題発生現場への到着も遅れることとなる。その結果、通報から問題が処理され、問題の発生した道路が通常の機能を取り戻すまでに時間がかかることとなり、その間、道路利用者及び道路管理者にとって時間的、金額的損失が発生するという課題を有していた。
【0004】
本発明は、このような従来の問題点を解決するものであり、無線通信端末装置により路上障害などの情報を通報し、通報された路上障害などの情報を複数の無線通信端末装置に提供することができる無線通信端末装置を用いた路上障害通報システム及び無線通信端末装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記従来の課題を解決するために、本発明の無線通信端末装置を用いた路上障害通報システムは、現在位置の路上障害情報を取得して通報情報として送信する無線通信端末装置と、前記通報情報を受信する路上障害情報収集配信サーバを有し、前記通報情報を加工して路上障害情報と対策要請情報とを出力する。本構成によって、無線通信端末装置から通報された路上障害などの情報を、複数の無線通信端末装置に提供するようにしたものである。
【0006】
また、本発明の無線通信端末装置を用いた路上障害通報システムは、通報情報を送信する無線通信端末装置に、現在位置を取得する位置検出部と、路上障害の状況を画像として撮影する画像撮影部と、現在位置から路上障害現場方向の方位を取得する方位検出部と、前記位置検出部と前記画像撮影部と前記方位検出部の各情報から通報情報を生成する通報情報処理部とを有し、路上障害通報システムに送信する通報情報を生成するようにしたものである。
【0007】
また、本発明の無線通信端末装置を用いた路上障害通報システムは、路上障害情報と対策要請情報とを出力する路上障害情報収集配信サーバに、通報情報をネットワークを介して受信する通報情報収集装置と、前記通報情報を蓄積する通報情報データベースと、道路情報を蓄積する道路情報データベースと、対策機関情報を登録する対策機関登録データベースと、前記通報情報と前記道路情報から路上障害情報を生成し、前記通報情報と前記道路情報と前記対策機関情報から対策要請情報を生成する通報情報処理装置と、前記路上障害情報を蓄積する路上障害情報データベースと、前記対策要請情報を蓄積する対策要請情報データベースと、前記路上障害情報を前記道路情報提供サーバに出力する路上障害情報配信サーバと、前記対策要請情報を前記対策機関サーバに出力する対策要請情報配信サーバとを有し、路上障害通報システムに送信する通報情報を生成するようにしたものである。
【0008】
また、本発明の無線通信端末装置を用いた路上障害通報システムは、音声による通報情報をネットワークを介して受信する手段と、前記通報情報データベースへの通報情報登録手段と、前記通報情報処理装置を操作して路上障害情報と対策要請情報を生成する手段とを有する音声応答装置を備え、音声による通報情報を登録するようにしたものである。
【0009】
また、本発明の無線通信端末装置を用いた路上障害通報システムは、通報情報を緊急度によって順位付けし、路上障害情報および対策要請情報を、前記順位付けに従って生成するようにしたものである。
また、本発明の無線通信端末装置を用いた路上障害通報システムは、通報情報処理装置が、通報情報データベースと、路上障害情報データベースと、対策要請情報データベースとに登録された情報を削除する機能を有し、通報情報処理装置により各データベースの情報を削除できるようにしたものである。
【0010】
また、本発明の無線通信端末装置を用いた路上障害通報システムは、対策要請情報配信サーバは、過去に発生した路上障害に関する対策完了情報を登録する対策完了情報データベースと、登録した前記対策完了情報の参照手段とを有し、対策要請情報配信サーバにより過去に発生した路上障害の情報を参照できるようにしたものである。
【0011】
また、本発明の無線通信端末装置は、現在位置の路上障害情報を取得して通報情報として送信する手段を有し、通報情報を受信して路上障害情報と対策要請情報とを出力する路上障害情報収集配信サーバと接続される。本構成によって、路上障害などの情報を複数の無線通信端末装置に提供するために、現在位置の路上障害情報を通報情報として送信することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、路上障害情報を対策機関へ通報するとともに、通報された路上障害情報を、無線通信端末装置を具備した複数の一般車両に迅速に配信し、路上障害発生現場への一般車両の進入を早期に抑制するように誘導することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
(実施の形態)
図1から図4は本発明の実施の形態に係る路上障害通報システムを説明する図である。図1は、実施の形態における路上障害通報システムの主要な構成を示すブロック図、図2は無線通信端末装置10で実行される通報処理を表すフローチャート、図3は無線通信端末装置10の通報処理における画面遷移を示す図であり、図3(a)は障害種別の選択画面を示す図、図3(b)は災害状況の選択画面を示す図、図3(c)は路上障害発生現場の画像撮影および方位取得画面を示す図、図3(d)は通報実施確認画面を示す図、図4は無線通信端末装置10から送信される通報情報の例を示す図であり、図4(a)は路上災害の場合、図4(b)は路上事故の場合における通報情報の例を示す図である。
【0015】
まず、本発明の実施の形態に係る路上障害通報システムの構成について図1を用いて説明する。図1において、路上障害通報システムは無線通信端末装置10、無線通信ネットワーク20、路上障害情報収集配信サーバ30、道路情報提供サーバ50、無線通信機能付カーナビゲーション装置60、対策機関サーバ70とを備えて構成されている。無線通信端末装置10は、無線通信ネットワーク20を介して路上障害情報収集配信サーバ30と接続し、路上障害情報収集配信サーバ30へ通報情報S20、もしくは音声S21を送信する。また路上障害情報収集配信サーバ30は、道路情報提供サーバ50を介して路上障害情報S31をカーナビゲーション装置60へ配信し、対策要請情報S32を対策機関サーバ70へ配信する。
【0016】
無線通信端末装置10は、音声やデータの無線通信を行う無線通信処理部11、GPS等により自身の位置を検出する位置検出部12、画像を撮影する画像撮影部13、画像撮影する際に撮影方向の方位を検出する方位検出部14、位置検出部12、画像撮影部13と方位検出部14の情報を元に通報情報を処理する通報情報処理部15、表示部16、操作部17とを具備し、無線通信ネットワーク20と音声やデータの送受信を行う。
【0017】
無線通信ネットワーク20は、無線通信基地局21を備えて無線通信端末装置10と無線通信回線で接続され、無線通信端末装置10と、路上障害情報収集配信サーバ30との間の音声やデータの通信制御を行う。
【0018】
路上障害情報収集配信サーバ30は、通報情報収集装置31、通報情報データベース32、音声応答装置33、通報情報処理装置34、路上障害情報データベース35、対策要請情報データベース36、対策機関登録データベース37、道路情報データベース38、路上障害情報配信サーバ39、対策要請情報配信サーバ40、対策完了情報データベース41とを備えて構成されている。通報情報収集装置31は、無線通信ネットワーク20を介して無線通信端末装置10から伝送されてきた通報情報S20を順次通報情報データベース32 に登録する。音声応答装置33は、無線通信ネットワーク20を介して無線通信端末装置10から伝送されてきた音声S21に基づきオペレータが操作する装置であり、オペレータが音声応答装置33を操作し、通報情報データベース32 に通報情報S30を登録する。通報情報データベース32 は、通報情報収集装置31から登録した通報情報S20と、音声応答装置33から登録した通報情報S30とを一時的に保持するためのデータベースである。通報情報処理装置34は、通報情報データベース32に登録された通報情報S20とS30から、路上障害情報S31と対策要請情報S32を生成する。路上障害情報S31は路上障害情報データベース35へ、対策要請情報S32は対策要請情報データベース36へ登録する。また通報情報処理装置34は、通報情報データベース32、路上障害情報データベース35、対策要請情報データベース36に登録された情報の削除を行う機能も備える。通報情報処理装置34の動作は定められた条件による自動処理、もしくはオペレータの判断による音声応答装置33からの操作信号S34によるマニュアル処理で実施する。ここで、路上障害情報データベース35は路上障害情報S31、対策要請情報データベース36は対策要請情報S32を一時的に保持するためのデータベースである。また対策機関登録データベース37は、GPS等で検出した位置情報と対応し路上障害の内容に対処可能な対策機関が登録されたデータベースであり、道路情報データベース38は、GPS等の位置検出手段で検出した位置情報に対応した道路地図を登録したデータベースであり、通報情報処理装置34により参照される。路上障害情報配信サーバ39は、路上障害情報データベース35に登録された路上障害情報S31を道路情報提供サーバ50に配信する。対策要請情報配信サーバ40は、路上障害の除去の為に必要な全ての対策機関の対策機関サーバと有線通信回線、ないしは無線通信回線によりデータの伝送が可能なように接続され、対策要請情報データベース36に登録された対策要請情報S32を元に、適切な対策機関に対し対策要請情報S32を配信すると共に、対策のために必要な情報を提供し、さらに対策完了情報データベース41に対して発生した路上障害の履歴を記録する。ここで対策完了情報データベース41は、過去に発生及び対策を実施した路上障害の詳細な情報を対策完了情報S35として蓄積するデータベースであり、個々の対策機関がその登録内容を参照できるものである。
【0019】
道路情報提供サーバ50は、道路情報提供用無線基地局51を備えて無線通信機能付カーナビゲーション装置60と無線通信回線で接続され、路上障害情報S31を無線通信機能付カーナビゲーション装置60へ伝送する。
【0020】
無線通信機能付カーナビゲーション装置60は、無線通信処理部61と、自動車運転手が希望する目的地までの走行経路を設定、案内するカーナビゲーション部62を備えて構成される。無線通信処理部61により、道路情報提供用無線基地局51との間で無線通信によるデータ通信を行う。無線通信機能付カーナビゲーション装置60は、路上障害情報データベース35に登録された路上障害情報S31を、路上障害情報配信サーバ39、道路情報提供用無線基地局51を介して受信する。
【0021】
次に、本発明の実施の形態に係る路上障害通報システムの動作を、図1から図4を参照して説明する。図1に示す無線通信端末装置10における通報処理の流れを図2のフローチャートに沿って説明し、通報処理の流れに対応した無線通信端末装置10の表示部16の画面遷移を図3に示して説明する。
【0022】
図2のフローチャートに示すように、無線通信端末装置10の使用者は、車道上において、車両衝突、車両火災等の路上事故や、土砂崩れ、路面陥没、浸水等の路上災害などの路上障害を発見した場合、無線通信端末装置10の操作部17から通報情報処理部15の通報処理を起動する(ステップS1)。発見した路上障害の種別として、事故であるか、災害であるかを選択する(ステップS2)。ステップS2における表示部16の画面を図3(a)に示す。図3(a)において、100は障害種別選択の表示画面、101は路上障害の種別が事故であることを選択する事故選択部、102は路上障害の種別が災害であることを選択する災害選択部である。事故選択部101を選択すると事故状況の選択画面へ、災害選択部102を選択すると災害状況の選択画面へと画面が遷移する。
【0023】
ここで、ステップS2において災害選択部102を選択した場合について説明する。図3(b)は災害状況の選択画面を示す。図3(b)において、200は災害状況選択の表示画面、201は複数の項目から災害状況を選択する災害状況選択部、202は路上障害の発生に伴うケガ人等、要救助者が存在する場合には、その旨を付加情報として入力できる要救助人数入力部、203はその他の災害状況であることを選択するその他災害状況選択部である。災害状況選択の表示画面200において、具体的な路上障害に該当する項目を選択し、要救助者が存在する場合には、その人数を入力する(図2、ステップS3)。そして、無線通信端末装置10の画像撮影部13で路上障害の発生現場の画像を撮影し、方位検出部14により画像撮影する際の撮影方向の方位検出を行う(図2、ステップS4)。図3(c)の路上障害発生現場の画像撮影画面300に示すように、路上障害発生現場の画像301と、撮影方向の方位が方位表示部302に表示される。一方、図2のステップS2において事故を選択した場合については、ステップ5で路上事故の種類を選択し、ステップ6で事故現場の画像の撮影と撮影方向の方位の取得を行う。ステップS4もしくはステップS6が完了すると、無線通信端末装置10は位置検出部12により路上障害の通報位置の取得を行う(ステップS7)。図3(d)の通報実施確認画面400に示すように、通報の実行の可否を確認の上、通報選択部401もしくはキャンセル選択部402を選択する。通報選択部401が選択されると、無線通信端末装置10は無線通信ネットワーク20を介して路上障害情報収集配信サーバ30に通報情報S20の送信を行う(図2、ステップS8)。ステップS8で送信される通報情報の例を図4(a)と図4(b)に示す。図4(a)は路上災害の場合における通報情報S20、図4(b)は路上事故の場合における通報情報S20の内容を示す。
【0024】
次いで、路上障害情報収集配信サーバ30の動作について図1を参照して説明する。無線通信端末装置10から送信した通報情報S20は、まず路上障害情報収集配信サーバ30の通報情報収集装置31で受信される。通報情報収集装置31は、受信した通報情報S20を通報情報データベース32へ登録する。また、無線通信端末装置10から音声S21により通報が行われた場合には、音声による通報内容をもとにオペレータが音声応答装置33を操作し、通報情報データベース32へ音声S21の内容(通報情報S30)を登録する。通報情報データベース32に登録された通報情報S20、S30は、その内容に基づいて、通報情報処理装置34によって路上障害情報S31と対策要請情報S32とに加工される。路上障害情報S31は、無線通信機能付カーナビゲーション装置60に、路上障害の発生位置等を提供するための情報である。通報情報S20、S30は、通報情報処理装置34によって自動的に、もしくはオペレータの判断を介在させ、路上障害発生場所が同一箇所、同一地域である場合にはその通報件数の多いもの、また路上障害発生場所の画像が存在するもの、道路情報データベース38を参照し路上障害発生場所が主要な道路(交通量が多い等)である場合等、通報された路上障害により多数の道路利用者への影響が大きく及ぶ可能性が高く、または道路利用者の生命に危険が及ぶ可能性がある路上障害を優先的に抽出、順位づけを行う。この優先順位に従って路上障害情報S31や対策要請情報S32が生成される。
【0025】
路上障害情報S31は、図4(a)や図4(b)に例示した通報情報を元に、通報情報処理装置34による自動処理、もしくはオペレータの判断により、路上障害として認識、設定されるものであり、例えば、GPS等位置検出手段により検出される路上障害発生現場の位置情報、撮影された画像の方位情報と、道路情報データベース38に登録されているGPS等の位置検出手段に対応した道路地図データを参照し、オペレータが画像による障害の状況を確認した上で、該当する地点を路上障害発生地点として設定を行う。路上障害情報データベース35に登録された路上障害情報S31は、道路情報提供用無線基地局51を介して路上障害情報配信サーバ39により配信され、無線通信機能付カーナビゲーション装置60は路上障害情報配信サーバ39から配信された路上障害情報S31を元に、進路上の障害を迂回するように進路を再設定するものである。なお、無線通信機能付カーナビゲーション装置60の利用者が路上災害の内容を確認できるようにしてもよい。
【0026】
また対策要請情報S32は、路上障害の内容から最も適切な対策機関へ対策を要請し、路上障害発生現場の状況を提供するための情報である。対策要請情報S32は、図4(a)や図4(b)に例示した通報情報を元に、通報情報処理装置34による自動処理、もしくはオペレータの判断により加工され対策要請情報データベース36に登録されるものであり、これには通報を行う対策機関に対して提供する路上障害の状況と、その適切な通報先、無線通信端末装置10が携帯電話の場合は、その携帯電話番号等から構成されるものである。対策要請情報配信サーバ40は、対策要請情報データベース36に登録された情報を元に、適切な対策機関への通報を行う。対策要請情報配信サーバ40から送られてきた対策要請情報S32を元に、個々の対策機関は路上障害の発生現場への出動を行う。この際、対策要請情報S32に含まれる、通報者の携帯電話番号を参照することで、通報者と個々の対策機関が直接的に通話を行い、路上障害の発生現場のより詳細な状況を確認することも可能である。個々の対策機関が路上障害に対し処置を完了すると、個々の対策機関は、処置が完了した旨と、実施した処置内容を対策要請情報配信サーバ40へ送信する。対策要請情報配信サーバ40は、対策機関による処置内容、及び処置がなされた通報情報を対策完了情報S35として対策完了情報データベース41に登録する。さらに対策要請情報配信サーバ40は、対策が完了した路上障害について、対策要請情報データベース36に登録された対策要請情報S32を削除する。
【0027】
さらに通報情報処理装置34は、対策要請情報データベース36で対策要請情報S36が削除されたことを検知すると、削除された対策要請情報S36に該当する通報情報S20と、路上障害情報S31をそれぞれ通報情報データベース32と路上障害情報データベース35から削除する。これにより、無線通信機能付カーナビゲーション装置60の案内経路上から、路上障害の存在が削除され、よって無線通信機能付カーナビゲーション装置60は通常の案内経路による案内を再び実施することが可能となる。
【0028】
本発明の実施の形態によれば、無線通信端末装置に路上障害情報等を収集、処理する手段を設け、無線通信端末装置から送信された路上障害情報等の情報を受信して蓄積し、蓄積した路上障害情報等を複数の無線通信端末装置や路上障害の対策機関の装置に配信する手段を設け、無線通信端末装置の所持者が路上障害等を発見した場合に、通報した路上障害等の情報を複数の無線通信端末装置や路上障害の対策機関に配信することにより、路上障害発生現場への一般車両の進入を早期に抑制するように誘導することができる。
【0029】
なお、本発明の実施の形態において、対策完了情報データベース41に、過去に発生した路上障害の通報情報、及び対策機関が実施した処置を登録し、例えば、同一地点で路上障害が複数回発生している場合等、その地点に何らかの問題が存在することを推測できる情報を対策機関が参照できように構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明に係る路上障害通報システム及び無線通信端末装置は、路上障害発生現場への一般車両の進入を早期に抑制するように誘導することができるので、道路交通情報を監視するシステムや路上障害等の情報を通報する無線通信端末装置等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施の形態における無線通信端末装置を用いた路上障害通報システムの主要な構成を示すブロック図
【図2】本発明の実施の形態における無線通信端末装置で実行される通報処理を表すフローチャート
【図3】(a)本発明の実施の形態における無線通信端末装置の障害種別の選択画面を示す図(b)本発明の実施の形態における無線通信端末装置の災害状況の選択画面を示す図(c)本発明の実施の形態における無線通信端末装置の路上障害発生現場の画像撮影および方位取得画面を示す図(d)本発明の実施の形態における無線通信端末装置の通報実施確認画面を示す図
【図4】(a)本発明の実施の形態における路上災害の場合における通報情報の例を示す図(b)本発明の実施の形態における路上事故の場合における通報情報の例を示す図
【符号の説明】
【0032】
10 無線通信端末装置
11、61 無線通信処理部
12 位置検出部
13 画像撮影部
14 方位検出部
15 通報情報処理部
16 表示部
17 操作部
20 無線通信ネットワーク
21 無線通信基地局
30 路上障害情報収集配信サーバ
31 通報情報収集装置
32 通報情報データベース
33 音声応答装置
34 通報情報処理装置
35 路上障害情報データベース
36 対策要請情報データベース
37 対策機関登録データベース
38 道路情報データベース
39 路上障害情報配信サーバ
40 対策要請情報配信サーバ
41 対策完了情報データベース
50 道路情報提供サーバ
51 道路情報提供用無線基地局
60 無線通信機能付カーナビゲーション装置
62 カーナビゲーション部
70 対策機関サーバ
71 対策機関Aサーバ
72 対策機関Bサーバ
73 対策機関Cサーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現在位置の路上障害情報を取得して通報情報として送信する無線通信端末装置と、前記無線通信端末装置から送信される前記通報情報をネットワークを介して受信して蓄積し、蓄積された前記通報情報を加工して路上障害情報と対策要請情報とを出力する路上障害情報収集配信サーバと、前記路上障害情報収集配信サーバからの路上障害情報をネットワークを介して受信して、複数の無線通信端末装置に路上障害情報を送信する道路情報提供サーバと、前記路上障害情報収集配信サーバからの対策要請情報をネットワークを介して受信する対策機関サーバとを備えたことを特徴とする無線通信端末装置を用いた路上障害通報システム。
【請求項2】
前記通報情報を送信する無線通信端末装置は、無線通信ネットワークと通信を行う無線通信処理部と、現在位置を取得する位置検出部と、路上障害の状況を画像として撮影する画像撮影部と、現在位置から路上障害現場方向の方位を取得する方位検出部と、前記位置検出部と前記画像撮影部と前記方位検出部の各情報から通報情報を生成する通報情報処理部とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の無線通信端末装置を用いた路上障害通報システム。
【請求項3】
前記路上障害情報収集配信サーバは、前記通報情報を送信する無線通信端末装置から送信される前記通報情報をネットワークを介して受信する通報情報収集装置と、前記通報情報を蓄積する通報情報データベースと、道路情報を蓄積する道路情報データベースと、対策機関情報を登録する対策機関登録データベースと、前記通報情報と前記道路情報から路上障害情報を生成し、前記通報情報と前記道路情報と前記対策機関情報から対策要請情報を生成する通報情報処理装置と、前記路上障害情報を蓄積する路上障害情報データベースと、前記対策要請情報を蓄積する対策要請情報データベースと、前記路上障害情報を前記道路情報提供サーバに出力する路上障害情報配信サーバと、前記対策要請情報を前記対策機関サーバに出力する対策要請情報配信サーバとを備えたことを特徴とする請求項1に記載の無線通信端末装置を用いた路上障害通報システム。
【請求項4】
音声による通報情報をネットワークを介して受信する手段と、前記通報情報データベースへの通報情報登録手段と、前記通報情報処理装置を操作して路上障害情報と対策要請情報を生成する手段とを有する音声応答装置を備えたことを特徴とする請求項3に記載の無線通信端末装置を用いた路上障害通報システム。
【請求項5】
前記通報情報を緊急度によって順位付けし、前記路上障害情報および前記対策要請情報を、前記順位付けに従って生成することを特徴とする請求項1から請求項4に記載の無線通信端末装置を用いた路上障害通報システム。
【請求項6】
前記通報情報処理装置は、前記通報情報データベースと、前記路上障害情報データベースと、前記対策要請情報データベースとに登録された情報を削除する機能を有することを特徴とする請求項3または請求項4に記載の無線通信端末装置を用いた路上障害通報システム。
【請求項7】
前記対策要請情報配信サーバは、過去に発生した路上障害に関する対策完了情報を登録する対策完了情報データベースと、登録した前記対策完了情報の参照手段とを備えたことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の無線通信端末装置を用いた路上障害通報システム。
【請求項8】
通報情報をネットワークを介して受信して蓄積し、蓄積された前記通報情報を加工して路上障害情報と対策要請情報とを出力する路上障害情報収集配信サーバと、前記路上障害情報収集配信サーバからの路上障害情報をネットワークを介して受信して、複数の無線通信端末装置に路上障害情報を送信する道路情報提供サーバと、前記路上障害情報収集配信サーバからの対策要請情報をネットワークを介して受信する対策機関サーバとを備えた路上障害通報システムと接続され、現在位置の路上障害情報を取得して通報情報として送信する手段を備えたことを特徴とする無線通信端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−193475(P2007−193475A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−9560(P2006−9560)
【出願日】平成18年1月18日(2006.1.18)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】