説明

車両、その制御装置およびその制御方法

【課題】ECVTおよびアイドルスピードコントロール装置を備えた車両において、ドライバビリティを向上する。
【解決手段】自動二輪車1は、駆動輪としての後輪3と、エンジン10と、変速装置20と、遠心クラッチ25と、アイドルスピードコントロール装置9と、ECU7と、を備えている。変速装置20は、入力軸としてのクランク軸11と、出力軸22a1とを有する。遠心クラッチ25は、出力軸22a1と後輪3との間に配置されている。遠心クラッチ25は、出力軸22a1の回転速度に応じて断続される。アイドルスピードコントロール装置9は、エンジン10のアイドル回転速度を調節するアイドルスピードコントロールを行う。ECU7は、変速装置20の異常を検出し、変速装置20に異常が生じた際にアイドルスピードコントロールを抑制または停止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両、その制御装置およびその制御方法に関する。詳細には、本発明は、電子制御式の無段変速装置とアイドルスピードコントロール装置とを備えた車両、その制御装置およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アイドル回転速度制御(アイドルスピードコントロール(ISC:Idle Speed Control))が行われる無段変速装置(以下、「CVT(Continuously
Variable Transmission)」とする。)が知られている(例えば、特許文献1等)。具体的に、ISCは、ISCバルブ等を用いてバイパス通路の通路面積を変更すること等により、エンジンへの吸入空気量を増減させることによってアイドリング時のエンジンの回転速度(アイドル回転速度)を調整する制御である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−19740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、以前より、電子制御式の無段変速装置(以下、「ECVT(Electronic Continuously Variable Transmission)」とする。)が知られている。このECVTでは、エンジン回転速度にかかわらず変速比を調整することができる。このため、ECVTは、スクーター等の車両に広く用いられている。
【0005】
ECVTを搭載した車両において、特許文献1に記載のISCを適用しようとした場合、ライダーがスロットルを開いていないにもかかわらず、車両が増速する虞がある。すなわち、ライダーの減速しようとする意図に反して車両が増速する場合があり、ドライバビリティが好ましくない。
【0006】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ECVTおよびアイドルスピードコントロール装置を備えた車両において、ドライバビリティを向上することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る車両は、駆動輪と、エンジンと、前記エンジンに接続された入力軸と、出力軸と、を有し、前記入力軸と前記出力軸との間の変速比が調整される電子制御式の無段変速装置と、前記エンジンと前記駆動輪との間の動力伝達経路内に配置され、前記入力軸または前記出力軸の回転速度に応じて断続されるクラッチと、前記エンジンのアイドル回転速度を調節するアイドルスピードコントロールを行うアイドルスピードコントロール装置と、前記無段変速装置の異常を検出し、前記無段変速装置に異常が生じた際に、前記アイドルスピードコントロールを抑制または停止させる制御部と、を備えたものである。
【0008】
本発明に係る他の車両は、駆動輪と、エンジンと、前記エンジンに接続された入力軸と、出力軸と、を有し、前記入力軸と前記出力軸との間の変速比が調整される電子制御式の無段変速装置と、前記出力軸と前記駆動輪との間に配置され、前記出力軸の回転速度に応じて断続されるクラッチと、前記エンジンのアイドル回転速度を調節するアイドルスピードコントロールを行うアイドルスピードコントロール装置と、前記無段変速装置の異常を検出し、前記無段変速装置に異常が生じた際に、前記アイドルスピードコントロールを抑制または停止させる制御部と、を備えたものである。
【0009】
本発明に係る車両の制御装置は、駆動輪と、エンジンと、前記エンジンに接続された入力軸と、出力軸と、を有し、前記入力軸と前記出力軸との間の変速比が調整される電子制御式の無段変速装置と、前記エンジンと前記駆動輪との間の動力伝達経路内に配置され、前記入力軸または前記出力軸の回転速度に応じて断続されるクラッチと、前記エンジンのアイドル回転速度を調節するアイドルスピードコントロールを行うアイドルスピードコントロール装置と、を備えた車両の制御装置であって、前記無段変速装置の異常を検出し、前記無段変速装置に異常が生じた際に、前記アイドルスピードコントロールを抑制または停止させるものである。
【0010】
本発明に係る他の車両の制御装置は、駆動輪と、エンジンと、前記エンジンに接続された入力軸と、出力軸と、を有し、前記入力軸と前記出力軸との間の変速比が調整される電子制御式の無段変速装置と、前記出力軸と前記駆動輪との間に配置され、前記出力軸の回転速度に応じて断続されるクラッチと、前記エンジンのアイドル回転速度を調節するアイドルスピードコントロールを行うアイドルスピードコントロール装置と、を備えた車両の制御装置であって、前記無段変速装置の異常を検出し、前記無段変速装置に異常が生じた際に、前記アイドルスピードコントロールを抑制または停止させるものである。
【0011】
本発明に係る車両の制御方法は、駆動輪と、エンジンと、前記エンジンに接続された入力軸と、出力軸と、を有し、前記入力軸と前記出力軸との間の変速比が調整される電子制御式の無段変速装置と、前記エンジンと前記駆動輪との間の動力伝達経路内に配置され、前記入力軸または前記出力軸の回転速度に応じて断続されるクラッチと、前記エンジンのアイドル回転速度を調節するアイドルスピードコントロールを行うアイドルスピードコントロール装置と、を備えた車両の制御方法であって、前記無段変速装置の異常を検出し、前記無段変速装置に異常が生じた際に、前記アイドルスピードコントロールを抑制または停止させる方法である。
【0012】
本発明に係る他の車両の制御方法は、駆動輪と、エンジンと、前記エンジンに接続された入力軸と、出力軸と、を有し、前記入力軸と前記出力軸との間の変速比が調整される電子制御式の無段変速装置と、前記出力軸と前記駆動輪との間に配置され、前記出力軸の回転速度に応じて断続されるクラッチと、前記エンジンのアイドル回転速度を調節するアイドルスピードコントロールを行うアイドルスピードコントロール装置と、を備えた車両の制御方法であって、前記無段変速装置の異常を検出し、前記無段変速装置に異常が生じた際に、前記アイドルスピードコントロールを抑制または停止させる方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ECVTおよびアイドルスピードコントロール装置を備えた車両において、ドライバビリティを向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明を実施した自動二輪車の側面図である。
【図2】エンジンユニットの断面図である。
【図3】CVTの構成を表す部分断面図である。
【図4】エンジンの吸気管近傍の断面図である。
【図5】自動二輪車の制御システムを表すブロック図である。
【図6】ISC F/B制御を表すフローチャートである。
【図7】遠心クラッチ25の接続状態に基づくISC F/B制御の抑制または禁止制御を表すフローチャートである。
【図8】変速装置20の異常に基づくISC F/B制御の抑制または禁止制御を表すフローチャートである。
【図9】変形例1におけるエンジンの吸気管近傍の断面図である。
【図10】変形例2におけるエンジンの吸気管近傍の断面図である。
【図11】実施形態2に係る制御システムを表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施形態1>
《本実施形態の概要》
本発明者らは、鋭意研究の結果、スロットルが閉じられている際に車両が増速する理由を初めて見出し、本実施形態をなすに至った。本実施形態に係る車両について詳細に説明する前に、本発明者らが見出したスロットルが閉じられている際に車両が増速する理由について説明する。
【0016】
−スロットルが閉じられている際に車両が増速する理由−
例えば、遠心ウエイトを用いたCVTの場合は、エンジンの回転速度に応じて変速比が決定される。具体的には、エンジンの回転速度が比較的高いときは、変速比は比較的小さくなる。一方、エンジンの回転速度が比較的低いときは、変速比は比較的大きくなる。それに対して、ECVTを搭載した車両では、上述のように、エンジン10の回転速度にかかわらず変速比を変えることができる。このため、エンジンの回転速度が低いにもかかわらず、変速比が小さいという事態が生じ得る。
【0017】
変速比が小さいと、ECVTの出力軸の回転速度が比較的高くなる。このため、変速比が小さいと、エンジンの回転速度が低いにもかかわらず、ECVTの出力軸の回転速度が比較的高くなる。その結果、出力軸に取り付けられた遠心クラッチが切れていない状態が生じ得る。言い換えれば、エンジンの回転速度が低いにもかかわらず、遠心クラッチが接続状態のままである場合がある。
【0018】
また、変速比が小さいと、エンジンにかかる負荷が比較的大きくなる。よって、エンジンの回転速度が目標とする回転速度よりも低くなる。このため、エンジンの回転速度を高めるべく、ISCが作動する。
【0019】
このように、変速比が小さく保たれていると、エンジンの回転速度が低いにもかかわらず、遠心クラッチがつながったままの状態で、かつISCが働く虞がある。したがって、ECVTを搭載した車両において、ライダーが減速しようとしてスロットルを閉じたときでも、変速比が比較的小さいがために、ISCが働き、車両が増速してしまう虞がある。本発明者らは、このことを初めて見出し、本実施形態をなすに至った。
【0020】
以下、本発明を実施した好ましい形態の一例について、図1に示す自動二輪車1を例に挙げて詳細に説明する。なお、本実施形態では、所謂スクータータイプの自動二輪車1を例に挙げて説明するが、本発明の車両は、所謂スクータータイプの自動二輪車に限定されない。本発明の車両は、例えば、スクータータイプ以外の自動二輪車であってもよい。具体的には、本発明の車両は、オフロードタイプ、モータサイクルタイプ、スクータータイプ、または所謂モペットタイプであってもよい。また、本発明の車両は、自動二輪車以外の鞍乗型車両であってもよい。具体的には、本発明の車両は、例えば、ATV:All Terrain Vehicle等であってもよい。さらには、本発明の車両は、四輪自動車等の鞍乗型車両以外の車両であってもよい。
【0021】
また、本実施形態では、ベルト式のECVTを備えた自動二輪車1を例に挙げて説明する。しかし、本発明に係る車両は、この構成に限定されない。例えば、本発明に係る車両は、ベルト式以外のECVTを有するものであってもよい。本発明に係る車両は、例えば、トロイダル式のECVT等を有するものであってもよい。
【0022】
《自動二輪車1の詳細説明》
(自動二輪車1の概略構成)
図1に自動二輪車1の側面図を示す。自動二輪車1は、車体フレーム(図示せず)を備えている。車体フレームには、エンジンユニット2が懸架されている。エンジンユニット2の後端部には、後輪3が配置されている。本実施形態において、この後輪3は、エンジンユニット2の動力で駆動する駆動輪を構成している。
【0023】
車体フレームは、操向ハンドル4から下方に延びるヘッドパイプ(図示せず)を有する。ヘッドパイプの下端には、フロントフォーク5が連結されている。フロントフォーク5の下端部には、前輪6が回転自在に取り付けられている。この前輪6は、エンジンユニット2には接続されておらず、従動輪を構成している。
【0024】
(エンジンユニット2の構成)
次に、図2〜図4を参照しながら、エンジンユニット2の構成について説明する。
【0025】
−エンジン10の構成−
図2および図3に示すように、エンジンユニット2は、エンジン(内燃機関)10と、変速装置20とを備えている。本実施形態では、エンジン10は、強制空冷式の4サイクルエンジンとして説明する。しかしながら、エンジン10は、他の形式のエンジンであってもよい。例えば、エンジン10は、水冷エンジンであってもよい。エンジン10は、2サイクルエンジンであってもよい。
【0026】
図3に示すように、エンジン10は、クランク軸11を備えている。クランク軸11の外周には、スリーブ12がスプライン係合されている。スリーブ12は、軸受13を介してハウジング14に回転自在に軸支されている。スリーブ12の外周には、電動機30に接続された一方向クラッチ31が取り付けられている。
【0027】
−ISC装置9の構成−
図4は、エンジン10に接続された吸気管15の近傍を表す断面図である。吸気管15は、エンジン10に、空気を供給する。吸気管15には、吸気管バルブとしてのスロットルバルブ18が配置されている。このスロットルバルブ18は、吸気管15の流路面積を調整することにより、吸気管15を流れる空気量を調整するためのものである。スロットルバルブ18は、図示しないスロットルによって駆動されている。スロットルを開けることによってスロットルバルブ18が開き、吸気管15を流れる空気量が増大する。
【0028】
なお、スロットルバルブ18には、図示しないスロットル開度センサ18a(図5参照)が取り付けられている。スロットルバルブ18の開度は、このスロットル開度センサ18aによって検出される。
【0029】
吸気管15内には、吸気管圧センサ19が配置されている。具体的には、吸気管圧センサ19は、吸気管15内のスロットルバルブ18よりもエンジン10側の下流部分15aに配置されている。この吸気管圧センサ19によって、下流部分15aの圧力が検出される。吸気管圧センサ19は、図5に示すように、この下流部分15aの圧力を、吸気管圧力としてECU7に出力する。
【0030】
吸気管15には、吸気管15内を流れる空気量を調節することによって自動二輪車1のアイドリング時のエンジン回転速度を調節するISC装置9が取り付けられている。具体的に、このISC装置9は、バイパス管16と、空気量調整装置17と、ECU7とにより構成されている。バイパス管16は、吸気管15のスロットルバルブ18が配置された部位をバイパスしている。言い換えれば、バイパス管16は、吸気管15のスロットルバルブ18よりも上流側と下流側とを接続している。空気量調整装置17は、バイパス管16の流路面積を調節することで吸気管15内を流れる空気量を調節するためのものである。具体的に、空気量調整装置17は、アクチュエータ17aと、アクチュエータ17aによって駆動されるバイパス管バルブ17bと、を備えている。バイパス管バルブ17bは、バイパス管16内に配置されている。バイパス管バルブ17bは、バイパス管16の流路面積を調整することにより、バイパス管16内を流れる空気量を調整する。なお、アクチュエータ17aは、例えば、ステッピングモータ等によって構成することができる。
【0031】
−変速装置20の構成−
本実施形態では、変速装置20は、ベルト式のECVTである。しかし、変速装置20は、ベルト式のECVTに限定されない。変速装置20は、例えば、トロイダル式のECVTであってもよい。
【0032】
変速装置20は、図2および図3に示すように、プライマリシーブ21と、セカンダリシーブ22と、Vベルト23と、を備えている。Vベルト23は、プライマリシーブ21とセカンダリシーブ22とに巻き掛けられている。Vベルト23の種類は特に限定されず、ゴムベルト、樹脂ブロックベルト等であってもよい。
【0033】
プライマリシーブ21は、クランク軸11と一体に回転する。プライマリシーブ21は、固定シーブ体21aと、可動シーブ体21bとを備えている。固定シーブ体21aは、クランク軸11の一端に固定されている。可動シーブ体21bは、固定シーブ体21aに対向して配置されている。可動シーブ体21bは、クランク軸11の軸方向に移動可能である。固定シーブ体21aと可動シーブ体21bとの各対向面によって、Vベルト23が巻き掛けられるベルト溝21cが形成されている。図3に示すように、可動シーブ体21bは、クランク軸11が貫通する円筒状のボス部21dを有している。このボス部21dの内側に、円筒状のスライダ24が固定されている。このスライダ24と一体の可動シーブ体21bは、クランク軸11の軸方向に移動可能である。このため、ベルト溝21cの溝幅は可変である。
【0034】
なお、プライマリシーブ21のベルト溝21cの溝幅は、電動機30によって、可動シーブ体21bがクランク軸11の軸方向に駆動されることによって変更される。なお、電動機30は、セルモータとしても使用されるものであってもよい。
【0035】
セカンダリシーブ22は、プライマリシーブ21の後方に配置されている。セカンダリシーブ22は、従動軸27に対して、遠心クラッチ25を介して取り付けられている。詳細に、セカンダリシーブ22は、固定シーブ体22aと、可動シーブ体22bとを備えている。可動シーブ体22bは、固定シーブ体22aと対向している。固定シーブ体22aは、従動軸27に遠心クラッチ25を介して連結されている。可動シーブ体22bは、従動軸27の軸方向に移動可能である。これら固定シーブ体22aと可動シーブ体22bとの各対向面によって、Vベルト23が巻き掛けられるベルト溝22cが形成されている。
【0036】
可動シーブ体22bは、スプリング26によって、ベルト溝22cの溝幅を減じる方向に付勢されている。このことから、プライマリシーブ21のベルト溝21cの溝幅が小さくなり、プライマリシーブ21に対するVベルト23の巻き掛け径が大きくなると、セカンダリシーブ22側においては、Vベルト23が径方向内側に引かれる。このため、可動シーブ体22bがスプリング26の付勢力に抗してベルト溝22cを広げる方向に移動する。このため、セカンダリシーブ22に対するVベルト23の巻き掛け径が小さくなる。
【0037】
−遠心クラッチ25の構成−
遠心クラッチ25は、遠心プレート25aと、遠心ウエイト25bと、クラッチハウジング25cと、を備えている。遠心プレート25aは、固定シーブ体22aと一体に回転する。遠心ウエイト25bは、遠心プレート25aに、遠心プレート25aの径方向に変位可能に支持されている。
【0038】
本実施形態では、この遠心プレート25aと遠心ウエイト25bとによって、第1のクラッチ部材25dが構成されている。なお、変速装置20の出力軸22a1は、セカンダリシーブ22の固定シーブ体22aに一体形成されている。具体的には、変速装置20の出力軸22a1は、固定シーブ体22aの従動軸27が挿入された筒状の部分により構成されている。
【0039】
クラッチハウジング25cは、第2のクラッチ部材25eを構成している。クラッチハウジング25cは、従動軸27の一端に固定されている。従動軸27には、減速機構28が連結されている。従動軸27は、この減速機構28を介して車軸29に連結されている。車軸29には、後輪3が取り付けられている。このように、クラッチハウジング25cは、従動軸27、減速機構28および車軸29を介して駆動輪としての後輪3に接続されている。クラッチハウジング25cは、出力軸22a1の回転速度に応じて第1のクラッチ部材25dと係脱する。具体的には、出力軸22a1の回転速度が所定の回転速度以上になると、遠心ウエイト25bが遠心力で遠心プレート25aの径方向外側に移動して、クラッチハウジング25cに接触する。これにより、第1のクラッチ部材25dと、第2のクラッチ部材25eとしてのクラッチハウジング25cとが係合する。第1のクラッチ部材25dと、クラッチハウジング25cとが係合すると、出力軸22a1の回転は、クラッチハウジング25c、従動軸27、減速機構28および車軸29を介して駆動輪としての後輪3に伝達される。一方、出力軸22a1の回転速度が所定の回転速度未満となると、遠心ウエイト25bに加わる遠心力が低下し、遠心ウエイト25bがクラッチハウジング25cから離れる。よって、出力軸22a1の回転は、クラッチハウジング25cに伝達されない。その結果、後輪3は回転しない。
【0040】
(自動二輪車1の制御システム)
次に、自動二輪車1の制御システムについて、図5を参照しながら詳細に説明する。自動二輪車1は、制御部としてのECU7を備えている。このECU7によって、変速装置20やエンジン10等が制御されている。
【0041】
−自動二輪車1の制御システムの概略構成−
図5に示すように、ECU7には、シーブ位置センサ40が接続されている。本実施形態では、このシーブ位置センサ40が変速装置20の変速比を検出する変速比センサを構成している。シーブ位置センサ40は、いわば変速装置20の可動部分の状態を検出するセンサであり、変速装置20の可動部分の状態を検出することで変速装置20の変速比を検出している。シーブ位置センサ40は、プライマリシーブ21の可動シーブ体21bの位置を検出する。シーブ位置センサ40は、検出された可動シーブ体21bの位置をシーブ位置検出信号としてECU7に出力する。なお、シーブ位置センサ40は、例えば、ポテンショメータ等によって構成することができる。
【0042】
また、ECU7には、プライマリシーブ回転センサ43と、セカンダリシーブ回転センサ41と、車速センサ42とが接続されている。プライマリシーブ回転センサ43は、プライマリシーブ21の回転速度を検出する。プライマリシーブ回転センサ43は、検出したプライマリシーブ21の回転速度に基づいてプライマリシーブ回転速度信号をECU7に出力する。セカンダリシーブ回転センサ41は、セカンダリシーブ22の回転速度を検出する。セカンダリシーブ回転センサ41は、検出したセカンダリシーブ22の回転速度に基づいてセカンダリシーブ回転速度信号をECU7に出力する。車速センサ42は、後輪3の回転速度を検出する。車速センサ42は、検出した回転速度に基づいて車速信号をECU7に出力する。
【0043】
ECU7には、操向ハンドル4に取り付けられたハンドルスイッチが接続されている。ハンドルスイッチは、ハンドルスイッチがライダーにより操作された際に、ハンドルSW信号を出力する。
【0044】
また、上述のように、スロットル開度センサ18aは、スロットル開度信号をECU7に対して出力する。
【0045】
−変速装置20の制御−
ECU7は、車速センサ42から出力される車速信号に基づいてプライマリシーブ21の可動シーブ体21bのシーブ位置を制御する。詳細には、ECU7において、スロットル開度と車速とから目標変速比が決定される。ECU7は、決定された目標変速比からシーブ目標位置を算出する。算出されたシーブ目標位置に応じてプライマリシーブ21の可動シーブ体21bのシーブ位置が制御される。
【0046】
なお、電動機30の駆動方式は、特に限定されるものではない。本実施形態では、電動機30を、パルス幅変調駆動(PWM(Pulse Width Modulation)駆動)されるものとして説明している。具体的には、ECU7には、電動機30の駆動回路(図示せず)と、その駆動回路に信号を出力する図示しないCPU(Central Processing Unit)とが設けられている。CPUは駆動回路に対してパルス幅変調信号を出力する。駆動回路は、そのパルス幅変調信号に応じたパルス電圧を電動機30に対して印加する。これにより、電動機30が駆動されている。ただし、電動機30は、ステップモータであってもよい。
【0047】
−アイドルスピードコントロールフィードバック制御−
アイドルスピードコントロール(ISC)フィードバック制御(以下、「ISC F/B」とする。)は、エンジン10のアイドリング時におけるエンジン回転速度を変化させる制御である。ISC F/B制御は、例えば、アイドリング時における自動二輪車1の早期暖機等を目的としてアイドル回転速度を上昇させる制御である。
【0048】
具体的には、ここでは、図6に示すフローチャートにしたがってISC F/B制御が行われる。まず、ステップS21において、下記条件1)〜6)が満たされるか否かが判断される。ステップS21において、下記条件1)〜6)が満たされていると判断された場合は、ステップS22に進む。そして、ステップS22において、エンジン10への吸入空気量が調整される。具体的には、エンジン10の吸入空気量が増加または減少される。例えば、エンジン10への吸入空気量が増加される場合は、アクチュエータ17aによりバイパス管バルブ17bが駆動され、バイパス管16の流路面積が拡大し、エンジン10への吸入空気量が増加される。
【0049】
一方、ステップS21において、下記条件1)〜6)が満たされてないと判断された場合は、再びステップS21に戻る。
1)エンジン回転速度≧ISC F/B制御許可エンジン回転速度
2)エンジン10の冷却水の温度≧ISC F/B制御許可水温
3)スロットル開度≦アイドル判定開度
4)自動二輪車1の車速<ISC F/B制御許可車速
5)スロットル開度センサ18aが異常ではない
6)減速フューエルカット状態ではない
【0050】
ステップS21における条件1)、2)は、エンジン10が停止してしまうことを回避するための条件である。条件1)におけるISC F/B制御許可エンジン回転速度は、例えば500rpmに設定することができる。ただし、条件1)におけるISC F/B制御許可エンジン回転速度や条件2)におけるISC F/B制御許可水温は、自動二輪車1のタイプや使用環境等に応じて適宜設定することができる。
【0051】
ステップS21における条件3)および4)は、自動二輪車1がアイドリング状態にあり、それほど車速が高くない状態であるか否かを判断するための条件である。条件3)におけるアイドル判定開度、条件4)におけるISC F/B制御許可車速も、自動二輪車1のタイプや使用環境等に応じて適宜設定することができる。
【0052】
ステップS21における条件6)は、ISC F/B制御以外の何らかの制御で、すでに減速フューエルカット状態とされていないか否かを判断するものである。
【0053】
−ISC F/B制御の抑制または停止−
一つの参考形態では、上記のようなISC F/B制御が、図7に示すフローチャートに基づいて抑制または停止される。具体的には、遠心クラッチ25が接続状態である場合にISC F/B制御が抑制または停止される。
【0054】
図7に示すように、ステップS1において、遠心クラッチ25が接続状態にあるか否かが判断される。具体的には、ステップS1では、第1のクラッチ部材25dと第2のクラッチ部材25eとが係合状態にあるか否かが判断される。
【0055】
なお、遠心クラッチ25の接続状態の判断方法は、特に限定されない。例えば、遠心クラッチ25の接続状態は、セカンダリシーブ回転センサ41により検出される第1のクラッチ部材25dの回転速度により判断するようにしてもよい。具体的には、第1のクラッチ部材25dおよび従動軸27の回転速度が所定の回転速度以上であるときに遠心クラッチ25が接続状態にあると判断してもよい。
【0056】
また、遠心クラッチ25の接続状態は、第1のクラッチ部材25dおよび従動軸27の回転速度と、第2のクラッチ部材25eの回転速度との差の大きさによって判断するようにしてもよい。具体的には、第1のクラッチ部材25dおよび従動軸27の回転速度と第2のクラッチ部材25eの回転速度とが実質的に同じとなっているときに、遠心クラッチ25が接続状態にあると判断するようにしてもよい。
【0057】
ステップS1において、遠心クラッチ25が接続状態にあると判断された場合は、ISC F/B制御が抑制または停止される。なお、ISC F/B制御の抑制は、ISC F/B制御のゲインを低下させたり、ISC F/B制御のフィードバック周期を長くしたりすることである。
【0058】
《作用および効果》
ところで、スロットルが閉じられているにもかかわらず、自動二輪車1が増速する事態は、遠心クラッチ25が接続状態にあるために生じる事態である。遠心クラッチ25がつながっていない状態では、エンジン10の動力は後輪3に伝達されないため、スロットルが閉じられているときに自動二輪車1が増速することはない。ここで、本参考形態では、遠心クラッチ25が接続状態にあるときは、ISC F/B制御が抑制または停止される。このため、本参考形態では、ライダーの意図に反して自動二輪車1が増速する事態の発生が抑制され、良好なドライバビリティが実現されている。
【0059】
なお、ISC F/B制御は、自動二輪車1のアイドリング時におけるエンジン回転速度を調節するための制御である。このため、遠心クラッチ25がつながるようなエンジン回転速度が比較的高いときには特段必要ない。したがって、遠心クラッチ25が接続状態にある場合にISC F/B制御を抑制または停止させても大きな問題は生じない。
【0060】
また、ISC F/B制御は、遠心クラッチ25が半クラッチ状態のときには、行ってもよく、行わなくてもよい。
【0061】
上記参考形態では、遠心クラッチ25の接続状態にあるときにISC F/B制御を抑制または停止する例について説明した。一方、本発明の実施形態1は、以下のように変速装置20に異常が生じたときにISC F/B制御の抑制または停止を行うものである。以下、図8を参照しながら実施形態1におけるISC F/B制御の抑制または停止について説明する。ISC F/B制御の抑制または停止以外については上記参考形態と同様であり、図1〜6も上記参考形態と共通に参照する。
【0062】
図8に示すように、ステップS11において変速装置20の異常の有無が判断される。ステップS11において変速装置20に異常が生じていると判断された場合は、ステップS12に進み、ISC F/B制御の抑制または停止が行われる。このステップS12において行われるISC F/B制御の抑制または停止は、上記参考形態のステップS2において行われるISC F/B制御の抑制または停止と同様である。
【0063】
なお、「変速装置20の異常」とは、変速装置20において、変速比の制御が通常通りに行われなくなることをいう。具体的に、「変速装置20の異常」とは、入力軸回転速度センサとしてのプライマリシーブ回転センサ43の異常と、スロットル開度センサ18aの異常と、車速センサ42の異常と、変速装置20のECU7を除く変速機構の異常と、ECU7とECU7および変速機構を接続する配線等とを含む変速装置制御系の異常と、変速比センサとしてのシーブ位置センサ40の異常と、セカンダリシーブ回転センサ41の異常等とのうち少なくともひとつが生じた場合を含むものである。
【0064】
《作用および効果》
スロットルが閉じられているにもかかわらず、変速装置20の変速比が比較的高く保たれる事態は、例えば、変速装置20に異常が生じたときに発生する虞がある。このため、変速装置20に異常が生じたときにISC F/B制御を抑制または停止させることで、ライダーの意図に反して車両が増速する事態の発生を抑制することができる。
【0065】
《変形例1》
上記実施形態では、バイパス管16を備えたISC装置9を備えた自動二輪車1を例に挙げて、本発明を実施した好ましい形態の一例について説明した。しかし、本発明において、ISC装置9は、バイパス管を有するものに限定されるものではない。ISC装置9は、例えば、図9に示すように、アクチュエータ45により駆動される電子制御式のスロットルバルブ18bを用いたものであってもよい。図9に示すISC装置9では、スロットルバルブ18bの開度がECU7によって電子制御される。
【0066】
《変形例2》
また、図10に示すように、電子制御式ではないスロットルバルブ18の開度を強制的に調節するスロットル開度調節装置50とECU7とによりISC装置9を構成してもよい。スロットル開度調節装置50は、例えば、スロットルバルブ18を押圧する押圧部材52と、その押圧部材52を駆動するアクチュエータ51とによって構成するようにしてもよい。具体的に、スロットル開度調節装置50を、例えば、ソレノイド素子で構成してもよい。
【0067】
《変形例3》
上記実施形態では、遠心クラッチ25は、出力軸22a1と後輪3との間に配置されていた。しかし、遠心クラッチ25は、エンジン10と後輪3との間の動力伝達経路内に配置されていればよく、例えば、入力軸としてのクランク軸11とプライマリシーブ21との間に設けられていてもよい。遠心クラッチ25は、出力軸22a1の回転速度に応じて断続されるものでなく、入力軸としてのクランク軸11の回転速度に応じて断続されるものであってもよい。
【0068】
<実施形態2>
図11は、実施形態2に係る自動二輪車の制御システムを表すブロック図である。実施形態2においても、変速装置260はベルト式のECVTである。ただし、実施形態2に係る変速装置260のベルトは、いわゆる金属ベルト264である。
【0069】
実施形態1では、ECVTのアクチュエータは、電動機30であった。しかし、ECVTのアクチュエータは電動機30に限定されるわけではない。以下に説明する実施形態2では、ECVTのアクチュエータは油圧アクチュエータである。
【0070】
また、実施形態1では、クラッチは、変速装置20の出力軸22a1の回転速度に応じて機械的に断続される遠心クラッチ25であった。しかし、本発明に係るクラッチは、変速装置の入力軸または出力軸の回転速度に応じて断続されるクラッチであれば足り、また、回転速度に応じて機械的に断続されるクラッチに限らず、回転速度に応じて断続制御されるクラッチであってもよい。実施形態2では、そのようなクラッチとして、電子制御される多板式摩擦クラッチ265が用いられている。
【0071】
図11に示すように、実施形態2に係る自動二輪車は、電子制御される多板式摩擦クラッチ265と、ECVTからなる変速装置260とを備えている。変速装置260は、プライマリシーブ262と、セカンダリシーブ263と、プライマリシーブ262とセカンダリシーブ263とに巻き掛けられた金属ベルト264とを備えている。プライマリシーブ262は、固定シーブ体262Aと可動シーブ体262Bとから構成されている。セカンダリシーブ263は、固定シーブ体263Aと可動シーブ体263Bとから構成されている。
【0072】
プライマリシーブ262には、プライマリシーブ回転数センサ43が設けられている。セカンダリシーブ263には、セカンダリシーブ回転数センサ41が設けられている。
【0073】
自動二輪車は、油圧アクチュエータとして、油圧シリンダ267Aと、油圧シリンダ267Bと、油圧シリンダ267A,267Bに接続された油圧制御弁267Cとを備えている。油圧シリンダ267Aは、プライマリシーブ262の可動シーブ体262Bを駆動することにより、プライマリシーブ262の溝幅を調整する。油圧シリンダ267Bは、セカンダリシーブ263の可動シーブ体263Bを駆動することにより、セカンダリシーブ263の溝幅を調整する。油圧制御弁267Cは、油圧シリンダ267A,267Bに付与する油圧を調整する弁である。油圧制御弁267Cは、両油圧シリンダ267A,267Bのうち、いずれか一方の油圧を高くするときには、他方の油圧が低くなるように制御を行う。この油圧制御弁267Cは、ECU7によって制御される。
【0074】
多板式摩擦クラッチ265は、エンジン10と変速装置260の入力軸271との間に設けられており、エンジン10の回転速度に応じて断続制御される。例えば、多板式摩擦クラッチ265は、エンジン10の回転速度が所定値以上になると接続され、逆に、エンジン10の回転速度が所定値未満になると切断されるように制御される。
【0075】
実施形態2においても、実施形態1と同様の制御が行われる。すなわち、変速装置260の異常を検出し、異常が生じた場合にはISC F/B制御を抑制または停止させる(図8参照)。
【0076】
なお、多板式摩擦クラッチ265が半クラッチ状態のときには、ISC F/B制御を行ってもよく、行わなくてもよい。
【0077】
《その他の変形例》
本発明の車両は、例えば、スクータータイプ以外の自動二輪車であってもよい。具体的には、本発明の車両は、オフロードタイプ、モータサイクルタイプ、スクータータイプ、または所謂モペットタイプであってもよい。また、本発明の車両は、自動二輪車以外の鞍乗型車両であってもよい。具体的には、本発明の車両は、例えば、ATV:All Terrain Vehicle等であってもよい。さらには、本発明の車両は、四輪自動車等の鞍乗型車両以外の車両であってもよい。
【0078】
変速装置は、例えば、トロイダル式のECVTであってもよい。
【0079】
エンジン10は、強制空冷式の4サイクルエンジン以外の形式のエンジンであってもよい。例えば、エンジン10は、水冷エンジンであってもよい。エンジン10は、2サイクルエンジンであってもよい。
【0080】
ISC F/B制御の条件は、図6に示す条件でなくてもよい。ISC F/B制御の条件は、車種等に応じて適宜決定することができる。
【0081】
《本明細書における用語等の定義》
「アイドル回転速度」とは、車両のアイドリング時におけるエンジンの回転速度をいう。
【0082】
「ISC F/B制御の抑制」は、ISC F/B制御のゲインを低下させたり、ISC F/B制御のフィードバック周期を長くしたりすることである。
【0083】
「変速装置の異常」とは、変速装置において、変速比の制御が通常通りに行われなくなることをいう。具体的に、「変速装置の異常」とは、入力軸回転速度センサとしてのプライマリシーブ回転センサ43の異常と、スロットル開度センサ18aの異常と、車速センサ42の異常と、変速装置20のECU7を除く変速機構の異常と、ECU7とECU7および変速機構を接続する配線等とを含む変速装置制御系の異常と、変速比センサとしてのシーブ位置センサ40の異常と、セカンダリシーブ回転センサ41の異常等とのうち少なくともひとつが生じた場合を含むものである。
【0084】
「クラッチがつながっている状態」は、本発明を適用する車両に応じて、半クラッチ状態を含めてもよいし、半クラッチ状態を含めないようにしてもよい。
【0085】
「回転速度に応じて断続されるクラッチ」には、回転速度に応じて機械的に断続される遠心クラッチの他、回転速度に応じて断続制御されるクラッチも含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明は、鞍乗型車両等の車両に有用である。
【符号の説明】
【0087】
1 自動二輪車
2 エンジンユニット
3 後輪(駆動輪)
7 ECU(制御部)
9 ISC装置
10 エンジン
11 クランク軸(入力軸)
18a スロットル開度センサ
19 吸気管圧センサ
20 変速装置
21 プライマリシーブ
21a 固定シーブ体
21b 可動シーブ体
22 セカンダリシーブ
22a 固定シーブ体
22a1 出力軸
22b 可動シーブ体
23 Vベルト
25 遠心クラッチ
25d 第1のクラッチ部材
25e 第2のクラッチ部材
27 従動軸
28 減速機構
29 車軸
40 シーブ位置センサ
41 セカンダリシーブ回転センサ
42 車速センサ
43 プライマリシーブ回転センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動輪と、
エンジンと、
前記エンジンに接続された入力軸と、出力軸と、を有し、前記入力軸と前記出力軸との間の変速比が調整される電子制御式の無段変速装置と、
前記エンジンと前記駆動輪との間の動力伝達経路内に配置され、前記入力軸または前記出力軸の回転速度に応じて断続されるクラッチと、
前記エンジンのアイドル回転速度を調節するアイドルスピードコントロールを行うアイドルスピードコントロール装置と、
前記無段変速装置の異常を検出し、前記無段変速装置に異常が生じた際に、前記アイドルスピードコントロールを抑制または停止させる制御部と、
を備えた車両。
【請求項2】
駆動輪と、
エンジンと、
前記エンジンに接続された入力軸と、出力軸と、を有し、前記入力軸と前記出力軸との間の変速比が調整される電子制御式の無段変速装置と、
前記出力軸と前記駆動輪との間に配置され、前記出力軸の回転速度に応じて断続されるクラッチと、
前記エンジンのアイドル回転速度を調節するアイドルスピードコントロールを行うアイドルスピードコントロール装置と、
前記無段変速装置の異常を検出し、前記無段変速装置に異常が生じた際に、前記アイドルスピードコントロールを抑制または停止させる制御部と、
を備えた車両。
【請求項3】
請求項2に記載された車両において、
前記入力軸の回転速度を検出する入力軸回転速度センサと、
スロットル開度センサと、
車速センサと、
をさらに備え、
前記無段変速装置は、
前記変速比を制御する変速装置制御系と、
前記変速比を検出する変速比センサと、
をさらに有し、
前記無段変速装置の異常は、前記変速装置制御系の異常、前記入力軸回転速度センサの異常、前記スロットル開度センサの異常、前記車速センサの異常および前記変速比センサの異常の少なくともひとつを含む車両。
【請求項4】
駆動輪と、
エンジンと、
前記エンジンに接続された入力軸と、出力軸と、を有し、前記入力軸と前記出力軸との間の変速比が調整される電子制御式の無段変速装置と、
前記エンジンと前記駆動輪との間の動力伝達経路内に配置され、前記入力軸または前記出力軸の回転速度に応じて断続されるクラッチと、
前記エンジンのアイドル回転速度を調節するアイドルスピードコントロールを行うアイドルスピードコントロール装置と、
を備えた車両の制御装置であって、
前記無段変速装置の異常を検出し、前記無段変速装置に異常が生じた際に、前記アイドルスピードコントロールを抑制または停止させる制御装置。
【請求項5】
駆動輪と、
エンジンと、
前記エンジンに接続された入力軸と、出力軸と、を有し、前記入力軸と前記出力軸との間の変速比が調整される電子制御式の無段変速装置と、
前記出力軸と前記駆動輪との間に配置され、前記出力軸の回転速度に応じて断続されるクラッチと、
前記エンジンのアイドル回転速度を調節するアイドルスピードコントロールを行うアイドルスピードコントロール装置と、
を備えた車両の制御装置であって、
前記無段変速装置の異常を検出し、前記無段変速装置に異常が生じた際に、前記アイドルスピードコントロールを抑制または停止させる制御装置。
【請求項6】
駆動輪と、
エンジンと、
前記エンジンに接続された入力軸と、出力軸と、を有し、前記入力軸と前記出力軸との間の変速比が調整される電子制御式の無段変速装置と、
前記エンジンと前記駆動輪との間の動力伝達経路内に配置され、前記入力軸または前記出力軸の回転速度に応じて断続されるクラッチと、
前記エンジンのアイドル回転速度を調節するアイドルスピードコントロールを行うアイドルスピードコントロール装置と、
を備えた車両の制御方法であって、
前記無段変速装置の異常を検出し、前記無段変速装置に異常が生じた際に、前記アイドルスピードコントロールを抑制または停止させる制御方法。
【請求項7】
駆動輪と、
エンジンと、
前記エンジンに接続された入力軸と、出力軸と、を有し、前記入力軸と前記出力軸との間の変速比が調整される電子制御式の無段変速装置と、
前記出力軸と前記駆動輪との間に配置され、前記出力軸の回転速度に応じて断続されるクラッチと、
前記エンジンのアイドル回転速度を調節するアイドルスピードコントロールを行うアイドルスピードコントロール装置と、
を備えた車両の制御方法であって、
前記無段変速装置の異常を検出し、前記無段変速装置に異常が生じた際に、前記アイドルスピードコントロールを抑制または停止させる制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2012−87807(P2012−87807A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−9630(P2012−9630)
【出願日】平成24年1月20日(2012.1.20)
【分割の表示】特願2007−302500(P2007−302500)の分割
【原出願日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】