説明

車両の制御装置

【課題】ハイブリッド車両において、回生エネルギーを適切に利用する。
【解決手段】車両の制御装置(100)は、エンジン(21)と、エンジンに機械的に接続された第1電動発電機(22)と、第1電動発電機と電気的に接続され、駆動源として機能可能な第2電動発電機(23)と、第1及び第2電動発電機に電気的に接続され、第1及び第2電動発電機に電力を供給可能であると共に、第1及び第2電動発電機により発電された電力を蓄電可能な蓄電装置(11、12)とを備えた車両の制御装置である。該車両の制御装置は、第2電動発電機により発電された電力量が蓄電装置の充電許容量を超えることを条件に、第2電動発電機により発電された電力を利用して、エンジンを回転するように第1電動発電機を制御する制御手段(31)を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジン及び電動発電機を備えるハイブリッド車両の制御装置の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置として、例えば特許文献1には、走行モータ、マイクロガスタービン発電装置、バッテリ及びキャパシタを備える鉄道牽引車が記載されている。ここでは特に、鉄道牽引車の制動時には、走行モータが発電機となって発生する回生電力がバッテリやキャパシタに回収されることが記載されている。また、特許文献2には、エンジンフリクションを変更可能なフリクション可変機構を有するハイブリッド車両の制御装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−203986号公報
【特許文献2】特開2005−042608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の背景技術によれば、バッテリやキャパシタの蓄電能力を超える回生電力の利用については開示されていない。すると、回生エネルギーが十分には活用されない可能性があるという技術的問題点がある。
【0005】
本発明は、例えば上記問題点に鑑みてなされたものであり、回生エネルギーを適切に利用することができる車両の制御装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の車両の制御装置は、上記課題を解決するために、エンジンと、前記エンジンに機械的に接続された第1電動発電機と、前記第1電動発電機と電気的に接続され、駆動源として機能可能な第2電動発電機と、前記第1及び第2電動発電機に電気的に接続され、前記第1及び第2電動発電機に電力を供給可能であると共に、前記第1及び第2電動発電機により発電された電力を蓄電可能な蓄電装置とを備えた車両の制御装置であって、前記第2電動発電機により発電された電力量が前記蓄電装置の充電許容量を超えることを条件に、前記第2電動発電機により発電された電力を利用して、前記エンジンを回転するように前記第1電動発電機を制御する制御手段を備える。
【0007】
本発明の車両の制御装置によれば、車両は、エンジンと、該エンジンに機械的に接続された第1電動発電機と、該第1電動発電機と電気的に接続され、当該車両の駆動源として機能可能な第2電動発電機と、第1及び第2電動発電機に電気的に接続され、第1及び第2電動発電機に電力を供給可能であると共に、第1及び第2電動発電機により発電された電力を蓄電可能な蓄電装置とを備えるハイブリッド車両である。
【0008】
ここで、「第1電動発電機により発電された電力」とは、第1電動発電機に接続されているエンジンが駆動することによって、第1電動発電機が回転され、第1電動発電機が発電機として機能することにより発電された電力を意味する。
【0009】
他方、「第2電動発電機により発電された電力」とは、第2電動発電機の回転抵抗を利用して、当該車両に制動力を発生させる際に、第2電動発電機が回転され、第2電動発電機が発電機として機能することにより発電された電力(即ち、回生電力)を意味する。
【0010】
例えばメモリ、プロセッサ等を備えてなる制御手段は、第2電動発電機により発電された電力量が蓄電装置の充電許容量を超えることを条件に、第2電動発電機により発電された電力を利用して、エンジンを回転するように第1電動発電機を制御する。
【0011】
ここで、「第2電動発電機により発電された電力を利用して、エンジンを回転するように」とは、回生電力を、蓄電装置を介さずに直接、第1電動発電機に供給することによって、第1電動発電機を電動機として機能させることにより、第1電動発電機に接続されているエンジンを回転することを意味する。
【0012】
本願発明者の研究によれば、以下の事項が判明している。回生電力が蓄電装置の充電許容量を超える場合、蓄電装置の過充電を防止するために、回生電力の余剰分を、例えば発電機、発電機用インバータ、エンジン等の電力を消費するデバイスに供給することが多い。回生電力の余剰分が前記電力を消費するデバイスに供給されることによって、電気エネルギーが、電力を消費するデバイスの運動エネルギー及び熱エネルギーに変換され消費される。
【0013】
しかしながら、運動エネルギーは、車両の駆動には利用されない。また、熱エネルギーは、例えばエンジンの暖機に利用されたとしても、一度変換されているため、エネルギーの利用効率は比較的低い。このため、回生電力の余剰分が前記電力を消費するデバイスに供給されたとしても、回生電力は十分には活用されない可能性がある。
【0014】
しかるに本発明では、制御手段により、第2電動発電機により発電された電力量が蓄電装置の充電許容量を超えることを条件に、第2電動発電機により発電された電力を利用して、エンジンを回転するように第1電動発電機が制御される。このようにエンジンが回転されることにより、次回エンジンを始動する際に、エンジンを始動するために、蓄電装置から第1電動発電機に供給される電力量を低減することができる。この結果、蓄電装置が過充電状態になることを防止しつつ、次回エンジンを始動しやすくすることができる。
【0015】
以上の結果、本発明の車両の制御装置によれば、回生エネルギーを適切に利用することができる。
【0016】
本発明の車両の制御装置の一態様では、前記制御手段は、前記第2電動発電機により発電された電力量が前記充電許容量を超えることを条件に、前記第2電動発電機により発電された電力を利用して、前記エンジンが、前記エンジンに係る共振帯域より低い回転数で回転するように前記第1電動発電機を制御する。
【0017】
この態様によれば、制御手段により、第2電動発電機により発電された電力を利用して、エンジンが、エンジンに係る共振帯域より低い回転数で回転するように第1電動発電機が制御される。このため、第1電動発電機を駆動する際に、エンジンの共振等による振動を防止することができる。加えて、車両の操縦者等に、エンジンの共振等に起因する違和感を与えることがないので、実用上非常に有利である。
【0018】
本発明の車両の制御装置の他の態様では、前記蓄電装置は、主蓄電手段と、副蓄電手段と、前記第1及び第2電動発電機と前記主蓄電手段との間の電気的な接続と、前記第1及び第2電動発電機と前記副蓄電手段との間の電気的な接続と、を切り替え可能な切替手段とを含み、前記制御手段は、前記第2電動発電機により発電された電力量が、前記主蓄電手段の蓄電可能容量を超えることを条件に、前記第2電動発電機により発電された電力が前記副蓄電手段に蓄電されるように前記切替手段を制御する。
【0019】
この態様によれば、蓄電装置は、例えばバッテリ等である主蓄電手段と、例えばキャパシタ等である副蓄電手段と、第1及び第2電動発電機と主蓄電手段との間の電気的な接続と、第1及び第2電動発電機と副蓄電手段との間の電気的な接続と、を切り替え可能な切替手段とを含んでいる。
【0020】
制御手段は、第2電動発電機により発電される電力量が、主蓄電手段の蓄電可能容量を超えることを条件に、第2電動発電機により発電された電力が、副蓄電手段に蓄電されるように切替手段を制御する。
【0021】
これにより、主蓄電手段が過充電状態になることを防止することができる。加えて、例えばエンジンを始動する際に、瞬間的に高いトルクが要求された場合であっても、主蓄電手段及び副蓄電手段の両方から第1電動発電機に電力を供給することによって、第1電動発電機が要求されたトルクを出力することができ、実用上非常に有利である。
【0022】
尚、主蓄電手段と副蓄電手段とは、例えば電気的に相互に並列に接続されている。
【0023】
この態様では、前記車両の走行情報を検出する走行情報検出手段を更に備え、前記制御手段は、前記検出された走行情報に基づいて前記エンジンが始動されるまでの時間を予測し、前記予測された時間に応じて、前記第1電動発電機に供給される電力と前記副蓄電手段に蓄電される電力との配分を変更してよい。
【0024】
このように構成すれば、例えば第1電動発電機を駆動すること等に起因する回生電力の活用において生じる損失を低減することができる。
【0025】
例えばカーナビゲーション装置等である走行情報検出手段は、車両の走行情報を検出する。制御手段は、検出された走行情報に基づいてエンジンが始動されるまでの時間を予測する。具体的には例えば、制御手段は、検出された走行情報(例えば、道路勾配情報等)に基づいて、現在時刻よりも所定時間先の当該車両の走行状況、即ち、必要駆動力を予測することによって、次回エンジンが始動されるまでの時間を予測する。
【0026】
制御手段は、更に、予測された時間に応じて、第1電動発電機に供給される電力と副蓄電池に蓄電される電力との配分を変更する。ここで、「第1電動発電機に供給される電力」とは、エンジンを回転させるために(即ち、次回エンジンを始動させるためのクランキングのために)、蓄電装置(即ち、主蓄電手段及び副蓄電手段)を介さずに、第1電動発電機に供給される電力を意味する。
【0027】
本発明の車両の制御装置の他の態様では、前記エンジンの回転に係る抵抗力を低減可能な抵抗力低減手段を更に備え、前記制御手段は、前記第1電動発電機により前記エンジンを回転させる際に、前記抵抗力を低減するように前記抵抗力低減手段を制御する。
【0028】
この態様によれば、例えばエンジンの動弁系制御装置等である抵抗力低減手段は、エンジンの回転に係る抵抗力を低減可能である。制御手段は、第1電動発電機によりエンジンを回転させる際に、抵抗力を低減するように抵抗力低減手段を制御する。これにより、比較的早期に、エンジンの回転数をエンジン始動回転数まで上昇させることができ、実用上非常に有利である。
【0029】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施するための形態から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】第1実施形態に係る車両の構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態に係るバッテリ、キャパシタ及びコンバータの相互間の電気的な接続を示す回路図である。
【図3】エンジンを始動する際に、第1モータ・ジェネレータに要求されるトルクと第1モータ・ジェネレータの回転数との関係の一例を示す概念図である。
【図4】第1モータ・ジェネレータの出力と始動時間との関係の一例を示す概念図である。
【図5】車両要求パワーと車速との関係の一例を概念的に示す概念図である。
【図6】第1実施形態に係る充電処理を示すフローチャートである。
【図7】第1実施形態に係る放電処理を示すフローチャートである。
【図8】第2実施形態に係る充電処理を示すフローチャートである。
【図9】第1モータ・ジェネレータの回転数と第1モータ・ジェネレータのトルクとの関係の一例を示す概念図である。
【図10】第2実施形態に係る回生電力の利用用途の概念を示す概念図である。
【図11】第3実施形態に係る充電処理を示すフローチャートである。
【図12】第3実施形態に係る回生電力の利用用途の概念を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面に基づいて、本発明に係る車両の制御装置の実施形態について説明する。
【0032】
<第1実施形態>
本発明に係る車両の制御装置の第1実施形態について、図1乃至図7を参照して説明する。
【0033】
先ず、本実施形態に係る制御装置が搭載される車両の構成について、図1を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る車両の構成を示すブロック図である。尚、図1では、説明の便宜上、本実施形態に直接関係のある部材のみ示し、他の部材については図示を省略している。また、図1において、実線は機械力伝達経路を示しており、二重線は電力線を示しており、点線は制御線を示している。
【0034】
車両1は、バッテリ11、キャパシタ12、コンバータ13、インバータ14及び15、エンジン21、第1モータ・ジェネレータ(MG1)22、第2モータ・ジェネレータ(MG2)23、油圧ブレーキ24並びに動弁系制御手段25を備えて構成されている。
【0035】
第1モータ・ジェネレータ22は、エンジン21により回転されることによって、ジェネレータとして機能し、発電された電力を、インバータ14等を介して、バッテリ11、キャパシタ12又は第2モータ・ジェネレータ23に供給する。他方で、第1モータ・ジェネレータ22は、電力を供給されることによって、モータとして機能し、エンジン21を回転する(即ち、クランキングする)。
【0036】
第2モータ・ジェネレータ23は、電力を供給されることによって、モータとして機能し、動力伝達系統を介して、駆動輪(図示せず)に動力を伝達する。他方で、第2モータ・ジェネレータ23は、車両1に制動力を発生させる際に、回生ブレーキとして機能し、発電された電力を、インバータ15等を介して、バッテリ11、キャパシタ12又は第1モータ・ジェネレータ22に供給する。
【0037】
車両1は、エンジン21により第1モータ・ジェネレータ22を駆動し、該第1モータ・ジェネレータ22により発電された電力によって、第2モータ・ジェネレータ23が駆動輪を駆動するシリーズハイブリッド車両である。
【0038】
尚、本実施形態に係る「第1モータ・ジェネレータ22」、「第2モータ・ジェネレータ23」及び「動弁系制御手段25」は、夫々、本発明に係る「第1電動発電機」、「第2電動発電機」及び「抵抗力低減手段」の一例である。また、本実施形態に係る「バッテリ11」及び「キャパシタ12」は、本発明に係る「蓄電装置」の一例である。
【0039】
ここで、バッテリ11、キャパシタ12及びコンバータ13の相互間の電気的な接続について、図2を参照して説明する。図2は、本実施形態に係るバッテリ、キャパシタ及びコンバータの相互間の電気的な接続を示す回路図である。
【0040】
図2において、バッテリ11とキャパシタ12とは、電気的に並列に接続されている。電圧センサ41は、バッテリ11の電圧を測定可能である。電圧センサ42は、キャパシタ12の電圧を測定可能である。電流センサ43は、バッテリ11及びコンバータ13間に流れる電流を測定可能である。電流センサ44は、キャパシタ12及びコンバータ13間に流れる電流を測定可能である。
【0041】
スイッチSW1は、端子aに接続されることによって、第1モータ・ジェネレータ22及び第2モータ・ジェネレータ23と、キャパシタ12とを電気的に接続する。他方、スイッチSW1は、端子bに接続されることによって、第1モータ・ジェネレータ22及び第2モータ・ジェネレータ23と、バッテリ11とを電気的に接続する。
【0042】
スイッチSW2がON状態にされることによって、バッテリ11及びキャパシタ12の両方から第1モータ・ジェネレータ22又は第2モータ・ジェネレータ23に電力が供給される。スイッチSW3がON状態にされることによって、キャパシタ12に蓄えられた電力が、スイッチSW3に隣接する抵抗で消費される。
【0043】
尚、本実施形態に係る「バッテリ11」、「キャパシタ12」及び「スイッチSW1」は、本発明に係る「主蓄電手段」、「副蓄電手段」及び「切替手段」の一例である。
【0044】
再び図1に戻り、本実施形態に係る制御装置100は、システム制御装置31及び走行情報提供装置34を備えて構成されている。システム制御装置31は、駆動力予測手段32及び回生電力・エンジン回転数制御手段33を備えて構成されている。
【0045】
尚、本実施形態に係る「システム制御装置31」及び「走行情報提供装置34」は、夫々、本発明に係る「制御手段」及び「走行情報検出手段」の一例である。
【0046】
エンジン21の始動パワーは、下記式(1)に示すように、エンジン・クランクシャフトを回転させるため(即ち、摩擦に打ち勝つため)のトルク(式(1)における“Te_fric”)と、目標とする回転数まで指定時間内に上昇させるためのトルク(式(1)における“Ie×d(Ne)/dT”)に、始動時回転数を乗算したものとして求めることができる。
【0047】
エンジン始動パワー=Ne_target×π/30×(Te_fric+Ie×d(Ne)/dT)…(1)
エンジン21の始動は、該エンジン21の出力軸に接続された第1モータ・ジェネレータ22を駆動する(即ち、モータとして機能させる)ことにより実現される。ところで、エンジン21を回転させる過程で、エンジン21の回転数が、エンジン21が共振しやすい回転数帯を通過する。エンジン21の共振を防止するために、第1モータ・ジェネレータ22には、例えば図3に示すような、瞬間的に高いトルク出力が要求される。
【0048】
本実施形態では、要求されたトルク出力を提供するために、バッテリ11及びキャパシタ12の各々に蓄えられた電力を第1モータ・ジェネレータ22に供給している。具体的には、図4に示すように、第1モータ・ジェネレータ22に要求される出力が、予め定められた閾値を超える場合、スイッチSW2(図2参照)をON状態にすることによってバッテリ11及びキャパシタ12を電気的に接続して、第1モータ・ジェネレータ22に大電流を供給する。
【0049】
ここで、図3は、エンジン21を始動する際に、第1モータ・ジェネレータ22に要求されるトルクと第1モータ・ジェネレータ22の回転数との関係の一例を示す概念図である。尚、図中の点線は、等パワーラインを示している。
【0050】
また、図4は、第1モータ・ジェネレータ22の出力と始動時間との関係の一例を示す概念図である。
【0051】
第2モータ・ジェネレータ23が回生ブレーキとして機能し、該第2モータ・ジェネレータ23により発電された電力量が、バッテリ11及びキャパシタ12各々の充電許容量を超えた場合、本実施形態では、余剰電力を第1モータ・ジェネレータ22を駆動することにより消費する。第2モータ・ジェネレータ23を回生ブレーキとして機能させるために、第1モータ・ジェネレータ22を駆動しているが、同時に、次回エンジン21を始動させるための準備という役割もある。
【0052】
ここで、上記式(1)における“Ie×d(Ne)/dT”という項は、エンジン始動時の回転数と現状の回転数との差に比例してトルク出力が要求されるということを意味する。従って、上述の如く、余剰電力を用いてエンジン21を回転させておくことによって、次回エンジン21を始動するために必要なバッテリ11及びキャパシタ12のパワーを回転数差の減少分だけ削減することができる。
【0053】
これをバッテリパワーについて示すと、例えば図5のようである。即ち、余剰電力を用いて予めエンジン21を回転させていない場合、エンジン21を始動するためには、バッテリ11のパワーは、図5における“a”のラインまで必要である。他方、余剰電力を用いて予めエンジン21を回転させている場合、エンジン21を始動するために必要なバッテリ11のパワーは、図5における“b”のラインまででよい。この結果、エンジン21を始動させる際に、バッテリ12の電力を車両1の駆動用により多く割り当てることができる。
【0054】
尚、図5は、車両要求パワーと車速との関係の一例を概念的に示す概念図である。
【0055】
次に、以上のように構成された制御装置100の動作について、図6及び図7を参照して説明する。
【0056】
(充電処理)
本実施形態に係る充電処理について、図6のフローチャートを参照して説明する。
【0057】
図6において、先ず、システム制御装置31は、スイッチSW1が端子bに接続するようにスイッチSW1を制御すると共に、スイッチSW2及びSW3がOFF状態となるようにスイッチSW2及びSW3を夫々制御する(ステップS101)。
【0058】
次に、システム制御装置31は、電圧センサ41により測定された電圧Vbと、電流センサ43により測定された電流Ibとの積として、バッテリ11のバッテリ充電電力Pbを算出する(ステップS102)。尚、電流Ibの値は、バッテリ11が放電している場合に「正の値」となり、バッテリ11が充電されている場合に「負の値」となる。従って、算出されたバッテリ充電電力Pbは、放電している場合に「正の値」となり、充電している場合に「負の値」となる。
【0059】
次に、システム制御装置31は、算出されたバッテリ充電電力Pbが0より小さいか否かを判定する(ステップS103)。算出されたバッテリ充電電力Pbが0以上であると判定された場合(ステップS103:No)、システム制御装置31は、処理を、後述する放電処理に切り替える(ステップS113)。
【0060】
他方、算出されたバッテリ充電電力Pbが0より小さいと判定された場合(ステップS103:Yes)、システム制御装置31は、算出されたバッテリ充電電力Pbが、バッテリ11に係る蓄電可能電力Winよりも小さいか否かを判定する(ステップS104)。尚、蓄電可能電力Winは、負の値である。
【0061】
算出されたバッテリ充電電力Pbが蓄電可能電力Win以上であると判定された場合(ステップS104:No)、第2モータ・ジェネレータ23により発電された電力(即ち、回生電力)がバッテリ11に係る蓄電可能電力Winを超えていないので、バッテリ11の充電を継続し、システム制御装置31は、ステップS102の処理を実行する。
【0062】
算出されたバッテリ充電電力Pbが蓄電可能電力Winより小さいと判定された場合(ステップS104:Yes)、回生電力がバッテリ11に係る蓄電可能電力Winを超えているので、システム制御装置31は、スイッチSW1が端子aに接続するようにスイッチSW1を制御する(ステップS105)。これにより、回生電力がキャパシタ12に供給される(即ち、キャパシタ12が充電される)。
【0063】
次に、システム制御装置31は、電圧センサ42により測定された電圧Vc(即ち、キャパシタ12の電圧)が、電圧センサ41により測定された電圧Vb(即ち、バッテリ11の電圧)よりも小さいか否かを判定する(ステップS106)。
【0064】
電圧Vcが電圧Vbよりも小さいと判定された場合(ステップS106:Yes)、システム制御装置31は、電流センサ44により測定された電流Icが、キャパシタ充電停止閾値Icthよりも大きいか否かを判定する(ステップS107)。尚、キャパシタ充電停止閾値Icthは、負の値である。電流Icがキャパシタ充電停止閾値Icth以下であると判定された場合(ステップS107:No)、システム制御装置31は、キャパシタ12の充電を継続して、ステップS102の処理を実行する。
【0065】
他方、電流Icがキャパシタ充電停止閾値Icthより大きいと判定された場合(ステップS107:Yes)、システム制御装置31は、バッテリ充電電力Pbを算出し、該算出されたバッテリ充電電力Pbが0より小さいか否かを判定する(ステップS110)。尚、電流Icがキャパシタ充電停止閾値Icthより大きくなる場合とは、キャパシタ12が充電限界に達した場合を意味する。従って、ステップS107の処理において、“Yes”と判定された場合、バッテリ11及びキャパシタ12の両方とも充電限界に達している。
【0066】
ステップS106の処理において、電圧Vcが電圧Vb以上であると判定された場合(ステップS106:No)、システム制御装置31は、電圧Vcが電圧Vbと等しいか否かを判定する(ステップS108)。尚、本実施形態に係る「等しい」は、電圧Vcと電圧Vbとが一致する場合に限らず、電圧Vcと電圧Vbとの差が実践上等しいとみなせる程度の範囲内にある場合を含んでよい。
【0067】
電圧Vcが電圧Vbと等しいと判定された場合(ステップS108:Yes)、システム制御装置31は、スイッチSW1が端子bに接続するようにスイッチSW1を制御して(ステップS109)、ステップS110の処理を実行する。他方、電圧Vcが電圧Vbと等しくない(即ち、電圧Vcが電圧Vbより大きい)と判定された場合(ステップS108:No)、システム制御装置31は、ステップS110の処理を実行する。
【0068】
ステップS110の処理において、バッテリ充電電力Pbが0以上であると判定された場合(ステップS110:No)、システム制御装置31は、処理を、後述する放電処理に切り替える(ステップS113)。
【0069】
他方、バッテリ充電電力Pbが0より小さいと判定された場合(ステップS110:Yes)、システム制御装置31は、第1モータ・ジェネレータ22の上限トルク以下の任意のトルクTgを設定して(ステップS111)、該設定されたトルクTgを出力するように第1モータ・ジェネレータ22を制御する(ステップS112)。その後、システム制御装置31は、ステップS102の処理を実行する。
【0070】
尚、第1モータ・ジェネレータ22には、第2モータ・ジェネレータ23により発電された電力が、バッテリ11及びキャパシタ12を介さずに供給される。
【0071】
(放電処理)
本実施形態に係る放電処理について、図7のフローチャートを参照して説明する。
【0072】
図7において、先ず、システム制御装置31は、スイッチSW1が端子bに接続するようにスイッチSW1を制御すると共に、スイッチSW2及びSW3がOFF状態となるようにスイッチSW2及びSW3を夫々制御する(ステップS201)。
【0073】
次に、システム制御装置31は、電圧センサ41により測定された電圧Vbと、電流センサ43により測定された電流Ibとの積から、バッテリ11のバッテリ充電電力Pbを算出する(ステップS202)。続いて、システム制御装置31は、算出されたバッテリ充電電力Pbが0より大きいか否かを判定する(ステップS203)。
【0074】
算出されたバッテリ充電電力Pbが0以下であると判定された場合(ステップS203:No)、システム制御装置31は、処理を充電処理に切り替える(ステップS212)。他方、算出されたバッテリ充電電力Pbが0より大きいと判定された場合(ステップS203:Yes)、システム制御装置31は、電圧センサ42により測定された電圧Vcと電圧センサ41により測定された電圧Vbとが等しいか否かを判定する(ステップS204)。
【0075】
電圧Vcと電圧Vbとが等しくないと判定された場合(ステップS204:No)、システム制御装置31は、スイッチSW2がOFF状態となるようにスイッチSW2を制御して(ステップS213)、ステップS202の処理を実行する。他方、電圧Vcと電圧Vbとが等しいと判定された場合(ステップS204:Yes)、システム制御装置31は、キャパシタアシスト開始閾値電力Woutthを設定する(ステップS205)。
【0076】
ここで、キャパシタアシスト開始閾値電力Woutthとは、エンジン21を始動する際に、バッテリ11に加えてキャパシタ12からもエンジン21を始動するための電力を、第1モータ・ジェネレータ22に供給するか否かを決定する値である。キャパシタアシスト開始閾値電力Woutthは、バッテリ11に係るバッテリ放電電力可能値、電圧Vb及び電圧Vcに基づいて設定される値である。
【0077】
次に、システム制御装置31は、バッテリ充電電力Pbがキャパシタアシスト開始閾値電力Woutthよりも大きいか否かを判定する(ステップS206)。バッテリ充電電力Pbがキャパシタアシスト開始閾値電力Woutth以下であると判定された場合(ステップS206:No)、システム制御装置31は、ステップS202の処理を実行する。
【0078】
バッテリ充電電力Pbがキャパシタアシスト開始閾値電力Woutthより大きいと判定された場合(ステップS206:Yes)、システム制御装置31は、スイッチSW2がON状態となるようにスイッチSW2を制御する(ステップS207)。これにより、第1モータ・ジェネレータ22に、バッテリ11に加えてキャパシタ12からもエンジン21を始動するための電力が供給される。
【0079】
次に、システム制御装置31は、エンジン21の始動が完了したか否かを判定する(ステップS208)。エンジン21の始動が完了したと判定された場合(ステップS208:Yes)、システム制御装置31は、スイッチSW2がOFF状態となるようにスイッチSW2を制御する(ステップS210)。
【0080】
他方、エンジン21の始動が完了していないと判定された場合(ステップS208:No)、システム制御装置31は、電流センサ44により測定された電流Icがキャパシタ放電停止閾値Icth1より大きいか否かを判定する(ステップS209)。ここで、電流Icがキャパシタ放電停止閾値Icth1より大きい場合とは、キャパシタ12から第1モータ・ジェネレータ22に電力を供給可能な場合を意味する。他方、電流Icがキャパシタ放電停止閾値Icth1より小さい場合とは、キャパシタ12の充電が不十分な場合を意味する。尚、キャパシタ放電停止閾値Icth1は、正の値である。
【0081】
電流Icがキャパシタ放電停止閾値Icth1より大きいと判定された場合(ステップS209:Yes)、システム制御装置31は、ステップS202の処理を実行する。他方、電流Icがキャパシタ放電停止閾値Icth1以下であると判定された場合(ステップS209:No)、システム制御装置31は、ステップS210の処理を実行する。
【0082】
ステップS210の処理の後、システム制御装置31は、バッテリ充電電力Pbを算出し、該算出されたバッテリ充電電力Pbが0より大きいか否かを判定する(ステップS21)。バッテリ充電電力Pbが0より大きいと判定された場合(ステップS211:Yes)、システム制御装置31は、ステップS211の処理を実行する。他方、バッテリ充電電力Pbが0以下であると判定された場合(ステップS211:No)、システム制御装置31は、処理を充電処理に切り替える(ステップS212)。
【0083】
<変形例>
次に、本実施形態に係る車両の制御装置の変形例について説明する。
【0084】
本変形例に係る制御装置は、エンジン21を回転するように第1モータ・ジェネレータ22を制御する際に、エンジン21の回転中の摩擦抵抗力を低減するように動弁系制御手段25を制御する。この場合、システム制御装置31は、上述した充電処理のステップS111の処理(図6参照)において、動弁系制御手段25により低減される摩擦抵抗力を考慮して、トルクTgを設定する。
【0085】
ここで、動弁系制御手段25による摩擦抵抗力の低減の程度を調節することによって、余剰な回生電力(即ち、バッテリ11及びキャパシタ12各々の充電限界を超える回生電力)の消費量を任意に変更することができる。加えて、エンジン21の回転数の微調整をすることができる。
【0086】
<第2実施形態>
本発明の車両の制御装置に係る第2実施形態を、図8乃至図10を参照して説明する。第2実施形態では、充電処理が一部異なる以外は、第1実施形態と同様である。よって、第2実施形態について、第1実施形態と重複する説明を省略すると共に、図面上における共通箇所には同一符号を付して示し、基本的に異なる点についてのみ、図8乃至図10を参照して説明する。
【0087】
(充電処理)
本実施形態に係る充電処理について、図8のフローチャートを参照して説明する。
【0088】
ステップS106の処理(図6参照)において、電圧Vcが電圧Vbよりも小さいと判定された場合(ステップS106:Yes)、システム制御装置31は、電流センサ44により測定された電流Icがキャパシタ充電終了時におけるキャパシタ電流である充電終了時キャパシタ電流Icth2より大きいか否かを判定する(ステップS301)。
【0089】
尚、充電終了時キャパシタ電流Icth2(負の値)は、キャパシタ充電停止閾値Icthより大きい値である。
【0090】
電流Icが充電終了時キャパシタ電流Icth2以下であると判定された場合(ステップS301:No)、システム制御装置31は、ステップS102の処理(図6参照)を実行する。他方、電流Icが充電終了時キャパシタ電流Icth2より大きいと判定された場合(ステップS301:Yes)、システム制御装置31は、第1モータ・ジェネレータ22の現在の回転数Ngが、エンジン21の始動前における回転数上限値Ngthと等しいか否かを判定する(ステップS302)。
【0091】
ここで、回転数上限値Ngthは、図9に示すように、図9において斜線で示したエンジン21に係る共振回転数帯よりも低い回転数として設定されている。このため、エンジン21の共振による振動を防止することができる。この結果、車両の操縦者等に、エンジン21の共振に起因する違和感を与えることがないので、実用上非常に有利である。尚、図9は、第1モータ・ジェネレータ22の回転数と第1モータ・ジェネレータ22のトルクとの関係の一例を示す概念図である。
【0092】
現在の回転数Ngが回転数上限値Ngthと等しいと判定された場合(ステップS302:Yes)、システム制御装置31は、第1モータ・ジェネレータ22のトルクTgを、回転数上限値Ngthに対応するトルクであるトルクTgthに設定して(ステップS303)、該設定されたトルクTgを出力するように第1モータ・ジェネレータ22を制御する(ステップS305)。
【0093】
他方、現在の回転数Ngが回転数上限値Ngthと等しくないと判定された場合(ステップS302:No)、システム制御装置31は、第1モータ・ジェネレータ22の上限トルク以下の任意のトルクTgを設定して(ステップS304)、該設定されたトルクTgを出力するように第1モータ・ジェネレータ22を制御する(ステップS305)。
【0094】
次に、システム制御装置31は、電流センサ44により測定された電流Icが、キャパシタ充電停止閾値Icthより大きいか否かを判定する(ステップS306)。電流Icがキャパシタ充電停止閾値Icth以下であると判定された場合(ステップS306:No)、システム制御装置31は、ステップS102の処理(図6参照)を実行する。
【0095】
他方、電流Icがキャパシタ充電停止閾値Icthより大きいと判定された場合(ステップS306:Yes)、システム制御装置31は、スイッチSW3がON状態となるようにスイッチSW3を制御して(ステップS307)、ステップS102の処理(図6参照)を実行する。これにより、バッテリ11及びキャパシタ12の充電にも、第1モータ・ジェネレータ22の駆動にも用いることができない、余剰な回生電力をスイッチSW3に隣接する抵抗で熱変換して消費することができる。
【0096】
ここで、本実施形態に係る回生電力の利用について、図10を参照して説明する。図10は、本実施形態に係る回生電力の利用用途の概念を示す概念図である。
【0097】
図10において、回生電力がバッテリ11の蓄電可能電力(Win)を超えた後、電流Icが充電終了時キャパシタ電流Icth2より大きくなるまでは(即ち、時刻0〜時刻t1)、キャパシタ12が充電される。
【0098】
次に、電流Icが充電終了時キャパシタ電流Icth2より大きくなった後、電流Icがキャパシタ充電停止閾値Icthより大きくなるまでは(即ち、時刻t1〜時刻t2)、キャパシタ12が充電されると共に、第1モータ・ジェネレータ22が駆動される。時刻t2以降は、回生電力がスイッチSW3に隣接する抵抗で消費されると共に、第1モータ・ジェネレータ22が駆動される。
【0099】
このように、本実施形態では、キャパシタ12がある程度進んだ際に、キャパシタ12の充電と第1モータ・ジェネレータ22の駆動とが並行して実行される。
【0100】
<第3実施形態>
本発明の車両の制御装置に係る第3実施形態を、図11及び図12を参照して説明する。第3実施形態では、充電処理が一部異なる以外は、第1実施形態と同様である。よって、第3実施形態について、第1実施形態と重複する説明を省略すると共に、図面上における共通箇所には同一符号を付して示し、基本的に異なる点についてのみ、図11及び図12を参照して説明する。
【0101】
(充電処理)
本実施形態に係る充電処理について、図11のフローチャートを参照して説明する。
【0102】
ステップS106の処理(図6参照)において、電圧Vcが電圧Vbよりも小さいと判定された場合(ステップS106:Yes)、システム制御装置31における駆動力予測手段32は、例えばカーナビゲーション装置等である走行情報提供装置34から提供される、例えば車両1の進行方向の渋滞状況、道路勾配情報等に基づいて、次回負荷走行を要求されエンジン21が再始動される予測時刻t1を算出する(ステップS401)。
【0103】
次に、システム制御装置31は、電圧センサ42により測定された電圧Vc、電流センサ44により測定された電流Ic及び算出された予測時刻t1に基づいて、キャパシタ12の充電終了予測時刻t2を算出する。システム制御装置31は、更に、予測時刻t1に比較的近い時刻t2´にキャパシタ12の充電を完了させる場合の電流Icの平均値である平均電流Ic´を算出する(ステップS402)。
【0104】
次に、システム制御装置31は、電圧Vcと電流Icとの積として、キャパシタ12の平均充電パワーPcavを算出する(ステップS403)。続いて、システム制御装置31は、現時刻における予測平均回生電力と算出された平均充電パワーPcavとの差として、第1モータ・ジェネレータ22の駆動に充てるパワーPgを算出する(ステップS404)。
【0105】
次に、システム制御装置31は、最終的なエンジン21の回転数が、エンジン21に係る共振回転数帯よりも小さくなるように、第1モータ・ジェネレータ22から出力させるトルクを設定して(ステップS405)、該設定されたトルクを出力するように第1モータ・ジェネレータ22を制御する(ステップS406)。
【0106】
次に、システム制御装置31は、電流センサ44により測定された電流Icが、キャパシタ充電停止閾値Icthより大きいか否かを判定する(ステップS407)。電流Icがキャパシタ充電停止閾値Icth以下であると判定された場合(ステップS407:No)、システム制御装置31は、ステップS102の処理(図6参照)を実行する。
【0107】
他方、電流Icがキャパシタ充電停止閾値Icthより大きいと判定された場合(ステップS407:Yes)、システム制御装置31は、スイッチSW3がON状態となるようにスイッチSW3を制御して(ステップS408)、ステップS102の処理(図6参照)を実行する。
【0108】
ここで、本実施形態に係る回生電力の利用について、図12を参照して説明する。図12は、本実施形態に係る回生電力の利用用途の概念を示す概念図である。
【0109】
図12において、回生電力がバッテリ11の蓄電可能電力(Win)を超えた場合、キャパシタ12が充電されると共に、第1モータ・ジェネレータ22が駆動される。時刻t2´以降は、回生電力がスイッチSW3に隣接する抵抗で消費されると共に、第1モータ・ジェネレータ22が駆動される。時刻t1以降は、上述した放電処理に従って、エンジン21が始動される。
【0110】
尚、本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨、或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う車両の制御装置もまた、本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0111】
1…車両、11…バッテリ、12…キャパシタ、21…エンジン、22…第1モータ・ジェネレータ、23…第2モータ・ジェネレータ、25…動弁系制御手段、31…システム制御装置、34…走行情報提供装置、100…制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、前記エンジンに機械的に接続された第1電動発電機と、前記第1電動発電機と電気的に接続され、駆動源として機能可能な第2電動発電機と、前記第1及び第2電動発電機に電気的に接続され、前記第1及び第2電動発電機に電力を供給可能であると共に、前記第1及び第2電動発電機により発電された電力を蓄電可能な蓄電装置とを備えた車両の制御装置であって、
前記第2電動発電機により発電された電力量が前記蓄電装置の充電許容量を超えることを条件に、前記第2電動発電機により発電された電力を利用して、前記エンジンを回転するように前記第1電動発電機を制御する制御手段を備える
ことを特徴とする車両の制御装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記第2電動発電機により発電された電力量が前記充電許容量を超えることを条件に、前記第2電動発電機により発電された電力を利用して、前記エンジンが、前記エンジンに係る共振帯域より低い回転数で回転するように前記第1電動発電機を制御することを特徴とする請求項1に記載の車両の制御装置。
【請求項3】
前記蓄電装置は、
主蓄電手段と、
副蓄電手段と、
前記第1及び第2電動発電機と前記主蓄電手段との間の電気的な接続と、前記第1及び第2電動発電機と前記副蓄電手段との間の電気的な接続と、を切り替え可能な切替手段と
を含み、
前記制御手段は、前記第2電動発電機により発電された電力量が、前記主蓄電手段の蓄電可能容量を超えることを条件に、前記第2電動発電機により発電された電力が前記副蓄電手段に蓄電されるように前記切替手段を制御する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両の制御装置。
【請求項4】
前記車両の走行情報を検出する走行情報検出手段を更に備え、
前記制御手段は、前記検出された走行情報に基づいて前記エンジンが始動されるまでの時間を予測し、前記予測された時間に応じて、前記第1電動発電機に供給される電力と前記副蓄電手段に蓄電される電力との配分を変更する
ことを特徴とする請求項3に記載の車両の制御装置。
【請求項5】
前記エンジンの回転に係る抵抗力を低減可能な抵抗力低減手段を更に備え、
前記制御手段は、前記第1電動発電機により前記エンジンを回転させる際に、前記抵抗力を低減するように前記抵抗力低減手段を制御する
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の車両の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−73643(P2011−73643A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−229674(P2009−229674)
【出願日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】