説明

車両の前部構造

【課題】 車両前方上部においても衝突時の衝突荷重を受けることができる車両の前部構造を提供する。
【解決手段】 本発明の車両の前部構造は、車両前方において車幅方向に延びるラジエータサポートアッパ5と、車両1の車幅方向側部に設けられて車両前後方向に延びるエプロンアッパメンバ2に結合し、かつラジエータサポートアッパ5よりも車両後方に位置するカウル9と、フードインナパネル17の一部をなし、前端面21a少なくとも一部がラジエータサポートアッパ5と対向し、かつ後端面21bの少なくとも一部がカウル9と対向するようにしてラジエータサポートアッパ5とカウル9との間に配置された車両前後方向に延びるフード骨格21と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の前部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の前部構造を、ラジエータの両側を支持するラジエータサポートサイドを車幅方向外側に張り出させた張り出し部が設けられ、この張り出し部の車両前方側にフロントバンパリインホースメントがクラッシュボックスを介して取り付けられ、かつ張り出し部の車両後方側にフロントサイドメンバが結合された構造とし、軽度の衝突の時には、フロントバンパリインホースメントとクラッシュボックスとにより衝突荷重を吸収するようにしたものがある(特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開2001−219869号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような車両の前部構造は、ラジエータの上部を支持するラジエータサポートアッパが衝突荷重を十分に受け得る構造ではなく、また、車両前方上部に衝突荷重を受ける部材がなかった。このため、車両前部に作用する衝突荷重の分布が、フロントバンパリインホースメント等が位置する車両前方下部に偏り、前方衝突時の車両前面における荷重均一性が損なわれていた。
【0005】
そこで、本発明は、車両前方上部においても衝突時の衝突荷重を受けることができる車両の前部構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の車両の前部構造は、車両前方において車幅方向に延びるラジエータサポートアッパと、車両の車幅方向側部に設けられて車両前後方向に延びるエプロンアッパメンバに結合し、かつ前記ラジエータサポートアッパよりも車両後方に位置する車両上部骨格部材と、フードの骨格部材の一部をなし、前端面の少なくとも一部が前記ラジエータサポートアッパと対向し、かつ後端面の少なくとも一部が前記車両上部骨格部材と対向するようにして前記ラジエータサポートアッパと前記車両上部骨格部材との間に配置された車両前後方向に延びるフード骨格と、を具備することにより上述した課題を解決する(請求項1)。
【0007】
この発明によれば、車両の前方衝突時に衝突荷重がラジエータサポートアッパからフード骨格を伝達し、車両上部骨格部材に伝達される。そして、車両上部骨格部材からエプロンアッパメンバへと衝突荷重が伝達されて更に車両後方へ伝達される。これにより、車両上部に加わった衝突荷重を効率よく車両後方に伝達することができる。しかも、フードを操作してエンジンルームを開いた場合には、フード骨格がフードと一体に車両上方に退避するので、フード骨格がエンジン等の整備時の邪魔にならない。なお、フード骨格の前端面の全部がラジエータサポートアッパと対向してもよいし、フード骨格の後端面の全部が車両上部骨格部材と対向してもよい。このような場合には、前端面の一部がラジエータサポートアッパに、後端面の一部が車両上部骨格部材にそれぞれ対向する態様と比べ、より確実に衝突荷重を伝達できる。また、本発明に係るフード骨格の端面は、全面に材料が存在する形態(例えば、中実部材の端面)だけでなく、全面に材料が存在しない形態(例えば、H型、C型鋼等の端面やパイプ等の中空部材の端面)をも含む概念である。従って、ラジエータサポートアッパ及び車両上部骨格部材と対向し得る材料がフード骨格に存在すれば足りる。
【0008】
本発明の前部構造において、フード骨格を経由して衝突荷重を受ける車両上部骨格部材としては、エプロンアッパメンバに所定強度で結合される部材であれば如何なるものでもよい。例えば、車両上部骨格部材がウインドシールドの下端において車幅方向に延びるカウルでもよいし(請求項2)、サスペンションタワーでもよい(請求項3)。これらの態様によれば、衝突荷重がラジエータサポートアッパからフード骨格を伝達し、カウル又はサスペンションタワーへと伝達されることで、車両上部に加わった衝突荷重を効率よく車両後方に伝達できる。また、車両上部骨格部材が、エンジンルームとキャビンとを区画するダッシュパネルでもよい。
【0009】
車両上部骨格部材がサスペンションタワーである場合には、サスペンションタワーと、ウインドシールドの下端において車幅方向に延びるカウルとの間に、荷重伝達部材が設けられてもよい(請求項4)。ラジエータサポートアッパとカウルとの間の距離が長くなると、この間に配置された部材の部材長が長くなり曲げモーメントが発生する可能性がある。曲げモーメントが部材に発生すると衝突荷重の伝達効率が悪化する。この態様によれば、フード骨格を伝達した衝突荷重がサスペンションタワーを経由し、荷重伝達部材を介してカウルに伝達される。従って、ラジエータサポートアッパとカウルとの間にフード骨格を配置する態様と比べてフード骨格が短くできるので、曲げモーメントの発生が抑制されて衝突荷重を車両後方へ効率よく伝達できる。
【0010】
本発明の車両の前部構造において、前記フード骨格の前端面又は前記ラジエータサポートアッパのいずれか一方に設けられた凸部と、前記フード骨格の前端面又は前記ラジエータサポートアッパのいずれか他方に設けられた凹部と、を有し、前記凸部を前記凹部に受け入れて前記フード骨格と前記ラジエータサポートアッパとを互いに拘束可能な前部拘束手段を備えてもよい(請求項5)。この態様によれば、フード骨格とラジエータサポートアッパとが前部拘束手段にて互いに拘束されるので、車両の前方衝突時にフード骨格とラジエータサポートアッパとの間に相対的位置ずれが起こり、これらが互いにすれ違って荷重伝達が遮断される事態を回避できる。前部拘束手段によってフード骨格とラジエータサポートアッパとが拘束されるタイミングとしては、少なくとも、衝突時にこれらが拘束されていればよく、衝突時以外にこれらが拘束される態様であってもよい。
【0011】
本発明の車両の前部構造において、前記フード骨格の後端面又は前記車両上部骨格部材のいずれか一方に設けられた凸部と、前記フード骨格の後端面又は前記車両上部骨格部材のいずれか他方に設けられた凹部と、を有し、前記凸部を前記凹部に受け入れて前記フード骨格と前記車両上部骨格部材とを互いに拘束可能な後部拘束手段を備えてもよい(請求項6)。この態様によれば、この態様によれば、フード骨格と車両上部骨格部材とが後部拘束手段にて互いに拘束されるので、車両の前方衝突時にフード骨格と車両上部骨格部材との間に相対的位置ずれが起こり、これらが互いにすれ違って荷重伝達が遮断される事態を回避できる。後部拘束手段によってフード骨格と車両上部骨格部材とが拘束されるタイミングとしては、少なくとも、衝突時にこれらが拘束されていればよく、衝突時以外にこれらが拘束される態様であってもよい。
【0012】
本発明の車両の前部構造において、前記フード骨格の中間又はサスペンションタワーのいずれか一方に設けられた掛け止め部材を有し、前記掛け止め部材を前記フード骨格の中間又はサスペンションタワーのいずれか他方に掛け止めて前記フード骨格と前記サスペンションタワーとを互いに連結可能な連結手段を備えてもよい(請求項7)。この態様によれば、掛け止め部材によってサスペンションタワーとフード骨格の中間部との間に結合点が形成される。これにより、車両とフード(フード骨格を含む)との間の結合点が増加するので、前方衝突時において、フード及びフード骨格の曲げモーメントの発生が抑制され衝突荷重を効率よく伝達することができる。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明によれば、前端面の少なくとも一部がラジエータサポートアッパと対向し、かつ後端面の少なくとも一部が車両上部骨格部材と対向するようにして配置されたフード骨格を備えているので、車両前方上部においても衝突時の衝突荷重を受けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(第1の実施形態)
図1及び図2は、本発明における車両の前部構造の一実施形態を示し、図1はフードを外した車両の前部構造を示し、図2は車両の前部構造を理解を容易にするため模式的に示している。なお、図中UPは車両上方を、FRは車両前方を、INは車幅方向内側をそれぞれ示す(以下の図においても同様)。図1に示したように、車両1は、車幅方向の両側に設けられ、車両前後方向に延びる一対のエプロンアッパメンバ2,2を有し、車両1の前方には、ラジエータ(不図示)を両側から支持する一対のラジエータサポートサイド4,4、ラジエータの上側を支持するラジエータサポートアッパ5、及びラジエータの下側を支持するラジエータサポートロア6、を含むラジエータ支持装置3が取り付けられる。ラジエータサポートサイド4,4、ラジエータサポートアッパ5、及びラジエータサポートロア6は、ボルト(不図示)等の締結手段で互いに組み合わされてラジエータを支持する。
【0015】
各ラジエータサポートサイド4はエプロンアッパメンバ2に接続される。ラジエータサポートアッパ5よりも車両後方には、車両1のエンジンルーム1Aとキャビン1Bとを区画するダッシュパネル8が設けられ、ダッシュパネル8の車幅方向の両側はエプロンアッパメンバ2,2に溶接等の接合手段にて結合される。ダッシュパネル8よりも車両前方側には、ウインドシールド10の下端10aにおいて車幅方向に延びるカウル9が設けられ、カウル9はダッシュパネル8と車両前後方向に並べられるようにして、カウル9の両側がエプロンアッパメンバ2,2,に溶接等の接合手段にて結合される。各エプロンアッパメンバ2には、サスペンション(不図示)を支持するサスペンションタワー11が一体成形で結合される。
【0016】
車両1は、一対のエプロンアッパメンバ2,2よりも車幅方向内側に、車体構成部材である一対のフロントサイドメンバ12,12を有し、フロントサイドメンバ12,12の前端には、一対のクラッシュボックス14,14を介在させてバンパリインホースメント13が取り付けられる。
【0017】
図2に示したように、車両1には、エンジンルーム1Aを開閉するフード15が設けられる。フード15は、車両1の表面側のフードアウタパネル16と、フードアウタパネル16と組み合わされてフード15の骨格部材をなすフードインナパネル17と、を備える。フードインナパネル17は、車両前方側に位置するフロント部18と、車両後方に位置するリア部19と、フロント部18及びリア部19のそれぞれの両端を連結する一対のサイド部20,20を有している。サイド部20,20の車幅方向内側には、複数本(図2では3本)のフード骨格21が車両前後方向に延びて、フロント部18とリア部19とを連結する。図2の形態では、フロント部18、リア部19、各サイド部20、及び各フード骨格21が車両下方側に突出するように、一枚の鋼板等の板状部材をプレス加工して形成される。フロント部18、リア部19、各サイド部20、及び各フード骨格21で囲まれる領域は打ち抜かれた開口部22をなす。但し、この領域を打ち抜かずに開口部22を設けなくてもよい。
【0018】
図3は、エンジンルーム1Aがフード15にて閉じられた状態における、ラジエータサポートアッパ5及びカウル9のそれぞれと、フードインナパネル17の各部18〜21の位置関係を説明する断面図である。この図に示されるように、フード骨格21は、フードインナパネル17のフロント部18及びリア部19のそれぞれよりもエンジンルーム1A側へ大きく突出して形成される。
【0019】
図4(a)及び図4(b)にも示したように、各フード骨格21の前端面21aはラジエータサポートアッパ5と、後端面21bはカウル9と、それぞれ対向するようにして、各フード骨格21がラジエータサポートアッパ5とカウル9との間に配置されている。本実施形態では、各フード骨格21の下側側面21cと、ラジエータサポートアッパ5及びカウル9のそれぞれの下側側面5c、9cとが揃えられて、前端面21aの全部とラジエータサポートアッパ5とが対向し、かつ後端面21bの全部とカウル9とが対向しているが、図4(a)、及び図4(b)の二点鎖線P1で示した位置に、各フード骨格21の下側側面21cを車両上方にオフセットしてもよい。要は、前端面21aの少なくとも一部がラジエータサポートアッパ5に、後端面21bの少なくとも一部がカウル9に、それぞれ対向していればよい。言い換えると、車両1の前方衝突時に、ラジエータサポートアッパ5とフード骨格21の前端面21aとが互いに突き当たるとともに、フード骨格21の後端面21bとカウル9とが互いに突き当たり、ラジエータサポートアッパ5、フード骨格21、及びカウル9との間に衝突荷重の伝達経路が形成されればよい。なお、図3に示すように、各フード骨格21の前端面21aとラジエータサポートアッパ5との間、及び後端面21bとカウル9との間には、プレス加工の制約から各端面21a,21bを車両前後方向外側へ張り出すことが困難なため、隙間G1,G2がそれぞれ形成される。
【0020】
車両1が以上の前部構造を備えているので、車両1の前方衝突により、車両の前部に衝突荷重が加わったときには、図3の矢印Fで示したように、その衝突荷重がラジエータサポートアッパ5、各フード骨格21、及びカウル9を経由してキャビン1B側(車両後方側)に伝達される。しかも、車両1では、図5(a)〜(d)に示すように、ラジエータサポートアッパ5の支持が、従来例のエプロンアッパ2による2点支持からフード骨格21によって3箇所増え、計5点支持となる。このため、図5(b)及び図5(d)の支持モデルで示すように、ラジエータサポートアッパ5の支持点間距離L’が従来例Lよりも短くなるので、ラジエータサポートアッパ5に作用する曲げモーメントが低減される。従って、ラジエータサポートアッパ5の剛性が高められて、ラジエータサポートアッパ5に高い反力を発生させることができる。
【0021】
更に、図1に示したように車両1の前面下方においては、衝突荷重がバンパリインホースメント13、クラッシュボックス14、及びフロントサイドメンバ12を経由してキャビン1B側へ伝達されるので、前方衝突時における荷重均一性が向上する。
【0022】
(第2の実施形態)
図6及び図7に本発明の第2の実施形態を示す。これらの図において、第1の実施形態と同一の構成には同一符号を付して説明を省略する。この形態では、フード骨格121をフードインナパネル117に吊り下げるようにして設けたものである。フードインナパネル117のフロント部118、リア部119、及びサイド部(不図示)は、プレス加工により一体成形され、そのフードインナパネル171にフード骨格121が吊下げ部材122を介して溶接等の接合手段で接合される。このような形態でフード骨格121が設けられるため、プレス加工上の制限を受けずにフード骨格の設計の自由度が増し、フード骨格121の各端面121a、121bを車両前後方向外側へ張り出すことができる。従って、第1の実施形態でラジエータサポートアッパ5及びカウル9との間に生じた隙間G1,G2(図3参照)を詰めることができる。よって、車両の前方衝突時におけるフード骨格121を介しての荷重伝達が速く確実となる。なお、この形態の変形例として、図8、図9に示したように、吊下げ部材122を用いずに、フロント部218、リア部219及びサイド部220が一体成形されたフードインナパネル217にフード骨格221を溶接等の接合手段にて接合してもよい。この形態によっても図6及び図7の形態と同一の効果が発揮される。図8及び図9において、符号221aは前端面、221bは後端面をそれぞれ示す。
【0023】
(第3の実施形態)
図10及び図11に本発明の第3の実施形態を示す。これらの図において、第1の実施形態と同一の構成には同一符号を付して説明を省略する。この形態では、車幅方向両側のフード骨格321(図10、11では片側のみ図示する)の後端面321bが、上部車両骨格部材としてのサスペンションタワー11に対向するようにして配置される。この場合には、図11の矢印Fで示したように、車両1の前方衝突時の衝突荷重がラジエータサポートアッパ5からフード骨格321を伝達し、サスペンションタワー11へと伝達される。また、この形態においては、サスペンションタワー11とカウル9との間に荷重伝達部材322を設けてもよい。この場合、フード骨格321を伝達した衝突荷重がサスペンションタワー11を経由し、荷重伝達部材322を介してカウル9に伝達される。従って、ラジエータサポートアッパ5とカウル9との間に一本のフード骨格を配置する態様と比べてフード骨格321を短くできる。このため、フード骨格321における曲げモーメントの発生が抑制されて衝突荷重をキャビン1B側へ効率よく伝達できる。なお、図10の形態では、フロント部318、リア部319及びサイド部320が一体成形されたフードインナパネル317にフード骨格321を溶接等の接合手段にて接合したが、フロント部318、リア部319、サイド部320、及びフード骨格321をプレス加工で一体成形してもよい。
【0024】
(第4の実施形態)
図12及び図13に本発明の第4の実施形態を示す。これらの図において、第1の実施形態と同一構成には、同一符号を付して重複する説明を省略する。図12及び図13に示したように、この形態では、ラジエータサポートアッパ5に前側ピン(凸部)41が設けられ、各フード骨格21の前端面21aに、前側ピン41に対応する前側穴(凹部)42が設けられる。また、カウル9に後側ピン(凸部)43が設けられ、各フード骨格21の後端面21bに、後側ピン43に対応する後側穴(凹部)44が設けられる。ここで、車両1の前方衝突時には、フード骨格21の前端面21aとラジエータサポートアッパ5との相対的距離、及びフード骨格21の後端面21bとカウル9との相対的距離がそれぞれ詰まり、前側ピン41が前側穴42に、後側ピン43が後側穴44にそれぞれ受け入れられる。これにより、フード骨格21とラジエータサポートアッパ5とが互いに拘束されるとともに、フード骨格21とカウル9とが互いに拘束されて、各ピン41,43及び各穴42,44が本発明の前部拘束手段及び後部拘束手段としてそれぞれ機能する。
【0025】
また、サスペンションタワー11にはフック(掛け止め手段)45が設けられている。フード15にてエンジンルーム1Aが閉じられた際には、フード骨格21の中間にフック45が掛け止められて、フード骨格21とサスペンションタワー11とが互いに連結されて、フック45が本発明の連結手段として機能する。
【0026】
以上により、車両1の前方衝突時にフード骨格21とラジエータサポートアッパ5との間に相対的位置ずれ、及びフード骨格21とカウル9との相対的位置ずれがそれぞれ防止されるので、これらの部材が互いにすれ違って荷重伝達が遮断される事態を回避できる。また、フック45によってフード骨格21の中間とサスペンションタワー11との間に結合点が形成されて車両1とフード15(フード骨格21を含む)との間の結合点が増加するので、前方衝突時において、フード15及びフード骨格21の曲げモーメントの発生が抑制され衝突荷重を効率よく伝達することができる。
【0027】
なお、前側ピン41はフード骨格21の前端面21aに設けてもよく、また後側ピン43についても、フード骨格21の後端面21bに設けてもよい。そして、これらに対応して、前側穴42をラジエータサポートアッパ5に、後側穴44をカウル9に、それぞれ設けてもよい。また、図10の形態(第3の実施形態)において、サスペンションタワー11に後側ピン43又は後側穴44を設けてもよい。また、各部材が互いに拘束されるのは、車両1の衝突時に限らず、エンジンルーム1Aがフード15にて閉じられた状態で各部材が拘束されるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施形態でフードを外した車両の前部構造を示した図。
【図2】図1の車両の前部構造を示した図。
【図3】エンジンルームがフードにて閉じられた状態における、ラジエータサポートアッパ及びカウルのそれぞれと、フードインナパネルの各部の位置関係を説明する断面図。
【図4】フード骨格の前端面とラジエータサポートアッパとの位置関係、及び後端面とカウルとの位置関係をそれぞれ示した説明図。
【図5】ラジエータサポートアッパの支持構造を、従来例との対比において説明した説明図。
【図6】第2の実施形態に係る車両の前部構造を示した図。
【図7】図6の前部構造の断面図。
【図8】第2の実施形態の変形例を示した図。
【図9】図8の前部構造の断面図。
【図10】第3の実施形態に係る車両の前部構造を示した図。
【図11】図10の前部構造の平面図。
【図12】第4の実施形態に係る車両の前部構造を示した図。
【図13】図12の前部構造の断面図。
【符号の説明】
【0029】
1 車両
2 エプロンアッパメンバ
5 ラジエータサポートアッパ
9 カウル(車両上部骨格部材)
10 ウインドシールド
10a 下端
11 サスペンションタワー(車両上部骨格部材)
15 フード
17 フードインナパネル(フードの骨格部材)
21、121、221、321 フード骨格
21a、121a、221a、321a 前端面
21b、121b、221b、321b 後端面
322 荷重伝達部材
41 前側ピン(凸部)
42 前側穴(凹部)
43 後側ピン(凸部)
44 後側穴(凹部)
45 フック(掛け止め部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両前方において車幅方向に延びるラジエータサポートアッパと、車両の車幅方向側部に設けられて車両前後方向に延びるエプロンアッパメンバに結合し、かつ前記ラジエータサポートアッパよりも車両後方に位置する車両上部骨格部材と、フードの骨格部材の一部をなし、前端面の少なくとも一部が前記ラジエータサポートアッパと対向し、かつ後端面の少なくとも一部が前記車両上部骨格部材と対向するようにして前記ラジエータサポートアッパと前記車両上部骨格部材との間に配置された車両前後方向に延びるフード骨格と、を具備することを特徴とする車両の前部構造。
【請求項2】
前記車両上部骨格部材は、ウインドシールドの下端において車幅方向に延びるカウルであることを特徴とする請求項1に記載の車両の前部構造。
【請求項3】
前記車両上部骨格部材は、サスペンションタワーであることを特徴とする請求項1に記載の車両の前部構造。
【請求項4】
前記サスペンションタワーと、ウインドシールドの下端において車幅方向に延びるカウルとの間に、荷重伝達部材が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の車両の前部構造。
【請求項5】
前記フード骨格の前端面又は前記ラジエータサポートアッパのいずれか一方に設けられた凸部と、前記フード骨格の前端面又は前記ラジエータサポートアッパのいずれか他方に設けられた凹部と、を有し、前記凸部を前記凹部に受け入れて前記フード骨格と前記ラジエータサポートアッパとを互いに拘束可能な前部拘束手段を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両の前部構造。
【請求項6】
前記フード骨格の後端面又は前記車両上部骨格部材のいずれか一方に設けられた凸部と、前記フード骨格の後端面又は前記車両上部骨格部材のいずれか他方に設けられた凹部と、を有し、前記凸部を前記凹部に受け入れて前記フード骨格と前記車両上部骨格部材とを互いに拘束可能な後部拘束手段を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両の前部構造。
【請求項7】
前記フード骨格の中間又はサスペンションタワーのいずれか一方に設けられた掛け止め部材を有し、前記掛け止め部材を前記フード骨格の中間又はサスペンションタワーのいずれか他方に掛け止めて前記フード骨格と前記サスペンションタワーとを互いに連結可能な連結手段を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両の前部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−213244(P2006−213244A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−29674(P2005−29674)
【出願日】平成17年2月4日(2005.2.4)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】