説明

車両の故障検出装置

【課題】内燃機関の出力特性の変化に拘わらず、自動変速機の故障を正確に検出することができる車両の故障検出装置を提供する。
【解決手段】検出禁止領域がエンジン10の出力特性の変化に応じて変更され、その変更された検出禁止領域に基づいて自動変速機14の故障検出が実施されるため、例えば燃料の種類の変化などに基づくエンジン10の出力特性の変化に応じた領域で自動変速機14の故障検出が実施される。これにより、自動変速機14の正常な故障検出が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される自動変速機やトルクコンバータなどの故障検出装置に係り、特に、各種条件に応じて内燃機関の出力特性が変化する際の故障検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両の走行状態に応じて変速比が自動的に変更される自動変速機と、トルクコンバータとを備えた車両がよく知られている。自動変速機は、通常、油圧によって駆動される複数個の油圧式摩擦係合装置を備え、その油圧式摩擦係合装置が選択的に係合・解放されることで、変速比が決定される。油圧式摩擦係合装置は、自動変速機に備えられる油圧制御回路によってその係合・解放が制御されるが、その油圧制御回路には、電気的な制御信号に基づいて油路の切換や調圧制御を実施する各種ソレノイドバルブが備えられる。また、近年のトルクコンバータには、ロックアップクラッチが備えられているが、このロックアップクラッチも同様に、ロックアップクラッチ制御用のソレノイドバルブによってその係合・解放が制御される。
【0003】
上記のような構成において、例えばソレノイドバルブに故障が生じると、各種ソレノイドバルブを制御する電子制御装置の作動指令に対して、正常に作動されないため、指令通りに油圧式摩擦係合装置の係合・解放が実行されず、指令通りの変速制御が実行できなくなる。また、ロックアップクラッチも同様に、ロックアップ制御用のソレノイドバルブが故障すると、正常なロックアップ制御が不可能となる。そこで、特許文献1の自動変速機においては、運転状態に基づいて設定される目標変速段と実際のギヤ段とが異なっているとき、予め設定されている特性から故障しているソレノイドバルブを特定する技術が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開平11−280886号公報
【特許文献2】特開平5−79556号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1では、ギヤ段を検出することでソレノイドバルブ等の故障を検出しているが、内燃機関が故障の検出に必要な駆動トルクを出力していない状態では、正確な検出が不可能であるため、その検出を禁止している。具体的には、例えば、所定のソレノイドバルブの故障によって、係合される油圧式摩擦係合装置に十分な油圧を供給できない、すなわち十分なトルク容量を確保できない状態であっても、内燃機関の出力トルクが低い状態では、油圧式摩擦係合装置が正常に係合されるため、見かけ上は正常と判定されてしまう。これより、特許文献1では、速度とスロットル弁開度とからなる検出禁止領域マップを設定し、その検出禁止領域マップに基づいて故障検出を実施している。
【0006】
ところで、公知技術であるが、ガソリンの代替燃料として、アルコール混合燃料やバイオ燃料などの異種燃料が使用可能な内燃機関が考案されている。ここで、内燃機関に供給される燃料が変更されると、同じアクセルペダルの踏み込み量であっても内燃機関から出力される出力特性が変化することが知られている。従って、従来の検出禁止領域マップに基づいて正常判定を実施すると、駆動状態を誤判定してしまい、ソレノイドバルブ等の故障を見逃す、或いは正常に作動するにも拘わらず故障と判定するなど、誤判定される可能性があった。また、内燃機関の出力特性は、前記異種燃料に拘わらず、例えばエンジンオイル油温や外気状態などによっても変化するため、これらの条件によっても正常な判定が為されない可能性があった。
【0007】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、内燃機関の出力特性の変化に拘わらず、故障を正確に検出することができる車両の故障検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための、請求項1にかかる発明の要旨とするところは、(a)内燃機関の出力の大きさに関する環境を検出する環境検出手段と、(b)自動変速機の実状態が目標状態と異なるとき、前記自動変速機の故障を検出する故障検出手段と、(c)運転状態が前記自動変速機の故障検出を禁止する検出禁止領域内にあるとき、前記故障検出手段の実施を禁止する検出禁止手段とを、有し、(d)前記検出禁止手段は、前記検出禁止領域を前記環境に基づいて変更することを特徴とする。
【0009】
また、上記目的を達成するための請求項2にかかる発明の要旨とするところは、(a)内燃機関の出力の大きさに関する環境を検出する環境検出手段と、(b)トルクコンバータの実状態が目標状態と異なるとき、前記トルクコンバータの故障を検出する故障検出手段と、(c)運転状態が前記トルクコンバータの故障検出を禁止する検出禁止領域内にあるとき、前記故障検出手段の実施を禁止する検出禁止手段とを、有し、(d)前記検出禁止手段は、前記検出禁止領域を前記環境に基づいて変更することを特徴とする。
【0010】
また、請求項3にかかる発明の要旨とするところは、請求項1または2の車両の故障検出装置において、前記検出禁止領域は、車両の加速度が負の領域であることを特徴とする。
【0011】
また、請求項4にかかる発明の要旨とするところは、請求項1または2の車両の故障検出装置において、前記検出禁止領域は、車両の駆動輪に伝達される前記内燃機関の出力トルクが所定値以下の領域であることを特徴とする。
【0012】
また、請求項5にかかる発明の要旨とするところは、請求項1乃至4のいずれか1つの車両の故障検出装置において、前記内燃機関の出力が大きい環境が検出されたときは、前記内燃機関の出力が小さい環境が検出されたときより前記検出禁止領域が狭くされることを特徴とする。
【0013】
また、請求項6にかかる発明の要旨とするところは、請求項1および3乃至5のいずれか1つの車両の故障検出装置において、前記実状態は、前記自動変速機の入力軸回転速度と出力軸回転速度とに基づいて検出される変速比であることを特徴とする。
【0014】
また、請求項7にかかる発明の要旨とするところは、請求項1乃至5のいずれか1つの車両の故障検出装置において、前記実状態は、回転要素の入力回転速度と出力回転速度とに基づいて検出される、前記回転要素の滑り状態であることを特徴とする。
【0015】
また、請求項8にかかる発明の要旨とするところは、請求項1乃至7のいずれか1つの車両の故障検出装置において、前記運転状態は、車速と要求駆動力とであることを特徴とする。
【0016】
また、請求項9にかかる発明の要旨とするところは、請求項1乃至8のいずれか1つの車両の故障検出装置において、前記環境は油温であり、前記環境検出手段は、前記油温を検出することを特徴とする。
【0017】
また、請求項10にかかる発明の要旨とするところは、請求項1乃至8のいずれか1つの車両の故障検出装置において、前記環境は外気状態であり、前記環境検出手段は、前記外気状態を検出することを特徴とする。
【0018】
また、請求項11にかかる発明の要旨とするところは、請求項10の車両の故障検出装置において、前記外気状態は、気温であることを特徴とする。
【0019】
また、請求項12にかかる発明の要旨とするところは、請求項10の車両の故障検出装置において、前記外気状態は、気圧であることを特徴とする。
【0020】
また、請求項13にかかる発明の要旨とするところは、請求項1乃至8のいずれか1つの車両の故障検出装置において、前記環境は燃料状態であり、前記環境検出手段は、前記燃料状態を検出することを特徴とする。
【0021】
また、請求項14にかかる発明の要旨とするところは、請求項13の車両の故障検出装置において、前記燃料状態とは燃料の種類であり、前記環境検出手段は、前記燃料の種類を検出することを特徴とする。
【0022】
また、請求項15にかかる発明の要旨とするところは、請求項13の車両の故障検出装置において、前記燃料状態とは燃料中のアルコール濃度であり、前記環境検出手段は、前記燃料中のアルコール濃度を検出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
請求項1にかかる発明の車両の故障検出装置によれば、前記検出禁止領域が前記内燃機関の出力の大きさに関する環境に応じて変更され、その変更された検出禁止領域に基づいて自動変速機の故障検出が実施されるため、環境の変化に左右されることなく、正常な自動変速機の故障検出が可能となる。
【0024】
また、請求項2にかかる発明の車両の故障検出装置によれば、前記検出禁止領域が前記内燃機関の出力の大きさに関する環境に応じて変更され、その変更された検出禁止領域に基づいてトルクコンバータの故障検出が実施されるため、環境の変化に左右されることなく、正常なトルクコンバータの故障検出が可能となる。
【0025】
また、請求項3にかかる発明の車両の故障検出装置によれば、前記検出禁止領域は、車両の加速度が負の領域であるため、例えばエンジンブレーキによって加速度が負の領域となると、前記故障検出手段が実施されない。車両の加速度が負の領域においては、駆動輪側からの逆駆動力が入力されるため、故障検出手段の実施は不可能であり、このような領域での故障検出を禁止することで、故障検出手段の正常な故障検出が可能となる。
【0026】
また、請求項4にかかる発明の車両の故障検出装置によれば、前記検出禁止領域は、車両の駆動輪に伝達される前記内燃機関の出力トルクが所定値以下の領域であるため、出力トルクが所定値以下となると故障検出手段は実施されない。故障検出に必要な出力トルクが出ていないにも拘わらず、故障検出を実施すると、正常に故障が検出されない場合があり、そのような領域において故障検出を実施させないことで、正常な故障検出が可能となる。
【0027】
また、請求項5にかかる発明の車両の故障検出装置によれば、前記内燃機関の出力が大きい環境が検出されたときは、前記内燃機関の出力が小さい環境が検出されたときより前記検出禁止領域が狭くされるため、故障検出手段の実施領域が拡げられる。すなわち、故障検出に必要な出力トルクが出力される領域が拡げられるので、広い領域での故障検出が可能となる。
【0028】
また、請求項6にかかる発明の車両の故障検出装置によれば、前記実状態は、前記自動変速機の入力軸回転速度と出力軸回転速度とに基づいて検出される変速比であるため、変速比を検出することで容易に故障を検出することができる。なお、具体的には、上記のように検出される実際の変速比と、車両の走行状態に基づいて設定される目標変速比とを比較することで、故障が検出される。
【0029】
また、請求項7にかかる発明の車両の故障検出装置によれば、前記実状態は、回転要素の入力回転速度と出力回転速度とに基づいて検出される、前記回転要素の滑り状態であるため、前記滑り状態を検出することで、容易に故障を検出することができる。
【0030】
また、請求項8にかかる発明の車両の故障検出装置によれば、前記運転状態は、車速と要求駆動力とであるため、車速と要求駆動力を検出することで、容易に運転状態を検出することができる。
【0031】
また、請求項9にかかる発明の車両の故障検出装置によれば、前記環境は油温であり、前記環境検出手段は、前記油温を検出するため、油温に基づいて内燃機関の出力の大きさに関する環境を検出することができる。これに従って、故障検出禁止領域を変更することで、正常な故障検出を実施することができる。
【0032】
また、請求項10にかかる発明の車両の故障検出装置によれば、前記環境は外気状態であり、前記環境検出手段は、前記外気状態を検出するため、外気状態に基づいて、内燃機関の出力の大きさに関する環境を検出することができる。これに従って、検出禁止領域を変更することで、正常な故障検出を実施することができる。
【0033】
また、請求項11にかかる発明の車両の故障検出装置によれば、前記外気状態は、気温であるため、気温を検出することで内燃機関の出力の大きさに関する環境を検出することができる。これに従って検出禁止領域を変更することで、正常な故障検出を実施することができる。
【0034】
また、請求項12にかかる発明の車両の故障検出装置によれば、前記外気状態とは気圧であるため、気圧を検出することで内燃機関の出力の大きさに関する環境を検出することができる。これに従って検出禁止領域を変更することで、正常な故障検出を実施することができる。
【0035】
また、請求項13にかかる発明の車両の故障検出装置によれば、前記環境は燃料状態であり、前記環境検出手段は、前記燃料状態を検出するため、燃料状態に基づいて、内燃機関の出力の大きさに関する環境を検出することができる。これに従って検出禁止領域を変更することで、正常な故障検出を実施することができる。
【0036】
また、請求項14にかかる発明の車両の故障検出装置によれば、前記燃料状態とは燃料の種類であり、前記環境検出手段は、前記燃料の種類を検出するため、、燃料の種類に基づいて、内燃機関の出力の大きさに関する環境を検出することができる。これに従って検出禁止領域を変更することで、正常な故障検出を実施することができる。
【0037】
また、請求項15にかかる発明の車両の故障検出装置によれば、前記燃料状態とは燃料中のアルコール濃度であり、前記環境検出手段は、前記燃料中のアルコール濃度を検出するため、アルコール濃度に基づいて、内燃機関の出力の大きさに関する環境を検出することができる。これに従って検出禁止領域を変更することで、正常な故障検出を実施することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
【実施例】
【0039】
図1は、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)車両などの横置き型の車両用動力伝達装置8の骨子図であり、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関によって構成されているエンジン10(内燃機関)の出力は、トルクコンバータ12、自動変速機14を経て、図示しない差動歯車装置から駆動輪(前輪)へ伝達されるようになっている。
【0040】
自動変速機14は、シングルピニオン型の第1遊星歯車装置20を主体として構成されている第1変速部22と、シングルピニオン型の第2遊星歯車装置26およびダブルピニオン型の第3遊星歯車装置28を主体として構成されている第2変速部30とを同軸線上に有し、入力軸32の回転を変速して出力歯車34から出力する。入力軸32は入力部材に相当するもので、本実施例ではトルクコンバータ12のタービン軸であり、出力歯車34は出力部材に相当するもので、差動歯車装置を介して左右の駆動輪を回転駆動する。なお、自動変速機14は中心線に対して略対称的に構成されており、図1では中心線の下半分が省略されている。
【0041】
上記第1変速部22を構成している第1遊星歯車装置20は、サンギヤS1、キャリアCA1、およびリングギヤR1の3つの回転要素を備えており、サンギヤS1が入力軸32に連結されて回転駆動されるとともに、リングギヤR1が第3ブレーキB3を介して回転不能にケース36に固定されることにより、キャリアCA1が中間出力部材として入力軸32に対して減速回転させられて出力する。また、第2変速部30を構成している第2遊星歯車装置26および第3遊星歯車装置28は、一部が互いに連結されることによって4つの回転要素RM1〜RM4が構成されており、具体的には、第3遊星歯車装置28のサンギヤS3によって第1回転要素RM1が構成され、第2遊星歯車装置26のリングギヤR2および第3遊星歯車装置28のリングギヤR3が互いに連結されて第2回転要素RM2が構成され、第2遊星歯車装置26のキャリアCA2および第3遊星歯車装置28のキャリアCA3が互いに連結されて第3回転要素RM3が構成され、第2遊星歯車装置26のサンギヤS2によって第4回転要素RM4が構成されている。上記第2遊星歯車装置26および第3遊星歯車装置28は、キャリアCA2およびCA3が共通の部材にて構成されているとともに、リングギヤR2およびR3が共通の部材にて構成されており、且つ第2遊星歯車装置26のピニオンギヤが第3遊星歯車装置28の第2ピニオンギヤを兼ねている所謂ラビニヨ型の遊星歯車列とされている。
【0042】
上記第1回転要素RM1(サンギヤS3)は第1ブレーキB1によって選択的にケース36に連結されて回転停止させられ、第2回転要素RM2(リングギヤR2、R3)は第2ブレーキB2によって選択的にケース36に連結されて回転停止させられ、第4回転要素RM4(サンギヤS2)は第1クラッチC1を介して選択的に前記入力軸32に連結され、第2回転要素RM2(リングギヤR2、R3)は第2クラッチC2を介して選択的に入力軸32に連結され、第1回転要素RM1(サンギヤS3)は中間出力部材である前記第1遊星歯車装置20のキャリアCA1に一体的に連結され、第3回転要素RM3(キャリアCA2、CA3)は前記出力歯車34に一体的に連結されて回転を出力するようになっている。
【0043】
上記クラッチC1、C2およびブレーキB1、B2、B3(以下、特に区別しない場合は単にクラッチC、ブレーキBという)は、多板式のクラッチやブレーキなど油圧アクチュエータによって係合制御される油圧式摩擦係合装置であり、図3に示す油圧制御回路40によってそれぞれ係合解放制御されることにより、シフトレバー66(図3参照)のシフト操作位置に応じて図2に示すように前進6段、後進1段の各ギヤ段が成立させられる。図2の「1st」〜「6th」は前進の第1速ギヤ段〜第6速ギヤ段を意味しており、「Rev」は後進ギヤ段であり、それ等の変速比(=入力軸回転速度Nin/出力軸回転速度Nout)は、前記第1遊星歯車装置20、第2遊星歯車装置26、および第3遊星歯車装置28の各ギヤ比ρ1、ρ2、ρ3によって適宜定められる。図2の「○」は係合、空欄は解放を意味している。
【0044】
図3は、クラッチCおよびブレーキBの各油圧アクチュエータの作動を制御するリニアソレノイドバルブSL1〜SL4等に関する回路図であって、油圧制御回路40の要部を示す回路図である。
【0045】
図3において、クラッチC1、C2、およびブレーキB1の各油圧アクチュエータ(油圧シリンダ)42、44、46には、油圧供給装置52から出力されたDレンジ圧(前進レンジ圧、前進油圧)PDがそれぞれリニアソレノイドバルブSL1、SL2、SL3により調圧されて供給され、ブレーキB3の油圧アクチュエータ50には、油圧供給装置52から出力されたライン油圧PL1がリニアソレノイドバルブSL4により調圧されて供給されるようになっている。なお、ブレーキB2の油圧アクチュエータ48には、第2ブレーキコントロールバルブ54の出力油圧およびリバース圧(後進レンジ圧、後進油圧)PRのうちいずれかの油圧がシャトル弁56を介して供給される。
【0046】
油圧供給装置52は、エンジン10によって回転駆動される機械式のオイルポンプ58から発生する油圧を元圧としてライン油圧PL1(第1ライン油圧PL1)を調圧する例えばリリーフ型のプライマリレギュレータバルブ(第1調圧弁)60、第1調圧弁60によるライン油圧PL1の調圧のために第1調圧弁60から排出される油圧を元圧としてライン油圧PL2(第2ライン油圧PL2、セカンダリ圧PL2)を調圧するセカンダリレギュレータバルブ(第2調圧弁)62、アクセル開度Acc或いはスロットル弁開度θTHで表されるエンジン負荷等に応じたライン油圧PL1、PL2に調圧されるために第1調圧弁60および第2調圧弁62へ信号圧PSLTを供給するリニアソレノイドバルブSLT、ライン油圧PL1を元圧としてモジュレータ油圧PMを一定値に調圧するモジュレータバルブ64、および運転者によるシフトレバー66操作に応じて油路が切り換えられることにより、入力されたライン油圧PL1をシフトレバー66が「D」ポジション或いは「B」ポジションへ操作されたときにはDレンジ圧PDとして出力し或いは「R」ポジションへ操作されたときにはリバース圧PRとして出力するマニュアルバルブ70等を備えており、ライン油圧PL1、PL2、モジュレータ油圧PM、Dレンジ圧PD、およびリバース圧PRを供給する。
【0047】
リニアソレノイドバルブSL1〜SL4、SLTは、基本的には何れも同じ構成であり、電子制御装置104により独立に励磁、非励磁され、各油圧アクチュエータ42、44、46、50の油圧が独立に調圧制御されてクラッチC1、C2、ブレーキB1、B3の係合圧が制御される。そして、自動変速機14は、例えば図2の係合作動表に示すように予め定められた係合装置が係合されることによって各変速段が成立させられる。また、自動変速機14の変速制御においては、例えば変速に関与するクラッチCやブレーキBの解放と係合とが同時に制御される所謂クラッチ・ツウ・クラッチ変速が実行される。例えば、図2の係合作動表に示すように2速→3速のアップシフトでは、ブレーキB1が解放されると共にブレーキB3が係合され、変速ショックを抑制するようにブレーキB1の解放過渡油圧とブレーキB3の係合過渡油圧とが適切に制御される。このように、自動変速機14の係合装置(クラッチC、ブレーキB)がリニアソレノイドバルブSL1〜SL4により各々制御されるので、係合装置の作動の応答性が向上される。或いはまた、その係合装置の係合/解放作動の為の油圧回路が簡素化される。
【0048】
シフトレバー66は例えば運転席の近傍に配設され、図4に示すように、車両前後(縦)方向に配列された3つの「R」ポジション、「N」ポジション、「D」ポジションと、それに平行に配列された手動操作用の「+」ポジション、「B」ポジション、「−」ポジションとへH型パターンで操作されるようになっている。本実施例では、P位置へ操作してパーキングロックするためのP操作釦72が別スイッチとして設けられている。
【0049】
上記「R」ポジションは自動変速機14の出力歯車34の回転方向を逆回転とするための後進走行ポジション(位置)であり、「N」ポジションは自動変速機14内の動力伝達が遮断されるニュートラル状態とするための中立ポジションであり、「D」ポジションは自動変速機14の変速を許容する変速範囲(Dレンジ)で第1ギヤ段「1st」〜第6ギヤ段「6th」の総ての前進ギヤ段を用いて自動変速制御を実行させる前進走行ポジションであり、「B」ポジションはギヤ段の変化範囲を制限する複数種類の変速レンジすなわち高車速側のギヤ段が異なる複数種類の変速レンジを切り換えることにより手動変速が可能な前進走行ポジションである。P操作釦72の操作により選択される「P」ポジションは自動変速機14内の動力伝達経路を解放しすなわち自動変速機14内の動力伝達が遮断されるニュートラル状態(中立状態)とし且つ図示しないパーキングロック機構によって機械的に出力歯車34の回転を阻止(パーキングロック)するための駐車ポジションである。
【0050】
上記「B」ポジションにおいては、シフトレバー66の操作毎に変速範囲をアップ側にシフトさせるための「+」ポジション、シフトレバー66の操作毎に変速範囲をダウン側にシフトさせるための「−」ポジションが備えられている。例えば、「B」ポジションにおいては、「6」レンジ〜「L」レンジの何れかがシフトレバー66の「+」ポジション或いは「−」ポジションへの操作に応じて変更される。また、「B」ポジションにおける「L」レンジは第1ギヤ段「1st」にて第2ブレーキB2を係合させて一層エンジンブレーキ効果が得られるためのエンジンブレーキレンジでもある。
【0051】
上記「D」ポジションは自動変速機14の変速可能な例えば図2に示すような第1速ギヤ段乃至第6速ギヤ段の範囲で自動変速制御が実行される制御様式である自動変速モードを選択するシフトポジションでもあり、「B」ポジションは自動変速機14の各変速レンジの最高速側ギヤ段を超えない範囲で自動変速制御が実行されると共にシフトレバー66の手動操作により変更された変速レンジ(すなわち最高速側ギヤ段)に基づいて手動変速制御が実行される制御様式である手動変速モードを選択するシフトポジションでもある。
【0052】
上述したように、ブレーキB2の油圧アクチュエータ48には、第2ブレーキコントロールバルブ54の出力油圧およびリバース圧(後進レンジ圧、後進油圧)PRのうちいずれかの油圧がシャトル弁56を介して供給される。第2ブレーキコントロールバルブ54には、Dレンジ圧PDが入力圧として供給され、ソレノイドバルブSLUから出力されるコントロール圧PSLUが信号圧として入力されると、第2ブレーキコントロールバルブ54の入力ポートと出力ポートとが連通されることで、Dレンジ圧PDがシャトル弁56を介して油圧アクチュエータ48へ供給される。
【0053】
ここで、前記コントロール圧PSLUは、リニアソレノイドバルブSLUから出力されるものであり、第2ブレーキコントロールバルブ54の手前側に配設されたリレーバルブ92を通じて供給される。リレーバルブ92は、コントロール圧PSLUの供給先を前記第2ブレーキコントロールバルブ54またはトルクコンバータ12のロックアップクラッチL/Uを制御するためのロックアップコントロールバルブ98の何れかに選択的に切り換えるための切換弁であり、切換ソレノイドバルブSLから出力される切換圧PSLによってコントロール圧PSLUの供給先が切り換えられる。具体的には、切換ソレノイドバルブSLから切換圧PSLがリレーバルブ92へ供給されると、コントロール圧PSLUの供給先がロックアップクラッチL/Uの係合圧を制御するロックアップコントロールバルブ98へ切り換えられる。そして、ロックアップクラッチL/Uの係合油圧が制御され、ロックアップクラッチL/Uが係合されると、エンジン10の出力軸と自動変速機14の入力軸32とが直結されることとなる。なお、リニアソレノイドバルブSLUおよび切換ソレノイドバルブSLは、電子制御装置104によってそれぞれ電気的に制御される。
【0054】
図5は、図1に示す自動変速機14やトルクコンバータ12のロックアップクラッチL/Uを制御するために車両に設けられた制御系統の要部を説明するブロック線図である。図5において、電子制御装置104は、CPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、RAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことによりエンジン10の出力制御や自動変速機14の変速制御やシフトレンジを切り換えるシフトレンジ切換制御、並びにロックアップクラッチL/Uのロックアップ制御等を実行する。
【0055】
図5に示すように、電子制御装置104には、シフトレバー66の操作位置を検出してシフトレバー位置信号PSHを出力するシフトレバーポジションセンサ106、出力軸回転速度Noutに対応する車速V[km/h]を検出する車速センサ108、アクセルペダル110の操作量すなわちアクセル操作量Acc[%]を検出するアクセル操作量センサ112、常用ブレーキであるフットブレーキ114の操作量すなわちブレーキ操作量B[%]を検出するフットブレーキ操作量センサ116、エンジン回転速度NEを検出するエンジン回転速度センサ118、自動変速機14の入力軸32の入力軸回転速度Ninを検出する入力軸回転速度センサ120、車両の加速度を検出する加速度センサ122、自動変速機14の所定のクラッチCまたはブレーキBの滑り量を検出するための滑り検出用回転速度センサ124、外気温を検出するための外気温センサ126、外気圧を検出するための外気圧センサ128、エンジン10の潤滑油等として機能するエンジンオイルの油温を検出するエンジンオイル油温センサ130、エンジン10に供給される燃料がガソリンとアルコールとの混合燃料であるとき、そのアルコール濃度を検出するアルコール濃度センサ132、異なる燃料が使用されるとき燃料の種類を検出する異種燃料識別センサ134等から信号が供給される。なお、入力軸32は、トルクコンバータ12の出力軸(およびタービン翼車)と連結されているため、入力軸回転速度センサ120は、トルクコンバータ12の出力軸回転速度センサ(さらには、タービン回転速度センサ)としても機能する。
【0056】
また、電子制御装置104からは、車速Vやアクセル開度Acc、シフトレバー位置信号PSHなどの各種信号に基づいて、自動変速機14の変速段やトルクコンバータ12のロックアップクラッチL/Uの係合の有無、エンジン作動状態等が判断されることにより、それに応じた各種ソレノイドバルブへの作動信号やエンジン出力制御装置として機能するスロットルアクチュエータ135、燃料噴射装置136、および点火装置137への作動信号が出力される。
【0057】
図6は、本発明の故障検出装置を構成する電子制御装置104の制御作動の要部を説明する機能ブロック線図である。変速制御手段138は、例えば、車速Vとアクセル開度Accとを変数として予め記憶されたアップシフト線およびダウンシフト線を有する関係(変速線図、変速マップ)から実際の車速Vおよびアクセル開度Accで示される車両状態に基づいて、自動変速14の変速を実行すべきか否かを判断しすなわち自動変速部14の変速すべき変速段を判断し、その判断した変速段が得られるように自動変速部14の自動変速制御を実行する。
【0058】
このとき、変速制御手段138は、例えば図2に示す係合表に従って変速段が達成されるように、自動変速部14の変速に関与する油圧式摩擦係合装置を係合および/または解放させる指令(変速出力指令、油圧指令)を、すなわち自動変速部14の変速に関与する解放側係合装置を解放すると共に係合側係合装置を係合することによりクラッチツウクラッチ変速を実行させる指令を油圧制御回路40へ出力する。油圧制御回路40は、その指令に従って、例えば解放側係合装置を解放すると共に係合側係合装置を係合して自動変速部14の変速が実行されるように、油圧制御回路内の各ソレノイドバルブを作動させてその変速に関与する油圧式摩擦係合装置の油圧アクチュエータを作動させる。
【0059】
ロックアップ制御手段140は、例えば車速Vとアクセル開度Accとを変数として予め記憶されたロックアップ領域図から実際の車速Vおよびアクセル開度Accに基づいて、ロックアップクラッチL/Uを係合させるか否かを判定する。そして、現在の走行状態がロックアップ領域にあると判定されると、ロックアップクラッチL/Uの係合制御が開始される。具体的には、切換ソレノイドバルブSLから切換圧PSLが出力されることで、リレーバルブ92の油路が切り換えられ、リニアソレノイドバルブSLUのコントロール圧PSLUがロックアップコントロールバルブ98に供給される。これにより、ロックアップコントロールバルブ98からロックアップクラッチL/Uの係合に必要な係合油圧が供給されて、ロックアップクラッチL/Uが係合される。
【0060】
エンジン出力制御手段142は、エンジン10の出力制御の為にエンジン出力制御信号、例えばスロットル信号や噴射信号や点火時期信号などをそれぞれスロットルアクチュエータ135や燃料噴射装置136や点火装置137へ出力する。例えばエンジン出力制御手段142は、アクセル開度Accに応じたスロットル開度θTHとなるように電子スロットル弁を開閉するスロットル信号をスロットルアクチュエータ135へ出力してエンジントルクを制御する。
【0061】
故障検出手段144は、自動変速機14の実状態が目標状態と異なるとき、自動変速機14の故障を検出する。例えば、故障検出手段は144は、自動変速機14の実状態に対応する現在の変速比γaを出力軸回転速度Noutおよび入力軸回転速度Ninに基づいて算出し(γa=Nin/Nout)、算出された変速比γaと、目標状態に対応する車速Vおよびアクセル開度Accに基づいて予め設定されている変速段の変速比γpとを比較する。そして、これらの変速比(γa、γp)の値が異なるとき、自動変速機14の故障が検出される。
【0062】
或いは、故障検出手段144は、自動変速機14の所定のクラッチCまたはブレーキBの入力回転速度と出力回転速度とに基づいてそのクラッチCまたはブレーキBの滑り状態(実状態)を検出し、その滑り状態が車両の走行状態から予め設定されている所定の滑り状態(目標状態)と一致するか否かを判定する。例えば、クラッチC1の滑り状態を検出するとき、入力回転速度N1として入力軸32の回転速度が入力軸回転速度センサ120によって検出され、出力回転速度N2として図1に示す第4回転要素RM4(サンギヤS2)が滑り検出用回転速度センサ124によって検出される。そして、入力回転速度N1と出力回転速度N2との滑り量NSLIP(=N1−N2)を算出することで、実際の滑り状態が検出される。そして、予め走行状態から設定されているクラッチC1の滑り量と算出された実際の滑り量NSLIPとを比較し、互いの滑り量の差が所定量を超えるとき、自動変速機14の異常が検出される。例えば、クラッチC1を係合させる指令が電子制御装置104から出力されることで、クラッチC1の滑り量が数rpm乃至は数十rpm以内に制御されるにも拘わらず、クラッチC1の滑り量がその値を超えるとき(オフ故障)、自動変速機14の故障が検出される。また、クラッチC1を解放させる指令が電子制御装置104から出力されていることで、クラッチC1の滑り量が所定の回転速度とされるにも拘わらず、その滑り量が数rpmとされるとき(オン故障)、自動変速機14の故障が検出される。なお、回転要素の入力回転速度と出力回転速度に基づく滑り量は、クラッチC1だけでなく、他の回転要素であっても滑り検出用回転速度センサ124を好適に配置することで検出することができ、その滑り量に基づいて故障を検出することができる。
【0063】
また、故障検出手段144は、トルクコンバータ12のロックアップクラッチL/Uの実状態が目標状態と異なるとき、トルクコンバータ12のロックアップクラッチL/Uの故障を検出する。故障検出手段144は、先ず、ロックアップクラッチL/Uの入力回転速度に対応するポンプ翼車の回転速度NPUMPを、そのポンプ翼車と一体回転されるエンジン10の回転速度を検出するエンジン回転速度センサ118によって検出する。また、故障検出手段144は、ロックアップクラッチL/Uの出力回転速度に対応するタービン翼車の回転速度NTURBを、そのタービン翼車と連結された自動変速機14の入力軸32の回転速度を検出する入力軸回転速度センサ120によって検出する。そして、故障検出手段144は、実状態に対応する検出されたポンプ翼車の回転速度NPUMPとタービン翼車の回転速度NTURBとの滑り量NSLIP(=NPUMP−NTURB)を算出し、その滑り量NSLIPと予め走行状態に基づいて設定されているロックアップクラッチL/Uの滑り量NSP(目標状態に対応)とを比較し、それらの値(NSLIP、NSP)が異なるとき、トルクコンバータ12の故障が検出される。
【0064】
ここで、前記故障検出手段144は、例えば車両の加速度が負の領域や車両の駆動輪に伝達されるエンジン10の出力トルクが所定値以下の領域であれば、実施不可能となる。車両の加速度が負の領域では、駆動輪側から逆動力が伝達されるため、エンジン10側からの出力トルクを前提とする故障検出手段144は実施不可能となる。また、駆動輪に伝達されるエンジン10の出力トルクが所定値以下の領域では、自動変速機14の係合されるクラッチCまたはブレーキBに入力されるトルク容量が小さくなる。これより、例えばソレノイドバルブの故障により、そのクラッチCまたはブレーキBが許容可能なトルク容量が小さい状態にも拘わらず、入力されるトルク容量が小さいと、見かけ上は滑り量が正常範囲となることがあり、その故障が検出されなくなる。これにより、エンジン10の出力トルクが所定値以下では、故障検出手段144が実施不可能となる。そこで、検出禁止手段146は、車両の加速度が負の領域や車両の駆動輪に伝達されるエンジン10の出力トルクが所定値以下の領域を検出禁止領域とし、運転状態(車速V、要求駆動力、アクセル開度Acc等に基づく)がその検出禁止領域にあるとき、故障検出手段144の実施を禁止する。なお、前記所定値は、予め実験的に設定され、故障検出手段144が実施可能となる最小値トルク値に設定されている。
【0065】
検出禁止手段146は、加速度センサ122から検出される車両の加速度ACLに基づいて、故障検出手段144の実施を禁止する。具体的には、車両の加速度ACLが負の領域であれば、故障検出手段144が禁止される。また、故障禁止手段146は、駆動輪に伝達されるエンジン10の出力トルクが所定値以下の領域であれば、故障検出手段144の実施を禁止する。本実施例では、エンジン10の出力トルクに対応する値としてアクセルペダル110の踏み込み量であるスロットル開度Accに基づいて車両の状態が故障検出禁止領域にあるか否かを判定し、車両の運転状態がその検出禁止領域にあるとき、故障検出手段144の実施を禁止する。故障禁止手段146は、例えば、アクセル開度Accが15%以下の領域になると、故障検出手段144の実施を禁止する。なお、上記検出禁止領域は、予め実験的もしくは理論的に求められるものであり、記憶手段148に記憶されている。また、検出禁止手段146は、前記アクセル開度Accに限定されず、スロットル弁開度θTHやトルクセンサ等によって直接的に検出されたエンジン10の出力トルクに基づいて判定しても構わない。また、上記アクセル開度Accは、自動変速機14の変速段並びに車速Vに応じて変更されるものであっても構わない。
【0066】
ところで、本実施例のエンジン10は、使用される燃料がガソリンに限らず、例えば、ガソリンとアルコールとの混合燃料などの異種燃料が使用可能な構成となっていいる。上記構成は公知技術であるが、燃料が変更されると、同じアクセルペダルの踏み込み量(アクセル開度Acc)であってもエンジン10の燃焼室の燃焼状態等が変化するため、エンジン10からの出力トルクが変化する、すなわちエンジン10の出力特性が変化する。
【0067】
ここで、例えば上記のように使用される燃料が異なるなどしてエンジン10の出力特性が変化すると、故障検出手段144および検出禁止手段146の実施に際し、その判定が誤判定される可能性があった。例えば、アクセルペダル110の踏み込み量が同じであっても通常よりもエンジン10の出力トルクが低下する場合、故障検出手段144の実施において必要とされる出力トルクが出力されない状態で判定されることとなり、誤判定される可能性がある。具体的には、油圧制御回路40内の所定のソレノイドバルブが故障するなどして、クラッチCやブレーキBにおいて許容可能なトルク容量が小さい状態にも拘わらず、出力トルクが小さいためにそのクラッチCやブレーキBに伝達されるトルク容量が小さくなるため、見かけ上はスリップ等が発生しないので、正常と判定される可能性がある。或いは、通常よりもエンジン10の出力トルクが高くなる場合、実際には故障検出手段144が実施可能な出力トルクが出力されているにも拘わらず、検出禁止手段146に基づいて故障検出手段144が実施されないため、故障を見逃す可能性がある。
【0068】
そこで、本実施例では、検出禁止手段146は、エンジン10に使用される燃料状態などに基づくエンジン10の出力の大きさに関する環境を検出し、その環境に基づいて検出禁止領域を変更する制御を実施する。
【0069】
環境検出手段150は、前記エンジン10の出力の大きさに関する環境を検出するものである。エンジン10の出力の大きさに関する環境とは、例えば前記エンジン10の燃料状態、エンジン10の潤滑等に使用されるエンジンオイルの油温TLUB、外気温TAIR、外気圧PAIR等、エンジン10の出力特性を変化させる各種要素が対応する。環境検出手段150は、例えば、エンジンの10の燃料状態を検出する燃料状態検出手段を機能的に備えている。具体的には、環境検出手段150(燃料状態検出手段)は、使用されている燃料の種類(環境)を検出し、且つ、使用されている燃料がアルコールとの混合燃料であれば、そのアルコール濃度を検出する。
【0070】
燃料の種類の検出は、例えば図示しないフューエルタンクに設けられている異種燃料識別センサ134によってその燃料を特定する。例えば、異種燃料識別センサ134は、燃料の種類に応じて変化する燃料の静電容量や比重等を検出し、検出された値に基づいて、記憶手段148に記憶された予め求められた関係よりその燃料の種類(例えば、バイオ燃料や軽油のグレード等)を判定する。或いは、使用される燃料がガソリンとアルコールとの混合燃料であれば、公知であるアルコール濃度センサ132によって、そのアルコール濃度を検出する。そして、検出禁止手段146は、検出された燃料およびアルコール濃度(環境)に応じて変化する出力特性に基づいて、検出禁止領域を変更する。ここで、変更される検出禁止領域は上記燃料の種類およびアルコール濃度に応じてそれぞれに検出禁止領域が設定されており、記憶手段148に予め記憶されている。
【0071】
図7は、記憶手段148に記憶されているアルコール濃度(環境)に応じて変更される検出禁止領域を、一例として示したものである。ここで、各アルコール混合燃料に付されている数値はアルコール濃度を示すものとする。図7に示すように、アルコール濃度が高くなるに従い、故障検出が禁止されるアクセル開度Acc範囲が低く設定されている、すなわち検出禁止領域が狭くされている。また、図7を別の見方をすると、アルコール濃度が0%においてアクセル開度Acc15%で発生する出力トルクが、アルコール濃度30%におけるアクセル開度Acc14.5%、アルコール濃度50%におけるアクセル開度Acc14%、アルコール濃度85%におけるアクセル開度Acc13.5%の出力トルクと略同値となる。これより、アルコール濃度が高くなるに従い、検出禁止領域が狭くなる、すなわち、エンジン10の出力が大きい環境が検出されたときは、エンジン10の出力が小さい環境が検出されたときより、検出禁止領域が狭くされる。なお、図7は、予め設定されている所定の速度Vおよび変速段での領域が一例として示されているのであって、車速Vおよび変速段に応じてさらにアクセル開度Accが細かく設定される。また、アルコール濃度のさらに細かな変化に対しては、例えば、予め求められた各種のアルコール濃度のデータに対する補間を実施する、或いは予め設定された関係式に基づいて算出しても構わない。
【0072】
また、エンジン10の出力の大きさに関する環境は、エンジンオイルTLUBも同様に対応している。そこで、環境検出手段150は、エンジンオイルの油温を検出するエンジンオイル油温検出手段を機能的に備えている。環境検出手段150(エンジンオイル油温検出手段)は、エンジンオイルの油温TLUBをエンジンオイル油温センサ130によって検出する。そして、検出禁止手段146は、検出されたエンジンオイルの油温TLUB(環境)に応じて変化するエンジン10の出力の大きさ(出力トルク)に基づいて検出禁止領域を変更する。ここで、エンジンオイルの油温TLUB(環境)に応じて設定される検出禁止領域は、予め実験的または計算的に設定され、記憶手段148に記憶されている。例えば、エンジンオイルの油温TLUBが低温に変化するに従って、エンジン8の出力トルクが低下するため、低温時において、故障検出手段144が実施可能なアクセル開度Accの最低値が高く設定される。すなわち、エンジンオイルが低温に変化するに従って、検出禁止領域が大きくなる。
【0073】
また、エンジン10の出力の大きさに関する環境は、外気状態に対応する気温TAIR並びに気圧PAIRも同様に対応している。そこで、環境検出手段150は、外気状態に対応する気温TAIR並びに気圧PAIRを検出する外気状態検出手段を機能的に備えている。環境検出手段150(外気状態検出手段)は、気温TAIR並びに気圧PAIRを検出する。そして、検出禁止手段146は、検出された気温TAIR並びに気圧PAIR(環境)に応じて変化するエンジン10の出力の大きさに基づいて検出禁止領域を変更する。ここで、気温TAIR並びに気圧PAIRに応じて設定される検出禁止領域は、予め実験的または計算的に求められ、記憶手段148に記憶されている。そして、故障検出手段144は、気温TAIR並びに気圧PAIRに応じて変更された検出禁止領域に基づいて制御を実施する。
【0074】
図8は、電子制御装置104の制御作動の要部すなわちエンジン10の出力の大きさに関する環境を検出し、その環境に応じて自動変速機14およびトルクコンバータ12の故障検出を禁止する検出禁止領域を変更することで、正常な故障検出が可能となる制御作動を説明するフローチャートであり、例えば数msec乃至数十msec程度の極めて短いサイクルタイムで繰り返し実行されるものである。
【0075】
先ず、環境検出手段150(燃料状態検出手段)に対応するステップSA1(以下、ステップを省略)において、使用されている燃料の種類が検出され、バイオ燃料や混合燃料などの異種燃料が使用されたか否かが判定される。ここで、SA1が否定される、すなわち従来の燃料(ガソリンなど)が使用されていると判定されると、検出禁止手段146並びに故障検出手段144に対応するSA3において、通常の検出禁止領域(ここではガソリン使用時)に従って自動変速機14およびトルクコンバータ12の故障検出が実施される。なお、ここで、故障が検出されると、車両走行中であってもその故障が警告灯や警告音などによって運転者に知らせられる。
【0076】
一方、SA1が肯定されると、検出禁止手段146および故障検出手段144に対応するSA2において、その異種燃料に応じた検出禁止領域に変更され、その検出禁止領域に基づいて走行中の故障検出(OBD故障検出)が実施される。
【0077】
ここで、図8のフローチャートにおいて、ステップSA1を図9並びに図10に示すように変更しても構わない。例えば図9では、環境検出手段150(エンジンオイル油温検出手段)に対応するSA1−1において、エンジンオイルの油温TLUBが適正範囲にあるか否かが判定される。SA1−1が肯定されると、SA3において、通常の検出禁止領域に従って自動変速機14およびトルクコンバータ12の故障検出が実施される。一方、SA1−1が否定されると、SA2において、エンジンオイルの低温時に対応した故障検出禁止領域に変更され、その検出禁止領域に基づいて故障検出が実施される。
【0078】
また、図10では、環境検出手段150(外気状態検出手段)に対応するSA1−2において、気温TAIR並びに気圧PAIRが検出され、その値が適正範囲にあるか否かが判定される。SA1−2が肯定されると、SA3において、通常の検出禁止領域に従って自動変速機14およびトルクコンバータ12の故障検出が実施される。一方、SA1−2が否定されると、SA2において、気温TAIR並びに気圧PAIRに対応した故障検出禁止領域に変更され、その検出禁止領域に基づいて故障検出が実施される。
【0079】
なお、上記図8乃至図10に示す各種フローチャートは、組み合わせて実施可能であり、さらに、異種燃料、エンジンオイル、外気温並びに外気圧の各種パラメータに基づいて設定された検出禁止領域マップ、或いは関係式に基づいて、検出禁止領域を設定しても構わない。
【0080】
上述のように、本実施例によれば、検出禁止領域がエンジン10の出力の大きさに関する環境に応じて変更され、その変更された検出禁止領域に基づいて自動変速機14の故障検出が実施されるため、エンジン10の出力の大きさに関する環境に応じた領域で自動変速機14の故障検出が実施される。これにより、正常な故障検出が可能となる。
【0081】
また、本実施例によれば、検出禁止領域がエンジン10の出力の大きさに関する環境に応じて変更され、その変更された検出禁止領域に基づいてトルクコンバータ12の故障検出が実施されるため、エンジン10の出力の大きさに関する環境に応じた領域でトルクコンバータ12の故障検出が実施される。これにより、正常な故障検出が可能となる。
【0082】
また、本実施例によれば、検出禁止領域は、車両の加速度ACLが負の領域であるため、例えばエンジンブレーキによって加速度が負の領域となると、故障検出手段144が実施されない。車両の加速度ACLが負の領域においては、駆動輪側からの逆駆動力が入力されるため、故障検出手段144の実施は不可能であり、このような領域での故障検出を禁止することで、故障検出手段144の正常な故障検出が可能となる。
【0083】
また、本実施例によれば、検出禁止領域は、車両の駆動輪に伝達されるエンジン10の出力トルクが所定値以下の領域であるため、出力トルクが所定値以下となると故障検出手段144は実施されない。故障検出に必要な出力トルクが出ていないにも拘わらず、故障検出を実施すると、正常に故障が検出されない場合があり、そのような領域において故障検出を実施させないことで、正常な故障検出が可能となる。
【0084】
また、本実施例によれば、エンジン10の出力が大きい環境が検出されたときは、エンジン10の出力が小さい環境が検出されたときより検出禁止領域が狭くされるため、故障検出手段144の実施領域が拡げられる。すなわち、故障検出に必要な出力トルクが出力される領域が拡げられるので、広い領域での故障検出が可能となる。
【0085】
また、本実施例によれば、実状態は、自動変速機14の入力軸回転速度Ninと出力軸回転速度Noutとに基づいて検出される変速比γaであるため、変速比γaを検出することで容易に故障を検出することができる。なお、具体的には、上記のように検出される実際の変速比γaと、車両の走行状態に基づいて設定される目標変速比γpとを比較することで、故障が検出される。
【0086】
また、本実施例によれば、実状態は、回転要素の入力回転速度N1と出力回転速度N2とに基づいて検出される、回転要素の滑り状態(滑り量)NSLIPであるため、その滑り状態を検出することで、容易に故障を検出することができる。
【0087】
また、本実施例によれば、前記運転状態は、車速Vと要求駆動力とであるため、車速Vと要求駆動力を検出することで、容易に運転状態を検出することができる。
【0088】
また、本実施例によれば、環境はエンジンオイル油温TLUBであり、環境検出手段150は、エンジンオイル油温TLUBを検出するため、エンジンオイル油温TLUBに基づいてエンジン10の出力の大きさに関する環境を検出することができる。これに従って、故障検出禁止領域を変更することで、正常な故障検出を実施することができる。
【0089】
また、本実施例によれば、環境は外気状態であり、環境検出手段150は、外気状態を検出するため、外気状態に基づいて、エンジン10の出力の大きさに関する環境を検出することができる。これに従って、検出禁止領域を変更することで、正常な故障検出を実施することができる。
【0090】
また、本実施例によれば、外気状態は、気温TAIRであるため、気温TAIRを検出することでエンジン10の出力の大きさに関する環境を検出することができる。これに従って検出禁止領域を変更することで、正常な故障検出を実施することができる。
【0091】
また、本実施例によれば、外気状態とは気圧PAIRであるため、気圧PAIRを検出することでエンジン10の出力の大きさに関する環境を検出することができる。これに従って検出禁止領域を変更することで、正常な故障検出を実施することができる。
【0092】
また、本実施例によれば、環境は燃料状態であり、環境検出手段150は、燃料状態を検出するため、燃料状態に基づいて、エンジン10の出力の大きさに関する環境を検出することができる。これに従って検出禁止領域を変更することで、正常な故障検出を実施することができる。
【0093】
また、本実施例によれば、燃料状態とは燃料の種類であり、環境検出手段150は、前記燃料の種類を検出するため、、燃料の種類に基づいて、エンジン10の出力の大きさに関する環境を検出することができる。これに従って検出禁止領域を変更することで、正常な故障検出を実施することができる。
【0094】
また、本実施例によれば、前記燃料状態とは燃料中のアルコール濃度であり、環境検出手段150は、前記燃料中のアルコール濃度を検出するため、アルコール濃度に基づいて、エンジン10の出力の大きさに関する環境を検出することができる。これに従って検出禁止領域を変更することで、正常な故障検出を実施することができる。
【0095】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
【0096】
例えば、前述の実施例において、検出禁止領域を規定するアクセル開度Acc等の具体的な数値は、単なる一例であって、車両の状態に応じて適宜変更される。
【0097】
また、前述の実施例では、自動変速機14とロックアップクラッチL/Uとの検出禁止領域は同様のものとしたが、例えば、これらは異なるものであって、それぞれについて異なる検出禁止領域を設定しても構わない。
【0098】
また、前述の実施例では、自動変速機14の滑り状態は、クラッチC1の入力回転速度と出力回転速度に基づくものとしたが、滑り状態の判定は、上記に限定されず、他のクラッチCやブレーキBに適用しても構わない。なお、他のクラッチCやブレーキBの滑り量を検出する場合、滑り検出用回転速度センサ124の位置が適宜変更される。また、滑り検出用回転速度センサ124の個数は複数個であっても構わない。
【0099】
また、前述の実施例では、検出禁止領域をアクセル開度Accに基づいて定義したが、必ずしもアクセル開度Accに限定されるものではなく、例えばスロットル弁開度θTHなどに基づくものであっても構わない。さらに、車速Vや変速段に応じてさらに細かく設定することができる。
【0100】
また、前述の実施例では、燃料の種類、エンジンオイルの油温、外気温、外気圧によって検出禁止領域が変更されているが、例えば、エンジン水温など、他のパラメータに基づいて検出禁止領域を変更しても構わない。すなわち、エンジン10の出力特性が変化するパラーメータであれば本発明に適用することができる。
【0101】
また、前述の実施例では、燃料の種類は、アルコール濃度センサ132および異種燃料識別センサ134に基づいて判断されていたが、例えばエンジン10のアイドル回転時の回転速度などに基づいて判断するなど、他の方法によって判断しても構わない。
【0102】
また、前述の実施例において、自動変速機14の構成は特に限定されるものではなく、自由に変更することができる。また、ベルト式無段変速機などの変速比が無段階的に変更される構成であっても本発明を適用することができる。
【0103】
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明が好適に適用される車両用動力伝達装置の骨子図である。
【図2】図1の自動変速機の複数のギヤ段と摩擦係合装置の係合解放状態との関係を説明する作動表を示す図である。
【図3】クラッチおよびブレーキの各油圧アクチュエータの作動を制御するリニアソレノイドバルブに関する回路図である。
【図4】図3のシフトレバーの操作位置を説明する図である。
【図5】図1に示す自動変速機やトルクコンバータのロックアップクラッチを制御するために車両に設けられた制御系統の要部を説明するブロック線図である。
【図6】本発明の故障検出装置を構成する電子制御装置の制御作動の要部を説明する機能ブロック線図である。
【図7】記憶手段に記憶されているアルコール濃度に応じて変更される検出禁止領域を、一例として示したものである。
【図8】電子制御装置の制御作動の要部すなわちエンジンの出力特性の変化に応じて自動変速機およびトルクコンバータの故障検出を禁止する検出禁止領域を変更する制御作動を説明するフローチャートである。
【図9】電子制御装置の制御作動の要部すなわちエンジンの出力特性の変化に応じて自動変速機およびトルクコンバータの故障検出を禁止する検出禁止領域を変更する制御作動を説明する他のフローチャートである。
【図10】電子制御装置の制御作動の要部すなわちエンジンの出力特性の変化に応じて自動変速機およびトルクコンバータの故障検出を禁止する検出禁止領域を変更する制御作動を説明する他のフローチャートである。
【符号の説明】
【0105】
10:エンジン(内燃機関)
12:トルクコンバータ
14:自動変速機
144:故障検出手段
146:検出禁止手段
150:環境検出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の出力の大きさに関する環境を検出する環境検出手段と、
自動変速機の実状態が目標状態と異なるとき、前記自動変速機の故障を検出する故障検出手段と、
運転状態が前記自動変速機の故障検出を禁止する検出禁止領域内にあるとき、前記故障検出手段の実施を禁止する検出禁止手段とを、有し、
前記検出禁止手段は、前記検出禁止領域を前記環境に基づいて変更することを特徴とする車両の故障検出装置。
【請求項2】
内燃機関の出力の大きさに関する環境を検出する環境検出手段と、
トルクコンバータの実状態が目標状態と異なるとき、前記トルクコンバータの故障を検出する故障検出手段と、
運転状態が前記トルクコンバータの故障検出を禁止する検出禁止領域内にあるとき、前記故障検出手段の実施を禁止する検出禁止手段とを、有し、
前記検出禁止手段は、前記検出禁止領域を前記環境に基づいて変更することを特徴とする車両の故障検出装置。
【請求項3】
前記検出禁止領域は、車両の加速度が負の領域であることを特徴とする請求項1または2の車両の故障検出装置。
【請求項4】
前記検出禁止領域は、車両の駆動輪に伝達される前記内燃機関の出力トルクが所定値以下の領域であることを特徴とする請求項1または2の車両の故障検出装置。
【請求項5】
前記内燃機関の出力が大きい環境が検出されたときは、前記内燃機関の出力が小さい環境が検出されたときより前記検出禁止領域が狭くされることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つの車両の故障検出装置。
【請求項6】
前記実状態は、前記自動変速機の入力軸回転速度と出力軸回転速度とに基づいて検出される変速比であることを特徴とする請求項1および3乃至5のいずれか1つの車両の故障検出装置。
【請求項7】
前記実状態は、回転要素の入力回転速度と出力回転速度とに基づいて検出される、前記回転要素の滑り状態であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1つの車両の故障検出装置。
【請求項8】
前記運転状態は、車速と要求駆動力とであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1つの車両の故障検出装置。
【請求項9】
前記環境は油温であり、前記環境検出手段は、前記油温を検出することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1つの車両の故障検出装置。
【請求項10】
前記環境は外気状態であり、前記環境検出手段は、前記外気状態を検出することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1つの車両の故障検出装置。
【請求項11】
前記外気状態とは、気温であることを特徴とする請求項10の車両の故障検出装置。
【請求項12】
前記外気状態とは、気圧であることを特徴とする請求項10の車両の故障検出装置。
【請求項13】
前記環境は燃料状態であり、前記環境検出手段は、前記燃料状態を検出することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1つの車両の故障検出装置。
【請求項14】
前記燃料状態とは燃料の種類であり、前記環境検出手段は、前記燃料の種類を検出することを特徴とする請求項13の車両の故障検出装置。
【請求項15】
前記燃料状態とは燃料中のアルコール濃度であり、前記環境検出手段は、前記燃料中のアルコール濃度を検出することを特徴とする請求項13の車両の故障検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−7831(P2010−7831A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−170902(P2008−170902)
【出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】