説明

車両の車体構造

【課題】 前席に対応したフロアパネル下方に配設される燃料タンクを、別途連通管やポンプを必要とせず、大容量化できるようにする。
【解決手段】 前席4に対応したフロアパネル8下方に、燃料タンク20が配設される。フロアパネル8は、前後方向に伸びるトンネル部を有しない構造とされて、燃料タンク20は、運転席4Aと助手席4Bとに渡って全体として一体として大きく形成されている。燃料タンク20の前後左右は、左右一対のサイドフレーム17L、17R、左右一対のサイドシル16L、16R、前後一対のクロスメンバ21、22で囲まれている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の車体構造に関し、特に燃料タンクの配設構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
前席および後席がそれぞれ車室内に配設された車両においては、燃料タンクが、通常後席よりも後方に配置されるが、この場合には、トランクルームの容量確保や後席を十分後方に配置することが難しくなる。特許文献1には、前席に対応したフロアパネルの下方に燃料タンクを配置するものが提案されている。より具体的には、車室内のフロアパネルが、前後方向に伸びて上方に隆起したトンネル部を有するため、このトンネル部を境として、運転席に対応したフロアパネル下方に第1燃料タンクを配置し、助手席に対応したフロアパネル下方に第2燃料タンクを配置したもの、つまり燃料タンクが左右に互いに分離した構成のものが開示されている。そして、第1、第2の2つの燃料タンクの間での燃料が移動できるように、2つの燃料タンク同士を連通管によって接続すると共に、一方の燃料タンクから他方の燃料タンクへと燃料を移送するためのポンプを別途設けたものとなっている。
【特許文献1】特開平2−241826号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記公報記載のものでは、燃料タンクが左右に分離して構成されているために、別途連通管やポンプを設ける必要が生じてしまうことになる。また、左右の燃料タンク間に少なからず大きな空間が形成されてしまい、燃料タンクの十分な容量確保の点でも好ましくないものとなってしまう。
【0004】
本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので、その目的は、前席に対応したフロアパネル下方に燃料タンクを配置する場合に、別途連通管や燃料タンク間での燃料移送用のポンプを別途設けることが不用で、しかも燃料タンクの容量も十分確保できるようにした車両の車体構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するため、本発明にあっては次のような解決手法を採択してある。すなわち、特許請求の範囲における請求項1に記載のように、
前席および後席がそれぞれ車室内に配置され、前席に対応するフロアパネル下方に燃料タンクが配置された車両において、
前記燃料タンクが、前席となる運転席と助手席とに渡って一体のものとして構成され、
前記フロアパネルの車幅方向端部が、車体前後方向に伸びるサイドシルに接合され、
前記フロアパネル下面に、前記サイドシルよりも車幅方向内方側において、車体前後方向に伸びる左右一対のサイドフレームが構成され、
前記左右一対のサイドフレームの間に、前記燃料タンクが配置され、
前記燃料タンクの前方に位置させて前記左右一対のサイドフレーム同士を連結する前クロスメンバが構成されると共に、該燃料タンクの後方に位置させて該左右一対のサイドフレーム同士を連結する後クロスメンバが構成され、
前記燃料タンクの一方の側面と該燃料タンクの一方の側面に対向するサイドフレームとの間に、車体前後方向に伸びる管部材が配置されている構成としてある。
【0006】
上記解決手法を前提とした本発明の好ましい態様は、特許請求の範囲における請求項2に記載のとおりである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1によれば、前席に対応したフロアパネルの下方に配置される燃料タンクを、運転席から助手席に渡って一体のものとして構成したために、2つの燃料タンクの間を連通するための連通管や2つの燃料タンクの間での燃料の移送を行うポンプを別途設ける必要がなくなる。
【0008】
また、運転席と助手席との間の空間をも利用して燃料タンクの容量を確保できるので、燃料タンクを大容量なものとする上で好ましいものとなる。
【0009】
さらに、燃料タンクの左右側方には、強度的に優れたサイドシルとサイドフレームとが位置されるので、燃料タンクを側方つまり左右方向から保護する上で好ましいものとなる。
さらにまた、燃料タンクを、左右一対のサイドフレーム同士を連結する前、後クロスメンバにより前後方向から保護することができる。
【0010】
請求項2によれば、より具体的態様をもって前記請求項1と同様の作用効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1において、車両Sは、前輪駆動式の4ドアセダンタイプとされて、車体前部にエンジンEが配置されたエンジンルーム1とされ、車体後部にトランクルーム2が形成され、中間部分が車室3とされている。車室3内には、前席4と後席5とが配置され、前席4は既知のように左右に並列配置された運転席4Aと助手席4B(図5参照)とからなる。そして、前席用の前サイドドアが符号6で示され、後席用の後サイドドアが符号7で示される。
【0012】
車室3の底壁となるフロアパネル8は、前席3に対応した部分が上方へ隆起された隆起部8aを有し、この隆起部8aは、図4に示すように車幅方向ほぼ全長に渡って伸びて、その上面はほぼ平坦面とされている。そして、この隆起部8a上に前席4(のシートクッション)が取付けられている。なお、図4に示すように、隆起部8aの両端角部には、ボックス状の補強部材Gが接合されて、この部分の強度(剛性)向上が図られている。
【0013】
フロアパネル8は、上記隆起部8aの後方部分が、後席5用の足下部分となるようにされているが、全体として低くかつ大きな面積を有するフラット状とされている。フロアパネル8は、後席4の後端部付近において上方へ隆起した隆起部8bとされており、この隆起部8b後方は、十分に低くされている。このようなフロアパネル8は、前側の隆起部8aよりも前側部分8cと、2つの隆起部8a、8bとの間の中間部分8dと、後側の隆起部8bよりも後側部分8eとが、低くてほぼ同じ高さ位置されている。
【0014】
上述の前側部分8cが前席4用の足下部分となるものであり、中間部分8dが前述のように後席5用の足下部分となるものであり、さらに後側部分8eの上方空間が、トランクルーム2となっている。トランクルーム2内は、隆起部8bとほぼ同じ高さ位置において水平方向に配設される開閉可能な仕切板9によって、下方側に位置するスペアタイア10用の収納空間11と、上方側に位置する荷室12との上下に仕切られている。すなわち、トランクリッドを開いて、かつ仕切板9を開くことにより、収納空間11に接近可能であり、仕切板9でもって収納空間11が覆われた図1の状態において、仕切板9の上方空間となる荷室12に荷物13が収納される(仕切板9が荷室12の底壁を構成する)。
【0015】
車両Sの下面の様子を、図2、図3を参照しつつ説明するが、以下の説明において、左右の同一部材のうち左側は「L」の符号を付して、また右側は「R」の符号を付して区別するものとし、特に左右区別する必要のないときは、L、Rの符号は用いないものとする。以上のことを前提として、まず図2において、駆動輪としての前輪14と従動輪としての後輪15との間において、フロアパネル8の車幅方向端部は、前後方向に伸びるサイドシル16に接合されている。サイドシル16は、既知のように、前後方向に伸びる閉断面状とされて、車体の強度部材とされている。フロアパネル8の下面には、左右のサイドシル16Lと16Rとの間において、左右一対のサイドフレーム17L、17Rが接合されている。この各サイドフレーム17は、閉断面状とされて、車体の強度部材となる。
【0016】
各サイドフレーム17は、車体のほぼ全長に渡って前後方向に長く伸び、その前端部分はエンジンルーム1内に伸びて、エンジンEが取付けられるフロントフレームとして機能される。サイドフレーム17は、少なくともサイドシル16と並行する部分が、当該サイドシル16と平行に伸びるように形成されている。そして、フロアパネル8の後側部分8e部分では、左右一対のサイドフレーム17Lと17Rとの間隔が広がるように形成されており、これにより、トランクルーム2の容量が確保、つまり収納空間10が車幅方向に大きく確保されるようになっている。
【0017】
左側のサイドシル16Lとサイドフレーム17Lとは近い位置にあり、同様に、右側のサイドシル16Rとサイドフレーム17Rとは近い位置にあり、これにより、左右一対のサイドフレーム17Lと17Rとの間は、かなり大きな間隔を有することになる。そして、フロアパネル8の下方には、左右一対のサイドフレーム17Lと17Rとの間において、燃料タンク20が配置されている。
【0018】
燃料タンク20は、図1から理解されるように、前側の隆起部8aの下方に位置され、かつ隆起部8aの後方にまで延長されている。すなわち、燃料タンク20は、その下面が前後方向ほぼ全長に渡ってほぼ平坦面とされて、路面からの高さ位置が、そのほぼ全面積に渡ってほぼ同じとなるように設定されている。そして、燃料タンク2はその前半分が、隆起部8a内に突出するように部分的に高くなっており、隆起部8aの後方に位置する部分が、隆起部8a内に突出する部分よりも低い偏平形状とされている。このような燃料タンク20は、車幅方向に長く伸びて、前席となる運転席4Aと助手席4Bとに渡って伸びている(図5参照)。
【0019】
燃料タンク20の近くにおいて、その前後には、車幅方向に伸びるクロスメンバ21、22が配設されている。すなわち、前側のクロスメンバ21は、燃料タンク20の前直近において左右のサイドフレーム17L、17Rとを連結するように伸びていて、当該サイドフレーム17L、17Rに接合されている。後側のクロスメンバ22は、燃料タンク20の後直近において左右のサイドフレーム17L、17Rとを連結するように伸びていて、当該サイドフレーム17L、17Rに接合されている。つまり、燃料タンク20は、左右一対のサイドフレーム17L、17Rと、前後一対のクロスメンバ21、22によって囲まれる4角形の空間K内に収納された形式とされている。そして、燃料タンク20は、取付具としての取付バンド23によって車体に固定されている。このように、燃料タンク20は、前後がクロスメンバ21、22によって保護されて、前後の衝突に強いものとなり、また左右がサイドシル16およびサイドフレーム27によって2重に保護されて、側方衝突に強いものとなっている。
【0020】
前クロスメンバ21と同一軸線上において、サブクロスメンバ24L、24Rが配設されている。左側のサブクロスメンバ24Lは、左側のサイドシル16Lとサイドフレーム17Lとを連結して、当該16L、17Lに接合されている。同様に、右側のサブクロスメンバ24Rは、右側のサイドシル16Rとサイドフレーム17Rとを連結して、当該16R、17Rに接合されている。
【0021】
後クロスメンバ22と同一軸線上において、サブクロスメンバ25L、25Rが配設されている。左側のサブクロスメンバ25Lは、左側のサイドシル16Lとサイドフレーム17Lとを連結して、当該16L、17Lに接合されている。同様に、右側のサブクロスメンバ25Rは、右側のサイドシル16Rとサイドフレーム17Rとを連結して、当該16R、17Rに接合されている。このような前後左右のサブクロスメンバ24L、24R、25L、25Rによって、サイドシル16とサイドフレーム17とが車幅方向により剛性の優れたものとなり、燃料タンク20を保護する上でより一層好ましいものとなっている。
【0022】
燃料タンク20の一側面(実施形態では左側面)から、燃料パイプ26が伸び、この燃料パイプ26は、左サイドフレーム17Lの下面に形成された切欠凹部27を通った後、左サイドシル16L内から左のセンタピラー28内に伸びている。左センタピラー28には、外面に凹部29が形成され、この凹部29内に、燃料パイプ26の先端開口26aが開口されている。凹部29は、後述するように、燃料リッドにより開閉されるものである。
【0023】
燃料タンク20の高い位置からは、ブリーザパイプ30が伸び、このブリーザパイプ30は、左サイドフレーム17Lの上部を貫通して、左サイドシル16L内から左のセンタピラー28内に伸びて、燃料パイプ26の先端開口付近において当該燃料パイプ26内に開口されている。ブリーザパイプ30は、燃料タンク20の呼吸機能確保のために、燃料タンク20(の最高液面)よりも高い位置を通るように配設される(一旦高い位置を経由した後は、燃料タンク20よりも低い位置を通るように配設することは可能)。
【0024】
図中、31は管部材としての排気管である。この排気管31は、前クロスメンバ21の前方において排気ガス浄化触媒32が接続され、また、左右後輪15の中間位置においてサイレンサ(消音器)33が接続されている。触媒32とサイレンサ33との間の排気管31は、前クロスメンバ21の車幅方向略中間部下面に形成された切欠凹部21aを通った後、燃料タンク20の前方において略直角に右側(つまり燃料パイプ26、ブリーザパイプ30とは反対側)に折曲され、その後、再び後方へ向けて略直角に折曲されて、燃料タンク20の右側方を通るように配設されている。排気管31は、燃料タンク20の直後方位置において、車幅方向内方側に向うように折曲された後、車幅方向略中間部において再び略直角に折曲されて後方へ伸び、後クロスメンバ22の下面に形成された切欠凹部22aを通過した後、サイレンサ33に連なっている。このように、排気管31は、その発生する高熱が極力燃料パイプ26やブリーザパイプ30に影響を与えないように配設されている。
【0025】
左右後輪15の間には、フロアパネル8下方でかつ左右一対のサイドフレーム17L、17Rとの間において、サブフレーム35が配設されている。このサブフレーム35は、実施形態では、パイプ材を加工して、下方から見たときに、車幅方向に細長く伸びる略楕円形の環状として形成されている。そして、車幅方向に細長く伸びている部分のうち、前方部分よりも後方部分の方が低くされている。このサブフレーム35の位置に対応して、左右一対のサイドフレーム17Lと17Rとを連結するように当該17L、17Rに接合されたクロスメンバ36が設けられている。そして、サブフレーム35は、クロスメンバ36に対して、ゴム等の緩衝部材を介して取付けられている。なお、サブフレーム35は、クロスメンバ36以外に、サイドフレーム17にも取付けるようにすることもできる。
【0026】
後輪15は、マルチリンク式のサスペンションによって、車体に上下方向に揺動自在に保持されている。サスペンションについて説明すると、1つの後輪15に対して、前後方向に伸びる1本のトレーリングアーム41と、それぞれほぼ車幅方向に伸びる1本のアッパアーム42、2本のロアアーム43、44を有する。トレーリングアーム41は、その前端が車体に対して上下方向に揺動自在に連結されて、その後端部に対して後輪支持部材に連結される。アッパアーム42、ロアアーム43、44は、それぞれその車幅方向内端側がサブフレーム35に上下方向に揺動自在に取付けられ、その車幅方向外端側が後輪支持部材に連結される。なお、各アーム41〜44の車体側連結部分を、アームの符号に「a」の符号を付加して示し、各アーム41〜44の後輪支持部材側連結部分を、アームの符号に「b」の符号を付加して示して、これ以上の詳細な説明は省略する。なお、図中Dはダンパである。
【0027】
前記サイレンサ33は、細長い筒状とされて、その長手方向が車体前後方向となるよう
にして、左右後輪15の間の中間に位置されている。このようなサイレンサ33は、サブフレーム35の直下方に位置されて、マウントラバーを含む取付具45によって、サブフレーム35に取付、保持されている。このサイレンサ33の長手方向が前後方向に伸びるように配置することにより、サイレンサ33の車幅方向に占める容積が小さくなり、サスペンションアーム(実施形態の場合は後方の長いロアアームアーム44)の長さを十分長く確保する上で好ましいものとなる。また、サイレンサ33はかなり大きな断面積を有する関係上、路面からの最低高さがかなり低いものとなるが、その長手方向が車体前後方向となるようにして車幅方向略中心位置に配置することにより、車体がロールしても、サイレンサの路面からの最低高さを十分高いものとして、サイレンサ33と路面との干渉を防止する上で好ましいものとなる。
【0028】
サイレンサ33の直前方において、左右一対のサイドフレーム17L、17Rとを連結してこれに接合されたクロスメンバ46が配設されている。また、サイレンサ33の後方には、サイレンサ33と直列に前述のスペアタイア10が位置されている。さらに、サイレンサ33の重心位置αが、前記スペアタイア10の重心位置βよりも低くなるように設定されている。これにより、後方衝突時に、大きく左右に離間したサイドフレーム17L、17Rの間にあるスペアタイア10、サイレンサ33によって衝撃が受け止められる一方、必要以上にサイレンサ33が前方へ変位することがクロスメンバ46によって規制される。
【0029】
後方衝突時に、上述の重心位置設定によって、スペアタイア10はその前端部が上方へ向けて、またサイレンサ33の後端部が上方へ向うように(サイレンサ33の前端部は下方へ向うように)、つまり両者10と33とがその境部分で座屈を生じたような格好で後方衝突時の衝撃が効果的に吸収されることになる。勿論、サイレンサ33の前端部が下方へ向うということは、サイレンサ33の車室3へ向けての変位を規制するという点でも好ましいものとなる。なお、サイレンサ33をサブフレーム35を介して車体に支持させることにより、直接車体に支持させた場合に比して、車体への振動防止上有利となる。
【0030】
前記燃料パイプ26の先端開口を覆う燃料リッド部分の一例が、図9〜図11に示される(各図共に、燃料パイプ26およびブリーザパイプ30は図示略)。すなわち、センタピラー28に形成されて燃料パイプ26およびブリーザパイプ30が開口される凹部29が、燃料リッド51によって開閉自在に覆われ、燃料リッド51を開閉自在にセンタピラー28に連結する取付具が符号52で示される。前後のサイドドア6および7はそれぞれ後開きとされて、後サイドドア7の前端部が、センタピラー28に対してヒンジ53によって連結される。ヒンジ53は、後サイドドア7(のドアパネル7a)の上端部および下端部に一対設けられ、この上下一対のヒンジ53の上下方向の間に位置するように、凹部29つまり燃料リッド51が設けられている。
【0031】
各サイドドア6、7が閉のときに、そのドアパネル6aと7aとの間に、前後方向所定長さをもってセンタピラー29が外部へ露出するように設定されて、各ドアパネル6a、7a、センタピラー29、燃料リッド51の各外面が面一となるようにされている。
【0032】
図12〜図14は、図9〜図11の変形例を示すものであり、各サイドドア6、7が閉のときに、ドアパネル6a、7aによってセンタピラー29を外部から覆うようにしたものであり、外観上の見栄えがよいものとなる。センタピラー28に設けた燃料リッド51を開閉可能とするために、後サイドドア7のドアパネル7aの前端部に切欠部7bを形成し、この切欠部7bに燃料リッド51が位置するようにしてある。勿論、各サイドドア6、7、燃料リッド51が閉のときに、各ドアパネル6a、7a、燃料リッド51の各外面が面一とされる。なお、燃料リッド51は、ドアパネル7aの上下方向略中間部に位置させて、ヒンジ53がドアパネル7aの上端部と下端部というように互いに極力大きく離れ
た位置に設定できるようにしてある。
【0033】
図15は、図12の変形例で、燃料リッド51が、図12場合よりも若干下方に位置されている。また、一対のヒンジ53が、燃料リッド51よりもそれぞれ上方に位置されている。さらに、切欠部7bが、ドアパネル7aの下端縁に開口するように下方に長く延長され、この分、燃料リッド51下方にセンタピラー28の一部が外部へ露出されたものとなっており、この一部露出部分の外面は、閉時の燃料リッド51の外面や、各ドアパネル6a、7aの外面と面一とされている。図16R>6は、図15の場合に比して、燃料リッド51を下方に長く延長させて、センタピラー28の外部への露出を無くしたものである。
【0034】
以上実施形態について説明したが、本発明はこれに限らず例、えば次のような場合をも含むものである。サブクロスメンバ24、25は、クロスメンバ21、22と同一軸線上になくてもよく、若干前後方向にすれていてもよい。後席5は、常に乗員が着座可能な使用位置のままとしてもよいが、図1一点鎖線で示すように、車室後部へ折畳んで収納できるようにしてもよく、この場合は、フロアパネル8の中間部分8dの上方空間を第2の荷室として有効利用できる。燃料パイプ26、ブリーザパイプ30は、通常行われているように、リアフェンダに開口させて、このリアフェンダ部分に燃料リッド51を設けるようにすることもできる。
【0035】
サスペンション形式としてはストラット式等、別の形式のものを適宜採択し得る。燃料タンク20は、隆起部8aの下方にのみ位置させるように設定することもできる。また、隆起部8aを別途形成しないで、この部分をその前後と同一高さの平坦面として、その下方に燃料タンク20を配置することもできる。燃料タンク20の後端位置は、実施形態で示す場合よりもさらに後方へ延長させたものであってもよい。本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましいあるいは利点として表現されたものを提供することをも暗黙的に含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施形態を示す簡略側面図。
【図2】図1の簡略底面図。
【図3】燃料タンク部分の詳細を示す下方からの要部斜視図。
【図4】燃料タンク部分の詳細を示す上方からの要部斜視図。
【図5】燃料タンク部分の詳細を示す後面からの要部断面図。
【図6】サイレンサとサスペンション部分の一例を示す簡略底面図。
【図7】サイレンサとサスペンション部分の一例を示す後面図。
【図8】サイレンサとサスペンション部分の一例を示す簡略側面図。
【図9】センタピラーに設けた燃料リッドの第1の設定例を示す斜視図。
【図10】図9のX10−X10線に沿う簡略断面図。
【図11】図9のX11−X11線に沿う簡略断面図。
【図12】センタピラーに設けた燃料リッドの第2の設定例を示す斜視図。
【図13】図12のX13−X13線に沿う簡略断面図。
【図14】図9のX14−X14線に沿う簡略断面図。
【図15】センタピラーに設けた燃料リッドの第3の設定例を示す斜視図。
【図16】センタピラーに設けた燃料リッドの第4の設定例を示す斜視図。
【符号の説明】
【0037】
3:車室
4:前席
4A:運転席
4B:助手席
5:後席
8:フロアパネル
16:サイドシル
17L,17R:サイドフレーム
20:燃料タンク
21:前クロスメンバ
22:後クロスメンバ
21a:切欠凹部(凹部)
22a:切欠凹部(凹部)
31:排気管(管部材)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
前席および後席がそれぞれ車室内に配置され、前席に対応するフロアパネル下方に燃料タンクが配置された車両において、
前記燃料タンクが、前席となる運転席と助手席とに渡って一体のものとして構成され、
前記フロアパネルの車幅方向端部が、車体前後方向に伸びるサイドシルに接合され、
前記フロアパネル下面に、前記サイドシルよりも車幅方向内方側において、車体前後方向に伸びる左右一対のサイドフレームが構成され、
前記左右一対のサイドフレームの間に、前記燃料タンクが配置され、
前記燃料タンクの前方に位置させて前記左右一対のサイドフレーム同士を連結する前クロスメンバが構成されると共に、該燃料タンクの後方に位置させて該左右一対のサイドフレーム同士を連結する後クロスメンバが構成され、
前記燃料タンクの一方の側面と該燃料タンクの一方の側面に対向するサイドフレームとの間に、車体前後方向に伸びる管部材が配置されている、
ことを特徴とする車両の車体構造。
【請求項2】
請求項1において、
前記前クロスメンバの下面と前記後クロスメンバの下面とに凹部がそれぞれ形成され、
前記管部材は、前記各凹部をそれぞれ通過するように配置されている、
ことを特徴とする車両の車体構造。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−55607(P2007−55607A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−329099(P2006−329099)
【出願日】平成18年12月6日(2006.12.6)
【分割の表示】特願2005−325954(P2005−325954)の分割
【原出願日】平成9年9月4日(1997.9.4)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】