説明

車両をハイブリッド車両に変換する方法

内燃機関、トランスミッション、交流発電機、および電池を有する車両をハイブリッド車に変換する方法が開示される。該方法は、内燃機関のクランク軸を回転させる際に内燃機関を補助するように構成される電動モータを車両内に設置することと、電動モータに動力を供給するように構成されるエネルギー貯蔵素子を設置することと、エネルギー貯蔵素子から電動モータに送達される動力量を制御するように構成されるモータ制御ユニットを設置することと、内燃機関のクランク軸の既存のプーリを新たなプーリと交換し、前記新たなプーリと補助モータプーリとの間を延在する第1のベルトと、前記新たなプーリと電動モータプーリとの間を延在する第2のベルトとを収容するように構成される新たなプーリと交換することと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は以下の特許出願への優先権とその権利を主張し、引用によりその開示の全文を本明細書に組み込む。2009年9月15日に提出されたインド特許出願第2108/MUM/2009号、2009年9月15日に提出されたインド特許出願第2109/MUM/2009号、2009年11月15日に提出された国際出願第PCT/IN2009/000655号、2009年11月15日に提出された国際特許出願第PCT/IN2009/000656号、および2010年4月30日に提出されたインド特許出願第1386/MUM/2010号。
【背景技術】
【0002】
本開示は、概してハイブリッド車の分野に関する。特に、本開示は、新しいまたは既存の車両をハイブリッド車に変換するために、車両に追加可能な駆動システムに関する。本開示は、元の機器メーカまたは改造用途のいずれかによって、新しいまたは既存の車両をハイブリッド車に変換する方法に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ハイブリッド車は、燃料効率が比較的低く、および/または作動中に望ましくない排出量をもたらすことの多い、従来の内燃機関、トランスミッション、および駆動系を採用する車両の代替物を消費者に提供する。典型的なハイブリッド車は、電池式電動モータと内燃機関とを組み合わせる。ハイブリッド車が消費者に受け入れられるかどうかは、少なくとも部分的には、このソリューションのコストと、このソリューションが燃料効率と排出量削減の点でもたらす恩恵とに左右される。ハイブリッド車の燃料効率と排出能力は、ハイブリッド駆動システム(たとえば、電動モータ、電池、コントローラ、関連ソフトウェアなど)の主要構成要素の設計および使用に、少なくとも部分的に左右される。燃料効率と排出量削減の点で消費者に経済的なソリューションを提供するようにハイブリッド車の主要構成要素の独立性のバランスを取るハイブリッド車および/または車両用ハイブリッド駆動システムを提供することが求められ続けている。また、既存の車両の改造用に容易に据え付けることのできる、および/または元の装置メーカが新車のプラットフォームに組み込むことのできる車両用ハイブリッド駆動システムを提供することも求められ続けている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の一例示の実施形態は、内燃機関、トランスミッション、交流発電機、および電池を有する車両をハイブリッド車に変換する方法に関する。該方法は、内燃機関のクランク軸を回転させる際に内燃機関を補助するように構成される電動モータを車両内に設置することと、電動モータに動力を供給するように構成されるエネルギー貯蔵素子を設置することと、エネルギー貯蔵素子から電動モータに送達される動力量を制御するように構成されるモータ制御ユニットを設置することと、内燃機関のクランク軸の既存のプーリを新たなプーリと交換し、前記新たなプーリと補助モータプーリとの間を延在する第1のベルトと、前記新たなプーリと電動モータプーリとの間を延在する第2のベルトとを収容するように新たなプーリを構成することと、を備える。
【0005】
本開示の別の例示の実施形態は、内燃機関とトランスミッションとを有する車両を変換する方法に関する。該方法は、内燃機関のクランク軸を回転させる際に内燃機関を補助するように構成される電動モータを車両内に設置することと、電動モータの出力軸を、自在継ぎ手を介してトランスミッションに対向するクランク軸の端部に連結することと、電動モータに動力を供給するように構成されるエネルギー貯蔵素子を設置することと、エネルギー貯蔵素子から電動モータに送達される動力量を制御するように構成されるモータ制御ユニットを設置することとを備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1A】一例示の実施形態に係る車両およびハイブリッド駆動システムの概略図である。
【図1B】別の例示の実施形態に係る車両およびハイブリッド駆動システムの概略図である。
【図2】一例示の実施形態に係る図1のハイブリッド駆動システムを有する車両の側面図である
【図3】図2の車両の上面図である
【図4A】図2の車両の底面図である。
【図4B】一例示の実施形態に係る図2の車両のエンジンカバーである。
【図5A】図2の車両のクランク軸に設けられた既存のプーリの透視図である。
【図5B】図5Aのプーリのみの透視図である。
【図6A】クランク軸に設けられた既存のプーリと交換するハイブリッド駆動システムのプーリの透視図である。
【図6B】図6Aのプーリのみの透視図である。
【図7】図2の車両のマニホールドの透視図である。
【図8】図2の車両のマニホールドの別の透視図であるが、排気遮熱材が除去されている。
【図9A】ハイブリッド駆動システムの構成要素を支持するために車両に追加される第1の装着装置の透視図である。
【図9B】第1の装着装置のみの透視図である。
【図10A】ハイブリッド駆動システムの構成要素を支持するために車両に追加される第2の装着装置の透視図である。
【図10B】第2の装着装置のみの透視図である。
【図11A】ハイブリッド駆動システムの構成要素を支持するために車両に追加される第3の装着装置の透視図である。
【図11B】第3の装着装置のみの透視図である。
【図12】遮熱材と共に示される一例示の実施形態に係る電動モータの装着装置の透視図である。
【図13A】一例示の実施形態に係るハイブリッド駆動システムの新たな遊びプーリの透視図である。
【図13B】図13Aの遊びプーリのみの透視図である。
【図14】一例示の実施形態に係る車両内に搭載されるハイブリッド駆動システムの燃料スイッチの透視図である。
【図15】一例示の実施形態に係る車両のペダルレイアウトの透視図である。
【図16】一例示の実施形態に係るハイブリッド駆動システムの接続箱および絶縁体の透視図である。
【図17】一例示の実施形態に係るハイブリッド駆動システムのモータ制御ユニットの透視図である。
【図18】一例示の実施形態に係るハイブリッド駆動システムのエネルギー貯蔵素子の透視図である。
【図19】一例示の実施形態に係るハイブリッド駆動システムの充電器の透視図である。
【図20】一例示の実施形態に係るハイブリッド駆動システムの任意のユーザインタフェースおよびディスプレイの透視図である。
【図21】一例示の実施形態に係るハイブリッド駆動システムの電気ルーティングの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図面を参照すると、例示の実施形態に係るハイブリッド駆動システム100およびその構成要素が示されている。ハイブリッド駆動システム100は、元の機器メーカによって、および/または改造用途として、車両(たとえば、乗用車、トラック、スポーツ用多目的車、ミニバン、バスなどの自動車、三脚、スクータ、航空機、船舶など)内に設置され、(たとえば、少なくとも部分的に負荷を共有することによって)エンジンの駆動負荷を選択的に低減する、および/またはエンジンのクランク軸の回転を補助することによってエンジンのトルク容量を増大させることのできるシステムを提供するように構成される。ハイブリッド駆動システム100の車両への追加は、ハイブリッド駆動システム100を使用せず作動する同じ車両と比較して、燃料経済性(たとえば、消費量など)、排出率および/または車両動力を向上させることを目的とする。ハイブリッド駆動システム100は、車両内のいずれかの適切な位置に設置し、その他のいずれかの車両構成要素と一体化させ、広範な寸法、形状、および構成で設け、各種例示の実施形態に係る広範な製造および組立工程を用いて設置することができる。上記のすべての変形は本開示の範囲に含まれることを意図する。
【0008】
図1Aは、一例示の実施形態に係る車両およびハイブリッド駆動システム100の概略図である。ハイブリッド駆動システム100は通常、ガソリン式内燃機関102として示されるエンジン(たとえば、ディーゼルエンジン、タービンエンジンなど)、電動モータ104、モータ制御ユニット106、および電池108として示される電力源を含む。電池108は、電気化学セルまたは電池の形状の多数のエネルギー貯蔵素子を含む電池パックの形状である(ただし、他の例示の実施形態に係る電池の代わりに、またはそれに加えて、スーパーキャパシタおよび/またはウルトラキャパシタなどの容量性素子を使用することができる)。
【0009】
内燃機関102は、車両の1つまたはそれ以上の車輪110を駆動するのに十分なトルク出力を生成することによって車両の原動機として機能する。電動モータ104は、(たとえば、少なくとも部分的には負荷を共有することによって)内燃機関102の駆動負荷を低減することによって、および/または内燃機関102の動力を補充することによって内燃機関102を補助するために設けられる。電動モータ104は、電池108によって動力を供給され、モータ制御ユニット106によって制御される。モータ制御ユニット106は、後に詳述するように、エンジンセンサ112、モータセンサ114、および/または電池センサから受信する出力信号に基づき電動モータ104を制御する。
【0010】
最初に、本開示の目的のために、ハイブリッドという用語は通常、単独でも、あるいは車両および/または駆動システムなどの用語と組み合わせて使用される場合でも、2つ以上の動力源を含む駆動システムを有する車両を指すために使用されることに留意すべきである。一例示の実施形態によると、ハイブリッド駆動システム100は内燃機関と電動モータとを利用する。他の実施形態によると、内燃機関および/または電動モータおよびその制御システムは様々な既知の、またはそれ以外の適切な電源によって置き換えることができる。
【0011】
電動モータ104によって内燃機関102に提供される補助の量および補助が提供される期間は、少なくとも部分的にモータ制御ユニット106によって制御される。モータ制御ユニット106は、電動モータ104を作動させる1つまたはそれ以上の制御信号を生成および/または受信するように構成されるモータコントローラを含む。モータ制御ユニット106は、1つまたはそれ以上のプロセッサ(たとえば、マイクロコントローラ)と、モータ制御ユニット106によって利用される各種データおよび/または各種機能を実行するためにプロセッサによって実行可能な指示を記憶するように構成される1つまたはそれ以上のコンピュータ読取り可能媒体(たとえば、メモリ)とを含むことができる。モータ制御ユニット106のメモリは、モータ制御モジュールおよびエネルギー管理モジュールを含むが、それらに限定されない1つまたはそれ以上のモジュール(たとえば、ソフトウェアモジュール)を含むことができる。
【0012】
モータ制御モジュールは、電動モータ104の作動を制御する1つまたはそれ以上の制御信号を生成するように構成される。一例示の実施形態によると、モータ制御モジュールは、実験および/またはモデル化の結果に基づく1つまたはそれ以上のモータ補助プロファイルに基づき制御信号を生成することができる。エネルギー管理モジュールは、電池108によって提供されるエネルギーを管理するように構成される。一例示の実施形態によると、エネルギー管理モジュールは、電池108内に残る利用可能な充電量に、回生制動の結果として利用可能となる充電量を足した量を決定するように構成することができ、電池108内の利用可能な充電量および/またはその他の車両作動状態に基づき電動モータ104に提供される制御信号を変更するように構成することができる。
【0013】
モータ制御ユニット106は、各種センサ、回路、および/または内燃機関102、電動モータ104、電池108などの車両のその他の構成要素から1つまたはそれ以上の入力を受け取る。入力は、デジタル入力(たとえば、ブレーキ、ハンドブレーキ、クラッチ、逆行、空調、イグニッション、節約モードやパワーモードなどのモード選択)、調節および/または符号化された入力(たとえば、車両速度センサ、エンジン速度センサ、エンコーダなど)、アナログ出力(たとえば、モータ温度、エンジン温度、電池108の温度、スロットル位置、マニホールド圧力、ブレーキ位置など)、および/またはその他の種類の入力を含むことができる。一例示の実施形態によると、入力のうち1つまたはそれ以上は、絶縁体回路(たとえば、ガルバニ絶縁体)を通じて絶縁させることができる。入力で受信される情報は、各種車両センサ(たとえば、既存の車両センサ、エンジン管理システム、ハイブリッド駆動システム100によって使用されるために車両に追加されるセンサなど)から受信することができる。
【0014】
モータ制御ユニット106は、モータコントローラへの動力を切り替えるモータコントローラ動力出力、故障を示す故障ランプ出力、モータ制御ユニット106に関する各種情報を(たとえば、車両のドライバや整備士などへ)表示する表示出力、および/またはその他の種類の出力などの1つまたはそれ以上のシステム出力を生成するように構成することもできる。モータ制御ユニット106は、インジェクタ出力および/またはシステム出力などの1つまたはそれ以上の出力(たとえば、デジタル出力、アナログ出力など)を生成するように構成することもできる。インジェクタ出力は、エンジンへの燃料の流れを遅延させる、および/または制限するように燃料インジェクタを(たとえば、1つまたはそれ以上のコントローラを介して)制御するように構成することができる。システム出力は、動力供給制御出力、モータコントローラ冷却ファン出力、故障ランプ出力、ポンプ出力、および/または、車両に情報を提供する、および/または車両の各種構成要素(たとえばエンジン)を制御するために使用されるその他の種類の出力を含むことができる。モータ制御ユニット106は、車両のドライバに対する表示用の表示情報を(たとえば、車両のダッシュボード上またはその近傍のディスプレイ上で)生成するように構成することもできる。
【0015】
電動モータ104は、内燃機関102の駆動負荷を低減することによって、および/または内燃機関102の動力を補充することによって内燃機関102を補助することに加えて、電池108を充電する、および/または車両内の様々な電気構成要素に電気エネルギーを供給する発電機として機能するように構成することもできる。たとえば、電動モータ104は、内燃機関102からのトルクが必要でないとき(たとえば、車両がアイドリング、惰性走行、制動中であるときなど)、発電機として機能することができる。電動モータ104はさらに、車両内の1つまたはそれ以上のシステムを作動させる機械的エネルギー(たとえば、回転機械エネルギーなど)を供給するように構成することができる。たとえば、後に詳述するように、電動モータ104は、車両の空調システムの一部であるコンプレッサに動力を供給するために使用することができる。
【0016】
一例示の実施形態によると、電池108は、共に直列連結される複数の鉛酸電池である。他の実施形態によると、電池108は、リチウムイオン電池、ニッケル水素(NiMH)電池などを含むが、それらに限定されない多数の適切な電池から選択することができる。さらに別の実施形態によると、電池108はいずれかの他の種類のエネルギー貯蔵素子(たとえば、1つまたはそれ以上のキャパシタ、スーパーキャパシタなど)と置き換える、あるいは組み合わせて使用することができる。
【0017】
電池108は、電動モータ104が発電機として機能しているとき、電動モータ104から充電されるように構成される。電池108が車両の作動中に十分充電されない場合、電池108が再充電されるまで、車両は燃料のみの車両として作動する。一例示の実施形態によると、電池108を充電するために別個の充電器も設けられる。このような充電器は、車両が使用中でないときにユーザがハイブリッド駆動システム100に差し込むことのできるプラグ134として示されるコネクタを含む。図示される実施形態によると、電池108および別個の充電器はいずれも車両のトランク内に格納されるものとして示されている。他の実施形態によると、電池108および/または別個の充電器は、車両内のいずれかの他の利用可能な空間に配置することができる。
【0018】
なお図1Aを参照すると、内燃機関102は、第1の出力118と第2の出力120とを有するクランク軸116として示される出力軸を含む。第1の出力118は、1つまたはそれ以上の車輪110に動力を送達する車両の駆動系に連結されるように構成される。図示される実施形態によると、車両は前輪駆動車であり、駆動系は1つまたはそれ以上の車軸、差動歯車、連結機構などを介して前輪110に連結されるトランスミッション122(オートマチックトランスミッションまたはマニュアルトランスミッションのいずれか)を含む。他の実施形態によると、ハイブリッド駆動システム100は、後輪駆動車および/または全輪駆動車で使用することもできる。内燃機関102は、クランク軸116を回転させることによってトランスミッション122を通じて回転機械エネルギーを駆動輪に送達する。
【0019】
電動モータ104は、回転機械エネルギーをトランスミッション122に供給する際に内燃機関102を補助するため、内燃機関102に平行に連結される。図示される実施形態によると、電動モータ104はクランク軸116の第2の出力120に連結されており、第2の出力120は、クランク軸116の、第1の出力118の反対側の端部に設けられ、電動モータ104は、クランク軸116の、トランスミッション122に連結される端部の反対側の端部に、(たとえば、内燃機関102の対向側で)連結される。トランスミッション122と同じ側ではなく内燃機関102に対してこのような位置で電動モータ104を連結することで、特に改造用途で、ハイブリッド駆動システム100の追加が簡略化される。さらに、トランスミッション122以前(たとえば前方)に電動モータ104を配置することで、電動モータ104はトランスミッション122のギア切換を利用して電動モータ104への負荷を低減させることができる。たとえば、5速マニュアルトランスミッションを有する車両の一例示の実施形態の場合、ギア位置が第1ギアから第5ギアに変更される際に、ギア比は約3.45〜約0.8間で変動する場合がある。よって、この例では、電動モータ104をトランスミッション122以前でクランク軸116に連結することによって、好都合なことに電動モータ104は第1ギアで、同じ電動モータ104をトランスミッション122以降でクランク軸116に連結した場合よりも、3.45倍大きい出力トルクを提供することができる。このように、このシステムは、小型の電動モータ104の使用を可能にし、特定用途でのトルク需要を満たすことができる。
【0020】
電動モータ104は、(たとえば、負荷を少なくとも部分的に共有することによって)クランク軸116の回転を補助して内燃機関102の駆動負荷を低減させることによって、および/または内燃機関102の動力を補充することによって、内燃機関102を補助する。内燃機関102の駆動負荷を低減することができるため、燃料経済性(たとえば、消費量など)および/または排出率を向上させることができる。電動モータ104によって提供される補助の量および/または電動モータ104によって提供される補助の期間は、ハイブリッド駆動システム100が使用される用途の特定のニーズおよび/またはパラメータに応じて変動する場合がある。一例示の実施形態によると、電動モータ104によって提供される補助の目的は、内燃機関102を効率的な作動ゾーンに移動させ、それによって排出量を低減することである。
【0021】
電動モータ104は通常、モータハウジング124と出力軸126とを含む。一例示の実施形態によると、電動モータ104は三相交流誘導モータである。他の実施形態によると、電動モータ104は、直流モータ、プログラム可能な論理コントローラを有する直流モータなどを含むがそれらに限定されない、多くの適切なモータのいずれかとすることができる。
【0022】
一例示の実施形態によると、電動モータ104は、ハウジング124が内燃機関102の面(たとえば、前面など)に隣接するように内燃機関102に対して配置されている。電導モータ104の出力軸126はクランク軸116と略平行であり、クランク軸116と並置される。図示される実施形態によると、電動モータ104は(車両の駆動方向に対して)内燃機関102の前方に配置され、プーリシステムを介して内燃機関102に連結される。プーリシステムは通常、第1のプーリ128と第2のプーリ130を含む。第1のプーリ128はクランク軸116の第2の出力120に回転可能に連結され、第2のプーリ130は電動モータ104の出力軸124に回転可能に連結される。ベルト132として示される連結装置(たとえば、鎖や紐など)が、第1のプーリ128と第2のプーリ130との間に設けられる。他の実施形態によると、電動モータ104は、内燃機関102に対して、多数の位置(たとえば、上方、下方、1つまたはそれ以上の側面、後方など)のいずれかに配置することができる。
【0023】
他の実施形態によると、プーリシステムは、ギアのシステムを含むが、それに限定されないその他の適切な連結システムで置き換えることができる。図1Bを参照すると、別の例示の実施形態に係るハイブリッド駆動システム100が示されている。図示される実施形態によると、電動モータ104は、ハウジング124の端部が内燃機関102の端部に対面し、出力軸126がクランク軸116の第2の出力120と少なくとも部分的に(たとえば、同軸、同心に)整列するように、内燃機関102に対して配置される。自在継ぎ手136として示される軸継ぎ手(たとえば、自在ジョイント、カラーなど)が出力軸126と第2の出力120との間に設けられ、電動モータ104を内燃機関102に直接連結する。自在継ぎ手136は、出力軸126と第2の出力120との間のわずかな不一致を相殺するように構成される。図示される実施形態によると、自在継ぎ手136は第1のプーリ128に装着され、第1のプーリ128は内燃機関102によって回転可能に支持される。図1Aを参照して先に詳述した実施形態と同様、第1のプーリ128は、交流発電機と空調システムのコンプレッサのうち少なくとも1つに連結されるベルトを支持することができる。
【0024】
電動モータ104の寸法(すなわち、動力要件)は、電動モータが内燃機関と平行に連結される標準的なハイブリッド車の場合よりも小さい。小型モータは大型モータよりも、安価で、ハイブリッドシステムを低コストで実現できる。さらに、小型モータは占める空間の体積も小さい。車両内の空間(たとえば、ボンネットの下など)は制限されている場合があるため、小型モータの使用により、ハイブリッド駆動システム100をより容易に車両に組み込むことができる。また、小型モータは大型モータよりも重量が軽いが、(たとえば、エンジン排出量が高いときなど)短時間、所要のトルクを提供するには十分であろう。小型モータを使用することで、大型モータを利用するシステムに比べ、燃料経済性が向上し、排出量が低減される。さらに、小型モータでは電力を低電圧および/または低電流で供給することができるため、より小さな導体を使用してハイブリッドシステムの構成要素間に動力を供給することができる、および/またはシステムの安全性を向上させることができる。
【0025】
ハイブリッド駆動システム100において電動モータ104の寸法を低減できる理由は少なくとも2つある。第1に、ハイブリッド駆動システム100は決して車両を純粋な電気自動車として作動させるのではない。言い換えると、電動モータ104は、それ自体は、車両を駆動せず、発電機として作動することに加えて内燃機関102用の動力補助装置として、および/または1つまたはそれ以上の車両構成要素用の駆動装置として機能するのみである。内燃機関102に補助を提供することによって、電動モータ104は内燃機関102が車両の所要駆動トルクを提供しつつ、より効率的なゾーンで作動することを可能にする。よって、電動モータ104は、内燃機関102と同じトルクおよび/または速度需要を満たすことができる必要がない。第2に、補助は選択的な期間、選択的な量でのみ提供される。よって、電動モータ104は連続して作動する必要はなく、少なくともトルク制御モードで作動する必要はない。
【0026】
たとえば、補助の恩恵(たとえば、排出量の低減、燃料経済性の向上、動力の増加など)が高い作動状態ほど多い補助が提供され、補助の恩恵が低い作動状態ほど提供される補助は少なくなるであろう。一例示の実施形態によると、ハイブリッド駆動システム100は、内燃機関102の速度が比較的低い(たとえば、2000rpm未満)ときに多くの補助を提供し、内燃機関102の速度が比較的高い(たとえば、4500rpm超)ときに少ない補助を提供する。言い換えると、車両が比較的高速で作動しているとき、ハイブリッド駆動システム100によって内燃機関102はより高いトルク要件を供給することができ、電動モータ104は内燃機関102に何ら補助を提供しようとしない。低速でより高いトルクが突然求められるときは、電動モータ104は内燃機関102に最大の補助を与える。内燃機関102が低速であるとき、慣性とシステム遅延のせいで内燃機関102がより高いトルクレベルを満たすにはしばらく時間がかかることが認識されている。この期間中、電動モータ104は、ピーク容量で稼働し続けることができ、それによって車両のトルク需要を迅速に満たすことができる。しかしながら、このようなピーク需要の例は概して、ごく稀である。このストラテジでは、内燃機関102は所望の作動ゾーン内で推進される。
【0027】
内燃機関102の速度が比較的高い状況の一例が加速中である。したがってハイブリッド駆動システム100は、車両の加速中に補助を提供するように構成される。ハイブリッド駆動システム100は(たとえば、1つまたはそれ以上のセンサから信号を受信することによって)車両の加速が求められていること(たとえば、加速器またはガスペダルが踏み込まれているとき)を判定することができる。それに応じて、電動モータ104は、この期間中、内燃機関102への補助を提供するように制御される。一例示の実施形態によると、補助は短時間または短パルスで提供されるのみである。しかしながら、この短パルス中に提供される補助の量は、電動モータ104の連続定格より大きいかもしれない。たとえば、電動モータ104は、この期間中にそのピーク定格またはその近傍で作動することができる。モータを、その連続定格を超える電流で短時間作動することによって、車両の動力需要を満たし、小型の電動モータを使用しつつ、効率(たとえば、排出量、燃料経済性など)を向上させることができる。
【0028】
電動モータ104が内燃機関102に提供できる補助の量は、多数の要因間のバランスを取って決定される。電動モータ104を選択するあるストラテジでは、所望の量と期間だけ内燃機関102を補助するために必要な最小動力(たとえば、トルク)要件を提供できる電動モータが選択される。このようなストラテジにより、電動モータ104の寸法、電池108の寸法、およびハイブリッド駆動システム100全体の重量を低減することができる。一例示の実施形態によると、このストラテジは、内燃機関102の動力出力(たとえば、馬力)の約40%〜約50%であるピーク定格を有する電動モータ104を選択することを含む。
【0029】
以下、このようなモータ選択ストラテジの一例を示す。この例では、車両は約47馬力の定格の内燃機関102を有する。上述のストラテジによって、電動モータ104は内燃機関102の馬力の約40%を提供するように寸法を設定されるべきである。最大負荷状況に合わせて設計するため、車両が高ギアにあるときギア比が約1:1であると仮定する。よって、電動モータ104が必要とする最大動力は約18.8馬力(すなわち、0.4×47)または約14キロワットである。ハイブリッド駆動システム100のストラテジでは、連続定格がこの値に最も近い電動モータ104を選択するのではなく、ピーク定格が最もこの値に近い電動モータ104を選択する。概して、モータのピーク定格は連続定格の約4〜約5倍である。短期間であれば、電動モータ104は、電動モータ104を過熱させる、および/または損傷させることなく、その連続定格の4〜5倍の高さで作動できることが分かっている。したがって、このようなストラテジでは、電動モータ104は約3.5キロワットの連続定格を有するべきである。
【0030】
第2の例では、車両は、約75〜約80馬力の定格である内燃機関102を有する中型車である。先に概説したのと同じストラテジを用いて、約6キロワットの連続定格を有する電動モータ104がハイブリッド駆動システム100用に選択される。
【0031】
電動モータ104を選択する際に使用可能なもう1つのストラテジは、内燃機関102の最大馬力の10分の1(1/10)未満の連続定格を有する電動モータ104を選択することである。一例示の実施形態によると、該ストラテジは、内燃機関102の最大馬力の約10分の1(1/10)〜約40分の1(1/40)の連続定格を有する電動モータ104を選択することである。別の例示の実施形態によると、該ストラテジは、内燃機関102の最大馬力の約15分の1(1/15)〜約40分の1(1/40)の連続定格を有する電動モータ104を選択することである。別の例示の実施形態によると、該ストラテジは、内燃機関102の最大馬力の約20分の1(1/20)の連続定格を有する電動モータ104を選択することである。他の実施形態によると、電動モータ104を選択する際に、異なるストラテジ(たとえば、最大トルクの割合としてアイドリングトルク100%まで−すなわち、80%を要求するストラテジなど)を使用することができる。
【0032】
いったん電動モータ104がハイブリッド駆動システム100に設置されれば、電動モータ104の温度はモータ制御ユニット106によって監視され、電動モータ104が過熱しないように確保される。モータ制御ユニット106は、持続時間が約4秒未満である可能性が高いパルスの形状でのみ、ピーク定格で電動モータ104を稼働するようにプログラムされているため、過熱の可能性が低減される。電動モータ104が過熱している、および/または過熱しそうであるか否かを検知する1つまたはそれ以上のセンサを設けることができる。また検知した場合に、電動モータ104への動力を切断するようにそれらのセンサを構成することができる。
【0033】
上記ストラテジの下で電動モータ104を選択した結果、電動モータ104の動力要件は比較的低くなる。電動モータ104が比較的低い動力要件を有するため、電池108の寸法を低減することができる。さらに、動力要件が低いほど、鉛酸電池などの、よりコスト効果の高い種類の電池の使用も可能になる。たとえば、3.5キロワットの連続動力電動モータがハイブリッド駆動システム100に使用される場合、電動モータ104およびモータ制御ユニット106に動力を供給するために48ボルト鉛酸型電池108を使用することができる。一例示の実施形態によると、ハイブリッド駆動システム100は、直列連結された4つの12ボルト、100アンペアの鉛酸型電池を使用して48ボルトの電池108を提供することができる。
【0034】
電動モータ104と電池108の選択が完了すると、ハイブリッド駆動システム100は車両に追加される準備ができる。上述したように、ハイブリッド駆動システム100は、元の機器メーカによって、または改造用途として車両に追加することができ、消費者が既存のガソリン車をハイブリッド車に変換することを可能にする。既存の内燃機関102およびトランスミッション104はハイブリッド駆動システム100を受け入れるように修正する必要がないため、改造用途として、ハイブリッド駆動システム100は比較的シームレスな変換キットとして提供され得る。ハイブリッド駆動システム100を車両に追加するのに必要な具体的なステップはハイブリッド駆動システム100が追加される車両の製造者と型式に応じて変動するが、車両に関係なく必要とされる可能性の高いステップは、i)電動モータ104を受け入れる車両内の空間を位置決めするステップと、ii)電動モータ104のために十分な間隙を設けるように一部の車両構成要素を再配置、再構成、および/または除去するステップと、iii)車両内に電動モータを搭載するステップと、iv)電動モータ104を内燃機関102のクランク軸116に連結するステップと、v)モータ制御ユニット106を設置するステップと、vi)電動モータ104およびモータ制御ユニット106に動力を供給する1つまたはそれ以上のエネルギー貯蔵素子(たとえば、電池108など)を設置するステップとを含む。
【0035】
図2A〜21を参照すると、一例示の実施形態に係る具体的な改造用途が示されている。図示される実施形態によると、ハイブリッド車に変換される車両は、1.4リットルエンジンとマニュアルトランスミッションとを有する中型の4ドア旅客車両である。上述のストラテジを用いて、約7.5馬力または5.5キロワットの連続動力定格を有する電動モータ104が、内燃機関102を補助するために選択されている。変換工程が開始されるまでは、車両はその他の構成要素の中でも特に、電池と、内燃機関102のクランクを回す始動モータと、電池を充電し、車両の電気系統に動力を供給する交流発電機と、コンプレッサを有する空調システムとを含む。トランスミッション122は内燃機関102のクランク軸の第1の側に連結され、プーリ200(図5Aおよび5Bに示される)はクランク軸の、トランスミッション122に対向する側にある、第2の側に連結される。プーリ200は、交流発電機上の対応するプーリに連結される第1のベルトと空調コンプレッサ上の対応するプーリに連結される第2のベルトとを収容するように構成される。
【0036】
図4Aおよび4Bを参照すると、修正工程における事前のステップは、車両の一部の構成要素を少なくとも部分的に取り外すことである。このステップは、内燃機関102の周囲領域へのアクセスを制限する可能性のある、車両の前輪、車両のフロントバンパー、およびエンジンカバー202として示される何らかの保護シールドのうち、1つまたはそれ以上を除去することを含むことができる。該車両改造方法は、プーリ200(図5Aおよび5Bに示される)をクランク軸から除去すること、およびそれをハイブリッド駆動システムプーリ204(図6Aおよび6Bに示される)と交換することも含む。このステップは、内燃機関102のフライホイールを十分に係止し、それにより、プーリ200が除去されてハイブリッド駆動システムプーリ204と交換される際にクランク軸が回転するのを防止することを含む。
【0037】
一例示の実施形態によると、ハイブリッド駆動システムプーリ204は、第1のプーリ部206および第2のプーリ部208を含む一体型の単体である。第1のプーリ部206は、交流発電機に連結されるベルトを収容するように構成されたプーリ200の一部と実質的に類似する。第2のプーリ部208は、空調コンプレッサではなく電動モータ104に連結されるであろうベルトを収容するように構成される。空調コンプレッサを駆動させるため、新たなベルトが、電動モータ104と空調コンプレッサとの間に設けられる。したがって、電動モータ104は内燃機関102ではなく空調コンプレッサを駆動するために使用される。このような構成は好都合なことに、電動モータ104をクランク軸から選択的に分離させるために、適切なクラッチが電動モータ104と内燃機関102との間に設けられると仮定して、たとえ内燃機関102がオフになった場合でも、空調装置を作動させることができる。
【0038】
一例示の実施形態によると、電動モータ104は、内燃機関102の排気マニホールドに近接する領域で内燃機関102の前方に搭載されるように構成される。図7および8を参照すると、排気マニホールド遮熱材210が、この領域に電動モータ104を追加するための間隙を設けるために、除去されている。排気マニホールド遮熱材210が除去され、1つまたはそれ以上の装着ブラケットを、ハイブリッド駆動システム100の構成要素を支持するために追加してもよい。図9A〜11Bを参照すると、該修正方法は、i)エンジンブロック上に遊びプーリブラケット212を設置するステップと(図9Aおよび9Bに示される)、ii)エンジンマニホールドの近傍に略垂直型ブラケット214を設置するステップと(図10Aおよび10Bに示される)、iii)エンジンマニホールド上にモータ装着ブラケット216を設置し、それを垂直型ブラケット214に固定するステップと(図11Aおよび11Bに示される)、iv)エンジンブロック上に空調コンプレッサブラケット218を設置するステップと(図9Aおよび9Bに示される)を含む。
【0039】
一例示の実施形態によると、モータ装着ブラケット216は金属材料製の略L字状部材として構成される。モータ装着ブラケット216は、電動モータ104が過熱する可能性を低減するために、エンジンマニホールドおよび電動モータ104の周囲の空気循環を促進するように構成された1つまたはそれ以上の開口部220を含む。電動モータ104の全重量はモータ装着ブラケット216に支持され、該ブラケット216は内燃機関102によって完全に支持される。他の実施形態によると、内燃機関102上に電動モータ104を十分に支持する場所がない場合、電動モータ104は、車両本体および/またはフレームによって少なくとも部分的に支持することができる。
【0040】
図12を参照すると、電動モータ104が内燃機関102、特に排気マニホールドの近傍にあることで過熱する可能性をさらに低減するため、遮熱材222がモータ装着ブラケット216と電動モータ104との間に設けられる。遮熱材222は、電動モータ104に流れる熱量を低減するのに適した広範な材料とすることができる。
【0041】
図13Aおよび13Bを参照すると、車両を修正する方法は遊びプーリ224の追加も含む。遊びプーリ224は、エンジンブロックに搭載されている遊びプーリブラケット212に回転可能に搭載されるように構成される。遊びプーリ224はベルト張りプーリとして使用することができ、その位置はベルトの張りを制御するように調節可能である(たとえば、遊びプーリ224は略垂直方向に調節可能とすることができる)。
【0042】
図14を参照すると、車両を修正する方法は、車両に燃料スイッチ226を設置することも含む。燃料スイッチ226は、内燃機関102の燃料インジェクタへの燃料供給を制限する切断装置として機能する。燃料スイッチ226はモータ制御ユニット106に連結され、制御される。該モータ制御ユニット106は燃料スイッチ226を開放位置から閉鎖位置に移動させることによって内燃機関102を停止させるようにプログラムすることができる。一例示の実施形態によると、モータ制御ユニット106は、少なくとも2つの状況で燃料スイッチ226を閉鎖位置に移動させるように構成される。
【0043】
燃料スイッチ226を使用することのできる第1の状況は、内燃機関102が稼働中であり、車両が所定期間移動していない場合である。このような状況において、モータ制御ユニット106は、内燃機関102への燃料の流れを停止させるため、信号を燃料スイッチ226に送信し、それによって内燃機関102をオフにする。このような構成では、モータ制御ユニット106および燃料スイッチ226は、内燃機関102に燃料を供給する信号を提供している可能性の高いエンジン管理システムを迂回する。いったんモータ制御ユニット106が車両を移動させるべきだという信号を受信すれば、燃料スイッチ226は開放位置に戻り、内燃機関102への燃料の供給が再開される。
【0044】
燃料スイッチ226を使用することのできる第2の状況は、車両が移動しているが、内燃機関102からのトルク出力を必要としない場合である。たとえば、車両が下り坂を惰性走行しているとき、車両は移動しているが、内燃機関102からのトルクを必要としないために、内燃機関102が必要とされない。このような事態の発生中、内燃機関102はアイドリング速度未満で作動している可能性が高い。このような状況で、おそらくモータ制御ユニット106は内燃機関102への燃料の流れを停止させるために信号を燃料スイッチ226に送信することによって内燃機関102をオフにする。モータ制御ユニット106が、内燃機関102がアイドリング速度を再開したという信号を受信すると、燃料スイッチ226は開放位置に戻り、内燃機関102への燃料供給が再開される。
【0045】
図15を参照すると、車両を修正する方法は、ユーザが点火の際にキーを回す必要なしに車両を始動させることができるスイッチを、車両のクラッチペダル228の下に設置することを任意で含むことができる。キーを回さなければならない代わりに、ユーザはクラッチペダル228を踏み込むだけで、ペダルの下のスイッチを起動させる。スイッチの起動により、内燃機関102のクランクを回すために使用される電動モータ104が始動する。大型車用途(たとえば、約1.4リットル超)および/またはディーゼル車用途の場合、電動モータ104が内燃機関102を始動させるのに十分なトルクを提供できないこともあり、その場合は同じスイッチを、内燃機関102のクランクを回すために車両の既存の始動モータを起動するために使用することができる。
【0046】
図16および17を参照すると、車両を修正する方法は、車両内にモータ制御ユニット106を設置することも含む。該方法は、車両内に接続箱230、絶縁体232、および/または制御モジュール234を設置することを含むことができる。図示される実施形態によると、接続箱230および絶縁体232は車両の運転席の下に配置されるように示されており、制御モジュール234は車両の乗客席の下に配置されるように示されている。他の実施形態によると、接続箱230、絶縁体232、および制御モジュール234は車両内の様々な位置に設けることができる。たとえば、接続箱230、絶縁体232、および制御モジュール234はすべて、車両のダッシュボードの下に嵌め込むように構成することができる。図21は、接続箱230、絶縁体232、および/または制御モジュール234を含む、ハイブリッド駆動システム100の各種構成要素の入出力を示すハイブリッド駆動システム100の電気ルーティングの概略図である。
【0047】
図18を参照すると、車両を修正する方法は、車両のトランク内に電池108を設置することも含む。電池108は車両内の既存の電池に追加され、車両内に配線される1つまたはそれ以上のケーブルを介してモータ制御ユニット106および電動モータ104に電気的に連結される。既存の車両用電池は既存の車両構成要素に動力を供給するために保持される。一例示の実施形態によると、電池108は、共に直流連結される5つの12ボルト、100アンペア鉛酸電池を含む。他の実施形態によると、電池108は上述したような広範なエネルギー貯蔵素子のいずれであってもよい。他の実施形態によると、電池108は、車両の既存の電池と置き換えることが可能な寸法とすることができる。このような構造の場合、電池108からの48ボルトを既存の車両構成要素に必要な12ボルトに低減するため、直流/直流を設ける必要があるかもしれない。
【0048】
図19を参照すると、車両を修正する方法は、別個の充電器236を車両のトランクに設置することも含む。これにより、車両が使用中でないときにユーザが電池108を選択的に充電することが可能になる。充電器236は、車両が使用中でないときにユーザによってコンセントに選択的に差し込まれるように構成されるコネクタ(たとえば、プラグなど)を含む。充電器236はトランク内の電池108の上方に配置されるように図示されているが、寸法を圧縮させて、トランク内に十分な格納空間を維持するようにトランクの側壁に沿って支持させることもできる。
【0049】
図20を参照すると、車両を修正する方法は、車両内に第1のユーザインタフェース238および/または第2のユーザインタフェース240を設置することを任意で含むことができる。図示される実施形態によると、第1のユーザインタフェース238および第2のユーザインタフェース240はどちらも、車両のダッシュボード上に搭載する、あるいは、車両全体の多数の領域(たとえば、中央コンソール、オーバヘッドシステム、サイドパネルなど)のいずれかに設けることができる。第1のユーザインタフェース238および第2のユーザインタフェース240はどちらも、オン位置とオフ位置の間でユーザが選択的に移動させるように構成されるスイッチである。第1のユーザインタフェース238によって、ユーザはハイブリッド駆動システム100をオンかオフに制御することができる。ハイブリッド駆動システム100がオフにされている場合、車両は単に非ハイブリッド車として作動する。第2のユーザインタフェース240により、電池108が充電されているときを、ユーザは選択的に制御することができる。上述したように、第1のユーザインタフェース238および第2のユーザインタフェース240は任意に設けられる。したがって、ハイブリッド駆動システム100は、車両がハイブリッドモードで作動しているとき、および/または電池108が充電中であるときをユーザが直接制御することを可能にしなくとも、機能することができる。
【0050】
図2A〜21は、ハイブリッド駆動システム100を収容できる車両の一実施形態とハイブリッド駆動システムの一実施形態を単に示していると理解すべきである。ハイブリッド駆動システム100は、変換工程を簡略化するためにキットとして提供されている。このキットは通常、電動モータ104、モータ制御ユニット106、電池108、ハイブリッド駆動システムプーリ204、遊びプーリブラケット212、垂直型ブラケット214、モータ装着ブラケット216、空調コンプレッサブラケット218、遊びプーリ224、燃料スイッチ226、クラッチペダル228下のスイッチ、接続箱230、絶縁体232、制御モジュール234、および充電器236を含む。他の実施形態によると、ハイブリッド駆動システム100は、個々の構成要素および/または上述の構成要素の1つまたはそれ以上の組み合わせとして設けることができる。
【0051】
ハイブリッド駆動システム100が元の機器メーカによって使用されるとき、ハイブリッド駆動システム100は改造キットの一部として含まれているものとすべて同じ構成要素を含んでいるわけではない。たとえば、元の機器メーカは車両の既存の交流発電機を電動モータ104と交換する可能性もあり、車両の既存の電池を電池108と交換する可能性もある。すべての変形は本発明の範囲に含まれると意図される。
【0052】
図示される実施形態に示されるようなハイブリッド駆動システムおよび車両の要素の構造および配置は、単に例示であることに留意することが重要である。本開示では本発明の数例の実施形態のみについて詳述したが、本開示を検討した当業者であれば、記載される主題の新規な教示および利点から実質上逸脱せずに、多くの変更(たとえば、各種要素の寸法、大きさ、構造、形状、および割合、パラメータ値、搭載配置、材料の使用、色、配向などの変更)が可能であることを容易に理解するであろう。たとえば、一体的に形成されるとして図示される要素は複数の部品から構成してもよく、また複数の部品として示される要素は一体的に形成してもよい。インタフェースの作動は逆転させる、あるいはその他の形で変更することができ、コネクタまたはその他のシステム要素の構造および/または部材の長さまたは幅は、変更することができる。さらに、ハイブリッド駆動システム100は、特定の用途のニーズに応じて多くの適切な様式のうち、いずれかの様式で作動するようにプログラムすることができる。さらに、図1Aに示されるハイブリッド駆動システムと同様、図1Bに示されるハイブリッド駆動システムは前輪駆動車、後輪駆動車、および/または全輪駆動車で使用することができる。さらに、ハイブリッド駆動システムがキットとして設けられている場合、このようなキットは、システムを車両に連結させることができる多数の追加のセンサおよび/またはハードウェアのうちいずれかを含むことができる。システムの要素および/またはアセンブリは、十分な強度と耐久性を提供する広範な材料のうちいずれかから、広範な色、テクスチャ、およびその両方のうちのいずれかで構成できることに留意すべきである。したがって、このような修正はすべて本発明の範囲に含まれることを意図する。本発明の精神を逸脱せず、好適な実施形態およびその他の例示の実施形態の設計、作動状態、および配置に関するその他の置換、修正、変更、および省略を行うことができる。
【0053】
工程または方法ステップの順序または配列は実施形態に応じて変更または再配列することができる。請求の範囲において、方法プラス機能節は、記載される機能を実行するとして本明細書に記載の構造、および構造上の等価物だけではなく等価構造を対象とすることを目的とする。添付の請求項に記載の本発明の精神を逸脱することなく、好適な実施形態およびその他の例示の実施形態の設計、作動構造および配置においてその他の置換、修正、変更、および省略を行うことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関、トランスミッション、交流発電機および電池を有する車両をハイブリッド車両に変換する方法であって、
前記内燃機関のクランク軸を回転させる際に前記内燃機関を補助するように構成された電動モータを前記車両内に設置することと、
前記電動モータに動力を供給するように構成されたエネルギー貯蔵素子を設置することと、
前記エネルギー貯蔵素子から前記電動モータに送達される動力量を制御するように構成されたモータ制御ユニットを設置することと、
前記内燃機関の前記クランク軸の既存のプーリを新たなプーリと交換し、前記新たなプーリと補助モータプーリとの間に延在する第1のベルトと、前記新たなプーリと電動モータプーリとの間に延在する第2のベルトとを受容するように前記新たなプーリを構成することと、
を含む方法。
【請求項2】
前記内燃機関からマニホールド遮熱材を除去することと、前記マニホールド遮熱材と同じ場所に前記電動モータを支持する装着ブラケットを連結することとをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記装着ブラケットが、前記電動モータの周囲の空気の流れを促進する1つまたはそれ以上の開口部を含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記装着ブラケットと前記電動モータとの間に遮熱材を施すことをさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記モータ制御ユニットから受信する信号に基づき、前記内燃機関への燃料の供給を切断するように構成されたスイッチ装置を設置することをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記車両のクラッチペダルの下に、スイッチ装置を設置し、前記スイッチ装置が起動されたときに前記電動モータにより前記内燃機関のクランクを回させることをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記車両が使用中でないときにユーザが前記エネルギー貯蔵素子を充電できる差込充電器を前記車両内に設置することをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記補助モータプーリが交流発電機プーリを備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
内燃機関とトランスミッションとを有する車両をハイブリッド車両に変換する方法であって、
前記内燃機関のクランク軸を回転させる際に前記内燃機関を補助するように構成される電動モータを前記車両内に設置することと、
前記電動モータの出力軸を、自在継ぎ手を介して前記トランスミッションに対向する前記クランク軸の端部に連結することと、
前記電動モータに動力を供給するように構成されるエネルギー貯蔵素子を設置することと、
前記エネルギー貯蔵素子から前記電動モータに送達される動力量を制御するように構成されるモータ制御ユニットを設置することと、
を含む方法。
【請求項10】
前記電動モータの出力軸を、自在継ぎ手を介して前記トランスミッションに対向する前記クランク軸の端部に接続する前記ステップが、前記電動モータの前記出力軸を、前記内燃機関に回転可能に連結されるプーリに連結することを含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記プーリと、第1の補助プーリおよび第2の補助プーリのうちの少なくとも1つとの間にベルトを接続することをさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の補助プーリが交流発電機プーリを備え、前記第2の補助プーリが空調システム用のコンプレッサプーリを備えることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記電動モータを少なくとも部分的に支持するように前記車両内に1つまたはそれ以上の装着ブラケットを取り付けることをさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記車両本体によって少なくとも部分的に前記電動モータを支持することをさらに含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記モータ制御ユニットから受信する信号に基づき、前記内燃機関への燃料の供給を切断するように構成されるスイッチ装置を設置することをさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記車両のクラッチペダルの下に、スイッチ装置を設置し、前記スイッチ装置が起動されたときに前記電動モータにより前記内燃機関のクランクを回させることをさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項17】
前記車両が使用中でないときにユーザが前記エネルギー貯蔵素子を充電できる差込充電器を前記車両内に設置することをさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項18】
既存の電池と交流発電機とのうち少なくとも1つの必要性を前記車両から除去および排除することをさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公表番号】特表2013−504489(P2013−504489A)
【公表日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−529404(P2012−529404)
【出願日】平成22年9月13日(2010.9.13)
【国際出願番号】PCT/IN2010/000609
【国際公開番号】WO2011/039770
【国際公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(512065672)ケーピーアイティ カミンズ インフォシステムズ リミテッド (6)
【Fターム(参考)】