説明

車両情報通信システム、及び、車両情報通信方法

【課題】適切に走行情報を処理することが可能な車両情報通信システムを提供する。
【解決手段】車両情報通信システムは、車載器側地図データのバージョン情報を取得し(S201:YES)、取得されたバージョンの地図データを情報センタにおいて認識できると判断された場合(S203:YES)、走行情報と対応づける位置情報の形態をリンク情報と特定する(S204)。取得されたバージョンの地図データを情報センタにおいて認識できないと判断された場合(S202:NO、S203:NO)、走行情報と対応づける位置情報の形態を座標情報と特定する(S205)。そして、情報センタは、特定された形態の位置情報と対応づけられた走行情報を受信する(S206)。これにより、情報センタが車載器側地図データを認識できなくても、座標情報に基づいて車両の位置を特定できるため、取得した走行情報を処理することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両情報通信システム、及び車両情報通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ナビゲーション装置では、カラーディスプレイ装置などの表示装置を備えるのが一般的であり、その表示画面には、車両位置を示す現在地マークと、地図データに基づき描画される地図と、さらに地図データに対応して記憶された施設等の情報が重ねて表示される。
近年のナビゲーション装置では、地図を表示するのみでなく、利用者の利便性をより向上させるため、表示された道路の交通情報を提供することも行われている。このような交通情報は、道路交通情報システム(VICS、登録商標)に代表される路側に設置されたセンサ等を用いて収集される。また、プローブカーと呼ばれる道路を実際に走行する車両から走行速度等の走行情報を情報センタにおいて収集する仕組みについても導入されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−251710公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、プローブカーから走行情報を情報センタに送信する場合、車両の位置を特定する情報として車両の走行する道路のリンクIDに対応づけて送信すると、情報センタにおいて車両が走行した道路を容易に特定することが可能となる。しかしながら、プローブカーに搭載された車載器の地図データと、情報センタの地図データとが異なっている場合、車両の位置を特定する情報としてリンクIDを用いると、情報センタにおいて、送信されたリンクIDに対応するリンクを特定することができず、走行情報を処理できないという問題点があった。
【0004】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、プローブカーに搭載された車載器の地図データによらず情報センタにおいて走行情報を処理可能な車両情報通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の車両情報通信システムは、車両が有する車載器側地図データの識別情報を取得する識別情報取得手段と、取得された識別情報に基づいて、車両と通信を行う情報センタにおいて車載器側地図データを認識できるか否かを判断する認識判断手段と、認識判断手段の判断結果に基づき、車両の走行情報と対応づける位置情報の形態を特定する特定手段と、特定された形態の位置情報と対応づけた車両の走行情報を取得する走行情報取得手段と、を備えている。また、特定手段は、認識判断手段により車載器側地図データが認識できると判断された場合、車載器側地図データに含まれるリンク情報を位置情報の形態として特定し、認識判断手段により車載器側地図データが認識できないと判断された場合、座標情報を位置情報の形態として特定する。
【0006】
請求項1に記載の車両情報通信システムによれば、情報センタにおいて車載器側の地図データが認識できる場合には、リンク情報と対応づけた走行情報を取得するので、情報センタにおいて車両の位置を容易に特定することができる。一方、情報センタにおいて車載器側地図データが認識できない場合には、座標情報と対応づけた走行情報を取得するので、車載器側の地図データが認識できなくても、座標情報に基づいて車両の位置を特定できるため、取得した走行情報を処理することが可能となる。
【0007】
請求項2に記載の車両情報通信システムにおける識別情報は、地図データのバージョン情報である。また、車載器側地図データは、所定のエリア毎にバージョン情報が設定されている。そして、識別情報取得手段は、車両が新たなエリアに進入した場合に、当該進入したエリアに対応するバージョン情報を取得する。認識判断手段は、取得されたバージョン情報に基づいて、車載器側地図データを情報センタにおいて認識できるか否かを判断する。
【0008】
請求項2に記載の車両情報通信システムによれば、例えば車載器側地図データが所定のエリアごとに更新されている場合等、車載器側地図データのバージョン情報が所定のエリア毎に設定されている場合においても、車両が新たなエリアに進入するごとに走行情報と対応づける位置情報の形態を特定するので、情報センタにおいて確実に走行情報を処理することができる。
【0009】
以上は、車両情報通信システムの発明として説明してきたが、次に示すような車両情報通信方法の発明として実現することもできる。
請求項3に記載の車両情報通信方法によれば、車両が有する車載器側地図データの識別情報を取得する識別情報取得工程と、取得された識別情報に基づいて、車両と通信を行う情報センタにおいて車載器側地図データを認識できるか否かを判断する認識判断工程と、認識判断手段の判断結果に基づき、車両の走行情報と対応づける位置情報の形態を特定する特定工程と、特定された形態の位置情報と対応づけた車両の走行情報を取得する走行情報取得工程と、を備える。また、特定工程は、認識判断手段により車載器側地図データが認識できると判断された場合、車載器側地図データに含まれるリンク情報を位置情報の形態として特定し、認識判断手段により車載器側地図データが認識できないと判断された場合、座標情報を位置情報の形態として特定する。このような方法により、上記と同様の効果が奏される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明による車両情報通信システムを図面に基づいて説明する。
(一実施形態)
図1は、本実施形態による車両情報通信システム1の全体構成を示すブロック図である。車両情報通信システム1は、車両に搭載された車載器としてのナビゲーション装置2、情報センタ3、及びネットワーク4から構成されている。なお、ナビゲーション装置2の搭載された車両がプローブカーである。また、図1においては、1つのナビゲーション装置2のみを示したが、情報センタ3は複数のナビゲーション装置と通信可能に構成されている。
【0011】
情報センタ3は、サーバ10を中心に構成されており、サーバ10に接続されるセンタ側地図情報DB14、センタ側プローブ情報DB15、及びセンタ側通信部16を備えている。サーバ10は、サーバ10の全体の制御を行うCPU11、CPU11が各種の演算処理を行うにあたってワーキングメモリとして使用されるRAM12、各種の制御プログラムが記憶されたROM13等の内部記憶装置を備えている。なお、CPU11に変えて、MPU等を使用することができる。
【0012】
センタ側地図情報DB14には、例えば、地図を表示するための地図表示データ、道路(リンク)を特定するリンクID、ノード点に関するノードデータ、経路を探索するための探索データ、施設に関する施設データ、地点を検索するための検索データ等が記憶されている。また、センタ側地図情報DBには、同一のフォーマットである複数のバージョンの地図データが記憶されている。ここで、バージョンとは、地図データが作成された時期を特定する情報であり、地図データのバージョンが同一であれば、地図データに含まれるリンクID等の情報が一致している。また、地図データには複数のフォーマットが存在し、地図データのフォーマットが異なると、リンクやノード点の設定のされ方や定義、データ形式等が異なるため、地図データに含まれるリンクID等の情報を認識することができない。なお、センタ側地図情報DB14には、記憶されている地図データのフォーマットを示すフォーマット情報および地図データが作成された時期を特定する複数のバージョン情報が記憶されている。
【0013】
センタ側プローブ情報DB15は、ネットワーク4を介してナビゲーション装置2から取得した車両の走行情報がプローブデータとしてリンクIDと対応づけて記憶されている。なお、センタ側プローブ情報DB15におけるリンクIDは、センタ側地図情報DB14に記憶されている最新バージョンの地図データを用いるものとする。センタ側プローブ情報DB15に記憶されたプローブデータは、例えば渋滞情報の作成等に用いられる。
センタ側通信部16は、ナビゲーション装置2とネットワーク4を介して通信を行うための通信装置である。
【0014】
ネットワーク4としては、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、イントラネット、携帯電話回線網、電話回線網、公衆通信回線網、専用通信回線網、インターネット等の通信回線網等の通信系を使用することができる。そして、放送衛星によるCS放送、BS放送、地上波ディジタルテレビ放送、FM多重放送等を利用する通信系を使用することもできる。更に、高度道路交通システム(ITS)において利用されるノンストップ自動料金支払いシステム(ETC)、狭域通信システム(DSRC)等の通信系を使用することもできる。
【0015】
次に、図2に基づいてナビゲーション装置2について説明する。ナビゲーション装置2は、制御部20を中心に構成されており、制御部20に接続される位置検出器25、データ記憶部30、ナビ側通信部40、操作スイッチ群50、描画部60、および音声出力部70、及び車速センサ80を備えている。
制御部20は、通常のコンピュータとして構成されており、内部にはCPU、ROM、I/O、および、これらの構成を接続するバスラインなどが備えられている。
【0016】
位置検出器25は、いずれも周知の地磁気センサ26、ジャイロスコープ27、距離センサ28、および、衛星からの電波を受信するGPS(Global Positioning System)受信機29等を有している。これらのセンサ等26〜29は、各々が性質の異なる誤差を持っているため、相互に補完しながら使用される。
【0017】
データ記憶部30は、例えばハードディスク装置(HDD)として実現される記憶装置である。なお、本実施形態ではHDDを用いたが、DVD−ROMや、メモリカード等の他の媒体を用いても差し支えない。データ記憶部30は、ナビ側地図情報DB31、及びプローブ情報DB32を有している。
ナビ側地図情報DB31には、走行案内や経路探索に使用される地図データが格納されている。地図データには、例えば、地図を表示するための地図表示データ、道路(リンク)を特定するリンクID、ノード点に関するノードデータ、経路を探索するための探索データ、施設に関する施設データ、地点を検索するための検索データ等が含まれる。なお、本実施形態におけるナビ側地図情報DB31に記憶されている地図データは、例えば2.5km四方といった所定エリア(メッシュ)毎に更新される。すなわち、メッシュ毎にバージョンが異なっている場合がある。ナビ側地図情報DB31には、メッシュ毎に地図データが作成された時期を特定するバージョン情報が記憶されている。また、ナビ側地図情報DB31には、記憶されている地図データのフォーマットを示すフォーマット情報が記憶されている。
【0018】
ナビ側プローブ情報DB32には、車両の走行情報が位置情報と対応づけて記憶されている。本実施形態における車両の走行情報は、車両の走行速度であるものとする。本実施形態では、所定期間、例えば10秒、ごとに位置座標と当該位置座標を通過したときの車速とが対応づけて記憶されている。また、リンクを通過した際の平均車速がリンクIDと対応づけて記憶されている。
【0019】
ナビ側通信部40は、ネットワーク4を介して情報センタ3と通信可能に構成されている。
操作スイッチ群50は、ディスプレイ61と一体になったタッチスイッチもしくはメカニカルなスイッチやリモコン装置等で構成され、各種入力に使用される。
【0020】
描画部60には、ディスプレイ61が接続されている。ディスプレイ61は、液晶やCRTを用いたカラーディスプレイである。このディスプレイ61を介して情報表示が行われる。
音声出力部70にはスピーカ71が接続されており、このスピーカ71を介して音声による案内が行われる。
また、制御部20には、車両の走行速度を検出する車速センサ80が接続されている。
【0021】
ところで、本実施形態においては、プローブカーに搭載されたナビゲーション装置2の地図データによらず情報センタ3において走行情報を処理可能である点に特徴を有している。そこで、図3に基づいて、プローブデータ作成処理について説明する。なお、図3に示すプローブデータ作成処理は、ナビゲーション装置2の制御部20、及び情報センタ3のサーバ10において実行される処理である。なお、後述するステップS101(以下、「ステップ」を省略し、単に記号「S」で示す。)〜S105は、ナビゲーション装置2の制御部20において、アクセサリ電源がオンされているときに行われる処理である。また、S201〜S207は、情報センタ3のサーバ10において、所定間隔、例えば100msecごとに行われる処理である。
【0022】
ナビゲーション装置2の制御部20で行われる最初のS101では、車両の現在位置が含まれる現在地エリアの地図データのフォーマット情報及びバージョン情報を識別情報としてナビ側地図情報DB31から読み出し、車両IDとともに情報センタ3に送信する。
情報センタ3のサーバ10で行われる最初のS201では、ナビゲーション装置2からフォーマット情報及びバージョン情報を受信したか否かを判断する。フォーマット情報及びバージョン情報を受信していないと判断された場合(S201:NO)、以下の処理を行わない。フォーマット情報及びバージョン情報を受信したと判断された場合(S201:YES)、S202に移行する。
【0023】
S202では、センタ側地図情報DB14に記憶されている地図データのフォーマット情報を読み出し、S201で受信したフォーマット情報と一致するか否かを判断する。受信したフォーマット情報が一致しないと判断された場合(S202:NO)、S205へ移行する。受信したフォーマット情報が一致すると判断された場合(S202:YES)、S203へ移行する。
【0024】
S203では、センタ側地図情報DB14に記憶されている複数の地図データのバージョン情報を読み出し、読み出した複数の地図データのバージョン情報のうち、S201で受信したバージョン情報と一致するバージョン情報があるか否かを判断する。受信したバージョン情報と一致するバージョン情報がないと判断された場合(S203:NO)、S205へ移行する。受信したバージョン情報と一致するバージョン情報があると判断された場合(S203:YES)、S204へ移行する。
【0025】
なお、S202及びS203では、ナビゲーション装置2のナビ側地図情報DB31に記憶されている地図データを情報センタ3で認識できるか否かを判断している。ナビゲーション装置2から送信されたフォーマット情報がセンタ側地図情報DB14に記憶されている地図データのフォーマット情報と同じであり、且つ、ナビゲーション装置2から送信されたバージョン情報がセンタ側地図情報DB14に記憶されている複数のバージョン情報のうちのいずれかと同じである場合(S202:YES、かつ、S203:YES)、ナビ側地図情報DB31に記憶されている地図データを情報センタ3は認識できると判断することができる。一方、ナビゲーション装置2から送信されたフォーマット情報がセンタ側地図情報DB14に記憶されている地図データのフォーマット情報と異なる場合(S202:NO)またはナビゲーション装置2から送信されたバージョン情報がセンタ側地図情報DB14に記憶されている複数のバージョン情報全てと異なる場合(S203:NO)、ナビ側地図情報DB31に記憶されている地図データを情報センタ3は認識できないと判断することができる。
【0026】
センタ側地図情報DB14に記憶されている地図データのバージョン情報がS201で受信したバージョン情報と一致するバージョン情報がある場合(S203:YES)に移行するS204では、車両の走行情報と対応づける位置情報の形態をリンク情報としてのリンクIDとして特定し、ナビゲーション装置2に通知する。
S201で受信したフォーマット情報が一致しない場合(S202:NO)、及びバージョン情報と一致するバージョン情報がない場合(S203:NO)に移行するS205では、車両の走行情報と対応づける位置情報の形態を座標情報として特定し、ナビゲーション装置2に通知する。
【0027】
ナビゲーション装置2において、現在地エリアのフォーマット情報及びバージョン情報を送信した(S101)後に移行するS102では、S204またはS205において特定された位置情報の形態を受信する。
S103では、S102で受信した形態の位置情報と走行情報とを対応づけて、所定の間隔で、例えば5分ごとに、情報センタ3へ送信する。なお、本実施形態における走行情報は、上述した通り、車両の走行速度とする。すなわち、S102で受信した位置情報の形態が、「リンクID」であった場合、ナビ側プローブ情報DB32から、リンクIDと対応づけて記憶されているリンクを通過した際の平均車速を取得し、情報センタ3に送信する。なお、リンクIDと対応づけて記憶されている平均車速を送信する場合には、ナビ側地図データのバージョン情報を併せて送信する。また、S102で受信した位置情報の形態が「座標情報」であった場合、ナビ側プローブ情報DB32から、位置座標と対応づけて記憶されている10秒ごとの車速を取得し、情報センタ3に送信する。
【0028】
続くS104では、アクセサリ電源がオフされたか否かを判断する。アクセサリ電源がオフされたと判断された場合(S104:YES)、ナビゲーション装置2の制御部20における処理を終了する。アクセサリ電源がオフされていないと判断された場合(S104:NO)、S105へ移行する。
S105では、S101で情報センタ3にバージョン情報を送信したエリアから新たな(別の)エリアに進入したか否かを判断する。なお、「エリア」とは、上述したナビ側地図情報DB31の更新単位となる所定のエリア(メッシュ)である。すなわち、ここでは、異なる所定のエリアに車両が進入したか否かを判断する。新たなエリアに進入したと判断された場合(S105:YES)、S101へ戻り、車両の現在位置が含まれる現在地エリア、すなわち、車両が進入したエリアのバージョン情報を取得し、情報センタ3へ送信する。そして、情報センタ3では、新たに受信したバージョンの地図データを認識できるか否かを判断し(S202、S203)、車両の走行情報と対応づける位置情報の形態を特定して、再度通知する(S204、S205)。車両が新たなエリアに進入していないと判断された場合(S105:NO)、S103へ戻り、特定された形態の位置情報と対応づけられた車両の走行情報を、所定の間隔で情報センタ3へ送信する。
【0029】
情報センタ3のサーバ10で行われるS206では、S103においてナビゲーション装置2から送信された車両の走行情報を受信する。
そして、S207では、S206で受信した走行情報に基づいてプローブデータを作成する。プローブデータの作成に際しては、S206で受信した車両の走行情報である走行速度に対応づけられた位置情報が最新バージョンのリンクIDではない場合、位置情報を最新の地図データのリンクIDに変換する。すなわち、情報センタ3において認識できるバージョンではあるが、最新ではないバージョンのリンクIDと対応づけられた平均車速を受信した場合には、リンクIDと当該バージョンの地図データとに基づいてリンクを特定する。そして、特定されたリンクについて、最新バージョンの地図データにおけるリンクIDを取得し、最新のリンクIDと平均車速とを対応づけてセンタ側プローブ情報DB15に格納する。また、位置座標と対応づけられた車両の走行速度を受信した場合には、受信した位置座標と最新バージョンの地図データとに基づいて、一のリンク上において検出された車両の走行速度の平均値を算出し、算出された平均値を当該リンクの平均車速として最新のリンクIDと対応づけてセンタ側プローブ情報DB15に格納する。なお、一のリンク上において検出された車両の走行速度が1つであった場合には、当該走行速度を当該リンクの平均車速として最新のリンクIDと対応づけてセンタ側プローブ情報DB15に格納する。センタ側プローブ情報DB15に格納された情報は、例えば、渋滞情報等の交通情報の作成に用いることができる。具体的には、リンク毎に、平均車速が時速10km未満の場合には「渋滞」、時速10km以上40km未満の場合には「混雑」、時速40km以上の場合には「空き」、といった具合である。このように作成されたプローブデータは、ナビゲーション装置2に送信するようにしてもよいし、統計等に利用してもよい。
【0030】
なお、本実施形態における情報センタ3のサーバ10が、「識別情報取得手段」、「認識判断手段」、「特定手段」、及び「走行情報取得手段」を構成する。そして、図3のS201が「識別情報取得手段」の機能としての処理に相当し、S202及びS203が「認識判断手段」の機能としての処理に相当し、S204及びS205が「特定手段」の機能としての処理に相当し、S206が「走行情報取得手段」の機能としての処理に相当する。本実施形態においては、サーバ10が「識別情報取得手段」、「認識判断手段」、「特定手段」、及び「走行情報取得手段」を構成しているが、「識別情報取得手段」、「認識判断手段」、「特定手段」、及び「走行情報取得手段」の一部または全部がナビゲーション装置2の制御部20により構成されてもよい。なお、ナビゲーション装置2の制御部20が「走行情報取得手段」を構成する場合、センタから通知された位置情報の形態における走行情報のみをナビ側プローブ情報DBに蓄積してもよい。
【0031】
以上、詳述したように、車両情報通信システム1は、車載器側地図データのバージョン情報を取得し(S201:YES)、取得されたバージョンの地図データを情報センタ3において認識できるか否かを判断する(S202、S203)。取得されたバージョンの地図データを情報センタ3において認識できると判断された場合(S203:YES)、車両の走行速度と対応づける位置情報の形態をリンクIDと特定する(S204)。取得されたバージョンの地図データを情報センタ3において認識できないと判断された場合(S203:NO)、車両の走行速度と対応づける位置情報の形態を座標情報と特定する(S205)。そして、情報センタ3は、特定された形態の位置情報と対応づけられた走行情報を受信する(S206)。
【0032】
これにより、情報センタ3においてナビゲーション装置2の地図データを認識できる場合には、車両の位置を特定する情報としてリンクIDを用いるので、情報センタ3において車両の位置を容易に特定することができる。また、情報センタ3においてナビゲーション装置2の地図データを認識できない場合には、車両の位置を特定する情報として座標情報を用いるので、座標情報に基づいて車両の位置を特定できるため、取得した走行情報を処理することが可能となる。
【0033】
また、上記実施形態では、車両が新たなエリアに進入した場合(S105:YES)、再度バージョン情報を情報センタ3に送信する(S101)。そして、取得されたバージョンの地図データが情報センタ3において認識できるか否かを判断し(S202、S203)、走行情報と対応づける位置情報の形態を再度通知する(S204、S205)。これにより、ナビゲーション装置2の地図データが所定のエリア毎に設定されている場合においても、車両が新たなエリアに進入するごとに走行情報と対応づける位置情報の形態を特定するので、情報センタにおいて確実に走行情報を処理することができる。
【0034】
以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
(ア)上記実施形態では、ナビゲーション装置の有する地図データのフォーマット情報及びバージョン情報を情報センタに送信するように構成した。情報センタにおいて、各車両における地図データの更新状況を管理している場合には、ナビゲーション装置は車両IDを情報センタに送信し、送信された車両IDに基づいて当該車両が有する地図データのバージョンを特定してもよい。そして、このバージョン情報により走行情報と対応づける位置情報の形態を特定してもよい。
【0035】
(イ)上記実施形態における走行情報としての車両の走行速度は、車速センサにより取得されたが、リンクIDと所要時間を情報センタに送信し、情報センタにおいて走行速度を算出してもよい。また、所定期間毎に位置情報を情報センタに送信することにより、情報センタにおいて位置情報と所定期間とに基づいて走行速度を算出してもよい。さらに、走行情報は、ワイパのオン/オフ情報、車輪の空転情報など、車両から取得可能なあらゆる情報であってもよい。
(ウ)上記実施形態では、地図データのバージョンとフォーマットの両方を識別情報として、情報センタで認識できるか否かを判断したが、どちらか片方を識別情報として情報センタで識別できるか否かを判断してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施形態による車両情報システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態によるナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態によるプローブ情報作成処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0037】
1:車両情報通信システム、2:ナビゲーション装置、3:情報センタ、4:ネットワーク、10:サーバ(識別情報取得手段、認識判断手段、特定手段、走行情報取得手段)、14:センタ側地図情報DB、15:センタ側プローブ情報DB、16:センタ側通信部、20:制御部、25:位置検出器、26:地磁気センサ、27:ジャイロスコープ、28:距離センサ、29:GPS受信器、30:データ記憶部、31:ナビ側地図情報DB、32:ナビ側プローブ情報DB、40:ナビ側通信部、50:操作スイッチ群、60:描画部、61:ディスプレイ、70:音声出力部、71:スピーカ、80:車速センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が有する車載器側地図データの識別情報を取得する識別情報取得手段と、
前記取得された識別情報に基づいて、前記車両と通信を行う情報センタにおいて前記車載器側地図データを認識できるか否かを判断する認識判断手段と、
前記認識判断手段の判断結果に基づき、前記車両の走行情報と対応づける位置情報の形態を特定する特定手段と、
特定された前記形態の前記位置情報と対応づけた前記車両の走行情報を取得する走行情報取得手段と、
を備え、
前記特定手段は、
前記認識判断手段により前記車載器側地図データが認識できると判断された場合、前記車載器側地図データに含まれるリンク情報を前記形態として特定し、
前記認識判断手段により前記車載器側地図データが認識できないと判断された場合、座標情報を前記形態として特定することを特徴とする車両情報通信システム。
【請求項2】
前記識別情報は、地図データのバージョン情報であるとともに、前記車載器側地図データは、所定のエリア毎にバージョン情報が設定されており、
前記識別情報取得手段は、前記車両が新たなエリアに進入した場合に、当該進入したエリアに対応するバージョン情報を取得し、
前記認識判断手段は、前記取得されたバージョン情報に基づいて、前記車載器側地図データを前記情報センタにおいて認識できるか否かを判断することを特徴とする請求項1に記載の車両情報通信システム。
【請求項3】
車両が有する車載器側地図データの識別情報を取得する識別情報取得工程と、
前記取得された識別情報に基づいて、前記車両と通信を行う情報センタにおいて前記車載器側地図データを認識できるか否かを判断する認識判断工程と、
前記認識判断手段の判断結果に基づき、前記車両の走行情報と対応づける位置情報の形態を特定する特定工程と、
特定された前記形態の前記位置情報と対応づけた前記車両の走行情報を取得する走行情報取得工程と、
を備え、
前記特定工程は、
前記認識判断手段により前記車載器側地図データが認識できると判断された場合、前記車載器側地図データに含まれるリンク情報を前記形態として特定し、
前記認識判断手段により前記車載器側地図データが認識できないと判断された場合、座標情報を前記形態として特定することを特徴とする車両情報通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−152418(P2010−152418A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−326700(P2008−326700)
【出願日】平成20年12月23日(2008.12.23)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】