説明

車両支援技術

【課題】 複線道路における車線を考慮して車両の走行を支援することのできる走行支援技術を提供する。
【解決手段】 走行支援装置10は、道路に沿った道路基準線に基づいて道路地図を示す道路基準情報IR、車線に沿った車線基準線に基づいて道路地図を示す車線基準情報IL、道路基準情報IRと車線基準情報ILとの間の位置関係を対応付ける対応情報ACを記憶する記憶部120と、車両800が走行すべき経路を道路基準情報IRによって探索する経路探索部112と、道路基準情報IRによって探索される経路を、対応情報ACを用いて車線基準情報ILによって特定する経路特定部114と、車線基準情報ILによって特定される経路に基づいて、車両800を誘導するための誘導情報を生成する車両誘導部116とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路上を走行する車両を支援する走行支援技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、走行支援技術として、道路地図を示す道路地図情報を用いて、車両の経路を誘導するための誘導情報を、画像や音声によって車両の運転者に提供するナビゲーションシステムが実用化されている。従来の走行支援技術は、道路地図情報を取り扱うための記憶容量や処理速度の制約などから、複数の車線を含む複線道路を単線道路として示す道路地図情報を取り扱っていた。例えば、従来の道路地図情報は、単線道路であるか複線道路であるかに拘わらず、道路に沿った道路基準線上の基準点を示す道路ノードを規定する情報と、複数のノード間における道路の区間態様を示す道路リンクを規定する情報とから構成される。下記特許文献1には、道路基準の道路地図情報を取り扱う走行支援技術が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開平10−49047号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、高度交通システム(Intelligent Transport System, ITS)が提唱される中で、運転者に提供される誘導情報の詳細化や、誘導情報を利用した車両制御などの実現には、複線道路における車線を考慮する必要がありながらも、従来、複線道路に対応した道路地図情報の取り扱いについて十分な検討が為されていなかった。
【0005】
本発明は、上記した課題を踏まえ、複線道路における車線を考慮して車両の走行を支援することのできる走行支援技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決するため、本発明の走行支援装置は、道路上を走行する車両を支援する走行支援装置であって、道路に沿った道路基準線に基づいて道路地図を示す道路基準情報を記憶する道路基準記憶部と、車線に沿った車線基準線に基づいて道路地図を示す車線基準情報を記憶する車線基準記憶部と、道路基準情報と車線基準情報との間の位置関係を対応付ける対応情報を記憶する対応記憶部と、車両が走行すべき経路を道路基準情報によって探索する経路探索部と、道路基準情報によって探索された経路を、対応情報を用いて車線基準情報によって特定する経路特定部と、車線基準情報によって特定された経路に基づいて、車両を誘導するための誘導情報を生成する生成部とを備えることを特徴とする。
【0007】
本発明の走行支援装置によれば、比較的簡素なデータ構造を有する道路基準情報を用いて経路探索を行い、比較的複雑なデータ構造を有する車線基準情報を用いて経路誘導を行うことができる。その結果、本発明の走行支援装置は、経路探索における処理負荷の軽減を図りつつ、経路誘導における精度を向上させることができる。
【0008】
上記の本発明の走行支援装置は、以下の態様を採ることもできる。誘導情報は、車両を運転するユーザによって認識可能な画像,音声の少なくとも一方を出力するためのデータを含むこととしても良い。これによって、車両を運転するユーザに対して画像,音声で誘導情報を認識させることによって、車線を考慮した経路誘導を実現することができる。また、誘導情報は、車両を制御する車両制御装置が車両を制御するために用いるデータを含むこととしても良い。これによって、車両制御装置が誘導情報に基づいて直接的に車両を制御することによって、車線を考慮した経路誘導を実現することができる。この場合に、車両制御装置によって用いられる誘導情報は、発動機,動力伝達装置,制動装置,操舵装置等の車両走行に寄与する装置を制御するためのデータであっても良い。
【0009】
また、更に、車両が走行する方向および速度に基づく車両が存在する位置である自律位置を測位する自立測位手段と、複数の測位衛星から送信される測位信号に基づく車両が存在する位置である他律位置を測位する他律測位手段と、自律位置および他律位置の少なくとも一方と、車線基準情報とを照合することによって、車両が存在する位置を特定する車線位置特定部とを備え、車両誘導部は、車線基準情報によって特定される経路に加え、車線基準情報によって特定される位置に基づいて、車両を誘導するための誘導情報を生成することとしても良い。これによって、車線を考慮した経路誘導に必要な車両の位置精度を確保することができる。
【0010】
また、本発明の走行支援装置は、更に、車両が存在する位置を道路基準情報によって特定する道路位置特定部と、車両が到達すべき目的地を道路基準情報によって特定する目的地特定部とを備え、道路基準情報によって特定される経路は、道路基準情報によって特定された位置から目的地に至る経路であることとしても良い。これによって、車両の現在地から目的地までの経路について、車線を考慮した経路誘導を実現することができる。
【0011】
また、車線基準情報は、車線基準線上の基準点を示す複数の車線ノードを規定する情報と、複数の車線ノード間における車線の区間態様を示す複数の車線リンクを規定する情報とを含むこととしても良い。これによって、車線単位の道路地図情報の取り扱いを容易に行うことができる。
【0012】
また、道路基準情報は、道路の区間態様を示す複数の道路リンクのための道路基準線上の基準点を示す複数の道路ノードを規定する情報を含み、対応情報は、道路ノードに対して、該道路ノードの近隣に位置する車線ノードおよび車線リンクの少なくとも一方を対応付ける情報を含むこととしても良い。これによって、道路基準情報の道路ノードに対する車線基準情報の対応付けを容易に行うことができる。
【0013】
また、道路基準情報は、道路基準線上の基準点を示す複数の道路ノード間における道路の区間態様を示す複数の道路リンクを規定する情報を含み、対応情報は、道路リンクに対して、該道路リンクの区間に位置する車線ノードおよび車線リンクの少なくとも一方を対応付ける情報を含むこととしても良い。これによって、道路基準情報の道路リンクに対する車線基準情報の対応付けを容易に行うことができる。
【0014】
また、道路基準情報は、道路基準線上の基準点を示す複数の道路ノードを規定する情報と、複数の道路ノード間における道路の区間態様を示す複数の道路リンクを規定する情報とを含み、車線基準情報は、隣接する各車線上で近接して位置する複数の車線ノードを相互に関連付ける車線ノードグループを規定する情報を含み、対応情報は、道路ノードおよび道路リンクの少なくとも一方に対して、車線ノードグループを対応付ける情報を含むこととしても良い。これによって、道路基準情報に対する複数の車線ノードの対応付けを容易に行うことができる。
【0015】
また、道路基準情報は、道路基準線上の基準点を示す複数の道路ノードを規定する情報と、複数の道路ノード間における道路の区間態様を示す複数の道路リンクを規定する情報とを含み、車線基準情報は、隣接する各車線上で近接して位置する複数の車線リンクを相互に関連付ける車線リンクグループを規定する情報を含み、対応情報は、道路ノードおよび道路リンクの少なくとも一方に対して、車線リンクグループを対応付ける情報を含むこととしても良い。これによって、道路基準情報に対する複数の車線リンクの対応付けを容易に行うことができる。
【0016】
また、車線リンクが示す車線の区間態様は、車線の種類,車線の幅員,車線を区画する線種,車線における交通規制の状況,車線のポリゴン形状,車線基準線の形状の少なくともいずれか一つを含むこととしても良い。これによって、特殊な態様を有する車線構成を考慮した車両の経路誘導を実現することができる。
【0017】
なお、本発明の態様は、走行支援装置に限るものではなく、走行する車両を支援する機能をコンピュータに実現させるためのプログラムや、走行する車両を支援する走行支援方法などの種々の態様に適用することができる。
【0018】
また、上記した課題を解決するため、本発明のデータ構造は、道路地図を示す道路地図情報のデータ構造であって、道路に沿った道路基準線に基づいて道路地図を示す道路基準情報と、車線に沿った車線基準線に基づいて道路地図を示す車線基準情報と、道路基準情報と車線基準情報との間の位置関係を対応付ける対応情報とを備え、車線基準情報は、車線基準線上の基準点を示す複数の車線ノードを規定する情報と、複数の車線ノード間における車線の区間態様を示す複数の車線リンクを規定する情報とを含むことを特徴とする。また、上記した課題を解決するため、本発明の記録媒体は、本発明のデータ構造を有する道路地図情報を記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であることを特徴とする。本発明のデータ構造および記録媒体によれば、車線を考慮した車両の走行を支援するために、従来から用いられて来た道路基準情報を活用しつつ、対応情報を用いることによって車線基準情報を取り扱うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以上説明した本発明の構成および作用を一層明らかにするために、以下本発明を適用した走行支援技術について説明する。
【0020】
A.走行支援装置10の構成:
図1は、車両800に搭載された走行支援装置10の構成を示す説明図である。本発明の実施例の一つである走行支援装置10は、道路上を走行する車両800に搭載され、経路探索や経路誘導など車両800の走行を支援するカーナビゲーションシステムである。走行支援装置10は、走行支援装置10の各部を制御する制御部110と、道路地図を示す道路地図情報Irmを記憶する記憶部120と、車両800を制御する車両制御装置810との情報のやり取りを行う車両インタフェース部130と、車両800を運転するユーザとの情報のやり取りを行うユーザインタフェース部140と、車両800が存在する位置を測位するために測位衛星(NAVSTAR)910からのGPS(Global Positioning System)信号を受信するGPS受信部150と、道路に設置されたビーコン920やFM多重放送を介してVICS(Vehicle Information and Communication System)による交通渋滞情報や交通規制情報などの交通情報を受信する交通情報受信部160とを備える。制御部110は、GPS受信部150,交通情報受信部160から各種情報を受け取り可能に接続されると共に、記憶部120,車両インタフェース部130,ユーザインタフェース部140との各種情報をやり取り可能に接続されている。
【0021】
走行支援装置10の記憶部120は、道路地図情報Irmを記録した記録媒体125を有する記憶装置である。本実施例では、記憶部120は、記録媒体125としてハードディスクを採用するハードディスクドライブ(Hard Disk Drive、以下、HDDという)であり、記録媒体125に記憶されるデータは、制御部110の指示に基づいて更新される。記録媒体125には、道路地図情報Irmとして、道路に沿った道路基準線に基づいて道路地図を示す道路基準情報IRと、車線に沿った車線基準線に基づいて道路地図を示す車線基準情報ILと、道路基準情報IRと車線基準情報ILとの間の位置関係を対応付けるためのデータが格納された対応情報テーブルTCとが記録されている。道路基準情報IRには、道路基準情報IRに関する種々のデータが格納された道路ノードテーブルTRnおよび道路リンクテーブルTRkが含まれ、車線基準情報ILには、車線基準情報ILに関する種々のデータが格納された車線ノードテーブルTLnおよび車線リンクテーブルTLkが含まれる。道路地図情報Irmのデータ構造についての詳細は後述する。
【0022】
走行支援装置10の制御部110は、車両800が走行すべき経路を道路基準情報IRによって探索する経路探索部112と、道路基準情報IRによって探索された経路の少なくとも一部を、対応情報ACを用いて車線基準情報ILによって特定する経路特定部114と、車線基準情報ILによって特定された経路に基づいて、車両800を誘導するための誘導情報を生成する車両誘導部116とを備える。誘導情報には、車両800を運転するユーザによって認識可能な画像,音声の少なくとも一方を出力するためのデータや、車両制御装置810が車両800を制御するために用いるデータが含まれる。本実施例では、制御部110は、種々の演算処理を行うセントラルプロセッシングユニット(Central Processing Unit、以下、CPUという)と、CPUが実行する演算処理を規定したプログラムを予め記憶するリードオンリメモリ(Read Only Memory、以下、ROMという)と、CPUが取り扱うデータを一時的に記憶するランダムアクセスメモリ(Random Access Memory、以下、RAMという)とを備えた1チップマイコンである。本実施例では、制御部110における経路探索部112,経路特定部114,車両誘導部116の各機能は、ソフトウェアに基づくCPUの演算処理によって実現される。制御部110の動作についての詳細は後述する。
【0023】
走行支援装置10のユーザインタフェース部140は、車両800を運転するユーザからの情報の入力を受け付けるリモコン142と、車両800を運転するユーザに対して情報を画像として出力するためのディスプレイ144と、車両800を運転するユーザに対して情報を音声として出力するためのスピーカ146とを備える。
【0024】
車両800の車両制御装置810は、車両800における発動機,動力伝達装置,制動装置,操舵装置等の走行に関係する装置(図示しない)を制御する。車両制御装置810には、車両800の挙動を検出するためのセンサとして、車両800の進行方向を検出するためのジャイロセンサ812と、車両800の走行速度を検出するための車速センサ814とが接続され、検出された車両800の挙動に関する情報は、車両制御装置810から車両インタフェース部130を介して制御部110に転送される。
【0025】
B.道路地図情報Irmのデータ構造:
図2は、道路地図情報Irmのデータ構造を示す説明図である。道路地図情報Irmのうちの道路基準情報IRには、道路ノードテーブルTRnおよび道路リンクテーブルTRkが含まれる。道路ノードテーブルTRnには、道路基準線上の所定の基準点である道路ノードRnを規定する複数の道路ノード属性情報ARnが格納されている。道路リンクテーブルTRkには、複数の道路ノードRn間における道路の区間態様を示す道路リンクRkを規定する複数の道路リンク属性情報ARkが格納されている。なお、本明細書および図面において、道路ノード属性情報ARnおよび道路リンク属性情報ARk,道路ノードRn,道路リンクRkの各要素を個別に示す場合には、これらの符号の後に番号を付した符号を用いる(例えば、ARn1,ARn2,ARn3...)。更に、本明細書および図面において、道路ノード属性情報ARnおよび道路ノードRnの符号の後に同じ番号が付された場合には、その道路ノード属性情報ARnは、同じ番号が付された道路ノードRnを規定する情報であり、道路リンク属性情報ARkおよび道路リンクRkの符号の後に同じ番号が付された場合には、その道路リンク属性情報ARkは、同じ番号が付された道路リンクRkを規定する情報である(例えば、道路ノード属性情報ARn1は、道路ノードRn1を規定する情報である。)。
【0026】
道路地図情報Irmのうちの車線基準情報ILには、車線ノードテーブルTLnおよび車線リンクテーブルTLkが含まれる。車線ノードテーブルTLnには、車線基準線上の所定の基準点である車線ノードLnを規定する複数の車線ノード属性情報ALnが格納されている。車線リンクテーブルTLkには、複数の車線ノードLn間における車線の区間態様を示す車線リンクLkを規定する車線リンク属性情報ALkが格納されている。なお、本明細書および図面において、車線ノード属性情報ALnおよび車線リンク属性情報ALk,車線ノードLn,車線リンクLkの各要素を個別に示す場合には、これらの符号の後に番号を付した符号を用いる(例えば、ALn1,ALn2,ALn3...)。更に、本明細書および図面において、車線ノード属性情報ALnおよび車線ノードLnの符号の後に同じ番号が付された場合には、その車線ノード属性情報ALnは、同じ番号が付された車線ノードLnを規定する情報であり、車線リンク属性情報ALkおよび車線リンクLkの符号の後に同じ番号が付された場合には、その車線リンク属性情報ALkは、同じ番号が付された車線リンクLkを規定する情報である(例えば、車線ノード属性情報ALn1は、車線ノードLn1を規定する情報である。)。
【0027】
道路地図情報Irmのうちの対応情報テーブルTCには、道路ノード属性情報ARnおよび道路リンク属性情報ARkの一方と、車線ノード属性情報ALnおよび車線リンク属性情報ALkの少なくとも一方とを対応付ける複数の対応情報ACが格納されている。本実施例では、対応情報ACは、所定の道路ノードRnに対して、この所定の道路ノードRnの近隣に位置する車線ノードLnおよび車線リンクLkを対応付けるための情報や、所定の道路リンクRkに対して、所定の道路リンクRkの区間に位置する車線ノードLnおよび車線リンクLkを対応付けるための情報が含まれる。なお、本明細書および図面において、対応情報ACを個別に示す場合には、これらの符号の後に番号を付した符号を用いる(例えば、AC1,AC2,AC3...)。
【0028】
図3は、対応情報ACによる道路基準情報IRと車線基準情報ILとの間の対応付けの一例を示す説明図である。図3の下段には、道路基準情報IRに基づく道路ノードRnおよび道路リンクRkから構成される道路基準構造モデルRstの一例が示され、図3の上段には、車線基準情報ILに基づく車線ノードLnおよび車線リンクLkから構成される車線基準構造モデルLstの一例が示されている。本実施例では、道路基準情報IRの道路基準線は、道路のほぼ中心線に設定され、車線基準情報ILの車線基準線は、車線のほぼ中心線に設定されている。
【0029】
図3の道路基準構造モデルRstおよび車線基準構造モデルLstは、道路の一部である道路区間700を共に表すものであり、道路区間700の形状は、図3では車線基準構造モデルLstに重ねて描かれている。本実施例の道路区間700は、二車線の本線道路710と、二車線の分岐道路720との分岐地点の周辺部であり、分岐道路720が本線道路710から分岐する態様は、徐々に幅員を拡大しながら本線道路710から分岐する態様である。なお、以下の説明では、本線道路710および分岐道路720の各車線については、車両進行方向(図3の右方向)に向かって左側の車線から第1車線,第2車線と呼ぶこととする。
【0030】
図3の道路区間700における道路基準構造モデルRstの構造ついて説明する。道路基準構造モデルRstによる本線道路710は、本線道路710の中心線上の基準点である道路ノードRn2,Rn1,Rn3と、道路ノードRn2,Rn1の間を本線道路710の中心線に沿って接続する道路リンクRk1と、道路ノードRn1,Rn3の間を本線道路710の中心線に沿って接続する道路リンクRk2とから構成される。道路基準構造モデルRstによる分岐道路720は、分岐道路720の中心線上の基準点である道路ノードRn4と、道路ノードRn1,Rn4の間を分岐道路720の中心線に沿って接続する道路リンクRk3とから構成される。
【0031】
図3の道路区間700における車線基準構造モデルLstの構造について説明する。車線基準構造モデルLstによる本線道路710の第1車線は、第1車線の中心線上の基準点である車線ノードLn1,Ln3と、第1車線の中心線に沿って車線ノードLn1に接続する車線リンクLk1と、車線ノードLn1,Ln3の間を第1車線の中心線に沿って接続する車線リンクLk3と、第1車線の中心線に沿って車線ノードLn3から延びる車線リンクLk5とから構成される。車線基準構造モデルLstによる本線道路710の第2車線は、第2車線の中心線上の基準点である車線ノードLn2,Ln4と、第2車線の中心線に沿って車線ノードLn2に接続する車線リンクLk2と、車線ノードLn2,Ln4の間を第2車線の中心線に沿って接続する車線リンクLk4と、第2車線の中心線に沿って車線ノードLn4から延びる車線リンクLk6とから構成される。
【0032】
車線基準構造モデルLstによる分岐道路720の第1車線は、第1車線の中心線上の基準点である車線ノードLn5と、車線ノードLn1,Ln5の間を第1車線の中心線に沿って接続する車線リンクLk7と、第1車線の中心線に沿って車線ノードLn5から延びる車線リンクLk9とから構成される。車線基準構造モデルLstによる分岐道路720の第2車線は、第2車線の中心線上の基準点である車線ノードLn6と、車線ノードLn1,Ln6の間を第2車線の中心線に沿って接続する車線リンクLk8と、第1車線の中心線に沿って車線ノードLn6から延びる車線リンクLk10とから構成される。
【0033】
図3の道路区間700における対応情報ACの対応付けについて説明する。本実施例の対応情報ACには、対応付けの対象となる道路基準情報IRの道路ノードRnまたは道路リンクRkを示す識別符号(ID)と、それに対応する車線基準情報ILの車線ノードLnおよび車線リンクLkの少なくとも一方を示す識別符号(ID)とが規定されている。
【0034】
図3に示す例では、道路ノードRn1に対する車線基準情報ILの対応を示す対応情報AC1には、道路ノードRn1を示す道路ノードIDと、車線ノードLn1〜6を示す車線ノードIDと、車線リンクLk3,4,7,8を示す車線リンクIDとが含まれる。道路リンクRk2に対する車線基準情報ILの対応を示す対応情報AC2には、道路リンクRk2を示す道路リンクIDと、車線リンクLk5,6を示す車線リンクIDとが含まれる。道路リンクRk3に対する車線基準情報ILの対応を示す対応情報AC3には、道路リンクRk3を示す道路リンクIDと、車線リンクLk9,10を示す車線リンクIDとが含まれる。道路リンクRk1に対する車線基準情報ILの対応を示す対応情報AC4には、道路リンクRk1を示す道路リンクIDと、車線リンクLk1,2を示す車線リンクIDとが含まれる。なお、本明細書および図面において、道路ノードRnおよび道路リンクRk,車線ノードLn,車線リンクLkの各々を示す識別符号(ID)として、各々に付された符号を用いる(例えば、道路ノードRn1の識別符号(ID)を「Rn1」とする。)。
【0035】
図4は、車線ノードテーブルTLnに格納されている車線ノード属性情報ALnの一例を示す説明図である。車線ノード属性情報ALnの各々には、その車線ノード属性情報ALnによって規定される車線ノードLnを識別するための「車線ノードID」と、その車線ノードLnの地図上の位置を示す「座標点」と、その車線ノードLnに接する車線リンクLkの数を示す「接続車線リンク数」と、その車線ノードLnに接続する車線リンクLkを示す「接続車線リンクID」とが含まれる。
【0036】
図5,6は、車線リンクテーブルTLkに格納されている車線リンク属性情報ALkの一例を示す説明図である。車線リンク属性情報ALkの各々には、その車線リンク属性情報ALkによって規定される車線リンクLkを識別するための「車線リンクID」と、その車線リンクLkが始点として接続する車線ノードLnを示す「始点車線ノードID」と、その車線リンクLkが終点として接続する車線ノードLnを示す「終点車線ノードID」と、その車線リンクLkによって示される車線が車両走行方向に向かって左側から何番目の車線であるかを示す「車線番号」と、その車線の種類を示す「車線種類」と、その車線の幅員を示す「車線幅員」と、その車線の車両走行方向に向かって右側を区画する線種を示す「右側区画線種」と、その車線の車両走行方向に向かって左側を区画する線種を示す「左側区画線種」と、その車線における交通規制の状況を示す「交通規制情報」と、その車線リンクLkが示す車線区間の車線基準線の形状を座標点列で示す「車線基準線形状データ」とが含まれる。
【0037】
本実施例では、車線リンクLkによって示される車線が特異な形状である場合、車線リンク属性情報ALkには、更に、その車線のポリゴン形状を示す「ポリゴン形状データ」が含まれる。例えば、図3に示す道路区間700の場合には、車線リンクLk1〜6によって示される車線は、車線基準線および幅員,線種などによって車線の形状をほぼ特定可能な形状であるが、車線リンクLk7,8によって示される車線は、車線基準線および幅員,線種によって車線の形状を特定しきれない特異な形状である。そのため、本実施例では、図6に示すように、特異な車線形状を描写するためのポリゴン形状データが、車線リンク属性情報ALk7,8に含まれている。なお、図3に示す車線リンクLk7,8によって示される車線のように、各車線の一部が他の車線に融合している場合には、複数の車線をまとめて単一のポリゴン形状で示すポリゴン形状データを用いることとしても良い。
【0038】
図7は、道路ノードテーブルTRnに格納されている道路ノード属性情報ARnの一例を示す説明図である。道路ノード属性情報ARnの各々には、その道路ノード属性情報ARnによって規定される道路ノードRnを識別するための「道路ノードID」と、その道路ノードRnの地図上の位置を示す「座標点」と、その道路ノードRnに接する道路リンクRkの数を示す「接続道路リンク数」と、その道路ノードRnに接続する道路リンクRkを示す「接続道路リンクID」とが含まれる。
【0039】
図8は、道路リンクテーブルTRkに格納されている道路リンク属性情報ARkの一例を示す説明図である。道路リンク属性情報ARkの各々には、その道路リンク属性情報ARkによって規定される道路リンクRkを識別するための「道路リンクID」と、その道路リンクRkが始点として接続する道路ノードRnを示す「始点道路ノードID」と、その道路リンクRkが終点として接続する道路ノードRnを示す「終点道路ノードID」と、その道路の幅員を示す「道路幅員」と、その道路リンクRkが示す道路区間の道路基準線の形状を座標点列で示す「道路基準線形状データ」とが含まれる。
【0040】
C.走行支援装置10の動作:
図9は、走行支援装置10の制御部110が実行する走行支援処理を示すフローチャートである。制御部110による走行支援処理は、車両800が走行すべき経路を、道路地図情報Irmを用いて探索し、探索された経路に従って車両800を誘導するための処理である。本実施例では、制御部110による走行支援処理は、制御部110のCPUにおけるソフトウェアに基づく動作によって実現される処理である。本実施例では、制御部110による走行支援処理は、ユーザからユーザインタフェース部140を介して入力される指示情報に基づいて開始され、車両800が目的地に到達するまで所定のタイミングで繰り返し実行される。
【0041】
走行支援装置10の制御部110は、図9の走行支援処理を開始すると、車両800が走行すべき経路を道路基準情報IRによって探索する経路探索処理(ステップS10)を実行する。経路探索処理(ステップS10)を実行した後、制御部110は、道路基準情報IRによって探索された経路を、対応情報ACを用いて車線基準情報ILによって特定する経路特定処理(ステップS20)を実行する。経路特定処理(ステップS20)を実行した後、制御部110は、車線基準情報ILによって特定された経路に基づいて、車両800を誘導するための誘導情報を生成する車両誘導処理(ステップS30)を実行し、その後、図9に示す走行支援処理を終了する。制御部110が実行する経路探索処理(ステップS10),経路特定処理(ステップS20),車両誘導処理(ステップS30)のそれぞれの詳細については後述する。
【0042】
図10は、走行支援装置10の制御部110が実行する経路探索処理(ステップS10)の詳細を示すフローチャートである。制御部110は、経路探索処理(ステップS10)を開始すると、経路探索が必要であるか否かを判断する(ステップS110)。経路探索が必要な場合とは、走行支援処理の実行が初回であるため経路が設定されていない場合や、目的地の変更に伴い経路を探索し直す必要が生じた場合、車両800が当初の経路を外れた際に経路を探索し直す必要が生じた場合などがある。経路探索が不要な場合とは、前回以前の走行支援処理の実行において経路が設定され変更する必要がない場合である。
【0043】
制御部110は、経路探索が必要であると判断した場合には(ステップS110)、道路基準情報IRによって車両800が存在する車両位置を特定する(ステップS120)。車両位置を特定する際には、制御部110は、ジャイロセンサ812および車速センサ814によって検出された車両800の進行方向および走行速度に基づく車両800の位置である自律位置を算出すると共に、GPS受信部150で受信されたGPS信号に基づく車両800の位置である他律位置を算出し、算出された自律位置および他律位置と、記憶部120から読み出した道路基準情報IRとを参照することによって車両位置を特定する(いわゆるマップマッチング)。制御部110は、道路基準情報IRによって車両位置を特定した後(ステップS120)、道路基準情報IRによって車両800が到達すべき目的地を特定する(ステップS130)。特定される目的地は、ユーザからユーザインタフェース部140を介して入力された情報や記憶部120に予め記憶されている情報に基づくものである。例えば、車両位置および目的地は、「所定の道路ノードRnの座標点」や、「所定の道路リンクRkにおける始点から3分の1の座標点」,「道路ノードRnや道路リンクRk以外の所定の座標点」として、道路基準情報IRによって特定される。
【0044】
制御部110は、車両位置および目的地を特定した後(ステップS120,130)、ユーザからユーザインタフェース部140を介して入力された情報や記憶部120に予め記憶されている情報に基づき探索条件を取得する(ステップS140)。探索条件としては、目的地への経路途中に経由すべき経由地点、一般道路,有料道路,高速道路のいずれを優先して経路探索を行うか、目的地までの予想所要時間,走行距離のいずれを優先して経路探索を行うかなどであっても良い。
【0045】
制御部110は、探索条件を取得した後(ステップS140)、探索条件に従って道路基準情報IRによって車両経路を探索する(ステップS150)。車両経路は、特定された車両位置から目的地までを結ぶ道路ノードRnおよび道路リンクRkを特定することによって探索される。特定された道路ノードRnおよび道路リンクRkについての道路ノードIDおよび道路リンクIDは、探索された車両経路として、制御部110の内蔵メモリや記憶部120に記憶される。制御部110は、道路基準情報IRによって車両経路を探索した後(ステップS150)、図10に示す経路探索処理を終了する。
【0046】
図11は、走行支援装置10の制御部110が実行する経路特定処理(ステップS20)の詳細を示すフローチャートである。制御部110は、経路特定処理(ステップS20)を開始すると、車線基準情報ILによる経路特定が必要であるか否かを判断する(ステップS210)。車線基準情報ILによる経路特定が必要な場合とは、直前の経路探索処理(ステップS10)にて経路探索が実行された場合であり、直前の経路探索処理(ステップS10)にて経路探索が実行されていない場合には、車線基準情報ILによる経路特定を実行する必要はない。
【0047】
制御部110は、車線基準情報ILによる経路特定が必要であると判断した場合には(ステップS210)、経路探索処理(ステップS10)にて探索された車両経路を構成する道路ノードRnおよび道路リンクRkに関する対応情報ACを検索する(ステップS220)。対応情報ACの検索は、探索された車両経路として記憶されている道路ノードIDや道路リンクIDについて規定された対応情報ACを、記憶部120に記憶されている対応情報テーブルTCの中から特定することによって行われる。
【0048】
制御部110は、対応情報ACを検索した後(ステップS220)、検索された対応情報ACに対応付けられた車線ノードLnおよび車線リンクLkによって車両経路を特定する(ステップS230)。特定された車線ノードLnおよび車線リンクLkについての車線ノードIDおよび車線リンクIDは、特定された車両経路として、制御部110の内蔵メモリや記憶部120に記憶される。制御部110は、車線基準情報ILによって車両経路を特定した後(ステップS230)、図11に示す経路特定処理を終了する。
【0049】
例えば、図3に示す道路地図情報Irmにおいて、道路基準情報IRによる車両経路として、「道路リンクRk1」、「道路ノードRn1」、「道路リンクRk3」から構成される車両経路が、経路探索処理(ステップS10)にて探索された際には、経路特定処理(ステップS20)において、「対応情報AC4」、「対応情報AC1」、「対応情報AC3」が検索された後(ステップS220)、車線基準情報ILによる車両経路として、「車線リンクLk1,2」、「車線ノードLn1〜6、車線リンクLk3,4,7,8」、「車線リンクLk9,10」から構成される車両経路が特定されることとなる(ステップS230)。
【0050】
図12は、走行支援装置10の制御部110が実行する車両誘導処理(ステップS30)の詳細を示すフローチャートである。制御部110は、車両誘導処理(ステップS30)を開始すると、ジャイロセンサ812および車速センサ814によって検出された車両800の進行方向および走行速度に基づき自律位置を算出すると共に、GPS受信部150で受信されたGPS信号に基づき他律位置を算出し、算出された自律位置および他律位置と、記憶部120から読み出した車線基準情報ILとを参照することによって車両位置を特定する(いわゆるマップマッチング)(ステップS310)。制御部110は、車線基準情報ILによって車両位置を特定した後(ステップS310)、車線基準情報ILによって特定された車両経路(ステップS20)および車両位置(ステップS310)に基づいて誘導情報を生成する(ステップS320)。誘導情報としては、車両800を運転するユーザによって認識可能な画像や音声を出力するためのユーザデータや、車両制御装置810が車両800を制御するために用いる制御データなどがある。制御部110は、誘導情報がユーザデータである場合には、ユーザインタフェース部140を介してディスプレイ144やスピーカ146に誘導情報を出力し、誘導情報が制御データである場合には、車両インタフェース部130を介して車両制御装置810に誘導情報を出力する(ステップS330)。その後、制御装置110は、図12に示す車両誘導処理を終了する。
【0051】
図13は、誘導情報に基づいてディスプレイ144に表示される表示画像G1の一例を示す説明図である。誘導情報に基づいてディスプレイ144に表示される表示画像G1は、画像によるユーザデータとしての誘導情報によるものである。表示画像G1は、車線基準情報ILに基づいて描かれた道路地図画像Grm上に、車両位置を示す車両位置画像Gpoと、車両800が走行して来た軌跡を示す走行軌跡画像Gplと、車線基準情報ILによって特定された車両経路へと車両800を誘導するために車両800が走行すべき軌跡を示す誘導軌跡画像Gglと、表示されている道路地図画像Grmの方位を示す方位画像Gcoとを備える。図13に示す例では、車両位置画像Gpoおよび走行軌跡画像Gplによって、車両800が本線道路の第2車線を走行中であることが示され、誘導軌跡画像Gglによって、本線道路の第2車線から第1車線へと車線変更した後、本線道路の第1車線から分岐車線の第2車線へと車線変更するように示されている。この場合には、車両800を運転するユーザが、誘導軌跡画像Gglに従って車両800を操作することによって、車両800は目的地へと誘導されることとなる。なお、表示画像G1の表示に合わせて、スピーカ146から音声を発生させることによってユーザに対して車線変更すべき旨を報知することとしても良い。
【0052】
制御データとしての誘導情報は、例えば、図13に示す状況では、本線道路から分岐車線への車線変更に備えて、車両800の発動機からの走行出力を低減させるための情報や、車両800の動力伝達装置の走行ギヤ比を変動させるための情報、車両800の制動装置を働かせるための情報、車両800の操舵装置における操舵角を指定するための情報などであっても良い。この場合には、車両制御装置810が、制御データとしての誘導情報に基づいて車両800の各部を制御することによって、車両800は目的地へと誘導されることとなる。
【0053】
以上説明した実施例の走行支援装置10によれば、比較的簡素なデータ構造を有する道路基準情報IRを用いて経路探索を行い、比較的複雑なデータ構造を有する車線基準情報ILを用いて経路誘導を行うことができる。その結果、走行支援装置10は、経路探索における処理負荷の軽減を図りつつ、経路誘導における精度を向上させることができる。
【0054】
D.その他の実施形態:
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこうした実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において様々な形態で実施し得ることは勿論である。例えば、車線ノード属性情報ALnや車線リンク属性情報ALkを対応情報ACに直接的に対応付けるのではなく、複数の車線ノード属性情報ALnや車線リンク属性情報ALkを相互に関連付ける情報を介して対応情報ACに対応付けることとしても良い。
【0055】
図14は、他の実施態様における道路地図情報Irmのデータ構造を示す説明図である。図11の道路地図情報Irmは、対応情報ACによる道路基準情報IRと車線基準情報ILとの対応付けの態様が異なる他は、図2の道路地図情報Irmと同様である。他の実施態様における車線基準情報ILは、更に、ノードグループテーブルTGnおよびリンクグループテーブルTGkを含む。ノードグループテーブルTGnには、隣接する各車線の基準点であり近接して位置する複数の車線ノードLnに関する複数の車線ノード属性情報ALnを相互に関連付けるノードグループ属性情報AGnが格納され、リンクグループテーブルTGkには、隣接する各車線の態様を示し近接して位置する複数の車線リンクLkに関する複数の車線リンク属性情報ALkを相互に関連付けるリンクグループ属性情報AGkが格納されている。他の実施態様における対応情報ACは、複数の車線ノード属性情報ALnを、ノードグループ属性情報AGnを介して道路基準情報IRに対応付ける情報であり、複数の車線リンク属性情報ALkを、リンクグループ属性情報AGkを介して道路基準情報IRに対応付ける情報である。なお、本明細書および図面において、ノードグループ属性情報AGnおよびリンクグループ属性情報AGkの各要素を個別に示す場合には、これらの符号の後に番号を付した符号を用いる。
【0056】
図14に示す他の実施態様では、ノードグループ属性情報AGn1は、車線ノード属性情報ALn1,2を相互に関連付ける情報であり、ノードグループ属性情報AGn2は、車線ノード属性情報ALn3,4を相互に関連付ける情報であり、リンクグループ属性情報AGk1は、車線リンク属性情報ALk1,2を相互に関連付ける情報であり、リンクグループ属性情報AGk2は、車線リンク属性情報ALk3,4を相互に関連付ける情報である。図14に示す他の実施態様では、対応情報AC1は、ノードグループ属性情報AGn1,2およびリンクグループ属性情報AGk2を、道路基準情報IRの道路ノード属性情報ARn1に対応付ける情報であり、対応情報AC4は、リンクグループ属性情報AGk1を道路基準情報IRの道路リンク属性情報ARk1に対応付ける情報である。これによって、置換対象の道路基準情報IRに複数の車線ノードLnや車線リンクLkが対応する際に、複数の車線ノード属性情報ALnや車線リンク属性情報ALkの取り扱いを容易に行うことができる。
【0057】
また、本実施例では、道路基準情報IRの道路基準線は、道路の中心線に設定され、車線基準情報ILの車線基準線は、車線の中心線に設定されていることとしたが、それぞれの基準は、中心線に限るものではなく、右境界線や左境界線など任意の基準であっても良い。また、車線基準情報ILは、道路の分岐地点についての情報に限るものではなく、道路の合流地点や交差点,有料道路における料金所やジャンクション,インターチェンジなどの複線道路は勿論のこと、単線道路についての情報であっても良い。また、図9に示した走行支援処理は、本実施例では、ソフトウェアに基づいて実現されることとしたが、ハードウェアに基づいて実現することとしても良い。また、道路地図情報Irmを記憶する記録媒体125は、ハードディスクに限るものではなく、道路地図情報Irmを記憶可能な記録媒体であれば良く、DVD(Digital Versatile Disk)やCD(Compact Disk),半導体メモリなどを用いることができる。また、本発明は、カーナビゲーション装置への適用に限るものではなく、ナビゲーション機能付き移動通信機器や、道路状況をシミュレーションする機能を備えたコンピュータなど、道路地図情報Irmを取り扱う種々の機器に適用することができる。
【0058】
また、道路地図情報Irmを記憶するためのサーバをネットワーク上に設け、走行支援装置10は、更に、無線通信によってネットワークに接続するためのネットワーク通信部を備えることによって、走行支援装置10は、ネットワークを介して道路地図情報Irmを取得しても良い。また、本実施例の経路探索部112,経路特定部114,車両誘導部116,記憶部125の機能を備えたサーバをネットワーク上に設け、走行支援装置10は、更に、無線通信によってネットワークに接続するためのネットワーク通信部を備えることによって、走行支援装置10は、ネットワークを介して必要な情報をサーバに送信し、サーバから誘導情報を受信することとしても良い。また、誘導情報は、ユーザデータおよび制御データの両方を生成するものに限るものではなく、ユーザデータのみを生成しても良いし、制御データのみを生成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】車両800に搭載された走行支援装置10の構成を示す説明図である。
【図2】道路地図情報Irmのデータ構造を示す説明図である。
【図3】対応情報ACによる道路基準情報IRと車線基準情報ILとの間の対応付けの一例を示す説明図である。
【図4】車線ノードテーブルTLnに格納されている車線ノード属性情報ALnの一例を示す説明図である。
【図5】車線リンクテーブルTLkに格納されている車線リンク属性情報ALkの一例を示す説明図である。
【図6】車線リンクテーブルTLkに格納されている車線リンク属性情報ALkの一例を示す説明図である。
【図7】道路ノードテーブルTRnに格納されている道路ノード属性情報ARnの一例を示す説明図である。
【図8】道路リンクテーブルTRkに格納されている道路リンク属性情報ARkの一例を示す説明図である。
【図9】走行支援装置10の制御部110が実行する走行支援処理を示すフローチャートである。
【図10】走行支援装置10の制御部110が実行する経路探索処理(ステップS10)の詳細を示すフローチャートである。
【図11】走行支援装置10の制御部110が実行する経路特定処理(ステップS20)の詳細を示すフローチャートである。
【図12】走行支援装置10の制御部110が実行する車両誘導処理(ステップS30)の詳細を示すフローチャートである。
【図13】誘導情報に基づいてディスプレイ144に表示される表示画像G1の一例を示す説明図である。
【図14】他の実施態様における道路地図情報Irmのデータ構造を示す説明図である。
【符号の説明】
【0060】
10...走行支援装置
110...制御部
112...経路探索部
114...経路特定部
116...車両誘導部
120...記憶部
125...記録媒体
130...車両インタフェース部
140...ユーザインタフェース部
142...リモコン
144...ディスプレイ
146...スピーカ
150...GPS受信部
160...交通情報受信部
700...道路区間
710...本線道路
720...分岐道路
800...車両
810...車両制御装置
812...ジャイロセンサ
814...車速センサ
910...測位衛星
920...ビーコン
G1...表示画像
Grm...道路地図画像
Gpo...車両位置画像
Gpl...走行軌跡画像
Ggl...誘導軌跡画像
Gco...方位画像
Irm...道路地図情報
IR...道路基準情報
TRn...道路ノードテーブル
TRk...道路リンクテーブル
ARn...道路ノード属性情報
ARk...道路リンク属性情報
Rst...道路基準構造モデル
Rn...道路ノード
Rk...道路リンク
IL...車線基準情報
TLn...車線ノードテーブル
TLk...車線リンクテーブル
ALn...車線ノード属性情報
ALk...車線リンク属性情報
Ln...車線ノード
Lk...車線リンク
Lst...車線基準構造モデル
TGn...ノードグループテーブル
TGk...リンクグループテーブル
AGn...ノードグループ属性情報
AGk...リンクグループ属性情報
TC...対応情報テーブル
AC...対応情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路上を走行する車両を支援する走行支援装置であって、
道路に沿った道路基準線に基づいて道路地図を示す道路基準情報を記憶する道路基準記憶部と、
車線に沿った車線基準線に基づいて道路地図を示す車線基準情報を記憶する車線基準記憶部と、
前記道路基準情報と前記車線基準情報との間の位置関係を対応付ける対応情報を記憶する対応記憶部と、
前記車両が走行すべき経路を前記道路基準情報によって探索する経路探索部と、
前記道路基準情報によって探索された経路を、前記対応情報を用いて前記車線基準情報によって特定する経路特定部と、
前記車線基準情報によって特定された経路に基づいて、前記車両を誘導するための誘導情報を生成する車両誘導部と
を備える走行支援装置。
【請求項2】
前記誘導情報は、前記車両を運転するユーザによって認識可能な画像,音声の少なくとも一方を出力するためのデータを含む請求項1記載の走行支援装置。
【請求項3】
前記誘導情報は、前記車両を制御する車両制御装置が前記車両を制御するために用いるデータを含む請求項1または2記載の走行支援装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか記載の走行支援装置であって、更に、
前記車両が走行する方向および速度に基づく前記車両が存在する位置である自律位置を測位する自立測位手段と、
複数の測位衛星から送信される測位信号に基づく前記車両が存在する位置である他律位置を測位する他律測位手段と、
前記自律位置および前記他律位置の少なくとも一方と、前記車線基準情報とを照合することによって、前記車両が存在する位置を特定する車線位置特定部と
を備え、
前記車両誘導部は、前記車線基準情報によって特定された経路に加え、前記車線基準情報によって特定された位置に基づいて、前記車両を誘導するための誘導情報を生成する
走行支援装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか記載の走行支援装置であって、更に、
前記車両が存在する位置を前記道路基準情報によって特定する道路位置特定部と、
前記車両が到達すべき目的地を前記道路基準情報によって特定する目的地特定部と
を備え、
前記道路基準情報によって特定される経路は、前記道路基準情報によって特定された位置から目的地に至る経路である
走行支援装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか記載の走行支援装置であって、
前記車線基準情報は、
前記車線基準線上の基準点を示す複数の車線ノードを規定する情報と、
前記複数の車線ノード間における前記車線の区間態様を示す複数の車線リンクを規定する情報と
を含む走行支援装置。
【請求項7】
請求項6記載の走行支援装置であって、
前記道路基準情報は、前記道路の区間態様を示す複数の道路リンクのための前記道路基準線上の基準点を示す複数の道路ノードを規定する情報を含み、
前記対応情報は、前記道路ノードに対して、該道路ノードの近隣に位置する前記車線ノードおよび前記車線リンクの少なくとも一方を対応付ける情報を含む
走行支援装置。
【請求項8】
請求項6記載の走行支援装置であって、
前記道路基準情報は、前記道路基準線上の基準点を示す複数の道路ノード間における前記道路の区間態様を示す複数の道路リンクを規定する情報を含み、
前記対応情報は、前記道路リンクに対して、該道路リンクの区間に位置する前記車線ノードおよび前記車線リンクの少なくとも一方を対応付ける情報を含む
走行支援装置。
【請求項9】
請求項6記載の走行支援装置であって、
前記道路基準情報は、
前記道路基準線上の基準点を示す複数の道路ノードを規定する情報と、
前記複数の道路ノード間における前記道路の区間態様を示す複数の道路リンクを規定する情報と
を含み、
前記車線基準情報は、隣接する各車線上で近接して位置する複数の前記車線ノードを相互に関連付ける車線ノードグループを規定する情報を含み、
前記対応情報は、前記道路ノードおよび前記道路リンクの少なくとも一方に対して、前記車線ノードグループを対応付ける情報を含む
走行支援装置。
【請求項10】
請求項6記載の走行支援装置であって、
前記道路基準情報は、
前記道路基準線上の基準点を示す複数の道路ノードを規定する情報と、
前記複数の道路ノード間における前記道路の区間態様を示す複数の道路リンクを規定する情報と
を含み、
前記車線基準情報は、隣接する各車線上で近接して位置する複数の前記車線リンクを相互に関連付ける車線リンクグループを規定する情報を含み、
前記対応情報は、前記道路ノードおよび前記道路リンクの少なくとも一方に対して、前記車線リンクグループを対応付ける情報を含む
走行支援装置。
【請求項11】
前記車線リンクが示す車線の区間態様は、前記車線の種類,前記車線の幅員,前記車線を区画する線種,前記車線における交通規制の状況,前記車線のポリゴン形状,前記車線基準線の形状の少なくともいずれか一つを含む請求項7ないし10のいずれか記載の走行支援装置。
【請求項12】
走行する車両を支援する機能をコンピュータに実現させるためのプログラムであって、
道路に沿った道路基準線に基づいて道路地図を示す道路基準情報を記憶する機能と、
車線に沿った車線基準線に基づいて道路地図を示す車線基準情報を記憶する機能と、
前記道路基準情報と前記車線基準情報との間の位置関係を対応付ける対応情報を記憶する機能と、
前記車両が走行すべき経路を前記道路基準情報によって探索する機能と、
前記道路基準情報によって探索された経路を、前記対応情報を用いて前記車線基準情報によって特定する機能と、
前記車線基準情報によって特定された経路に基づいて、前記車両を誘導するための誘導情報を生成する機能と
を実現させるプログラム。
【請求項13】
走行する車両を支援する走行支援方法であって、
道路に沿った道路基準線に基づいて道路地図を示す道路基準情報を用意し、
車線に沿った車線基準線に基づいて道路地図を示す車線基準情報を用意し、
前記道路基準情報と前記車線基準情報との間の位置関係を対応付ける対応情報を用意し、
前記車両が走行すべき経路を前記道路基準情報によって探索し、
前記道路基準情報によって探索された経路を、前記対応情報を用いて前記車線基準情報によって特定し、
前記車線基準情報によって特定された経路に基づいて、前記車両を誘導するための誘導情報を生成する
走行支援方法。
【請求項14】
道路地図を示す道路地図情報のデータ構造であって、
道路に沿った道路基準線に基づいて道路地図を示す道路基準情報と、
車線に沿った車線基準線に基づいて道路地図を示す車線基準情報と、
前記道路基準情報と前記車線基準情報との間の位置関係を対応付ける対応情報と
を備え、
前記車線基準情報は、
前記車線基準線上の基準点を示す複数の車線ノードを規定する情報と、
前記複数の車線ノード間における前記車線の区間態様を示す複数の車線リンクを規定する情報と
を含むデータ構造。
【請求項15】
請求項14記載のデータ構造を有する道路地図情報を記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−266865(P2006−266865A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−85272(P2005−85272)
【出願日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(597151563)株式会社ゼンリン (155)
【Fターム(参考)】