説明

車両用ナビゲーション装置

【課題】 ナビゲーション装置が起動した地点である起動地点と終了した地点である終了地点とが共通する場合であっても、車両の立寄り地点を判定することができる車両用ナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】 ECU1は、アクセサリスイッチがオンとなったときに起動地点データおよびアクセサリスイッチがオフとなったときに終了地点データを走行データ記憶部11で記憶する。また、起動地点と終了地点との間における車両の走行ルートを走行データ記憶部11に記憶する。立寄位置推定部12では、走行データ記憶部11に記憶された走行ルートの往路および復路を特定し、これらの往路および復路によって車両の立寄り位置を推定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ナビゲーション装置に係り、特に、車両の立寄り地点を判定することができる車両用ナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用ナビゲーション装置として、車両の立寄り地点を判定することができるものが知られている(たとえば、特許文献1参照)。この車両用ナビゲーション装置は、車両が停止した際の複数項目、たとえばパーキングブレーキの作動状態、アクセサリスイッチのオン・オフ状態、停止地点での滞在時間、ドアの開閉状態、乗員数の変化の検出結果に基づいて、車両の立寄り地点を判定している。また、この車両用ナビゲーション装置では、アクセサリスイッチがオフとなり、ナビゲーション装置が停止させられたことを条件として立寄り地点の判定と判定するようにしている。
【特許文献1】特開2007−10570号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記特許文献1に開示された車両用ナビゲーション装置では、アクセサリスイッチがオフとなっていることが、立寄り地点と判定するための条件となっている。このため、アクセサリスイッチがオンとなった(起動した)地点とオフとなった(終了した)地点とが共通する場合、言い換えると、ナビゲーション装置がオンとなった地点とオフとなった地点とが共通する場合には、立寄り地点を判定することができないという問題があった。
【0004】
そこで、本発明の課題は、ナビゲーション装置が起動した地点である起動地点と終了した地点である終了地点とが共通する場合であっても、車両の立寄り地点を判定することができる車両用ナビゲーション装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決した本発明に係る車両用ナビゲーション装置は、車両の現在位置を取得する現在位置取得手段と、起動時の現在地点である起動地点を記憶する起動地点記憶手段と、作動終了時の現在地点である終了地点を記憶する終了地点記憶手段と、起動地点と終了地点とが共通する場合に、車両が走行した往路と復路とを特定して、車両の立寄り地点を特定する立寄地点特定手段と、を備えることを特徴とする。
【0006】
本発明に係る車両用ナビゲーション装置においては、ナビゲーション装置の起動地点と終了地点とが共通する場合、車両が走行した往路と復路とを特定して、車両の立寄り地点を判定するようにしている。このため、ナビゲーション装置が起動した地点と終了した地点とが共通する場合であっても、車両の立寄り地点を判定することができる。
【0007】
ここで、立寄地点特定手段は、往路と復路とが同一である場合に、往路と復路が同一である範囲における折り返し地点を車両の立寄り地点と判定する態様とすることができる。
【0008】
車両が走行する場合、立寄り地点に立寄った後は引き返すことが多い。このため、往路と復路とが同一である場合に、往路と復路が同一である範囲における折り返し地点を車両の立寄地点と判定することによって、高い精度で車両の立寄り地点を判定することができる。
【0009】
また、上記課題を解決した本発明に係る車両用ナビゲーション装置は、車両の現在位置を取得する現在位置取得手段と、起動時の現在地点である起動地点を記憶する起動地点記憶手段と、作動終了時の現在地点である終了地点を記憶する終了地点記憶手段と、起動地点から終了地点までの車両の走行ルートを記憶する走行ルート記憶手段と、起動地点と終了地点とが共通する場合に、起動地点に対してもっとも遠い地点を車両の立寄り地点と判定する立寄地点判定手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
車両が走行する場合、ナビゲーション装置の起動地点からもっとも遠い地点が立寄り地点であることが多い。このため、起動地点に対してもっとも遠い地点を車両の立寄り地点と判定することにより、高い精度で車両の立寄り地点を判定することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る車両用ナビゲーション装置によれば、ナビゲーション装置の起動地点と終了地点とが共通する場合であっても、車両の立寄り地点を判定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図示の便宜上、図面の寸法比率は説明のものと必ずしも一致しない。
【0013】
図1は、本実施形態に係るナビゲーション装置のブロック構成図である。図1に示すように、本実施形態に係るナビゲーション装置は、ECU(Electronic controlunit)1を備えている。ECU1は、車両に搭載されたコンピュータであり、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、および入出力インターフェイスなどを備えて構成されている。
【0014】
ECU1は、カレンダー時計を有しており、このカレンダー時計により、車両が停止したときの車両状態の1つとして、停止地点における滞在時間を測定する。また、このカレンダー時計により、車両の停止地点を目的地または立寄地と判別した場合に、目的地または立寄地と関連付けて記憶される時期的情報が与えられる。また、ECU1は、走行データ記憶部11および立寄地点特定手段である立寄位置推定部12を備えている。
【0015】
さらに、ECU1には、位置検出器2、地図データ入力器3、操作スイッチ群4、外部メモリ5、表示装置6、および各種センサ7が接続されている。
【0016】
位置検出器2は、地磁気センサ21、ジャイロスコープ22、走行距離を算出するための車速センサ23、および衛星からの電波に基づいて車両の位置を検出するGPS(Global Positioning System)のためのGPS受信機24を有している。このGPS受信機24には、GPSアンテナ25が取り付けられている。これらのセンサは、各々が性質の異なる誤差を持っているため、複数のセンサにより各々補完しながら使用するように構成されている。
【0017】
地図データ入力器3は、地図を描画するために必要な各種の地図データをECU1に入力する装置である。ここでの地図データには、ノードデータおよびリンクデータからなる道路データ、地形等を示す背景データ、地名等を表示するための文字データなどが含まれる。また、地図データ入力器3は、地図データを記憶する記憶媒体を備えている。地図データを記憶する記憶媒体としては、記憶するデータ量からCD−ROM、DVD−ROM、ハードディスク等が一般的に用いられる。
【0018】
操作スイッチ群4は、表示装置6と一体になったタッチスイッチやメカニカルなスイッチとして構成されている。この操作スイッチ群4における各スイッチは、各種入力に使用される。外部メモリ5は、たとえばメモリカードやハードディスク等の読み書き可能な記憶媒体を有し、テキストデータや画像データ等の各データの保存のために利用される。
【0019】
表示装置6は、たとえば液晶ディスプレイによって構成されている。この表示装置6の画面には、ECU1の処理により、たとえば、位置検出器2から入力された車両の現在位置に対応する自車位置マークと、地図データ入力器3より入力された地図データによって生成される車両周辺の道路地図が表示される。
【0020】
車両状態検出センサとしての各種センサ7には、車両が停止したときの各種の車両状態を検出するセンサが含まれる。具体的には、パーキングブレーキの作動状態を検出するパーキングブレーキセンサ、アクセサリスイッチ(イグニッションスイッチ)のオン・オフ状態を検出するアクセサリスイッチセンサ、車両の各ドアの開閉を検出するドア開閉センサ、車両の各シートにおける乗員の着座の有無を検出する着座センサが含まれる。
【0021】
ECU1における走行データ記憶部11には、起動時データ、終了時データ、および走行ルートが記憶されている。起動時位置データとしては、アクセサリスイッチがオンとなった時点での起動日時情報、および緯度・経度からなる起動地点情報を含む起動地点データが記憶される。また終了時データとしては、アクセサリスイッチがオフとなった時点での終了日時情報、および緯度・経度からなる終了地点情報を含む終了地点データが記憶される。さらに、走行ルートとしては、リンクレコード(リンクID)、道路種別、リンク長が記憶されている。
【0022】
立寄位置推定部12は、走行データ記憶部11に記憶された起動地点データ、終了地点データおよび走行ルートから、車両の立寄地点を推定する。
【0023】
次に、本実施形態に係る車両用ナビゲーション装置の処理について説明する。本実施形態に係るナビゲーション装置では、車両のアクセサリスイッチをオンとすることによって起動し、アクセサリスイッチをオフとすることで終了する。また、ドライバが操作スイッチを操作することによって入力される目的地への案内を行ったり、車両が走行する道路の環境についての情報提供を行ったりする。また、ECU1では、立寄位置推定部12において、車両の立寄り位置(立寄り地点)を推定して判定する。以下、立寄り位置の推定処理の手順について説明する。
【0024】
図2は、立寄り位置の推定処理の手順を示すフローチャートである。図2に示すように、立寄り位置の推定は、アクセサリスイッチをオンすることによってECU1において開始される。立寄り位置の推定を行う際には、まず、起動地点データを取得して(S1)、走行データ記憶部11に記憶する。ここでは、起動地点データとして、アクセサリスイッチをオンとした日時およびアクセサリスイッチをオンとしたときの車両の位置の緯度と経度とを記憶する。
【0025】
次に、アクセサリスイッチがオフとなったか否かを判断する(S2)。その結果、アクセサリスイッチがオフとなっていないと判断した場合には、走行ルートを取得して(S3)、ステップS2に戻る。こうして、アクセサリスイッチがオンとなった後、アクセサリスイッチがオフとなるまで、車両の走行ルートが逐一記憶される。
【0026】
一方、アクセサリスイッチがオフとなっていると判断した場合には、終了地点データを取得して(S4)、走行データ記憶部11に記憶する。ここでは、終了地点データとして、アクセサリスイッチをオフとした日時およびアクセサリスイッチをオフとしたときの車両の位置の緯度と経度とを記憶する。
【0027】
続いて、立寄位置推定部12において、走行データ記憶部11に記憶された起動地点データと終了地点データとを比較し、アクセサリスイッチがオンとなった地点とオフとなった地点とが異なるか否かを判断する(S5)。ここで、アクセサリスイッチがオンとなった地点とオフとなった地点とが異なると判断する場合には、両地点が一致していない場合のほか、両地点の距離が所定のしきい値よりも大きくなっている場合も含めることができる。
【0028】
その結果、アクセサリスイッチがオンとなった地点とオフとなった地点とが異なっていると判断した場合には、アクセサリスイッチがオフとなった地点を目的に設定して(S6)、立寄り位置の推定処理を終了する。一方、アクセサリスイッチがオンとなった地点とオフとなった地点と異なっておらず、両地点が共通しないと判断した場合には、ドアの開閉があったか否かを判断する(S7)。この判断は、ドアの開閉スイッチからの開閉信号が送信されたか否かによって行われる。
【0029】
その結果、開閉スイッチから開閉信号が送信され、ドアの開閉があったと判断した場合には、ドアの開閉があった地点を立寄り位置として設定する(S8)。一方、開閉スイッチからの開閉信号が送信されず、ドアの開閉がなかったと判断した場合には、ステップS3で取得した走行ルートを参照して、往路と復路とのルートが同一であるか否かを判断する(S9)。
【0030】
ここで、たとえば車両にドアの開閉スイッチが設けられておらず、あるいはドアの開閉スイッチが故障等しているために、開閉信号が送信されてない場合にも、同様にステップS9に進む。また、往路と復路とのルートが同一であるか否かの判断では、重複するルートについて、相反する方向に向けて走行している場合には、この重複するルートについて、往路と復路とのルートが同一であると判断する。
【0031】
ステップS9における判断の結果、往路と復路とのルートが同一でないと判断した場合には、出発地点からもっとも遠い位置を立寄り位置として設定し(S10)、立寄り位置の推定処理を終了する。一方、往路と復路とのルートが同一でないと判断した場合には、往路と復路との折り返し地点を立寄り位置として設定し(S11)、立寄り位置の推定処理を終了する。
【0032】
このように、本実施形態に係るナビゲーション装置では、車両が走行した往路と復路とを特定して、車両の立寄り位置を推定するようにしている。このため、ナビゲーション装置が起動した地点と終了した地点とが共通する場合であっても、車両の立寄位置を判定することができる。また、アクセサリスイッチがオンとなった地点に対してもっとも遠い位置を車両の立寄り位置と推定している。車両が走行する場合、アクセサリスイッチがオンとなった位置からもっとも遠い位置が立寄り位置であることが多いことから、高い精度で車両の立寄り位置を判定することができる。
【0033】
さらに、往路と復路とが同一である場合に、往路と復路が同一である範囲における折り返し地点を車両の立寄り位置と推定している。車両が走行する場合、立寄り位置に立寄った後は引き返すことが多いことから、高い精度で車両の立寄り位置を判定することができる。
【0034】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。たとえば、上記実施形態では、車両のアクセサリスイッチがオンとなったときにナビゲーション装置が起動する態様としているが、別途起動スイッチを設けて、ナビゲーション装置が作動する態様とすることができる。
【0035】
また、上記実施形態では、立寄位置を1箇所のみ設定するようにしているが、複数箇所の立寄位置を設定する態様とすることもできる。たとえば、往路と復路とのルートは同一でない場合に、出発地点からもっとも遠い位置を立寄位置に設定するようにしているが、往路と復路とのルートは同一である場合に、折り返し地点とともに出発地点からもっとも遠い位置を立寄位置に設定する態様とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本実施形態に係るナビゲーション装置のブロック構成図である。
【図2】立寄り位置の推定処理の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0037】
1…ECU、2…位置検出器、3…地図データ入力器、4…操作スイッチ群、5…外部メモリ、6…表示装置、7…車両状態検出センサ、11…走行データ記憶部、12…立寄位置推定部、21…地磁気センサ、22…ジャイロスコープ、23…車速センサ、24…受信機、25…アンテナ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の現在位置を取得する現在位置取得手段と、
起動時の現在地点である起動地点を記憶する起動地点記憶手段と、
作動終了時の現在地点である終了地点を記憶する終了地点記憶手段と、
前記起動地点と前記終了地点とが共通する場合に、前記車両が走行した往路と復路とを特定して、前記車両の立寄り地点を判定する立寄地点判定手段と、
を備えることを特徴とする車両用ナビゲーション装置。
【請求項2】
前記立寄地点判定手段は、
前記往路と前記復路とが同一である場合に、前記往路と前記復路が同一である範囲における折り返し地点を前記車両の立寄り地点と判定する請求項1に記載の車両用ナビゲーション装置。
【請求項3】
車両の現在位置を取得する現在位置取得手段と、
起動時の現在地点である起動地点を記憶する起動地点記憶手段と、
作動終了時の現在地点である終了地点を記憶する終了地点記憶手段と、
前記起動地点から前記終了地点までの前記車両の走行ルートを記憶する走行ルート記憶手段と、
前記起動地点と前記終了地点とが共通する場合に、前記起動地点に対してもっとも遠い地点を前記車両の立寄り地点と判定する立寄地点判定手段と、
を備えることを特徴とする車両用ナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−96583(P2010−96583A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−266434(P2008−266434)
【出願日】平成20年10月15日(2008.10.15)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(502324066)株式会社デンソーアイティーラボラトリ (332)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】