説明

車両用制御装置および車両用制御方法

【課題】駆動輪の状態がスリップ状態とグリップ状態との間で変化する場合に駆動用回転電機において急激に発生する余剰電力を効率よく消費する。
【解決手段】HV−ECUは、余剰電力が発生し(S100にてYES)、発生した余剰電力がしきい値を超えていた場合であって(S102にてYES)、かつ、触媒温度が予め定められた値Ta以下である場合(S104にてYES)、EHCのオン時間を設定するステップ(S106)と、EHCをオンするステップ(S108)と、オン時間が経過した場合に(S110にてYES)、EHCをオフするステップ(S112)と、余剰電力がしきい値以下である場合(S102にてNO)、あるいは、触媒温度が予め定められた値Taよりも大きい場合(S104にてNO)、発生した余剰電力をバッテリで吸収する処理を実行するステップ(S114)とを含む、プログラムを実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関と駆動用回転電機とを搭載した車両の制御に関し、特に、車両の駆動輪の状態がスリップ状態とグリップ状態との間で変化する場合に駆動用回転電機において発電される電力を内燃機関の触媒を加熱するための加熱装置によって消費する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題対策の1つとして、駆動用モータを搭載したハイブリッド車、燃料電池車、電気自動車などが注目されている。このような車両においては、電動機を用いて回生制動をする場合に発生する余剰電力を蓄電装置あるいは補機の作動によって吸収する技術が公知である。
【0003】
たとえば、特開2005−002989号公報(特許文献1)は、蓄電装置の充電制限を考慮しながらアクセルオフによる制動力の要求に対処する動力出力装置を開示する。この動力出力装置は、駆動軸に動力を出力する動力出力装置であって、内燃機関と、電力と動力の入出力により内燃機関からの動力の少なくとも一部を駆動軸に出力する電力動力入出力手段と、駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、電力動力入出力手段および電動機と電力のやり取りが可能な蓄電手段と、蓄電手段と電力動力入出力手段と電動機のうちの少なくとも一つで生じる電力の消費を伴って作動する補機と、要求駆動力が駆動軸に出力されるよう内燃機関と電力動力入出力手段と電動機とを制御する制御手段と、駆動軸にアクセル閉動作による制動力が要求されたときの制御手段による制御により蓄電手段の充電制限を超える電力が蓄電手段に充電されると予測されるときには、作動指示の有無に拘わらず補機を強制的に作動する補機制御手段とを備える。
【0004】
上述した公報に開示された動力出力装置によると、蓄電手段の充電制限を配慮しつつアクセル閉動作により要求される制動力を駆動軸に出力することができる。この結果、蓄電手段の充電制限に配慮しつつアクセル閉動作により要求された制動力に対するドライバビリティの悪化を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−002989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、駆動輪がスリップ状態とグリップ状態との間で変換するような場合には駆動用回転電機において余剰電力が急激に発生するため、発生した余剰電力を応答性よくかつ十分に消費できないという問題がある。余剰電力を十分に消費できない場合、余剰電力によってバッテリの性能が十分に発揮できない可能性がある。
【0007】
上述した公報に開示された動力出力装置においては、回生制動時の余剰電力を消費するためにエアコンコンプレッサーを作動させるものである。エアコンコンプレッサーは、内蔵するモータに通電を開始してからモータの回転数が増加することによって電力を消費することができる。そのため、モータ回転数が低い状態においては消費できる電力が限定されるため、急激に発生する余剰電力を応答性よくかつ十分に消費することはできない。
【0008】
また、余剰電力を消費することを主目的とした放電抵抗を設けることも考えられるが、部品点数が増加し、コストの上昇の要因となる場合がある。
【0009】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであって、その目的は、駆動輪の状態がスリップ状態とグリップ状態との間で変化する場合に駆動用回転電機において急激に発生する余剰電力を効率よく消費する車両用制御装置および車両用制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明のある局面に係る車両用制御装置は、内燃機関と、駆動輪に駆動力を発生させるための駆動用回転電機と、駆動用回転電機に電力を供給するための蓄電装置とを含む車両に搭載された車両用制御装置である。内燃機関は、排気通路と、排気通路の途中に設けられる触媒と、蓄電装置の電力を用いて触媒を加熱するための加熱装置とを含む。この車両用制御装置は、駆動輪の回転数を検出するための回転数検出部と、駆動輪の回転数に基づいて、駆動輪の状態がスリップ状態とグリップ状態との間で変化しているという実行条件が成立するか否かを判定するための判定部と、実行条件が成立した場合に、駆動用回転電機において発電される電力が加熱装置によって消費されるための制御を行なう制御部とを含む。
【0011】
好ましくは、車両は、電力供給源から加熱装置に電力が供給される電力供給状態と電力供給源から加熱装置に供給される電力が遮断される電力遮断状態とのうちのいずれか一方の状態から他方の状態に切り替えるための切替部をさらに含む。車両用制御装置は、駆動用回転電機において発電される発電電力を推定するための推定部をさらに含む。制御部は、実行条件が成立した場合に加えて、推定部によって推定された発電電力がしきい値を超えた場合に、駆動用回転電機において発電される電力が加熱装置によって消費されるように切替部の状態を電力遮断状態から電力供給状態に切り替える。
【0012】
好ましくは、制御部は、実行条件が成立した場合であって、かつ、推定部によって推定された発電電力がしきい値よりも小さい場合に、駆動用回転電機において発電される電力を用いて蓄電装置を充電する。
【0013】
さらに好ましくは、車両は、電力供給源から加熱装置に電力が供給される電力供給状態と電力供給源から加熱装置に供給される電力が遮断される電力遮断状態とのうちのいずれか一方の状態から他方の状態に切り替えるための切替部をさらに含む。車両用制御装置は、触媒の温度を検出するための温度検出部をさらに含む。制御部は、実行条件が成立した場合に加えて、温度検出部によって検出された触媒の温度が予め定められた温度よりも低い場合に、駆動用回転電機において発電される電力が加熱装置によって消費されるように切替部の状態を電力遮断状態から電力供給状態に切り替える。
【0014】
さらに好ましくは、制御部は、実行条件が成立した場合であって、かつ、温度検出部によって検出された触媒の温度が予め定められた温度よりも高い場合に、駆動用回転電機において発電される電力を用いて蓄電装置を充電する。
【0015】
この発明の他の局面に係る車両用制御方法は、内燃機関と、駆動輪に駆動力を発生させるための駆動用回転電機と、駆動用回転電機に電力を供給するための蓄電装置とを含む車両の車両用制御方法である。内燃機関は、排気通路と、排気通路の途中に設けられる触媒と、蓄電装置の電力を用いて触媒を加熱するための加熱装置とを含む。この車両用制御方法は、駆動輪の回転数を検出するステップと、駆動輪の回転数に基づいて、駆動輪の状態がスリップ状態とグリップ状態との間で変化しているという実行条件が成立するか否かを判定するステップと、実行条件が成立した場合に、駆動用回転電機において発電される電力が加熱装置によって消費されるための制御を行なうステップとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施の形態におけるハイリッド車両の全体構成を示す図である。
【図2】駆動輪の状態がスリップ状態とグリップ状態との間で変化する場合の発電電力の変化を示すタイミングチャートである。
【図3】本実施の形態に係る車両用制御装置であるHV−ECU320の機能ブロック図である。
【図4】本実施の形態に係る車両用制御装置であるHV−ECU320で実行されるプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図5】本実施の形態に係る車両用制御装置であるHV−ECU320の動作を示すタイミングチャート(その1)である。
【図6】本実施の形態に係る車両用制御装置であるHV−ECU320の動作を示すタイミングチャート(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
【0018】
図1を参照して、本発明の実施の形態に係る車両用制御装置が搭載された車両40の構成について説明する。
【0019】
車両40は、エンジン120と、第1モータジェネレータ140(以下、第1MG140と記載する)と、第2モータジェネレータ142(以下、第2MG142と記載する)と、駆動輪160と、リダクションギヤ180と、動力分割機構200と、走行用バッテリ220と、インバータ240と、コンバータ242と、バッテリ監視ユニット260と、エンジンECU(Electronic Control Unit)280と、MG−ECU300と、HV−ECU320と、アクセルペダル400と、アクセルペダルポジションセンサ402とを含む。本実施の形態に係る車両用制御装置は、HV−ECU320によって実現される。
【0020】
エンジン120は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関である。エンジン120は、吸気通路122と、排気通路124と、燃料噴射装置130と、冷却水温センサ360と、エンジン回転数センサ380とを含む。
【0021】
吸気通路122には、吸入空気のほこりを捕捉するためのエアクリーナ122Aと、エアクリーナ122Aを通ってエンジン120に吸入される空気量を検知するためのエアフローメータ122Bと、エンジン120に吸入される空気量を調整するためのバルブである電子スロットルバルブ122Cとが設けられている。電子スロットルバルブ122Cには、スロットルポジションセンサ122Dが設けられている。
【0022】
排気通路124には、三元触媒コンバータ124Bと、三元触媒コンバータ124Bに導入される排気における空燃比(A/F)を検出するための空燃比センサ124Aと、三元触媒コンバータ124Bの温度を検出するための触媒温度センサ124Cと、消音器124Dと、三元触媒コンバータ124Bを加熱するための加熱装置であるEHC(Electrical Heating Catalyzer)124Eが設けられている。
【0023】
EHC124Eは、エンジンECU280からの制御信号S1に応じてリレー244がオンされた場合に三元触媒コンバータ124Bを加熱する電気式のヒータである。EHC124Eは、コンバータ242から電力の供給を受けて作動する。
【0024】
リレー244は、コンバータ242とEHC124Eとの間に設けられ、エンジンECU280からの制御信号S1に応じて、コンバータ242からEHC124Eに電力が供給される電力供給状態とコンバータ242からEHC124Eに供給される電力が遮断される電力遮断状態とのうちのいずれか一方の状態から他方の状態に切り替える。
【0025】
EHC124Eは、リレー244がオンされることによってコンバータ242からの電力によって作動し、三元触媒コンバータ124Bを加熱する。
【0026】
なお、EHC124Eの電力供給源は、コンバータ242に限定されるものではない。たとえば、EHC124Eは、走行用バッテリ220から電力が供給されるように図1の破線に示すように、走行用バッテリ220とEHC124Eとをリレー244を経由して接続するようにしてもよい。
【0027】
第1MG140は、エンジン120を用いて発電するジェネレータとしての機能と、エンジン120を始動させるモータとしての機能とを有する。
【0028】
第2MG142は、車両40を駆動させるモータとしての機能と、回生制動により発電するジェネレータとしての機能を有する。
【0029】
エンジン120と、第1MG140と、第2MG142とは、動力分割機構200を経由して相互に接続される。動力分割機構200は、たとえば、プラネタリギヤであって、エンジン120の発生する動力を駆動輪160への経路と第1MG140への経路との2経路に分配する。動力分割機構200は、第1MG140の回転数を制御することによって無段変速機として機能する。
【0030】
リダクションギヤ180は、動力分割機構200と第2MG140との間に設けられる。リダクションギヤ180は、動力分割機構200を経由して伝達されるエンジン120の動力あるいは第2MG142で発生した動力を駆動輪160に伝達する。リダクションギヤ180は、駆動輪160を経由して伝達される路面からの反力を動力分割機構200を経由してエンジン120に伝達したり、第2MG142に伝達したりする。
【0031】
インバータ240は、MG−ECU300から受信する制御信号に応じて、直流電力と交流電力とを相互に変換する。たとえば、インバータ240は、コンバータ242を経由して供給される走行用バッテリ220の直流電力を交流電力に変換して第1MG140または第2MG142に供給したり、第1MG140または第2MG142において発生した交流電力を直流電力に変換してコンバータ242を経由して走行用バッテリ220を充電したりする。MG−ECU300は、車両40の状態に応じて第1MG140、第2MG142およびインバータ240を制御する。
【0032】
バッテリ監視ユニット260は、走行用バッテリ220の充放電状態を監視する。具体的には、バッテリ監視ユニット260は、図示しないセンサを用いて走行用バッテリ220の電圧、電流および温度を監視し、これらの情報をMG−ECU300あるいはHV−ECU320に送信する。
【0033】
コンバータ242は、走行用バッテリ220とインバータ240との間に設けられる。コンバータ242は、走行用バッテリ220からの電圧をHV−ECU320によって車両の状態に応じて決定された目標電圧に昇圧して、インバータ240に供給する。コンバータ242は、平滑コンデンサを含み、昇圧動作を行なう際に、平滑コンデンサに電荷が蓄えられる。
【0034】
走行用バッテリ220は、第1MG140または第2MG142を駆動するための電力を蓄える蓄電装置であって、たとえば、二次電池やキャパシタ等である。
【0035】
エンジンECU280には、エアフローメータ122Bと、スロットルポジションセンサ122Dと、空燃比センサ124Aと、触媒温度センサ124Cと、冷却水温センサ360と、エンジン回転数センサ380とが接続され、各センサから入力された情報に基づいてエンジン120の動作状態を制御する。
【0036】
エアフローメータ122Bは、吸気通路122への吸入空気量を検出する。エアフローメータ122Bは、検出された吸入空気量を示す信号をエンジンECU280に送信する。
【0037】
スロットルポジションセンサ122Dは、電子スロットルバルブ122Cの開度(以下、スロットル開度と記載する)を検出する。スロットルポジションセンサ122Dは、検出されたスロットル開度を示す信号をエンジンECU280に送信する。
【0038】
エンジン回転数センサ380は、エンジン120の回転数を検出する。エンジン回転数センサ380は、検出されたエンジン120の回転数を示す信号をエンジンECU280に送信する。
【0039】
エンジンECU280は、たとえば、エンジン120の始動後において触媒温度センサ124Cから受信した触媒温度が予め定められた温度よりも低い場合、すなわち、三元触媒コンバータ124Bの冷間時にリレー244に対して制御信号S1を送信して、リレー244をオンすることによってEHC124Eを用いて三元触媒コンバータ124Bを加熱する。エンジンECU280は、加熱後に触媒温度が予め定められた温度以上となった場合、すなわち、三元触媒コンバータ124Bの暖機完了時にリレー244をオフすることによって加熱を停止させる。
【0040】
HV−ECU320には、車輪速センサ330と、アクセルペダルポジションセンサ402と、バッテリ監視ユニット260とが接続され、各センサから入力された情報およびバッテリ監視ユニット260から取得された走行用バッテリ220の充放電状態に関する情報に基づいて、エンジンECU280と、MG−ECU300とを相互に管理制御して、車両40が最も効率良く運行できるようにハイブリッドシステム全体を制御する。
【0041】
車輪速センサ330は、駆動輪160の回転速度を検出する。車輪速センサ330は、検出された駆動輪160の回転速度を示す信号をHV−ECU320に送信する。
【0042】
アクセルペダルポジションセンサ402は、アクセルペダル400の踏み込み量を検出する。アクセルペダルポジションセンサ402は、検出されたアクセルペダル400の踏み込み量を示す信号をHV−ECU320に送信する。
【0043】
なお、図1においては、各ECUを別構成しているが、2個以上のECUを統合したECUとして構成してもよい(たとえば、図1に、点線で示すように、MG_ECU300とHV_ECU320とを統合したECUとすることがその一例である)。
【0044】
HV_ECU320は、アクセルペダル400の踏込み量に対応する要求駆動力に応じて、第1MG140および第2MG142の出力や発電量を制御したり、エンジンECU280にエンジン120の出力を制御させたりする。
【0045】
図1に示すようなハイブリッドシステムを搭載する車両40において、HV−ECU320は、発進時や低速走行時等であってエンジン120の効率が悪い場合には、エンジン120を停止させた状態で第2MG142の動力を用いて走行を行なうように第2MG142を制御する。
【0046】
HV−ECU320は、通常走行時には、第1MG140の制御によって、たとえば動力分割機構200によりエンジン120の動力を駆動輪160に直接伝達する経路と発電用の第1MG140に伝達する経路との2経路に分ける。
【0047】
この時、HV−ECU320は、第1MG140において発生する電力を用いて第2MG142を駆動して駆動輪160の駆動補助を行なう。
【0048】
また、HV−ECU320は、高速走行時には、さらに走行用バッテリ220からの電力を第2MG142に供給して第2MG142の出力を増大させて駆動輪160に対して駆動力の追加を行なう。
【0049】
一方、HV−ECU320は、減速時には、駆動輪160により従動する第2MG142をジェネレータとして機能させて回生発電を行ない、回収した電力を走行用バッテリ220に蓄える。
【0050】
なお、HV−ECU320は、走行用バッテリ220の充電量が低下し、充電が特に必要な場合には、エンジン120の出力を増加させて第1MG140を用いた発電量を増やして走行用バッテリ220に対する充電量を増加させる。
【0051】
また、HV−ECU320は、低速走行時でも必要に応じてエンジン120の駆動力を増加させる制御を行なう場合もある。たとえば、上述のように走行用バッテリ220の充電が必要な場合や、エアコン等の補機を駆動する場合や、エンジン120の冷却水の温度を所定温度まで上げる場合等である。
【0052】
さらに、HV−ECU320は、車両の運転状態や走行用バッテリ220の状態によっては、燃費を向上させるために、エンジン120を停止させる。その後、HV−ECU320は、車両の運転状態や走行用バッテリ220の状態に応じてエンジン120を再始動させる。
【0053】
このような車両40が低摩擦係数の路面(たとえば、凍結路面)と通常の摩擦係数の路面(たとえば、アスファルト路面)との間を移動する場合に、駆動輪160の状態がスリップ状態とグリップ状態との間で変化する場合がある。
【0054】
たとえば、図2に車両40が低摩擦係数の路面を走行している場合を想定したときの駆動輪160の車輪速Vsと、第2MG142の回転数Nmおよび第2MG142における発電量Pmの各々の変化を示す。車両40が低摩擦係数の路面を走行している場合、駆動輪160は、スリップ状態となる。
【0055】
図2に示すように、時間T(0)にて、車両40の走行路面が低摩擦係数の路面から通常の摩擦係数の路面に変化した場合に、駆動輪160の状態は、通常の摩擦係数の路面においてスリップ状態からグリップ状態に移行するように変化する。そのため、グリップ状態に移行するように変化したことによる路面からの反力が駆動輪160に対して逆回転方向に作用するため車輪速は低下していく。このとき、第2MG142においては、出力トルクと回転数の変化量との積に対応する電力が発電されることとなる。第2MG142において発電された電力は、インバータ240およびコンバータ242を経由して走行用バッテリ220に供給され、走行用バッテリ220が充電されることとなる。すなわち、走行用バッテリ220が第2MG142における発電電力を吸収する。
【0056】
時間T(1)にて、車両40の走行路面が通常の摩擦係数の路面から低摩擦係数の路面に再び変化した場合に、駆動輪160の状態は、低摩擦係数の路面においてグリップ状態からスリップ状態に移行するように変化する。そのため、車輪速Vsは、急激に上昇することとなる。そのため、第2MG142においては、路面の反力が出力トルクと同じ方向に作用して回転数Nmが上昇させられることとなる。その結果、第2MG142によって放電される。
【0057】
時間T(2)にて、駆動輪160の状態がスリップ状態とグリップ状態との間で変化しない定常状態になる場合には、第2MG142によって発電も放電も行なわれない。
【0058】
このように駆動輪160の状態がスリップ状態からグリップ状態に移行するように変化する場合に第2MG142において余剰電力が急激に発生するため、発生した余剰電力を応答性よくかつ十分に消費できない場合がある。
【0059】
そこで、本実施の形態においては、HV−ECU320は、駆動輪160の状態がスリップ状態とグリップ状態との間で変化しているという実行条件が成立した場合に、第2MG142において発電される電力がEHC124によって消費されるための制御を行なう点に特徴を有する。
【0060】
また、本実施の形態においては、HV−ECU320は、駆動輪160の状態がスリップ状態からグリップ状態に移行するように変化する際に第2MG142において発電される発電電力を推定して、上述した実行条件が成立した場合に加えて、推定された発電電力がしきい値を超えた場合に、第2MG142において発電される電力を消費するようにEHC124Eを制御する。
【0061】
さらに、本実施の形態においては、HV−ECU320は、上述した実行条件が成立した場合に加えて、三元触媒コンバータ124Bの温度が予め定められた値Taよりも低い場合に、第2MG142において発電される電力を消費するようにEHC124Eを制御する。
【0062】
図3に、本実施の形態に係る車両用制御装置であるHV−ECU320の機能ブロック図を示す。HV−ECU320は、電力発生判定部500と、余剰電力判定部502と、触媒温度判定部504と、オン時間設定部506と、電力吸収処理部508と、EHC制御部510とを含む。
【0063】
電力発生判定部500は、駆動輪160の状態がスリップ状態とグリップ状態との間で変化しているという実行条件が成立するか否かを判定する。本実施の形態において、電力発生判定部500は、車両40の状態が余剰電力が発生している状態であるか否かを判定することによって、駆動輪160の状態がスリップ状態からグリップ状態に移行するように変化しているか否かを判定する。
【0064】
具体的には、電力発生判定部500は、第2MG142に対するトルク指令値Tmと車輪速の時間変化量ΔNとの積、すなわち、発電量Pmがゼロよりも小さい場合には、余剰電力が発生している状態であると判定する。なお、本実施の形態において、発電量Pmが負値である場合が発電している状態であって、発電量Pmが正値の場合は放電している状態に対応するとして説明する。電力発生判定部500は、たとえば、車両40の状態が余剰電力が発生している状態であると判定した場合、電力発生判定フラグをオンするようにしてもよい。
【0065】
余剰電力判定部502は、電力発生判定部500において車両40の状態が余剰電力が発生している状態であると判定された場合に、余剰電力がしきい値を超えているか否かを判定する。
【0066】
なお、しきい値は、走行用バッテリ220の種類あるいは規模等の仕様に基づいて予め定められた値であってもよいし、あるいは、仕様に加えて、SOCあるいは温度等の状態に基づいて設定するものとしてもよい。あるいは、たとえば、余剰電力を吸収する際に、インバータ240やコンバータ242を経由する場合には、走行用バッテリ220の仕様あるいは状態に加えて、インバータ240やコンバータ242の仕様あるいは状態(たとえば、温度あるいはスイッチング素子の動作状態等)を考慮して設定するようにしてもよい。
【0067】
しきい値は、たとえば、駆動輪160の状態がスリップ状態とグリップ状態との間で変化する場合の短期間に発生する発電電力を走行用バッテリ220の劣化を促進させることなく受け入れることができる値であって、実験的あるいは設計的に適合される。
【0068】
また、余剰電力判定部502は、たとえば、電力発生判定フラグがオンである場合に、余剰電力がしきい値を超えているか否かを判定して、余剰電力がしきい値を超えている場合に、余剰電力判定フラグをオンするようにしてもよい。
【0069】
触媒温度判定部504は、余剰電力判定部502において余剰電力がしきい値を超えていると判定された場合、三元触媒コンバータ124Bの温度が予め定められた値Ta以下であるか否かを判定する。なお、予め定められた値Taは、EHC124Eを用いた昇温が不要と判定できる温度であって、設計的に設定される温度であって、たとえば、950℃である。また、触媒温度判定部504は、たとえば、余剰電力判定フラグがオンである場合に、三元触媒コンバータ124Bの温度が予め定められた値Ta以下であるか否かを判定し、三元触媒コンバータ124Bの温度が予め定められた値Ta以下であると判定された場合に、温度判定フラグをオンするようにしてもよい。
【0070】
オン時間設定部506は、触媒温度判定部504において、三元触媒コンバータ124Bの温度が予め定められた値Ta以下であると判定された場合に、余剰電力に応じてEHC124Eをオンする時間を設定する。オン時間設定部506は、たとえば、余剰電力が第1の値である場合の第1オン時間が余剰電力が第1の値よりも大きい第2の値である場合の第2オン時間よりも短くなるようにオン時間を設定する。なお、オン時間は、予め定められた時間であってもよいし、あるいは、余剰電力が発生しており、かつ、余剰電力がしきい値よりも大きい状態からしきい値よりも小さい状態になるまでであってもよい。
【0071】
電力吸収処理部508は、余剰電力判定部502において余剰電力がしきい値以下である場合に、あるいは、触媒温度判定部504において、三元触媒コンバータ124Bの温度が予め定められた値Taよりも大きいと判定された場合に、余剰電力吸収処理を実行する。具体的には、電力吸収処理部508は、第2MG142において発生した余剰電力をインバータ240、コンバータ242を経由して走行用バッテリ220に供給して、走行用バッテリ220を充電する処理を実行する。
【0072】
なお、電力吸収処理部508は、たとえば、余剰電力判定フラグがオフである場合あるいは温度判定フラグがオフである場合に、余剰電力吸収処理を実行するようにしてもよい。
【0073】
EHC制御部510は、オン時間設定部506においてオン時間が設定された場合に、設定されたオン時間が経過するまでEHC124Eをオンするようにリレー244を制御する。具体的には、EHC制御部510は、エンジンECU280に対してEHC制御信号を送信して、エンジンECU280にリレー244がオンされるように制御させる。
【0074】
本実施の形態において、電力発生判定部500と、余剰電力判定部502と、触媒温度判定部504と、オン時間設定部506と、電力吸収処理部508と、EHC制御部510とは、いずれもHV−ECU320のCPUがメモリに記憶されたプログラムを実行することにより実現される、ソフトウェアとして機能するものとして説明するが、ハードウェアにより実現されるようにしてもよい。なお、このようなプログラムは記憶媒体に記録されて車両に搭載される。
【0075】
図4を参照して、本実施の形態に係る車両用制御装置であるHV−ECU320で実行されるプログラムの制御構造について説明する。
【0076】
ステップ(以下、ステップをSと記載する)100にて、HV−ECU320は、余剰電力が発生しているか否かを判定する。余剰電力が発生している場合(S100にてYES)、処理はS102に移される。もしそうでない場合(S100にてNO)、処理はS100に戻される。
【0077】
S102にて、HV−ECU320は、余剰電力がしきい値を超えているか否かを判定する。余剰電力がしきい値を超えている場合(S102にてYES)、処理はS104に移される。もしそうでない場合(S102にてNO)、処理はS114に移される。
【0078】
S104にて、HV−ECU320は、三元触媒コンバータ124Bの温度が予め定められた値Ta以下であるか否かを判定する。三元触媒コンバータ124Bの温度が予め定められた値Ta以下である場合(S104にてYES)、処理はS106に移される。もしそうでない場合(S104にてNO)、処理はS114に移される。
【0079】
S106にて、HV−ECU320は、EHC124Eのオン時間を設定する。オン時間の設定方法については上述したとおりであるため、その詳細な説明は繰返さない。
【0080】
S108にて、HV−ECU320は、EHC124EがオンするようにエンジンECU280にリレー244を制御させる。S110にて、HV−ECU320は、オン時間が経過したか否かを判定する。オン時間が経過した場合(S110にてYES)、処理はS112に移される。もしそうでない場合(S110にてNO)、処理はS108に戻される。
【0081】
S112にて、HV−ECU320は、EHC124EがオフするようにエンジンECU280にリレー244を制御させる。S114にて、HV−ECU320は、余剰電力吸収処理を実行する。余剰電力吸収処理については上述したとおりであるためその詳細な説明は繰返さない。
【0082】
以上のような構造およびフローチャートに基づく本実施の形態に係る車両用制御装置であるHV−ECU320の動作について図5および図6を用いて説明する。
【0083】
たとえば、車両40が低摩擦係数の路面を定常走行している場合を想定する。このとき、駆動輪160の状態は、スリップ状態であるとする。
【0084】
図5に示すように、時間T(3)にて、車両40の走行路面が低摩擦係数の路面から通常の摩擦係数の路面に変化した場合に、駆動輪160の状態は、通常の摩擦係数の路面においてスリップ状態からグリップ状態に移行するように変化する。そのため、グリップ状態に移行するように変化したことによる路面からの反力が駆動輪160に対して逆回転方向に急激に作用するため車輪速Vsは急激に低下することとなる。その結果、第2MG142においては、出力トルクと回転数の変化量との積に対応する発電電力が余剰電力として発生する(S100にてYES)。
【0085】
余剰電力がしきい値を超えている場合であって(S102にてYES)、かつ、三元触媒コンバータ124Bの温度が予め定められた値以下である場合(S104にてYES)、EHC124Eのオン時間が余剰電力に基づいて設定され(S106)、EHC124Eがオンされる(S108)。EHC124Eがオンされることにより時間T(3)−時間T(4)において、第2MG142において発電された余剰電力(図5の破線で囲われる領域)のうち図5の実線で囲われる領域に対応する電力を差し引いた分が消費されることになる。また、EHC124Eの作動によって、三元触媒コンバータ124Bの温度は上昇することとなる。
【0086】
時間T(4)にて、設定されたオン時間が経過した場合に(S110にてYES)、EHC124Eがオフされる(S112)。
【0087】
なお、余剰電力がしきい値以下である場合(S102にてNO)、あるいは、三元触媒コンバータ124Bの温度が予め定められた値Taよりも大きい場合(S104にてNO)、EHC124Eはオンされず、余剰電力吸収処理が実行される(S114)。
【0088】
また、時間T(4)にて、車両40の走行路面が通常の摩擦係数の路面から低摩擦係数の路面に変化した場合に、駆動輪160の状態が低摩擦係数の路面においてグリップ状態からスリップ状態に移行するように変化する。そのため、スリップ状態に移行するように変化したことによる駆動輪160に対する路面からの逆回転方向の反力が弱まるため、車輪速Vsは増加することとなる。その結果、第2MG142においては、出力トルクと回転数の変化量との積に対応する電力が放電されることとなる(S100にてNO)。
【0089】
時間T(5)にて、車輪速Vsがグリップ状態に移行するように変化する前(時間T(3)よりも前)の値に復帰すると、車輪速Vsおよび第2MG142の回転数Nmは、定常状態になるため、第2MG142においては、発電も放電も行なわれない状態となる。
【0090】
なお、図5においては、EHC124Eがオフされる時間と、駆動輪160がグリップ状態から再びスリップ状態に移行を開始する時間とがいずれも時間T(4)であるとして説明したが、特に両者の時間が一致することに限定されるものではない。
【0091】
次に、たとえば、車両40が通常の摩擦係数の路面を定常走行している場合を想定する。このとき、駆動輪160の状態は、グリップ状態であるとする。
【0092】
図6に示すように、時間T(6)にて、車両40の走行路面が通常の摩擦係数の路面から低摩擦係数の路面に変化した場合に、駆動輪160の状態は、低摩擦係数の路面においてグリップ状態からスリップ状態に移行するように変化する。そのため、スリップ状態に移行するように変化したことによる駆動輪160に対する路面からの逆回転方向の反力が弱まるため、車輪速Vsは増加することとなる。その結果、第2MG142においては、出力トルクと回転数の変化量との積に対応する電力が放電されることとなる。
【0093】
時間T(7)にて、車両40の走行路面が通常の摩擦係数の路面から低摩擦係数の路面に変化した場合に、駆動輪160の状態は、通常の摩擦係数の路面においてスリップ状態からグリップ状態に移行するように変化する。そのため、グリップ状態に移行するように変化したことによる路面からの反力が駆動輪160に対して逆回転方向に急激に作用するため車輪速Vsは急激に低下することとなる。その結果、第2MG142においては、出力トルクと回転数の変化量との積に対応する発電電力が余剰電力として発生する(S100にてYES)。
【0094】
余剰電力がしきい値を超えている場合であって(S102にてYES)、かつ、三元触媒コンバータ124Bの温度が予め定められた値Ta以下である場合(S104にてYES)、EHC124Eのオン時間が余剰電力に基づいて設定され(S106)、EHC124Eがオンされる(S108)。EHC124Eがオンされることにより時間T(7)−時間T(8)において、第2MG142において発電された余剰電力(図6の破線で囲われる領域)のうち図6の実線で囲われる領域に対応する電力を差し引いた分が消費されることになる。また、EHC124Eの作動によって、三元触媒コンバータ124Bの温度は上昇することとなる。
【0095】
なお、余剰電力がしきい値以下である場合(S102にてNO)、あるいは、三元触媒コンバータ124Bの温度が予め定められた値Taよりも大きい場合(S104にてNO)、EHC124Eはオンされず、余剰電力吸収処理が実行される(S114)。
【0096】
また、時間T(7)にて、車両40の走行路面が低摩擦係数の路面から通常の摩擦係数の路面に変化した場合に、駆動輪160の状態が通常の摩擦係数の路面においてスリップ状態からグリップ状態に移行するように変化する。そのため、グリップ状態に移行するように変化したことによる路面からの反力が駆動輪160に対して逆回転方向に急激に作用するため車輪速Vsは急激に低下することとなる。
【0097】
時間T(8)にて、設定されたオン時間が経過した場合に(S110にてYES)、EHC124Eがオフされる(S112)。
【0098】
また、時間T(8)にて、車輪速Vsがスリップ状態に移行するように変化する前(時間T(6)よりも前)の値に復帰すると、車輪速Vsおよび第2MG142の回転数Nmは、定常状態になるため、第2MG142においては、発電も放電も行なわれない状態となる。
【0099】
なお、図6においては、EHCがオフされる時間と、駆動輪160がスリップ状態からグリップ状態に復帰する時間とがいずれも時間T(8)として説明したが、特に両者の時間が一致することに限定されるものではない。
【0100】
以上のようにして、本実施の形態に係る車両用制御装置によると、駆動輪の回転数に基づいて、駆動輪の状態がスリップ状態からグリップ状態に移行するように変化すると判定された場合に、第2MGにおいて発電される電力を消費するようにEHCを制御することによって、余剰電力をEHCによって消費することができるため、走行用バッテリが不必要に充電されて劣化が促進されることを回避することができる。したがって、駆動輪の状態がスリップ状態とグリップ状態との間で変化する場合に駆動用回転電機において急激に発生する余剰電力を効率よく消費する車両用制御装置および車両用制御方法を提供することができる。
【0101】
また、EHCの電力をインバータから供給するようにすることによって、第2MGにおいて発生した余剰電力をコンバータを経由せずに消費することができる。そのため、コンバータの部品の保護が図れる。
【0102】
さらに、余剰電力を消費するための放電抵抗を設ける必要がないため、コストの上昇を抑制することができる。
【0103】
また、本実施の形態においては、駆動輪160の状態がスリップ状態からグリップ状態に移行するように変化することによって余剰電力が発生したと判定された場合にEHC124Eをオンするとして説明したが、たとえば、余剰電力が発生したと判定された場合に加えてまたは代えて駆動輪160の状態がグリップ状態からスリップ状態に移行するように変化したことによって放電が行なわれたと判定した場合に、放電から充電に切り替わるタイミングで(スリップ状態からグリップ状態に変化するように変化を開始したタイミングで)EHC124Eをオンするようにしてもよい。HV−ECU320は、たとえば、第2MG142の発電量Pmがゼロよりも大きい場合に、放電が行われたと判定してもよい。また、HV−ECU320は、車輪速Vsの変化量が正値から負値に変化するタイミングを放電から充電に切り替わるタイミングとして特定してもよい。
【0104】
さらに、本実施の形態においては余剰電力がしきい値を超えた場合であって、かつ、触媒温度が予め定められた値Ta以下である場合に、EHC124Eをオンすることによって、電力を消費するとして説明したが、特にこれに限定されるものではなく、たとえば、EHC124Eをオンするとともに走行用バッテリ220を用いて余剰電力吸収処理を実行してもよい。
【0105】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0106】
40 車両、120 エンジン、122 吸気通路、122A エアクリーナ、122B エアフローメータ、122C 電子スロットルバルブ、122D スロットルポジションセンサ、124 排気通路、124A 空燃比センサ、124B 三元触媒コンバータ、124C 触媒温度センサ、124D 消音器、130 燃料噴射装置、140,142 MG、160 駆動輪、180 リダクションギヤ、200 動力分割機構、220 走行用バッテリ、240 インバータ、242 コンバータ、244 リレー、260 バッテリ監視ユニット、280 エンジンECU、300 MG−ECU、320 HV−ECU、330 車輪速センサ、360 冷却水温センサ、380 エンジン回転数センサ、400 アクセルペダル、402 アクセルペダルポジションセンサ、500 電力発生判定部、502 余剰電力判定部、504 触媒温度判定部、506 オン時間設定部、508 電力吸収処理部、510 EHC制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関と、駆動輪に駆動力を発生させるための駆動用回転電機と、前記駆動用回転電機に電力を供給するための蓄電装置とを含む車両に搭載された車両用制御装置であって、前記内燃機関は、排気通路と、前記排気通路の途中に設けられる触媒と、前記蓄電装置の電力を用いて前記触媒を加熱するための加熱装置とを含み、
前記車両用制御装置は、
前記駆動輪の回転数を検出するための回転数検出部と、
前記駆動輪の回転数に基づいて、前記駆動輪の状態がスリップ状態とグリップ状態との間で変化しているという実行条件が成立するか否かを判定するための判定部と、
前記実行条件が成立した場合に、前記駆動用回転電機において発電される電力が前記加熱装置によって消費されるための制御を行なう制御部とを含む、車両用制御装置。
【請求項2】
前記車両は、電力供給源から前記加熱装置に電力が供給される電力供給状態と前記電力供給源から前記加熱装置に供給される電力が遮断される電力遮断状態とのうちのいずれか一方の状態から他方の状態に切り替えるための切替部をさらに含み、
前記車両用制御装置は、前記駆動用回転電機において発電される発電電力を推定するための推定部をさらに含み、
前記制御部は、前記実行条件が成立した場合に加えて、前記推定部によって推定された前記発電電力がしきい値を超えた場合に、前記駆動用回転電機において発電される電力が前記加熱装置によって消費されるように前記切替部の状態を前記電力遮断状態から前記電力供給状態に切り替える、請求項1に記載の車両用制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記実行条件が成立した場合であって、かつ、前記推定部によって推定された前記発電電力がしきい値よりも小さい場合に、前記駆動用回転電機において発電される電力を用いて前記蓄電装置を充電する、請求項2に記載の車両用制御装置。
【請求項4】
前記車両は、電力供給源から前記加熱装置に電力が供給される電力供給状態と前記電力供給源から前記加熱装置に供給される電力が遮断される電力遮断状態とのうちのいずれか一方の状態から他方の状態に切り替えるための切替部をさらに含み、
前記車両用制御装置は、前記触媒の温度を検出するための温度検出部をさらに含み、
前記制御部は、前記実行条件が成立した場合に加えて、前記温度検出部によって検出された前記触媒の温度が予め定められた温度よりも低い場合に、前記駆動用回転電機において発電される電力が前記加熱装置によって消費されるように前記切替部の状態を前記電力遮断状態から前記電力供給状態に切り替える、請求項1に記載の車両用制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記実行条件が成立した場合であって、かつ、前記温度検出部によって検出された前記触媒の温度が前記予め定められた温度よりも高い場合に、前記駆動用回転電機において発電される電力を用いて前記蓄電装置を充電する、請求項4に記載の車両用制御装置。
【請求項6】
内燃機関と、駆動輪に駆動力を発生させるための駆動用回転電機と、前記駆動用回転電機に電力を供給するための蓄電装置とを含む車両の車両用制御方法であって、前記内燃機関は、排気通路と、前記排気通路の途中に設けられる触媒と、前記蓄電装置の電力を用いて前記触媒を加熱するための加熱装置とを含み、
前記車両用制御方法は、
前記駆動輪の回転数を検出するステップと、
前記駆動輪の回転数に基づいて、前記駆動輪の状態がスリップ状態とグリップ状態との間で変化しているという実行条件が成立するか否かを判定するステップと、
前記実行条件が成立した場合に、前記駆動用回転電機において発電される電力が前記加熱装置によって消費されるための制御を行なうステップとを含む、車両用制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−255861(P2011−255861A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−134231(P2010−134231)
【出願日】平成22年6月11日(2010.6.11)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】