車両用運転操作補助装置および車両用運転操作補助装置を備えた車両
【課題】システムの作動状況を視覚情報として伝達する車両用運転操作補助装置を提供する。
【解決手段】車両用運転操作補助装置は、自車両周囲の障害物状況に基づいて障害物に対するリスクポテンシャルを算出する。リスクポテンシャルに基づいてアクセルペダルに発生させる操作反力の反力増加量を算出するとともに、制駆動力制御を行うための目標減速度を算出し、リスクポテンシャルに応じた操作反力制御および制駆動力制御を行う。アクセルペダル反力増加量および目標減速度を表示装置のX軸およびY軸にそれぞれ設定し、車両用運転操作補助装置の作動状況を表すアイコンを表示する。リスクポテンシャルの大きさに応じてアイコンの大きさを変更する。
【解決手段】車両用運転操作補助装置は、自車両周囲の障害物状況に基づいて障害物に対するリスクポテンシャルを算出する。リスクポテンシャルに基づいてアクセルペダルに発生させる操作反力の反力増加量を算出するとともに、制駆動力制御を行うための目標減速度を算出し、リスクポテンシャルに応じた操作反力制御および制駆動力制御を行う。アクセルペダル反力増加量および目標減速度を表示装置のX軸およびY軸にそれぞれ設定し、車両用運転操作補助装置の作動状況を表すアイコンを表示する。リスクポテンシャルの大きさに応じてアイコンの大きさを変更する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転者の操作を補助する車両用運転操作補助装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車両用運転操作補助装置は、前方車両との車間距離が所定値以下となった場合にアクセルペダルに発生する操作反力を制御している(特許文献1参照)。また、車両用運転操作補助装置として、自車両と前方の障害物との接触可能性に基づいて自車両の制動制御を行うものが知られている(特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平10−166889号公報
【特許文献2】特開2003−191830号公報
【特許文献3】特開平10−166890号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
制動制御によって自車両に発生する減速度は、障害物に対するリスクポテンシャルと運転者によるアクセルペダル操作状態に依存して変化する。したがって、リスクポテンシャルに応じてアクセルペダルに発生する操作反力と自車両に発生する減速度を制御するシステムにおいては、とくにシステムの機能を熟知していないドライバにとってリスクポテンシャル、操作反力および減速度の関係を理解しにくいという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による車両用運転操作補助装置は、自車両前方に存在する障害物を検出する障害物検出手段と、障害物検出手段の検出結果に基づいて、障害物に対する自車両のリスクポテンシャルを算出するリスクポテンシャル算出手段と、リスクポテンシャル算出手段によって算出されるリスクポテンシャルに基づいて、自車両に発生させる目標減速度を算出する目標減速度算出手段と、目標減速度算出手段で算出された目標減速度を発生させるように自車両に発生する制駆動力を制御する制駆動力制御手段と、リスクポテンシャル算出手段によって算出されるリスクポテンシャルに基づいて、運転操作機器に発生させる操作反力を算出する操作反力算出手段と、操作反力算出手段で算出された操作反力を運転操作機器に発生させる操作反力発生手段と、制駆動力制御および操作反力制御の作動状況を表す複数のパラメータを、複数のパラメータよりも少ない数の図形を用いて表示手段に一括表示するよう制御する表示制御手段とを備える。
本発明による車両用運転操作補助方法は、自車両前方に存在する障害物を検出し、障害物の検出結果に基づいて、障害物に対する自車両のリスクポテンシャルを算出し、リスクポテンシャルに基づいて、自車両に発生させる目標減速度を算出し、目標減速度を発生させるように自車両に発生する制駆動力を制御し、リスクポテンシャルに基づいて、運転操作機器に発生させる操作反力を算出し、操作反力を運転操作機器に発生させ、制駆動力制御および操作反力制御の作動状況を表す複数のパラメータを、複数のパラメータよりも少ない数の図形を用いて表示手段に一括表示するよう制御する。
本発明による車両は、自車両前方に存在する障害物を検出する障害物検出手段と、障害物検出手段の検出結果に基づいて、障害物に対する自車両のリスクポテンシャルを算出するリスクポテンシャル算出手段と、リスクポテンシャル算出手段によって算出されるリスクポテンシャルに基づいて、自車両に発生させる目標減速度を算出する目標減速度算出手段と、目標減速度算出手段で算出された目標減速度を発生させるように自車両に発生する制駆動力を制御する制駆動力制御手段と、リスクポテンシャル算出手段によって算出されるリスクポテンシャルに基づいて、運転操作機器に発生させる操作反力を算出する操作反力算出手段と、操作反力算出手段で算出された操作反力を運転操作機器に発生させる操作反力発生手段と、制駆動力制御および操作反力制御の作動状況を表す複数のパラメータを、複数のパラメータよりも少ない数の図形を用いて表示手段に一括表示するよう制御する表示制御手段とを有する車両用運転操作補助装置を備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、障害物に対するリスクポテンシャルを制駆動力制御および操作反力制御により運転者に伝達できるとともに、複数のパラメータ間の相互作用を運転者に理解させてシステムの作動状況に対する運転者の理解向上を促すことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
《第1の実施の形態》
本発明の第1の実施の形態による車両用運転操作補助装置について、図面を用いて説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態による車両用運転操作補助装置1の構成を示すシステム図であり、図2は、車両用運転操作補助装置1を搭載した車両の構成図である。
【0008】
まず、車両用運転操作補助装置1の構成を説明する。
レーザレーダ10は、車両の前方グリル部もしくはバンパ部等に取り付けられ、水平方向に赤外光パルスを照射して自車両の前方領域を走査する。レーザレーダ10は、前方にある複数の反射物(通常、先行車の後端)で反射された赤外光パルスの反射波を計測し、反射波の到達時間より、前方障害物である先行車までの車間距離と相対速度を検出する。検出した車間距離及び相対速度はコントローラ50へ出力される。レーザレーダ10によりスキャンされる前方の領域は、自車正面に対して±6deg 程度であり、この範囲内に存在する前方物体が検出される。
【0009】
車速センサ20は、車輪の回転数や変速機の出力側の回転数を計測することにより自車両の車速を検出し、検出した自車速をコントローラ50に出力する。
【0010】
前方カメラ30は、フロントウィンドウ上部に取り付けられた小型のCCDカメラ、またはCMOSカメラ等であり、前方道路の状況を画像として検出する。前方カメラ30からの画像信号は画像処理装置40で画像処理を施され、コントローラ50へと出力される。前方カメラ30による検知領域は車両の前後方向中心線に対して水平方向に±30deg程度であり、この領域に含まれる前方道路風景が画像として取り込まれる。
【0011】
図3に示すように、アクセルペダル90には、リンク機構を介してサーボモータ80およびアクセルペダルストロークセンサ81が接続されている。アクセルペダルストロークセンサ81は、リンク機構を介してサーボモータ80の回転角に変換されたアクセルペダル90のストローク量(操作量)SAを検出し、コントローラ50へ出力する。
【0012】
コントローラ50は、CPUと、ROMおよびRAM等のCPU周辺部品とから構成され、車両用運転操作補助装置1全体の制御を行う。コントローラ50は、例えばCPUのソフトウェア形態により、リスクポテンシャル計算部151,アクセルペダル反力指令値計算部152,目標減速度計算部153、およびシステム作動状況表示制御部154を構成する。
【0013】
リスクポテンシャル計算部151は、レーザレーダ10および車速センサ20から入力される自車速、車間距離および自車両前方の障害物との相対車速と、画像処理装置40から入力される車両周辺の画像情報とから、障害物に対する自車両の接近度合を表すリスクポテンシャルRPを算出する。アクセルペダル反力指令値計算部152は、リスクポテンシャル計算部151で算出されたリスクポテンシャルRPに基づいて、アクセルペダル90に発生させる操作反力の指令値FAを算出する。
【0014】
目標減速度計算部153は、リスクポテンシャルRPに基づいて、制駆動力制御において自車両に発生させる目標減速度を算出する。システム作動状況表示制御部154は、車両用運転操作補助装置1で行われるリスクポテンシャルRPに応じた操作反力制御および制駆動力制御の作動状況を視覚情報として提供し、システムの機能に対する運転者の理解を補助するように表示制御を行う。
【0015】
アクセルペダル反力制御装置70は、コントローラ50からの指令値に応じてアクセルペダル操作反力を制御する。サーボモータ80は、アクセルペダル反力制御装置70からの指令に応じてトルクと回転角とを制御し、運転者がアクセルペダル90を操作する際に発生する操作反力を任意に制御する。なお、アクセルペダル反力制御を行わない場合の通常の反力特性は、例えば、操作量SAが大きくなるほどアクセルペダル反力がリニアに大きくなるよう設定されている。通常のアクセルペダル反力特性は、例えばアクセルペダル90の回転中心に設けられたねじりバネ(不図示)のバネ力によって実現することができる。
【0016】
エンジン電子制御コントローラ100は、エンジンへの制御指令を算出し、自車両に発生する駆動力を制御する駆動力制御手段である。エンジン電子制御コントローラ100は、コントローラ50の目標減速度計算部153で算出された目標減速度を実現するように、駆動力の低下補正を行う。具体的には、エンジン電子制御コントローラ100は、図4に示すような関係に従って、アクセルペダル操作量SAに応じたドライバ要求駆動力Fdaを算出する。そして、ドライバ要求駆動力Fdaから目標減速度に相当する値を減算することにより、エンジンへの制御指令を算出する。
【0017】
ブレーキアクチュエータ110は、ブレーキ液圧指令を出力し、自車両に発生する制動力を制御する制動力制御手段である。ブレーキアクチュエータ110は、目標減速度計算部153で算出された目標減速度を実現するように、制動力の増加補正を行う。なお、ブレーキアクチュエータ110による制動力制御は、エンジン電子制御コントローラ100による駆動力制御のみでは目標減速度を実現することができない場合に行う。ブレーキアクチュエータ110は、図5に示すような関係に従って、ブレーキペダル操作量(踏み込み量)SBに応じたドライバ要求制動力Fdbを算出する。そして、ドライバ要求制動力Fdbに、目標減速度に相当する値を加算することにより、ブレーキ液圧指令を出力する。ブレーキアクチュエータ110からの指令に応じて各車輪に設けられたブレーキ装置130が作動する。
【0018】
表示装置120は、例えばドットマトリクス型の表示手段であり、図6に示すように、運転者が視認しやすいように運転席前方のインストルメントパネルに設置されたコンビネーションメータ121の一部に設けられる。表示装置120は、コントローラ50のシステム作動状況表示制御部154からの信号に応じた表示パターンにより表示を行う。
【0019】
表示切替スイッチ125は、表示装置120の表示内容を切り替えるために運転者によって操作されるスイッチであり、表示切替スイッチ125からの信号はコントローラ50に入力される。
【0020】
次に、第1の実施の形態による車両用運転操作補助装置1の動作を説明する。まず、その概要を説明する。
コントローラ50は、レーザレーダ10、車速センサ20および前方カメラ30で検出された自車両の車両状態および自車両周囲の走行環境に基づいて、自車両周囲の障害物に対する自車両のリスクポテンシャルRPを算出する。リスクポテンシャルRP(Risk Potential)は、「潜在的なリスク/危急」を意味し、ここでは特に、自車両と自車両周囲に存在する障害物とが接近していくことにより増大するリスクの大きさを表す。したがって、リスクポテンシャルは、自車両と障害物とがどれほど近づいているか、すなわち自車両と障害物とが近づいている程度(接近度合)を表す物理量であるといえる。
【0021】
コントローラ50は、リスクポテンシャルRPに基づいてアクセルペダル90に発生する操作反力を制御するとともに、自車両に減速度を発生させる制駆動力制御を実行することにより、リスクポテンシャルRPを伝達して運転者の注意を喚起する。運転者は、アクセルペダル90を操作する際に発生する操作反力を触覚を介して知覚し、自車両に発生する減速度を位置感や運動感といった深部感覚により知覚する。
【0022】
制駆動力制御における目標減速度はリスクポテンシャルRPに基づいて設定される。ただし、制駆動力制御によって自車両に発生する減速度は、リスクポテンシャルRPおよび運転者によるアクセルペダル90の操作状態もしくはブレーキペダルの操作状態に依存して変化する。このため、リスクポテンシャルRPに応じてアクセルペダル90に操作反力を発生させている状態で、制駆動力制御による減速度が発生すると、運転者、とくにシステムの機能を熟知していない運転者にとっては、リスクポテンシャルRP、アクセルペダル操作反力、および目標減速度がどのような関係にあるかがわかりづらい。
【0023】
そこで、第1の実施の形態においては、リスクポテンシャルRP,アクセルペダル90に発生する操作反力,および目標減速度を表示装置120に表示して視覚情報として運転者に提供することにより、システムの作動状況に対する運転者の理解向上を促す。
【0024】
以下に、第1の実施の形態による車両用運転操作補助装置1の動作を、図7を用いて詳細に説明する。図7は、コントローラ50における運転操作補助制御プログラムの処理手順を示すフローチャートである。本処理内容は、一定間隔(例えば50msec)毎に連続的に行われる。
【0025】
ステップS101で、レーザレーダ10、車速センサ20および前方カメラ30によって検出される自車両周囲の走行環境を認識する。具体的には、自車両と自車両前方の障害物、例えば先行車との車間距離D、相対速度Vr,および自車速V1を読み込む。ステップS102では、ステップS101で読み込んだ走行環境に基づいて、前方障害物に対する自車両のリスクポテンシャルRPを算出する。以下に、リスクポテンシャルRPの算出方法を説明する。
【0026】
図8(a)に示すように、自車両200の前方に仮想的な弾性体300を設けたと仮定し、この仮想的な弾性体300が前方車両400に当たって圧縮され、自車両200に対する擬似的な走行抵抗を発生するというモデルを考える。障害物に対するリスクポテンシャルRPは、図8(b)に示すように仮想弾性体300が前方車両400に当たって圧縮された場合の反発力と定義する。ここでは、自車両と前方障害物との余裕時間TTCに関連付けた仮想弾性体と、自車両と前方障害物との車間時間THWに関連付けた仮想弾性体を設定し、算出される2つの反発力からセレクトハイによりリスクポテンシャルRPを選択する。以下に、リスクポテンシャルRPの算出方法を、図9のフローチャートを用いて説明する。
【0027】
まず、ステップS121で、自車両と前方障害物との車間時間THWおよび余裕時間TTCを算出する。車間時間THWは、前方障害物、例えば先行車の現在位置に自車両が到達するまでの時間を示す物理量であり、以下の(式1)から算出される。
THW=D/V1 ・・・(式1)
【0028】
先行車に対する余裕時間TTCは、先行車に対する現在の自車両の接近度合を示す物理量であり、現在の走行状況が継続した場合、つまり自車速V1および相対車速Vrが一定の場合に、何秒後に車間距離Dがゼロとなり自車両と先行車両とが接触するかを示す値である。なお、相対速度Vrは、(自車速−先行車速)として算出され、自車速よりも先行車速が速い場合は、相対速度Vr=0として扱う。障害物に対する余裕時間TTCは、以下の(式2)で求められる。
TTC=D/Vr ・・・(式2)
【0029】
余裕時間TTCの値が小さいほど、先行車への接触が緊迫し、先行車への接近度合が大きいことを意味している。例えば先行車への接近時には、余裕時間TTCが4秒以下となる前に、ほとんどのドライバが減速行動を開始することが知られている。
【0030】
ステップS122では、車間時間THWをしきい値TH1と比較する。車間時間THWが制御開始を判断するために適切に設定されたしきい値TH1(例えば2sec)より小さい場合(THW<TH1)は、ステップS123へ進む。ステップS123では、自車速V1と車間時間THWを用いて、以下の(式3)から車間時間THWに基づくリスクポテンシャルRPthwを算出する。
RPthw=K_THW×(TH1−THW)×V1 ・・・(式3)
(式3)においてK_THWは車間時間THWに関連付けた仮想弾性体のばね定数であり、TH1・V1は仮想弾性体の長さに相当する。
【0031】
ステップS122でTHW≧TH1と判定された場合は、ステップS124へ進んでリスクポテンシャルRPthw=0にする。
【0032】
ステップS125では、余裕時間TTCをしきい値TH2と比較する。余裕時間TTCが制御開始を判断するために適切に設定されたしきい値TH2(例えば8sec)より小さい場合(TTC<TH2)は、ステップS126へ進む。ステップS126では、相対速度Vrと余裕時間TTCを用いて、以下の(式4)から余裕時間TTCに基づくリスクポテンシャルRPttcを算出する。
RPttc=K_TTC×(TH2−TTC)×Vr ・・・(式4)
(式4)においてK_TTCは余裕時間TTCに関連付けた仮想弾性体のばね定数であり、TH2・Vrは仮想弾性体の長さに相当する。
【0033】
ステップS125でTTC≧TH2と判定された場合は、ステップS127へ進んでリスクポテンシャルRPttc=0にする。
【0034】
つづくステップS128では、ステップS123またはS124で算出した車間時間THWに基づくリスクポテンシャルRPthwと、ステップS126またはS127で算出した余裕時間TTCに基づくリスクポテンシャルRPttcのうち、大きい方の値を最終的なリスクポテンシャルRPとして選択する。
【0035】
このようにステップS102でリスクポテンシャルRPを算出した後、ステップS103へ進む。ステップ103では、アクセルペダルストロークセンサ81によって検出されるアクセルペダル90の操作量SAを読み込む。ステップS104では、ステップS102で算出したリスクポテンシャルRPに基づいて、アクセルペダル反力指令値FAを算出する。まず、リスクポテンシャルRPに応じた反力増加量ΔFを算出する。
【0036】
図10に、リスクポテンシャルRPと反力増加量ΔFとの関係を示す。図10に示すように、リスクポテンシャルRPが最小値RPmin以下の場合は、反力増加量ΔFを0とする。これは、自車両周囲のリスクポテンシャルRPが非常に小さいときにアクセルペダル反力FAを増加することによって、運転者に煩わしさを与えてしまうことを避けるためである。最小値RPminは、予め適切な値を設定しておく。
【0037】
リスクポテンシャルRPが最小値RPminを超える領域では、リスクポテンシャルRPに応じて反力増加量ΔFが指数関数的に増加するように設定する。反力増加量ΔFは、以下の(式5)で表される。
ΔF=α・RPn ・・・(式5)
ここで、定数α、nはそれぞれ車種等によって異なり、ドライブシミュレータや実地試験によって取得される結果に基づいて、リスクポテンシャルRPを効果的に反力増加量ΔFに変換できるように予め適切に設定しておく。(式5)に従って算出した反力増加量ΔFを、アクセルペダル操作量SAに応じた通常の反力特性に加算することにより、アクセルペダル反力指令値FAを算出する。
【0038】
ステップS105では、ステップS102で算出したリスクポテンシャルRPに基づいて、自車両に発生させる減速度の目標値(目標減速度)Ddを算出する。図11に、リスクポテンシャルRPと目標減速度Ddとの関係を示す。図11に示すように、リスクポテンシャルRPが所定値RP1よりも大きくなると、目標減速度Ddが徐々に大きくなり、所定値RP2(>RP1)を超えると目標減速度Ddが所定の最大値Ddmaxに固定される。
【0039】
ステップS106では、表示装置120に表示する表示内容選択を行う。具体的には、車両用運転操作補助装置1の作動状況を表す複数のパラメータ、すなわちリスクポテンシャルRP、アクセルペダル反力増加量ΔF,および目標減速度Ddから、表示装置120に表示するための2つ以上のパラメータを選択する。図12に、選択可能なパラメータの組み合わせを示す。
【0040】
運転者は表示切替スイッチ125を操作することにより、アクセルペダル反力増加量ΔF,目標減速度DdおよびリスクポテンシャルRPを表示するケース1、リスクポテンシャルRPとアクセルペダル反力増加量ΔFを表示するケース2、リスクポテンシャルRPと目標減速度Ddを表示するケース3、およびアクセルペダル反力増加量ΔFと目標減速度Ddを表示するケース4のいずれかを選択することができる。なお、コントローラ50のシステム作動状況表示制御部154には、ケース1が初期設定として設定されている。
【0041】
ステップS107では、ステップS106で選択した表示内容に従って、表示装置120の表示内容を決定する。ここでの処理を、図13のフローチャートを用いて説明する。
【0042】
まず、ステップS171で、車両用運転操作補助装置1のシステム作動状況を読み込む。具体的には、ステップS102で算出したリスクポテンシャルRP,ステップS104で算出したアクセルペダル反力増加量ΔF,およびステップS105で算出した目標減速度Ddを読み込む。ステップS172では、ステップS106の表示内容選択結果を読み込む。以降では、表示内容としてケース1が選択された場合を例として説明する。
【0043】
選択されたパラメータは、図14に示すように2軸からなる平面(作動状況表示部122)上に表示される。作動状況表示部122は表示装置120内に設定される。図12に示す第1のパラメータは作動状況表示部122の横軸(X軸)に設定され、第2のパラメータは縦軸(Y軸)に設定される。X軸は作動状況表示部122の左端を原点0とし、右方向に進むほど値が大きくなり、Y軸は作動状況表示部122の下端を原点0とし、上方に進むほど値が大きくなるように設定されている。なお、図14において、「0」「Xmax」「Ymax」は説明を容易にするために示されているのみであり、実際には表示されない。
【0044】
作動状況表示部122において、X軸上の第1のパラメータとY軸上の第2のパラメータとが交差する位置にシステム作動状況を示す略円形のアイコン123を表示する。第3のパラメータはアイコン123の大きさ、例えば半径または面積として表す。
【0045】
ステップS173では、第1のパラメータのX軸上の表示位置dxを決定する。ここでは、第1のパラメータとしてアクセルペダル反力増加量ΔFが選択されているので、図15に従って表示位置dxを算出する。図15に示すように、アクセルペダル反力増加量ΔFが所定値ΔF1よりも大きくなるほど表示位置dxが大きくなる。すなわち、アクセルペダル反力増加量ΔFが大きくなるほど表示位置dxがX軸において右方向に移動する。アクセルペダル反力増加量ΔFの最大値ΔFmaxの表示位置dxはX軸の最大値Xmaxに対応する。
【0046】
ステップS174では、第2のパラメータのY軸上の表示位置dyを決定する。ここでは、第2のパラメータとして目標減速度Ddが選択されているので、図16に従って表示位置dyを算出する。図16に示すように、目標減速度Ddが所定値Dd1よりも大きくなるほど表示位置dyが大きくなる。すなわち、目標減速度Ddが大きくなるほど表示位置dyがY軸において上方向に移動する。目標減速度Ddの最大値Ddmaxの表示位置dyはY軸の最大値Ymaxに対応する。
【0047】
つづくステップS175では、表示内容選択結果から、第3のパラメータも表示するケース1が選択されているか否かを判定する。ケース1が選択されている場合はステップS176へ進む。ステップS176では、第3のパラメータの表示量dZを決定する。表示量dZはアイコン123の大きさを表し、アイコン123の半径、または面積として設定する。第3のパラメータはリスクポテンシャルRPであるので、図17に従ってリスクポテンシャルRPに応じた表示量dZを算出する。図17に示すようにリスクポテンシャルRPが大きくなるほど表示量dZが初期値dZ1から徐々に大きくなる。これにより、リスクポテンシャルRPの増加に応じて表示されるアイコン123が大きくなる。
【0048】
なお、ステップS175が否定判定され、表示内容として3つのパラメータを表示するケース1以外が選択されている場合は、ステップS176をスキップしてこの処理を終了する。
【0049】
以上ではケース1が選択されている場合を説明したが、ケース2〜ケース4のいずれかが選択されている場合も同様にして表示位置dx、dyを決定する。ケース2が選択されている場合は、図18に従って、第1のパラメータであるリスクポテンシャルRPのX軸上の表示位置dxを決定する。図18に示すように、リスクポテンシャルRPが所定値RP3よりも大きくなるほど表示位置dxが大きくなる。すなわち、リスクポテンシャルRPが大きくなるほど表示位置dxがX軸において右方向に移動する。リスクポテンシャルRPが所定値RP4を超えると表示位置dxはX軸の最大値Xmaxに設定される。また、第2のパラメータであるアクセルペダル反力増加量ΔFのY軸上の表示位置dyは図15に従って設定される。
【0050】
ケース3が選択されている場合は、第1のパラメータであるリスクポテンシャルRPのX軸上の表示位置dxを図18に従って設定し、第2のパラメータである目標減速度DdのY軸上の表示位置dyを図16に従って設定する。ケース4が選択されている場合は、第1のパラメータであるアクセルペダル反力増加量ΔFのX軸上の表示位置dxを図15に従って設定し、第2のパラメータである目標減速度DdのY軸上の表示位置dyを図16に従って設定する。
【0051】
このように、ステップS107でシステム作動状況表示内容を決定した後、ステップS108へ進む。ステップS108では、ステップS104で算出したアクセルペダル反力指令値FAを、アクセルペダル反力制御装置70へ出力する。アクセルペダル反力制御装置70は、コントローラ50から入力された指令に従ってサーボモータ80を制御し、運転者がアクセルペダル90を操作するときに発生する操作反力を制御する。
【0052】
ステップS109では、ステップS105で算出した目標減速度Ddをエンジン電子制御コントローラ100へ出力する。エンジン電子制御コントローラ100は、運転者によるアクセルペダル操作量SAに基づくドライバ要求駆動力Fdaと目標減速度Ddとを比較し、目標減速度Ddを実現するようにドライバ要求駆動力Fdaを減算補正してエンジン制御指令を出力する。これにより、自車両に発生する駆動力が低下し、運転者に減速感を与えて運転者の注意を喚起することができる。目標減速度Ddに相当する駆動力低下量がドライバ要求駆動力Fdaよりも大きい場合は、次のステップS110において制動力を増加する制動力制御を行う。
【0053】
ステップS110では、ステップS105で算出した目標減速度Ddをブレーキペダルアクチュエータ110に出力する。目標減速度Ddに相当する駆動力低下量がドライバ要求駆動力Fdaよりも大きく、駆動力制御のみでは目標減速度Ddを実現できない場合は、制動力制御を行う。具体的には、目標減速度Ddの不足分を発生するように、運転者によるブレーキペダル操作量SBに基づくドライバ要求制動力Fdbを増加補正してブレーキ液圧指令を出力する。これにより、自車両に発生する制動力が増加し、運転者に減速感を与えて運転者の注意を喚起することができる。この場合は、自車両に発生する駆動力を低下するとともに、制動力を増加することにより、全体として自車両に目標減速度Ddを発生させる。
【0054】
つづくステップS111では、ステップS107で決定された表示内容に従って、システム作動状況に関する表示を行うよう表示装置120に信号を出力する。表示装置120の作動状況表示部122には、図14に示すように複数のパラメータに対応付けたアイコン123が表示される。上述したようにケース1が選択されている場合は、アクセルペダル反力増加量ΔFに対応する表示位置dxと目標減速度Ddに対応する表示位置dyとの交点に、リスクポテンシャルRPに応じた大きさのアイコン123が点灯表示される。
【0055】
このように、以上説明した第1の実施の形態においては、以下のような作用効果を奏することができる。
(1)車両用運転操作補助装置1は、自車両前方に存在する障害物を検出し、その検出結果に基づいて障害物に対する自車両のリスクポテンシャルRPを算出する。リスクポテンシャルRPに基づいて自車両に発生させる目標減速度Ddを算出し、算出した目標減速度Ddを発生させるように自車両に発生する制駆動力を制御する。また、リスクポテンシャルRPに基づいて運転操作機器であるアクセルペダル90に発生させる操作反力、具体的には反力増加量ΔFを算出し、反力増加量ΔFをアクセルペダル90に付加して操作反力を発生させることにより操作反力制御を行う。さらに、制駆動力制御および操作反力制御の作動状況を表す複数のパラメータを、複数のパラメータよりも少ない数の図形を用いて表示装置120に同時に、すなわち一括で表示するよう制御する。制駆動力制御により運転者に減速感を与えるとともに、運転操作のために運転者が操作する運転操作機器に操作反力を付加することにより、障害物に対するリスクポテンシャルRPを運転者に伝えて注意を喚起することができる。車両用運転操作補助装置1の作動状況を表す複数のパラメータを、同時に、シンプルな図形を用いて表示することにより、パラメータ間の相互作用を運転者に理解させ、システムの作動状況に対する運転者の理解を補助することが可能となる。
(2)コントローラ50のシステム作動状況表示制御部154は、リスクポテンシャルRP,目標減速度、および操作反力、具体的には反力増加量ΔFのいずれか2つ以上を複数のパラメータとして選択的に表示するよう制御する。車両用運転操作補助装置1で行われる制御の作動状況を示すこれらのパラメータを、同時に、かつシンプルに表示することにより、パラメータ間の相互作用およびシステムの作動状況を運転者に視覚情報として直感的に伝えることができる。
(3)システム作動状況表示制御部154は、複数のパラメータを平面上の一つの図形として表示する。例えば、図14に示すようなxy平面に一つのアイコン123を表示する。これにより、複数のパラメータを一つの図形によりシンプルに表示することができる。
(4)システム作動状況表示制御部154は、2つのパラメータを表示する場合に、第1のパラメータを平面の横軸に設定し、第2のパラメータを平面の縦軸に設定する。例えば、図14においてx軸に第1のパラメータ、y軸に第2のパラメータを設定する。これにより、複数のパラメータを一つの図形によりシンプルにわかりやすく表示することができる。
(5)3つのパラメータを表示する場合は、第3のパラメータに応じて図形の大きさを設定する。例えば図14に示すアイコン123の大きさを第3のパラメータが大きくなるほど大きくする。これにより、第1のパラメータと第2のパラメータの相互関係を保ったまま、第3のパラメータをシンプルにわかりやすく表示することができる。
【0056】
《第2の実施の形態》
本発明の第2の実施の形態による車両用運転操作補助装置について説明する。第2の実施の形態における車両用運転操作補助装置の基本構成は、図1および図2に示した第1の実施の形態と同様である。ここでは、第1の実施の形態との相違点を主に説明する。
【0057】
第2の実施の形態においては、表示装置120に表示する第1のパラメータと第2のパラメータの将来の変化方向を比較し、第1のパラメータと第2のパラメータの将来の変化方向が異なる場合にアイコン123を点滅させる。ここで、表示されるパラメータの時間当たりの変化量が正の値である場合はパラメータが増加しているので、このパラメータの将来の変化方向を増加方向と判断する。また、時間当たりの変化量が負の値である場合はパラメータが減少しているので、このパラメータの将来の変化方向を減少方向と判断する。
【0058】
第2の実施の形態におけるシステム作動状況表示内容決定処理を、図19のフローチャートを用いて説明する。この処理は、図7のフローチャートのステップS107で実行される。ステップS271〜ステップS276での処理は、図13のステップS171〜S176での処理と同様であるので説明を省略する。
【0059】
ステップS277では、第1のパラメータの変化方向と第2のパラメータの変化方向を判断する。まず、第1のパラメータの時間当たりの変化量Δxと第2のパラメータの時間当たりの変化量Δyを算出する。変化量Δx、Δyは、第1のパラメータまたは第2のパラメータとして選択されるリスクポテンシャルRP,反力増加量ΔF,もしくは目標減速度Ddをそれぞれ時間微分することにより算出することができる。なお、目標減速度Ddについては、アクセルペダル操作量SAに基づくドライバ要求駆動力Fdaから目標減速度Ddを減算することにより得られる駆動力補正量、もしくはブレーキペダル操作量SBに基づくドライバ要求制動力Fdbに目標減速度を加算することにより得られる制動力補正量の変化量を算出する。
【0060】
第1のパラメータと第2のパラメータの変化方向の判断には、以下の(式6)を用いる。
PD=sign(sin(Δy/Δx)) ・・・(式6)
(式6)においてPDは、変化量Δx、Δyを成分とするベクトルの方向に相当し、作動状況表示部122におけるアイコン123の変化方向を表している。
【0061】
つづくステップS278では、ステップS277の判断結果から、第1のパラメータと第2のパラメータの変化方向が異なるか否かを判定する。(式6)から算出される変化方向PD=−1の場合は、第1のパラメータと第2のパラメータの変化方向が異なる、すなわち一方が増加、他方が減少と判定し、ステップS279へ進む。
【0062】
ステップS279では、アイコン123を点滅させるための点滅周期Bfを第1のパラメータおよび第2のパラメータの変化量Δx、Δyに基づいて設定する。まず、変化量Δx、Δyから、以下の(式7)を用いて表示装置120に表示される作動状況の全体の変化量を示す作動状況変化量Δsを算出する。
Δs=sqrt(Δx2+Δy2) ・・・(式7)
【0063】
アイコン123の点滅周期Bfは、作動状況変化量Δsの関数として以下の(式8)から算出される。
Bf=f(Δs) ・・・(式8)
点滅周期Bfは、変化量Δx、Δyを成分とするベクトルの長さに相当する。
【0064】
図20に、作動状況変化量Δsと点滅周期Bfとの関係を示す。図20に示すように、作動状況変化量Δsが最小値Δs1よりも大きくなると、作動状況変化量Δsが大きくなるにしたがって点滅周期Bfが初期値Bf1から所定値Bf2まで徐々に小さくなる。これにより、第1のパラメータと第2のパラメータが異なる方向に大きく変化するほど、アイコン123が速く点滅する。
【0065】
なお、ステップS278が否定判定され、第1のパラメータと第2のパラメータの変化方向が同じである場合は、ステップS279をスキップしてアイコン123を点滅させずにこの処理を終了する。
【0066】
このように、以上説明した第2の実施の形態においては、上述した第1の実施の形態による効果に加えて、以下のような作用効果を奏することができる。
(1)システム作動状況表示制御部154は、複数のパラメータのそれぞれの将来の変化方向が異なる場合に、将来の変化方向が異なることを表示装置120に表示するよう制御する。例えばケース4を想定すると、リスクポテンシャルRPの増加中に第1のパラメータであるアクセルペダル反力増加量ΔFは増加するが、第2のパラメータである目標減速度Ddに対応してシステムが発生させる減速度が低下する場合がある。例えば、アクセルペダル90が戻し方向に操作されていると、リスクポテンシャルRPが増加しているにも関わらず制駆動力制御による駆動力の減少量が低下することがある。このように第1のパラメータと第2のパラメータの変化方向が異なることを知らせることにより、複数のパラメータの相関関係を運転者に直感的に認識させることが可能となる。
(2)システム作動状況表示制御部154は、将来の変化方向が異なる場合に表示装置120に表示する図形を点滅させる。例えば図14に示すアイコン123を点滅させる。このようにアイコン123を点滅させることにより、複数のパラメータの相関関係を運転者に直感的に認識させることが可能となる。
(3)システム作動状況表示制御部154は、複数のパラメータの総合的な変化量が大きいほど図形の点滅周期を短くする。具体的には、表示装置120に表示される作動状況の全体の変化量を示す作動状況変化量Δsに基づいて、図20に従って点滅周期Bfを算出する。これにより、第1のパラメータと第2のパラメータが異なる方向に大きく変化するほど、アイコン123が速く点滅するので、運転者は複数のパラメータの変化の状態を容易に認識することが可能となる。
【0067】
なお、上述した第2の実施の形態において、第1のパラメータの変化量Δxおよび第2のパラメータの変化量Δyとして、表示位置dx、dyの時間当たりの変化量を用いることも出来る。また、第1のパラメータと第2のパラメータの変化方向が異なる場合のアイコン123の点滅周期Bfを固定値に設定し、アイコン123を点滅させることもできる。アイコン123の点滅周期Bfを変更する代わりに、例えばアイコンの点灯と消灯の比率を変化させることも可能である。
【0068】
表示装置120に表示する複数のパラメータの組み合わせは、図12に示したものには限定されない。例えば、第3のパラメータとして目標減速度Ddまたはアクセルペダル反力増加量ΔFを設定することも可能である。第3のパラメータとして目標減速度Ddまたはアクセルペダル反力増加量ΔFを選択した場合も、DdまたはΔFが大きくなるほどアイコン123の表示量dzが大きくなるように設定する。
【0069】
また、上述した第1及び第2の実施の形態では、図14に示すようなxy平面上に複数のパラメータを一括表示する例を説明した。ただし、これには限定されず、別の表示形態により複数のパラメータを一括表示することも可能である。例えば、表示装置120において一次元的に移動する円形のアイコンを設定し、第1のパラメータに応じてアイコンの表示位置を設定し、第2のパラメータに応じてアイコンの輝度や表示色を設定するように構成することも出来る。
【0070】
表示装置120に表示するアイコン123の形状は、図14に示したものには限定されない。例えば、アイコン123を四角や楕円形状とすることも出来る。また、アイコン123を矢印形状とし、矢印が第1のパラメータおよび第2のパラメータの変化方向を指し示すように構成することもできる。第3のパラメータに応じてアイコン123の大きさを変更する代わりに、第3のパラメータに応じて半径が変化する環状の図形をアイコン123の周囲に配置するような表示形態とすることも出来る。この場合も、複数のパラメータを表示パラメータよりも少ない数の図形で表示することができる。また、作動状況表示部122に表示されている複数のパラメータが何であるかを表示装置120に表示するように構成することもできる。表示装置120をコンビネーションメータ121以外に配置したり、ドットマトリクス型以外の表示手段として構成することも可能である。
【0071】
上述した第1および第2の実施の形態においては、自車両と前方障害物との車間時間THWおよび余裕時間TTCに関連付けた2つの仮想弾性体の反発力をリスクポテンシャルRPとして算出した。ただしこれには限定されず、車間時間THWまたは余裕時間TTCに関連付けた仮想弾性体の反発力のみをリスクポテンシャルRPとして算出することも可能である。あるいは、車間時間THWの逆数の関数と余裕時間TTCの逆数の関数とを加算したり、これらからセレクトハイによりリスクポテンシャルRPを算出することもできる。
【0072】
リスクポテンシャルRPと反力増加量ΔFとの関係は図10に示すものには限定されず、リスクポテンシャルRPが増加するほど反力増加量ΔFが増加するように設定することができる。上述した第1および第2の実施の形態においては、リスクポテンシャルRPに応じたアクセルペダル操作反力制御を行った。アクセルペダル90は、運転者が自車両を運転操作するときに操作する運転操作機器であり、リスクポテンシャルRPを操作反力として運転者に連続的に伝達することができる。運転操作機器として、例えばブレーキペダルやステアリングホイールを用い、リスクポテンシャルRPに応じてブレーキペダルやステアリングホイールに発生する操作反力を制御することも可能である。
【0073】
上述した第1および第2の実施の形態では、リスクポテンシャルRPに応じて運転操作機器に発生する操作反力を制御する操作反力制御と目標減速度Ddを発生させる制駆動力制御を行った。ただし、これには限定されず、リスクポテンシャルRPに応じて制駆動力制御のうち、駆動力制御のみを行うことも可能である。
【0074】
以上説明した第1および第2の実施の形態において、レーザレーダ10,車速センサ20,および前方カメラ30は障害物検出手段として機能し、リスクポテンシャル計算部151はリスクポテンシャル算出手段として機能し、目標減速度計算部153は目標減速度算出手段として機能し、エンジン電子制御コントローラ100およびブレーキアクチュエータ110は制駆動力制御手段として機能し、アクセルペダル反力指令値計算部152は操作反力算出手段として機能し、アクセルペダル反力制御装置70は操作反力発生手段として機能し、システム作動状況表示制御部154は表示制御手段として機能することができる。ただし、これらには限定されず、障害物検出手段として別方式のミリ波レーダ等を用いることもできる。また、制駆動力制御手段としてエンジン電子制御コントローラ100およびブレーキアクチュエータ110のいずれか一方を用いたり、これらとは別の手段により自車両に減速度を発生させるように構成することも可能である。また、システ作動状況表示制御部154をコントローラ50とは独立して構成することもできる。なお、以上の説明はあくまで一例であり、発明を解釈する際、上記の実施形態の記載事項と特許請求の範囲の記載事項の対応関係になんら限定も拘束もされない。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の第1の実施の形態による車両用運転操作補助装置のシステム図。
【図2】第1の実施の形態による車両用運転操作補助装置を搭載した車両の構成図。
【図3】アクセルペダル周辺の構成図。
【図4】アクセルペダル操作量とドライバ要求駆動力との関係を示す図。
【図5】ブレーキペダル操作量とドライバ要求制動力との関係を示す図。
【図6】コンビネーションメータに設置される表示装置を示す図。
【図7】第1の実施の形態による車両用運転操作補助制御プログラムの処理手順を示すフローチャート。
【図8】(a)(b)リスクポテンシャルの算出方法を説明する図。
【図9】リスクポテンシャル算出処理の処理手順を示すフローチャート。
【図10】リスクポテンシャルと反力増加量との関係を示す図。
【図11】リスクポテンシャルと目標減速度との関係を示す図。
【図12】複数の表示パラメータの組み合わせを示す図。
【図13】システム作動状況表示内容決定処理の処理手順を示すフローチャート。
【図14】表示装置の表示例を示す図。
【図15】アクセルペダル反力増加量と表示位置との関係を示す図。
【図16】目標減速度と表示位置との関係を示す図。
【図17】リスクポテンシャルと表示量との関係を示す図。
【図18】リスクポテンシャルと表示位置との関係を示す図。
【図19】第2の実施の形態におけるシステム作動状況表示内容決定処理の処理手順を示すフローチャート。
【図20】作動状況変化量とアイコンの点滅周期との関係を示す図。
【符号の説明】
【0076】
10:レーザレーダ、20:車速センサ、30:前方カメラ、50:コントローラ、70:アクセルペダル反力制御装置、100:エンジン電子制御コントローラ、110:ブレーキアクチュエータ、120:表示装置、125:表示切替スイッチ
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転者の操作を補助する車両用運転操作補助装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車両用運転操作補助装置は、前方車両との車間距離が所定値以下となった場合にアクセルペダルに発生する操作反力を制御している(特許文献1参照)。また、車両用運転操作補助装置として、自車両と前方の障害物との接触可能性に基づいて自車両の制動制御を行うものが知られている(特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平10−166889号公報
【特許文献2】特開2003−191830号公報
【特許文献3】特開平10−166890号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
制動制御によって自車両に発生する減速度は、障害物に対するリスクポテンシャルと運転者によるアクセルペダル操作状態に依存して変化する。したがって、リスクポテンシャルに応じてアクセルペダルに発生する操作反力と自車両に発生する減速度を制御するシステムにおいては、とくにシステムの機能を熟知していないドライバにとってリスクポテンシャル、操作反力および減速度の関係を理解しにくいという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による車両用運転操作補助装置は、自車両前方に存在する障害物を検出する障害物検出手段と、障害物検出手段の検出結果に基づいて、障害物に対する自車両のリスクポテンシャルを算出するリスクポテンシャル算出手段と、リスクポテンシャル算出手段によって算出されるリスクポテンシャルに基づいて、自車両に発生させる目標減速度を算出する目標減速度算出手段と、目標減速度算出手段で算出された目標減速度を発生させるように自車両に発生する制駆動力を制御する制駆動力制御手段と、リスクポテンシャル算出手段によって算出されるリスクポテンシャルに基づいて、運転操作機器に発生させる操作反力を算出する操作反力算出手段と、操作反力算出手段で算出された操作反力を運転操作機器に発生させる操作反力発生手段と、制駆動力制御および操作反力制御の作動状況を表す複数のパラメータを、複数のパラメータよりも少ない数の図形を用いて表示手段に一括表示するよう制御する表示制御手段とを備える。
本発明による車両用運転操作補助方法は、自車両前方に存在する障害物を検出し、障害物の検出結果に基づいて、障害物に対する自車両のリスクポテンシャルを算出し、リスクポテンシャルに基づいて、自車両に発生させる目標減速度を算出し、目標減速度を発生させるように自車両に発生する制駆動力を制御し、リスクポテンシャルに基づいて、運転操作機器に発生させる操作反力を算出し、操作反力を運転操作機器に発生させ、制駆動力制御および操作反力制御の作動状況を表す複数のパラメータを、複数のパラメータよりも少ない数の図形を用いて表示手段に一括表示するよう制御する。
本発明による車両は、自車両前方に存在する障害物を検出する障害物検出手段と、障害物検出手段の検出結果に基づいて、障害物に対する自車両のリスクポテンシャルを算出するリスクポテンシャル算出手段と、リスクポテンシャル算出手段によって算出されるリスクポテンシャルに基づいて、自車両に発生させる目標減速度を算出する目標減速度算出手段と、目標減速度算出手段で算出された目標減速度を発生させるように自車両に発生する制駆動力を制御する制駆動力制御手段と、リスクポテンシャル算出手段によって算出されるリスクポテンシャルに基づいて、運転操作機器に発生させる操作反力を算出する操作反力算出手段と、操作反力算出手段で算出された操作反力を運転操作機器に発生させる操作反力発生手段と、制駆動力制御および操作反力制御の作動状況を表す複数のパラメータを、複数のパラメータよりも少ない数の図形を用いて表示手段に一括表示するよう制御する表示制御手段とを有する車両用運転操作補助装置を備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、障害物に対するリスクポテンシャルを制駆動力制御および操作反力制御により運転者に伝達できるとともに、複数のパラメータ間の相互作用を運転者に理解させてシステムの作動状況に対する運転者の理解向上を促すことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
《第1の実施の形態》
本発明の第1の実施の形態による車両用運転操作補助装置について、図面を用いて説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態による車両用運転操作補助装置1の構成を示すシステム図であり、図2は、車両用運転操作補助装置1を搭載した車両の構成図である。
【0008】
まず、車両用運転操作補助装置1の構成を説明する。
レーザレーダ10は、車両の前方グリル部もしくはバンパ部等に取り付けられ、水平方向に赤外光パルスを照射して自車両の前方領域を走査する。レーザレーダ10は、前方にある複数の反射物(通常、先行車の後端)で反射された赤外光パルスの反射波を計測し、反射波の到達時間より、前方障害物である先行車までの車間距離と相対速度を検出する。検出した車間距離及び相対速度はコントローラ50へ出力される。レーザレーダ10によりスキャンされる前方の領域は、自車正面に対して±6deg 程度であり、この範囲内に存在する前方物体が検出される。
【0009】
車速センサ20は、車輪の回転数や変速機の出力側の回転数を計測することにより自車両の車速を検出し、検出した自車速をコントローラ50に出力する。
【0010】
前方カメラ30は、フロントウィンドウ上部に取り付けられた小型のCCDカメラ、またはCMOSカメラ等であり、前方道路の状況を画像として検出する。前方カメラ30からの画像信号は画像処理装置40で画像処理を施され、コントローラ50へと出力される。前方カメラ30による検知領域は車両の前後方向中心線に対して水平方向に±30deg程度であり、この領域に含まれる前方道路風景が画像として取り込まれる。
【0011】
図3に示すように、アクセルペダル90には、リンク機構を介してサーボモータ80およびアクセルペダルストロークセンサ81が接続されている。アクセルペダルストロークセンサ81は、リンク機構を介してサーボモータ80の回転角に変換されたアクセルペダル90のストローク量(操作量)SAを検出し、コントローラ50へ出力する。
【0012】
コントローラ50は、CPUと、ROMおよびRAM等のCPU周辺部品とから構成され、車両用運転操作補助装置1全体の制御を行う。コントローラ50は、例えばCPUのソフトウェア形態により、リスクポテンシャル計算部151,アクセルペダル反力指令値計算部152,目標減速度計算部153、およびシステム作動状況表示制御部154を構成する。
【0013】
リスクポテンシャル計算部151は、レーザレーダ10および車速センサ20から入力される自車速、車間距離および自車両前方の障害物との相対車速と、画像処理装置40から入力される車両周辺の画像情報とから、障害物に対する自車両の接近度合を表すリスクポテンシャルRPを算出する。アクセルペダル反力指令値計算部152は、リスクポテンシャル計算部151で算出されたリスクポテンシャルRPに基づいて、アクセルペダル90に発生させる操作反力の指令値FAを算出する。
【0014】
目標減速度計算部153は、リスクポテンシャルRPに基づいて、制駆動力制御において自車両に発生させる目標減速度を算出する。システム作動状況表示制御部154は、車両用運転操作補助装置1で行われるリスクポテンシャルRPに応じた操作反力制御および制駆動力制御の作動状況を視覚情報として提供し、システムの機能に対する運転者の理解を補助するように表示制御を行う。
【0015】
アクセルペダル反力制御装置70は、コントローラ50からの指令値に応じてアクセルペダル操作反力を制御する。サーボモータ80は、アクセルペダル反力制御装置70からの指令に応じてトルクと回転角とを制御し、運転者がアクセルペダル90を操作する際に発生する操作反力を任意に制御する。なお、アクセルペダル反力制御を行わない場合の通常の反力特性は、例えば、操作量SAが大きくなるほどアクセルペダル反力がリニアに大きくなるよう設定されている。通常のアクセルペダル反力特性は、例えばアクセルペダル90の回転中心に設けられたねじりバネ(不図示)のバネ力によって実現することができる。
【0016】
エンジン電子制御コントローラ100は、エンジンへの制御指令を算出し、自車両に発生する駆動力を制御する駆動力制御手段である。エンジン電子制御コントローラ100は、コントローラ50の目標減速度計算部153で算出された目標減速度を実現するように、駆動力の低下補正を行う。具体的には、エンジン電子制御コントローラ100は、図4に示すような関係に従って、アクセルペダル操作量SAに応じたドライバ要求駆動力Fdaを算出する。そして、ドライバ要求駆動力Fdaから目標減速度に相当する値を減算することにより、エンジンへの制御指令を算出する。
【0017】
ブレーキアクチュエータ110は、ブレーキ液圧指令を出力し、自車両に発生する制動力を制御する制動力制御手段である。ブレーキアクチュエータ110は、目標減速度計算部153で算出された目標減速度を実現するように、制動力の増加補正を行う。なお、ブレーキアクチュエータ110による制動力制御は、エンジン電子制御コントローラ100による駆動力制御のみでは目標減速度を実現することができない場合に行う。ブレーキアクチュエータ110は、図5に示すような関係に従って、ブレーキペダル操作量(踏み込み量)SBに応じたドライバ要求制動力Fdbを算出する。そして、ドライバ要求制動力Fdbに、目標減速度に相当する値を加算することにより、ブレーキ液圧指令を出力する。ブレーキアクチュエータ110からの指令に応じて各車輪に設けられたブレーキ装置130が作動する。
【0018】
表示装置120は、例えばドットマトリクス型の表示手段であり、図6に示すように、運転者が視認しやすいように運転席前方のインストルメントパネルに設置されたコンビネーションメータ121の一部に設けられる。表示装置120は、コントローラ50のシステム作動状況表示制御部154からの信号に応じた表示パターンにより表示を行う。
【0019】
表示切替スイッチ125は、表示装置120の表示内容を切り替えるために運転者によって操作されるスイッチであり、表示切替スイッチ125からの信号はコントローラ50に入力される。
【0020】
次に、第1の実施の形態による車両用運転操作補助装置1の動作を説明する。まず、その概要を説明する。
コントローラ50は、レーザレーダ10、車速センサ20および前方カメラ30で検出された自車両の車両状態および自車両周囲の走行環境に基づいて、自車両周囲の障害物に対する自車両のリスクポテンシャルRPを算出する。リスクポテンシャルRP(Risk Potential)は、「潜在的なリスク/危急」を意味し、ここでは特に、自車両と自車両周囲に存在する障害物とが接近していくことにより増大するリスクの大きさを表す。したがって、リスクポテンシャルは、自車両と障害物とがどれほど近づいているか、すなわち自車両と障害物とが近づいている程度(接近度合)を表す物理量であるといえる。
【0021】
コントローラ50は、リスクポテンシャルRPに基づいてアクセルペダル90に発生する操作反力を制御するとともに、自車両に減速度を発生させる制駆動力制御を実行することにより、リスクポテンシャルRPを伝達して運転者の注意を喚起する。運転者は、アクセルペダル90を操作する際に発生する操作反力を触覚を介して知覚し、自車両に発生する減速度を位置感や運動感といった深部感覚により知覚する。
【0022】
制駆動力制御における目標減速度はリスクポテンシャルRPに基づいて設定される。ただし、制駆動力制御によって自車両に発生する減速度は、リスクポテンシャルRPおよび運転者によるアクセルペダル90の操作状態もしくはブレーキペダルの操作状態に依存して変化する。このため、リスクポテンシャルRPに応じてアクセルペダル90に操作反力を発生させている状態で、制駆動力制御による減速度が発生すると、運転者、とくにシステムの機能を熟知していない運転者にとっては、リスクポテンシャルRP、アクセルペダル操作反力、および目標減速度がどのような関係にあるかがわかりづらい。
【0023】
そこで、第1の実施の形態においては、リスクポテンシャルRP,アクセルペダル90に発生する操作反力,および目標減速度を表示装置120に表示して視覚情報として運転者に提供することにより、システムの作動状況に対する運転者の理解向上を促す。
【0024】
以下に、第1の実施の形態による車両用運転操作補助装置1の動作を、図7を用いて詳細に説明する。図7は、コントローラ50における運転操作補助制御プログラムの処理手順を示すフローチャートである。本処理内容は、一定間隔(例えば50msec)毎に連続的に行われる。
【0025】
ステップS101で、レーザレーダ10、車速センサ20および前方カメラ30によって検出される自車両周囲の走行環境を認識する。具体的には、自車両と自車両前方の障害物、例えば先行車との車間距離D、相対速度Vr,および自車速V1を読み込む。ステップS102では、ステップS101で読み込んだ走行環境に基づいて、前方障害物に対する自車両のリスクポテンシャルRPを算出する。以下に、リスクポテンシャルRPの算出方法を説明する。
【0026】
図8(a)に示すように、自車両200の前方に仮想的な弾性体300を設けたと仮定し、この仮想的な弾性体300が前方車両400に当たって圧縮され、自車両200に対する擬似的な走行抵抗を発生するというモデルを考える。障害物に対するリスクポテンシャルRPは、図8(b)に示すように仮想弾性体300が前方車両400に当たって圧縮された場合の反発力と定義する。ここでは、自車両と前方障害物との余裕時間TTCに関連付けた仮想弾性体と、自車両と前方障害物との車間時間THWに関連付けた仮想弾性体を設定し、算出される2つの反発力からセレクトハイによりリスクポテンシャルRPを選択する。以下に、リスクポテンシャルRPの算出方法を、図9のフローチャートを用いて説明する。
【0027】
まず、ステップS121で、自車両と前方障害物との車間時間THWおよび余裕時間TTCを算出する。車間時間THWは、前方障害物、例えば先行車の現在位置に自車両が到達するまでの時間を示す物理量であり、以下の(式1)から算出される。
THW=D/V1 ・・・(式1)
【0028】
先行車に対する余裕時間TTCは、先行車に対する現在の自車両の接近度合を示す物理量であり、現在の走行状況が継続した場合、つまり自車速V1および相対車速Vrが一定の場合に、何秒後に車間距離Dがゼロとなり自車両と先行車両とが接触するかを示す値である。なお、相対速度Vrは、(自車速−先行車速)として算出され、自車速よりも先行車速が速い場合は、相対速度Vr=0として扱う。障害物に対する余裕時間TTCは、以下の(式2)で求められる。
TTC=D/Vr ・・・(式2)
【0029】
余裕時間TTCの値が小さいほど、先行車への接触が緊迫し、先行車への接近度合が大きいことを意味している。例えば先行車への接近時には、余裕時間TTCが4秒以下となる前に、ほとんどのドライバが減速行動を開始することが知られている。
【0030】
ステップS122では、車間時間THWをしきい値TH1と比較する。車間時間THWが制御開始を判断するために適切に設定されたしきい値TH1(例えば2sec)より小さい場合(THW<TH1)は、ステップS123へ進む。ステップS123では、自車速V1と車間時間THWを用いて、以下の(式3)から車間時間THWに基づくリスクポテンシャルRPthwを算出する。
RPthw=K_THW×(TH1−THW)×V1 ・・・(式3)
(式3)においてK_THWは車間時間THWに関連付けた仮想弾性体のばね定数であり、TH1・V1は仮想弾性体の長さに相当する。
【0031】
ステップS122でTHW≧TH1と判定された場合は、ステップS124へ進んでリスクポテンシャルRPthw=0にする。
【0032】
ステップS125では、余裕時間TTCをしきい値TH2と比較する。余裕時間TTCが制御開始を判断するために適切に設定されたしきい値TH2(例えば8sec)より小さい場合(TTC<TH2)は、ステップS126へ進む。ステップS126では、相対速度Vrと余裕時間TTCを用いて、以下の(式4)から余裕時間TTCに基づくリスクポテンシャルRPttcを算出する。
RPttc=K_TTC×(TH2−TTC)×Vr ・・・(式4)
(式4)においてK_TTCは余裕時間TTCに関連付けた仮想弾性体のばね定数であり、TH2・Vrは仮想弾性体の長さに相当する。
【0033】
ステップS125でTTC≧TH2と判定された場合は、ステップS127へ進んでリスクポテンシャルRPttc=0にする。
【0034】
つづくステップS128では、ステップS123またはS124で算出した車間時間THWに基づくリスクポテンシャルRPthwと、ステップS126またはS127で算出した余裕時間TTCに基づくリスクポテンシャルRPttcのうち、大きい方の値を最終的なリスクポテンシャルRPとして選択する。
【0035】
このようにステップS102でリスクポテンシャルRPを算出した後、ステップS103へ進む。ステップ103では、アクセルペダルストロークセンサ81によって検出されるアクセルペダル90の操作量SAを読み込む。ステップS104では、ステップS102で算出したリスクポテンシャルRPに基づいて、アクセルペダル反力指令値FAを算出する。まず、リスクポテンシャルRPに応じた反力増加量ΔFを算出する。
【0036】
図10に、リスクポテンシャルRPと反力増加量ΔFとの関係を示す。図10に示すように、リスクポテンシャルRPが最小値RPmin以下の場合は、反力増加量ΔFを0とする。これは、自車両周囲のリスクポテンシャルRPが非常に小さいときにアクセルペダル反力FAを増加することによって、運転者に煩わしさを与えてしまうことを避けるためである。最小値RPminは、予め適切な値を設定しておく。
【0037】
リスクポテンシャルRPが最小値RPminを超える領域では、リスクポテンシャルRPに応じて反力増加量ΔFが指数関数的に増加するように設定する。反力増加量ΔFは、以下の(式5)で表される。
ΔF=α・RPn ・・・(式5)
ここで、定数α、nはそれぞれ車種等によって異なり、ドライブシミュレータや実地試験によって取得される結果に基づいて、リスクポテンシャルRPを効果的に反力増加量ΔFに変換できるように予め適切に設定しておく。(式5)に従って算出した反力増加量ΔFを、アクセルペダル操作量SAに応じた通常の反力特性に加算することにより、アクセルペダル反力指令値FAを算出する。
【0038】
ステップS105では、ステップS102で算出したリスクポテンシャルRPに基づいて、自車両に発生させる減速度の目標値(目標減速度)Ddを算出する。図11に、リスクポテンシャルRPと目標減速度Ddとの関係を示す。図11に示すように、リスクポテンシャルRPが所定値RP1よりも大きくなると、目標減速度Ddが徐々に大きくなり、所定値RP2(>RP1)を超えると目標減速度Ddが所定の最大値Ddmaxに固定される。
【0039】
ステップS106では、表示装置120に表示する表示内容選択を行う。具体的には、車両用運転操作補助装置1の作動状況を表す複数のパラメータ、すなわちリスクポテンシャルRP、アクセルペダル反力増加量ΔF,および目標減速度Ddから、表示装置120に表示するための2つ以上のパラメータを選択する。図12に、選択可能なパラメータの組み合わせを示す。
【0040】
運転者は表示切替スイッチ125を操作することにより、アクセルペダル反力増加量ΔF,目標減速度DdおよびリスクポテンシャルRPを表示するケース1、リスクポテンシャルRPとアクセルペダル反力増加量ΔFを表示するケース2、リスクポテンシャルRPと目標減速度Ddを表示するケース3、およびアクセルペダル反力増加量ΔFと目標減速度Ddを表示するケース4のいずれかを選択することができる。なお、コントローラ50のシステム作動状況表示制御部154には、ケース1が初期設定として設定されている。
【0041】
ステップS107では、ステップS106で選択した表示内容に従って、表示装置120の表示内容を決定する。ここでの処理を、図13のフローチャートを用いて説明する。
【0042】
まず、ステップS171で、車両用運転操作補助装置1のシステム作動状況を読み込む。具体的には、ステップS102で算出したリスクポテンシャルRP,ステップS104で算出したアクセルペダル反力増加量ΔF,およびステップS105で算出した目標減速度Ddを読み込む。ステップS172では、ステップS106の表示内容選択結果を読み込む。以降では、表示内容としてケース1が選択された場合を例として説明する。
【0043】
選択されたパラメータは、図14に示すように2軸からなる平面(作動状況表示部122)上に表示される。作動状況表示部122は表示装置120内に設定される。図12に示す第1のパラメータは作動状況表示部122の横軸(X軸)に設定され、第2のパラメータは縦軸(Y軸)に設定される。X軸は作動状況表示部122の左端を原点0とし、右方向に進むほど値が大きくなり、Y軸は作動状況表示部122の下端を原点0とし、上方に進むほど値が大きくなるように設定されている。なお、図14において、「0」「Xmax」「Ymax」は説明を容易にするために示されているのみであり、実際には表示されない。
【0044】
作動状況表示部122において、X軸上の第1のパラメータとY軸上の第2のパラメータとが交差する位置にシステム作動状況を示す略円形のアイコン123を表示する。第3のパラメータはアイコン123の大きさ、例えば半径または面積として表す。
【0045】
ステップS173では、第1のパラメータのX軸上の表示位置dxを決定する。ここでは、第1のパラメータとしてアクセルペダル反力増加量ΔFが選択されているので、図15に従って表示位置dxを算出する。図15に示すように、アクセルペダル反力増加量ΔFが所定値ΔF1よりも大きくなるほど表示位置dxが大きくなる。すなわち、アクセルペダル反力増加量ΔFが大きくなるほど表示位置dxがX軸において右方向に移動する。アクセルペダル反力増加量ΔFの最大値ΔFmaxの表示位置dxはX軸の最大値Xmaxに対応する。
【0046】
ステップS174では、第2のパラメータのY軸上の表示位置dyを決定する。ここでは、第2のパラメータとして目標減速度Ddが選択されているので、図16に従って表示位置dyを算出する。図16に示すように、目標減速度Ddが所定値Dd1よりも大きくなるほど表示位置dyが大きくなる。すなわち、目標減速度Ddが大きくなるほど表示位置dyがY軸において上方向に移動する。目標減速度Ddの最大値Ddmaxの表示位置dyはY軸の最大値Ymaxに対応する。
【0047】
つづくステップS175では、表示内容選択結果から、第3のパラメータも表示するケース1が選択されているか否かを判定する。ケース1が選択されている場合はステップS176へ進む。ステップS176では、第3のパラメータの表示量dZを決定する。表示量dZはアイコン123の大きさを表し、アイコン123の半径、または面積として設定する。第3のパラメータはリスクポテンシャルRPであるので、図17に従ってリスクポテンシャルRPに応じた表示量dZを算出する。図17に示すようにリスクポテンシャルRPが大きくなるほど表示量dZが初期値dZ1から徐々に大きくなる。これにより、リスクポテンシャルRPの増加に応じて表示されるアイコン123が大きくなる。
【0048】
なお、ステップS175が否定判定され、表示内容として3つのパラメータを表示するケース1以外が選択されている場合は、ステップS176をスキップしてこの処理を終了する。
【0049】
以上ではケース1が選択されている場合を説明したが、ケース2〜ケース4のいずれかが選択されている場合も同様にして表示位置dx、dyを決定する。ケース2が選択されている場合は、図18に従って、第1のパラメータであるリスクポテンシャルRPのX軸上の表示位置dxを決定する。図18に示すように、リスクポテンシャルRPが所定値RP3よりも大きくなるほど表示位置dxが大きくなる。すなわち、リスクポテンシャルRPが大きくなるほど表示位置dxがX軸において右方向に移動する。リスクポテンシャルRPが所定値RP4を超えると表示位置dxはX軸の最大値Xmaxに設定される。また、第2のパラメータであるアクセルペダル反力増加量ΔFのY軸上の表示位置dyは図15に従って設定される。
【0050】
ケース3が選択されている場合は、第1のパラメータであるリスクポテンシャルRPのX軸上の表示位置dxを図18に従って設定し、第2のパラメータである目標減速度DdのY軸上の表示位置dyを図16に従って設定する。ケース4が選択されている場合は、第1のパラメータであるアクセルペダル反力増加量ΔFのX軸上の表示位置dxを図15に従って設定し、第2のパラメータである目標減速度DdのY軸上の表示位置dyを図16に従って設定する。
【0051】
このように、ステップS107でシステム作動状況表示内容を決定した後、ステップS108へ進む。ステップS108では、ステップS104で算出したアクセルペダル反力指令値FAを、アクセルペダル反力制御装置70へ出力する。アクセルペダル反力制御装置70は、コントローラ50から入力された指令に従ってサーボモータ80を制御し、運転者がアクセルペダル90を操作するときに発生する操作反力を制御する。
【0052】
ステップS109では、ステップS105で算出した目標減速度Ddをエンジン電子制御コントローラ100へ出力する。エンジン電子制御コントローラ100は、運転者によるアクセルペダル操作量SAに基づくドライバ要求駆動力Fdaと目標減速度Ddとを比較し、目標減速度Ddを実現するようにドライバ要求駆動力Fdaを減算補正してエンジン制御指令を出力する。これにより、自車両に発生する駆動力が低下し、運転者に減速感を与えて運転者の注意を喚起することができる。目標減速度Ddに相当する駆動力低下量がドライバ要求駆動力Fdaよりも大きい場合は、次のステップS110において制動力を増加する制動力制御を行う。
【0053】
ステップS110では、ステップS105で算出した目標減速度Ddをブレーキペダルアクチュエータ110に出力する。目標減速度Ddに相当する駆動力低下量がドライバ要求駆動力Fdaよりも大きく、駆動力制御のみでは目標減速度Ddを実現できない場合は、制動力制御を行う。具体的には、目標減速度Ddの不足分を発生するように、運転者によるブレーキペダル操作量SBに基づくドライバ要求制動力Fdbを増加補正してブレーキ液圧指令を出力する。これにより、自車両に発生する制動力が増加し、運転者に減速感を与えて運転者の注意を喚起することができる。この場合は、自車両に発生する駆動力を低下するとともに、制動力を増加することにより、全体として自車両に目標減速度Ddを発生させる。
【0054】
つづくステップS111では、ステップS107で決定された表示内容に従って、システム作動状況に関する表示を行うよう表示装置120に信号を出力する。表示装置120の作動状況表示部122には、図14に示すように複数のパラメータに対応付けたアイコン123が表示される。上述したようにケース1が選択されている場合は、アクセルペダル反力増加量ΔFに対応する表示位置dxと目標減速度Ddに対応する表示位置dyとの交点に、リスクポテンシャルRPに応じた大きさのアイコン123が点灯表示される。
【0055】
このように、以上説明した第1の実施の形態においては、以下のような作用効果を奏することができる。
(1)車両用運転操作補助装置1は、自車両前方に存在する障害物を検出し、その検出結果に基づいて障害物に対する自車両のリスクポテンシャルRPを算出する。リスクポテンシャルRPに基づいて自車両に発生させる目標減速度Ddを算出し、算出した目標減速度Ddを発生させるように自車両に発生する制駆動力を制御する。また、リスクポテンシャルRPに基づいて運転操作機器であるアクセルペダル90に発生させる操作反力、具体的には反力増加量ΔFを算出し、反力増加量ΔFをアクセルペダル90に付加して操作反力を発生させることにより操作反力制御を行う。さらに、制駆動力制御および操作反力制御の作動状況を表す複数のパラメータを、複数のパラメータよりも少ない数の図形を用いて表示装置120に同時に、すなわち一括で表示するよう制御する。制駆動力制御により運転者に減速感を与えるとともに、運転操作のために運転者が操作する運転操作機器に操作反力を付加することにより、障害物に対するリスクポテンシャルRPを運転者に伝えて注意を喚起することができる。車両用運転操作補助装置1の作動状況を表す複数のパラメータを、同時に、シンプルな図形を用いて表示することにより、パラメータ間の相互作用を運転者に理解させ、システムの作動状況に対する運転者の理解を補助することが可能となる。
(2)コントローラ50のシステム作動状況表示制御部154は、リスクポテンシャルRP,目標減速度、および操作反力、具体的には反力増加量ΔFのいずれか2つ以上を複数のパラメータとして選択的に表示するよう制御する。車両用運転操作補助装置1で行われる制御の作動状況を示すこれらのパラメータを、同時に、かつシンプルに表示することにより、パラメータ間の相互作用およびシステムの作動状況を運転者に視覚情報として直感的に伝えることができる。
(3)システム作動状況表示制御部154は、複数のパラメータを平面上の一つの図形として表示する。例えば、図14に示すようなxy平面に一つのアイコン123を表示する。これにより、複数のパラメータを一つの図形によりシンプルに表示することができる。
(4)システム作動状況表示制御部154は、2つのパラメータを表示する場合に、第1のパラメータを平面の横軸に設定し、第2のパラメータを平面の縦軸に設定する。例えば、図14においてx軸に第1のパラメータ、y軸に第2のパラメータを設定する。これにより、複数のパラメータを一つの図形によりシンプルにわかりやすく表示することができる。
(5)3つのパラメータを表示する場合は、第3のパラメータに応じて図形の大きさを設定する。例えば図14に示すアイコン123の大きさを第3のパラメータが大きくなるほど大きくする。これにより、第1のパラメータと第2のパラメータの相互関係を保ったまま、第3のパラメータをシンプルにわかりやすく表示することができる。
【0056】
《第2の実施の形態》
本発明の第2の実施の形態による車両用運転操作補助装置について説明する。第2の実施の形態における車両用運転操作補助装置の基本構成は、図1および図2に示した第1の実施の形態と同様である。ここでは、第1の実施の形態との相違点を主に説明する。
【0057】
第2の実施の形態においては、表示装置120に表示する第1のパラメータと第2のパラメータの将来の変化方向を比較し、第1のパラメータと第2のパラメータの将来の変化方向が異なる場合にアイコン123を点滅させる。ここで、表示されるパラメータの時間当たりの変化量が正の値である場合はパラメータが増加しているので、このパラメータの将来の変化方向を増加方向と判断する。また、時間当たりの変化量が負の値である場合はパラメータが減少しているので、このパラメータの将来の変化方向を減少方向と判断する。
【0058】
第2の実施の形態におけるシステム作動状況表示内容決定処理を、図19のフローチャートを用いて説明する。この処理は、図7のフローチャートのステップS107で実行される。ステップS271〜ステップS276での処理は、図13のステップS171〜S176での処理と同様であるので説明を省略する。
【0059】
ステップS277では、第1のパラメータの変化方向と第2のパラメータの変化方向を判断する。まず、第1のパラメータの時間当たりの変化量Δxと第2のパラメータの時間当たりの変化量Δyを算出する。変化量Δx、Δyは、第1のパラメータまたは第2のパラメータとして選択されるリスクポテンシャルRP,反力増加量ΔF,もしくは目標減速度Ddをそれぞれ時間微分することにより算出することができる。なお、目標減速度Ddについては、アクセルペダル操作量SAに基づくドライバ要求駆動力Fdaから目標減速度Ddを減算することにより得られる駆動力補正量、もしくはブレーキペダル操作量SBに基づくドライバ要求制動力Fdbに目標減速度を加算することにより得られる制動力補正量の変化量を算出する。
【0060】
第1のパラメータと第2のパラメータの変化方向の判断には、以下の(式6)を用いる。
PD=sign(sin(Δy/Δx)) ・・・(式6)
(式6)においてPDは、変化量Δx、Δyを成分とするベクトルの方向に相当し、作動状況表示部122におけるアイコン123の変化方向を表している。
【0061】
つづくステップS278では、ステップS277の判断結果から、第1のパラメータと第2のパラメータの変化方向が異なるか否かを判定する。(式6)から算出される変化方向PD=−1の場合は、第1のパラメータと第2のパラメータの変化方向が異なる、すなわち一方が増加、他方が減少と判定し、ステップS279へ進む。
【0062】
ステップS279では、アイコン123を点滅させるための点滅周期Bfを第1のパラメータおよび第2のパラメータの変化量Δx、Δyに基づいて設定する。まず、変化量Δx、Δyから、以下の(式7)を用いて表示装置120に表示される作動状況の全体の変化量を示す作動状況変化量Δsを算出する。
Δs=sqrt(Δx2+Δy2) ・・・(式7)
【0063】
アイコン123の点滅周期Bfは、作動状況変化量Δsの関数として以下の(式8)から算出される。
Bf=f(Δs) ・・・(式8)
点滅周期Bfは、変化量Δx、Δyを成分とするベクトルの長さに相当する。
【0064】
図20に、作動状況変化量Δsと点滅周期Bfとの関係を示す。図20に示すように、作動状況変化量Δsが最小値Δs1よりも大きくなると、作動状況変化量Δsが大きくなるにしたがって点滅周期Bfが初期値Bf1から所定値Bf2まで徐々に小さくなる。これにより、第1のパラメータと第2のパラメータが異なる方向に大きく変化するほど、アイコン123が速く点滅する。
【0065】
なお、ステップS278が否定判定され、第1のパラメータと第2のパラメータの変化方向が同じである場合は、ステップS279をスキップしてアイコン123を点滅させずにこの処理を終了する。
【0066】
このように、以上説明した第2の実施の形態においては、上述した第1の実施の形態による効果に加えて、以下のような作用効果を奏することができる。
(1)システム作動状況表示制御部154は、複数のパラメータのそれぞれの将来の変化方向が異なる場合に、将来の変化方向が異なることを表示装置120に表示するよう制御する。例えばケース4を想定すると、リスクポテンシャルRPの増加中に第1のパラメータであるアクセルペダル反力増加量ΔFは増加するが、第2のパラメータである目標減速度Ddに対応してシステムが発生させる減速度が低下する場合がある。例えば、アクセルペダル90が戻し方向に操作されていると、リスクポテンシャルRPが増加しているにも関わらず制駆動力制御による駆動力の減少量が低下することがある。このように第1のパラメータと第2のパラメータの変化方向が異なることを知らせることにより、複数のパラメータの相関関係を運転者に直感的に認識させることが可能となる。
(2)システム作動状況表示制御部154は、将来の変化方向が異なる場合に表示装置120に表示する図形を点滅させる。例えば図14に示すアイコン123を点滅させる。このようにアイコン123を点滅させることにより、複数のパラメータの相関関係を運転者に直感的に認識させることが可能となる。
(3)システム作動状況表示制御部154は、複数のパラメータの総合的な変化量が大きいほど図形の点滅周期を短くする。具体的には、表示装置120に表示される作動状況の全体の変化量を示す作動状況変化量Δsに基づいて、図20に従って点滅周期Bfを算出する。これにより、第1のパラメータと第2のパラメータが異なる方向に大きく変化するほど、アイコン123が速く点滅するので、運転者は複数のパラメータの変化の状態を容易に認識することが可能となる。
【0067】
なお、上述した第2の実施の形態において、第1のパラメータの変化量Δxおよび第2のパラメータの変化量Δyとして、表示位置dx、dyの時間当たりの変化量を用いることも出来る。また、第1のパラメータと第2のパラメータの変化方向が異なる場合のアイコン123の点滅周期Bfを固定値に設定し、アイコン123を点滅させることもできる。アイコン123の点滅周期Bfを変更する代わりに、例えばアイコンの点灯と消灯の比率を変化させることも可能である。
【0068】
表示装置120に表示する複数のパラメータの組み合わせは、図12に示したものには限定されない。例えば、第3のパラメータとして目標減速度Ddまたはアクセルペダル反力増加量ΔFを設定することも可能である。第3のパラメータとして目標減速度Ddまたはアクセルペダル反力増加量ΔFを選択した場合も、DdまたはΔFが大きくなるほどアイコン123の表示量dzが大きくなるように設定する。
【0069】
また、上述した第1及び第2の実施の形態では、図14に示すようなxy平面上に複数のパラメータを一括表示する例を説明した。ただし、これには限定されず、別の表示形態により複数のパラメータを一括表示することも可能である。例えば、表示装置120において一次元的に移動する円形のアイコンを設定し、第1のパラメータに応じてアイコンの表示位置を設定し、第2のパラメータに応じてアイコンの輝度や表示色を設定するように構成することも出来る。
【0070】
表示装置120に表示するアイコン123の形状は、図14に示したものには限定されない。例えば、アイコン123を四角や楕円形状とすることも出来る。また、アイコン123を矢印形状とし、矢印が第1のパラメータおよび第2のパラメータの変化方向を指し示すように構成することもできる。第3のパラメータに応じてアイコン123の大きさを変更する代わりに、第3のパラメータに応じて半径が変化する環状の図形をアイコン123の周囲に配置するような表示形態とすることも出来る。この場合も、複数のパラメータを表示パラメータよりも少ない数の図形で表示することができる。また、作動状況表示部122に表示されている複数のパラメータが何であるかを表示装置120に表示するように構成することもできる。表示装置120をコンビネーションメータ121以外に配置したり、ドットマトリクス型以外の表示手段として構成することも可能である。
【0071】
上述した第1および第2の実施の形態においては、自車両と前方障害物との車間時間THWおよび余裕時間TTCに関連付けた2つの仮想弾性体の反発力をリスクポテンシャルRPとして算出した。ただしこれには限定されず、車間時間THWまたは余裕時間TTCに関連付けた仮想弾性体の反発力のみをリスクポテンシャルRPとして算出することも可能である。あるいは、車間時間THWの逆数の関数と余裕時間TTCの逆数の関数とを加算したり、これらからセレクトハイによりリスクポテンシャルRPを算出することもできる。
【0072】
リスクポテンシャルRPと反力増加量ΔFとの関係は図10に示すものには限定されず、リスクポテンシャルRPが増加するほど反力増加量ΔFが増加するように設定することができる。上述した第1および第2の実施の形態においては、リスクポテンシャルRPに応じたアクセルペダル操作反力制御を行った。アクセルペダル90は、運転者が自車両を運転操作するときに操作する運転操作機器であり、リスクポテンシャルRPを操作反力として運転者に連続的に伝達することができる。運転操作機器として、例えばブレーキペダルやステアリングホイールを用い、リスクポテンシャルRPに応じてブレーキペダルやステアリングホイールに発生する操作反力を制御することも可能である。
【0073】
上述した第1および第2の実施の形態では、リスクポテンシャルRPに応じて運転操作機器に発生する操作反力を制御する操作反力制御と目標減速度Ddを発生させる制駆動力制御を行った。ただし、これには限定されず、リスクポテンシャルRPに応じて制駆動力制御のうち、駆動力制御のみを行うことも可能である。
【0074】
以上説明した第1および第2の実施の形態において、レーザレーダ10,車速センサ20,および前方カメラ30は障害物検出手段として機能し、リスクポテンシャル計算部151はリスクポテンシャル算出手段として機能し、目標減速度計算部153は目標減速度算出手段として機能し、エンジン電子制御コントローラ100およびブレーキアクチュエータ110は制駆動力制御手段として機能し、アクセルペダル反力指令値計算部152は操作反力算出手段として機能し、アクセルペダル反力制御装置70は操作反力発生手段として機能し、システム作動状況表示制御部154は表示制御手段として機能することができる。ただし、これらには限定されず、障害物検出手段として別方式のミリ波レーダ等を用いることもできる。また、制駆動力制御手段としてエンジン電子制御コントローラ100およびブレーキアクチュエータ110のいずれか一方を用いたり、これらとは別の手段により自車両に減速度を発生させるように構成することも可能である。また、システ作動状況表示制御部154をコントローラ50とは独立して構成することもできる。なお、以上の説明はあくまで一例であり、発明を解釈する際、上記の実施形態の記載事項と特許請求の範囲の記載事項の対応関係になんら限定も拘束もされない。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の第1の実施の形態による車両用運転操作補助装置のシステム図。
【図2】第1の実施の形態による車両用運転操作補助装置を搭載した車両の構成図。
【図3】アクセルペダル周辺の構成図。
【図4】アクセルペダル操作量とドライバ要求駆動力との関係を示す図。
【図5】ブレーキペダル操作量とドライバ要求制動力との関係を示す図。
【図6】コンビネーションメータに設置される表示装置を示す図。
【図7】第1の実施の形態による車両用運転操作補助制御プログラムの処理手順を示すフローチャート。
【図8】(a)(b)リスクポテンシャルの算出方法を説明する図。
【図9】リスクポテンシャル算出処理の処理手順を示すフローチャート。
【図10】リスクポテンシャルと反力増加量との関係を示す図。
【図11】リスクポテンシャルと目標減速度との関係を示す図。
【図12】複数の表示パラメータの組み合わせを示す図。
【図13】システム作動状況表示内容決定処理の処理手順を示すフローチャート。
【図14】表示装置の表示例を示す図。
【図15】アクセルペダル反力増加量と表示位置との関係を示す図。
【図16】目標減速度と表示位置との関係を示す図。
【図17】リスクポテンシャルと表示量との関係を示す図。
【図18】リスクポテンシャルと表示位置との関係を示す図。
【図19】第2の実施の形態におけるシステム作動状況表示内容決定処理の処理手順を示すフローチャート。
【図20】作動状況変化量とアイコンの点滅周期との関係を示す図。
【符号の説明】
【0076】
10:レーザレーダ、20:車速センサ、30:前方カメラ、50:コントローラ、70:アクセルペダル反力制御装置、100:エンジン電子制御コントローラ、110:ブレーキアクチュエータ、120:表示装置、125:表示切替スイッチ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両前方に存在する障害物を検出する障害物検出手段と、
前記障害物検出手段の検出結果に基づいて、前記障害物に対する前記自車両のリスクポテンシャルを算出するリスクポテンシャル算出手段と、
前記リスクポテンシャル算出手段によって算出される前記リスクポテンシャルに基づいて、前記自車両に発生させる目標減速度を算出する目標減速度算出手段と、
前記目標減速度算出手段で算出された前記目標減速度を発生させるように前記自車両に発生する制駆動力を制御する制駆動力制御手段と、
前記リスクポテンシャル算出手段によって算出される前記リスクポテンシャルに基づいて、運転操作機器に発生させる操作反力を算出する操作反力算出手段と、
前記操作反力算出手段で算出された前記操作反力を前記運転操作機器に発生させる操作反力発生手段と、
制駆動力制御および操作反力制御の作動状況を表す複数のパラメータを、前記複数のパラメータよりも少ない数の図形を用いて表示手段に一括表示するよう制御する表示制御手段とを備えることを特徴とする車両用運転操作補助装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用運転操作補助装置において、
前記表示制御手段は、前記リスクポテンシャル、前記目標減速度、および前記操作反力のいずれか2つ以上を前記複数のパラメータとして選択的に表示するよう制御することを特徴とする車両用運転操作補助装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の車両用運転操作補助装置において、
前記表示制御手段は、前記複数のパラメータを平面上の一つの図形として表示するよう制御することを特徴とする車両用運転操作補助装置。
【請求項4】
請求項3に記載の車両用運転操作補助装置において、
前記表示制御手段は、前記複数のパラメータが2つである場合に、第1のパラメータを前記平面の横軸に設定し、第2のパラメータを前記平面の縦軸に設定することを特徴とする車両用運転操作補助装置。
【請求項5】
請求項3に記載の車両用運転操作補助装置において、
前記表示制御手段は、前記複数のパラメータが3つである場合に、第1のパラメータを前記平面の横軸に設定し、第2のパラメータを前記平面の縦軸に設定し、第3のパラメータに応じて前記図形の大きさを設定することを特徴とする車両用運転操作補助装置。
【請求項6】
請求項2に記載の車両用運転操作補助装置において、
前記表示制御手段は、前記複数のパラメータのそれぞれの将来の変化方向が異なる場合に、前記将来の変化方向が異なることを前記表示手段に表示するよう制御することを特徴とする車両用運転操作補助装置。
【請求項7】
請求項6に記載の車両用運転操作補助装置において、
前記表示制御手段は、前記将来の変化方向が異なる場合に、前記表示手段に表示する前記図形を点滅させることを特徴とする車両用運転操作補助装置。
【請求項8】
請求項7に記載の車両用運転操作補助装置において、
前記表示制御手段は、前記複数のパラメータの総合的な変化量が大きいほど前記図形の点滅周期を短くすることを特徴とする車両用運転操作補助装置。
【請求項9】
自車両前方に存在する障害物を検出し、
前記障害物の検出結果に基づいて、前記障害物に対する前記自車両のリスクポテンシャルを算出し、
前記リスクポテンシャルに基づいて、前記自車両に発生させる目標減速度を算出し、
前記目標減速度を発生させるように前記自車両に発生する制駆動力を制御し、
前記リスクポテンシャルに基づいて、運転操作機器に発生させる操作反力を算出し、
前記操作反力を前記運転操作機器に発生させ、
制駆動力制御および操作反力制御の作動状況を表す複数のパラメータを、前記複数のパラメータよりも少ない数の図形を用いて表示手段に一括表示するよう制御することを特徴とする車両用運転操作補助方法。
【請求項10】
自車両前方に存在する障害物を検出する障害物検出手段と、
前記障害物検出手段の検出結果に基づいて、前記障害物に対する前記自車両のリスクポテンシャルを算出するリスクポテンシャル算出手段と、
前記リスクポテンシャル算出手段によって算出される前記リスクポテンシャルに基づいて、前記自車両に発生させる目標減速度を算出する目標減速度算出手段と、
前記目標減速度算出手段で算出された前記目標減速度を発生させるように前記自車両に発生する制駆動力を制御する制駆動力制御手段と、
前記リスクポテンシャル算出手段によって算出される前記リスクポテンシャルに基づいて、運転操作機器に発生させる操作反力を算出する操作反力算出手段と、
前記操作反力算出手段で算出された前記操作反力を前記運転操作機器に発生させる操作反力発生手段と、
制駆動力制御および操作反力制御の作動状況を表す複数のパラメータを、前記複数のパラメータよりも少ない数の図形を用いて表示手段に一括表示するよう制御する表示制御手段とを有する車両用運転操作補助装置を備えることを特徴とする車両。
【請求項1】
自車両前方に存在する障害物を検出する障害物検出手段と、
前記障害物検出手段の検出結果に基づいて、前記障害物に対する前記自車両のリスクポテンシャルを算出するリスクポテンシャル算出手段と、
前記リスクポテンシャル算出手段によって算出される前記リスクポテンシャルに基づいて、前記自車両に発生させる目標減速度を算出する目標減速度算出手段と、
前記目標減速度算出手段で算出された前記目標減速度を発生させるように前記自車両に発生する制駆動力を制御する制駆動力制御手段と、
前記リスクポテンシャル算出手段によって算出される前記リスクポテンシャルに基づいて、運転操作機器に発生させる操作反力を算出する操作反力算出手段と、
前記操作反力算出手段で算出された前記操作反力を前記運転操作機器に発生させる操作反力発生手段と、
制駆動力制御および操作反力制御の作動状況を表す複数のパラメータを、前記複数のパラメータよりも少ない数の図形を用いて表示手段に一括表示するよう制御する表示制御手段とを備えることを特徴とする車両用運転操作補助装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用運転操作補助装置において、
前記表示制御手段は、前記リスクポテンシャル、前記目標減速度、および前記操作反力のいずれか2つ以上を前記複数のパラメータとして選択的に表示するよう制御することを特徴とする車両用運転操作補助装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の車両用運転操作補助装置において、
前記表示制御手段は、前記複数のパラメータを平面上の一つの図形として表示するよう制御することを特徴とする車両用運転操作補助装置。
【請求項4】
請求項3に記載の車両用運転操作補助装置において、
前記表示制御手段は、前記複数のパラメータが2つである場合に、第1のパラメータを前記平面の横軸に設定し、第2のパラメータを前記平面の縦軸に設定することを特徴とする車両用運転操作補助装置。
【請求項5】
請求項3に記載の車両用運転操作補助装置において、
前記表示制御手段は、前記複数のパラメータが3つである場合に、第1のパラメータを前記平面の横軸に設定し、第2のパラメータを前記平面の縦軸に設定し、第3のパラメータに応じて前記図形の大きさを設定することを特徴とする車両用運転操作補助装置。
【請求項6】
請求項2に記載の車両用運転操作補助装置において、
前記表示制御手段は、前記複数のパラメータのそれぞれの将来の変化方向が異なる場合に、前記将来の変化方向が異なることを前記表示手段に表示するよう制御することを特徴とする車両用運転操作補助装置。
【請求項7】
請求項6に記載の車両用運転操作補助装置において、
前記表示制御手段は、前記将来の変化方向が異なる場合に、前記表示手段に表示する前記図形を点滅させることを特徴とする車両用運転操作補助装置。
【請求項8】
請求項7に記載の車両用運転操作補助装置において、
前記表示制御手段は、前記複数のパラメータの総合的な変化量が大きいほど前記図形の点滅周期を短くすることを特徴とする車両用運転操作補助装置。
【請求項9】
自車両前方に存在する障害物を検出し、
前記障害物の検出結果に基づいて、前記障害物に対する前記自車両のリスクポテンシャルを算出し、
前記リスクポテンシャルに基づいて、前記自車両に発生させる目標減速度を算出し、
前記目標減速度を発生させるように前記自車両に発生する制駆動力を制御し、
前記リスクポテンシャルに基づいて、運転操作機器に発生させる操作反力を算出し、
前記操作反力を前記運転操作機器に発生させ、
制駆動力制御および操作反力制御の作動状況を表す複数のパラメータを、前記複数のパラメータよりも少ない数の図形を用いて表示手段に一括表示するよう制御することを特徴とする車両用運転操作補助方法。
【請求項10】
自車両前方に存在する障害物を検出する障害物検出手段と、
前記障害物検出手段の検出結果に基づいて、前記障害物に対する前記自車両のリスクポテンシャルを算出するリスクポテンシャル算出手段と、
前記リスクポテンシャル算出手段によって算出される前記リスクポテンシャルに基づいて、前記自車両に発生させる目標減速度を算出する目標減速度算出手段と、
前記目標減速度算出手段で算出された前記目標減速度を発生させるように前記自車両に発生する制駆動力を制御する制駆動力制御手段と、
前記リスクポテンシャル算出手段によって算出される前記リスクポテンシャルに基づいて、運転操作機器に発生させる操作反力を算出する操作反力算出手段と、
前記操作反力算出手段で算出された前記操作反力を前記運転操作機器に発生させる操作反力発生手段と、
制駆動力制御および操作反力制御の作動状況を表す複数のパラメータを、前記複数のパラメータよりも少ない数の図形を用いて表示手段に一括表示するよう制御する表示制御手段とを有する車両用運転操作補助装置を備えることを特徴とする車両。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2007−153257(P2007−153257A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−354567(P2005−354567)
【出願日】平成17年12月8日(2005.12.8)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月8日(2005.12.8)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
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