車載用ナビゲーション装置
【課題】誘導経路上の注意すべき案内ポイントの情報をユーザに分かりやすく表示することが可能な「車載用ナビゲーション装置」を提供すること。
【解決手段】目的地までの注意ポイントを含む誘導経路を探索し、当該誘導経路に沿って車両を誘導する機能を備えた車載用ナビゲーション装置は、表示手段と、地図データが格納された記憶手段と、自車両の現在位置を検出する自車位置検出手段と、誘導経路上の各注意ポイントの周辺の地図データを記憶手段から抽出して圧縮した簡略地図データを生成する制御手段とを有する。制御手段は、注意ポイントの周辺の簡略地図を表示する旨の指示があったとき、表示手段の画面を上部画面と下部画面に２分割し、上部画面に注意ポイントを識別する識別番号及び注意ポイントの周辺の簡略地図画像を表示させ、下部画面に自車両の現在位置周辺の地図画像を表示させる。
【解決手段】目的地までの注意ポイントを含む誘導経路を探索し、当該誘導経路に沿って車両を誘導する機能を備えた車載用ナビゲーション装置は、表示手段と、地図データが格納された記憶手段と、自車両の現在位置を検出する自車位置検出手段と、誘導経路上の各注意ポイントの周辺の地図データを記憶手段から抽出して圧縮した簡略地図データを生成する制御手段とを有する。制御手段は、注意ポイントの周辺の簡略地図を表示する旨の指示があったとき、表示手段の画面を上部画面と下部画面に２分割し、上部画面に注意ポイントを識別する識別番号及び注意ポイントの周辺の簡略地図画像を表示させ、下部画面に自車両の現在位置周辺の地図画像を表示させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、誘導経路に従って車両を目的地まで案内する車載用ナビゲーション装置に関し、特に、誘導経路上の注意すべき案内ポイント（注意ポイント）を容易に把握することが可能な車載用ナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来の典型的な車載用ナビゲーション装置は、ナビゲーションに係る一切の処理を制御するＣＰＵ等の制御装置、地図データを予め記憶させたＤＶＤ(Digital Versatile Disk)−ＲＯＭやＩＣメモリカード等の記憶装置、表示装置、ＧＰＳ(Global Positioning System)受信機、ジャイロや車速センサ等の車両の現在位置及び現在方位を検出する検出装置等を有している。そして、制御装置により、車両の現在位置を含む地図データを記憶装置から読み出し、該地図データに基づいて車両位置の周囲の地図画像を表示装置の画面に表示すると共に、自車の現在位置を指示する車両位置マークを地図画像に重ね合わせて表示し、車両の移動に応じて地図画像をスクロール表示したり、地図画像を画面に固定し車両位置マークを移動させたりして、車両が現在どこを走行しているのかを一目で判るようにしている。
【０００３】
また、車載用ナビゲーション装置には、通常、ユーザが目的地に向けて道路を間違うことなく容易に走行できるように案内する機能（経路案内機能）が搭載されている。この経路案内機能によれば、ＣＰＵにより、地図データを用いて出発地（典型的には自車の現在位置）から目的地までを結ぶ最適な経路を、横型探索法やダイクストラ法等のシミュレーション計算を行って探索し、その探索した経路を誘導経路として記憶しておき、走行中、地図画像上にその誘導経路を他の道路とは識別可能に（例えば、色を変えたり、線幅を太くして）表示して、いずれの道路を走行すればよいかをユーザが把握できるようになっている。
【０００４】
経路探索時には、予めユーザが目的地を設定し、必要に応じて目的地に至る途中の経由地を設定する。また、必要であれば、各種の条件（有料道路優先で行くのか又は一般道路優先で行くのか等）も併せて設定する。ナビゲーション装置では、これらの設定されたデータに基づいて、目的地までの複数の経路の探索を行い、探索された経路を例えば色分けして表示し、その中からユーザが選択した１つの経路に従って経路案内を行う。
【０００５】
このようなナビゲーション装置において、自車両の進行方向が容易に確認でき、かつ安全に走行できるような誘導経路の案内方法が種々検討され実用化されている。例えば、自車が案内経路上で進路を変更すべき交差点まで所定距離に近づいたときに地図画像上にその交差点の案内図（交差点拡大図、該交差点での進行方向を示す矢印、該交差点までの距離、交差点名など）を表示して注意を喚起している。また、地図を遠方まで見渡せるような鳥瞰図表示にして、二次元表示の場合よりも地図情報を多く提供し、進行方向などを確認しやすくしている。
【０００６】
これに関する技術として、特許文献１には、自車位置周辺は通常の縮尺で地図表示し、自車位置から離れた前方の地図は縦方向に縮小して表示し、自車位置周辺の情報の詳細表示をするナビゲーション装置が記載されている。
【特許文献１】特開２００２−９８５３８号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００７】
上述したように、自車両の周辺を詳細に表示したり、誘導経路上の進路を変更すべき交差点（案内ポイントと呼ぶ）の案内図を表示することにより、安全走行を補助することが可能である。
【０００８】
しかし、このような案内ポイントの案内図は、その案内ポイントまで所定の距離に近づいたときに表示されるため、案内ポイント周辺の経路がどのようになっているかは、案内ポイントに近づいたときに初めてわかることになる。従って、案内ポイントが複雑に交差する道路などの場合、案内図が表示されるとしても、道路状況を短時間で把握することが困難であり余裕をもった走行ができず、安全走行に支障をきたすおそれがある。また、目的地に到着するまでに案内ポイントが何か所あるかを知ることが容易ではなく、安心感が得られないために快適な走行の妨げになってしまう。
【０００９】
本発明は、かかる従来技術の課題に鑑みなされたものであり、誘導経路上の注意すべき案内ポイントの情報をユーザに分かりやすく表示することが可能な車載用ナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００１０】
上述した従来技術の課題を解決するため、本発明の基本形態によれば、目的地までの注意ポイントを含む誘導経路を探索し、当該誘導経路に沿って車両を誘導する機能を備えた車載用ナビゲーション装置であって、表示手段と、地図データが格納された記憶手段と、自車両の現在位置を検出する自車位置検出手段と、前記誘導経路上の各注意ポイントの周辺の地図データを前記記憶手段から抽出して圧縮した簡略地図データを生成する制御手段と、を有し、前記制御手段は、前記注意ポイントの周辺の簡略地図を表示する旨の指示があったとき、前記表示手段の画面を上部画面と下部画面に２分割し、前記上部画面に前記注意ポイントを識別する識別番号及び当該注意ポイントの周辺の簡略地図画像を表示させ、前記下部画面に前記自車両の現在位置周辺の地図画像を表示させることを特徴とする車載用ナビゲーション装置が提供される。
【００１１】
この形態に係る車載用ナビゲーション装置において、前記制御手段は、前記簡略地図画像を前記注意ポイントと関連付けられた簡略ルート表示領域に表示させ、当該簡略ルート表示領域の指示されたサイズに応じて、当該サイズを広くさせるに従って圧縮度を小さくした簡略地図画像を表示させるようにしてもよい。
【００１２】
また、この形態に係る車載用ナビゲーション装置において、前記制御手段は、前記誘導経路から抽出した前記注意ポイントの周辺の地図データを抽出し、当該地図データに前記目的地から近い順に前記識別番号を付与するようにしてもよく、前記制御手段は、前記識別番号のうち指定された識別番号が付与された前記注意ポイントに対応する前記簡略ルート表示領域を前記上部画面に表示させるようにしてもよい。
【００１３】
さらに、この形態に係る車載用ナビゲーション装置において、前記制御手段は、前記自車両が前記注意ポイントの周辺を走行しているとき、前記下部画面に当該注意ポイントの識別番号を表示させるようにしてもよく、前記制御手段は、前記上部画面にすべての前記注意ポイントと関連付けられたリンクバーを表示させ、前記自車両の位置から前記目的地までの間の前記注意ポイントの数を前記リンクバーに隣接して表示させるようにしてもよい。
【００１４】
本発明の車載用ナビゲーション装置によれば、誘導経路を探索したとき、制御部は誘導経路上の左折又は右折が指示される交差点等の注意ポイントを抽出し、その注意ポイントに関する情報（注意ポイントの位置、注意ポイントが目的地まで何か所あるか、及び注意ポイントの周辺の簡略地図データ等）を生成している。注意ポイントの周辺の簡略地図を表示をする旨の指示があったとき、画面を上下に２分割し、上部画面に注意ポイントの周辺の圧縮された地図（誘導経路）を表示し、下部画面に自車位置周辺の地図画像を表示する。
【００１５】
上部画面には初期画面としてすべての注意ポイントと関連付けられたリンクバーとともに注意ポイントの総数が表示される。また、指定された注意ポイントの周辺の簡略地図が表示されたり、誘導経路の概略が表示される。このように、注意ポイントの総数が表示されることにより、運転者にとって目的地までに注意ポイントが何か所存在するかが予め分かる。また、誘導経路上のどの辺りに注意ポイントがあるかを把握することができるとともに、注意ポイントの道路状況を予め把握することができる。
【００１６】
これにより、注意ポイントに近づいてから慌てて注意ポイントの道路状況に応じた運転をすることが防止され、安全走行に寄与することができる。また、注意ポイントが目的地まで何か所存在するかが予めわかることにより、運転者にとって注意ポイントの存在がわからずに運転する場合に比べて安心感が得られ、快適な走行に寄与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１７】
以下、本発明の実施形態について、添付の図面を参照して説明する。
【００１８】
（車載用ナビゲーション装置の構成）
図１は本発明の実施形態に係る車載用ナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【００１９】
図中、１はＤＶＤ−ＲＯＭドライブであり、１ａは地図データその他の案内データが記憶されている記憶媒体である。本実施形態では、このようなデータを記憶する記憶媒体としてＤＶＤ−ＲＯＭ１ａを使用しているが、ハードディスク又はその他の記憶媒体を使用してもよい。ここに格納されている地図は、１／１２５００、１／２５０００、１／５００００、１／１０００００等の各縮尺レベルに応じて適当な大きさの経度幅及び緯度幅に区切られており、この地図に含まれる道路、建築物、施設その他の各種物件は、経度及び緯度で表現された点（ノード）の座標集合として記憶されている。地図データは、（１）道路リスト、ノードテーブル、交差点構成ノードリスト等からなる道路レイヤ、（２）地図画像上に道路、建築物、公園、河川等を表示するための背景レイヤ、（３）市町村名などの行政区画名、道路名、交差点名などを指示する文字や地図記号等を表示するための文字・記号レイヤなどから構成されている。
【００２０】
また、ＤＶＤ‐ＲＯＭ１ａには、マップマッチングで使用される道路の形状を表現した道路データが記憶されている。この道路データは道路の形状に応じてノード間の距離が異なるシェープノードとシェープノード間のリンクで構成されている。
【００２１】
また、２はナビゲーション装置本体１０を操作するための操作ボタン等が設けられた操作部である。本実施形態では、操作部２にリモコン送信機が含まれており、ユーザは手元のリモコン送信機でナビゲーション装置本体１０を操作することもできる。
【００２２】
また、３は複数のＧＰＳ衛星から送られてくるＧＰＳ信号を受信して車両の現在位置の経度、緯度、ＰＤＯＰ(Position DOP)値及びＨＤＯＰ(Horizontal DOP)値等のＧＰＳデータを生成して出力するＧＰＳ受信機を示す。４は自立航法センサを示す。この自立航法センサ４は、車両回転角度を検出するジャイロ等の角度センサと、一定の走行距離毎にパルスを発生する走行距離センサとにより構成されている。
【００２３】
また、５は各種のサービスセンタと通信するための車載電話機等の通信機、６は電波ビーコン又は光ビーコンから送られてくるＶＩＣＳ（道路交通情報通信システム）情報を受信するＶＩＣＳ受信機を示す。これらのビーコンは路側に設置され、警察署、道路管理者及び統合センターに接続され、周辺の渋滞情報等を提供する。
【００２４】
また、７は液晶パネル等の表示装置であり、ナビゲーション装置本体１０は、この表示装置７に車両の現在位置の周囲の地図を表示したり、出発地から目的地までの誘導経路や車両マーク及びその他の案内情報を表示する。表示装置７はその画面上にタッチパネルが設けられ、表示画面の表示内容と対になった各種のボタンが構成される。また、タッチパネルは後述する「注意ポイントリンクバー」をタッチすることによって表示されるサブメニューの入力装置や、「簡略走行ルート表示画面」に対する表示領域を変更するための入力装置となる。８は音声によりユーザに案内情報を提供するためのスピーカーである。
【００２５】
ナビゲーション装置本体１０は以下のものから構成されている。１１はＤＶＤ−ＲＯＭドライブ１を介してＤＶＤ−ＲＯＭ１ａから読み出された地図データを一時的に格納するバッファメモリを示す。
【００２６】
１２はマイクロコンピュータにより構成される制御部を示す。制御部１２は、ナビゲーション用のプログラムを内蔵しており、このプログラムに従い、ＧＰＳ受信機３から出力される信号や、自立航法センサ４から出力される信号に基づいて自車の現在位置を算出したり、表示させたい地図のデータをＤＶＤ−ＲＯＭドライブ１を介してＤＶＤ−ＲＯＭ１ａからバッファメモリ１１に読み出したり、バッファメモリ１１に読み出された地図データを用いて設定された探索条件で出発地から目的地までの誘導径路を探索するなど、種々の処理を実行する。また、後述するように、誘導経路上の注意ポイントを抽出して、その注意ポイントの周辺の地図画像を圧縮した簡略地図画像データを生成して、注意ポイントと関連付けた注意ポイント情報データを生成したり、注意ポイントの周辺の簡略地図を表示する旨の指示を受けて表示装置７の画面を上下２画面に分割して、指定された注意ポイント周辺の地図を表示させる処理を行う。
【００２７】
１３はバッファメモリ１１に読み出された地図データを用いて地図画像を生成する地図描画部、１４は動作状況に応じた各種メニュー画面（操作画面）や車両位置マーク及びカーソル等の各種マークを生成する操作画面・マーク発生部である。
【００２８】
１５は制御部１２で探索した誘導経路を記憶する誘導経路記憶部、１６は誘導経路を描画する誘導経路描画部を示す。誘導経路記憶部１５には、制御部１２によって探索された誘導経路の全ノードが出発地から目的地まで記憶される。誘導経路描画部１６は、地図を表示する際に、誘導経路記憶部１５から誘導経路情報を読み出して、誘導経路を他の道路とは異なる色及び線幅で描画する。
【００２９】
１７はハードディスク等で構成される記憶部を示し、注意ポイント周辺の地図を圧縮した圧縮地図データや注意ポイントの数の情報等が格納される。
【００３０】
１８は音声出力部を示し、制御部１２からの信号に基づいて音声信号をスピーカー８に供給する。１９は画像合成部を示し、地図描画部１３で描画された地図画像に、操作画面・マーク発生部１４で生成した各種マークや操作画面、誘導経路描画部２２で描画した誘導経路などを重ね合わせて表示装置７に表示させる。
【００３１】
このように構成された車載用ナビゲーション装置１００における、誘導経路上の注意ポイントの簡略表示について図２から図４を参照して説明する。図２は、注意ポイント簡略表示の初期画面を示しており、図３は、簡略走行ルートが表示された注意ポイント簡略表示画面を示している。また、図４は、簡略走行ルートの拡大表示がされた注意ポイント簡略表示画面を示している。なお、以下の説明において、「注意ポイント」とは、目的地を指定して誘導経路探索をした結果、右折又は左折をする交差点やＹ字路の分岐点などの案内ポイントであり、誘導経路上で運転者が注意すべきポイントを示している。
【００３２】
車載用ナビゲーション装置１００の制御部１２は、指定された目的地までの経路探索が行われると、誘導経路上の注意ポイントを誘導経路記憶部１５から抽出して、注意ポイントの数や位置の情報を取得する。各注意ポイント毎にその周辺の地図データをＤＶＤ−ＲＯＭ１ａから抽出し、所定の圧縮度に圧縮した圧縮地図データを生成する。そして、注意ポイント毎にその注意ポイントを示す識別番号と注意ポイント周辺の圧縮地図データとを関連付けた「注意ポイント情報データ」を作成して記憶部１７に格納する。
【００３３】
なお、注意ポイントを示す識別番号は、目的地から出発地点に向って順番に番号が付与され、注意ポイントの通過順序がわかるようになっている。
【００３４】
運転者等のユーザが表示装置７の画面上のメニューから「注意ポイント簡略表示」（不図示）を選択する等により、注意ポイント簡略表示をする旨の指示をすると、図２（ａ）に示すような「注意ポイント簡略表示」の初期画面が表示される。この初期画面では、表示装置７の画面２０が上部画面２１と下部画面２２に上下に２分割される。
【００３５】
上部画面２１には、注意ポイントリンクバー２３が表示され、注意ポイントリンクバー２３に隣接して注意ポイント数表示エリア２４に誘導経路上の注意ポイントの数が表示される。図２（ａ）では、注意ポイントの数として「９」が表示されており、自車位置から目的地まで注意ポイントが９か所存在することを示している。また、注意ポイント数表示エリア２４には、自車両が出発地点に位置する場合には注意ポイントの総数が表示され、自車両が注意ポイントを経過する毎にその数が１ずつ減らされて表示される。注意ポイントリンクバー２３は、誘導経路上のすべての注意ポイントに関する「注意ポイント情報データ」（注意地点の位置やその周辺の地図データ等）と関連付けられたことを示す記号である。
【００３６】
一方、下部画面２２には自車位置マークＣＭが下部画面２２の下方中央に固定して表示され、車両の移動に伴ってスクロールする地図画像が表示されている。図２（ａ）では、説明の簡略化のために、施設等の表示は省略し、誘導経路２５及び注意ポイントＡとその他の道路だけが表示されている。また、下部画面２２の右下方には注意ポイント番号表示エリア２６に注意ポイントの識別番号が表示され、自車両がどの注意ポイントの近辺を走行しているかがわかるようになっている。
【００３７】
なお、上部画面２１には、注意ポイントに関する情報が表示されることから、「注意ポイント画面」とも呼び、下部画面２２には自車位置が含まれたユーザ指定の縮尺による地図画像が表示されることから、「地図画面」とも呼ぶ。
【００３８】
図２（ａ）に示す注意ポイントリンクバー２３をユーザがタッチすることによって図２（ｂ）に示すようなサブメニュー２７が表示される。サブメニュー２７には、簡略走行ルート表示（１）、簡略走行ルート表示（２）、及び簡略走行ルート表示（３）が含まれている。この（１）から（３）の数字は「簡略走行ルート表示画面」（簡略ルート表示領域）の数を示しており、選択されたサブメニュー２７に示された数に応じた「簡略走行ルート表示画面」が表示される。
【００３９】
図３（ａ）は、図２（ｂ）に示されるサブメニュー２７から簡略走行ルート表示（３）が選択されたときの簡略走行ルートが表示された注意ポイント簡略表示画面を示している。図３（ａ）に示すように、注意ポイント画面２１は、図２（ａ）及び図２（ｂ）のときよりも縦方向に広がり、それに伴って地図画面２２は縦方向に狭くなっている。
【００４０】
簡略走行ルート表示画面３１ａ〜３１ｃには注意ポイントの周辺の誘導経路が縦方向に圧縮されて表示される。また、その注意ポイントの識別番号が簡略走行ルート表示画面３１ａ〜３１ｃの右方の領域に表示されている。図３（ａ）では、識別番号が７，８，９の注意ポイントの周辺の誘導経路が表示されている例を示している。この簡略走行ルート表示画面３１ａ〜３１ｃは、地図画面２２と異なる色で表示される。
【００４１】
また、注意ポイント画面２１の右方にはスクロールバー３２が表示され、簡略走行ルート表示画面として展開された注意ポイントが全体の注意ポイントのどの辺りかが示されている。このスクロールバー３２を指などでなぞることにより、タッチされた位置に応じた注意ポイントの簡略走行ルート表示画面を表示させることができる。
【００４２】
図３（ａ）に示す簡略走行ルート表示画面には、縦方向に圧縮された誘導経路が表示され、注意ポイントの識別番号が「７」、「８」、「９」のように連続している場合、簡略走行ルート表示画面の間の誘導経路も連続して表示される。この簡略走行ルート表示画面では、注意ポイント周辺の地図を、連続する注意ポイント間の誘導経路が途切れることのないように抽出された地図データを基に作成される圧縮地図データを使用している。
【００４３】
図３（ｂ）は、簡略走行ルート表示画面に表示する誘導経路の他の例を示している。図３（ｂ）では、注意ポイントの近辺の誘導経路や道路が表示されている。この簡略走行ルート表示画面では、注意ポイント周辺の地図を自車両の走行方向を画面の縦方向になるようにして、注意ポイントを中心に、例えば縦方向が６００ｍの範囲の地図データを基に作成される圧縮地図データを使用している。
【００４４】
このように、簡略走行ルート表示画面に圧縮された誘導経路が表示されることにより、誘導経路の概略を把握することが可能となる。また、図３（ｂ）のように注意ポイント近辺の誘導経路が表示されることにより、注意ポイントがどのような交差点になっているかを事前に確認することが可能になる。
【００４５】
図４は、図３（ａ）や図３（ｂ）の簡略走行ルート表示画面に対して表示領域の変更をした場合の画面を示している。図４では、簡略走行ルート表示画面３１ｂに対して、画面のサイズを広くするように指定した結果を示している。簡略走行ルート表示画面３１ｂは縦方向に広がり、圧縮度を小さくした注意ポイントＢの周辺の誘導経路４２を含む地図画像が表示されている。図３（ａ）のように簡略走行ルート表示画面３１ｂに誘導経路が表示されている場合であっても、表示領域を拡大することによって注意ポイントＢの近辺の道路地図及び誘導経路が表示される。このように、簡略走行ルート表示画面を縦方向になぞる等の操作によってその画面が拡大又は縮小される。例えば、注意ポイント画面２１は画面全体の高さの１／２まで広げることが可能である。これに伴い、地図画面２２の高さは画面全体の１／２まで小さくなる。また、簡略走行ルート表示画面のサイズを変更したときは、そのサイズに応じた圧縮度の地図画像が表示される。すなわち、サイズを広くさせるに従って、圧縮度を小さくした注意ポイント周辺の簡略地図画像を表示させる。
【００４６】
なお、図４では簡略走行ルート表示画面３１ｂが拡大されたことによって、簡略走行ルート表示画面３１ｃは隠れた状態であり、その注意ポイントの識別番号が簡略走行ルート表示画面の右方に表示されている。
【００４７】
以上説明したように、本実施形態の車載用ナビゲーション装置によれば、誘導経路を探索したとき、制御部は誘導経路上の左折又は右折が指示される交差点等の注意ポイントを抽出し、その注意ポイントに関する情報（注意ポイントの位置、注意ポイントが目的地まで何か所あるか、及び注意ポイントの周辺の簡略地図データ等）を生成している。注意ポイントの周辺の簡略地図を表示をする旨の指示があったとき、画面を上下に２分割し、上部画面に注意ポイントの周辺の圧縮された地図（誘導経路）を表示し、下部画面に自車位置周辺の地図画像を表示する。
【００４８】
上部画面には初期画面としてすべての注意ポイントと関連付けられたリンクバーとともに注意ポイントの総数が表示される。また、指定された注意ポイントの周辺の簡略地図が表示されたり、誘導経路の概略が表示される。このように、注意ポイントの総数が表示されることにより、運転者にとって目的地までに注意ポイントが何か所存在するかが予め分かる。また、誘導経路上のどの辺りに注意ポイントがあるかを把握することができるとともに、注意ポイントの道路状況を予め把握することができる。
【００４９】
これにより、注意ポイントに近づいてから慌てて注意ポイントの道路状況に応じた運転をすることが防止され、安全走行に寄与することができる。また、注意ポイントが目的地まで何か所存在するかが予めわかることにより、運転者にとって注意ポイントの存在がわからずに運転する場合に比べて安心感が得られ、快適な走行に寄与することができる。
【００５０】
次に、本実施形態に係る車載用ナビゲーション装置１００において行う注意ポイント簡略表示処理について図５から図７のフローチャートを用いて説明する。
【００５１】
図５は、注意地点情報データを生成する処理の一例を示すフローチャートである。図６は、注意ポイント簡略表示において、注意ポイントの識別番号表示の処理の一例を示すフローチャートである。また、図７は、注意ポイント簡略表示において、簡略走行ルートを表示する処理の一例を示すフローチャートである。
【００５２】
まず、図５のステップＳ１１において、誘導経路の探索を行う。誘導経路の探索では、自車の現在位置から経路探索条件の設定でユーザによって指示された「目的地」までの誘導経路探索を行う。制御部１２は、従来と同様に地図データをＤＶＤ−ＲＯＭドライブ１を介してＤＶＤ-ＲＯＭ１ａからバッファメモリ１１に読み出し、バッファメモリ１１に読み出された地図データを用いて設定された探索条件で自車の現在位置から目的地までの誘導経路を探索する。探索された経路は誘導経路記憶部１５に格納される。なお、「目的地」の入力は、住所、電話番号、施設名等により入力される。また、表示画面に表示された地図上で目的地をタッチすることによって入力するようにしてもよい。
【００５３】
次のステップＳ１２において、注意ポイントを抽出する。ステップＳ１１において探索された誘導経路が記憶された誘導経路記憶部１５から、誘導経路上の注意すべき地点（交差点で右折又は左折をする地点やＹ字分岐点）を抽出する。
【００５４】
次のステップＳ１３において、ステップＳ１２において抽出された各注意ポイントの番号付けを行う。この番号は、誘導経路上の目的地から何番目の注意ポイントかを示すように付与される。
【００５５】
次のステップＳ１４において、ステップＳ１２において抽出された各注意ポイントの周辺の地図データをＤＶＤ−ＲＯＭ１ａから抽出する。抽出する地図データは、注意ポイントを中心として自車両の進行方向の前後３００ｍを縦方向とした範囲とする。また、ある注意ポイントの周囲地図と次の注意ポイントの周囲地図とが連続するような範囲としてもよい。
【００５６】
次のステップＳ１５において、各注意ポイントの周辺の地図データを縦方向に圧縮する。圧縮度は、例えば縦方向の距離６００ｍを簡略地図が表示される領域（簡略走行ルート表示画面３１）の縦の長さの２ｃｍに対応させるスケール（３００ｍスケール）とする。また、その領域が広げられる場合を考慮して、例えば、縦の長さの４ｃｍに対応させるスケール（１５０ｍスケール）まで段階的に圧縮した地図データを生成する。なお、圧縮度が高い場合は、誘導経路だけをデータとして生成するようにしてもよい。
【００５７】
次のステップＳ１６において、各注意ポイント毎に注意ポイントの番号及び圧縮地図データを関連付けた「注意ポイント情報データ」を作成して記憶部１７に格納する。
【００５８】
以上の注意ポイント情報データ生成処理によって、誘導経路上の注意ポイントに関連付けて、各注意ポイントに関する情報（注意ポイントの数や注意ポイントの周辺の地図データを圧縮した簡略地図データ）が生成される。
【００５９】
次に、図６を用いて、注意ポイント番号表示処理について説明する。なお、誘導経路が探索され、注意ポイントが存在して図５の処理によって注意ポイント情報データが生成され記憶部１７に格納されているものとする。また、注意ポイント簡略表示をする旨の指示がされたものとする。
【００６０】
まず、ステップＳ２１において、注意ポイント簡略表示の初期画面（図２参照）を表示する。
【００６１】
次のステップＳ２２において、自車両が注意ポイントの周辺を走行しているか否かを判定する。注意ポイントの周辺を走行するまで、待機し、注意ポイントの周辺を走行しているときは、ステップＳ２３に移行する。自車両の位置はＧＰＳ受信機３の信号を基に緯度・経度を検出し、注意ポイント情報データに含まれているか否かによって自車両が注意ポイントの周辺を走行しているか否かを判定する。
【００６２】
次のステップＳ２３において、地図画面２２に注意ポイントの識別番号を表示する。ステップＳ２２において自車両の位置が含まれている注意ポイントの周辺地図を基に、その注意ポイントの識別番号を注意ポイント情報データから抽出して地図画面２２の注意ポイント番号表示エリア２６に表示する。
【００６３】
次のステップＳ２４において、自車両が注意ポイントの周辺を通過したか否かを判定する。注意ポイントを通過したと判定されればステップＳ２５に移行し、注意ポイントの周辺の範囲を走行中であれば待機する。
【００６４】
次のステップＳ２５において、地図画面２２の注意ポイント番号表示エリア２６に表示されている注意ポイントの番号を消去する。
【００６５】
次のステップＳ２６において、注意ポイント画面２１の注意ポイント数表示エリア２４に表示されている注意ポイントの数を１減らして表示する。
【００６６】
次のステップＳ２７において、自車両が目的地に到達したか否かを判定する。目的地に到達すれば本注意ポイント表示処理は終了し、目的地に到達していなければ、ステップＳ２２に戻り本処理を継続する。
【００６７】
以上の注意ポイント番号表示処理によって、誘導経路上に注意ポイントが何か所存在するかの情報や、自車両がどの注意ポイントの周辺を走行し、目的地まで注意ポイントを何か所通過しなければならないか等の情報を運転者は容易に取得することができる。
【００６８】
次に図７を用いて、注意ポイント簡略走行ルート表示処理について説明する。なお、目的地を設定して誘導経路が探索され、誘導経路上の注意ポイントに関する情報が作成され記憶部に格納されているものとする。また、ユーザが注意ポイント簡略表示をする旨の指示をしたものとする。
【００６９】
まず、ステップＳ３１において注意ポイント簡略表示の初期画面を表示する。これはステップＳ２１と同様であるので説明を省略する。
【００７０】
次のステップＳ３２において、簡略走行ルート表示をする旨の指示があったか否かを判定する。簡略走行ルート表示をする旨の指示があるまで待機し、その指示があったときはステップＳ３３に移行する。簡略走行ルート表示をする旨の指示は、例えば、ユーザが注意ポイントリンクバー２３をタッチすることによってサブメニュー２７が表示され、そのサブメニュー２７から何か所の注意ポイントを表示するかが選択される。
【００７１】
次のステップＳ３３において、ステップＳ３２において指示された個数に応じて簡略走行ルート表示を行う。簡略走行ルート表示は図３（ａ）又は図３（ｂ）に示すように注意ポイントリンクバー２３の下方に表示される。１個の簡略走行ルート表示は例えば縦２ｃｍとし、３個の簡略走行ルートまで表示される。
【００７２】
簡略走行ルート表示ではその注意ポイントの前後の誘導経路が圧縮されて表示される。また、例えば３個の簡略走行ルートが表示されるときは、各注意ポイントの前後の誘導経路が圧縮されて表示されるとともに、３個の簡略走行ルート領域にまたがって連続して圧縮された誘導経路が表示される。
【００７３】
この簡略走行ルート表示画面３１は上部画面２１の一部であり、簡略走行ルート表示画面３１が表示されることにより上部画面２１のサイズが変更される。これに伴い、自車両の走行位置を示した地図画像を表示している下部画面２２のサイズも変更される。
【００７４】
次のステップＳ３４において、簡略走行ルート表示画面３１のサイズ変更の指示があったか否かを判定する。簡略走行ルート表示画面３１が表示されたときは、予め決められたサイズ（例えば、縦２ｃｍ）で表示されるが、その領域内を例えば指で縦方向に広げるようになぞることによって領域を広げ、閉じるようになぞることによって広げた領域を狭くする。
【００７５】
簡略走行ルート表示画面３１の表示サイズ変更の指示があったと判定されたときは、次のステップＳ３５において、指示に応じて表示サイズを変更し、注意ポイント周辺の地図画像を表示サイズに応じて圧縮度を変えて表示する。簡略走行ルート表示画面３１の表示サイズを広げたときは、表示されている注意ポイントの周囲の圧縮された地図画像の圧縮度が小さくなるように表示される。また、表示サイズを広げたときは、注意ポイントの近辺を表示するようにしてもよい。この場合には、隣接する簡略走行ルート表示画面３１の間で誘導経路が連続して表示されない場合がある。
【００７６】
次のステップＳ３６において、簡略走行ルート表示を解除する旨の指示があったか否かを判定し、その旨の指示があったときはステップＳ３７に移行し、指示がないときはステップＳ３４に移行して本処理を続行する。
【００７７】
ステップＳ３４において表示サイズ変更の指示がなかったときは、ステップＳ３８に移行して、簡略走行ルート表示の変更指示があったか否かを判定する。簡略走行ルート表示の変更指示は、例えば、上部画面２１の簡略走行ルート表示画面に対応して表示されるスクロールバー３２をタッチして、注意ポイントの表示範囲を指定する。この表示範囲の指定があったときは、ステップＳ３３に移行して、指定された領域を表示するようにする。
【００７８】
一方、表示範囲変更の指定がなかったときはステップＳ３６に移行して本処理を続行する。
【００７９】
以上の注意ポイント簡略走行ルート表示処理によって、自車両の現在位置よりも離れた先の注意ポイントを指定することによって、予め誘導経路の概略を知ることができる。また、通過が予定されている誘導経路上の注意ポイントの周辺の道路の状況を予め容易に把握することができる。これにより、事前に注意ポイントの走行に対する準備をすることができ、安全走行に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【００８０】
【図１】本発明の一実施形態に係る車載用ナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図２】図１に係る車載用ナビゲーション装置における注意ポイント簡略表示の初期画面の一例を示す図である。
【図３】簡略走行ルートが表示された注意ポイント簡略表示画面の一例を示す図である。
【図４】簡略走行ルートの拡大表示がされた注意ポイント簡略表示画面の一例を示す図である。
【図５】図１に係る車載用ナビゲーション装置における注意ポイント情報データ生成処理の一例を示すフローチャートである。
【図６】図１に係る車載用ナビゲーション装置における注意ポイント番号表示処理の一例を示すフローチャートである。
【図７】図１に係る車載用ナビゲーション装置における注意ポイント簡略走行ルート表示処理の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【００８１】
１００…車載用ナビゲーション装置、
１ａ…ＤＶＤ−ＲＯＭ（記憶手段）、
３…ＧＰＳ受信機（自車位置検出手段）、
４…自立航法センサ（自車位置検出手段）、
７…表示部（表示手段）、
１０…ナビゲーション装置本体、
１１…バッファメモリ（記憶手段）、
１２…制御部（制御手段）、
１５…誘導経路記憶部（記憶手段）、
１７…記憶部（記憶手段）、
２０…画面、
２１…上部画面、
２２…下部画面、
２３…注意ポイントリンクバー、
２５、４２…誘導経路、
３１ａ、３１ｂ、３１ｃ…簡略走行ルート表示画面。
【技術分野】
【０００１】
本発明は、誘導経路に従って車両を目的地まで案内する車載用ナビゲーション装置に関し、特に、誘導経路上の注意すべき案内ポイント（注意ポイント）を容易に把握することが可能な車載用ナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来の典型的な車載用ナビゲーション装置は、ナビゲーションに係る一切の処理を制御するＣＰＵ等の制御装置、地図データを予め記憶させたＤＶＤ(Digital Versatile Disk)−ＲＯＭやＩＣメモリカード等の記憶装置、表示装置、ＧＰＳ(Global Positioning System)受信機、ジャイロや車速センサ等の車両の現在位置及び現在方位を検出する検出装置等を有している。そして、制御装置により、車両の現在位置を含む地図データを記憶装置から読み出し、該地図データに基づいて車両位置の周囲の地図画像を表示装置の画面に表示すると共に、自車の現在位置を指示する車両位置マークを地図画像に重ね合わせて表示し、車両の移動に応じて地図画像をスクロール表示したり、地図画像を画面に固定し車両位置マークを移動させたりして、車両が現在どこを走行しているのかを一目で判るようにしている。
【０００３】
また、車載用ナビゲーション装置には、通常、ユーザが目的地に向けて道路を間違うことなく容易に走行できるように案内する機能（経路案内機能）が搭載されている。この経路案内機能によれば、ＣＰＵにより、地図データを用いて出発地（典型的には自車の現在位置）から目的地までを結ぶ最適な経路を、横型探索法やダイクストラ法等のシミュレーション計算を行って探索し、その探索した経路を誘導経路として記憶しておき、走行中、地図画像上にその誘導経路を他の道路とは識別可能に（例えば、色を変えたり、線幅を太くして）表示して、いずれの道路を走行すればよいかをユーザが把握できるようになっている。
【０００４】
経路探索時には、予めユーザが目的地を設定し、必要に応じて目的地に至る途中の経由地を設定する。また、必要であれば、各種の条件（有料道路優先で行くのか又は一般道路優先で行くのか等）も併せて設定する。ナビゲーション装置では、これらの設定されたデータに基づいて、目的地までの複数の経路の探索を行い、探索された経路を例えば色分けして表示し、その中からユーザが選択した１つの経路に従って経路案内を行う。
【０００５】
このようなナビゲーション装置において、自車両の進行方向が容易に確認でき、かつ安全に走行できるような誘導経路の案内方法が種々検討され実用化されている。例えば、自車が案内経路上で進路を変更すべき交差点まで所定距離に近づいたときに地図画像上にその交差点の案内図（交差点拡大図、該交差点での進行方向を示す矢印、該交差点までの距離、交差点名など）を表示して注意を喚起している。また、地図を遠方まで見渡せるような鳥瞰図表示にして、二次元表示の場合よりも地図情報を多く提供し、進行方向などを確認しやすくしている。
【０００６】
これに関する技術として、特許文献１には、自車位置周辺は通常の縮尺で地図表示し、自車位置から離れた前方の地図は縦方向に縮小して表示し、自車位置周辺の情報の詳細表示をするナビゲーション装置が記載されている。
【特許文献１】特開２００２−９８５３８号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００７】
上述したように、自車両の周辺を詳細に表示したり、誘導経路上の進路を変更すべき交差点（案内ポイントと呼ぶ）の案内図を表示することにより、安全走行を補助することが可能である。
【０００８】
しかし、このような案内ポイントの案内図は、その案内ポイントまで所定の距離に近づいたときに表示されるため、案内ポイント周辺の経路がどのようになっているかは、案内ポイントに近づいたときに初めてわかることになる。従って、案内ポイントが複雑に交差する道路などの場合、案内図が表示されるとしても、道路状況を短時間で把握することが困難であり余裕をもった走行ができず、安全走行に支障をきたすおそれがある。また、目的地に到着するまでに案内ポイントが何か所あるかを知ることが容易ではなく、安心感が得られないために快適な走行の妨げになってしまう。
【０００９】
本発明は、かかる従来技術の課題に鑑みなされたものであり、誘導経路上の注意すべき案内ポイントの情報をユーザに分かりやすく表示することが可能な車載用ナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００１０】
上述した従来技術の課題を解決するため、本発明の基本形態によれば、目的地までの注意ポイントを含む誘導経路を探索し、当該誘導経路に沿って車両を誘導する機能を備えた車載用ナビゲーション装置であって、表示手段と、地図データが格納された記憶手段と、自車両の現在位置を検出する自車位置検出手段と、前記誘導経路上の各注意ポイントの周辺の地図データを前記記憶手段から抽出して圧縮した簡略地図データを生成する制御手段と、を有し、前記制御手段は、前記注意ポイントの周辺の簡略地図を表示する旨の指示があったとき、前記表示手段の画面を上部画面と下部画面に２分割し、前記上部画面に前記注意ポイントを識別する識別番号及び当該注意ポイントの周辺の簡略地図画像を表示させ、前記下部画面に前記自車両の現在位置周辺の地図画像を表示させることを特徴とする車載用ナビゲーション装置が提供される。
【００１１】
この形態に係る車載用ナビゲーション装置において、前記制御手段は、前記簡略地図画像を前記注意ポイントと関連付けられた簡略ルート表示領域に表示させ、当該簡略ルート表示領域の指示されたサイズに応じて、当該サイズを広くさせるに従って圧縮度を小さくした簡略地図画像を表示させるようにしてもよい。
【００１２】
また、この形態に係る車載用ナビゲーション装置において、前記制御手段は、前記誘導経路から抽出した前記注意ポイントの周辺の地図データを抽出し、当該地図データに前記目的地から近い順に前記識別番号を付与するようにしてもよく、前記制御手段は、前記識別番号のうち指定された識別番号が付与された前記注意ポイントに対応する前記簡略ルート表示領域を前記上部画面に表示させるようにしてもよい。
【００１３】
さらに、この形態に係る車載用ナビゲーション装置において、前記制御手段は、前記自車両が前記注意ポイントの周辺を走行しているとき、前記下部画面に当該注意ポイントの識別番号を表示させるようにしてもよく、前記制御手段は、前記上部画面にすべての前記注意ポイントと関連付けられたリンクバーを表示させ、前記自車両の位置から前記目的地までの間の前記注意ポイントの数を前記リンクバーに隣接して表示させるようにしてもよい。
【００１４】
本発明の車載用ナビゲーション装置によれば、誘導経路を探索したとき、制御部は誘導経路上の左折又は右折が指示される交差点等の注意ポイントを抽出し、その注意ポイントに関する情報（注意ポイントの位置、注意ポイントが目的地まで何か所あるか、及び注意ポイントの周辺の簡略地図データ等）を生成している。注意ポイントの周辺の簡略地図を表示をする旨の指示があったとき、画面を上下に２分割し、上部画面に注意ポイントの周辺の圧縮された地図（誘導経路）を表示し、下部画面に自車位置周辺の地図画像を表示する。
【００１５】
上部画面には初期画面としてすべての注意ポイントと関連付けられたリンクバーとともに注意ポイントの総数が表示される。また、指定された注意ポイントの周辺の簡略地図が表示されたり、誘導経路の概略が表示される。このように、注意ポイントの総数が表示されることにより、運転者にとって目的地までに注意ポイントが何か所存在するかが予め分かる。また、誘導経路上のどの辺りに注意ポイントがあるかを把握することができるとともに、注意ポイントの道路状況を予め把握することができる。
【００１６】
これにより、注意ポイントに近づいてから慌てて注意ポイントの道路状況に応じた運転をすることが防止され、安全走行に寄与することができる。また、注意ポイントが目的地まで何か所存在するかが予めわかることにより、運転者にとって注意ポイントの存在がわからずに運転する場合に比べて安心感が得られ、快適な走行に寄与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１７】
以下、本発明の実施形態について、添付の図面を参照して説明する。
【００１８】
（車載用ナビゲーション装置の構成）
図１は本発明の実施形態に係る車載用ナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【００１９】
図中、１はＤＶＤ−ＲＯＭドライブであり、１ａは地図データその他の案内データが記憶されている記憶媒体である。本実施形態では、このようなデータを記憶する記憶媒体としてＤＶＤ−ＲＯＭ１ａを使用しているが、ハードディスク又はその他の記憶媒体を使用してもよい。ここに格納されている地図は、１／１２５００、１／２５０００、１／５００００、１／１０００００等の各縮尺レベルに応じて適当な大きさの経度幅及び緯度幅に区切られており、この地図に含まれる道路、建築物、施設その他の各種物件は、経度及び緯度で表現された点（ノード）の座標集合として記憶されている。地図データは、（１）道路リスト、ノードテーブル、交差点構成ノードリスト等からなる道路レイヤ、（２）地図画像上に道路、建築物、公園、河川等を表示するための背景レイヤ、（３）市町村名などの行政区画名、道路名、交差点名などを指示する文字や地図記号等を表示するための文字・記号レイヤなどから構成されている。
【００２０】
また、ＤＶＤ‐ＲＯＭ１ａには、マップマッチングで使用される道路の形状を表現した道路データが記憶されている。この道路データは道路の形状に応じてノード間の距離が異なるシェープノードとシェープノード間のリンクで構成されている。
【００２１】
また、２はナビゲーション装置本体１０を操作するための操作ボタン等が設けられた操作部である。本実施形態では、操作部２にリモコン送信機が含まれており、ユーザは手元のリモコン送信機でナビゲーション装置本体１０を操作することもできる。
【００２２】
また、３は複数のＧＰＳ衛星から送られてくるＧＰＳ信号を受信して車両の現在位置の経度、緯度、ＰＤＯＰ(Position DOP)値及びＨＤＯＰ(Horizontal DOP)値等のＧＰＳデータを生成して出力するＧＰＳ受信機を示す。４は自立航法センサを示す。この自立航法センサ４は、車両回転角度を検出するジャイロ等の角度センサと、一定の走行距離毎にパルスを発生する走行距離センサとにより構成されている。
【００２３】
また、５は各種のサービスセンタと通信するための車載電話機等の通信機、６は電波ビーコン又は光ビーコンから送られてくるＶＩＣＳ（道路交通情報通信システム）情報を受信するＶＩＣＳ受信機を示す。これらのビーコンは路側に設置され、警察署、道路管理者及び統合センターに接続され、周辺の渋滞情報等を提供する。
【００２４】
また、７は液晶パネル等の表示装置であり、ナビゲーション装置本体１０は、この表示装置７に車両の現在位置の周囲の地図を表示したり、出発地から目的地までの誘導経路や車両マーク及びその他の案内情報を表示する。表示装置７はその画面上にタッチパネルが設けられ、表示画面の表示内容と対になった各種のボタンが構成される。また、タッチパネルは後述する「注意ポイントリンクバー」をタッチすることによって表示されるサブメニューの入力装置や、「簡略走行ルート表示画面」に対する表示領域を変更するための入力装置となる。８は音声によりユーザに案内情報を提供するためのスピーカーである。
【００２５】
ナビゲーション装置本体１０は以下のものから構成されている。１１はＤＶＤ−ＲＯＭドライブ１を介してＤＶＤ−ＲＯＭ１ａから読み出された地図データを一時的に格納するバッファメモリを示す。
【００２６】
１２はマイクロコンピュータにより構成される制御部を示す。制御部１２は、ナビゲーション用のプログラムを内蔵しており、このプログラムに従い、ＧＰＳ受信機３から出力される信号や、自立航法センサ４から出力される信号に基づいて自車の現在位置を算出したり、表示させたい地図のデータをＤＶＤ−ＲＯＭドライブ１を介してＤＶＤ−ＲＯＭ１ａからバッファメモリ１１に読み出したり、バッファメモリ１１に読み出された地図データを用いて設定された探索条件で出発地から目的地までの誘導径路を探索するなど、種々の処理を実行する。また、後述するように、誘導経路上の注意ポイントを抽出して、その注意ポイントの周辺の地図画像を圧縮した簡略地図画像データを生成して、注意ポイントと関連付けた注意ポイント情報データを生成したり、注意ポイントの周辺の簡略地図を表示する旨の指示を受けて表示装置７の画面を上下２画面に分割して、指定された注意ポイント周辺の地図を表示させる処理を行う。
【００２７】
１３はバッファメモリ１１に読み出された地図データを用いて地図画像を生成する地図描画部、１４は動作状況に応じた各種メニュー画面（操作画面）や車両位置マーク及びカーソル等の各種マークを生成する操作画面・マーク発生部である。
【００２８】
１５は制御部１２で探索した誘導経路を記憶する誘導経路記憶部、１６は誘導経路を描画する誘導経路描画部を示す。誘導経路記憶部１５には、制御部１２によって探索された誘導経路の全ノードが出発地から目的地まで記憶される。誘導経路描画部１６は、地図を表示する際に、誘導経路記憶部１５から誘導経路情報を読み出して、誘導経路を他の道路とは異なる色及び線幅で描画する。
【００２９】
１７はハードディスク等で構成される記憶部を示し、注意ポイント周辺の地図を圧縮した圧縮地図データや注意ポイントの数の情報等が格納される。
【００３０】
１８は音声出力部を示し、制御部１２からの信号に基づいて音声信号をスピーカー８に供給する。１９は画像合成部を示し、地図描画部１３で描画された地図画像に、操作画面・マーク発生部１４で生成した各種マークや操作画面、誘導経路描画部２２で描画した誘導経路などを重ね合わせて表示装置７に表示させる。
【００３１】
このように構成された車載用ナビゲーション装置１００における、誘導経路上の注意ポイントの簡略表示について図２から図４を参照して説明する。図２は、注意ポイント簡略表示の初期画面を示しており、図３は、簡略走行ルートが表示された注意ポイント簡略表示画面を示している。また、図４は、簡略走行ルートの拡大表示がされた注意ポイント簡略表示画面を示している。なお、以下の説明において、「注意ポイント」とは、目的地を指定して誘導経路探索をした結果、右折又は左折をする交差点やＹ字路の分岐点などの案内ポイントであり、誘導経路上で運転者が注意すべきポイントを示している。
【００３２】
車載用ナビゲーション装置１００の制御部１２は、指定された目的地までの経路探索が行われると、誘導経路上の注意ポイントを誘導経路記憶部１５から抽出して、注意ポイントの数や位置の情報を取得する。各注意ポイント毎にその周辺の地図データをＤＶＤ−ＲＯＭ１ａから抽出し、所定の圧縮度に圧縮した圧縮地図データを生成する。そして、注意ポイント毎にその注意ポイントを示す識別番号と注意ポイント周辺の圧縮地図データとを関連付けた「注意ポイント情報データ」を作成して記憶部１７に格納する。
【００３３】
なお、注意ポイントを示す識別番号は、目的地から出発地点に向って順番に番号が付与され、注意ポイントの通過順序がわかるようになっている。
【００３４】
運転者等のユーザが表示装置７の画面上のメニューから「注意ポイント簡略表示」（不図示）を選択する等により、注意ポイント簡略表示をする旨の指示をすると、図２（ａ）に示すような「注意ポイント簡略表示」の初期画面が表示される。この初期画面では、表示装置７の画面２０が上部画面２１と下部画面２２に上下に２分割される。
【００３５】
上部画面２１には、注意ポイントリンクバー２３が表示され、注意ポイントリンクバー２３に隣接して注意ポイント数表示エリア２４に誘導経路上の注意ポイントの数が表示される。図２（ａ）では、注意ポイントの数として「９」が表示されており、自車位置から目的地まで注意ポイントが９か所存在することを示している。また、注意ポイント数表示エリア２４には、自車両が出発地点に位置する場合には注意ポイントの総数が表示され、自車両が注意ポイントを経過する毎にその数が１ずつ減らされて表示される。注意ポイントリンクバー２３は、誘導経路上のすべての注意ポイントに関する「注意ポイント情報データ」（注意地点の位置やその周辺の地図データ等）と関連付けられたことを示す記号である。
【００３６】
一方、下部画面２２には自車位置マークＣＭが下部画面２２の下方中央に固定して表示され、車両の移動に伴ってスクロールする地図画像が表示されている。図２（ａ）では、説明の簡略化のために、施設等の表示は省略し、誘導経路２５及び注意ポイントＡとその他の道路だけが表示されている。また、下部画面２２の右下方には注意ポイント番号表示エリア２６に注意ポイントの識別番号が表示され、自車両がどの注意ポイントの近辺を走行しているかがわかるようになっている。
【００３７】
なお、上部画面２１には、注意ポイントに関する情報が表示されることから、「注意ポイント画面」とも呼び、下部画面２２には自車位置が含まれたユーザ指定の縮尺による地図画像が表示されることから、「地図画面」とも呼ぶ。
【００３８】
図２（ａ）に示す注意ポイントリンクバー２３をユーザがタッチすることによって図２（ｂ）に示すようなサブメニュー２７が表示される。サブメニュー２７には、簡略走行ルート表示（１）、簡略走行ルート表示（２）、及び簡略走行ルート表示（３）が含まれている。この（１）から（３）の数字は「簡略走行ルート表示画面」（簡略ルート表示領域）の数を示しており、選択されたサブメニュー２７に示された数に応じた「簡略走行ルート表示画面」が表示される。
【００３９】
図３（ａ）は、図２（ｂ）に示されるサブメニュー２７から簡略走行ルート表示（３）が選択されたときの簡略走行ルートが表示された注意ポイント簡略表示画面を示している。図３（ａ）に示すように、注意ポイント画面２１は、図２（ａ）及び図２（ｂ）のときよりも縦方向に広がり、それに伴って地図画面２２は縦方向に狭くなっている。
【００４０】
簡略走行ルート表示画面３１ａ〜３１ｃには注意ポイントの周辺の誘導経路が縦方向に圧縮されて表示される。また、その注意ポイントの識別番号が簡略走行ルート表示画面３１ａ〜３１ｃの右方の領域に表示されている。図３（ａ）では、識別番号が７，８，９の注意ポイントの周辺の誘導経路が表示されている例を示している。この簡略走行ルート表示画面３１ａ〜３１ｃは、地図画面２２と異なる色で表示される。
【００４１】
また、注意ポイント画面２１の右方にはスクロールバー３２が表示され、簡略走行ルート表示画面として展開された注意ポイントが全体の注意ポイントのどの辺りかが示されている。このスクロールバー３２を指などでなぞることにより、タッチされた位置に応じた注意ポイントの簡略走行ルート表示画面を表示させることができる。
【００４２】
図３（ａ）に示す簡略走行ルート表示画面には、縦方向に圧縮された誘導経路が表示され、注意ポイントの識別番号が「７」、「８」、「９」のように連続している場合、簡略走行ルート表示画面の間の誘導経路も連続して表示される。この簡略走行ルート表示画面では、注意ポイント周辺の地図を、連続する注意ポイント間の誘導経路が途切れることのないように抽出された地図データを基に作成される圧縮地図データを使用している。
【００４３】
図３（ｂ）は、簡略走行ルート表示画面に表示する誘導経路の他の例を示している。図３（ｂ）では、注意ポイントの近辺の誘導経路や道路が表示されている。この簡略走行ルート表示画面では、注意ポイント周辺の地図を自車両の走行方向を画面の縦方向になるようにして、注意ポイントを中心に、例えば縦方向が６００ｍの範囲の地図データを基に作成される圧縮地図データを使用している。
【００４４】
このように、簡略走行ルート表示画面に圧縮された誘導経路が表示されることにより、誘導経路の概略を把握することが可能となる。また、図３（ｂ）のように注意ポイント近辺の誘導経路が表示されることにより、注意ポイントがどのような交差点になっているかを事前に確認することが可能になる。
【００４５】
図４は、図３（ａ）や図３（ｂ）の簡略走行ルート表示画面に対して表示領域の変更をした場合の画面を示している。図４では、簡略走行ルート表示画面３１ｂに対して、画面のサイズを広くするように指定した結果を示している。簡略走行ルート表示画面３１ｂは縦方向に広がり、圧縮度を小さくした注意ポイントＢの周辺の誘導経路４２を含む地図画像が表示されている。図３（ａ）のように簡略走行ルート表示画面３１ｂに誘導経路が表示されている場合であっても、表示領域を拡大することによって注意ポイントＢの近辺の道路地図及び誘導経路が表示される。このように、簡略走行ルート表示画面を縦方向になぞる等の操作によってその画面が拡大又は縮小される。例えば、注意ポイント画面２１は画面全体の高さの１／２まで広げることが可能である。これに伴い、地図画面２２の高さは画面全体の１／２まで小さくなる。また、簡略走行ルート表示画面のサイズを変更したときは、そのサイズに応じた圧縮度の地図画像が表示される。すなわち、サイズを広くさせるに従って、圧縮度を小さくした注意ポイント周辺の簡略地図画像を表示させる。
【００４６】
なお、図４では簡略走行ルート表示画面３１ｂが拡大されたことによって、簡略走行ルート表示画面３１ｃは隠れた状態であり、その注意ポイントの識別番号が簡略走行ルート表示画面の右方に表示されている。
【００４７】
以上説明したように、本実施形態の車載用ナビゲーション装置によれば、誘導経路を探索したとき、制御部は誘導経路上の左折又は右折が指示される交差点等の注意ポイントを抽出し、その注意ポイントに関する情報（注意ポイントの位置、注意ポイントが目的地まで何か所あるか、及び注意ポイントの周辺の簡略地図データ等）を生成している。注意ポイントの周辺の簡略地図を表示をする旨の指示があったとき、画面を上下に２分割し、上部画面に注意ポイントの周辺の圧縮された地図（誘導経路）を表示し、下部画面に自車位置周辺の地図画像を表示する。
【００４８】
上部画面には初期画面としてすべての注意ポイントと関連付けられたリンクバーとともに注意ポイントの総数が表示される。また、指定された注意ポイントの周辺の簡略地図が表示されたり、誘導経路の概略が表示される。このように、注意ポイントの総数が表示されることにより、運転者にとって目的地までに注意ポイントが何か所存在するかが予め分かる。また、誘導経路上のどの辺りに注意ポイントがあるかを把握することができるとともに、注意ポイントの道路状況を予め把握することができる。
【００４９】
これにより、注意ポイントに近づいてから慌てて注意ポイントの道路状況に応じた運転をすることが防止され、安全走行に寄与することができる。また、注意ポイントが目的地まで何か所存在するかが予めわかることにより、運転者にとって注意ポイントの存在がわからずに運転する場合に比べて安心感が得られ、快適な走行に寄与することができる。
【００５０】
次に、本実施形態に係る車載用ナビゲーション装置１００において行う注意ポイント簡略表示処理について図５から図７のフローチャートを用いて説明する。
【００５１】
図５は、注意地点情報データを生成する処理の一例を示すフローチャートである。図６は、注意ポイント簡略表示において、注意ポイントの識別番号表示の処理の一例を示すフローチャートである。また、図７は、注意ポイント簡略表示において、簡略走行ルートを表示する処理の一例を示すフローチャートである。
【００５２】
まず、図５のステップＳ１１において、誘導経路の探索を行う。誘導経路の探索では、自車の現在位置から経路探索条件の設定でユーザによって指示された「目的地」までの誘導経路探索を行う。制御部１２は、従来と同様に地図データをＤＶＤ−ＲＯＭドライブ１を介してＤＶＤ-ＲＯＭ１ａからバッファメモリ１１に読み出し、バッファメモリ１１に読み出された地図データを用いて設定された探索条件で自車の現在位置から目的地までの誘導経路を探索する。探索された経路は誘導経路記憶部１５に格納される。なお、「目的地」の入力は、住所、電話番号、施設名等により入力される。また、表示画面に表示された地図上で目的地をタッチすることによって入力するようにしてもよい。
【００５３】
次のステップＳ１２において、注意ポイントを抽出する。ステップＳ１１において探索された誘導経路が記憶された誘導経路記憶部１５から、誘導経路上の注意すべき地点（交差点で右折又は左折をする地点やＹ字分岐点）を抽出する。
【００５４】
次のステップＳ１３において、ステップＳ１２において抽出された各注意ポイントの番号付けを行う。この番号は、誘導経路上の目的地から何番目の注意ポイントかを示すように付与される。
【００５５】
次のステップＳ１４において、ステップＳ１２において抽出された各注意ポイントの周辺の地図データをＤＶＤ−ＲＯＭ１ａから抽出する。抽出する地図データは、注意ポイントを中心として自車両の進行方向の前後３００ｍを縦方向とした範囲とする。また、ある注意ポイントの周囲地図と次の注意ポイントの周囲地図とが連続するような範囲としてもよい。
【００５６】
次のステップＳ１５において、各注意ポイントの周辺の地図データを縦方向に圧縮する。圧縮度は、例えば縦方向の距離６００ｍを簡略地図が表示される領域（簡略走行ルート表示画面３１）の縦の長さの２ｃｍに対応させるスケール（３００ｍスケール）とする。また、その領域が広げられる場合を考慮して、例えば、縦の長さの４ｃｍに対応させるスケール（１５０ｍスケール）まで段階的に圧縮した地図データを生成する。なお、圧縮度が高い場合は、誘導経路だけをデータとして生成するようにしてもよい。
【００５７】
次のステップＳ１６において、各注意ポイント毎に注意ポイントの番号及び圧縮地図データを関連付けた「注意ポイント情報データ」を作成して記憶部１７に格納する。
【００５８】
以上の注意ポイント情報データ生成処理によって、誘導経路上の注意ポイントに関連付けて、各注意ポイントに関する情報（注意ポイントの数や注意ポイントの周辺の地図データを圧縮した簡略地図データ）が生成される。
【００５９】
次に、図６を用いて、注意ポイント番号表示処理について説明する。なお、誘導経路が探索され、注意ポイントが存在して図５の処理によって注意ポイント情報データが生成され記憶部１７に格納されているものとする。また、注意ポイント簡略表示をする旨の指示がされたものとする。
【００６０】
まず、ステップＳ２１において、注意ポイント簡略表示の初期画面（図２参照）を表示する。
【００６１】
次のステップＳ２２において、自車両が注意ポイントの周辺を走行しているか否かを判定する。注意ポイントの周辺を走行するまで、待機し、注意ポイントの周辺を走行しているときは、ステップＳ２３に移行する。自車両の位置はＧＰＳ受信機３の信号を基に緯度・経度を検出し、注意ポイント情報データに含まれているか否かによって自車両が注意ポイントの周辺を走行しているか否かを判定する。
【００６２】
次のステップＳ２３において、地図画面２２に注意ポイントの識別番号を表示する。ステップＳ２２において自車両の位置が含まれている注意ポイントの周辺地図を基に、その注意ポイントの識別番号を注意ポイント情報データから抽出して地図画面２２の注意ポイント番号表示エリア２６に表示する。
【００６３】
次のステップＳ２４において、自車両が注意ポイントの周辺を通過したか否かを判定する。注意ポイントを通過したと判定されればステップＳ２５に移行し、注意ポイントの周辺の範囲を走行中であれば待機する。
【００６４】
次のステップＳ２５において、地図画面２２の注意ポイント番号表示エリア２６に表示されている注意ポイントの番号を消去する。
【００６５】
次のステップＳ２６において、注意ポイント画面２１の注意ポイント数表示エリア２４に表示されている注意ポイントの数を１減らして表示する。
【００６６】
次のステップＳ２７において、自車両が目的地に到達したか否かを判定する。目的地に到達すれば本注意ポイント表示処理は終了し、目的地に到達していなければ、ステップＳ２２に戻り本処理を継続する。
【００６７】
以上の注意ポイント番号表示処理によって、誘導経路上に注意ポイントが何か所存在するかの情報や、自車両がどの注意ポイントの周辺を走行し、目的地まで注意ポイントを何か所通過しなければならないか等の情報を運転者は容易に取得することができる。
【００６８】
次に図７を用いて、注意ポイント簡略走行ルート表示処理について説明する。なお、目的地を設定して誘導経路が探索され、誘導経路上の注意ポイントに関する情報が作成され記憶部に格納されているものとする。また、ユーザが注意ポイント簡略表示をする旨の指示をしたものとする。
【００６９】
まず、ステップＳ３１において注意ポイント簡略表示の初期画面を表示する。これはステップＳ２１と同様であるので説明を省略する。
【００７０】
次のステップＳ３２において、簡略走行ルート表示をする旨の指示があったか否かを判定する。簡略走行ルート表示をする旨の指示があるまで待機し、その指示があったときはステップＳ３３に移行する。簡略走行ルート表示をする旨の指示は、例えば、ユーザが注意ポイントリンクバー２３をタッチすることによってサブメニュー２７が表示され、そのサブメニュー２７から何か所の注意ポイントを表示するかが選択される。
【００７１】
次のステップＳ３３において、ステップＳ３２において指示された個数に応じて簡略走行ルート表示を行う。簡略走行ルート表示は図３（ａ）又は図３（ｂ）に示すように注意ポイントリンクバー２３の下方に表示される。１個の簡略走行ルート表示は例えば縦２ｃｍとし、３個の簡略走行ルートまで表示される。
【００７２】
簡略走行ルート表示ではその注意ポイントの前後の誘導経路が圧縮されて表示される。また、例えば３個の簡略走行ルートが表示されるときは、各注意ポイントの前後の誘導経路が圧縮されて表示されるとともに、３個の簡略走行ルート領域にまたがって連続して圧縮された誘導経路が表示される。
【００７３】
この簡略走行ルート表示画面３１は上部画面２１の一部であり、簡略走行ルート表示画面３１が表示されることにより上部画面２１のサイズが変更される。これに伴い、自車両の走行位置を示した地図画像を表示している下部画面２２のサイズも変更される。
【００７４】
次のステップＳ３４において、簡略走行ルート表示画面３１のサイズ変更の指示があったか否かを判定する。簡略走行ルート表示画面３１が表示されたときは、予め決められたサイズ（例えば、縦２ｃｍ）で表示されるが、その領域内を例えば指で縦方向に広げるようになぞることによって領域を広げ、閉じるようになぞることによって広げた領域を狭くする。
【００７５】
簡略走行ルート表示画面３１の表示サイズ変更の指示があったと判定されたときは、次のステップＳ３５において、指示に応じて表示サイズを変更し、注意ポイント周辺の地図画像を表示サイズに応じて圧縮度を変えて表示する。簡略走行ルート表示画面３１の表示サイズを広げたときは、表示されている注意ポイントの周囲の圧縮された地図画像の圧縮度が小さくなるように表示される。また、表示サイズを広げたときは、注意ポイントの近辺を表示するようにしてもよい。この場合には、隣接する簡略走行ルート表示画面３１の間で誘導経路が連続して表示されない場合がある。
【００７６】
次のステップＳ３６において、簡略走行ルート表示を解除する旨の指示があったか否かを判定し、その旨の指示があったときはステップＳ３７に移行し、指示がないときはステップＳ３４に移行して本処理を続行する。
【００７７】
ステップＳ３４において表示サイズ変更の指示がなかったときは、ステップＳ３８に移行して、簡略走行ルート表示の変更指示があったか否かを判定する。簡略走行ルート表示の変更指示は、例えば、上部画面２１の簡略走行ルート表示画面に対応して表示されるスクロールバー３２をタッチして、注意ポイントの表示範囲を指定する。この表示範囲の指定があったときは、ステップＳ３３に移行して、指定された領域を表示するようにする。
【００７８】
一方、表示範囲変更の指定がなかったときはステップＳ３６に移行して本処理を続行する。
【００７９】
以上の注意ポイント簡略走行ルート表示処理によって、自車両の現在位置よりも離れた先の注意ポイントを指定することによって、予め誘導経路の概略を知ることができる。また、通過が予定されている誘導経路上の注意ポイントの周辺の道路の状況を予め容易に把握することができる。これにより、事前に注意ポイントの走行に対する準備をすることができ、安全走行に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【００８０】
【図１】本発明の一実施形態に係る車載用ナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図２】図１に係る車載用ナビゲーション装置における注意ポイント簡略表示の初期画面の一例を示す図である。
【図３】簡略走行ルートが表示された注意ポイント簡略表示画面の一例を示す図である。
【図４】簡略走行ルートの拡大表示がされた注意ポイント簡略表示画面の一例を示す図である。
【図５】図１に係る車載用ナビゲーション装置における注意ポイント情報データ生成処理の一例を示すフローチャートである。
【図６】図１に係る車載用ナビゲーション装置における注意ポイント番号表示処理の一例を示すフローチャートである。
【図７】図１に係る車載用ナビゲーション装置における注意ポイント簡略走行ルート表示処理の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【００８１】
１００…車載用ナビゲーション装置、
１ａ…ＤＶＤ−ＲＯＭ（記憶手段）、
３…ＧＰＳ受信機（自車位置検出手段）、
４…自立航法センサ（自車位置検出手段）、
７…表示部（表示手段）、
１０…ナビゲーション装置本体、
１１…バッファメモリ（記憶手段）、
１２…制御部（制御手段）、
１５…誘導経路記憶部（記憶手段）、
１７…記憶部（記憶手段）、
２０…画面、
２１…上部画面、
２２…下部画面、
２３…注意ポイントリンクバー、
２５、４２…誘導経路、
３１ａ、３１ｂ、３１ｃ…簡略走行ルート表示画面。
【特許請求の範囲】
【請求項１】
目的地までの注意ポイントを含む誘導経路を探索し、当該誘導経路に沿って車両を誘導する機能を備えた車載用ナビゲーション装置であって、
表示手段と、
地図データが格納された記憶手段と、
自車両の現在位置を検出する自車位置検出手段と、
前記誘導経路上の各注意ポイントの周辺の地図データを前記記憶手段から抽出して圧縮した簡略地図データを生成する制御手段と、
を有し、
前記制御手段は、前記注意ポイントの周辺の簡略地図を表示する旨の指示があったとき、前記表示手段の画面を上部画面と下部画面に２分割し、前記上部画面に前記注意ポイントを識別する識別番号及び当該注意ポイントの周辺の簡略地図画像を表示させ、前記下部画面に前記自車両の現在位置周辺の地図画像を表示させることを特徴とする車載用ナビゲーション装置。
【請求項２】
前記制御手段は、前記簡略地図画像を前記注意ポイントと関連付けられた簡略ルート表示領域に表示させ、当該簡略ルート表示領域の指示されたサイズに応じて、当該サイズを広くさせるに従って圧縮度を小さくした簡略地図画像を表示させることを特徴とする請求項１に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項３】
前記制御手段は、前記誘導経路から抽出した前記注意ポイントの周辺の地図データを抽出し、当該地図データに前記目的地から近い順に前記識別番号を付与することを特徴とする請求項２に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項４】
前記制御手段は、前記識別番号のうち指定された識別番号が付与された前記注意ポイントに対応する前記簡略ルート表示領域を前記上部画面に表示させることを特徴とする請求項３に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項５】
前記制御手段は、前記自車両が前記注意ポイントの周辺を走行しているとき、前記下部画面に当該注意ポイントの識別番号を表示させることを特徴とする請求項２に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項６】
前記制御手段は、前記上部画面にすべての前記注意ポイントと関連付けられたリンクバーを表示させ、前記自車両の位置から前記目的地までの間の前記注意ポイントの数を前記リンクバーに隣接して表示させることを特徴とする請求項２に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項７】
前記注意ポイントは、前記誘導経路上において左折又は右折が指示される交差点、又はＹ字分岐点であることを特徴とする請求項１に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項１】
目的地までの注意ポイントを含む誘導経路を探索し、当該誘導経路に沿って車両を誘導する機能を備えた車載用ナビゲーション装置であって、
表示手段と、
地図データが格納された記憶手段と、
自車両の現在位置を検出する自車位置検出手段と、
前記誘導経路上の各注意ポイントの周辺の地図データを前記記憶手段から抽出して圧縮した簡略地図データを生成する制御手段と、
を有し、
前記制御手段は、前記注意ポイントの周辺の簡略地図を表示する旨の指示があったとき、前記表示手段の画面を上部画面と下部画面に２分割し、前記上部画面に前記注意ポイントを識別する識別番号及び当該注意ポイントの周辺の簡略地図画像を表示させ、前記下部画面に前記自車両の現在位置周辺の地図画像を表示させることを特徴とする車載用ナビゲーション装置。
【請求項２】
前記制御手段は、前記簡略地図画像を前記注意ポイントと関連付けられた簡略ルート表示領域に表示させ、当該簡略ルート表示領域の指示されたサイズに応じて、当該サイズを広くさせるに従って圧縮度を小さくした簡略地図画像を表示させることを特徴とする請求項１に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項３】
前記制御手段は、前記誘導経路から抽出した前記注意ポイントの周辺の地図データを抽出し、当該地図データに前記目的地から近い順に前記識別番号を付与することを特徴とする請求項２に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項４】
前記制御手段は、前記識別番号のうち指定された識別番号が付与された前記注意ポイントに対応する前記簡略ルート表示領域を前記上部画面に表示させることを特徴とする請求項３に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項５】
前記制御手段は、前記自車両が前記注意ポイントの周辺を走行しているとき、前記下部画面に当該注意ポイントの識別番号を表示させることを特徴とする請求項２に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項６】
前記制御手段は、前記上部画面にすべての前記注意ポイントと関連付けられたリンクバーを表示させ、前記自車両の位置から前記目的地までの間の前記注意ポイントの数を前記リンクバーに隣接して表示させることを特徴とする請求項２に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項７】
前記注意ポイントは、前記誘導経路上において左折又は右折が指示される交差点、又はＹ字分岐点であることを特徴とする請求項１に記載の車載用ナビゲーション装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【公開番号】特開２００９−２７０８８６（Ｐ２００９−２７０８８６Ａ）
【公開日】平成２１年１１月１９日（２００９．１１．１９）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００８−１２０４１３（Ｐ２００８−１２０４１３）
【出願日】平成２０年５月２日（２００８．５．２）
【公序良俗違反の表示】
（特許庁注：以下のものは登録商標）
１．ＶＩＣＳ
【出願人】（０００１０１７３２）アルパイン株式会社 (2,424)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２１年１１月１９日（２００９．１１．１９）
【国際特許分類】
【出願日】平成２０年５月２日（２００８．５．２）
【公序良俗違反の表示】
（特許庁注：以下のものは登録商標）
１．ＶＩＣＳ
【出願人】（０００１０１７３２）アルパイン株式会社 (2,424)
【Ｆターム（参考）】
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