説明

車載装置、センタ装置、コンテンツ削除方法、及びコンテンツデータ作成方法

【課題】車載装置において、有効期限が終了したコンテンツを保持しておく場合に、大容量の記憶手段を設ける必要が生じるという不都合を極力解消する。
【解決手段】路側装置から、有効期限が設定され得るコンテンツの配信を受ける車載装置であって、配信を受けたコンテンツを保持するための記憶手段と、記憶手段において保持しているコンテンツを再生する再生手段と、再生手段によるコンテンツの再生に際し、再生画面を表示するための表示手段とを備えたものにおいて、記憶手段において保持されているコンテンツについて有効期限が終了しているか否かを判定する判定手段(ステップS73、S74)と、判定手段により有効期限が終了していると判定されたコンテンツを構成するデータのうちの所定のものを削除する削除手段(ステップS75)とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路側装置からコンテンツの配信を受ける車載装置、車載装置に対してコンテンツを配信するセンタ装置、車載装置におけるコンテンツ削除方法、及びセンタ装置におけるコンテンツデータ作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、DSRC(狭域通信)を利用した情報提供システムとして、たとえば、路上機が提供する決済情報、交通情報、広告情報等を車載器が受信して格納し、格納した情報を、車載器がユーザに対して提示するようにしたものが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2007−174520号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の従来技術によれば、多数の情報を車載器が受信した場合、その情報を記憶しておくための記憶領域を大量に使用するので、大容量の記憶装置を車載器に搭載しなければならない。
【0005】
本発明の目的は、かかる従来技術の問題点に鑑み、車載器において、多くの情報を受信し、保持しておく場合に、大容量の記憶手段を設ける必要が生じるという不都合を解消することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するため、第1の発明に係る車載装置は、路側装置から、有効期限が設定され得るコンテンツの配信を受ける車載装置であって、配信を受けたコンテンツを保持するための記憶手段と、前記記憶手段において保持しているコンテンツを再生する再生手段と、前記再生手段によるコンテンツの再生に際し、再生画面を表示するための表示手段と、前記記憶手段において保持されているコンテンツについて有効期限が終了しているか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により有効期限が終了していると判定されたコンテンツを構成するデータのうちの所定のデータを削除する削除手段とを具備することを特徴とする。
【0007】
第2の発明に係る車載装置は、第1発明において、前記コンテンツを構成するデータとして、該コンテンツの次に再生可能なコンテンツを特定する次特定データが含まれており、前記削除手段により削除される所定のデータには、前記次に再生可能なコンテンツに関する情報を表示するためのデータが含まれており、前記再生手段は、再生しようとするコンテンツのデータにおいて前記所定のデータが前記削除手段により削除されている場合には、該コンテンツの再生に際し、該コンテンツの前記次特定データに基づき、次に再生可能なコンテンツの再生画面に遷移するための遷移ボタンを表示するとともに、該次に再生可能なコンテンツのデータから該コンテンツに関する情報を取得し、該遷移ボタンに付随させて表示するものであることを特徴とする。
【0008】
第3の発明に係る車載装置は、第1又は第2発明において、前記削除手段による削除は、車載装置の起動時に行われることを特徴とする。
【0009】
第4の発明に係る車載装置は、所定の識別情報が付与されており、識別情報毎に更新され得るコンテンツの配信を路側装置から受ける車載装置であって、配信を受けたコンテンツを保持するための記憶手段と、車載装置の現在位置をその近傍の地図とともに表示するナビゲーション手段とを備え、前記コンテンツを構成するデータには、該コンテンツに関連する場所を前記ナビゲーション手段により表示される地図上に表示するためのアイコンのデータが含まれており、前記車載装置はさらに、前記記憶手段において保持されているコンテンツ中の前記識別情報が同一である各コンテンツのうち最新のもの以外のものの前記アイコンデータを削除する削除手段を具備することを特徴とする。
【0010】
第5の発明に係るセンタ装置は、車載装置に対して有効期限の設定が可能なコンテンツの配信を路側装置を介して行うセンタ装置であって、前記コンテンツを構成するデータを作成するデータ作成手段を備え、前記コンテンツを構成するデータには、該コンテンツの次に再生可能なコンテンツを特定する次特定データ、該次のコンテンツに関する情報を表示するための画像データ、及び該次のコンテンツに関する情報を表示するための文字データが含まれており、前記コンテンツは、前記車載装置に対して配信され、再生される際に、該再生コンテンツにおける前記画像データが削除されている場合には、該再生コンテンツの前記次特定データに基づいて次に再生可能なコンテンツの再生画面に遷移するための遷移ボタンを表示するとともに、該再生コンテンツの前記文字データに基づく表示を該遷移ボタンに付随させて行うために用いられることを特徴とする。
【0011】
第6の発明に係るコンテンツ削除方法は、路側装置から、有効期限が設定され得るコンテンツの配信を受ける車載装置におけるコンテンツ削除方法であって、配信を受けたコンテンツを保持するために該コンテンツを構成するデータを記憶手段に記憶する記憶工程と、前記記憶手段において保持されているコンテンツについて有効期限が終了しているか否かを判定する判定工程と、前記判定工程により有効期限が終了していると判定されたコンテンツを構成するデータのうちの所定のデータを削除する削除工程とを具備することを特徴とする。
【0012】
第7の発明に係るコンテンツ削除方法は、所定の識別情報が付与されており、識別情報毎に更新され得るコンテンツの配信を路側装置から受ける車載装置におけるコンテンツ削除方法であって、配信を受けたコンテンツを保持するために該コンテンツを構成するデータを記憶手段に記憶する記憶工程と、車載装置の現在位置をその近傍の地図とともに表示するナビゲーション工程とを備え、前記コンテンツを構成するデータには、該コンテンツに関連する場所を前記ナビゲーション工程により表示される地図上に表示するためのアイコンのデータが含まれており、前記記憶領域節約方法はさらに、前記記憶手段において保持されているコンテンツ中の前記識別情報が同一である各コンテンツのうち最新のもの以外のものの前記アイコンデータを削除する削除工程を具備することを特徴とする。
【0013】
第8の発明に係るコンテンツデータ作成方法は、車載装置に対して有効期限の設定が可能なコンテンツの配信を路側装置を介して行うセンタ装置におけるコンテンツデータ作成方法であって、前記コンテンツを構成するデータを作成するデータ作成工程を備え、前記コンテンツを構成するデータには、該コンテンツの次に再生可能なコンテンツを特定する次特定データ、該次のコンテンツに関する情報を表示するための画像データ、及び該次のコンテンツに関する情報を表示するための文字データが含まれており、前記コンテンツは、前記車載装置に対して配信され、再生される際に、該再生コンテンツにおける前記画像データが削除されている場合には、該再生コンテンツの前記次特定データに基づいて次に再生可能なコンテンツの再生画面に遷移するための遷移ボタンを表示するとともに、該再生コンテンツの前記文字データに基づく表示を該遷移ボタンに付随させて行うために用いられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、車載装置の記憶手段において、多数のコンテンツを受信し、保持しておく場合に、大容量の記憶手段を設ける必要が生じるという不都合を極力解消することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は本発明の一実施形態に係る路車間DSRCシステム10の概略図である。路車間DSRCシステム10は、タウンカーライフナビによる情報提供サービスに利用され、そのサービスにおいては、タウンカーライフナビマルチコンテンツ形式のデータが用いられる。路側機11は、サーバ12と共に路側装置15を構成し、有線又は無線でサーバ12へ接続されている。サーバ12は、さらに、インターネット等のネットワークを介して別のサーバとデータを送受自在になっている。路側機11は、直径がほぼ数m〜30mのエリアに存在する自動車13に搭載されているITS車載器17とは5.8GHz帯の電波を使ってデータを送受する。ITS車載器17はDSRC部18及びナビ部19を有している。
【0016】
図2はタウンカーライフナビマルチコンテンツ形式のデータ伝送態様の説明図である。マルチコンテンツ形式のダウンリンクでは、データをその種類に応じて分類し、分類ごとにIDコード(大区分ID)「00」、「01」、「02」、・・・を割り振っている。マルチコンテンツ形式のデータ伝送では、データが情報グループを単位に括られ、各情報グループは先頭にIDコードが「00」(以下、「ID=00」のように記す。)の分類データをもつ。ID=00の分類データは、その情報グループに含まれているIDにはどのようなものがあるかを示す構成情報となっている。
【0017】
図3は情報グループの構成について各IDが必須か任意かを示す図である。ID=00、01、02は、各情報グループに必ず含めなければならない。ID=03、04、05は、ID=60のみの情報提供の場合には情報グループに含める必要はないが、その他の情報提供の場合には、情報グループに必ず含める必要がある。その他のIDは情報グループに含めるか否かは任意である。
【0018】
図4〜図7はダウンリンクで使用する各IDに割り当てる分類表である。ID=00は構成ID情報(各情報グループがどのようなIDを格納しているかを記述する領域)の分類となっている。ID=01は、事業者の分類となっており、サービス事業者コード(サービス事業者を特定できる事業者コード)、サービス事業者表示テキスト(ナビ表示用サービス事業社名(サービス名)テキスト情報)、及びサービス事業者表音文字列(ナビ発話用サービス事業社名(サービス名)表音文字列情報)を含む。
【0019】
ID=02はコンテンツの分類となっており、企業コード(コンテンツの情報提供元を特定できるコード)、企業表示テキスト(ナビ表示用情報提供企業名テキスト情報)、企業表音文字列(ナビ発話用情報提供企業名表音文字列情報)、情報コード(コンテンツを特定できる情報コード)、情報表示テキスト(ナビ表示用コンテンツ内容テキスト情報)、情報表音文字列(ナビ発話用コンテンツ内容表音文字列情報)、及び嗜好データカテゴリー(情報が該当する情報カテゴリーを示すカテゴリーコード)を含む。
【0020】
ID=03は、ID=02と同様に、コンテンツの分類となっており、即時再生/蓄積コード(受信後のコンテンツ再生動作を表すコード)、及び再生条件コード(情報提供エリアでのコンテンツ再生条件を示すコード)を含む。
【0021】
ID=04は、有効期限の分類となっており、開始年月日時分秒(コンテンツの有効期限)、及び終了年月日時分秒(コンテンツの有効期限)を含む。ID=05は、提供時間の分類となっており、営業時間(コンテンツ提供元の営業時間)、及び情報提供時間(コンテンツ提供時間)を含む。
【0022】
ID=10は、対象地点の分類となっており、項目有無情報(対象地点、テキスト、画像、表音文字、圧縮音声、ビデオ、アイコンの有無情報、及びマルチメディアフラグ)、対象地点座標(サービス提供可能な地点の緯度経度情報)、対象地点表示用テキスト(サービス名称(店舗名称等))、提携駐車場情報(対象地点以外の提携駐車場情報)、アイコン表示画像データ(サービス提供可能な場所を表すアイコンのデータ)、表示用文字データ(サービスの説明用テキスト情報)、表示画像データ(サービスを表す静止画情報)、表音文字列データ(サービスを表す表音文字列情報)、圧縮音声データ(圧縮音声データ情報)、音声再生順(表音文字列と圧縮音声の再生順序を表す)、ビデオデータ(ビデオデータ情報)、及びURL(サービスを表すURL情報)を含む。マルチメディアフラグが立っていた場合、ID=10に限り、表示画像はジャケ写(圧縮音声は楽曲)若しくはサムネイル(ビデオはPV)、テキストはアーティスト名、楽曲名と判断する。
【0023】
ID=20は、情報提供地点の分類となっており、計5個の情報提供地点について、情報提供中心座標(ポップアップ情報を再生する緯度経度情報)、情報提供エリア(ポップアップ情報を再生するエリアを定義する中心座標からの半径情報)、情報提供方向コード(ポップアップ情報を再生する情報提供方向情報)、情報提供道路種別(ポップアップ情報を再生する道路種別情報)、表示画像データ(ポップアップ再生する静止画のデータ)、表音文字列データ(ポップアップ再生する表音文字列情報、圧縮音声データポップアップ再生する圧縮音声のデータ)、及び音声再生順(ポップアップ再生する音声データの再生順番を表すコード)を含む。
【0024】
ID=30は、遷移情報の分類となっており、計8個の次再生情報コード(画面遷移情報)を含む。ID=40は、詳細情報の分類となっており、計8個の各詳細情報について、表示用文字データ(ナビ表示用詳細情報テキスト情報)、及び発話用表音文字列(ナビ発話用詳細情報表音文字列情報)を含む。
【0025】
ID=50は、駐車場情報の分類となっており、最大15個の各駐車場について、駐車場ID(駐車場を特定できるID)、詳細情報(駐車場の動的詳細情報)、特記事項(駐車場の特記事項)、及び特記事項表音文字列(ナビ発話用特記事項表音文字列)を含む。
【0026】
ID=51は、ナビ部19に格納されている駐車場の静的情報を3次メッシュ単位で最大4メッシュ分更新することが可能になる。ID=51は、3次メッシュ数(更新する駐車場静的情報を含む3次メッシュ数を通知するもの)、1〜4の各メッシュについて、3次メッシュコード(更新する駐車場静的情報を含む3次メッシュコード)、3次メッシュバージョン情報(更新する駐車場静的情報が含まれる3次メッシュのバージョン情報)、3次メッシュ駐車場数(更新するメッシュに含まれる駐車場静的情報数)、3次メッシュ駐車場静的情報(更新する駐車場の静的情報)を含む。
【0027】
ID=52は削除駐車場ID情報である。メッシュ単位で駐車場情報をすべて(新設/削除)更新する場合はこの情報は用いない。ID=52は、3次メッシュ数(削除する駐車場ID情報を含む3次メッシュ数を通知するもの)、3次メッシュコード(削除する駐車場ID情報を含む3次メッシュコード)、3次メッシュバージョン情報(削除する駐車場ID情報が含まれる3次メッシュのバージョン情報;ID=51で同時に通知される静的情報のバージョンと同一のものとする)、3次メッシュ駐車場数(更新するメッシュに含まれる駐車場静的情報数)、及び3次メッシュ削除駐車場ID情報(削除する駐車場ID情報)を含む。
【0028】
ID=60は、運転支援の分類であり、運転支援画像データ(運転支援画像情報)、運転支援表音文字列(データ運転支援表音文字列情報)、運転支援圧縮音声(データ運転支援圧縮音声情報)、及び音声再生順(表音文字列と圧縮音声の再生順序を表す)が含まれる。
【0029】
ID=80は、嗜好データの分類であり、計127個の各嗜好データのテーブルについて、嗜好データバージョン(嗜好データのテーブルのバージョン情報)、嗜好データテーブル(
嗜好データのテーブルの表示用テキスト情報)、表音文字列(嗜好データのテーブルの発話用表音文字列情報)、及び詳細情報(嗜好データのテーブルの詳細情報)が含まれる。
【0030】
図8は路側装置15−ITS車載器17間のトランザクションで実施される各機器間の通信及び処理を示している。路側機11及びサーバ12は路側装置15を構成する。ITS車載器17はDSRC部18及びナビ部19を有している。時間順に説明する。なお、路側機11−DSRC部18間の通信はDSRCの電波で行われ、路側機11−サーバ12間及びDSRC部18−ナビ部19間の通信は通常、ケーブルで行われる。
【0031】
ITS車載器17において電源が投入されるのに伴い、S10では、ナビ部19からDSRC部18へクライアントインフォメーションデータが書き込まれる。ITS車載器17を搭載する自動車13が路側機11との通信可能な距離(例:約30m)の電波到達エリアに進入(エリアイン)するのに伴い、S11では、路側機11−DSRC部18間でDSRC接続処理が実施される。
【0032】
S11のDSRC接続処理が終了すると、S12、S13でDSRC接続通知が行われる。S12の接続通知は路側機11からサーバ12へのものであり、S13の接続通知はDSRC部18からナビ部19へのものである。S14では、クライアントインフォメーションがDSRC部18から路側機11を経てサーバ12へ通知される。
【0033】
サーバ12は、DSRC部18からのクライアントインフォメーション通知に基づきITS車載器17のユーザが会員か非会員かを判別したり、ITS車載器17でコンテンツを適正に再生するためのITS車載器17のハードウェア情報を知得する。S18では、サーバ12から路側機11及びDSRC部18を経てナビ部19へWelcome画面等のコンテンツを送信する。該コンテンツはマルチコンテンツフォーマットで編成されている。ナビ部19は、マルチコンテンツフォーマットからサービス事業者を判断する。
【0034】
サーバ12は、S18後、ナビ部19がアップリンク情報をDSRC部18に書き込む(S20)まで、S19でDSRC部18に対して定期的にメモリアクセスポーリングを行う。S19は1回目のポーリングを示している。この図の例では、S20によりアップリンク情報が書き込まれる前にポーリングが行われたので、アップリンク情報は得られていない。S20では、ナビ部19は、該サービス事業者の会員であれば、アップリンク情報をDSRC部18に書き込むのに対し、会員でなければ、何もしない。
【0035】
S24では、サーバ12は、路側機11及びDSRC部18を経由してデフォルトのコンテンツをナビ部19へ送る。S29は2回目のメモリアクセスポーリングを示している。この時点ではS20によりDSRC部18にアップリンク情報が書き込まれているので、DSRC部18は、ユーザが会員であれば、アップリンク情報をサーバ12へ通知する。
【0036】
S33では、サーバ12は、アップリンク情報から取得した会員情報に基づき会員趣向に適した蓄積型コンテンツをマルチコンテンツフォーマット(図2)で編成してITS車載器17へ配信する。後述するように、路側装置15は、S33の期間中、蓄積型コンテンツの配信を1回以上、中断して、即時再生型コンテンツの配信を割込ませる。S34では、蓄積型コンテンツの配信終了を通知する。ITS車載器17を搭載する自動車13は、配信終了に伴い路側機11との通信エリアから退出する。
【0037】
図9はITS車載器17から路側装置15へ送られるアップリンク情報のデータ説明図である。アップリンク情報は、複数のタグで送られる。タグ1には、サービス事業者コード、目的地(緯度経度)、経由地(緯度経度)1〜5、累計走行距離、嗜好ジャンルデータバージョン、嗜好ジャンルデータ、会員情報1〜8が含められる。タグ2には、サービス事業者コード、過去立寄り地(緯度経度)1〜41が含められる。タグ3には、サービス事業者コード、過去立寄り地(緯度経度)42〜82が含められる。
【0038】
タグ4には、サービス事業者コード、受信/再生履歴(受信情報コード及び再生識別フラグ)1〜123が含められる。タグ5には、サービス事業者コード、受信/再生履歴(受信情報コード及び再生識別フラグ)124〜246が含められる。
【0039】
図10はID=80の嗜好データの一例をテーブル表現した説明図である。嗜好データは、嗜好データ番号、嗜好データ表示用テキスト、嗜好データ表示用ネスト、嗜好データ対象識別子、嗜好データデフォルト値、表音文字列により構成される。嗜好データ番号は、0〜127の最大、計128個存在し、サービス業者が各データ番号の項目を自由に設定することができる。128の項目の内、最大96項目がS30(図4)でITS車載器17から路側装置15へアップリンク情報として通知される。
【0040】
アップリンク情報として通知される96項目中、12項目は、公共情報提供サービス目的に利用され、DSRC通信において情報提供を行う際にはデフォルトで配信する情報項目となっている。図10の嗜好データテーブルにおいて、表示用ネストは、各項目(図10のデータ番号に対応する。)の階層を意味し、大きい数値ほど、下の階層を意味している。対象識別子は、それが「0」となっている項目は、ナビ部19における嗜好データのチェック付け画面(後述の図11)においてチェック対象となっていないことを意味し、それが「1」となっている項目は、該チェック付け画面においてチェック対象となっていることを意味する。デフォルト値は、それが「0」となっている項目は、チェック付けの初期画面にチェック無しで表示することを意味し、それが「1」となっている項目は、チェック付けの初期画面にチェック有りで表示することを意味する。
【0041】
図11は路側装置15から嗜好データを受信したITS車載器17がナビ部19の表示器に表示するチェック付けの画面の一例である。ユーザはスクロールバー23をドラッグすることにより画面を上下方向へスクロールすることができる。図11において、ユーザがオンボタンをクリックすると、チェックを付けたことになり、オフボタンをクリックすると、チェックを外したことになる。各項目において、「オン」及び「オフ」の内、字体が斜体になっている方をユーザが選択したことを意味している。受信した嗜好データのデフォルト値が「0」(例:図10のバーゲン情報及びクーポン情報)である項目はオフ(チェック無し)となっており、また、受信した嗜好データのデフォルト値が「1」(例:図10の駐車場情報)である項目はオン(チェック有り)となっている。
【0042】
図12は路側機11の構成を示すブロック図である。同図に示すように、路側機11は必要な処理を行い、路側機11の各部を制御する制御部111、制御部111が実行するプログラム等を記憶するROM112、制御部111が使用するRAM113、制御部111が補助記憶装置として使用する記憶装置114、制御部111がITS車載器17との間でDSRC通信を行うための無線通信部115、及び制御部111がサーバ12との間でITS通信網(高度道路交通システム通信網)20を介して通信を行うための通信制御部116を備える。なお、サーバ12は、路側機11を介してITS車載器17に対するコンテンツの配信を行う他、ITS車載器17からのアップリンク情報に関する処理等も行うセンタ装置として機能する。
【0043】
図13はITS車載器17の構成を示すブロック図である。同図に示すように、ITS車載器17は、必要な処理を行い、ITS車載器17の各部を制御する制御部171、制御部171が実行するプログラム等を記憶するROM172、制御部171が処理に際して使用するRAM173、制御部171が補助記憶装置として使用する記憶装置174、制御部171が無線通信を行うための通信部175、制御部171に対して操作入力により指示を与えるための操作部176、制御部171がユーザに対して通知する情報を表示するための表示部177、ユーザが制御部171に対して音声入力により指示を与えるためのマイク178、制御部171がユーザに対し音声出力により情報を通知するためのスピーカ179、マイク178及びスピーカ179と、制御部171との間に介在し、音声認識や音声合成等の処理を行う音声処理部180、並びに制御部171と、センサ群181との間に介在し、センサ群181からの出力を制御部171に受け渡す入出力装置182を備える。
【0044】
通信部175は、GPS衛星から送出される電波を受信して測位演算を実行し、測位情報を出力するGPSモジュール175a、及び路側機111との間でDSRC通信を行うためのDSRCモジュールを備える。センサ群181は車速センサ、ジャイロセンサ、パーキングセンサ等により構成される。制御部171は記憶装置174に記憶されている地図データベースを参照し、GPSモジュール175aやセンサ群181からの情報に基づき、ナビゲーション機能も営む。
【0045】
図14はITS車載器17の表示部177において表示されるコンテンツの画面の一例を示す。図中の141は当該コンテンツの「対象地点情報」(ID=10)中の「表示画像データ」に基づいて表示された部分、142は該コンテンツの「遷移情報」(ID=30)における「次再生情報コード1」〜「次再生情報コード8」に基づいて生成された遷移ボタンである。「次再生情報コード1」〜「次再生情報コード8」には当該コンテンツの次に再生可能なコンテンツの「情報コード」(ID=02)が8つまで設定可能となっている。つまり、「情報コード」毎にコンテンツが存在するので、次に再生されるコンテンツも「情報コード」により特定される。遷移ボタン142は「情報コード」が設定されており、かつその「情報コード」により特定されるコンテンツが記憶装置174内に存在する「次再生情報コード1」〜「次再生情報コード8」の数だけ、順に「1」、「2」、・・・の番号を付随させながら表示される。図14の例では、「次再生情報コード1」から「次再生情報コード4」までに「情報コード」が設定され、かつ対応するコンテンツが存在するので、「1」〜「4」の番号が付された4つの遷移ボタン142が表示されている。
【0046】
上述の表示部分141において表示されている「1.くらし情報」、「2.お店の情報」、「3.ロードサイドサービス」、及び「4.駐車場案内」はそれぞれ上述の「1」〜「4」の番号が付された各遷移ボタン142を押下した場合に再生される次のコンテンツの概要を示すものとなっている。つまり、このように表示部分141の表示内容と各遷移ボタン142とが対応するように、「表示画像データ」(ID=10)及び「次再生情報コード1」〜「次再生情報コード8」(ID=30)が、当該コンテンツにおいて設定されている。
【0047】
遷移ボタン142のいずれかが押下されると、ITS車載器17は、当該遷移ボタン142に対応する「次再生情報コード1」〜「次再生情報コード4」のいずれかの設定内容と同一の「情報コード」(ID=02)を有するコンテンツを検索し、そのコンテンツを再生する。つまり、検索されたコンテンツの対象地点情報(ID=10)中の「表示画像データ」及び「遷移情報」(ID=30)が設定されていれば、これらの設定内容に基づく画面に遷移する。このようにして、遷移情報(ID=30)の設定内容に従い、コンテンツの画面を順次遷移させながら、各コンテンツを再生させることができるようになっている。
【0048】
ところで、ITS車載器17が受信するコンテンツにおいては有効期限(ID=04)が設定可能であり、ITS車載器17においては、設定されている有効期限が終了したコンテンツも記憶装置174において保持するようにしているが、電源が投入されたとき、保持しているコンテンツのうち、有効期限が終了したものについては、コンテンツデータ中の所定のものを削除し、コンテンツが占める総データ量を小さくするようにしている。所定のデータとしては「対象地点情報」(ID=10)における「表示画像データ」、さらには「情報提供地点1」〜「情報提供地点5」(ID=20)のデータが該当する。
【0049】
「表示画像データ」(ID=10)はコンテンツの画面表示に使用されるものであり、このデータには、図14のように、次のコンテンツの内容に関する情報を各遷移ボタン142に対応させて表示するための画像データが含まれている。このため、「表示画像データ」(ID=10)を削除すると、次のコンテンツの情報が表示されなくなるので、ユーザによる遷移ボタン142の選択に支障をきたす。つまり、図14のコンテンツ画面の例でいえば、遷移ボタン142は表示されているが、「1.くらし情報」〜「4.駐車場情報」の表示がない状態となり、各遷移ボタン142の機能が不明となる。そこでかかる不都合を回避するため、次の2つの方法のうちのいずれか又は双方の措置を講ずるようにしている。
【0050】
第1の方法は、「遷移情報」(ID=30)を構成する「次再生情報コード1」、「次再生情報コード2」、・・・に合致する「情報コード」(ID=02)を有するコンテンツを検索し、そのコンテンツにおける「企業表示テキスト」(ID=02)や「情報表示テキスト」(ID=02)を使用して遷移ボタンを表示するというものである。この方法は、配信されるコンテンツにおけるデータ形式を変更する必要なく、ITS車載器17において実施することができる。
【0051】
図15は該第1の方法により遷移ボタンが表示されたコンテンツの画面の一例を示す。図中の151は画面上に表示された遷移ボタンである。各遷移ボタン151上には、その遷移ボタン151の押下により再生される次のコンテンツの「企業表示テキスト」(ID=02)や「情報表示テキスト」(ID=02)の内容が表示されている。この表示により、「表示画像データ」(ID=10)が削除され、該データに基づく表示がなされていない場合でも、ユーザは各遷移ボタン151の押下によりどのようなコンテンツの画面に遷移するかを理解することができ、押下すべき遷移ボタン151を支障なく決定することができる。
【0052】
第2の方法は、配信するコンテンツにおける「対象地点情報」(ID=10)の「表示用文字データ」として、各遷移ボタンの説明を設定しておくというものである。この方法はサーバ12側で対応する必要がある。この場合、当該コンテンツの配信を受けたITS車載器17において、「表示画像データ」(ID=10)が削除されたとしても、「表示用文字データ」(ID=10)の内容が、各遷移ボタンの説明として表示されることになる。
【0053】
図16はこの第2の方法により遷移ボタンの説明が表示されたコンテンツの画面の一例を示す。図中の161は「表示用文字データ」(ID=10)に基づいて表示された文字列であり、162は「遷移情報」(ID=30)の設定内容に基づいて表示された遷移ボタンである。遷移ボタン162は内容が設定されている「次再生情報コード1」、「次再生情報コード2」、・・・の数だけ表示され、順に「1」、「2」、・・・の番号が付随して表示される。文字列161には、各遷移ボタン162に付された「1」、「2」、・・・の番号に対応した説明が含まれる。図16の場合、「1」〜「4」の番号が付された4つの遷移ボタン162のそれぞれに対応する、「1.くらし情報」〜「4.駐車場案内」の説明が表示されている。「表示画像データ」(ID=10)が削除された場合でも、ユーザは文字列161による説明に基づき、各遷移ボタン162によってどのようなコンテンツに遷移することができるかを理解し、所望の遷移ボタン162を選択することができる。
【0054】
一方、「情報提供地点1」〜「情報提供地点5」(ID=20)を削除する場合には、有効期限が終了しているコンテンツのID=20のデータはすべて削除する。ID=20のデータは、ITS車載器17が、いずれかの「情報提供地点1」〜「情報提供地点5」により特定される情報提供地点に到達した際に、そのいずれかの「情報提供地点1」〜「情報提供地点5」中の「表示画像データ」等に基づいてポップアップ再生を行うためのものであるため、有効期限が終了している場合には、そのようなポップアップは意味をなさなくなっている場合が多いからである。
【0055】
さらに「対象地点情報」(ID=10)中の「アイコン表示画像データ」については、有効期限が終了していなくても、最新でないコンテンツの「アイコン表示画像データ」である場合には削除する。つまり、コンテンツを特定する「情報コード」(ID=02)としては、同じ情報の提供に係る各コンテンツであって内容の更新のみが行われた各コンテンツに対しては同一のものを割り当てるのが好ましいとされているので、「情報コード」が同一であって順次更新されたコンテンツのデータが、記憶装置174において複数存在し得る。そして、「アイコン表示画像データ」はそれを含むコンテンツに関連してサービスの提供が可能な場所を示すアイコンを、ナビゲーション機能に基づいて表示される地図上に表示するための画像データであるため、「情報コード」毎に最新のものが1つあれば十分だからである。
【0056】
図17は上述のITS車載器17における起動時処理のフローチャートである。この処理は電源が投入され、ITS車載器17が起動されたときに行われる。この処理においては、上述のように、保存しているすべてのコンテンツのうち、有効期限が終了しているものについて、コンテンツを構成するデータのうちの所定のものが削除される。すなわち処理を開始すると、ITS車載器17は、まずステップS71において、記憶装置174において記憶しているすべてのコンテンツのうち、最も小さい「サービス事業者コード」(ID=01)を有するコンテンツ群を、確認サービス事業者コンテンツとしてピックアップする。
【0057】
次に、ステップS72において、確認サービス事業者コンテンツのうち、最も小さい「情報コード」(ID=02)を有するコンテンツを、確認コンテンツとしてピックアップする。次に、ステップS73において、確認コンテンツにおいて「有効期限」(ID=04)が設定されているかどうかを判定する。設定されていないと判定した場合にはステップS76へ進む。設定されていると判定した場合にはステップS74において、確認コンテンツの有効期限は終了しているか否かを判定する。この判定は、現在の時刻が、確認コンテンツの「有効期限」(ID=04)において設定されている「終了年月日時分」を経過しているか否かにより行う。経過している場合には有効期限が終了したと判定する。有効期限が終了してはいないと判定した場合にはステップS76へ進む。有効期限が終了したと判定した場合には、ステップS75において、確認コンテンツ中の所定のデータを削除する処理を行い、ステップS76に進む。
【0058】
ステップS75のデータ削除処理においては、図18に示すように、確認コンテンツの「対象地点情報」(ID=10)における「表示画像データ」を削除するか、又は図19に示すように、確認コンテンツの「情報提供地点1」〜「情報提供地点5」(ID=20)をすべて削除する。ただし、これらのデータのうちのいずれかが設定されていない場合もあるので、その場合には削除を要しない。また、図18及び図19の処理の双方を行うようにしてもよい。
【0059】
ステップS76では、確認サービス事業者コンテンツ中に確認コンテンツの「情報コード」(ID=02)よりも大きい「情報コード」を有するコンテンツが存在するかどうかを判定する。存在しないと判定した場合にはステップS78へ進む。存在すると判定した場合にはステップS77において、確認サービス事業者コンテンツのうち確認コンテンツの次に小さい「情報コード」を有するコンテンツを確認コンテンツとしてピックアップし、ステップS73へ戻る。
【0060】
ステップS78では、記憶装置174において保存しているコンテンツ中に、確認サービス事業者コンテンツの「サービス事業者コード」(ID=01)よりも大きい「サービス事業者コード」を有するコンテンツが存在するか否かを判定する。存在すると判定した場合には、ステップS79において、保存しているすべてのコンテンツのうち、確認サービス事業者コンテンツの「サービス事業者コード」の次に小さい「サービス事業者コード」を有するコンテンツ群を、確認サービス事業者コンテンツとしてピックアップし、ステップS72に戻る。ステップS78において該当するコンテンツが存在しないと判定した場合には図17の処理を終了する。
【0061】
図20はITS車載器17におけるコンテンツ表示処理を示すフローチャートである。この処理においてはコンテンツのデータ内容に応じ、ビデオや、上述図14〜図16において例示したようなコンテンツ画面が表示される。処理を開始すると、ITS車載器17は、まずステップS201において、再生対象とされたコンテンツにおいて「ビデオデータ」(ID=10)が設定されているか否かを判定する。設定されていると判定した場合にはステップS202において、設定されているデータに基づき、ビデオの再生を行い、ステップS207へ進む。
【0062】
ステップS201において「ビデオデータ」が設定されていないと判定した場合には、ステップS203において、当該コンテンツに「表示画像データ」(ID=10)が設定されているか否かを判定する。設定されていると判定した場合にはステップS204において、設定されているデータに基づき、画像の表示を行い、ステップS207へ進む。
【0063】
ステップS203において「表示画像データ」が設定されていないと判定した場合には、ステップS205において、当該コンテンツに「表示用文字データ」(ID=10)が設定されているか否かを判定する。設定されていると判定した場合にはステップS206において、設定されているデータに基づき、文字の表示を行い、ステップS207へ進む。
【0064】
ステップS205において「表示用文字データ」が設定されていないと判定した場合には、ステップS208において、遷移ボタン生成処理1を行い、図20の処理を終了する。遷移ボタン生成処理1は、上述の「表示用文字データ」(ID=10)が削除されている場合の不都合を回避する第1の方法に従って遷移ボタンを表示する処理である。
【0065】
ステップS207においては、遷移ボタン生成処理2を行い、図19の処理を終了する。遷移ボタン生成処理2は上述の「表示画像データ」(ID=10)が削除されている場合の不都合を回避する第2の方法に対応するボタン生成処理である。この第2の方法はサーバ12側でのみ対処するものであるため、遷移ボタン生成処理2は、「表示画像データ」が削除されていない場合に遷移ボタンを表示するときの処理と同じものであり、「表示画像データ」が削除されていない場合においても適用される。すなわち、「表示画像データ」が削除されていない場合には、ステップS203、S204、及びS207のルートで処理が行われ、「表示画像データ」が削除されている場合にはステップS205、S206、及びS207のルートで処理が行われる。この場合、ステップS206の処理においては、各遷移ボタンの説明が図16の文字列161の場合と同様にして表示される。
【0066】
「表示画像データ」が削除されている場合に図16のような表示を実現するために、路側装置15においては、配信するコンテンツを構成するデータを作成するに際し、コンテンツを構成するデータには、該コンテンツの次に再生可能なコンテンツを特定する遷移情報(ID=30)や、該次のコンテンツに関する情報を表示するための「表示画像データ」(ID=10)等に加え、該次のコンテンツに関する情報を表示するための「表示用文字データ」(ID=10)が含められる。
【0067】
図21(a)は図20のステップS208における遷移ボタン生成処理1を示すフローチャートである。処理を開始すると、まず、ステップS211において、次再生情報コードカウンタNに「1」を設定する。このカウンタNの内容は、再生中のコンテンツの「遷移情報」(ID=30)における「次再生情報コード1」〜「次再生情報コード8」中の番号「1」〜「8」に対応する。
【0068】
次に、ステップS218においてカウンタNをインクリメントしながら、カウンタNが8を超えるまで、ステップS212〜S218の処理を繰り返す。すなわち、ステップS212において、再生中のコンテンツの「遷移情報」(ID=30)におけるN番目の「次再生情報コードN」において次に再生可能なコンテンツの情報コードが登録されているか否かを判定する。登録されていないと判定した場合には、ステップS218においてカウンタNをインクリメントし、カウンタNが8を超えていない場合には再度、ステップS212の判定を繰り返す。
【0069】
ステップS212において「次再生情報コードN」の登録がなされていると判定した場合にはステップS213において、登録されている情報コードと同一の情報コードが「情報提供企業情報」(ID=02)の「情報コード」において設定されているコンテンツを検索する。次に、ステップS214において、該検索によりヒットしたコンテンツが存在するか否かを判定する。存在しないと判定した場合にはステップS218においてカウンタNをインクリメントし、カウンタNが8を超えていない場合には再度、ステップS212の判定を繰り返す。ヒットしたコンテンツが存在すると判定した場合には、ステップS215において、遷移ボタンの図形を表示部177において生成する。
【0070】
次に、ステップS216において、生成した遷移ボタンに対し、N番目の「次再生コードN」に登録されている情報コードを関連付ける。次に、ステップS217において、ステップS213の検索でヒットしたコンテンツの「情報提供企業情報」(ID=02)における「企業表示テキスト」や「情報表示テキスト」を、生成した遷移ボタン上に表示する。これにより、「次再生情報コードN」に対応する遷移ボタンの表示が完了する。この後、ステップS218においてカウンタNをインクリメントし、カウンタNが8を超えていない場合には再度、ステップS212の判定を繰り返す。カウンタNが8を超えた場合には図21の処理を終了する。
【0071】
これにより、図15において遷移ボタン151として例示されるような各遷移ボタンの表示が完了する。ユーザは各遷移ボタン上に表示された文字により表される内容を手がかりにしていずれかの遷移ボタンを押下することにより、対応する次のコンテンツを表示させることができる。
【0072】
図21(b)は図20中のステップS207における遷移ボタン生成処理2を示すフローチャートである。図中のステップS221〜S226及びS228の処理は、図21のステップS211〜S216及びS218の処理と同じである。ステップS227においては、ステップS225において生成され、ステップS226においてN番目の「次再生情報コードN」に対応付けられた遷移ボタン図形上に、カウンタNの内容「N」の表示が付加される。これにより「次再生情報コードN」に対応する遷移ボタンの表示が完了する。
【0073】
この図21(b)の処理が終了すると、図16において遷移ボタン162として例示されるような各遷移ボタンの表示が完了する。ユーザは図20のステップS206において表示された文字列161中の各遷移ボタン162の説明を手がかりにしていずれかの遷移ボタン162を押下することにより、対応する次再生情報コードのコンテンツを表示させることができる。
【0074】
図22はITS車載器17においてコンテンツの受信を完了したときに行われる処理を示すフローチャートである。この処理は、上述の最新でないコンテンツの「対象地点情報」(ID=10)における「アイコン表示画像データ」を削除する処理である。すなわち処理を開始すると、ITS車載器17は、まず、ステップS231において、受信したコンテンツの「サービス事業者コード」(ID=01)と同一の「サービス事業者コード」を有するコンテンツを保持しているか否かを判定する。保持していないと判定した場合にはそのまま図22の処理を終了する。
【0075】
保持していると判定した場合には、ステップS232において、受信したコンテンツの「情報提供企業情報」(ID=02)における「情報コード」と同一の「情報コード」を有するコンテンツが、当該同一の「サービス事業者コード」を有する各コンテンツ中に存在するかどうかを判定する。存在しないと判定した場合にはステップS234に進む。存在すると判定した場合にはステップS233において、当該同一の「情報コード」を有する各コンテンツ中の「アイコン表示画像データ」(ID=10)をすべて削除し、ステップS234に進む。
【0076】
ステップS234では、受信したコンテンツと同一の「サービス事業者コード」(ID=01)を有する他のコンテンツを保持しているかどうかを判定する。保持していると判定した場合にはステップS231に戻り、当該他の各コンテンツを対象として同様の処理を繰り返す。保持していないと判定した場合には、図22の処理を終了する。
【0077】
本実施形態によれば、有効期限が終了したコンテンツにおける「表示画像データ」(ID=10)や「情報提供地点1」〜「情報提供地点5」のデータ、さらには「サービス事業者コード」(ID=01)及び「情報コード」(ID=02)が一致するコンテンツのうちの最新のもの以外のものにおける「アイコン表示画像データ」(ID=10)を削除するようにしたため、有効期限が終了したコンテンツを保持しておく場合でも、記憶装置174における記憶容量を節約することができる。
【0078】
また、再生しようとするコンテンツのデータにおいて「表示画像データ」(ID=10)が削除されている場合には、該コンテンツの再生に際し、該コンテンツの遷移情報(ID=30)に基づき、次に再生可能なコンテンツの再生画面に遷移するための遷移ボタンを表示するとともに、該次に再生可能なコンテンツの「情報提供企業情報」(ID=02)における「企業表示テキスト」や「情報表示テキスト」を取得し、該遷移ボタンに付随させて表示するようにしたため(ステップS217)、「表示画像データ」(ID=10)が削除された場合(ステップS75)の不都合を解消することができる。
【0079】
また、路側装置15において、コンテンツを構成するデータを作成する際に、コンテンツを構成するデータには、該コンテンツの次に再生可能なコンテンツを特定する「遷移情報」(ID=30)や、該次のコンテンツに関する情報を表示するための「表示画像データ」(ID=10)に加え、該次のコンテンツに関する情報を表示するための「表示用文字データ」(ID=10)を含めるようにしたため、ITS車載器17は、配信を受けたコンテンツの「表示画像データ」(ID=10)が削除されている場合でも(ステップS75)、該コンテンツの再生に際し、該コンテンツの「表示用文字データ」(ID=10)に基づいて、次に再生可能なコンテンツに関する情報を遷移ボタンに対応させて表示することができる。
【0080】
なお、本発明は上述実施形態に限定されることなく、適宜変形して実施することができる。たとえば、上述においては、有効期限が終了したコンテンツにおける「表示画像データ」(ID=10)、有効期限が終了したコンテンツにおける「情報提供地点1」〜「情報提供地点5」のデータ、さらには「サービス事業者コード」(ID=01)及び「情報コード」(ID=02)が一致するコンテンツのうちの最新のもの以外のものにおける「アイコン表示画像データ」(ID=10)を削除する例について説明したが、これらのデータの削除は、これらのデータのうちの任意の1つについて、又は2以上のものの組合せについて行うことができる。
【0081】
また、上述図18の処理の代わりに、図23で示される処理を採用するようにしてもよい。すなわち、「対象地点情報」(ID=10)中の「項目有無情報」におけるマルチメディアフラグ(ID=10)がオフであるかどうかを判定し(ステップS241)、オフである場合にのみ、「表示画像データ」(ID=10)を削除する(ステップS242)ようにしてもよい。マルチメディアフラグがオンである場合には、「表示画像データ」や「ビデオデータ」がCDのジャケット写真であったり、PV(プロモーションビデオ)であったりする可能性があるからである。
【0082】
また、上述においては、有効期限が終了したコンテンツを削除する場合の削除の対象として、「対象地点情報」(ID=10)については、「表示画像データ」を対象としているが、この代わりに、又はこれに加えて「ビデオデータ」を削除の対象とするようにしてもよい。この場合においても、「対象地点情報」(ID=10)中の「項目有無情報」におけるマルチメディアフラグ(ID=10)がオンである場合には、「表示画像データ」や「ビデオデータ」がCDのジャケット写真であったり、PV(プロモーションビデオ)であったりする可能性があるので、「表示画像データ」や「ビデオデータ」の削除は行わないようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の一実施形態に係る路車間DSRCシステムの概略図である。
【図2】タウンカーライフナビマルチコンテンツ形式のデータ伝送態様の説明図である。
【図3】タウンカーライフナビマルチコンテンツデータにおける情報グループの構成について各IDが必須か任意かを示す図である。
【図4】タウンカーライフナビマルチコンテンツデータの各IDに割り当てられた内容を示す分類表である。
【図5】図4の表の続きを示す図である。
【図6】図5の表の続きを示す図である。
【図7】図6の表の続きを示す図である。
【図8】路側装置及びITS車載器間のトランザクションで実施される各機器間の通信及び処理を示す図である。
【図9】ITS車載器から路側装置へ送られるアップリンク情報のデータ説明図である。
【図10】タウンカーライフナビマルチコンテンツデータにおけるID=80の嗜好データの一例をテーブル表現した説明図である。
【図11】路側装置から嗜好データを受信したITS車載器がナビ部の表示器に表示するチェック付けの画面の一例を示す図である。
【図12】図1のシステムにおける路側機の構成を示すブロック図である。
【図13】図1のシステムにおけるITS車載器の構成を示すブロック図である。
【図14】図14のITS車載器において表示されるコンテンツ画面の一例を示す図である。
【図15】図14のITS車載器において表示される「表示画像データ」(ID=10)が削除された場合のコンテンツ画面の一例を示す図である。
【図16】図14のITS車載器において表示される「表示画像データ」(ID=10)が削除された場合のコンテンツ画面の別の例を示す図である。
【図17】図14のITS車載器における起動時処理のフローチャートである。
【図18】図17の処理におけるデータ削除処理のフローチャートである。
【図19】図17の処理におけるデータ削除処理の別のフローチャートである。
【図20】図14のITS車載器におけるコンテンツ表示処理を示すフローチャートである。
【図21】図20の処理における遷移ボタン生成処理1及び遷移ボタン生成処理2を示すフローチャートである。
【図22】図14のITS車載器における受信完了時処理を示すフローチャートである。
【図23】図18の処理に代えて用いることができる処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0084】
10:路車間DSRCシステム、11:路側機、12:サーバ、13:自動車、17:ITS車載器、18:DSRC部、19:ナビ部、20:ITS通信網、23:スクロールバー、111:制御部、112:ROM、113:RAM、114:記憶装置、115:無線通信部、116:通信制御部、141:表示部分、412:遷移ボタン、151:遷移ボタン、161:文字列、162:遷移ボタン、171:制御部、172:ROM、173:RAM、174:記憶装置、175:通信部、175a:GPSモジュール、175b:DSRCモジュール、176:操作部、177:表示部、178:マイク、179:スピーカ、180:音声処理部、181:センサ群、182:入出力装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
路側装置から、有効期限が設定され得るコンテンツの配信を受ける車載装置であって、
配信を受けたコンテンツを保持するための記憶手段と、
前記記憶手段において保持しているコンテンツを再生する再生手段と、
前記再生手段によるコンテンツの再生に際し、再生画面を表示するための表示手段と、
前記記憶手段において保持されているコンテンツについて有効期限が終了しているか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により有効期限が終了していると判定されたコンテンツを構成するデータのうちの所定のデータを削除する削除手段とを具備することを特徴とする車載装置。
【請求項2】
前記コンテンツを構成するデータとして、該コンテンツの次に再生可能なコンテンツを特定する次特定データが含まれており、
前記削除手段により削除される所定のデータには、前記次に再生可能なコンテンツに関する情報を表示するためのデータが含まれており、
前記再生手段は、再生しようとするコンテンツのデータにおいて前記所定のデータが前記削除手段により削除されている場合には、該コンテンツの再生に際し、該コンテンツの前記次特定データに基づき、次に再生可能なコンテンツの再生画面に遷移するための遷移ボタンを表示するとともに、該次に再生可能なコンテンツのデータから該コンテンツに関する情報を取得し、該遷移ボタンに付随させて表示するものであることを特徴とする請求項1に記載の車載装置。
【請求項3】
前記削除手段による削除は、車載装置の起動時に行われることを特徴とする請求項1又は2に記載の車載装置。
【請求項4】
所定の識別情報が付与されており、識別情報毎に更新され得るコンテンツの配信を路側装置から受ける車載装置であって、
配信を受けたコンテンツを保持するための記憶手段と、
車載装置の現在位置をその近傍の地図とともに表示するナビゲーション手段とを備え、
前記コンテンツを構成するデータには、該コンテンツに関連する場所を前記ナビゲーション手段により表示される地図上に表示するためのアイコンのデータが含まれており、
前記車載装置はさらに、前記記憶手段において保持されているコンテンツ中の前記識別情報が同一である各コンテンツのうち最新のもの以外のものの前記アイコンデータを削除する削除手段を具備することを特徴とする車載装置。
【請求項5】
車載装置に対して有効期限の設定が可能なコンテンツの配信を路側装置を介して行うセンタ装置であって、
前記コンテンツを構成するデータを作成するデータ作成手段を備え、
前記コンテンツを構成するデータには、該コンテンツの次に再生可能なコンテンツを特定する次特定データ、該次のコンテンツに関する情報を表示するための画像データ、及び該次のコンテンツに関する情報を表示するための文字データが含まれており、
前記コンテンツは、前記車載装置に対して配信され、再生される際に、該再生コンテンツにおける前記画像データが削除されている場合には、該再生コンテンツの前記次特定データに基づいて次に再生可能なコンテンツの再生画面に遷移するための遷移ボタンを表示するとともに、該再生コンテンツの前記文字データに基づく表示を該遷移ボタンに付随させて行うために用いられることを特徴とするセンタ装置。
【請求項6】
路側装置から、有効期限が設定され得るコンテンツの配信を受ける車載装置におけるコンテンツ削除方法であって、
配信を受けたコンテンツを保持するために該コンテンツを構成するデータを記憶手段に記憶する記憶工程と、
前記記憶手段において保持されているコンテンツについて有効期限が終了しているか否かを判定する判定工程と、
前記判定工程により有効期限が終了していると判定されたコンテンツを構成するデータのうちの所定のデータを削除する削除工程とを具備することを特徴とするコンテンツ削除方法。
【請求項7】
所定の識別情報が付与されており、識別情報毎に更新され得るコンテンツの配信を路側装置から受ける車載装置におけるコンテンツ削除方法であって、
配信を受けたコンテンツを保持するために該コンテンツを構成するデータを記憶手段に記憶する記憶工程と、
車載装置の現在位置をその近傍の地図とともに表示するナビゲーション工程とを備え、
前記コンテンツを構成するデータには、該コンテンツに関連する場所を前記ナビゲーション工程により表示される地図上に表示するためのアイコンのデータが含まれており、
前記記憶領域節約方法はさらに、前記記憶手段において保持されているコンテンツ中の前記識別情報が同一である各コンテンツのうち最新のもの以外のものの前記アイコンデータを削除する削除工程を具備することを特徴とするコンテンツ削除方法。
【請求項8】
車載装置に対して有効期限の設定が可能なコンテンツの配信を路側装置を介して行うセンタ装置におけるコンテンツデータ作成方法であって、
前記コンテンツを構成するデータを作成するデータ作成工程を備え、
前記コンテンツを構成するデータには、該コンテンツの次に再生可能なコンテンツを特定する次特定データ、該次のコンテンツに関する情報を表示するための画像データ、及び該次のコンテンツに関する情報を表示するための文字データが含まれており、
前記コンテンツは、前記車載装置に対して配信され、再生される際に、該再生コンテンツにおける前記画像データが削除されている場合には、該再生コンテンツの前記次特定データに基づいて次に再生可能なコンテンツの再生画面に遷移するための遷移ボタンを表示するとともに、該再生コンテンツの前記文字データに基づく表示を該遷移ボタンに付随させて行うために用いられることを特徴とするコンテンツデータ作成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2010−39755(P2010−39755A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−201874(P2008−201874)
【出願日】平成20年8月5日(2008.8.5)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】