説明

車輪角度変更機構

【課題】 必要とするスペースが小さく、簡単な構造で、左右輪の角度をそれぞれ別々に傾斜させることが可能な車輪角度変更機構を提供する。
【解決手段】 車体2に支持され、回転駆動力を発生するモータ4と、モータ4の出力軸4bと一体に回転するサンギヤ51と、サンギヤ51の周囲に複数配置され、サンギヤ51と噛み合うプラネタリギヤ52と、円環状の部材からなり、複数のプラネタリギヤ52を囲むように配置され、プラネタリギヤ52と噛み合うアウタギヤ54と、プラネタリギヤ52を回転可能に支持する第1シャフト53と、モータ4の出力軸4bに対して回転可能に支持され、第1シャフト53を有するキャリア55と、キャリア55又はアウタギヤ54の一方を車輪部7と一体に連結し、他方を車体2に対して支持する連結手段9と、を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輪の角度を簡単な構造で変更できるようにした車輪角度変更機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両を小型化した一人乗り用二輪車として構成し、車両の旋回時に車体をリンク機構により傾斜させ、旋回性能を向上し、安定して旋回することができる車両があった。(特許文献1参照)。
【特許文献1】国際公開2007/052676号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、リンク機構として伸縮式アクチュエータを用いていたので、広いスペースが必要となり、他の部材と干渉する場合があった。左右輪の角度を同方向にしか傾斜できず、左右輪の角度をそれぞれ別々に傾斜させることができなかった。
【0004】
本発明は、上記課題を解決するものであって、必要とするスペースが小さく、簡単な構造で、左右輪の角度をそれぞれ別々に傾斜させることが可能な車輪角度変更機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そのために本発明は、車輪部のキャンバ角度を変更する車輪角度変更機構において、車体に支持され、回転駆動力を発生するモータと、前記モータの出力軸と一体に回転するサンギヤと、前記サンギヤの周囲に複数配置され、前記サンギヤと噛み合うプラネタリギヤと、円環状の部材からなり、前記複数のプラネタリギヤを囲むように配置され、前記プラネタリギヤと噛み合うアウタギヤと、前記プラネタリギヤを回転可能に支持する第1シャフトと、前記モータの出力軸に対して回転可能に支持され、前記第1シャフトを有するキャリアと、前記キャリア又は前記アウタギヤの一方を前記車輪部と一体に連結し、他方を前記車体に対して支持する連結手段と、を備えたことを特徴とする。
【0006】
また、前記連結手段は、前記車体と前記キャリアとを一体に連結するロック状態と移動可能に連結するフリー状態とで切替可能な第1切替手段と、前記車体と前記アウタギヤとを一体に連結するロック状態と移動可能に連結するフリー状態とで切替可能な第2切替手段と、前記車輪部と前記キャリアとを一体に連結するロック状態と移動可能に連結するフリー状態とで切替可能な第3切替手段と、前記車輪部と前記アウタギヤとを一体に連結するロック状態と移動可能に連結するフリー状態とで切替可能な第4切替手段と、を有することを特徴とする。
【0007】
また、前記キャリアに設けられた第2シャフトと、前記アウタギヤに設けられた第3シャフトと、前記車輪部と一体に設けられたリンクと、前記リンクに設けられ、前記第2シャフトを移動可能に挿通する第1孔部と、前記リンクに設けられ、前記第3シャフトを移動可能に挿通する第2孔部と、を有し、前記第3切替手段は、前記第2シャフトを前記第1孔部に対して移動不可能に連結するロック状態と移動可能に連結するフリー状態とで切替可能であり、前記第4切替手段は、前記第3シャフトを前記第2孔部に対して移動不可能に連結するロック状態と移動可能に連結するフリー状態とで切替可能であることを特徴とする。
【0008】
また、前記連結手段は、左右の前記車輪部に対応して設けられることを特徴とする。
【0009】
また、前記車輪角度変更機構は、左右の前記車輪部に対応して設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によれば、車輪部のキャンバ角度を変更する車輪角度変更機構において、車体に支持され、回転駆動力を発生するモータと、前記モータの出力軸と一体に回転するサンギヤと、前記サンギヤの周囲に複数配置され、前記サンギヤと噛み合うプラネタリギヤと、円環状の部材からなり、前記複数のプラネタリギヤを囲むように配置され、前記プラネタリギヤと噛み合うアウタギヤと、前記プラネタリギヤを回転可能に支持する第1シャフトと、前記モータの出力軸に対して回転可能に支持され、前記第1シャフトを有するキャリアと、前記キャリア又は前記アウタギヤの一方を前記車輪部と一体に連結し、他方を前記車体に対して支持する連結手段と、を備えたので、必要とするスペースが小さく、簡単な構造で、左右輪の角度をそれぞれ別々に傾斜させることができる。また、簡単な構造で部品点数も少なく、軽量で低コストにできる。
【0011】
また、請求項2記載の発明によれば、前記連結手段は、前記車体と前記キャリアとを一体に連結するロック状態と移動可能に連結するフリー状態とで切替可能な第1切替手段と、前記車体と前記アウタギヤとを一体に連結するロック状態と移動可能に連結するフリー状態とで切替可能な第2切替手段と、前記車輪部と前記キャリアとを一体に連結するロック状態と移動可能に連結するフリー状態とで切替可能な第3切替手段と、前記車輪部と前記アウタギヤとを一体に連結するロック状態と移動可能に連結するフリー状態とで切替可能な第4切替手段と、を有するので、安定した走行又は小さい旋回径での走行を切替えて提供することができる。
【0012】
また、請求項3記載の発明によれば、前記キャリアに設けられた第2シャフトと、前記アウタギヤに設けられた第3シャフトと、前記車輪部と一体に設けられたリンクと、前記リンクに設けられ、前記第2シャフトを移動可能に挿通する第1孔部と、前記リンクに設けられ、前記第3シャフトを移動可能に挿通する第2孔部と、を有し、前記第3切替手段は、前記第2シャフトを前記第1孔部に対して移動不可能に連結するロック状態と移動可能に連結するフリー状態とで切替可能であり、前記第4切替手段は、前記第3シャフトを前記第2孔部に対して移動不可能に連結するロック状態と移動可能に連結するフリー状態とで切替可能であるので、安価にすることができる。
【0013】
また、請求項4記載の発明によれば、前記連結手段は、左右の前記車輪部に対応して設けられるので、軽量で低コストにできる。
【0014】
また、請求項5記載の発明によれば、前記車輪角度変更機構は、左右の前記車輪部に対応して設けられるので、車輪角度変更時の工程を少なくすることができ、迅速に車輪角度を変更することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1は第1実施形態の車輪角度変更機構1の概略正面図、図2は第1実施形態の車輪角度変更機構1の概略側面図を示す。
【0017】
図1及び図2において、1は車輪角度変更機構、2は車体の一例としてのフレーム、3は搭乗部、4はモータの一例としてのリンク駆動モータ、4aはモータ本体部、4bはモータ軸、5はギヤユニット、6はリンク、7は車輪部、7aはホイール、7bはタイヤ、8は車輪駆動モータである。
【0018】
第1実施形態の車輪角度変更機構1は、フレーム2と車輪部7を連結する部分に設けられ、車輪部7の角度を変更するための機構である。
【0019】
車輪角度変更機構1は、フレーム2に支持されるリンク駆動モータ4と、リンク駆動モータ4の駆動力を伝達するギヤユニット5と、ギヤユニット5から伝達されたリンク駆動モータ4の駆動力により作動し、車輪部7のキャンバ角度を変更する左右それぞれに上下2本備えたリンク6とを有する。
【0020】
フレーム2は、上方に搭乗部3を載置し、下方でリンク駆動モータ4を支持する。また、車輪部7は、ホイール7aとタイヤ7bからなり、インホイールモータとしての車輪駆動モータ8を塔載している。
【0021】
図3は、第1実施形態の車輪角度変更機構1の拡大側面図を示す。リンク駆動モータ4は、DCモータからなり、モータ本体部4aが上部フレーム2aにモータフランジ2bを介して支持され、モータ軸4bがモータ本体部4aを貫通し、前フレーム2c及び後フレーム2dにベアリング等を介して支持されている。
【0022】
図4は第1実施形態のギヤユニット5及びリンク6部分の拡大側面図、図5は第1実施形態のギヤユニット5及びリンク6部分の拡大正面図、図6は第1実施形態のギヤユニット5及びリンク6部分の拡大上面図である。
【0023】
ギヤユニット5は、サンギヤ51、プラネタリギヤ52、第1シャフト53、アウタギヤ54、キャリア55、第2シャフト56、第3シャフト57を有する。また、9は連結手段の一例としての電磁ロック機構である。
【0024】
サンギヤ51は、モータ軸4bに圧入されたり、キー等を用いてモータ軸4bと共に一体となって回転する。サンギヤ51の周囲には、4つのプラネタリギヤ52がそれぞれ第1シャフト53を中心軸として配置されている。アウタギヤ54は、円環状の部材からなり、4つのプラネタリギヤ52の周囲を囲むように配置されている。キャリア55は、モータ軸4bを中心軸として回転可能に支持され、第1シャフト53を支持している。第2シャフト56は、リンク6とキャリア55を連結し、第3シャフト57は、リンク6とアウタギヤ54を連結する。
【0025】
また、ギヤユニット5は、連結部分を固定する電磁ロック機構9を有する。電磁ロック機構9は、従来から使用されているものでもよい(例えば、励磁ブレーキ等)。
【0026】
第1切替手段の一例としての第1電磁ロック機構91及び第2切替手段の一例としての第2電磁ロック機構92は、フレーム2等に第1ブラケット9a及び第2ブラケット9bを介して支持されている。第1電磁ロック機構91は、第1ブラケット9aとキャリア55との間に設けられ、第2電磁ロック機構92は、第2ブラケット9bとアウタギヤ54との間に設けられている。
【0027】
第3切替手段の一例としての第3電磁ロック機構93は、第2シャフト56とリンク6との間に設けられ、第4切替手段の一例としての第4電磁ロック機構94は、第3シャフト57とリンク6との間に設けられている。
【0028】
図7は、第2シャフト56及び第3シャフト57と、リンク6との連結部分を示す図である。リンク6Lには、C字状の第1孔部61L及び第2孔部62Lが設けられている。第1孔部61Lには、第2シャフト56Lが第1孔部61Lに沿って移動可能に挿通し、第2孔部62Lには、第3シャフト57Lが第2孔部62Lに沿って移動可能に挿通している。
【0029】
第3電磁ロック機構93Lは、第2シャフト56Lが第1孔部61Lに沿って移動している状態であっても、その移動箇所でリンク6Lに対して固定することができる。また、第4電磁ロック機構94Lは、第3シャフト57Lが第2孔部62Lに沿って移動している状態であっても、その移動箇所でリンク6Lに対して固定することができる。なお、図7では、左車輪部7Lに設けるリンク6Lを示しているが、右車輪部7Rも同様の構造をしている。
【0030】
次に、このような車輪角度変更機構1の動作について説明する。図8〜図10は、左側車輪部7をネガティブキャンバに変更する実施例、図11〜図13は、左側車輪部7をポジティブキャンバに変更する実施例である。
【0031】
図8は、車輪部7をネガティブキャンバに変更した状態を示す図、図9は、図8の状態の平面図、図10は、リンク部分の拡大図である。
【0032】
車輪部7を図8に示すようにネガティブキャンバに変更するためには、まず第1電磁ロック機構91を作動させ、キャリア55をフレーム2に対して移動不可能なロック状態で一体に連結し、固定する。次に、左第4電磁ロック機構94Lを作動させ、図9に示すように、アウタギヤ54と左リンク6Lを移動不可能なロック状態で一体に連結する。この状態で、リンク駆動モータ4を駆動し、図8に示す矢印Aのように、サンギヤ51を時計回りに回転させると、プラネタリギヤ52は、すべて反時計回りに回転し、アウタギヤ54は、図8に示す矢印Bのように、反時計回りに回転する。アウタギヤ54は左リンク6Lと一体に連結されているので、図10に示すように、左第3シャフト57Lと左リンク6Lが一体に反時計回りに回転する。この時、第3電磁ロック機構93Lは作動していないので、左第2シャフト56Lは、移動可能なフリー状態であり、左リンク6Lの左第1孔部61Lに沿って移動する。そして、車輪部7は、図8に示すように、ネガティブキャンバに変更される。
【0033】
図11は、車輪部7をポジティブキャンバに変更した状態を示す図、図12は、図11の状態の平面図、図13は、リンク部分の拡大図である。
【0034】
車輪部7を図11に示すようにネガティブキャンバに変更するためには、まず第2電磁ロック機構92を作動させ、アウタギヤ54をフレーム2に対して移動不可能なロック状態で一体に連結し、固定する。次に、左第3電磁ロック機構93Lを作動させ、図9に示すように、キャリア55と左リンク6Lを移動不可能なロック状態で一体に連結する。この状態で、リンク駆動モータ4を駆動し、図11に示す矢印Aのように、サンギヤ51を時計回りに回転させると、プラネタリギヤ52は、すべて反時計回りに回転する。この時、アウタギヤ54は固定されているので、プラネタリギヤ52全体及びキャリア55は、図11に示す矢印Cのように、時計回りに回転する。キャリア55は左リンク6Lと一体に連結されているので、図13に示すように、左第2シャフト56Lと左リンク6Lが一体に時計回りに回転する。この時、第4電磁ロック機構94Lは作動していないので、左第3シャフト57Lは、移動可能なフリー状態であり、左リンク6Lの左第2孔部62Lに沿って移動する。そして、車輪部7は、図11に示すように、ポジティブキャンバに変更される。
【0035】
図14は、左右両輪の車輪部7の角度変更バリエーションを示す図である。なお、図14はすべて前方から見た図である。
【0036】
また、表1は、車輪部7の角度変更バリエーション毎のリンク駆動モータ駆動方向、リンク接続部、電磁ロック状態、ギヤユニット状態を示す。
【0037】
【表1】

【0038】
なお、表1において、リンク駆動モータ駆動方向は、正面から見て、時計回りを+、反時計回りを−とする。また、リンク6は、キャリア55とアウタギヤ54のどちらに連結されているかを示す。さらに、電磁ロックは、ONの時に作動状態を示す。
【0039】
例えば、図14(e)に示す状態は、図8と同様の状態であり、図14(h)に示す状態は、図11と同様の状態である。また、図14(d)と図14(g)の状態は、表1の上下の欄の作動を行うことで達成される。なお、上下どちらの作動を先に行っても良い。
【0040】
車輪部7を図14(d)、図14(e)及び図14(f)の状態に変更すると、トレッド幅が増加し、重心を下方に移動することができるので、安定した走行が可能となる。
【0041】
また、車輪部7を図14(g)、図14(h)及び図14(i)の状態に変更すると、最小旋回径を小さくすることができるので、旋回速度が上がり、小回りの良い走行が可能となる。
【0042】
このように、1つのモータでポジティブキャンバ、ネガティブキャンバを制御でき、更に、キャンバ角の同位相、逆位相の制御も可能となる。
【0043】
次に、第2実施形態について説明する。
【0044】
図15は、第2実施形態の車輪角度変更機構1の拡大側面図、 図16は第2実施形態のギヤユニット5及びリンク6部分の拡大側面図、図17は第2実施形態のギヤユニット5及びリンク6部分の拡大正面図、図18は第2実施形態のギヤユニット5及びリンク6部分の拡大上面図である。
【0045】
第2実施形態の車輪角度変更機構1は、第1実施形態の車輪角度変更機構1とほぼ同様のものを前後に2つ設けたものである。図18に示すように、第2実施形態の車輪角度変更機構1では、前方の左車輪角度変更機構1aは、左側車輪部7Lの角度を変更し、後方の右車輪角度変更機構1bは、右側車輪部7Rの角度を変更する。従って、左車輪角度変更機構1aは、左リンク6Lのみ連結され、右車輪角度変更機構1bは、右リンク6Rのみ連結されている。また、左リンク6L及び右リンク6Rと車輪部7との連結部67は、上方から見て車輪軸Wと重なるように配置することが好ましい。
【0046】
また、表2は、第2実施形態における図14に示した車輪部7の角度変更バリエーション毎のリンク駆動モータ駆動方向、リンク接続部、電磁ロック状態、ギヤユニット状態を示す。
【0047】
【表2】

【0048】
なお、表2において、リンク駆動モータ駆動方向は、正面から見て、時計回りを+、反時計回りを−とする。また、リンク6は、キャリア55とアウタギヤ54のどちらに連結されているかを示す。さらに、電磁ロックは、ONの時に作動状態を示す。
【0049】
ここで、図14(d)と図14(g)の状態における、第1実施形態と第2実施形態について説明する。
【0050】
図19は、第1実施形態で車輪部7が図14(d)及び図14(g)の状態となる作動状態を示す図、図20は、第2実施形態で車輪部7が図14(d)及び図14(g)の状態となる作動状態を示す図である。
【0051】
図19及び図20に示すように、第1実施形態の車輪角度変更機構1では、左右の車輪部7を別々に作動しなければならないため、リンク駆動モータ4を2回駆動させる必要がある。しかしながら、第2実施形態の車輪角度変更機構1では、左右の車輪部7をそれぞれに対応した車輪角度変更機構1で角度変更させることができるため、リンク駆動モータ4をそれぞれ駆動させることで、作動時間を短縮することができる。
【0052】
このように、本実施形態によれば、車輪部7のキャンバ角度を変更する車輪角度変更機構1において、フレーム2に支持され、回転駆動力を発生するリンク駆動モータ4と、リンク駆動モータ4のモータ軸4bと一体に回転するサンギヤ51と、サンギヤ51の周囲に複数配置され、サンギヤ51と噛み合うプラネタリギヤ52と、円環状の部材からなり、複数のプラネタリギヤ52を囲むように配置され、プラネタリギヤ52と噛み合うアウタギヤ54と、プラネタリギヤ52を回転可能に支持する第1シャフト53と、リンク駆動モータ4のモータ軸4bに対して回転可能に支持され、第1シャフト53を有するキャリア55と、キャリア55又はアウタギヤ54の一方を車輪部7と一体に連結し、他方をフレーム2に対して支持する電磁ロック機構9と、を備えたので、簡単な構造で、左右輪の角度をそれぞれ別々に傾斜させることができる。また、簡単な構造で部品点数も少なく、軽量で低コストにできる。
【0053】
また、電磁ロック機構9は、フレーム2とキャリア55とを一体に連結するロック状態と移動可能に連結するフリー状態とで切替可能な第1電磁ロック機構91と、フレーム2とアウタギヤ54とを一体に連結するロック状態と移動可能に連結するフリー状態とで切替可能な第2電磁ロック機構92と、車輪部7とキャリア55とを一体に連結するロック状態と移動可能に連結するフリー状態とで切替可能な第3電磁ロック機構93と、車輪部7とアウタギヤ54とを一体に連結するロック状態と移動可能に連結するフリー状態とで切替可能な第4電磁ロック機構94と、を有するので、安定した走行又は小さい旋回径での走行を切替えて提供することができる。
【0054】
また、キャリア55に設けられた第2シャフト56と、アウタギヤ54に設けられた第3シャフト57と、車輪部7と一体に設けられたリンクと、リンクに設けられ、第2シャフト56を移動可能に挿通する第1孔部61と、リンクに設けられ、第3シャフト57を移動可能に挿通する第2孔部62と、を有し、第3電磁ロック機構93は、第2シャフト56を第1孔部61に対して移動不可能に連結するロック状態と移動可能に連結するフリー状態とで切替可能であり、第4電磁ロック機構94は、第3シャフト57を第2孔部62に対して移動不可能に連結するロック状態と移動可能に連結するフリー状態とで切替可能であるので、安価で、容易に組み付けすることができる。
【0055】
また、電磁ロック機構9は、左右それぞれの車輪部7に対応して設けられるので、簡単な構造で部品点数も少なく、軽量で低コストにできる。
【0056】
また、車輪角度変更機構1は、左右それぞれの車輪部7に対応して設けられるので、車輪角度変更時の工程を少なくすることができ、迅速に車輪角度を変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】第1実施形態の車輪角度変更機構の正面図である。
【図2】第1実施形態の車輪角度変更機構の側面図である。
【図3】第1実施形態の車輪角度変更機構の拡大側面図である。
【図4】第1実施形態のギヤユニット及びリンク部分の拡大側面図である。
【図5】第1実施形態のギヤユニット及びリンク部分の拡大正面図である。
【図6】第1実施形態のギヤユニット及びリンク部分の拡大上面図である。
【図7】第2シャフト及び第3シャフトと、リンクとの連結部分を示す図である。
【図8】車輪部7をネガティブキャンバに変更した状態を示す図である。
【図9】図8の状態の平面図である。
【図10】リンク部分の拡大図である。
【図11】車輪部7をポジティブキャンバに変更した状態を示す図である。
【図12】図11の状態の平面図である。
【図13】リンク部分の拡大図である。
【図14】左右両輪の車輪部7の角度変更バリエーションを示す図である。
【図15】第2実施形態の車輪角度変更機構1の拡大側面図である。
【図16】第2実施形態のギヤユニット5及びリンク6部分の拡大側面図である。
【図17】第2実施形態のギヤユニット5及びリンク6部分の拡大正面図である。
【図18】第2実施形態のギヤユニット5及びリンク6部分の拡大上面図である。
【図19】第1実施形態で車輪部7が図14(d)及び図14(g)の状態となる作動状態を示す図である。
【図20】第2実施形態で車輪部7が図14(d)及び図14(g)の状態となる作動状態を示す図である。
【符号の説明】
【0058】
1…車輪角度変更機構、2…フレーム(車体)、3…搭乗部、4…リンク駆動モータ(モータ)、4a…モータ本体部、4b…モータ軸(出力軸)、5…ギヤユニット、51…サンギヤ、52…プラネタリギヤ、53…第1シャフト、54…アウタギヤ、55…キャリア、56…第2シャフト、57…第3シャフト、6…リンク、7…車輪部、7a…ホイール、7b…タイヤ、8…車輪駆動モータ、9…電磁ロック機構(連結手段)、91…第1電磁ロック機構(第1切替手段)、92…第2電磁ロック機構(第2切替手段)、93…第3電磁ロック機構(第3切替手段)、94…第4電磁ロック機構(第4切替手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪部のキャンバ角度を変更する車輪角度変更機構において、
車体に支持され、回転駆動力を発生するモータと、
前記モータの出力軸と一体に回転するサンギヤと、
前記サンギヤの周囲に複数配置され、前記サンギヤと噛み合うプラネタリギヤと、
円環状の部材からなり、前記複数のプラネタリギヤを囲むように配置され、前記プラネタリギヤと噛み合うアウタギヤと、
前記プラネタリギヤを回転可能に支持する第1シャフトと、
前記モータの出力軸に対して回転可能に支持され、前記第1シャフトを有するキャリアと、
前記キャリア又は前記アウタギヤの一方を前記車輪部と一体に連結し、他方を前記車体に対して支持する連結手段と、
を備えた
ことを特徴とする車輪角度変更機構。
【請求項2】
前記連結手段は、
前記車体と前記キャリアとを一体に連結するロック状態と移動可能に連結するフリー状態とで切替可能な第1切替手段と、
前記車体と前記アウタギヤとを一体に連結するロック状態と移動可能に連結するフリー状態とで切替可能な第2切替手段と、
前記車輪部と前記キャリアとを一体に連結するロック状態と移動可能に連結するフリー状態とで切替可能な第3切替手段と、
前記車輪部と前記アウタギヤとを一体に連結するロック状態と移動可能に連結するフリー状態とで切替可能な第4切替手段と、
を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の車輪角度変更機構。
【請求項3】
前記キャリアに設けられた第2シャフトと、
前記アウタギヤに設けられた第3シャフトと、
前記車輪部と一体に設けられたリンクと、
前記リンクに設けられ、前記第2シャフトを移動可能に挿通する第1孔部と、
前記リンクに設けられ、前記第3シャフトを移動可能に挿通する第2孔部と、
を有し、
前記第3切替手段は、前記第2シャフトを前記第1孔部に対して移動不可能に連結するロック状態と移動可能に連結するフリー状態とで切替可能であり、
前記第4切替手段は、前記第3シャフトを前記第2孔部に対して移動不可能に連結するロック状態と移動可能に連結するフリー状態とで切替可能である
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車輪角度変更機構。
【請求項4】
前記連結手段は、左右の前記車輪部に対応して設けられる
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の車輪角度変更機構。
【請求項5】
前記車輪角度変更機構は、左右の前記車輪部に対応して設けられる
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の車輪角度変更機構。






【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2010−23709(P2010−23709A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−188499(P2008−188499)
【出願日】平成20年7月22日(2008.7.22)
【出願人】(591261509)株式会社エクォス・リサーチ (1,360)
【Fターム(参考)】