説明

転舵装置

【課題】 左右後輪のうちの一方の車輪のみが転舵異常となったときに、その状態で走行する際における車両の安定性および車両の操作性を良好にすること。
【解決手段】 転舵異常検出手段が片輪転舵異常を検出したとき(S201:NoまたはS202:No)に、車速Vが基準車速V0以下の場合(S205:YesまたはS209:Yes)には、後輪の転舵正常輪を転舵異常輪の転舵方向とは逆方向に転舵する(S208、S212)。また、車速Vが基準車速V0よりも大きい場合(S205:NoまたはS209:No)には、後輪の転舵正常輪を転舵異常輪の転舵方向と同一方向に転舵する(S208、S212)。これにより、低速走行時の操作性および高速走行時の走行安定性を両立できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前後左右輪のうちの少なくとも後輪の左右輪を独立して転舵する転舵アクチュエータを備えた転舵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両の左右輪をそれぞれ独立に転舵制御する独立転舵装置が知られている。例えば特許文献1には、車両の前後左右輪を独立制御する4輪独立転舵装置において、いずれかの車輪を転舵する転舵アクチュエータが失陥した場合に、失陥していない残りの転舵アクチュエータを制御して、車両の偏向を修正するものが提案されている。
【特許文献1】特開2001−322557
【発明の開示】
【0003】
本発明は、左右後輪を独立して転舵する転舵アクチュエータを持つ転舵装置において、右後輪または左後輪のいずれか一方が転舵異常となったときに、その状態で走行する際における車両の安定性および車両の操作性を良好にすることのできる転舵装置を提供することを目的とする。
【0004】
上記目的を達成するために、本発明の特徴は、左右後輪を独立して転舵する転舵アクチュエータを備えた転舵装置において、車両の走行状態を検出する走行状態検出手段と、右後輪および左後輪のいずれか一方の車輪の転舵状態が異常である片輪転舵異常を検出する転舵異常検出手段と、前記転舵異常検出手段が前記片輪転舵異常を検出したときに、前記走行状態検出手段により検出された走行状態に応じて右後輪および左後輪のいずれか他方の車輪を転舵するように、前記転舵アクチュエータを制御する転舵アクチュエータ制御手段とを備えた転舵装置としたことにある。
【0005】
上記のように構成した本発明においては、左右後輪のいずれか一方の車輪の転舵状態が異常となった場合に、転舵アクチュエータ制御手段によって、転舵異常輪とは反対側の車輪である転舵正常輪(左右後輪のいずれか他方の車輪)が車両の走行状態に応じて転舵される。したがって、上記片輪転舵異常時であっても、走行状態に応じて適切に転舵正常輪の転舵制御を行って、車両の安定性および操作性を良好とすることができる。
【0006】
この場合、前記転舵アクチュエータ制御手段は、前記走行状態検出手段により検出された走行状態に応じて、前記他方の車輪である転舵正常輪の転舵方向が前記一方の車輪である転舵異常輪の転舵方向と同一方向または逆方向となるように前記転舵アクチュエータを駆動制御するとよい。転舵正常輪の転舵方向が転舵異常輪の転舵方向と同一方向となるように転舵アクチュエータを駆動制御(同位相制御)すると、車両を転舵異常輪の転舵方向に安定して走行させることができる。さらに、転舵異常輪と転舵正常輪との転舵角度差が小さくなるため、上記片輪転舵異常時であっても走行中の車輪の磨耗を少なくすることができる。一方、転舵正常輪の転舵方向が転舵異常輪の転舵方向と逆方向となるように転舵アクチュエータを駆動制御(逆位相制御)すると、転舵異常輪に働く横力と転舵正常輪に働く横力とが相殺される。このため、例えば操舵ハンドルの操舵操作により前輪を転舵した場合に、転舵異常輪の転舵状態に影響されずに所望の方向に車両を操舵することができ、上記片輪転舵異常時であっても車両の操作性(取り回し性)を良好にすることができる。本発明は車両の走行状態に応じて同位相制御または逆位相制御を行うことにより、走行状態に見合った車両の操舵操作を行うことが可能となる。なお、同位相制御または逆位相制御をするときに、転舵異常輪を所定の転舵角、例えば異常が発生したときの転舵角で固定しておくとよい。
【0007】
上記において、「転舵方向」とは、車軸方向に対する車輪の向きのことである。したがって、左右後輪の転舵角の正負が同一であれば、転舵方向が同一方向であり、異なれば、転舵方向が逆方向である。
【0008】
また、前記走行状態検出手段は、車両の車速を検出する車速センサであるとよい。そして、前記転舵アクチュエータ制御手段は、前記車速センサにより検出された車速が所定の基準車速以下である場合は、前記他方の車輪である転舵正常輪の転舵方向を前記一方の車輪である転舵異常輪の転舵方向と逆方向となるように前記転舵アクチュエータを駆動制御するとよい。車速が上記基準車速以下となる低速走行中あるいは後退走行中は、車庫入れなどをするために操舵ハンドルを回動させて車両を取り回す機会が多くなると予測される。したがって、このような場合に逆位相制御を行うことにより、車両の操作性(取り回し性)が良好となり、車庫入れ時などの車両の操作をスムーズに行うことができる。この場合、転舵正常輪の転舵角を、転舵異常輪の転舵角と大きさが同じで正負が逆となるように転舵アクチュエータを駆動制御するのが最も効果的である。
【0009】
また、前記車速センサにより検出された車速が所定の基準車速よりも大きい場合は、前記他方の車輪である転舵正常輪の転舵方向を前記一方の車輪である転舵異常輪の転舵方向と同一方向となるように前記転舵アクチュエータを駆動制御するとよい。このようなときに同位相制御を行うことにより、車両の走行安定性が良好となり、スムーズな走行が可能となる。この場合、転舵正常輪の転舵角を、転舵異常輪の転舵角と同一となるように転舵アクチュエータを駆動制御するのが最も効果的である。
【0010】
上記所定の基準車速は、それ以下で低速走行または後退走行と判断されて逆位相制御が行われ、それよりも大きい場合は高速走行と判断されて同位相制御が行われるときの閾値である。このような閾値となる基準車速は、車種により、または転舵異常輪の転舵角度によって変更してもよいが、おおよそ5〜10km/hの範囲であるとよい。
【0011】
また、前記走行状態検出手段は、車両の変速機の変速状態を検出するギヤポジションセンサであってもよい。この場合、前記転舵アクチュエータ制御手段は、前記ギヤポジションセンサにより検出された変速状態が後退状態である場合は、前記他方の車輪である転舵正常輪の転舵方向を前記一方の車輪である転舵異常輪の転舵方向と逆方向となるように前記転舵アクチュエータを駆動制御するとよい。ギヤポジションが後退状態であれば、車両が後退走行するものと判断することができるので、この場合に逆位相制御を行うことにより、車両の操作性を良好とすることができる。なお、ギヤポジションセンサは、直接的に変速機の変速状態を見てギヤポジションを検出するものでもよいし、シフトレバーのシフト位置を見てギヤポジションを検出するシフトポジションセンサでもよい。シフトポジションセンサを用いる場合は、シフト位置が“R”(リバース)位置のときに、逆位相制御をするとよい。
【0012】
本発明は、少なくとも左右後輪が独立して転舵制御される転舵装置であれば、どのようなものにも適用できる。例えば、4輪全てが独立して転舵制御される4輪独立転舵装置でもよいし、左右後輪のみが独立して転舵制御され、左右前輪は連動して転舵する方式の転舵装置であってもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態に係る転舵装置について図面を用いて説明する。図1は、本実施形態に係る4輪独立転舵車両における転舵装置を概略的に示している。
【0014】
この車両は、左右前輪Wfl,Wfr及び左右後輪Wrl,Wrrをそれぞれ独立して転舵するための転舵機構10A,10B,10C,10Dを備えている。
【0015】
転舵機構10A,10B,10C,10Dは、左右前輪Wfl,Wfr及び左右後輪Wrl,Wrrにそれぞれ組み付けられるとともに一体的に垂直軸回りに回動して、各輪Wfl,Wfr,Wrl,Wrrをそれぞれ転舵するナックル11a,11b,11c,11dを備えている。各ナックル11a、11b、11c、11dは、サスペンション12a,12b,12c,12dにより支持される。
【0016】
このサスペンション12a,12b,12c,12dは、車体BDの左右両側で上下方向に揺動可能に軸支され車幅外方向に延びる上下一対のサスペンションアーム12a1,12b1,12c1,12d1を備える。この上下一対のサスペンションアーム12a1,12b1,12c1,12d1は、それぞれその先端部に設けたボールジョイント13a,13b,13c,13dを介してナックル11a,11b,11c,11dを連結し、各車輪Wfl,Wfr,Wrl,Wrrを鉛直軸回りに回転可能に支持する。尚、サスペンションアーム12a1,12b1,12c1,12d1の下段アームと車体BDとの間には、図示しないが、路面から受ける衝撃を吸収し乗心地を高めるバネ装置と、バネ装置の上下振動に対して減衰力を発生させるショックアブソーバとを備える。
【0017】
左右前輪Wfl,Wfrのナックル11a,11bは後方に延設され、各ナックル11a,11bの各後端部には、ピン14a,14bが垂直方向を軸線方向にしてそれぞれ立設固定されている。左右後輪Wrl,Wrrのナックル11c,11dは前方に延設され、各ナックル11a,11bの各前端部には、ピン14c,14dが垂直方向を軸線方向にしてそれぞれ立設固定されている。
【0018】
各ピン14a,14b,14c,14dは、転舵アクチュエータ15a,15b,15c,15dにより駆動アーム16a,16b,16c,16dを介して車両幅方向に駆動されるようになっている。転舵アクチュエータ15a,15b,15c,15dは、電動モータ及び同モータの回転を直線運動に変換してピン15a1,15b1,15c1,15d1を車両幅方向に駆動する変換機構をハウジング15a2,15b2,15c2,15d2内にそれぞれ収容している。ピン15a1,15b1,15c1,15d1は、ハウジング15a2,15b2,15c2,15d2に車幅方向に沿って設けたガイド孔15a3,15b3,15c3,15d3から突出していて、同ガイド孔15a3,15b3,15c3,15d3に沿って車幅方向に変位する。駆動アーム16a,16b,16c,16dは、各内側端にてピン15a1,15b1,15c1,15d1の軸線回りに回動可能に組み付けられているとともに、各外側端にてピン14a,14b,14c,14dの軸線回りに回動可能に組み付けられていて、ピン15a1,15b1,15c1,15d1の車幅方向の変位により、水平面上を揺動しながらピン14a,14b,14c,14d及びナックル11a,11b,11c,11dを介して各輪Wfl,Wfr,Wrl,Wrrをそれぞれ転舵する。
【0019】
また、この転舵装置は、車輪Wfl,Wfr,Wrl,Wrrを転舵するために、運転者によって回動操作される操舵ハンドル31を備える。この操舵ハンドル31は、操舵軸32の上端に固定されており、操舵軸32の下端は、電動モータおよび減速機構からなる反力アクチュエータ33が接続される。反力アクチュエータ33は、運転者による操舵ハンドル31の回動操作に対して反力を付与するものである。
【0020】
さらに、この車両は、転舵アクチュエータ15a,15b,15c,15dおよび反力アクチュエータ33を制御するための転舵制御装置40を備えている。転舵制御装置40は、主要部をマイクロコンピュータにより構成するもので、操舵角センサ41、車輪舵角センサ42a,42b,42c,42d、操舵トルクセンサ43、車速センサ44、シフトポジションセンサ45が接続される。また、転舵制御装置40は、各転舵アクチュエータ15a,15b,15c,15dを駆動するための駆動回路50a,50b,50c,50d、および操舵ハンドル31に操舵反力を付与する反力アクチュエータ33を駆動する駆動回路51を接続する。
【0021】
操舵角センサ41は、操舵ハンドル31に接続された操舵軸32に組み付けられて、操舵ハンドル31の中立位置からの回転角を検出して操舵角θとして出力する。操舵トルクセンサ43も、操舵軸32に組み付けられて操舵ハンドル31に付与されたトルクを検出して操舵トルクTとして出力する。車輪舵角センサ42a,42b,42c,42d(以下、これらを総称するときは単に車輪舵角センサ42と呼ぶ)は、転舵アクチュエータ15a,15b,15c,15d(以下、これらを総称するときは単に転舵アクチュエータ15と呼ぶ)に組み込まれて、各車輪Wfl,Wfr,Wrl,Wrrの中立位置からの転舵角δfl,δfr,δrl,δrr(以下、これらを総称するときは単に転舵角δと呼ぶ)を検出する。車速センサ44は、車速Vを検出して出力する。シフトポジションセンサ45は、変速機(図示省略)の変速状態を変化させるためのシフトレバー(図示省略)のシフト位置Sが、D(ドライブ)位置であるか、N(ニュートラル)位置であるか、P(パーキング)位置であるか、R(リバース)位置であるかを検出して出力する。
【0022】
転舵制御装置40は、各種センサ41,42,43,44,45により検出される情報を基にして、各車輪Wfl,Wfr,Wrl,Wrrに接続される転舵アクチュエータ15a,15b,15c,15dを駆動回路50a,50b,50c,50dを介してそれぞれ独立に駆動制御する。図2は、左前輪Wflを転舵する左前輪転舵アクチュエータ15aおよび右前輪Wfrを転舵する右前輪転舵アクチュエータ15bを駆動制御するための前輪転舵制御プログラムを示す。このプログラムは所定の短周期で繰り返し行われるものであり、ステップS100にて開始され、ステップS101にて左右前輪Wfl,Wfrの目標転舵角δfl*,δfr*を計算する。この計算を行うにあたり、転舵制御装置40は、操舵角θ、車速Vに応じた左右前輪Wfl,Wfrの目標転舵角δfl*,δfr*を予め前輪目標転舵角テーブルとして記憶しておき、走行中、この前輪目標転舵角テーブルを参照して左右前輪Wfl,Wfrの目標転舵角δfl*,δfr*を計算する。こうして目標転舵角δfl*,δfr*を計算した後は、ステップS102にて、車輪舵角センサ42a,42bによって検出した実際の転舵角δfl,δfrと目標転舵角δfl*,δfr*との差が0となるように左前輪転舵アクチュエータ15aおよび右前輪転舵アクチュエータ15bをフィードバック制御する。このフィードバック制御によって、左右前輪Wfl,Wfrが目標転舵角δfl*,δfr*となるように、左前輪転舵アクチュエータ15aおよび右前輪転舵アクチュエータ15bが駆動制御される。その後、ステップS103にてこのプログラムを一旦終了する。
【0023】
図3は、左後輪Wrlを転舵する左後輪転舵アクチュエータ15cおよび右後輪Wrrを転舵する右後輪転舵アクチュエータ15dを駆動制御するための後輪転舵制御プログラムを示す。このプログラムも所定の短周期で繰り返しおこなわれるものであり、ステップS200にて開始され、ステップS201にて左後輪Wrlの転舵状態が正常であるかを判定する。左後輪Wrlの転舵状態が正常であると判定した場合は、ステップS202にて右後輪Wrrの転舵状態が正常であるかを判定する。右後輪Wrrの転舵状態が正常であると判定した場合は、左右後輪Wrl,Wrrの転舵状態が共に正常であると判断して、ステップS203に進む。ここで、ステップS201およびS202における判定は、本発明の転舵異常検出手段に相当する。この判定においては、左右後輪Wrl,Wrrの目標転舵角δrl*,δrr*を後述の後輪目標転舵角テーブルから計算しており、なおかつ計算した目標転舵角δrl*,δrr*と実転舵角δrl,δrrとの差が所定以内となる場合にのみ正常と判定する。したがって、上記差が所定値よりも大きい場合や、目標転舵角δrl*,δrr*を後輪目標転舵角テーブルから計算していない場合には、異常と判定する。
【0024】
左右後輪Wrl,Wrrの転舵状態が共に正常であると判定した場合には、ステップS203にて左右後輪Wrl,Wrrの目標転舵角δrl*,δrr*を計算する。この計算を行うにあたり、転舵制御装置40は、操舵角θ、車速Vに応じた左右後輪Wrl,Wrrの目標転舵角δrl*,δrr*を予め前述した後輪目標転舵角テーブルとして記憶しておき、走行中、この後輪目標転舵角テーブルを参照して左右後輪Wrl,Wrrの目標転舵角δrl*,δrr*を計算する。こうして目標転舵角δrl*,δrr*を計算した後は、ステップS204にて、車輪舵角センサ42c,42dによって検出した実際の左右後輪Wrl,Wrrの転舵角δrl,δrrと目標転舵角δrl*,δrr*との差が0となるように左後輪転舵アクチュエータ15cおよび右後輪転舵アクチュエータ15dをフィードバック制御する。このフィードバック制御によって、左右後輪Wrl,Wrrが目標転舵角δrl*,δrr*となるように、左後輪転舵アクチュエータ15cおよび右後輪転舵アクチュエータ15dが駆動制御される。そして、ステップS213にてこのプログラムを一旦終了する。
【0025】
ステップS201にて左後輪Wrlの転舵状態が正常であると判定し、次のステップS202で右後輪Wrrの転舵状態が正常ではない(異常である)と判定した場合は、左右後輪Wrl,Wrrのうちの右後輪Wrrのみの転舵状態が異常である片輪転舵異常となっている場合である。この片輪転舵異常として、例えば右後輪Wrrが所定の転舵角で固定されてしまい、転舵不能となるような異常が挙げられる。このような場合は、右後輪Wrrを所定の転舵角、たとえば異常となったときの転舵角で固定した上で、ステップS205に進み、車速センサ44が検出する車速Vが所定の基準車速V0以下であるかを判定する。この基準車速V0は、例えば5km/hと設定される。車速Vが基準車速V0以下である場合はステップS206に進み、転舵状態が正常である左後輪Wrl(転舵正常輪)の目標転舵角δrl*を、転舵状態が異常である右後輪Wrr(転舵異常輪)の転舵角と大きさが同じであって逆向きの転舵角−δrrに設定する。また、ステップS205にて車速Vが基準車速V0よりも大きいと判定した場合には、ステップS207に進み、転舵正常輪である左後輪Wrlの目標転舵角δrl*を、転舵異常輪である右後輪Wrrの転舵角δrrに設定する。ステップS206またはステップS207にて目標転舵角δrl*が設定された後は、ステップS208にて、車輪舵角センサ42cによって検出した実際の左後輪転舵角δrlと目標転舵角δrl*との差が0となるように左後輪転舵アクチュエータ15cをフィードバック制御する。このフィードバック制御によって、左後輪Wrlが目標転舵角δrl*となるように左後輪転舵アクチュエータ15cが駆動制御される。ここで、ステップS208におけるフィードバック制御が、本発明における転舵アクチュエータ制御手段に相当する。その後、ステップS213に進んでこのプログラムを一旦終了する。なお、一度でもステップS208のフィードバック制御を行った場合、次回以降の繰り返し処理では、ステップS202の判定結果は常に「No」とされる。
【0026】
ステップS206にて目標転舵角δrl*が−δrrに設定されると、左後輪Wrlの転舵方向が右後輪Wrrの転舵方向と逆方向となるように左後輪転舵アクチュエータ15cが駆動制御される。このような逆位相制御が行われた場合、図4(a)に示すように、転舵正常輪である左後輪Wrlと転舵異常輪である右後輪Wrrが車軸Lに対して対称的な転舵角をもって転舵した状態となる。この結果、左右後輪Wrl,Wrrにて発生する横力が互いに相殺されるので、左右前輪Wfl,Wfrの転舵にしたがって所望の方向に車両を操舵することが可能となる。
【0027】
ここで、上記逆位相制御が行われるのは、車速Vが基準車速V0以下の場合、すなわち低速で走行しているか、あるいは後退走行している場合である。逆位相制御を行った場合には、左右後輪Wrl,Wrrが互いに逆方向に転舵された状態で走行することになるので、左右後輪Wrl,Wrrのうちどちらかの車輪が常にスリップ角を持って走行する状態となり、路面との間で発生する摩擦力により磨耗量が通常の走行と比較して極めて多くなる。例えば、スリップ角が1°増えるにつれて、磨耗量は3倍に増加する。このため、例えば転舵異常輪である右後輪Wrrの転舵角が5°であるとすると、通常時の走行(スリップ角が0°のときの走行)と比較して磨耗量が約15倍となる。よって、このような状態での走行は、高速で長い距離を走行する際には不向きである。さらに、走行中に左右後輪Wrl,Wrrの横力が釣り合っている間はよいが、路面段差等で横力のバランスが崩れると急激に左右後輪Wrl,Wrrの横力の差が大きくなり、車両がふらついてしまう。このような不安定な挙動は速度が増すほど顕著になり、40km/h程度になると、車両の挙動が安定せずに走行不能となる。加えて、高速走行中に逆位相制御を行うと、車輪から発生する異音が大きくなる。このような理由から、逆位相制御は車速が大きい場合には不向きである。
【0028】
上記のような不具合は、車速が大きいほど顕著になるが、車速が小さい領域ではそれほど顕著ではない。また、車速が小さい場合には、片輪転舵異常を修理するために車庫入れをしたり、駐車スペースに駐車したりするなどの、比較的車両を操舵操作する状況が多くなると予測されるので、上記のような不具合が多少はあっても、車両の操作性を重視した転舵制御を行うのがよい。よって、車速Vが基準車速V0以下の低速走行時には、逆位相制御を行う。
【0029】
また、ステップS207にて目標転舵角δrl*がδrrに設定される場合には、転舵正常輪である左後輪Wrlの転舵方向が転舵異常輪である右後輪Wrrの転舵方向と同一方向となるように左後輪転舵アクチュエータ15cが駆動制御される。このような同位相制御が行われた場合、例えば図4(b)に示すように、左右後輪Wrl,Wrrが平行な状態となる。したがって、左右前輪Wfl,Wfrも左右後輪Wrl,Wrrと同じ角度だけ転舵させて全ての車輪を同じ転舵角とすることにより、車体BDは車軸Lに対して所定の角度だけ傾いたまま、安定した直進走行が可能となる。
【0030】
ここで、上記同位相制御が行われるのは、車速Vが基準車速V0よりも大きい場合、すなわち高速走行している場合である。同位相制御を行った場合には、左右後輪Wrl,Wrrが互いに同一方向に転舵された状態で走行することになるので、上述したように車体が常にある一定の転舵角だけ傾いた状態で走行する状態となる。このような状態は、図5の実線で示すように、進行方向に対して車体が傾いている分だけ車幅が大きくなり(図示車幅W1参照)、通常時の車幅(図示車幅W参照)の感覚と異なるために車幅が把握し難くなるとともに、狭い路地での走行が難しくなる。また、図6に示すように、例えば転舵異常輪である右後輪Wrrが車軸Lに対して右向きに転舵している場合は、車両が右旋回する際の回転半径Rrが、同じ舵角量で左旋回する際の回転半径Rlよりも大きくなる。このため、操舵ハンドルの切り込み方向によって回転半径が異なり、車庫入れなどのような操舵ハンドルを頻繁に左右に切込み操作する状況では操作性が悪くなる。
【0031】
上記のような車両の操作性に関する問題は、車庫入れをするときなどの操作ハンドルを頻繁に取り回す低速走行時に顕著に発生するが、高速走行時では車両の操作性に関する問題はあまり発生しない。むしろ、高速走行時には、車両の操作性よりも車両の走行安定性を重視した方がよい。このため、車速Vが基準車速V0よりも大きい高速走行時には、安定した直進走行が可能な同位相制御を行う。
【0032】
また、図3の制御プログラムにおいて、ステップS201にて左後輪Wrlの転舵状態が正常ではない(異常である)と判定された場合(S201:No)は、左後輪Wrlを所定の転舵角で固定した上で、ステップS209に進む。ここで、本実施形態では、ステップS201にて左後輪Wrlの転舵状態が正常でないと判定したときは、左右後輪Wrl,Wrrのうちの左後輪Wrlのみが転舵異常であると推定する。ステップS201の判定が「No」である場合は、左後輪Wrlのみが転舵異常である片輪転舵異常である場合のほか、左右後輪Wrl,Wrrのいずれもが転舵異常である両輪転舵異常である場合も考えられる。しかし、一般的に同時に左右後輪Wrl,Wrrが転舵異常となる確率は十分低いこと、および、片輪転舵異常となって車両を修理工場まで移動させるのみの短い走行時間の間にもう一方の後輪までもが転舵異常になる確率は十分低いこと、から、両輪転舵異常は非常に起こり難いものと考えられるので、本実施形態においては両輪転舵異常を考慮しない。
【0033】
ステップS209では、車速センサ44が検出する車速Vが所定の基準車速V0以下であるかを判定する。車速Vが基準車速V0以下である場合はステップS210に進み、転舵正常輪である右後輪Wrrの目標転舵角δrr*を、転舵異常輪である左後輪Wrlの転舵角δrlと大きさが同じであって逆向きの転舵角−δrlに設定する。一方、車速Vが基準車速V0よりも大きいと判定した場合には、ステップS211にて、右後輪Wrrの目標転舵角δrr*を左後輪Wrlの転舵角δrlに設定する。ステップS210またはステップS211にて目標転舵角δrr*が設定された後は、ステップS212にて、車輪舵角センサ42dによって検出した実際の右後輪転舵角δrrと目標転舵角δrr*との差が0となるように右後輪転舵アクチュエータ15dをフィードバック制御する。このフィードバック制御によって、右後輪Wrrが目標転舵角δrr*となるように右後輪転舵アクチュエータ15dが駆動制御される。ここで、ステップS212のフィードバック制御が、本発明における転舵アクチュエータ制御手段に相当する。その後、ステップS213に進んでこのプログラムを一旦終了する。なお、一度でもステップS212のフィードバック制御を行った場合、次回以降の繰り返し処理において、ステップS201の判定結果は常に「No」とされる。
【0034】
このように、本実施形態によれば、車速Vに応じて同位相制御または逆位相制御を行うことにより、走行状態に見合った車両の操舵操作を行うことが可能となる。また、基準車速V0以下の車速で走行している低速走行時に逆位相制御を行うことにより、車庫入れや駐車時などの操舵操作をスムーズに行うことができる。さらに、基準車速V0よりも大きい車速で走行している高速走行時に同位相制御を行うことにより、安定した走行を行うことができる。
【0035】
図7は、後輪転舵制御プログラムの他の制御例を示すフローチャートである。この制御プログラムは、ステップS300にて開始され、ステップS301にて左後輪Wrlの転舵状態が正常かを判定する。左後輪Wrlの転舵状態が正常である場合は、次に右後輪Wrrの転舵状態が正常かを判定する(S302)。左右後輪Wrl,Wrrの転舵状態が正常かどうかの判定は、図3に示す後輪転舵制御プログラムで説明したものと同様な方法で行う。また、ステップS301およびS302における判定は、本発明の転舵異常検出手段に相当する。
【0036】
左右後輪Wrl,Wrrの転舵状態が共に正常であると判定した場合には、ステップS303にて、後輪目標転舵角テーブルに基づき左右後輪Wrl,Wrrの目標転舵角δrl*,δrr*を計算する。続いて、ステップS304にて、車輪舵角センサ42c,42dによって検出した実際の左右後輪転舵角δrl,δrrと目標転舵角δrl*,δrr*との差が0となるように左後輪転舵アクチュエータ15cおよび右後輪転舵アクチュエータ15dをフィードバック制御する。このフィードバック制御によって、左右後輪Wrl,Wrrが目標転舵角δrl*,δrr*となるように、左後輪転舵アクチュエータ15cおよび右後輪転舵アクチュエータ15dが駆動制御される。その後、ステップS315に進んでこのプログラムを一旦終了する。
【0037】
ステップS301にて左後輪Wrlの転舵状態が正常であると判定し、次のステップS302で右後輪Wrrの転舵状態が正常ではない(異常である)と判定した場合は、左右後輪Wrl,Wrrのうちの右後輪Wrrのみが転舵異常である片輪転舵異常となっている場合である。この場合は、右後輪Wrrの転舵角を固定した上でステップS305に進み、シフトポジションセンサ45で検出されているシフト位置Sが“R”(リバース)位置であるかを判定する。シフト位置Sが“R”位置である場合はステップS306に進み、重み係数Xを−1として、ステップS308に進む。一方、シフト位置Sが“R”位置ではない場合はステップS307に進み、重み係数マップから車速Vに応じた重み係数Xを計算する。その後ステップS308に進む。
【0038】
ここで、重み係数Xは、後述のステップS308にて目標転舵角を求める際に用いる係数であり、重み係数マップは、速度に応じて重み係数が設定されたマップである。この重み係数マップの一例を図8に示す。図8からわかるように、重み係数Xは、車速Vが第一車速V1以下の低速走行時は−1、車速Vが第二車速V2以上の高速走行時は1であり、車速Vが第一車速V1以上で第二車速V2以下のときは、車速Vの増加にしたがって−1〜1の範囲で単調増加するように設定される。ただし、シフトポジションセンサ45で検出されるシフト位置Sが“R”(リバース)位置である場合(S305:YES)には、図8の重み係数マップを参照せずに、重み係数Xを−1に設定する(S306)。
【0039】
ステップS308では、転舵正常輪である左後輪Wrlの目標転舵角δrl*を、転舵異常輪である右後輪Wrrの転舵角δrrに重み係数Xを掛け合わして算出する。続いて、ステップS309にて、車輪舵角センサ42cによって検出した実際の左後輪転舵角δrlと目標転舵角δrl*との差が0となるように左後輪転舵アクチュエータ15cをフィードバック制御する。このフィードバック制御によって、左後輪Wrlが目標転舵角δrl*となるように左後輪転舵アクチュエータ15cが駆動制御される。ここで、ステップS309におけるフィードバック制御が、本発明における転舵アクチュエータ制御手段に相当する。その後、ステップS315に進んでこのプログラムを一旦終了する。なお、一度でもステップS309のフィードバック制御を行った場合には、次回以降の繰り返し処理において、ステップS302の判定結果は常に「No」とされる。
【0040】
重み係数Xが−1のときは、ステップS308の計算で左後輪Wrlの目標転舵角δrl*は−δrrとなる。このため、ステップS309における左後輪転舵アクチュエータ15cの駆動制御は逆位相制御となる。重み係数Xが−1となるのは車速V1以下の低速走行時あるいはシフト位置Sが“R”位置であるとき、つまり後退走行時なので、このときに逆位相制御を行うことにより、車庫入れなどを行う際にスムーズに車両を操作することができる。一方、重み係数Xが1のときは、ステップS308の計算で目標転舵角δrl*はδrrとなり、この場合はステップS309における左後輪転舵アクチュエータ15cの駆動制御は同位相制御となる。重み係数Xが1となるのは車速がV3以上の高速走行時であるので、このときに同位相制御を行うことにより、高速で直線走行を行う際に車両の走行安定性を確保することができる。
【0041】
図8の重み係数マップに示すように、車速がV1〜V2の領域では、車速Vの増加につれて重み係数Xが−1〜1の範囲で連続的に単調増加する。このため、車速VがV1以下の領域からV2以上の領域に変化するときに、逆位相制御と同位相制御とが連続的につながって制御される。このため、制御が切り換わるときに転舵正常輪の転舵角の変更を滑らかに行うことができ、急に逆位相制御から同位相制御(または同位相制御から逆位相制御)に切り換わって車両の挙動が不安定になるのを防止することができる。
【0042】
また、図7において、ステップS301にて左後輪Wrlの転舵状態が正常ではない(異常である)と判定した場合は、左後輪Wrlの転舵角を固定した上でステップS310に進む。ここで、ステップS301にて左後輪Wrlの転舵状態が正常でないと判定したときは、左右後輪Wrl,Wrrのうちの左後輪Wrlのみの転舵状態が異常であると推定する。
【0043】
ステップS310では、シフトポジションセンサ45で検出されているシフト位置Sが“R”(リバース)位置であるかを判定し、シフト位置Sが“R”位置である場合はステップS311に進み、重み係数Xを−1として、ステップS313に進む。一方、シフト位置Sが“R”位置ではない場合はステップS312に進み、重み係数マップから車速Vに応じた重み係数Xを計算する。その後ステップS313に進む。そして、ステップS313にて、転舵正常輪である右後輪Wrrの目標転舵角δrr*を、転舵異常輪である左後輪Wrlの転舵角δrlに重み係数Xを乗じて計算する。続いて、実際の右後輪転舵角δrrと目標転舵角δrr*との差が0となるように右後輪転舵アクチュエータ15dをフィードバック制御する(S314)。このフィードバック制御によって、右後輪Wrrが目標転舵角δrr*となるように右後輪転舵アクチュエータ15dが駆動制御される。ここで、ステップS314におけるフィードバック制御が、本発明の転舵アクチュエータ制御手段に相当する。その後、ステップS315に進んでこのプログラムを一旦終了する。なお、一度でもステップS314のフィードバック制御を行った場合、次回以降の繰り返し処理において、ステップS301の判定結果は常に「No」とされる。
【0044】
上記説明のように、図7のフローチャートに示す制御例では、車両の走行状態を検出するための車速センサ44またはシフトポジションセンサ45の検出結果(シフト位置、車速)に応じて逆位相制御または同位相制御を行い、転舵正常輪の転舵アクチュエータを駆動制御している。したがって、走行状態に見合った車両の操舵操作を行うことが可能となる。また、車速がV1よりも小さいとき、および、シフト位置Sが“R”位置であるときに逆位相制御を行うことにより、適格に低速走行時および後退走行時を把握して、車庫入れや駐車を行う際の操舵操作をスムーズに行うことができる。さらに、車速がV2以上の高速走行時に同位相制御を行うことにより、安定した走行を行うことができる。
【0045】
以上、本実施形態の転舵装置について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。例えば、本実施形態の第一制御例では、逆位相制御において転舵正常輪の転舵角が転舵異常輪の転舵角と大きさが同じで逆方向の転舵角となるように制御した例を示したが、転舵正常輪の転舵方向と転舵異常輪の転舵方向とが逆方向となるように転舵正常輪を転舵しさえすれば、必ずしも転舵角の大きさが同じとなるように制御しなくてもよい。同様に、同位相制御において、転舵正常輪の転舵角は、転舵異常輪の転舵方向と同一方向でありさえすれば、必ずしも大きさが同じとなるように制御しなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施形態に係る転舵装置の全体構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る前輪転舵制御プログラムのフローチャートである。
【図3】本発明の実施形態に係る後輪転舵制御プログラムのフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態に係る後輪転舵制御を行った場合の後輪の転舵状態を示す図であり、(a)は逆位相制御を行った場合、(b)は同位相制御を行った場合の後輪の転舵状態を表す。
【図5】本実施形態に係る後輪転舵制御によって同位相制御を行った場合の車両の走行状態を示す図である。
【図6】本実施形態に係る後輪転舵制御によって同位相制御を行った場合における、右旋回時の回転半径と左旋回時の回転半径の違いを示す図である。
【図7】本実施形態に係る後輪転舵制御プログラムの他の例を示すフローチャートである。
【図8】図7に示す制御例で用いる重み係数のマップである。
【符号の説明】
【0047】
10A,10B,10C,10D…転舵機構、15a,15b,15c,15d…転舵アクチュエータ、40…転舵制御装置、42a,42b,42c,42d…車輪舵角センサ、44…車速センサ(走行状態検出手段)、45…シフトポジションセンサ(走行状態検出手段)、50a,50b,50c,50d…駆動回路、S201,S202,S301,S302…転舵異常検出手段、S208,S212,S309,S314…転舵アクチュエータ制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右後輪を独立して転舵する転舵アクチュエータを備えた転舵装置において、
車両の走行状態を検出する走行状態検出手段と、
左後輪および右後輪のいずれか一方の車輪の転舵状態が異常である片輪転舵異常を検出する転舵異常検出手段と、
前記転舵異常検出手段が前記片輪転舵異常を検出したときに、前記走行状態検出手段により検出された走行状態に応じて右後輪および左後輪のいずれか他方の車輪を転舵するように、前記転舵アクチュエータを駆動制御する転舵アクチュエータ制御手段と、を備えることを特徴とする転舵装置。
【請求項2】
請求項1に記載の転舵装置において、
前記転舵アクチュエータ制御手段は、前記走行状態検出手段により検出された走行状態に応じて、前記他方の車輪の転舵方向が前記一方の車輪の転舵方向と同一方向または逆方向となるように前記転舵アクチュエータを駆動制御することを特徴とする転舵装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の転舵装置において、
前記走行状態検出手段は車両の車速を検出する車速センサであることを特徴とする転舵装置。
【請求項4】
請求項3に記載の転舵装置において、
前記転舵アクチュエータ制御手段は、前記車速センサにより検出された車速が所定の基準車速以下である場合は、前記他方の車輪の転舵方向を前記一方の車輪の転舵方向と逆方向となるように前記転舵アクチュエータを駆動制御することを特徴とする転舵装置。
【請求項5】
請求項3または4に記載の転舵装置において、
前記転舵アクチュエータ制御手段は、前記車速センサにより検出された車速が所定の基準車速よりも大きい場合は、前記他方の車輪の転舵方向を前記一方の車輪の転舵方向と同一方向となるように前記転舵アクチュエータを駆動制御することを特徴とする転舵装置。
【請求項6】
請求項1または2に記載の転舵装置において、
前記走行状態検出手段は、車両の変速機の変速状態を検出するギヤポジションセンサであり、
前記転舵アクチュエータ制御手段は、前記ギヤポジションセンサにより検出された変速状態が後退状態である場合は、前記他方の車輪の転舵方向を前記一方の車輪の転舵方向と逆方向となるように前記転舵アクチュエータを駆動制御することを特徴とする転舵装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−230511(P2007−230511A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−58092(P2006−58092)
【出願日】平成18年3月3日(2006.3.3)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】