説明

軸方向空隙型ブラシレスモータと同モータを備えた電磁音響変換器。

【課題】駆動回路部品を内蔵できるようにして通常の直流モータと同様な取り扱いができるようにし、各部材を薄くしながらも、組み合わせる磁極の数に応じてトルク発生効率を高める。
【解決手段】磁性板からなるヨークブラケット1の中央に配された軸支承部と、半径方向の外方に配された3個のディテントトルク発生部1bと、ヨークブラケットに添設されたステータベース上に固着され単相3個の空心電機子コイル5と、このコイルと平面視重畳しないように配された駆動回路部材Dとが備えられたステータSTと、ロータRは4個の磁極を有する軸方向空隙型マグネット4が保持されたロータヨークとが備えられロータRが軸に回転自在に装着され、ケース9とブラケット1とからなるハウジングHに格納された。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、移動体通信装置の無音報知手段に用いて好適なもので、ホールセンサと駆動回路部材が内蔵されたステータと同ステータを備えた軸方向空隙型ブラシレスモータに関する。
【背景技術】
【0002】
ブラシレスモータは、ブラシ、コミュテータに代わる駆動回路が必須要件であるが、上記従来の構造は、いずれも駆動回路が内蔵されておらず、外付けのため引き出し端子も4端子以上が必要となって通常の2端子型直流モータのように取り扱うことができない問題があった。
しかも、通常のブラシレスモータでは、ステータは複数個の電機子コイルを均等に全周に配置しており、駆動回路部品もICを始め他の電子部品が必要なため、とても内蔵できるものではなかった。
【0003】
扁平な軸方向空隙型ブラシレス振動モータとして本出願人は、先にコアレススロットレス型で駆動回路部材を内蔵させないものを提案している。(特許等文献1、特許文献2参照)
駆動回路付きのブラシレス振動モータとしては、コアード型で、複数個の等分に配置した突極に電機子コイルを巻回してなるコアード型で駆動回路部材をステータの側方に配置した非円形なものが知られている。(特許文献3参照)
しかしながら、このようなものは、側方向のサイズが大となってしまい、セット側の印刷配線板にSMD方式では実装効率が悪く、またコアード型のため、厚みが大とならざるを得ず実用性がない。
そこで、本出願人は、先にコアード、スロットレスコアレス型を含んだもので複数個の電機子コイルの一部を削除して空所を設け、この空所に駆動回路部材を配置したものを提案している。(特許文献4参照)
一般に、2個をシリーズに結線した単相の電機子コイルは、マグネットの磁極を受ける有効導体部が少なく、発生するトルクが小型になるほど弱くなってディテントトルク発生部材の引き込み力に逆らって起動させるのが困難である。
また、このような2個の単相結線型コイルのブラシレスモータを電磁音響変換器の中央磁極として採用する場合、この電磁音響変換器の励磁マグネットの漏洩磁界がモータ側の駆動マグネットの磁界に影響を与える問題がある。
【特許文献1】実開平4−137463号公報
【特許文献2】特開2002−143767号公報
【特許文献3】特開2000−245103号公報
【特許文献4】特開2002−142427号公報(図8〜図11)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、この発明は、駆動回路部品を内蔵できるようにして通常の直流モータと同様な取り扱いができるようにし、各部材を薄くしながらも、組み合わせる磁極の数に応じてトルク発生効率を追い込み、強度も十分なようにして極めて薄い小型ブラシレス振動モータとそのモータを中央磁極とする電磁音響変換器を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するには、請求項1に示すように磁性板からなるヨークブラケットが備えられ、このヨークブラケットはさらに中央に配された軸支承部と、半径方向の外方に配された少なくとも2個のディテントトルク発生部と、前記ヨークブラケットに印刷配線板からなるステータベースが添設され、このステータベース上に組み合わせるロータのマグネットの磁極の数を(2n)個(nは2以上の整数)としたとき、前記ステータベース上に固着され、単相結線された3個以上の空心電機子コイルと、この空心電機子コイルとそれぞれ平面視重畳しないように前記ステータベースに配された駆動回路部材と、この駆動回路部材に入力する給電端子部が前記ステータベースと一体に半径方向側方に備えられたステータと、前記ロータは複数個の磁極を有する軸方向空隙型マグネットと、該マグネットを保持するロータヨークとが備えられ、軸を介してステータに回転自在に装着され、ケースと前記ブラケットとからなるハウジングに格納されたもので達成できる。
具体的には請求項2、3に示すように前記ヨークブラケットは0.3mm以下で厚みがあり、前記ディテントトルク発生部はこの磁性板から前記空心電機子コイル内部で該コイルの中心から配置開角15°以上離れた位置で、ステータベースを介して該コイルの上面を超えない範囲で上方に突き出され、前記空心電機子コイルは配置開角90°で3個偏って配され、組み合わせるロータのマグネットは4極からなるものか、前記ヨークブラケットは0.3mm以下で厚みがあり、前記デイテントトルク発生部はこの磁性板から前記空心電機子コイル内部で該コイルの中心から配置開角10°以上離れた位置でステータベースを介して該コイルの上面を超えない範囲で上方に突き出され、前記空心電機子コイルは配置開角60°で4個偏って配され、組み合わせるロータのマグネットは6極からなるものがよい。
これらは、さらに具体的には、請求項4に示すように前記ヨークブラケットは磁性あるいは弱磁性ステンレス材からなり、前記軸の一端が前記軸支承部に固着されると共に他端がケースに固定され、前記ロータは中心に軸受が固着され、該軸受下端が少なくとも3枚のスラストワッシャを介して軸支承部に摺接されているものがよい。
具体的な使用の形態は請求項5に示すように前記ロータは前記ロータケースに少なくとも径方向外周に偏心ウエイトが固着されて振動モータとして機能しているものがよい。
【0006】
電磁音響変換器としては、請求項6に示すように請求項5に記載の軸方向空隙型該モータはスピーカハウジングの中央に配されて中央磁極として機能するもので、該モータの径方向外周に空隙を介して臨ませたリング状の可動ボイスコイルと、該ボイスコイルの一端が配着され、外周が前記スピーカハウジングに配着された振動薄板と、該可動コイルの外周に空隙を介して前記ハウジングに配されたリング状の励磁マグネットとが備えられた電磁音響変換器であって、該モータのハウジングは一部が下方で径方向にフランジとして延設され、該フランジに前記励磁マグネットの基部が載置されると共に該フランジを利用することによって前記スピーカハウジングに取り付けられたもので達成できる。
そして、具体的には請求項7に示すように前記ディテントトルク発生部は非磁性の第2ブラケットに添設され、この第2ブラケットと前記ケースとでハウジングを構成し、この第2のブラケットの外周が前記ケースより外方に延設されて前記ケースのフランジと重畳され、前記ディテントトルク発生部は前記ハウジングから磁気的に隔離されているもので達成できる。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に示す発明では、単相コイルを3個以上にしたので薄型ながらもマグネットの磁極にかかる有効導体部が多くなってトルク発生が大となり、簡単に駆動回路部材が内蔵でき、給電端子も正負の2端子にすることもでき、ブラケット自体でディテントトルクを得ることができるので、部材点数も減少できる。
請求項2、3に示す発明では、マグネットの磁極の開角である基準電気開角まで各コイルの有効導体部が近づくように設定できるので、高効率が得られ、ディテントトルク発生部の配置もデットスペースを利用しているので、配置空間が犠牲にならない。しかもディテントトルク発生部は、それぞれ、各コイルの中心から所定の角度離れた位置に設定しているので、組み合わせる磁極の中心、あるいは磁極のニュートラルが来ても全コイルの有効導体部にフレミングの左手の法則によってトルクが発生できる位置でロータは停動することになる。
請求項4に示す発明では、細手の軸を使用したものでも強度良く保持できるので耐衝撃性が良く、軸固定型でも3枚のスラストワッシャによってロスが少なくできる。
請求項5に示す発明では、ブラシレスなので長寿命な振動モータが得られる。
請求項6に示す発明では、長寿命なブラシレス振動モータを中央磁極にでき、該モータのハウジングのフランジをスピーカ側の励磁マグネットのリターンパスと取り付け手段に利用したので、収納効率が良く、取り付けも容易となり、機器側においてはサイレントアラーム用振動モータの配置空間を特別に配慮しなくて済む。
そして、請求項7に示す発明によれば、ディテントトルク発生手段は、ハウジングから磁気的に離されているので、スピーカ側の励磁マグネットの漏洩磁界がディテントトルク発生部に影響を及ぼすおそれがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
磁性板からなるヨークブラケットが備えられ、このヨークブラケットはさらに中央に配された軸支承部と、半径方向の外方に配された4個のディテントトルク発生部と、前記ヨークブラケットに印刷配線板からなるステータベースが添設され、このステータベース上に組み合わせるロータのマグネットの磁極の数を4極としたとき、前記ステータベース上に固着され、単相結線された3個の空心電機子コイルと、この空心電機子コイルとそれぞれ平面視重畳しないように前記ステータベースに配され、1個のホールセンサを内蔵した駆動回路部材と、この駆動回路部材に入力する給電端子部が前記ステータベースと一体に半径方向側方に備えられたステータと、前記ロータは複数個の磁極を有する軸方向空隙型マグネットと、該マグネットを保持するロータヨークとが備えられ、軸を介してステータに回転自在に装着され、ケースと前記ブラケットとからなるハウジングに格納された。
図1はこの発明の軸方向空隙型ブラシレスモータの要部断面図である。(実施例1)
図2は同モータのステータを構成する主要部材の平面図である。
図3は図2のステータによる同モータの回転動作説明図である。
図4は同モータのステータの変形例の平面図である。(実施例2)
図5は図4のステータによる同モータの回転動作説明図である。
図6はこれらのモータを中央磁極として使用した電磁音響変換器の要部断面図である。(実施例3)
そして、図7は同モータの別の変形例の要部断面図である。(実施例4)
【実施例1】
【0009】
図1、図2において、この発明の軸方向空隙型ブラシレスモータは、ステータ側として磁性板からなるヨークブラケット1が備えられ、このヨークブラケット1は、さらに、中央に配された軸支承部1aに軸2が下側からレーザスポット溶接L1で固定され、半径方向の外方に3個の90°の配置開角でディテントトルク発生部1bが突き起こされている。このヨークブラケット1に印刷配線板からなるステータベース3が添設される。このステータベース3上には、組み合わせるロータRのマグネット4の磁極の数を(2n)個(nは2以上の整数とし、ここではNS交互に4極に磁化されたもの)としたとき、前記ステータベース上に固着され、単相結線された複数(ここでは3個)の空心電機子コイル5……と、この空心電機子コイル5‥‥とそれぞれ平面視で重畳しないように前記ステータベース3に配されたセンサ内蔵のIC化された駆動回路部材Dと、この駆動回路部材Dに入力する給電端子部3aが前記ステータベースと一体に半径方向側方に備えられてステータSTとしたもので、前記ロータRは複数個(ここでは4極)の磁極を有する前記軸方向空隙型マグネット4と、該マグネット4を保持するロータヨーク6とが備えられ、このロータヨーク6の中心の受け止め部6aに取り付けられた軸受7を介してステータのヨークブラケット1の軸支承部1aに配され、外方からレーザ溶接L1された軸2に回転自在に装着される。
さらに、前記ロータRは前記ロータヨーク6の外周に半径方向に延設されたフランジ6bに偏心ウエイトWが凹凸嵌合で組み付けられ、偏心ロータとなっていて回転時に遠心力振動を発生して振動モータとして機能している。このように構成した偏心ロータRは、ブレーキ損失を軽減させるために3枚に積層したスラストワッシャS1を介して前記軸2に回転自在に装着される。ケース9と前記ヨークブラケット1とからなるハウジングHに格納され、ここでは、軸2の先端はケース9にはめ込まれ、外方から同様にレーザー溶接L2され、さらに、ケース9とヨークブラケット1は、給電端子部3aをのぞいてケース9の開口部で溶接Yによって組み付けられる。
従って、組付けが全部溶接されるので、モノコック構造となり、薄手の部材でも強度が確保できる。
ここでスラストワッシャS1は各外径に差を持たせてあり、同径の場合のときのように抜きバリ同士が絡み合ってクラッチ動作になって回転しない位置のワッシャが回転してしまわないように配慮される。
【0010】
前記ヨークブラケット1は0.15mm〜0.3mm(好ましくは0.2mm)の磁性ステンレスであり、前記ディテントトルク発生部1bは前記ヨークブラケット1の中央の軸支承部1aから半径方向で前記空心電機子コイル内部で該各コイルの中心から配置開角15°以上(ここでは17°程度)離れた位置で、ステータベース3を介して該コイル5の上面を超えない範囲で上方に突き出されている。前記空心電機子コイル5は配置開角90°で3個偏って配され、組み合わせるロータのマグネット4は4極からなる。ディテントトルク発生部1bと単相の空心電機子コイル5の位置関係は、空心電機子コイルの有効導体部が後記のマグネットの磁極に合わせて出来るだけ開角を広く設定され、ディテントトルク発生部1bの形状はその数量を含め、マグネットの磁力によって停止させておくに当たって最小の停動トルクが得られるように設定されるのがよい。
ここで、ディテントトルク発生部1bはコイル内部で17°程度ずらすのは、磁極のピークが停止しても、ニュートラル部が停止しても、いずれの場合でも、前記駆動回路部材に内蔵されたセンサの位置がマグネットのニュートラルゾーンに来ることによる起動エラーが無いようにするものである。この角度は22.5°程度まで広げ、有効導体部を大きく得るのがよいが、今度はコイルの巻数が不足してしまう問題が出る嫌いがあるので、パワーとの関連で適当な位置が選定される。
【0011】
このようにしたステータは、図3に示すような単相結線で該コイルから配置角90°程度で最適な電気的中性点が得られるように内蔵したホールセンサHSの位置が定められた駆動回路部材Dで駆動される。ここでは、動作展開図として各コイルは有効導体部のみ、実力に合わせて幅広く図示している。マグネットの磁極に対する電流の方向が矢印となってフレミングの左手の法則に従い全有効導体部に同方向のトルクが発生するようになるのがわかる。
この駆動回路部材D、前記空心電機子コイル5は紫外線硬化型接着剤Uでステータベース3に固定される。ここで紫外線硬化型接着剤Uによる補強は少なくとも前記空心電機子コイルの外径の一部は必要となり、ここでは、内径にもディテントトルク発生部1bを含めて塗布される。このようにすれば、前記コイルは、ステータベースを介してヨークブラケットに強力に固定できる。当然ながら対向するロータとの空隙部分には、最小空隙を決める部材(ここでは空心電機子コイル)上にはみ出ないようにその注型量はコントロールされる。したがって、これらのステータ部材は、平面視重畳しないことになり、薄型に構成でき、紫外線硬化型接着剤Uによって耐衝撃性が向上する。
【実施例2】
【0012】
図4、図5に示すものは、前記実施例1の変形で、前記ヨークブラケット1は0.15mm〜0.3mm、好ましくは0.2mmの磁性ステンレス板からなり、前記ディテントトルク発生部1bは前記ヨークブラケット1から前記空心電機子コイル内部で該コイルの中心から配置開角10°以上(ここでは12°程度)離れた位置で、ステータベース33を介して該コイル55の上面を超えない範囲で上方に突き出されている。前記空心電機子コイル55は配置開角60°で4個偏って配され、組み合わせるロータのマグネット44は60°の磁極開角を交互に磁化された6極からなる。ディテントトルク発生部1bと単相の空心電機子コイル55の位置関係は、空心電機子コイルの有効導体部がマグネットの磁極に合わせて設定され、ディテントトルク発生部1bの形状はマグネットの磁力によって停止させておくに当たって最小の停動トルクが得られるように数量を含めて設定されるのがよい。
ここで、ディテントトルク発生部1bをコイル内部で12°程度ずらすのは、磁極のピークが停止しても、ニュートラル部が停止しても、いずれの場合でも、起動エラーが無いようにするものである。この角度は15°程度まで広げ、有効導体部を大きく得るのがよいが、今度はコイルの巻数が不足してしまう問題が出る嫌いがあるので、パワーとの関連で適当な位置が選定されるのは、実施例1と同様である。
【0013】
このようにしたステータは、単相結線で該コイルから配置角90°程度で最適な電気的中性点が得られるように内蔵したホールセンサHSの位置が定められた駆動回路部材Dで駆動される。ここではマグネットの磁極に対する電流の方向が矢印となって、やはりここでも、フレミングの左手の法則に従い全有効導体部にトルクが発生するようになっている。
この駆動回路部材D、前記空心電機子コイル55は紫外線硬化型接着剤Uでステータベース33に固定される。ここで紫外線硬化型接着剤Uによる補強は少なくとも前記実施例と同様に空心電機子コイルの一部は必要となり、当然ながら対向するロータとの空隙部分には、最小空隙を決める部材(ここでは空心電機子コイル)上にはみ出ないようにその注型量はコントロールされる。したがって、これらのステータ部材は、平面視重畳しないことになって薄型に構成でき、紫外線硬化型接着剤Uによって耐衝撃性が向上する。この実施例における偏心ロータRの構成は、前記実施例と同等であるので、ここでは同一符号を付してその説明は省略する。
【実施例3】
【0014】
図6は、このような軸方向空隙形ブラシレスモータを使用した電磁音響変換器を示す。
軸方向空隙型該モータMは樹脂製スピーカハウジング12の中央に配されて中央磁極として機能するものであるが、スピーカ側の強大な励磁マグネットが、モータ側磁界に影響するので、それなりの工夫が必要となる。
すなわち、モータのハウジングを構成するケース99は、天井部が非磁性板99aとなっており、側部の磁性体99bと圧入勘合している。このケース99は、下方が径方向に
フランジ99fとして延設され、ヨークブラケット11の延設部分11fと凹凸結合される。電磁音響変換器SPとしては、該モータMの径方向外周に空隙を介して臨ませたリング状の可動ボイスコイル13と、該ボイスコイルの一端が配着され、外周が前記スピーカハウジングに配着された振動薄板14と、該可動ボイスコイル13の外周に空隙を介して前記ハウジングに配されたリング状の励磁マグネット15とが備えられ、放音孔16aを備えたステンレス製のカバー16を被せて、前記フランジ99fに前記励磁マグネット15の基部が載置されると共に該フランジ同士99f、11fを利用することによって前記スピーカハウジング12に取り付けられたものである。
このようにすると、このモータMは、取り付けが容易で、電磁音響変換器の励磁マグネットの磁束を受ける中央磁極として機能するが、励磁マグネットの漏洩磁界はモータ天井部が非磁性となっているので、モータ側マグネット4への影響が少なくなる。
【実施例4】
【0015】
図7は、ステータの別の変形例で、同一部材は同一符号を付してその説明は省略する。 ヨークブラケット10は非磁性の第2ブラケット111に添設され、軸2が軸支承部111aに外方からレーザ溶接される。この第2ブラケット111と前記ケース99とでハウジングHHを構成し、この第2のブラケット111の外周111fが前記ケース99より外方に延設されて前記ケース99のフランジ99fと重畳され、ディテントトルク発生部10bは、先端が第2ブラケット111に位置決めガイドとしてはめ込まれ、半径方向外方は前記ハウジングから機械的にはなされることによって磁気的に隔離されるようになっている。
このようにすれば、電磁音響変換器の励磁マグネットから大きな漏洩磁界があっても、モータ側のディテントトルク発生部10bには影響が出なくなる。
【産業上の利用可能性】
【0016】
この発明の軸方向空隙型ブラシレスモータは、軸固定型に限らず、軸をロータに固定し、ステータ側に軸受を設けたものでもよく、振動モータに限らず、軸回転型にして出力軸のある通常回転型モータにも、また、ロータヨークの上面にピニオンを一体化することによってギヤアクチュエータにも適用できる。
この発明は、その技術的思想、特徴から逸脱することなく、他のいろいろな実施の形態をとることができる。そのため、前述の実施の形態は単なる例示に過ぎず限定的に解釈してはならない。この発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には拘束されない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明の軸方向空隙型ブラシレスモータの要部断面図である。(実施例1)
【図2】同モータのステータを構成する主要部材の平面図である。
【図3】図2のステータによる同モータの回転動作説明図である。
【図4】同モータのステータの変形例の平面図である。(実施例2)
【図5】図4のステータによる同モータの回転動作説明図である。
【図6】これらのモータを中央磁極として使用した電磁音響変換器の要部断面図である。(実施例3)
【図7】同モータの別の変形例の要部断面図である。(実施例4)
【符号の説明】
【0018】
1、10、11 ヨークブラケット
111 非磁性の第2のブラケット
1b、10b ディテントトルク発生部
2 軸
3 ステータベース
ST ステータ
U 紫外線硬化型接着剤
5、55 空心電機子コイル
6 ロータヨーク
R 偏心ロータ
D 駆動回路部材
HS ホールセンサ
4 軸方向空隙型マグネット
7 鍔付き焼結含油軸受
9、99 ケース
12 樹脂ハウジング
13 可動ボイスコイル
14 振動薄板
15 励磁マグネット
16 カバー
W 偏心ウエイト
SP 電磁音響変換器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性板からなるヨークブラケットが備えられ、このヨークブラケットはさらに中央に配された軸支承部と、半径方向の外方に配された少なくとも2個のディテントトルク発生部と、前記ヨークブラケットに印刷配線板からなるステータベースが添設され、このステータベース上に組み合わせるロータのマグネットの磁極の数を(2n)個(nは2以上の整数)としたとき、前記ステータベース上に固着され、単相結線された3個以上の空心電機子コイルと、この空心電機子コイルとそれぞれ平面視重畳しないように前記ステータベースに配された駆動回路部材と、この駆動回路部材に入力する給電端子部が前記ステータベースと一体に半径方向側方に備えられたステータと、前記ロータは複数個の磁極を有する軸方向空隙型マグネットと、該マグネットを保持するロータヨークとが備えられ、軸を介してステータに回転自在に装着され、ケースと前記ブラケットとからなるハウジングに格納された軸方向空隙型ブラシレスモータ。
【請求項2】
前記ヨークブラケットは0.3mm以下で厚みがあり、前記ディテントトルク発生部はこの磁性板から前記空心電機子コイル内部で該コイルの中心から配置開角15°以上離れた位置で、ステータベースを介して該コイルの上面を超えない範囲で上方に突き出され、前記空心電機子コイルは配置開角90°で3個偏って配され、組み合わせるロータのマグネットは4極からなる請求項1に記載の軸方向空隙型ブラシレスモータ。
【請求項3】
前記ヨークブラケットは0.3mm以下で厚みがあり、前記ディテントトルク発生部はこの磁性板から前記空心電機子コイル内部で該コイルの中心から配置開角10°以上離れた位置でステータベースを介して該コイルの上面を超えない範囲で上方に突き出され、前記空心電機子コイルは配置開角60°で4個偏って配され、組み合わせるロータのマグネットは6極からなる請求項1に記載の軸方向空隙型ブラシレスモータ。
【請求項4】
前記ヨークブラケットは磁性あるいは弱磁性ステンレス材からなり、前記軸の一端が前記軸支承部に固着されると共に他端がケースに固定され、前記ロータは中心に軸受が固着され、該軸受下端が少なくとも3枚のスラストワッシャを介して軸支承部に摺接されている請求項2又は3に記載の軸方向空隙型ブラシレスモータ。
【請求項5】
前記ロータは前記ロータケースに少なくとも径方向外周に偏心ウエイトが固着されて振動モータとして機能している請求項1〜5のいずれか1項に記載の軸方向空隙型ブラシレスモータ。
【請求項6】
請求項5に記載の軸方向空隙型該モータはスピーカハウジングの中央に配されて中央磁極として機能するもので、該モータの径方向外周に空隙を介して臨ませたリング状の可動ボイスコイルと、該ボイスコイルの一端が配着され、外周が前記スピーカハウジングに配着された振動薄板と、該可動コイルの外周に空隙を介して前記ハウジングに配されたリング状の励磁マグネットとが備えられた電磁音響変換器であって、該モータのハウジングは一部が下方で径方向にフランジとして延設され、該フランジに前記励磁マグネットの基部が載置されると共に該フランジを利用することによって前記スピーカハウジングに取り付けられた電磁音響変換器。
【請求項7】
前記ディテントトルク発生部は非磁性の第2ブラケットに添設され、この第2ブラケットと前記ケースとでハウジングを構成し、この第2のブラケットの外周が前記ケースより外方に延設されて前記ケースのフランジと重畳され、前記ディテントトルク発生部は前記ハウジングから磁気的に隔離されている請求項8に記載の電磁音響変換器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−288001(P2006−288001A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−100983(P2005−100983)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(000220125)東京パーツ工業株式会社 (122)
【Fターム(参考)】