説明

載置装置

【課題】載置体上に載置される被処理体を冷却する冷却機構の省スペース化及び低コスト化を実現することができる載置装置を提供する。
【解決手段】本発明の載置装置10は、ウエハWの電気的特性検査を行うためにウエハWを載置するウエハチャック11と、ウエハチャック11を介してウエハWを冷却する冷却機構12と、を備え、冷却機構12は、ウエハチャック11の下面に設けられた熱交換器121と、熱交換器121の熱媒体121Aから吸熱する吸熱部122Aを有する冷却装置122と、を備え、冷却装置122は吸熱部122Aを介して熱交換器121に固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ等の被処理体を低温下で処理する際に、被処理体を所定の温度に冷却する冷却機構を備えた載置装置に関し、更に詳しくは、冷却機構を簡素化して低コスト化することができる載置装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の載置装置は、半導体製造分野では種々の処理装置に用いられている。ここでは半導体ウエハの電気的特性検査を行う検査装置に用いられる載置装置を例に挙げて説明する。
【0003】
従来の検査装置Eは、例えば図4に示すように、半導体ウエハWを搬送するローダ室Lと、ローダ室Lから搬送された半導体ウエハWの電気的特性検査を行うプローバ室Pと、制御装置(図示せず)を備え、制御装置の制御下で、半導体ウエハWをローダ室Lからプローバ室Pへ搬送し、プローバ室P内で半導体ウエハWの電気的特性検査を行った後、半導体ウエハWを元に戻すように構成されている。
【0004】
プローバ室Pは、図4に示すように、半導体ウエハWを載置し且つ温度調節可能なウエハチャック1と、ウエハチャック1をX、Y方向に移動させるXYテーブル2と、このXYテーブル2を介して移動するウエハチャック1の上方に配置されたプローブカード3と、プローブカード3の複数のプローブ3Aとウエハチャック1上の半導体ウエハWの複数の電極パッドを正確に位置合わせするアライメント機構4とを備えている。
【0005】
また、図4に示すようにプローバ室Pのヘッドプレート5にはテスタのテストヘッドTが旋回可能に配設され、テストヘッドTとプローブカード3はパフォーマンスボード(図示せず)を介して電気的に接続されている。そして、ウエハチャック1上の半導体ウエハWを例えば低温領域から高温領域の間で半導体ウエハWの検査温度を設定し、テスタからの信号をテストヘッドTを介してプローブ3Aへ送信し、半導体ウエハWの電気的特性検査を行う。
【0006】
半導体ウエハWの低温検査をする場合には、一般的に図5に示すようにウエハチャック1に連結された冷却装置6によって冷却液を冷却し、その冷却液をウエハチャック1内の冷媒通路を介して循環させて半導体ウエハWを例えば−数10℃の低温領域まで冷却する。冷却装置6としては、例えば本出願人が特許文献1において提案した冷却加熱装置がある。この冷却加熱装置6は、例えば図5に示すように、冷却液を溜める冷却液タンク61と、ウエハチャック1と冷却液タンク61との間で冷却液が第1のポンプ62Aを介して循環する第1の冷却液循環路62と、冷却液タンク61の冷却液が第2のポンプ63Aを介して循環する第2の冷却液循環路63と、冷却液タンク61内の冷却液の温度を検出する温度センサ61Aと、温度センサ61Aの検出値に基づいて作動する温度調節器64と、温度調節器64からの信号に基づいて作動する熱機関駆動用インバータ(以下、単に「インバータ」と称す。)65と、インバータ65からの信号に基づいて駆動するスターリング熱機関66(図2参照)と、を備え、スターリング熱機関66によって第2の冷却液循環路63を通る冷却液を加熱または冷却するように構成されている。
【0007】
冷却加熱装置6を用いて冷却液を冷却する場合には、冷却液タンク61内の冷却液が第1のポンプ62Aの働きで第1の冷却液循環路62とウエハチャック1の間を循環してウエハチャック1を冷却する。この間に冷却液タンク61に戻った冷却液の温度が上昇する。温度センサ61Aが冷却液タンク61内の冷却液の温度を検出し、検出信号を温度調節器64に送信する。温度調節器64では予め設定された設定温度と検出温度とを比較し、その温度差に基づいてインバータ65を駆動させる。インバータ65は、温度調節器64からの指令信号に基づいて所定の周波数でスターリング熱機関66を駆動する。スターリング熱機関66は、第2のポンプ63Aの働きで第2の冷却液循環路63を循環する冷却液を熱交換器67において冷却する。このように図5に示す冷却加熱装置6は、弁類を使用せず配管構造が簡素化されているため、故障が少なく消費電力を削減できるなどの利点がある。
【0008】
【特許文献1】特開2006−060361
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、図5に示すウエハチャック1の冷却加熱装置6を用いる載置装置の場合には、冷却液タンク61、第1、第2の冷却液循環路62、63、第1、第2のポンプ62A、63A及びスターリング熱機関66等の設置スペースが必要となり、載置装置に用いる冷却装置としては省スペース化に問題があった。
【0010】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、載置体上に載置される半導体ウエハ等の被処理体を冷却する冷却機構の省スペース化及び低コスト化を実現することができる載置装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の請求項1に記載の載置装置は、被処理体の電気的特性検査を行うために上記被処理体を載置する載置体と、上記載置体を介して上記被処理体を冷却する冷却機構と、を備え、上記冷却機構は、上記載置体の下面に設けられた熱交換器と、上記熱交換器の熱媒体から吸熱する吸熱部を有する冷却装置と、を備え、上記冷却装置は上記吸熱部を介して上記熱交換器に固定されていることを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明の請求項2に記載の載置装置は、請求項1に記載の発明において、上記冷却装置がスターリングクーラーとして構成されていることを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明の請求項3に記載の載置熱装置は、請求項1または請求項2に記載の発明において、上記熱媒体が金属によって形成されていることを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明の請求項4に記載の載置装置は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の発明において、上記載置体を外周縁部で支持する支持体と、この支持体を複数箇所で昇降させる昇降機構と、を備えたことを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明の請求項5に記載の載置装置は、請求項4に記載の発明において、上記昇降機構は、シリンダ機構として構成されていることを特徴とするものである。
【0016】
また、本発明の請求項6に記載の載置装置は、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の発明において、被処理体が電気的特性検査を行う被検査体であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、載置体上に載置される被処理体を冷却する冷却機構の省スペース化及び低コスト化を実現することができる載置装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の載置装置の一実施形態を示す断面図である。
【図2】図1に示す載置装置に適用される冷却装置を示す模式図である。
【図3】本発明の載置装置の他の実施形態を示す断面図である。
【図4】従来の載置装置を備えた検査装置の内部構造を示す図である。
【図5】図4に示す検査装置に用いられる載置装置の一例を示す構成図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図1〜図3に示す実施形態に基づいて本発明を説明する。
【0020】
本実施形態の載置装置10は、例えば図1に示すように、半導体ウエハWを載置する載置体(ウエハチャック)11と、このウエハチャック11を介して半導体ウエハWを冷却する冷却機構12と、ウエハチャック11を外周縁で支持する支持体13と、支持体13を基台14上で昇降可能に支持する昇降機構15と、を備え、例えば半導体ウエハWの電気的特性検査を行う検査装置に適用するように構成されている。
【0021】
ウエハチャック11の上方にはプローブカード20が設けられている。このプローブカード20は、カードホルダ20Aを介して検査装置のプローバ室の上面を形成するヘッドプレート30に装着されている。プローバ室内にはアライメント機構(図示せず)が設けられ、アライメント機構を介してウエハチャック11上の半導体ウエハWとプローブカード20のプローブ21とのアライメントが行われる。
【0022】
半導体ウエハWの低温検査を行う場合には、ウエハチャック11上の半導体ウエハWは冷却機構12によって例えば−数10℃の低温領域の所定の温度まで冷却される。半導体ウエハWが冷却される間に、ウエハチャック11上の半導体ウエハWは、アライメント機構を介して電極パッドとプローブカード20のプローブ21とのアライメントが行われ、その後、ウエハチャック11が昇降機構15を介して上昇し、半導体ウエハWの複数の電極パッドとプローブカード20の全てのプローブ21が一括して電気的に接触して半導体ウエハWに形成された複数のデバイスの電気的特性検査が所定の低温下で行われる。
【0023】
而して、冷却機構12は、図1に示すように、ウエハチャック11の下面中央部に設けられた熱交換器121と、熱交換器121の側面から内部へ挿入される吸熱部122Aを有する冷却装置122と、を備え、冷却装置122は吸熱部122Aを介して熱交換器121の側面に横向きに固定されている。熱交換器121は、熱媒体121Aと、熱媒体121Aを収納する筐体121Bと、を有している。熱媒体121Aは熱伝導性に優れた金属等によって形成され、筐体121Bは断熱材料によって形成されている。冷却装置122は、図1に示すように、吸熱部122Aと、吸熱部122Aの横方向に連設された駆動部122Bと、を有し、吸熱部122Aと駆動部122Bがハウジングを介して一体的化している。
【0024】
冷却装置122について図2を参照しながら更に説明する。吸熱部122Aは、図2に示すように、第1シリンダ122Cと、第1シリンダ122C内に往復移動可能に配置されたディスプレーサ122Dと、第1シリンダ122Cの外周面に配置された再生器122Eと、これらを収納する第1ハウジング部122Fと、を有し、第1ハウジング部122F内には作動ガスが封入されている。駆動部122Bは、図2に示すように、第1シリンダ122Cの真下に配置された第2シリンダ122Gと、第2シリンダ122G内に往復移動可能に配置されたピストン122Hと、ピストン122Hを往復移動させる駆動機構122Iと、これらを収納する第2ハウジング部122Jと、を有し、第2ハウジング部122J内でピストン122Hが駆動機構122Iを介して第2シリンダ122G内で往復移動するように構成されている。第1ハウジング部122Fと第2ハウジング部122Jは、ハウジングとして一体化している。そして、第1ハウジング部122Fと第2ハウジング部122Jは、第2シリンダ122Gの外側で区画されている。この冷却装置12では、第1シリンダ122Cと第2シリンダ122Gは同一外径及び同一内径に形成されている。尚、第1シリンダ122Cと第2シリンダ122Gは、一体化したもので、吸熱部122Aの下端部に連通孔が形成されたものであっても良い。
【0025】
図2に示すようにハウジング内では、駆動機構122Iが駆動し、ピストン122Hが第2シリンダ122Gに沿って往復移動すると共に、その上方のディスプレーサ122Dが第1シリンダ122C内でピストン122Hと一定の位相差で往復移動する間に作動ガスが再生器122Eを介して矢印で示す方向に往復し、ディスプレーサ122Dの上下に膨張空間及び圧縮空間をそれぞれ形成する。膨張空間では作動ガスの温度が低下して外部から吸熱し、圧縮空間では作動ガスの温度が上昇して外部へ放熱する。膨張空間では吸熱フィンを介して吸熱し、圧縮空間では排熱フィンを介して排熱するようになっている。
【0026】
従って、ディスプレーサとピストンが第1、第2シリンダ内で一定の位相差をもって往復移動する間に、作動ガスが圧縮と膨張を繰り返すスターリングサイクルが行われ、吸熱部122Aの先端部で吸熱が行われ、ディスプレーサ122Dとピストン122Hの間で排熱される。吸熱部122Aは、図1に示すように熱交換器121内に挿入されているため、吸熱部122Aが熱媒体121Aから吸熱し、熱媒体12Aを介してウエハチャック11を冷却し、もってウエハチャック11上の半導体ウエハWを冷却することができる。
【0027】
このように本実施形態で用いられる冷却機構12は、ウエハチャック11の下面に直付けされているため、従来のように冷却液を用いてウエハチャックを冷却する場合と比較して冷却液タンク、冷却液の循環配管、循環ポンプ等を省略し、それぞれの固有の設置スペースが不要になり、冷却機構12としての構造が格段に簡素化することができ、大幅なコスト削減を実現することができる。
【0028】
図1では冷却装置122を熱交換器121の側面に横方向に装着した場合について説明したが、図3に示すように冷却装置122を熱交換器121の下面から縦向きに装着することができる。この場合には冷却装置122とウエハチャック11の軸心が一致するため、載置装置10が水平方向へ移動する時にバランスよく移動することができる。また、冷却装置122は駆動部122Bが昇降ガイド16によって昇降可能に支持されている。
【0029】
次に、動作について説明する。まず、半導体ウエハWの電気的特性検査を行う場合には、予め載置装置10のウエハチャック11を冷却機構12によって冷却する。この際、冷却機構12では図2に示すように冷却装置122の駆動部122Bにおいて駆動機構122Iが駆動してピストン122Hを第2シリンダ122Gに従って往復移動する。ピストン122Hが往復移動すると、吸熱部122Aにおいてディスプレーサ122Dがピストン122Hと一定の位相差で第1シリンダ122Cに従って往復移動する。この時ディスプレーサ122Dの上側では作動ガスが膨張して吸熱フィンを介して熱交換器121の熱媒体121Aから吸熱する。一方、ディスプレーサ122Dとピストン122Hの間では作動ガスが圧縮して温度が上昇し排熱フィンを介してハウジング外へ排熱する。このスターリングサイクルを一定の周期で繰り返すことにより吸熱部122Aでは熱交換器121の熱媒体121Aから徐々に吸熱してウエハチャック11を冷却する。吸熱部122Aで吸熱された熱はディスプレーサ122Dとピストン122Hの間の圧縮空間から放熱フィンを介してハウジング外へ放熱される。
【0030】
このようにして冷却機構12を介して冷却する間に、ウエハチャック11上へプリアライメントされた半導体ウエハWを載置する。半導体ウエハWは、アライメント機構を介してプローブカード20に対してアライメントされる。その後、昇降機構15が駆動してウエハチャック11が所定の低温(例えば−50℃)に冷却されて上昇し、半導体ウエハWの電極パッドとプローブカード20の全てのプローブ21が電気的に接触し、所定の低温検査が行われる。半導体ウエハWの低温検査後には、半導体ウエハWはウエハチャック11から元の場所へ戻され、次の半導体ウエハWの低温検査が行われる。
【0031】
以上説明したように本実施形態によれば、載置装置10に付設された冷却機構12は、ウエハチャック11の下面に設けられた熱交換器121と、熱交換器121の熱媒体121Aから吸熱する吸熱部122Aを有する冷却装置122と、を備え、冷却装置122は吸熱部122Aを介して熱交換器121に固定されているため、従来のようにウエハチャック11を冷却する冷却液、冷却液タンク、冷却液の循環配管等を必要とせず、冷却機構12の構造が極めて簡素化されており、冷却機構12としての省スペース化を実現することができ、延いてはコスト削減を実現することができる。
【0032】
尚、本発明は上記実施形態に何等制限されるものではなく、必要に応じて適宜設計変更することができる。上記実施形態では、検査装置に用いる載置装置について説明したが、被処理体を冷却するする機能を備えた載置装置に広く適用することができる。また、熱交換器121の熱媒体121Aとして金属を用いているが、金属以外の物質を用いることもできる。また、冷却装置122として用いられるスターリングクーラーは、上記実施形態に制限されるものではなく、必要に応じてその構成要素を適宜設計変更することができる。
【符号の説明】
【0033】
10 載置装置
11 ウエハチャック(載置体)
12 冷却機構
13 支持体
15 昇降機構
121 熱交換器
121A 熱媒体
122 冷却装置
122A 吸熱部
W 半導体ウエハ(被処理体または被検査体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理体に所定の処理を施すために上記被処理体を載置する載置体と、上記載置体を介して上記被処理体を冷却する冷却機構と、を備え、上記冷却機構は、上記載置体の下面に設けられた熱交換器と、上記熱交換器の熱媒体から吸熱する吸熱部を有する冷却装置と、を備え、上記冷却装置は上記吸熱部を介して上記熱交換器に固定されていることを特徴とする載置装置。
【請求項2】
上記冷却装置がスターリングクーラーとして構成されていることを特徴とする請求項1に記載の載置装置。
【請求項3】
上記熱媒体が金属によって形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の載置装置。
【請求項4】
上記載置体を外周縁部で支持する支持体と、この支持体を複数箇所で昇降させる昇降機構と、を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の載置装置。
【請求項5】
上記昇降機構は、シリンダ機構として構成されていることを特徴とする請求項4に記載の載置装置。
【請求項6】
被処理体が電気的特性検査を行う被検査体であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の載置装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−178527(P2012−178527A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−41934(P2011−41934)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】