説明

透明パネル用高性能デフロスタ

本発明は、透明パネル及び透明パネルと一体に形成された導電性のヒータ・グリッドを有するウインドウ・アセンブリを提供する。導電性のヒータ・グリッドは、第1の群のグリッド線及び第2の群のグリッド線を有し、各群の両側の端部が第1及び第2のバスバーに接続されている。第2の群のグリッド線は、第1の群の隣接するグリッド線の間に間隔を置いて配置され、第2の群のグリッド線それ自体の幅が第1の群のグリッド線幅より狭くなっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の範囲内で性能を発揮し、プラスチック及びガラス製のパネル又はウインドウを霜取りする用途に適用可能にする導電性ヒータ・グリッドの設計に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリカーボネート(PC)及びポリメタクリル酸メチル(PMMA)などのプラスチック材料は、現在、中柱、前照灯、及びサンルーフなどの多くの自動車部品及び構成要素を製造するために使用されている。スタイリング/設計、軽量化、及び安全/警護の領域で多くの利点のため、自動車のリア・ウインドウ(バックライト)システムにおいては、これらのプラスチック材料より具体的には、プラスチック材料により、自動車製造業者は、成型されたプラスチック・システムに機能的な構成要素を組込むことによってリア・ウインドウの組立ての複雑度が緩和され、同時に、全体の設計及び形状の複雑度を増加させることによって競合他社の車両から自社の車両を差別化することができる。軽量の後部リフトゲート・モジュールを使用すると、自動車用の重心をより低くし(より優れた自動車の操縦性及び安全性)、燃料経済性を向上させることの両方を促進することができる。最後に、転倒事故に巻き込まれた場合に、プラスチック製ウインドウを有する車両内に乗員又は乗客を保持することに関するより優れた性質によって、安全性の向上がさらに認められた。
【0003】
プラスチック製ウインドウの実装に関連する多くの利点が存在するが、これらのプラスチック・モジュールは、広範囲で商用する前に対処する必要がある技術的な制約がないわけではない。材料特性に関する制約には、上昇した温度に長期に曝すことに対するプラスチックの安定性、及びプラスチックの熱伝導の限定された能力が含まれる。車両のリア・ウインドウ又はバックライトとして使用するために、プラスチック材料は、デフロスタ(霜取り装置)又は曇取りシステムの使用と両立可能である必要がある。この点において、プラスチック・バックライトは、リア・ガラス製ウインドウの霜取り又は曇取りに関して設定された性能基準に適合する必要がある。
【0004】
ガラスとプラスチックの間の材料特性における違いは、熱伝導を考慮すると極めて明確になる。ガラスの熱伝導性(T=22.39cal/cm−sec−℃)は、一般的なプラスチック(たとえば、ポリカーボネートに関するT=4.78cal/cm−sec−℃)によって示される熱伝導性よりも約4〜5倍大きい。したがって、ガラス製ウインドウに効果的に働くように設計されたヒータ・グリッド又はデフロスタは、プラスチック製ウインドウを霜取り又は曇取りすることに必ずしも効果的でない可能性がある。プラスチックの低い熱伝導性は、プラスチック製ウインドウの表面を横切るヒータ・グリッド線からの熱の放散を制限する可能性がある。したがって、同様の出力で、ガラス製ウインドウ上のヒータ・グリッドはウインドウの視界領域全体を霜取りすることが可能であり、一方でプラスチック製ウインドウ上の同じヒータ・グリッドは、ヒータ・グリッド線に近い視界領域の一部分を霜取りすることが可能であるに過ぎない。
【0005】
ガラスとプラスチックの間の克服すべき第2の違いは、印刷されたヒータ・グリッドによって示される導電性に関連している。比較的高い軟化温度(たとえばTsoften>>1000℃)によって示されるようなガラスの熱安定性は、金属ペーストの焼結を可能にして、ガラス製ウインドウの表面上に、実質的に無機質のフリット又は金属のワイヤを生み出す。ガラスの軟化温度は、プラスチック樹脂によって示されるガラス転移温度(たとえばポリカーボネートT=145℃)よりもかなり高い。したがって、プラスチック製ウインドウに関しては、金属ペーストは焼結できず、むしろプラスチック樹脂のTよりも低い温度で硬化される必要がある。
【0006】
金属ペーストは一般に、高分子の樹脂に分散された金属粒子からなり、その樹脂はそれが塗布されるプラスチックの表面に接着する。金属ペーストの硬化は、誘電性ポリマー全体にわたって分散された密接した間隔の金属分子からなる導電性ポリマー・マトリクスをもたらす。分散された導電性粒子の間の誘電性層(たとえばポリマー)の存在により、ガラス基材の上に焼結された同様な寸法のヒータ・グリッド線と比べて、硬化されたヒータ・グリッド線によって示される導電性の低下、又は抵抗の上昇を招く。こうした、ガラス上に印刷されたヒータ・グリッドとプラスチック製ウインドウ上に印刷されたヒータ・グリッドの間の導電性の違いにより、プラスチック製ウインドウによって示される霜取り特性が、ガラス製ウインドウと比べて劣ることとなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、ガラス製ウインドウに機能するものと同様にプラスチック製ウインドウを効果的に霜取りし、曇取りするヒータ・グリッドを設計することが当業界において必要になる。さらに、ガラス製ウインドウ上に印刷されたヒータ・グリッドによって示されるものと同様に、印刷された金属ペーストをプラスチック製ウインドウ上でデフロスタとして機能することができるようにするヒータ・グリッドを設計することが当業界において必要になる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ガラス製パネル上の従来例によるヒータ・グリッドの性能に匹敵する、視界領域の75%以上の霜取りが可能なプラスチック製パネル又はウインドウに関するヒータ・グリッドの設計を提供する。本発明は、見通しが良好なグリッド線の間の間隔をガラス製ウインドウ上のヒータ・グリッド用に現在使用されている25〜30mmの従来例によるものの間隔よりも大きくできるようにする。プラスチック製パネル又はウインドウ上での優れた性能により、本発明のヒータ・グリッドは、ガラス製パネル又はウインドウ上のヒータ・グリッド用のグリッド線間隔を増加させるのに使用することもできる。
【0009】
1つの実施例では、本発明は、透明パネル及び透明パネルと一体に形成された導電性のヒータ・グリッドを備えるウインドウ・アセンブリを提供する。導電性のヒータ・グリッドは、第1の群のグリッド線及び第2の群のグリッド線を有し、それぞれの第1の群のグリッド線と第2の群のグリッド線の両側の端部が第1及び第2のバスバーに接続されている。第2の群のグリッド線は、第1の群の隣接する2本のグリッド線の間に配置される。さらに、第2の群のグリッド線それ自体の幅は、第1の群のグリッド線におけるグリッド線幅より狭い。
【0010】
別の実施例では、本発明は、透明パネル、導電性のヒータ・グリッド、及び少なくとも1つの保護被覆を備えるウインドウ・アセンブリを提供する。導電性のヒータ・グリッドは、第1の群のグリッド線及び第2の群のグリッド線を有する透明パネルと一体に形成され、第2の群のグリッド線幅が第1の群のグリッド線幅より狭くなっている。保護被覆はさらに、風雨及び摩耗に対する保護を強化するために、層構造での複数の保護被覆を備えることができる。
【0011】
本発明のその他の目的及び利点は、下記の詳細な説明及び添付の特許請求の範囲を検討し、添付図を参照すれば明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
下記の好ましい実施例の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明又はその適用又は用途を限定する意図は全くない。
【0013】
発明者らは、金属のインクを使用してプラスチック製パネル上に形成され、それに続いて製造業者の推奨に従って硬化される従来例によるヒータ・グリッドが、ガラス製ウインドウ上のヒータ・グリッドの評価向けに設定された業界で標準化されたデフロスタ試験において十分に機能しないことを見い出した。自動車産業向けの試験プロトコルでは、30分の時間枠内で視界領域の75%又はそれより広い霜取りが要求される。プラスチック製パネルに形成されたデフロスタがガラス10に形成されたデフロスタと同様な性能を達成するためには、ヒータ・グリッドが約8分より短い間に視界領域の75%以上を霜取りする必要がある。ウインドウの霜取りを特徴を調べるのに利用される試験プロトコルは、当業界の技術者に周知であり、SAE(米国自動車技術者協会)標準J953(93年4月)、並びに、フォルクスワーゲン/アウディ規格#TL 820−45、又はフォード自動車会社規格#01.11−L−401などの多くの自動車製造業者の内部規格によって適切に記載されている。表1は、SAE標準と非常に似通った11のステップ・プロセスを示している。
【0014】
【表1】

【0015】
試験全体を通じてグリッド・パターンの温度は、定められたように周囲の環境条件の下で電圧を加えることによって70℃を超えてはならない(ステップa)。ウインドウは、低温のチャンバ内に置かれ、−18〜−20℃(ステップb)で熱平衡に達するようにすることができる。次いで、ウインドウは、設定された視界領域(すなわち、霜取りされる領域)の表面積の各平方メートル対する460ミリリットルの水を使用して平坦な又は水平位置で噴霧され、さらに1時間、温度を平衡化することが可能になる(ステップc及びd)。次いで、ウインドウは、垂直位置(ステップe)に配置され、低温チャンバの環境の温度は、風速と共に記録される(ステップf)。低温チャンバの温度及びチャンバ内側の風速は、試験全体を通して定期的に記録される。低温チャンバの最大風速は、空気ブロア・モジュールの導入時に134.1m(440ft)/分になるように設定された。このようなレベルの風速は、車両に装着された場合にバックライトの表面に受ける可能性のある潜在的な風冷により、許容可能なデフロスタ性能を設定するために好ましいものである。
【0016】
次いで、デフロスタは、ヒータ・グリッドに対してステップaで特定された電圧を加えることによって作動される(ステップg)。ヒータ・グリッドに加えられる電圧及び電流は、ヒータ・グリッドによって確立された温度と共に、時間ゼロにおいて(ステップh)、及び試験全体を通じて(ステップi)測定される。視界領域の写真が3分ごと、及び融解又は霜取り「ブレーク・スルー」の開始において撮影される(ステップi)。視界領域の100%の霜取りが完遂した後、又は40分が経過した後のいずれかで試験が終了される(ステップj)。試験中に時間の関数として霜取りされた視界領域の量は、合計の視界領域の百分率として定量的に判定される(ステップk)。ヒータ・グリッドが標準的な業界例による霜取りの必要条件に適合するためには、30分の時間枠内で設定された視界領域の75%を霜取りすることが可能である必要がある。ヒータ・グリッドが、ガラス製ウインドウ上の従来例によるヒータ・グリッドに匹敵するためには、設定された視界領域の75%より大きい領域が8分以内に霜取りされる必要がある。
【0017】
上記のものは、様々なヒータ・グリッド及びデフロスタの設計によって示される、性能の比較のための後述の実施例で利用される試験手順を特定する。霜取りに関する業界の標準的な性能基準、及びヒータ・グリッドが従来例によるデフロスタの能力に一致し、又はそれを超えるのに必要な性能レベルは、この手順によっても確立される。
【0018】
従来のヒータ・グリッド11は、図1に示されるように設計された。この単純な設計は、幅が1mm、長さが229mmの6本の平行なグリッド線13から構成された。互いに25mm離れて配置された全てのグリッド線13は、第1又は第2のバスバー(母線)14の一方から開始して他方で終端する。各バスバー14は、6mmの幅であった。2つの同一のヒータ・グリッド11が構築され、一方のグリッドはガラス製パネル12上に、他方のグリッドはポリカーボネート・パネル12上に置かれた。ガラス製パネル上に印刷された銀ペーストは、自動車産業で使用された従来の銀フリット材料であった。この導電性材料は、ガラスパネル12の上にスクリーン印刷され、続いて1100℃で3.5分間焼結され、それによって銀フリット材料をガラスの表面上に残した。有機質粘結剤を含む銀インク(マサチューセッツ州TyngsboroのCreative Materials社の#11809 2k Silver)がポリカーボネート基材12(ドイツ連邦共和国Leverkusenのバイエル株式会社のpolycarbonate Makrolon(登録商標)AI2647)の上にスクリーン印刷され、続いて100℃で30分間硬化された。その結果生じる、各デフロスタ上のグリッド線及びバスバーの厚さは、プロフィルメトリ(profilometry)を使用することによって10〜14マイクロメートル程度になることが判明した。最後に、ポリカーボネート・パネル上のヒータ・グリッドに、風雨及び摩耗に対する保護をもたらすようにシリコーン・ハード・コート・システム(silicone hard−coat system)(ニューヨーク州WaterfordのGEシリコーン社のSHP401/AS4000)の塗布が行なわれた。2つのデフロスタはそれぞれ、表1に説明された手順に従って試験され、最大風速が加えられた。
【0019】
周囲(23℃)の気温の下で試験された場合、それぞれガラス上及びポリカーボネート上に堆積されたヒータ・グリッドで、70℃の最大限度よりもわずかに低い熱平衡を設定するために、6.24ボルト及び14.45ボルトを加えることが必要であることが判明した。ガラス上のヒータ・グリッド11は、図1の軌跡(i)によって示されるように−20℃(気温)において8分より短い間に視界領域の75%を霜取りし、視界領域の95%より広い部分が約8分間で霜取りされることが観測された。試験条件の下で、このデフロスタによって示される最高温度は、15.5℃程度になることが観測された。
【0020】
これと比較して、ポリカーボネート上に堆積されたデフロスタ11は、図1の軌跡(ii)によって示されるように、−20℃(気温)において8分間で視界領域の21%を霜取りし、視界領域の30%未満が約30分間で霜取りされることが観測された。試験条件の下で、このデフロスタによって示される最高温度の測定値は、−8.0℃程度になることが判明した。
【0021】
この実施例は、一般的にガラス製ウインドウに使用されるような導電性材料も、従来のヒータ・グリッドの設計も、ポリカーボネートなどのプラスチック製ウインドウへの使用に関しては許容不可能であることを示す。図1に示されるように、ポリカーボネート・パネルを霜取りするための硬化された銀インクの能力は、同一の条件の下でガラス製パネルを霜取りするための焼結された銀フリットの能力よりもかなり低い。ガラス上に形成された同様のヒータ・グリッドの設計をシミュレートするためにプラスチック製パネル上に形成されたデフロスタの性能の目標は、約8分より短い間に視界領域の少なくとも75%をクリアするように設定されている。
【0022】
上記から理解されるように、ガラス製パネル又はウインドウ用に設計された従来のヒータ・グリッドは、ヒータ・グリッドがプラスチック製パネル又はウインドウ上に一体に形成された場合に、同様の性能基準の下で適切に機能しないであろう。性能に影響を与える、2つのパネル又はウインドウとそれに関連したデフロスタ・システムの基本的な物理的相違点は、(1)ガラスと比較してプラスチックの熱伝導性(T)がより低いこと、及び(2)比較的低い温度(すなわち、プラスチックのガラス転移温度Tより低い)で硬化されたプラスチック上の銀ペーストと比較して、高温で焼結されたガラス上の銀ペーストの導電性がより高いことである。ガラスの伝熱性は、cm−sec−℃当たり22.39カロリーであることが知られ、一方でプラスチックによって示される伝熱性は、はるかに低い(たとえばポリカーボネートのT=cm−sec−℃当たり4.78カロリー)。さらに、ガラスの軟化温度(たとえば、Tsoften>>1000℃)は、プラスチックによって示されるガラス転移温度(たとえばポリカーボネートのT=145℃)よりもかなり大きい。
【0023】
ガラス製ウインドウに一体に形成された従来のデフロスタは、プラスチック製ウインドウ上に一体に形成された同様のデフロスタと比較してガラスの表面全体にわたってより均一な表面温度を示すことが発明者らによって観測された。各ヒータ・グリッド線の間の熱分布、並びに各グリッド線の間の間隔は、熱画像撮影装置(thermal imaging equipment)(マサチューセッツ州、BostonのFLIR Systems社のThermaCAM(登録商標)S40)を使用して検査された。ガラス上のデフロスタの最大グリッド線温度は、約30℃に達することが判明し、一方でポリカーボネート上のデフロスタのグリッド線温度は、約44℃に達した。グリッド線温度と各グリッド線間のガラス基材の表面温度との差は約2〜3℃であることが判明した。グリッド線温度と各グリッド線間のポリカーボネート基材の表面温度との差は約10〜15℃であることが判明した。グリッド線とガラス表面の間の小さな温度差は、その間でガラスに関連する高い伝熱性のために生じる。同様にして、グリッド線とポリカーボネート表面の間の大きな温度差は、その間でポリカーボネートに関連する不十分又は低い伝熱性のために生じる。
【0024】
薄いワイヤのデフロスタが、ヒータ・グリッドを3mmと1mmのポリカーボネートのシートの間に封入することによって加工された。2つのバスバーからなるヒータ・グリッドは、互いに約450mm離れて配置され、両方が約400mmの長さと約12mmの幅を示す。各バスバーを接続するのは、約3〜4mm離れて配置された一連の薄いワイヤであった。それぞれの薄いワイヤは、450mmの長さを有し、直径が0.01から0.07mmの間であった。このヒータ・グリッドは、いくつかの市販のガラス製バックライトに使用される従来の薄いワイヤの設計を代表するものである。薄いワイヤのヒータ・グリッドは、上述の11ステップの手順に従って霜取りの能力に関して2度試験された。第1のテストは、外部表面としてウインドウの1mmの側面を使用し、一方で第2のテストは、外部表面としてウインドウの3mm厚の側面を使用した。デフロスタがウインドウの表面付近になる場合の状況をシミュレートして、ポリカーボネート・シートの外部表面からヒータ・グリッドが1mmである場合の霜取りテストが実行された。デフロスタが車両の内部表面又はその付近になる場合の状況をシミュレートして、ポリカーボネートの外部表面からヒータ・グリッドが3mmである場合の霜取りテストが実行された。ヒータ・グリッドがウインドウの外部表面付近である場合にのみ、ヒータ・グリッドが30分より短い間でポリカーボネートの表面を霜取りできることが判明し、試験プロトコルに対していくつかの修正が行なわれた。最初に、ヒータ・グリッドに合計で19ボルトが加えられる必要があり、試験中には風速を全く加えることができなかった。現在ガラス上にあるいくつかのヒータ・グリッドの設計に関して従来から見られた薄いワイヤからなるヒータ・グリッドは、業界の標準的な霜取りプロトコルに従って試験される場合にプラスチック製ウインドウ上のヒータ・グリッドとして効果的に機能しない。
【0025】
本発明は従来、業界で標準化された試験条件の下でガラスのパネル又はウインドウ向けに規定された条件内でプラスチック製パネル又はウインドウを霜取りできるようにするヒータ・グリッドの設計を提供する。さらに、本発明での好ましいヒータ・グリッドの設計によれば、ガラス10のヒータ・グリッドの性能をシミュレートする、すなわち、約8分より短い間で視界領域の少なくとも75%を霜取りすることができる。プラスチック製パネル又はウインドウ上での優れた性能により、本発明のヒータ・グリッドは、ガラス製パネル又はウインドウ上のヒータ・グリッド用のグリッド線間隔を増加させるのに使用することもできる。
【0026】
予想外であるが発明者らは、2つの群のグリッド線の組合せを有し、第1の群20が線幅(W)を有し、第2の群のグリッド線35がより狭い線幅(W)を有し、各線の端部が第1のバスバー25及び第2のバスバー30に接続されている、プラスチック製パネル又はウインドウ16上のヒータ・グリッド15がかなりの性能の向上を示すことを発見した。第2の群からの1本又は複数本の線35は、第1の群の隣接する線20の間に配置されている。パネル16の寸法に応じて、ヒータ・グリッド15は、第1の群に任意の数(n)のグリッド線20及び第2の群35に対応する数(n、n+1、n+2.n+3、など)を含むことができる。
【0027】
ヒータ・グリッド15の1つの実施例が図2a及び2bに示されている。この特定の実施例では、グリッド線の第1の群20及び第2の群35は、ウインドウ・モジュール45内のガラス製又はプラスチック製パネル16の幅方向に対して直交して(perpendicular to the width)、或いはウインドウ・モジュール45が車両に据付けられたとき地面に対して垂直に向けられている。各グリッド線20、35は、第1のバスバー25と第2のバスバー30の間で接続され、各バスバーが電気回路を完成するために少なくとも1つの正又は負の電気接続がされている。図示されるような実施例は、合計で第1の群に8本のグリッド線20と、第2の群に14本のグリッド線35を含む。第1の群の隣接するグリッド線20の間に位置する第2の群のグリッド線35の数は2本である。
【0028】
本発明の原理によるヒータ・グリッド15の第2の実施例が、図3に示されている。この特定の実施例では、グリッド線の第1の群20及び第2の群35は、ウインドウ・モジュール45内のガラス製又はプラスチック製パネル16の幅方向に対して平行に(parallel to the width)、或いはウインドウ・モジュール45が車両に据付けられたとき地面に対して水平に向けられている。図示のような実施例は、第1の群に9本のグリッド線20、及び第2の群に24本のグリッド線35を含む。第1の群の隣接するグリッド線35の間の第2の群のグリッド線35の数は3本である。
【0029】
本発明のヒータ・グリッドの性能が高められたことは、プラスチック製パネルの同じ表面積をカバーするように設計された3つのヒータ・グリッドの性能を比較することによって実証可能である。比較された3つのヒータ・グリッドは、25.4mm間隔の6本の平行線(幅1mm)を含む従来品による印刷されたヒータ・グリッド、薄い平行なワイヤ又はフィラメント(直径0.01〜0.07mm、4.0mm間隔)を含む従来例のヒータ・グリッド、並びに印刷されたグリッドと薄いワイヤ・グリッドとを組み合わせたヒータ・グリッドである。組合せによるヒータ・グリッドは、25.4mm間隔になった6本のグリッド線20(幅1mm)を有する。第2の群のグリッド線35は、各隣接するグリッド線20の間で約4.0mmの距離で均等に間隔をとって配置された5本の薄いワイヤ(直径0.01〜0.07mm)を有する。印刷された、及び薄いワイヤ・ヒータ・グリッドは両方とも、従来例によるヒータ・グリッドの設計を代表するものであり、一方、組み合わせたヒータ・グリッドは、本発明の1つの態様を代表するヒータ・グリッドの設計の1つの実施例である。
【0030】
図4に示されるように、同一のテスト条件の下で各ヒータ・グリッドに電圧を加えると、組合せによるヒータ・グリッドは、印刷されたヒータ・グリッド又は薄いワイヤのヒータ・グリッドよりも速い速度でポリカーボネートの表面の温度を上昇させ、より高い平衡温度に達することが判明した。組合せによるヒータ・グリッドは、ポリカーボネートの表面温度を2分間で−18℃から約5℃に上昇させ、平衡が14分後に15℃で確立された。これと比較して、印刷されたヒータ・グリッド及び薄いワイヤのヒータ・グリッドは、それぞれポリカーボネートの表面温度を2分間でわずかに約−4℃及び−2℃の温度に上昇させ、平衡温度がそれぞれ14分後に約4℃及び−1℃で確立された。この実施例は、幅(W)を有する第1の群のグリッド線、及びより短い幅(W)を有する第2の群のグリッド線を含むように設計された組合せによるヒータ・グリッドが、従来例によるヒータ・グリッドの設計を上まわるかなりの性能の向上を示すことを実証する。
【0031】
発明者らは、第1の群のグリッド線20の間の距離(D)、及び第2の群のグリッド線35の間の距離(D)が変更可能であることを発見した。図5に示されるヒータ・グリッド・テスト・パターン17は、ヒータ・グリッドが業界の標準的な霜取り試験プロトコルに従ってプラスチック製ウインドウ16を霜取りし、ガラス製ウインドウ上のヒータ・グリッドの霜取り能力に匹敵するために必要なグリッド線の間の最小間隔を測定するように設計された。各グリッド線20は、幅1.0mm、長さ200mm、及び高さ15μmであった。各グリッド線35は、およそ幅0.225mm、長さ200mm、及び高さ15μmであった。各バスバー25、30は、幅25mm、長さ439mm、厚さ又は高さが15μmであった。
【0032】
ヒータ・グリッド・テスト・パターン17は、銀インク(Methode Engineering社の31−3A)を使用してポリカーボネート・パネル(マサチューセッツ州PittsfieldのGE Plastics社のLexan(登録商標))の上にスクリーン印刷され、125℃で60分間硬化された。2つの(+)電気接続が一方のバスバー25に施され、2つの(−)電気接続が第2のバスバー30に施された。次いでヒータ・グリッドは、表1に説明された手法に従って試験された。
【0033】
発明者らは、ヒータ・グリッドが、ガラス製パネル上の従来のヒータ・グリッドの性能に匹敵する方式でプラスチック製パネル16(すなわちポリカーボネート)上で機能するためには、22mm以下のグリッド線20の間隔が好ましいことを発見した。間隔を22mmあけた単一の群のグリッド線20を備えるヒータ・グリッドは、図6に示されるように8分以下でグリッド線(たとえば視界領域)の間の領域の75%以上を霜取りすることが可能であることが判明した。線の間隔がさらに縮小される(たとえば<22mm)と、ヒータ・グリッドは、より短時間で視界領域を霜取りできることが判明した。線の間隔が約22mmよりも広いと、ヒータ・グリッドは、ガラス製ウインドウ又はパネル上の従来のデフロスタの性能を示す、上述の8分の時間枠で視界領域を霜取りできないことが判明した。
【0034】
発明者らはさらに、幅Wを有する第1の群のグリッド線20、及び幅Wを有する第2の群のグリッド線35を含む組み合わせたヒータ・グリッド15の設計が1つの群のグリッド線のみを含むヒータ・グリッドよりもはるかに速く視界領域の75%以上を霜取りできることを発見した。間隔を25mmあけた第1の群のグリッド線20を備えるヒータ・グリッド、及び第1の群のグリッド線の間に間隔を置いて配置された第2の群のグリッド線35は、図7に示されるように8分以下で視界領域の75%より広い領域を霜取りすることが判明した。この実施例での第2の群のグリッド線の本数は、1から3の範囲であった。これに比べて、間隔を25mmあけた単一の群のグリッド線20のみからなる上記に示したヒータ・グリッドの設計は、同じ視界領域を霜取りするのにかなり長い時間を要することが判明した。
【0035】
プラスチック製パネル上のヒータ・グリッドがガラス製パネル上の従来のヒータ・グリッドの性能に関して定めた霜取りの基準に適合するには、22mm以下の線の間隔が必要であることを上記の実施例は実証する。この実施例はさらに、グリッド線の単一の群のみからなる従来のヒータ・グリッドの設計と比較して、幅Wを有する第1の群のグリッド線20、及び幅Wを有する第2の群のグリッド線35からなるヒータ・グリッドの設計の予期しない卓越した性能を示している。
【0036】
下記にさらに論じられるように、発明者らは、幅の比率(W/W)が約0.5以下であることを前提として、第1の群のグリッド線20の幅、及び第2の群のグリッド線35の幅が変更可能であることを発見した。この範囲から外れたW/W比率は、ヒータ・グリッドの設計の美観を損なわせ、又は視界が遮られないことに関する業界で標準的な必要条件を満たさなくする可能性がある。第1の群のグリッド線20に関する幅(W)が約2.0mm以下、及び第2の群のグリッド線35に関する幅(W)が約0.3mm以下であることが好ましい。この好ましい状況では、W/Wの比率が約0.2以下である。第1の群及び第2の群のグリッド線は、グリッド線部分全体にわたって電気抵抗をより大きくするためにグリッド線の長さ全体にわたって厚さを変化させることもできる。バックライトに関する米連邦政府及び業界の基準を満たすために、少なくとも70%の遮られない視界が必要である。これは、第1の群のグリッド線20の間の遮られない視界領域(A)に対する、第2の群のグリッド線35のそれぞれの間(又は第1の群の隣接するグリッド線による)の遮られない視界領域(A)の比率(A/A)が0.7以上であることを前提として、本発明のヒータ・グリッドを備えるウインドウ又はパネルに関して達成可能である。発明者らは、美観的に許容できるヒータ・グリッドの設計が、性能を損なうことなく獲得可能であり、その場合、0.8以上のA/Aの比率が好ましく、0.9以上のA/Aの比率が特に好ましいことを発見した。
【0037】
ヒータ・グリッド全体の抵抗(RTotal)は、ウインドウ・アセンブリ45についてのデフロスタの設計に関する重要なパラメータである。ヒータ・グリッド全体の抵抗は、各個別のグリッド線の抵抗に依存する。ヒータ・グリッドの設計において全部のグリッド線に関する全体の抵抗は、方程式1に示されたキルヒホッフの法則を使用して決定される。ただしR及びRは、グリッド線の抵抗を示し、n及びnはそれぞれ、グリッド線20及び第2の群のグリッド線35の数を表す。第1及び第2の群のグリッド線20、35に対する異なる線幅は、ヒータ・グリッドの全体の抵抗に関して、グリッド線の群ごとに異なる全体的な影響を与える。12ボルト・バッテリーから電圧を加えることによって、ヒータ・グリッドが業界の標準的な霜取りテストに合格するために、第1の群のグリッド線20及び第2の群のグリッド線35からなるヒータ・グリッドの全体の抵抗(RTotal)は、約0.2オームより大きく、約2オームより小さいことが好ましい。好ましい範囲内で全体の抵抗を有するヒータ・グリッドに関して生じる出力は、20〜1000Watts/mであることが好ましく、プラスチック製パネル又はウインドウに対しては300〜800Watts/mが特に好ましい。この好ましい抵抗の範囲外のヒータ・グリッドは、効果的にグリッド線を加熱し、ウインドウを霜取りするために過剰な電圧又は電流を必要とし、或いはウインドウを霜取りするのに必要な大きさの熱を発生させることが完全に不可能である可能性がある。
【0038】
【数1】

【0039】
第1の群のグリッド線20の抵抗(R)及び第2の群のグリッド線35の抵抗(R)は、線の長さ(L)、幅(W)、高さ(H)、及び導電性材料に対する電気抵抗率(Q)によって記述できる。この関係は、第2の群のグリッド線35の間の抵抗(R)と、第1の群のグリッド線20の抵抗(R)との間の比率を示す方程式2でより詳細に説明される。導電性の材料の電気抵抗率(Q)は、面積(表面)抵抗率、又は体積(バルク)抵抗率として表されることができる。面積抵抗率は、一定の厚さ(たとえば25.4μm又は1mil)を有する薄膜として印刷された導電体固有の特性である。面積抵抗率は一般に、導電性の印刷された表面の両端の間を流れる電流に関する、単位幅当たりの表面電流に対する単位長さ当たりの電圧降下の比率として定義できる。実際には、面積抵抗率は、正方形の2つの対辺の間の抵抗を表す。面積抵抗率の測定値は、正方形の寸法とは独立であるので、通常、オーム・パー・スクエア(ohms per square)(Ω/sq)で表わされる。ただしスクエアは無次元単位である。
【0040】
【数2】

【0041】
導電体の特定のバルク又は体積抵抗率は、前述した表面又は面積抵抗率とは異なる。導電性材料に関する体積抵抗率は、材料を通過する単位面積当たりの電流の大きさに対する単位厚さ当たりの電圧降下の比率として定義される。オーム−センチメートル(Ω−cm)で表される体積抵抗率は、材料のバルクを通して材料がどれほど容易に電気を伝えるかを示す。体積抵抗率から表面抵抗率への換算は、導体の厚さで体積抵抗率を割ることによって計算することができる。
【0042】
本発明のデフロスタ15は、第2の群のグリッド線35の表面又は体積抵抗率(Q)が第1の群のグリッド線20の表面又は体積抵抗率よりも小さい、それに等しい、又はそれより大きい場合に構築することができる。発明者らは、第2の群のグリッド線35の面又は体積抵抗率(Q)が第1の群のグリッド線20の表面又は体積抵抗率(Q)以下であることが好ましいことを発見した。第1及び第2の群の両方のグリッド線20、35は、それぞれスクエア当たり約0.1オーム又は約0.0001オーム−cm以下のどのような面又は体積抵抗率のものであってもよい。
【0043】
>Qである場合、第1の群のグリッド線20の抵抗(R)に対する第2の群のグリッド線35の抵抗(R)の好ましい比率は、約1より小さい。Q=Qである場合、第1の群のグリッド線20の抵抗(R)に対する第2の群のグリッド線35の抵抗(R)の好ましい比率は、約15より小さい。これらの好ましい状況は、第1の群のグリッド線20及び第2の群のグリッド線35がどちらも同じ材料からなり、又は第2の群のグリッド線35が第1の群のグリッド線よりも高い伝導率を有する材料からなる場合に起こる。この状況(Q1>Q2)の1つの例が、印刷された金属ペーストが第1の群のグリッド線20の形成に使用され、薄い金属ワイヤが第2の群のグリッド線35の形成に使用される場合に観測される。
【0044】
第1の群のグリッド線20、又は第2の群のグリッド線35は、当分野の技術者に周知の導電性のペースト、インク、塗料、又はフィルム、並びに任意の導電性ワイヤ又はフィラメントを含む任意の導電性材料又は要素から形成できる。導電性の要素がワイヤ又はフィラメントである場合、ワイヤはそれには限定されないが、モリブデン−タングステン、銅、ステンレス鋼、銀、ニッケル、マグネシウム、又はアルミニウムなどの金属又は合金、並びに同様のものの混合物及び合金からなることが好ましい。導電性の要素がペースト、インク、又は塗料である場合、それらがポリマー・マトリクス(polymeric matrix)に分散された導電性の粒子、フレーク、又は粉体からなることが好ましい。このポリマー・マトリクスは、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、又は同様のものの混合物及びコポリマーであることが好ましい。導電性要素がフィルムである場合、それらがとりわけインジウム、スズ、又は亜鉛などの無機質の要素を備えることが好ましい。無機質の要素に加えて、導電性のフィルムはとりわけ、酸素又は炭素などのいくつかの有機質の要素を備えることができる。導電性のフィルムのいくつかの例には、銀、インジウム・スズ酸化物、及びドープした酸化亜鉛が含まれる。
【0045】
ペースト、インク、又は塗料に存在する導電体粒子、フレーク、又は粉体は、それには限定されないが、銀、銅、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、スズ、又は同様のものの混合物及び合金、並びに金属のダイカルコゲナイドなどの任意の金属化合物を含む金属からなることができる。これらの導電体の粒子、フレーク、又は粉体は、ポリアニリン、非晶質炭素、及びカーボン−グラファイトなどの当分野の技術者に周知の任意の導電体有機物質であることもできる。粒子、フレーク、又は粉体のいずれの粒径も変化する可能性があるが、約40μmより小さい直径が好ましく、約1μmより小さい直径が特に好ましい。導電体ペースト、インク、又は塗料の分散媒(carrier medium)として作用するいずれの溶媒も、有機樹脂に対して溶解性をもたらす任意の有機ビヒクル(organic vehicle)の混合物であることができる。金属ペースト、インク、塗料の例には、ノースカロライナ州Research Triangle ParkのDuPont Electronic Materials社(5000 Membrane Switch、5029 Conductor Composition、5021 Silver Conductor、及び5096 Silver Conductor)、ミズーリ州Port HuronのAcheson Colloids社(PF−007及びElectrodag SP−405)、イリノイ州ChicagoのMethode Engineering社(31−1A Silver Composition、31−3A Silver Composition)、マサチューセッツ州TyngsboroのCreative Materials Inc.社(118−029 2k Silver)、及びカリフォルニア州AtascaderoのAdvanced Conductive Materials社(PTF−12)から市販されている、銀充填合成物(silver−filled compositions)が含まれ、5000 Membrane Switch(DuPont社)、31− 3A Silver Composition(Methode社)、及び118−029 2k Silver(Creative Materials社)が、シリコーン・ハード・コート(ニューヨーク州WaterfordのGEシリコーン社のSHP401/AS4000)との融和性から好ましい。
【0046】
ヒータ・グリッドがその上に一体に形成されたウインドウ基材は、熱可塑性ポリマー樹脂、ガラス酸化物、又はそれらの混合物又は組合せからなる任意の透明パネル16とすることができる。本発明に使用するのに適した熱可塑性樹脂には、それには限定されないが、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、及びポリスルホン樹脂、並びにそれらのコポリマー及び混合物が含まれる。本発明に使用するのに適したガラス酸化物の例には、SiO、ソーダライム、アルミノケイ酸塩、B−P、FE1−X、NaO−SiO、PbO−SiO、SiO−B、及びSiO−Pなどの任意のタイプのガラスを含めることができる。透明パネルは、成型、熱成形、又は押し出し成形などの当分野の技術者に周知の任意の技術を使用することによってウインドウに形成できる。
【0047】
第1の群のグリッド線20及び第2の群のグリッド線35は、当分野の技術者には周知の、基材の上にヒータ・グリッドを配置する任意の方法を使用することによって透明パネルと一体に成形できる。たとえば、導電性のペースト、インク又は塗料からなるグリッド線が、それには限定されないがストリーミング(たとえば、ミネソタ州MinneapolisのPrecisionFlo(登録商標)、Graco Inc社)技術、ジェッティング技術(jetting technology)、ドリップ・アンド・ドラッグ(drip & drag)システム、フロー・スルー・フェルト(flow−through−felt)・アプリケータ、及び手動又は自動化フロー・ディスペンス・ヘッド(flow dispense heads)を含む、スクリーン印刷技術、インク・ジェット・ヘッド、マイクロ・スプレー・アプリケータ(micro−spray applicators)、及び高圧接着剤塗布器を使用することによって基材に塗布できる。金属ワイヤ又はフィラメントを、基材の表面に縫い付け、又は貼合わせ用接着剤を使用して表面に接着されるような技術によって塗布できる。導電体フィルムを、とりわけ物理的堆積、化学蒸着、スパッタリング、反応性スパッタリング、及びプラズマ促進化学蒸着など、多くの技術によって堆積可能である。導電体のペースト、インク、又は塗料を、任意の周知の熱反応、触媒反応、又は放射線(たとえばUV又は電子ビーム(e−beam))硬化機構によって基材と一体に硬化できる。
【0048】
第1の群のグリッド線20及び第2の群のグリッド線35は、とりわけ湾曲、真直ぐ、又はジグザグ、並びに正弦曲線の設計であることができる。グリッド線20、35は、ウインドウの寸法及び幾何学的形状により、互いに平衡とし、又はわずかに斜めとし、先細りとし、又は非対称とすることができる。ヒータ・グリッド線20、35は、パネル又はウインドウ16の上にウインドウの幅方向と平行に(たとえば水平に)、又はウインドウの幅方向に対して直交して(たとえば垂直に)配置できる。ウインドウの寸法に応じて、ヒータ・グリッド15は、第1及び第2の両方の群においてグリッド線20、35の長さを縮小するために、3つ以上のバスバー25、30を含むことができる。グリッド線20、35は、ウインドウ16の内側の表面の上、ウインドウ16の外側の表面の上、又はウインドウ16の外表面若しくは内表面の付近に配置できる。
【0049】
ウインドウ16の内側表面上に一体に配置されたヒータ・グリッド15は、ウインドウ16の表面と直接に接触して配置され、又は車体及び装備品の組み立て中に遭遇する不具合又は許容誤差の違いを隠し、ヒータ・グリッド15の設計に使用されるバスバー25、30の存在を視覚的に隠すための装飾用のフェード・アウト(fade−out)として、ウインドウ16の表面に塗布される、インク又はセラミックのフリットと接触して配置することができる。同様にして、ウインドウ16の外側表面上に一体に配置されたヒータ・グリッドは、ウインドウ16の表面と接触できる。この場合、装飾的なインク又はセラミックのフリットが、車体及び装備品の構築中における不具合又は許容誤差の違いを隠すため、並びにバスバー25、30の存在を隠すために、バスバー25、30の頂部の上に配置できる。ウインドウ16の内側又は外側のヒータ・グリッド15は、続いて被覆又は被覆の層によって覆われることができ、その目的はウインドウ16を環境的な条件(たとえば風雨、紫外線など)又は摩耗媒体(abrasive media)(たとえば引っ掻き(scratches)、石片(stone chips)など)による劣化から保護するためである。或いは、ヒータ・グリッド15は、車両の内側に面する場合に保護被覆の上に配置することができ、又は車両の内側又は外側に面する場合に保護被覆の層の間に配置することができる。
【0050】
保護被覆には、それには限定されないが、とりわけシリコーン・ハード・コート、ポリウレタン被覆、アクリル被覆、及び「ガラス様」被覆が含まれる。「ガラス様」トップコートによって上塗り被覆されたアクリル・プライマ及びシリコーン・インターレイヤ、又はポリウレタン・インターレイヤからなる層状被覆システム(layered coating system)は、ヒータ・グリッド及び透明パネルの保護をさらに強化するために使用することもできる。例示の保護被覆には、アクリル・プライマ(ニューヨーク州 WaterfordのGEシリコーン社 SHP401)及びシリコーン・ハード・コート(GEシリコーン社 AS4000)、並びにプラズマ促進化学蒸着(PECVD)によって堆積された「ガラス様」フィルムSiOの化合物が含まれる。層状被覆システムの例には、プラスチック・ガラス用Exatec(登録商標)500及びExatec(登録商標)900として(ミシガン州Wixomの)Exatec LLCによって提供される、アクリル/シリコーン/「ガラス様」被覆システムがある。保護被覆は、浸漬コーティング、フロー・コーティング、スプレー・コーティング、プラズマ促進化学蒸着(PECVD)又は当分野の技術者に周知のその他の技術によって塗布される。
【0051】
保護被覆の層の間に一体に形成されたヒータ・グリッドは、それがウインドウの表面全体にわたって熱を均等に分布させる能力があるので好ましい方式である。本発明の1つの態様は、少なくとも1つの保護被覆の層の上に配置され、それに続いて、少なくとも1つの追加の保護被覆の層によって上塗り被覆されるヒータ・グリッドを含む。たとえば、導電体のヒータ・グリッドをシリコーン保護被覆(たとえば、GEシリコーン社のAS4000)の上に配置でき、続いてSiO「ガラス様」フィルムによって上塗り被覆される。
【0052】
ヒータ・グリッドとヒータ・グリッドがその上に塗布される材料の表面との間の接着は、この表面の表面処理又は酸化によって強化できる。表面処理として使用する目的で当分野の技術者に周知の技術には、それには限定されないが、炎イオン化(flame ionization)、コロナ放電、及び大気圧プラズマ酸化(atmospheric plasma oxidation)が含まれる。
【0053】
ヒータ・グリッド15は、それには限定されないが、フィルム・インサート成形、絵付け成形、及び積層を含む当分野の技術者に周知の任意の方法によって、ウインドウ16の外部表面付近に一体に配置できる。これらの方法は一般に、プラスチックなどの透明な材料の薄いシート又はフィルム、或いは第2の透明パネルに本発明のヒータ・グリッド15を塗布するものである。薄いプラスチック・フィルム又は第2の透明パネルは、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスルホン樹脂、及びポリビニル・ブチラール樹脂(PVB)、並びにそれらのコポリマー及び混合物からなる。
【0054】
透明のシート又はフィルムは、続いて熱成形されて、ウインドウ16の形状にすることができる。次いで熱成形されたシートは、型の中に置かれ、射出成形によってプラスチック溶融を受けて、プラスチック製パネル又はウインドウ16を形成することができる。フィルム・インサート成形、又は絵付け成形では、薄いフィルム及び溶融したプラスチックが共に一体に好ましく溶融接合される。薄いフィルム及び透明パネルは、ともに積層され、又は粘着的に接着されることもできる。ヒータ・グリッド15がその上に置かれるフラット・シート又はフィルムは、装飾的なインク・パターン(たとえば、フェード・アウトなど)、並びにその他の追加された機能を含むこともできる。
【0055】
透明パネル16、第1及び第2のバスバー25、30を有するヒータ・グリッド15、並びに少なくとも1つの保護被覆を備える、複数の層を有するウインドウ・モジュール45の好ましい層状構造のいくつかの例(a−f)が表2に概説されている。装飾及びその他の機能は、好ましくはパネル16上にグリッド15を配置する前、又は後で、(たとえば、ウインドウ・モジュール45の層状構造内のヒータ・グリッド15の上又は下に)透明パネル16上に加えることができる。表2a−dに説明された好ましい構造は、透明パネル16がプラスチックである場合に可能である、実現可能な層状構造を表す。表2の生成物の層状構造e及びfは透明パネル16がガラスである好ましい構造を表す。表2に説明された層状構造は、ウインドウが車両に装着されたときに対して、ウインドウの外側表面上(a及びc)、ウインドウの外側/内側表面付近(d及びf)、又はウインドウの内側表面上(a、b、c、及びe)にヒータ・グリッド15を有することが適している。
【0056】
【表2】

【0057】
下記の特定の実施例は、本発明を例示するために与えられたものであり、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。
【実施例1】
【0058】
図8に示されるヒータ・グリッド・テスト・パターン18は、業界で標準的な霜取り試験プロトコルに従ってプラスチック製ウインドウ16を霜取し、ガラス製ウインドウ上のヒータ・グリッドの霜取り能力に匹敵するように、幅Wを有する第1の群のグリッド線20のまに種々の間隔を設け、幅Wを有する種々の数の第2の群のグリッド線35を有する様々なヒータ・グリッドの設計の能力を評価するように構築された。合計で10の異なる組合せが、このテスト・パターンで測定された。各組合せを特定する全ての測定値は、表3に与えられる。より具体的には、このテスト・パターンは、第1の群のグリッド線20の間の30mm(a−c)、40mm(d−f)、50mm(g−j)の距離(D)、並びに、第1の群のグリッド線20の隣接するそれぞれの間の第2の群のグリッド線35内での1本のグリッド線(a)、2本のグリッド線(b−e,g)、3本のグリッド線(f及びh)、4本のグリッド線(i)、及び5本のグリッド線(j)の合計を測定した。第2の群のグリッド線35の間の距離は、約8mm(j)から約17mm(g)までの範囲にあった。正弦曲線のグリッド線(a,b,d)及び相対的に平行なグリッド線(c,e,g)も比較された。
【0059】
ヒータ・グリッド・テスト・パターンは、銀インク(Methode Engineering社の31−3A)を使用してポリカーボネート・パネル16(マサチューセッツ州PittsfieldのGE Plastics社のLexan(登録商標))の上にスクリーン印刷され、125℃で60分間硬化された。第1及び第2の両方の群の各グリッド線20、35は、長さが200mmであり、約15μmの厚さ(たとえば高さ)を有することが判明した。第1群のグリッド線20の幅(W)及び第2の群のグリッド線35の幅(W)は、それぞれ1.0mm及び200μmであった。2つの(+)電気接続が1つのバスバー25に施され、2つの(−)電気接続が第2のバスバー30に施された。ワイヤ端子をバスバーに接着するために、エポキシ銀充填接着剤(ニュー・ハンプシャー州LondonberryのConductive Compounds社のEP−600)を使用して電気接続が施された。バスバー25、30の両方は、長さ439mm、幅25mm、及び厚さ(高さ)約15μmであった。次いでヒータ・グリッド18は、表1に説明された手順に従って試験された。
【0060】
【表3】

【0061】
発明者らはさらに、幅Wを有する第1の群のグリッド線20、及び幅Wを有する第2の群のグリッド線35を含むヒータ・グリッドの設計が、ガラス製パネル上の従来のヒータ・グリッドの性能に匹敵する方式で視界領域の75%以上を霜取りできることを発見した。第1の群のグリッド線20及び第2の群のグリッド線35の全ての組合せ(a−j)は、9図に示されるように8分以下で視界領域の75%より広い領域を霜取りすることが判明した。この実施例で第2の群のグリッド線35の数は1から5の範囲であった。さらに、グリッド線の第2の群として使用される場合、正弦曲線又は湾曲したグリッド線は、直線のグリッド線からなる第2の群のグリッド線に関して観測されるものと同様な性能を示すことが判明した。
【0062】
この実施例においては、第1の群のグリッド線20の間の距離は変更可能であり、ガラス製ウインドウ上で従来のヒータ・グリッドに関して使用された25〜30mmの距離よりも大きくすることができることを明らかにしている。この実施例はさらに、第1の群の隣接するグリッド線20の間の第2の群のグリッド線35の数は1本又は複数であることができることを明らかにしている。
【0063】
この実施例はさらに、それぞれ異なる幅W及びWを有する、第1の群のグリッド線20及び第2の群のグリッド線35の組合せに対する異なる物理的及び電気的パラメータに関する好ましい範囲を明らかにしている。特に、この実施例は、W/Wの比率が0.5より少なくなる必要があり(約0.2より少ない比率が好ましい比率になり)、D/Dの比率が約2より大きくなる必要があり、A/Aの比率が0.7より大きくなる必要があり、約0.8より大きい比率が好ましく、0.9より大きい比率が特に好ましいことを明らかにしている。個々の線幅、W及びWは、それぞれ約2.0mm及び0.3mmより狭いことが好ましい。個々の距離、D及びDは、それぞれ約25mmより広く、約22mmより狭いことが好ましい。
【0064】
この実施例はさらに、第1の群のグリッド線及び第2の群のグリッド線からなる複数の組のグリッド線からなるヒータ・グリッドの全体の抵抗が、約0.2オームから2オームの範囲内にあることが好ましいことを明らかにしている。この実施例では、電気抵抗率の値Q及びQは、面積抵抗率に関して約0.1オーム/スクエア以下であり、体積抵抗率に関して0.0001オーム/cm以下である好ましい範囲内にある。さらに、この実施例は、第1の群のグリッド線におけるグリッド線の電気抵抗率が、第2の群のグリッド線におけるグリッド線の電気抵抗率に等しい場合(Q=Q)、R/Rの比率が約15より小さくなることが好ましいことを明らかにしている。
【実施例2】
【0065】
プラスチック製の自動車のバックライト用ヒータ・グリッド
8つの第1の群及び8つの第2の群のグリッド線を備えるヒータ・グリッドが、図3に示されるように自動車のバックライト用に設計された。グリッド線の第1の群及び第2の群におけるグリッド線はそれぞれ、1.25mmの幅(W)及び0.225mmの幅(W)であった。グリッド線の第2の群のそれぞれは、3本のグリッド線から構成された。第1の群のグリッド線の長さ(L)及び第2の群のグリッド線の長さ(L)は、両方とも約616mmであった。全てのグリッド線は、互いに相対的に平行であり、第1の群のグリッド線の間の距離(D)が約50mmであり、第2の群のグリッド線の間の距離(D)が約12.5mmである。第1の群のグリッド線の抵抗(R)及び第2の群のグリッド線の抵抗(R)はそれぞれ、12.5オーム及び69.5オームであった。(W/W)、(D/D)、(R/R)、及び(A/A)の比率はそれぞれ、0.18、4.0、5.56、及び0.956に定められた。
【0066】
ヒータ・グリッドは、銀インク(Methode Engineering社の31−3A)を使用してポリカーボネート・ウインドウ(マサチューセッツ州PittsfieldのGEPlastics社のLexan(登録商標))の上にスクリーン印刷され、125℃で60分間硬化された。ヒータ・グリッドは、ウインドウが車両に設置された場合、全ての組のグリッド線がウインドウの幅方向に対して平行であり、又は地面に対して水平であるようにポリカーボネート・ウインドウの上に配置された。第1の群及び第2の群の両方における各グリッド線は、約12.5μmの厚さ(たとえば高さ)を有することが判明した。2つのバスバーが第1の群及び第2の群の各グリッド線の端部を接続した。両方のバスバーは、長さ400mm、幅25mm、及び厚さ(高さ)約25μmであった。第1の群のグリッド線の面積抵抗率(Q)及び第2の群のグリッド線の面積抵抗率(Q)は、両方とも0.020オーム/スクエア程度であった。
【0067】
ヒータ・グリッド及びプラスチック製ウインドウは、ウインドウを自動車の車体に装着するのに必要な複雑な湾曲に熱成形された。このプロセスのステップでは、ポリカーボネート・パネルは、所望のウインドウの形状を有する型と接触するとき、真空下でポリマーのTgのわずかに上の温度に曝された。次いで、熱形成されたウインドウは、フロー・コーティング塗布プロセスに関する製造業者の仕様書に従って、アクリル・プライマ(ニューヨーク州WaterfordのGEシリコーン社のSHP401)及びシリコーン被覆(GEシリコーン社のAS4000)によって被覆された。最後に、摩擦に対するウインドウの耐性を強化させるために、「ガラス様」層(すなわちSiO)がプラズマ促進化学蒸着を使用してウインドウの表面の上に堆積される。次いで、プラスチック製パネルは、自動車の車体の開口に装着する必要があるバックライト又はウインドウの外形寸法に切り取られる。
【0068】
次いで、2つの(+)電気接続が1つのバスバーに施され、同様に2つの(−)電気接続が第2のバスバーにも施される。ワイヤ端子をバスバーに接着するために、エポキシ銀充填接着剤(ニュー・ハンプシャー州のConductive Compounds社のEP−600)を使用して電気接続が施された。次いでヒータ・グリッドは、表1に説明された手順に従って試験された。
【0069】
発明者らは、このヒータ・グリッドは、ガラス製ウインドウ上の従来のヒータ・グリッドの性能に匹敵する方式でフルサイズのバックライトの視界領域の75%より大きい範囲を霜取り可能であることを発見した。このヒータ・グリッドは、12ボルトの電圧がウインドウに加えられた場合に、視界領域の75%より大きい領域を6分以内に霜取りすることが判明した。デフロスタの電力出力は、(12ボルトで)321ワット/m、全体の抵抗(Roverall)が0.87オームになるように定められた。
【0070】
この実施例は、複数の第1の群及び第2の群のグリッド線を備えるヒータ・グリッドは、ガラス製ウインドウのヒータ・グリッドに関して期待されるものと同じ様式でプラスチック製ウインドウを霜取りすることができることを明らかにする。この実施例はさらに、ウインドウの霜取りが、本発明に関して説明された範囲内になるように定められた物理的及び電気的パラメータの両方を使用して行なわれたことを明らかにする。この実施例はさらに、グリッド線の第1及び第2の群を有するヒータ・グリッドを備えるウインドウを作製するための1つの実行可能なプロセスを明らかにする。
【0071】
当分野の技術者は、添付の特許請求の範囲に定められるような、本発明の範囲から逸脱せずに本発明の好ましい実施例に修正及び変更を行なうことができることを上記の説明から理解するであろう。当分野の技術者はさらに、好ましい実施例に記載された全ての測定値が様々な異なる試験方法によって得ることができる標準的な測定値であることを理解するであろう。実施例に記載されたテスト方法は、必要とされる各測定値を得るための1つの可能な方法を表すに過ぎない。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】(i)ガラス製パネル上に焼き付けられた銀ペースト、及び(ii)プラスチック製パネル上に硬化された銀インクによって形成された従来のヒータ・グリッドに関する、時間の関数として霜取りされた視界領域の百分率のプロットである。
【図2a】車両の内側から見た、ウインドウ・モジュールに配置されたガラス製又はプラスチック製パネル上で垂直に向けられたヒータ・グリッドを示す。
【図2b】車両の外側から見た、ウインドウ・モジュールに配置されたガラス製又はプラスチック製パネル上で垂直に向けられたヒータ・グリッドを示す。
【図3】車両の内側から見た、ウインドウ・モジュールでのガラス製又はプラスチック製パネル上で水平に向けられたヒータ・グリッドを示す。
【図4】従来の印刷されたヒータ・グリッドと、従来の薄いワイヤのヒータ・グリッドと、薄いワイヤ及び厚く印刷されたグリッド線を組み合わせたグリッドとによって示される温度を時間の関数として比較しているプロットである。
【図5】その間に様々な間隔を有する第1の組のグリッド線、及び第1の組のグリッド線と、グリッド線それ自体により狭い幅を有する第2の組のグリッド線とを組み合わせた(図の右側の)数個のパターンからなるヒータ・グリッドの試験設計の概略図である。
【図6】「ガラス様」の性能に関する範囲も定められる、様々な間隔レベルを有する第1の組のグリッド線を備える、図5に示されるヒータ・グリッドの試験設計の部分に関して、時間の関数として霜取りされる視界領域の百分率のプロットである。
【図7】第1の組のグリッド線及び第2の組のグリッド線の組合せを備える、図5に示されるヒータ・グリッドの試験設計の部分に関して、時間の関数として霜取りされる視界領域の百分率のプロットである。
【図8】様々な間隔レベルを有する第1及び第2の組のグリッド線の両方を備える、第1及び第2の組のグリッド線の様々な組合せからなるヒータ・グリッドの試験設計を示す図である。
【図9】図8に示されるヒータ・グリッドの試験設計に関する時間の関数として霜取りされた視界領域の百分率のプロットである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明パネルと、
前記透明パネルと一体に形成された導電性のヒータ・グリッドとを備え、前記ヒータ・グリッドが、第1の群のグリッド線及び第2の群のグリッド線を有し、前記第1の群のグリッド線及び前記第2の群のグリッド線の両端が、第1及び第2のバスバーに接続され、
前記第2の群の少なくとも1本のグリッド線が、前記第1の群の隣接するグリッド線の間に配置され、
前記第2の群の前記グリッド線の幅(W)が前記第1の群の前記グリッド線の幅(W)より狭くなっているウインドウ・アセンブリ。
【請求項2】
前記第1の群の前記グリッド線の前記幅(W)に対する前記第2の群の前記グリッド線の前記幅(W)の比率が、約0.5以下である、請求項1に記載のウインドウ・アセンブリ。
【請求項3】
前記第1の群の前記グリッド線の前記幅(W)に対する前記第2の群の前記グリッド線の前記幅(W)の比率が、約0.2以下である、請求項1に記載のウインドウ・アセンブリ。
【請求項4】
前記第2の群の前記グリッド線の前記幅(W)が約300μm以下である、請求項1に記載のウインドウ・アセンブリ。
【請求項5】
前記第1の群の前記グリッド線の前記幅(W)が約2.0mm以下である、請求項1に記載のウインドウ・アセンブリ。
【請求項6】
前記第2の群の隣接する前記グリッド線の間の距離(D)が、約20mmより狭くなっている、請求項1に記載のウインドウ・アセンブリ。
【請求項7】
前記第1の群の隣接する前記グリッド線の間の距離(D)が約25mmより大きい、請求項1に記載のウインドウ・アセンブリ。
【請求項8】
前記第2の群の隣接するグリッド線間の距離(D)に対する前記第1の群の前記グリッド線間の前記距離(D)の比率が2以上である、請求項7に記載のウインドウ・アセンブリ。
【請求項9】
前記第1の群の前記グリッド線間の透明領域(A)に対する前記第2の群の前記グリッド線間の透明領域(A)の比率が0.7以上である、請求項1に記載のウインドウ・アセンブリ。
【請求項10】
前記第1の群の前記グリッド線間の透明領域(A)に対する前記第2の群の前記グリッド線間の透明領域(A)の比率が0.8以上である、請求項9に記載のウインドウ・アセンブリ。
【請求項11】
前記第1の群の前記グリッド線間の透明領域(A)に対する前記第2の群の前記グリッド線間の透明領域(A)の比率が0.9以上である、請求項10に記載のウインドウ・アセンブリ。
【請求項12】
前記ヒータ・グリッドの全体の抵抗(RTotal)が約0.2オームから約2.0オームの範囲である、請求項1に記載のウインドウ・アセンブリ。
【請求項13】
前記ヒータ・グリッドの電力出力が約20から約1000ワット/平方メートルの範囲である、請求項1に記載のウインドウ・アセンブリ。
【請求項14】
前記電力出力が、約300から約800ワット/平方メートルの範囲である、請求項13に記載のウインドウ・アセンブリ。
【請求項15】
前記第1の群の前記グリッド線の電気抵抗率(Q)、及び前記第2の群の前記グリッド線の電気抵抗率(Q)が、表面抵抗率で0.1オーム/スクエア以下であり、体積抵抗率で0.0001オーム−cm以下である、請求項1に記載のウインドウ・アセンブリ。
【請求項16】
電気抵抗率(Q)が電気抵抗率(Q)より大きい、請求項15に記載のウインドウ・アセンブリ。
【請求項17】
前記第1の群の前記グリッド線の抵抗(R)に対する前記第2の群の前記グリッド線の抵抗(R)の比率が約1より小さい、請求項16に記載のウインドウ・アセンブリ。
【請求項18】
電気抵抗率(Q)が電気抵抗率(Q)にほぼ等しい、請求項15に記載のウインドウ・アセンブリ。
【請求項19】
前記第1の群の前記グリッド線の抵抗(R)の比率に対する前記第2の群の前記グリッド線の抵抗(R)の比率が約15より少ない、請求項18に記載のウインドウ・アセンブリ。
【請求項20】
前記第1の群及び前記第2の群の前記グリッド線が、導電性のペースト、インク、塗料、フィルム、ワイヤ、又はフィラメントのうちの1つの形式で塗布される材料を含む、請求項1に記載のウインドウ・アセンブリ。
【請求項21】
前記材料が、有機樹脂及び溶媒に分散された金属の粒子、フレーク、又は粉体のうちの1つを含む、請求項20に記載のウインドウ・アセンブリ。
【請求項22】
前記金属の粒子、フレーク、又は粉体が、銀、銅、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、スズ、金属のダイカルコゲナイド、又は同様のものの混合物及び合金を含む群のうちの1つである、請求項21に記載のウインドウ・アセンブリ。
【請求項23】
前記有機樹脂が、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、又は同様のものの混合物及びコポリマーを含む群のうちの1つである、請求項21に記載のウインドウ・アセンブリ。
【請求項24】
前記導電性ワイヤ又はフィラメントが、モリブデン−タングステン、銅、ステンレス鋼、銀、ニッケル、マグネシウム、アルミニウム、及びそれらの混合物及び合金を含む群のうちの1つから構成される、請求項20に記載のウインドウ・アセンブリ。
【請求項25】
前記導電性フィルムが、インジウム、スズ、及び亜鉛の群から選択される無機質の要素を含む、請求項15に記載のウインドウ・アセンブリ。
【請求項26】
前記導電性のフィルムが酸素、炭素、又はそれらの化合物と混合される無機質の要素を含む、請求項25に記載のウインドウ・アセンブリ。
【請求項27】
前記透明パネルがプラスチック製パネルである、請求項1に記載のウインドウ・アセンブリ。
【請求項28】
前記プラスチック製パネルが、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、又はポリスルホン樹脂、それらのコポリマー及び混合物の群から選択された材料で形成される、請求項27に記載のウインドウ・アセンブリ。
【請求項29】
前記透明パネルがガラス製パネルである、請求項1に記載のウインドウ・アセンブリ。
【請求項30】
前記ガラス製パネルが、SiO、ソーダライム、アルミノケイ酸塩、B−P、FE1−X、NaO−SiO、PbO−SiO、SiO−B、又はSiO−P、及びそれらの混合物の群から選択された1つから形成される、請求項29に記載のウインドウ・アセンブリ。
【請求項31】
前記第1の群の前記グリッド線及び前記第2の群の前記グリッド線が、湾曲、真直ぐ、ジグザグ、正弦曲線、先細り、又は非対称になった幾何学的形状を有する、請求項1に記載のウインドウ・アセンブリ。
【請求項32】
前記第1の群の前記グリッド線及び前記第2の群の前記グリッド線が、前記ウインドウ・アセンブリの幅方向に対して相対的に平行になっている、請求項1に記載のウインドウ・アセンブリ。
【請求項33】
前記第1の群の前記グリッド線及び前記第2の群の前記グリッド線が、前記ウインドウ・アセンブリの幅方向に対して垂直になっている、請求項1に記載のウインドウ・アセンブリ。
【請求項34】
風雨及び摩耗への耐性を強化させるために前記透明パネルの上に塗布される少なくとも1つの保護被覆をさらに備える、請求項1に記載のウインドウ・アセンブリ。
【請求項35】
前記保護被覆が複数の保護層を備える、請求項34に記載のウインドウ・アセンブリ。
【請求項36】
前記保護層が、「ガラス様」トップコートによって上塗り被覆されたアクリル・プライマ、シリコーン・インターレイヤ、及びポリウレタン・インターレイヤの群から選択される、請求項35に記載のウインドウ・アセンブリ。
【請求項37】
前記ヒータ・グリッドが前記保護被覆の層の間にある、請求項35に記載のウインドウ・アセンブリ。
【請求項38】
前記保護被覆の前記表面が、前記ヒータ・グリッドとの接着を向上させるために、炎イオン化、コロナ放電、又はプラズマ酸化から選択された1つを使用して処理される、請求項37に記載のウインドウ・アセンブリ。
【請求項39】
前記ヒータ・グリッドが前記保護被覆の上にある、請求項34に記載のウインドウ・アセンブリ。
【請求項40】
前記ヒータ・グリッドが、第1の透明パネルと一体になったプラスチック・フィルムの下に配置されている、請求項39に記載のウインドウ・アセンブリ。
【請求項41】
前記薄いプラスチック・フィルムが、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリビニル・ブチラール樹脂(PVB)、及びそれらのコポリマー及び混合物のうちの1つである、請求項40に記載のウインドウ・アセンブリ。
【請求項42】
前記ヒータ・グリッドが、前記第1の透明パネルと一体になった第2の透明パネルの下に配置されている、請求項40に記載のウインドウ・アセンブリ。
【請求項43】
第2の透明パネルが、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリビニル・ブチラール樹脂(PVB)、及びそれらのコポリマー及び混合物のうちの1つである、請求項42に記載のウインドウ・アセンブリ。
【請求項44】
前記ヒータ・グリッドが前記透明パネルの表面の上にある、請求項1に記載のウインドウ・アセンブリ。
【請求項45】
前記ヒータ・グリッドが前記透明パネルの中にある、請求項1に記載のウインドウ・アセンブリ。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2007−537927(P2007−537927A)
【公表日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−527391(P2007−527391)
【出願日】平成17年5月17日(2005.5.17)
【国際出願番号】PCT/US2005/017301
【国際公開番号】WO2005/117494
【国際公開日】平成17年12月8日(2005.12.8)
【出願人】(505365404)エクスアテック、エル.エル.シー. (51)
【Fターム(参考)】