説明

遊技装置及び遊技システム

【課題】緊急事態発生時において、遊技者の携行する情報媒体に基づいて計数済の遊技媒体のみならず、遊技者が遊技の過程で取得したすべての遊技媒体を補償する。
【解決手段】計数手段を有する遊技機ごとに設けられる遊技装置であって、緊急信号を受信する受信手段と、遊技機で遊技を行う遊技者が遊技の過程で取得する遊技媒体のうちで、緊急時において未だ計数されていない未計数の遊技媒体を算出する算出手段と、を備え、算出手段は、緊急時において、遊技機の上皿等に放置された放置遊技媒体数を算出するとともに、未計数の遊技媒体数に放置遊技媒体数を加算した全取得遊技媒体数を算出し、緊急時において、全取得遊技媒体数と遊技者の携行可能なICコインや携帯電話などの情報媒体との関連付けを操作の有無にかかわらず行う構成としてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、避難を伴う緊急事態の発生を想定した遊技装置及びこれを備える遊技システムに関し、特に、未だ計数されていない未計数遊技媒体を補償して迅速な避難を可能にする遊技装置及びこの遊技装置を有する遊技システムに関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機やスロットマシンなどの遊技機に併設される遊技装置としては、現金、遊技者の携行する情報媒体(磁気カード、ICカード、ICコインなど)を投入することで遊技媒体を貸し出す遊技媒体貸出装置の他、遊技媒体を計数する計数手段と、この計数手段で計数された遊技媒体を再び遊技者に返却する返却手段と、を備える各台計数機が知られている。
【0003】
この各台計数機は、貸し出された遊技媒体を元にして当該遊技機で取得した遊技媒体を計数手段で計数させるとともに、この計数された遊技媒体数を、計数済遊技媒体数として一時的に記憶させ、この記憶した計数済遊技媒体数の範囲内で、遊技者による所定の操作に基づいて遊技媒体を返却することができるようになっている。
【0004】
また、このような各台計数機は、計数済遊技媒体数を、遊技者が携行するICコイン、ICカード(会員カード)、携帯電話などの情報媒体を介して特定可能に当該情報媒体との関連付けを所定の操作に基づいて行う。
例えば、各台計数機は、遊技終了等における遊技者による精算操作に基づいて、計数済遊技媒体数を情報媒体の記憶領域に直接書き込んだり、又は、計数済遊技媒体数と、情報媒体を特定可能な媒体ID(カードID、コインID、携帯電話ID)とを関連付けて、自らの記憶領域又は外部の記憶装置に記憶したりすることで、計数済遊技媒体数と情報媒体との関連付けを行うようになっている。
【0005】
また、各台計数機は、このように関連付けられた計数済遊技媒体数を、情報媒体を介して取得するようになっている。
例えば、各台計数機は、情報媒体の記憶領域から計数済遊技媒体数を直接読み込むことで取得したり、又は情報媒体から媒体IDを読み込むとともに、この媒体IDと関連付けられて自らの記憶領域又は外部の記憶装置に記憶された計数済遊技媒体数を間接的に取得したりすることができるようになっている。
これにより、遊技者は、情報媒体を携行することで、異なる各台計数機において情報媒体と関連付けられた計数済遊技媒体数を取得するとともに、これに併設された遊技機で、計数済遊技媒体数の範囲内で遊技媒体を返却させることで、複数の遊技機を移動しながら遊技を行う、いわゆる台移動遊技を行なうことができるようになっている。
【0006】
ところで、遊技中において、地震、火災などの緊急事態が発生することがある。
このような緊急事態では、遊技者は遊技場から屋外に避難するなど自らの身を守るための行動を起こそうとするものの、遊技の過程で取得した遊技媒体を放置したまま避難することは大きな損失を蒙ることから、離席したがらない傾向がある。まして、遊技中の遊技機が大当り状態のときや確率変動状態のときには、その傾向が顕著であり、避難タイミングを逸して惨事を招くことにもなりかねない。
そこで、このような緊急事態において、遊技者が遊技の過程で取得した遊技媒体をいかに迅速に遊技者に補償するかが重要な課題となっている。
【0007】
このような課題を解決するために、計数手段で計数された計数済遊技媒体数が遊技者の携行する情報媒体を介して特定されることを利用して、遊技者の避難を伴う緊急事態が発生したときには、この情報媒体を、遊技者による操作の有無にかかわらず強制的に発行する各台計数機の発明が提案されている(特許文献1)。
これにより、計数手段で計数された分の遊技媒体が補償されるとともに、遊技者は発行された情報媒体を持ったままの避難など危険から身を守るための防衛行動を起こすことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−136438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に係る発明では、計数手段で計数された分、すなわち、計数済遊技媒体数しか補償されず、補償対象が不十分であった。
緊急事態発生時において、補償対象となるべき遊技媒体には、計数手段で計数された計数済遊技媒体数の他に、以下のような遊技媒体がある。
例えば、緊急事態発生時において、未だ計数手段で計数されず遊技機に設けられた受け皿等に貯留されたまま放置されている放置遊技媒体がある。
また、緊急事態発生時において、遊技中の遊技機が大当り状態や確率変動状態などの有利な遊技状態のときは、その後この大当り状態や確率変動状態の継続により取得の予想される残りの大当り出玉や次回大当り出玉などの予想遊技媒体がある。
遊技者にとっては、これらの放置遊技媒体や予想遊技媒体も、遊技の過程で取得した遊技媒体に他ならないことから、これらがすべて補償されることになれば、躊躇することなく、危険から身を守るための防衛行動を起こすことができる。
このようなことから、遊技の過程で取得した遊技媒体をすべて補償可能な各台計数機が望まれていた。
【0010】
本発明は、上記のような問題を解決するために提案されたものであり、緊急事態において、遊技者が遊技の過程で取得した遊技媒体をすべて補償するとともに、緊急事態が終息した後、再度同じ遊技機で遊技を行うときには、受け皿等に貯留されたまま放置されている分の遊技媒体を補償遊技媒体から除くことで、適正かつ必要十分な補償を行う遊技装置とこの遊技装置を備える遊技システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の遊技装置は、遊技媒体を計数する計数手段と、前記計数手段により計数された計数済みの遊技媒体を示す計数済遊技媒体数を、遊技者が携行する所定の情報媒体を介して特定可能に当該情報媒体との関連付けを所定の操作に基づいて行う関連付け手段と、を備え、遊技機ごとに設けられる遊技装置であって、所定の緊急事態を示す緊急信号を受信する受信手段と、前記遊技機で遊技を行う遊技者が遊技の過程で取得する遊技媒体のうちで、前記緊急信号受信手段が前記緊急信号を受信した緊急時において前記計数手段によって未だ計数されていない未計数の遊技媒体の数量を示す未計数遊技媒体数を算出する算出手段と、を備え、前記算出手段は、前記緊急時において、前記計数手段によって未だ計数されずに前記遊技機に放置された状態にある遊技媒体の数量を示す放置遊技媒体数を、前記未計数遊技媒体数として算出するとともに、前記未計数遊技媒体数に前記計数済遊技媒体数を加算した全取得遊技媒体数を算出し、前記関連付け手段は、前記緊急時において、前記全取得遊技媒体数と前記情報媒体との関連付けを、前記操作の有無にかかわらず行う構成としてある。
【0012】
また、本発明の遊技システムは、上記の複数の遊技装置と、前記複数の遊技装置と通信可能に接続される所定の管理装置と、を備え、前記遊技装置は、前記情報媒体に記録されている当該情報媒体を特定可能な媒体IDを読取る読取手段と、前記読取手段が前記媒体IDを読取ったときに、この読取った前記媒体ID及び当該遊技装置を特定可能な装置IDを出力するとともに、前記緊急時において、前記関連付け手段により関連付けられた前記情報媒体の前記媒体ID、この媒体IDに係る情報媒体に対応する前記放置遊技媒体数及び前記全取得遊技媒体数に加えて前記装置IDを出力する出力手段と、を備え、前記管理装置は、前記緊急時において前記出力手段から出力される、前記媒体ID、前記放置遊技媒体数、前記全取得遊技媒体数、及び前記装置IDをそれぞれ関連付けて記憶する関連データ記憶手段を備え、前記出力手段は、前記緊急信号受信手段が前記緊急信号を受信したときを除く通常時において、前記媒体IDと、この媒体IDの情報媒体に対応する前記計数済遊技媒体数とを、前記関連付け手段が関連付けを行うごとに出力し、前記関連データ記憶手段は、前記通常時において前記出力手段から出力される前記媒体IDと、この媒体IDの情報媒体に対応する前記計数済遊技媒体数とを関連付けてこれらが出力された当日に限り記憶し、前記緊急時において前記出力手段から出力される前記媒体IDと、この媒体IDに係る情報媒体に対応する前記全取得遊技媒体数とを関連付けて前記緊急時の当日及び翌日以降の所定期間に亘って記憶する構成としてある。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、緊急事態発生時において、計数済の遊技媒体のみならず、未計数の遊技媒体を含む、遊技者が遊技の過程で取得した遊技媒体のすべてを補償するので、遊技者は計数処理を行うことなく速やかに避難することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る遊技システムの構成を模式的に示す説明図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る遊技システムにおいて各装置間で送受されるデータの流れを示す図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る遊技機及び遊技装置の外観を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る遊技装置の内部構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る遊技装置の表示部における表示例を示し、(a)は、放置遊技媒体のみが存在する場合の表示例であり、(b)は、放置遊技媒体と予想遊技媒体の双方が存在する場合の表示例である。
【図6】本発明の一実施形態に係る遊技装置において実行される緊急信号受信処理を示すフローチャートである。
【図7】本発明の一実施形態に係る遊技装置において実行される緊急事態復旧処理を示すフローチャートである。
【図8】本発明の一実施形態に係る管理装置が記憶する関連データの一覧を示す図表である。
【図9】本発明の一実施形態に係る景品交換装置において実行される景品交換処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る遊技システムの好ましい実施形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る遊技システムSは、複数の遊技機100が設置される遊技場(ホール)に設けられ、台間装置1、台コンピュータ30、島コンピュータ40、会員管理装置50、ホールコンピュータ60、持ち玉管理装置70、景品交換装置80などで構成され、これらは所定のネットワーク(例えば、ローカル・エリア・ネットワーク)を介してデータ通信可能に接続されている。
本実施形態に係る遊技システムSは、会員管理装置50で管理する遊技者の予め預け入れた貯留遊技媒体(貯玉)を台間装置1において引き出して、これに併設された遊技機100において再プレイすることができる、いわゆる貯玉再プレイシステムとして構築されている。
【0016】
遊技機100は、遊技球やメダル等の遊技媒体を用いて遊技を行う、パチンコ機、スロットマシン、アレンジボール、雀球などの様々な機類の遊技機で構成され、各遊技機100からは、遊技媒体の出入数を示す遊技信号(出入数をパルス数で示す信号)として、遊技機100からの遊技媒体の払出数を示すセーフ信号、遊技機100への遊技媒体の投入数を示すアウト信号が出力され、遊技状態を示す遊技信号(状態を出力レベルで示す信号)として、所定の大当り状態を示す大当り信号、大当りの当選確率がアップした確変変動状態を示す確変信号がされる。
これらの遊技信号は、台コンピュータ30と島コンピュータ40を介してホールコンピュータ60に入力されるとともに、遊技機100から直接又は本実施形態では台コンピュータ30介して台間装置1に入力されるようになっている(図2参照)。
なお、本実施形態では、遊技球(パチンコ玉)を遊技媒体とするパチンコ機を遊技機100として説明する。
【0017】
台間装置1は、遊技機100ごとに設置される前述の各台計数機であり、遊技媒体としての遊技球を計数するとともに、計数された範囲内で遊技媒体を払い戻す(払い出す)ことができるようになっている。また、計数された数量と遊技者が携行する情報媒体(ICコイン、ICカード、携帯電話など)との関連付けを行うとともに、情報媒体を投入又はかざす(近づける)ことで、情報媒体から当該情報媒体を特定可能な媒体IDを読取ることもできる。
さらに、紙幣を投入可能に構成され、投入された金額相当の遊技球を貸し出す(払い出す)とともに、この貸し出した遊技球数を示す売上げ信号(貸出数をパルス数で示す信号)を出力するようになっている。
また、ICカード(会員カード)の投入又は携帯電話のかざし、及びパスワード等を入力可能に構成され、会員管理装置50で管理するICカード又は携帯電話の媒体ID(会員ID)及びパスワードとの照合一致により、当該媒体IDに対応する貯玉会員の貯玉から遊技球を引き出すことができるようになっている。
【0018】
台コンピュータ30及び島コンピュータ40は、それぞれ遊技機100ごと及び複数の遊技機100が取り付けられた遊技機島ごとに設けられる情報中継処理装置であり、遊技機100とホールコンピュータ60等の間で送受される情報を中継する。
【0019】
会員管理装置50は、遊技者が遊技場に予め預け入れたメダルや遊技球等の貯留遊技媒体(貯玉)を遊技者(貯玉会員)ごとに管理する情報処理装置である。
【0020】
ホールコンピュータ60は、所定の遊技データを集計する情報処理装置であって、遊技機100及び台間装置1からの遊技信号(例えば、セーフ信号、アウト信号、大当り信号、確変信号、売上げ信号など)を収集して、遊技機100ごと、遊技機100の特定の機種ごと、遊技機島ごと、遊技場全体における所定の遊技データ(例えば、総アウト数、総セーフ数、大当り確率、売上げ、粗利、割数など)を集計する。
また、ホールコンピュータ60は、緊急地震速報などの緊急事態を報知する緊急信号を受信する緊急地震速報受信手段60aを備えている。この緊急地震速報受信手段60aが緊急信号を受信すると、この緊急信号は、台間装置1、会員管理装置50、持ち玉管理装置70に自動的に送信されるようになっている。
なお、ホールコンピュータ60は、キーボード、マウス等の入力手段を備え、火災等の緊急事態発生時には、遊技場の管理者等が自らこの入力手段を操作することで、緊急信号を台間装置1、会員管理装置50、持ち玉管理装置70に送信することができるようになっている。
【0021】
持ち玉管理装置70は、台間装置1で計数された遊技媒体の数量を、台間装置1ごと、媒体IDごとに管理する情報処理装置である。
【0022】
景品交換装置80は、遊技者の取得した遊技媒体をその数量に応じた景品との交換処理を行う情報処理装置であって、付設されたICコインリーダ81や図示しないカードリーダ、携帯電話リーダを介して情報媒体(ICコイン、ICカード、携帯電話)から媒体IDを読み込むとともに、この媒体IDと関連付けられた遊技媒体の数量を、持ち玉管理装置70や会員管理装置50から取得することにより、この数量とほぼ等価な価値を有する景品との決済処理を行う。
【0023】
このような遊技システムSにおいて、台間装置1は、緊急信号を受信した緊急時において、遊技者が遊技の過程で取得する遊技媒体のうちで、計数手段によって未だ計数されていない未計数の遊技媒体の数量を示す未計数遊技媒体数(以下、未計数玉数という)と、この未計数玉数に計数済遊技媒体数(以下、計数済玉数という)を加算した全取得遊技媒体数(以下、全取得玉数という)とを算出するとともに、全取得玉数と情報媒体(ICコイン、ICカード、携帯電話)との関連付けを操作の有無にかかわらず行う、本発明に係る遊技装置として動作するようになっている。
【0024】
さらに、台間装置1は、緊急時において、計数手段によって未だ計数されずに遊技機100に放置された状態にある遊技媒体の数量を示す放置遊技媒体数(以下、放置玉数という)を算出するとともに、この緊急時に遊技機100が所定の有利な遊技状態のときには、その後この有利な遊技状態の継続により取得の予想される遊技媒体の数量を示す予想遊技媒体数(以下、予想玉数という)を算出し、これら放置玉数と予想玉数とを未計数玉数として計上するようになっている。
また、台間装置1は、緊急時において関連付けられた情報媒体の媒体IDと、緊急時の後において最初に読取った媒体IDが同一のときには、全取得玉数から放置玉数を減算するようになっている。
また、台間装置1は、緊急時に関連付けられた情報媒体の媒体ID、この媒体IDに係る情報媒体に対応する放置玉数及び全取得玉数に加えて当該台間装置1を特定可能な装置IDを持ち玉管理装置70に出力するようになっている。
【0025】
そして、持ち玉管理装置70は、台間装置1から出力される媒体IDと、この媒体IDに係る情報媒体に対応する放置玉数及び全取得玉数と、装置IDとをそれぞれ関連付けて記憶する、本発明に係る管理装置として動作するようになっている。
【0026】
さらに、持ち玉管理装置70は、緊急信号を受信した緊急時を除く通常時において台間装置1から出力される媒体IDと、この媒体IDの情報媒体に対応する計数済玉数とを関連付けて出力当日に限り記憶し、緊急時において台間装置1から出力される媒体IDと、この媒体IDに係る情報媒体に対応する全取得玉数とを関連付けて出力当日及び翌日以降の所定期間に亘って記憶するようになっている。
【0027】
また、景品交換装置80は、持ち玉管理装置70が記憶する、緊急時において台間装置1から出力される媒体IDと、この媒体IDに係る情報媒体に対応する全取得玉数とを参照して、全取得玉数に対応する所定の景品との交換処理を出力当日及び翌日以降の所定期間に亘って行う、本発明に係る景品交換装置として動作するようになっている。
以下、台間装置1と、持ち玉管理装置70と、景品交換装置80について詳述する。
【0028】
[台間装置]
台間装置1は、図3及び図4に示すように、遊技機100ごとに設置され、当該遊技機100で取得した遊技媒体である遊技球を計数する計数機能と、投入された現金の範囲内、又は遊技者が予め預け入れた貯玉の範囲内、又は計数済玉数の範囲内において、当該遊技機100で遊技を行う遊技者に対して遊技球を払い出す払出機能と、計数された遊技媒体を貯玉する貯玉機能と、情報媒体と計数済玉数のみならず遊技者が遊技の過程で取得したすべての玉数との関連付けを行う関連付け機能と、情報媒体を発行する発行機能と、情報媒体から当該情報媒体を特定可能な媒体IDを読取る読取機能と、未計数玉数として放置玉数と予想玉数とを算出する算出機能と、計数済玉数、未計数玉数、及び全取得玉数を持ち玉管理装置70に送信する通信機能と、所定の表示を行う表示機能と、を備えている。
【0029】
具体的には、台間装置1は、図3に示すように、計数部10と台間部20とで構成され、計数部10において、遊技球を計数し、台間部20において、遊技球を払い出すとともに、計数された遊技媒体の数量と情報媒体(ICコイン、ICカード、携帯電話)との関連付けを行い、情報媒体(ICコイン、ICカード)を発行し、さらに、情報媒体から媒体IDを読取るようになっている。
【0030】
計数部10は、計数センサ10a、レバー11、受皿12を備え、計数手段として動作する。
受皿12は、遊技機100の下皿102から流出した遊技球を受け入れて貯留するとともに、この受皿12の底面に形成された開口部(不図示)から遊技球を機内へ流入させるようになっている。また、開口部にはシャッター(不図示)が設けられ、レバー11を操作するとシャッターの動作により開口部が開閉され、遊技球の貯留又は流入を選択操作することができるようになっている。そして、機内へ流入した遊技球は、例えば、フォトインタラプタや近接センサ等からなる計数センサ10aに誘導されて検出される。この検出信号は制御部20aに入力されて計数される(図4参照)。
【0031】
台間部20は、紙幣投入口21、表示部22、払出ボタン23、ノズル24、入力部25、会員カード挿入口26、ICコイン投入口27a、ICコイン返却口27b、精算ボタン28を外部に備えるとともに、制御部20a、通信部20b、記憶部29、リーダ/ライタ26a,27c、払出部23aを内部に備えている。
【0032】
紙幣投入口21は、遊技者が予め遊技場に預け入れた貯玉がない場合や計数部10で計数された計数済玉数がない場合において、現金を対価として新たに遊技球を貸し出すときに紙幣を投入する投入口であり、この投入された紙幣は、紙幣投入口21の内部に設けられた所定の紙幣識別部で金種が識別されるとともに、記憶部29においてその金額が記憶される。
また、この記憶部29において記憶された金額の範囲内において、通信部20bを介して接続された遊技機100から所定数の遊技球が払い出されるようになっている。
【0033】
表示部22は、液晶ディスプレイからなるとともに、本発明に係る表示手段として動作し、緊急事態発生時におけるICコイン、ICカードなどの情報媒体の発行に際して、全取得玉数と情報媒体との関連付けが行われる旨を所定の表示態様で表示する。
例えば、緊急事態発生時において、遊技機100の上皿101や下皿102、又は受皿12のシャッターの上に、計数部10によって未だ計数されていない未計数の遊技球、すなわち、放置玉数がある場合には、図5(a)に示すように、発行されたICコイン、ICカード(会員カード)、又は遊技者の所持する携帯電話に基づいて、計数済玉数のみならず放置玉数も補償される旨を示すメッセージを表示する。
【0034】
さらに、図5(b)に示すように、緊急事態発生時において、遊技機100が大当り中又は確率変動中のときには、その後の大当りの継続により取得の予想される大当り出玉の残り玉、又は確率変動による次回大当り分の大当り出玉(例えば、少なくとも1回分の大当り出玉)、すなわち、予想玉数も、発行されるICコイン、ICカード(会員カード)、又は遊技者の所持する携帯電話に基づいて補償される旨を示すメッセージを表示する。
このような表示により、遊技者は躊躇することなく避難等の防衛行動を起こすことができる。
【0035】
払出ボタン23は、遊技球の払い出しに係る操作ボタンであり、遊技者によって操作されることで払出部23aが動作し、計数済玉数の範囲内、又は貯玉数の範囲内において所定数(例えば、125個単位)の遊技球がノズル24から払い出される。
ノズル24は、払出ボタン23の操作に基づいて払い出された遊技球の誘導路として構成され、払出部23aから送出される遊技球を遊技機100の上皿101に誘導する。
払出部23aは、遊技球を払い出す(送出する)モータと払い出し数(送出数)をカウントするカウントセンサを備え(いずれも不図示)、払出ボタン23の操作に基づいて払い出し動作を開始するとともに、所定数の遊技球(例えば、125個)をカウントすると動作を停止する。つまり、払出部23aは、払出ボタン23が操作されると、計数済玉数の範囲内、又は貯玉数の範囲内において所定数(125個)単位で遊技球を払い出す。
【0036】
会員カード挿入口26は、情報媒体の一例であるICカード(例えば、貯玉会員のみが所持可能な会員カード)を投入する投入口であり、ICカードを投入すると、会員カード挿入口26の内部に設けられたリーダ/ライタ26aにより貯玉会員を特定可能な情報である媒体ID(会員ID)が読取られるとともに、この媒体IDは会員管理装置50に送信される。
会員管理装置50は、媒体ID等の照合一致を条件として、当該媒体IDの貯玉からの遊技球の引き出しを許容し、貯玉再プレイが可能となる。
また、投入されたICカードは、精算ボタン28の操作にもとづいて、会員カード挿入口26から返却発行され、このときには、ICカードの媒体IDと、計数済玉数のみならず、未計数玉数(放置玉数、予想玉数)、全取得玉数とが関連付けられる。
これらの関連付けられた情報は、当該台間装置1を特定可能な装置IDとともに、通信部20bを介して持ち玉管理装置70に送信される。
【0037】
ICコイン投入口27aは、情報媒体の一例であるICコインを投入する投入口であり、ICコインを投入すると、ICコイン投入口27aの内部に設けられたリーダ/ライタ27cにより当該ICコインを特定可能な媒体ID(コインID)が読取られるようになっている。
【0038】
ICコイン返却口27bは、ICコインを返却発行する返却口であり、精算ボタン28の操作にもとづいて、ICコインがこのICコイン返却口27bから返却発行され、このときには、ICコインの媒体IDと、計数済玉数のみならず、未計数玉数(放置玉数、予想玉数)、全取得玉数とが関連付けられる。
これらの関連付けられた情報は、当該台間装置1を特定可能な装置IDとともに、通信部20bを介して持ち玉管理装置70に送信される。
【0039】
また、台間装置1は、情報媒体の一例である遊技者が所持する携帯電話などの携帯電子機器から非接触で媒体IDを読取る携帯電話リーダを備えており(不図示)、遊技者が遊技に先立ち携帯電話を携帯電話リーダにかざす(近づける)ことで、当該携帯電話を特定可能な媒体IDが読取られるようになっている。
そして、精算ボタン28の操作にもとづいて、携帯電話の媒体IDと、計数済玉数のみならず、未計数玉数(放置玉数、予想玉数)、全取得玉数とが関連付けられる。
これらの関連付けられた情報は、当該台間装置1を特定可能な装置IDとともに、通信部20bを介して持ち玉管理装置70に送信される。
【0040】
なお、本実施形態では、ICカードは、会員登録により所持可能な情報媒体、携帯電話は、会員登録に基づいて利用可能となる情報媒体であり、ICコインは、会員登録をしていない遊技者(ビジター会員)用の情報媒体となっている。
【0041】
このように装置ID、媒体ID、計数済玉数、未計数玉数(放置玉数、予想玉数)、全取得玉数は、遊技者の携行する情報媒体を介して特定可能に関連付けられるとともに、持ち玉管理装置70に送信され、持ち玉管理装置70においてそれぞれが関連付けられた状態で記憶・管理されるようになっている。
このような関連付けを行うことにより、ICカード、ICコイン及び携帯電話を特定可能な固有情報である媒体IDを介して、計数済玉数、未計数玉数(放置玉数、予想玉数)、全取得玉数を特定することができる。
具体的には、本実施形態では、情報媒体から媒体IDを読み込むとともに、持ち玉管理装置70において記憶・管理されている媒体IDとの照会を行うことで、この媒体IDと関連付けられた上記の各玉数を間接的に取得することができるからである。
なお、ICカード、ICコイン及び携帯電話に書き込み機能を付与し、これらの玉数を直接書き込むことで、これらの玉数と情報媒体との直接的な関連付けを行うこともできる。この場合には、情報媒体からこれらの玉数を直接取得することができる。
【0042】
入力部25は、所定の文字情報等を入力可能なテンキーなどの操作ボタンを備え、貯玉からの引き出しに際してICカードを挿入した遊技者に対して要求されるパスワードを入力することができ、この入力されたパスワードは、上記の媒体ID(会員ID)とともに会員管理装置50に送信される。
【0043】
通信部20bは、遊技機100、会員管理装置50、ホールコンピュータ60、持ち玉管理装置70、景品交換装置80との間で、所定の通信プロトコルに基づいてデータ通信を行う通信手段であり、本発明に係る受信手段及び出力手段として動作する。
台間装置1は、この通信部20bにより、遊技機100、会員管理装置50、ホールコンピュータ60、持ち玉管理装置70、景品交換装置80と直接又は台コンピュータ30及び島コンピュータ40を介して所定の情報を送受する。
【0044】
例えば、台間装置1は、ホールコンピュータ60から緊急地震速報などの緊急事態を報知する緊急信号を受信する。
また、台間装置1は、会員管理装置50との間で、貯玉再プレイに関するデータを送受する。
具体的には、ICカードの媒体ID(会員ID)とパスワード、この媒体IDの貯玉数、貯玉からの引き出し数(再プレイ玉数)等の貯玉情報を送受する。
【0045】
また、台間装置1は、持ち玉管理装置70との間で、ICカード、ICコイン及び携帯電話に関する情報を送受する。
具体的には、台間装置1は、緊急信号を受信したときを除く通常時では、精算ボタン28の操作に伴う、ICカードの返却発行、ICコインの新規発行・返却発行、携帯電話のかざし検出によって、これらの媒体ID、装置ID、計数済玉数を持ち玉管理装置70に送信する。
また、ホールコンピュータ60から緊急信号を受信したときには、精算ボタン28の操作の有無にかかわらず、上記の媒体ID、装置ID、計数済玉数に加え、未計数玉数(放置玉数、予想玉数)、全取得玉数を持ち玉管理装置70に送信する。
【0046】
また、台間装置1は、ICカード及びICコインの投入、又は携帯電話のかざしに伴い、これらの媒体IDと関連付けられた計数済玉数を持ち玉管理装置70から受信する。
さらに、ホールコンピュータ60から緊急信号を受信した後に、新たにICカード及びICコインが投入、又は携帯電話がかざされたときには、緊急信号を受信時に送信した媒体IDと新たに投入又はかざされた情報媒体の媒体IDとの一致を条件に、この媒体IDと関連付けられた計数済玉数に加え、未計数玉数(放置玉数、予想玉数)、全取得玉数を持ち玉管理装置70から受信する。
【0047】
記憶部29は、不揮発性メモリからなる記憶手段であり、当該台間装置1を特定可能な装置IDに加え、投入又はかざされた情報媒体の媒体ID、計数済玉数、放置玉数、予想玉数、全取得玉数を記憶するとともに、未計数玉数(放置玉数、予想玉数)を算出する数式などを記憶する。
【0048】
制御部20aは、中央演算処理装置(CPU)、所定の記憶手段(例えば、ROM、RAM)、インターフェイス(I/Oポート)等を備えるコンピュータからなり、記憶部29に記憶された制御プログラムとデータに基づき計数部10及び台間部20を構成する各部を制御して、台間装置1を計数手段、払出手段等の上記各手段として機能させるとともに、本発明に係る算出手段、禁止手段として動作するようになっている。
【0049】
具体的には、制御部20aは、計数センサ10aから入力される遊技球の検出信号数を計数して計数済玉数を算出するとともに、この計数済玉数を記憶部29に記憶させつつ、表示部22に表示させる。
また、制御部20aは、払出ボタン23が操作されると、払出部23aを制御して、所定数(例えば、125個単位)の遊技球を払い出させる。
また、制御部20aは、本発明に係る関連付け手段として動作し、精算ボタン28が操作されると、そのときの計数済玉数と情報媒体の媒体IDとを関連付けて記憶部29に記憶する。
このとき、制御部20aは、記憶部29に記憶されている媒体IDを識別して携帯電話の媒体IDでないときには、ICカード又はICコインを発行するとともに、通信部20bを介して、装置IDに加え、発行したICカード、ICコインの媒体ID、又は携帯電話の媒体ID、及び計数済玉数を持ち玉管理装置70に送信する。
【0050】
また、制御部20aは、本発明に係る算出手段として動作し、緊急信号を受信すると、放置玉数を算出するとともに、緊急信号を受信時における大当り信号と確変信号の入力の有無を判定し、これらの入力があるときに限り、さらに予想玉数を算出する。
そして、計数済玉数があるときには、これに放置玉数と予想玉数とを加えた全取得玉数を算出する。計数済玉数がないときには、放置玉数と予想玉数とを加えたものを全取得玉数とする。
【0051】
ここで、制御部20aにおいて算出される、放置玉数、予想玉数について具体的に説明する。
放置玉数とは、遊技機100で遊技を行う遊技者が遊技の過程で取得した遊技媒体のうちで、通信部20bが緊急信号を受信した緊急時において、計数部10によって未だ計数されていない未計数玉数であって、遊技機100の上皿101や下皿102又は受皿12のシャッターの上に放置された状態にある遊技球の数量を示すものである。
【0052】
この放置玉数は、一の遊技者の遊技中において、遊技機100から払い出された遊技球の払出玉数(セーフ信号の入力数から算出)、遊技機100に投入した遊技球の投入玉数(アウト信号の入力数から算出)、紙幣の投入により台間装置1から貸し出された遊技球の貸出玉数(売上げ信号の入力数から算出)、貯玉から引き出された遊技球の引出玉数(遊技開始時の貯玉数から緊急時の貯玉数を減じて算出)、及び計数済玉数から求めることができる(例えば、放置玉数=払出玉数+貸出玉数+引出玉数−投入玉数−計数済玉数)。
【0053】
また、予想玉数とは、遊技機100で遊技を行う遊技者が遊技の過程で取得した遊技媒体のうちで、通信部20bが緊急信号を受信した緊急時において、計数部10によって未だ計数されていない未計数玉数であって、緊急時において遊技機100が大当り中又は確率変動中のときに、その後の大当りの継続により取得の予想される大当り出玉の残り玉数、又は確率変動による次回大当り分の大当り出玉数(例えば、少なくとも1回分の大当り出玉数)を示すものである。
【0054】
この予想玉数は、緊急時において遊技機100が大当り中の場合には、例えば、大当り発生時刻と緊急事態発生時刻との時間差と平均的な大当り時間との比率を1回分の平均な大当り出玉数に乗じることで算出することもできるし、平均的な補償数を予め定めておき、これを予想玉数とすることもできる。
また、緊急時において遊技機100が確率変動中の場合には、次回一大当り分の出玉に相当する平均大当り出玉数や、確率変動の割合から算出される大当り継続期待回数(例えば、1/2更新タイプならば2回)に1回分の平均大当り出玉数を乗じた出玉数とすることもできる。
【0055】
また、制御部20aは、算出後に、精算ボタン28の操作の有無にかかわらず、算出した放置玉数、予想玉数、全取得玉数と、情報媒体の媒体IDとの関連付けを行い、これらを記憶部29に記憶する。
そして、制御部20aは、記憶部29に記憶されている媒体IDを識別して携帯電話の媒体IDでないときには、ICカード又はICコインを、それぞれ会員カード挿入口26又はICコイン返却口27bから発行させるとともに、通信部20bを介して、装置IDに加え、携帯電話を含む情報媒体の媒体ID、算出した放置玉数、予想玉数、全取得玉数を持ち玉管理装置70に送信する。
【0056】
これらの送信により、持ち玉管理装置70において、媒体IDと関連付けられた全取得玉数が記憶・管理され、この媒体IDを有する情報媒体を所持する遊技者が遊技の過程で取得したすべての遊技球が補償されることになる。
これにより、遊技者は、情報媒体を所持さえすれば、何ら躊躇することなく、危険から身を守るための防衛行動を起こすことができる。
【0057】
また、制御部20aは、緊急信号を受信して媒体ID等を送信した後に、新たにICカード、ICコインの投入、又は携帯電話がかざされると、これらの情報媒体から媒体IDを読取るとともに、これを持ち玉管理装置70に送信する。
その結果、持ち玉管理装置70において、送信した媒体IDと緊急信号を受信時に関連付けられた媒体IDとの同一性が判定され、同一のときに限り、制御部20aは、この媒体IDと関連付けられた全取得玉数、放置玉数、予想玉数を持ち玉管理装置70から取得するとともに、全取得玉数から放置玉数を減算し、減算された残りの玉数を記憶部29に記憶させる。
【0058】
これにより、緊急事態が終息して、緊急事態発生時に遊技をしていた遊技機100に同じ遊技者が戻って遊技を続行するときには、放置玉数はその遊技機100に残存していることから、全取得玉数から放置玉数を減算することで、補償対象から放置玉数を除外したことになり、補償の適正化が確保されることになる。
【0059】
また、制御部20aは、緊急事態が終息して、緊急事態発生時に遊技をしていた遊技機100に同じ遊技者が戻って遊技を続行するときに、確変信号の入力の有無から、遊技機100が未だ確率変動中と判定したときには、全取得玉数から予想玉数を減算し、減算された残りの玉数を記憶部29に記憶させることもできる。
これにより、補償対象から確率変動における予想玉数を除外したことになり、補償の適正化が確保されることになる。
【0060】
なお、本実施形態では、大当り中の緊急事態発生による予想玉数に関しては、全取得玉数から減算しないものとする。これは、遊技機100がパチンコ機の場合には、大当り状態は時間の経過とともに消滅するからである。ただし、遊技機100がスロットマシンの場合には、大当り状態は時間の経過とともに消滅しないことから、全取得玉数から大当り中の緊急事態発生による予想玉数を減算することもできる。
【0061】
さらに、制御部20aは、上記のように全取得玉数から未計数玉数(放置玉数、予想玉数)を減算した残りの玉数を計数済玉数として扱い、遊技者は、この玉数の範囲内で遊技球を払い出して遊技を続行することができる。
【0062】
また、制御部20aは、持ち玉管理装置70において、緊急時の後に最初に受信した媒体IDと緊急信号を受信時に関連付けられた媒体IDとが同一でないと判定されたときには、投入されたICカード、ICコインを直ちに返却したり、受皿12から新たに投入される遊技球の計数処理を行わない(計数センサ10aの検出機能を停止)など、すべての入力操作(媒体IDの読取りを除く)を禁止する。
これにより、緊急事態発生前と異なる遊技者が放置玉数を計数させたり、放置玉数を用いて遊技を行うことを抑制することができる。
なお、このような入力操作の禁止は、所定時間の経過、又はホールコンピュータ60から出力される緊急事態の復旧を示す復旧信号等の受信により禁止が解除され、解除後には、この異なる遊技者が所持する情報媒体(媒体ID)に基づいて全取得玉数等を持ち玉管理装置70から取得することができる。
【0063】
以上のような制御部20aの動作は、図6及び図7に示すフローチャートに基づいて作成されるとともに記憶部29に記憶された制御プログラムを、制御部20aのCPUが実行することで実現されるようになっている。以下、これらのフローチャートついて説明する。
図6は、緊急信号を受信したときの緊急信号受信処理を示すフローチャートであり、図7は、緊急事態が復旧したときの緊急事態復旧処理を示すフローチャートである。
【0064】
まず、緊急信号受信処理では、図6に示すように、制御部20aは、緊急信号の受信の有無を判定し(S1)、緊急信号を受信しないときには(S1−No)、受信待ち状態となり、緊急信号を受信すると(S1−Yes)、すべての入力操作を禁止(無効)するとともに(S2)、前述の放置玉数を算出する放置玉数算出処理を実行する(S3)。さらに、大当り信号と確変信号の入力の有無から大当り中又は確率変動中か否かの判定を行う(S4)。
遊技機100が大当り中又は確率変動中のときには(S4−Yes)、前述の予想玉数を算出する予想玉数算出処理を実行する(S5)。
一方、遊技機100が大当り中又は確率変動中でないときには(S4−No)、予想玉数算出処理を実行せずに、計数済玉数に放置玉数を加算して全取得玉数を算出する(S6)。
また、予想玉数算出処理を実行したときには、計数済玉数に放置玉数と予想玉数とを加算して全取得玉数を算出する(S6)。
【0065】
続いて、装置ID、媒体ID、計数済玉数、放置玉数、予想玉数、全取得玉数を出力する(S7)。本実施形態の場合では、持ち玉管理装置70に送信することになる。
その後、制御部20aは、記憶部29に記憶されている媒体IDを識別して携帯電話の媒体IDでないときには、会員カード又はICコインを発行し(S8)、さらに、表示部22に、図5に示したような補償表示を行わせ(S9)、処理を終了する。
このように緊急信号受信処理を実行することにより、計数済玉数のみならず、放置玉数と予想玉数とが加算された全取得玉数が算出されるとともに、情報媒体(媒体ID)と全取得玉数とが持ち玉管理装置70において間接的に紐付けされることで、遊技中に取得したすべての遊技球を補償することができる。
【0066】
次に、緊急事態復旧処理では、図7に示すように、制御部20aは、緊急事態の復旧を示す復旧信号の受信の有無を判定する(S11)。この復旧信号は、遊技場の管理者等による入力操作によりホールコンピュータ50から送信される信号である。
そして、復旧信号を受信しないときには(S11−No)、受信待ち状態となり、復旧信号を受信すると(S11−Yes)、続いて、禁止していた入力操作のうちで会員カード又はICコインの受付に係る入力操作の禁止を解除(受付有効)する(S12)。
【0067】
その後、所定のタイマ監視処理を実行することで、所定時間の経過の判定を行い(S13)、所定時間の経過を判定すると(S13−Yes)、すべての入力操作の禁止を解除(有効)する(S18)。
これは、緊急事態発生時に遊技をしていた遊技者が同じ遊技機100に戻ってくる時間を確保しつつ、戻ってこないときには、他の(異なる)遊技者のその遊技機100における遊技を許容するためである。
一方、所定時間の経過前は(S13−No)、ICカード、ICコイン、又は携帯電話の受付の有無の判定を行い(S14)、受付がない限り(S14−No)、所定時間の経過待ちとなり(S13)、受付があると(S14−Yes)、この情報媒体から媒体IDを読取るとともに、この媒体IDと装置IDとを、持ち玉管理装置70に送信する。
【0068】
媒体IDと装置IDとが送信された持ち玉管理装置70では、送信された媒体IDと緊急時に記憶した媒体IDとが同じであるか否かの照合判定を行い、これらが同一のときに限り、判定結果としてこの媒体IDと関連付けられた全取得玉数、放置玉数、予想玉数を当該装置IDに係る台間装置1に送信するようになっていることから、制御部20aは、これらの受信(少なくとも全取得玉数の受信)があったときには、媒体IDの一致と判定する(S15−Yes)。一方、媒体IDと装置IDを送信後、一定時間経っても受信がないときには、不一致と判定する(S15−No)。
【0069】
不一致と判定したときには(S15−No)、入力操作の禁止が維持されたままの状態(例えば、ICカード、ICコインが投入されても直ちに返却されるなど)で所定時間の経過待ちとなる(S13)。このときには、表示部22において、緊急事態発生時に当該遊技機100において遊技をしていた同じ遊技者でないと操作が禁止される旨を示すメッセージを表示させることができる。これにより、緊急事態発生前と異なる遊技者が、放置玉数を用いて遊技を行うことを抑制することができる。
一方、一致と判定したときには(S15−Yes)、持ち玉管理装置70から受信した玉数のうちにおける放置玉数の受信の有無を判定する(S16)。
【0070】
放置玉数を受信しているときには(S16−Yes)、全取得玉数から放置玉数を減算するとともに(S17)、この減算した残り玉数を計数済玉数として記憶部29に記憶した後、すべての入力操作の禁止を解除して(S18)、処理を終了する。
一方、放置玉数を受信していないときには(S16−No)、受信した全取得玉数を計数済玉数として記憶部29に記憶した後、すべての入力操作の禁止を解除して(S18)、処理を終了する。
また、放置玉数の受信の有無にかかわらず、予想玉数を受信し、さらに確変信号の入力の有無から未だ確率変動中であると判定可能なときには、記憶部29に記憶する計数済玉数から予想玉数を減算し、この残り玉数を計数済玉数として記憶することもできる。
【0071】
このような緊急事態復旧処理を実行することにより、緊急事態が終息して、緊急事態発生時に遊技をしていた遊技機100に同じ遊技者が戻って遊技を続行するときには、放置玉数はその遊技機100に残存していることから、全取得玉数から放置玉数を減算することで、補償対象から放置玉数を除外したことになり、補償の適正化が確保されることになる。
【0072】
[持ち玉管理装置]
持ち玉管理装置70は、台間装置1から入力される、装置ID、媒体ID、この媒体IDに係る情報媒体に対応する計数済玉数、放置玉数、予想玉数、全取得玉数をそれぞれ関連付けて記憶する機能と、緊急事態発生後に一の台間装置1から最初に入力される媒体IDと緊急事態発生時に記憶した媒体IDとの照合を行いこれらが同一のときに、記憶した媒体IDに係る情報媒体に対応する計数済玉数、放置玉数、予想玉数、全取得玉数を当該台間装置1に出力する機能と、景品交換装置80から入力される媒体IDに係る情報媒体に対応する計数済玉数又は全取得玉数を景品交換装置80に出力する機能と、を備えている。
【0073】
具体的には、持ち玉管理装置70は、台間装置1、会員管理装置50、ホールコンピュータ60、景品交換装置80との間で、データ通信を行う通信手段と、ハードディスク等の記憶手段と、液晶ディスプレイからなる表示手段と、これらを制御するコンピュータからなる制御手段と、を備え、台間装置1から入力される、装置ID、媒体ID、この媒体IDに係る情報媒体に対応する計数済玉数、放置玉数、予想玉数、全取得玉数の関連付けを行い、これらを入力された入力日(日付)ごとの関連データとして記憶する。
【0074】
具体的には、図8に示すように、緊急事態の発生の有無にかかわらず、これらを関連付けて入力日ごとに記憶し、緊急事態の発生に基づいて台間装置1から出力された装置ID、媒体ID(コインID、会員ID)、計数済玉数、放置玉数、予想玉数、全取得玉数に関しては緊急フラグあり(1)を付して記憶するようになっている。
一方、緊急事態が発生したときを除く通常時において、台間装置1から入力される、装置ID、媒体ID(コインID、会員ID)、この媒体IDに係る情報媒体に対応する計数済玉数に関しては緊急フラグなし(0)を付して記憶するようになっている。
この緊急フラグの有無は、ホールコンピュータ60から送信される緊急信号に応じて付すか付さないかを判定し、緊急信号の受信後に、台間装置1から入力されるデータに関しては、緊急フラグ(1)を付して記憶するようになっている。
【0075】
このように、持ち玉管理装置70は、装置ID、媒体ID、この媒体IDに係る情報媒体に対応する計数済玉数、放置玉数、予想玉数、全取得玉数をそれぞれ関連付けて記憶していることから、緊急事態終息後に台間装置1から最初に送信された装置ID及び媒体IDと、緊急事態発生時に記憶した装置ID及び媒体IDとを照合することができる。
【0076】
具体的には、持ち玉管理装置70は、緊急事態発生時に記憶している装置IDに対応する媒体IDと、緊急事態発生後(復旧信号受信後)に当該装置IDに係る台間装置1から最初に送信された媒体IDとが同一のときは、緊急事態発生時に遊技をしていた遊技者が再び同じ遊技機100に戻ってきたと判定し、同一でないときには、緊急事態発生時に遊技をしていた遊技者と異なる遊技者であると判定することができる。
これにより、この判定結果を台間装置1に出力することで、台間装置1は、持ち玉管理装置70による判定結果が同じ遊技者であれば入力操作の禁止を解除し、異なる遊技者であれば入力操作の禁止状態を維持する、前述の緊急事態復旧処理を実行することができる。
【0077】
さらに、持ち玉管理装置70は、通常時において台間装置1から入力される媒体IDと、この媒体IDの情報媒体に対応する計数済玉数とを関連付けて入力当日に限り記憶し、緊急時において台間装置1から入力される媒体IDと、この媒体IDに係る情報媒体に対応する全取得玉数とを関連付けて入力当日及び翌日以降の所定期間(予め定められた期間(例えば、1ヶ月)又は無期限)に亘って記憶するようになっている。
このような通常時と緊急時の区別は、緊急フラグを用いて行われ、緊急フラグなしでは、入力された当日に限り記憶し、翌日以降は消去され、緊急フラグありでは、入力された当日はもちろんこと、翌日さらには所定期間に亘って記憶される。
これにより、緊急時において情報媒体を所持したまま避難した遊技者が遊技中に取得した玉数はすべて所定期間に亘って補償されることになる。
【0078】
[景品交換装置]
景品交換装置80は、ICカード、ICコイン及び携帯電話から媒体ID(コインID、会員ID)を読取る機能と、読取った媒体IDをキーとして、持ち玉管理装置70から媒体IDに関連付けられた玉数を取得する機能と、この玉数とほぼ等価な価値を有する景品との決済処理を行う機能とを備えている。
【0079】
具体的には、景品交換装置80は、ICコインから媒体IDを読取るICコインリーダ81と、ICカードから媒体IDを読取るカードリーダ、携帯電話から媒体IDを読取る携帯電話リーダと、持ち玉管理装置70、台間装置1、会員管理装置50、ホールコンピュータ60との間で、データ通信を行う通信手段と、ハードディスク等の記憶手段と、液晶ディスプレイからなる表示手段と、これらを制御するコンピュータからなる制御手段と、を備え、媒体IDの読取りに伴い、この媒体IDに係る情報媒体に対応する、計数済玉数又は全取得玉数のいずれかを緊急フラグの有無に応じて持ち玉管理装置70(又は会員管理装置50)から取得するとともに、この玉数とほぼ等価な価値を有する景品との決済処理を行うようになっている。
【0080】
詳細には、景品交換装置80は、遊技場の景品交換カウンタ等に設置され、遊技場の店員等の操作にもとづいて、景品交換に係る処理を実行するようになっている。
具体的には、景品交換装置80は、遊技者からICコイン、ICカード、又は携帯電話が提示されるとともに、ICコイン、ICカードがICコインリーダ81やカードリーダに挿入、又は携帯電話が携帯電話リーダにかざされると、これらの情報媒体から媒体IDを読み取り、読取った媒体IDを持ち玉管理装置70に送信し、媒体IDと関連付けられた計数済玉数又は全取得玉数の送信を要求する。
持ち玉管理装置70では、読取った媒体IDと関連付けられた計数済玉数又は全取得玉数があるときに限り、これを景品交換装置80に返送する。
これを受信した景品交換装置80は、受信した計数済玉数又は全取得玉数とほぼ等価な価値を有する景品との決済処理を行う。
【0081】
このような景品交換に係る処理では、持ち玉管理装置70で管理する、台間装置1から媒体IDに係る関連データが入力された入力日(ICコインの場合は通常発行日となる)及び緊急フラグの有無に基づいて以下のように異なる処理を行う。
具体的には、情報媒体がICコインの場合は、景品交換処理を行う日(当日)と当該媒体IDに係る関連データの入力日とが同日の場合に限り、読取った媒体IDに係る計数済玉数と景品との交換処理を実行可能とする。この場合、持ち玉管理装置70で管理する緊急フラグが緊急フラグあり(1)を示す場合には、計数済玉数ではなく全取得玉数に基づいて景品交換処理を行う。
【0082】
一方、景品交換処理を行う日と当該媒体IDに係る関連データの入力日とが異なる場合は、原則として交換処理を実行不可とする。
ところが、景品交換処理を行う日と入力日とが異なる場合であっても、持ち玉管理装置70で管理する緊急フラグが緊急フラグあり(1)を示す場合に限り、例外的に景品との交換処理をできるようにしてある。
このときには、計数済玉数ではなく全取得玉数に基づいて景品交換処理を行うようになっている。
すなわち、持ち玉管理装置70で管理する緊急フラグが緊急フラグあり(1)を示す場合は、当該媒体IDに係る関連データの入力日を問わずに、景品との交換処理を実行可能としてある。
【0083】
これにより、遊技中に緊急事態が発生したことにより、遊技場から帰宅した遊技者が翌日以降に来場したとしても、当該遊技者が緊急事態発生日に遊技の過程で取得したすべての遊技球に基づいた景品交換処理を行うことができ、遊技者は緊急事態の発生により何ら損失を蒙ることがないようになっている。
なお、ICカード又は携帯電話を所持する遊技者は会員登録されている特典として緊急事態の発生の有無にかかわらず、いつでも景品交換処理が行うことができるようになっているものの、緊急事態発生時には、緊急フラグが参照され、遊技の過程で取得したすべての遊技球数を示す全取得玉数に基づいて景品交換処理を行うことができる。
【0084】
以上のような景品交換に係る処理は、図9に示すフローチャートに基づいて作成されるとともにハードディスク等の記憶手段に記憶された制御プログラムを、制御手段が実行することで実現されるようになっている。以下、このフローチャートついて説明する。
【0085】
図9は、景品交換処理を示すフローチャートである。
まず、景品交換装置80は、ICコインからの媒体IDの読取りの有無を判定し(S21)、読取りがない場合は(S21−No)、読取り待ちとなる。
読取りがあると(S21−Yes)、この媒体IDを持ち玉管理装置70に対して計数済玉数又は全取得玉数の送信を要求する要求信号として出力する。
この媒体IDに係る要求信号を受信した持ち玉管理装置70では、この媒体IDに対応する緊急フラグの有無が判定され(S22)、緊急フラグあり(1)の場合には(S22−Yes)、当該媒体IDに係る情報媒体に対応する全取得玉数が出力されることになる。これより、景品交換装置80は、この出力された全取得玉数を取得し(S23)、この全取得玉数とほぼ等価な景品との決算処理を許容し(S24)、処理を終了する。
【0086】
一方、緊急フラグなし(0)の場合には(S22−No)、持ち玉管理装置70では、さらに、この媒体IDに係るに関連データの入力日(ICコインの発行日)の判定を行う(S25)。
そして、景品交換処理を行う本日と入力日(発行日)とが同日のときには(S25−Yes)、当該媒体IDに係る情報媒体に対応する計数済玉数が出力されることになる。これより、景品交換装置80は、この出力された計数済玉数を取得し(S26)、この計数済玉数とほぼ等価な景品との決算処理を許容し(S24)、処理を終了する。
【0087】
景品交換処理を行う本日と入力日(発行日)とが異なるときには(S25−No)、本日入力(発行)以外のICコインであって緊急フラグなし(0)の媒体IDに係るデータはそもそも持ち玉管理装置70において消去されているので、当該媒体IDに係る情報媒体による景品交換を不可とする情報を出力する。この情報を取得した景品交換装置80は、当該媒体IDに係る情報媒体による景品交換不可とし(S26)、処理を終了する。
このような景品交換処理を実行することにより、遊技中に緊急事態が発生して遊技場から帰宅した遊技者が翌日以降に来場したとしても、当該遊技者が緊急事態発生日に遊技の過程で取得したすべての遊技球に基づいた景品交換処理が行うことができ、遊技者は緊急事態の発生により何ら損失を蒙ることがないようになっている。
【0088】
以上説明したように、本実施形態の台間装置1及びこれを備える遊技システムSによれば、緊急事態発生時において、発行された情報媒体に基づいて計数済の遊技球のみならず、遊技者が遊技の過程で取得した遊技球のすべてが補償されるので、遊技者は、情報媒体を所持さえすれば、何ら躊躇することなく、危険から身を守るための防衛行動を起こすことができる。
【0089】
以上、本発明の遊技装置及びこれを備える遊技システムの好ましい実施形態について説明したが、本発明に係る遊技装置及びこれを備える遊技システムは上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることはいうまでもない。
【0090】
例えば、本実施形態では、緊急事態発生時に台間装置1から出力される、装置ID、媒体ID、この媒体IDに係る情報媒体に対応する計数済玉数、放置玉数、予想玉数、全取得玉数をそれぞれ関連付けた関連データを、持ち玉管理装置70において記憶・管理したが、持ち玉管理装置70に限らず、台コンピュータ30、島コンピュータ40、会員管理装置50、ホールコンピュータ60、景品交換装置80、又は台間装置1と接続される呼出ランプなどの他の装置(台間装置1以外)において記憶・管理することもできる。
また、これらの関連データを、媒体IDをキーに紐付けを行い、各装置に分散させて記憶させることもできる。
【0091】
また、景品交換日と入力日(発行日)とが異なるICコインに係る関連データであって、緊急フラグありのデータは会員管理装置50に移送し記憶・管理させるなど、情報媒体の種類や入力日(発行日)ごとにデータの管理先を変更することもできる。
【0092】
また、本実施形態の台間装置1は、上記の関連データを台間装置1が自ら記憶・管理している。
これにより、台間装置1は、緊急事態発生時に記憶した媒体IDと、緊急事態発生後に当該台間装置1に最初に投入された情報媒体に係る媒体IDとの照合判定を行うこともできる。
照合判定の結果、媒体ID同士が一致しているときには、台間装置1は、持ち玉管理装置70や他の装置とのデータの送受を行うことなく、自ら記憶している当該媒体IDに係る情報媒体に対応する全取得玉数から放置玉数及び/又は予想玉数を減算する処理も実行することができる。
また、本発明に係る算出手段を台間装置1に設けたが、上記の他の装置に設けることもできる。
【0093】
また、遊技者が携行する所定の情報媒体とは、遊技場への来場に際して遊技者が予め携行する情報媒体(例えば、会員カード、携帯電話など)はもちろんのこと、来場に際して携行していなくても、遊技場から提供(発行)されることにより遊技者が携行することになる情報媒体(例えば、ICコイン)を含むことを意味する。
また、情報媒体は、ICコイン、ICカード、携帯電話に限らず、磁気カード、媒体ID又は計数済玉数、放置玉数、予想玉数、全取得玉数等を記録したレシート等の記録紙、遊技者を特定可能な生体認証手段(例えば、指紋、静脈、音声、虹彩)など、計数済玉数、全取得玉数等を特定可能に関連付けできる媒体であれば何でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明は、遊技媒体を計数する計数手段と、計数済遊技媒体数と遊技者の携行する所定の情報媒体との関連付けを行う関連付け手段と、を有する遊技装置及びこれを備える遊技システムに広く利用することができる。
【符号の説明】
【0095】
1 台間装置
10 計数部(計数手段)
20 台間部
20a 制御部(関連付け手段、算出手段、禁止手段)
22 表示部(表示手段)
26 会員カード挿入口
26a リーダ/ライタ(読取手段)
27b ICコイン返却口
27c リーダ/ライタ(読取手段)
20b 通信部(受信手段、出力手段)
30 台コンピュータ
40 島コンピュータ
50 会員管理装置
60 ホールコンピュータ
70 持ち玉管理装置(管理装置)
80 景品交換装置
81 ICコインリーダ(読取手段)
S 遊技システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技媒体を計数する計数手段と、前記計数手段により計数された計数済みの遊技媒体を示す計数済遊技媒体数を、遊技者が携行する所定の情報媒体を介して特定可能に当該情報媒体との関連付けを所定の操作に基づいて行う関連付け手段と、を備え、遊技機ごとに設けられる遊技装置であって、
所定の緊急事態を示す緊急信号を受信する受信手段と、
前記遊技機で遊技を行う遊技者が遊技の過程で取得する遊技媒体のうちで、前記緊急信号受信手段が前記緊急信号を受信した緊急時において前記計数手段によって未だ計数されていない未計数の遊技媒体の数量を示す未計数遊技媒体数を算出する算出手段と、を備え、
前記算出手段は、
前記緊急時において、前記計数手段によって未だ計数されずに前記遊技機に放置された状態にある遊技媒体の数量を示す放置遊技媒体数を、前記未計数遊技媒体数として算出するとともに、前記未計数遊技媒体数に前記計数済遊技媒体数を加算した全取得遊技媒体数を算出し、
前記関連付け手段は、
前記緊急時において、前記全取得遊技媒体数と前記情報媒体との関連付けを、前記操作の有無にかかわらず行う
ことを特徴とする遊技装置。
【請求項2】
前記情報媒体に記録されている当該情報媒体を特定可能な媒体IDを読取る読取手段を備え、
前記算出手段は、
前記緊急時の後において前記読取手段により最初に読取った前記媒体IDが、前記緊急時において前記関連付け手段により関連付けられた媒体IDと同一のときには、前記全取得遊技媒体数から前記放置遊技媒体数を減算し、
前記緊急時の後において前記読取手段により最初に読取った前記媒体IDが、前記緊急時において前記関連付け手段により関連付けられた媒体IDと同一でないときに、所定の入力操作を禁止する禁止手段を備える
ことを特徴とする請求項1記載の遊技装置。
【請求項3】
前記全取得遊技媒体数と前記情報媒体との関連付けが行われることを所定の表示態様で表示する表示手段を備える
ことを特徴とする請求項1又は2記載の遊技装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の複数の遊技装置と、
前記複数の遊技装置と通信可能に接続される所定の管理装置と、を備え、
前記遊技装置は、
前記情報媒体に記録されている当該情報媒体を特定可能な媒体IDを読取る読取手段と、
前記読取手段が前記媒体IDを読取ったときに、この読取った前記媒体ID及び当該遊技装置を特定可能な装置IDを出力するとともに、前記緊急時において、前記関連付け手段により関連付けられた前記情報媒体の前記媒体ID、この媒体IDに係る情報媒体に対応する前記放置遊技媒体数及び前記全取得遊技媒体数に加えて前記装置IDを出力する出力手段と、を備え、
前記管理装置は、
前記緊急時において前記出力手段から出力される、前記媒体ID、前記放置遊技媒体数、前記全取得遊技媒体数、及び前記装置IDをそれぞれ関連付けて記憶する関連データ記憶手段を備え、
前記出力手段は、
前記緊急信号受信手段が前記緊急信号を受信したときを除く通常時において、前記媒体IDと、この媒体IDの情報媒体に対応する前記計数済遊技媒体数とを、前記関連付け手段が関連付けを行うごとに出力し、
前記関連データ記憶手段は、
前記通常時において前記出力手段から出力される前記媒体IDと、この媒体IDの情報媒体に対応する前記計数済遊技媒体数とを関連付けてこれらが出力された当日に限り記憶し、
前記緊急時において前記出力手段から出力される前記媒体IDと、この媒体IDに係る情報媒体に対応する前記全取得遊技媒体数とを関連付けて前記緊急時の当日及び翌日以降の所定期間に亘って記憶する
ことを特徴とする遊技システム。
【請求項5】
前記情報媒体から前記媒体IDを読取るとともに、前記管理装置と通信可能に接続され、前記関連データ記憶手段が記憶する、前記通常時において前記出力手段から出力される前記媒体IDと、この媒体IDの情報媒体に対応する前記計数済遊技媒体数とを参照して、前記計数済遊技媒体数に対応する所定の景品との交換処理をこれらが出力された当日に限り行う景品交換装置を備え、
前記景品交換装置は、
前記関連データ記憶手段が記憶する、前記緊急時において前記出力手段から出力される前記媒体IDと、この媒体IDに係る情報媒体に対応する前記全取得遊技媒体数とを参照して、前記全取得遊技媒体数に対応する所定の景品との交換処理を前記緊急時の当日及び翌日以降の所定期間に亘って行う
ことを特徴とする請求項4記載の遊技システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−9708(P2013−9708A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−142554(P2011−142554)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(591142507)株式会社北電子 (348)
【Fターム(参考)】