説明

運転支援装置

【課題】燃費効率にも配慮した最適走行速度で目的地への最適経路を示すことができ、また、燃費重視または速度重視というドライバーの要求の重み(優先度)を考慮した速度設定ができ、また、動的環境(例えば、風や前車との位置関係等の走行抵抗)の燃費への影響を考慮して走行計画を適時、再計画できる、運転支援装置を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、記憶部は、地図情報を記憶し、制御部は、車両の現在地を取得し、地図情報から目的地を設定し、取得された現在地から目的地までの目標到着時刻を設定し、車両の現在地から目的地までの目標燃費を設定し、目標到着時刻と目標燃費と地図情報とに基づいて、車両の現在地から目的地までの経路の走行計画を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転支援装置に関し、特に、燃費と走行速度の優先度を考慮した走行計画を生成する運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、GPS(全地球測位システム)や自律航法を利用して車両の現在地を特定し、地図情報に照会して目的地への最適ルートを取得し、ディスプレイ画面上に目的地への走行経路案内を行なうカーナビゲーション装置が開発されている。
【0003】
例えば、特許文献1の自動走行制御装置は、目的地と目標到着時刻をセットするだけで、目標時刻までに目的地に到着するよう車両を自動走行制御する装置である。
【0004】
また、例えば、特許文献2のナビゲーション装置は、風力データを入手し、自車両への風の影響が少ないルートを優先的に誘導経路とし、横風の強い経路は危険であると判断して安全なルートを案内する装置である。
【0005】
ここで、距離や時間に関して最適でかつ安全なルートを提供するのみならず、車両の燃料消費量に関して最適ルート案内を行う経路探索装置が存在する。
【0006】
例えば、特許文献3には、走行抵抗に基づいて変速パターンを制御し、燃費向上に寄与する車両用自動変速制御装置とその方法について記載されている。
【0007】
また、例えば、特許文献4には、目的地までに使用する燃料費等の希望予算に基づいてルート案内を行うナビゲーション装置とその方法が記載されている。
【0008】
また、例えば、特許文献5の運転支援装置は、風速情報を含む走行環境情報と燃費情報の関連性を学習し推論する装置である。
【0009】
【特許文献1】特開2004−017867号公報
【特許文献2】特開2006−220547号公報
【特許文献3】特開平5−322028号公報
【特許文献4】特開2006−275869号公報
【特許文献5】特開2006―072410号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来の目的地への走行経路案内を行なうカーナビゲーション装置では、ドライバーの潜在的な背反要求である「燃費」と「走行速度」の両立に関して考慮されていない。すなわち、一般に多くのドライバーは、燃費は良く、到着速度は速くしたいと考えながら走行しているが、一般に燃費と走行速度(到着時間)は背反の関係となっており、車両特性(エンジン効率等)や道路環境(坂等)の影響により両立できない場合があるという問題点がある。
【0011】
特に、特許文献1〜2の技術では、ドライバーの要求として目的地への到着時間を設定し、距離や時間に関して最適でかつ安全なルートを表示して提供するものであるが、車両の燃料消費量については考慮していないため、最適な燃費効率が得られないという問題点がある。
【0012】
また、特許文献3〜5の技術では、車両の燃料消費量を考慮し最適な燃費効率を得ることができるルートを提供しているものの、目的地への早く到着することに関しては考慮していないため、燃費効率にも配慮した最適走行速度を得られないという問題点がある。
【0013】
本発明は、上記に鑑みてなされたもので、燃費効率にも配慮した最適走行速度で目的地への最適経路を示すことができ、また、燃費重視または速度重視というドライバーの要求の重み(優先度)を考慮した速度設定ができ、また、動的環境(例えば、風や前車との位置関係等の走行抵抗など)の燃費への影響を考慮して走行計画を適時、再計画できる、運転支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様は、記憶部と制御部とを少なくとも備えた、車両の運転支援装置であって、上記記憶部は、地図情報を記憶し、上記制御部は、上記車両の現在地を取得する現在地取得手段と、上記地図情報から目的地を設定する目的地設定手段と、上記現在地取得手段により取得された上記現在地から上記目的地までの目標到着時刻を設定し上記記憶部に格納する目標到着時刻設定手段と、上記車両の上記現在地から上記目的地までの目標燃費を設定し上記記憶部に格納する目標燃費設定手段と、上記記憶部に格納された上記目標到着時刻と上記目標燃費と上記地図情報とに基づいて、上記車両の上記現在地から上記目的地までの経路の走行計画を生成し上記記憶部に格納する走行計画生成手段と、を備えたことを特徴とする。
【0015】
また、上記発明において、上記制御部は、上記目標到着時刻設定手段により設定された上記目標到着時刻、および、上記目標燃費設定手段により設定された上記目標燃費の優先度を設定し上記記憶部に格納する優先度設定手段と、上記地図情報から取得した上記目的地までの上記経路を任意の地点にて複数に分割し、分割された上記経路上での上記車両の走行抵抗と走行速度とを取得する走行情報取得手段と、上記走行情報取得手段により取得された上記走行抵抗と上記走行速度とに基づく評価関数を計算し、上記優先度設定手段により設定された上記優先度にて重み付けし上記記憶部に格納する優先度重み付け手段と、を更に備え、上記走行計画生成手段は、上記評価関数に基づいて上記走行計画を生成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、記憶部は、地図情報を記憶し、制御部は、車両の現在地を取得し、地図情報から目的地を設定し、取得された現在地から目的地までの目標到着時刻を設定し、車両の現在地から目的地までの目標燃費を設定し、目標到着時刻と目標燃費と地図情報とに基づいて、車両の現在地から目的地までの経路の走行計画を生成するので、燃費効率にも配慮した最適走行速度で目的地への最適経路を示すことができる。
【0017】
また、この発明によれば、制御部は、設定された目標到着時刻、および、設定された目標燃費の優先度を設定し、取得した目的地までの経路を任意の地点にて複数に分割し、分割された経路上での車両の走行抵抗と走行速度とを取得し、取得された走行抵抗と走行速度とに基づく評価関数を計算し、設定された優先度にて重み付けし、評価関数に基づいて走行計画を生成するので、燃費効率にも配慮した最適走行速度で目的地への最適経路を示すことができる一方で、また、燃費重視または速度重視というドライバーの要求の(重み)優先度を考慮した速度設定ができ、また、動的環境(例えば、風や前車との位置関係等の走行抵抗)の燃費への影響を考慮して走行計画を適時、再計画できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、本発明にかかる運転支援装置および運転支援方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。まず、本発明の概要について説明し、その後、本発明の構成および処理等について詳細に説明する。
【0019】
[本発明の概要]
本発明は、概略的に、以下の基本的特徴を有する。すなわち、本発明は、記憶部と制御部とを少なくとも備えた、車両の運転支援装置であって、記憶部は、地図情報を記憶する。
【0020】
そして、本発明は、車両の現在地を取得する。
【0021】
そして、本発明は、地図情報から目的地を設定する。
【0022】
そして、本発明は、取得された現在地から目的地までの目標到着時刻を設定する。
【0023】
そして、本発明は、車両の現在地から目的地までの目標燃費を設定する。
【0024】
ここで、本発明は、設定された目標到着時刻、および、設定された目標燃費の優先度を設定してもよい。また、ここで、本発明は、地図情報から取得した目的地までの経路を任意の地点にて複数に分割し、分割された経路上での車両の走行抵抗と走行速度とを取得してもよい。また、ここで、取得された走行抵抗と走行速度とに基づく評価関数を計算し、設定された優先度にて重み付けしてもよい。
【0025】
そして、本発明は、目標到着時刻と目標燃費と地図情報とに基づいて、車両の現在地から目的地までの経路の走行計画を生成する。
【0026】
ここで、本発明は、評価関数に基づいて走行計画を生成してもよい。以上で、本発明の概要の説明を終える。
【0027】
[運転支援装置100の構成]
次に、本運転支援装置100の構成について図1〜図3を参照して説明する。図1は、本発明が適用される本運転支援装置100の車両50側の構成の一例を示すブロック図であり、また、図2は、本発明が適用される本運転支援装置100がネットワークを介して接続されるセンター200のインフラ側の構成の一例を示すブロック図であり、図1および図2は、該構成のうち本発明に関係する部分のみを概念的に示している。また、図3は、風圧センサ18の車両50上での設置位置の一例を示す図である。
【0028】
図1において、本運転支援装置100は、運転計画演算等を行い、車両50に搭載された、例えば、ナビゲーションシステムやECU等の制御装置として構成され、概略的に、運転支援装置100の全体を統括的に制御するCPU等の制御部102、センター200等に有線または無線等で接続される通信装置であるデータリンクコントローラ10、運転支援装置100の出力結果を出力する表示装置11、ユーザから運転支援装置100への指示を入力するユーザ入力装置12、燃費特性等の車両情報(パワートレーン効率やエンジン効率等の情報など)を記憶する車両情報記憶媒体13、人工衛星からの信号により車両50の現在地を把握するGPS(グローバル・ポジショニング・システム)15、地図情報を格納する地図DB(データベース)16、風圧を検知する風圧センサ18、制動時にどのような路面状態であっても車輪がロックしないよう作動油圧を制御するABS(アンチロック・ブレーキ・システム)と、車両が滑ってからブレーキ制御やエンジンの制御で車の姿勢を安定させる横滑り防止装置であるVSB(ビークル・スタビリティ・コントロール)等を備える車両安定性制御部19、エンジン全体を統括的に制御するECU(エンジン・コントロール・ユニット)20、および、各種のデータベースやテーブルなどを格納する記憶部106を備えて構成されており、これら各部は任意の通信路(ローカルバス14および車両制御バス17)を介して通信可能に接続されている。
【0029】
なお、センター200は、図2に示すように、車両50が走行する道路60の任意の地点に設けられた風速計30−1〜nおよびカメラ40−1〜nから、各地点での動的情報(例えば、風速、風向き、平均走行速度等)を取得し、データリンクコントローラ10を介して運転支援装置100に送信する装置である。また、風圧センサ18は、風圧を検知するセンサであり、図3に示すように、車両50の前方に設置され、例えば、圧力計や音圧計等であってもよい。
【0030】
記憶部106に格納される各種のデータベースやテーブルやファイル(地図データベース106a〜走行計画ファイル106f)は、固定ディスク装置等のストレージ手段であり、各種処理に用いる各種のプログラムやテーブルやファイルやデータベース等を格納する。
【0031】
これら記憶部106の各構成要素のうち、地図データベース106aは、経路探索に必要な地図情報を記憶する地図情報記憶手段として機能する。なお、地図情報は、記憶部106とは別構成の地図DB16に格納されて構成されていてもよく、また、センター200に外部データベースとして格納されていてもよい。
【0032】
また、目標到着時刻ファイル106bは、車両の現在地から目的地までの目標到着時刻を記憶する目標到着時刻記憶手段として機能する。
【0033】
また、目標燃費ファイル106cは、車両の現在地から目的地までの目標燃費を記憶する目標燃費記憶手段として機能する。
【0034】
また、優先度ファイル106dは、目標到着時刻および目標燃費の優先度を記憶する優先度記憶手段として機能する。
【0035】
ここで、「優先度」(P)とは、到着時間(走行速度)を優先するかまたは燃費を優先するかを示す指標であり、例えば、優先度は、速度完全優先で「1」を設定し、燃費完全優先で「0」を設定するよう、0〜1の範囲の数字を用いてもよい。
【0036】
また、評価関数ファイル106eは、走行抵抗と走行速度とに基づく評価関数を計算し、設定された優先度にて重み付けして記憶する評価関数記憶手段として機能する。
【0037】
ここで、「走行抵抗」とは、車両50の燃費や走行速度に影響する環境因子である。この環境因子には、静的環境因子と動的環境因子があり、静的環境因子としては、例えば、地図情報や車両情報等に基づいた、道路60の勾配や車両50の重量等が挙げられ、また、動的環境因子としては、例えば、風速計30−1〜nや風圧センサ18等により検知された、風による車両50に対する空力抵抗等が挙げられる。
【0038】
また、ここで、「走行速度」とは、車両50が、例えば、現在地から目的地までの経路を走行している際に、車速センサ等(図示せず)により検知された速度である。
【0039】
また、走行計画ファイル106fは、目標到着時刻と目標燃費と地図情報とに基づいて、車両の現在地から目的地までの経路の走行計画を記憶する走行計画記憶手段として機能する。ここで、走行計画ファイル106fは、評価関数に基づいて生成した走行計画を記憶してもよい。
【0040】
また、図1において、データリンクコントローラ10は、運転支援装置100とネットワーク(図示せず)または通信装置(図示せず)との間における通信制御を行う。すなわち、データリンクコントローラ10は、図2のセンター200や他の車両等と、有線または無線等の通信回線を介して、直接または間接にデータを通信(車車間通信、路車間通信等)する機能を有する。
【0041】
また、図1において、ネットワークは、運転支援装置100とセンター200や他の車両とを相互に接続する機能を有し、例えば、無線LANやインターネット等である。
【0042】
ここで、図2において、センター200は、ネットワークを介して、運転支援装置100と相互に接続され、道路60の各地点における車両50の動的情報(例えば、風速、風向き、平均走行速度等)や、燃費特性等の車両情報(パワートレーン効率やエンジン効率等の情報など)に関する外部データベースや、運転支援方法等を実行させるための外部プログラム等を提供する機能を有する。ここで、センター200は、WEBサーバやASPサーバ等として構成していてもよく、そのハードウェア構成は、一般に市販されるワークステーション、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置およびその付属装置により構成していてもよい。また、センター200の各機能は、センター200のハードウェア構成中のCPU、ディスク装置、メモリ装置、入力装置、出力装置、通信制御装置等およびそれらを制御するプログラム等により実現される。
【0043】
再び図1に戻り、表示装置11としては、モニタ等であるが、運転支援装置100の出力結果を表示装置11に表示する以外にも、出力手段としてスピーカ等を介して出力することができる。また、ユーザ入力装置12としては、タッチパネルや、操作ボタン、マイク等を用いることができる。
【0044】
また、図1において、車両情報記憶媒体13は、燃費特性等の車両情報(パワートレーン効率やエンジン効率等の情報など)に関するデータベースとして機能する。なお、図1において、車両情報記憶媒体13は、記憶部106とは別構成であるが、本運転支援装置100の記憶部106内に構成されていてもよく、また、センター200内に構成された外部データベースとして構成されていてもよい。
【0045】
また、図1において、制御部102は、OS(Operating System)等の制御プログラム、各種の処理手順等を規定したプログラム、および所要データを格納するための内部メモリを有し、これらのプログラム等により、種々の処理を実行するための情報処理を行う。制御部102は、機能概念的に、現在地取得部102a、目的地設定部102b、目標到着時刻設定部102c、目標燃費設定部102d、優先度設定部102e、走行情報取得部102f、優先度重み付け部102g、および、走行計画生成部102hを備えて構成されている。
【0046】
このうち、現在地取得部102aは、車両50の現在地を取得する現在地取得手段として機能する。ここで、現在地取得部102aは、更に各車両の現在地情報を取得してもよい。例えば、現在地取得部102aは、自車両50の現在地情報を、GPS15等を利用して取得してもよい。また、現在地取得部102aは、データリンクコントローラ10を制御して、センター200を介してカメラ40〜1−nと路車間通信を行う端末の位置を車両の現在地情報として取得してもよい。上記のように、現在地取得部102aにより取得された現在地情報は、目標到着時刻設定部102cにより、必要に応じて到着時刻の算出に供され、また、目標燃費設定部102dにより、必要に応じて到着地までの燃費計算に供され、また、走行計画生成部102hにより、必要に応じて経路探索に供される。
【0047】
また、目的地設定部102bは、表示装置11およびユーザ入力装置12を制御して利用者に設定させることにより、記憶部106の地図データベース106aや地図DB16等に格納された地図情報から目的地を設定する目的地設定手段として機能する。
【0048】
また、目標到着時刻設定部102cは、表示装置11およびユーザ入力装置12を制御して利用者に設定させることにより、現在地取得部102aにより取得された現在地から目的地までの目標到着時刻を設定し、記憶部106の目標到着時刻ファイル106bに格納する目標到着時刻設定手段として機能する。
【0049】
また、目標燃費設定部102dは、表示装置11およびユーザ入力装置12を制御して利用者に設定させることにより、車両50の現在地から目的地までの目標燃費を設定し、記憶部106の目標燃費ファイル106cに格納する目標燃費設定手段として機能する。ここで、目標燃費設定部102dは、センター200や車両情報記録媒体13等に記憶された車両情報(パワートレーン効率やエンジン効率等の情報)に基づいた燃費計算により目標燃費を設定してもよい。
【0050】
また、優先度設定部102eは、表示装置11およびユーザ入力装置12を制御して利用者に設定させることにより、目標到着時刻設定部102cにより設定された目標到着時刻、および、目標燃費設定部102dにより設定された目標燃費の優先度を設定し、記憶部106の優先度ファイル106dに格納する優先度設定手段として機能する。
【0051】
また、走行情報取得部102fは、記憶部106の地図データベース106aや地図DB16等に格納された地図情報から取得した目的地までの経路を任意の地点にて複数に分割し、分割された経路上での車両50の走行抵抗と走行速度とを取得する走行情報取得手段として機能する。
【0052】
また、優先度重み付け部102gは、走行情報取得部102fにより取得された走行抵抗と走行速度とに基づく評価関数を計算し、優先度設定部102eにより設定された優先度にて重み付けし記憶部106の評価関数ファイル102gに格納する優先度重み付け手段として機能する。
【0053】
また、走行計画生成部102hは、記憶部106の目標到着時刻ファイル106bに格納された目標到着時刻と、記憶部106の目標燃費ファイル106cに格納された目標燃費と、記憶部106の地図データベース106aや地図DB16等に格納された地図情報とに基づいて、車両50の現在地から目的地までの経路の走行計画を生成し、記憶部106の走行計画ファイル106fに格納する走行計画生成手段として機能する。ここで、走行計画生成部102hは、評価関数ファイル106e評価関数に基づいて走行計画を生成してもよい。以上で、本実施形態における運転支援装置100の構成の説明を終える。
【0054】
[運転支援装置100の処理]
このように構成された本運転支援装置100の処理(基本動作処理〜速度計画作成処理)の一例について、以下に図4〜図17を参照して詳細に説明する。
【0055】
[基本動作処理]
まず、本運転支援装置100の基本処理について図4を参照して説明する。図4は、本実施の形態における本運転支援装置100の基本動作処理の一例を示すフローチャートである。
【0056】
図4に示すように、現在地取得部102aが車両50の現在地を取得した後、目的地設定部102bは、表示装置11およびユーザ入力装置12を制御して利用者に設定させることにより、地図情報から目的地を設定する(ステップSA−1)。
【0057】
そして、目標到着時刻設定部102cは、表示装置11およびユーザ入力装置12を制御して利用者に設定させることにより、現在地取得部102aにより取得された現在地から目的地までの目標到着時刻を設定する(ステップSA−2)。
【0058】
そして、目標燃費設定部102dは、表示装置11およびユーザ入力装置12を制御して利用者に設定させることにより、車両50の現在地から目的地までの目標燃費を設定する(ステップSA−3)。
【0059】
そして、優先度設定部102eは、表示装置11およびユーザ入力装置12を制御して利用者に設定させることにより、目標到着時刻設定部102cにより設定された目標到着時刻、および、目標燃費設定部102dにより設定された目標燃費の優先度を設定する(ステップSA−4)。すなわち、優先度設定部102eは、到着時間(走行速度)をどの程度優先するか、または、燃費をどの程度優先するかを示す優先度を、利用者に表示装置11およびユーザ入力装置12を介して設定させる。
【0060】
ここで、優先度設定部102eにより優先度が速度最優先以外(前述の例では「P=1」以外、すなわち、「0≦P<1」)に設定された場合は、燃費最適速度を演算してもよい。この処理の詳細については、[最適速度算出処理]にて後述する。
【0061】
そして、走行情報取得部102fは、地図情報から取得した目的地までの経路を任意の地点にて複数に分割し、分割された経路上での車両50の走行抵抗と走行速度とを取得する(ステップSA−5)。すなわち、走行情報取得部102fは、燃費に影響する走行抵抗である静的環境因子(例えば、勾配等)を地図情報から取得し、走行地点毎に車両50の走行速度を入力した燃費導出関数を求めて、静的環境因子を設定する。このステップSA−5の処理の詳細については、[静的環境因子設定処理]にて後述する。
【0062】
そして、優先度重み付け部102gは、走行情報取得部102fにより取得された走行抵抗と走行速度とに基づく評価関数を計算し、優先度設定部102eにより設定された優先度にて重み付けし、そして、走行計画生成部102hは、評価関数と目標到着時刻と目標燃費と地図情報とに基づいて、車両50の現在地から目的地までの経路の走行計画を生成する(ステップSA−6)。このステップSA−6の処理の詳細については、[速度計画作成処理]にて後述する。
【0063】
そして、制御部102は、表示装置11を制御して、ステップSA−6にて走行計画生成部102eが求めた走行計画を表示することでドライバーに通知し、この走行計画についてドライバーが了承するか否かを判断するため、ユーザ入力装置12を制御してドライバーの要求を取得する(ステップSA−7)。
【0064】
そして、制御部102がドライバーは走行計画生成部102eが求めた結果について了承したと判断した場合(ステップSA−7:Yes)、再度、走行情報取得部102fは、地図情報から取得した目的地までの経路を任意の地点にて複数に分割し、分割された経路上での車両50の走行抵抗と走行速度とを取得する(ステップSA−8)。すなわち、走行情報取得部102fは、風圧センサ18を制御して車両周辺の風速データを取得するか、または、データリンクコントローラを介して、センター200が風速計30−1〜nを制御して観測した風速データを取得して、風による車両50に対する空力抵抗等の動的観測因子を観測する。そして、走行制御取得部102fは、ステップSA−5にて設定した静的環境因子(例えば、勾配等)に加えて、動的環境因子である「風」による影響を加味した走行地点における燃費評価関数を再作成する。このステップSA−5の処理の詳細は、「動的環境因子観測処理」にて後述する。
【0065】
一方、制御部102がドライバーは走行計画生成部102eが求めた結果について了承しなかったと判断した場合(ステップSA−7:No)、ステップSA−2の処理に戻る。
【0066】
そして、優先度重み付け部102gは、走行情報取得部102fにより取得された走行抵抗と走行速度とに基づく評価関数を計算し、優先度設定部102eにより設定された優先度にて重み付けし、そして、走行計画生成部102hは、評価関数と目標到着時刻と目標燃費と地図情報とに基づいて、車両50の現在地から目的地までの経路の走行計画を生成する(ステップSA−9)。すなわち、走行計画生成部102hは、今までの走行結果(地点、燃費、時間等)を考慮し、かつ、風の影響等の走行抵抗を加味した速度計画(走行計画)を動的計画法で導出することにより再作成する。このステップSA−9の処理の詳細については、上述のステップSA−6と同様に、[速度計画作成処理]にて後述する。
【0067】
そして、制御部102は、表示装置11を制御して、ステップSA−9にて走行計画生成部102eが求めた目標速度を出力する(ステップSA−10)。
【0068】
そして、制御部102は、GPS等を制御して車両の現在地を確認し、目的地に到着
したか否かを判断する(ステップSA−11)。
【0069】
そして、制御部102が目的地に到着していると判断した場合(ステップSA−11:Yes)、処理を終了する。
【0070】
一方、制御部102が目的地に到着していないと判断した場合(ステップSA−11:No)、ステップSA−8の処理に戻る。すなわち、車両50が目的地に到着するまで随時動的環境因子を観測し(ステップSA−8)、速度計画を再作成し(ステップSA−9)、目標速度を出力する(ステップSA−10)。
【0071】
[最適速度算出処理]
(最適速度算出処理の実施形態1)
続いて、上述の[基本動作処理]のステップSA−4にて優先度設定部102eが優先度を速度最優先以外(前述の例では「P=1」以外、すなわち、「0≦P<1」)に設定された場合について、図5〜図7を参照して説明する。図5および図6は、本実施の形態における本運転支援装置100の最適速度算出処理の一例を示すフローチャートである。図7は、燃費と風速と速度との関係の一例を示すグラフである。
【0072】
優先度設定部102eにより優先度を速度最優先以外に設定されると、走行情報取得部102fは、図5に示すように、上記ステップSA−5の処理と同様に、燃費に影響する走行抵抗である静的環境因子(例えば、勾配等)を地図情報から取得し、走行地点毎に車両の走行速度を入力した燃費導出関数を求めて、静的環境因子を設定する(ステップSB−1)。このステップSB−1の処理の詳細については、上記ステップSA−5と同様に、[静的環境因子設定処理]にて後述する。
【0073】
そして、走行情報取得部102fは、上記ステップSA−8の処理と同様に、風圧センサ18を制御して車両周辺の風速データを取得するか、または、データリンクコントローラを介して、センター200が風速計30−1〜nを制御して観測した風速データを取得して、風による車両50に対する空力抵抗等の動的観測因子を観測する(ステップSB−2)。
【0074】
ここで、ステップSB−2の動的観測因子を観測する処理について図6を参照して詳述する。図5のステップSB−1の処理は、図6のステップSC−1〜4に対応する。図6に示すように、走行情報取得部102fは、風圧センサ18等を制御して風圧を計測する(ステップSC−1)。
【0075】
そして、走行情報取得部102fは、ステップSC−1にて計測した風圧に基づいて、相対風速を演算する(ステップSC−2)。「相対風速」とは、図7の上図に示されるように、風圧(Mpa)に基づいて求められ、例えば、風速と車両の速度との合成であってもよい。
【0076】
そして、走行情報取得部102fは、車速センサ等を制御して、車両50の車速度を計測する(ステップSC−3)。
【0077】
そして、走行情報取得部102fは、以下の式のように、ステップSC−2にて求められた相対風速(m/s)から、ステップSC−3にて計測された車速度(km/hr)を引くことで、風速を演算する(ステップSC−4)。
風速演算=相対風速−車速度
【0078】
上記ステップSC−1〜ステップSC−4の処理の内容については、後述の[動的環境因子観測処理]にて再度述べる。なお、以下のステップSC−5は、図5のステップSB−3に対応するため、SC−5の処理のみ説明する。
【0079】
そして、走行計画生成部102hは、ステップSC−4にて演算した風速に基づいて、最適走行速度を演算する(ステップSC−5)。ここで、図7の中図および下図に示すように、風速(m/s)が正の値(追い風)の場合は、最適速度(km/hr)は速くなり、燃費(km/L)も良くなるが、風速(m/s)が負の値(向い風)の場合は、最適速度(km/hr)は遅くなり、燃費(km/L)も悪くなる。速度計算処理の詳細ついては、上述のステップSA−6およびステップSA−9と同様に、[速度計画作成処理]にて後述する。
【0080】
(最適速度算出処理の実施形態2)
ここで、最適速度演算処理の別の形態について、図8および図9を参照して説明する。図8は、本実施の形態における本運転支援装置100の最適速度算出処理の一例を示すフローチャートである。図9は、燃費と風速と速度との関係の一例を示すグラフである。
【0081】
この実施形態では、車両の駆動力と速度から、巡航走行抵抗を推定し、図9に基づいて、最適速度を演算する。図9に示すように、走行抵抗が大きい場合は、走行速度(km/h)は遅くなり燃費は悪くなり、一方、走行抵抗が小さい場合は、走行速度(km/h)は速くなり燃費は良くなる。
【0082】
まず、図8に示すように、走行情報取得部102fは、タイヤの駆動力Fを演算する(ステップSD−1)。ここで、タイヤ駆動力Fは、以下の式に基づいて演算される。
F=エンジントルク×変速機変速比×トルクコンバータトルク比×効率
【0083】
そして、走行情報取得部102fは、車速センサおよび加速度センサ(図示せず)を制御して車両速度および加速度を演算する(ステップSD−2)。ここで、車速度(m/s)は、Vで表され、加速度αは、α=dV/dtで表される。
【0084】
そして、走行情報取得部102fは、風圧センサ18が計測した風圧に基づいて、相対風速を演算する(ステップSD−3)。ここで、風速は、以下の式に基づいて演算される。
F=Mα+CdAρ(V−Vw)+Mgμ+Mgsinφ+Br
風速Vw=V−√{[F−(Mα+Mgμ+Mgsinφ+Br)]/CdAρ}
F:タイヤ駆動力
M:車重
α:加速度
Cd:空力係数
A:投影面積
ρ:空気密度
V:車速度
Vw:風速
g:重力加速度
μ:ころがり係数
φ:勾配
Br:ブレーキ引きずり抵抗
Mα:慣性抵抗
CdAρ[V−Vw]:空力抵抗
Mgμ:ころがり抵抗
Mgsinφ:勾配抵抗
【0085】
そして、走行情報取得部102fは、以下の式にように、ステップSD−3にて求められた相対風速(m/s)から、ステップSD−2にて計測された車速度(km/hr)を引くことで、風速を演算する(ステップSD−4)。
風速演算=相対風速−車速度
【0086】
そして、走行計画生成部102hは、ステップSD−4にて演算した風速に基づいて、最適走行速度を演算する(ステップSD−5)。このステップSD−5の速度計算処理の詳細ついては、上述のステップSA−6,9やステップSB−3やステップSC−5と同様に、[速度計画作成処理]にて後述する。以上で、最適速度算出処理の説明を終える。
【0087】
[静的環境因子設定処理]
続いて、上述の[基本動作処理]のステップSA−5の処理について、図10および図11を参照して説明する。図10は、本実施の形態における本運転支援装置100の静的環境因子設定処理の一例を示すフローチャートである。図11は、本実施の形態における本運転支援装置100により作成された配列の一例を示す図である。なお、本実施形態では、動的計画法を用いて静的環境因子を設定する例を説明する。
【0088】
ここで、「動的計画法」とは、例えば、行列中の最適経路を見つけるための数学的技法である。すなわち、問題を段階的に解く過程で、ある段階で得られた最適解をもとに、次の段階の最適解を求めるという操作を繰り返し行って最適経路を探索するものである。例えば、図11に示すように、縦軸に速度Vj(j=1〜M)、横軸に距離Li(i=1〜N)をとる行列を作成し、所定の基準(評価関数)に従って各配列にスコアを付け(重み付け)して最適経路を探索する。
【0089】
図10に示すように、走行情報取得部102fは、静的車両緒元情報を読み込む(ステップSE−1)。ここで、静的車両緒元情報とは、例えば、パワートレーン効率やエンジン効率の情報等であり、車重M、空力係数Cd、投影面積A、ころがり係数μを含んでもよい。
【0090】
そして、走行情報取得部102fは、燃料消費量マップを読み込む(ステップSE−2)。ここで、燃料消費量fcは、以下の式で求められる。
燃料消費量fc(g/sec)=f(V,F)
V:速度(m/s)
F:駆動力(N)
【0091】
そして、走行情報取得部102fは、最大駆動力マップを読み込む(ステップSE−3)。ここで、最大駆動力マップとは、速度に応じた最大駆動力の制限を表すマップである。
【0092】
そして、走行情報取得部102fは、走行距離配列L(i)を作成する(ステップSE−4)。すなわち、走行情報取得部102fは、図11に示すように、走行経路をN分割し、走行距離配列L(i)を作成する。
【0093】
そして、走行情報取得部102fは、走行位置配列X(i),Y(i)を作成する(ステップSE−5)。すなわち、走行情報取得部102fは、走行距離配列Lに紐付けられた位置配列X,Yを作成する。
【0094】
そして、走行情報取得部102fは、標高配列H(i)を作成する(ステップSE−6)。すなわち、走行情報取得部102fは、走行距離配列Lに紐付けられた標高配列Hを作成する。
【0095】
そして、走行情報取得部102fは、距離配列間勾配φ(i)を作成する(ステップSE−7)。すなわち、走行情報取得部102fは、走行距離配列Lに紐付けられた距離配列間勾配φを作成する。
【0096】
そして、走行情報取得部102fは、速度配列V(j)を作成する(ステップSE−8)。すなわち、走行情報取得部102fは、最大速度をM分割して配列を作成する。具体的には、走行情報取得部102fは、走行距離配列に紐付けられた位置情報X,Yや、法定速度、一旦停止情報およびカーブ情報から、図11に示すような上限速度(最大速度)配列を作成する。ここで、図11中の斜線部分は、速度禁止域を示している。なお、渋滞や信号による上限速度配列の動的な修正は、図4のステップSA−9にて実施する。このステップSA−9の処理の詳細については、[速度計画作成処理]にて後述する。
【0097】
そして、走行情報取得部102fは、駆動力配列U(k)を作成する(ステップSE−9)。すなわち、走行情報取得部102fは、最大駆動力をK分割して格子を作成する。
【0098】
そして、走行情報取得部102fは、経路上の風速配列Vw(i)=0に設定する。すなわち、走行情報取得部102fは、この静的環境因子処理においては、動的環境因子である風速等を考慮にいれないため、「0」に設定する。この経路上の風速配列Vw(i)は、次の[動的環境因子観測処理]にて再作成される。以上で、静的環境因子設定処理の説明を終える。
【0099】
[動的環境因子観測処理]
続いて、上述の[基本動作処理]のステップSA−8の処理について、図12を参照して説明する。図12は、本実施の形態における本運転支援装置100の動的環境因子観測処理の一例を示すフローチャートであり、図4のステップSA−8の処理は、図12のステップSF−1〜3に対応する。
【0100】
図12に示すように、走行情報取得部102fは、車両50に備えられた風圧センサ18を制御して風圧を検知し、経路上の風速データを取得する(ステップSF−1)。またここで、走行情報取得部102fは、センター200が道路上の任意に地点に設定された風速計30−1〜nから取得した風速データを、データリンクコントローラ10を制御して受信してもよい。
【0101】
そして、走行情報取得部102fは、ステップSF−1にて取得した風速データに基づいて、所定の閾値よりも大きいか否かを判断する(ステップSF−2)。
【0102】
そして、走行情報取得部102fは、風速データが所定の閾値よりも大きいと判断された場合(ステップSF−2:Yes)、経路上の風速配列Vw(i)を再度作成する(ステップSF−3)。この風速配列Vw(i)は、ステップSA−5にて静的環境因子を設定する際に作成される配列である。
【0103】
一方、走行情報取得部102fは、風速データが所定の閾値未満である判断された場合(ステップSF−2:No)、そのまま処理を終了する。なお、動的環境因子観測処理のその他内容については、上述の図6のステップSC−1〜SC−4の説明を参照されたい。
【0104】
[速度計画作成処理]
続いて、上述の[基本動作処理]のステップSA−6のおよびステップSA−9の処理について、図13〜図17を参照して説明する。図13、図14および図16は、本実施の形態における本運転支援装置100の速度計画作成処理の一例を示すフローチャートであり、図15および図17は、本実施の形態における本運転支援装置100により作成された配列の一例を示す図である。本処理は、静的車両諸元設定(例えば、走行経路格子の作成および経路格子間勾配計算等)が行われたことを前提とする。
【0105】
図13に示すように、まず、走行計画生成部102gは、距離配列L(i)のループを開始する(ステップSG−1)。ここで、距離配列L(i)の初期値は、「1」に設定され、1回ループする毎に、「1」カウントされ、終了条件は「N」で示される。
【0106】
そして、走行計画生成部102gは、速度配列V(j)のループを開始する(ステップSG−2)。ここで、速度配列V(j)の初期値は、「1」に設定され、1回ループする毎に、「1」カウントされ、終了条件は「M」で示される。
【0107】
そして、走行計画生成部102gは、駆動力配列U(k)のループを開始する(ステップSG−3)。ここで、駆動力配列U(k)の初期値は、「1」に設定され、1回ループする毎に、「1」カウントされ、終了条件は「K」で示される。
【0108】
そして、走行計画生成部102gは、以下の式に基づいて、ΔT秒後の速度変化ΔVを計算する(ステップSG−4)。
U(k)=M・ΔV/ΔT+Cd・[V(j)−Vw(i)]A・ρ+Mμ+Mgsinφ(i)+Br
M・ΔV/ΔT:慣性抵抗
Cd・[V(j)−Vw(i)]A・ρ:空力抵抗
Mμ:ころがり抵抗
Mgsinφ(i):勾配抵抗
Br:ブレーキ引きずり抵抗
【0109】
そして、走行計画生成部102gは、以下の式に基づいて、ΔT秒後の移動距離ΔLを計算する(ステップSG−5)。
ΔL=∫VdT
【0110】
そして、走行計画生成部102gは、以下の式に基づいて、ΔT秒後の燃料消費量Δfcを計算する(ステップSG−6)。
Δfc=f(V(j)+1/2ΔV,U(k))
【0111】
そして、走行計画生成部102gは、以下の式に基づいて、評価関数配列Ψ(k)を計算する(ステップSG−7)。
Ψ(k)=A・Rfc・Δfc+Rl・|Lend−L(k)|+Rv|V(j)+ΔV−Vend|
Lend:目的地までの距離
Vend:目的地での速度
Rfc,Rl,Rv:重み係数初期値
【0112】
そして、走行計画生成部102gは、k=Kとなった場合、駆動力配列U(k)のループを終了する(ステップSG−8)。
【0113】
そして、走行計画生成部102gは、Minψ(i,j)=min(Ψ(x))を計算し、Minψを得る入力、MinU(i,j)=U(x)を計算する(ステップSG−9)。ここで、Minψは、評価関数Ψ(k)を最小にする入力経路を探索するための中間変数である。
【0114】
そして、走行計画生成部102gは、j=Mとなった場合、速度配列V(j)のループを終了する(ステップSG−10)。
【0115】
そして、走行計画生成部102gは、i=Nとなった場合、距離配列L(i)のループを終了する(ステップSG−11)。その後、図14に記載のステップSG−12の処理に進む。
【0116】
図14に示すように、走行計画生成部102gは、時間配列T(q)のループを開始する(ステップSG−13)。すなわち、走行計画生成部102gは、到着時間から逆算する。ここで、時間配列T(q)の初期値は、到着時間「Q」に設定され、1回ループする毎に、「−1」カウントされ、終了条件は「2」となる。
【0117】
そして、走行計画生成部102gは、距離配列L(i)のループを開始する(ステップSG−13)。
【0118】
そして、走行計画生成部102gは、速度配列V(j)のループを開始する(ステップSG−14)。
【0119】
そして、走行計画生成部102gは、駆動力配列U(k)のループを開始する(ステップSG−15)。
【0120】
そして、走行計画生成部102gは、ΔT秒前の速度変化ΔVと速度Vkを計算する(ステップSG−16)。
【0121】
そして、走行計画生成部102gは、ΔT秒前の移動距離ΔLと位置Lkを計算する(ステップSG−17)。
【0122】
そして、走行計画生成部102gは、燃料消費量Δfcを計算する(ステップSG−18)。
【0123】
そして、走行計画生成部102gは、図15に示すように、位置Lk点で速度Vkにおける評価関数Minψ(k)の補間値IP_Minψ(k)を計算する(ステップSG―19)。
【0124】
そして、走行計画生成部102gは、以下の式に基づいて、評価関数Φ(k)を求める(ステップSG−20)。
Φ(k)=Rfc・Δfc+IP_Minψ(k)
【0125】
そして、走行計画生成部102gは、k=Kとなった場合、駆動力配列U(k)のループを終了する(ステップSG−21)。
【0126】
そして、走行計画生成部102gは、MinΦ(i,j,q)=min(Φ(x))を計算し、MinΦを得る入力、MinU(i,j,q)=U(x)を計算する(ステップSG−22)。ここで、MinΦは、評価関数Φ(k)を最小にする入力経路を探索するための中間変数である。
【0127】
そして、走行計画生成部102gは、j=Mとなった場合、速度配列V(j)のループを終了する(ステップSG−23)。
【0128】
そして、走行計画生成部102gは、i=Nとなった場合、距離配列L(i)のループを終了する(ステップSG−24)。
【0129】
そして、走行計画生成部102gは、時間配列T(q)のループを終了する(ステップSG−25)。その後、図16に記載のステップSG−26の処理に進む。
【0130】
図16に示すように、走行計画生成部102gは、初期位置L0、初期速度V0、初期駆動力U0を設定する(ステップSG−26)。
【0131】
そして、走行計画生成部102gは、目的地に到着した否かを判断する(ステップSG−27)。
【0132】
ここで、走行計画生成部102は、目的地に到着したと判断した場合(ステップSG−27:Yes)、本処理は終了する。
【0133】
一方、走行計画生成部102gは、目的地に到着していないと判断した(ステップSG−27:No)、ΔT秒後の速度変化ΔVと、速度Vq=V0+ΔVを計算する(ステップSG−28)。
【0134】
そして、走行計画生成部102gは、ΔT秒後の移動距離ΔLと、位置Lq=L0+ΔVを計算する(ステップSG−29)。
【0135】
そして、走行計画生成部102gは、図17に示すように、位置Lq点で速度Vqにおける次期最適入力MinU(q)の補間計算をする(ステップSG―30)。
【0136】
そして、走行計画生成部102gは、Δt・q秒後の速度V、駆動力U、距離Lを保存する(ステップSG−31)。
【0137】
そして、走行計画生成部102gは、次回計算用変数を以下のように設定する(ステップSG−32)。
L0=Lq
V0=Vq
U0=MinU(q)
【0138】
そして、走行計画生成部102gは、燃料量を積算する(ステップSG−33)。その後、ステップSG−27に戻り、ステップSG−28〜ステップSG−33までの処理を、ステップSG−27にて目的地に到着したと判断されるまで繰り返す。以上で、速度計画作成処理の説明を終える。
【0139】
これにて、本運転支援装置100の処理の説明を終える。
【0140】
[他の実施の形態]
さて、これまで本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上述した実施の形態以外にも、上記特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施の形態にて実施されてよいものである。
【0141】
例えば、上記実施の形態においては、運転支援装置100が車両50に搭載された形態で処理を行う場合を一例に説明したが、これに限られず、運転支援装置100をセンター200として構成し、車両50からのネットワーク経由の要求に応じて処理を行い、その処理結果を当該車両に返却するように構成してもよい。
【0142】
また、実施の形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0143】
このほか、上記文献中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや探索条件等のパラメータを含む情報、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0144】
また、運転支援装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0145】
例えば、運転支援装置100の各装置が備える処理機能、特に制御部102にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPU(Central Processing Unit)および当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現することができ、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現することも可能である。尚、プログラムは、後述する記録媒体に記録されており、必要に応じて運転支援装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDなどの記憶部106などは、OS(Operating System)として協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0146】
また、このコンピュータプログラムは、運転支援装置100に対して任意のネットワーク300を介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0147】
また、本発明に係るプログラムを、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM、EEPROM、CD−ROM、MO、DVD等の任意の「可搬用の物理媒体」、あるいは、LAN、WAN、インターネットに代表されるネットワークを介してプログラムを送信する場合の通信回線や搬送波のように、短期にプログラムを保持する「通信媒体」を含むものとする。
【0148】
また、「プログラム」とは、任意の言語や記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードやバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OS(Operating System)に代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施の形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成、読み取り手順、あるいは、読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0149】
記憶部106に格納される各種のデータベース等(地図データベース106a〜運転計画ファイル106f)は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラムやテーブルやデータベースやファイル等を格納する。
【0150】
また、運転支援装置100は、既知のパーソナルコンピュータ、ワークステーション等の情報処理装置を接続し、該情報処理装置に本発明の方法を実現させるソフトウェア(プログラム、データ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0151】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷等に応じた任意の単位で、機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0152】
以上詳述に説明したように、本発明によれば、燃費効率にも配慮した最適走行速度で目的地への最適経路を示すことができ、また、燃費重視または速度重視というドライバーの要求の重み(優先度)を考慮した速度設定ができ、また、動的環境(例えば、風や前車との位置関係等の走行抵抗)の燃費への影響を考慮して走行計画を適時、再計画できる、運転支援装置を提供することができるので、自動車産業等において利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0153】
【図1】本発明が適用される本運転支援装置100の車両50側の構成の一例を示すブロック図である。
【図2】本発明が適用される本運転支援装置100がネットワークを介して接続されるセンター200のインフラ側の構成の一例を示すブロック図である。
【図3】風圧センサ18の車両50上での設置位置の一例を示す図である。
【図4】本実施の形態における本運転支援装置100の基本動作処理の一例を示すフローチャートである。
【図5】本実施の形態における本運転支援装置100の最適速度算出処理の一例を示すフローチャートである。
【図6】本実施の形態における本運転支援装置100の最適速度算出処理の一例を示すフローチャートである。
【図7】燃費と風速と速度との関係の一例を示すグラフである。
【図8】本実施の形態における本運転支援装置100の最適速度算出処理の一例を示すフローチャートである。
【図9】燃費と風速と速度との関係の一例を示すグラフである。
【図10】本実施の形態における本運転支援装置100の静的環境因子設定処理の一例を示すフローチャートである。
【図11】本実施の形態における本運転支援装置100により作成された配列の一例を示す図である。
【図12】本実施の形態における本運転支援装置100の動的環境因子観測処理の一例を示すフローチャートである。
【図13】本実施の形態における本運転支援装置100の速度計画作成処理の一例を示すフローチャートである。
【図14】本実施の形態における本運転支援装置100の速度計画作成処理の一例を示すフローチャートである。
【図15】本実施の形態における本運転支援装置100により作成された配列の一例を示す図である。
【図16】本実施の形態における本運転支援装置100の速度計画作成処理の一例を示すフローチャートである。
【図17】本実施の形態における本運転支援装置100により作成された配列の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0154】
100 運転支援装置
102 制御部
102a 現在地取得部
102b 目的地設定部
102c 目標到着時刻設定部
102d 目標燃費設定部
102e 優先度設定部
102f 走行情報取得部
102g 優先度重み付け部
102h 走行計画生成部
106 記憶部
106a 地図データベース
106b 目標到着時刻ファイル
106c 目標燃費ファイル
106d 優先度ファイル
106e 評価関数ファイル
106f 走行計画ファイル
10 データコントローラ
11 表示装置
12 ユーザ入力装置
13 車両情報記憶媒体
14 ローカルバス
15 GPS
16 地図DB
17 車両制御バス
18 風圧センサ
19 車両安定制御部(ABS/VSC)
20 ECU
200 センター
30−1〜n 風速計
40−1〜n カメラ
50 車両
60 道路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶部と制御部とを少なくとも備えた、車両の運転支援装置であって、
上記記憶部は、
地図情報を記憶し、
上記制御部は、
上記車両の現在地を取得する現在地取得手段と、
上記地図情報から目的地を設定する目的地設定手段と、
上記現在地取得手段により取得された上記現在地から上記目的地までの目標到着時刻を設定し上記記憶部に格納する目標到着時刻設定手段と、
上記車両の上記現在地から上記目的地までの目標燃費を設定し上記記憶部に格納する目標燃費設定手段と、
上記記憶部に格納された上記目標到着時刻と上記目標燃費と上記地図情報とに基づいて、上記車両の上記現在地から上記目的地までの経路の走行計画を生成し上記記憶部に格納する走行計画生成手段と、
を備えたことを特徴とする運転支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の運転支援装置において、
上記制御部は、
上記目標到着時刻設定手段により設定された上記目標到着時刻、および、上記目標燃費設定手段により設定された上記目標燃費の優先度を設定し上記記憶部に格納する優先度設定手段と、
上記地図情報から取得した上記目的地までの上記経路を任意の地点にて複数に分割し、分割された上記経路上での上記車両の走行抵抗と走行速度とを取得する走行情報取得手段と、
上記走行情報取得手段により取得された上記走行抵抗と上記走行速度とに基づく評価関数を計算し、上記優先度設定手段により設定された上記優先度にて重み付けし上記記憶部に格納する優先度重み付け手段と、
を更に備え、
上記走行計画生成手段は、上記評価関数に基づいて上記走行計画を生成することを特徴とする運転支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−133779(P2009−133779A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−311350(P2007−311350)
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【Fターム(参考)】